JP2014530636A - リグノセルロース物質を有機酸に転化する方法 - Google Patents

リグノセルロース物質を有機酸に転化する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有機酸を高い濃度でかつ高い収率および高い純度で得るための、リグノセルロースを有機酸に転化する方法を提供する。【解決手段】リグノセルロースを有機酸に転化する方法において、a)リグノセルロース物質を含む供給物を水の存在下で前処理温度で、2価の陽イオンを含むアルカリ剤により前処理して、アルカリで前処理されたリグノセルロース物質の水性スラリーを得ること、ここで上記2価の陽イオンは、カルシウムまたはマグネシウムの陽イオンである、b)アルカリで前処理されたリグノセルロース物質のスラリーの少なくとも一部を醗酵ゾーンに供給し、そして前処理されたリグノセルロース物質を醗酵ゾーンで加水分解酵素および、サッカリドを有機酸に転化することができる微生物の存在下で酵素による加水分解および醗酵に付して、不溶リグノセルロース、上記2価の陽イオンによる上記有機酸の析出した塩および溶解した塩、および酵素を含む醗酵ブロスを得ること、c)工程(b)で得られた醗酵ブロスを醗酵ゾーンから排出すること、d)上記醗酵ブロスから、上記有機酸の溶解した塩を含む液相と不溶リグノセルロースおよび上記有機酸の析出した塩を含む固相とを分離すること、およびe)上記液相の少なくとも一部をアルカリ前処理工程a)および/または醗酵ゾーンに再循環することを含む、前記方法。【選択図】図1

Description

本発明は、リグノセルロース物質を有機酸に転化する方法に関する。
有機酸、例えば乳酸、コハク酸または酢酸を、リグノセルロースを含むバイオマスの醗酵によって製造することが知られている。例えば国際公開第2009/025547号パンフレットには、リグノセルロースバイオマスから醗酵生成物として乳酸を製造する方法が開示されている。国際公開第2009/025547号パンフレットの方法では、リグノセルロースバイオマスがアルカリ剤で前処理され、次いで醗酵器において糖化および醗酵に同時に付されて、乳酸またはその塩を製造する。
国際公開第2009/025547号パンフレットの方法の欠点は、醗酵生成物、すなわち乳酸または乳酸カルシウムが、比較的低い濃度で回収されることである。回収された乳酸がその後のエタノールへの微生物による転化のために使用される場合には、96%のエタノール濃度を得るために、多数の蒸留工程が必要であろう。
さらに、比較的低い収率の醗酵生成物が得られるであろう。リグノセルロースの十分な糖化を得るために、比較的厳しいアルカリ前処理工程、前加水分解工程、および/または醗酵器における比較的多量の加水分解酵素が必要であろう。
国際公開第2009/025547号パンフレット
アルカリ前処理およびその後の醗酵ゾーンでの、アルカリで前処理された物質の醗酵によるリグノセルロース物質からの有機酸の製造が、醗酵ゾーンの液体流出物がアルカリ前処理工程におよび/または醗酵ゾーンに再循環され、有機酸が醗酵ゾーンの固体流出物からマグネシウムまたはカルシウム塩として回収されるように行われるならば、有機酸が高い濃度でかつ高い収率および高い純度で得られ得ることが今見出された。
したがって、本発明は、リグノセルロースを有機酸に転化する方法に関し、上記方法は、下記工程:
a)リグノセルロース物質を含む供給物を水の存在下で前処理温度で、2価の陽イオンを含むアルカリ剤により前処理して、アルカリで前処理されたリグノセルロース物質の水性スラリーを得ること、ここで上記2価の陽イオンは、カルシウムまたはマグネシウムの陽イオンである、
b)アルカリで前処理されたリグノセルロース物質の上記スラリーの少なくとも一部を醗酵ゾーンに供給し、そして前処理されたリグノセルロース物質を醗酵ゾーンで加水分解酵素および、サッカリドを有機酸に転化することができる微生物の存在下で酵素による加水分解および醗酵に付して、不溶リグノセルロース、上記2価の陽イオンによる上記有機酸の析出した塩および溶解した塩、および酵素を含む醗酵ブロスを得ること、
c)工程(b)で得られた醗酵ブロスを醗酵ゾーンから排出すること、
