以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る印刷装置10の構成の一例を示す。図1(a)は、印刷装置10の要部の構成の一例を示す。本例において、印刷装置10は、媒体(メディア)50に対してインクジェット方式で印刷を行うインクジェットプリンタであり、インクジェットヘッド12、描画線読取部14、テーブル16、駆動信号出力部18、吐出異常検知部24、信号補正部20、及びサイズ情報記憶部22を備える。尚、以下に説明する点を除き、印刷装置10は、公知のインクジェットプリンタと同一又は同様であってよい。例えば、印刷装置10は、印刷に必要な各種構成として、公知のインクジェットプリンタと同一又は同様の構成を更に有してよい。
インクジェットヘッド12は、媒体50へ向けてインク滴を吐出する印刷ヘッドである。本例において、インクジェットヘッド12は、所定のノズル列方向へ並ぶ複数のノズルを有しており、それぞれのノズルに対応して駆動信号出力部18から受け取る駆動信号に応じて、それぞれのノズルからインク滴を吐出する。駆動信号とは、例えば、インクジェットヘッド12のノズルにおいてインク滴を吐出させる素子を制御する信号である。この素子は、例えばそれぞれのノズルに対応して設けられるピエゾ素子又は加熱素子等であり、駆動信号の電圧の変動に応じて、ノズルからインク滴を吐出させる。
描画線読取部14は、インクジェットヘッド12のノズルから媒体50へインク滴を吐出することで媒体50上に描かれる線の状態を読み取るセンサである。描画線読取部14としては、例えば一次元イメージセンサを好適に用いることができる。一次元イメージセンサとは、例えば、副走査方向へ延伸する直線状の領域を撮像するセンサ(リニアイメージセンサ)である。一次元イメージセンサは、例えば1〜2インチ程度の幅の領域を読み取るラインセンサであってよい。描画線読取部14は、例えば複数の一次元イメージセンサを並べた構成を有してもよい。また、印刷装置10の構成の変形例においては、描画線読取部14として、例えば、媒体50上の平面状の領域を撮像する二次元イメージセンサを用いることも考えられる。
また、本例において、描画線読取部14は、線の状態として、媒体50上に描かれる線の線幅を測定する。また、より具体的に、描画線読取部14は、駆動信号の調整を行う駆動信号調整時に、インクジェットヘッド12の各ノズルにより描かれた直線の線幅の測定を行う。テーブル16は、媒体50を保持する保持部材であり、インクジェットヘッド12と対向させて媒体50を保持する。
駆動信号出力部18は、インクジェットヘッド12へ駆動信号を出力する信号出力部である。また、本例において、駆動信号出力部18は、インクジェットヘッド12における複数のノズルのそれぞれに対し、それぞれのノズルの吐出特性に応じて補正された駆動信号を供給する。
吐出異常検知部24は、インクジェットヘッド12のノズルから吐出されるインク滴の状態が基準の状態から外れる吐出異常を検知する検知部である。本例において、吐出異常検知部24は、描画線読取部14が読み取る線の状態に基づき、その線を描いたノズルについて吐出異常の状態であるか否かを判定する。また、より具体的に、吐出異常検知部24は、例えば、描画線読取部14により測定された線幅が予め設定された基準の範囲から外れている場合に、その線を描いたノズルについて吐出異常の状態であると判定する。
信号補正部20は、駆動信号出力部18が出力する駆動信号を補正する補正部である。本例において、信号補正部20は、駆動信号調整時において、いずれかのノズルについて吐出異常検知部24が吐出異常の状態であると判定した場合、そのノズルへ供給される駆動信号について、描画線読取部14による測定結果である線幅と、サイズ情報記憶部22に記憶されている液滴サイズ情報とに基づき、信号設定パラメータを変更することにより、駆動信号を補正する。また、これにより、信号補正部20は、例えば、それぞれのノズルから吐出されるインク滴の容量が設計値により近づくように、駆動信号を補正する。サイズ情報記憶部22は、液滴サイズ情報を予め記憶しておく記憶部である。
ここで、信号設定パラメータとは、例えば、駆動信号の動作を指定するパラメータである。また、本例において、信号設定パラメータとは、駆動信号の電圧又は波形の少なくともいずれかを指定するパラメータである。この場合、駆動信号において、電圧又は波形の少なくともいずれかが、信号設定パラメータに応じて変更される。また、駆動信号出力部18は、信号設定パラメータに応じて電圧又は波形の少なくともいずれかが変更される駆動信号を出力する。駆動信号の電圧又は波形が変更されるとは、例えば、駆動信号の一部の電圧又は波形が変更されることであってよい。また、液滴サイズ情報とは、例えば、駆動信号に応じてノズルから吐出されるインク滴のサイズと、信号設定パラメータとを対応付けた情報である。液滴サイズ情報は、例えば、線幅と、信号設定パラメータとを対応付ける情報等であってよい。尚、駆動信号の補正の動作については、後に更に詳しく説明をする。
