JP2015003299A - 排水処理装置および排水処理方法 - Google Patents

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雅仁 吉村
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司 篠村
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Abstract

【課題】管理が容易で低コストを実現できる排水処理装置および排水処理方法を提供することである。
【解決手段】アルカリ性排水を貯留する2以上の中和槽を有し、中和槽は、それぞれ、アルカリ性排水を中和するための中和手段を備え、中和手段は、アルカリ性排水に空気を供給することを特徴とする排水処理装置である。
【選択図】図1

Description

本発明は、排水処理装置および排水処理方法に関し、詳しくは、アルカリ性排水を中和して処理する排水処理装置および排水処理方法に関する。
ゴミ等の廃棄物を焼却した残渣である焼却灰は廃棄物処理場に埋め立てられる。このような焼却灰は、通常、カルシウム酸化物等を含んでおり、該焼却灰が雨水等の水分に含まれて外部へ浸出すると、アルカリ性が比較的に高い液体となる。このような液体を排水として外部に排出するには、所定の基準(液体のpH値等)を満足する必要がある。したがって、アルカリ性が比較的に高く所定の基準を満足しない排水を排出する際には、中和処理を行い、排水のpH値を所定の範囲内とする必要がある。
アルカリ性排水を中和処理する技術は従来から知られている。たとえば、アルカリ性排水に対して、劇物である酸性物質の溶液(たとえば、塩酸、硫酸等)を加えて撹拌し、中和する方法が広く行われている。
しかしながら、アルカリ性排水の処理量が多い場合には、酸性物質を大量に用いる必要があるが、このような酸性物質は人体への危険性が高く、環境負荷も高いため、安全面、環境面の問題があった。また、排水に含まれる成分と酸性溶液との反応により生成した沈殿物によって配管の閉塞が生じる問題、酸性物質との反応により排水に含まれる重金属が溶出し、排水中の重金属濃度が上昇する問題などがあった。
このような問題に対し、たとえば、特許文献1では、工事現場等で生じるアルカリ性濁水に凝集剤を混合して沈殿物と上澄み液とに分離し、上澄み液を中和するために、酸性物質の代わりに、炭酸ガス(CO)を上澄み液に吹き込む濁水処理装置が提案されている。
また、特許文献2では、窒素化合物等の有機物を含むアルカリ性排水中に好気性微生物を繁殖させ、有機物を分解させ硝酸イオンを製造し、この硝酸イオンを用いてアルカリ性排水を中和させる方法が提案されている。
特開2011−189339号公報 特開2002−136992号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている方法では、炭酸ガスを購入するコストが必要であり、継続的に中和を行うために、炭酸ガスの残量を管理する必要もあった。また、排水中に炭酸ガスを吹き込むと、中和反応が過剰に進行し、排水のpH値が所定の範囲よりも下がりすぎてしまうという問題があった。さらに、排水中にカルシウムイオン(Ca2+)が含まれる場合には、カルシウムイオンと炭酸ガスとが反応して、水に不溶な炭酸カルシウム(CaCO)等が析出して排水中に設置されている配管を閉塞させるという問題があった。
また、特許文献2に開示されている方法では、排水中に多量の窒素化合物が存在していることが必須であり、さらに繁殖した微生物が付着するための充填物が必要であるという問題があった。また、繁殖した微生物を充填物から洗浄除去を定期的に行う必要があり、さらに微生物の成長に時間がかかるため、排水量が大きく変動する場合には対応できない等の問題があった。
本発明は、上記の従来技術を鑑みてなされ、管理が容易で低コストを実現できる排水処理装置および排水処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、アルカリ性排水を中和する中和物質として、空気中の炭酸ガスを段階的に用いることで、上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の態様は、
アルカリ性排水を貯留する2以上の中和槽を有し、
中和槽は、それぞれ、アルカリ性排水を中和するための中和手段を備え、
中和手段は、アルカリ性排水に空気を供給することを特徴とする排水処理装置である。
好ましくは、アルカリ性排水に供給する空気の供給量を制御するための制御手段と、
アルカリ性排水のpH値を測定するためのpH測定手段と、をさらに備え、
制御手段は、pH測定手段により測定されたpH値に基づき、空気の供給量を制御することを特徴とする排水処理装置である。
好ましくは、中和手段は、アルカリ性排水に供給される空気を、微細な気泡として供給する機構を有することを特徴とする排水処理装置である。
好ましくは、アルカリ性排水に空気を供給する空気供給部が、中和槽の底面近傍に配置されていることを特徴とする排水処理装置である。
