JP2015010504A - 燃料噴射弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】噴射流量や圧力変化の影響を受けることなく、所望の位置で噴流を衝突させて微粒化を促進し、噴射方向の安定性を向上させて、所望の燃料噴霧を形成する。
【解決手段】燃料流路11の下流にサック室12を設けたノズルボディ1に、サック室12上流のシート面13に着座するニードル弁2を収容し、サック室12の開放時にその室壁14を貫通して形成される少なくとも1つの噴孔3から燃料を噴射する。噴孔3は、サック室12の内外表面に開口し、貫通方向に燃料を導く主噴孔部31と、サック室12の内表面に一端が開口し、他端が室壁14内部で主噴孔部31に接続して、燃料を合流させる副噴孔部32を有する。副噴孔部32は、主噴孔部31の下流側に設けたテーパ形状部34に開口し、燃料流を衝突により微粒化する一方、テーパ形状部34に沿って整流して噴射方向を安定化する。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、車両内燃機関用の燃料噴射弁、特に噴射される燃料噴霧の微粒化と安定化を両立させた噴孔形状に関する。
内燃機関の燃料噴射弁において、2つの噴孔から噴射される燃料の衝突を利用して噴霧を微粒化することが知られている。従来技術として、特許文献1には、噴孔プレートの複数の円形噴孔のうち少なくとも2つを、孔軸延長線が交差するように配置した燃料噴射弁が開示され、噴射燃料を所定の衝突長さで衝突させて、燃料噴射状態を制御している。また、特許文献2の燃料噴射弁は、対をなすスリット噴孔を少なくとも1対設けており、燃料噴射方向が噴射弁外で交差するように、互いになす角度や噴射圧を規定している。
また、特許文献3の燃料噴射ノズルは、噴射孔が2つの小孔で構成されている。2つの小孔は、燃料をより広い範囲に噴射する目的で、その内側の一端部がノズル内面においてノズル軸方向に離間させて配置されており、外側の一端部はノズル外面において交差するように配置されて、ノズルのリフト量に応じて噴射方向を変更するようになっている。
特開2003−74440号公報 特開平11−82243号公報 実開平5−19559号公報
しかしながら、特許文献1の燃料噴射弁は、噴流の断面形状が円形であるため、2つの噴孔からの噴流が交わる範囲が狭く、所定位置で衝突させることは容易でない。図11は、ノズルボディ100の先端部30に2つの噴孔10、20を設けた例で、ノズルボディ100の外部で噴流が交差するようにしている。このような構成では、例えば、エンジン出力を変える目的で噴流の圧力を増減させた場合に、噴流が衝突するエネルギーが変わり、あるいは、エンジン回転数により気筒内に空気が流入するタイミングや圧力が変化することで、噴流が衝突する位置やエネルギーが変わると、噴霧が安定しないおそれがある。
特許文献2の燃料噴射弁は、噴孔をスリット形状とすることで、噴流が衝突する幅を点から線状に拡大し、位置のずれを許容可能としている。ところが、噴流エネルギー密度が低いと同様の問題が生じやすくなり、衝突による十分な微粒化効果が得られずに、噴霧形状や噴霧粒径が安定しなくなる。なお、特許文献3の燃料噴射ノズルは、リフト位置によって開放される噴孔数が変わり、流量が変動するために、衝突による微粒化効果を安定して得ることは難しい。
そこで、本願発明は、燃料の衝突を利用して微粒化する噴孔形状について鋭意検討し、噴射流量の変化やエンジン気筒内の圧力変化の影響を受けることがなく、所望の位置で噴流を衝突させて噴霧粒径の微粒化を促進し、しかも噴射方向の安定性を向上させて、所望の燃料噴霧を形成する燃料噴射弁を提供することを目的とするものである。
本発明の請求項1に記載の燃料噴射弁は、
筒状に形成されて内部を燃料流路とし、該燃料流路の下流側端部にサック室を設けたノズルボディと、
該ノズルボディ内を摺動して上記サック室上流に設けたシート面に着座し、上記燃料通路と上記サック室の間を開閉するニードル弁と、