また、上記においても説明をしたように、本例において、印刷装置10は、上記の要部以外に、例えば、公知のインクジェットプリンタと同一又は同様の構成を更に有する。例えば、印刷装置10は、インクジェットヘッド12に主走査動作や副走査動作を行わせる駆動部等を更に備える。主走査動作とは、印刷時において、印刷装置10において予め設定された主走査方向(図中のY方向)へインクジェットヘッド12を移動させる動作である。主走査動作時において、インクジェットヘッド12は、Y方向へ移動しつつ、駆動信号に応じてインク滴を吐出する。また、副走査動作とは、主走査方向(Y方向)と直交する副走査方向(X方向)へ、媒体50に対して相対的にインクジェットヘッド12を移動させる動作である。印刷装置10は、主走査動作の合間に副走査動作を行うことにより、インクジェットヘッド12に対して媒体50を送る送り動作を行う。また、これらの動作により、印刷装置10は、媒体50上の各位置に対して印刷を行う。
また、印刷装置10は、例えば、複数のインクジェットヘッド12を備えてもよい。例えば、印刷装置10がカラー印刷を行う構成である場合、印刷装置10はYMCKの各色のインクをそれぞれ吐出する複数のインクジェットヘッド12を備えてもよい。この場合、駆動信号出力部18は、それぞれのインクジェットヘッド12のノズルへ、駆動信号を供給する。また、信号補正部20は、それぞれのインクジェットヘッド12へ供給される駆動信号を補正する。
続いて、本例におけるインクジェットヘッド12及び描画線読取部14のより詳細な構成について、説明をする。図1(b)は、印刷装置10におけるインクジェットヘッド12及び描画線読取部14のより詳細な構成の一例を示す。本例において、インクジェットヘッド12の複数のノズル102は、X方向をノズル列方向として並ぶ。
また、描画線読取部14は、Y方向におけるインクジェットヘッド12の両側にそれぞれ設けられている。それぞれの描画線読取部14は、例えばインクジェットヘッド12と共に移動可能に構成されており、例えば主走査動作等でインクジェットヘッド12がY方向へ移動する場合に、インクジェットヘッド12と共にY方向へ移動する。
また、本例において、インクジェットヘッド12は、例えば、主走査動作の往路及び復路の両方向において、媒体50へインク滴を吐出する。そのため、インクジェットヘッド12の両側のそれぞれに設けられた描画線読取部14は、主走査動作時のインクジェットヘッド12の移動方向に応じて、一方が移動方向の前方側に配置され、他方が後方側に配置されることになる。そのため、このように構成すれば、例えば、インクジェットヘッド12により媒体50上に描かれた直線の線幅の測定を行う場合において、インクジェットヘッド12の移動方向においてインクジェットヘッド12の後方側に配置される描画線読取部14により、線幅を描く主走査動作の中で、描かれた直線の線幅を適切に測定できる。また、これにより、例えば、線幅の測定を効率的に適切に行うことができる。
また、本例において、それぞれの描画線読取部14は、複数のセンサ部104a、104bを有する。このうち、センサ部104aは、ノズル列における奇数番目のノズル102により描かれた直線の線幅を測定するセンサ(例えば、一次元イメージセンサ)である。また、センサ部104bは、ノズル列における偶数番目のノズル102により描かれた直線の線幅を測定するセンサ(例えば、一次元イメージセンサ)である。センサ部104a、104bにより線幅を測定する動作については、後に詳しく説明する。また、センサ部104a、104bとしては、例えばホトセンサ(フォトセンサ)と光源とを組み合わせた構成を好適に利用できる。この光源としては、例えばLEDやLD(レーザダイオード)等を好適に用いることができる。
続いて、駆動信号を補正する動作について、更に詳しく説明をする。図2は、駆動信号を補正する動作の一例について説明をする図である。図2(a)は、駆動信号の電圧信号及び波形と、駆動信号に応じてインクジェットヘッドのノズルが吐出するインク滴により描かれる直線の線幅との関係の一例を示すグラフである。このグラフにおいて、線202は、駆動信号の電圧と線幅との関係を示す。また、線204は、駆動信号のパルス幅と線幅との関係を示す。
尚、このグラフは、説明の便宜上、電圧、パルス幅、及び線幅のそれぞれを任意単位で示している。また、図示の便宜上、線202と線204とは、縦軸における位置をずらして示している。これにより、線202及び204は、例えば、グラフの横軸においてDmと示した所定の位置に対応する電圧又はパルス幅に対して、その値を増減した場合に、線幅が増加又は減少のいずれの方向へ動くかを示している。
また、本例において、駆動信号は、例えば、複数のパルスを含む信号である。この場合、駆動電圧の電圧とは、例えば、駆動信号において、ノズルからインク滴を吐出させる電圧変動となるパルスの電圧である。この場合、パルスの電圧とは、例えば、パルスにおける電圧変化量の絶対値であってよい。また、パルス幅とは、例えば、このパルスの幅である。また、ノズルからインク滴を吐出させる電圧変動とは、例えば、ノズルにおいてインク滴を吐出させる素子にインク滴を押し出す動作を行わせる電圧変動である。また、ノズルからインク滴を吐出させる動作と、駆動信号との関係に応じて、ノズルからインク滴を吐出させる電圧変動は、例えば、インク滴を押し出す動作の前にノズル内へインク滴を引き込む動作をこの素子に行わせる電圧変動等であってもよい。
また、グラフにおいて、線幅とは、例えば、Y方向へ連続して並ぶインクのドットにより構成される直線の線幅である。本例において、この直線は、例えば、インクジェットヘッド12(図1参照)の主走査時において、一のノズルに対して同じ駆動信号を繰り返し供給することで媒体上に描かれる。
