JP2003341053A - インクジェット記録装置及び画像形成装置 - Google Patents

インクジェット記録装置及び画像形成装置

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JP2003341053A
JP2003341053A JP2002156255A JP2002156255A JP2003341053A JP 2003341053 A JP2003341053 A JP 2003341053A JP 2002156255 A JP2002156255 A JP 2002156255A JP 2002156255 A JP2002156255 A JP 2002156255A JP 2003341053 A JP2003341053 A JP 2003341053A
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carriage
head
ink
speed
recording apparatus
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JP2002156255A
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Tomoaki Nakano
智昭 中野
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インク滴を安定して噴射させて高品質画像を
形成できるインクジェット記録装置を提供する。 【解決手段】 このヘッド駆動制御部は、主制御部10
1と、インクジェットヘッドを駆動するためのヘッド駆
動部102を備え、ヘッド駆動部102は、与えられた
電圧デ−タを8bitの分解能で出力するDAC103
と、DAC出力レベルに応じて電圧増幅するアンプ10
4と、電圧増幅された駆動波形を低インピーダンスに変
換するSEPP回路105と、SCLK、およびSDを
入力とするシフトレジスタ回路(64bit)とシフト
レジスタ回路の各レジスト値を/LATによってラッチ
するためのラッチ回路(64bit)と64ビットのレ
ベルシフタ回路とレベルシフタ回路でオン/オフが制御
されるアナログスイッチ群とからなるPZT選択回路1
07から構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクジェット記録
装置に関し、特に階調画像を記録可能なインクジェット
記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、プリンタ、ファクシミリ、複写装
置等の画像形成装置の記録部として、比較的安価で小型
に装置を構成可能なインクジェット記録装置が多く使用
されている。このインクジェット記録装置に関する従来
技術として、例えば、記録ヘッドの駆動波形を制御する
ことによって、インク滴吐出量或いはドット径を可変に
してドット間のバラツキを補正したり、階調画像を記録
できるようにしたものとして特開昭57−160654
号公報には、複数の電圧パルスからなるパルス列から、
適宜なパルスを選択的に用いて電気機械変換素子を駆動
し、ノズルから粒子速度及び粒子直径の異なる複数個の
インク粒子を噴射させて、飛翔中に1つのインク粒子に
合体させて記録媒体に着弾させることにより、ドットを
形成するようにした技術が開示されている。しかし、本
公報の発明では、キャリッジの加速区間や減速区間では
印字ヘッドは安定した吐出ができず、印字品質が劣化す
るという問題点があった。この問題を解決するために、
特開2001−277484公報には、印字媒体に印字
を行う印字ヘッドと、当該印字ヘッドを前記印字媒体に
対して相対的に移動させる移動手段と、前記印字ヘッド
と前記印字媒体との相対移動速度を検出する速度検出手
段と、前記速度検出手段により検出された相対移動速度
に基づいて、当該印字ヘッドを駆動する駆動信号の波形
を変更して前記印字ヘッドを駆動する制御手段とを備え
ることにより、ヘッドと印字媒体の相対速度検出手段と
相対移動速度に応じて、インクの残留振動を打ち消すキ
ャンセルパルスを付加するように波形を変更する技術が
開示されている。しかし、本公報の発明では、インク着
弾位置を決定する要因のうち、ヘッドの移動速度の影響
を改善するためには、速度制御の精度を高めなければな
らず、これがコストダウンの阻害要因となっていた。
【0003】また、このコストダウンの阻害要因を解消
するために特開平9−193394号公報には、簡単な
構成で記録媒体上におけるインク付着位置を制御して、
高品位の印刷を得ることができるインクジェット記録方
法及びその装置について開示されている。これによる
と、インクジェットヘッドを搭載したキャリッジが走行
中に、ヘッドより用紙に向かってインクを吐出した時の
インクの着弾位置のずれ量を求める。又、速度検出器に
よりキャリッジの移動速度を求め、その移動速度で、キ
ャリッジがずれ量分を移動するのに要する時間を求め、
その時間だけヘッドよりのインク吐出タイミングをずら
すことにより、正確に所望の位置にインクを吐出して付
着させることができるとしている。しかしながら、本公
報の発明では、インクの吐出タイミングを制御するもの
であるが、インク噴射方向はキャリッジ速度ベクトルと
インク噴射速度ベクトルの合成方向で決まるので、キャ
リッジ速度が変動するとインク噴射方向も変動すること
になり、ノズル面に対するインク噴射角が一定内に収ま
らず、インク噴射安定性に欠ける。また、吐出タイミン
グで補正しようとするとヘッドの繰り返し駆動周期内に
制約されるといった問題がある。
【0004】また、記録媒体上の凹凸の有無に関りな
く、インクを規定の位置に着弾させて、印字品質を確保