上記サック室の室壁を貫通して形成される少なくとも1つの噴孔と、を備えており、
上記噴孔は、上記サック室の内外表面に開口し、貫通方向に燃料を導く主噴孔部と、上記サック室の内表面に一端が開口し、他端が上記室壁の内部で上記主噴孔部に接続して、燃料を合流させる副噴孔部を有し、
上記主噴孔部は、少なくとも上記サック室外表面に開口する下流部を、下流側ほど流路断面積が大きくなるテーパ形状とし、該テーパ形状部に、上記副噴孔部を開口させたことを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の燃料噴射弁は、上記サック室の室壁を直交する線に対して、上記副噴孔部を傾斜させて配置する。
本発明の請求項3に記載の燃料噴射弁は、上記主噴孔部の燃料流と上記副噴孔部の燃料流が上記テーパ形状部で衝突し、合流した燃料流が上記テーパ形状部に沿って噴出する。
本発明の請求項4に記載の燃料噴射弁は、上記主噴孔部および上記副噴孔部がスリット噴孔であり、上記主噴孔部はその下流側半部を上記テーパ形状部として、スリット短辺の長さが一定であり長辺の長さが下流側ほど長くなる形状とした。
本発明の請求項5に記載の燃料噴射弁は、上記主噴孔部および上記副噴孔部が円形噴孔であり、上記主噴孔部の径を上記副噴孔部の径より小さくするとともに、上記主噴孔部はその下流側半部を上記テーパ形状部として、下流側ほど拡径する形状とした。
本発明の燃料噴射弁は、ニードル弁がサック室を開放すると、サック室の内表面に開口する主噴孔部と副噴孔部に燃料が流入する。主噴孔部の燃料流は、サック室の外表面に開口する出口部へ向かい、その途中で副噴孔部から合流する燃料流と衝突する。副噴孔部の燃料流は合流部で向きを変えて、主噴孔部の燃料流とともに噴流となって噴出する。本発明では、2つ噴孔部が衝突する交点を噴孔内に設置するので、衝突が安定化する。すなわち、従来のように、エンジン出力変化に伴い噴流の圧力が増減し衝突エネルギーが変化したり、エンジン回転数により気筒内に流入する空気のタイミングや圧力が変化したりしても影響を受けることなく、所定の合流点において所定の角度で確実に衝突させ、噴流のせん断を強制的に発生させることができる。
また、合流後の燃料流は、主噴孔部のテーパ状部内壁に沿う縮流となり、副噴孔部側と主噴孔部側とで速度差が生じる。この噴流自体の流れの差で生じるせん断で分裂性が向上して、微粒化が促進され、かつテーパ状部において整流されるので、噴射方向が安定化する。したがって、ニードル形状やノズルボディ形状等の制約を受けることなく、所望の燃料噴霧を形成し、気筒内の所望の位置へ噴射できるので、燃料噴射弁の噴射性能が向上する。また、噴孔設計の自由度が向上するのみならず、燃料噴射弁の配置の自由度も向上し、高性能な内燃機関を容易に実現することができる。
本発明の第1実施形態であり、燃料噴射弁の主要部であるノズル部構成を示す拡大断面図である。 (a)は第1実施形態のノズルボディの全体断面図とその要部拡大断面図であり、(b)は(a)の下方視図、(c)はノズル部構成の他の例を示す要部拡大断面図である。 第1実施形態のノズル部における噴孔形状を示す模式的な断面図である。 第1実施形態のノズル部における噴孔形状を説明するための断面図である。 第1実施形態のノズル部における燃料流の速度分布図である。 第1実施形態のノズル部における気液分布図である。 第1実施形態のノズル部における燃料流の速度分布を、スリット中心から壁面へ向かう各領域について比較して示す図である。 第1実施形態のノズル部における気液分布を、スリット中心から壁面へ向かう各領域について比較して示す図である。 (a)は比較のための噴孔形状であり、(b)はその噴孔形状における燃料流の速度分布図および気液分布図である。 (a)〜(e)は、本発明の第2〜6実施形態における燃料噴射弁の噴孔構成を示す概略断面図である。 従来の燃料噴射弁の要部であり2つの噴孔を設けたノズルボディの概略構成を示す断面図である。
