JP2015011910A - エキシマランプ - Google Patents

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Abstract

【課題】放電容器の外表面に一対の外部電極が設けられ、前記放電容器の内面には始動補助用の導電性部材が配置されてなるエキシマランプにおいて、前記外部電極の端部に形成された補助電極に放電防止膜を被覆しても、放電容器の熱膨張によっても該放電防止膜に亀裂が生じることがなく、放電容器端部に設けたベースとの沿面距離を安定して長く維持でき、これにより、ベースと補助電極との間の異常沿面放電を防止することができるエキシマランプを提供することである。【解決手段】前記外部電極には、その一端部から延長形成された枝状の補助電極が設けられ、前記放電容器の、前記補助電極が形成された側の端部にはセラミック製ベースが装着されてなり、前記補助電極は、セラミック粒子のフレーク状集合体が積層されてなる放電防止膜で被覆されていることを特徴とする。【選択図】 図1

Description

この発明は、エキシマランプに関するものであり、特に、放電容器の外表面に外部電極を有するエキシマランプに係わるものである。
従来、内部にキセノンガス等の希ガスが封入された放電容器の外表面に一対の外部電極を対向配置させてなるエキシマランプが知られており、この種のエキシマランプでは、一対の外部電極間に、高周波高電圧を印加することにより放電が開始される。
このような、一対の電極がいずれも外部電極からなるランプにおいては、とりわけ放電開始時に高電圧が必要となるため、放電容器内に金属ペーストやカーボンペーストを塗布形成するなどして始動補助用の導電性部材を配置し、絶縁破壊電圧を低くする措置が通常取られている。ところが、このような始動性のための導電性部材を有するエキシマランプでは、ランプ始動後の定常点灯状態において、導電性部材の近傍にある外部電極と当該導電性部材との間で不所望な放電が起こったり、外部電極間で生じる予定の放電が生起されなかったりすることがある。
このような始動補助用の導電性部材に由来する問題を解決する目的で、特開2010−225343号公報(特許文献1)では、図4に示すように、エキシマランプ1の放電容器2の外表面に設けられた外部電極3の端部において、放電容器2の長さ方向に伸びる導電膜からなる枝状の補助電極4を設けることが行われている。そして、放電容器2の内面の補助電極4の端部に対応する位置に始動補助用の導電性部材5を位置させて、該導電性部材5から外部電極3に至るまでの沿面距離を大きくして、その間の異常沿面放電を防止する試みが図られている。
また更には、特開2012−190676号公報(特許文献2)では、図5に示すように、補助電極4を放電容器2の管軸方向に延びる根元部41と、ここから放電容器2の幅方向に延びる枝部42とからなるL字状とすることで、放電容器内部の始動補助用の導電性部材5から、外部電極3に至るまでの沿面距離を更に大きくして、この間での異常沿面放電を更に効果的に防止しようとすることが開示されている。
このように、これら従来技術においては、ランプ始動時の問題を改善するために設けた放電空間内部の導電性部材5と、外部電極3の間で生じる異常放電を回避するために、枝状の補助電極4を形成したものの、今度は、この補助電極4と、放電容器2端部に設けたベース7との間で異常沿面放電Xが発生するという現象が生じることがあることが分かった。かかる異常沿面放電Xが発生すると、外部電極間で生じる予定の放電が生起されなくなり、ランプの光出力が低下するという不具合が生じる。
このような問題は、放電容器の外表面に外部電極を有するエキシマランプに特有の現象で、特開2011−090834号公報(特許文献3)において、その現象が開示されている。つまり、図6に示されるように、放電容器2の外表面の外部電極3と、前記放電容器2の端部に設けられ、接地されてグランド側の電位となっているベース7との間で異常沿面放電が発生してしまうことがある。この異常沿面放電は、特に電界集中の起こりやすい補助電極の角部とベースとの間で発生することが多い。
そして、この引用文献3においては、このような異常沿面放電を防止するために、外部電極2の端部、特にその角部を、ガラス層8で被覆して絶縁することが開示されている。
前述した外部電極とベースとの間の異常沿面放電に関する事情は、引用文献2や引用文献3に記載された外部電極構造、つまり、外部電極3に枝状の補助電極4を設けた形態においても全く同様で、図4および図5に示すように、枝状の補助電極4と、放電容器2の端部に設けられたベース7との間に、異常沿面放電Xが発生する。
