JP2014104621A - 液滴吐出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明な処理液を着色インク上にオーバーコートする際に、なるべく省インクで高効率に記録面を被覆可能な液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】無彩色又は有彩色の内の少なくとも1色からなる着色インクを吐出する記録ヘッド及び前記着色インクよりも低粘度の透明な処理インクを吐出する複数の記録ヘッドからなり、複数の記録ヘッドの加減圧手段のそれぞれに対して同様な駆動パルスを印加して記録ヘッドからインクを吐出させることにより処理インクの液滴を着色インクよりも1滴以上多く吐出する。
【選択図】図9
【解決手段】無彩色又は有彩色の内の少なくとも1色からなる着色インクを吐出する記録ヘッド及び前記着色インクよりも低粘度の透明な処理インクを吐出する複数の記録ヘッドからなり、複数の記録ヘッドの加減圧手段のそれぞれに対して同様な駆動パルスを印加して記録ヘッドからインクを吐出させることにより処理インクの液滴を着色インクよりも1滴以上多く吐出する。
【選択図】図9
Description
本発明は、記録媒体にインクを吐出して画像を形成するインクジェット記録装置に用いられる液滴吐出装置に関する。
従来から、プリンタ、ファクシミリ、複写装置、及びこれらの機能を兼ね備えた複合機等における画像形成方法として、インクを液滴に分離し、画像信号に応じて記録対象に向けて吐出し、インクを対象物に付着させるインクジェット方式が知られている。このインクジェット方式は、記録対象に向けて非接触でインク滴を直接吐出するだけで記録ができるため、記録対象を広範囲に選択でき、普通紙、はがき、コート紙、光沢紙、OHPなどの様々な記録媒体へのプリントが可能である。
インクジェット方式を搭載した記録装置としては、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像形成を行うシリアル型記録装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出させ、記録媒体を移動させて画像形成を行うライン型記録装置とがある。
このような記録装置は、記録ヘッドに配列されるノズル数の増加によって記録解像度の高密度化や高速化が進んでいる。この場合、普通紙のようにインクが紙面内に吸収される記録媒体とは異なり、コート紙や光沢紙などはインクの吸収がほとんどないため紙面上にインク層が形成される。このため画像の耐擦性や定着性が悪く、インクの転写、引っかきによるインク剥がれ、インクの伸びによる汚れが発生する。
またこのようなインクを吸収しにくい紙に顔料インクを用いて記録を行う場合、若干紙面内に染み込む染料インクとは違って顔料成分が紙面上に残った状態となるため、被記録面と記録面の光沢性に差が生じる。これは光沢紙などのような被記録面の光沢が高い紙ほど顕著に現れ、見た目の悪い画像となる。
これらの課題への対策として、耐擦性・光沢性の向上を目的として、インクを印写した後に、インクの上にクリアインクのような無色透明な処理インクからなるオーバーコート液を塗布することがなされている。この場合、着色インクに加えて新たなインクを購入する必要があるためコスト高となることから、なるべく省インクで記録を行う必要がある。
しかし一方で、着色インクと処理インクの着弾位置がずれた場合、コート部と非コート部が生じ、十分な効果が得られないため、処理液の被覆面積を増加させる必要がある。このようなことからなるべく省インクで且つ高効率に記録面を埋める技術が開発されている。
この技術として、特許文献1にはマルチパス方式という印字方法が開示されている。このマルチパス印字方式によれば、高解像度に記録することが可能であるため、効率よく処理液の被服面積を大きくすることが可能となる。
特許文献2には、処理液をインク打滴より先に吐出させる手段と後に吐出させる手段とを備え、画像の記録率に応じて先打ち・後打ちの処理液吐出量を制御することが開示されている。特許文献2によれば、少量の処理インクを2回に分けて記録するため1回に大量のインクを記録するよりも少ないインク量で記録面を埋めることが可能となっている。
上記2文献はいずれも記録ヘッドを往復走査して記録を行うものである。しかしながら記録の高速化を達成するためには、1回の走査で印字を完成させる、所謂1パス印字を行うことが好ましいが、上記2文献の技術ではこの1パス印字には対応できない問題がある。特許文献2に記載の発明は記録ヘッド数を増やすことで1パス印字に対応することも可能であるが、その分コスト高となる問題がある。