以下、本発明の具体的な実施形態を、図面により詳細に説明する。図1〜8は、本発明の第1実施形態であり、自動車の直噴ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の内燃機関用の燃料噴射弁に適用される。図1は、燃料噴射弁の主要部であるノズル部構成を示しており、筒状のノズルボディ1と、ノズルボディ1内に収容されるニードル弁2と、ニードル弁2の先端と対向する位置に形成された噴孔3を有している。図2(a)において、ノズルボディ1は、概略円筒状に形成されて先端側(図の下端側)が閉鎖されており、その内部を燃料流路11として、図示しない燃料通路から燃料が供給されるようになっている。燃料流路11の下流側端部となるノズルボディ1の先端部には、ニードル弁2先端面の対向位置を凹陥させてサック室12が形成されている。
図1において、ノズルボディ1は、サック室12の上流側に、ニードル弁2が着座するシート面13を有している。シート面13は、ノズルボディ1の内周面を下流側ほど縮径させたテーパ面であり、ニードル弁2の先端外周縁部が、シート面13に着座または離座して、燃料流路11とサック室12の間を開閉する。ニードル弁2は、ノズルボディ1と同軸的に配置されており、図示しない駆動源により軸方向に摺動し往復動可能となっている。
噴孔3は、ニードル弁2の先端面と対向するサック室12の室壁14を貫通して形成され、その内外表面を連通している。本発明の特徴は、噴孔3を、主噴孔部31と副噴孔部32とで構成した点にあり、副噴孔部32は、サック室12の室壁14内部で主噴孔部31に合流する。すなわち、サック室12の内表面には、主噴孔部31と副噴孔部32の入口部311、321が開口し、外表面には、主噴孔部31の出口部312のみが開口する。本実施形態では、主噴孔部31と副噴孔部32は、サック室12の室壁14と直交する線に対して傾斜して設けられ、主噴孔部31と副噴孔部32の合流部33は、それぞれの中心線が交わる位置で、ノズルボディ1の軸線上にある。
ノズル部は、このような主噴孔部31と副噴孔部32からなる噴孔3を、少なくとも1つ有している。本実施形態では、図2(a)、(b)に示すように、スリット状の噴孔3を1つ設けた例として、以降説明する。噴孔3を複数設けてもよく、この場合は、各噴孔3を主噴孔部31と副噴孔部32で構成する。図2(c)に示す例では、2つの噴孔3をノズルボディ1の軸線に対して図の左右に配置し、2つの主噴孔部31が下流側ほど離間するように、それぞれ外方へ向けて傾斜させている。噴孔数が3以上の場合も同様とすればよい。
図3に示すように、噴孔3の主噴孔部31と副噴孔部32は、それぞれ流路断面が細長孔形状のスリット噴孔であり、ニードル弁2側のサック室12内表面には、同一形状の入口部311、321が、所定間隔をおいて平行位置している。主噴孔部31は、サック室12の室壁14を斜めに貫通して内外表面に開口しており、上端側の一部を除いてその下流部を、下流側ほど流路断面積が大きくなるテーパ形状部34としている。主噴孔部31のテーパ形状部34は、スリットを形成する細長孔の長手方向の両端部がテーパ状に外方へ拡がり(図中、左図)、細長孔の長辺(以下、スリット幅)が下流側ほど長くなっている。主噴孔部31は、テーパ形状部34を含め、スリットとなる細長孔の短辺(以下、スリット厚)は一定であり、短手方向にはテーパ形状となっていない(図中、右図)。
本発明では、このテーパ形状部34において、副噴孔部32を主噴孔部31に開口させ、燃料流れを衝突させることで、噴霧を微粒化するエネルギーを発生させる。また、テーパ形状部34は、副噴孔部32から合流する燃料流を許容可能な流路断面積を有し、末広がりのスリット内壁に沿って拡がりながら、分裂しやすい液膜を形成することで、微粒化に寄与する。本実施形態では、テーパ形状部34の上流側端部において、両噴孔部31、32が合流するように接続して、燃料流れを衝突させた後、効果的に流路方向すなわち主噴孔部31の貫通方向に噴流を整流し、テーパ形状部34の内面形状に沿って噴出されるように構成している。これにより、燃焼室全体に微粒化された燃料を分散させて、効率よく燃焼させることができる。
