JP2010536368A - リグノセルロース系バイオマスの弱アルカリ前処理および有機酸への同時糖化発酵 - Google Patents

リグノセルロース系バイオマスの弱アルカリ前処理および有機酸への同時糖化発酵 Download PDF

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Abstract

本発明は、リグノセルロース系バイオマスからの発酵製品を製造する方法、この方法を行うための反応器および発酵製品を製造するためのこの反応器の使用に関する。

Description

本発明は、リグノセルロース系バイオマスから発酵生成物としての有機酸を製造する方法に関し、その際リグノセルロース系バイオマスはアルカリ剤を使用して前処理される。本発明はさらに、本発明の方法を行うための反応器にも関する。
発明の背景
リグノセルロース系バイオマス原料は発酵プロセス、とくにバイオエタノールおよび乳酸のために使用してよい。リグノセルロース系原料を乳酸などの大量の化学薬品に転化させるための従来のプロセスは、前処理、酵素加水分解および微生物発酵を必要とする。リグノセルロース系バイオマスは、競争力のある栄養価を有していない、安価で幅広く入手可能で再生可能な炭素源である。リグノセルロースは、フェノール系ポリマーであるリグニンのマトリックス中に埋め込まれた主としてセルロースおよびヘミセルロース(主に六炭糖および五炭糖で構成されているポリマー)からなる。リグノセルロースから発酵性の糖類を導く主な経路は、セルロース分解酵素およびヘミセルロース分解酵素による酵素加水分解による。リグニンを改変および/または除去するため、並びにそれによって酵素加水分解への多糖類のアクセスしやすさを高めるために粒子サイズを小さくするためには、リグノセルロースの機械的および化学的前処理が必要である(Classenら、(1999年)、Microbiol.Biotecnnol.52巻、741〜755頁)。
バイオマスの様々な化学的前処理が、リグノセルロースからエタノールへの製造技術の研究開発の中で検討されてきた(Mosierら、(2005年)Bioresour.Technol.、96巻、673〜686頁)。温和な温度(<100℃)で石灰(Ca(OH))を用いるリグノセルロース系バイオマスのアルカリ前処理は、酵素加水分解を増進するための有望な前処理経路であることが示されており、リグノセルロース性基質の顕著な脱リグニン化またはキシラン分解を伴わない高い酵素分解性によって特徴づけることができる(Changら、(1998年)、Appl.Biochem.Biotechnol.、74巻、135〜159頁)。しかしながら、この比較的高いpH値(>10)におけるアルカリ前処理は、(ヘミ)セルロースの解重合のために必要な共通のセルロース分解性でありキシラン分解性である酵素の活性がこのpHにおいては低いため、とくに瞠目に値するものではない。したがって、多糖類の効率的な酵素加水分解を実現するためにはpHを下げることが必須である。1つの方法は石灰処理済みバイオマスを、酵素加水分解に先立って洗浄することによって水酸化カルシウムを除去することである(Changら、(1998年)、Appl.Biochem.Biotechnol.、74巻、(135〜159頁)。しかし、これは大量の水の使用に繋がる。前処理済み原料のpHを下げるもう1つの方法は、硫酸および酢酸などの酸を用いてまたはCOを用いて水酸化カルシウムを中和することである。それでもこれは副生成物として石膏または炭酸カルシウムなどの価値の低い塩の生成をもたらす。したがって、前処理後および酵素加水分解に先立つリグノセルロース系原料における高いpH値(>10)にかかるこの問題は、未だに適切には解決されていない。
本発明は、リグノセルロース系バイオマスから発酵生成物として有機酸を製造するための方法、本発明の方法を行うための反応器および本発明の方法を行うためのこの反応器の使用を提供し、この方法において、発酵の間のpH制御のためにアルカリ前処理されたバイオマスのアルカリ性が同時糖化発酵工程において使用される。
発明の説明
1つの側面において、本発明は、リグノセルロース系バイオマスから発酵生成物としての有機酸を製造するための以下のステップを含む方法を提供する:
a)リグノセルロース系バイオマスをアルカリ剤で前処理して、約8.0〜約14.0のpHを有するアルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスを得るステップと、
b)発酵槽内でステップa)の前処理済みリグノセルロース系バイオマスを同時糖化発酵(SSF)するステップであって、有機酸の生成に起因するpHの低下を、任意にアルカリと組み合わせてアルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスを添加することによって相殺して、pHを約8.0未満とするおよび/または8.0未満の特定のpHに維持して、加えた微生物(単数もしくは複数)および/または酵素の最適な活性を可能にするステップと、
c)任意に、発酵生成物を取り出すステップ。
「発酵生成物としての有機酸」という用語は、本明細書において、1つまたは複数の微生物による発酵によって得られた生成物であり、この生成物は少なくとも1つのカルボキシ基を含む有機分子であると定義される。一態様において、本発明の方法によって生成される発酵生成物は、これらだけには限定されないが、乳酸、クエン酸、イタコン酸、コハク酸、フマル酸、グリコール酸、ピルビン酸、酢酸、グルタミン酸、リンゴ酸、マレイン酸、プロピオン酸、酪酸、グルコン酸およびこれらの混合物からなる群から選択される。とくに好ましい一態様において、発酵生成物は乳酸である。
代わりにまたは先の好ましい態様と組み合わせて、さらに好ましい態様において、リグノセルロース系バイオマスは、草、木材、バガス、ストロー(straw)、紙、植物原料(ストロー、干草など)およびこれらの組合せから選択される。一態様において、リグノセルロース系バイオマスは小麦ストロー、トウモロコシストロー、大麦ストロー、稲ストロー、ライムギストローまたは任意の栽培植物のストローである。
代わりにまたは先の好ましい態様と組み合わせて、さらなる一態様において、リグノセルロース系バイオマスは風乾されたもの(air dry)であり、少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、89.5、90、または95%(w/w)の乾燥物質を有する。もう1つの態様において、リグノセルロース系バイオマスは未乾燥であり、すなわち生のバイオマスを使用してよい。
代わりにまたは先の好ましい態様と組み合わせて、さらなる一態様において、リグノセルロース系バイオマスは、タンパク質、アミノ酸または可溶性無機成分などのバイオマス中に含まれている、続く加水分解および発酵を妨げ得る発酵不可能な可溶性成分を除去するために、前処理に先立って前抽出される。もう1つの好ましい態様において、発酵可能な可溶性成分をリグノセルロース系バイオマスから除去し得る。本明細書において「前抽出」という用語は、リグノセルロース系バイオマスから可溶性成分を除去する任意の処理として定義される。
代わりにまたは先の好ましい態様と組み合わせて、さらなる好ましい一態様において、リグノセルロース系バイオマスの前処理は、リグノセルロース系バイオマスの機械的微細化に先行するまたはこれと組み合わせるおよび/もしくは統合される。機械的微細化は、前処理およびそれに続く工程の効率が向上し、またアルカリ剤がリグノセルロース系バイオマス中に完全に混合されるように、リグノセルロース系バイオマスの粒子サイズ分布を変更するために行われる。好ましい一態様において、機械的微細化は、これらだけには限定されないが、粉砕、機械的細密化(mechanical refining)および押出を含む。
ステップa)アルカリ剤によるリグノセルロース系バイオマスの前処理
リグノセルロース系バイオマスの前処理は、リグノセルロースのマトリックスを切り開き、リグニンを除去または改変し、セルロースの表面積を増大させるために必要とされる。本明細書において「前処理」という用語は、リグノセルロースの加水分解後の加水分解の程度を上げることを目的として、加水分解の前に行われる任意の方法と定義される。リグノセルロース系バイオマスの前処理は好ましくは、約24時間などの妥当な時間内に、前処理されたバイオマス中の炭水化物成分の少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約75%、さらにより好ましくは少なくとも約85%が、1つまたは複数の加水分解酵素によって1つまたは複数のモノマー糖に転化されるまで行われる。
先の好ましい態様と組み合わせて、さらなる一態様において、本発明は、約8.0〜約14.0の間のpH、好ましくは約pH8.0〜pH12.5または12.0を有するアルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスを得るための、アルカリ剤によるリグノセルロース系バイオマスの前処理に関する。したがって、適当な量の1つまたは複数のアルカリ剤をバイオマスに加え、本明細書の下記に示す通り適当な時間および適当な温度においてインキュベートする。リグノセルロース系バイオマスのアルカリ前処理の間、リグノセルロース系バイオマス中に含有されている酸の放出によってpHは約0.5〜約2.0単位低下し得る。好ましい一態様において、本発明によるアルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスは、約8.5〜約12.5の間の範囲、より好ましくは約9.0〜約12.0の間の範囲、さらにより好ましくは約9.5〜約12.0の間の範囲のpH値を有し、最も好ましくは約11〜8のpH値を有する。
代わりにまたは先の好ましい態様と組み合わせて、さらなる好ましい一態様において、本発明の方法のステップa)において使用されるアルカリ剤は、これらだけには限定されないが、水酸化カルシウム(Ca(OH))、酸化カルシウム(CaO)、アンモニア(NH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、尿素またはこれらの組合せからなる群から選択される。
代わりにまたは先の好ましい態様と組み合わせて、さらなる好ましい一態様において、アルカリ剤:リグノセルロース系バイオマスの比は、約1:100〜20:100の間、より好ましくは2.5:100〜約17.5:100の間、最も好ましくは約5:100〜約15:100の間の範囲である。アルカリ剤:リグノセルロース系バイオマスの比は、セルロースおよびヘミセルロースの酵素分解性および発酵性を向上させるように選択してよい。
