JP2015009364A - 液滴吐出装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低コスト化を図りつつ、液室に圧力を発生させる圧力発生手段における駆動信号と圧力発生機構の物理的パラメータとの関係が非線形である場合でも温度変化の影響を受けない安定した液滴吐出特性が得られる液滴吐出装置を提供する。【解決手段】検知温度TxについてTn≰Tx≰Tn+1を満たす温度Tn及びTn+1それぞれに対応する駆動波形データを読み出し、圧力発生機構の物理的パラメータの時間変化データに変換する。これらの圧力発生機構の物理的パラメータの時間変化データから、検知温度Txに対応する圧力発生機構の物理的パラメータの時間変化データを線形補間して求める。この検知温度Txに対応する圧力発生機構の物理的パラメータの時間変化データを、検知温度Txに対応する駆動波形データに変換し、圧力発生手段に印加する駆動信号の生成に用いる駆動波形データを、前記変換後の検知温度Txに対応する駆動波形データに変更する。【選択図】図18

Description

本発明は、液滴を吐出する液滴吐出装置及び画像形成装置に関するものである。
従来、液滴を吐出する複数のノズルと、このノズルに連通し液体を収容する液室と、この液室内の液体を加圧する圧力を発生する圧力発生手段とを有する液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置が知られている。この液滴吐出装置では、駆動信号を印加して圧力発生手段を駆動することで液室内の液体を加圧してノズルから液滴を吐出させることができる。
上記液滴吐出装置の液滴吐出ヘッドとしては、圧力発生手段の圧力発生機構の種類により、幾つかの方式に大別される。
例えば、特許文献1には、液室の壁の一部を薄い振動板とし、この振動板に対応して電気機械変換素子としての圧電素子を配置したピエゾ方式のものが記載されている。ピエゾ方式では、駆動信号の印加に伴って発生する圧電素子の変形により振動板を変形させて液室内の圧力を変化させることにより、ノズルから液滴を吐出させる。
また、特許文献2には、液室の壁面を形成する振動板と、この振動板に対向して配置された液室外の個別電極とを備えた静電方式のものが記載されている。静電方式では、駆動信号を印加して振動板と電極との間に電界を形成し、この電界によって発生する静電力により振動板を変形させて液室内の圧力を変化させ、ノズルから液滴を吐出させる。
また、液室の内部に発熱体を配置し、通電による発熱体の加熱によって気泡を発生させ、気泡の圧力によって液滴を吐出させるバブルジェット(登録商標)方式のものも知られている。
上記圧電素子等の圧力発生手段を備えた液滴吐出ヘッドでは、環境温度によってヘッド内の液体の粘度などの物性値が変化する場合がある。この場合は、予め設定した所定の駆動信号を圧力発生手段に印加しても、液滴の吐出速度や吐出量などの液滴吐出特性が変化して狙いの液滴吐出特性からずれてしまう。このように温度変化に伴って液滴吐出特性が変化すると、吐出した液滴が到達する対象面における液滴の着弾位置や付着量が変わってしまう。この液滴吐出ヘッドを画像形成装置に用いた場合、上記温度変化に伴う液滴吐出特性の変化は画質低下につながる。
そこで、従来、上記温度変化による液滴吐出特性の変化を補償(以下「温度補償」という。)するために、温度の検出結果に基づいて、圧力発生手段に印加する駆動信号の振幅やパルス幅などを変える制御が知られている。
例えば、特許文献3には、上記静電方式のインクジェットヘッドの環境温度と駆動信号のパルス幅補正値dPwとの対応テーブルを記憶した記憶部を備えたインクジェットヘッドの駆動制御装置が開示されている。この対応テーブルは、所定の温度幅(5℃)で連続する複数の温度範囲それぞれに、吐出インク重量特性が一定となるパルス幅補正値dPwが対応するように設けられる。この駆動制御装置では、検出温度に対応するパルス幅補正値dPwを対応テーブルから検索出力し、パルス幅補正値dPwと、予め設定されている駆動信号のパルス幅初期値Pwsとを加算して、補正パルス幅Pw=Pws+dPwを求める。この補正パルス幅Pwを有する駆動信号を、インクジェットヘッドの対向板及び振動板のそれぞれに形成した対向電極の間に印加することにより、インクジェットヘッドの吐出インク重量特性が一定となるように温度補償を行う。
また、特許文献4には、上記ピエゾ方式のインクジェットヘッドの環境温度と駆動信号の駆動波形データとを対応付けたテーブルを記憶した内部ROMを備えたインクジェット記録装置が開示されている。このテーブルは、所定の温度幅(5℃)で連続する複数の温度範囲それぞれに、その温度範囲に応じた駆動波形データが対応するように設けられる。このインクジェット記録装置では、検出温度に対応する駆動波形データを選択し、選択した駆動波形データに基づいて駆動パルスを生成する。この駆動パルスをインクジェットヘッドの圧電発生手段である圧電素子に印加することにより、環境温度変化に対して安定したインク滴を吐出できる温度補償が可能になる。
しかしながら、上記特許文献3,4に開示されている従来の検出温度に基づく圧力発生手段の駆動信号の制御を実行しても、以下に示すように液滴吐出特性が変化して狙いの液滴吐出特性からずれるおそれがある。
上記従来の駆動信号の温度補償の制御では、所定の温度幅を有する複数の温度範囲毎に温度補償用データとしてパルス幅補正値dPwや駆動波形データを記憶している。そのため、その温度範囲内での温度変化に対しては上記液滴吐出特性の変化を精度よく温度補償することができず安定した液適を吐出することができないおそれがある。温度補償の精度を上げるために各温度範囲の温度幅を狭くすることが考えられるが、パルス幅補正値dPwや駆動波形データを記憶するためのROM等の記憶部の容量を増やす必要があるため、コストアップにつながる。
また、上記温度範囲の温度幅はそのままにして、各温度範囲の境界近傍の温度に対応する温度補償用データ(パルス幅補正値dPwや駆動波形データ)を、その境界の両側の温度範囲それぞれの温度補償用データから線形補間して求めることが考えられる。しかしながら、本発明者らが鋭意実験及び検討を行った結果、上記線形補間を行っても精度よく温度補償することができない場合があることがわかった。例えば、圧電素子に印加する駆動信号と、その駆動信号の印加によって変化する圧力発生機構の物理的パラメータである圧電素子の変形(液室側の表面変位)との関係が非線形であると、上記線形補間を行っても精度よく温度補償することができない場合がある。
なお、上記温度補償用データを増やした場合のコストアップの課題や上記線形補間を行っても精度よく温度補償することができない場合があるという課題は、前述の静電方式やバブルジェット方式などの他の方式の液滴吐出ヘッドの場合にも同様に発生し得る。例えば、静電方式の液滴吐出ヘッドの場合、上記個別電極に印加する駆動信号と、その駆動信号の印加によって変化する圧力発生機構の物理的パラメータである振動板の表面変位の大きさとの関係が非線形であると、上記課題が同様に発生し得る。また、バブルジェット方式の液滴吐出ヘッドの場合、発熱体に印加する駆動信号と、その駆動信号によって変化する圧力発生機構の物理的パラメータである発熱体の発熱量の大きさとの関係が非線形であると、上記課題が同様に発生し得る。
本発明の目的は、低コスト化を図りつつ、圧力発生手段における駆動信号と圧力発生機構の物理的パラメータの大きさとの関係が非線形である場合でも温度変化の影響を受けない安定した液滴吐出特性が得られる液滴吐出装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、液滴を吐出するノズルと該ノズルに連通した液室と該液室内に圧力を発生させる圧力発生機構の物理的パラメータの大きさが駆動信号によって変化する圧力発生手段とを有する液滴吐出ヘッドと、前記圧力発生手段に印加する駆動信号を出力する駆動信号出力手段と、複数の温度それぞれに対応する駆動信号の駆動波形データが格納された記憶手段と、温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段の温度検知結果に基づいて前記駆動信号を出力して前記圧力発生手段に印加するように前記駆動信号出力手段を制御する制御手段と、を備えた液滴吐出装置であって、前記制御手段は、前記記憶手段に格納されている前記複数の温度それぞれに対応する駆動波形データのうち、前記温度検知手段で検知された検知温度TxについてTn≦Tx≦Tn+1を満たす温度Tn及びTn+1それぞれに対応する駆動波形データを読み出し、前記温度Tn及びTn+1それぞれに対応する駆動波形データを、前記温度Tn及びTn+1それぞれに対応する前記圧力発生機構の物理的パラメータの時間変化データに変換し、前記温度Tn及びTn+1それぞれに対応する前記圧力発生機構の物理的パラメータの時間変化データから、前記検知温度Txに対応する前記圧力発生機構の物理的パラメータの時間変化データを線形補間して求め、前記検知温度Txに対応する前記圧力発生機構の物理的パラメータの時間変化データを、前記検知温度Txに対応する駆動波形データに変換し、前記圧力発生手段に印加する駆動信号の生成に用いる駆動波形データを、前記変換後の検知温度Txに対応する駆動波形データに変更することを特徴とするものである。
なお、本明細書において、「圧力発生機構の物理的パラメータ」は、駆動信号の印加により圧力発生手段において液室内の液体に圧力を発生させるときに変化する物理量を意味する。例えば、「圧力発生機構の物理的パラメータ」は、ピエゾ方式の液滴吐出ヘッドの場合において駆動信号が印加される電気機械変換素子である圧電素子の液室側の表面変位である。また、「圧力発生機構の物理的パラメータ」は、静電方式の液滴吐出ヘッドの場合における駆動信号が印加される個別電極に対向する振動板の表面変位や、バブルジェット方式の液滴吐出ヘッドの場合における発熱体の発熱量が含まれる概念である。
また、本明細書において、駆動信号の「波形」又は「駆動波形」は、駆動信号の1周期における時間的な変動全体を意味する。