具体的には、図4に示すように、主噴孔部31を、スリット幅(E)一定の上端部と、拡がり角度(F)のテーパ形状部34で構成した時、サック室12の室壁14(厚さD)に対して、テーパ形状部34(厚さB)が上端部(厚さA)と同等かより大きくなるように形成すると(A≦B)、副噴孔部32の接続位置が制約されず、合流後の流路長を十分長くして安定した噴霧を形成できる。テーパ形状部34の流路長が長いと、噴流が整流されテーパ形状部34の内面形状に沿う扁平な扇形となって噴出され、貫徹力が良好となる。流路長が短いと整流が不足して出口部312で広がりやすくなる。テーパ形状部34の拡がり角度(F)は、所望の噴霧形状に応じて、例えば60〜90度の範囲で適宜設定される。
主噴孔部31と副噴孔部32は、上端側において、スリット厚さ(C)、スリット幅(E)が同じであり、スリットの断面寸法により、燃焼に必要な流量を確保する。ここでは、主噴孔部31と副噴孔部32は、サック室12の室壁14と直交する線(以下、直交線)に対して図の左右に配置されて、合流部33へ向けて2つの噴流を流入させる。この直交線に対する両噴孔部31、32の傾斜角度(θ)は、両噴孔部31、32の中心線のなす角度、すなわち2つの噴流の衝突せん断エネルギーの大きさを調整し、角度が狭くなるとせん断エネルギーが小さくなり、テーパ形状部34へ向かう流れが速くなる。角度が広くなると、せん断エネルギーが大きくなり、テーパ形状部34へ向かう流れが遅くなる。傾斜角度(θ)が45度の時、両噴孔部31、32のなす角度が90度となり、副噴孔部32の燃料流が主噴孔部31の燃料流と直交する方向から衝突して、乱れを増大させた後、速やかに下流へ向かう流れとなる。ただし傾斜角度(θ)が小さすぎると、衝突による効果が低下するため、好適には、直交線に対して配置される主噴孔部31の傾斜角度により副噴孔部32の配置を適宜設定するとよい。
上記構成の噴孔3は、下流側にテーパ形状部34を有する主噴孔部31が、サック室12の室壁14を貫通して燃料の流れを所定の噴射方向に導き、噴孔内壁に沿って下流側のテーパ形状部34に沿って拡がる燃料噴霧を形成する。主噴孔部31の途中に接続する副噴孔部32は、燃料流同士を所定の角度で衝突させ、微粒化の促進と安定した噴射を両立させる。したがって、噴射圧力の変動や雰囲気の影響が小さく、またノズル部構造に制約されずに噴孔を設計できる利点があり、サック室12の壁厚に対して、主噴孔部31と副噴孔部32、テーパ形状部34の形状や配置を、バランスよく組み合わせることで、それぞれの機能を補完し、噴孔3を通過する燃料流を制御して、所望の噴霧を形成することができる。
この本発明の効果を確認するために、図1のノズル部構成について、CAE(Computer Aided Engineering)システムを用いたシミュレーションにより、噴孔3内を通過する燃料流の解析を行った。図7、図8は、図1の主噴孔部31を、その流れ方向と平行な複数の断面についてCAE解析し、燃料流の速度分布または気液分布が、燃料流が衝突するスリット中心側からスリット壁面側へ向けて変化する様子を示している。図5、図6は、これらCAE解析結果に基づき、スリット厚み方向の断面について、主噴孔部31および副噴孔部32の合流によって変化する燃料流の速度分布および気液分布を示している。
図5において、ニードル弁2がシート面13から離座し、燃料流路11とサック室12が連通すると、燃料流路11の燃料がサック室12に流入し、噴孔3を経て、各気筒の燃焼室へ噴射される。この時、容量の大きいサック室12に滞留した燃料が、主噴孔部31と副噴孔部32に、比較的遅い速度で均等に流入した後、両噴孔部31、32の合流部33において、燃料流が衝突する。具体的には、主噴孔部31を出口部312へ向けて流れる、幅広の厚みの薄い燃料流に対して、副噴孔部32からの同形状の燃料流が、側方から衝突することになる。2つの燃料流は、噴孔3の内部で合流するので、燃焼室内での衝突のように周囲の空気流や噴射圧等の影響を受けることがなく、所定の開口位置において確実に衝突して、合流部33付近で燃料流の乱れが増加する。