代わりにまたは先の好ましい態様と組み合わせて、さらなる好ましい一態様において、アルカリ剤を用いるリグノセルロース系バイオマスの前処理は適当な温度において行われる。本発明のステップ(a)を行うための最も適当な温度は、好ましくはバイオマスのいかなる選択された種類および濃度、選択された前処理の他の条件(例えば、pHおよび時間)並びにSSF(例えば、微生物(単数または複数)、温度、酵素(単数または複数))について選択された条件に対しても発酵効率に影響を及ぼすことなく、発酵製品の最も低い製造コストをもたらす温度である。好ましい一態様において、適当な温度は約50℃〜約115℃の間、より好ましくは約60℃〜約95℃の間、より好ましくは約70℃〜約90℃の間、さらにより好ましくは約80℃〜約90℃の間の範囲であり、最も好ましくは約85℃である。
代わりにまたは先の好ましい態様と組み合わせて、さらなる好ましい一態様において、アルカリ剤を用いるリグノセルロース系バイオマスの前処理は、約2時間〜約20時間の間、より好ましくは約4時間〜約16時間の間、より好ましくは約5時間〜約12時間の間、より好ましくは約6時間〜約10時間の間の範囲であり、最も好ましくは約8時間行われる。本発明のステップ(a)を行うための最も適当な時間は、好ましくはバイオマスのいかなる選択された種類および濃度、選択された前処理の他の条件(例えば、pHおよび温度)並びにSSF(例えば、微生物(単数または複数)、温度、酵素(単数または複数))について選択された条件に対しても発酵効率に影響を及ぼすことなく、発酵製品の最も低い製造コストをもたらす時間である。
代わりにまたは先の好ましい態様と組み合わせて、さらなる好ましい一態様において、本発明のアルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスは、SSFに先立って次のステップ:冷却ステップ、洗浄ステップおよび/または減水ステップの1つまたは複数に付される。より好ましい一態様において、アルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスは、約80℃まで、より好ましくは約70℃まで、より好ましくは約60℃まで、より好ましくは約50℃まで、より好ましくは約40℃まで、最も好ましくは約30℃まで冷却させる。本明細書において使用される「減水(dewatering)」または「脱水(dehydration)」という用語は、バイオマスから自由水を除去することと定義される。もう1つの好ましい態様において、減水ステップは前処理されたバイオマスに圧力を加えながらろ過を使用することによって行われ、その際加えられる圧力は0〜約100barの間の範囲である。他の減水の方法は、当業者に知られている。もう1つのより好ましい態様において、洗浄ステップは有機酸(例えば酢酸)などの発酵阻害物質を除去するために行われる。好ましい一態様において、洗浄ステップは減水後の水の添加に続く次なる減水ステップによって行われる。
代わりにまたは先の好ましい態様と組み合わせて、本発明のさらなる好ましい一態様において、ステップ(b)における微生物発酵に起因する酸性化を中和するために、下記のステップ(b)の同時糖化発酵(SSF)工程に、ステップ(a)のアルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスを、より好ましくは流加バッチ式(fed−batch manner)で加える。「中和する」または「中和」という用語は、本明細書において、SSF混合物のpHを約8.0以下にするまたは維持することと定義され、例えば加水分解酵素(単数または複数)および/または微生物(単数または複数)の最適pHに応じて約4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5または8.0の特定のpHにするおよび/または維持するなどである。したがって、下記のステップ(b)のSSF工程において、アルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスをSSF混合物に加えて、有機酸の生成によって生じたpHの低下を相殺してpHを一定のレベルに維持する。当業者はSSF混合物中で維持すべきpHレベルを選択する方法を知っていよう。
ステップ(b)同時糖化発酵
「同時糖化発酵」という用語は、本明細書において、同時に行われるアルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスのポリマー炭水化物の発酵可能な糖への酵素加水分解および1つまたは複数の微生物による糖の発酵生成物へのさらなる転化と定義される。
本発明はアルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスの発酵槽におけるSSFに関し、その際、ステップ(b)における微生物発酵によって生じた酸性化を中和するために、SSF混合物中に、アルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスを、好ましくは流加バッチ式(fed−batch manner)で加える。
代わりにまたは先の好ましい態様と組み合わせて、本発明のさらなる好ましい一態様において、ステップ(b)のSSF工程は、アルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスが栄養素として使用されるケモスタット式で操作される。「ケモスタット式」は、本明細書において、栄養素濃度およびpHなどの発酵パラメーターを本質的に一定に保つための発酵槽デバイスと定義される。
代わりにまたは先の好ましい態様と組み合わせて、さらなる好ましい一態様において、SSFは、i)場合による前加水分解フェーズのステップと、ii)加水分解酵素で酵素加水分解して、発酵可能な糖を得るステップと、iii)ステップii)の糖を発酵生成物に転化させることができる1つまたは複数の微生物を使用する微生物発酵ステップとを含む。
代わりにまたは先の好ましい態様と組み合わせて、さらなる好ましい一態様において、SSFは、前加水分解フェーズを含み、そのフェーズでは、1つまたは複数の酸の添加によってpHが望まれるレベルに合わせられているアルカリ前処理されたバイオマスの一部分を発酵可能な糖に転化させて、バイオマスの有機酸への微生物転化を開始するために微生物(単数または複数)にとって適当な環境を提供する。
代わりにまたは先の好ましい態様と組み合わせて、本発明のさらなる好ましい一態様において、前加水分解フェーズは反応槽中の発酵可能な糖の濃度を0.5〜10の間、より好ましくは1〜5g/lの間の値まで増大させるに足る時間行われる。
代わりにまたは先の好ましい態様と組み合わせて、本発明のさらなる好ましい一態様において、SSFは、糖を得るための1つまたは複数の加水分解酵素製剤を用いる酵素加水分解フェーズを含む。酵素加水分解によって得ることができる糖は、例えばグルコース、マンノース、フルクトース、ラクトース、ガラクトース、ラムノース、キシロース、アラビノース、ガラクチュロン酸およびこれらの(組合せの)オリゴ糖を含み得る。
本発明の方法によるポリマー炭水化物の酵素加水分解は、発酵ステップにおいて微生物(単数または複数)によって使用してよい基質の形成のために必要である。本発明の方法における使用のための加水分解酵素、すなわち適当な量でステップ(b)のSSF工程に加えられる酵素は、これらだけには限定されないが、セルラーゼ製剤、ヘミセルラーゼ、セロビアーゼ、キシラナーゼ製剤、アミラーゼおよびペクチナーゼであってよい。かかる酵素製剤は市販されており、例えばGenencor Internatinal B.V.(Leiden、The Netherlands)から得ることができる。本発明の方法に使用するための適当な加水分解酵素活性の量は、バイオマスの選択された種類および濃度、選択された前処理の条件(例えば、pH、時間および温度)並びにSSFのために選択された条件(例えば、微生物(単数または複数)および温度)と共に、良好なまたは最適の酵素活性を保持しつつ発酵製品の最も低い製造コストをもたらす加水分解酵素活性の量である。加水分解酵素活性の適当な量は、例えば約0.01〜約50、より好ましくは約5〜約40ろ紙単位(FPU)の範囲内であると考えられるが、より高い加水分解酵素活性も使用してよい。
代わりにまたは先の好ましい態様と組み合わせて、さらに好ましい一態様において、本発明の方法によるSSFの間の酵素加水分解は、極めて低い濃度または無視できさえもする濃度の発酵阻害化合物しか含まない加水分解物をもたらす。好ましい一態様において、SSFの間に形成されるフルフラル、5−hmfおよびフェノール系化合物の濃度は0.2g/l未満である。かかる化合物の量は、HPLC分析などの標準的な方法を使用して測定し得る。
本発明の方法における使用のための1つまたは複数の微生物、すなわち上記ステップ(b)のSSF混合物に、SSFの前におよび/またはSSFの間に加えられる微生物(単数または複数)は、細菌、真菌(酵母を含む)、古細菌または藻類であってよい。好ましい一態様において、細菌は耐熱性バチルス(Bacillus)株から選択される。もう1つの好ましい態様において、微生物は、これらだけには限定されないが、以下のものからなる群から選択される:Acetobacter aceti、A.hansenii、A.liquefaciens、A.mesoxydans、A.pasteurianus、A.suboxydans、A.xylinum、Achromobacter agile、A.lactium、Acinetobacter baumanii、A.calcoaceticus、A.genospecies、A.genospesis、A.haemolyticus、A.junii、Acinetobacter sp.Actinomycete sp.、Actinoplane missouriensis、Aerobacter aerogenes、A.cloacae、Aeromonas culicicola、A.formicans、Aeromonas sp.、Agrobacterium radiobacter、A.rhizogenes、A.tumefaciens、Alcaligenes faecalis、Alcaligenes sp.、A.tolerans、A.viscolactis、Amylolatopsis mediterranei、Anabaena ambigua、A.subcylindria、Aquaspirillium intersonii、Arthroascus javanensis、Arthrobacter albidus、A.citreus、A.luteus、A.nicotinae、A.polychromogenes、A.simplex、Arthrobacter sp.