JP2015010362A - 既設埋設管の液状化対策工法 - Google Patents

既設埋設管の液状化対策工法 Download PDF

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Abstract

【課題】道路や戸建て住宅が密集して建つ分譲地などの住宅地等における、ガス管、上水管、下水管などのライフライン等の液状化対策を簡便、かつ経済的に行うことのできる既設埋設管の液状化対策工法を提供する。
【解決手段】複数の注入管2を既設埋設管1の延長方向に所定間隔をあけて設置する。以下のいずれかの方法により注入管2から薬液を注入して既設埋設管1と埋戻し土中の固結体を一体化して、地震時の既設埋設管1の浮き上がりを抑制する。(1)既設埋設管1を原地盤の非液状化層に定着させて地震時における既設埋設管1の浮き上がりを抑制する方法。(2)既設埋設管下の埋戻し土を固化して地震時に非液状化層の土が左右や上部に落ち込んで既設埋設管1の浮き上がりを抑制する方法。(3)既設埋設管1の上面、または、側面を固化して既設埋設管1と固結体を一体化して、既設埋設管1と固結体に加わる重力を増やすことにより浮き上がりを抑制する方法。
【選択図】図15

Description

本発明は、薬液注入による既設埋設管の液状化対策工法であって、特に道路や戸建て住宅が密集して建つ分譲地などの住宅地等における、ガス管、上水管、下水管などのライフライン等の液状化対策工にかかわり、簡便、かつ経済的に行うことができる技術に関わる。
近年、地震時における埋設管の液状化時の浮き上がりは大きな問題となっている。本発明は薬液注入工法による埋設管の浮上低減工法を経済的に可能ならしめたものである。
薬液注入工法は信頼性は高いものの高価であるため、重要な建築物の基礎の耐震性能の向上などで多く用いられているが、既設埋設管の浮上低減の目的ではあまり利用されていなかった。
液状化対策をとらねばならない埋設管は極めて多く、また薬液注入が利用されて来た重要な建造物等に比べて、埋設管そのものが安いため高価な薬液を利用するメリットが無かったのである。
しかし前述の通り薬液注入工法は施工範囲の狭さや、騒音の小ささといった観点から、都市部や市街地では他の液状化対策工法と比べてもメリットは十分にあることは確かである。また、公害性のないコロイダル系シリカグラウトのように安全で、恒久性を期待できる注入材も開発されている現在、環境面での問題もクリアされている。そこで、埋設管に対する薬液注入工法利用の際に残されている数少ない、そして最大の懸念事項であるコストの事が解決できれば、その有用性は計り知れない。
特許第5156989号 特許第4672693号 特許第3724644号
しかし、ガス管や上下水道管などのライフラインの耐震補強では、経済性と作業性、さらに施工の迅速性が重要になる。
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、ガス管、下水管、上水管、電信電話線などの線状に延びるライフラインを供用しながら液状化対策工を効果的に行うことができ、埋設管に沿って、一または複数の注入ラインを配置して必要最少限の固結体を間隔をあけて、埋設管と一体化する注入を連続的に行うことを可能にする。かつ、ライフラインを供用しながら施工を行うことを可能にした液状化対策工を提供することを目的とするものである。
本発明における薬液注入は、建造物の基礎に注入する場合と違い、埋設管に利用する際のコスト面の問題を解決するためには少ない薬液の量で最大限の効果が得られるような最適な薬液注入が求められる。
本発明はこの最適な注入方法を開発したものである。ただ、最適な注入方法の決定といっても様々な方向からのアプローチが可能である。例えば、一カ所の注入量はどれくらいの量にすれば浮き上がりを防ぎつつ、かつコストを最も安くする事ができるのか。あるいは埋設管に対して、一体どれだけの間隔をあけて注入するのがベストなのか。
また、埋設管の地盤全体が液状化する場合と、埋設管の埋戻し部のみが液状化して、その周辺部は液状化しない地盤ではどうなのか、また、それらの場合で固結体の形成の位置関係はどうなのか。など、埋設管に対する液状化防止のための薬液注入工法の経済的手法については今まではあまり考えられてきていなかった。
本発明では特に、同量同濃度の薬液を最大限効果的に利用出来るように注入管の位置や注入法を複数変えて比較する事で最適な薬液の注入方法を決定する事に係る。
本発明者は永年にわたる研究の結果、埋設管の液状化防止のためには、間隔をあけて1箇所当り少量の注入材を注入して小さな固結体を埋設管と一体化することにより、少量の薬液で経済的に液状化による埋設管の浮上を低減することを見出したが、一方、埋設管に沿って間隔をあけて少量ずつ供用中の長い延長のライフラインに固結体を形成することは、注入プラントの移動や施工性や正確な施工管理を必要とすることを考えれば、かえって経済性が得られないことを見出し、埋設管の状態と注入設計と施工法、施工管理を一体として、埋設管の経済的液状化対策工の発明を完成したものである。
すなわち既設埋設管に対して、薬液注入工法で浮上低減対策を行う際の最も効果的な注入方法の解決が本発明の目的である。
