以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る印刷装置10の構成の一例を示す。図1(a)は、印刷装置10の全体の構成の一例を示す。図1(b)は、印刷装置10におけるインクジェットヘッドの並び方の一例を示す。本例において、印刷装置10は、複数の色のインクを用いて媒体50(メディア)に対してインクジェット方式で印刷を行うインクジェットプリンタであり、複数のインクジェットヘッド12c、m、y、k(以下、インクジェットヘッド12c〜kという)、複数の弱UV光源14、強UV光源16、プラテン18、主走査駆動部20、巻取ローラ22、及び制御部24を備える。
インクジェットヘッド12c〜kは、媒体50へインク滴をそれぞれ吐出する複数のノズルを有するインクジェットヘッドであり、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化型インクのインク滴をそれぞれ吐出する。また、本例において、インクジェットヘッド12c〜kのそれぞれは、CMYKの各色のインクのインク滴を吐出する。より具体的に、インクジェットヘッド12cは、C(シアン)色のインクのインク滴を吐出する。インクジェットヘッド12mは、M(マゼンタ)色のインクのインク滴を吐出する。インクジェットヘッド12yは、Y(イエロー)色のインクのインク滴を吐出する。インクジェットヘッド12kは、K(ブラック)色のインクのインク滴を吐出する。インクジェットヘッド12c〜kの具体的な配置等については、後に更に詳しく説明をする。
複数の弱UV光源14は、媒体50にインク滴が着弾することで形成されるインクのドットを半硬化させるための紫外線光源であり、インクのドットを完全には硬化させずに、半硬化の状態にまで硬化が進む強度の紫外線を照射する。インクのドットが半硬化の状態であるとは、例えば、紫外線の照射によりインクの粘度が十分に高まった状態であり、より具体的には、例えば、液体状態の他のインクのドットと接触しても滲みが発生しないゲル状の状態である。また、液体状態の他のインクのドットと接触しても滲みが発生しないとは、例えば、半硬化状態のドットに含まれるインクと、液体状態の他のインクのドットに含まれるインクとが接触しても混ざらないことである。また、本例において、複数の弱UV光源14のそれぞれは、インクジェットヘッド12c〜kのそれぞれに対応して設けられており、対応するインクジェットヘッド12c〜kにより形成されたインクのドットを、半硬化の状態に硬化させる。
強UV光源16は、インクジェットヘッド12c〜kにより媒体50上に形成されたインクのドットの硬化を完了させる紫外線光源である。本例において、強UV光源16は、媒体50の搬送方向においてインクジェットヘッド12c〜kよりも下流側に配設されることにより、インクジェットヘッド12c〜kによるインク滴の吐出が完了した領域へ十分に強い紫外線を照射する。また、これにより、強UV光源16は、インクのドットを媒体50に定着させる。
プラテン18は、媒体50を上面に保持する台状部材であり、インクジェットヘッド12c〜kと対向させて媒体50を保持する。主走査駆動部20は、予め設定された主走査方向(Y方向)へインクジェットヘッドc〜kを走査させる駆動部であり、例えば、キャリッジ及びガイドレール等から構成され、主走査方向と平行な方向がインクジェットヘッド12c〜kの移動方向(ヘッド移動方向)となるようにして、制御部24の指示に応じて、インクジェットヘッド12c〜kに主走査動作(スキャン動作)を行わせる。主走査動作とは、例えば、インク滴を吐出しつつ媒体50上をインクジェットヘッド12c〜kが移動する動作である。これにより、インクジェットヘッド12は、主走査動作において通過する媒体50上の領域に対し、インク滴を吐出する。
巻取ローラ22は、媒体50の搬送方向においてインクジェットヘッド12y〜k、及び強UV光源16よりも下流側で媒体50を巻き取るローラであり、媒体50を巻き取ることにより、所定のメディア搬送方向へ媒体50を搬送する。本例において、メディア搬送方向は、主走査方向と直交する副走査方向(X方向)と平行な方向である。これにより、巻取ローラ22は、媒体50を移動させることで副走査動作を行う副走査駆動部として機能し、媒体50においてインクジェットヘッド12c〜kと対向する領域を、順次変更する。
