JP2015003957A - ポリエステル樹脂成形材料及びその成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】流動性及び成形体の耐衝撃性に優れたポリエステル樹脂成形材料及びその製造方法、並びに該成形材料を用いた成形体を提供すること。
【解決手段】IV値が0.50〜1.0のポリエステル樹脂(A)と、該ポリエステル樹脂(A)100質量部に対してエポキシ基を有する相溶化剤(B)1〜25質量部を含有する組成物の溶融混合物と、IV値が0.55〜1.4のポリエステル樹脂(C)を該ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して25〜2000質量部とを乾式混合してなる、ポリエステル樹脂成形材料及びその製造方法、並びに該成形材料を用いて得られる成形体。
【選択図】なし
【解決手段】IV値が0.50〜1.0のポリエステル樹脂(A)と、該ポリエステル樹脂(A)100質量部に対してエポキシ基を有する相溶化剤(B)1〜25質量部を含有する組成物の溶融混合物と、IV値が0.55〜1.4のポリエステル樹脂(C)を該ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して25〜2000質量部とを乾式混合してなる、ポリエステル樹脂成形材料及びその製造方法、並びに該成形材料を用いて得られる成形体。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリエステル樹脂成形材料及びその製造方法、並びに該成形材料を用いて得られる成形体に関するものである。
特許文献1には、いったん成形されたポリエステル樹脂を回収したものは物性が低下していることや、性質の異なったポリエステル樹脂を複数混合して用いると、流動性が悪くなったり、成形品の耐衝撃性が低下したりする問題があるが、異なる極限粘度値(IV値)を有する再生ポリエステル樹脂を混合し、混合物の極限粘度値が0.5〜0.7の間にある再生ポリエステル樹脂原料を、射出成型用の原料として用いる場合には、得られる成形品が透明性や耐衝撃性に優れることが開示されている。そして、実施例においては0.5〜0.63の範囲内で、3種又は2種の異なるIV値を有する再生ポリエステル樹脂ペレット群を混合して、IV値0.55又は0.565の再生ポリエステル樹脂材料を調製し、射出成形に用いることが開示されているものの、開示されているのは、異なる再生ポリエステル樹脂を単純に混合して用いるだけの方法であり、他の文献が指摘しているとおり、バージン樹脂に匹敵する性能が得られるものとは言い難かった。
特許文献2には、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を、パイプ等の押出成形品へ再利用するのに際して、高粘度樹脂としてポリエチレンと、相溶化剤としてエポキシ基を有するポリエチレンを用いた組成物を溶融成形した成形体は、耐衝撃性に優れることが開示されている。
しかしながら、特許文献2に記載の組成物は、流動性に劣るため、押出成形には用いることができても射出成形には不向きなものである。
本発明の課題は、流動性及び成形体の耐衝撃性に優れたポリエステル樹脂成形材料及びその製造方法、並びに該成形材料を用いた成形体を提供することにある。
本発明は、
〔1〕 IV値が0.50〜1.0のポリエステル樹脂(A)と、該ポリエステル樹脂(A)100質量部に対してエポキシ基を有する相溶化剤(B)1〜25質量部を含有する組成物の溶融混合物と、IV値が0.55〜1.4のポリエステル樹脂(C)を該ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して25〜2000質量部とを乾式混合してなる、ポリエステル樹脂成形材料、
〔2〕 IV値が0.50〜1.0のポリエステル樹脂(A)100質量部とエポキシ基を有する相溶化剤(B)1〜25質量部とを含む組成物を溶融混合し、ペレットに成形する工程1と、得られた溶融混合物とIV値が0.55〜1.4のポリエステル樹脂(C)25〜2000質量部を乾式混合する工程2を含む、ポリエステル樹脂成形材料の製造方法、並びに
〔3〕 前記〔1〕記載のポリエステル樹脂成形材料を射出成形してなる成形体
に関する。