、A.ureafaecalis、A.viscosus、Azomonas macrocytogenes、Azospirillum brasilense、A.lipoferum、Azotobacter chroococcum、A.agilis、A.chroococcum、A.macrocytogenes、Azotobacter sp.、A.vinelandii、Azotomonas insolita、Bacillus aminovorans、B.amyloliquefaciens、B.aneurinolyticus、B.aporrheous、B.brevis、B.cereus、B.cereus subsp.mycoids、B.circulans、B.coagulans、B.firmus、B.freudenreichii、B.globigii、B.laevolacticus、B.laterosporus、B.lentus、B.licheniformis、B.macerans、B.macquariensis、B.marcescens、B.megaterium、B.mesentericus、B.pantothenticus、B.pasteurii、B.polymyxa、B.pumilus、B.racemilacticus、Bacillus sp.、B.sphaericus、B.stearothermophilus、B.subtilis、B.thuringiensis、B.zopfii、B.subtilis、Beijerinckia indica、B.lactiogenes、Bordetella bronchiseptica、Brettanomyces intermedius、Brevibacterium ammoniagene、B.diverticatum、B.immariophilum、B.imperiale、B.linens、B.liquifaciens、B.luteum、B.roseum、B.saccharolyticum、B.vitarumen、Candida albicans、C.bombii、C.brumptii、C.catenulata、C.colliculosa、C.deformans、C.epicola、C.etchellsii、C.famata、C.freyschussii、C.glabrata、C.gropengiesseri、C.guilliermondii、C.krusei、C.lambica、C.lusitaniae、C.magnoliae、C.mannitofaciens、C.melibiosica、C.mucifera、C.parapsilosis、C.pseudotropicalis、C.rugosa、C.rugosa、C.tropicalis、C.utilis、C.versatilis、C.wickerhamii、C.sake、C.shehatae Candida Sp.、C.stellata、Cellulomonas bibula、C.bizotea、C.cartae、C.fimi、C.flavigena、C.gelida、C.uda、Chainia sp.、Chlorella pyrenoidosa、Chromatium sp.、Citeromyces matritensis、Citrobacter fruendii、C.acetobutylicum、C.felsineum、C.pasteurianum、C.perfringens、C.roseum、C.sporogenes、C.tetanomorphum、Corynebacterium rubrum、Corynebacterium glutamicum、Corynebacterium sp.、Cryptococcus laurentii、C.leteolus、C.neoformans、C.neoformans、Crytococcus sp.、Cytophaga hutchinsonii、Debaryomyces castellii、D.fibuligera、D.hansenii、D.marama、D.polymorphus、D.vanriji、Dekerra anomala、D.claussenii、D.bruxellensis、D.intermedia、D.naardensis、Desulfotomaculum nigrificans、Desulfovibrio desulfuricans、Enterobacter aerogenes、E.clocae、Erwinia cherysanthemi、Escherichia coli、E.intermedia、E.irregular、Euglena gracilis、Filobasidium capsuligenum、F.uniguttulatum、Flavobacterium dehydrogenans、F.devorans、F.odoratum、Flavobacterium sp.、Geotrichum sp.、Gluconobacter melanogenes、G.melanogenus、G.oxydans、G.roseus、Guilliermondella selenospora、Hafnia alvei、Halobacterium cutirubrum、H.halobium、H.salinarium、H.trapinium、Haneseniaspora vineae、Hansenula beckii、H.beijerinckii、H.canadensis、H.capsulata、H.ciferrii、H.polymorpha、H、valbiensis、Hormoascus ambrosiae、Issatchenkia orientalis、Janthinobacter lividum、Jensinia canicruria、Klebsiella aerogenes、K.pneumoniae、K.terrigena、Klockera corticis、K.javancia、Kluveromyces marxianus、Kluyvera citrophila、K.lodderi、K.marxianus、K.marxianus var.lactis、Lactobacillus acidophilus、L.brevis、L.buchneri、L.bulgaricus、L.casei、L.casei var.rhamnosus、L.delbrueckii、L.fermentum、L.helveticus、L.jugurti、L.lactis、L.leichmannii、L.pentosus、L.plantarum、Lactobacillus sp.、L.sporogenes、L.viridescens、Leuconostoc mesenteroides、L.oenos、Leuconostoc sp.、Leucosporidium frigidium、Lineola longa、Lipomyces lipofera、L.starkeyi、Metschnikowia pulcherrima、M.reukaufii、Micrococcus sp.、Micrococcus flavus、M.glutamicus、M.luteus、Microcyclus aquaticus、M.flavus、Morexella sp.、Mycobacterium phlei、M.smegmatis、Mycobacterium sp.、Mycoplana bullata、M.dimorpha、Mycrocyclus aquaticus、Nadsonia elongata、Nematospora coryli、Nitrobacter sp.、Nitrosomonas sp.、Nocardia asteroids、N.calcaria、N.cellulans、N.hydrocarbonoxydans、N.mediterranei、N.rugosa、
Nocardia sp.、Nocardiopsis dassonvillei、Nostoc elipsosporum、N.entrophytum、N.muscorum、N.punctriforme、Oerskovia xanthineolytica、Oosporidium margaritiferum、Pachysolen tannophilus、Pachytichospora transvaalensis、Pediococcus acidilactici、P.cerevisiae、P.pentosaceous、Pichia anomala、P.carsonii、P.farinosa、P.fermentans、P.fluxuum、P.guilliermondii、P.haplophila、P.ohmeri、P.pastoris、P.pijperi、P.rhodanensis、P.toletana、P.trihalophila、P.stipitis、Propionibacterium freudenreichii、P.shermanii、P.thoenii、P.zeae、Protaminobacter alboflavus、Proteus mirabilis、P.morganii、P.morganii、P.vulgaris、Prototheca moriformis、Providencia styartii、Pseudomonas aeruginosa、P.acidovorans、P.aeruginosa、P.aureofaciens、P.auruginosa、P.azotogensis、P.caryophylli、P.cepacia、P.convexa、P.cruciviae、P.denitrificans、P.desmolytica、P.desmolyticum、P.diminuta、P.fluorescens、P.fragi、P.glutaris、P.hydrophila、P.lemonnieri、P.maltophilia、P.mildenbergi、P.oleovorans、P.ovalis、P.pictorum、P.pisi、P.pseudoalcaligenes、P.pseudoflava、P.putida、P.reptilivora、P.resinivorans、P.solanacerum、Pseudomonas sp.、P.stutzeri、P.syringae、P.testosteroni、P.viridiflava、Rhizobium indigofera、R.japonicum、R.leguminosarum、R.lupini、R.meliloti、R.phaseoli、Rhizobium sp、R.trifoli、Rhodococcus sp.