制御部24は、例えば印刷装置10のCPUであり、印刷装置10の各部を制御することにより、媒体50への印刷を印刷装置10に実行させる。例えば、制御部24は、インクジェットヘッド12c〜k及び主走査駆動部20等を制御することにより、インクジェットヘッド12c〜kに主走査動作を行わせる。また、主走査動作の間に弱UV光源14に弱い紫外線を照射させることにより、媒体50上に形成されたインクのドットを半硬化の状態にする。更に、例えば主走査動作の合間に、巻取ローラ22に媒体50を巻き取らせることで副走査動作を行わせ、媒体50を搬送する。また、制御部24は、例えば、インクジェットヘッド12c〜kによるインクのドットの形成が完了した領域に対し、強UV光源16に強い紫外線を照射させる。これにより、インクのドットを媒体50に定着させる。
また、本例において、制御部24は、インクジェットヘッド12c〜kに、媒体50への印刷を、マルチパス方式により行わせる。マルチパス方式とは、例えば、媒体50において印刷が行われる被印刷領域の各位置に対して複数回の主走査動作を行う方式である。また、各回の主走査動作において、インクジェットヘッド12c〜kのそれぞれは、インクのドットについて、液体状態の複数のドットが接触しないように、複数のノズルからインク滴を吐出する。インクのドットの形成の仕方についても、後に更に詳しく説明をする。
続いて、印刷装置10のより具体的な構成及び動作について、更に詳しく説明をする。先ず、インクジェットヘッド12c〜kの具体的な配置等について説明をする。
本例において、印刷装置10は、複数の色のそれぞれの色(CMYKの各色)について、その色のインクのインク滴を吐出する複数のインクジェットヘッドを備える。そして、同じ色のインクのインク滴を吐出する複数のインクジェットヘッドは、主走査方向へ並べて配設され、かつ、他の色のインクのインク滴を吐出するインクジェットヘッドと、副走査方向へ並べて配設される。
より具体的に、例えば、印刷装置10は、C色について、複数のインクジェットヘッド12cを備える。そして、複数のインクジェットヘッド12cは、図1(b)に示すように、主走査方向であるY方向に並べて配設される。また、同様に、印刷装置10は、複数のインクジェットヘッド12m、複数のインクジェットヘッド12c、及び複数のインクジェットヘッド12kを備え、同色のインクのインク滴を吐出するインクジェットヘッドは、Y方向に並べて配設される。また、互いに異なる色のインクのインク滴を吐出するインクジェットヘッド12c〜kのそれぞれは、副走査方向であるX方向へ並べて配設される。
尚、インクジェットヘッド12c〜kのそれぞれにおいて、1個のインクジェットヘッドには、X方向へ複数のノズルが並ぶノズル列が形成されている。そのため、上記のようにインクジェットヘッドが並ぶ構成は、1色のインクジェットヘッドについて、複数のノズル列がY方向へ並ぶ構成であると言える。また、本例において、弱UV光源14は、同色用の複数のインクジェットヘッドを主走査方向へ並べた構成、すなわち、同色のインクジェットヘッドの集合ヘッドに対し、主走査方向の両側に配設される。そして、主走査動作においては、インクジェットヘッドの移動方向において後方側になる弱UV光源14から弱い紫外線を照射することにより、その主走査動作において形成されるインクのドットに弱い紫外線を照射する。
このように構成した場合、主走査動作時において、同じ色のインクのインク滴を吐出する複数のインクジェットヘッドは、媒体50上の同じ領域上を通過する。そのため、その領域に対し、同じ色のインクのインク滴を、複数のインクジェットにより吐出できる。これにより、例えば、インクジェットヘッドの数に応じたパス数でその領域へ印刷するのと同様の効果を得ることができる。より具体的には、例えば、インクジェットヘッドのノズルからの吐出特性のバラツキの影響を、複数のインクジェットヘッドを用いることで適切に平均化できる。また、例えば1色のインクについて一のインクジェットのみを用いる場合と比べ、より高速な印刷速度を実現することもできる。
また、このように構成した場合、例えば、媒体50上の各位置に対し、複数の色のインクのそれぞれにより、順次印刷を行うことができる。より具体的に、例えば、図1(b)の右側部分に簡略化して示すように、本例において、複数のインクジェットヘッド12cは、他の色のインクのドットが形成されていない領域に対し、インク滴を吐出し、インクのドットを形成する。また、弱UV光源14によりインクのドットを半硬化の状態にすることで、各回の主走査動作で形成されるインクのドットについて、液体状態のインクと接触してもインクドットの連結が発生しない状態にする。