また、本明細書において、駆動信号中の「パルス」は、上記波形を構成する要素(時間的な変動の一部)である。特に、本明細書における「パルス」は、駆動信号の1周期の波形のうち、液室内の圧力変化を発生させるように瞬間値が時間的に変化している部分を意味する。
また、本明細書において、「駆動波形データ」は、駆動波形における複数の時間又はその識別子のデータと、その複数の時間それぞれに対応する電圧又は電流のデータとを含むものである。また、「圧力発生機構の物理的パラメータの時間変化データ」は、上記駆動波形の複数の時間又はその識別子のデータと、その複数の時間それぞれに対応する圧力発生機構の物理的パラメータの値のデータとを含むものである。
本発明によれば、低コスト化を図りつつ、圧力発生手段における駆動信号と圧力発生機構の物理的パラメータの大きさとの関係が非線形である場合でも温度変化の影響を受けない安定した液滴吐出特性が得ることができる。
本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体の概略構成の一例を示す斜視図。 同画像形成装置の側面図。 (a)は、本実施形態に係る液滴吐出ヘッドの内部構造を示す部分平面図。(b)は、図3(a)の液滴吐出ヘッドの切断面A−A’から見た部分断面図。(c)は、図3(a)の液滴吐出ヘッドの切断面B−B’から見た部分断面図。 振動板成膜の工程の説明図。 下部電極形成の工程の説明図。 圧電層(PZT)/上部電極形成の工程の説明図。 層間絶縁膜形成の工程の説明図。 引き出し配線形成工程の説明図。 パッシベーション層形成の工程の説明図。 貫通孔事前エッチングの工程の説明図。 パッド/バイパス配線形成の工程の説明図。 保護基板接合の工程の説明図。 個別液室基板研磨及び液室形成の工程の説明図。 ノズル基板接合の工程の説明図。 本実施形態に係る画像形成装置の制御系の主要部の一構成例を示すブロック図。 同制御系における検出温度に応じた駆動波形の選択を伴うヘッド駆動制御を行う部分の一構成例を示すブロック図。 温度補償制御に用いられる駆動波形及び温度補償制御後の駆動波形の一例を示すグラフ。 図17の駆動波形データを用いた温度補償制御の一例を示すフローチャート。 液滴吐出ヘッドの液室内の液体の温度と所定の吐出速度Vjで液滴を吐出させるために必要な圧電素子の液室側の表面変位量Δδとの関係を示すグラフ。 積層型の圧電素子に印加される駆動信号の電圧と圧電素子の液室側の表面変位δとの関係の一例を示すグラフ。 薄膜型の圧電素子に印加される駆動信号の電圧と圧電素子の液室側の表面変位δとの関係の一例を示すグラフ。 温度補償制御に用いられる駆動波形の他の例を示すグラフ。 従来の温度補償制御を行った場合の液滴の着弾位置のズレを示す説明図。 実施例1の温度補償制御を行った検出温度12.5℃に対応する駆動信号の1周期における駆動波形の全体の一例を示すグラフ。 実施例3、4における温度補償制御に用いられる駆動波形の一例を示すグラフ。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
まず、本発明の実施形態に係る液滴吐出装置を備えた画像形成装置の一例について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体の概略構成の一例を示す斜視図である。また、図2は同画像形成装置の側面図である。この画像形成装置は、シリアル型インクジェット記録装置であり、液滴吐出装置としての印字機構部2等が収納されている。印字機構部2は、装置本体1の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ、キャリッジに搭載した液滴吐出ヘッド(記録ヘッド)14、液滴吐出ヘッド14への画像形成用のインク等の液体を供給する液体タンク(インクカートリッジ)等で構成されている。記録媒体としての用紙3は、給紙カセット4又は手差しトレイ5から給送されることにより装置本体内に取り込まれ、印字機構部2によって所要の画像が形成された後、後面側に装着された排紙トレイ6に排紙される。
印字機構部2は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド11と従ガイドロッド12とでキャリッジ13を主走査方向(図2で紙面垂直方向)に摺動自在に保持している。このキャリッジ13にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色の液滴を吐出する液滴吐出ヘッド14が液滴吐出方向を下方に向けて装着されている。キャリッジ13の上側には、ヘッド14に各色の液体を供給するための各液体タンク(インクカートリッジ)15が交換可能に装着されている。
液体タンク15は、上方に大気と連通する大気口を有し、下方には液滴吐出ヘッド14へ液体を供給する供給口を有し、内部には液体が充填された多孔質体を有している。この多孔質体の毛管力により、液滴吐出ヘッド14へ供給される液体がわずかな負圧に維持されている。この液体タンク15から液体が液滴吐出ヘッド14内に供給される。
キャリッジ13は、装置後方側(用紙搬送方向下流側)が主ガイドロッド11に摺動自在に装着され、装置前方側(用紙搬送方向上流側)が従ガイドロッド12に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ13を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ17で回転駆動される駆動プーリ18と従動プーリ19との間にタイミングベルト20が張架されている。このタイミングベルト20にキャリッジ13が固定しており、主走査モータ17の正逆回転により、キャリッジ13が往復駆動される。
なお、本実施形態では、各色の液体に対応する複数の液滴吐出ヘッド14を用いているが、各色の液滴を吐出する複数のノズルを有する1個の液滴吐出ヘッドを用いてもよい。
また、本実施形態では、液滴吐出ヘッド14として、ピエゾ方式の液滴吐出ヘッドであるピエゾ型ヘッドを用いている。この液滴吐出ヘッド14は、圧力発生手段として、後述するように、液体流路の壁面の少なくとも一部を形成する振動板と、この振動板を変形させる電気機械変換素子としての圧電素子とを有する。なお、このピエゾ型ヘッドに代えて、バブルジェット方式の液滴吐出ヘッド(サーマル型ヘッド)、静電方式の液滴吐出ヘッド(静電型ヘッド)などを用いることもできる。
また、本実施形態の画像形成装置は、給紙カセット4にセットした用紙3をヘッド14の下方側に搬送するために、給紙カセット4から用紙3を分離給装する給紙ローラ21及びフリクションパッド22と、用紙3を案内するガイド部材23と、を備えている。更に、画像形成装置は、給紙された用紙3を反転させて搬送する搬送ローラ24と、この搬送ローラ24の周面に押し付けられる搬送コロ25と、搬送ローラ24からの用紙3の送り出し角度を規定する先端コロ26とを備えている。搬送ローラ24は副走査モータ27によってギヤ列を介して回転駆動される。
また、キャリッジ13の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ24から送り出された用紙3を液滴吐出ヘッド14の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材29が設けられている。この印写受け部材29の用紙搬送方向下流側には、用紙3を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ31と拍車32とが設けられている。更に、用紙3を排紙トレイ6に送り出す排紙ローラ33及び拍車34と、排紙経路を形成するガイド部材35,36とが配設されている。
上記構成の画像形成装置において、画像形成時には、キャリッジ13を移動させながら画像信号に応じて液滴吐出ヘッド14を駆動することにより、停止している用紙3に液滴を吐出して1行分の画像を形成し、用紙3を所定量搬送した後、次の行の画像を形成する。画像形成終了信号又は用紙3の後端が画像形成領域に到達した信号を受けることにより、画像形成動作を終了させ、用紙3を排紙する。
また、キャリッジ13の移動方向右端側の画像形成領域を外れた位置には、液滴吐出ヘッド14の吐出不良を回復するための回復装置37が配置されている。回復装置37は、キャップ手段と吸引手段とクリーニング手段とを有している。キャリッジ13は印字待機中には回復装置37側に移動されてキャッピング手段で液滴吐出ヘッド14がキャッピングされる。これにより、液滴吐出ヘッド14のノズル(吐出口)が湿潤状態に保たれ、液体の乾燥による吐出不良を防止することができる。また、画像形成の途中などに画像形成と関係しない液体を吐出する(パージする)ことにより、全てのノズルの液体の粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持することができる。
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段で液滴吐出ヘッド14のノズルを密封し、チューブを通して吸引手段でノズルから液体とともに気泡等を吸い出し、ノズル面に付着した液体やゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引された液体は、装置本体下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部の液体吸収体に吸収保持される。
次に、本実施形態の画像形成装置(液滴吐出装置)に用いることができる液滴吐出ヘッド(「薄膜ヘッド」、「薄膜ピエゾヘッド」とも呼ばれる。)について説明する。
図3(a)は、本実施形態に係る液滴吐出ヘッドの内部構造を示す部分平面図である。図3(b)は、図3(a)の液滴吐出ヘッドの切断面A−A’から見た部分断面図である。図3(c)は、図3(a)の液滴吐出ヘッドの切断面B−B’から見た部分断面図である。本実施形態の液滴吐出ヘッドは、液滴を基板の面部に設けたノズルから吐出させるサイドシューター方式の一例である。
