JP2015013711A - サクションローラ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の第一実施形態に係るサクションローラについて、図1及び図2に基づいて説明する。
サクションローラ10は、吸着孔11が外周面に複数穿孔されている中空円筒状の外筒体12と、該吸着孔11に連通しローラ軸方向に延設した吸引路13が周方向にほぼ等間隔に周設され、該外筒体12に内嵌される中空円筒状の内筒体14とを備えている。
表面の後加工による吸引路の形成方法としては特に限定しないが、グラインダーやレーザー加工機などを用いた研削や切削などにより溝を形成すればよい。従って、500mm以上の長さの吸引路13でも容易に形成することができる。
また、吸引路は内筒体を軸方向に貫通する孔でもよい。その場合、吸着孔を外筒体だけでなく吸引路に達するように内筒体も穿孔させることで、吸引路と吸着孔を連通させることができる。
サクションローラ10は、ローラを加温状態にするため、中空部1に加熱源、保熱材又は加熱源と保熱材の組み合わせを保持することができる。
加熱源はローラを所定の温度に加温するもので、例えばヒーターなどを用いることができる。加熱源は、ローラの外部に設置することもできる。
保熱材は、ローラの温度変化を小さくするために熱を保持する。例えばローラの温度が低下した場合には保熱材に保持された熱によってローラが加温されることで温度変化を小さくすることができる。保熱材は、熱を保持するため、熱伝導率の低い材料からなることが好ましく、例えばシリコーン油などの油を用いることができる。保熱材は中空部1を満たしていることが好ましい。
また、ローラを回転させるための機構に連結するための連結部がローラ両端部に設けられていてもよく、中空部1に回転軸を内挿してもよい。
本発明の第二実施形態に係るサクションローラについて、図4に基づいて説明する。
サクションローラ20は、上述の第一実施形態と同様に吸着孔21が外周面に複数穿孔されている中空円筒状の外筒体22と、該吸着孔21に連通しローラ軸方向に延設した断面略円形状の吸引路23が周方向にほぼ等間隔に周設され、該外筒体22に内嵌される中空円筒状の内筒体24とを備え、さらに、該吸引路23の内側表面に被覆材25が設けられている。
図5に示す方法では、内筒体24a表面に吸引路形成材26aの一部が露出するように、吸引路形成材26aを内筒体24a内にローラ軸方向に延設するように配置し(図5(a))、その後、吸引路形成材26aを除去する(図5(b))ことで内筒体24a表面に凹設された吸引路23aが形成される。
図6に示す方法では、内筒体24b内に吸引路形成材26bをローラ軸方向に延設するように配置し(図6(a))、その後、吸引路形成材26bを除去する(図6(b))ことで内筒体24b内を軸方向に貫通する孔23b’が形成される。さらに、内筒体24bの外表面を少なくとも孔23b’に達するまで研磨することにより、孔23b’の一部を内筒体24bの外表面に開口させる(図6(c))ことで、内筒体24b外表面に凹設された吸引路23bが形成される。
このような方法を用いることで、吸引路形成材の長さに応じた長さの吸引路23を形成することができる。従って、500mm以上の長さの吸引路23でも容易に形成することができる。
第一実施形態及び第二実施形態では中空部の熱が、内筒体を通じて外筒体を加温するが、更に伝熱効率をあげるために、熱伝導率の高い物質からなる伝熱体を内筒体の内周面に内設してもよい。伝熱体は、加熱源や保熱材などの中空部の熱を高い熱伝導率により効率よく伝えることができる。加熱源がローラの外部に設置してある場合は外部の加熱源の熱をローラ内部に導く目的で伝熱体を設けることもできる。
また、伝熱体や中空部の熱を外筒体に伝えるため、外筒体の内周面と伝熱体の外周面とを連結するように内筒体内部に複数埋設された、熱伝導率の高い物質からなる柱状の伝熱連結部材を有していてもよい。
図9に示す使用形態では、図7に示すサクションローラ30の中空部に加熱源2、保熱材3及び回転軸4を保持している。
本発明のサクションローラの製造方法は、
(1)金属製円筒体に複数の吸着孔を穿孔する工程、
(2)前記金属製円筒体の内周に嵌挿できる繊維強化樹脂製円筒体の外周面に、軸方向に延びる吸引路を開設する工程、及び
(3)前記吸着孔の少なくとも1つ以上が前記吸引路に連通するように、前記金属製円筒体と前記繊維強化樹脂製円筒体とを嵌合する工程
を含む。
前記吸着孔の穿孔は、前記金属製円筒体と前記繊維強化樹脂施円筒体を嵌合する前におこなってもよいし、前記金属製円筒体と前記繊維強化樹脂製円筒が嵌合された状態でおこなってもよい。
他の方法として、吸引路形成材を前記繊維強化樹脂施円筒体内にローラ軸方向に延設するように配置し、その後該吸引路形成材を除去することにより開設することもできる。
また別の方法として、前記繊維強化樹脂製円筒体の軸方向に延設する貫通孔を形成した後、該繊維強化樹脂製円筒体の外周面を研磨して、該貫通孔の一部が該外周面にて開口することにより開設することもできる。前記貫通孔の形成は例えば、吸引路形成材を前記繊維強化樹脂施円筒体内にローラ軸方向に延設するように配置し、その後該吸引路形成材を除去することにより行うことができる。