d)上記醗酵ブロスから、上記有機酸の溶解した塩を含む液相と不溶リグノセルロースおよび上記有機酸の析出した塩を含む固相とを分離すること、および
e)上記液相の少なくとも一部をアルカリ前処理工程a)および/または醗酵ゾーンに再循環すること
を含む。
液相が醗酵ゾーンに再循環される、すなわちアルカリ前処理工程への再循環によって間接的におよび/または直接的に再循環されるので、高い収率を得るために、醗酵性サッカリドの有機酸への1回の通過当たりに高い転化率は必要でない。転化されなかった醗酵性サッカリドは再循環され、そして次の通過において醗酵され得る。したがって、醗酵が比較的困難なサッカリド、例えばセルロースオリゴマーおよびキシロース、も大きい醗酵ゾーンの必要なしに醗酵され得る。
加水分解酵素の一部が液相とともに再循環されるので、比較的少量の酵素が使用され得る。
本発明に従う方法の重要な利点は、生成物、すなわち有機酸またはそのカルシウム塩もしくはマグネシウム塩、が比較的高い濃度で得られ得ることである。再循環故に、有機酸の溶解したカルシウムまたはマグネシウム塩の濃度は、飽和が達成されるまで増えるであろう。いったん飽和が達成されると、醗酵ゾーンで製造されるさらなる有機酸はいずれもそのカルシウムまたはマグネシウム塩として析出するであろう。すなわち、例えば低濃度のリグノセルロースおよび/または加水分解酵素故におよび/またはリグノセルロース物質の少しの加水分解故に、1回の通過につき比較的少量の有機酸が製造されるところのプロセス条件下でも、生成物が、所望の高い収率および濃度でなおも得られ得る。例えば乳酸を比較的高い濃度で製造することの利点は、例えば乳酸を醗酵によってコハク酸またはエタノールに転化することにより、乳酸が他の化学物質にさらに転化されるならば、そのような化学物質も比較的高い濃度で得られ得るということである。乳酸のエタノールへの醗酵の場合には、これは、濃縮されたエタノールを得るためにより少ない蒸留工程が必要であることを意味する。
また、本発明に従う方法の可溶生成物、例えばタンパク質含有供給物質の場合のアミノ酸またはペプチド、が十分に高い濃度で回収され得る。なぜならば、そのようなアミノ酸またはペプチドが、再循環故に、醗酵ゾーンの液体流出物中に蓄積するからである。
本発明に従う方法のさらなる利点は、上記方法を小規模で行うことが経済的に実用的であることである。上記方法は、大気圧で操作され得、したがって、リグノセルロース物質の転化のための公知方法よりも資本がはるかに少なくてよい。小規模で行われるならば、すなわち比較的小さい面積の農地に由来する廃バイオマスをリグノセルロース物質として使用して行われるならば、本発明に従う方法からの廃棄流、例えばミネラル、リグノセルロース残渣または炭酸カルシウムが、土壌肥沃度を高めるために、上記リグノセルロース物質が由来するところの上記農地に散布され得る。すなわち、廃棄流の輸送コストよび濃縮コストが回避される。
図1は、本発明の実施態様を模式的に示す。
本発明に従う方法において、リグノセルロース物質を含む供給物が最初にアルカリ前処理に付され(工程a))、次いで醗酵ゾーンに供給され、ここで酵素による加水分解および醗酵に付される(工程b))。醗酵ゾーンでは、リグノセルロース物質中のポリサッカリドが加水分解されて醗酵性サッカリドを得、それは1以上の有機酸へと醗酵される。醗酵ブロスが得られ、それは醗酵ゾーンから排出され(工程c))、次いで、液相および固相に分離される(工程d))。液相の少なくとも一部が上記アルカリ前処理工程および/または上記醗酵ゾーンに再循環される(工程e))。
リグノセルロース物質は、リグノセルロースを含む任意のバイオマス物質であり得る。適するリグノセルロース物質の例は、木材、わら、紙、バガス、草、またはそれらの組合せである。好ましくは、リグノセルロース物質が、農業廃棄物、例えばわらまたは古紙である。リグノセルロース物質は、新しい物質または乾燥した物質であり得る。供給物は、前加水分解または抽出工程などの前処理を受けて、非醗酵性成分を除去した、または工程b)での続く加水分解および醗酵を阻害し得る成分を除去したリグノセルロース物質を含み得る。