特許文献3にはこれらの問題を解消した技術が開示されている。この特許文献3は、処理液を吐出する記録ヘッドにサテライトが発生するような駆動パルスを印加してサテライト滴を主滴と分離した位置に着弾させて処理液の被覆面積を増加させるものである。
しかしながら、特許文献3に記載の技術においては、着色インクと処理インクとで少なくとも2種類の駆動波形セットを必要とする。1種類の駆動波形セットのみで記録を行う場合には着色インクにおいても処理インク同様にサテライトが発生し、結果として画像品質を損ねるためである。このように2種類の駆動波形セットを備える場合には、駆動波形を記録ヘッドに印加するための制御手段が共通化できない。このため記録メモリも少なくとも2倍になるため、コスト高となる問題がある。
これに対し、駆動波形を共通化する場合、サテライト滴を発生させる手段としては駆動波形を印加する際の駆動電圧を増加させる、記録ヘッドと記録媒体間のギャップを大きくする、等の方法が考えられる。いずれの方法もサテライト滴を誘発しやすい環境ではあるが、サテライト滴はそもそも環境の付加変動で生じる画像品質上の障害であるので、発生の有無、またはその特性を制御することは困難である。
そこで、本発明は、無色透明な処理液を着色インク上にオーバーコートする際に、なるべく省インクで高効率に記録面を被覆可能であり、且つそれを簡単な手法によって達成することが可能であり、さらに高速印字を達成できる液滴吐出装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の液滴吐出装置は、記録媒体に対してインクの液滴を吐出するノズルが列状に形成されたノズル列を1列以上有し内部にインクが供給されるインク圧力室と、該インク圧力室に加減圧を付与して前記ノズルから液滴を吐出させる加減圧手段とによって一の記録ヘッドが形成され、前記記録ヘッドが前記ノズル列方向に複数配置されており、前記記録媒体を前記ノズル列方向と直交する方向に1回走査する間に前記記録ヘッドから液滴を吐出して記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録装置において、前記複数の記録ヘッドは、無彩色又は有彩色の内の少なくとも1色からなる着色インクを吐出する記録ヘッド及び前記着色インクよりも低粘度の透明な処理インクを吐出する記録ヘッドからなり、前記複数の記録ヘッドの加減圧手段のそれぞれに対して同様な駆動パルスを印加して記録ヘッドからインクを吐出させることにより前記処理インクの液滴を前記着色インクよりも1滴以上多く吐出することを特徴とする。
本発明によれば、透明な処理インクの粘度が着色インクよりも低いため、着色インクと同様の駆動パルスを用いて記録を行うときには、処理インクのメニスカス振動が着色インクよりも大きくなるため吐出しやすくなる。処理インクより粘度の高い着色インクであればメニスカス振動を抑制するために印加するメニスカス振動と逆位相のパルスによってメニスカス振動が安定化するが、処理インクに同様のメニスカス振動と逆位相の駆動パルスを印加した場合には、メニスカス振動が安定化しきれないため、着色インクより少なくとも1滴以上余分にインク滴を吐出することができる。
このため記録ヘッドを駆動させるための駆動パルスを複数種必要とすることなく、主滴吐出後に副滴を吐出させることができるため被覆面積を増加させることができる。よって着色インクの着弾位置ずれが生じた場合にコート部と非コート部が発生することを防ぐことができる。又、着色インクのドットの記録部だけに透明な処理インクのオーバーコート層が形成されるので着色ドットの記録部より広い領域に処理インクを付着させる場合に比べて処理インクの消費量を低減させることができる。さらに本発明は、ラインヘッドを用いた1パス印字に対応していると共に低解像度記録を行う場合に特に効果を発揮するため、高速印字を達成することができる。
本発明の実施形態について図を参照して具体的に説明する。図1はインクジェット記録装置の全体構成を説明する概略構成図、図2は同装置の記録ヘッドの説明図である。この装置は、記録媒体の印字領域幅以上の長さのノズル列(ノズルを並べたもの)を有するフルライン型液体吐出ヘッドからなる記録ヘッドを搭載したライン型画像形成装置である。
