JP2014528150A - ポリオールエステルを含んでなる誘電流体、ポリオールエステルの混合物の調製方法、およびポリオールエステル誘電流体を含んでなる電気装置 - Google Patents

ポリオールエステルを含んでなる誘電流体、ポリオールエステルの混合物の調製方法、およびポリオールエステル誘電流体を含んでなる電気装置 Download PDF

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Abstract

a)ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールまたはそれらの組み合わせを含んでなるポリオールと、b)脂肪酸部分を含んでなる高オレイン酸大豆油であって、油中の脂肪酸部分の65%より高いC18:1含有量、ならびに油中の脂肪酸部分の20%未満の組み合わせられたC18:2およびC18:3の含有量を有する、高オレイン酸大豆油から誘導される脂肪酸エステルの混合物との反応から誘導されるポリオールエステルの混合物を含んでなる誘電流体が提供される。また、誘電流体を含んでなる電気装置、およびポリオールエステルの混合物の調製方法も提供される。

Description

本出願は、2011年9月23日出願の米国仮特許出願第61/538318号明細書(代理人整理番号CL5307 USPRV)、2011年9月23日出願の米国仮特許出願第61/538303号明細書(代理人整理番号CL5431 USPRV)、2011年9月23日出願の米国仮特許出願第61/538298号明細書(代理人整理番号CL5432 USPRV)、2011年11月17日出願の米国仮特許出願第61/560840号明細書(代理人整理番号CL5307 USPRV1)、2011年11月17日出願の米国仮特許出願第61/560845号明細書(代理人整理番号CL5431 USPRV1)、および2011年11月17日出願の米国仮特許出願第61/560850号明細書(代理人整理番号CL5432 USPRV1)の優先権の利益を主張する。上記米国仮特許出願は全てその全体が参照により組み込まれる。
ポリオールエステルの混合物を含んでなる誘電流体、ポリオールエステルの混合物の調製方法、および誘電流体を含んでなる電気装置が提供される。
電気産業において、容易に入手可能であり、かつ一般に費用効果のよい様々な誘電流体が使用されている。例としては、変圧器、送電線および蓄電器で使用される鉱油、シリコーン流体および合成炭化水素油がある。そのような流体は、電気絶縁性であり、分解に対して耐性であり、そして電気装置において発生する熱が周囲環境へと分散することが可能であるように熱伝達中間として作用することが可能でなければならない。
しかしながら、現在使用されている流体にはいくつかの不備もある。これらの流体の多くは、適切な時間枠において生物分解可能であるとは考えられない。最適とはならない電気特性を有するものもある。近年、規制機関は、地面土壌および他の領域を汚染するおそれのある石油流出について、ますます懸念を抱くようになっている。生物分解可能な誘電流体は、人口集中地域または生態学的に敏感な地域において使用される変圧器などの電気装置にとって望ましい。
米国特許第6,160,144号明細書は、アルコールと、少なくとも85重量%のオレイン酸および0.5〜2.5重量%のステアリン酸を含有する脂肪酸混合物との合成エステル、ならびに潤滑剤および作動油として、そして化粧品目的のための使用に関する。
米国特許第6,278,006号明細書は、トリアシルグリセロールポリオールエステルおよび非グリセロールポリオールエステルを含有する油、ならびにそのような油の製造方法、および植物油の潤滑特性を改善する方法を開示する。
米国特許第7,048,875号明細書は、電気絶縁性流体として有用な高オレイン酸油組成物、電気絶縁性流体組成物、およびそれを含んでなる電気装置に関する。少なくとも75%のオレイン酸、10%未満のジ不飽和脂肪酸成分、3%未満のトリ不飽和脂肪酸成分、および8%未満の飽和脂肪酸成分の脂肪酸成分を含んでなる高オレイン酸トリグリセリド組成物の電気特性が開示される。いくつかの好ましい実施形態において、電気絶縁性流体は、少なくとも75%のオレイン酸、10%未満のリノール酸、3%未満のリノレン酸、4%未満のステアリン酸、および4%未満のパルミチン酸の脂肪酸成分を含んでなる。
公開カナダ国特許出願CA2,492,565号明細書は、少なくとも約−40℃の流動点を有し、かつアルキル基がC5〜C22の鎖長を有する明示された化学構造の2種以上のポリオールエステルの混合物を含んでなる誘電冷却剤を開示する。ネオペンチルグリコールおよびトリメチロールプロパンが好ましいポリオールとして開示される。
良好な酸化安定性を有する生物分解可能な誘電流体が継続的に必要とされている。良好な酸化安定性を有する生物分解可能な誘電流体を含んでなる電気装置が継続的に必要とされている。良好な酸化安定性を有する生物分解可能な誘電流体を調製する方法が必要とされている。
本明細書には、ポリオールと、高オレイン酸大豆油から誘導される脂肪酸エステルの混合物との反応から誘導されるポリオールエステルの混合物を含んでなる誘電流体が開示される。高オレイン酸大豆油は、油中の脂肪酸部分の65%より高いC18:1含有量、ならびに油中の脂肪酸部分の20%未満の組み合わせられたC18:2およびC18:3の含有量を有する。ポリオールエステルの混合物は、それらを電気装置において絶縁性流体として十分適切なものにさせる電気特性を有する。本明細書には、誘電流体を含んでなる電気装置、誘電流体で含浸される誘電物質、および誘電流体を含んでなるポリオールエステルの混合物の製造方法も記載される。
一実施形態において、
a)ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールまたはそれらの組み合わせを含んでなるポリオールと、
b)脂肪酸部分を含んでなる高オレイン酸大豆油であって、
i)油中の脂肪酸部分の65%より高いC18:1含有量、ならびに
ii)油中の脂肪酸部分の20%未満の組み合わせられたC18:2およびC18:3の含有量
を有する、高オレイン酸大豆油から誘導される脂肪酸エステルの混合物と
の反応から誘導されるポリオールエステルを含んでなる混合物である誘電流体が記載される。
一実施形態において、この誘電流体は、OECD Guideline 301Bに従う28日CO2放出試験の条件で「易生分解性」の基準を満たす。
一実施形態において、
a)脂肪酸部分を含んでなる高オレイン酸大豆油であって、
i)油中の脂肪酸部分の65%より高いC18:1含有量、ならびに
ii)油中の脂肪酸部分の20%未満の組み合わせられたC18:2およびC18:3の含有量
を含んでなる、高オレイン酸大豆油を提供する工程と、
b)第1の塩基触媒の存在下で、高オレイン酸大豆油を、1〜5個の炭素の鎖長を有する脂肪族モノアルコールと反応させ、グリセロールと脂肪酸エステルの混合物とを含んでなる反応混合物を製造する工程と、
c)グリセロールを除去する工程と、
d)第2の塩基触媒の存在下で、脂肪酸エステルの混合物を、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールまたはそれらの組み合わせを含んでなるポリオールと反応させ、ポリオールエステルの混合物を製造する工程と
を含んでなるポリオールエステルの混合物の調製方法が記載される。
一実施形態において、