ここで、上記のような駆動信号を用いた場合、ノズルから吐出されるインク滴のサイズは、駆動信号の電圧及びパルス幅に応じたサイズとなる。例えば、グラフの横軸においてDmと示した所定の位置に対し、駆動信号の電圧又はパルス幅を大きくした場合、吐出されるインクのドットのサイズは大きくなる。そして、これに応じて、描かれる直線の線幅も大きくなる。また、駆動信号の電圧又はパルス幅を小さくした場合、吐出されるインクのドットのサイズは小さくなる。そして、これに応じて、描かれる直線の線幅も小さくなる。そのため、印刷装置10(図1参照)において使用するインクジェットヘッド12について、媒体に着弾するインク滴のサイズ、又は描かれる直線の線幅等と、駆動信号の電圧又は波形の少なくともいずれかに対応する信号設定パラメータとの関係を予め測定しておけば、いずれかのノズルから吐出されるインク滴のサイズが規定範囲外になった場合等に、予め測定されたこの関係に基づき、そのノズルの特性に合わせて駆動信号を補正することができる。
より具体的に、本例において、サイズ情報記憶部22(図1参照)は、予め測定した上記関係に基づき、インク滴のサイズと、信号設定パラメータとを対応付けた液滴サイズ情報を記憶する。液滴サイズ情報は、例えば、吐出特性のばらつきの影響がない正常なノズルから吐出されるべきインク滴のサイズと、信号設定パラメータとを対応付けた情報であってよい。正常なノズルとは、例えば、設計上の正常な吐出特性を有するノズルである。また、液滴サイズ情報は、例えば、標準的なノズルにおいて吐出されるべきインク滴のサイズと、信号設定パラメータとを対応付けた情報であってよい。
また、液滴サイズ情報は、インクジェットヘッド12における全てのノズルに対して共通の情報であってよい。また、液滴サイズ情報において、インク滴のサイズと、信号設定パラメータとを対応付けるとは、例えば、インク滴により描かれる直線の線幅と、信号設定パラメータとを対応付けることであってよい。より具体的に、本例において、サイズ情報記憶部22は、例えば、ノズルから吐出されるインク滴により描かれる直線の線幅と、信号設定パラメータとを対応付ける液滴サイズ情報を記憶する。また、駆動信号調整時において、信号補正部20(図1参照)は、サイズ情報記憶部22に記憶されている液滴サイズ情報に基づき、駆動信号を補正する。
図2(b)は、駆動信号を補正する動作の一例を示すフローチャートである。尚、以下において説明する一連の動作は、例えば、駆動信号調整時に行う動作である。また、この調整は、例えば、通常の印刷動作の合間等に、ユーザの指示を受けた場合等に応じて行う動作である。また、駆動信号を補正するとは、例えば、信号設定パラメータについて、調整後の印刷時に用いるべき新たな値を設定することである。
駆動信号調整時において、本例の印刷装置10は、先ず、インクジェットヘッド12における各ノズルを順次選択し、選択したノズル(選択ノズル)により、直線を描画する(ステップS102)。インクジェットヘッド12は、例えば、その時点で各ノズルに対して設定されている信号設定パラメータを用いた駆動信号に応じて、各ノズルにより、直線を描画する。
ここで、このステップS102において、インクジェットヘッド12における選択ノズルは、ノズル列方向において、少なくとも間に1以上の非選択のノズルを挟むように選択される。インクジェットヘッド12は、主走査動作を行うことで、選択ノズルにより、ノズル列方向と直交するY方向へ延伸する直線を媒体上に描画する。また、選択ノズルによる直線の描画後、印刷装置10は、別のノズルを改めて選択し、次の選択ノズルにより、直線を描画する。そして、このようなノズルの選択と、直線の描画とを順次繰り返すことにより、印刷装置10は、全てのノズルにより、媒体上に直線を描画する。
尚、選択ノズルの選択の仕方としては、例えば、ノズル列方向における奇数番目(又は偶数番目)のノズルを先ず選択して、選択したノズルにより直線を描いた後、次に、偶数番目(又は奇数番目)のノズルを選択して、選択したノズルにより直線を描くこと等が考えられる。また、ノズル列におけるN(Nは、1以上の整数)本おきのノズルを順次選択し、選択ノズルにより直線を順次描くこと等も考えられる。
続いて、印刷装置10は、描画線読取部14(図1参照)により、順次選択された選択ノズルで媒体上に描かれた直線の線幅を測定する(ステップS104)。そして、描画線読取部14により測定される線幅に基づき、信号補正部20(図1参照)により信号設定パラメータを変更することにより、その線幅の直線を描いたノズルへ供給される駆動信号を補正する(ステップS106)。
ここで、ステップS106では、例えば、駆動信号の電圧又は波形(例えば、パルス幅)を信号設定パラメータとして用いる。そして、いずれかのノズルについて、ステップS106で測定される線幅が規定範囲外であった場合、信号補正部20は、サイズ情報記憶部22に記憶されている液滴サイズ情報に基づき、その線幅を規定範囲内に戻すために必要な信号設定パラメータを求める。この場合、より具体的に、信号補正部20は、例えば、測定される線幅と、正常なノズルの場合の線幅との差に応じて、駆動信号の電圧についての必要な変化量±ΔVや、パルス幅の変化量±ΔPを算出する。そして、算出結果に基づき、新たな信号設定パラメータを設定することにより、駆動信号を補正する。