薬液注入工法は地盤を開削せずに施工可能であり、既設埋設管に対しても適用出来る点で優れているが、薬液が高価である事を考慮すると、固化改良範囲とそのパイプライン上の配置と施工法が一体化した技術の開発が必要である。
そこで本発明者は、埋設管の浮き上がりを抑えるために必要な薬液の量を検討し、少量でも効果的な注入方法を検討して本発明を完成した。更に、線状のパイプラインに沿って所定位置に最少限の注入を効果的に経済的、かつ急速に施工することを可能にする液状化対策工を発明した。
その後述の大型土槽液状化実験(図13)によって得られた本発明の要点は以下の通りである。
(A) 埋設管の周辺部に薬液を注入する液状化対策工であって、埋設管の延長方向に所定間隔をあけて、複数の注入管を設置して、以下のいずれかの方法で該注入管から薬液を注入して埋設管と埋戻し土中の固結体を一体化して、地震による浮き上がりを抑制するように薬液注入を行うことを特徴とする。
(1)埋設管を原地盤の非液状化層に定着させて地震時における既設埋設管の浮き上がりを抑制する方法。
(2)埋設管下の埋戻し土を固化して地震時に非液状化層の土が左右や上部に落ち込んで埋設管の浮き上がりを抑制する方法。
(3)埋設管の上面、または、側面を固化して埋設管と固結体を一体化して、埋設管と固結体に加わる重力を増やすことにより浮き上がりを抑制する方法。
(B) 上記において、
F=(管と固結土にかかる重力)/(管と固結土にかかる浮力)
を設定して、埋設管延長方向の固結体の固結量と、固結体間の間隔を設定する。ここでFは、以下のように設定する液状化対策工法。
(1)周辺地盤も液状化する場合、
安全率 F≧0.7(好ましくは、F≧0.8)。
図5より F≧0.7ならば浮上り量は10mm以下で大幅に軽減しており、実用上は殆ど問題ないものと考えるし、また図6より薬液による改良固結体の体積は埋設管体積のほぼ2倍程度で済み、経済的にも好ましい。
図5、図6より F≧0.8 ならば浮上り量は0であって全く問題なく、また固結体の体積は埋設管の体積の約2.5倍のみで済み、極めて経済的であることが判る。
(2)埋戻し部のみ液状化する場合、
(i)埋設管の上部を固結する場合、
安全率 F≧0.7
(ii)埋設管と固結部を非液状化層の側面部、または/並びに底面部に定着させる場合、
安全率 F≧0.6(好ましくは、F≧0.7)。
図3、図4、図8より埋設管と一体化して非液状化層の側面部又は/並びに底面部に定着させれば(二点注入、注入・吸水も含めて)安全率 F≧0.6 にすれば浮上り量は大幅に軽減し、実質的に殆ど生じない事が判る。この場合も F≧0.7ならば浮上り量は生じない。
(C) 上記において、Fを以下のように設定する。
F(安全率)=(AVpipe+BVsolidified)/(CVpipe+CVsolidified)
=(A+B (Vsolidified/Vpipe))/( C+C (Vsolidified/Vpipe))
ただし、A:埋設管の密度、正確には管内部も含めた管体の平均密度(例:0.50g/cm3)、B:固結土の密度(例:1.85g/cm3)、C:液状化時の泥水の密度(例:1.81g/cm3)、管の体積:Vpipe、固化した土の体積:Vsolidified
従来の考えのように安全率 ≧1 とすれば埋設管の体積の33倍の砂を改良する必要があったが本発明者の研究によって上述した安全率を設定する事によって少量の固結体で液状化による浮上りを防止できる事が判った。
(D) 上記において、固結体は所定の間隔をおいて形成してなり、該固結体の形成は以下のいずれかの方法によってなされる。
(1)埋設管を原地盤の非液状化層に定着させる方法。(埋設管の両側に設けた注入管から注入するのが好ましいが、片側の注入管から原地盤の側面又は底面の非液状化層に定着させても良い)
(2)埋設管の片側に設けた注入管から注入し、反対側に設けた吸水管からの注入液の吸入、または排水管への注入液の流入によって注入液を片側から反対側に導入して埋設管と固結体を一体化する方法。
図14(b)は注入と吸水の想定図である。吸水管のある範囲にスリットを設ければ図4のように埋設管を包んだ状態で一体となった固結体が形成される。又図14(c)のように柱状浸透源を有する注入管とスリットを設けた吸水管又は排水管等を用いれば柱状浸透源から浸透した薬液は埋設管の上下を包み込んで柱状にスリットに流入して埋設管と一体となって固結する。
この場合、スリット付きの吸水管から地下水を吸い込んで薬液を誘導しても良いし、排水管として用いれば注入液は自然にスリットを通して排水管に入り地上部に漏出する。漏出した時間で薬液が埋設管の両側に浸透した事が判るから、その時点で排水管の出口を詰めてしまえばそのまま固結する。
柱状浸透源をもつ注入管とは注入管の吐出口がある範囲長さ方向に複数個を設けたものである。吐出口は逆止弁となるゴムスリーブで覆ってもよいし、更に透水性マットで所定の長さを覆えば柱状の広い浸透源から低圧で土粒子間浸透させる事ができる。
(3)埋設管の片側から注入して、埋設管下部の埋戻し土を固結して埋設管と固結体を一体化する方法。
埋設管の下部の埋戻し土を固化すれば地震時に側面の非液状化層が崩れ落ちてきても埋設管下部には入り込めず、埋設管上部に落ち込み、埋設管の浮上りを防止する(図10)。
