JP2015007389A - エンジンの油供給構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジンのクランクシャフト2とピストンと1を連結するコネクティングロッド5内に油路20及び分岐路31を備えるとともに、クランクシャフト2内に油路21を備え、油路21、分岐路31及び油路20を介してピストン1に油を供給するエンジンの油供給構造であって、油路21に弁体32を備え、当該弁体32はクランクシャフト2の回転による遠心力によって変位して分岐路31を開閉する。
【選択図】図1
Description
また、特許文献2では、コネクティングロッド内に潤滑油の供給路を備え、コネクティングロッドとピストンとの連結部に潤滑油を供給する構造が提案されている。
また、近年では、可変圧縮比エンジンのように、ピストン内にアクチュエータを有するものがあり、ピストンの潤滑や冷却だけでなく、ピストン内のアクチュエータに作動油を供給可能にすることが要求されている。
また、請求項3のエンジンの油供給構造は、請求項2において、弁体は、クランクシャフトの径方向に移動可能であるとともに、付勢手段によりクランクシャフトの径方向内方に付勢されるように構成されていることを特徴とする。
また、請求項5のエンジンの油供給構造は、請求項1から4のいずれか1項において、ピストンは、ピストン基部と、ピストン基部に対してピストン中心軸方向に移動可能なピストン移動部と、ピストン移動部に配置されピストン基部とピストン移動部を固定する固定手段と、ピストン移動部に配置され固定手段に油を供給する第3の油路と、を有し、第1の油路と第3の油路は第2の油路を通じて連通することを特徴とする。
請求項2の発明によれば、第1の油路が、クランクシャフトとコネクティングロッドとの連結部に潤滑油を供給する潤滑油路から分岐した分岐路によって第2の油路と連通するので、連結部への潤滑油の供給と、クランクシャフトの回転速度に応じた分岐路及び第2の供給路を介するピストンへの油の供給を行うことができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るピストン1への油供給構造を示す縦断面図である。図2は、本実施形態のクランクシャフト2の側面図である。なお、図2では、後述する油路21の延びる面で一部断面している。
以降、1つの気筒について説明するが、多気筒エンジンでは各気筒に以下の油供給構造が同様に備わっている。
クランクシャフト2は、クランクジャーナル6において、クランクシャフト2を収納する図示しないクランクケースに回転可能に支持されている。
クランクアーム8には、クランクピン9を介して、コネクティングロッド5の下部が回転可能に連結されている。コネクティングロッド5の上部は、ピストンピン10を介して、ピストン1に回転可能に連結されている。
クランクピン9との連結部に導入する油路21(潤滑油路、第1の油路)が形成されている。油路21の一端はクランクジャーナル6の外周面で開口し、他端はクランクピン9の外周面で開口している。油路21は、クランクシャフト2内を軸方向で斜めにかつ直線的に延びるように形成されている。
図3は、クランクピン9内の油路21の構造を示す拡大断面図である。図4は、弁体32の移動状態を示す説明図であり、(A)は低回転状態、(B)は高回転状態を示す。
そして、図4(A)に示すように、クランクシャフト2の回転速度が所定値未満である低回転状態では、スプリング36の付勢力により弁体32は内側(開口部30とは反対側)に押され、弁体32によって分岐路31が閉鎖される。これにより、油路21から分岐路31を介してコネクティングロッド5内の油路20への油の流入が遮断される。
次に、上記油供給構造を介してピストン1に供給した油の用途の一例について説明する。
図5に示すように、本実施形態では、上記油路21、分岐路31、油溝25、油路20を介して供給された油を、可変圧縮比エンジンにおけるピストン1に設けられた油圧アクチュエータの作動油として利用する。
アッパピストン43は、上部を閉鎖した円筒状に形成されており、ピストン1の外形を成し、上部のピストンヘッド45と側壁部46により構成されている。ピストンヘッド45は、円板状に形成され、上面45aが燃焼室47に面している。側壁部46は、ピストンヘッド45の周縁部下面より下方(燃焼室47とは反対側)に延びた円筒状に形成されている。
ロアピストン44は、アッパピストン43内に収納されており、アッパピストン43内を上下方向(ピストン2の中心軸方向)に移動可能に配置されている。ロアピストン44は、円板状の本体部51と、コネクティングロッド5とピストンピン10を介して連結するピンボス52と、円筒状の筒部53とが備えられている。
ピンボス52は、本体部51の下面から下方に突出するように設けられ、コネクティングロッド5の上部にピストンピン10を介して回転可能に連結されている。
筒部53は、本体部51の上面中心部から上方に突出するように設けられ、上方からアッパピストン43の凸部50が略隙間なく滑らかに挿入されるように形成されている。凸部50と筒部53は、アッパピストン43とロアピストン44が上下方向に移動可能なようにガイドをする機能を有している。また、ロアピストン44の本体部51とアッパピストン43のピストンヘッド45とが近づく方向に移動したときに、ピストンヘッド45とロアピストン44の本体部51との間に空間が形成されるように、筒部53の突出長さが設定されている。