尚、インクジェットヘッド12における全てのノズルについて、描画線読取部14により測定される線幅が規定範囲内にあった場合、ステップS106において、信号補正部20は、信号設定パラメータの変更等は行わず、駆動信号の補正の動作を終了する。一方、いずれかのノズルについて、測定される線幅が規定範囲外となり、信号設定パラメータの変更を行った場合、補正後の駆動信号を用いて、ステップS102以降の動作を再度繰り返すことが好ましい。このように構成すれば、駆動信号の補正をより適切に行うことができる。
また、描画線読取部14により測定される線幅が予め設定された下限値以下である場合、ステップS106において、信号補正部20は、その線幅に対応するノズルについて、不良のノズルであると判定してもよい。このように構成すれば、例えば、信号設定パラメータの変更では吐出特性を十分に補正できないノズル等がある場合にも、そのようなノズルを適切に検出できる。また、これにより、不良のノズルに対し、通常の補正と異なる処理等を適切に行うことができる。
尚、いずれかのノズルについて、信号補正部20が不良のノズルであると判定した場合、そのノズルに対し、例えばワイピングやノズルの吸引等のノズルリカバリ等の処理(メンテナンス)を行うこと等が考えられる。また、例えばエラー表示や警告等により、不良のノズルの存在をユーザに通知すること等も考えられる。また、例えば、所定の回数のメンテナンスを行ってもノズルが回復しない場合に、エラー表示や警告等を行ってもよい。これらのようにすれば、例えば、不良のノズルに対する処理を適切に行うことができる。
以上のように、本例のように構成した場合、例えば、媒体上に描かれる線の線幅の測定結果に基づき、その線を描いたノズルから吐出されるインク滴のサイズ等を適切に確認できる。これにより、例えば、そのノズルの吐出特性を適切に確認できる。また、例えば、いずれかのノズルが吐出異常の状態になっている場合において、吐出異常を適切に検知できる。そして、線幅の測定結果に基づいて信号設定パラメータを変更することにより、例えばそのノズルから吐出されるインク滴のサイズを変更するように、駆動信号を適切に補正できる。更には、駆動信号を補正することにより、例えば、そのノズルから吐出されるインク滴のサイズ等について、吐出特性のばらつき等による変化分を修正し、本来吐出すべきサイズに適切に補正できる。そのため、本例によれば、例えば、インクジェットヘッド12の各ノズルについて、その吐出特性を適切に補正できる。また、これにより、例えば、ノズルからのインク滴の吐出の制御を適切に行い、吐出異常の影響で印刷の品質が低下すること等を適切に防ぐことができる。
尚、上記においては、駆動信号の補正について、例えば1個のノズル単位で行う場合の例を説明した。このように構成すれば、例えば、各ノズルについて個別に、より適切に駆動信号を補正できる。また、駆動信号の補正は、例えば、それぞれが複数のノズルを含むノズルのグループを単位にして、グループ毎に行ってもよい。このように構成すれば、例えば、より簡易に駆動信号を補正できる。
続いて、選択ノズルにより直線を描画する動作、及び、直線の線幅を測定する動作について、より具体的に説明をする。図3は、直線を描画する動作、及び、線幅を測定する動作の一例を示す。図3(a)は、直線を描画する動作の一例を示す。
図2等を用いて説明をしたように、駆動信号調整時において、インクジェットヘッド12は、X方向をノズル列方向として複数のノズル102が並ぶノズル列から一部が選択された選択ノズルにより、Y方向へ延伸する直線を描画する。また、選択ノズルを順次変更することにより、全てのノズル102により、順次直線を描画する。
例えば、図3(a)に示した場合において、インクジェットヘッド12は、先ず、図の左側から数えた場合におけるノズル列中の奇数番目のノズル102を選択ノズルとして、選択ノズルによる直線の描画を行う。そして、奇数番目のノズル102による直線の描画が完了した後に、ノズル列中の偶数番目のノズル102を選択ノズルとして、選択ノズルによる直線の描画を行う。このように構成すれば、インクジェットヘッド12における全てのノズル102により、適切に直線を描画することができる。
尚、本例において、ノズル102により直線を描画するとは、図中に示すように、インク滴により形成されるインクのドットを並べて形成することである。そのため、本例において、ノズル102により形成される直線とは、図中に示すようにインクのドットが並ぶ列のことである。また、図においては、説明の便宜上、一部のノズルにより形成されるドットについて、他のノズルにより形成されるドットと比べた大きさの違いを強調して示している。
また、上記の動作において、選択ノズルの変更は、例えば、インクジェットヘッド12による主走査動作の途中に行ってよい。この場合、インクジェットヘッド12は、例えば、1回の主走査動作の中で、最初に奇数番目のノズルによる直線の描画を行い、続けて、偶数番目のノズルによる直線の描画を行う。このように構成すれば、全てのノズル102による直線の描画をより効率的に行うことができる。また、例えば印刷装置10が複数のインクジェットヘッド12を備えている場合、それぞれのインクジェットヘッド12の各ノズル102による直線の描画についても、例えば1回の主走査動作の中で行ってよい。また、インクジェットヘッド12毎に別の主走査動作を行って、それぞれのインクジェットヘッド12の各ノズル102により直線を描画してもよい。