特開2010−225343号公報 特開2012−190676号公報 特開2011−090834号公報
このように、外部電極とベースとの間の異常沿面放電を防止すべく外部電極の端部にガラス層を設けた構造においては、図7に示すように、このガラス層8が紫外線透過性であるために、石英ガラスで構成された放電容器2と、ガラス層8との間の熱膨張係数の差異によって、ガラス層8に亀裂9が生じ、当該亀裂9から外部電極3が露出して、再び、かかる露出した部位とベース7との間で異常沿面放電が生じるということが判明した。
この発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて、放電容器の外表面に一対の外部電極が設けられ、前記放電容器の内面には始動補助用の導電性部材が配置されてなるエキシマランプにおいて、前記外部電極の端部に形成された補助電極に放電防止膜を被覆しても、放電容器の熱膨張によって該放電防止膜に亀裂が生じることがなく、放電容器端部に設けたベースとの沿面距離を安定して長く維持でき、これにより、ベースと補助電極との間の異常沿面放電を防止することができるエキシマランプを提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、この発明では、放電容器の外表面に設けられた外部電極には、その一端部から延長形成された枝状の補助電極が設けられ、前記放電容器の、前記補助電極が形成された側の端部にはセラミック製ベースが装着されてなり、前記補助電極は、セラミック粒子のフレーク状集合体が積層されてなる放電防止膜で被覆されていることを特徴とする。
また、前記セラミック粒子は、SiO,MgO,Al,ZnO又はTiOのいずれかからなることを特徴とする。
本発明によれば、外部電極に連続して形成される補助電極が、セラミック粒子のフレーク状集合体からなる放電防止膜で被覆されているので、放電容器が熱膨張しても、フレーク状集合体同士がある程度は離間可能であるので、放電容器の熱膨張を緩衝することができて膜自体に亀裂が生じることがなく、その絶縁機能が阻害されことがないので、補助電極とベースの間において異常沿面放電が生じることを抑制できるようになる。
また、セラミック粒子のフレーク状集合体を積層したことにより、外部電極から放電防止膜の表面に至るまでの沿面距離が長くなり、薄い層であっても高い絶縁効果を得ることができる。
本発明のエキシマランプの上面図。 図1のA−A拡大断面図。 図2の更に拡大断面図。 従来技術の部分上面図。 別の従来技術の部分上面図。 更に別の従来技術の部分上面図。 図6の部分拡大断面図。
図1に示すように、本発明のエキシマランプ1の放電容器2には、その両面に一対の外部電極3、3が対向配置されている(他方の外部電極は不図示)。
上記各外部電極3の端部には略L字状の枝状電極4が設けられている。該枝状電極4は、根元部41と枝部42とからなり、該根元部41は、前記外部電極3における放電容器2の幅方向の一端から管軸方向に延び、前記枝部42は、該根元部41の先端から放電容器2の幅方向の他端側に延びている。
そして、図5に示すものと同様に、放電容器2の内面には、前記枝状補助電極4の枝部42の先端に対応する位置に、始動補助用の導電性部材5が設けられている。
また、放電容器2の、前記枝状補助電極4が設けられている側の端部にはセラミック製ベース7が取り付けられている。
そして、前記補助電極4には、少なくとも前記ベース7に近い側の部位に、放電防止膜10が被覆されている。
この放電防止膜10は、拡大断面図である図2および更にその拡大断面図である図3に示すように、多数のセラミック粒子11がフレーク状に、言い換えると、平板状に、集合した集合体12であって、このフレーク状集合体12が何層かに積層されてなる。
このフレーク状集合体12の具体例を示すと、セラミック粒子の粒径はφ0.3〜1μmであって、フレーク状の集合体の厚さは、平均10〜150μm、好ましくは30μ±10μmの範囲で、薄い膜状に形成する。
なお、かかる放電防止膜10は、層の厚さが厚いほど、沿面距離を稼ぐことができるが、セラミック粒子を積層した膜であり、機械的な結着力で放電容器或いは補助電極上に保持されるために、膜厚が厚すぎると剥がれやすくなる。よって、膜の安定性を鑑みると100μm以下であることが好ましく、より安定には50μm以下であるのがよい。
そして、フレーク状(平板状)集合体のアスペクト比は、0.1以下となるような、面状に広がる平板な粒子の集合形状とする。