する技術として、特開平10−217444号公報に
は、少なくとも印刷方向前方の記録媒体の印刷面とイン
クジェット式記録ヘッドとの相対距離を測定する距離測
定手段と、相対距離に基づいて記録ヘッドに供給する駆
動信号のレベルを調整する駆動信号発生手段とを備え、
記録ヘッドのノズル開口面と記録媒体との相対距離に対
応して、駆動信号のレベルを調整してインク滴の飛行速
度を調整し、インク滴のキャリッジ移動方向の飛行距離
を修正する技術が開示されている。しかし、本公報の発
明は、駆動波形を制御する点で本発明と類似するが、ヘ
ッドと紙面間距離の変動に対してのみ有効で、キャリッ
ジ速度変動を補正する本発明とは本質的に異なる発明で
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】インクジェット記録装
置は今後、安価で小型であるばかりでなく、画像品質の
高画質化が強く要求されている。この要求に応えるため
には、記録ヘッドから吐出するインク着弾位置とキャリ
ッジとの関係を明らかにして、紙面上のドットの着弾位
置精度を高めることが重要である。特に、キャリッジ移
動(主走査)と紙送り(副走査)によって画像を順次形
成するインクジェットプリンタの場合、ドット位置精度
はインクの噴射方向、噴射速度、キャリッジ速度、ヘッ
ドと紙面間距離の変動量、および紙送り精度によって決
まると考えられる。しかしながら、従来の技術では記録
ヘッドからのインク噴射速度とキャリッジ速度との関係
に着目したものはなく、本質的な問題点の解決までには
至っていなかった。本発明は、かかる課題に鑑み、イン
ク滴を安定して噴射させて高品質画像を形成できるイン
クジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はかかる課題を解
決するために、請求項1は、インク滴が吐出されるノズ
ル、前記インクを貯蔵して外圧力で変形することにより
前記インクに圧力を加える加圧液室、及び該加圧液室を
変形させる加圧発生手段を有するチャネルを複数備えた
記録ヘッドと、該記録ヘッドを主走査方向に移動させる
キャリッジと、を備えたインクジェット記録装置であっ
て、該インクジェット記録装置は、各種データ及び信号
に基づいて前記記録ヘッドに備えられた前記加圧発生手
段に駆動波形を印加するヘッド駆動手段を備え、該ヘッ
ド駆動手段は、前記記録ヘッドのノズルからのインク噴
射速度を前記キャリッジの速度変動に応じて可変とする
ように前記加圧発生手段を制御する構成を備えているこ
とを特徴とする。インクジェット記録装置の記録ヘッド
は、1つのノズルからインク液を吐出するためにインク
を貯蔵して、そのインクに圧力を印加するインク加圧液
室と、その加圧液室を変形させる加圧発生手段により1
つのチャネルが形成され、このチャネルが多数集まって
1つの記録ヘッドを構成している。そして、インクジェ
ット記録装置は、この記録ヘッドを主走査方向に移動す
るキャリッジにより1ライン以上のデータを記録するよ
うに構成されている。そのため、主走査方向の印字品質
はキャリッジの移動精度に大きく左右されるため、一般
的にはキャリッジの速度が安定してから印字を開始して
いた。そのため、印字可能領域が限定されて狭くなり、
その領域を広げようとすると、キャリッジの駆動モータ
を大きくして立ち上がり速度を速くしなければならず、
コスト的に問題があった。そこで、本発明では、キャリ
ッジの移動速度変動に応じて記録ヘッドのインク噴射速
度を可変とすることにより、前記問題の解決を図ったも
のである。かかる発明によれば、記録ヘッド内の加圧発
生手段に供給する駆動波形を、キャリッジの移動速度変
動に応じて可変となるように制御することにより、イン
クの着弾位置のずれを無くして印字品質の劣化を防ぐこ
とができる。
【0007】請求項2は、前記ヘッド駆動手段は、前記
キャリッジの加速によって一定速度に達したときの一定
速度をVcr0とし、前記キャリッジが当該インクジェ
ット記録装置の印字領域を通過して、前記一定速度に加
速するまでの前記キャリッジの移動速度Vcrrとした
とき、その時の前記記録ヘッドのノズルからのインク噴
射速度Vjrが、Vcrr=α×Vcr0(但し、1/
2≦α≦1)のとき、Vjr=α×Vj0となるように
前記加圧発生手段を制御する構成を備えていることを特
徴とする。インクの噴射方向は、キャリッジ速度とその
時のインクの噴射速度とのベクトルの合成で決定され
る。従って、キャリッジが一定速度Vcr0のときの、
インクの噴射速度をVj0とすると、噴射方向はVj0
とVcr0の速度ベクトルの合成できまり、その時の噴
射角θ0は、tanθ0=Vcr0/Vj0で与えられ
る。しかし、キャリッジ速度が一定速度に達する過程で
の加速速度をVcrrとしたとき、インクの噴射速度V
j0をそのままの速度で噴射した場合、例えば、Vcr
r=1/2Vcr0(α=1/2)のときは、噴射角θ
1はtanθ1=Vcrr/Vj0となり、θ0>θ1
となってインク着弾位置はその分手前にずれることにな
る。本発明では、θ0=θ1となるように補正するため
に、キャリッジの速度変動に応じてインクの噴射速度V
jをVj=1/2Vj0(α=1/2)とすることで噴
射角を一定に保ち、インク着弾位置をキャリッジの一定
速度時の着弾位置と同一にすることができる。この関係
を一般式で表現するとVcrr=α×Vcr0(但し、
1/2≦α≦1)のとき、Vjr=α×Vj0となる。
かかる発明によれば、キャリッジの速度が一定速度に達
する過程で、インク着弾位置をキャリッジの一定速度時
の着弾位置と同一にするために、キャリッジの加速速度
がVcrr=α×Vcr0(但し、1/2≦α≦1)の
とき、インクの噴射速度VjrをVjr=α×Vj0に
制御することにより、キャリッジが印字可能領域に達し
た際に、キャリッジの速度が一定速度に達していない場