インクジェット記録装置は、図3及び図4に示すように、記録媒体に対してインクの液滴を吐出するノズル104が列状に形成されたノズル列(ノズル板)103を1列以上有し内部にインクが供給されるインク圧力室106と、インク圧力室106に加減圧を付与してノズル104から液滴を吐出させる加減圧手段(圧電素子)112とによって一の記録ヘッド1が形成される。この記録ヘッド1がノズル列103の方向に複数配置されており、記録媒体をノズル列103の方向と直交する方向に1回走査する間に記録ヘッド1から液滴を吐出して記録媒体上に画像を形成する。
このインクジェット記録装置に用いられる液滴吐出装置においては、無彩色又は有彩色の内の少なくとも1色からなる着色インクを吐出する記録ヘッド及び前記着色インクよりも低粘度の透明な処理インク(以下、CLインク)を吐出する記録ヘッドによって複数の記録ヘッド1が形成される。着色インクよりも低粘度の処理インクは、8mPa/secよりも低い粘度である。そして、複数の記録ヘッドの加減圧手段(圧電素子)112のそれぞれに対して同様な駆動パルスを印加して記録ヘッドからインクを吐出させる。この吐出においては、処理インク(CLインク)が着色インクよりも低粘度となっていることにより処理インクの液滴を着色インクよりも1滴以上多く吐出することができる。
図2に示すように、インクジェット記録装置は、例えばブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色の液滴を吐出するフルライン型の4個の記録ヘッド1k、1c、1m、1y(色を区別しないときには「記録ヘッド1」という。)を備える。各記録ヘッド1はノズル104を形成したノズル面を下方に向けて図示しないヘッドホルダに装着されている。また、各記録ヘッド1に対応し記録ヘッドの性能を維持回復するための維持回復機構2(2k、2c、2m、2y)を備えている。
パージ処理、ワイピング処理などのヘッドの性能維持動作時には、記録ヘッド1と維持回復機構2とを相対的に移動させて、記録ヘッド1のノズル面に維持回復機構2を構成するキャッピング部材などを対向させる。ここでは、記録ヘッド1は、用紙搬送方向上流側から、ブラック、シアン、マゼンダ、イエローの順に各色の液滴を吐出する配置としているが、配置及び色数はこれに限るものではない。
給紙トレイ3は、記録媒体としての用紙4を載置する底板5と、用紙4を給送するための給紙コロ(半月コロ)6を備えている。底板5はベース8に取り付けられた回転軸9を中心に回転可能であって、加圧ばね7によって給紙コロ6側に付勢されている。給紙コロ6に対向して用紙4の重送を防止するため、人工皮、コルク材等の摩擦係数の大きい材質からなる図示しない分離パッドが設けられている。また、底板5と給紙コロ6の当接を解除する図示しないリリースカムが設けられている。
給紙トレイ3から給紙された用紙4を搬送ローラ12とピンチローラ13との間に送り込むため、用紙4を案内するガイド部材10、11を設けている。搬送ローラ12は、図示しない駆動源によって回転され、送り込まれる用紙4を記録ヘッド1に対向して配置したプラテン15に向けて搬送する。プラテン15は、記録ヘッド1と用紙4とのギャップを維持することができるものであれば、剛体構造体でもよいし、搬送ベルトなどを用いることもできる。
プラテン15の下流側には、画像が形成された用紙4を排紙するための排紙ローラ16及びこれに対向する拍車17を配置し、排紙ローラ16によって画像が形成された用紙4を排紙トレイ18に排紙する。排紙トレイ18と反対側には、用紙4を手差し給紙するための手差しトレイ21と、手差しトレイ21に載置された用紙4を給紙する給紙コロ22とを配置している。手差しトレイ21から給紙される用紙4はガイド部材11に案内されて搬送ローラ12とピンチローラ13との間に送り込まれる。待機状態では、リリースカムが給紙トレイ3の底板5を所定位置まで押し下げ、底板5と給紙コロ6との当接を解除している。
そして、この状態で、搬送ローラ12が回転されることによって、この回転駆動力が図示しないギア等により給紙コロ6及び図示しないリリースカムに伝達されて、リリースカムが底板5から離れて底板5が上昇し、給紙コロ6と用紙4とが当接し、給紙コロ6の回転に伴って用紙4がピックアップされて給紙が開始され、図示しない分離爪によって一枚ずつ分離される。
そして、給送コロ6の回転によって用紙4がガイド部材10、11に案内されて搬送ローラ12とピンチローラ13との間に送り込まれ、搬送ローラ12によって用紙4がプラテン15上に送り出される。
その後、用紙4の後端は給紙コロ6のDカット部に対向して当接が解除され、搬送ローラ12によってプラテン15上に搬送される。 なお給紙コロ6と搬送ローラ12との間には、補助的に搬送回転対を設けることもできる。このようにしてプラテン15上を搬送される用紙4に対して、記録ヘッド1から液滴を吐出して画像を形成し、画像が形成された用紙4は排紙ローラ16によって排紙トレイ18に排紙される。画像形成時における紙搬送の速度と液滴吐出のタイミングは図示しない制御部によって制御される。
