JP2015003502A - 繊維強化プラスチック成形体の製造方法及び製造装置、並びにエレベータの壁 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】成形型の凹部に強化繊維基材及び樹脂拡散媒体を配置してシート部材で覆い、真空下で該樹脂拡散媒体を介して該成形型内に樹脂を注入し、該強化繊維基材に該樹脂を含浸させて硬化する繊維強化プラスチック成形体の製造方法であって、
注入される該樹脂の流れ方向と平行な該成形型の側面に該樹脂のトラップ部を設けることにより、該強化繊維基材に該樹脂を均一に含浸させることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体の製造方法である。
【選択図】図1
Description
そこで、この問題を解決する方法として、特許文献1には、樹脂の流れ方向と平行な側面に沿って高弾性の隙間充填部材(例えば、ウレタン製のスポンジ、ポリエチレン製のスポンジ、シリコンゴム等)を設け、強化繊維基材の側面に生じる隙間を閉塞することにより、樹脂のショートパスを防止する方法が提案されている。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、樹脂のショートパスを防止して強化繊維基材に樹脂を均一に含浸させることができると共に、トリム加工を省略しても寸法精度に優れる繊維強化プラスチック成形体の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
以下、本発明の繊維強化プラスチック成形体の製造方法及び製造装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
図1は、本実施の形態の繊維強化プラスチック成形体の製造方法に用いられる繊維強化プラスチック成形体の製造装置の上面図である。なお、この上面図では、繊維強化プラスチック成形体の製造装置1の内部構造を明確に図示するために、一部についてはシート部材3及び金属枠4を省略して表すと共に、成形型2中に存在している部分については点線を用いて表す。また、図2は、図1におけるA−A’線の断面図、図3は図1におけるB−B’線の断面図、図4は、図1におけるC−C’線の断面図である。また、図2〜4において、(a)は樹脂拡散媒体6を繊維強化プラスチック成形体から除去する場合の一例、(b)は樹脂拡散媒体6を繊維強化プラスチック成形体から除去しない場合の一例をそれぞれ表す。
樹脂注入手段は、樹脂注入口10に接続されており、樹脂注入手段から注入される樹脂は、樹脂注入口10を通り、樹脂注入路11を介して樹脂拡散媒体6に浸透する。また、排気手段は、排気口12に接続されており、排気手段を用いることにより、成形型2の内部の空気が樹脂吸引路13を通り、ブリーザー14を介して排気され、成形型2の内部を真空状態にすることができる。
成形型2は、強化繊維基材5及び樹脂拡散媒体6を収容することが可能な凹部を有する。特に、成形型2の凹部は、繊維強化プラスチック成形体の厚さ以上の段差とすることにより、繊維強化プラスチック成形体の側面を成形型2に接触させることができ、繊維強化プラスチック成形体の側面の寸法精度を向上させることができる。その結果、成形後に一般的に行われているトリム加工を省略することができ、コストの低減及び生産性の向上が可能となる。
トラップ部7の数は、特に限定されないが、樹脂のショートパスを十分に抑制する観点から、成形型2の1つの側面に対してトラップ部7が2箇所以上設けられていることが好ましい。トラップ部7を2箇所以上設ける場合、樹脂溜め領域は、トラップ部7ごとにそれぞれ設けてもよいが、1つの樹脂溜め領域としてもよい。なお、図1は、成形型2の1つの側面に対してトラップ部2を2箇所設け、且つ1つの樹脂溜め領域を形成した例である。
トラップ部7の形状は、特に限定されないが、良好な成形性を保持しつつ成形後にトラップ部7で硬化した樹脂の除去を容易にする観点から、細長い溝状であることが好ましい。
樹脂注入路11及び樹脂吸引路13の数は、特に限定されないが、樹脂の十分な供給及び排出を可能にする観点から、成形型2の1つの側面に対して2箇所以上設けられていることが好ましい。
樹脂注入路11及び樹脂吸引路13の形状は、特に限定されないが、良好な成形性を保持しつつ成形後に樹脂注入路11及び樹脂吸引路13で硬化した樹脂の除去を容易にする観点から、細長い溝状であることが好ましい。
なお、図1〜4では、平面状の繊維強化プラスチック成形体を形成するための成形型2の形状を表したが、成形型2の形状は、所望とする繊維強化プラスチック成形体の形状に応じて調整することができる。例えば、曲面形状の繊維強化プラスチック成形体を製造する場合、曲面形状に応じた凹部を有する成形型2を用いればよい。
強化繊維基材5は、所定の形状に予め切断し、成形型2の凹部からはみ出さないようにして用いることが好ましい。
樹脂拡散媒体6は、樹脂が拡散し易いように適切な空間を有するメッシュ状、マット状、ニット状のものを用いることができる。また、樹脂拡散媒体6は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂(例えば、フェノール樹脂等)繊維、熱可塑性樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ケブラー繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維等から形成されたものを用いることができる。
樹脂拡散媒体6を繊維強化プラスチック成形体から除去する場合、図2〜4の(a)に示されているように、強化繊維基材5の上面に樹脂拡散媒体6が配置される。このとき、強化繊維基材5と樹脂拡散媒体6との間に剥離シート(図示していない)が一般に配置される。剥離シートとしては、使用される樹脂と親和性がなく、容易に剥がれるものであれば特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。剥離シートの材質としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂が挙げられる。