、R.terrae、Rhodosporidium torreloides、Rhodotorula aurantiaca、R.glutinis、R.graminis、R.marina、R.minuta、R.rubra、Rhodotorula sp.、Saccharomyces capsulraries、S.cerevisiae、Saccharomycodes ludwigii、Saccharomycopsis fibuligera、Salmonella abony、S.typhimurium、Sarcina lutea、Sarcina sp.、S.subflava、Scenedesmus abundans、Schizosaccharomyces octosporus、S.pombe、S.slooffii、Schwanniomyces occidentalis、Serratia marcescens、S.marinorubra、S.plymuthiea、Spirulina sp.、Sporobolomyces holsaticus、S.roseus、S.salmonicolor、Sreptomyces diastaticus、S.olivaceous、S.rimosus、Sreptomyces sp.、S.venezuelae、Staphylococcus afermentans、S.albus、S.aureus、S.epidermidis、Streptococcus agalactiae、S.cremoris、S.diacetilactis、S.faecalis、S.faecium、S.lactis、S.pyogenes、S.salivaris、Streptococcus sp.、S.thermophilus、S.zymogenes、S.peuceticus、S.albogriseolus、S.albus、S.antibioticus、S.atrofaciens、S.aureofaciens、S.caelastis、S.diastaticus、S.erythraeus、S.fluorescens、S.fradiae、S.griseoflavus、S.griseus、S.hawaiiensis、S.hygroscopicus、S.kanamyceticus、S.lavendulae、S.lividans、S.nataliensis、S.nitrosporeus、S.niveus、S.noursei、S.olivaceous、S.olivaceus、S.phacochromogenes、S.pseudogriseolus、Streptomyces sp.、S.thermonitrificans、S.venezualae、S.vinaceus、S.viridefaciens、Streptosporangium sp.、Streptoverticillium cinnamoneum、S.mobaraense、Streptoverticillium sp.、Thermospora sp.、Thiobacillus acidophilus、T.ferrooxidans、T.novellus、T.thiooxidans、Torulaspora delbrueckii、Torulopsis ethanolitolerans、T.glabrata、Torulopsis sp.、Tremella mesenterica、Trichosporon beigelii、T.capitatum、T.pullulans、Trichosporon sp、Trigonopsis variabilis、Williopsis californica、W.saturnus、Xanthomonas campestris、X.malvacearum、Yarrowia lipolytica、Zygosaccharomyces bisporus、Z.rouxii、Z.bisporus、Z.priorionus、Zygosporium aromyces、Z.priorionus、Zymomonas anaerobia、Z.mobilis、Absidia corymbifera、Acremonium chrysogenum、Actinomucor sp.、Agaricus bitorquis、Alternaria alternata、A.brassicicola、Alternaria sp.、A.terreus、Artrhobotrys conoides、A.oligospora、A.gossypii、Aspergillus awamori、A.candidus、A.clavtus、A.fischeri、A.flavipes、A.flavus、A.foetidus、A.funiculosus、A.luchuensis、A.nidulans、A.niger、A.oryzae、A.oryzae var.viridis、A.proliferans、A.sojae Aspergillus sp、A.terreus、A.terreus var.aureus、A.ustus、A.versicolor、A.wentii、Aurebasidium mausonii、A.pullulans Auricularia polytricha、Basidiobolus haptosporus、Beauveria bassiana、Benjaminella multispora、B.poitrasii、Botryodiplodia theobromae、Botryotrichum piluliferum、Botrytis allii、Cephaliophora irregularis、Cephalosporium sp.、Chaetomella raphigera、Chaetomium globosum、Cladosporium herbarum、Cladosporium sp.、Claviceps paspali、C.purpurea、Cokeromyces recurvatus、Coriolus versicolor、Cunninghamella blakesleeana、C.echinulata、C.elegans、C.sp.、Curvularia brachyspora、C.cymbopogonis、C.fallax、C.lunata、Daedalea flavida、Datronia mollis、Dipodascus uninucleatus、Flammulina velutipes、Fusarium moniliforme、F.oxysporum、F.proliferatum、Fusarium sp.、F.tricinctum、Ganoderma lucidum、Georichum candidum、Gibberella fujikuroi、G.saubinetti、Gliocladium roseum、Gongronella butleri、Helminthosporium sp.、Humicola grisea、Hymenochaete rubigonosa、Laetiporus sulphureus、Lenzites striata、Lepiota rhacodes、Monilinia fructicola、Mucor hiemails、M.plumbeus、Mucor sp.、Mycotypha africana、M.microspora、Myrothecium roridum、M.verrucaria、Neurospora crassa、N.sitophila、Paecilomyces sp.、P.varioti、Pencillium ochrochloron、Pencillium sp.、P.argillaceum、P.asperosporum、P.chrysogenum、P.citrinum、P.frequentans、P.funiculosum、P.janthinellum、P.lignorum、P.notatum、P.ochrochloron、P.pinophillum、P.purpurogenum、P.roqueforti、P.variabile、Phaenerochaete chrysosporium、Phialophora bubakii、P.calciformis、P.fastigiata、P.lagerbergii、P.richardsiae、Phialophora sp.、Phoma exigua、Phycomyces blakesleeanus、
Pleurotus flabellatus、P.florida、P.floridanus、P.ostreatus、P.sajor−caju、Polyporus meliae、Poria placenta、Ptychogaster sp.、Pycnoporus cinnabarinus、P.sanguineus、Rhizopus oryzae、R.stolonifer、Saccharomyces cerevisiae、Sclerotium rolfsii、Scopulariopsis brevicaulis、Sporothecium sp.、Sporotrichum sp.、Stachybotrys chartarum、Stemphylium sarcinaeforme、Stemphylium sp.、Tolypocladium inflatum、Trametes cubensis、T.hirsuta、T.lactinea、T.serialis、T.versicolor、T.inaequalis、T.harzianum、T.reesei、Trichoderma sp.、T.viride、Trichosporon sp.、Trichothecium roseum、Ustilago maydis、Volvariella diplasia、Volvariella sp.およびV.volvacea。本発明の方法における使用のために最も好ましい微生物は、Acetobacter species、Bacillus coagulans、B.racemilacticus、B.laevolacticus、Corynebacterium glutamicum、Escherichia coli、Gluconobacter species、Pseudomonas species、lactic acid bacteria、Aspergillus niger、Aspergillus terreus およびSaccharomyces cerevisiaeである。
本発明の方法における使用のための適当な微生物(単数または複数)の接種密度は、バイオマスの選択された種類および濃度、選択された前処理の他の条件(例えば、pH、時間および温度)並びにSSFのために選択された条件(例えば、酵素(単数または複数)および温度)と共に、良好な増殖、代謝および発酵能力を提供しつつ発酵製品の最も低い製造コストをもたらす微生物(単数または複数)の密度である。好ましい一態様において、微生物(単数または複数)の密度は約0.1〜約50、より好ましくは約2〜約20、さらにより好ましくは約5〜約10g微生物(単数または複数)/kgの前処理されたリグノセルロース系バイオマスである。