なお、この実施形態のインクジェット記録装置では4色の記録ヘッド構成で説明しているが、本発明の実施の形態によればKCMYインクの4色の着色インクに加えて透明な処理インク(CLインク)を吐出可能な記録ヘッドが図2に示す紙送り方向の下流側に備えられる。CLインクは着色インクよりも粘度が低いインクである。
記録ヘッド1は液体吐出ヘッドを構成するものであり、この記録ヘッド1について図3及び図4をも参照して説明する。図3は記録ヘッド1の長手方向(ノズル並び方向と直交する方向)に沿う断面図、図4はその短手方向(ノズル並び方向)に沿う断面図である。
記録ヘッド1は、流路板(液室基板)101と、流路板101の下面に接合した振動板102と、流路板101の上面に接合した(或いは流路板と一体で形成した)ノズル板103とを有し、これらによって液滴(液体の滴)を吐出するノズル104が連通する個別流路としてのインク圧力室106、インク圧力室106にインクを供給する供給路を兼ねた流体抵抗部107、ダンパ室118を形成している。
ここで、流路板101は、SUS基板を酸性エッチング液を用いてエッチング、あるいは打ち抜きなどの機械加工することで、各インク圧力室106、流体抵抗部107、ダンパ室118などの開口をそれぞれ形成している。
なお、流路板101とノズル板103或いは振動板102とを電鋳で一体形成することもでき、また、結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)などのアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングすることで形成したものや、その他感光性樹脂などを用いることもできる。
振動板102は、図3に示すようにインク圧力室106側から第1層102a、第2層102b、第3層102cの3層構造のニッケルプレートで形成したもので、例えば電鋳によって作製している。振動板102は、例えば、ポリイミドなどの樹脂部材とSUS基板などの金属プレートとの積層部材、或いは、樹脂部材から形成したものなどを用いることもできる。
ノズル板103は、各加圧液室106に対応して多数のノズル104を形成し、流路板101に接着剤により接合している。ノズル104はインクの液滴を吐出するものであり、図2に示すようにノズル板103に列状となって形成されており、ノズル103はノズル列を形成する部材となっている。ノズル板103としては、ステンレス、ニッケルなどの金属、ポリイミド樹脂フィルムなどの樹脂、シリコン、及びそれらの組み合わせからなるものを用いることができる。ノズル104の内部形状(内側形状)は、ホーン形状(略円柱形状又は略円錘台形状でもよい。)に形成し、このノズル104の穴径はインク滴出口側の直径で約20〜35μmとしている。各列のノズルピッチは150dpiである。ノズル板103のノズル面(吐出方向の表面:吐出面)には、図示しない撥水性の表面処理を施した撥水処理層を設けている。
撥水処理層としては、例えば、PTFE−Ni共析メッキやフッ素樹脂の電着塗装、蒸発性のあるフッ素樹脂(例えばフッ化ピッチなど)を蒸着コートしたもの、シリコン系樹脂・フッ素系樹脂の溶剤塗布後の焼き付け等、記録液物性に応じて選定した撥水処理膜を設けて、記録液の滴形状、飛翔特性を安定化し、高品位の画像品質を得られるようにしている。
振動板102には、図3に示すように、各インク圧力室106に対応して第1層102aで形成したダイアフラム部102Aの中央部に第2層102b、第3層102cの2層構造の凸部102Bを形成し、この凸部102Bにインクの加減圧手段(アクチュエータ手段)を構成する圧電素子112をそれぞれ接合している。
各インク圧力室106の隔壁106Aに対応して3層構造部分(厚肉部102B)に支柱部113を接合している。これらの圧電素子112及び支柱部113は積層型圧電素子部材114にハーフカットのダイシングによるスリット加工を施して櫛歯状に分割して形成したものである。支柱部113も圧電素子であるが駆動電圧を印加しないために単なる支柱となっている。
この積層型圧電素子部材114はベース部材115に接合している。圧電素子112(圧電素子部材114)は、例えば厚さ10〜50μm/1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電層と、厚さ数μm/1層の銀・パラジューム(AgPd)からなる内部電極層とを交互に積層したものであり、内部電極を交互に端面の端面電極(外部電極)である個別電極、共通電極に電気的に接続し、これらの電極にFPCケーブル116を介して駆動信号を供給するようにしている。