アッパピストン43の側壁部46の内周面の上下方向略中央部には、リング溝57が設けられている。そして、このリング溝57には、ばね鋼により一部が開口した円環板状に形成されたスナップリング58が嵌入されている。
ロック機構61は、油圧によって作動するアクチュエータであり、ロアピストン44の本体部51の内部に、その外周面に沿って90度おきに計4個設けられている。ロック機構61は、ロアピストン44の径方向に沿って移動可能に本体部51に支持されているピン62と、ピン62をロアピストン44の径方向内方に向けて付勢するスプリング63を有している。
したがって、4つのロック機構61にはいずれも、コネクティングロッド5内の油路20からピストンピン10内の油路65及び本体部51内の油路66を介して油を作動油として供給可能に構成されている。
図7は、ロック機構61による相対移動規制時の状態を示すピストン1の縦断面図である。
ここで、上記のように、本実施形態では、クランクシャフト2内の油路21に弁体32が設けられており、クランクシャフト2の回転速度が所定値以上になると、弁体32が分岐路31を開放し、油がクランクシャフト2内の油路21から分岐路31を介してコネクティングロッド5内の油路20に供給可能となるので、高回転時に作動油がロック機構61に供給され、自動的に低圧縮比状態に固定される。これにより、高回転時に低圧縮比状態を維持して温度上昇を抑えることができる。また、低回転時にはロック機構61によりロックされないので、燃焼室47内が低圧である場合に高圧縮比状態として、燃費を向上させることができる。そして、このような可変圧縮比制御を、新たに油圧制御バルブを必要とせずに、クランクシャフトとコネクティングンロッドの接続部に潤滑油を供給する潤滑油路を利用して、簡単な構成で行うことができるとともに、クランクシャフトの回転速度に応じて自動的にかつ安定して行うことができる。
図8は、本発明の他の実施形態のクランクピン9内の油路20の構造を示す断面図であり、(A)は低回転状態、(B)は高回転状態での弁体の移動状態を示す。
これにより、低回転時では低圧縮比状態に固定してノッキングを抑制することができ、高回転時では燃焼室7内が低圧である場合に高圧縮比状態にして出力を向上させることができる。
例えば、コネティングロッド5の油路20を介して油を供給する対象が、上記実施形態ではロック機構61であるが、シリンダ2やコネクティングロッド5に設けたその他の油圧アクチュエータでもよい。その他の油圧アクチュエータとして、例えば、アッパピストン43とロアピストン44との間の空間に、作動油を供給して圧縮比を制御するような構成のエンジンにも本願発明の油供給構造を採用することができる。
また、本願発明は、クランクシャフト2及びコネクティングロッド5に油路を設けたエンジンに広く適用することができる。
2 クランクシャフト
5 コネクティングロッド
20 油路(第2の油路)
21 油路(潤滑油路、第1の油路)
25 油溝
31 分岐路(第1の油路)
32 弁体
36 スプリング(付勢手段)
43 アッパピストン(ピストン基部)
44 ロアピストン(ピストン移動部)
61 ロック機構(固定手段)
66 油路(第3の油路)
Claims (5)
- クランクシャフト内に第1の油路を備えるとともに、前記クランクシャフトとピストンとを連結するコネクティングロッド内に第2の油路を備え、前記第1の油路と前記第2の油路は前記クランクシャフトと前記コネクティングロッドの連結部に潤滑油を供給する潤滑油路によって連通し、前記第1の油路及び前記第2の油路を介して前記ピストンに油を供給するエンジンの油供給構造であって、
前記第1の油路に弁体を備え、当該弁体は前記クランクシャフトの回転による遠心力によって移動して前記第2の油路を開閉することを特徴とするエンジンの油供給構造。 - 前記第1の油路は、前記潤滑油路から分岐して前記第2の油路に連通する分岐路を有し、
前記弁体は、前記クランクシャフトの回転により前記分岐路を開閉することによって、前記第2の油路を開閉することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの油供給構造。 - 前記弁体は、前記クランクシャフトの径方向に移動可能であるとともに、付勢手段により前記クランクシャフトの径方向内方に付勢されるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のエンジンの油供給構造。
- 前記弁体は、両端が開口した筒状に形成され、前記分岐路との分岐位置に、前記潤滑油路と軸線が一致するように配置されることを特徴とする請求項2または3に記載のエンジンの油供給構造。
- 前記ピストンは、
ピストン基部と、
前記ピストン基部に対して前記ピストン中心軸方向に移動可能なピストン移動部と、
前記ピストン移動部に配置され前記ピストン基部と前記ピストン移動部を固定する固定手段と、
前記ピストン移動部に配置され前記固定手段に油を供給する第3の油路と、を有し、
前記第1の油路と前記第3の油路は前記第2の油路を通じて連通することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のエンジンの油供給構造。
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