〔1〕 IV値が0.50〜1.0のポリエステル樹脂(A)と、該ポリエステル樹脂(A)100質量部に対してエポキシ基を有する相溶化剤(B)1〜25質量部を含有する組成物の溶融混合物と、IV値が0.55〜1.4のポリエステル樹脂(C)を該ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して25〜2000質量部とを乾式混合してなる、ポリエステル樹脂成形材料、
〔2〕 IV値が0.50〜1.0のポリエステル樹脂(A)100質量部とエポキシ基を有する相溶化剤(B)1〜25質量部とを含む組成物を溶融混合し、ペレットに成形する工程1と、得られた溶融混合物とIV値が0.55〜1.4のポリエステル樹脂(C)25〜2000質量部を乾式混合する工程2を含む、ポリエステル樹脂成形材料の製造方法、並びに
〔3〕 前記〔1〕記載のポリエステル樹脂成形材料を射出成形してなる成形体
に関する。
本発明のポリエステル樹脂成形材料は流動性に優れ、射出成形にも好適に用いることができ、得られる成形体は耐衝撃性に優れるものである。
本発明のポリエステル樹脂成形材料は、ポリエステル樹脂(A)とエポキシ基を有する相溶化剤(B)を含有する組成物の溶融混合物と、ポリエステル樹脂(C)を乾式混合して得られるものであり、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(C)はそれぞれ特定のIV値を有する。
ポリエステル樹脂成形材料に相溶化剤を用いることは周知であるが、本発明では、エポキシ基を有する相溶化剤を用いることにより、成形材料を用いて得られる成形体の耐衝撃性が向上する。その詳細な理由は不明なるも以下のように推定される。
ポリエステル樹脂(A)と相溶化剤(B)を工程1で溶融混合すると、ポリエステル樹脂(A)の残留水酸基及びカルボキシル基と相溶化剤(B)が有するエポキシ基とが反応して架橋が生じ、ポリエステル樹脂(A)と相溶化剤(B)の架橋物が得られる。架橋物そのものは溶融粘度が高くなるため流動性は低くなるが、工程2でポリエステル樹脂(C)と混合すると、溶融成形時に容易に均一混合することができ、またポリエステル樹脂(C)のカルボキシル基と相溶化剤(B)のエポキシ基との反応により部分架橋することで耐衝撃性の高い成形品を得ることができる。
また、ポリエステル樹脂(A)と相溶化剤(B)の架橋物(溶融混合物)はポリエステル樹脂(A)よりも溶融粘度が高いため、工程2でポリエステル樹脂(A)よりもIV値が高いポリエステル樹脂(C)を用いた場合には、成形時、ポリエステル樹脂(A)をそのまま用いるよりも、ポリエステル樹脂(A)よりも溶融粘度の高いポリエステル樹脂(C)と架橋物を均一に溶融混合することができ、本発明の効果がより顕著に発揮される。
さらに、ゴム系強化剤(D)を併用する場合は、架橋して高粘度化したポリエステル樹脂(A)中に高濃度のゴム系強化剤(D)を含ませて溶融混練することによってゴム系強化剤(D)の均一な分散が促進され、工程2においてポリエステル樹脂(C)を乾式混合すると、成形時の溶融混練において、工程1においてポリエステル樹脂(A)中に微分散したゴム系強化剤(D)が容易に成形材料全体に均一分散することができ、成形品の耐衝撃性が向上するという効果が発現される。
さらに、ゴム系強化剤(D)を併用する場合は、架橋して高粘度化したポリエステル樹脂(A)中に高濃度のゴム系強化剤(D)を含ませて溶融混練することによってゴム系強化剤(D)の均一な分散が促進され、工程2においてポリエステル樹脂(C)を乾式混合すると、成形時の溶融混練において、工程1においてポリエステル樹脂(A)中に微分散したゴム系強化剤(D)が容易に成形材料全体に均一分散することができ、成形品の耐衝撃性が向上するという効果が発現される。
本発明のポリエステル樹脂成形材料は、ポリエステル樹脂(A)とエポキシ基を有する相溶化剤(B)とを溶融混合し、ペレットに成形する工程1と、得られた溶融混合物とポリエステル樹脂(C)35〜2000質量部を乾式混合する工程2を含む方法により得られる。