また、複数のインクジェットヘッド12mは、インクジェットヘッド12cによるインクのドットの形成が完了した領域に対し、インク滴を吐出し、インクのドットを形成する。この場合、C色のインクのドットは、半硬化の状態になっている。そのため、複数のインクジェットヘッド12mがインク滴を吐出する領域は、他の色のインクのドット(C色のドット)について液体状態のM色のインクと接触してもインクドットの連結が発生しない状態になっている領域になっている。また、複数のインクジェットヘッド12mにより形成されるインクのドットについても、各回の主走査動作において、半硬化の状態となる。
更に、同様にして、複数のインクジェットヘッド12yは、インクジェットヘッド12c、12mによるインクのドットの形成が完了した領域に対し、インク滴を吐出し、インクのドットを形成する。複数のインクジェットヘッド12kは、インクジェットヘッド12c、12m、12yによるインクのドットの形成が完了した領域に対し、インク滴を吐出し、インクのドットを形成する。これにより、複数のインクジェットヘッド12y、12kも、他の色のインクのドットについて液体状態のインクと接触してもインクドットの連結が発生しない状態になっている領域に対し、インク滴を吐出する。
そのため、本例においては、インクジェットヘッド12c〜kのそれぞれにより、例えば、媒体50上において、他の色のインクのドットが形成されていない領域、又は、液体状態のインクと接触してもインクドットの連結が発生しない状態に他の色のインクのドットがなっている領域へインク滴を吐出する。これにより、媒体50の各位置に対して1回の主走査動作において吐出するインク滴の色を1色にする色順次方式での印刷を適切に行うことができる。そのため、本例によれば、例えば、色が異なるインクのドットの間について、インクのドットの連結が生じることを適切に防ぐことができる。また、例えば、異なる色のインクのドット間で滲みが発生することや、筋ムラが発生すること等を適切に防ぐことができる。
また、本例の各回の主走査動作において、インクジェットヘッド12c〜kのそれぞれは、同色のインクのドットについて、液体状態の複数のドットが接触しないように、複数のノズルからインク滴を吐出する。このように構成すれば、例えば、同色のインクのドットについても、インクのドットの連結を適切に防ぐことができる。また、これにより、例えばドット形状の変形やバラツキ等の影響等を適切に防ぐことができる。
尚、インクのドットについて、具体的な形成の仕方については、以下において更に詳しく説明をする。先ず、説明の便宜上、図1に示した本例の構成ではなく、異なる色のインクのインク滴を吐出するインクジェットヘッドがY方向へ並ぶ構成による、インクのドットの形成について説明をする。
図2は、異なる色のインクのインク滴を吐出するインクジェットヘッドがY方向へ並ぶ構成について説明をする図である。図2(a)は、インクジェットヘッドの並び方の一例を示す。この構成において、それぞれ異なる色のインクのインク滴を吐出する複数のインクジェットヘッド12y、12m、12c、12k(インクジェットヘッド12y〜k)は、主走査方向(Y方向)へ並べて配設されている。また、各回の主走査動作により印刷を行う領域の副走査方向(X方向)における幅をより大きくするために、同様に複数のインクジェットヘッド12y〜kが並ぶ構成が、複数個、副走査方向に並べて配設される。
図2(b)は、図2(a)のようにインクジェットヘッドを並べた場合について、主走査動作により媒体50上に形成されるインクのドットの様子の一例を示す。この構成のように、複数のインクジェットヘッド12y〜kがY方向に並んでいる場合、各回の主走査動作において、複数のインクジェットヘッド12y〜kが、媒体50における同じ領域上を通過することになる。また、その結果、例えば図2(b)においてドット102y、102m、102c等として示したように、媒体50において近接した領域に、未硬化状態の各色のインクのドットが形成されることになる。そのため、この場合、異なる色のインクのドット同士が液体状態で接触し、ドットの連結が生じやすくなる。そして、その結果、筋ムラ等の問題が発生しやすくなる。また、このような問題は、特に、紫外性硬化型インクを用いる場合に生じやすくなる。
ここで、このような問題に対しては、例えば、マルチパス方式における印刷のパス数をより多くすることで、主走査動作において形成されるインクのドット間の距離を大きくすること等も考えられる。図3は、印刷のパス数をより多くした場合に形成されるインクのドットの様子の一例を示す。