代わりにまたは先の好ましい態様と組み合わせて、さらに好ましい一態様において、SSF中の全固体濃度は約5%〜約50%、例えば約5%〜約40%、30%または25%などであり、最も好ましくは約40%〜約50%である。
SSFを行うための最適温度は、微生物(単数または複数)および/または酵素もしくは酵素混合物の最適温度に依存する。当業者はSSFを行うための最適温度の決定の仕方を知っている。1つまたは複数の微生物および/または酵素(単数または複数)との組合せで使用される最適温度は、知られている方法を使用して種々の温度条件における微生物(単数または複数)および/または酵素(単数または複数)の活性を解析することによって確立することができる。好ましい一態様において、SSFの間の温度は約20〜約80℃の範囲内、より好ましくは約25〜約60℃の範囲内、最も好ましくは約30〜約50℃の範囲内である。
代わりにまたは先の好ましい態様と組み合わせて、さらに好ましい一態様において、SSFの間のpHは、約2.0〜10.0の間、より好ましくは約4.0〜8.0、より好ましくは約5.0〜7.0の間となるように調節されおよび/または維持され、最も好ましくはSSFの間のpHは約6.0に調節されるおよび/または維持される。pHはアルカリ前処理されたバイオマスおよび任意に溶液または懸濁液形態のアルカリの(例えば自動の)添加によって、例えば吐出量が、望まれるpH値および標準pH電極によって測定されるpH値に基づいて、制御装置(コンピュータ)によって設定されるポンプまたは供給装置によって制御してよい。
代わりにまたは先の好ましい態様と組み合わせて、さらに好ましい一態様において、SSFの間のpHは、アルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスの添加によって、さらなるアルカリの供給源の必要がなく、大きなpHの変動もなく、制御してよい。もう1つの好ましい態様において、SSFの間のpHは、アルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスおよびアルカリ剤の添加によって制御してよい。
好ましい一態様において、SSFは前加水分解フェーズ、アルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスの添加によるpH制御を有する流加バッチフェーズおよびアルカリの添加によるpH制御を有するバッチフェーズを有し得る。好ましい一態様において、流加バッチフェーズには有機酸の生成に起因するpH低下を打ち消すためにアルカリが加えられるバッチフェーズが伴いおよび/または続き、pHを一定のレベルに維持する。好ましい一態様において、アルカリは、これらだけには限定されないが、水酸化カルシウム、(Ca(OH))、酸化カルシウム(CaO)、アンモニア(NH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、炭酸ナトリウム、尿素またはこれらの組合せからなる群から選択される。
代わりにまたは先の好ましい態様と組み合わせて、さらに好ましい一態様において、発酵生成物は、理論的最大量の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは100%の量で生成される。理論的最大量は次の式によって計算できる:
LAtheormax=DMHFFF
(式中、
DM=アルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスの全乾物(g)
F=アルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマス1g当たりの多糖類(g)の分率
HF=多糖類の分子量から単糖類の分子量に変換する加水分解ファクター
FF=多糖類1g当たり発酵生成物1.00gの発酵ファクター(fermentation factor))。
ステップc)回収
「回収」という用語は、本明細書において、本発明の発酵生成物がステップ(b)のSSF混合物から純粋および/またはより濃縮された形態で得られる、例えばステップ(b)のSSF混合物と比較してより低い濃度の他の成分またはより少ない数の他の成分を有する発酵生成物を得るための、任意の方法または方法の組合せと定義される。
もう1つの側面において、本発明はアルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスの同時糖化発酵のための発酵槽と任意にまたは一時的に連結されたリグノセルロース系バイオマスのアルカリ前処理のための容器を含む反応槽に関し、反応槽は本発明の方法に使用され、
1)容器は次のもの:
i)攪拌デバイス;
ii)加熱デバイス;および
iii)任意に、リグノセルロース系バイオマスからの可溶性成分の前抽出のための手段
を含み、
2)発酵槽は次のもの:
i)自動pH制御;および
ii)該自動pH制御によって制御される、容器からのアルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスのための入口
を含む。
好ましい一態様において、混合デバイスはアルカリ剤をアルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスに混合することができる。
もう1つの好ましい態様において、加熱デバイスはアルカリ剤およびアルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスの混合物を必要な処理温度まで加熱することができる。好ましい一態様において、混合物は電気加熱によってまたはスチームによって加熱される。
好ましい一態様において、容器および発酵槽の間の連結デバイスまたは連結手段は、ポンプ、好ましくはアルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスの発酵槽への自動供給を可能にするスクリューフィーダーである。前処理フェーズの間は連結デバイスまたは連結手段が存在する必要は必ずしもなく、または物理的に連結されている必要もないが、好ましくは少なくともSSFフェーズの前および/またはその間は設置される、加えられるまたは取り付けられる。したがって、連結デバイスまたは連結手段は一時的にまたは任意に存在してもよい。異なる一態様において、容器および発酵槽の間の連結デバイスまたは連結手段は常時存在する。
好ましい一態様において、アルカリは上記のアルカリから選択してよい。
もう1つの好ましい態様において、発酵槽は1つまたは複数の次のもの:自動pH制御によって制御されるアルカリの自動供給のための入口;1つまたは複数の酵素または酵素混合物(単数または複数)のための、1つまたは複数の微生物および/または酸もしくは塩基、例えば硫酸もしくはCa(OH)、より好ましくは3M硫酸または20重量/容積%のCa(OH)のための入口;サンプリングおよび/またはモニターのための出口;自動温度制御デバイス;および/または攪拌機アセンブリを含む。
もう1つの側面において、本発明は、本発明の方法によるリグノセルロース系バイオマスからの有機酸を製造するための上記の通りの本発明の反応器の使用に関する。
本文書およびその特許請求の範囲において、「含む」という動詞およびその活用形は、その非限定的意味で使用され、この語に続く項目が包含されるが、具体的に言及されていない項目も排除はされない。加えて、不定冠詞「a」または「an」は、文脈が1つであり且つただ1つの要素だけがあることを明確に必要としない限りは、1を超える要素が存在する可能性を排除しない。
石灰処理済み小麦ストローから乳酸への同時糖化発酵の概略図である。 市販の酵素製剤GC 220およびバシラス・コアギュランス(Bacillus coagulans)DSM 2314(B)による石灰処理済み小麦ストローの同時糖化発酵の間のpH(A)制御である。点線の間の領域は前加水分解フェーズ(I)、アルカリ性LTWSおよび酵素の添加によるpH制御を有する流加バッチフェーズ(II)およびCa(OH)懸濁液の添加によるpH制御を有するバッチフェーズ(III)を表す。追加の酵素製剤GC220が矢印によって示されている時間に加えられた。 市販の酵素製剤GC 220およびバシラス・コアギュランスDSM 2314による石灰処理済み小麦ストローの同時糖化発酵におけるグルコース(□)、キシロース(◇)、アラビノース(△)(A)および乳酸(◆)(B)のプロファイルである。点線の間の領域は前加水分解フェーズ(I)、流加バッチフェーズ(II)およびバッチフェーズ(III)を表す。追加の酵素製剤GC220が矢印によって示されている時間に加えられた。 石灰処理済み小麦ストローの同時糖化発酵の間の様々な時点における多糖体グルカン(A)、キシラン(B)およびアラビナン(C)の不溶性画分(□)および加水分解された可溶性画分(斜線付き白抜き四角)(g)(当初の量と分析された不溶性物質の量との間の差によって計算された)。図は可溶性生成物に加水分解された多糖類(▲)のパーセンテージも表している。エラーバーは、2回の分析の偏差を示す。

例1.原料および前処理
小麦ストローをリグノセルロース系モデル原料として選択し、オランダ北東部の農場から購入した。小麦ストローは空気乾燥し(89.5(重量/重量)%乾物)、2mmのスクリーンを通して砕いた。石灰前処理は、2基の15lのミキサー(Terlet、The Netherlands)の両方を砕いた小麦ストロー1650g、水道水13kgおよび水酸化カルシウム165gで満たすことによって行った。この小麦ストロー懸濁液を加熱し、30rpmで連続攪拌しながら16時間85℃に保った。続いて石灰処理済み小麦ストロー懸濁液(LTWS)を30℃まで冷却し、LTWSを木綿袋に入れ、懸濁液を手動のピストンプレスを使用して9.7kg/mまでの圧力でプレスすることによって脱水した。脱水後、11.45kgの量の平均乾物含有量27.0(重量/重量)%およびpH11.8を有するLTWSを得て、以後の実験のための基材とした。LTWSの化学組成はvan den Oeverら、によって記載された通りに決定した(Van den Oeverら、(2003年)、J.Mater.Sci.、38巻、3697〜3707頁)。
例2.酵素製剤
それぞれ116、215および677U/mlのセルラーゼ、セロビアーゼおよびキシラナーゼ活性を含有している酵素製剤GC 220(Genecor−Danisco、Rochester、USA)(Kabelら、(2006年)、Biotechnol. Bioeng.、93巻(1号)、56〜63頁)を本研究のために使用した。この製剤は、1.2g/mlの比重を有し、4.5mg/mlのグルコース、2.9mg/mlのマンノースおよび0.8mg/mlのガラクトースを有していた。