本発明におけるポリエステル樹脂とは、主鎖にエステル結合を有した重合体であり、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(3-ヒドロキシ酪酸)、ポリ(4-ヒドロキシ酪酸)、ポリ(4-ヒドロキシ吉草酸)、ポリカプロラクトン等の開環重付加系脂肪族ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンイソフタレートとの共重合体、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリエチレンオキサレート、ポリブチレンオキサレート、ポリヘキサメチレンオキサレート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンセバケート等の重縮合反応系脂肪族ポリエステル等が挙げられるが、これらの中では、リサイクル性の観点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
なお、ポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸、そのアルキルエステル等のテレフタル酸化合物とエチレングリコールとの重縮合物であるが、一般的にPETとして汎用されている製品には、酸成分とアルコール成分にこれら以外の単量体が含まれていることもある。従って、本発明では、テレフタル酸化合物を主成分とする酸成分とエチレングリコールを主成分とするアルコール成分の重縮合物を総称してPETと呼ぶ。ここで、主成分とは、50モル%以上の含有量であることをいう。本発明では、1種類の酸成分(テレフタル酸、そのエステル又は塩化物)と1種類のアルコール成分(エチレングリコール)からなるPETをホモポリマー、2種以上の酸成分及び/又は2種以上のアルコール成分からなるPETをコポリマーとする。なお、PETはリサイクル品(回収PET)であってもよい。
ポリエステル樹脂(A)のIV値は、耐衝撃性の観点から、0.50以上であり、0.55以上が好ましい。また、耐衝撃性と成形性の観点から、1.0以下であり、0.80以下が好ましく、0.60以下がより好ましい。これらの観点から、ポリエステル樹脂(A)のIV値は、0.50〜1.0であり、0.50〜0.90が好ましく、0.55〜0.72がより好ましい。
相溶化剤(B)は、エポキシ基を有するものであれば特に限定されないが、反応性の観点から、単量体単位として(メタ)アクリル酸グリシジル単位とエチレン単位及び/又はエチレン誘導体単位とを含むことが好ましい。
(メタ)アクリル酸グリシジル単位の割合は、相溶化剤(B)の単量体単位中、反応性の観点から、2質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。また、成形性の観点から、40質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
エチレン単位又はエチレン誘導体単位の割合(併用されている場合は両者を合わせた割合)は、相溶化剤(B)の単量体単位中、ハンドリングの観点から、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。また、反応性の観点から、99質量%以下が好ましく、97質量%以下がより好ましく、95質量%以下がさらに好ましい。
エチレン誘導体単位とは、エチレン性二重結合を有するモノマーを共重合することによって得られる単量体単位であり、アルキル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、α−オレフィン、共役ジエン等に基づく単量体単位が挙げられる。これらの中では、相溶化剤の原料モノマーとして重合反応性が良好な観点から、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、及びプロピレンからなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましく、メチルアクリレート、及び酢酸ビニルから選択される少なくとも1種がより好ましい。
(メタ)アクリル酸グリシジル単位、エチレン単位及びエチレン誘導体単位を合わせた割合は、相溶化剤(B)の単量体単位中、反応性の観点から、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%がさらに好ましい。
相溶化剤(B)のメルトマスフローレートは、成形性の観点から、0.1g/10min以上が好ましく、0.5g/10min以上がより好ましく、1g/10min以上がさらに好ましい。また、耐衝撃性の観点から、50g/10min以下が好ましく、40g/10min以下がより好ましく、30g/10min以下がさらに好ましい。相溶化剤(B)のメルトマスフローレートは、JISK7210による190℃、荷重2.16kgで測定する。