合でも、αの値を適宜設定することにより、インクの着
弾位置を常に同じ位置にすることができる。
【0008】請求項3は、前記ヘッド駆動手段は、前記
キャリッジの加速によって一定速度に達したときの一定
速度をVcr0とし、前記キャリッジが一定速度から減
速する過程で、前記キャリッジが当該インクジェット記
録装置の印字領域外に到達するまでの前記キャリッジの
移動速度をVcrfとしたとき、その時の前記記録ヘッ
ドのノズルからのインク噴射速度Vjfが、Vcrf=
α×Vcr0(但し、1/2≦α≦1)のとき、Vjf
=α×Vj0となるように前記加圧発生手段を制御する
構成を備えていることを特徴とする。請求項2はキャリ
ッジが加速する場合であり、同じようにキャリッジが減
速する場合も、印字領域の終了時点の手前から減速を開
始して、加速時と同じ勾配で印字領域外に達するまで減
速される。その時も請求項2と同様に減速中のインクの
着弾位置が移動しないように、キャリッジ速度がVcr
f=α×Vcr0(但し、1/2≦α≦1)のとき、V
jf=α×Vj0となるように前記加圧発生手段が制御
される。かかる発明によれば、キャリッジの速度が一定
速度から減速する過程で、インク着弾位置をキャリッジ
の一定速度時の着弾位置と同一にするために、キャリッ
ジの減速速度がVcrf=α×Vcr0(但し、1/2
≦α≦1)のとき、インクの噴射速度VjfをVjf=
α×Vj0に制御することにより、キャリッジが減速を
開始して、キャリッジの速度が一定速度に達していない
場合でも、αの値を適宜設定することにより、インクの
着弾位置を常に同じ位置にすることができる。
【0009】請求項4は、前記ヘッド駆動手段は、前記
加圧発生手段の駆動波形の電圧、若しくは立ち上げ時定
数、若しくは立下り時定数の何れかをインク噴射量の変
動を低減させるインク噴射速度になるように制御する構
成を備えていることを特徴とする。加圧発生手段の駆動
波形の電圧とインク噴射速度との間には比例関係があ
る。つまり、駆動電圧を高くするとそれに比例してイン
ク噴射速度が上昇する。また、駆動波形の立ち上げ時定
数を長くするとインク噴射速度は低下する。そして、そ
れに伴って、インク噴射量は駆動電圧を高くすると、そ
れに比例してインク噴射量は上昇し、立ち上げ時定数を
長くするとインク噴射量は低下してしまう。従って、イ
ンク噴射量の変動を極力低減させるインク噴射速度にな
るように、駆動電圧と駆動波形の立ち上げ時定数を決定
しなければならない。また、立下り時定数についても、
同様に決定されなければならない。かかる発明によれ
ば、駆動電圧と駆動波形の立ち上げ時定数、若しくは立
下り時定数をインク噴射量の変動を極力低減させるイン
ク噴射速度になるように設定するので、ドット径を一定
に保ち印字品質を維持することができる。
【0010】請求項5は、画像形成装置は、請求項1乃
至4の何れか一項に記載のインクジェット記録装置を備
えたことを特徴とする。かかる発明によれば、記録部に
本発明のインクジェット記録装置を備えることにより、
印字領域が広く、且つ印字品質の優れた画像形成装置を
提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図に示した実施形
態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載
される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配
置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそ
れのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎな
い。図1は本発明の実施形態に係るインクジェット記録
装置の機構部の概略図である。また、図2は図1の要部
概略斜視図である。図1、図2を参照して説明する。こ
のインクジェット記録装置は、左右の側板1、2(図2
参照)を支持するガイドロッド3と、キャリッジ5を主
走査方向に位置決めするガイド板4と、このガイド板4
でキャリッジ5を主走査方向(図2の矢示A方向)に摺
動自在に保持され、キャリッジ5の下面側にはインクジ
ェットヘッドからなりインク滴吐出方向を下方に向けて
装着された記録ヘッド6と、キャリッジ5の上面側には
記録ヘッド6に各色のインクを供給するためのインクタ
ンク(インクカートリッジ)7と、ステッピングモータ
からなる主走査モータ15と、主走査モータ15で回転
される駆動プーリ16と、駆動プーリ16と従動プーリ
17間に張装したタイミングベルト18と、用紙20を
副走査方向(図2の矢示B方向)に搬送するためのプラ
テンローラ21と、このプラテンローラ21の周面に押
し付けて配設した給紙ローラ22、23と、用紙送り角
を規定するピンチローラ24と、記録ヘッド6が対向す
るガイド板25と、記録ヘッド6より用紙搬送方向下流
側の排紙ローラ26と、この排紙ローラ26に押し付け
られて当接する用紙押え用拍車ローラ27と、から構成
されている。
【0012】次に、本実施形態におけるインクジェット
記録装置の概略動作について説明する。まず、前記記録
ヘッド6は、イエロー(Y)のインクを吐出するヘッ
ド、マゼンタ(M)のインクを吐出するヘッド、シアン
(C)のインクを吐出するヘッド及びブラック(Bk)
のインクを吐出するヘッドを主走査方向に配置したもの
である。また、キャリッジ5は、主走査モータ15で回
転される駆動プーリ16と従動プーリ17との間に張装
したタイミングベルト18に連結して、主走査モータ1
5を駆動制御することによってキャリッジ5、即ち記録
ヘッド6が主走査方向に移動されるようにしている。そ
して、ステッピングモータからなる副走査モータ28の
回転をギヤ29〜31及びプラテンギヤ32を介してプ