図3において、本実施形態の液滴吐出ヘッドは、液滴を吐出するノズル110aを有するノズル基板110と、個別液室基板111と、サブフレームとして機能する保護基板112との3枚の基板を重ねた積層構造となっている。個別液室基板111は、ノズル110aに連通した個別液室(「加圧液室」、「圧力室」ともいう。)111aと、流体抵抗部111bと、溝部からなる液体供給路111cとが形成されている。個別液室111aの上壁は振動板113で形成され、その振動板113上に、電気機械変換素子としての圧電素子114が形成されている。この圧電素子114は、個別液室111a内の液体に圧力を発生させる圧力発生手段として機能するアクチュエータ部となる。保護基板112は、圧電素子114が変形可能に保護される圧電素子保護空間を形成する凹部112aを有している。
個別液室基板111としては、例えば、シリコン基板上にシリコン酸化膜を介してシリコン層が形成されたSOI(silicon on insulator)基板を用いられる。振動板113としては、例えば、SOI基板のシリコン層の表面にパイロ酸化法を適用してシリコン酸化膜を形成する。更に、振動板113の上に、下部電極(共通電極)114aとなる白金膜と、圧電層114bとなるPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)層と、上部電極(個別電極)114cとなる白金膜との多層構成が形成される。この多層構成からなるアクチュエータ部が、シリコンをエッチングすることで形成した個別液室111aに対向する領域に形成される。
更に、個別液室基板111上には、上下電極114a,114cと各配線材料との層間に配置する層間絶縁膜115と、引き出し配線の材料を保護する為のパッシベーション膜116とが、アクチュエータ部の上面及び側面を覆うように配置される。上部電極114cは、引き出し配線117を介して端子電極としての個別電極パッド118に接続されている。また、下部電極114aは、引き出し配線119及びバイパス配線120を介して端子電極としての共通電極パッドに接続されている。
ノズル基板110は、例えば、厚さ30[μm]以上50[μm]以下のSUS基板が用いられ、プレス加工と研磨加工とによりノズル110aが形成される。このノズル110aは、個別液室基板111の個別液室111aと連通している。
保護基板112は、圧電素子の保護及び変位を妨げないための圧電素子の保護空間を形成する凹部112aと、液体流路となる溝部からなる共通液室112bとが形成される。更に、保護基板112は、個別液室基板111の流路隔壁111dの剛性を高めて液室全体を支えるための柱112cと、バイパス配線120が配置される配線用空間112cとが形成されている。
なお、上記構成の液滴吐出ヘッドにおいて、互いに対応しているノズル110aと個別液室111aとの組み合わせを吐出チャンネル(吐出CH)と呼ぶ。
次に、本実施形態に係る液滴吐出ヘッドのより具体的な実施例について作製方法を説明する。
図4〜図14は、本実施例の液滴吐出ヘッドの作製工程の一例を示す説明図である。
本実施例においては、シリコン基板に振動板材料及び圧電素子材料を成膜していくことでアクチュエータ部を作成していく。
図4の振動板成膜の工程では、まず、厚み400[μm]のシリコン基板の表面にシリコン酸化膜を0.2[μm]及びシリコン層を2.0[μm]を形成したSOI基板を用いる。このSOI基板の表面にパイロ(Wet)酸化法によりシリコン酸化膜を0.3[μm]形成し、これを振動板113の層とする。
図5の下部電極形成の工程では、下部電極114aとなる白金(Pt)層をスパッタ法により振動板113上に0.2[μm]成膜してパターニングする。更に、ゾルゲル法により圧電層114bを下部電極114a上に2[μm]成膜し、さらに、圧電層114b上に上部電極114cとなる白金(Pt)層を0.1[μm]成膜する。
図6の圧電層(PZT)/上部電極形成の工程では、フォトリソグラフィ技術とエッチング技術を用いたパターニング法(以下「リソエッチ法」と言う)とにより、上部電極114c及び圧電層114bをパターニングする。
図7の層間絶縁膜形成の工程では、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により層間絶縁膜115を0.3[μm]成膜し、リソエッチ法により、各種貫通孔がパターニングされて形成される。すなわち、層間絶縁膜115には、次に形成する引き出し配線117と上部電極114cとの配線コンタクトをとるためのビアホール115aが形成される。更に、層間絶縁膜115には、バイパス配線への導通部となる貫通孔115bと、液体供給孔となる貫通孔115cと、圧電素子の上面が露出する開口部115dとが形成される。
図8の引き出し配線形成工程では、アルミ材料により、引き出し配線117、119を形成する。引き出し配線117は、圧電素子114の駆動による振動板113の振動による応力を受けるので、振動により断線しないように、やわらかいアルミ材料を使い、1[μm]程度厚く積んでいる。
図9のパッシベーション層形成の工程では、アルミ配線保護のためのパッシベーション膜116として、プラズマCVD法によるシリコン窒化膜を2[μm]成膜してパターニングする。
図10の貫通孔事前エッチングの工程では、振動板113の液体供給口となる部分113aを、事前にエッチングする。
図11のパッド/バイパス配線形成の工程では、金をメッキ法により積層して、上部電極(個別電極)114cに接続される個別電極パッド118と、バイパス配線120とを同時に形成する。個別電極パッド118を金で形成することで、図示しない駆動回路素子(ドライバIC)との電気的接続を低温のワイヤボンディングで接続している。また、金は抵抗値が低く、バイパス配線120として共通電極の抵抗値を下げる効果が大きい。なお、個別電極パッド118の形成工程とバイパス配線120の形成工程とを分け、バイパス配線120の材料として、銅、アルミなどを使用してもよい。その場合、バイパス配線120を腐食から保護する保護層が必要となるケースもある。
図12の保護基板接合の工程では、別途ガラス基板にブラスト加工で柱を形成した保護基板112を個別液室基板111に接合する。
図13の個別液室基板研磨及び液室形成の工程では、個別液室基板111の保護基板接合面とは反対面を、所望の厚さまで研磨する。保護基板112は、シリコン基板にリソエッチ法で凹部を加工したものでもよいし、シリコン基板をTMAH、KOHなどのアルカリエッチング液を用いたウェットエッチングにより加工したものでもよい。また、樹脂モールドやメタルインジェクションモールドなどの成型部品でも構わない。また、駆動回路をアクチュエータ基板上に一体形成する際に、パイロ酸化法で酸化膜を形成し、LOCOS(local oxidation of silicon)法で酸化膜の形成領域を選択することで、駆動回路を同一基板上に形成することもできる。その後、シリコン基板の反対面に、誘導結合型プラズマを用いたICP(Inductive Coupled Plasma)ドライエッチングにより、個別液室111a、流体抵抗部111b及び液体供給部111cとなる凹部を形成する。
最後に、図14のノズル基板接合の工程では、厚さ30[μm]以上50[μm]以下のSUS基板にプレス加工と研磨加工とにより別途ノズル基板110にノズル110aを形成しておく。このノズル110aが形成されたノズル基板110を個別液室基板111の流路隔壁形成面に接着し、圧電素子の上部電極及び下部電極と接続されたアルミ配線部を駆動回路に接続することで液滴吐出ヘッドが完成する。
次に、本実施形態に係る画像形成装置の制御について説明する。
図15は、本実施形態に係る画像形成装置の制御系の主要部の一構成例を示すブロック図である。図15において、制御手段としての制御部は、装置全体の制御を司るマイクロコンピュータ(以下、「CPU」という。)80と、所要の固定情報を格納した記憶手段としての内部ROM(以下、単に「ROM」という。)81と、ワーキングメモリ等として使用する記憶手段としてのRAM82と、を備えている。更に、制御部は、外部のコンピュータ装置などのホスト側から転送される画像データ(「ドットデータ」又は「ドットパターンデータ」という。)を格納する記憶手段としての画像メモリ(ラスデータメモリ)83を備えている。また、制御部は、パラレル入出力(PIO)ポート84と、パラレル入出力(PIO)ポート86と、駆動信号生成回路87と、ヘッド駆動回路88と、ドライバ89とを備えている。
PIOポート84にはホストのプリンタドライバ側から転送される画像データなどの各種情報及びデータ、操作パネル90からの各種指示、選択情報、環境温度を検出する温度検知手段としての温度センサ92などの各種センサからの検知信号等が入力される。また、PIOポート84を介してホスト側や操作パネル90側に対して所要の情報が送出される。操作パネル90には表示ランプ等の報知手段91を備えている。
また、駆動信号生成回路87は、液滴吐出ヘッド14の圧電素子114に対して印加する所要の駆動波形を有する駆動信号を生成して出力する。この駆動信号生成回路87としては、後述するように、CPU80からのデジタル信号からなる駆動波形データをアナログ信号からなる駆動信号にD/A変換するD/A変換器を用いることができる。このD/A変換器を用いることで、簡単な構成で所要の駆動波形を有する駆動信号を生成して出力することができる。
ヘッド駆動回路(ドライバIC)88は、PIOポート86を介して与えられる各種データ及び信号に基づいて、液滴吐出ヘッド14の選択された吐出チャンネルの圧電素子114に対して、駆動信号生成回路87から出力された駆動信号を印加する。
ドライバ89は、PIOポート86を介して与えられる駆動制御データに応じて主走査モータ17及び副走査モータ27を各々駆動制御することで、キャリッジ13を主走査方向に移動走査し、搬送ローラ24を回転させて用紙3を所定量搬送させる。