また、副噴孔部32の燃料流は、合流後も流れ方向を保とうとするので、合流した燃料流は、副噴孔部32の流れ方向(主噴孔部31の流れ方向と直交する方向)に力を受ける。このため、合流した燃料流は、副噴孔部32側で流れが剥離しやすくなり、対向する主噴孔部31内壁面に押し付けられて、縮流となる。この時、図6のように、合流後の主噴孔部31において、副噴孔部32側の内壁面に沿って気相が形成され、対向する内壁面に沿って薄い液膜が形成される。
これらは、図7、8に示されるように、衝突によって、燃料流がスリット幅方向に急速に拡がるためで、特にスリット壁面側では、燃料流がテーパ形状部34全体に拡がって速度が増大している。スリット中心側では、スリット幅方向の両端部において流速が低下し、気相が形成される。このような速度分布および気液分布が生じ、縮流した流れが薄膜を形成することで、分裂性が向上する。またスリット中心側とスリット壁面側で、速度分布および気液分布の状態が異なり、縮流の内部に速度勾配が生じることによって、さらに微粒化が促進される。その一方でスリット壁面側では安定した流れとなり、壁面に沿った噴射となって、噴射方向の安定性を向上させる。これらの効果で、噴霧の微粒化と噴流の真直性を確保し、十分な拡がり角度の燃料噴霧を、安定して形成することができる。
図9に、比較のため、2つの噴孔を一体化した形状の噴孔4について、同様のCAE解析を行なった結果を示す。図9(a)に示す噴孔4は、2つのスリット状傾斜噴孔部41、42をサック室12の室壁14内で一体化し、室壁14と直交する方向(ノズルボディ1の軸線方向)に開口させた形状で、スリット厚さ(G)は入口側の厚さ(C)の2倍となっている。その他の形状は、図4の噴孔3と同等とした。図9(b)にCAE解析による速度分布を示すように、2つの傾斜噴孔部41、42からの燃料流は、合流後に噴孔内壁に沿った流れとならず、テーパ形状に沿った拡がりが見られない。これは、2つの燃料流が、一体部43の中央で衝突した後に流れの向きを変えており、また、スリット厚さが大きくなるために、流れが内壁から剥離しやすくなるためと推測される。このため燃料噴霧の噴射方向が安定せず、所望の噴霧形状が得られない。
このように、本発明は、テーパ形状部34を有する主噴孔部31に副噴孔部32を合流させる噴孔3形状が、噴霧の微粒化と噴霧形状の安定化に寄与する。噴孔3は、第1実施形態のように、必ずしも主噴孔部31と副噴孔部32を同一断面形状または直交線を挟んで左右に配置する必要はなく、本発明の趣旨に沿う範囲で、主噴孔部31や副噴孔部32の形状や配置を変更することができる。図10は、本発明の噴孔3の他の形状例であり、(a)の第2実施形態では、噴孔3の主噴孔部31を、サック室12の室壁14と直交する方向に貫通させて形成している。副噴孔部32は、第1実施形態と同様に、例えば45度の傾斜角度で形成され、サック室12の室壁14内で主噴孔部31に合流する。この時、主噴孔部31と副噴孔部32のなす角度は45度となり、第1実施形態より衝突による乱れのエネルギーは小さくなるが、主噴孔部31の流れを妨げ図、流速が増すので、貫徹力がより大きくなる。また、衝突により合流後の燃料流が、主噴孔部31の内壁に押し付けられ、内壁に沿う安定した流れを形成する同様の効果が得られる。
図10(b)は、本発明の第3実施形態であり、噴孔3の副噴孔部32を、主噴孔部31のテーパ形状部34の中間部に接続している。主噴孔部31と副噴孔部32の接続部より下流において、燃料流が安定するのに十分な流路長さがあれば、接続位置は任意に設定することができる。また、図10(c)の第4実施形態のように、主噴孔部31の全体を、末広がりのテーパ状に形成(テーパ形状部34)することもできる。この場合は、副噴孔部32の接続位置の自由度がより広くなり、図示するように、主噴孔部31の上流端部に接続することもできる。