なお、上記では、成形型2に配置される材料として、強化繊維基材5及び樹脂拡散媒体6を例示したが、それ以外にも繊維強化プラスチックに使用される各種材料を成形型2に配置することも可能である。
あて板8としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。あて板8の材質としては、シリコーン、繊維強化プラスチック、ウレタン樹脂、独立気泡の発泡プラスチック等を用いることができる。その中でも、強化繊維基材5及び樹脂拡散媒体6に圧力を効率良く伝達し、且つ離型性に優れたシリコーンが好ましい。
なお、あて板8と強化繊維基材5とが直に接する場合((b)の場合)、使用する材質によっては、あて板8と強化繊維基材5との間が強固に接着してしまうことがある。このような問題を防止する観点から、あて板8の表面を離型処理したり、離型性を有するシートをあて板8と強化繊維基材5との間に配置したりすることが望ましい。
或いは、シート部材3として、一般的なバギングフィルムを用いることもできる。バギングフィルムの材質としては、特に限定されず、ナイロン、ポリエステル等の樹脂が挙げられる。バギングフィルムは、シーラントを用いて成形型2に接着することができる。
樹脂を注入する方法としては、特に限定されないが、樹脂注入口10にチューブ等を用いて接続された樹脂注入手段から樹脂を注入すればよい。樹脂注入手段としては、例えば、樹脂タンクが挙げられる。また、樹脂タンクには、必要に応じて樹脂の流量を調整する弁を設けてもよい。
ここで、強化繊維基材5に含浸される樹脂の流れを説明するための模式図を図5に示す。図5において、点線が樹脂の流れを意味する。図5に示すように、注入される樹脂の流れ方向と平行な成形型2の側面に、樹脂のトラップ部7を有するため、注入される樹脂の流れ方向と平行な成形型2の側面と強化繊維基材5との間に形成される可能性がある隙間に起因する樹脂の急速な流れ(ショートパス)を抑制し、強化繊維基材5の端部の含浸速度を抑制することができる。その結果、樹脂が強化繊維基材5に均一に含浸する前にショートパスして樹脂吸引路13から排出されることを防止することができ、強化繊維基材5を均一に含浸させることが可能となる。
ここで、成形型2から脱型された繊維強化プラスチック成形体の上面図を図6に示す。図6に示されるように、脱型された繊維強化プラスチック成形体は、成形型2の凹部に形成された繊維強化プラスチック成形体の端部に、トラップ部7、樹脂注入路11及び樹脂吸引路13で硬化した樹脂が接続された状態で得られる。成形型2の凹部に形成された繊維強化プラスチック成形体は、トラップ部7、樹脂注入路11及び樹脂吸引路13で硬化した樹脂に比べて高強度であるため、トラップ部7、樹脂注入路11及び樹脂吸引路13で硬化した樹脂は容易に切断することができる。切断方法としては、特に限定されないが、トラップ部7、樹脂注入路11及び樹脂吸引路13で硬化した樹脂は、強度が低く且つ細長い溝状の構造を有しているため、折り曲げることによって簡単に除去することが可能である。
また、脱型後、繊維強化プラスチック成形体の外周にバリ等が発生している場合、紙やすり等を用いることによって簡単に除去することができる。
Claims (8)
- 成形型の凹部に強化繊維基材及び樹脂拡散媒体を配置してシート部材で覆い、真空下で該樹脂拡散媒体を介して該成形型内に樹脂を注入し、該強化繊維基材に該樹脂を含浸させて硬化する繊維強化プラスチック成形体の製造方法であって、
注入される該樹脂の流れ方向と平行な該成形型の側面に該樹脂のトラップ部を設けることにより、該強化繊維基材に該樹脂を均一に含浸させることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体の製造方法。 - 前記トラップ部は、前記成形型の1つの側面に対して2箇所以上設けられていることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化プラスチック成形体の製造方法。
- 前記成形型の凹部は、前記繊維強化プラスチック成形体の厚さ以上の段差を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維強化プラスチック成形体の製造方法。
- 前記トラップ部に形成された硬化樹脂を切断することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の繊維強化プラスチック成形体の製造方法。
- 強化繊維基材及び樹脂拡散媒体が配置される凹部を有する成形型と、該強化繊維基材及び該樹脂拡散媒体を覆うシート部材と、該成形型に樹脂を注入する樹脂注入手段と、該シート部材で覆われた内部を真空にする排気手段とを備えた繊維強化プラスチック成形体の製造装置であって、
注入される該樹脂の流れ方向と平行な該成形型の側面に該樹脂のトラップ部が設けられていることを特徴とする繊維強化プラスチック成形体の製造装置。 - 前記トラップ部は、前記成形型の1つの側面に対して2箇所以上設けられていることを特徴とする請求項5に記載の繊維強化プラスチック成形体の製造装置。
- 前記成形型の凹部は、前記繊維強化プラスチック成形体の厚さ以上の段差を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の繊維強化プラスチック成形体の製造装置。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の繊維強化プラスチック成形体の製造方法によって得られた繊維強化プラスチック成形体からなるエレベータの壁。
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