また、ノズル102を選択する順番は、上記と異なっていてもよい。例えば、偶数番目のノズル102を先に選択し、その後に奇数番目のノズル102を選択してもよい。また、ノズル列におけるN(Nは、1以上の整数)本おきのノズルを順次選択してもよい。
ここで、図3(a)には、図中において左から5番目及び6番目のノズル102に対応する駆動信号について補正が必要な場合の例を示している。例えば、左から5番目のノズル102は、奇数番目のノズル102による直線の描画結果において左から3番目となる直線(ドットが並ぶ列)からわかるように、吐出されるインク滴の容量が少なくなっている。また、左から6番目のノズル102は、偶数番目のノズル102による直線の描画結果において左から3番目となる直線からわかるように、吐出されるインク滴の容量が多くなっている。
図3(b)は、インクジェットヘッド12の各ノズル102により描かれた直線の線幅を測定する動作の一例を示す。図1等を用いて説明をしたように、本例においては、各ノズル102により描かれた直線の線幅を、センサ部104a、104bを有する描画線読取部14(図1参照)により測定する。また、この場合、センサ部104aにより、ノズル列における奇数番目のノズル102により描かれた直線の線幅を測定し、センサ部104bにより、ノズル列における偶数番目のノズル102により描かれた直線の線幅を測定する。
また、本例において、センサ部104a、104bは、例えば、媒体上において一定の濃度以上になっている領域の幅を検知することにより、それぞれのノズル102により描かれた直線の線幅を測定する。このように構成すれば、例えば、媒体上の直線の線幅を適切に確認できる。尚、描画線読取部14による線幅の測定は、上記以外に、例えば公知の各種の方法で行うことも考えられる。
ここで、図3(b)には、図3(a)に示した場合に対応する線幅の測定結果を示している。図において、それぞれのピークは、媒体上の各直線に対応する濃度の変化の様子の一例を示す。また、図3(b)の上側の図は、奇数番目のノズルにより描かれた各直線に対応する濃度の変化の様子の一例を示す。図3(b)の下側の図は、偶数番目のノズルにより描かれた各直線に対応する濃度の変化の様子の一例を示す。
上側の図の左から3番目のピークからわかるように、ノズル列中の左から5番目のノズル102のように、吐出されるインク滴の容量が少ない場合、測定される線幅も小さくなる。また、下側の図の左から3番目のピークからわかるように、ノズル列中の左から6番目のノズル102のように、吐出されるインク滴の容量が多い場合、測定される線幅も大きくなる。
これにより、例えば、本例において、線幅を測定することで各ノズル102から吐出されるインク滴の容量を適切に検出できることがわかる。そのため、本例によれば、例えば、線幅の測定結果に応じて駆動信号を補正することにより、インクジェットヘッド12の各ノズル102について、吐出されるインク滴の容量を適切に調整できる。また、これにより、例えば、ノズル102からのインク滴の吐出の制御を簡易かつ適切に行うことができる。そのため、本例によれば、例えば、吐出異常の影響で印刷の品質が低下すること等をより適切に防ぐことができる。
更に、本例においては、上記のように、線幅の測定対象となる直線の描画時において、インクジェットヘッド12は、順次選択される選択ノズルにより、隙間を空けて並ぶ複数の直線を描く。そのため、本例によれば、各ノズル102より描かれる直線の線幅を、より適切に測定できる。また、これにより、各ノズル102に対応する駆動信号の補正を、より適切に行うことができる。
尚、上記においては、吐出異常の検知について、描画線読取部14により測定された線幅に基づいて吐出異常を検知する構成について、説明した。しかし、図1等を用いて説明をした印刷装置10の構成によれば、例えば、インク滴のサイズ(容量)についての吐出異常の他に、例えば、インク滴の着弾位置がずれる吐出異常(飛翔まがり等)等についても、検知することができる。そこで、以下、インク滴の着弾位置がずれる吐出異常について更に検知する場合の構成について、説明をする。
図4は、インク滴の着弾位置がずれる吐出異常を検知する方法の一例を示す図である。図4(a)は、描いた直線を描画線読取部14により読み取る様子の一例を示す。図4(b)は、描画線読取部14による読み取り結果の一例を示す。尚、以下において説明する吐出異常の検知は、例えば、図1〜3を用いて説明をした構成と同一又は同様の構成の印刷装置10を用いて行うことができる。また、図4(a)においては、図示の便宜上、印刷装置10の構成のうち、直線402の状態を読み取る描画線読取部14(一次元イメージセンサ等)のみを示している。
また、図4を用いて説明をする構成において、印刷装置10は、例えば、直線の線幅に基づいてインク滴のサイズについての吐出異常を検知することに加えて、更に、副走査方向においてインク滴の着弾位置がずれる吐出異常を検知する。この場合、インク滴のサイズについての吐出異常を検知する動作や、検知結果に応じて駆動信号を補正する動作については、例えば、図1〜3を用いて説明をした場合と同一又は同様にして行うことができる。