本発明の別の態様は、
アルカリ性排水に空気を供給して、アルカリ性排水を中和する排水処理方法であって、
アルカリ性排水の中和を段階的に行うことを特徴とする排水処理方法である。
好ましくは、アルカリ性排水のpH値に基づき、アルカリ性排水に供給する空気の供給量を制御することを特徴とする排水処理方法である。
好ましくは、アルカリ性排水に供給される空気が微細な気泡として供給されることを特徴とする排水処理方法である。
好ましくは、空気が、アルカリ性排水中に長く滞留するように、空気をアルカリ性排水に供給することを特徴とする排水処理方法である。
本発明によれば、管理が容易で低コストを実現できる排水処理装置および排水処理方法を提供することができる。
図1は、本実施形態に係るバッチ処理方式の排水処理装置の概略図である。 図2は、本実施形態に係る連続処理方式の排水処理装置の概略図である。 図3は、中和処理時間と排水のpH値との関係を示すグラフであり、本発明の実施例のグラフでもある。 図4は、本実施形態の変形例に係る排水処理装置の概略図である。 図5は、本発明の実施例において、5日間の連続中和処理における各中和槽における排水のpH値と、1日あたりの廃水処理量と、を示すグラフである。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき、以下の順序で詳細に説明する。
1 排水処理装置の構成
2 排水処理方法
2.1 分離工程
2.2 中和工程
2.2.1 中和の原理
2.2.2 段階的な中和処理
2.2.3 中和処理の効率
2.2.4 アルカリ性排水の水質および水量の変動
2.3 監視工程
2.4 炭酸ガスによる中和処理との違い
3 本実施形態の効果
4 変形例
(1 排水処理装置の構成)
図1および2は、本実施形態に係る排水処理装置1を示している。この排水処理装置1は、アルカリ性排水を空気により中和処理する装置である。排水処理装置1は、沈殿槽2と、2以上の中和槽(第1中和槽3、第2中和槽4および第3中和槽5)と、監視槽17と、を有している。これらの槽は、アルカリ性排水50を処理する方向(図1および2では、左から右)に沿って、直列に配置されている。
なお、図1に示す排水処理装置は、各槽がそれぞれ独立している装置である。したがって、ある槽から別の槽にアルカリ性排水50を移送する際には、ポンプ等の公知の移送手段を用いる。すなわち、図1に示す排水処理装置はバッチ処理方式の処理装置である。
一方、図2に示す排水処理装置は、アルカリ性排水を移送するための移送管が各槽を接続するように配置されており、中和槽においてアルカリ性排水を連続的に中和処理する装置である。すなわち、図2に示す排水処理装置は連続処理方式の処理装置である。
処理されるアルカリ性排水50としては、液性がアルカリ性であれば特に制限されない。本実施形態では、アルカリ性排水50は、廃棄物の焼却により生じる焼却灰が水に混合してなる懸濁液である。焼却灰は一定の組成を有しているわけではないので、中和される前のアルカリ性排水50のpH値も一定ではないが、ほぼ9〜12の範囲内である。
以下、排水処理装置の構成についてさらに詳細に説明する。
沈殿槽2は、処理すべきアルカリ性排水中の懸濁物質を沈殿物として沈降させ、該排水を沈殿物と上澄み液とに分離するための槽である。沈殿槽2は、予め決められた量(以下、規定の量という)のアルカリ性排水を保持できる程度の大きさである。沈殿槽2において、アルカリ性排水を所定時間貯留することにより、懸濁物質が重力により沈降するため、沈降した懸濁物質と上澄み液とを分離することができる。得られる上澄み液は中和槽に移送される。なお、処理すべきアルカリ性排水に懸濁物質等の固体粒子が含まれていない場合には、沈殿槽2を設けなくてもよい。
中和槽は、アルカリ性排水(沈殿槽2において得られる上澄み液)を保持するための槽であり、この槽においてアルカリ性排水が中和される。中和槽は、沈殿槽2と同様に、規定の量のアルカリ性排水を保持することができる。本実施形態では、中和槽は3つの中和槽、すなわち、第1中和槽3、第2中和槽4および第3中和槽5から構成される。各中和槽には、アルカリ性排水50中に空気を供給して該排水を中和するための中和手段が備えられている。本実施形態では、中和手段は、ブロワ10と散気装置6と空気供給管7とを有している。
ブロワ10は、周囲の空気を内部に取り込むための装置であり、取り込まれた空気は、空気供給管7を介して、散気装置6に送られる。
散気装置6は、アルカリ性排水に空気を供給するための装置であり、そのように構成されていれば、特に制限されない。散気装置6の本体には、微細な孔が形成されており、散気装置6は、微細な孔を通じて、空気を微細な気泡として排水中に放出することができる。散気装置6の形状は円筒管であることが好ましく、材質はゴム製であることが好ましい。具体的な散気装置6としては、例えば、ゴム管に気泡を放出するための切り込みを入れ、空気供給時のみ開口し、中和槽内の排水がゴム管に入らない構造の散気装置が挙げられる。開口部の長さは1〜10mmであることが好ましい。