例3.微生物および前培養
細菌バシラス・コアギュランスDSM 2314株(DSMZ−Deusche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH、Inhoffenstrasse 7B、38124 Braunschweig、Germany)を乳酸産生微生物として使用した。細菌細胞は、10(重量/重量)%のグリセリン貯蔵溶液中に維持し、−80℃において貯蔵した。化学薬品は、別途に表示しない限りは、Merck(Darmstadt、Germany)から購入した。ゲルライトプレートは、グルコース、10g;ゲルライト、20g(Duchefa、Haarlem、The Netherlands);酵母抽出物、10g(Duchefa);(NHHPO、2g;(NHSO、3.5g;BIS−TRIS、10g(USB、Ohio、USA);MgCl.6HO、0.02gおよびCaCl.2HO、0.1gを含有している(1l当たり)培地を用いて調製した。グルコースおよびゲルライトは貯蔵溶液A中に溶解させた(4倍に濃縮されている)。この貯蔵溶液のpHを、2M塩酸を用いて6.4に調整し、125℃において15分間オートクレーブで加熱した。残りの栄養素は貯蔵溶液B(1.33倍に濃縮されている)中に溶解させ、これも2M塩酸を用いてpH6.4に調整したが、滅菌はフィルター(細孔径0.2μmを有する酢酸セルロースフィルター、Minisart、Sartorius)で行った。滅菌後、培地を貯蔵溶液AおよびBを合わせてゲルライトプレートに注いだ。細菌をゲルライトプレート上で50℃において48時間培養した。
同様の組成を有し、同様に調製したが、ゲルライトは加えなかったブロス100mlに接種するために、単離されたコロニーを使用した。培養物は50℃で24時間、静的にインキュベートし、1400mlのブロスのための接種材料として機能した。この培養物も静的に50℃で12時間インキュベートし、SSF実験のための10(容積/容積)%前培養物として使用できた。
例4.同時糖化発酵
LTWSのSSFは、pHおよび温度制御(バイオコントローラーADI 1020)を有する20L発酵槽(Applikon、Schiedam、The Neterlands)において行った。SSFの開始時には、発酵槽を水道水6.0kgおよび脱水されたLTWS(乾物含有量27.0(重量/重量)%)1400gで満たした。次いで、次の栄養素:酵母抽出物、150g(Duchefa);(NHHPO、30g;(NHSO、52.5g;MgCl.6HO、0.3gおよびCaCl.2HO、1.5gをLTWSに加えた。次いで、LTWS懸濁液を50℃まで加熱し、pHを3M硫酸101g(HSO約30g)を用いて6.0に調節した。LTWSから乳酸へのSSF工程は3つのフェーズから成っていた:I)予め投入されているLTWSの前加水分解フェーズ、II)スクリューフィーダーからのLTWSの自動供給を用いる流加バッチフェーズおよびIII)水酸化カルシウム懸濁液によるpH制御を用いLTW供給のないバッチフェーズ。実験装置構成の概略図を図1に示す。前加水分解は酵素製剤40mlのLTWS懸濁液への添加によって開始させ、250rpmで連続攪拌しながら50℃において2時間インキュベートした。流加バッチフェーズは、バチルス・コアギュランスDMS 2314の前培養物1500mlの発酵槽への添加によって開始させた。細菌によって生成された乳酸は、脱水されたLTWS(乾物27.0%)8623gのフィーダー(K−Tron Soder Feeders、Canada)による発酵槽への自動添加によって中和し、6.0に設定された培地のpHによって調節制御した(regulated)。流加バッチフェーズを通じて、酵素製剤280mlの量(酵素投入量合計98mg/g乾物基質)をLTWS添加速度に比例して発酵槽に加えた。バッチフェーズの間は、pHを20.0(重量/容積)%の水酸化カルシウムの懸濁液の添加によって6.0に制御した。乾物、基質および(副)生成物の分析のためにサンプルを抜き出した。
例5.分析方法
単糖の分析のために、発酵ブロスのサンプルを遠心分離し(17400gにおいて3分間)、上澄み液のpHを炭酸バリウムを用い、pH指示薬(ブロモフェノールブルー)を使用して5.0に調整し、続いて液体をろ過した。分析はCarbopack PA1カラム(カラム温度30℃)およびパルスアンペロメトリック検出器(ED50)(Dionex、Sunnyvale、CA)を使用する高性能アニオン交換クロマトグラフィーによって行った。注入の前に、システムを25.5mMのNaOHを用いて1.0ml/分の流速において10分間平衡させた。単糖の分離のために、注入時に移動相を30分間脱イオン水に切り替えた。中性の単糖の検出のために水酸化ナトリウムのポストカラム添加を使用した。
可溶性オリゴ糖の測定は、予め計重したサンプルの3000rpmでの5分間の遠心分離(Centaur 2、Beun de Ronde、The Netherlands)および上澄み液を一晩凍結乾燥することによって行った。ペレットを計重し、硫酸を用いて加水分解して中性の単糖をvan den Oeverらによって記載された通りの方法によって測定した(Van den Oeverら、(2003年)、J.Mater.Sci.、38巻、3697〜3707頁)。計算のために、グルカンおよびキシランからのオリゴマーの平均分子量それぞれ166および132g/molを適用し、それぞれ1.08および1.14の加水分解ファクターを得た。
不溶性ポリマー糖の分析のために、25gのサンプルを3000rpmで5分間遠心分離し(Centaur 2、Beun de Ronde、The Netherlands)、上澄み液を除去してペレットを新たに鉱物物質を除去した水25ml中に再懸濁し、続いて3000rpmで5分間の遠心分離を行った(Centaur 2、Beun de Ronde、The Netherlands)。再懸濁および遠心分離の順序を3回繰返した。最後の上澄み液の除去の後、ペレットを一晩凍結乾燥した。ペレットを秤量し(値は乾物(DM)の計算に使用した)、ポリマー材料を硫酸を用いて加水分解し、中性の糖をvan den Overらによって記載された通りの方法によって分析した(Van den Overら、(2003年)、J.Mater.Sci.、38巻、3697〜3707頁)。計算のために、グルカンおよびキシランの分子量それぞれ162および132g/molを適用し、それぞれ1.11および1.14の加水分解ファクターを得た。
有機酸の分析は高性能液体クロマトグラフィーによってMaasらによって記載された手順に従って行った(Maasら、(2006年)、Appl.Microbiol.Biotechnol.、72巻、861〜868頁)。
乳酸のキラル純度(%)は、すべてのラクテートをメタノールを使用して誘導体化し、その後で乳酸メチルの双方のエナンチオマーをキラルガスクロマトグラフィーカラム上で分離し、炎イオン化検出器を使用して検出した。キラル純度は主なエナンチオマーの面積を双方のエナンチオマーの面積の和で割ったものとして表現した。
例6.計算
理論的最大乳酸生成量(LAtheor.max(g))は、次の式[式1]によって計算した。
LAtheor.max=DMsubstrate polysacch. HFmonosacch./polysacch. FF [式1]
(式中、DMsubstrate=基質LTWSの全乾物(g);Fmonosacch=基質当たりの多糖分率(g/g);HFmonosacch./polysacch.=多糖の加水分解ファクター、水の組み込みがグルカン1.00gから六炭糖1.11gおよびキシランおよびアラビナンから五炭糖1.14gをもたらす(g/g)並びにFF=単糖のg当たり乳酸1.00gの発酵ファクター(fermentation factor))。
酵素加水分解の効率(%、重量/重量)は、加水分解された多糖(g)(当初の量と分析された不溶性物質の量との差によって計算される)の量を当初に基質中に存在した多糖の量(g)で割ったものに基づいた。発酵効率(%、重量/重量)は、生成された乳酸の量(g)を微生物によって消費された単糖の量(g)で割ったものとして表現される。SSFの全体の効率(%、重量/重量)は、生成した乳酸の量を式1に記載された通りに決定される乳酸の理論上の最大量で割ることによって計算した。
例7.LTWSの乳酸への同時糖化発酵
石灰前処理された小麦ストロー(LTWS)の多糖組成物は、主にそれぞれ33.0、19.0および2.0(重量/重量)%のグルカン、キシランおよびアラビナンから成り、残りの大部分はリグニン、灰分、エキス分およびウロン酸から構成されていた。小麦ストロー中の可溶性成分の一部は、LTWSの固/液分離(脱水)によって部分的に除去した。本研究の焦点は、LTWS中に存在する圧倒的に多い多糖であり、全ポリマー糖の99.8%を占めるグルカン、キシランおよびアラビナンの転化にある。以前の研究は、多糖の糖化のために使用されたセルラーゼ製剤GC 220は、50℃およびpH5.0において最適に機能したが(原稿提出中)、バチルス・コアギュランスDSM 2314のための増殖条件は54℃およびpH6.5であった(国際特許公開第2004/063382号)。本研究においては、酵素加水分解および発酵の両方が、同じ反応器において、妥協的な条件である50℃およびpH6.0に設定された条件において同時に生じた。
LTWSから乳酸へのSSFは、20Lの制御された攪拌されている発酵槽において研究した。以前の結果は、この工程をLTWSの当初の量の前加水分解を用いることなく行われ、単糖の濃度が低く、したがって比較的低い乳酸の生産性をもたらした。その結果として、生成された乳酸を中和するアルカリ性基質の流加バッチ添加速度が低かった(結果は示されていない)。発酵可能な糖のかなりの当初の量(>2g/l)を用いて発酵を始めるために、LTWS 378gおよび約6リットルの容積中の酵素製剤(LTWS乾物1g当たりに88mg)のpH6.0において2時間の前加水分解を導入した。これはグルコース、キシロースおよびアラビノースのそれぞれ2.0、0.4および0.3g/lの濃度をもたらした(図3A)。
第2フェーズ(II)は、バチルス・コアギュランスDMS 2314の前培養物1500mlを導入することによって開始した。少量の前培養物中に生成した乳酸によりpHが若干低下し、LTWSの添加によって自動的に中和された(図2A、B)。4時間の遅延フェーズ後に、溶存酸素濃度が100%から急速に1%未満の酸素の制限条件まで減少した(結果は示されていない)。その際、それぞれ3.3、0.7および0.3g/lの濃度のグルコース、キシロースおよびアラビノースが存在した(図3A)。これらの糖は同時に消費され、グルコースはキシロースおよびアラビノースよりも速く利用された。