a)ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールまたはそれらの組み合わせを含んでなるポリオールと、
b)脂肪酸部分を含んでなる高オレイン酸大豆油であって、
i)油中の脂肪酸部分の65%より高いC18:1含有量、ならびに
ii)油中の脂肪酸部分の20%未満の組み合わせられたC18:2およびC18:3の含有量
を有する、高オレイン酸大豆油から誘導される脂肪酸エステルの混合物と
の反応から誘導されるポリオールエステルを含んでなる混合物を含んでなる、誘電流体を含んでなる電気装置が記載される。
一実施形態において、誘電物質であって、セルロース紙、合成紙または不織布ウェブを含んでなり、かつ誘電流体が、
a)ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールまたはそれらの組み合わせを含んでなるポリオールと、
b)高オレイン酸大豆油が、
i)油中の脂肪酸部分の65%より高いC18:1含有量、ならびに
ii)油中の脂肪酸部分の20%未満の組み合わせられたC18:2およびC18:3の含有量
を有する、脂肪酸部分を含んでなる高オレイン酸大豆油から誘導される脂肪酸エステルの混合物と
の反応から誘導されるポリオールエステルを含んでなる混合物
を含んでなる、誘電物質が記載される。
本明細書に記載される方法、組成物および物品は、以下の用語に関して記載される。
本明細書で使用される場合、不定冠詞「a」または「an」が、本発明の方法の工程の存在の記載または説明に関して使用される場合、反対であるという記載が明白に提供されない限り、そのような不定冠詞の使用が、本方法の工程の存在を1つに限定しないことは理解されるべきである。
本明細書で使用される場合、量、濃度、あるいは他の値またはパラメーターが、範囲、好ましい範囲、または高い好ましい値および低い好ましい値のリストのいずれかとして記載される場合、これは、範囲が別々に開示されるかどうかにかかわらず、いずれもの高い範囲限界または好ましい値と、いずれもの低い範囲限界または好ましい値とのいずれもの組から形成される全ての範囲を具体的に開示するものとして理解されるべきである。数値の範囲が本明細書に列挙される場合、特に明記しない限り、その範囲は、それらの終点と、その範囲内の全ての整数および分数を含むように意図される。範囲を定義する場合、本発明の範囲が記述された具体的な値に限定されることは意図されない。
本明細書で使用される場合、「含んでなる」、「含んでなること」、「含む」、「含むこと」、「有する」、「有すること」、「含有する」または「含有すること」という用語、あるいはそれらの他のいずれかの変化形は、非排他的な包含を含むことが意図される。例えば、ある一連の要素を含んでなる組成物、混合物、プロセス、方法、物品または装置は、それらの要素にのみに必ずしも限定されるわけではなく、そのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品または装置に関して明示されず固有のものでもない他の要素を含んでもよい。
本明細書に使用される場合、「wt%」という用語は重量%を意味する。
本発明によると、ポリオールエステルの混合物の製造のための出発材料として、高オレイン酸含有量大豆油が使用される。ポリオールエステル混合物は、誘電流体とも呼ばれる電気絶縁性流体のために有用な物理的特性を有する。本明細書には、特有の構造的ならびに物理的特徴および特性を有するポリオールエステルの混合物、そのような混合物の製造方法、ポリオールエステルの混合物を含んでなる誘電流体、ならびに誘電流体を含んでなる電気装置が記載される。
植物油は、通常、高パーセントの飽和および不飽和有機酸のトリグリセリドエステルを有する。オレイン酸は、ヒマワリ油、オリーブ油、ベニバナ油、カノーラ油および大豆油を含む多くの天然油においてトリグリセリドエステルとして見出されるモノ不飽和酸である。高オレイン酸大豆(HOS)油は、参照によって全内容が本明細書に組み込まれる国際公開第94/11516号パンフレットに開示されるように高オレイン酸含有量を与えるように遺伝子組み替えされた高オレイン酸大豆種から誘導されてもよい。高オレイン酸大豆種は、オレイン酸が、油中の脂肪酸部分の65%より高く、好ましくは油中の脂肪酸部分の75%より高くを占める大豆種である。高オレイン酸大豆油は、参照によって全内容が本明細書に組み込まれる米国特許第5,981,781号明細書に開示される高オレイン酸大豆種から誘導されてもよい。高オレイン酸大豆油は、精製、漂白および消臭された高オレイン酸大豆油(RBD HOS油)を得るための米国特許第5,981,781号明細書に記載されるような精製、漂白および消臭などのプロセス工程によって精製されてもよい。HOS油および/またはRBD HOS油は、ポリオールエステルの混合物を含んでなる誘電流体を調製するための本明細書に開示される方法に使用されてもよい。一実施形態において、HOS油は、精製、漂白および消臭された高オレイン酸大豆油を含んでなってもよい。
トリグリセリド組成物は、3つの脂肪酸分子に結合したグリセロール骨格である。純粋な植物油は、炭素鎖が一般に16〜22個の炭素原子であるが、少量のより短いおよび/またはより長い炭素鎖が存在することも可能である特定の脂肪酸のトリグリセリドである。炭素鎖が二重結合を有さない場合、飽和油であり、Cn:0と記載される。nは炭素原子の数である。1つの二重結合を有する炭素鎖はモノ不飽和であり、Cn:1と記載され、2つの二重結合を有する炭素鎖はCn:2と記載され、そして3つの二重結合を有する炭素鎖はCn:3と記載される。例として、パルミチン酸はC16:0酸であり、ステアリン酸はC18:0酸であり、オレイン酸はC18:1酸であり、リノール酸はC18:2酸であり、そしてリノレン酸はC18:3酸である。この酸はトリグリセリドとして組み合わせられた状態にあり、そして油が加水分解された時、それらは酸とグリセロール成分とに分離する。
高オレイン酸大豆油は、油中の脂肪酸部分の65%より高いC18:1含有量、ならびに油中の脂肪酸部分の20%未満の組み合わせられたC18:2およびC18:3の含有量を有する。一実施形態において、HOS油は、脂肪酸部分の約70%より高いC18:1含有量、ならびに脂肪酸の15%未満の組み合わせられたC18:2およびC18:3の含有量を有する。一実施形態において、HOS油は、脂肪酸部分の15%未満の組み合わせられたC16:0およびC18:0の含有量をさらに有する。一実施形態において、HOS油は、脂肪酸部分の約75%より高いC18:1含有量、ならびに脂肪酸部分の10%未満の組み合わせられたC18:2およびC18:3の含有量を有する。一実施形態において、HOS油は、脂肪酸部分の約80%より高いC18:1含有量、ならびに脂肪酸の10%未満の組み合わせられたC18:2およびC18:3の含有量を有する。
ポリオールエステルの混合物は、2つの合成工程でHOS油から得ることができる。第1の合成工程において、脂肪酸部分を含んでなるHOS油は、アルコールとの塩基触媒反応によって、グリセロールおよび脂肪酸エステルの混合物に変換される。脂肪酸エステルの混合物は、HOS油の脂肪酸部分を含んでなる。第1の合成工程を下記のスキームIで表す。アルコールはR4OHとして示され、そしてR1、R2およびR3は、トリグリセリド出発材料および脂肪酸エステル生成物R1CO24、R2CO24およびR3CO24における脂肪酸部分の同一または異なるC15〜C21炭素鎖を表す。スキームIにおいて、HOS油のトリグリセリドが1つのみ出発材料として示されているが、HOS油は、上記高オレイン酸大豆油の実施形態において記載される脂肪酸部分のC16:0、C18:0、C18:1、C18:2およびC18:3含有量が満たされるようなトリグリセリドの混合物を含有するということであるに留意されたい。