(4)埋設管の上部に注入して、埋設管と固結体を一体化して埋設管と固結体にかかる重力を大きくする方法。
(E) 上記において、埋設管の延長方向の固結量と固結体同士の間隔を安全率F≧0.8以上或いは上記のような安全率になるように定める。いずれの条件でも安全率0.8以上にすれば問題ない。
勿論上記において、埋設管やマンホールや排水管との接続部等で浮上に対する反力が期待できるところでは、同じ安全率Fの値に対しても、より浮上しにくくなる。
(F) 線状に敷設された敷設物または線状に敷設された注入ライン、あるいは構造物の周辺部に沿って所定の間隔をあけて、複数の注入管を配置し、当該注入管は流路変換バルブを介し送液管と接続し、当該送液管は圧力・流量計を備えた注入ポンプと注入材貯蔵槽を備え、流路変換バルブを作動することにより、連続的に或は選択的に注入管への流路を切り換えて注入する(図15(a),図16(a),図22(a),図25)。
(G) 該注入管はオリフィスを介して送液管と接続し、該送液管は圧力・流量計を備えた注入ポンプと注入材製造装置を備え、複数の注入管に同時、または選択的に注入する(図15(b),図18,図19,図22(b),図23(a),(b),図24)。
(H) 線状に敷設された敷設物または線状に敷設された注入ライン、あるいは構造物の周辺部に沿って所定の間隔をあけて、複数の注入管を配置し、該注入は複数のユニットポンプから、それぞれ複数の注入管路に連通し、各ユニットポンプの作動は該複数のユニットポンプの圧力流量計測からの情報に基き、コントローラで一括管理される(図16(b),図26,図27(b))。
〔実験〕
本発明者は、実験を表-1に示すように、注入量を変えた比較実験(Case1〜3)と注入方法を変えた比較実験(Case4〜7)を行った。
Figure 2015010362
1.実験概要
最大間隙比1.104、最小間隙比0.673の7号硅砂を用いて深さ50cm、幅270cm、奥行き40cm の地盤を作成した(図13)。地盤作成には湿潤締め固め法を用い、5cm 毎に密度管理を行った。
埋設管模型は外径6cm、長さ35cm、管内が空洞で密度が0.50g/cm3の塩化ビニル管を用い、土槽中央の深さ33cm の地点に設置した。入力加速度は図1に示すものを用い、その周波数は10Hz である。
埋設管の浮き上がり量は巻取り式変位計で測り、土中には加速度計や水圧計を設置した。薬液にはコロイダルシリカを使用した。薬液の注入にはサイフォンの原理を用いており、水頭差を利用して浸透注入を行った。
注入方法は埋設管周りに広がる事を考え、図2〜図4の三種類を選定し、それぞれ埋設管の上部から一点で入れる「一点注入」、左右から二点で入れる「二点注入」、片側から注入し反対から水を吸い出す事で埋設管周りに薬液を流す「注入・吸水」である。注入管、吸水管は地盤作成中に設置しておき、薬液注入後に撤去した(図13、図14)。
また、7号硅砂に対して薬液注入を行う場合はゲルタイムが1日以上と長く、水より比重の重い薬液は垂れ下がってきてしまうという問題があったため、硅砂に対し重量比1/300の水酸化マグネシウムを混合する事でゲルタイムを1時間程度まで短縮して実験を行った。
2.注入量の比較実験
2.1.実験内容
注入量の比較実験(Case1〜3)では、土槽内の地盤全体が液状化するように相対密度を30%として地盤を作成した。薬液の注入量は0ml、500ml、1000ml の三種類とし、薬液は全て一点注入方法で注入した。なお、これらの実験ケースは地盤中に3 本の埋設管を40cm 間隔で設置する事で同時に行った(表-1,図5,図14 (a))。
2.2実験結果と考察
注入量比較実験の結果を図5に示す。図中の安全率は実験時に埋設管とその周りの固化改良砂全体にかかる重力を浮力で除した値であり、小さい方が浮き上がり易い。なお、固化改良砂の重量と体積は実験終了時に地盤を開削する際に測定した。この図から、安全率が0.80 で十分な埋設管の浮上はゼロとなり0.7でも浮上低減効果があると分かる。埋設管は密度A:0.50g/cm3、固化した砂はB:1.85g/cm3、液状化時の泥水はC:1.81 g/cm3、であり、管の体積をVpipe、固化した砂の体積をVsolidifiedとすると、
安全率F= (A Vpipe +B Vsolidified)/(C Vpipe + C Vsolidified)
= (A+ B (Vsolidified/ Vpipe))/( C + C (Vsolidified / Vpipe))
となる。
また、縦軸に安全率を、横軸にVsolidified/ Vpipe を取ったグラフを図6に示す。図より薬液の量を増やして安全率を1.0 以上にするためには埋設管の体積の約33倍の砂を改良する必要がある。
一方、0.9では約5 倍、0.8では約2.5 倍、0.7では約2.0倍の体積の砂のみを改良すれば良いので、これらは十分に実際に利用しうる数値だと言える。
3.注入方法の比較実験
3.1.実験内容
図7に示すように、埋設管周りの埋め戻し部のみが液状化する条件を想定し、土槽中央部の深さ35cm、幅25cmの範囲のみ相対密度30%、それ以外では80%となるように地盤を作成した。