ポリエステル樹脂(A)と溶融混合する相溶化剤(B)の量は、ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、耐衝撃性の観点から、1質量部以上であり、3質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。また、成形性の観点から、25質量部以下であり、15質量部以下が好ましい。
ポリエステル樹脂(A)と相溶化剤(B)の溶融混合は、ポリエステル樹脂(A)が溶融する条件下で行うことが好ましい。ポリエステル樹脂(A)が溶融する条件下とは、例えば、粘弾性測定によって決定できるポリエステル樹脂(A)の融点を基に定義することができ、静置状態で融点以上であれば溶融する条件であるが、溶融混練法では必ずしも静置状態で測定された融点ではなく、融点よりも低い温度で溶融することもあり、温度が高いほど溶融粘度が小さくなって混合しやすくなるが、あまり高いと熱分解が起きる恐れがある。これらの観点から、溶融混合の温度は、融点に対して0℃〜+30℃であり、より好ましくは融点に対して0℃〜+10℃である。
溶融混合する場合には、一般的な押出機を用いることができ、混練状態の向上のため、二軸の押出機を使用することが好ましい。押出機への供給は、予めヘンシェルミキサー等の混合装置を用いて各種成分を混合したものを一つのホッパーから供してもよいし、二つのホッパーにそれぞれの成分を仕込みホッパー下のスクリュー等で定量しながら供してもよい。
溶融混合物は、ペレットに成形して、ポリエステル樹脂(C)と乾式混合することが好ましい。ペレットの大きさは特に限定されないが、ポリエステル樹脂(C)と同程度であることが好ましく、直径1mm〜5mm程度、厚さ2mm〜10mm程度が好ましい。
ポリエステル樹脂(C)もIV値が異なる以外は、ポリエステル樹脂(A)と同様の樹脂が用いられる。
ポリエステル樹脂(C)のIV値は、耐衝撃性の観点から、0.55以上であり、0.60以上が好ましく、0.72以上がより好ましい。また、成形性の観点から、1.4以下であり、1.2以下が好ましい。これらの観点から、ポリエステル樹脂(C)のIV値は、0.55〜1.4であり、0.60〜1.2が好ましく、0.72〜1.2がより好ましい。
前記の如く、ポリエステル樹脂(C)のIV値は、ポリエステル樹脂(A)のIV値よりも高いことが好ましい。IV値の差は、0.05〜0.9が好ましく、0.15〜0.65がより好ましい。
溶融混合物と乾式混合するポリエステル樹脂(C)の量は、多い方が成形材料の流動性を良くすることができるので、成形性の観点から、ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、25質量部以上であり、50質量部以上が好ましく、80質量部以上がより好ましい。また、耐衝撃性の観点から、2000質量部以下であり、1000質量部以下が好ましく、300質量部以下がより好ましい。
本発明のポリエステル樹脂成形材料は、耐衝撃性の観点から、さらにゴム系強化剤(D)を含有していることが好ましい。
ゴム系強化剤(D)は、アクリル系強化剤、ブタジエン系強化剤及びシリコン・アクリル系強化剤からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
アクリル系強化剤としては、コアがアクリルゴムのコア/シェル型形状を有するアクリル系ポリマー粒子等が挙げられる。
ブタジエン系強化剤としては、コアがブタジエン樹脂のコア/シェル型形状を有するアクリル系ポリマー粒子等が挙げられる。
シリコン・アクリル系強化剤としては、コアがシリコン・アクリル共重合体のコア/シェル型形状を有するポリマー粒子等が挙げられる。
ゴム系強化剤(D)の量は、ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、耐衝撃性の観点から、0.1質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましい。また、成形性の観点から、30質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。