第2の合成工程において、脂肪酸エステルR1CO24、R2CO24およびR3CO24の混合物を、グリセロール以外のポリオールと反応させ、HOS油の脂肪酸部分を含んでなるポリオールエステルの混合物を製造する。ポリオールエステルの混合物の調製方法は、以下の通りに実行することができる。
第1の塩基触媒の存在下で、HOS油を、1〜5個の炭素の鎖長を有する脂肪族モノアルコールと反応させ、グリセロールと、HOS油の脂肪酸部分と一致する脂肪酸エステルの混合物とを含んでなる反応混合物を製造する。スキームIにおいて、モノアルコールはR4OHとして示され、R4は1〜5個の炭素を含有するアルキル基を表す。このエステル交換反応は、(1)過剰量のモノアルコール(HOS油に基づき約25〜50重量%)の使用、ならびに(2)HOS油の脂肪酸部分のエステル交換の間に形成されるグリセロールの分離および除去によって完了することができる。グリセロールの分離および除去は、可能な限り、この工程で得られるエステル混合物に、HOS油のいずれのトリグリセリドも含まれないようにすることができる。グリセロールは、例えば、反応混合物を冷却すること、そしてグリセロールが反応混合物より高い密度を有するため、グリセロール底層を形成させることによって分離されてもよい。液体/液体抽出、溶媒抽出、塩析、またはエステル生成物の分解をもたらさない他の分離方法などの他の従来の分離手段を使用することもできる。分離後、グリセロール底層は、当該技術において既知のいずれかの従来方法によって物理的に除去することができる。
モノアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール異性体、ブタノール異性体、ペンタノール異性体またはそれらの組み合わせを含んでなる。一実施形態において、モノアルコールはメタノールを含んでなる。第1の塩基触媒は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ナトリウムメトキシドまたはそれらの組み合わせを含んでなることができる。同様の結果を得るために当業者に既知の他の塩基触媒を使用することが可能であり、そのような触媒は本発明の実施において有用であることが可能である。使用される第1の塩基触媒の量は、使用されるHOS油の量に基づき、典型的に約0.1重量%〜約1.0重量%であり、例えば、約0.1重量%〜約0.5重量%である。より多量の塩基を使用することもできるが、不必要であるか、または非経済的であり得る。一実施形態において、第1の塩基触媒は炭酸ナトリウムを含んでなる。一実施形態において、第1の塩基触媒は炭酸カリウムを含んでなる。相当するメチルエステルへの植物油のエステル交換は周知であり、そしてバイオディーゼルの製造に広く使われている。例えば、[J.Braz.Chem.Soc.,1998,9,199−210]を参照のこと。
HOS油を脂肪族モノアルコールと反応させるための適切な反応条件には、約25℃〜約150℃、例えば、約50℃〜約100℃の反応温度、および約30分〜約4時間の反応時間が含まれる。一実施形態において、約3時間以上の大気圧および還流条件下で反応を実行することができる。
一実施形態において、HOS油を脂肪族モノアルコールと反応させることを多段プロセスにおいて2回以上繰り返すことができる。第1の段階は、本明細書に上記されるように実行される。第1の段階の終了時、グリセロール副産物の底層を分離および除去し、トリグリセリドと脂肪酸エステルを含んでなる混合物にさらなるメタノールおよび塩基触媒を添加し、そして反応混合物の加熱を継続し、グリセロールおよび脂肪酸エステルの混合物を含んでなる第2の反応混合物を製造する。HOS油に含まれるトリグリセリドが脂肪酸エステルにエステル交換されるまで、グリセロールの除去、さらなるメタノールおよび塩基の添加、ならびに加熱工程を繰り返す。一実施形態において、HOS油と脂肪族モノアルコールとの反応は2段階で実行される。2段階プロセスにおいて、使用されるHOS油の量に基づき、合計約30重量%のモノアルコール、および合計約0.1重量%〜約1.0重量%、例えば約0.1重量%〜約0.5重量%の塩基触媒が使用される。
グリセロールおよび過剰量の脂肪族モノアルコールの除去の後、さらなる処理をせずに、脂肪酸エステルの得られた混合物を次のプロセス工程で使用することができる。このエステル交換反応の収量は、ほぼ定量的である。しかしながら、得られる脂肪酸エステルの混合物は、いくらかの残存するグリセロールおよび/またはグリセロールエステル(トリグリセリド)を有していてもよい。一実施形態において、10%未満のグリセロールおよび/またはグリセロールエステルが混合物中に存在する。もう1つの実施形態において、5%未満、または3%未満、または1%未満のグリセロールおよび/またはグリセロールエステルが脂肪酸エステル混合物中に存在する。一実施形態において、脂肪酸エステルの混合物は、グリセロールおよび/またはグリセロールエステルを本質的に含まない。脂肪酸エステルの混合物の脂肪酸部分の組成は、HOS油の脂肪酸部分の組成と一致する。
次いで、第2の塩基触媒の存在下で、脂肪酸エステルをポリオールと反応させ、第1の合成工程で使用される脂肪族モノアルコールおよびHOS油の脂肪酸部分を含有するポリオールエステルの混合物を含んでなる反応混合物を製造する。第2の塩基触媒は第1の触媒と同一の触媒の群から選択することができ、第1の触媒と同一であるか、または第1の触媒と異なることが可能である。ポリオールは、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールまたはそれらの組み合わせを含んでなる。このエステル交換反応は、HOS油の脂肪酸エステルのわずかな過剰量、例えば、ポリオールの全ヒドロキシル基に対して約1.15〜約1.5当量を使用することによって、そしてポリオールとのエステル交換の間に形成されるモノアルコールを除去することによって、より高い変換率にもたらすことができる。未反応の脂肪酸エステルを蒸留によって除去されていてもよい。
一実施形態において、ポリオールはペンタエリスリトールを含んでなり、そして第2の合成工程は、下記のスキームIIで示すように表すことができる。R1、R2、R3およびR4は、上記で定義されたものと同一の意味を有する。スキームIIでは、出発混合物の3つの脂肪酸エステルのみが示されているが、混合物は、上記HOS油の脂肪酸部分のC16:0、C18:0、C18:1、C18:2およびC18:3含有量が満たされるような様々な脂肪酸エステルを含有するということに留意されたい。さらに、1つのみの一般化されたポリオールエステル生成物が示されているが、HOS油の脂肪酸部分を含んでなるペンタエリスリトールエステルの混合物が製造され、そしてRは、R1、R2およびR3、またはいずれかの組み合わせであることができる。
一実施形態において、ポリオールはトリメチロールプロパンを含んでなり、そして第2の合成工程は、下記のスキームIIIで示すように表すことができる。R1、R2、R3およびR4は、上記で定義されたものと同一の意味を有する。スキームIIIでは、出発混合物の3つの脂肪酸エステルのみが示されているが、混合物は、上記HOS油の脂肪酸部分のC16:0、C18:0、C18:1、C18:2およびC18:3含有量が満たされるような様々な脂肪酸エステルを含有するということに留意されたい。さらに、1つのみの一般化されたポリオールエステル生成物が示されているが、HOS油の脂肪酸部分を含んでなるトリメチロールプロパンの混合物が製造され、そしてRは、R1、R2およびR3、またはいずれかの組み合わせであることができる。