図2〜図4に示す三種類の注入方法で薬液を注入する場合と薬液を注入しない「無対策」の計4ケース実験を行った。なお、これらの実験では全てのケースで完全に浮き上がりが止まると注入方法毎の比較が出来ないため、差が明確になるように薬液の注入量を一律500mlとした。また、加振中の砂の動きがわかるように、7号硅砂を着色した色砂を土槽壁面に縦横に入れた(図11,図12)。
3.2.実験結果と考察
注入方法比較実験の結果を図8に示す。この図から、二点注入と注入・吸水が効果的な注入方法だと分かる。理由として、図9のように埋設管の下まで薬液が広がるので、下の非液状化層に定着する事で埋設管の浮き上がりが抑えられたのだと考えられる。一点注入では薬液が埋設管上部に広がるため、非液状化層への定着が無かったので大きく浮き上がったと思われる。
また、液状化が起きた際、図10のように埋め戻し部と周辺地盤の境界壁面が剛性が失われた液状化層に崩れ落ちると考えられる。一点注入では埋設管下部が固化していないため、浮き上がるのと同時に崩れてきた砂が埋設管下に入る事で、浮き上がり量が増大した事が実験後の土槽壁面の色砂から確認された(図11参照)。一方、二点注入や注入・吸水では砂が埋設管の下に回り込めず、左右或いは上方に崩れる事で埋設管の浮き上がりが抑制された事が確認された(図12参照)。
更に、一点注入では薬液が埋設管上部に固まる事で重心が高くなり、浮き上がり途中で回転が起こり得る事や、注入・吸水では薬液の一部を吸引するため、固化する砂の量が他の方法に比べて少なくなる事が実験から観察された。以上より、周辺地盤が非液状化の場合には二点注入が最も効果的な注入方法であると分かった。
また、本発明は、上述した注入をライフラインに沿って急速に、かつ効果的に行う技術である。埋設管等のライフラインは、道路や住宅地等を常時供用される条件下で行われる。
また、交通の多い都市内で作業が行われることから、安全性の確保が重要となる。このため、本発明は以下の点を考慮して完成したものである。
(1)人手に触れることなく全自動で行われることが好ましい。さらに、道路に沿って、車両に搭載して移動できるコンパクトな車上プラントとして使用できる装置が必要である(図15)。このような注入液製造システムの例を図27に示す。
(2)道路や護岸や宅地等の長い距離を有するライフラインを対象とするのであるから、製造プラントから送液管を通して、長距離の注入箇所に同時に、または連続的に送れるシステムが要求される。
そして一度注入システムを設置すれば、ライフラインが供用される状態でも自動的に施工が行われることが好ましい。通常の注入工事のように、注入ポイント毎に注入プラントを移動していたのでは、その都度交通を中断しなくてはならない。
本発明によれば、長距離にわたる施工箇所を、広範囲に渡って移動させることなく複数のポイントに、同時に、または、連続的に、あらかじめ設置した管路で作業できるため、ライフラインを止めることなく、注入作業を行うことができる(図15,図16,図22〜図26)。
図27(a)の注入液製造システムは、送液ポンプが原料液を吸引し、かつ吐出する複数のシリンダーポンプよりなり、該複数のシリンダーポンプの吸引および吐出が同一時間内に同調するように制御する制御機構が設けられている。
また、これらのシリンダーポンプからの直接複数の送液管に送液することもできる(図27(b))。この装置はコンパクトな制御装置で注入液を製造できるため、車上プラントで安全に施工できる(図1)。
本発明によれば、特に道路や戸建て住宅が密集して建つ分譲地などの住宅地等における、ガス管、上水管、下水管などのライフライン等の液状化対策工を簡便、かつ経済的に行うことができ、特に液状化時の既設埋設の浮き上がりを抑制することができる。また、本発明の液状化対策はライフラインを供用しながらでも行うことができる。
入力加速度を示すグラフである。 一点注入による注入方法を示す説明図である。 二点注入による注入方法を示す説明図である。 注入・吸水による注入方法を示す説明図である。 注入量比較実験の結果を示すグラフである。 改良範囲と安全率との関係を示すグラフである。 注入方法の比較実験の概要を示す説明図である。 注入方法の比較実験の結果を示すグラフである。 埋設管の非液状化地盤への定着状況を示す説明図である。 図10(a),(b)は液状化時の砂の動きを示し、図10(a)は液状化前、図10(b)は液状化後の状態を示す説明である。 一点注入された土槽の加振後の土槽壁面を示す図である。 二点注入された土槽の加振後の土槽壁面を示す図である。 大型土槽実験装置の概要を示し、図13(a)は正面図、図13(b)は平面図である。 図14 (a)は予備実験の概要を示す説明図、図14(b)は注水管による注入と吸水管による吸水時の注入材と水の想定される移動を示す説明図、図14(c)は柱状浸透源を有する注入管からの注入とスリットを設けた吸水管又は排水管への薬液の侵入を示す説明図である。 図15(a)は、施工例を示す説明図、図15(b)は他の施工例を示す説明図である。 図16(a),(b)は、送液システムと変位センサーによる施工管理システムを示す説明図である。 注入速度と注入圧による限界注入速度の関係を示す説明図である。 オリフィスによる注入液の供給原理を示す説明図である。 