圧電素子112の圧電方向としてd33方向の変位を用いてインク圧力室106内の記録液を加圧する構成とすることも、圧電素子112の圧電方向としてd31方向の変位を用いてインク圧力室106内の記録液を加圧する構成とすることもできる。本実施形態ではd33方向の変位を用いた構成となっている。
ベース部材115は金属材料で形成することが好ましい。ベース部材115の材質(材料)が金属であれば、圧電素子112の自己発熱による蓄熱を防止することができる。圧電素子112とベース部材115は接着剤により接着接合しているが、ライン型ヘッドのようにチャンネル数が増えると、圧電素子112の自己発熱により100℃近くまで温度が上昇し、接合強度が著しく低下することになる。
また、自己発熱によりヘッド内部の温度上昇が発生し、インク温度が上昇するが、インクの温度が上昇すると、インク粘度が低下し、噴射特性に大きな影響を与える。したがって、ベース部材115を金属材料で形成して圧電素子112の自己発熱による蓄熱を防止することで、これらの接合強度の低下、記録液粘度の低下による噴射特性の劣化を防止することができる。
振動板102の周囲には例えばエポキシ系樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成したフレーム部材117を接着剤で接合している。このフレーム部材117には、各インク圧力室106にインクを供給する共通液室108を形成し、共通液室108から振動板102に形成した供給口109、流体抵抗部107の上流側に形成した流路110、流体抵抗部107を介してインク圧力室106にインクが供給される。
フレーム部材117には共通液室108に外部からインクを供給するためのインク供給口119も形成される。ここで、インク圧力室106の壁面を形成する部材である振動板102で共通液室108の一部の壁面を形成し、この共通液室108の壁面を形成する部分をダンパ部124とし、隣接するダンパ室118との間の壁部を形成し、共通液室108に生じる圧力変動を吸収するようにしている。なお、ダンパ室118は図示しない大気開放路を通じて大気に開放している。
このような記録ヘッド1においては、例えば圧電素子112に印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電素子112が収縮し、振動板2が下降してインク圧力室106の容積が膨張することで、インク圧力室106内にインクが流入し、その後、圧電素子112に印加する電圧を上げて圧電素子112を積層方向に伸長させ、振動板102をノズル104方向に変形させてインク圧力室106の容積/体積を収縮させることにより、インク圧力室106内のインクが加圧され、ノズル104からインクの液滴が吐出(噴射)される。
そして、圧電素子112に印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板102が初期位置に復元し、インク圧力室106が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室108からインク圧力室106内にインクが充填される。そこでノズル104のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
なお、この記録ヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行うこともできる。また、ここでは、圧電素子をインクの加減圧手段(アクチュエータ手段)に用いる圧電型ヘッドで説明しているが、発熱抵抗体をアクチュエータ手段に用いるサーマル型ヘッド、静電力を発生する振動板と電極をアクチュエータ手段に用いる静電型ヘッドなど、他のアクチュエータ手段を用いる液体吐出ヘッドを記録ヘッド1として使用することもできる。
図5はこの実施形態のインクジェット記録装置における制御部200の構成に示すブロック図である。制御部200は、装置全体の制御を司るCPU201と、CPU201が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM202と、画像データ等を一時格納するRAM203と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための不揮発性メモリ(NVRAM)204と、各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC205とを備えている。