本発明に係る放電防止膜10は、セラミック粒子と有機バインダーからなる懸濁液に水を混合して所定の粘度に調製し、かかる懸濁液を、エアースプレー、静電エアースプレーなどの汎用の塗装スプレーガンを用いて、対象部材表面に塗布、乾燥することにより行われる。なおその際、一層が塗布された後に懸濁液を塗布し、更に、塗布を重ねてフレーク状集合体が積層されて所定の膜厚となるよう徐々に形成するのがよい。
以下、エキシマランプの放電容器外表面に形成された補助電極上に、セラミック粒子のフレーク状集合体からなる放電防止膜を形成する方法について、具体的に説明する。
(1)塗布液(懸濁液)の準備
セラミック粒子と有機バインダーからなる懸濁液に、水および攪拌用のセラミックボール(φ5〜10mm程度)を容器に入れ、攪拌機にて十分に攪拌し、粘度が10(mPa・s)程度になるよう調製する。
セラミック粒子としては、SiO,MgO,Al,ZnO又はTiOのいずれかから選択される。
(2)ランプの準備
放電防止膜を形成する部分以外に塗布液が付着しないよう、放電容器をマスキングテープなどで保護する。またこのとき、塗布液がはじかれないよう塗布部表面のゴミや油分を、エチルアルコールをしみこませたウェスできれいにふき取る。
(3)塗布
塗布液をスプレーガンのタンクに入れ、スプレー先端から塗布部(放電容器)までの距離を100〜150mmとした位置から均一に吹き付ける。このとき、塗布液はスプレーガンから液滴となって噴射され、この液滴が対象物(放電容器)に衝突して平らな(平板状の)セラミック粒子の集合体となって放電容器上に塗布される。
塗布液を一回の塗布で厚塗りすると、乾燥・焼成時に剥離やブリスター(気泡)が発生しやすくなるとともに、上記フレーク状の集合体が形成されにくくなるので、なるべく薄く均一に塗布する。そのため、一旦塗布した層が十分に乾燥した後に、その上に、再度塗布液を噴射して重ね塗りを行い、膜厚が所定の厚さになるまで数回繰り返す。
また、上記効果を得やすくするためには、スプレーガンのノズル径は0.2〜0.5mmであることが望ましい。
(4)乾燥・焼成
マスキングテープを除去した後に、電気炉にて乾燥・焼成を行う。温度プロファイルは、80℃で10分キープ→120℃で10分キープ→230℃で20分キープして完了となる。
こうして、図3に示すように、多数のセラミック粒子11を含んだフレーク状(平板状)の集合体12が、図2に示すように、放電容器2における外部電極3の枝状補助電極4を被覆するように、放電容器2上に積層形成される。
なお、枝状補助電極4は、図1の形態に限られず、図4に示したような、放電容器2の軸方向にのみ延在する形態であってもよい。
また、放電防止膜10は、枝状補助電極4のベース7に近接する部位に被覆する形態に限られず、補助電極4全体を被覆するようにしてもよく、要は、ランプ入力との関係で、ベースとの間で異常放電が生じないようにすればよい。
以上説明したように、本発明のエキシマランプでは、放電容器の外表面に設けられた外部電極に延長形成された枝状の補助電極が、セラミック粒子のフレーク状集合体が積層されてなる放電防止膜で被覆されているので、ランプ点灯により放電容器が熱膨張しても、セラミック粒子のフレーク状の集合体同士は管軸方向に多少のずれを許容するので、該放電防止膜に亀裂が入るようなことがなく、長期に亘って安定した放電防止機能がもたらされるものである。
更には、セラミック粒子の集合体がフレーク状であるので、外部電極から放電防止膜表面に至る沿面距離が大きく、膜厚が薄いものでも十分な放電防止効果が得られる。
1 エキシマランプ
2 放電容器
3 外部電極
4 枝状電極
41 根元部
42 枝部
5 始動補助用導電性部材
7 セラミック製ベース
10 放電防止膜
11 セラミック粒子
12 フレーク状の集合体
X 異常沿面放電


Claims (2)

  1. 放電容器の外表面に一対の外部電極が設けられ、前記放電容器の内面には始動補助用の導電性部材が配置されてなるエキシマランプにおいて、
    前記外部電極には、その一端部から延長形成された枝状の補助電極が設けられ、
    前記放電容器の、前記補助電極が形成された側の端部にはセラミック製ベースが装着されてなり、
    前記補助電極は、セラミック粒子のフレーク状集合体が積層されてなる放電防止膜で被覆されている
    ことを特徴とするエキシマランプ。
  2. 前記セラミック粒子は、SiO,MgO,Al,ZnO又はTiOのいずれかからなる
    ことを特徴とする請求項1に記載のエキシマランプ。


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