一実施形態において、ポリオールはネオペンチルグリコールを含んでなり、そして第2の合成工程は、下記のスキームIVで示すように表すことができる。R1、R2、R3およびR4は、上記で定義されたものと同一の意味を有する。スキームIVでは、出発混合物の3つの脂肪酸エステルのみが示されているが、混合物は、上記HOS油の脂肪酸部分のC16:0、C18:0、C18:1、C18:2およびC18:3含有量が満たされるような様々な脂肪酸エステルを含有するということに留意されたい。さらに、1つのみの一般化されたポリオールエステル生成物が示されているが、HOS油の脂肪酸部分を含んでなるネオペンチルグリコールの混合物が製造され、そしてRは、R1、R2およびR3、またはいずれかの組み合わせであることができる。
本発明のいずれのスキームにおいても、第2の塩基触媒は第1の塩基触媒と同一の触媒の群から選択することができ、そして第1の触媒と同一であるか、または第1の触媒と異なることが可能である。第2の塩基触媒は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ナトリウムメトキシドまたはそれらの組み合わせを含んでなることができる。一実施形態において、第2の塩基触媒は水酸化カリウムを含んでなる。典型的に、高い反応速度を維持しながら、モノアルコール副産物の活発な沸騰およびポリオールの損失を防ぐため、反応温度は、ポリオールエステルへの変換が進行するにつれ、ゆっくり増加させる。より揮発性のモノアルコールR4OHは、減圧下での蒸留によって除去することができる。脂肪酸エステルをポリオールと反応させるための適切な反応条件には、5torr〜約100torrの範囲の真空下で、約50℃〜約200℃の反応温度および約5時間〜約150時間の反応時間が含まれる。高い変換率でのペンタエリスリトールエステルの調製は、より高い温度およびより長い反応時間を必要とし得る。
モノアルコールおよび任意選択でいずれかの未反応の脂肪酸エステルの除去後、ポリオールエステルの混合物を、例えば、混合物を遠心分離して、シリカゲルの薄層に通すことによって、いずれの高沸点副産物から分離することができる。次いで、ポリオールエステルの混合物を110℃の完全真空(0.5torr以下)下で典型的に約1時間、乾燥して、ポリオールエステルの最終混合物を提供することができる。
同様に、ポリオールエステルの混合物は、例えば、限定されないが、ヒマワリ油、カノーラ油、サフラワー油、菜種油、トウモロコシ油、オリーブ油、ココヤシ油、パーム油、ヒマシ油、商品大豆油、高オレイン酸ヒマワリ油、高オレイン酸キャノーラ油およびそれらの混合物を含む他の植物油から得ることができる。ポリオールエステルの混合物の特徴、例えば、C18:1、C18:2、C13:3、C16:0、およびC18:0部分などの不飽和および飽和部分の含有量は、それらが誘導される植物油の組成を反映することができる。ポリオールエステルの混合物は、例えば蒸留によって精製されていてもよく、1種または複数種のポリオールエステルを混合物から分離するか、あるいは1種または複数種のポリオールエステルに関して混合物を濃縮または希釈させる。ポリオールエステルの混合物を調製する方法の一実施形態において、このプロセスは、高オレイン酸大豆油に加えて、高オレイン酸大豆油以外の少なくとも1種の植物油を提供することをさらに含んでなる。
Cargill,Inc.から入手可能なIMC−130カノーラ油は、約75%のオレイン酸含有量、ならびに約14%のポリ不飽和脂肪酸含有量(C18:2およびC18:3)を有する。米国特許第5,767,338号明細書には、IMC−130の植物および種が記載されている。また米国特許第5,861,187号明細書を参照のこと。例えば、約77%〜約81%または約86%〜約92%のオレイン酸含有量を有する高オレイン酸ヒマワリ油は、A.C.Humko,Memphis TN.から入手可能である。米国特許第4,627,192号明細書には、高オレイン酸ヒマワリ油が記載されている。
ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールまたはそれらの組み合わせを含んでなるポリオールおよびHOS油から誘導される脂肪酸エステルの混合物の反応から誘導されるポリオールエステルの混合物を誘電流体として使用することができる。好ましい実施形態において、誘電流体は、少なくとも約30重量%、または少なくとも約50重量%、または少なくとも約70重量%、または少なくとも約80重量%、または少なくとも約90重量%〜約100重量%のHOS油の脂肪酸部分を含んでなるポリオールエステルの混合物を含んでなる。誘電流体は、誘電流体の全体の重量に基づき、約1重量%〜約70重量%、例えば、約1重量%〜約50重量%、または約1重量%〜30重量%、または約1重量%〜20重量%、または約1重量%〜10重量%の、植物油、植物油をベースとする流体、藻類油、HOS油以外の植物油から誘導される1種または複数種のポリオールエステル、鉱油、合成エステル、シリコン流体、ポリアルファオレフィン、またはそれらの混合物などの他の誘電流体を含んでなるブレンド成分をさらに含んでなってもよい。一実施形態において、誘電流体は、植物油、藻類油、HOS油以外の植物油から誘導される1種または複数種のポリオールエステル、鉱油、シリコーン流体、合成エステル、ポリアルファオレフィンまたはそれらの混合物からなる群から選択されるブレンド成分をさらに含んでなる。使用可能な植物油をベースとする流体の例は、Envirotemp(登録商標)FR3(商標)流体(Cooper Industries,Inc.)およびBIOTEMP(登録商標)Biodegradable Dielectric Insulating Fluid(ABB)である。「藻類油」という用語は、クロレラ(Chlorella)、パラクロレラ(Parachlorella)、ドナリエラ(Dunaliella)などの微細藻類細胞によって生成されるトリアシルグリセロールを含む脂質成分を指し、例えば、米国特許出願公開第2010/0303957号明細書に開示される。使用可能な高燃焼点炭化水素油の例は、R−Temp(登録商標)炭化水素油(Cooper Industries,Inc.)である。合成エステルの例には、鎖長に約10個未満の炭素原子の脂肪酸部分を含有するポリオールエステルが含まれる。商業的に入手可能な使用可能な合成エステルには、商標名Midel(登録商標)7131(The Micanite and Insulators Co.,Manchester UK)、REOLEC(登録商標)138流体(FMC,Manchester,UK)、およびENVIROTEMP 200耐燃焼性流体(Cooper Power Fluid Systems)で販売されるものが含まれる。
誘電流体は、添加剤が組成物に可溶性であり、高温度で熱安定性であり、そして誘電流体の電気特性に悪影響を及ぼさないという条件で、他の有用な添加剤、例えば、酸化防止剤、金属不活性化剤、特に銅不活性化剤、腐食抑制剤、難燃剤、熱安定剤、粘度調整剤、流動点降下剤、消泡剤、酸塩基指示薬および染料を含有することができる。一実施形態において、誘電流体は、酸化防止剤、腐食抑制剤、金属不活性化剤および流動点降下剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含んでなる。