制御部100は、パーソナルコンピュータ等のホスト90側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F206と、記録ヘッド1を駆動制御するための駆動パルスを生成するヘッド駆動制御部207及びヘッドドライバ208と、主走査モータ210を駆動するための主走査モータ駆動部211と、搬送ベルト233の副走査モータ212を駆動するための副走査モータ駆動部213と、帯電ローラ234にACバイアスを供給するACバイアス供給部214、環境温度及び/又は環境湿度を検出する環境センサ218、図示しない各種センサからの検知信号を入力するためのI/O216などを備えている。また、制御部200には、必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル217が接続されている。
制御部100はパーソナルコンピュータ等の画像処理装置であるデータ処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト90側からの画像データを含む印刷データ等をケーブル或いはネットを介してI/F206で受信する。制御部100に対する印刷データの生成出力は、ホスト90側のプリンタドライバ91によって行う。
CPU201は、I/F206に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC205にてデータの並び替え処理等を行ってヘッド駆動制御部207に画像データを転送する。画像出力するための印刷データのビットマップデータへの変換は、前述したようにホスト90側のプリンタドライバ91で画像データをビットマップデータに展開してこの装置に転送するようにしているが、例えばROM202にフォントデータを格納して行っても良い。
ヘッド駆動制御部207は、駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器等で構成され、1の駆動パルス(駆動信号)又は複数の駆動パルス(駆動信号)で構成される駆動波形をヘッドドライバ208に対して出力する。
ヘッドドライバ208は、シリアルに入力される記録ヘッド1の1行分に相当する画像データ(ドットパターンデータ)に基づいてヘッド駆動制御部207から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド1の圧電素子112(図3、図4参照)に印加して記録ヘッド1を駆動する。
例えば、ヘッドドライバ208は、クロック信号及びシリアルデータを入力するシフトレジスタと、シフトレジスタのレジスト値をラッチ信号でラッチするラッチ回路と、ラッチ回路の出力値をレベル変化するレベル変換回路(レベルシフタ)と、このレベルシフタでオン/オフが制御されるアナログスイッチアレイ(スイッチ手段)等を含み、アナログスイッチアレイのオン/オフを制御することで、ヘッド駆動制御部207からの駆動波形に含まれる所要の駆動波形を選択的に記録ヘッド1の圧電素子112に印加して記録ヘッド1を駆動する。
この実施形態では、駆動波形を複数の駆動パルスで構成して、1又は複数の駆動パルスを与えることによって、大滴、中滴、小滴、滴なしの4種類の階調を再現できるようにしている。
図6はインクジェット記録装置によって画像を形成するため、インクジェット記録装置に対して画像データ(印刷データ)を転送する構成のブロック図を示す。
ホスト90のプリンタドライバ91は、アプリケーションソフトなどから与えられた画像データ430をモニター表示用の色空間から記録装置用の色空間への変換(RGB表色系→CMY表色系)を行うCMM(Color Management Module)処理部431、CMYの値から黒生成/下色除去を行うBG/UCR(black generation/Under Color Removal)処理部432、記録装置の特性やユーザーの嗜好を反映した入出力補正を行うγ補正部433、記録装置の解像度に合わせて拡大処理を行うズーミング(Zooming)部434、画像データを記録装置から噴射するドットのパターン配置に置き換える多値・少値マトリクスを含む中間調処理部435を含んでいる。中間調処理部435の出力結果を画像データとしてインクジェット記録装置に送出する。