図19(a)は、送液圧力(P0)とノズル径(a)と噴出量と地盤の浸透抵抗圧の関係を示す説明図、図19(b)は、浸透抵抗圧P1=0の場合の送液圧とノズル径と噴出量の関係を示すグラフである。 図20(a)噴出量とノズル口径と差圧の関係を示すグラフ、図20(b)は、浸透抵抗圧とノズル径と噴出量の関係を示すグラフである。 図21(a)は、送液圧と浸透抵抗圧と噴出量の関係を示すグラフ、図21(b)は、送液圧とノズル口径、ノズル数と噴出量の関係を示すグラフである。 図22(a)は、基本的な送液システムの例を示す説明図、図22(b)はは、基本的な送液システムの他の例を示す説明図である。 図23(a)はは、基本的な送液システムのさらに他の例を示す説明図、図23(b)基本的な送液システムのさらに他の例を示す説明図である。 基本的な送液システムのさらに他の例を示す説明図である。 図25(a)は、複数の注入箇所に連続的または選択的に送液するシステムの例を示す説明図、図25(b)は複数の注入箇所に連続的または選択的に送液するシステムの他の例を示す説明図である。 複数の注入ポイントに注入液を同時にまたは選択的に送液するシステムを示す説明図である。 図27(a),(b)は注入液の全自動製造装置を示す説明図である。
図22(b)、図23(a),(b)および図24に示す例は、注入液の製造装置から注入ポイントに至るまでの送液管路に、設けられた複数の分岐管に任意の径の孔が設けられたオリフィスを設けた。これにより、複数の注入箇所に所定量の注入液を供給して注入することが可能となる。
図において、符号1は地中に敷設されている上水管、下水管、ガス管などの既設埋設管、2は既設埋設管1の周囲に注入液(薬液)を注入するための注入管、3は注入液製造装置である。
また、符号4は注入液を各注入地点の注入管2に送り込むための加圧送液ポンプ、5は各注入地点における注入液の流路を制御する分岐バルブ、6は各注入地点における注入液の流量を測定するオリフィス、そして、符号7はこれらを制御するコントローラである。
図15は、上記装置を車両8に搭載した例で、移動しながら複数の注入箇所に同時に或は選択的に所定量の注入液を送液して注入することができる。
さらにまた、本発明のさらなる施工方法(図16(b),図26) は、注入液製造装置3で製造された注入液を、複数のユニットポンプ9を経て、複数の注入箇所に送液し、該複数のユニットポンプ9の駆動をコントローラ7で一括管理することにより、該複数の注入箇所に、同時にまたは選択的に、注入液を送液して注入することができる。
なお、図において、符号10は注入液の注入に伴う地盤の異状な隆起等を監視するための地盤変位センサーであり、コントローラ7によって管理されている。
さらにまた、本発明のさらに他の施工方法は、注入液の製造装置3で製造された注入液を、1つの送液ポンプ4を経て、送液管路から複数の分岐バルブ5を介して、複数の注入箇所に送液し、該複数の分岐バルブ5を作動させることにより、該複数の注入箇所に、連続的にまたは選択的に、注入液を送液して注入することができる(図15(a),(b),図16(a),図22(a),(b),図23(a),(b),図24,図25(a),(b))においてオリフィスのない場合も同様である)。
上記施工方法においては、注入液製造装置3から注入管路を延ばすことにより、一箇所にプラントを設置したまま、前記複数の注入箇所毎に該注入液製造装置3を移動させることなく、ライフラインの供用を可能にしながら注入施工を行うことができるので、道路や宅地等に適用する場合にも、急速施工が可能であって、かつ、適用箇所近傍の道路や鉄道を常時交通に供用させることが可能となる(図16,図25)。
さらにまた、本発明のさらに他の施工方法は、注入液製造装置3を車両8に搭載して、ライフラインに沿って車両8を走行移動させながら、注入液製造装置3で製造された注入液を用いて急速施工することができる(図15)。
また、本発明によれば経済施工のみならず、作業性や環境性の点からも安全性にも優れた液状化対策工を提供することができる。
図19は、オリフィスを設けた管路における送液圧力(PO)とノズル径(a)と噴出量(リットル/min)と浸透抵抗圧(P1)の関係を示す。
図19(a)は、その試験装置であり、ノズル径(a)を設けた管路を外管内に挿入してノズルの両側にパッカを設けて、外管からの管路に圧力調整弁を設け、圧力調整弁の開度を調整する構造である。
ポンプで管路内に送液して、圧力(P0)と流量を計測する。圧力調整弁の開度を調整して、ノズル径(a)から噴出した噴出液の圧力と流量を計測する。その際の圧力P1が浸透抵抗圧であり、その時の流量が噴出量である。
図19(b)は、圧力調整弁が全開した場合、すなわち、気中で送液した場合の送液圧(P0)とノズル径(a)と噴出量の関係を示す。ポンプ圧力P0は一定の時ノズル径が小さい程圧力が高く、ノズル径が大きい程噴出量は大きくなる。
図20(a)は、オリフィスのノズル口径(a)と差圧ΔPと毎分噴出量の関係を示す。差圧ΔPは、ポンプの送液圧量P0とオリフィス下流の抵抗力圧力P1の差をいう。差圧が大きい程、ノズル口径が大きい程、噴出量は大きい。抵抗圧P1が大きく、送液圧力P0に近づくにつれて、噴出量は0に近づく(図20(b))。