リグノセルロース物質は好ましくは、アルカリ前処理および加水分解/醗酵工程のためのリグノセルロース物質のアクセシビリティーを改善するために、粉砕した物質であり、例えば、切断、粉砕、機械的調質(mechanical refining)または押出によって粉砕される。
上記供給物は、リグノセルロース物質以外の物質、例えば家庭廃棄物または工業残渣(例えば菜種油粕、野菜屑または温室残渣)を含み得る。好ましくは、供給物が、供給物中の有機物質の乾燥重量に基づいて、少なくとも30重量%の乾燥リグノセルロースを含み、より好ましくは少なくとも50重量%、さらにより好ましくは少なくとも70重量%の乾燥リグノセルロースを含む。
工程a)では、リグノセルロース物質が、リグノセルロースマトリックスを粉砕するために、リグニンを除去するために、リグニンをより接近可能にするために、および/またはセルロースの表面積を増加するために、前処理される。前処理の結果として、リグノセルロース物質は、工程b)における続く加水分解及び醗酵により適するであろう。リグノセルロース物質のアルカリ前処理は当該分野において周知である。当該分野で知られている任意の適するアルカリ前処理条件が工程a)において適用され得る。
上記供給物は、2価の陽イオンを含むアルカリ剤によって水の存在下で前処理され、ここで、上記2価の陽イオンはカルシウムまたはマグネシウムである。アルカリ剤は例えば、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、またはそれらの2以上の組合せであり得る。好ましくは、アルカリ剤が水酸化カルシウムまたは酸化カルシウムであり、より好ましくは水酸化カルシウムである。典型的に、存在する水の量は、乾燥固体リグノセルロースの濃度が、水性相の体積に基づいて5〜30重量%の範囲であるような量である。アルカリ剤の量は好ましくは、8.0〜14.0、より好ましくは8.5〜13.0、さらにより好ましくは9.0〜12.0の範囲のpHを有するスラリーが得られるような量である。
アルカリ前処理は、任意の適する前処理温度で行われ得る。好ましくは、前処理温度が20〜115℃、より好ましくは50〜100℃、さらにより好ましくは60〜98℃、さらにより好ましくは70〜95℃の範囲である。
アルカリ前処理の厳しさは本発明に従う方法において重要でないので、リグノセルロース物質が前処理される時間も重要でないことが理解されるであろう。上記物質は、任意の適切な時間の間、例えば10分〜100日、好ましくは20分〜3時間、より好ましくは30〜60分の範囲の間、前処理され得る。典型的に、より低い前処理温度が、より長い前処理時間と組み合わせられることが理解されるであろう。
工程a)において、アルカリ前処理されたリグノセルロース物質の水性スラリーが得られる。スラリーの少なくとも一部が、醗酵ゾーンに供給される。好ましくは、スラリーの少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%が醗酵に供給される。より大きい粒子または繊維、好ましくは少なくとも2mmの直径(粒子の場合)または長さ(繊維の場合)を有する粒子または繊維が、スラリーを醗酵ゾーンに供給する前にスラリーから分離される。あるいは、例えば種々のセルロース含量を有する種々のリグノセルロース物質の混合物を含む供給物が使用される場合には、前処理されたリグノセルロース物質の一部が、異なる方法での使用のためにスラリーから分離され得、スラリーの残りが醗酵ゾーンに供給されるであろう。例えば、スラリーを紙の製造のために使用するために、比較的高いセルロース含量を有する前処理されたリグノセルロース物質をスラリーから分離することが有利であり得る。
スラリーは、醗酵ゾーンに供給される前に、冷却工程またはスクリーニング工程(大きい粒子または繊維を除去するため)に付され得る。前処理温度が、加水分解および醗酵が行われる温度よりも高い場合には、アルカリ前処理された物質が好ましくは最初に加水分解/醗酵温度に冷却される。
前処理されたリグノセルロース物質を含むスラリーは、1以上の醗酵器を直列で含む醗酵ゾーンに供給される。スラリーは、醗酵ゾーンにおける第一醗酵器にバッチ式でまたは連続的に供給され得る。