これらの単糖の消費と同時に、乳酸が生成され、これはアルカリ性LTWSの自動的な添加によって中和された。流加バッチフェーズを通じて、アルカリ性基質の添加によってpHは6.0±0.1に正確に維持した(図2A、B)。フェーズIIの終了時に、脱水されたLTWS10023gの全量および酵素製剤320mlを発酵槽に加えた。20.5g/l上澄み液の乳酸濃度が検出され(図3B)、合計342gの乳酸に相当した。乳酸のキラルL(+)純度は99.4%と測定されたところ、これはキシロースを唯一の炭素源として得られたものと同様である(国際特許公開第2004/063382号パンフレット)。
フェーズIの終わりに、低い酢酸濃度が培地中で検出され、この濃度はフェーズIIを通じて1.5g/lまで増加したが、フェーズIIIの間は一定に留まった(結果は示されていない)。これは酢酸がバチルス・コアギュランスによって形成された発酵生成物ではなかった可能性が最も高いことを示している。酢酸は化学的前処理の間にヘミセルロースの可溶化および加水分解のときに放出され得る。(Palmqvistら、(1999年)、Biotechnol.Bioeng.、63巻、(1号)、46〜55頁)。LTWSの脱水処理により、酢酸の一部はプレス水を除去することによって簡単に基質から分離された。見掛上、酢酸の残量は基質と一緒に発酵槽へ供給された。コハク酸およびフマル酸などの他の有機酸のわずかな痕跡が(<0.5g/l)発酵ブロス中で検出された。
フェーズIIIは、アルカリ性LTWSの添加から20(重量/容積)%水酸化カルシウム懸濁液にpH制御を変更することによって開始した。pHを6.0に維持するために水酸化カルシウム懸濁液の投入を比較的速く行われたが、数時間後にはより低い投入速度に切り替われた。容積当たりの乳酸の生産性の低下を示していた(図2B、3B)。酵素の限界(例えば失活)を排除するために、23.5時間のインキュベーション後に酵素製剤の追加の投入量(80ml)を発酵槽に加えた。これによって直ちに水酸化カルシウム添加速度が若干加速され、増大した乳酸の生産性および酵素活性の限界が示された(図3B)。しかしながら、29.7時間のインキュベーション後には、水酸化カルシウム添加速度の低下が再び観察された。したがって、2回目の酵素製剤の添加投入量(240ml)を加え、このときにはグルコースおよびキシロースのそれぞれ1.5g/lおよび1.0g/lのわずかな蓄積を若干もたらし(図3A)、酵素加水分解ではなく微生物添加が律速であることを示していた。32時間のインキュベーション後に、37.1g/lの乳酸濃度を、99.4%のキラルL(+)−乳酸純度と共にもたらした。55時間の合計インキュベーション時間までのSSF工程の継続は、40.7g/l上澄み液(〜37.8g乳酸/kg発酵ブロス)までの若干増加した乳酸濃度を、0.74g/l/hの全体の容積当たりの乳酸生産性と共にもたらした。このフェーズで、97.2%のキラルL(+)−乳酸純度が分析された。乳酸の純度におけるこの若干の低下は、他の望まれない乳酸生成微生物による感染の結果である可能性がある。使用した基質は無菌ではなく、化学的前処理および発酵は開放のシステムにおいて非無菌の条件下で行われるのでSSF工程全体に微生物汚染の可能性がある。
例8.転化効率
LTWS中に存在するポリマー原料の酵素加水分解の効率は図4に示されている。不溶性ポリマー画分はSSF実験を通じて様々な時点において決定した。LTWS 378gの前加水分解(2時間)の終わりには、不溶性グルカン(図4A)、キシランの55%(図4B)およびアラビナンの62%(図4C)が単糖およびオリゴ糖を含む可溶性の糖類に転化された。流加バッチフェーズ(13時間)の後に、LTWS 2706gが加えられ、グルカンの42%、キシランの57%およびアラビナンの63%が可溶性糖類および乳酸を含む生成物に転化された。インキュベーションの13時間目と32時間目との間で、多糖のさらなる加水分解が観察された。しかし、SSFの最後の23時間の間は、多糖のわずかな加水分解しか起こらず、これはこのフェーズの間の乳酸生産性の低下に対応していた。55時間以後はグルカン398g、キシラン130gおよびアラビナン11gが依然として不溶性ポリマー原料として存在していた。これらの値を用いて、LTWS中に存在している当初のグルカン、キシランおよびアラビナンの加水分解効率はそれぞれ55、75および80%と計算された。LTWSから得られる単糖は、バチルス・コアギュランスによって部分的に乳酸(711g)に転化され、理論的最大限度の81重量/重量%に相当し、微生物バイオマスおよび二酸化炭素などの他の生成物の形成を示していた。理論的最大限度の43重量/重量%の全転化率は、式1によって計算された。当初のLTWS中に存在している多糖のインキュベーションの55時間後の結末は表Iに示されている。LTWS中に存在している多糖の一部分は、不溶性多糖のままであり(37重量/重量%)、わずかな部分が可溶性オリゴ糖(5重量/重量%)および単糖(3重量/重量%)に転化された。LTWS中に存在する当初の多糖のもう1つの部分は、糖類または乳酸の形態では回収されず、したがって「不明」とみなした。
表I.石灰処理済み小麦ストロー中に当初に存在する多糖の、同時糖化発酵の55時間後の行方。示されている値は2回の分析測定に基づく平均値である。
Figure 2010536368

グルカン、キシランおよびアラビナンの合計
当初の多糖の一部は不溶性多糖として残存した。
当初の多糖の一部は回収されなかったため「不明」と表記した。
例9.アルカリ性基質による酸の中和
流加バッチフェーズ(II)の間に生成された乳酸(342g)は、アルカリ前処理済み小麦ストローによって中和された。このフェーズの間に、2328gの量のLTWSを発酵槽に加えた。この基質と共に、230gの量の水酸化カルシウムを発酵槽に加え、乳酸1g当たりの水酸化カルシウム0.67gの比に相当した。バッチフェーズ(III)の間に生成された乳酸(369g)は、水酸化カルシウム163gによって中和され、水酸化カルシウム1g当たりの乳酸0.44gの比となった。
考察
リグノセルロース系原料は大量生産化学薬品のための見込みのある魅力的な基質と考えられる。リグノセルロースのマトリックスを切り開くためにはバイオマスの前処理が必要とされ、ポリマー炭水化物の加水分解のためには酵素加水分解が必要である。石灰前処理は、リグノセルロース中に存在する多糖の酵素消化性を高め(Changら、(1998年)、Appl.Biochem.Biotechnol.、74巻、135〜159頁);KaarおよびHoltzappe、(2000年)、Biomass and Bioenergy、18巻、1〜899頁)、他の前処理経路と比較してわずかな阻害物質しかもたらさないことを証明した。しかし、酵素加水分解の前にはpHを酵素活性に対して最適のレベルに調節することが不可欠である。本研究において、SSF工程の間に微生物発酵によって生成された乳酸を中和するためにLTWSのアルカリ性を使用することによって、洗浄または中和によるpHの低減は省略された。
これらの結果は、LTWS中の多糖の最大の部分は酵素によって転化され、もたらされた糖は同時にバチルス・コアギュランスDSM 2314によって主として乳酸に発酵されたことを示すものであった。10〜30時間のインキュベーションの間に、細菌は単糖を、それらが培地中に現れると直ぐに利用して比較的低い単糖濃度をもたらした(<2g/l)。これは、この期間を通じてずっと酵素加水分解が律速フェーズであったことを示している。最高の乳酸生産性は流加バッチフェーズの間およびバッチフェーズの始めの時間の間に観察され、約20時間のインキュベーション以後は図3Bに示すように急速に低下した。酵素製剤の添加により、容積当たりの乳酸生産性は若干向上したが、数時間以内に再び比較的低い生成速度に転じた。2回目の酵素の添加は乳酸生産性に有意には影響を及ぼさなかった(図3B)。この新しい酵素の添加は少量のヘミセルロース糖(キシロース、アラビノース)の遊離をもたらしたが、グルカンのさらなる加水分解は起こらなかった。このことは、残っていたグルカンがさらなる加水分解に対して抵抗性であったかまたは接近可能ではなかったため、乳酸の生成性が低下したことを示している。低減された乳酸生産性のもう1つの可能な説明は、増加しつつある乳酸濃度による酵素および/または細菌の阻害である。
55時間のインキュベーションの後に、40.7g/l上澄み液(約37.8g乳酸/kg発酵ブロス)の乳酸濃度が比較的高いキラル純度と共に決定されたところ、これは理論的最大の43%の全体の乳酸収率に相当する。さらに、酵素糖化および発酵の効率が両方とも決定された。これらの計算は、SSF工程(55時間)の終わりにおける残留物の分析に基づいてLTWS中に存在するグルカン55%、キシランの75%およびアラビナンの80%が酵素加水分解されたことを示し、これらは先に得られた結果とよく一致している。収率を向上させるためには、前処理手順の最適化によってLTWS中の多糖の抵抗性を低減するまたは接近可能性を向上させることが必要である。SSF工程において予想される培地中の可溶性単糖および多糖の濃度は比較的低かった。81%の発酵収率が決定され、唯一の炭素源としての50g/lのキシロースからの35g/lの乳酸の生成を報告したOttoによって得られた結果を若干上回った(上記参照)。他の可溶性発酵生成物は検出されなかったことから、残りの19%のLTWS由来の単糖が転化されたのは、発酵の好気性部分の間に細菌のバイオマスおよび一部である可能性が最も高いと考えられた。
流加バッチフェーズ(II)の間には、乳酸生成に起因するpH低下をアルカリ性供給原料の添加によって相殺することが可能であり、石灰処理が幅広い範囲の有機酸のリグノセルロース系バイオマスからの製造とうまく組み合わせられ得ることを示している。このフェーズを通してずっと、加えられたLTWS中の水酸化カルシウムの生成された乳酸当たりの比は、0.67g/gであると特定された。乳酸1.00gの理論的動力学的中和は、水酸化カルシウム0.41gを必要とする。したがって、当初小麦ストローに加えられた水酸化カルシウムの61%だけが乳酸の中和のために使用された。他方で、バッチフェーズを通じてずっと、0.44g/gのアルカリ/酸比は乳酸の中和のために使用された加えられた水酸化カルシウムの93%に相当すると計算された。フェーズIIの間に乳酸の中和のためにLTWSと共に加えられた水酸化カルシウムの低い効率は、3とおりの説明が可能である。第1に、水酸化カルシウムの部分が、小麦ストローの化学的前処理の間に、酢酸もしくは他の有機酸の中和および/またはリグニンへの不可逆性の結合など使用された可能性がある。第2に、水酸化カルシウムは不溶性の小麦ストロー繊維からゆっくり遊離され、それ故に部分的に流加バッチフェーズにおいて乳酸の中和のために使用された可能性がある。最後に、乳酸の生成に加えて、他の酸性化反応が、pHの低下に寄与し、それ故にアルカリ性基質が必要とされた可能性がある。例えば窒素源アンモニウムの微生物による摂取およびアンモニアおよびプロトンへの解離である(Guel、(1992年)、Biotechnol.Lett.14巻(12号)、1193〜1198頁)。