また、各中和槽には、pH測定手段の一例としてのpH計9が設けられており、pH計9は、各中和槽に貯留されているアルカリ性排水50のpH値を測定することができる。測定されたpH値は、制御手段の一例としての制御装置11に入力される。この制御装置11には、上述した中和手段も接続されており、制御装置11は、ブロワ10の回転数、空気供給管に設けられる流量制御弁等を制御して、散気装置6からアルカリ性排水50中に供給される空気量を制御することができる。本実施形態では、制御装置11は、pH計9により測定されるpH値に基づき、排水に供給される空気量を制御する。
監視槽17は、中和槽において中和処理されたアルカリ性排水50を保持し、アルカリ性排水50のpH値が所定の範囲内(たとえば、7.0〜8.6)であるかどうかを監視するための槽である。監視槽17は、沈殿槽2と同様に、規定の量のアルカリ性排水を保持することができる。監視槽17には、中和槽と同様に、pH測定手段としてのpH計9が備えられており、このpH計9により監視槽17に保持されているアルカリ性排水のpH値を測定することができる。
図2に示す排水処理装置において、アルカリ性排水を移送する移送管のうち、中和槽にアルカリ性排水を送り込む移送管12〜14は、流入部(排水の入り口)は前段の槽の上部に接続されており、吐出部(排水の出口)は後段の槽の下部に接続されている。前段の中和槽の上部に存在する排水は、移送管を通って、後段の中和槽の下部に設けられている吐出部から後段の中和槽に供給される。具体例を挙げると、図2において、第1中和槽3と第2中和槽4とを接続する移送管13では、排水が第1中和槽3の上部から移送管13に流れ込み、移送管13を通過して、第2中和槽4の下部から供給される。
(2 排水処理方法)
本実施形態に係る排水処理方法は、アルカリ性排水50に空気を供給し、空気に含まれる炭酸ガス(CO)により排水を中和してpH値を所定の範囲内とする方法である。本実施形態に係る排水処理方法は、上記の本実施形態に係る排水処理装置1を用いることで好ましく行われる。以下、上記の排水処理装置1を用いて行う排水処理方法について、詳細に説明する。
(2.1 分離工程)
本実施形態では、アルカリ性排水50が懸濁液であるため、まず、アルカリ性排水50を、排水処理装置1の沈殿槽2に投入して所定時間貯留し懸濁物質を沈殿物として除去する。このようにすることで、上澄み液が分離される。続いて、懸濁物質を除去して得られる上澄み液を、第1中和槽3に移送する。このとき、排水処理装置1が、図1に示すバッチ処理方式の排水処理装置である場合には、上澄み液をポンプ等で汲み上げて監視槽第1中和槽に移送する。また、排水処理装置1が、図2に示す連続処理方式の排水処理装置である場合には、沈殿槽2と第1中和槽3とを接続する移送管を介してアルカリ性排水50を沈殿槽2から第1中和槽3へ移送する。移送する手段としてはポンプ等を用いてもよいし、高低差等を利用して自然に流下させてもよい。
(2.2 中和工程)
各中和槽では、中和手段によりアルカリ性排水50中に空気を供給してアルカリ性排水を中和する。中和物質が空気であるため、中和物質を調達するコストは掛からない。また、空気は無尽蔵であるため、中和物質の残量等を管理する必要はない。
本実施形態では、中和工程は第1中和槽3、第2中和槽4および第3中和槽5において行われる。アルカリ性排水が中和される原理は後述する。
まず、第1中和槽3において、アルカリ性排水50中に空気を供給しアルカリ性排水50のpH値が所定の値に達した後は、アルカリ性排水50を第2中和槽4に移送する。アルカリ性排水50を移送する方法としては、公知の方法を用いればよい。本実施形態では、アルカリ性排水50を沈殿槽2から第1中和槽3に移送する方法と同様の方法を採用する。
第2中和槽4においても、第1中和槽3での中和と同様に、アルカリ性排水50のpH値が所定の値に到達するまで、アルカリ性排水50に空気を供給し、空気中の炭酸ガスにより排水を中和する。アルカリ性排水50のpH値が所定の値に達すると、第2中和槽における中和処理を終了し、排水を第2中和槽4から第3中和槽5に移送する。
第3中和槽5においても、第1中和槽3および第2中和槽4での中和と同様に、アルカリ性排水50のpH値が所定の値に到達するまで、アルカリ性排水50は空気により中和される。第3中和槽5において、アルカリ性排水50のpH値が所定の値に達すると、中和処理が完了し、排水を第3中和槽5から監視槽17に移送する。
(2.2.1 中和の原理)
アルカリ性排水50中に供給される空気には、炭酸ガス(CO)が含まれており、この炭酸ガスとアルカリ性排水50に含まれる水(HO)とが、下記に示す式(1)により反応して、重炭酸(HCO)を生じる。この重炭酸は、水溶液中において、下記に示す式(2)および(3)に従って、2段階に解離する。
O+CO ⇔ HCO・・・式(1)
CO ⇔ H+HCO ・・・式(2)
HCO ⇔ H+CO 2−・・・式(3)