醗酵ゾーンでは、前処理された物質が、加水分解酵素および、サッカリドを有機酸に転化し得る微生物の存在下で、酵素による加水分解および醗酵に付される。加水分解酵素は、リグノセルロース物質中のサッカリドの加水分解のために適する任意の酵素またはそのような酵素の1以上の組合せであり得る。そのような酵素は当該分野において知られており、セルラーゼ、ヘミセルラーゼまたはそれらの組合せを包含し、任意的にペクチナーゼまたはセロビアーゼとの組み合わせである。好ましくは、少なくともセルラーゼが酵素として存在する。
上記微生物は、サッカリドを1以上の有機酸に転化するのに適する任意の微生物または微生物の組合せであり得る。そのような微生物は当該分野において知られており、細菌および酵母などの真菌を包含する。好ましくは、微生物が、乳酸産生微生物であり、より好ましくは乳酸産生菌である。適する乳酸産生菌の例は、乳酸桿菌(lactobacilli)、ビフィドバクテリア(bifidobacteria)、特定のバチラス(Bacillus)およびストレプトコッカス(Streptococcus)種、またはそれらの組合せである。
1以上の醗酵器における温度は、酵素による加水分解および醗酵が生じるところの任意の温度であり得る。好ましくは、上記温度が20〜80℃、より好ましくは25〜60℃、さらにより好ましくは30〜50℃の範囲である。醗酵ゾーンが1より多くの醗酵器を含む場合には、温度が、種々の醗酵器において異なり得る。
醗酵は、任意の適するpH、好ましくは4.0〜8.0、より好ましくは4.5〜7.5の範囲のpHで行われ得、5.0〜7.0の範囲のpHが特に好ましい。醗酵ゾーンが1より多くの醗酵器を直列で含む場合には、形成される追加の有機酸故に、次の醗酵器のpHが典型的に、前の醗酵器よりも低いことが理解されるであろう。
醗酵ゾーンにおける1以上の醗酵器において優勢な条件下で、リグノセルロース物質中のポリサッカリドが最初に加水分解されて、醗酵性サッカリドを得る。上記醗酵性サッカリドは、グルコース、マンノース、フルクトース、マンノース、ラムノース、キシロース、アラビノース、ガラクツロン酸などのモノサッカリド、ラクトース、キシロビオースおよびセルビオースなどのジサッカリド、およびオリゴマーサッカリドを包含し得る。醗酵性サッカリドは、存在する微生物によって1以上の有機酸へと醗酵される。どの有機酸が形成されるかは、存在する微生物に主に依存することが理解されるであろう。醗酵生成物として形成される有機酸は、乳酸、クエン酸、イタコン酸、コハク酸、フマル酸、グリコール酸、ピルピン酸、酢酸、グルタミン酸、リンゴ酸、プロピオン酸、酪酸、グルコン酸およびそれらの組合せであり得る。好ましくは、微生物が乳酸産生微生物、より好ましくは乳酸産生菌であり、形成される有機酸が乳酸である。
すなわち、1以上の醗酵器において、不溶リグノセルロース、有機酸、上記有機酸と上記2価の陽イオンとの溶解塩、上記酵素、上記微生物、および、上記有機酸の溶解塩の濃度がいったん飽和に達すると、上記有機酸と上記2価の陽イオンとの析出塩を含む醗酵ブロスが得られる。醗酵ブロスは、醗酵していないサッカリドを含み得る。
直列の1より多い醗酵器の場合には、典型的に、ある醗酵器で形成された醗酵ブロス全体が、直列の次の醗酵器に供給される。
醗酵ブロスは、醗酵ゾーンから排出される。醗酵ゾーンが1より多い醗酵器を直列で含む場合には、醗酵ブロスが、直列の最後の醗酵器から排出される。排出された醗酵ブロスは、液相および固相に分離される。そのような分離は、当該分野で知られている任意の適する手段によって、例えば遠心分離、濾過または沈降によって行われ得る。
液相の少なくとも一部が、アルカリ前処理工程および/または醗酵ゾーンに再循環される。好ましくは、液相の少なくとも50体積%、より好ましくは少なくとも80体積%、さらにより好ましくは少なくとも90体積%、さらにより好ましくは少なくとも95体積%がアルカリ前処理工程におよび/または醗酵ゾーンに再循環される。好ましくは、液相の小さい部分、好ましくは液相の高々10体積%、より好ましくは高々5体積%がブリード流としてプロセスから除去される。