本文書における結果は、リグノセルロース系原料を乳酸の製造において使用することが可能であるということを示している。リグノセルロース系バイオマスは比較的安価な基質であり、これは乳酸製造のための原料コストに良い影響を及ぼす。しかしながら、十分に規定された組成を有する、伝統的な比較的「清浄な」原料と比較して、不均質なリグノセルロース系基質は、複雑な発酵ブロスから乳酸を取り出して精製するためにより増強された下流での処理(DSP)を必要とする。原料物質のコストおよびDSPの操業コストは乳酸の全製造コストにかなりの負担を強いる(AkerbergおよびZacchi、(2000年)、Bioresour.Technol.、75巻、119〜126頁)。リグノセルロース系原料を使用することによって低減されるコストが、DSPについての増大し得るコストをより有利であるかは、今のところ解析されていない。
要約すれば、石灰処理済み小麦ストローが、バチルス・コアギュランスによって、20Lのベンチスケールにおける同時糖化発酵によりL(+)−乳酸に転化された。ポリマー原料から得られた五炭糖および六炭糖の糖類がバチルス・コアギュランスによって同時に利用されて、理論収率の43(重量/重量)%に相当する40.7g/l上澄み液の最終の乳酸濃度をもたらした。本発明者らの知る限りでは、これは組み合わされたリグノセルロース系バイオマスのアルカリ前処理および有機酸発酵におけるpH制御を有する方法が、石灰消費の顕著な節減および石灰をリサイクルする必要性が回避できることを初めて立証したものである。

Claims (22)

  1. 以下のステップを含む、リグノセルロース系バイオマスから発酵生成物としての有機酸を製造する方法:
    a)リグノセルロース系バイオマスをアルカリ剤で前処理して、約8.0〜約14.0のpHを有するアルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスを得るステップ、
    b)発酵槽内でステップa)の前処理済みリグノセルロース系バイオマスを同時糖化発酵(SSF)するステップであって、有機酸の生成に起因するpHの低下をアルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスを添加することによって、任意にアルカリと組み合わせて、相殺して、pHを約8.0未満として、および/または、8.0未満の特定のpHに維持して、加えた微生物(単数もしくは複数)および/または酵素の最適な活性を可能にするステップ、
    c)任意に、発酵生成物を取り出すステップ。
  2. ステップb)のSSFが以下のステップを含む、請求項1に記載の方法:
    i)場合による前加水分解のステップ、
    ii)加水分解酵素で酵素加水分解して、発酵可能な糖を得るステップ、
    iii)ステップii)の糖を発酵生成物に転化させることができる微生物を使用する微生物発酵のステップ。
  3. ステップb)のSSFがケモスタット式で操作され、アルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスが栄養素として使用される、請求項1または2に記載の方法。
  4. アルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスが、ステップb)のSSFに流加バッチ式(fed−batch manner)で加えられる、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
  5. リグノセルロース系バイオマスの前処理に先行するか、組み合わされおよび/もしくは統合されて、リグノセルロース系バイオマスの機械的微細化が行われる、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
  6. 機械的微細化が、粉砕、機械的研削(mechanical refining)および押出からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
  7. アルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスが、SSFの前に以下の1つまたは複数に付される、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法:
    a)冷却ステップ;
    b)洗浄ステップ;
    c)減水ステップ。
  8. 減水が、前処理されたバイオマスに圧力を加えながらろ過することを用いて行われ、加えられる圧力は0〜約100barの範囲である、請求項7に記載の方法。
  9. SSFの間の温度が、約20〜約80℃の間の範囲である、請求項1から8までのいずれか一項に記載の方法。
  10. SSFの間のpHが、およそ2.0〜およそ10.0の間に制御される、請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法。
  11. SSFの間のpHが、アルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスおよびアルカリの添加によって制御される、請求項1から10までのいずれか一項に記載の方法。
  12. SSFが、前加水分解フェーズ、アルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスの添加によるpH制御を用いる流加バッチフェーズおよびアルカリの添加によるpH制御を用いるバッチフェーズを含む、請求項11に記載の方法。
  13. リグノセルロース系バイオマスが、草、木材、バガス、ストロー、紙、植物原料およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1から12までのいずれか一項に記載の方法。
  14. ステップa)において使用されるアルカリ剤が、水酸化カルシウム(Ca(OH))、酸化カルシウム(CaO)、アンモニア(NH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム(KOH)、尿素またはこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1から13までのいずれか一項に記載の方法。
  15. ステップb)の加水分解酵素がセルラーゼ製剤、ヘミセルラーゼ製剤、セロビアーゼ、キシラナーゼ製剤、アミラーゼおよびペクチナーゼからなる群から選択される、請求項2から14までのいずれか一項に記載の方法。
  16. 有機酸が、乳酸、クエン酸、イタコン酸、コハク酸、フマル酸、グリコール酸、ピルビン酸、酢酸、グルタミン酸、リンゴ酸、マレイン酸、プロピオン酸、酪酸、グルコン酸およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1から15までのいずれか一項に記載の方法。
  17. 微生物が、細菌、真菌、古細菌または藻類である、請求項1から16までのいずれか一項に記載の方法。
  18. 微生物が、酢酸菌属(Acetobacter species)、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、B・ラセミラクチカス(B.racemilacticus)、B・ラエボラクチカス(B.laevolacticus)、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、大腸菌(Escherichia coli)、グルコノバクター属(Gluconobacter species)、シュードモナス属(Pseudomonas species)、乳酸菌(lactic acid bacteria)、糸状菌(Rhizopus oryzae)、黒コウジカビ(Aspergillus niger)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)および酵母菌(Saccharomyses cerevisiae)から選択される、請求項17に記載の方法。
  19. 反応器であって、アルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスを同時糖化発酵(SSF)するため発酵槽と連結された、リグノセルロース系バイオマスをアルカリ前処理するための容器を含み、請求項1から18までのいずれか一項に記載の方法に使用するためのものであり、ここで
    1)前記容器は
    i)混合デバイス;
    ii)加熱デバイス;および
    iii)任意に、リグノセルロース系バイオマスからの可溶性成分を前抽出する手段
    を含み、
    2)発酵槽は、
    i)自動pH制御;および
    ii)該自動pH制御によって制御される、容器からのアルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスのための入口である、反応器。
  20. 容器と発酵槽の間の連結手段が、ポンプであり、好ましくはアルカリ前処理済みリグノセルロース系バイオマスの発酵槽中への自動供給を可能にするスクリューフィーダーである、請求項19に記載の反応器。
  21. 発酵槽が、以下の1つまたは複数を含む、請求項19または20に記載の反応器:
    1)自動pH制御によって制御される、アルカリ剤の自動供給のための入口;
    2)酵素、微生物および/または酸もしくは塩基のための入口;
    3)サンプリングおよび/もしくはモニターのための出口;並びに/または
    4)自動温度制御デバイス;
    5)攪拌機アセンブリ。
  22. 請求項1から18までに記載の方法によりリグノセルロース系バイオマスからの乳酸を製造するための、請求項19から21までのいずれか一項に記載の反応器の使用。
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