この2段階の解離により生じる水素イオン(H)は、その一部がアルカリ性排水50中の水が電離して生じる水酸化物イオン(OH)との反応に消費され、排水中の水素イオン濃度が高くなるため、アルカリ性排水50のpH値が低下し、中和される。図3にpH9.9のアルカリ排水を本実施形態に係る処理方法で中和したときのpH減少推移の一例を示す。
なお、排水に空気を供給する場合には、空気に含まれる炭酸ガス(CO)量は微量(約0.04%程度)であるため、上記の式(1)により生じる重炭酸も少ない。したがって、式(2)に示す反応も右側には進みにくい。そのため、式(3)に示す反応は右側にはほとんど進まないと考えられる。
これに対し、アルカリ性排水50中に濃度の高い炭酸ガスを供給する場合、上記の式(1)により生じる重炭酸が多量であるため、式(2)により生じる水素イオンも多くなる。また、重炭酸イオンも多量に生じるため、式(3)により生じる水素イオンも排水中に存在する。その結果、排水中の水素イオン濃度が高くなり、アルカリ性排水50のpH値も速やかに低下する。
したがって、空気を排水に供給して中和処理を行う場合には、炭酸ガスを排水に供給して中和処理を行う場合に比べて、アルカリ性排水50のpH値は緩やかに低下すると考えられる。すなわち、本実施形態に係る方法によれば、排水のpH値が緩やかに低下するため、アルカリ性排水の中和が進みすぎることがない。そのため、たとえば、所定の範囲を超えて下がりすぎたpH値を上げるために、アルカリ性物質を排水に添加する必要はない。
(2.2.2 段階的な中和処理)
本実施形態では、排水処理装置1において中和槽を3つ設けて、アルカリ性排水50を段階的に中和することにより、アルカリ性排水50のpH値を段階的に低下させる。たとえば、pH値が9.0であるアルカリ性排水をpH値が8.0に到達するまで中和処理する場合には、第1中和槽3において排水のpH値が8.7に到達するまで中和処理を行い、pH値が8.7である排水を第2中和槽4に移送する。続いて、第2中和槽4において排水のpH値が8.4に到達するまで中和処理を行い、pH値が8.4である排水を第3中和槽5に移送する。続いて、第3中和槽5において排水のpH値が8.0に到達するまで中和処理を行う。このようにすることで、中和槽が1つである場合に低下させるpH量に比較して、中和槽1槽あたりにおける排水のpH低下量を0.3から0.4程度と小さくすることができる。その結果、中和手段に掛かる負荷が分散され、中和手段に過大な負荷は掛からない。したがって、中和処理を安定して行うことができる。
(2.2.3 中和処理の効率)
本実施形態では、アルカリ性排水の中和が進みすぎることがないという利点を維持しつつ、中和処理の効率を高めるために、式(2)により生じる水素イオンを増加させる。そのためには、まず、式(1)に示す反応を右側に進ませる、すなわち、排水中の水と空気中に含まれる炭酸ガスとを効率よく反応させて重炭酸を多く生じさせる必要がある。
式(1)および(2)に示す反応を右側に進ませるには、アルカリ性排水50中への空気の供給量を増やすこと、炭酸ガスのアルカリ性排水50への溶解量を上げること等が考えられる。
アルカリ性排水50中への空気の供給量を増やす場合には、空気を取り込むブロワの大型化、高出力化等が必要となる。この場合には、ブロワの消費電力が増加し、中和処理を行う際のコストが増大すると考えられるため、好ましくない。
そこで、本実施形態では、アルカリ性排水50中に供給される空気に含まれる炭酸ガスが排水に溶解する量を増加させる。
炭酸ガスは空気に含まれているため、排水と空気との接触面積を増加させる、排水と空気との接触時間を増加させる、または接触する際の圧力を増加させることにより、炭酸ガスが排水中へ溶解する量は増えると考えられる。具体的には、以下のようにすることが好ましい。
排水と空気との接触面積は、空気の気泡のサイズが小さいほど大きくなる。したがって、本実施形態では、微細な気泡を発生させることができる散気装置6を、排水に空気を供給する手段として用いる。このようにすることで、排水中に溶解する炭酸ガス量を増加させることができる。気泡サイズは20μm〜1mmが好ましく、特に500μmであることがより好ましい。
排水と空気との接触時間は、排水中に供給された空気が水面から大気中に放出されるまで排水中に滞留する時間に相当する。そこで、本実施形態では、空気が排水中に滞留する時間を長くするために、中和槽の底部近傍に散気装置6を設置する。微細な気泡は、浮力をあまり受けないため、排水中に長く留まる傾向にある。また、微細な気泡は、気泡同士が合体して成長し、水面に向かって上昇し始める傾向にある。したがって、散気装置6を中和槽の底部近傍に設置することにより、排水の水面から最も遠い中和槽の底部近傍に微細な気泡を供給できるため、空気中に含まれる炭酸ガスが排水中に滞留する時間を長くすることができる。その結果、排水中への炭酸ガスの溶解量を増やすことができる。
また、上述したように、図2に示す排水処理装置では、移送管の吐出部を中和槽の下部に設けてある。このようにすることで、前段の中和槽から移送され、かつ比較的にpH値が高い排水を、後段の中和槽の底部近傍に供給でき、散気装置から放出された気泡に速やかに接触させることができる。また、該排水は、中和槽の下部から供給され上部から排出されるため、排水の滞留時間を長くすることができる。したがって、排水と空気との接触時間を長くすることができる。