次に、上記構成の制御系における検出温度に応じた駆動波形の選択を伴うヘッド駆動制御について説明する。
図16は、上記構成の制御系における検出温度に応じた駆動波形の選択を伴うヘッド駆動制御を行う部分の一構成例を示すブロック図である。
上記CPU80を有する主制御部101は、ホスト側から送られてくる画像形成データとしてのフォントデータ(ドットデータ)を処理して、液滴吐出ヘッド14の並びに対応した縦横変換を行う。また、主制御部101は、液滴吐出ヘッド14から吐出される液滴を大滴、小滴、非印字の3値で打ち分けるために必要な2ビットの駆動データSDを生成してヘッド駆動回路(ドライバIC)88に出力する。また、主制御部101は、ヘッド駆動回路(ドライバIC)88に対して、クロック信号CLK、ラッチ信号LAT、及び、駆動波形選択信号M1〜M3を出力する。駆動波形選択信号M1〜M3は、画像ドットを形成するサイズのドット(大滴)に対応した駆動波形、小滴に対応した駆動波形、非印字に対応した駆動波形を選択するための信号である。
更に、主制御部101は内部のROM81に格納した駆動波形データを読み出して駆動信号生成回路87に与える。この場合、ROM81には、複数の温度それぞれに応じて互いに異なるパラメータ(駆動条件)を有する複数種類の駆動波形データを格納している。主制御部101は、温度センサ92からの検知信号に基づいて環境温度を検出判別し、検出された温度(検出温度)に基づいて複数種類の駆動波形データから1つの駆動波形データを選択して駆動信号生成回路87に与える。
駆動信号生成回路87は、D/Aコンバータ102と増幅器103と電流増幅器104とを有する。D/Aコンバータ102は、主制御部101から与えられる駆動波形データをD/A変換してアナログ信号として出力する。増幅器103は、D/Aコンバータ102から出力されたアナログ信号を、実際の駆動電圧を有する駆動信号まで増幅する。電流増幅器104は、増幅器103から出力された駆動信号を、液滴吐出ヘッド14の圧電素子114の駆動に必要な電流を十分供給できるように増幅する。駆動信号生成回路87は、1駆動周期内に複数の駆動パルスを含む駆動波形Pvの駆動信号を生成してドライバIC(ヘッド駆動回路)88に与える。
ドライバIC(ヘッド駆動回路)88は、図示を省略するが、シフトレジスタとラッチ回路とデータセレクタとレベルシフタとトランスミッションゲートとを有する。シフトレジスタは、主制御部101からのクロック信号CLKによって駆動データSDを取り込む。ラッチ回路は、シフトレジスタのレジスト値をラッチ信号LATでラッチする。データセレクタは、ラッチ回路にラッチされた2ビットの駆動データによって駆動波形選択信号M1〜M3(ロジック信号)を選択する。レベルシフタは、データセレクタの出力(ロジック信号)を駆動電圧レベルに変換する。トランスミッションゲートは、レベルシフタの出力でオン/オフが制御される。このトランスミッションゲートは、駆動信号生成回路87からの駆動波形Pvが与えられ、液滴吐出ヘッド14の各ノズルに対応する圧電素子114に接続されている。
ドライバIC(ヘッド駆動回路)88では、駆動データSDに応じてデータセレクタにより駆動波形選択信号M1〜M3の1つが選択される。そして、ロジック信号である選択した駆動波形選択信号M1〜M3がレベルシフタにより駆動電圧レベルに変換され、トランスミッションゲートのゲートに与えられる。これにより、トランスミッションゲートは選択された駆動波形選択信号M1〜M3の長さに応じてスイッチングされる。従って、トランスミッションゲートが開状態になっている吐出チャンネルの圧電素子114に対して、所定の駆動波形Pvを有する駆動信号である駆動パルスが印加されることになる。
次に、上記検出温度に応じた駆動波形の選択を伴うヘッド駆動制御における温度補償制御について説明する。
前述のように、主制御部101は、温度センサ92の検知信号に基づき環境温度を検出し、検出温度に対応する駆動波形データをROM81から読み出し、駆動信号生成回路87に与える。しかし、通常、ROM81には、温度センサ92で検出可能温度のすべてに対応する駆動波形データを格納していない。例えば、コスト抑制のため、温度センサ92で検出可能な温度が0.5℃ごとに対し、ROM81に格納されている駆動波形データは5℃ごとの場合もある。検出可能な温度のすべてに対して駆動波形データをROM81に格納しておけば高精度での温度補償制御が可能となるが、ROM81を大容量にする必要があり、コストアップにつながってしまう。
検出温度に対応する駆動波形データがROM81に格納されてない場合には、通常検出温度の前後の温度に対応する2つの駆動波形データを用いて線形補間した駆動波形データを用いて駆動信号が生成されて出力される。
図17は、本実施形態に係る温度補償制御の一例における駆動波形を示すグラフである。この例は、温度センサ92での検出可能温度が0.5℃ごとであり、ROM81に格納されている駆動波形データが5℃ごとである場合の例である。
図17において、温度センサ92で検出された検出温度が12.5℃の場合、ROM81には、その検出温度12.5℃に対応する駆動波形データが格納されていない。ROM81に格納されている駆動波形データの中で12.5℃の前後の温度に対応する駆動波形データは、図17中の符号A、Bで示す10℃に対応した駆動波形(以下「10℃波形」ともいう。)と15℃に対応した駆動波形(以下「15℃波形」ともいう。)である。ここで、10℃波形と15℃波形との相違点は、横軸の時間において1駆動周期中の2.0[μs]から3.0[μs]までの間の電圧であり、10℃波形では1.0[V]、15℃波形では5.0[V]である。このため、図17中の符号Cで示す12.5℃に対応する駆動波形(以下「12.5℃波形」ともいう。)の電圧は、10℃波形及び15℃波形それぞれの電圧(1.0[V]、5.0[V])から線形補間して求められる。この線形補間して求められた3.0[V](2.0[μs]〜3.0[μs]間)の電圧を有する駆動波形データが出力される。
図18は、図17の駆動波形データを用いた温度補償制御の一例を示すフローチャートである。図18において、温度センサ92で温度を検知した後、その温度センサ92の検知信号に基づき環境温度(12.5℃)を検出する(S101)。そして、この検出温度(12.5℃)に対応する駆動波形データがROM81に存在するか否かを判断する(S102)。図17の駆動波形データの場合は、検出温度(12.5℃)に対応する駆動波形データがROM81に存在しない(S102でN)ので、その検出温度(12.5℃)の前後の温度(10℃、15℃)に対応する10℃波形及び15℃波形のデータを読み出す。これらの10℃波形の電圧(1.0[V])及び15℃波形の電圧(5.0[V])を用いて、検出温度(12.5℃)に対応する電圧(3.0[V])を線形補間して求める(S103)。そして、上記線形補間して求めた電圧(3.0[V])が1駆動周期中の2.0[μs]から3.0[μs]までの間の電圧に設定された駆動波形を有する駆動信号を生成して出力する(S104)。
上記図17及び図18に示すように、検出温度に対して駆動信号の電圧を線形補間して求めることができるのは、次の(1)及び(2)の理由による。
(1)液滴吐出ヘッド内の液体の温度範囲が5℃ほどの狭い温度範囲では、各温度で同じ所定の吐出速度Vj(=7.0[m/s])で液滴を吐出させるために必要な圧電素子114の液室側の表面変位量Δδが、液体の温度に対してほぼ線形とみなせる。この点は、本発明者らにより図19に示すように実験的に確認されている。
(2)また、圧力発生手段における電気機械変換素子として複数の層を重ねて形成した積層型の圧電素子を用いる場合、その圧電素子に印加される駆動信号の電圧V[V]に対し、圧電素子114の液室側の表面変位δ[μm]は線形に増加する。すなわち、積層型の圧電素子に印加される駆動信号の電圧V[V]と圧電素子114の液室側の表面変位δ[μm]との関係は線形特性を示す。この点も、本発明者らにより図20に示すように実験的に確認されている。
以上のように、本実施形態では、上記(1)及び(2)の点が確認されている条件下で、ROM81に駆動波形データが格納されていない検知温度TxについてTn≦Tx≦Tn+1を満たす温度Tn及びTn+1それぞれに対応する駆動波形データを読み出す。より具体的には、ROM81に駆動波形データが格納されていない検出温度Txに対して、その前後の温度T1,T2の駆動波形データを読み出す。そして、読み出した温度Tn及びTn+1(T1,T2)を用いて検出温度に対応する駆動信号の電圧の線形補間を行う。これにより、精度の高い温度補償制御が可能となる。
次に、圧力発生手段における電気機械変換素子(アクチュエータ)として薄膜型の圧電素子114を用いた場合の温度補償制御について説明する。
図21に示すように、薄膜型の圧電素子114は、前述の積層型の圧電素子とは異なり、印加される駆動信号の電圧に対し、圧力発生機構の物理的パラメータとしての圧電素子114の液室側の表面変位δが非線形に増加する。すなわち、駆動信号の電圧と、圧力発生機構の物理的パラメータとしての圧電素子114の液室側の表面変位δとの関係が、非線形の関係にある。このように、薄膜型の圧電素子では、積層型の圧電素子と異なり、液室側の表面変位の電圧特性が線形でないために、前記図18〜図20で示した検出温度に対応する駆動信号の電圧の線形補間を行うと、液滴の着弾位置ズレが生じるおそれがある。薄膜型の圧電素子では、駆動信号の電圧の低い領域では線形に近い表面変位特性を示すが、高電圧印加時(30V付近)には、図21中の符号Bの曲線に示すように表面変位δの飽和傾向が見られる。この飽和傾向は、薄膜型の圧電素子では駆動源である圧電膜が約1[μm]以上2[μm]以下の薄い膜であり、その膜内の電界強度が非常に高くなるためと考えられている。