本発明では、スリット状の噴孔3形状に限らず、図10(d)の第5実施形態のように、円形噴孔とすることもできる。本実施形態では、主噴孔部31を上流側半部が一定径の円形噴孔、下流側半部を断面円形で末広がりのテーパ状部34とし、サック室12の室壁14と直交する方向に貫通形成する。楕円形、長円形その他の断面形状とすることもできる。副噴孔部32は、主噴孔部31の上流半部より小径の円形噴孔であり、テーパ状部34の上流側端部に開口するように、主噴孔部3に対して傾斜させて(例えば45度)接続している。
このように、円形噴孔とした場合も、副噴孔部32から導入される燃料流が、テーパ状部34において主噴孔部31の燃料流に衝突することで乱れを増加させる効果が得られる。そして、主噴孔部31の燃料流は、副噴孔部32側では剥離しやすくなり、対向する内壁側で縮流となるとともに、テーパ状部34の内壁に沿って薄膜状に拡がる。したがって、分裂性を向上させて微粒化し、噴射方向の安定性を確保できる。テーパ状部34は、下流側ほど拡径する形状であればよく、図10(e)の第6実施形態に示すように、合流方向の主噴孔部31内壁面をテーパ面とせず、一定径の上流部から連続する面とすることもできる。副噴孔部32は、この連続する面と対向するテーパ面側に接続される。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、燃料噴射弁1のノズル部構成において、例えば、ノズルボディ1やニードル2、サック室12の形状等は適宜変更することができる。
噴孔プレート
本発明の燃料噴射弁は、車両用直噴ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンディーゼル等、内燃機関の燃焼室壁に取り付けられる燃料噴射弁として好適に用いられ、内燃機関の燃焼性能を向上させる。あるいは、内燃機関の排気通路に取り付けられる燃料噴射弁、その他に利用することもでき、燃料を任意の位置へ噴射して所望の燃料噴霧を効果的に形成することができ、利用価値が高い。
1 ノズルボディ
11 燃料流路
12 サック室
13 シート面
14 室壁
2 ニードル弁
3 噴孔
31 主噴孔部
311、321 入口部
312 出口部
32 副噴孔部
33 合流部
34 テーパ状部

Claims (5)

  1. 円筒状に形成されて内部を燃料流路とし、該燃料流路の下流側にサック室を設けたノズルボディと、
    該ノズルボディ内を摺動して上記サック室上流に設けたシート面に着座し、上記燃料通路と上記サック室の間を開閉するニードル弁と、
    上記サック室の室壁を貫通して形成される少なくとも1つの噴孔と、を備えており、
    上記噴孔は、上記サック室の内外表面に開口し、貫通方向に燃料を導く主噴孔部と、上記サック室の内表面に一端が開口し、他端が上記室壁の内部で上記主噴孔部に接続して、燃料を合流させる副噴孔部を有し、
    上記主噴孔部は、少なくとも上記サック室外表面に開口する下流部を、下流側ほど流路断面積が大きくなるテーパ形状とし、該テーパ形状部に、上記副噴孔部を開口させたことを特徴とする燃料噴射弁。
  2. 上記サック室の室壁を直交する線に対して、上記副噴孔部を傾斜させて配置する請求項1記載の燃料噴射弁。
  3. 上記主噴孔部の燃料流と上記副噴孔部の燃料流が上記テーパ形状部で衝突し、合流した燃料流が上記テーパ形状部に沿って噴出する請求項1または2記載の燃料噴射弁。
  4. 上記主噴孔部および上記副噴孔部がスリット噴孔であり、上記主噴孔部はその下流側半部を上記テーパ形状部として、スリット短辺の長さが一定であり長辺の長さが下流側ほど長くなる形状とした請求項1ないし3のいずれか1項に記載の燃料噴射弁。
  5. 上記主噴孔部および上記副噴孔部が円形噴孔であり、上記主噴孔部の径を上記副噴孔部の径より小さくするとともに、上記主噴孔部はその下流側半部を上記テーパ形状部として、下流側ほど拡径する形状とした請求項1ないし3のいずれか1項に記載の燃料噴射弁。
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