ゴム系強化剤は、ポリエステル樹脂(A)と相溶化剤(B)の溶融混合時に配合することが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、カーボンブラック、シリカ、炭素繊維、ガラス繊維等の補強剤;炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化チタン、マイカ等の充填剤;滑剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤、離型剤、粘着付与剤、架橋剤、架橋助剤、発泡剤、香料等の各種添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤は、ポリエステル樹脂(A)と相溶化剤(B)の溶融混合時に配合しても、溶融混合物とポリエステル樹脂(C)の乾式混合時に配合してもよい。
本発明のポリエステル樹脂成形材料のJIS K 7210による280℃、2.16kg荷重のメルトマスフローレイト(MFR)は、大きい方が熱溶融された組成物の流動性がよく、金型で成形する際に完充填されやすいので、5.0g/10min以上が好ましく、また、金型隙間からの漏出を抑え、バリ等の発生を防ぐ意味から、10g/10min以下が好ましい。すなわち成形性の観点から、5.0〜10g/10minが好ましい。実際にはポリエステル樹脂成形材料のMFRの値は成形性に大きく効き、許容範囲も狭いので、成形試験において280℃±10℃程度の温度範囲で射出成型してみて金型に完充填され、バリ等の発生がない場合は、MFRを測定するまでもなく、上記の好ましい範囲の値になっていることは技術常識である。
本発明のポリエステル樹脂成形材料を、常法に従って、適宜加熱成形することにより、成形体が得られるが、本発明の成形材料は流動性に優れているため、射出成形にも好適に用いることができる。
本発明のポリエステル樹脂成形材料を加熱成形して得られる成形体の用途は、特に限定されるものではなく、自動車、電子材料、家電、電気機器、医療用具、包装資材、文具・雑貨用品等の各種成形品に使用する事ができる。
実施例及び比較例で使用した原料の各種物性は、以下の方法により測定した。
1.ポリエステル樹脂(PET)
〔IV値〕
フェノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒として、温度20℃で測定し、dl/g単位で算出する。
〔IV値〕
フェノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒として、温度20℃で測定し、dl/g単位で算出する。
2.相溶化剤
〔単量体単位の組成の測定方法〕
1H-NMRにて測定する。
〔単量体単位の組成の測定方法〕
1H-NMRにて測定する。
〔メルトマスフローレート(MFR)〕
JISK7210により、190℃、2.16kg荷重の条件下で測定する。
JISK7210により、190℃、2.16kg荷重の条件下で測定する。
実施例1〜17及び比較例1〜3
〔工程1(溶融混合)〕
表1、2に示す原料を、シリンダ温度を270℃〜300℃に設定した同方向二軸押出機(ブラベンダー(株)製 DSE25型、L/D=54、ダイ形状:3mmφストランド)の原料ホッパーに投入し、押出機内で溶融混合し、吐出口から吐出されたストランドを水槽で冷却後、ペレタイザーによりペレット化した。直径3mm、厚さ3mmのペレットが得られた。
〔工程1(溶融混合)〕
表1、2に示す原料を、シリンダ温度を270℃〜300℃に設定した同方向二軸押出機(ブラベンダー(株)製 DSE25型、L/D=54、ダイ形状:3mmφストランド)の原料ホッパーに投入し、押出機内で溶融混合し、吐出口から吐出されたストランドを水槽で冷却後、ペレタイザーによりペレット化した。直径3mm、厚さ3mmのペレットが得られた。
〔工程2(乾式混合)〕
得られたペレットと表1、2に示すPET(直径3mm、厚さ4mm)をスーパーミキサーにて混合した。
得られたペレットと表1、2に示すPET(直径3mm、厚さ4mm)をスーパーミキサーにて混合した。
比較例4
実施例1において、工程1を行わず、すべての原料を工程2の乾式混合に供して、成形材料を得た。
実施例1において、工程1を行わず、すべての原料を工程2の乾式混合に供して、成形材料を得た。
実施例及び比較例で使用した表1、2に記載の原料の詳細は以下の通り。
<PET>
MA-1340P:ユニチカ社製、コポリマー、IV値 0.57
MA-2101:ユニチカ社製、ホモポリマー、IV値 0.64
MA-2103:ユニチカ社製、ホモポリマー、IV値 0.68
MA-1344:ユニチカ社製、コポリマー、IV値 0.70