ラテンローラ21に伝達して、プラテンローラ21を回
転駆動することによって給紙部33に収納した用紙20
をプラテンローラ21と給紙ローラ22、23及び用紙
押え用ローラ24を経て、記録ヘッド6とガイド板25
との間に送り込み、プラテンローラ21で用紙20を副
走査方向に移動させながら、プラテンギヤ32に噛み合
うギヤ34を介して回転される排紙ローラ26及び用紙
押え用拍車ローラ27で用紙20を排紙方向(図2の矢
示B方向)に送り出す。このように、記録ヘッド6(キ
ャリッジ5)を主走査方向に移動走査させながら、用紙
20を副走査方向に搬送して、記録ヘッド6の各ヘッド
のノズルから所要の色のインク滴を吐出させることによ
って、用紙20上に所要のカラー画像(黒画像を含
む。)を記録するものである。また、この記録装置にお
いては、キャリッジ5の主走査領域の右側部分に、記録
ヘッド6の信頼性維持回復機構(サブシステム)35を
配設し、印字待機状態にあるとき、ホスト側から所定時
間印刷データが転送されないとき、或いは予め定めた時
間間隔などで、記録ヘッド6を移動させてヘッドのノズ
ル面やノズルの汚れを除去するなどの信頼性維持回復動
作を行うようになっている。
【0013】次に、記録ヘッドを構成しているインクジ
ェットヘッドの一例について図3乃至図5を参照して説
明する。なお、図3はインクジェットヘッドの分解斜視
図、図4は同ヘッドのチャンネル方向(ノズル配列方
向)と直交する方向の要部拡大断面図、図5は同ヘッド
のチャンネル方向の要部拡大断面図である。このインク
ジェットヘッドは、大きく分けて駆動ユニット41と、
液室ユニット42と、ヘッドカバー43とから構成され
ている。駆動ユニット41は、セラミックス基板、例え
ばチタン酸バリウム、アルミナ、フォルステライトなど
の絶縁性の基板44上に、エネルギー発生素子である複
数の積層型圧電素子45を列状に2列配置して接合し、
これら2列の各圧電素子45の周囲を取り囲む樹脂、セ
ラミック等からなるフレーム部材(支持体)46を接着
剤47によって接合している。
【0014】また、複数の圧電素子45は、インクを液
滴化して吐出させるための駆動パルスが与えられる複数
の駆動部圧電素子48と、この駆動部圧電素子48間に
位置し、駆動パルスが与えられずに単に液室ユニット4
2を基板44に固定する液室支柱部材となる複数の非駆
動部圧電素子49とを交互に配置した構成となってい
る。ここで、圧電素子45としては10層以上の積層型
圧電素子を用いている。この積層型圧電素子は、例えば
図4に示すように、厚さ10〜50μm/1層のチタン
酸ジルコン酸鉛(PZT)50と、厚さ数μm/1層の
銀・パラジューム(AgPd)からなる内部電極51と
を交互に積層したものであるが、圧電素子として用いる
材料は上記に限られるものでなく、その他の電気機械変
換素子を用いることもできる。また、各圧電素子45の
内部電極51は1層おきにAgPdからなる左右の端面
電極52、53(2つの圧電素子列の対向する面側を端
面電極52とし、対向しない面側を端面電極53とす
る。)に接続している。一方、基板44上には、図3に
示すようにNi・Au蒸着、Auメッキ、AgPtペー
スト印刷、AgPdペースト印刷等によって共通電極5
4及び選択電極55の各パターンを設けている。そし
て、各列の各圧電素子45の対向する端面電極52を導
電性接着剤56を介して共通電極54に接続し、他方、
各列の各圧電素子45の対向しない端面電極53も同じ
く導電性接着剤56を介してそれぞれ選択電極55に接
続している。これにより、駆動部圧電素子48に駆動電
圧(駆動エネルギー)を与えることによって、積層方向
に電界が発生して、駆動部圧電素子48には積層方向の
伸びの変位(d33方向の変位)が発生される。なお、
共通電極54は、図4にも示すように、フレーム部材4
6に設けた穴46a内に導電性接着剤56を充填するこ
とで各圧電素子に接続されたパターンの導通を取ってい
る。
【0015】一方、液室ユニット42は、金属薄膜の積
層体からなる複層構造の振動板57と、ドライフィルム
レジスト(DFR)からなる感光性樹脂層で形成した2
層構造の液室隔壁部材58と、金属、樹脂等からなるノ
ズルプレート59とを順次を積層し、熱融着して形成し
ている。これらの各部材によって、1つの圧電素子45
(駆動部圧電素子48)と、この1つの圧電素子45に
対応するダイアフラム部60と、各ダイアフラム部60
を介して加圧される加圧液室61と、この加圧液室61
の両側に位置して加圧液室61に供給するインクを導入
する共通液室62と、加圧液室61と共通液室62とを
連通する流体抵抗部を兼ねたインク供給路63と、加圧
液室61に連通するノズル64とによって1つのチャン
ネルを形成し、このチャンネルを複数個2列設けてい
る。また、振動板57は、2層構造のニッケルメッキ膜
からなり、駆動部圧電素子48に対応する前記ダイアフ
ラム部60と、駆動部圧電素子48と接合するためにこ
のダイアフラム部60の中央部に一体的に形成した島状
凸部65と、非駆動部圧電素子49に接合する梁となる
66及びフレーム部材46に接合する周辺厚肉部67と
を形成している。また、液室隔壁部材58は、振動板5
7側に予めドライフィルムレジストを塗布して所要のマ
スクを用いて露光し、現像して所定の液室パターンを形
成した第1感光性樹脂層68と、ノズルプレート59側
に予めドライフィルムレジストを塗布して所要のマスク
を用いて露光し、現像して所定の液室パターンを形成し
た第2感光性樹脂層69とを熱圧着で接合している。
【0016】ノズルプレート59にはインク滴を吐出さ
せるための微細な吐出口であるノズル64を多数を形成
している。このノズル64の内部形状(内側形状)は、
略円柱形状、略円錘台形状、ホーン形状等に形成され
る。また、このノズル64の径はインク滴出口側の直径