この場合、パス数を多くすることにより、例えば、同一色のインクのドット間の距離が大きくなる。また、これにより、異なる色のインクのドットについても、互いに接触しないように、十分な距離を空けて形成すること等も行い得る。しかし、この場合、パス数が多くなることにより、印刷の速度が大きく低下するおそれがある。また、その結果、実用的な十分な印刷速度で印刷することが困難になるおそれがある。更には、パス数の大幅な増加により、印刷の制御が複雑になるおそれもある。
これに対し、図1を用いて説明をした本例の構成においては、より適切に、同一色のインクのドット間、及び他色のインクのドット間において、ドット間の連結を防ぐことができる。そこで、以下、図1等を用いて説明をした本例の構成におけるインクのドットについて、具体的な形成の仕方については、詳しく説明をする。
図4〜図7は、インクのドットについて、具体的な形成の仕方をそれぞれ示す。尚、以下の各図においては、図示の便宜上、媒体50上に形成されるインクのドットのうち、説明において必要な一部のドットのみを示している。また、図4〜7の各図においては、主走査方向(Y方向)は、図中の左右方向と平行な方向である。また、副走査方向(X方向)は、図中の上下方向と平行な方向である。
図4(a)は、CMYKの各色について、4回の印刷パス(4パス)での印刷を行う場合におけるドットの形成の仕方の一例を示す図であり、CMYKのうちの1色のインクのドットについて、1〜4パス目のそれぞれのパスで形成されるインクのドット102−1〜4を、区別して示す。例えば、図4(a)に示した各ドットは、インクジェットヘッド12cにより形成されるC色のドットであってよい。この場合、図中に示す各ドットは、例えば、媒体50上において他の色のインクのドットが形成されていない領域に形成される。また、図4(a)に示した各ドットは、インクジェットヘッド12mにより形成されるM色のドット、インクジェットヘッド12yにより形成されるY色のドット、又はインクジェットヘッド12kにより形成されるK色のドットであってもよい。これらの場合、図中に示す各ドットは、媒体50上に先に形成された他の色のドットが半硬化の状態になっている領域に形成される。このように構成すれば、例えば、CMYKの各色のインクについて、色順次方式での印刷を行うことにより、異なる色のインクのドットが液体状態のまま接触することを適切に防ぐことができる。
また、図からわかるように、本例の場合、同色のインクのドットについても、一の主走査動作により同一の印刷パスで形成されるインクのドットに関し、インク滴を着弾させる画素(着弾画素)を離散的に設定している。着弾画素を離散的に設定するとは、例えば、着弾画素と、インク滴を着弾させない画素(非着弾画素)の選択に関し、印刷解像度に応じた各画素に対し、連続する2つの着弾画素の間に少なくとも一の非着弾画素が挟まれるように選択を行うことである。例えば、図4(a)に示した場合においては、図からわかるように、主走査方向(Y方向)、副走査方向(X方向)、及び斜め方向のいずれにおいても、一の印刷パスで形成されるインクのドットについて、着弾画素が離散的に設定されている。そのため、本例によれば、同色のインクのドットについても、液体状態の複数のドットが接触しないように適切にインク滴を吐出することができる。
尚、液体状態の複数のドットが接触しないようにインク滴を吐出するとは、例えば、媒体へのインク滴の着弾位置について、インクのドット間の連結が生じないように、液体状態のドットが接触し得る距離よりも離すことである。また、この場合、媒体50へのインク滴の着弾位置について許容されるバラツキの範囲を考慮してもインクのドット間の連結が生じないように、着弾画素を設定することが好ましい。
このように、本例によれば、例えば、異なる色のインクのドット間、及び、同色のインクのドット間のそれぞれについて、液体状態の複数のドットの接触を防ぐことにより、インクのドットの連結が生じることを適切に防ぐことができる。また、これにより、筋ムラ(光縞等)等の発生を抑え、インクのドットの連結により印刷の画質が低下することを適切に防ぐことができる。
更には、インクのドットの連結を適切に防ぐことができるため、例えば紫外線硬化型のインクを用い、かつ、印刷のパス数を少なく(例えば、パス数を4以下程度に)した場合であっても、筋ムラの発生等を適切に抑えることができる。そのため、本例によれば、例えば、紫外線硬化型インクを用いる場合においても、より少ないパス数での画質を改善し、高品質の印刷を適切に行うことができる。