より具体的に、例えば、図3を用いて説明した動作と同様にして、印刷装置10は、インクジェットヘッド12(図1参照)により、先ず、ノズル列中の奇数番目のノズルを選択ノズルとして、選択ノズルによる直線402の描画を行う。そして、奇数番目のノズルによる直線402の描画が完了した後に、ノズル列中の偶数番目のノズルを選択ノズルとして、選択ノズルによる直線402の描画を行う。これにより、印刷装置10は、インクジェットヘッド12における全てのノズルにより、媒体50上に直線402を描画する。
また、印刷装置10は、媒体50上に描かれた描画した直線402の状態を、描画線読取部14により読み取る。より具体的に、描画線読取部14は、直線402の状態の読み取りとして、例えば、線幅の測定と、副走査方向における位置の読み取りを行う。これらの状態の読み取りは、例えば、図4(b)に示したように、媒体50上において一定の濃度以上になっている領域の幅や位置を検知することにより行うことができる。この場合、直線402の線幅の測定については、例えば、図3(b)を用いて説明したのと同一又は同様の方法により行うことができる。
また、直線402の位置の読み取りについては、例えば、副走査方向へ並ぶ複数の直線402のそれぞれについて、他の直線に対する相対的な位置を読み取ることで行うことができる。他の直線に対する相対的な位置を読み取るとは、例えば、副走査方向に並ぶ複数の直線の間隔(ピッチ)を検出することにより、それぞれの線の位置を読み取ることである。この場合、例えば、図4(b)に示したように、媒体50上において一定の濃度以上になっている領域について、濃度のピーク位置を直線の中心位置として、副走査方向において隣接して並ぶ直線402のそれぞれの中心位置の間の距離を算出する。これにより、それぞれの直線402について、例えば、隣接する直線402に対する相対的な位置を読み取ることができる。
また、この場合、吐出異常検知部24(図1参照)は、描画線読取部14により読み取られた直線402の位置が予め設定された基準の位置から外れている場合に、その直線402を描いたノズルについて吐出異常の状態であると判定する。より具体的に、この判定においては、例えば、n番目の直線402(nは、1以上の整数)について、隣接する直線402との間の距離Xnを測定する。そして、測定した距離Xnに基づき、予め設定された標準距離X0との差(X0−Xn)の絶対値を算出する。そして、その絶対値が所定の閾値よりも大きくなった場合に、吐出異常の状態であると判定する。
このように構成した場合、例えば、いずれかのノズルについて、インク滴のサイズの吐出異常が生じていると、図4(a)において符号Aを付した直線402のように、正常なノズルにより描かれた直線402とは線幅が異なることになる。また、その結果、図4(b)において符号Aを付した部分のように、他の直線と異なる線幅が測定される。そのため、線幅を測定することにより、インク滴のサイズの吐出異常を適切に検知できる。
また、例えば、副走査方向のおいて着弾位置がずれる吐出異常がいずれかのノズルに生じている場合、図4(a)において符号Bを付した直線402のように、描かれる直線402の位置が副走査方向においてずれることになる。また、その結果、図4(b)において符号Bを付した部分のように、隣接する直線402との間隔(ピッチ)も変化し、基準の範囲から外れることになる。そのため、副走査方向における直線402の位置を読み取ることにより、副走査方向においてインク滴の着弾位置がずれる吐出異常についても、適切に検知できる。
また、吐出異常を適切に検知することにより、例えば、駆動信号の補正やインクジェットヘッド12のメンテナンス等を適切に行うことができる。例えば、インク滴のサイズの吐出異常を検知した場合、図1〜3を用いて説明をしたように、駆動信号を補正することにより、そのノズルから吐出されるインク滴のサイズ等について、吐出特性のばらつき等による変化分を修正し、本来吐出すべきサイズに適切に近づけることができる。また、例えば、副走査方向においてインク滴の着弾位置がずれる吐出異常を検知した場合、インクジェットヘッド12のメンテナンス等を行うことにより、ノズルを正常な状態に適切に回復させることができる。このメンテナンスとしては、例えば、インクジェットヘッド12のノズル面を拭うワイピングやノズルの吸引等を行うこと等が考えられる。また、例えば駆動信号の補正によりノズルを正常な状態に回復させることが可能な場合には、駆動信号の補正を行うことも考えられる。そのため、このように構成すれば、例えば、吐出異常の影響で印刷の品質が低下すること等をより適切に防ぐことができる。
続いて、印刷装置10の構成の更なる変形例について、説明をする。上記においては、図1〜4を用いて、描画線読取部14として一次元イメージセンサを用いる場合に好ましい構成について説明をした。しかし、描画線読取部14としては、一次元イメージセンサ以外に、例えば二次元イメージセンサ等を用いることも可能である。
図5〜8は、描画線読取部14として二次元イメージセンサを用いた場合の印刷装置10の構成及び動作について説明をする図である。尚、以下に説明をする点を除き、この変形例(以下、本変形例という)における印刷装置10の構成及び動作は、図1〜4を用いて説明をした印刷装置10の構成及び動作と同一又は同様である。