図22は、温度補償制御に用いられる10℃及び15℃それぞれの駆動信号の駆動波形(10℃波形、15℃波形)の他の例を示すグラフである。図22における10℃波形及び15℃波形は、駆動信号の1周期における0〜1.0[μs]及び4.0〜5.0[μs]の期間(パルスの両側の期間)それぞれにおける電圧(いわゆる、中間電位)が互いに異なる。また、10℃波形の振幅は0〜15[V]であり、15℃波形の振幅は0〜7.0[V]である。これらの10℃波形及び15℃波形を用いて温度に関する線形補間を行って求めた12.5℃波形の振幅は、0〜11.0[V]である。そして、前述の図20から、上記薄膜型の圧電素子について温度に関する線形補間を行って求めた12.5℃波形の振幅0〜11.0[V]に対応する表面変位量Δδは、0.129[μm]である。この表面変位量Δδ(=0.129[μm])は12.5℃のときの液滴吐出速度Vj=7[m/s]に必要な表面変位量Δδ=0.125[μm]を上回る(図19参照)。このため、図23に示すように、検出温度が12.5℃のときは、ノズル110aから吐出される液滴Dの吐出速度Vjが10℃や15℃のときの7.0[m/s]よりも速くなり、液滴Dの着弾位置にズレが生じる。
そこで、本実施形態では、以下の実施例に示すような薄膜型の圧電素子を用いた場合でも精度よく温度補償制御を行うことができるようにしている。
次に、本実施形態の画像形成装置(液滴吐出装置)において薄膜型の圧電素子を用いた場合でも精度よく行うことができる温度補償制御の具体例について説明する。
[実施例1]
実施例1では、薄膜型の圧電素子114における駆動信号の電圧Vと表面変位δとの関係を示す非線形の変位特性を次の式(1)で近似し、この近似式(1)に基づいて、図18における駆動波形の補間を行っている。式(1)中のaは定数である。
δ=a・V0.5 (1)
本実施例1では、温度センサ92で検出した検出温度がTx[℃]であり、この検出温度Txに対応する駆動波形データがROM81に格納されていない場合について説明する。ここで、ROM81に駆動波形データが格納されていない検知温度TxについてTn≦Tx≦Tn+1を満たす温度Tn及びTn+1として、本実施例では、検知温度Txの前後の温度T1,T2の駆動波形データを読み出す。
前述の通り、駆動波形データが格納されている温度間隔が狭い温度間隔であれば、所定の吐出速度が得られる圧電素子114の表面の必要変位量Δδは温度に比例すると仮定できる。このため、検出温度Txでの圧電素子114の表面変位δxは、上記前後の温度T1、T2それぞれにおける圧電素子114の表面変位δ1、δ2を用いて、次の式(2)で示すように線形補間して求めることができる。
δx=(δ2−δ1)(Tx−T1)/(T2−T1)+δ1 (2)
ここで、ROM81に格納されている駆動波形データは、複数の温度それぞれに対応する時間及び電圧のデータである。検出温度Txでの電圧Vxは、温度T1及びT2それぞれに対応する電圧V1、V2を用いて、次の式(3)及び(4)で表される。
Vx=(δx/a) (3)
δx=a(V20.5−V10.5)(Tx−T1)/(T2−T1)+V10.5 (4)
本実施例1では、上記式(3)及び(4)に従い、上記検出温度Txの前後の温度T1,T2での駆動信号の1周期における低電圧部、中間電圧部及び高電圧部それぞれの電圧V1,V2から、検出温度Txでの駆動信号の各部の電圧を補間して求めている。そして、その補間して求めた各部の電圧を有する波形の駆動信号を、検出温度Tx時の駆動信号として生成して出力する。
ここで、上記式(4)は、温度T1,T2に対応する電圧V1,V2を圧電素子114の表面変位δ1,δ2に変換する処理と、その表面変位δ1,δ2から検知温度Txに対応する表面変位δxを線形補間して求める処理とを一緒に行う式である。なお、実際の温度補償制御において、上記式(4)を用いた処理は、駆動波形の全体(例えば後述の図24参照)に対して実行される。すなわち、上記式(4)は、次の2つの処理A,Bを一緒の行う式である。
処理A:温度T1,T2に対応する駆動波形データを温度T1,T2に対応する圧電素子の表面変位δの時間変化データに変換する処理。
処理B:温度T1,T2に対応する圧電素子の表面変位δの時間変化データから検知温度Txに対応する圧電素子の表面変位δの時間変化データを線形補間して求める処理。
また、上記式(3)は、検知温度Txに対応する圧電素子114の表面変位δxを、検知温度Txに対応する電圧Vxに変換する式である。なお、実際の温度補償制御において、上記式(3)を用いた処理についても、駆動波形の全体(例えば後述の図24参照)に対して実行される。すなわち、上記式(3)は、検知温度Txに対応する圧電素子の表面変位δの時間変化データを、検知温度Txに対応する駆動波形データに変換する処理を行う式である。
図24は、薄膜型の圧電素子における駆動信号の電圧Vと表面変位δとの関係を示す非線形の変位特性を式(1)で近似して電圧を求めた検出温度12.5℃に対応する駆動信号の1周期における駆動波形の全体の一例を示すグラフである。図24中の曲線Cは、検出温度12.5℃に対応する駆動信号の1周期における低電圧部、中間電圧部及び高電圧部それぞれの電圧について本実施例1の温度補償制御によって補間して求めた駆動波形(12.5℃波形)である。また、図24中の曲線A及びBはそれぞれ、12.5℃波形を補間して求めるときに用いた10℃波形及び15℃波形である。また、図24中の曲線Dは、10℃波形及び15℃波形から従来の線形補間によって求めた比較例に係る12.5℃波形である。
以上のように、実施例1では、駆動信号の電圧Vと表面変位δとの関係を示す非線形の変位特性を式(1)で近似し、この近似式(1)を用いて駆動信号の電圧Vと表面変位δとの間の変換を行っている。そして、検出温度Txの前後の温度T1、T2での駆動波形データを用いて検出温度Txに対応する駆動波形を補間する温度補償制御を行っている。この温度補償制御を制御部で行うことにより、薄膜型の圧電素子のような表面変位の電圧特性が線形でないアクチュエータを圧力発生手段に用いる場合であっても、高精度の温度補償制御が可能となる。
なお、上記式(1)を一般化すると、次の式(5)になる。この一般化した式(5)を用いることにより、実施例1の温度補償制御を適用可能な薄膜型の圧電素子の種類が拡がる。すなわち、駆動信号の電圧V[V]と表面変位δ[μm]との関係を示す特性として様々な非線形特性を有する薄膜型の圧電素子についても、実施例1の温度補償制御を適用することができる。なお、式(5)中のaは定数[μm/V]であり、m,nは実数である。
[実施例2]
実施例2では、上記式(1)の代わりに制御部に予め格納したδ−V変換テーブルを用いて、駆動信号の電圧Vと表面変位δとの間の変換を行っている。また、本実施例2では、上記実施例1の場合と同様に、温度センサ92で検出した検出温度がTx[℃]であり、この検出温度Txに対応する駆動波形データがROM81に格納されていない場合について説明する。なお、本実施例2において、前述の実施例1と共通する部分については説明を省略する。
ここで、ROM81に駆動波形データが格納されている温度のうち検出温度Txの前後の温度をそれぞれT1、T2とする。表1は、δ−V変換テーブルの一例である。
実施例2において、ROM81に格納されている駆動波形データの中で12.5℃の前後の温度に対応する駆動波形データは10℃波形と15℃波形である(図17参照)。ここで、10℃波形と15℃波形との相違点は2.0[μs]から3.0[μs]までの間の電圧であり、10℃波形では1.0[V]、15℃波形では5.0[V]である。
ここで、表1のδ−V変換テーブルから、12.5℃波形に対応する圧電素子の表面変位δは、0.071[μm]である。この表面変位δ=0.071[μm]は次の手順で求めることができる。表1から、10℃波形の1.0[V]に相当する圧電素子の表面変位δは0.044[μm]であり、15℃波形の5.0[V]に相当する圧電素子の表面変位δは0.098[μm]である。これらの変位δの値から12.5℃波形に対応する圧電素子の表面変位δを線形補間して求めると、前述の式(2)により、(0.098−0.044)(12.5−10)/(15−10)+0.044=0.071[μm]となる。この12.5℃波形に対応する圧電素子の表面変位δから、表1を用いて12.5℃波形の2.0[μs]〜3.0[μs]間の電圧に変換すると、2.6[V]となる。これは、表1のδ−V変換テーブルにおいて、圧電素子の表面変位δ=0.071[μm]に対応する電圧Vが2.6[V]であるためである。
なお、本実施例2におけるδ−V変換テーブルを用いた温度補償制御における処理は、上記実施例1と同様に、駆動波形の全体(例えば図24参照)に対して実行される。すなわち、上記δ−V変換テーブルを用いて、検知温度Txの前後の温度T1,T2に対応する駆動波形データが、温度T1,T2に対応する圧電素子の表面変位δの時間変化データに変換される。そして、その温度T1,T2に対応する圧電素子の表面変位δの時間変化データから、検知温度Txに対応する圧電素子の表面変位δの時間変化データが線形補間して求められる。また、上記δ−V変換テーブルを用いて、検知温度Txに対応する圧電素子の表面変位δの時間変化データが、検知温度Txに対応する駆動波形データに変換される。
以上のように、本実施例2では、前述の実施例1のように数式を利用する場合のみならず、δ−V変換テーブルを制御部にあらかじめ持つことでも、実施例1と同様に高精度の温度補償制御が可能となる。すなわち、薄膜型の圧電素子のような表面変位の電圧特性が線形でないアクチュエータを圧力発生手段に用いる場合であっても、高精度の温度補償制御が可能となる。
[実施例3]
実施例3は、δ−V変換テーブル内に対応する電圧が存在しない場合の実施例である。すなわち、前述の実施例2では、10℃波形及び15℃波形それぞれの2.0[μs]〜3.0[μs]間の電圧(1.0,5.0[V])がδ−V変換テーブル内に存在する例を挙げた。実施例3は、これらの電圧(1.0,5.0[V])の少なくとも一方がδ−V変換テーブル内にない場合の例である。なお、本実施例3において、前述の実施例1、2と共通する部分については説明を省略する。