また、図1に関連して説明をしたように、本例において、同色用のインクジェットヘッドは、主走査方向へ並べて配設されている。そのため、各回の主走査動作において、副走査方向が同じ位置に形成するインクのドットを、複数のインクジェットヘッドを用いて形成することができる。例えば、図4(a)に示した場合において、同一の印刷パスで形成されるドットのうち、図中の横方向へ並ぶ複数のドットは、主走査方向へ並ぶ複数のインクジェットヘッドのいずれを用いて形成することもできる。そのため、例えば複数のインクジェットヘッドに順番にインク滴を吐出させて、これらの複数のドットを形成することができる。
そして、この場合、一のインクジェットヘッドにおける一のノズルにより形成されるドットについて、主走査方向におけるドット間の距離をより大きくすることができる。また、これにより、例えば、主走査動作におけるインクジェットヘッドの移動速度をより高速にすることが可能となる。そのため、本例によれば、例えば、同色用のインクジェットヘッドを主走査方向へ並べて配設する構成により、高速な印刷を適切に行うこともできる。また、これにより、例えば図2(a)に示したインクジェットヘッドの構成を用いる場合と比べて印刷速度が大きく低下すること等を適切に防ぐことができる。
更に、本例のように、同色用のインクジェットヘッドを主走査方向へ並べて配設する構成を用いた場合、インクジェットヘッドのメンテナンスが行いやすくなるという利点もある。より具体的に、例えば、インクジェットプリンタにおいては、インクジェットヘッドにおいてノズルが形成されている面であるノズル面に対し、ノズル面に付着した異物やインクを拭い取るワイピングを行う場合がある。しかし、例えば図2(a)に示した構成のように、異なる色用のインクジェットヘッドが隣接して配設されている構成の場合、例えば、ノズル面が汚れていないインクジェットヘッドに対してワイピングを行うことにより、他のインクジェットヘッドのノズル面に付着していた他の色のインクが新たに付着してしまうおそれもある。また、その結果、ワイピングを行うことでノズル面が汚れてしまう場合もある。
これに対し、本例によれば、主走査方向に並ぶ複数のインクジェットヘッドを同時にワイピングした場合であっても、同色用のインクジェットヘッドであるため、このような問題は生じない。そのため、インクジェットヘッドに対し、ワイピング等のメンテナンスがより行いやすくなる。また、これにより、本例によれば、例えば、複数のインクジェットヘッドを用いて行う高速な印刷を、より適切に行うこともできる。
続いて、インクのドットについて、その他の具体的な形成の仕方の例を示す。尚、これらの例において、インクのドットの形成の仕方は、以下に説明をする点を除き、図4(a)を用いて説明した場合と同一又は同様である。
図4(b)は、6回の印刷パス(6パス)での印刷を行う場合におけるドットの形成の仕方の一例を示す。この図においては、図示の便宜上、CMYKのうちの1色のインクのドットについて、6回のパスのうちの1〜3パス目のそれぞれのパスで形成されるインクのドット102−1〜3を、区別して示している。4〜6パス目においては、図において空いている画素の位置に、それぞれの印刷パスで、順次インクのドットを形成する。
この場合も、色順次方式での印刷を行うことにより、異なる色のインクのドットが液体状態のまま接触することを適切に防ぐことができる。また、同色のインクのドットについても、一の主走査動作により同一の印刷パスで形成されるインクのドットに関し、着弾画素を離散的に設定することで、液体状態の複数のドットが接触しないように適切にインク滴を吐出することができる。そのため、この場合も、液体状態の複数のドットの接触を防ぐことにより、インクのドットの連結が生じることを適切に防ぐことができる。また、これにより、インクのドットの連結により印刷の画質が低下することを適切に防ぐことができる。
図5は、8回の印刷パス(8パス)での印刷を行う場合におけるドットの形成の仕方の一例を示す。図5(a)は、図4(a)、(b)と同様に、CMYKのうちの1色のインクのドットについて、ドットの形成の仕方の一例を示す。この図においては、説明の便宜上、8回のパスのうちの1〜2パス目のそれぞれのパスで形成されるインクのドット102−1〜2を、区別して示している。3〜8パス目においては、図において空いている画素の位置に、それぞれの印刷パスで、順次インクのドットを形成する。また、図5(b)は、色順次方式でCMYKの4色のインクのドットを形成した後の状態の一例を示す。この図においても、図示の便宜上、各色のドットのうち、1〜2パス目で形成されるドットのみを図示している。