空気と排水とが接触する際の圧力とは、すなわち水圧である。したがって、水圧が高い状態で排水と空気とを接触させることにより、排水への炭酸ガスの溶解量を増やすことができる。本実施形態では、各中和槽における最大水圧を25kPa以上とすることが好ましい。
上述したように、散気装置6を用いることで、アルカリ性排水に空気を微細な気泡として供給できる。このような気泡を排水中に大量に供給すると、気泡により排水が撹拌される。その結果、気泡中の炭酸ガスと排水とが接触する確率が高くなるため、式(1)および(2)に示す反応が右側に進みやすくなる。すなわち、散気装置6は、排水の撹拌装置を兼ねることができるため、撹拌装置を別途設ける必要はない。
(2.2.4 アルカリ性排水の水質および水量の変動)
アルカリ性排水50は、上述したように、組成が一定しない焼却灰を含んでいるため、通常、pH値等の水質が変動する。また、季節的な要因等により、アルカリ性排水50の水量も変動する。したがって、空気供給量は常に一定とするよりも水量や水質に応じて変化させることが好ましい。特に、ブロワが消費する電力は大きいため、中和処理に必要な量よりも多くの空気を排水に供給することは、中和処理のコスト管理の観点から好ましくない。
そこで、本実施形態では、排水に必要以上の空気を供給しないように、供給する空気量を排水のpH値に基づいて制御している。すなわち、制御装置11は、上述したように、ブロワ等を制御して、散気装置6から放出される空気量を制御することができる。
さらに、排水中に供給される空気を細かく制御するため、ブロワの運転をインバータによる制御とすることが好ましい。たとえば、設定したpH値とpH値の測定値との差が大きい場合はブロワの回転数を上げ、設定したpH値とpH値の測定値との差が小さい場合には、ブロワの回転数を下げるような制御を行えばよい。
なお、アルカリ性排水50中に供給された空気中の炭酸ガスが、排水中の水と反応するために要する時間も考慮すると、空気の供給を停止した後も、式(1)に示す反応が進行し、その結果、排水のpH値は低下する。したがって、pH値の測定値に基づいてブロワを運転する制御に対し、ブロワの運転を一定時間停止させる制御を組み合わせることで、ブロワの消費電力をさらに抑制することができる。
このようにすることで、アルカリ性排水の水質および水量の変動に対応しつつ、中和処理を行う際のコストを削減できる。
(2.3 監視工程)
監視槽17に移送されたアルカリ性排水50は、pH計9によりpH値が測定され、所定の範囲(たとえば、7.0〜8.6)であれば、中和処理済みの排水(中和処理水)として排出される。
本実施形態において、排水基準値であるpH8.6まで値を低下させるために要する時間は、水量や水質によって異なるが、12時間から24時間である。
以上より、排水を中和するために、炭酸ガスを用いる代わりに、空気を用いることにより、中和物質を調達するコストを不要とし、中和物質の管理も不要とすることができる。また、段階的に中和処理を行い、炭酸ガスを排水に効率よく溶解させることで、中和反応を効率的に進行させることができる。さらに、ブロワ等の稼働に要する電力消費量も低減することができ、中和に要するコストを削減することができる。
(2.4 炭酸ガスによる中和処理との違い)
アルカリ性排水の代表例としてカルシウムイオンが含まれている排水を空気により中和処理する場合には、炭酸ガスを用いてアルカリ性排水を中和処理する場合に生じる問題が生じないという極めて好ましい利点がある。
すなわち、炭酸ガスを中和処理に用いる場合とは異なり、上述したように、空気を用いて中和処理を行うと、重炭酸の生成量が少なく、重炭酸の2段階目の解離(上述の式(2))が生じにくい。本実施形態では、アルカリ性排水50には焼却灰が含まれており、この焼却灰にはカルシウム酸化物(CaO等)が含まれている。したがって、アルカリ性排水には、カルシウムイオン(Ca2+)、水酸化物イオン(OH)等が存在していると考えられる。
ここで、中和反応を進行させるために、濃度の高い炭酸ガスをアルカリ性排水中に供給すると、上記の式(1)〜(3)により、水素イオン濃度が速やかに高くなり、排水のpH値は低下する。ところが、式(3)に示す反応が右側に進むと、重炭酸の2段階目の解離が進行し、炭酸イオン(CO 2−)が生じる。この炭酸イオンは、Ca2+と反応し、その結果、水に不溶な炭酸カルシウム(CaCO)が析出する。また、下記の式(4)に示すように、排水中に供給された炭酸ガスが、カルシウムイオンおよび水酸化物イオンと直接反応することによっても、CaCOが析出する。
Ca2++2OH+CO → CaCO+HO …式(4)
このCaCOは、炭酸ガスと接触すると、下記の式(5)に示す反応が右側に進み、炭酸水素カルシウム(Ca(HCO)が形成される。このCa(HCOは水に可溶であるため、CaCOが析出しても、析出に起因する配管の閉塞あるいは沈殿物は生じにくいと考えられる。