有用で効率的な誘電流体にとって望ましい特性の中でも、高い誘電破壊電圧、低い散逸率、高い比熱、高い熱伝導率、低い膨張係数、低い粘度、温度に対する粘度の低い感度、低い流動点温度、低い揮発性、高い発火点および低い水分含有量である。本発明の誘電流体は、多種多様なこれらの望ましい特性、ならびに良好な酸化安定性を有する。酸化安定性は、誘電流体における不飽和度と関連があり、そして、例えば、油安定性指数を決定する標準方法を使用することによって測定することができる。本発明のポリオールエステルを調製するために使用される大豆油の高オレイン酸含有量は、開示された誘電流体に良好な酸化安定性をもたらすために有用である。加えて、本明細書に開示される誘電流体は、易生分解性である植物油から誘導されるため、生物分解可能であることが予想される。粗製HOS油の脂肪酸から誘導されるTMPエステルの混合物を含んでなる誘電流体は、OECD Guideline 301Bに従う28日CO2放出試験の条件で「易生分解性」の基準を満たすことが知られている。公開カナダ国特許出願CA2594765号明細書は、トリメチロールプロパンのトリオレイン酸エステルに関して72%の生物分解性(28d BOD/COD)を開示する。
本明細書に開示される誘電流体は、全て流体充填である、液体充填電力変圧器、配電変圧器、主変圧器、反応器、ならびにスイッチおよびタップ切換器などのそれらのアクセサリー装備など、本明細書に開示される流体の特性を有する電気絶縁性流体を必要とするいずれの用途での使用にも適切である。流体およびクラフト紙、クラフトボード、アラミド紙、コットン紙、アラミドボード、または複合材(すなわち、ガラス繊維/エポキシ、ナイロン、ポリエステル)などの固体絶縁体の組み合わせによって、電気絶縁性が電気装置に提供される。加えて、流体は、電気デバイスの冷却を補助する熱伝達媒体として有用である。一実施形態において、本明細書に開示される誘電流体を含んでなる電気装置は、変圧器、蓄電器、流体充填伝送線路、送電線、誘導子または高圧スイッチである。
一実施形態において、誘電物質は、少なくとも10重量%の誘電流体で含浸され、誘電物質は、セルロース紙、合成紙または不織布ウェブを含んでなり、かつ誘電流体は、セルロース紙、合成紙または不織布ウェブを含んでなり、かつ誘電流体は、a)ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールまたはそれらの組み合わせを含んでなるポリオールと、b)高オレイン酸大豆油が、i)油中の脂肪酸部分の65%より高いC18:1含有量、ならびにii)油中の脂肪酸部分の20%未満の組み合わせられたC18:2およびC18:3の含有量を有する、脂肪酸部分を含んでなる高オレイン酸大豆油から誘導される脂肪酸エステルの混合物との反応から誘導されるポリオールエステルを含んでなる混合物を含んでなる。誘電物質は、少なくとも約5重量%、または少なくとも約10重量%、または少なくとも約15重量%、または少なくとも約20重量%の誘電流体で含浸することができる。誘電物質は、誘電流体で飽和するように、誘電流体で含浸することができる。「合成紙」という用語は、本明細書で使用される場合、いずれかの非セルロースまたは布紙、例えば、アラミドをベースとする紙を指す。
本明細書に開示される誘電流体は、鉱油および鎖長において約10個未満の炭素原子の脂肪酸部分を含有する石油をベースとする合成エステルに対する新規代替物を提供し、−再生可能な出発物質である高オレイン酸大豆油から誘導され、かつ高い燃焼点および低い流動点を含む所望の特性を有する代替物である。それらはまた、植物油をベースとする流体よりも優れた低温度性能を提供する。一実施形態において、ポリオールエステルの混合物を含んでなる誘電流体は、約280℃より高い発火点を有する。一実施形態において、誘電流体は約310℃より高い発火点を有する。一実施形態において、誘電流体は約320℃より高い発火点を有する。一実施形態において、誘電流体は約−10℃未満の流動点を有する。一実施形態において、誘電流体は約−30℃未満の流動点を有する。一実施形態において、誘電流体は約280℃より高い発火点および約−10℃未満の流動点を有する。一実施形態において、誘電流体は約325℃より高い燃焼点を有する。一実施形態において、誘電流体は約370℃より高い燃焼点を有する。一実施形態において、誘電流体は約325℃より高い燃焼点および約−10℃未満の流動点を有する。一実施形態において、誘電流体は約325℃より高い燃焼点および約−30℃未満の流動点を有する。一実施形態において、誘電流体は、40℃で約45cST未満および100℃で約14cST未満の粘度を有する。一実施形態において、誘電流体は、40℃で約25cST未満および100℃で約10cST未満の粘度を有する。一実施形態において、誘電流体は、25℃で約0.15%未満および100℃で約5%未満の力率を有する。一実施形態において、誘電流体は、25℃で約0.03%未満および100℃で約3%未満の力率を有する。一実施形態において、誘電流体は、25℃で1mm間隙で測定される場合、約35kVより高い誘電破壊電圧を有する。一実施形態において、誘電流体は、110℃で少なくとも約8時間の油安定性指数を有する。一実施形態において、誘電流体は、110℃で少なくとも約14時間の油安定性指数を有する。一実施形態において、誘電流体は、110℃で少なくとも約25時間の油安定性指数を有する。
また本明細書には、電気装置を使用する方法も開示されており、この方法は、装置において、a)ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールまたはそれらの組み合わせを含んでなるポリオールと、b)高オレイン酸大豆油が、i)油中の脂肪酸部分の65%より高いC18:1含有量、ならびにii)油中の脂肪酸部分の20%未満の組み合わせられたC18:2およびC18:3の含有量を有する、脂肪酸部分を含んでなる高オレイン酸大豆油から誘導される脂肪酸エステルの混合物との反応から誘導されるポリオールエステルを含んでなる混合物誘電流体を使用することを含んでなる。
本明細書に開示される誘電流体は、他の、より望ましくない誘電流体を組み込む既存の電気装備を逆充填するために使用されてもよい。これらの他の流体は、当該技術において既知のいずれかの適切な方法を使用して、本明細書に開示されるようなポリオールエステルの混合物を含んでなる誘電流体で置き換えられてもよい。
本明細書に記載される方法は、以下の実施例において例示される。上記説明およびこれらの実施例から、当業者は本発明の基本的特徴を確認することができ、そしてそれらの精神および範囲から逸脱することなく、様々な用途および条件に適応させるために、本発明に様々な変更および修正を実施することができる。
以下の材料を実施例で使用した。全ての市販の試薬は、受け取られたそのままで使用した。シリカゲルは、使用前に約200torrの真空下で3日間、200℃の真空オーブンで乾燥した。
以下の脂肪酸:パルミチン酸(6.5重量%)、ステアリン酸(4.15重量%)、オレイン酸(73.9重量%)、リノール酸(8.77重量%)およびリノレン酸(2.94重量%)のトリグリセリドを含有する精製、漂白および消臭された高オレイン酸大豆油(RBD HOS油)は、米国特許第5,981,781号明細書に従って得られた。パルミチン酸(6.5重量%)、ステアリン酸(4.1重量%)、オレイン酸(74.8重量%)、リノール酸(7.6重量%)およびリノレン酸(2.8重量%)を含有する粗製高オレイン酸大豆油(HOS油)は、米国特許第5,981,781号明細書に従って得られた。以下:パルミチン酸(10.3重量%)、ステアリン酸(4.6重量%)、オレイン酸(22.7重量%)、リノール酸(53.5重量%)およびリノレン酸(7.2重量%)の脂肪酸のトリグリセリドを含有する商品Market Pantry(商標)の商標名の大豆油はTarget店から購入された。