実施例3では、温度センサ92での検出温度が8.5℃で、ROM81に格納されている駆動波形データの中で8.5℃の前後の温度に対応する駆動波形データは5℃波形と10℃波形とする(図25参照)。5℃波形と10℃波形の相違点は2.0[μs]〜3.0[μs]間の電圧であり、5℃波形では0.15[V]であり、15℃波形では1.0[V]である。
ここで、5℃波形に対応する電圧Vから圧電素子の表面変位δへの変換ができない。これは、5℃波形の2.0[μs]〜3.0[μs]間の電圧0.15[V]が表1のδ−V変換テーブル内に存在しないためである。
そこで、本実施例3では、5℃波形の電圧Vから圧電素子の表面変位δへの変換を行うために、5℃波形の電圧に最も近い電圧を代用して変換する。本例の場合、5℃波形の電圧0.15[V]に最も近いδ−V変換テーブル中の電圧は0.20[V]であり、5℃波形の電圧Vから圧電素子の表面変位δへの変換の際に、この値(=0.20[V])を代用する。このような電圧の代用を行って変換することで、8.5℃のときの駆動波形(以下「8.5℃波形」という。)の2.0[μs]〜3.0[μs]間の電圧は0.8[V]となる。この電圧V=0.8[V]は次の手順で求めることができる。5℃波形の電圧0.15[V]の代わりに表1のδ−V変換テーブル上の電圧0.20[V]を代用すると、電圧0.20[V]に対応する圧電素子の表面変位δは0.020[μm]である。また、表1から10℃波形の1.0[V]に相当する圧電素子の表面変位δは0.044[μm]である。これらの表面変位δの値を用いて8.5℃波形に対応する圧電素子の表面変位δを電圧に関して線形補間して求めると、前述の式(2)により、(0.044−0.020)(8.5−5)/(10−5)+0.020=0.037[μm]となる。ここで、式(2)のTをVに置き換えることで電圧による線形補間が可能となる。この表面変位0.037[μm]に対応する電圧Vは、表1から、0.8[V]となる。
以上のように、実施例3では、駆動波形中の電圧に対応する電圧が、δ−V変換テーブル内に存在しない場合についても、実施例2と同様に、検出温度に対応する圧電素子の表面変位δの補間を行うことが可能となる。
[実施例4]
実施例4は、δ−V変換テーブル内に対応する電圧Vが存在しない場合の他の実施例である。本実施例4では、前述の実施例3のようにδ−V変換テーブル中の最も近い電圧を代用するのではなく、電圧Vに最も近い前後の電圧に対応するそれぞれの圧電素子の表面変位δを用いて、検出温度に対応する圧電素子の表面変位δを線形補間して求めている。つまり、変換前の駆動波形データの電圧Vがδ−V変換テーブルにない場合に、δ−V変換テーブル中の電圧のうちVp≦V≦Vp+1を満たすVp及びVp+1それぞれに対応する表面変位δp及びδp+1の線形補間を行っている。なお、本実施例4において、前述の実施例1〜3と共通する部分については説明を省略する。
実施例4では実施例3と同様の場合について説明する。すなわち、温度センサ92での検出温度が8.5℃であり、ROM81に格納されている駆動波形データの中で8.5℃の前後の温度に対応する駆動波形データが5℃波形と10℃波形とする(図25参照)。
ここで、前述の通り、5℃波形の2.0[μs]〜3.0[μs]間の電圧0.15[V]がδ−V変換テーブルにないため、圧電素子の表面変位δへの変換ができない。この5℃波形に対応する圧電素子の表面変位δを、0.15[V]の前後の電圧に対応する表面変位から線形補間すると0.015[μm]である。この0.015[μm]は次の手順で求めることができる。表1から、電圧0.15[V]の前後の電圧はそれぞれ0.0[V]及び0.20[V]である。また、これら2つの電圧に対応する圧電素子の表面変位δはそれぞれ0.00[μm]及び0.02[μm]である。この2つの表面変位δから、5℃波形電圧に対応する圧電素子の表面変位δを電圧に関して線形補間して求めると、前述の式(2)により、(0.02−0.00)(0.15−0)/(0.20−0)+0=0.015[μm]となる。ここで、式(2)のTをVに置き換えることで電圧による線形補間が可能となる。
このようにδ−V変換テーブルにない電圧に対応する表面変位δを、前後の電圧により線形補間することで、8.5[V]波形の2.0[μs]〜3.0[μs]間の電圧は0.6[V]となる。この0.6[V]は次の手順で求めることができる。前述の通り、5℃波形の電圧0.15[V]の表面変位δは0.015[μm]であり、また10℃波形の1.0[V]に相当する表面変位δは0.044[μm]である。こられの表面変位の値を用いて8.5℃波形に対応する表面変位δを線形補間すると、前述の式(2)により、(0.044−0.015)(8.5−5)/(10−5)+0.015=0.035[μm]となる。この表面変位0.035[μm]に対応する電圧は、表1から、0.6[V]となる。
以上のように、実施例4では、駆動波形中の電圧に対応する電圧が、δ−V変換テーブル内に存在しない場合についても、実施例2、3と同様に、検出温度に対応する圧電素子の表面変位δの補間を行うことが可能となる。
[実施例5]
実施例5は、δ−V変換テーブル内に対応する表面変位δが存在しない場合の実施例である。なお、本実施例5において、前述の実施例1〜4と共通する部分については説明を省略する。
本実施例5では、温度補償制御に用いる駆動波形データがROM81に格納されている前述の図22に示す10℃波形及び15℃波形であり、表2に示すδ―V変換テーブルを用いている。また、本実施例5では、温度センサ92での検知温度が11℃の場合について説明する。
温度センサ92での検知温度が11℃の場合、ROM81に11℃に対応する駆動波形データは格納されておらず、ROM81に格納されている駆動波形データの中で11℃の前後の温度に対応する駆動波形データは10℃波形と15℃波形である(図22参照)。ここで、10℃波形と15℃波形の相違点は0〜1.0[μs]間及び4.0〜5.0[μs]間の電圧であり、10℃波形では15[V]であり、15℃波形では7.0[V]である。これらの波形から11℃波形の圧電素子の表面変位δを算出すると0.159[μm]である。この0.159[μm]は次の手順で求めることができる。表2から、10℃波形の15[V]に相当する表面変位δは0.170[μm]であり、15℃波形の7.0[V]に相当する表面変位δは0.116[μm]である。これらの表面変位δの値を用いて11℃波形に対応する表面変位δを線形補間しても求めると、前述の式(2)により、(0.170−0.116)(11−15)/(10−15)+0.116=0.159[μm]となる。
ここで、11℃波形に対応する表面変位δ(=0.159[μm])から電圧への変換ができない。これは、11℃波形の0〜1.0[μs]間及び4.0〜5.0[μs]間に対応する表面変位δ(=0.159[μm])が表2のδ−V変換テーブル内に存在しないためである。
そこで、本実施例5では、電圧への変換を行うために、11℃波形に対応する表面変位δ(=0.159[μm])に最も近い表面変位δを代用して変換している。これにより、11℃波形の0〜1.0[μs]間及び4.0〜5.0[μs]間の電圧は13.0[V]となる。すなわち、本実施例5の場合、11℃波形の表面変位δ(=0.159[μm])に最も近い表2のδ−V変換テーブル中の表面変位δは0.158[μm]である。この表面変位δの値(=0.158[μm])を11℃波形の表面変位δとして代用すると、これに対応する電圧は表2により13.0[V]となる。
以上のように、実施例5では、駆動波形中の電圧に対応する圧電素子の表面変位δが、δ−V変換テーブル内に存在しない場合についても、実施例2と同様に、検出温度に対応する圧電素子の表面変位δの補間を行うことが可能となる。
[実施例6]
実施例6は、δ−V変換テーブル内に対応する表面変位δが存在しない場合の他の実施例である。なお、本実施例6において、前述の実施例1〜5と共通する部分については説明を省略する。
本実施例6では、実施例5のようにδ−V変換テーブル中の最も近い表面変位を代用するのではなく、最も近い前後の表面変位に対応するそれぞれの電圧の線形補間により、変換テーブル内に存在しない表面変位に対応する電圧を算出して補間するものである。つまり、変換前の圧電素子の液室側の表面変位δがδ−V変換テーブルにない場合は、δ−V変換テーブル中の表面変位のうちδq≦δ≦δq+1を満たすδq及びδq+1それぞれに対応する駆動波形データのVq及びVq+1の線形補間を行っている。
実施例6では前述の実施例5と同様の場合を考える。すなわち、温度センサ92での検出温度が11℃であり、ROM81に格納されている駆動波形データの中で11℃の前後の温度に対応する駆動波形データが10℃波形と15℃波形とする(図22参照)。このとき、前述の通り、11℃波形に対応する表面変位δ(=0.159[μm])が表2のδ−V変換テーブルにないため、電圧への変換ができない。
そこで、11℃波形に対応する電圧Vを、11℃波形に対応する表面変位δ(=0.159[μm])の前後の表面変位から電圧Vの線形補間をすると、13.2[V]である。この電圧13.2[V]は次の手順で求めることができる。表2から、表面変位0.159[μm]の前後にある表面変位はそれぞれ0.158[μm]及び0.161[μm]である。そして、表2から、これら2つの表面変位δに対応する電圧Vはそれぞれ13.0[V]及び13.5[V]である。この2つの電圧から、11℃波形変位に対応する電圧を、変位による線形補間により算出すると、前述の式(2)により、(13.5−13.0)(0.159−0.158)/(0.161−0.158)+13=13.2[V]となる。ここで、式(2)のδをV、Tをδにすることで電圧による線形補間ができる。
以上のように、実施例6では、駆動波形中の電圧に対応する圧電素子の表面変位δが、δ−V変換テーブル内に存在しない場合についても、実施例2、5と同様に、検出温度に対応する圧電素子の表面変位δの補間を行うことが可能となる。