また、抵抗圧力P1≒0ならばΔP=P0であるが、地盤中に加圧浸透させる場合は、浸透抵抗が大きい場合はΔPが小さくなり、噴出量は小さくなる。しかし、図20(b)浸透抵抗圧P1が充分小さければ、抵抗圧に多少の変化があっても、噴出量はノズル口径によって値が一定値を得ることができる。道路や宅地では注入が地盤変位が生じてはならない。このため、土粒子間浸透するよう、少量の速度で注入されなくてはならない(図17)。
しかし、この場合、施工能率が低下するが複数の注入箇所からの同時注入で、全体で大きな吐出量で注入できるので、経済性が得られる。また、連続注入できれば施工プラントを移動することなく施工できるので、効率に優れ、短期間で施工が完了し、やはり大きな経済性を得ることが出来る。吐出速度が小さい時、或は地盤の透水性が大きい時、抵抗圧力はほとんど0に近く、したがって加圧送液圧とオリフィスの径に対応した一定の噴出量を得ることがわかる(図19(b))。したがって、図21(b)に示すように、注入箇所における地盤の透水性に応じて、ノズル口径やノズル数や注入ポイントの数を複数にして、注入箇所毎に所定の噴出量の注入液を同時に供給することができる。
本発明では、オリフィスのほかにレギュレータ((有)光匠技研製)を用いることができる。レギュレータは、上流側の圧力に対応して下流側の圧力と流量をコントロールすることができ、かつ、複数の管路に設けて、同時に圧力・流量をコントロールできるが、本発明ではレギュレータは流量・圧力可変式・オリフィスとみなして、オリフィスの一種として取り扱う。
もちろん、本発明ではオリフィスを用いなくても、コントローラー7により分岐バルブ5を作動することにより分岐バルブ5のみを操作して、順次所定の注入箇所に材料を供給して注入することができる(図22(a))。
図16(a)では、オリフィスを用いないで分岐バルブを作動して、分岐バルブV1を開いて他を閉じれば分岐バルブV1のみから処理液が注入され、分岐バルブViを開いて他を閉じれば分岐バルブViから処理液が注入されるため、連続的にかつ選択的に処理液を注入できる。また、オリフィスを用いれば全ての注入部に同時注入が可能になる。分岐バルブは電磁バルブを用いてコントローラーから電気信号により作動させる事ができる。
また、図16(b),図26に示す複数のユニットポンプ9や分岐バルブをコントローラー7により一括管理して、複数の注入箇所への同時供給や選択的に供給をすることが容易になる。
(I) 上記注入システムに用いる注入材は、長い送液管路、注入管路でゲル化することなく、送液・注入され、かつ小さな吐出速度で土粒子間注入されるにはゲル化時間が数十分〜十数時間といった長いゲル化時間が要求される。更に長期にわたって耐久性のある注入液であることが必要である。
そのためには、シリカ溶液(コロイダルシリカ系グラウト、シリカゾル系グラウト、水ガラス系グラウト)、粘土、気泡、セメント、スラグから選ばれた1種または複数種を有効成分とする注入材を単独或は併用して注入する等、長い時間でゲル化する耐久性に優れた注入材の使用が好ましい。
一方において、長いゲル化時間の注入材は注入後、水よりも重い注入液であるところから、ゲル化するまでに下方に沈積してしまうという問題がある。本発明の目的のためには、所定の位置で通常の注入工事の場合と違って小さな固結体を形成できることが必要である。
このため、ゲル化促進剤を一次注入しておくとか、注入管を二重にして、或は二本並列して、一方からゲル化促進剤を注入し、他方からゲル化時間の長い注入液を注入して、合流注入するか、主材に混入してゲル化時間を短縮して注入してもよい。
この場合、主材が酸性シリカグラウトの場合は、促進剤としては実験例にあるように炭酸カルシウムや水酸化マグネシウム等の難溶性アルカリ剤を用いてもよいし、また、水ガラスを用いてもよい。また、主材が水ガラスの場合は、ゲル化時間調整剤やセメント等をゲル化促進剤として用いることも出来る。
シリカゾルグラウトは水ガラスのアルカリを酸で中和して酸性側のpHとし、長いゲル化時間と耐久性を付与した注入液であり、コロイダルシリカは水ガラスのアルカリをイオン交換樹脂やイオン交換膜で処理して中性〜弱アルカリ性で増粒安定化した粒径が5〜20nmのシリカコロイドを主材とし、水ガラスや反応剤を加えて所定の時間にゲル化せしめたグラウトである。コロイダルシリカとして金属シリカを用いても良い。コロイダルシリカは酸の使用量がゼロか或いは少量でほぼ中性値を示し、埋設管のコンクリートや金属管に腐食を生じさせないので恒久グラウトとしてのみならず、環境の点からも無公害注入材として本発明のように生活環境における使用に適している。
(J) 本発明は、道路や宅地等の生活圏内で使用される。このため注入後、注入管の除去が要求されることがある。特に塩化ビニール等の注入管は除去作業が大変であるし、また、埋設されたままだと、その後の掘削工事に支障をきたすことがある。このため、生分解樹脂による注入管の使用が好ましい。
本発明が使用される工事は、地表面から浅い場所であることから、施工が簡単な注入管としては、前記注入管は直径1mm〜10mmのプラスチック細管や、細管を軸方向に異なる位置に複数本結束した注入管を用いて地盤中に注入することが、作業上、施工性から好ましい。更にこれらの注入細管を生分解性樹脂で作った注入管を用いれば、施工後、半年から1年以内に炭酸ガスと水に分解されてしまい、本発明が実施される生活環境内において施工後そのままにしても環境保全性に優れた液状化対策工となる。