図5に示した場合においても、色順次方式での印刷を行うことにより、異なる色のインクのドットが液体状態のまま接触することを適切に防ぐことができる。また、同色のインクのドットについても、一の主走査動作により同一の印刷パスで形成されるインクのドットに関し、着弾画素を離散的に設定することで、液体状態の複数のドットが接触しないように適切にインク滴を吐出することができる。そのため、この場合も、液体状態の複数のドットの接触を防ぐことにより、インクのドットの連結が生じることを適切に防ぐことができる。また、これにより、インクのドットの連結により印刷の画質が低下することを適切に防ぐことができる。
図6及び図7は、印刷パスの数を更に多くした場合の例を示す。図6は、9回の印刷パス(9パス)での印刷を行う場合におけるドットの形成の仕方の一例を示す。この図においては、図示の便宜上、CMYKのうちの1色のインクのドットについて、9回のパスのうちの1〜3パス目のそれぞれのパスで形成されるインクのドット102−1〜3を、区別して示している。4〜9パス目においては、図において空いている画素の位置に、それぞれの印刷パスで、順次インクのドットを形成する。
図7(a)は、12回の印刷パス(12パス)での印刷を行う場合におけるドットの形成の仕方の一例を示す。この図においては、図示の便宜上、CMYKのうちの1色のインクのドットについて、12回のパスのうちの1〜2パス目のそれぞれのパスで形成されるインクのドット102−1〜2を、区別して示している。3〜12パス目においては、図において空いている画素の位置に、それぞれの印刷パスで、順次インクのドットを形成する。
図7(b)は、16回の印刷パス(16パス)での印刷を行う場合におけるドットの形成の仕方の一例を示す。この図においては、図示の便宜上、CMYKのうちの1色のインクのドットについて、16回のパスのうちの1〜4パス目のそれぞれのパスで形成されるインクのドット102−1〜4を、区別して示している。5〜16パス目においては、図において空いている画素の位置に、それぞれの印刷パスで、順次インクのドットを形成する。
図6及び図7に示した場合においても、色順次方式での印刷を行うことにより、異なる色のインクのドットが液体状態のまま接触することを適切に防ぐことができる。また、同色のインクのドットについても、一の主走査動作により同一の印刷パスで形成されるインクのドットに関し、着弾画素を離散的に設定することで、液体状態の複数のドットが接触しないように適切にインク滴を吐出することができる。そのため、これらの場合も、液体状態の複数のドットの接触を防ぐことにより、インクのドットの連結が生じることを適切に防ぐことができる。また、これにより、インクのドットの連結により印刷の画質が低下することを適切に防ぐことができる。
以上のように、本例によれば、様々な印刷パス数を用いる場合において、インクのドットの連結が生じることを適切に防ぐことができる。また、これにより、インクのドットの連結により印刷の画質が低下することを適切に防ぐことができる。
また、印刷装置10の構成については、印刷パス数に限らず、その他の点についても、適宜変更をすることが考えられる。例えば、各回の主走査動作において、媒体50上に形成されるインクのドットについて、弱い紫外線の照射により半硬化させるのではなく、より強い紫外線を照射し、硬化を完了させてもよい。インクのドットが完了するとは、例えば、インクのドットが十分に硬化して媒体50に定着した状態になることである。この場合、図1に示した構成において、印刷装置10は、弱UV光源14に代えて、それぞれの弱UV光源14の位置に、十分に強い紫外線を照射する強UV光源を備えることが好ましい。
また、印刷の目的等に応じて、紫外線硬化型インク以外のインクを用いることも考えられる。例えば、ソルベントインクやラテックスインク等を用いること等も考えられる。図8は、紫外線硬化型インク以外のインクを用いる場合の印刷装置10の構成の一例を示す。尚、以下に説明をする点を除き、図8において、図1と同じ符号を付した構成は、図1における構成と同一又は同様の特徴を有する。
図8(a)は、ソルベントインクを用いる場合の印刷装置10の構成の一例を示す。ソルベントインクとは、例えば、溶媒として有機溶剤を用いるインクのことである。この構成において、印刷装置10は、図1における弱UV光源14及び強UV光源16に代えて、ヒータ28、アフターヒータ30、温熱風ヒータ32、及び冷却ファン34を備える。ヒータ28は、媒体50を予備加熱する前ヒータ(プレヒータ)、及び、インク滴の着弾位置を加熱するプリントヒータの機能を有する加熱手段であり、プラテン18内に配設されることにより、媒体50を挟んでインクジェットヘッド12c〜kと対向する。この構成により、ヒータ28は、各回の主走査動作において媒体50上の形成されるインクのドットを速やかに乾燥させ、媒体50に定着させる。