NEH-2040:ユニチカ社製、ホモポリマー、IV値 0.72
NEH-2070:ユニチカ社製、ホモポリマー、IV値 0.88
SA-1206:ユニチカ社製、ホモポリマー、IV値 1.2
MA-1340P:ユニチカ社製、コポリマー、IV値 0.57
MA-2101:ユニチカ社製、ホモポリマー、IV値 0.64
MA-2103:ユニチカ社製、ホモポリマー、IV値 0.68
MA-1344:ユニチカ社製、コポリマー、IV値 0.70
NEH-2040:ユニチカ社製、ホモポリマー、IV値 0.72
NEH-2070:ユニチカ社製、ホモポリマー、IV値 0.88
SA-1206:ユニチカ社製、ホモポリマー、IV値 1.2
<相溶化剤>
BondFast E:住友化学社製、単量体単位組成 E(88%)-GMA(12%)、MFR 3g/10min
BondFast 2C:住友化学社製、単量体単位組成 E(94%)-GMA(6%)、MFR 3g/10min
BondFast 2B:住友化学社製、単量体単位組成 E(83%)-GMA(12%)-VA(5%)、MFR 3g/10min
BondFast 7M:住友化学社製、単量体単位組成 E(67%)-GMA(6%)-MA(27%)、MFR 7g/10min
E:エチレン、GMA:メタクリル酸グリシジル、VA:酢酸ビニル、MA:アクリル酸メチル
BondFast E:住友化学社製、単量体単位組成 E(88%)-GMA(12%)、MFR 3g/10min
BondFast 2C:住友化学社製、単量体単位組成 E(94%)-GMA(6%)、MFR 3g/10min
BondFast 2B:住友化学社製、単量体単位組成 E(83%)-GMA(12%)-VA(5%)、MFR 3g/10min
BondFast 7M:住友化学社製、単量体単位組成 E(67%)-GMA(6%)-MA(27%)、MFR 7g/10min
E:エチレン、GMA:メタクリル酸グリシジル、VA:酢酸ビニル、MA:アクリル酸メチル
<強化剤>
カネエース FM40:株式会社カネカ製、コアシェル型アクリル系強化剤
カネエース FM40:株式会社カネカ製、コアシェル型アクリル系強化剤
<酸化防止剤>
IrganoxB-225:BASF製、フェノール系酸化防止剤「Irganox -1010」とフォスファイト系酸化防止剤「IrgaFos168」の混合物
IrganoxB-225:BASF製、フェノール系酸化防止剤「Irganox -1010」とフォスファイト系酸化防止剤「IrgaFos168」の混合物
<紫外線吸収剤>
TINUBIN234:BASF製、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
TINUBIN234:BASF製、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
<顔料>
タイペークCR-80:石原産業株式会社製、酸化チタン
タイペークCR-80:石原産業株式会社製、酸化チタン
評価1〔成形性〕
実施例及び比較例で得られた成形材料を下記の条件で射出成形し、底面が115×115mm、高さ160mm、上面開口部が127×127mmであり、L/t=90のカップ形状の成形体を作製した。
実施例及び比較例で得られた成形材料を下記の条件で射出成形し、底面が115×115mm、高さ160mm、上面開口部が127×127mmであり、L/t=90のカップ形状の成形体を作製した。
〔射出成形条件〕
成形温度:270〜285℃
金型温度:25〜35℃
射出成形圧力:約9.8×105MPa
成形温度:270〜285℃
金型温度:25〜35℃
射出成形圧力:約9.8×105MPa
射出成形時、カップの成形状態により、以下の評価基準に従って、成形性を評価した。結果を表1、2に示す。
<評価基準>
○:完充填でき、バリ等の不良部位がないもの
×:完充填できない、及び/又はバリ等の不良部位があるもの
○:完充填でき、バリ等の不良部位がないもの
×:完充填できない、及び/又はバリ等の不良部位があるもの
評価2〔耐衝撃性〕
評価1で作製したカップ形状の成形体の開口部を下にして配置し、底面の中心部分に、頂点を下にした円錐型の重りを落下させた。落下させる重りの高さを、50mmから25mmきざみで高くしながら、重りの落下を繰り返し、成形体が割れた高さを耐衝撃値として、表1、2に示した。使用した重りは、JIS K 6742に規定されている重錐であり、呼び径75〜150用に使用する質量9kgのものである。