メタノール(99.8%)、炭酸ナトリウム(99.5%)、水酸化カリウム(>85%)、ヘキサン(99.9%)、シリカゲル60および炭酸カリウム(99.9%)は、EMD Chemicals Inc.(Gibbstown,NJ)から得た。ネオペンチルグリコール(99%)、トリメチロールプロパン(97%)およびペンタエリスリトール(98%)は、Aldrich Company(Milwaukee,WI)から得た。
以下の略語を使用する。「GC」はガスクロマトグラフィーであり、「C」はセ氏であり、「mm」はミリメートルであり、「mL」はミリリットルであり、「L」はリットルであり、「min」は分であり、「cm」はセンチメートルであり、「g」はグラムであり、「mg」はミリグラムであり、「h」は時間であり、「temp」または「T」は温度であり、「Comp.X.」は比較例であり、「ID」は内部直径であり、「NPG」はネオペンチルグリコールであり、「TMP」はトリメチロールプロパンであり、そして「PE」はペンタエリスリトールである。「ASTM」は米国材料試験協会(American Society for Testing and Materials)を表し、材料評価の標準プロトコルを提供する。「AOCS」は米国油脂化学協会(American Oil Chemists’Society)を表し、材料評価の標準方法を提供する。「OECD」は経済協力開発機構(Organization for Economic Co−operation and Development)を表す。
メチルエステルは、長さ30m、直径320μm、膜厚0.30μmのOmegawax(商標)320カラムを備えたAgilent 6890 Series GCを使用して分析した。オーブンランプは初期温度160℃を5分間保持し、次いで、2℃/分で220Cまで増加させて10分間保持し、次いで、20℃/分で240℃まで増加させて5分間保持する。搬送ガスはヘリウムであった。インジェクションポートは11.55psiの圧力で250℃であり、分割比は50:1、分流量は77.8mL/分、全流量は82.3mL/分であった。初期流量は11.56psiで1.6ml/分であった。使用される炎イオン化検出器は270℃に設定され、水素流量は35mL/分、空気流量は400mL/分、モードコンスタントカラム+メイクアップ流量、組み合わせられた流量は32.0、メイクアップ気体はヘリウムであった。Nu−Chek Prep,INC.(Elysian,MN)からの参照標準GLC−461(32の異なるメチルエステルC4:0〜C24:1の混合物)を使用し、メチルエステルの保持時間を識別した。
ポリオールエステル混合物の特性は、以下の試験方法に従って評価した。
表1: 測定された特性および使用された試験方法
特性 試験方法
発火点 ASTM D-92
燃焼点 ASTM D-92
流動点 ASTM D-97
油中の水分 ASTM D-1533
酸価 ASTM D-974
誘電破壊電圧 ASTM D-1816
力率 ASTM D-924
抵抗 ASTM D-1169
粘度 ASTM D-445 または28mm DIN同心円筒形状の
TR2000回転式レオメーターを用いて得られた
油安定性指数 AOCS Cd 12b-92 (1997)
実施例1
RBD HOS油の脂肪酸部分を含んでなるメチルエステルの混合物の調製
オーバーヘッド撹拌器、冷却器および窒素ブランケットを備えた2Lフラスコに、RBD HOS油(1007g)、メタノール(249g)および炭酸ナトリウム(2g)を投入した。反応混合物を360rpmで攪拌しながら、6.5時間加熱し、還流させた(最終温度は約76℃であった)。室温まで冷却後、反応混合物を分液ロートに移し、そして一晩室温で静置した。グリセロールを含有する底層(170g)が得られ、これを除去した。上層は、減圧(1torr)下で40分間、60℃で蒸留し、残存するメタノール(56.7g)を除去した。分液ロート内の追加のグリセロール層(約1g)の除去後、メチルエステルの混合物(1006g)が残渣として得られた。GC分析によると、これには、パルミチン酸メチル(6.4重量%)、ステアリン酸メチル(4.0重量%)、オレイン酸メチル(73.6重量%)、リノール酸メチル(8.6重量%)、およびリノレン酸メチル(2.7重量%)が含まれることが示された。
実施例2
粗製HOS油の脂肪酸部分を含んでなるメチルエステルの混合物の調製
機械式攪拌器、還流冷却器、内部熱電対、窒素インレットおよびドレインを備えた20リットルのジャケット型Pyrex(登録商標)反応器を、一晩窒素掃去することによって乾燥させた。この反応器に、粗製HOS油(12.0kg)、メタノール(3.0kg)および炭酸カリウム(45g)を投入した。この混合物を3時間窒素下で加熱し、還流させた。反応混合物を25℃まで冷却した。グリセロール(1.9kg)を含有する底層をドレインから除去した。上層を含有する反応器に、メタノール(400g)および炭酸カリウム(2.0g)を投入した。この混合物を2時間加熱し、還流させた。室温まで冷却後、反応混合物の上層を22リットルRBフラスコに移した。残渣メタノールを真空(200〜5torr)下、50℃で留去し、粗製メチルエステルの混合物11.48kgを得た。GC分析によると、これには、パルミチン酸メチル(6.5重量%)、ステアリン酸メチル(3.9重量%)、オレイン酸メチル(76.1重量%)、リノール酸メチル(7.0重量%)、およびリノレン酸メチル(2.8重量%)が含まれることが示された。
実施例3
RBD HOS油の脂肪酸部分を含んでなるメチルエステルの混合物からのNPGエステルの混合物の調製
実施例1からのRBD HOS油の脂肪酸部分を含んでなるメチルエステルの混合物(917g)、KOH(2.0g)およびネオペンチルグリコール(139g)を、2torrの真空下で3時間40〜50℃まで、次いで、1時間50〜100℃まで、次いで3時間100〜160℃まで加熱した。加熱の間、沸騰が失速する間、温度を徐々に増加させた。反応の間、合計約86.2gのMeOHが液体窒素トラップに回収された。反応混合物を30mtorrの真空下で210℃まで蒸留し、蒸留物(95g)として未反応のメチルエステルを回収した。蒸留残渣を遠心分離し、そして得られた液体をシリカゲルカラム[2インチ(外径)×4インチ]に通し、生成物(732.6g)としてNPGエステルの混合物を得た。遠心分離機からの固体をヘキサン(2×150mL)で抽出した。シリカゲルカラムを、組み合わせたヘキサン抽出物および追加のヘキサン(300mL)で洗浄した。組み合わせたヘキサン洗浄液を濃縮し、真空下で乾燥させ、生成物(93.5g)として追加量のNPGエステルを得た。生成物の1H NMR分析によって、ネオペンチルグリコールおよびRBD HOS油の脂肪酸部分を含んでなるエステルの混合物として識別されることが確認された。組成物は、1%のNPGモノエステル、97%のNPGジエステルおよび2%のトリグリセリド(HOS油)を含んでなることがわかった。
実施例4
粗製HOS油の脂肪酸部分を含んでなるメチルエステルの混合物からのNPGエステルの混合物の調製