好ましくは、液相の少なくとも一部、より好ましくは少なくとも50体積%、さらにより好ましくは少なくとも80体積%が前処理工程a)に再循環される。すなわち、液相に存在する水が使用され、それによって、液相における有機酸の溶解塩の多過ぎる希釈が回避される。液相の少なくとも一部を醗酵ゾーンに直接再循環して、再循環された液相に存在し得る酵素の不活性化を回避することが有利であり得る。望ましくない希釈と酵素不活性化との間のバランスをとるために、好ましくは、液相の一部が前処理工程a)に再循環され、一部が醗酵ゾーンに直接再循環される。好ましくは、液相の高々50体積%、より好ましくは高々20体積%が醗酵ゾーンに直接再循環される。
醗酵ゾーンが1より多くの醗酵器を含む場合には、液相の一部が単一の醗酵器にまたは先行する醗酵器に再循環され得る。
液相は、有機酸と2価の陽イオンとの溶解した塩を含む。液相はさらに、有機酸、溶解した醗酵性サッカリド、酵素、微生物、およびリグノセルロース物質からの他の可溶化合物または可溶化された化合物を含み得る。再循環の結果、有機酸の溶解した塩は、その飽和濃度に達するまで、液相中に蓄積するであろう。醗酵ゾーンで製造された任意の追加の有機酸は、次いで、そのカルシウム塩またはマグネシウム塩の形態で製造される有機酸の析出を生じるであろう。すなわち、流れ上で一定時間後、有機酸の析出した塩を含む醗酵ブロスが得られるであろう。析出した塩は、ブロスとともに醗酵ゾーンから排出され、そして、分離後に固相になるであろう。有機酸の塩は固相から公知の手段によって、例えば固液抽出によって回収され得る。
液相が再循環されるので、1回の通過ごとにサッカリドの有機酸への高い転化率を達成する必要がない。有機酸の溶解した塩の濃度がいったんその飽和濃度に達すると、さらに形成された任意の有機酸は、その2価の陽イオン塩として析出するであろう。塩は、固相から比較的高い濃度で回収され得る。したがって、醗酵ゾーンにおける加水分解および醗酵のための転化率に影響を及ぼすパラメータ、例えばアルカリ前処理の厳しさ、酵素または微生物の量、醗酵器におけるpHおよび温度、醗酵器における滞留時間、サッカリドの醗酵性およびアルカリで前処理されたリグノセルロース物質の濃度はあまり重要でない。したがって、操作窓が、リグノセルロース物質の加水分解および醗酵のための従来の方法、例えば国際公開第2009/025547号パンフレットに開示された方法よりもはるかに広い。
好ましくは、醗酵が、1〜5の範囲の醗酵器、より好ましくは1〜3の醗酵器を直列で含む。
醗酵ゾーンが1より多くの醗酵器を直列で含む場合には、種々の醗酵器において異なるプロセス条件を適用する、例えば異なる温度、pH、滞留時間を適用するおよび/または異なる加水分解酵素を使用することが有利であり得る。例えば、第一醗酵器を、微生物の最適温度よりも高い温度で、好ましくは比較的短い滞留時間で操作すること、および微生物の最適温度により近い温度で操作しおよび/または有機酸の塩の析出を高めるために、次の醗酵器をより低い温度で操作することが有利であり得る。
醗酵ゾーンから排出される醗酵ブロスから分離される固相は、固相から汚染物、例えば醗酵阻害剤および/または上記有機酸の任意の溶解したカルシウムまたはマグネシウム塩および醗酵性サッカリドを除去するために洗浄され得る。そのような洗浄は、有機酸の析出した塩の多過ぎる溶解を回避するために、低い温度で行われる。好ましくは、洗浄が、10〜50℃、より好ましくは15〜40℃の範囲の温度で行われる。室温での洗浄が特に好ましい。こうして、洗浄された固相および洗浄水が得られる。洗浄水の少なくとも一部は有利には、工程a)に再循環されて前処理工程a)に水を提供し、または醗酵ゾーンに再循環され得る。工程a)への再循環が特に好ましい。なぜならば、洗浄水に存在する任意の醗酵阻害剤が典型的に、工程a)において優勢な条件下で非阻害性化合物に分解されるからである。
有機酸のカルシウムまたはマグネシウム塩は、醗酵ブロスから、好ましくは洗浄後に、分離された固相から回収され得る。そのような回収は、例えば、固相を高められた温度で、好ましくは50〜120℃、より好ましくは60〜100℃の範囲の温度で水により抽出することにより、行われ得る。こうして、水中の有機酸のカルシウムまたはマグネシウム塩の濃縮された塩および抽出された固相が得られる。溶液は、有機酸の塩を40重量%まで含み得る。上記塩の濃縮された溶液が生成物として回収され得る。あるいは、塩を析出させ、次いで析出した塩を固体生成物として回収するために、上記溶液を冷却することにより塩が固体生成物として回収され得る。