図5は、二次元イメージセンサを用いた場合の印刷装置10の動作の一例を示す。本変形例において、二次元イメージセンサとしては、例えばCCDカメラ等の公知の撮像素子を用いることができる。このように構成すれば、例えば、着弾位置のずれや、媒体上に描かれる線の線幅等について、十分な精度で適切に検知できる。尚、二次元イメージセンサは、例えば、印刷装置10における所定の固定位置に配設される。また、二次元イメージセンサは、媒体50に対して移動可能に配設されてもよい。
また、ノズルの吐出特性を調整する調整時(以下、吐出特性調整時という)において、本変形例の印刷装置10は、インクジェットヘッドにより、直線402及び基準線404を描く。基準線404は、直線402の位置の基準となる図形(以下、基準点算出パターンという)である。本変形例において、インクジェットヘッドは、副走査方向へ延伸する基準線404を描く。また、基準線404の線幅について、例えば主走査動作におけるタイミング毎に、線幅を異ならせる。主走査動作におけるタイミングとは、例えば、複数回の主走査動作における何番目の主走査動作であるかを示すタイミングや、1回の主走査動作の中で選択ノズルを変更するタイミング等である。
このように構成すれば、例えば、媒体上に描く直線402について、主走査動作におけるいずれのタイミングで描いたものであるか(例えば、何回目の主走査動作で描いたものであるか等)を、適切に識別することができる。尚、基準点算出パターンとしては、基準線404とは異なる図形を用いてもよい。例えば、基準点算出パターンとして、枠線等を用いることも考えられる。また、例えば直線402とは線種を異ならせた直線を用いてもよい。
また、本変形例において、描画線読取部14は、例えば、インクジェットヘッドが複数回の主走査動作を行った後に、媒体上に描かれた直線402を撮像してもよい。この場合、例えば、主走査動作時に描画線読取部14を移動させる必要がないため、例えば描画線読取部14を移動させるための駆動部等が不要になる。また、これにより、印刷装置10の構成をより簡素化することができる。
ここで、図5においては、複数の直線402と基準線404との組み合わせについて、位置を異ならせて3組描いた場合の例を示している。また、図5において、視野150は、描画線読取部14により1回で撮像可能な視野の一例である。描画線読取部14は、例えば、位置をずらして複数回の撮像を行うことにより、それぞれの位置に描かれた直線402及び基準線404を撮像する。また、これにより、それぞれの直線402の線幅の測定や、位置の読み取り等を行う。
また、直線402の線幅の測定や、位置を読み取る動作については、例えば図1〜4を用いて説明をした場合と同一又は同様にして行うことができる。これにより、例えば、線幅が異常な直線402(例えば、図4において符号Aを付した直線402)や、正常な状態から外れている直線402(例えば、符号B、Cを付した直線402)がある場合に、その異常を適切に検知することができる。
続いて、本変形例において直線402の状態を読み取る動作について、更に詳しく説明をする。図6は、直線402の線幅を測定する動作の一例について説明をする図である。図6(a)は、吐出特性調整時に描く直線402及び基準線404の一例を示す。図6(b)は、描画線読取部14による読み取り結果の一例を示す。
図6(a)に示すように、本変形例において、直線402の線幅を測定する場合、インクジェットヘッドにより、複数の直線402と、基準線404とを描く。そして、二次元イメージセンサである描画線読取部14により、複数の直線402と、基準線404とを含む視野150内の画像を撮像する。そして、撮像した画像に基づき、図6(b)に示すように、線幅の測定や判定等を行う。この動作は、例えば図1〜4を用いて説明をした印刷装置10と同様にして行うことができる。より具体的に、例えば、本変形例の印刷装置10も、図3及び図4等を用いて説明した動作と同様に、媒体上において一定の濃度以上になっている領域の位置を読み取り、媒体上において一定の濃度以上になっている領域の幅を検知することにより、線幅の測定を行う。また、線幅の測定結果に基づき、吐出異常検知部により、それぞれの直線402について、測定される線幅が予め設定された基準の範囲内にあるか否かについて、判定をする。
例えば、いずれかのノズルにおいて、インク滴のサイズが小さくなっている場合、図6(a)において符号Aを付した直線402のように、描かれる直線402の線幅が小さくなる。また、その結果、図6(b)に示すように、媒体上において一定の濃度以上になっている領域の幅も狭くなる。そのため、このように構成すれば、例えば、線幅の測定結果に基づき、それぞれの直線402を描いたノズルから吐出されるインク滴のサイズを適切に判定できる。
尚、インク滴のサイズが規定の範囲から外れている場合、例えば、駆動信号の補正や、ノズルクリーニング(インクジェットヘッドのノズル面を拭うワイピングや吸引等)等のメンテナンスを行うことが考えられる。また、所定の回数のメンテナンスを行ってもノズルの状態が回復しない場合に、エラー表示や警告等(ヘッド交換を促すアラーム等)を行うことも考えられる。
次に、副走査方向におけるインク滴の着弾位置を判定する動作の一例について、説明をする。図7は、副走査方向におけるインク滴の着弾位置を判定する動作の一例について説明をする図である。図7(a)は、吐出特性調整時に描く直線402及び基準線404の一例を示す。図7(b)は、描画線読取部14による読み取り結果の一例を示す。