なお、上記実施形態及び各実施例において、液滴吐出ヘッドの圧電素子に出力する駆動信号の駆動波形を入れ替えるタイミングについては、様々なバリエーションが考えられる。例えば、液滴吐出ヘッドの圧電素子に出力する駆動信号の駆動波形を入れ替えるタイミングは、画像形成装置の記録媒体(印刷物)の1ページごと又は複数ページごと、一定時間ごと、液滴空吐出のタイミングごと等に設定してもよい。
また、上記実施形態及び各実施例において、温度検知手段としての温度センサ92の設置場所は、液滴吐出ヘッドの内部だけでなく、液滴吐出ヘッドの外側、画像形成装置の外側、液体タンク(インクカートリッジ)15内等、様々なバリエーションが考えられる。
また、上記実施形態及び各実施例では、圧力発生手段を構成するアクチュエータが圧電素子であるピエゾ方式の液滴吐出ヘッドを備えた場合について説明したが、本発明は、他の方式の液滴吐出ヘッドを備えた場合にも同様に適用することができる。
例えば、本発明は、静電方式の液滴吐出ヘッドの場合に適用できる。この場合、駆動信号の印加によって変化する圧力発生機構の物理的パラメータは、駆動信号が印加される個別電極に対向する振動板の表面変位である。そして、本発明は、個別電極に印加する駆動信号と振動板の表面変位の大きさとの関係が非線形である場合でも、温度変化の影響を受けない安定した液滴吐出特性が得られる。
また、本発明は、バブルジェット方式の液滴吐出ヘッドにも適用することができる。この場合、駆動信号によって変化する圧力発生機構の物理的パラメータは、発熱体の発熱量である。そして、本発明は、発熱体に印加する駆動信号と発熱体の発熱量の大きさとの関係が非線形である場合でも、温度変化の影響を受けない安定した液滴吐出特性が得られる。
また、上記図1及び図2を用いて説明した画像形成装置では、液滴吐出ヘッドから吐出した液滴を用紙に着弾させて画像を形成する場合について説明したが、本発明は、画像形成装置以外の装置にも適用することができる。例えば、本発明は、画像形成用の液滴を着弾させて付与する媒体が、用紙以外の媒体(記録媒体、転写材、記録紙)、例えば糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体である場合も同様に適用することができる。また、本発明は、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与すること場合だけでなく、文字等の意味を持たないパターンを媒体に付与する(単に液滴を吐出する)装置にも適用することができる。また、本発明は、パターニング用の液体レジストを吐出して被着弾媒体上に着弾させる装置にも適用することができる。また、本発明は、遺伝子分析試料を吐出して被着弾媒体上に着弾させる液滴吐出装置や、三次元造型用の液滴吐出装置などにも適用することができる。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
液滴を吐出するノズル110aとノズル110aに連通した個別液室111a等の液室と液室内に圧力を発生させる圧力発生機構の物理的パラメータの大きさが駆動信号によって変化する圧電素子114などの圧力発生手段とを有する液滴吐出ヘッド14と、圧力発生手段に印加する駆動信号を出力するヘッド駆動回路(ドライバIC)88等の駆動信号出力手段と、複数の温度それぞれに対応する駆動信号の駆動波形データが格納されたROM81等の記憶手段と、温度を検知する温度センサ92等の温度検知手段と、温度検知手段の温度検知結果に基づいて駆動信号を出力して圧力発生手段に印加するように駆動信号出力手段を制御するCPU80を有する主制御部101等の制御手段と、を備えた液滴吐出装置であって、前記制御手段は、記憶手段に格納されている複数の温度それぞれに対応する駆動波形データのうち、温度検知手段で検知された検知温度TxについてTn≦Tx≦Tn+1を満たす温度Tn及びTn+1それぞれに対応する駆動波形データを読み出し、温度Tn及びTn+1それぞれに対応する駆動波形データを、温度Tn及びTn+1それぞれに対応する前記圧力発生機構の物理的パラメータの時間変化データに変換し、温度Tn及びTn+1それぞれに対応する前記圧力発生機構の物理的パラメータの時間変化データから、検知温度Txに対応する前記圧力発生機構の物理的パラメータの時間変化データを線形補間して求め、検知温度Txに対応する圧力発生機構の物理的パラメータの時間変化データを、検知温度Txに対応する駆動波形データに変換し、圧力発生手段に印加する駆動信号の生成に用いる駆動波形データを、変換後の検知温度Txに対応する駆動波形データに変更する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、圧力発生手段における駆動信号と圧力発生機構の物理的パラメータの大きさとの関係が非線形である場合に、記憶手段に駆動波形データが記憶されていない検知温度Txに対して次のように温度補償制御を行う。まず、検知温度TxについてTn≦Tx≦Tn+1を満たす温度Tn及びTn+1それぞれに対応する駆動波形データを読み出す。この駆動信号と圧力発生機構の物理的パラメータとの非線形の関係は予め調べておくことができる。従って、上記温度Tn及びTn+1それぞれに対応する駆動波形データを、温度Tn及びTn+1それぞれに対応する圧力発生機構の物理的パラメータの時間変化データに精度よく変換することができる。ここで、温度と圧力発生機構の物理的パラメータのとの関係はほぼ線形の関係であるとみなすことができる。従って、温度Tn及びTn+1それぞれに対応する圧力発生機構の物理的パラメータの時間変化データから、検知温度Txに対応する圧力発生機構の物理的パラメータの時間変化データを精度よく線形補間して求めることができる。そして、前述のように予め調べておくことができる駆動信号と圧力発生機構の物理的パラメータとの非線形の関係により、検知温度Txに対応する圧力発生機構の物理的パラメータの時間変化データを検知温度Txに対応する駆動波形データに精度よく変換できる。以上により、記憶手段に駆動波形データが記憶されていない検知温度Txについて、駆動信号の温度補償制御を精度よく行うことができる。そして、圧力発生手段に印加する駆動信号の生成に用いる駆動波形データを、前記精度よく温度補償制御された変換後の検知温度Txに対応する駆動波形データに変更する。従って、温度変化の影響を受けない安定した液滴吐出特性を得ることができる。しかも、温度検知手段で検知可能なすべての温度範囲について駆動波形データを記憶させておく必要がないので、記憶手段の記憶容量の増加を抑制でき、低コスト化を図ることができる。よって、低コスト化を図りつつ、圧力発生手段における駆動信号と圧力発生機構の物理的パラメータの大きさとの関係が非線形である場合でも温度変化の影響を受けない安定した液滴吐出特性を得ることができる。
(態様B)
上記態様Aにおいて、前記圧力発生手段は、駆動信号が印加されることによりノズル110aから液滴を吐出させる圧力が液室内に圧力が発生するように液室側の表面が変位する電気機械変換素子であり、前記圧力発生機構の物理的パラメータは、前記電気機械変換素子の液室側の表面変位である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、電気機械変換素子に印加する駆動信号と電気機械変換素子の液室側の表面変位の大きさとの関係が非線形である場合でも温度変化の影響を受けない安定した液滴吐出特性を得ることができる。
(態様C)
上記態様Bにおいて、前記電気機械変換素子の液室側の表面変位をδ[μm]とし、前記駆動信号の電圧をV[V]とし、a[μm/V]を定数とし、m及びnを実数としたとき、前記駆動波形データと電気機械変換素子の液室側の表面変位δの時間変化データとの間の変換を、前述の式(5)を用いて行う。これによれば、上記実施形態について説明したように、温度変化の影響を受けない安定した液滴吐出特性を得ることができる電気機械変換素子の種類が拡がる。すなわち、駆動信号の電圧と電気機械変換素子の液室側の表面変位δとの関係を示す特性として様々な非線形特性を有する複数種類の電気機械変換素子についても、温度変化の影響を受けない安定した液滴吐出特性を得ることができる。
(態様D)
上記態様Bにおいて、前記駆動波形データと電気機械変換素子の液室側の表面変位の時間変化データとの間の変換を、予め設けた変換テーブルを用いて行う。
これによれば、上記実施形態について説明したように、駆動波形データと電気機械変換素子の液室側の表面変位の時間変化データとの間の変換を簡易なデータ処理で行うことができる。
(態様E)
上記態様Dにおいて、前記変換テーブルは、駆動波形データの電圧と電気機械変換素子の液室側の表面変位とを互いに対応付けて記憶したものであり、変換前の駆動波形データの電圧Vが前記変換テーブルにない場合は、変換テーブル中の電圧のうち変換前の駆動波形データの電圧Vに最も近い電圧を代用して、変換前の駆動波形データの電圧Vから電気機械変換素子の液室側の表面変位δへの変換を行う。
これによれば、上記実施形態について説明したように、変換テーブルのデータ量を抑制しつつ、変換前の駆動波形データの電圧Vから電気機械変換素子の液室側の表面変位δへの変換を確実に行うことができる。
(態様F)
上記態様Dにおいて、前記変換テーブルは、駆動波形データの電圧と電気機械変換素子の液室側の表面変位とを互いに対応付けて記憶したものであり、変換前の駆動波形データの電圧Vが前記変換テーブルにない場合は、前記変換テーブル中の電圧のうちVp≦V≦Vp+1を満たすVp及びVp+1それぞれに対応する前記電気機械変換素子の液室側の表面変位δp及びδp+1の線形補間により、前記変換前の駆動波形データの電圧Vから前記電気機械変換素子の液室側の表面変位δへの変換を行う。
これによれば、上記実施形態について説明したように、変換テーブルのデータ量を抑制しつつ、前記変換前の駆動波形データの電圧Vから電気機械変換素子の液室側の表面変位δへの変換を確実に行うことができる。