図7はこの実施形態のヘッド駆動制御部107が圧電素子112に印加する駆動パルスの波形を示す。駆動パルスは図3、図4に示す記録ヘッド1の圧電素子112に対して駆動信号として送出される。図7の波形図は、メニスカスを引き込む段階300、この段階300に続くメニスカスを押し出す段階301を有している。そしてメニスカスを押し出す段階301に続いて、メニスカス振動と逆位相のパルスを印加する段階302が設けられる。このメニスカス振動と逆位相のパルスを印加する段階302はメニスカス振動を抑制するものである。
図8は図7の駆動パルスの作用を説明するものであり、実線が逆位相のパルスを印加する段階302を有しないパルスの場合、鎖線が逆位相のパルスを印加する段階302を有するパルスの場合を示す。
図8の鎖線で示すように、逆位相パルスを印加することによってメニスカス振動を抑制することができる。これは粘度が等しいインクの場合であって、本発明においては、透明な処理インク(CLインク)の粘度が着色インクよりも低いため、着色インクのメニスカス変動が図8に示す場合、CLインクのメニスカス振動は図8に示すものより大きくなる。
よって、CLインクにおいては着色インクの着弾ドットよりも径が大きい主滴ドットが形成され、さらに逆位相パルス印加時であってもメニスカス振動が変動し続け、副滴を吐出することが可能となる。
図9は着色インクとCLインクの重ね合わせ印字時のドットのイメージを示す。図9(a)は、この実施形態におけるドットが着色インクとCLインクの着弾位置ずれが無い場合のドットの重なりの様子を示す。着色インク、CLインクの双方のインク間に着弾ずれが発生すると、ドット径が等しい場合には、図9(b)で示すように着色インクがCLインクで覆われていない部分、所謂非コート部が形成される。これに対し、この実施形態によれば、図9(c)で示すように着弾位置ずれがあったとしてもCLインクの着弾ドット径の方が大きいことから非コート部の発生を抑制することができる。
上記のような副滴の効果は低記録解像度で記録した場合に特に発生する(図10参照)。図10において、着色インクで記録する画像は1200dpi×1200dpiで記録を行うが、例えばCLインクは使用するヘッド数を減らす、高速印字を達成する、等の効果を得るために600dpiで記録を行うという制約があった場合を想定している。
図10(a)は、1200dpi×1200dpiで記録した画像であり印字方向は画像上から下であることを示している。ここで、600dpi×600dpiでCLインクをオーバーコートした場合には、図10(b)で示すように印字方向のドット間に隙間が生じ、非コート部の面積も大きい。これに対して、同一ドット径であっても、この実施形態によれば印字方向に副滴を発生させるため、被覆面積を増加させることができ、これにより非コート面積を低減することが可能となる。
本発明においては、インクジェット記録装置に対して加熱手段をさらに備えることができる。加熱手段はCLインクを吐出する記録ヘッドよりも下流側に設置されるものであり、CLインクが記録された後に記録媒体を加熱する。これにより乾燥性を向上させることが可能となる。加熱手段は標準の設備として予め付属されていることとしてもよく、インクジェット記録装置にオプション機構として設置できる構成とし、ユーザーの嗜好によって設置の有無を変更できるようにしてもよい。
本発明においては、インクジェット記録装置に対して先塗り剤塗布手段をさらに備えることができる。先塗り剤はドットの紙地部への吸収を抑制してドットの滲みを低減する目的で着色インクの記録前に記録媒体に塗布される。この先塗り剤は回転ローラに付着させて記録媒体に回転ローラを接触させて塗布する構成としてもよく、着色インクを吐出する記録ヘッドの上流側に新たな記録ヘッドを備えてこの記録ヘッドから吐出させる構成としてもよい。
以上のように、本発明によれば、インクを吐出する駆動パルスの波形の種類を複数備えることなく、主滴に加えてCLインクの副滴を吐出させることが可能となる。このため被覆面積を増加させ、着色インクの着弾位置ずれが生じた場合にコート部と非コート部が発生することを防ぐことができる。また着色ドットの記録部のみにオーバーコート層が形成されるため、着色ドットの記録部より広い領域にCLインクを付着させる場合に比べてCLインクの消費量を低減させることができる。さらに、この発明はラインヘッドを用いた1パス印字に対応しており、且つ低解像度記録を行う場合に特に効果を発揮するため、高速印字に適している。
1 記録ヘッド
103 ノズル板
104 ノズル
106 インク圧力室
107 ヘッド駆動制御部
112 圧電素子(加減圧手段)
103 ノズル板
104 ノズル
106 インク圧力室
107 ヘッド駆動制御部
112 圧電素子(加減圧手段)