で約25〜35μmである。このノズルプレート59の
インク吐出面(ノズル表面側)は、図3にも示すように
撥水性の表面処理を施した撥水処理面70としている。
この撥水処理面70は例えば、PTFE−Ni共析メッ
キやフッ素樹脂の電着塗装、蒸発性のあるフッ素樹脂
(例えばフッ化ピッチなど)を蒸着コートしたもの、シ
リコン系樹脂・フッ素系樹脂の溶剤塗布後の焼き付け
等、インク物性に応じて選定した撥水処理膜を設けて、
インクの滴形状、飛翔特性を安定化し、高品位の画像品
質を得られるようにしている。なお、ノズルプレート5
9の周縁部は撥水処理膜を形成しない非撥水処理面71
としている。これらの駆動ユニット41と液室ユニット
42とはそれぞれ別個に加工、組立を行なった後、液室
ユニット42の振動板57と駆動ユニット41の圧電素
子45及びフレーム部材46とを接着剤72で接合して
構成される。そして、基板44をヘッド支持部材である
スペーサ部材(ヘッドホルダ)73上に支持して保持
し、このスペーサ部材73内に配設したヘッド駆動用I
C等を有するPCB基板と駆動ユニット41の各圧電素
子45(駆動部電素子48)に接続した各電極54、5
5とをFPCケーブル74を介して接続している。ま
た、ノズルカバー(ヘッドカバー)43は、ノズルプレ
ート59の周縁部及びヘッド側面を覆う箱状に形成した
ものであり、ノズルプレート59の撥水処理面70に対
応して開口部を形成し、ノズルプレート59の周縁部に
残した非撥水処理面71に接着剤にて接着接合してい
る。さらに、このインクジェットヘッドには、図示しな
いインクカートリッジからのインクを液室に供給するた
め、スペーサ部材73、基板44、フレーム部材46及
び振動板57にそれぞれインク供給穴75〜78を設け
ている。
【0017】このインクジェットヘッドにおいては、記
録信号に応じて駆動部圧電素子48に駆動波形(10〜
50Vのパルス電圧)を印加することによって、駆動部
圧電素子48に積層方向の変位が生起し、振動板57の
ダイアフラム部60を介して加圧液室61が加圧されて
圧力が上昇し、ノズル64からインク滴が吐出される。
このとき、加圧液室61から共通液室62へ通じるイン
ク供給路63方向へもインクの流れが発生するが、イン
ク供給路63の断面積を狭小にすることで流体抵抗部と
して機能させて共通液室62側へのインクの流れを低減
し、インク吐出効率の低下を防いでいる。そして、イン
ク滴吐出の終了に伴い、加圧液室61内のインク圧力が
低減し、インクの流れの慣性と駆動パルスの放電過程に
よって加圧液室61内に負圧が発生してインク充填行程
へ移行する。このとき、インクタンクから供給されたイ
ンクは共通液室62に流入し、共通液室62からインク
供給路63を経て加圧液室61内に充填される。そし
て、ノズル64の出口付近のインクメニスカス面の振動
が減衰し、表面張力によってノズル64の出口付近に戻
されて(リフィル)安定状態に至れば、次のインク滴吐
出動作に移行する。
【0018】図6は、本インクジェット記録装置の制御
部のブロック図である。この制御部は、この記録装置全
体の制御を司るマイクロコンピュータ(以下、CPUと
記す)80と、必要な固定情報を格納したROM81
と、ワーキングメモリ等として使用するRAM82と、
画像情報を処理したデータを格納する画像メモリ83
と、ホストと操作パネルとのデータ授受のためのパラレ
ル入出力(PIO)ポート84と、そのデータを一旦蓄
積する入力バッファ85と、ゲートアレー(GA)或い
はパラレル入出力(PIO)ポート86と、ヘッド駆動
回路87及び主操作、副操作モータを駆動するドライバ
88等により構成されている。ここで、PIOポート8
4にはホスト側からの画像情報の他、用紙の種別を示す
用紙種別データ、図示しない操作パネルからの各種指示
情報、用紙の始端、終端を検知する紙有無センサからの
検知信号、キャリッジ5のホームポジション(基準位
置)を検知するホームポジションセンサ等の各種センサ
からの信号等が入力され、またこのPIOポート84を
介してホスト側や操作パネル側に対して所要の情報が送
出される。また、ヘッド駆動回路87は、PIOポート
86を介して与えられる各種データ及び信号に基づい
て、記録ヘッド6の各ノズルに対応するエネルギー発生
素子(圧電素子)の内の、画像情報に応じた駆動ノズル
(インク滴を吐出させるノズル)のエネルギー発生素子
に対して複数の駆動波形の中から選択した駆動波形を印
加する。さらに、ドライバ88は、PIOポート88を
介して与えられる駆動データに応じて、主走査モータ1
5及び副走査モータ28を各々駆動制御することで、キ
ャリッジ5を主走査方向に移動走査し、プラテン21を
回転させて用紙20を所定量搬送させる。
【0019】次に、この制御部内の記録ヘッドの駆動制
御に係わる部分の詳細について図7を参照して説明す
る。なお、図7では1つのヘッドの駆動制御に係る部分
のみを示している。ここで、記録ヘッド6を構成するイ
ンクジェットヘッドHは、上述したように複数(ここで
は32個とする。)のノズル64に対応する32個のエ
ネルギー発生素子である圧電素子PZTを有し、各圧電
素子PZTの一方の電極は共通化して共通電極Com
(図3の共通電極54である。)とし、他方の電極は各
圧電素子PZT毎に個別に選択可能な選択電極SEL
(図3の個別電極55である。)としている。なお、実
際にはノズル64は2列設けているので、64個のノズ
ル64を有することになる。このヘッド駆動制御部は、
図6のCPU80、ROM81、RAM82及び周辺回
路を含む主制御部101と、インクジェットヘッドを駆
動するためのヘッド駆動部102を備えている。ここ
で、ヘッド駆動部102は、与えられた電圧デ−タを例
えば3V〜5Vの出力範囲を8bitの分解能で出力す
るDAC103と、3〜30V(フルスケ−ル時)の範