実施例2からの粗製HOS油の脂肪酸部分を含んでなるメチルエステルの混合物(1196g)、KOH(2.38g)およびネオペンチルグリコール(178g)を、30〜5torrの真空下で14時間50〜205℃まで加熱した。未反応のメチルエステル(163g)は、約15mTorrの減圧蒸留によって回収された。蒸留残渣を遠心分離し、そして得られた液体をシリカゲルカラム(22gシリカゲル)に通し、1時間20mtorrの真空下で110℃で乾燥後、生成物(910g)としてNPGエステルの混合物を得た。遠心分離機からの固体をヘキサン(2×150mL)で抽出した。シリカゲルカラムを、組み合わせたヘキサン抽出物および追加のヘキサン(300mL)で洗浄した。組み合わせたヘキサン洗浄液を濃縮し、真空下で乾燥させ、追加量のNPGエステル生成物(170g)を得た。生成物の1H NMR分析によって、ネオペンチルグリコールおよび粗製HOS油の脂肪酸部分を含んでなるエステルの混合物として識別されることが確認された。組成物は、2%のNPGモノエステル、93%のNPGジエステルおよび5%のトリグリセリド(HOS油)を含んでなることがわかった。
表1に記載される方法を使用して、電気的および物理的特性を測定することによって、誘電流体として生成物を使用することの適合性を評価した。結果を表2に示す。
実施例5
RBD HOS油の脂肪酸部分を含んでなるメチルエステルの混合物からのTMPエステルの混合物の調製
実施例1からのRBD HOS油の脂肪酸部分を含んでなるメチルエステルの混合物(1094g)、KOH(2.2g)およびトリメチロールプロパン(140g)を、10torrで6時間95℃まで、次いで、さらに4.5時間154℃まで加熱した。追加のKOH(0.47g)を添加し、そして混合物を0.8torrでさらに8時間、123〜150℃で加熱した。加熱の間、沸騰が失速する間、温度を徐々に増加させた。合計約86.2gのMeOHが液体窒素トラップから回収された。反応混合物を45mtorrの真空下で239℃まで蒸留した。未反応のメチルエステルを蒸留物(57.8g)として回収した。蒸留残渣を遠心分離し、そして得られた液体をシリカゲルカラム(約14g)に通し、生成物(970g)としてTMPエステルの混合物を得た。遠心分離機からの固体をヘキサンで抽出した。シリカゲルカラムを、組み合わせたヘキサン抽出物および追加のヘキサン(300mL)で洗浄した。組み合わせたヘキサン洗浄液を濃縮し、真空下で乾燥させ、追加量のTMPエステル生成物(75g)を得た。
得られた生成物の一部(847g)を、ブリーチングクレーグレードF−115FF(BASF製、8.8g)およびCelite(2.2g)と混合し、そして室温で1時間真空(1torr)下で撹拌し、次いで、0.5torr下で1時間、110oCまで加熱した。この混合物を室温まで冷却し、そして1/2インチシリカゲルカラム(ID 1.5インチ)に通した。評価の前に、回収した生成物を0.1torr下で1時間110℃まで加熱した。生成物の1H NMR分析によって、トリメチロールプロパンおよびRBD HOS油の脂肪酸部分を含んでなるエステルの混合物として識別されることが確認された。組成物は、2%のTMPジエステル、90%のTMPトリエステルおよび8%のトリグリセリド(HOS油)を含んでなることがわかった。
表1に記載される方法を使用して、電気的および物理的特性を測定することによって、誘電流体として生成物を使用することの適合性を評価した。結果を表2に示す。
実施例6
粗製HOS油の脂肪酸部分を含んでなるメチルエステルの混合物からのTMPエステルの混合物の調製
実施例2からの粗製HOS油の脂肪酸部分を含んでなるメチルエステルの混合物(1213g)、KOH(2.4g)およびトリメチロールプロパン(156g)を、10torrで2時間103℃まで加熱した。次いで、圧力を15torrまで低下させ、そして反応混合物を7.5時間193℃まで加熱した。次いで、反応混合物を40mtorrの真空下で蒸留し、蒸留物として未反応のメチルエステルを回収した。蒸留残渣を遠心分離し、そして得られた液体をシリカゲルカラム(18gシリカゲル)に通し、油が得られ、これをさらに30mtorr、110℃で1時間乾燥させ、生成物(962g)としてTMPエステルの混合物を得た。遠心分離機からの固体をヘキサンで抽出した。シリカゲルカラムを、組み合わせたヘキサン抽出物および追加のヘキサンで洗浄した。組み合わせたヘキサン洗浄液を濃縮し、乾燥させ、追加量の生成物(108g)を得た。生成物の1H NMR分析によって、トリメチロールプロパンおよび粗製HOS油の脂肪酸部分を含んでなるエステルの混合物として識別されることが確認された。組成物は、1.4%のTMPジエステル、97.4%のTMPトリエステルおよび1.2%のトリグリセリド(HOS油)を含んでなることがわかった。
表1に記載される方法を使用して、電気的および物理的特性を測定することによって、誘電流体として生成物を使用することの適合性を評価した。結果を表2に示す。
生物分解性試験のために、粗製HOS油の脂肪酸部分を含んでなるメチルエステルの混合物から、TMPエステルの混合物のもう1つの試料を調製した。この試料は、実施例6のTMPエステル混合物と同様に調製し、1H NMR分析によって、この組成物は、90.2%のTMPトリエステル、2%のTMPジエステルおよび7.8%のトリグリセリド(HOS油)を含んでなることがわかった。
TMPエステル混合物の易生分解性は、1992年7月17日付け版のOECD Guideline 301Bに従う「易生分解性」のための28日CO2評価試験を使用して評価した。使用される生体系は、Elkton,Maryland(USA)Publicly−Owned Treatment Worksからの二次活性スラッジであった。TMPエステル混合物は、試験条件で「易生分解性」の基準を満たすことがわかった。この試験材料は、74%の最大生分解性を達成した。60%より高い生分解性は、10%より高い生分解の10日以内に達成された。
実施例7
RBD HOS油の脂肪酸部分を含んでなるメチルエステルの混合物からのPEエステルの混合物の調製
実施例1からのRBD HOS油の脂肪酸部分を含んでなるメチルエステルの混合物(100.6g)、KOH(0.2g)およびペンタエリスリトール(9.8g)を、5torrで1.5時間80℃まで加熱し、1.5時間80℃で保持し、次いで、4.5時間160℃まで加熱した。次いで、反応混合物を18mtorrの真空下で蒸留し、蒸留物として未反応のメチルエステルを回収した。蒸留残渣を遠心分離し、そして得られた液体を短いシリカゲルカラムに通し、生成物(60.4g)としてPEエステルの混合物を得た。遠心分離機からの固体をヘキサンで抽出した。シリカゲルカラムを、組み合わせたヘキサン抽出物および追加のヘキサンで洗浄した。組み合わせたヘキサン洗浄液を濃縮し、乾燥させ、追加量のPEエステル生成物(21.6g)を得た。生成物の1H NMR分析によって、ペンタエリスリトールおよびRBD HOS油の脂肪酸部分を含んでなるエステルの混合物として識別されることが確認された。組成物は、1.5%のPEトリエステル、94%のPEテトラエステルおよび4.5%のトリグリセリド(HOS油)を含んでなることがわかった。
実施例8
粗製HOS油の脂肪酸部分を含んでなるメチルエステルの混合物からのPEエステルの混合物の調製