CaCO+CO+HO ⇔ Ca(HCO …式(5)
また、本実施形態のように、アルカリ性排水に空気を供給すると、式(3)に示す反応が右側にほとんど進まないことに加え、空気中の炭酸ガスは、カルシウムイオンよりも水と接触しやすいため、式(4)に示す反応よりも、式(1)および(2)に示す反応が右側に進みやすいと考えられる。したがって、排水のpH値は低下するものの、CaCOはほとんど析出しないため、配管の閉塞あるいは沈殿物は発生しない。
仮に、CaCOが析出した場合であっても、炭酸ガスを排水中に供給する時間(すなわち、排水のpH値が所定の値に到達する時間)に比較して、空気を排水中に供給する時間(すなわち、排水のpH値が所定の値に到達する時間)が長いため、生成したCaCOを、排水に供給される空気中の炭酸ガスと接触させ、上記の式(5)により、Ca(HCOを生成させることができる。上述したように、このCa(HCOは、水に可溶であるため、排水中に溶解すると考えられる。特に、散気装置を中和槽の底面近傍に設置する場合には、沈殿するCaCOと空気(に含まれる炭酸ガス)とが接触する可能性がさらに高くなり、炭酸カルシウムから炭酸水素カルシウム(Ca(HCO)が生成され、これが溶解するため、配管の閉塞あるいは沈殿物は生じないと考えられる。
(3.本実施形態の効果)
上記の実施形態では、アルカリ性排水に空気を供給することにより中和している。したがって、アルカリ性排水を中和するために、種々の物質(たとえば、炭酸ガス、酸性物質等)を用いる必要はなく、中和物質のコストが掛からない。また、中和物質としての空気は周囲から無尽蔵に供給できるため、中和物質の残量等を管理する必要がない。
さらに、アルカリ性排水に炭酸ガス濃度が極めて低い空気を供給することで、重炭酸の2段階の解離反応が、上述の式(2)に示す1段階目の反応が進むに留まり、式(3)に示す2段階目の反応はほとんど右側に進まない。すなわち、空気中の炭酸ガスと排水中の水との接触により生じる重炭酸(HCO)が1段階目の解離により、水素イオン(H)と重炭酸イオン(HCO )とを生じるものの、重炭酸イオンから、さらに水素が解離して、炭酸イオン(CO 2−)となる2段階目の解離はほとんど進まない。そのため、2段階目の解離に起因する水素イオンが生じないため、水酸化物イオンとの中和反応が進みすぎることはない。すなわち、アルカリ性排水のpH値が下がりすぎるおそれがない。
また、式(3)に示す2段階目の解離がほとんど進まないため、炭酸イオン(CO 2−)がほとんど生じない。さらに、排水中に供給される炭酸ガスは水と接触しやすいため、式(4)に示す反応よりも、式(1)に示す反応の方が右側に進みやすい。したがって、CaCOはほとんど析出せず、中和槽内に沈殿物が発生する問題、配管等が析出物により閉塞する問題等は発生しない。仮に、CaCO等が析出した場合であっても、析出した炭酸カルシウムは、中和処理を行うために供給される空気と接触する可能性が高い。したがって、式(5)に示す反応により、たとえば、炭酸カルシウム(CaCO)は、水に可溶な重炭酸カルシウム(Ca(HCO)となり、配管等を閉塞することはない。
また、上記の実施形態では、アルカリ性排水に供給された空気中の炭酸ガス(CO)が、アルカリ性排水に接触しやすくするために、散気装置を用いて、空気を微細な気泡として供給している。このようにすることにより、空気中の炭酸ガスとアルカリ性排水との接触面積が大きくなるため、中和処理を効率よく進めることができる。
また、散気装置を中和槽の底面近傍に設置しているため、気泡がアルカリ性排水に滞留する時間を長くすることができる。したがって、炭酸ガスがアルカリ性排水と接触する時間を長くすることができる。また、気泡は水圧が高い位置で供給されるため、炭酸ガスが排水中に溶解する量を増やすことができる。さらに、空気を気泡として大量に供給することにより、アルカリ性排水は撹拌されるため、炭酸ガスを、アルカリ性排水に均一に供給することができる。
また、中和槽を複数設けることにより、1つの中和槽におけるアルカリ性排水のpH値を低下させる範囲を小さくすることができ、小刻みな中和処理が可能となる。さらに、たとえば、第1中和槽3において、排水のpH値が設定した値まで到達しない場合でも、第2中和槽4において、空気の供給量を通常よりも増やして中和が進みやすくすること等により、第2中和槽4における排水のpH値を、設定したpH値に予め決められた時間内に到達させることができる。すなわち、中和槽を複数設けて、中和処理を段階的に行うことにより、より確実に安定して中和処理を行うことができる。
また、中和槽内の排水の流れは、特にブロワの稼動による空気供給が行われていない間において、排水の入口から出口に向かって最短距離を通ることが考えられる。この場合、中和槽内のアルカリ性排水の滞留時間が通常よりも短くなり、中和槽が単一槽の場合、中和槽内でpH値が所定の値まで十分低下していない状態で排水されてしまういわゆる短絡の可能性がある。このような状況を防ぐためにも、中和槽を複数設け、排水が各中和槽の入口と出口を確実に通ることで、必要な滞留時間を確保することができる。