囲でDAC出力レベルに応じて電圧増幅するアンプ10
4と、電圧増幅された駆動波形を低インピーダンスに変
換するSEPP回路105と、SCLK、およびSDを
入力とするシフトレジスタ回路(64bit)とシフト
レジスタ回路の各レジスト値を/LATによってラッチ
するためのラッチ回路(64bit)と64ビットのレ
ベルシフタ回路とレベルシフタ回路でオン/オフが制御
されるアナログスイッチ群とからなるPZT選択回路1
07から構成されている。
【0020】次に、図6と図7を参照して動作について
説明する。主制御部101はパーソナルコンピュータ等
のホスト側から与えられる画像情報を入力して、ヘッド
駆動部102に対してヘッドを駆動するタイミングに合
わせて、8bitの波形データを順次DAC103に入
力する。DAC103は与えられた電圧データを、例え
ば3V〜5Vの出力範囲を8bit(256階調)の分
解能で出力する。つまり、8bitのデ−タ入力ステッ
プが250nsの場合、tr=5us、Vp=30V
(フルスケ−ル)のとき、DACの出力は20ステップ
の時間刻みで、約0.1V/ステップで3〜5Vまで上
昇する。駆動波形の立下り時も同様に、tf=10us
であれば40ステップで5〜3Vまで下降する。また、
駆動波形に要する時間(立ち上がり開始から、立下り終
了までの時間)が50usとすると、200ステップで
フルスケ−ル5Vの駆動波形が形成され、ヘッドの駆動
タイミングに合わせて繰り返し出力される。そして、前
記駆動波形はアンプ104を介して3〜30V(フルス
ケ−ル時)の範囲でDAC出力レベルに応じて電圧増幅
される。電圧増幅された駆動波形は、SEPP回路10
5(NPNトランジスタおよびPNPトランジスタのト
ーテンポール接続)等で構成される低インピ−ダンス回
路を介して、PZT107選択回路へ入力される。一
方、主制御部101は、インクを噴射させるノズルを指
定するためのシリアルデータSD(ノズルデータ)と、
シフトクロックSCLK、ラッチ信号/LATをPZT
選択回路107へ入力する。そして、PZT選択回路1
07はSCLK、およびSDを入力とするシフトレジス
タ回路(64bit)と、シフトレジスタ回路の各レジ
スト値を/LATによってラッチするためのラッチ回路
(64bit)と、64ビットのレベルシフタ回路とレ
ベルシフタ回路でオン/オフが制御されるアナログスイ
ッチ群とから構成されている。ここで、アナログスイッ
チ群は各PZTの選択電極SELに接続され、駆動波形
が入力されている。そしてシフトレジスタ回路にSCL
K、SDを取りこみ、/LATによって取りこんだシリ
アルデータをラッチ回路でラッチしてレベルシフタ回路
に入力する。このレベルシフタ回路は、データの内容に
応じて各PZTに接続されるアナログスイッチをオンす
ることで、駆動波形が選択されたPZTに印加される。
このように各PZTに印加される駆動波形は、前記DA
Cに入力される8bitの電圧データ値を250nsの
時間刻みで制御されるので、電圧Vpおよび立ち上げ時
定数trはDACに入力する電圧データを可変させれば
容易に制御することができる(詳細は後述する)。
【0021】次に、キャリッジとインク噴射速度との関
係により、インクの着弾点が移動する様子を説明するた
めに図8から図10を参照して説明する。図8は、キャ
リッジ速度が一定速(Vcr0)のときの、インクの噴
射方向Aとヘッド(ノズル面)Nに対向する紙面Pに着
弾する様子を示す図である。インクの噴射速度Vj=V
j0のとき、噴射方向AはVj0とVcr0の速度ベク
トルの合成できまり、噴射角θ0はtanθ0=Vcr
0/Vj0で与えられる。その時の着弾点はaとなる。
図9は、図8のキャリッジ速度がVcr0からVcr1
変動し、Vcr1=1/2Vcr0となった場合の、イ
ンクの着弾点の移動を説明する図である。ここで、イン
クの噴射速度Vj=Vj0のままで、キャリッジ速度が
Vcr0からVcr1変動すると、噴射角はθ0からθ
1となるため(tanθ1=Vcr1/Vj0)インク
の噴射方向はBとなり、紙面Pの着弾点bは元の位置a
とdxだけ異なる位置にインクが着弾してしまう。図1
0は、本発明によるキャリッジとインク噴射速度との関
係を説明する図である。図9で紙面Pの着弾点bを元の
位置aに戻すためには、θ1=θ0とする必要がある。
そのためには、キャリッジの速度変動に応じてVjをV
j1=1/2Vj0とすることで図10に示すように、
噴射角がθ0となり噴射方向Aを一定に保ち、インク着
弾位置をキャリッジの速度変動前と同一のaにすること
ができる。以上が本発明による基本的な説明であり、以
下、さらに具体的に動作説明を行う。
【0022】図11は、図8から図10までの説明に基
づいて、キャリッジが停止位置から加速して一定速に達
し、往復動作をするために減速したときの、インク噴射
速度と駆動電圧との関係を表す図である。(a)はキャ
リッジ速度を示す図であり、(b)はインク噴射速度を
示す図であり、(c)は記録ヘッドの駆動電圧波形を表
す図である。一般にキャリッジは主走査方向に移動しな
がらインクを噴射し、1ラインの画像を繰り返し形成す
る。従って、キャリッジが動き始めて一定速度に達する
までの加速区間と、一定速度から減速して停止する減速
区間が存在する。そして、加速インク着弾位置が同一ピ
ッチを確保できる領域は、従来の方式ではキャリッジ速
度が一定速Vcr0の領域A(a1〜a2)である。こ
れは、キャリッジの速度が一定速度に安定しないと、イ
ンク着弾点が前記図9のようにずれてしまうためであ
る。本発明を前記キャリッジの往復動作に適用すると、
図11(a)から、キャリッジが停止位置Sから加速し
て速度Vcr1に達したとき(S1の点)、本発明の印
字領域Bの開始点b1に到達する。そのとき、ヘッドの