なお、生分解樹脂としては、その化学構造は(1)主鎖が脂肪族で、これにエーテル結合またはエステル結合を有するもの、(2)主鎖(または側鎖)に水酸基、カルボキシル基を有するもの、あるいは、(3)プラスチックスの光分解および微生物分解を誘因、促進する添加剤を含有することにより生物分解性が良好なプラスチックスであり、具体的には澱粉系、酢酸セルロース系、ポリ乳酸系、脂肪族ポリエステル系、ポリビニルアルコール系等の生物分解性プラスチックスが挙げられる。これらの主原料には、性能の向上あるいは可撓性の付与等の目的で他の高分子化合物、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチックス、可塑剤、安定剤、着色剤等を必要に応じて添加することもできる。
また、上記(2)の水酸基あるいはカルボキシル基を有する化合物としては、脂肪族化合物が好ましい。これらの生物分解性プラスチックスとしては具体的には、上記(1)の例として、「ビオノーレ」(ポリオールとジカルボン酸の脂肪族ポリエステル)(昭和高分子株式会社と昭和電工株式会社)、「セルグリーン」(酢酸セルロース系、ポリカプロラクトン系)(ダイセル化学工業株式会社)、「ラクティ(乳酸系)」(株式会社島津製作所)、(2)の例として、「ポバール」(ポリビニルアルコール)(株式会社クラレ)、(3)の例として、「ワンダースターケン」(トウモロコシ澱粉とポリエチレン)(ワンダー株式会社)等々が挙げられる。
上記生物分解性プラスチックスには、ポリヒドロキシブチレート、ポリ乳酸、ポリグリコシド等の高融点生物分解性プラスチックスをブレンドすることにより、加工性を向上させ、織物、不織布とすることにより袋体としても使用できる。これらの主原料は、土中ではバクテリアにより、例えば90〜300日程度の日数で分解される。また本発明の注入管の設置方法は金属性注入細管を地盤中に打ち込んで設置しても良いし、コーンつき中空管を地盤中に打ち込みシールグラウトと共に注入管を挿入して中空管を引き抜いても良いし、勿論ボーリングした削孔内に注入管をシールグラウトと共に設置する等、任意の方法を用いる事ができる。
1)効果的な注入量や注入方法を選ぶ事で、埋設管の浮き上がりを十分に低減する事が可能である。
2)周辺地盤も液状化する場合、安全率を0.7 以上にする事で一定の浮上低減効果が得られる。
3)埋め戻し部のみ液状化する場合には、固化された土塊を非液状化地盤に定着させる事が重要である。
4)適切な注入方法で埋設管に沿って間隔をあけて埋設管と一体化した固結体を少量の注入薬液で形成して、材料的には経済性を得ることが施工はかえって効率的でなくなる。各固結体を同時注入、或は連続注入によって埋設管に間隔をあけて上述した方式で固結体を形成して初めてライン状の埋設管の経済的にも効率的な施工が可能になる。
1 既設埋設管
2 注入管
2A 吸水管
3 注入液製造装置
4 加圧送液ポンプ
5 分岐バルブ
6 オリフィス
7 コントローラ
8 車輛
9 ユニットポンプ
10 地盤変位センサー
)周辺地盤も液状化する場合、
安全率 F≧0.7(好ましくは、F≧0.8)。
)埋戻し部のみ液状化する場合、
(i)埋設管の上部を固結する場合、
安全率 F≧0.7

Claims (18)

  1. 埋設管の周辺部に薬液を注入する既設埋設管の液状化対策工法であって、埋設管の延長方向に所定間隔をあけて、複数の注入管を設置して、以下のいずれかの方法で該注入管から薬液を注入して埋設管と埋戻し土中の固結体を一体化して、地震による浮き上がりを抑制するように薬液注入を行うことを特徴とする既設埋設管の液状化対策工法。
    (1)埋設管を原地盤の非液状化層に定着させて地震時における既設埋設管の浮き上がりを抑制する方法。
    (2)埋設管下の埋戻し土を固化して地震時に非液状化層の土が左右や上部に落ち込んで埋設管の浮き上がりを抑制する方法。
    (3)埋設管の上面、または、側面を固化して埋設管と固結体を一体化して、埋設管と固結体に加わる重力を増やすことにより浮き上がりを抑制する方法。
  2. 請求項1記載の既設埋設管の液状化対策工法において、
    安全率F=(管と固結土にかかる重力)/(管と固結土にかかる浮力)
    を設定して、埋設管延長方向の固結体の固結量と、固結体間の間隔を設定し、前記Fは以下のように設定することによって浮き上がりを低減することを特徴とする既設埋設管の液状化対策工法。
    (1)周辺地盤も液状化する場合、
    安全率 F≧ 0.7(好ましくは、F ≧ 0.8)。
    (2)埋戻し部のみ液状化する場合、
    (i)埋設管の上部を固結する場合、
    安全率 F ≧0.7
    (ii)埋設管と固結部を非液状化層の側面部、または/並びに底面部に定着させる場合、
    安全率 F ≧ 0.6(好ましくは、F ≧0.7)
  3. 請求項2記載の既設埋設管の液状化対策工法において、Fを以下のように設定することを特徴とする既設埋設管の液状化対策工法。
    F(安全率)=(AVpipe+BVsolidified)/(CVpipe+CVsolidified)