(態様G)
上記態様D乃至Fのいずれかにおいて、前記変換テーブルは、駆動波形データの電圧と電気機械変換素子の液室側の表面変位とを互いに対応付けて記憶したものであり、変換前の電気機械変換素子の液室側の表面変位が前記変換テーブルにない場合は、前記変換テーブル中の表面変位のうち前記変換前の表面変位に最も近い表面変位を代用して、前記変換前の電気機械変換素子の液室側の表面変位から前記駆動波形データの電圧への変換を行う。
これによれば、上記実施形態について説明したように、変換テーブルのデータ量を抑制しつつ、変換前の電気機械変換素子の液室側の表面変位から駆動波形データの電圧への変換を確実に行うことができる。
(態様H)
上記態様D乃至Fのいずれかにおいて、前記変換テーブルは、駆動波形データの電圧と電気機械変換素子の液室側の表面変位とを互いに対応付けて記憶したものであり、変換前の電気機械変換素子の液室側の表面変位δが前記変換テーブルにない場合は、前記変換テーブル中の表面変位のうちδq≦δ≦δq+1を満たすδq及びδq+1それぞれに対応する前記駆動波形データのVq及びVq+1の線形補間により、前記変換前の電気機械変換素子の液室側の表面変位δから前記駆動波形データの電圧Vへの変換を行う。
これによれば、上記実施形態について説明したように、変換テーブルのデータ量を抑制しつつ、変換前の電気機械変換素子の液室側の表面変位から駆動波形データの電圧への変換を確実に行うことができる。
(態様I)
上記態様B乃至Hのいずれかにおいて、前記電気機械変換素子は、前記駆動信号と前記液室側の表面変位との関係が非線形である薄膜の圧電素子である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、薄膜の圧電素子に印加する駆動信号とその薄膜の圧電素子の液室側の表面変位の大きさとの関係が非線形である場合でも温度変化の影響を受けない安定した液滴吐出特性を得ることができる。
(態様J)
上記態様A乃至Iのいずれかにおいて、前記温度検知手段は、前記液滴吐出ヘッドの内部に設けられている。これによれば、上記実施形態について説明したように、液滴吐出ヘッドに備える液室内の液体の温度に対する検知精度を高めることができるため、温度変化の影響を受けない安定した液滴吐出特性をより確実に得ることができる。
(態様K)
画像形成用の液滴を吐出する液滴吐出ヘッドを有する液滴吐出装置として、上記態様A乃至Jのいずれかの液滴吐出装置を備えた画像形成装置である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、低コスト化を図りつつ、温度変化の影響を受けない安定した高い品質の画像形成が可能になる。
(態様L)
上記態様Kにおいて、前記温度検知手段の温度検知結果に基づく駆動波形データの変更タイミングは、前記液滴吐出ヘッドから吐出される液滴によって画像が形成される用紙3等の記録媒体の1ページ毎又は複数ページ毎である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、記録媒体のページの途中で液滴吐出特性が変化することによる画質の低下を防止することができる。
1 画像形成装置の装置本体
2 印字機構部(液滴吐出装置)
14 液滴吐出ヘッド
80 CPU
81 ROM
82 RAM
87 駆動信号生成回路
88 ヘッド駆動回路(ドライバIC)
92 温度センサ
101 主制御部
110 ノズル基板
110a ノズル
111 個別液室基板
111a 個別液室
111b 流体抵抗部
111c 液体供給口
112 保護基板
112a 凹部
112d 開口
113 振動板
114 圧電素子
114a 上部電極(個別電極)
114b 圧電層(圧電膜)
114c 下部電極(共通電極)
特開平10−100401号公報 特開平2−289351号公報 特開平10−202884号公報 特開2004−202884号公報

Claims (12)

  1. 液滴を吐出するノズルと該ノズルに連通した液室と該液室内に圧力を発生させる圧力発生機構の物理的パラメータの大きさが駆動信号によって変化する圧力発生手段とを有する液滴吐出ヘッドと、
    前記圧力発生手段に印加する駆動信号を出力する駆動信号出力手段と、
    複数の温度それぞれに対応する駆動信号の駆動波形データが格納された記憶手段と、
    温度を検知する温度検知手段と、
    前記温度検知手段の温度検知結果に基づいて前記駆動信号を出力して前記圧力発生手段に印加するように前記駆動信号出力手段を制御する制御手段と、を備えた液滴吐出装置であって、
    前記制御手段は、
    前記記憶手段に格納されている前記複数の温度それぞれに対応する駆動波形データのうち、前記温度検知手段で検知された検知温度TxについてTn≦Tx≦Tn+1を満たす温度Tn及びTn+1それぞれに対応する駆動波形データを読み出し、
    前記温度Tn及びTn+1それぞれに対応する駆動波形データを、前記温度Tn及びTn+1それぞれに対応する前記圧力発生機構の物理的パラメータの時間変化データに変換し、
    前記温度Tn及びTn+1それぞれに対応する前記圧力発生機構の物理的パラメータの時間変化データから、前記検知温度Txに対応する前記圧力発生機構の物理的パラメータの時間変化データを線形補間して求め、
    前記検知温度Txに対応する前記圧力発生機構の物理的パラメータの時間変化データを、前記検知温度Txに対応する駆動波形データに変換し、
    前記圧力発生手段に印加する駆動信号の生成に用いる駆動波形データを、前記変換後の検知温度Txに対応する駆動波形データに変更することを特徴とする液滴吐出装置。
  2. 請求項1の液滴吐出装置において、
    前記圧力発生手段は、前記駆動信号が印加されることにより前記ノズルから液滴を吐出させる圧力が前記液室内に圧力が発生するように該液室側の表面が変位する電気機械変換素子であり、
    前記圧力発生機構の物理的パラメータは、前記電気機械変換素子の前記液室側の表面変位である液滴吐出装置。
  3. 請求項2の液滴吐出装置において、
    前記電気機械変換素子の液室側の表面変位をδ[μm]とし、前記駆動信号の電圧をV[V]とし、a[μm/V]を定数とし、m及びnを実数としたとき、前記駆動波形データと前記電気機械変換素子の液室側の表面変位δの時間変化データとの間の変換を、次式を用いて行うことを特徴とする液滴吐出装置。
  4. 請求項2の液滴吐出装置において、
    前記駆動波形データと前記電気機械変換素子の液室側の表面変位の時間変化データとの間の変換を、予め設けた変換テーブルを用いて行うことを特徴とする液滴吐出装置。
  5. 請求項4の液滴吐出装置において、
    前記変換テーブルは、駆動波形データの電圧と電気機械変換素子の液室側の表面変位とを互いに対応付けて記憶したものであり、
    変換前の駆動波形データの電圧が前記変換テーブルにない場合は、前記変換テーブル中の電圧のうち前記変換前の駆動波形データの電圧Vに最も近い電圧を代用して、前記変換前の駆動波形データの電圧から前記電気機械変換素子の液室側の表面変位への変換を行うことを特徴とする液滴吐出装置。
  6. 請求項4の液滴吐出装置において、
    前記変換テーブルは、駆動波形データの電圧と電気機械変換素子の液室側の表面変位とを互いに対応付けて記憶したものであり、
    変換前の駆動波形データの電圧Vが前記変換テーブルにない場合は、前記変換テーブル中の電圧のうちVp≦V≦Vp+1を満たすVp及びVp+1それぞれに対応する前記電気機械変換素子の液室側の表面変位δp及びδp+1の線形補間により、前記変換前の駆動波形データの電圧Vから前記電気機械変換素子の液室側の表面変位δへの変換を行うことを特徴とする液滴吐出装置。
  7. 請求項4乃至6のいずれかの液滴吐出装置において、
    前記変換テーブルは、駆動波形データの電圧と電気機械変換素子の液室側の表面変位とを互いに対応付けて記憶したものであり、
    変換前の電気機械変換素子の液室側の表面変位が前記変換テーブルにない場合は、前記変換テーブル中の表面変位のうち前記変換前の表面変位に最も近い表面変位を代用して、前記変換前の電気機械変換素子の液室側の表面変位から前記駆動波形データの電圧への変換を行うことを特徴とする液滴吐出装置。
  8. 請求項4乃至6のいずれかの液滴吐出装置において、
    前記変換テーブルは、駆動波形データの電圧と電気機械変換素子の液室側の表面変位とを互いに対応付けて記憶したものであり、
    変換前の電気機械変換素子の液室側の表面変位δが前記変換テーブルにない場合は、前記変換テーブル中の表面変位のうちδq≦δ≦δq+1を満たすδq及びδq+1それぞれに対応する前記駆動波形データのVq及びVq+1の線形補間により、前記変換前の電気機械変換素子の液室側の表面変位δから前記駆動波形データの電圧Vへの変換を行うことを特徴とする液滴吐出装置。
  9. 請求項2乃至8のいずれかの液滴吐出装置において、
    前記電気機械変換素子は、前記駆動信号と前記液室側の表面変位との関係が非線形である薄膜の圧電素子であることを特徴とする液滴吐出装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれかの液滴吐出装置において、
    前記温度検知手段は、前記液滴吐出ヘッドの内部に設けられていることを特徴とする液滴吐出装置。
  11. 画像形成用の液滴を吐出する液滴吐出ヘッドを有する液滴吐出装置として、請求項1乃至10のいずれかの液滴吐出装置を備えた画像形成装置。
  12. 請求項11の画像形成装置において、
    前記温度検知手段の温度検知結果に基づく駆動波形データの変更タイミングは、前記液滴吐出ヘッドから吐出される液滴によって画像が形成される記録媒体の1ページ毎又は複数ページ毎であることを特徴とする画像形成装置。
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