インク噴射を可能とするために、前記図10のようにイ
ンク噴射速度Vj1を、Vcr1=1/2Vcr0なの
で、Vj1=1/2Vj0と設定される。その後、キャ
リッジ速度Vcrは少しずつ速度が上昇され、 Vcr=α×Vcr0のとき、(1/2≦α≦1) Vj=α×Vj0 …(1) の関係で、インク噴射速度Vjも1/2Vj0から加速
される。そして、キャリッジが一定速度になったときは
(S2の点)、Vjも一定値Vj0にする。さらに、キ
ャリッジがS3から減速領域に入ったら、インク噴射速
度は、加速時と同様にVcrに応じて(1)式にしたが
ってVjを設定すればよい。つまり、S4ではα=1/
2であるから、Vj=1/2×Vj0に設定される(図
11(b)参照)。このように、Vjを可変制御すれ
ば、従来の印字領域AからBに拡大することができ、し
かも加速区間と減速区間でも印字品質を損なうことなく
印字が可能である。図11(c)の駆動電圧は、図11
(b)のインク噴射速度を可変にするために設定され
る。つまり、駆動電圧に比例してインク噴射速度が上昇
するので、両者の関係を予め測定しておけば、駆動電圧
のみでインク噴射速度を制御することができる(詳細は
後述する)。
【0023】次に、インク噴射速度Vjの可変方法につ
いて説明する。図12は押し打ち方式のヘッドの駆動波
形の例を示す図である。図12(a)の波形は電圧Vp
0、立ち上げ時定数tr0、立ち下げ時定数tf0を有
し、立ち上げ時の電圧勾配(tr0)で、後述する電気
機械変換素子(PZT)をヘッドの液室内が加圧される
ように変形させ、インクを噴射させるいわゆる“押し打
ち”方式の波形である。このような波形ではVjを下げ
るためには図14(a)に示すように駆動電圧Vp0を
下げるか、(b)に示すように立ち上げ時定数tr0を
長くすればよいことがわかる。また、前記図10のVc
r1=1/2Vcr0の場合、図12(b)に示すよう
に、Vp=Vp1に設定することで、図14(a)から
Vj1=1/2Vj0を得ることができる。さらにVc
r=α×Vcr0のときは、Vj=α×Vj0になるよ
うなVpを図14(a)の勾配から容易に設定すること
ができる。このように設定されるVpを図11(c)に
示すようにインク噴射速度Vjに応じて可変させれば、
印字領域Bの範囲でインク着弾位置を一定間隔とするこ
とができる。また、図13(a)の波形は、バイアス電
圧Vp0、立ち上げ時定数tr0、立ち下げ時定数tf
0を有し、立ち下げ時の電圧勾配(tf0)で電気機械
変換素子(PZT)をヘッドの液室内を減圧させるよう
に変形させ、その後、立ち上げ時の電圧勾配(tr0)
で、電気機械変換素子(PZT)をヘッドの液室内が加
圧されるように変形させ、インクを噴射させるいわゆる
“引き打ち”方式の波形である。引き打ち波形の場合
も、押し打ち波形と同様に図13(b)に示すような波
形を設定すればよい。
【0024】図12(b)および図13(b)は、駆動
電圧Vpを制御する例であるが、図14(b)に示すよ
うに、立ち上げ時定数trを大きくして、インク噴射速
度Vjを低下させる方法でもよい。また、図14
(c)、(d)によると、駆動電圧Vpあるいは立ち上
がり時定数trを可変させた場合、同時にインク噴射量
Mjも変動してしまう。このインク噴射量の変動は、紙
面上のドット径が変化して濃度のムラとして現れる。こ
れを防止するために、図12(C)および図13(c)
に示すように、駆動電圧Vpを下げてインク噴射速度V
jを下げる場合、それによりインク噴射量が減少してし
まう。そこで、立ち上げ時定数trを短くしてMjの低
下を防止することにより、紙面上のドット径を一定する
ことができる。逆にtrを長くしてVjを下げた場合
は、それによりインク噴射量が減少するので、Vpを上
げてMjの低下を防止することができる。なお、立ち上
げ時の電圧勾配(tr)で、電気機械変換素子(PZ
T)をヘッドの液室内が減圧されるように変形させ、立
ち下げ時の電圧勾配(tf)で液室内が加圧されるよう
に変形させ、インクを噴射させるようなヘッド構造を用
いる場合は、trのかわりにtfを短くすれば、Mjの
低下を防止することができる。また、電気熱変換素子
(発熱抵抗体)を利用したバブルジェット(登録商標)
方式のヘッドの場合では、発熱抵抗体に流しこむ電流値
を下げるか、電流を流している時間を短くすれば容易に
Vjを下げることができる。
【0025】
【発明の効果】以上記載のごとく請求項1の発明によれ
ば、記録ヘッド内の加圧発生手段に供給する駆動波形
を、キャリッジの移動速度変動に応じて可変となるよう
に制御することにより、インクの着弾位置のずれを無く
して印字品質の劣化を防ぐことができる。また請求項2
では、キャリッジの速度が一定速度に達する過程で、イ
ンク着弾位置をキャリッジの一定速度時の着弾位置と同
一にするために、キャリッジの加速速度がVcrr=α
×Vcr0(但し、1/2≦α≦1)のとき、インクの
噴射速度VjrをVjr=α×Vj0に制御することに
より、キャリッジが印字可能領域に達した際に、キャリ
ッジの速度が一定速度に達していない場合でも、αの値
を適宜設定することにより、インクの着弾位置を常に同
じ位置にすることができる。また請求項3では、キャリ
ッジの速度が一定速度から減速する過程で、インク着弾
位置をキャリッジの一定速度時の着弾位置と同一にする
ために、キャリッジの減速速度がVcrf=α×Vcr
0(但し、1/2≦α≦1)のとき、インクの噴射速度
VjfをVjf=α×Vj0に制御することにより、キ
ャリッジが減速を開始して、キャリッジの速度が一定速
度に達していない場合でも、αの値を適宜設定すること
により、インクの着弾位置を常に同じ位置にすることが
できる。また請求項4では、駆動電圧と駆動波形の立ち
上げ時定数、若しくは立下り時定数をインク噴射量の変
動を極力低減させるインク噴射速度になるように設定す