Claims (6)
- 記録媒体に対してインクの液滴を吐出するノズルが列状に形成されたノズル列を1列以上有し内部にインクが供給されるインク圧力室と、該インク圧力室に加減圧を付与して前記ノズルから液滴を吐出させる加減圧手段とによって一の記録ヘッドが形成され、前記記録ヘッドが前記ノズル列方向に複数配置されており、前記記録媒体を前記ノズル列方向と直交する方向に1回走査する間に前記記録ヘッドから液滴を吐出して記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録装置において、
前記複数の記録ヘッドは、無彩色又は有彩色の内の少なくとも1色からなる着色インクを吐出する記録ヘッド及び前記着色インクよりも低粘度の透明な処理インクを吐出する記録ヘッドからなり、
前記複数の記録ヘッドの加減圧手段のそれぞれに対して同様な駆動パルスを印加して記録ヘッドからインクを吐出させることにより前記処理インクの液滴を前記着色インクよりも1滴以上多く吐出することを特徴とする液滴吐出装置。 - 前記処理インクを吐出する記録ヘッドが前記着色インクを吐出する記録ヘッドに対し、前記記録媒体の走査方向の下流側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の液滴吐出装置。
- 前記駆動パルスは、メニスカスを引き込む段階と、メニスカスを押し出す段階と、メニスカス振動と逆位相のパルスを印加する段階とを備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の液滴吐出装置。
- 前記メニスカス振動と逆位相のパルスを印加したとき、前記処理インクは1滴以上が吐出されることを特徴とする請求項3記載の液滴吐出装置。
- 前記処理インクは8mPa/secよりも低い粘度であることを特徴とする請求項1又は2記載の液滴吐出装置。
- 前記記録媒体に前記処理インクが記録された後に記録媒体を加熱する加熱手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の液滴吐出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012257655A JP2014104621A (ja) | 2012-11-26 | 2012-11-26 | 液滴吐出装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2012257655A JP2014104621A (ja) | 2012-11-26 | 2012-11-26 | 液滴吐出装置 |
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Family Applications (1)
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JP2012257655A Pending JP2014104621A (ja) | 2012-11-26 | 2012-11-26 | 液滴吐出装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017013328A (ja) * | 2015-06-30 | 2017-01-19 | 株式会社リコー | インクジェット記録装置、インクジェット記録装置の制御方法、およびインクジェット記録装置の制御プログラム |
EP4198194A1 (en) | 2021-12-15 | 2023-06-21 | Konica Minolta, Inc. | Image forming method |
US11919300B2 (en) | 2020-03-26 | 2024-03-05 | Canon Kabushiki Kaisha | Inkjet printing apparatus and inkjet printing method |
-
2012
- 2012-11-26 JP JP2012257655A patent/JP2014104621A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7451257B2 (ja) | 2020-03-26 | 2024-03-18 | キヤノン株式会社 | インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 |
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