尚、以下に説明をするように、本例において、印刷装置10は、ヒータ28のみではなく、アフターヒータ30及び温熱風ヒータ32を更に用いて、媒体50を加熱する。そのため、ヒータ28による加熱では、必ずしもインクのドットを完全に乾燥させなくてもよい。この場合、ヒータ28は、例えば、液体状態の他のインクと接触してもインクが混じらない程度にまで十分に、インクのドットの粘度を高める。
アフターヒータ30及び温熱風ヒータ32は、インクジェットヘッド12c〜kと巻取ローラ22との間に配設され、この位置で媒体50を加熱することにより、巻取ローラ22により巻き取られる前に、媒体50を十分に乾燥させる。冷却ファン34は、加熱された媒体50を冷却するファンであり、アフターヒータ30及び温熱風ヒータ32と、巻取ローラ22との間に配設されることにより、巻取ローラ22により巻き取られる前に、媒体50を冷却する。
以上の構成により、ソルベントインクを用いる場合においても、CMYKの各色のインクにより色順次方式での印刷を適切に行うことができる。また、これにより、異なる色のインクのドットが液体状態のまま接触することを適切に防ぐことができる。
更に、同色のインクのドットについても、例えば図4〜7を用いて説明したようにマルチパス方式での印刷を行い、かつ、媒体50上に形成されたインクのドットをヒータ28により十分に加熱することにより、液体状態の複数のドットが接触しないように適切にインク滴を吐出することができる。また、これにより、同色のインクのドットについても、複数のドットが液体状態のまま接触することを適切に防ぐことができる。そのため、ソルベントインクを用いる場合においても、例えば、インクのドットの連結により印刷の画質が低下することを適切に防ぐことができる。
図8(b)は、ラテックスインクを用いる場合の印刷装置10の構成の一例を示す。ラテックスインクとは、例えば、ポリマー素材と溶媒とを含み、乾燥によりポリマー素材を媒体に定着させるインクである。このポリマー素材は、例えば水性ポリマー素材である。また、このポリマー素材は、例えば、ゴム状のポリマー素材である。
この構成において、印刷装置10は、図1における弱UV光源14及び強UV光源16に代えて、ヒータ28、アフターヒータ30、温熱風ヒータ32、冷却ファン34、及び滑剤パウダローラ36を備える。ヒータ28、アフターヒータ30、温熱風ヒータ32、及び冷却ファン34は、図8(a)に示したヒータ28、アフターヒータ30、温熱風ヒータ32、及び冷却ファン34と同一又は同様の構成である。また、滑剤パウダローラ36は、巻取ローラ22に巻き取られる前の媒体50表面に、滑剤パウダを添加する。
以上の構成により、ラテックスインクを用いる場合においても、CMYKの各色のインクにより色順次方式での印刷を適切に行うことができる。また、これにより、異なる色のインクのドットが液体状態のまま接触することを適切に防ぐことができる。
また、同色のインクのドットについても、例えば図4〜7を用いて説明したようにマルチパス方式での印刷を行い、かつ、媒体50上に形成されたインクのドットをヒータ28により十分に加熱することにより、液体状態の複数のドットが接触しないように適切にインク滴を吐出することができる。また、これにより、同色のインクのドットについても、複数のドットが液体状態のまま接触することを適切に防ぐことができる。そのため、ラテックスインクを用いる場合においても、例えば、インクのドットの連結により印刷の画質が低下することを適切に防ぐことができる。
また、使用するインクについては、上記の各インク以外に、例えばソルベントUVインク等を用いることも考えられる。ソルベントUVインクとは、例えば、紫外線硬化型のモノマー又はオリゴマーと、溶媒である有機溶剤(例えば、揮発性有機溶剤)とを含むインクである。ソルベントUVインクは、紫外線硬化型インクを有機溶剤で希釈したインクであってよい。