こうして得られた有機酸のカルシウムまたはマグネシウム塩は例えば、供給組成物のための成分として、または醗酵プロセス、例えば有機酸のエタノールまたはコハク酸への醗酵のための原料として使用され得る。
有機酸の塩が、高濃度の形態でかつ比較的純粋な形態で得られ得ることが本発明に従う方法の利点である。有機酸が乳酸である場合には、比較的少量の酢酸、フルフラールおよび、乳酸の、エタノールやコハク酸などの物質への更なる醗酵のための阻害剤として作用し得る他の化合物が存在する。本発明に従う方法では、そのような化合物が液相中に溶解し、そしてアルカリ前処理工程a)および/または醗酵ゾーンへ再循環され、または液相からブリード流とともにプロセスから除去される。アルカリ前処理工程では、そのような化合物は典型的に、醗酵阻害剤として作用しない化合物に分解されるであろう。
本発明の一実施態様では、供給物がタンパク質を含む。例えば、供給物がタンパク質含有リグノセルロース物質を含むならば、供給物がタンパク質を含み得る。適するタンパク質含有リグノセルロース物質の例は、農業残渣、例えばテンサイの葉、ビートパルプ、ジャガイモ繊維、ジャガイモの葉および皮および脂肪種子の加工処理からの油粕、菜種の茎、野菜農業残渣、乾燥醸造かす(dried distiller’s grains with solubles:DDGS)、湿った醸造かすまたは食物もしくは生物燃料プロセスからの他の高度に希釈された残渣、ほとんどのタンパク質が抽出される菜種ミールまたはひまわり種子ミールである。そのようなタンパク質含有リグノセルロース物質は、供給物全体を構成し得るが、供給物の一部であってもよく、供給物は、他のリグノセルロース物質をさらに含み得る。タンパク質を含む供給物を使用することの利点は、リグノセルロース物質に存在するリグニン上での酵素の吸着、特にセルラーゼおよびβ−グルコシダーゼの吸着が、醗酵工程b)中に低下するであろうということである。すなわち、酵素のコストが、タンパク質を含まない供給物を使用する方法と比較して、低下するであろう。
さらに、供給物がタンパク質を含む場合には、アミノ酸および/またはペプチドが、液相から生成物として有利に回収され得る。供給物流がタンパク質を含み、アミノ酸またはペプチドの回収が望ましい場合には、微生物が好ましくは、タンパク質をそのアミノ酸またはペプチドに加水分解することができる微生物である。より好ましくは、微生物が、乳酸産生菌である。醗酵ゾーンにおいて形成されたアミノ酸および/またはペプチドは、液相から従来公知の手段によって、例えば液相の蒸発によって回収され得る。
好ましくは、上記方法が、固相から回収される有機酸の塩中の有機酸が醗酵生成物へと醗酵されるところの醗酵工程をさらに含む。有機酸が乳酸である場合には、固相から回収された乳酸カルシウムまたは乳酸マグネシウムが例えばコハク酸またはエタノールへと醗酵され得る。上記醗酵生成物は次いで、従来公知の手段によって生成物として回収される。そのような醗酵によるエタノールの回収は典型的に、蒸留によって行われる。
有機酸の転化故のpHの増加を最小にするために、そのような醗酵工程中に、さらなる酸、すなわち上記有機酸と区別され得る酸を添加することが有利であり得る。そのような更なる酸が添加されるならば、上記更なる酸のカルシウムまたはマグネシウム塩が、醗酵工程の共生成物として形成される。適する更なる酸の例は、硫酸、塩酸およびリン酸である。
抽出された固相は、発電装置への供給物として適切に使用され得る。抽出された固相は典型的に、低いカリウム含量を有するので、発電装置におけるスラグの形成が回避される。リグノセルロース物質に存在するほとんどのカリウムは典型的に、液相からブリード流とともにプロセスから排出されるであろう。好ましくは、抽出された固相が、供給物、例えば天然ガス、バイオマスまたは古紙とともに共供給物として発電装置に供給される。発電装置では、電気および熱が発生する。好ましくは、発生した熱が工程a)において使用されて所望の前処理温度を達成する。