本発明の外筒体の厚みとローラ表面の温度保持との関係について、解析モデル1〜4に基づいて説明する。数値解析に用いた解析モデルは、本発明の範囲を限定するものではない。
図10に示すように、内径φ1が250mm、外径φ2が340mm、外筒体の厚みdが3mmのサクションローラ50を27℃の気体中で角速度1.324rad/sで回転させた。前記サクションローラ50は、アルミニウムを外筒体51として採用し、CFRPを内筒体52として採用した。前記内筒体の内側中空部には出力1350Wの加熱源53を取り付け、保熱材54としてシリコーン油を採用し、中空部をシリコーン油で満たした。前記CFRPの熱伝導率は8W/(m・K)、前記CFRPの熱伝導率は228W/(m・K)、前記シリコーン油の熱伝達率は51W/(m2・K)、前記気体の熱伝達率は7W/(m2・K)とした。前記CFRPの熱伝導率については、本発明に用いることが出来るCFRPを、熱線法を用いる非定常熱流法により測定した値を用いた。また、前記熱伝達率については計算により求めた。このサクションローラを、ローラ表面温度が所定温度TC(80℃)になるように前記加熱源により加温した時の熱分布を、熱流体解析ソフトウェア(Pro/MECHANICA)を用いて数値解析を行った。この結果を図11に示す。図11はローラ表面の周方向距離−表面温度特性を示した図である。
外筒体の厚みdが2mmである以外は解析モデル1と同様のサクションローラについて、解析モデル1と同様に数値解析を行った。
外筒体の厚みdが1mmである以外は解析モデル1と同様のサクションローラについて、解析モデル1と同様に数値解析を行った。
外筒体が無い(外筒体の厚みdが0mmである)以外は解析モデル1と同様のサクションローラについて、解析モデル1と同様に数値解析を行った。この結果を図12に示す。図12はローラ表面の周方向距離−表面温度特性を示した図である。
解析モデル1〜3との比較からわかるように、外筒体の厚みが厚くなるほど温度ムラを小さくでき、外筒体厚み3mmのモデルでは温度ムラ1℃以内を達成できた。しかしながら、外筒体の厚みを厚くするほどローラの重量は増加し、また、外筒体の厚み増大による温度ムラ低減の効果は正比例の関係になく、厚みが厚くなるほど厚みの増加に対する温度ムラ低減の効果の伸びが鈍化することから、外筒体の厚みは3mm程度が好ましい。
2 加熱源
3 保熱材
4 回転軸
10,20,30,40 サクションローラ
11,11a,11b,11c,21,31,41 吸着孔
12,22,32,42 外筒体
13,23,23a,23b,33,43 吸引路
14,24,24a,24b,34 内筒体
23b’ 孔
25 被覆材
26a,26b 吸引路形成材
37,47 伝熱体
38 伝熱連結部材
50 サクションローラ解析モデル
51 解析モデル外筒体
52 解析モデル内筒体
53 解析モデル加熱源
54 解析モデル保熱材
Claims (11)
- 加温状態を保ちながら、帯状シートを搬送するサクションローラであって、
前記帯状シートを吸着するための吸着孔が、外周面に複数穿孔されている、金属製外筒体;及び
前記金属製外筒体に内嵌され、前記吸着孔に連通する1又は2以上の吸引路がローラ軸方向に延設され、加熱源及び/又は保熱材が保持される中空部を有する繊維強化樹脂製内筒体
を備えたサクションローラ。 - 前記サクションローラの軸方向長さは、550〜2000mmである請求項1に記載のサクションローラ。
- 前記金属製外筒体の厚みは、1〜5mmである請求項1又は2に記載のサクションローラ。
- 前記内筒体と前記外筒体の厚みの比が、1:10〜1:15である請求項1〜3のいずれか1項に記載のサクションローラ。
- 前記吸引路は、前記内筒体の外表面に凹設された溝である請求項1〜4のいずれか1項に記載のサクションローラ。
- 前記吸引路の表面が被覆材で被覆されている請求項1〜5のいずれか1項に記載のサクションローラ。
- 前記繊維強化樹脂製内筒体は炭素繊維強化樹脂製で構成される円筒体であり、
前記金属製外筒体はアルミニウム製円筒体である請求項1〜6のいずれか1項に記載のサクションローラ。 - 前記加温状態がローラ表面を60〜100℃に保つ場合に、前記ローラ表面の温度ムラが2℃以内に保持される請求項1〜7のいずれか1項に記載のサクションローラ。
- 前記加熱源及び/又は前記保熱材の熱を伝える伝熱体が前記内筒体内周面に付設されている請求項1〜8のいずれか1項に記載のサクションローラ。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のサクションローラの製造方法であって、
金属製円筒体に、複数の吸着孔を穿孔する工程;
前記金属製円筒体の内周に嵌挿できる繊維強化樹脂製円筒体の外周面に、軸方向に延びる吸引路を開設する工程;及び
前記吸着孔の少なくとも1つ以上が前記吸引路に連通するように、前記金属製円筒体と前記繊維強化樹脂製円筒体とを嵌合する工程
を含む製造方法。 - 前記吸引路の開設は、吸引路形成材がローラ軸方向に延設している繊維強化樹脂製円筒体を形成し、次いで該吸引路形成材を除去する工程を含む請求項10に記載の製造方法。
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