さらに同じ効果を得るため、各中和槽において、排水の入口の形状は、吐出部が中和槽下部まで導かれた構造としている。これによって、各中和槽の出口は上部に設けられているので、各中和槽内の排水の流れは入口(下部)から出口(上部)に向かって中和槽内を最も長い距離を通過することになり、中和槽の容積を十分有効に使って中和処理を行うことができる。
また、処理すべきアルカリ性排水の量、排水の水質等が種々の要因により変化した場合であっても、排水処理装置が備える制御手段が、pH計により測定されたpH値に基づき、空気供給量を制御することにより、中和に必要な空気を過不足なく供給することができる。特に、ブロワの稼働をインバータ制御とすることにより、pH計により測定されたpH値と、設定されたpH値との差に基づき、ブロワの稼働を制御することができる。その結果、ブロワの消費電力を最小限とすることができ、該排水処理装置の運用コストを低減することができる。
(4.変形例)
上記の実施形態における排水処理装置は、上述したように、処理すべきアルカリ性排水の水量および水質の変動にある程度対応することができる。しかしながら、中和槽の許容量を超えるような量の排水を特定の時期のみに処理する必要がある場合には、中和槽およびブロワを大型化する代わりに、図4に示す装置の構成を採用することができる。
すなわち、図4に示す排水処理装置では、第3中和槽5において中和処理した排水を第4中和槽20へ移送する。第4中和槽20は、排水を速やかに中和するための酸性液体(たとえば、硫酸等)を貯留する貯留タンク21と、酸性液体を第4中和槽20に供給するためのポンプ22と、を備えている。また、第4中和槽20には排水のpH値を測定するためのpH計9が取り付けられている。
この第4中和槽20では、まず、中和槽20内の排水のpH値を測定し、その測定値に応じて、貯留タンク21から第4中和槽20へ移送管23を通じて酸性液体を供給する。供給された酸性液体により排水が速やかに中和され、排水のpH値は所定の範囲内に到達する。このとき、第4中和槽20の底面近傍に設置している散気装置24からブロワ10より供給された空気を排水中に放出してもよい。散気装置から空気を供給することにより、中和処理をさらに進行させるとともに、第4中和槽20内の排水の撹拌も行うことができる。
なお、第4中和槽20における中和処理は、排水のpH値がある程度下がり、所望の範囲に近い状態で行うため、中和処理に用いる酸性液体の量を最低限とすることができる。したがって、酸性液体を用いることに起因する安全面および環境面の問題を低減することができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
(実施例1)
実施例1では、図1に示すような、沈殿槽、3つの中和槽(第1中和槽〜第3中和槽)および監視槽を有するバッチ処理方式の排水処理装置を用いた。第1中和槽および第2中和槽の容積は330m、第3中和槽の容積は229mであった。各槽にはポンプおよび移送管を接続して排水を移送可能とした。
各中和槽の底部で水圧が28kPaとなる位置に、長さ0.75mの散気管を76本ずつ0.7m間隔で、計228本配設し、空気供給管を介してブロアと接続した。散気管はゴム製であり、空気を供給するために、長さ1.5mmの切込みを設けた。この切り込みは空気供給時の空気圧により開口し、それ以外の時は密閉が保たれる構成を有していた。
まず、pH値が9.9であるアルカリ性排水(原排水)を沈殿槽に投入し懸濁物質を除去し、上澄み液を得た。この上澄み液を第1中和槽に200mを投入した。第1中和槽では、ブロワから取り込んだ空気を10.7m/minの供給速度で散気管から排水中に8時間供給した。散気管から供給される空気は、500μm程度の径を有する気泡であった。8時間後、排水のpH値が9.9から9.4に低下したことを確認して第1中和槽における中和を終了した。その後、第1中和槽で中和した排水200mを第2中和槽へ移送した。
第2中和槽では、空気を9.3m/minの供給速度で散気管から排水中に8時間供給した。8時間後、排水のpH値が9.4から8.8に低下したことを確認して第2中和槽における中和を終了した。その後、第2中和槽で中和した排水200mを第3中和槽へ移送した。
第3中和槽では、空気を8.6m/minの供給速度で散気管から排水中に8時間供給した。8時間後、排水のpH値が8.8から8.3に低下したことを確認して第3中和槽における中和を終了した。その後、第3中和槽で中和した排水200mを監視槽に投入してpH値が所定の範囲内であることを確認した後、中和処理水として外部へ排出した。結果を図3に示す。
図3より、アルカリ性排水に空気を供給することにより、排水のpH値が低下し、24時間後には、排水のpH値が8.3であることが確認できた。
(実施例2)
実施例2では、沈殿槽、4つの中和槽(第1中和槽〜第4中和槽)および監視槽を有する連続処理方式の排水処理装置(図2)を用いた。第1中和槽および第2中和槽の容積は330m、第3中和槽の容積は229m、第4中和槽の容積は40mとした。各槽は開閉可能な移送管を介して接続されており、排水の連続処理が可能となっている。中和処理を行うアルカリ性排水(原排水)の供給量は、232m/日〜563m/日の範囲とした。