本発明の一実施態様では、アルカリ前処理工程a)への供給物が、炭酸カルシウムを含む紙を含む。炭酸カルシウムを含む紙が供給物として使用される場合には、抽出された固相が炭酸カルシウムを含むであろう。そのような炭酸カルシウムを含む抽出された固相が発電装置に供給される場合には、酸化カルシウムが発電装置において形成されるであろう。好ましくは、そのような酸化カルシウムが、アルカリ剤として、アルカリ前処理工程a)へ再循環される。
上記でより詳細に記載したように、本発明のいくつかの実施態様では、上記更なる酸のマグネシウムまたはカルシウム塩が、固相から回収された有機酸(の塩)の醗酵において形成される。こうして形成された更なる酸のマグネシウムまたはカルシウム塩は、発電装置に共供給されて酸化マグネシウムまたは酸化カルシウムを形成し得る。好ましくは、そのような酸化マグネシウムまたは酸化カルシウムがアルカリ剤としてアルカリ前処理工程a)に再循環される。
アルカリ前処理工程a)は、水の存在下で行われる。外部の水がアルカリ前処理工程a)に直接添加され得る。あるいは、本発明に従う方法における洗浄工程の抽出において使用された水が工程a)に再循環され得る。そのような水の例は、工程d)で得られた固相からの有機酸のカルシウムまたはマグネシウム塩を溶解するために使用される水、抽出された固体相を、それが発電装置に供給される前に洗浄するために使用される水、または工程a)において得られるスラリーから分離される高セルロースのアルカリ前処理されたリグノセルロース物質を洗浄するために使用される水である。水の代わりに、有機物質を含む水性流、例えば食物または生物燃料プロセスからの湿った醸造かすまたは他の流れが使用されて、工程a)における水を提供し得る。
図では、本発明の一実施態様が模式的に示される。風乾した粉砕された小麦わら1、水酸化カルシウム2および水3の流れが容器4に供給され、容器中で95℃の前処理温度で24時間保持される。24時間後、アルカリで前処理されたわらの水性スラリー5が容器4から排出され、単一の醗酵器を含む醗酵ゾーン6に供給される。セルラーゼ酵素、乳酸産生菌および栄養が醗酵器6に添加される(図示せず)。醗酵器6では、アルカリ前処理されたリグノセルロース物質が酵素による加水分解に付されて醗酵性サッカリドを形成する。こうして形成されたサッカリドが、乳酸へと醗酵される。醗酵器6におけるカルシウムイオンの存在故に、形成された乳酸は乳酸カルシウムとして溶解し、飽和濃度が達成された後、乳酸カルシウムが析出する。不溶リグノセルロース、溶解した乳酸カルシウムおよび析出した乳酸カルシウム、ならびにセルラーゼを含む醗酵ブロス7が醗酵ゾーン6から排出され、分離器8に供給され、ここで液相9および固相10に分離される。液相の小さい流れ11は、ブリード流としてプロセスから除去される。液相の主要部分12は、容器4に、すなわちアルカリ前処理工程に再循環される。液相9は、溶解した乳酸カルシウム、乳酸および、任意的にセルラーゼの一部およびいくらかの醗酵性サッカリドを含む。固相10は、不溶リグノセルロースおよび析出した乳酸カルシウムを含む。固相は、固液抽出装置13に供給され、ここで固相が熱水とともに向流抽出されて、抽出された固相14および乳酸カルシウムの水性溶液15を得る。溶液15は、生成物として回収され得る。あるいは、溶液15は、冷却されて(図示せず)乳酸カルシウムを析出させ、固体乳酸カルシウムが生成物として回収される。乳酸カルシウムを生成物として回収する代わりに、乳酸カルシウムは、エタノールまたは他の醗酵生成物にさらに醗酵され得る(図示せず)。
抽出された固相14は、例えば天然ガス、バイオマスおよび/または古紙であり得る主要供給物17とともに、共供給物として発電装置16に供給される。発電装置16では、電気18および熱19が発生する。熱19は、容器4の中身を95℃の前処理温度に加熱するために使用される。
1 粉砕された小麦わら
2 水酸化カルシウム
3 水
4 容器
5 アルカリで前処理されたわらの水性スラリー
6 醗酵ゾーン
7 醗酵ブロス
8 分離器
9 液相
10 固相
13 固液抽出装置
14 抽出された固相
16 発電装置

Claims (16)

  1. リグノセルロースを有機酸に転化する方法において、下記工程:
    a)リグノセルロース物質を含む供給物を水の存在下で前処理温度で、2価の陽イオンを含むアルカリ剤により前処理して、アルカリで前処理されたリグノセルロース物質の水性スラリーを得ること、ここで上記2価の陽イオンは、カルシウムまたはマグネシウムの陽イオンである、
    b)アルカリで前処理されたリグノセルロース物質の該スラリーの少なくとも一部を醗酵ゾーンに供給し、そして前処理されたリグノセルロース物質を醗酵ゾーンで加水分解酵素および、サッカリドを有機酸に転化することができる微生物の存在下で酵素による加水分解および醗酵に付して、不溶リグノセルロース、上記2価の陽イオンによる上記有機酸の析出した塩および溶解した塩、および酵素を含む醗酵ブロスを得ること、
    c)工程(b)で得られた醗酵ブロスを醗酵ゾーンから排出すること、
    d)上記醗酵ブロスから、上記有機酸の溶解した塩を含む液相と不溶リグノセルロースおよび上記有機酸の析出した塩を含む固相とを分離すること、および
    e)上記液相の少なくとも一部をアルカリ前処理工程a)および/または醗酵ゾーンに再循環すること
    を含む、前記方法。
  2. 前記液相の少なくとも一部が工程a)に再循環される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記液相の少なくとも50体積%が工程a)に再循環される、請求項2に記載の方法。
  4. 醗酵ゾーンが少なくとも2の醗酵器を直列で含み、工程c)において醗酵ブロスが直列の最後の醗酵器から排出される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 工程d)で得られた固相を水により10〜50℃の範囲の温度で洗浄して洗浄された固相および洗浄水を得ること、および上記洗浄水の少なくとも一部を工程a)に供給することをさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記有機酸の塩を固相から回収することをさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 工程d)で得られた固相を、任意的に洗浄の後に、水により60〜100℃の範囲の温度で抽出して、前記有機酸の塩の溶液および抽出された固相を得ることを含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記溶液を冷却して前記有機酸の析出した塩を得ることおよび該析出した塩を固体形態で回収することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記有機酸の塩が醗酵生成物へと醗酵され、そして該醗酵生成物が生成物として回収されるところの醗酵工程をさらに含む、請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記醗酵工程中にさらなる酸が添加され、そして該さらなる酸のカルシウム塩またはマグネシウム塩が共生成物として前記醗酵工程において形成される、請求項9に記載の方法。
  11. 前記抽出された固相を発電装置に供給して電気および廃熱を発生させることをさらに含む、請求項7〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 供給物が炭酸カルシウムを含む紙を含み、酸化カルシウムが発電装置において形成され、かつ発電装置で形成された酸化カルシウムがアルカリ剤としてアルカリ前処理工程a)に再循環される、請求項11に記載の方法。
  13. 発生した廃熱が、工程a)における前処理温度を達成するために使用される、請求項11または12に記載の方法。
  14. 微生物が乳酸産生微生物であり、有機酸が乳酸である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 供給物がタンパク質を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. アミノ酸および/またはペプチドが、醗酵ブロスから分離された液相から回収される、請求項15に記載の方法。
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