図7(a)に示すように、本変形例において、副走査方向におけるインク滴の着弾位置を判定する場合も、インクジェットヘッドにより、複数の直線402と、基準線404とを描く。また、二次元イメージセンサである描画線読取部14により、複数の直線402と、基準線404とを含む視野150内の画像を撮像する。そして、撮像した画像に基づき、図7(b)に示すように、副走査方向におけるインク滴の着弾位置の判定等を行う。この動作は、例えば図1〜4を用いて説明をした印刷装置10と同様にして行うことができる。
より具体的に、例えば、本変形例の印刷装置10も、図4等を用いて説明した動作と同様に、媒体上において一定の濃度以上になっている領域について、濃度のピーク位置を直線402の位置として読み取る。また、描画線読取部14が読み取る直線402の位置に基づき、吐出異常検知部により、その直線402を描いたノズルについて、副走査方向における着弾位置が正常な位置から外れているか否かを判定する。この判定において、吐出異常検知部は、例えば、図4(b)等を用いて説明した動作と同様に、描画線読取部14が読み取る直線402の位置に基づき、副走査方向へ並ぶ複数の直線402のそれぞれについて、隣接する直線402との間で、副走査方向における直線402の間隔(ピッチ)を算出する。そして、算出した間隔に基づき、それぞれの直線402を描いたノズルについて、副走査方向における着弾位置が正常な位置から外れているか否かを判定する。
例えば、いずれかのノズルにおいて、インク滴の着弾位置が副走査方向においてずれている場合、図7(a)において符号Bを付した直線402のように、隣接する直線402との間隔にずれが生じる。また、その結果、図7(b)に示すように、媒体上において一定の濃度以上になっている領域の位置にもずれが生じる。そのため、このように構成すれば、例えば、副走査方向における着弾位置のずれを適切に検知できる。
尚、例えば、インク滴の着弾位置が正常な位置から外れている場合、ノズルクリーニング等のメンテナンスを行うことが考えられる。また、所定の回数のメンテナンスを行ってもノズルの状態が回復しない場合に、エラー表示や警告等を行うことも考えられる。また、副走査方向におけるインク滴の着弾位置の判定は、例えば、直線402の線幅の測定と同時に行ってもよい。
また、本変形例においては、インク滴の着弾位置の判定に関し、副走査方向における着弾位置の判定に加え、主走査方向に着弾位置についても、判定を行う。そこで、以下、主走査方向におけるインク滴の着弾位置を判定する動作の一例について、説明をする。
図8は、主走査方向におけるインク滴の着弾位置を判定する動作の一例について説明をする図である。図8(a)は、吐出特性調整時に描く直線402及び基準線404の一例を示す。図8(b)は、描画線読取部14による読み取り結果の一例を示す。
図8(a)に示すように、本変形例において、主走査方向におけるインク滴の着弾位置を判定する場合も、インクジェットヘッドにより、複数の直線402と、基準線404とを描く。また、二次元イメージセンサである描画線読取部14により、複数の直線402と、基準線404とを含む視野150内の画像を撮像する。そして、撮像した画像に基づき、図8(b)に示すように、主走査方向におけるインク滴の着弾位置の判定等を行う。
また、主走査方向におけるインク滴の着弾位置の判定は、例えば、直線402が印刷される位置について主走査方向におけるずれを検出することにより行う。より具体的に、本変形例において、主走査方向におけるインク滴の着弾位置の判定する場合、描画線読取部14は、媒体上において一定の濃度以上になっている領域を検知する。そのため、主走査方向へ延伸する直線402を描いた場合、図8(b)に示すように、それぞれの直線402について、ピーク値に近い濃度が直線402の長さ分だけ続く信号が得られることになる。
そして、この場合、例えば、それぞれの直線402に対応する信号について、ピーク値の濃度に達する位置の差(ピーク位置の遅れ等)を検出することにより、それぞれの直線402について、主走査方向におけるずれの有無を検知することができる。また、これにより、それぞれの直線402を描いたノズルについて、主走査方向における着弾位置が正常な位置から外れているか否かを判定することができる。
例えば、いずれかのノズルにおいて、インク滴の着弾位置が主走査方向においてずれている場合、図8(a)において符号Cを付した直線402のように、直線の位置について、主走査方向におけるずれが生じる。また、その結果、図8(b)に示すように、測定結果の信号のピーク位置にも、図中にYnと示したピーク位置の遅れに相当するずれが生じる。そのため、このように構成すれば、例えば、主走査方向における着弾位置のずれを適切に検知できる。
尚、例えば、インク滴の着弾位置が正常な位置から外れている場合、ノズルクリーニング等のメンテナンスを行うことが考えられる。また、所定の回数のメンテナンスを行ってもノズルの状態が回復しない場合に、エラー表示や警告等を行うことも考えられる。主走査方向におけるインク滴の着弾位置の判定は、例えば、直線402の線幅の測定や、
副走査方向におけるインク滴の着弾位置の判定と同時に行ってもよい。また、主走査方向におけるインク滴の着弾位置を判定する上記のような動作は、例えば、図1〜4を用いて説明をした印刷装置10においても、同様に行うことができる。
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。