るので、ドット径を一定に保ち印字品質を維持すること
ができる。また請求項5では、記録部に本発明のインク
ジェット記録装置を備えることにより、印字領域が広
く、且つ印字品質の優れた画像形成装置を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェット記録装置の機構部
の概略図である。
【図2】図1の要部概略斜視図である。
【図3】図1の記録ヘッドを構成するインクジェットヘ
ッドの分解斜視図である。
【図4】同ヘッドのチャンネル方向と直交する方向の要
部拡大断面図である。
【図5】同ヘッドのチャンネル方向の要部拡大断面図で
ある。
【図6】本発明の制御部の概略ブロック図である。
【図7】同制御部のヘッド駆動制御に係る部分のブロッ
ク図である。
【図8】インクの噴射方向とヘッドに対向する紙面の関
係を示す説明図である。
【図9】インク着弾位置を示す説明図である。
【図10】インク着弾位置とキャリッジの速度変動を示
す説明図である。
【図11】キャリッジの移動位置の説明図である。
【図12】ヘッドの駆動波形を示す説明図である。
【図13】ヘッドの駆動波形を示す説明図である。
【図14】インク噴射速度およびインク噴射量の説明図
である。
【符号の説明】
5 キャリッジ、6 記録ヘッド、15 主走査モー
タ、21 プラテン、28 副走査モータ、45 PZ
T 圧電素子、54 Com 共通電極、55SEL
選択電極、61 加圧液室(インク液室)、64 ノズ
ル、87 ヘッド駆動回路、101 主制御部、103
DAC、104 アンプ、105 SEPP回路、1
07 PZT選択回路

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク滴が吐出されるノズル、前記イン
    クを貯蔵して外圧力で変形することにより前記インクに
    圧力を加える加圧液室、及び該加圧液室を変形させる加
    圧発生手段を有するチャネルを複数備えた記録ヘッド
    と、該記録ヘッドを主走査方向に移動させるキャリッジ
    と、を備えたインクジェット記録装置であって、 該インクジェット記録装置は、各種データ及び信号に基
    づいて前記記録ヘッドに備えられた前記加圧発生手段に
    駆動波形を印加するヘッド駆動手段を備え、 該ヘッド駆動手段は、前記記録ヘッドのノズルからのイ
    ンク噴射速度を前記キャリッジの速度変動に応じて可変
    とするように前記加圧発生手段を制御する構成を備えて
    いることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 【請求項2】 前記ヘッド駆動手段は、前記キャリッジ
    の加速によって一定速度に達したときの一定速度をVc
    r0とし、前記キャリッジが当該インクジェット記録装
    置の印字領域を通過して、前記一定速度に加速するまで
    の前記キャリッジの移動速度Vcrrとしたとき、その
    時の前記記録ヘッドのノズルからのインク噴射速度Vj
    rが、 Vcrr=α×Vcr0 (但し、1/2≦α≦
    1)のとき、 Vjr=α×Vj0 となるように前記加圧発生手段を制御する構成を備えて
    いることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット
    記録装置。
  3. 【請求項3】 前記ヘッド駆動手段は、前記キャリッジ
    の加速によって一定速度に達したときの一定速度をVc
    r0とし、前記キャリッジが一定速度から減速する過程
    で、前記キャリッジが当該インクジェット記録装置の印
    字領域外に到達するまでの前記キャリッジの移動速度を
    Vcrfとしたとき、その時の前記記録ヘッドのノズル
    からのインク噴射速度Vjfが、 Vcrf=α×Vcr0 (但し、1/2≦α≦
    1)のとき、 Vjf=α×Vj0 となるように前記加圧発生手段を制御する構成を備えて
    いることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット
    記録装置。
  4. 【請求項4】 前記ヘッド駆動手段は、前記加圧発生手
    段の駆動波形の電圧若しくは立ち上げ時定数若しくは立
    下り時定数の何れかが、インク噴射量の変動を低減させ
    るインク噴射速度になるように制御する構成を備えてい
    ることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載
    のインクジェット記録装置。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4の何れか一項に記載のイ
    ンクジェット記録装置を備えたことを特徴とする画像形
    成装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008221672A (ja) * 2007-03-14 2008-09-25 Ricoh Co Ltd 画像形成装置及び画像形成方法、プログラム
CN102632729A (zh) * 2012-04-12 2012-08-15 厦门大学 电纺直写喷印关断控制装置
JP2014034205A (ja) * 2012-08-10 2014-02-24 Ricoh Co Ltd 液滴吐出装置およびこれを用いたインクジェット記録装置
JP2015223763A (ja) * 2014-05-28 2015-12-14 セイコーエプソン株式会社 液体噴射装置、液体噴射ヘッドの制御方法、および、液体噴射装置の制御方法

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