また、ソルベントUVインクを用いる場合、例えば、図1に示した印刷装置10の構成に対し、媒体50を挟んでインクジェットヘッド12c〜kと対向する位置に、媒体50を加熱するヒータを設けることが好ましい。このヒータは、例えば、媒体50上に着弾したインクのドットから有機溶剤を蒸発させることにより、インクの粘度を高める。この場合、インクのドットの連結が起きない程度にまで十分に、インクの粘度を高めることが好ましい。また、この場合、例えば、図1の構成から、弱UV光源14を省略してもよい。また、このヒータは、例えば図8(a)又は図8(b)に示したヒータ28と同一又は同様のヒータであってよい。また、ソルベントUVインクを用いる場合、例えば図8(a)又は図8(b)のいずれかに示した印刷装置10の構成に対し、図1に示した構成における強UV光源16を追加した構成を好適に用いることもできる。
これらの構成においても、異なる色及び同色のインクのドットについて、複数のドットが液体状態のまま接触することを適切に防ぐことができる。また、これにより、ソルベントUVインクを用いる場合においても、例えば、インクのドットの連結により印刷の画質が低下することを適切に防ぐことができる。
また、例えばソルベントインク、ラテックスインク、又はソルベントUVインク等を用いる場合において、インクの乾燥速度が比較的速い場合等には、インクジェットヘッドの配置を、図1及び図8等と異ならせることも考えられる。また、紫外線硬化型インクを用いる場合においても、例えば弱UV光源14(図1参照)の位置を適宜変更することにより、インクジェットヘッドの配置を、図1及び図8等と異ならせることも考えられる。
図9は、インクジェットヘッドの配置の変形例を示す。尚、以下の説明において、M色、C色、Y色、及びK色のそれぞれは、第1、第2、第3、及び第4の色のそれぞれの一例である。また、このインクジェットヘッドの配置は、例えば図1及び図8に示した印刷装置10の構成に適用することができる。
この変形例においても、印刷装置10は、CMYKの各色について、その色のインクのインク滴を吐出する複数のインクジェットヘッドを備える。例えば、M色用のインクジェットヘッドとして、複数のインクジェットヘッド12mを備える。そして、複数のインクジェットヘッド12mは、図1等に示した場合と同様に、主走査方向(Y方向)へ並べて配設される。
また、C色、Y色、及びK色のそれぞれの色用のインクジェットヘッドとして、複数のインクジェットヘッド12c、複数のインクジェットヘッド12y、及び複数のインクジェットヘッド12kをそれぞれ備える。そして、これらのインクジェットヘッドも、図1等に示した場合と同様に、色毎に、主走査方向へ並べて配設される。
一方、同色用の複数のインクジェットヘッドを主走査方向へ並べた集合ヘッドの並べ方については、図1等と異ならせる。具体的には、図中に示すように、M色用の複数のインクジェットヘッド12mと、C色用の複数のインクジェットヘッド12cとは、主走査方向へ並べて配設される。Y色用の複数のインクジェットヘッド12yと、K色用の複数のインクジェットヘッド12kとは、主走査方向へ並べて配設される。
また、M色用の複数のインクジェットヘッド12mと、Y色用の複数のインクジェットヘッド12yとは、副走査方向(X方向)へ並べて配設される。C色用の複数のインクジェットヘッド12cと、K色用の複数のインクジェットヘッド12kとは、副走査方向へ並べて配設される。
このように構成した場合も、例えば乾燥速度の比較的速いインクを用いること等により、それぞれの色に対応するインクジェットヘッドにより、例えば、媒体50上において、他の色のインクのドットが形成されていない領域、又は、液体状態のインクと接触してもインクドットの連結が発生しない状態に他の色のインクのドットがなっている領域へ、適切にインク滴を吐出することができる。また、これにより、インクのドットの連結が生じることをより適切に防ぐことができる。また、これにより、例えば、インクのドットの連結により印刷の画質が低下することを適切に防ぐことができる。
尚、インクとして紫外線硬化型インクを用いる場合において、図1に示した構成に対し、図9に示すようにインクジェットヘッドの配置を変更する場合、インクジェットヘッドの位置の変更に合わせ、弱UV光源14の位置も変更することが好ましい。この場合、例えば、同色用のインクジェットヘッドの並びに対し、主走査方向の一端側及び他端側に弱UV光源14を配設することが好ましい。また、この場合、例えば複数のインクジェットヘッド12mと複数のインクジェットヘッド12cとの間の領域や、複数のインクジェットヘッド12yと複数のインクジェットヘッド12kとの間の領域に設ける弱UV光源14は、この領域を挟む2つの色用のインクジェットヘッドで兼用してもよい。
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。