    =(A+B (Vsolidified/Vpipe))/( C+C (Vsolidified/Vpipe))
    ただし、A:埋設管の密度、B:固結土の密度、C:液状化時の泥水の密度、管の体積:Vpipe、固化した土の体積:Vsolidified
  4. 請求項1〜3のいずれかひとつに記載の既設埋設管の液状化対策工法において、固結体は所定の間隔をおいて形成してなり、該固結体の形成は以下のいずれかの方法によってなされることを特徴とする既設埋設管の液状化対策工法。
    (1)埋設管の両側に設けた注入管から注入して、埋設管を原地盤の非液状化層に定着させる方法。
    (2)埋設管の片側に設けた注入管から注入し、反対側に設けた吸水管からの注入液の吸入、または排水管への注入液の流入によって注入液を片側から反対側に該導入して埋設管と固結体を一体化する方法。
    (3)埋設管の片側から注入して、埋設管下部の埋戻し土を固結して埋設管と固結体を一体化する方法。
    (4)埋設管の上部に注入して、埋設管と固結体を一体化して埋設管と固結体にかかる重力を大きくする方法。
  5. 請求項4において、吸水管又は排水管はスリットを設けてなり、或いは/並びに注入管は柱状浸透源を設けてなることを特徴とする既設埋設管の液状化対策工法。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかひとつに記載の既設埋設管の液状化対策工法において、埋設管の延長方向の固結量と固結体同士の間隔を安全率F≧0.7以上になるように定めることを特徴とする既設埋設管の液状化対策工法。
  7. 請求項1〜6のいずれかひとつに記載の既設埋設管の液状化対策工法において、線状に敷設された敷設物または線状に敷設された注入ライン、あるいは構造物の周辺部に沿って所定の間隔をあけて、複数の注入管を配置し、当該注入管は流路変換バルブを介し送液管と接続し、当該送液管は圧力・流量計を備えた注入ポンプと注入材貯蔵槽を備え、流路変換バルブを作動することにより、連続的に或は選択的に注入管への流路を切り換えて注入することを特徴とする既設埋設管の液状化対策工法。
  8. 請求項7記載の既設埋設管の液状化対策工法において、流路変換バルブおよび注入ポンプは前記圧力流量計からの情報に基いて、コントローラによって一括制御することにより、複数の注入地点における注入の切り替えと選択を行うことを特徴とする既設埋設管の液状化対策工法。
  9. 請求項1〜8のいずれかひとつに記載の既設埋設管の液状化対策工法において、該注入管はオリフィスを介して送液管と接続し、該送液管は圧力・流量計を備えた注入ポンプと注入材製造装置を備え、複数の注入管に同時、または選択的に注入することを特徴とする既設埋設管の液状化対策工法。
  10. 請求項1〜9のいずれかひとつに記載の既設埋設管の液状化対策工法において、線状に敷設された敷設物または線状に敷設された注入ライン、あるいは構造物の周辺部に沿って所定の間隔をあけて、複数の注入管を配置し、該注入は複数のユニットポンプから、それぞれ複数の注入管路に連通し、各ユニットポンプの作動は該複数のユニットポンプの圧力流量計測からの情報に基き、コントローラで一括管理されることを特徴とする既設埋設管の液状化対策工法。
  11. 請求項1〜10のいずれかひとつに記載の既設埋設管の液状化対策工法において、前記注入管は直径1mm〜10mmのプラスチック細管であることを特徴とする既設埋設管の液状化対策工法。
  12. 請求項1〜11のいずれかひとつに記載の既設埋設管の液状化対策工法において、前記注入管は該注入管を軸方向に異なる位置に複数本結束した注入管を用いて地盤中に注入することを特徴とする既設埋設管の液状化対策工法。
  13. 請求項1〜12のいずれかひとつに記載の既設埋設管の液状化対策工法において、注入管路を延ばすことにより、前記複数の注入管毎に該注入プラントを移動させることなく、地上面の供用を可能にしながら注入することを特徴とする既設埋設管の液状化対策工法。
  14. 請求項1〜13のいずれかひとつに記載の既設埋設管の液状化対策工法において、プラントを車両に搭載して、ライン上に沿って該車両を走行移動させながら注入することを特徴とする既設埋設管の液状化対策工法。
  15. 請求項1〜14のいずれかひとつに記載の液状化対策工法において、任意の地点に地盤変位計測装置が配置し、当該地盤変位計測装置による計測値に基いて注入を制御することを特徴とする既設埋設管の液状化対策工法。
  16. 請求項1〜15のいずれかひとつに記載の液状化対策工法において、シリカ溶液、粘土、気泡、気体、セメント、スラグから選ばれた1種または複数種を有効成分とする注入材を単独或は併用して注入することを特徴とする既設埋設管の液状化対策工法。
  17. 請求項16記載の既設埋設管の液状化対策工法において、ゲル化調整剤を併用して所定の範囲で固結するように注入することを特徴とする既設埋設管の液状化対策工法。
  18. 請求項1〜17のいずれかひとつに記載の既設埋設管の液状化対策工法において、注入管は生分解樹脂から形成されていることを特徴とする既設埋設管の液状化対策工法。
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