評価1で作製したカップ形状の成形体の開口部を下にして配置し、底面の中心部分に、頂点を下にした円錐型の重りを落下させた。落下させる重りの高さを、50mmから25mmきざみで高くしながら、重りの落下を繰り返し、成形体が割れた高さを耐衝撃値として、表1、2に示した。使用した重りは、JIS K 6742に規定されている重錐であり、呼び径75〜150用に使用する質量9kgのものである。
〔工程2で使用したPETのIV値と耐衝撃性の関係〕
実施例1〜7における工程2に使用したPETのIV値と面衝撃強度の関係を図1に示す。
図1より、工程2の乾式混合で使用するPETのIV値が高いほど、耐衝撃性が向上することが示されている。
実施例1〜7における工程2に使用したPETのIV値と面衝撃強度の関係を図1に示す。
図1より、工程2の乾式混合で使用するPETのIV値が高いほど、耐衝撃性が向上することが示されている。
〔工程1で使用したPETと工程2で使用したPETの量比と耐衝撃性の関係〕
工程1で使用したPETと工程2で使用したPETの量比が異なる実施例5、11、13の耐衝撃性の対比を表3に示す。
工程1で使用したPETと工程2で使用したPETの量比が異なる実施例5、11、13の耐衝撃性の対比を表3に示す。
表3より、工程2の乾式混合で使用するPETの量が多いほど、耐衝撃性が向上することが示されている。
〔相溶化剤の量と耐衝撃性の関係〕
PETに対する相溶化剤の量比が異なる実施例11、12の耐衝撃性の対比を表4に示す。
PETに対する相溶化剤の量比が異なる実施例11、12の耐衝撃性の対比を表4に示す。
表4より、相溶化剤の量が多いほど、耐衝撃性が向上することが示されている。
以上の結果より、実施例1〜17の成形材料は、射出成形にも問題のない良好な流動性を有しており、得られる成形体の耐衝撃性も優れていることが分かる。
本発明のポリエステル樹脂成形材料は、自動車、電子材料、家電、電気機器、医療用具、包装資材、文具・雑貨用品等の各種成形品の材料として用いられる。
Claims (7)
- IV値が0.50〜1.0のポリエステル樹脂(A)と、該ポリエステル樹脂(A)100質量部に対してエポキシ基を有する相溶化剤(B)1〜25質量部を含有する組成物の溶融混合物と、IV値が0.55〜1.4のポリエステル樹脂(C)を該ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して25〜2000質量部とを乾式混合してなる、ポリエステル樹脂成形材料。
- ポリエステル樹脂(C)のIV値が、ポリエステル樹脂(A)のIV値よりも0.05〜0.9高いものである、請求項1記載のポリエステル樹脂成形材料。
- 組成物が、さらにゴム系強化剤(D)をポリエステル樹脂(A)100質量部に対して0.1〜30質量部を含有してなる、請求項1又は2記載のポリエステル樹脂成形材料。
- 相溶化剤(B)が、単量体単位として(メタ)アクリル酸グリシジル単位とエチレン単位を含み、JIS K 7210による190℃、2.16kg荷重のメルトマスフローレイトが0.1〜50g/10minであり、(メタ)アクリル酸グリシジル単位の割合は、単量体単位中、2〜40質量%である、請求項1〜3いずれか記載のポリエステル樹脂成形材料。
- ゴム系強化剤(D)が、アクリル系強化剤、ブタジエン系強化剤及びシリコン・アクリル系強化剤からなる群より選ばれた少なくとも1種である、請求項3又は4記載のポリエステル樹脂成形材料。
- IV値が0.50〜1.0のポリエステル樹脂(A)100質量部とエポキシ基を有する相溶化剤(B)1〜25質量部とを含む組成物を溶融混合し、ペレットに成形する工程1と、得られた溶融混合物とIV値が0.55〜1.4のポリエステル樹脂(C)25〜2000質量部を乾式混合する工程2を含む、ポリエステル樹脂成形材料の製造方法。
- 請求項1〜5いずれか記載のポリエステル樹脂成形材料を射出成形してなる成形体。
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JP2013128806A JP2015003957A (ja) | 2013-06-19 | 2013-06-19 | ポリエステル樹脂成形材料及びその成形体 |
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