まず、pH値が9.7〜9.8である原排水を沈殿槽に投入し懸濁物質を除去し、上澄み液を得た。この上澄み液を第1中和槽へ投入した。第1中和槽では、ブロワから取り込んだ空気を10.7m/minの供給速度で散気管から排水中に供給し続けた。散気管から供給される空気は、500μm程度の径を有する気泡であった。空気供給のためのブロワは、排水のpH値が9.5以下か否かを基準にして、稼働させた。すなわち、流入する原排水のpH値が9.5を下回っている場合は空気の供給を停止する制御を行った。
第2中和槽では、空気を9.3m/minの供給速度で散気管から排水中に供給し続けた。空気供給のためのブロワは、排水のpH値がpH9.0以下か否かを基準にして、稼働させた。すなわち、流入する排水のpH値が9.0を下回っている場合は空気供給を停止する制御を行った。
第3中和槽では、空気を8.6m/minの供給速度で散気管から排水中に供給し続けた。空気供給のためのブロワは、排水のpH値がpH8.5以下か否かを基準にして、稼働させた。すなわち、流入する処理水のpH値が8.5を下回っている場合は空気供給を停止する制御を行った。
第4中和槽では、空気を8.0m/minの供給速度で散気管から排水中に供給し続けた。空気供給のためのブロワは、pHメーターによる排水のpH値がpH8.3以下か否かを基準にして、稼働させた。すなわち、流入する処理水のpH値が8.3を下回っている場合は空気供給を停止する制御を行った。
上記の中和処理を監視槽に中和処理水が排出され始めてから5日間行い、中和処理水を得た。監視槽に貯留された中和処理後の排水のpH値は平均でpH8.3となった。
図5に、1日あたりの排水処理量と、原排水、第1中和槽〜第4中和槽における排水のpH値と、を示す。図5より、1日あたりの排水処理量は232mから563mの範囲内であり、原排水のpH値の平均は9.7であり、第1中和槽における中和処理により排水のpH値はpH9.1から9.3の範囲内に低下し、第2中和槽における中和処理により排水のpH値は、pH8.7から8.9の範囲内に低下し、第3中和槽における中和処理により排水のpH値は、pH8.4から8.6の範囲内に低下し、第4中和槽における中和処理により排水のpH値は、pH8.2から8.4の範囲内に低下することが確認できた。すなわち、空気を用いた中和処理により、原排水のpH値を9.7から8.2まで低下させることができた。
このように、排水処理量が大きく変動しても、原排水のpH値を安定的にかつ十分に低下させることができることが確認できた。
1…排水処理装置
2…沈殿槽
3…第1中和槽
4…第2中和槽
5…第3中和槽
6…散気装置
7…空気供給管
9…pH計
10…ブロワ
11…制御装置
12〜16…移送管
17…監視槽
19…流送パイプ
20…第4中和槽
21…貯留タンク
22…ポンプ
23…移送管
24…散気装置
25…空気供給管
8…空気
50…アルカリ性排水
51…中和処理水

Claims (8)

  1. アルカリ性排水を貯留する2以上の中和槽を有し、
    前記中和槽は、それぞれ、前記アルカリ性排水を中和するための中和手段を備え、
    前記中和手段は、前記アルカリ性排水に空気を供給することを特徴とする排水処理装置。
  2. 前記アルカリ性排水に供給する前記空気の供給量を制御するための制御手段と、
    前記アルカリ性排水のpH値を測定するためのpH測定手段と、をさらに備え、
    前記制御手段は、前記pH測定手段により測定されたpH値に基づき、前記空気の供給量を制御することを特徴とする請求項1に記載の排水処理装置。
  3. 前記中和手段は、前記アルカリ性排水に供給される前記空気を、微細な気泡として供給する機構を有することを特徴とする請求項1または2に記載の排水処理装置。
  4. 前記アルカリ性排水に前記空気を供給する空気供給部が、前記中和槽の底面近傍に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の排水処理装置。
  5. アルカリ性排水に空気を供給して、前記アルカリ性排水を中和する排水処理方法であって、
    前記アルカリ性排水の中和を段階的に行うことを特徴とする排水処理方法。
  6. 前記アルカリ性排水のpH値に基づき、前記アルカリ性排水に供給する前記空気の供給量を制御することを特徴とする請求項5に記載の排水処理方法。
  7. 前記アルカリ性排水に供給される前記空気が微細な気泡として供給されることを特徴とする請求項5または6に記載の排水処理方法。
  8. 前記空気が、前記アルカリ性排水中に長く滞留するように、前記空気を前記アルカリ性排水に供給することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の排水処理方法。
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