実施例2からの粗製HOS油の脂肪酸部分を含んでなるメチルエステルの混合物(1190g)、KOH(2.41g)およびペンタエリスリトール(116g)を、1〜100torrで65時間80〜205℃で加熱した。さらなるKOH(1.3g)を添加し、そして反応混合物を5torrで34時間200〜220℃でさらに加熱した。過剰量のメチルエステルは、1torrの真空下、235〜330℃のポット温度での蒸留によって除去した。蒸留残渣を遠心分離し、そして得られた液体をシリカゲルカラム(14g)に通し、次いで、0.1torrの真空下、110℃で1時間乾燥させ、生成物(930g)としてPEエステルの混合物を得た。生成物の1H NMR分析によって、ペンタエリスリトールおよび粗製HOS油の脂肪酸部分を含んでなるエステルの混合物として識別されることが確認された。組成物は、4%のPEトリエステル、90%のPEテトラエステルおよび6%のトリグリセリド(HOS油)を含んでなることがわかった。
表1に記載される方法を使用して、電気的および物理的特性を測定することによって、誘電流体として生成物を使用することの適合性を評価した。結果を表2に示す。
比較例A
商品大豆油の脂肪酸部分を含んでなるメチルエステルの混合物の調製
オーバーヘッド撹拌器、冷却器および窒素ブランケットを備えた2Lフラスコに、Market Pantry(商標)の商標名の大豆油(1009g)、メタノール(250g)および炭酸ナトリウム(3.1g)を投入した。反応混合物を3.5時間加熱し、還流させた。グリセロールを含有する底層が得られ、これを除去し、そしてさらなるメタノール(50g)および炭酸カリウム(0.2g)を添加した。反応混合物をさらに3.5時間還流させた。反応混合物を室温まで冷却後、過剰量のメタノールを1時間25℃で減圧蒸留によって除去した。生成物層をシリカの薄層を通してろ過し、商品大豆油の脂肪酸部分を含んでなるメチルエステルの混合物(968g)を得た。
比較例B
商品大豆油の脂肪酸部分を含んでなるメチルエステルの混合物からのTMPエステルの混合物の調製
比較例Aからの商品大豆油の脂肪酸部分を含んでなるメチルエステルの混合物(968g)、トリメチロールプロパン(97.9g)およびナトリウムメトキシド(1.8g)を、5torrの真空で1時間で68℃まで加熱した。次いで、反応温度を6時間185℃までゆっくり増加させた。過剰量のメチルエステルは、真空(約20mtorr)下、225℃のポット温度での蒸留によって除去した。蒸留残渣を遠心分離し、そして得られた液体をシリカゲルカラム(14g)に通し、次いで、0.1torrの真空下、110℃で1時間乾燥させ、生成物(597g)としてTMPエステルの混合物を得た。生成物の1H NMR分析によって、トリメチロールプロパンおよび商品大豆油の脂肪酸部分を含んでなるエステルの混合物として識別されることが確認された。
表1に記載される方法を使用して、電気的および物理的特性を測定することによって、誘電流体として生成物を使用することの適合性を評価した。結果を表2に示す。
実施例4、実施例5、実施例6、実施例8および比較例Bで得られるポリオールエステル混合物は、表1で記載される方法を使用して評価した。商品大豆油から調製される植物油をベースとする流体であるEnvirotemp(登録商標)FR3(商標)流体(Cooper Industries,Inc.)、ならびにペンタエリスリトールとの混合エステルとしての直鎖および分枝鎖C5〜C10脂肪酸の合成エステル組成物であるMidel(登録商標)7131(The Micanite and Insulators Co.,Manchester UK)の試料も同方法を使用して評価した。データを表2に示す。
表2: 測定された誘電流体特性の要約
* TR 2000回転式レオメーターによって測定
表2のデータは、実施例のポリオールエステルの混合物は、誘電流体としての使用のために望ましい特性を有することを示す。実施例の流体の発火点および燃焼点は適切に高く、そして合成エステル組成物Midel(登録商標)7131よりも著しく高い。またそれらは、Midel(登録商標)7131および植物油をベースとするEnvirotemp(登録商標)FR3(商標)よりも著しく低い水分含有量を有する。比較例Bのポリオールエステル(トリメチロールプロパンおよび商品大豆油から誘導される脂肪酸部分のメチルエステルの混合物の反応から誘導される)との比較において、実施例5の類似のポリオールエステル(トリメチロールプロパンおよび高オレイン酸大豆油から誘導される脂肪酸部分のメチルエステルの混合物の反応から誘導される)は、25℃で測定される場合および100℃で測定される場合の両方の力率に関して、より良好な電気特性を示す。比較例Bの流体の極めて高い力率は、誘電流体としてのその使用を排除する。対照的に、実施例5の流体の特徴は、誘電流体としての使用のために適切であることを示す。酸化安定性を反映するOSI値に関して、Envirotemp(登録商標)FR3(商標)およびMidel(登録商標)7131流体はともに、添加された酸化防止剤を含有するため、より意味のある比較は、これらの材料は添加された酸化防止剤を含有しないため、実施例4〜8および比較例Bの誘電流体間である。実施例4〜8の流体は、比較例Bよりも著しく長い誘導期を示し、より高い含有量の不飽和部分によって提供されるより高い酸化安定性を反映する。

Claims (18)

  1. a)ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールまたはそれらの組み合わせを含んでなるポリオールと、
    b)脂肪酸部分を含んでなる高オレイン酸大豆油であって、
    i)前記油中の脂肪酸部分の65%より高いC18:1含有量、ならびに
    ii)前記油中の脂肪酸部分の20%未満の組み合わせられたC18:2およびC18:3の含有量
    を有する、高オレイン酸大豆油から誘導される脂肪酸エステルの混合物と
    の反応から誘導されるポリオールエステルを含んでなる混合物
    を含んでなる誘電流体。
  2. 約280℃より高い発火点を有する、請求項1に記載の誘電流体。
  3. 約−10℃未満の流動点を有する、請求項2に記載の誘電流体。
  4. 40℃で約45cST未満および100℃で約14cST未満の粘度を有する、請求項1に記載の誘電流体。
  5. 25℃で約0.15%未満および100℃で約5%未満の力率を有する、請求項1に記載の誘電流体。
  6. 25℃で1mm間隙で測定される場合、約35kVより高い誘電破壊電圧を有する、請求項1に記載の誘電流体。
  7. 110℃で少なくとも約8時間の油安定性指数を有する、請求項1に記載の誘電流体。
  8. 酸化防止剤、腐食抑制剤、金属不活性化剤および流動点降下剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含んでなる、請求項1に記載の誘電流体。
  9. 植物油、藻類油、高オレイン酸大豆油以外の植物油から誘導される1種または複数種のポリオールエステル、鉱油、シリコーン流体、合成エステル、ポリアルファオレフィンまたはそれらの混合物からなる群から選択されるブレンド成分をさらに含んでなる、請求項1に記載の誘電流体。
  10. 前記ポリオールがペンタエリスリトールを含んでなる、請求項1に記載の誘電流体。
  11. 前記ポリオールがトリメチロールプロパンを含んでなる、請求項1に記載の誘電流体。
  12. 前記ポリオールがネオペンチルグリコールを含んでなる、請求項1に記載の誘電流体。
  13. 前記C18:1含有量が前記油中の前記脂肪酸部分の70%より高く、かつ前記組み合わせられたC18:2およびC18:3の含有量が前記油中の前記脂肪酸部分の15%未満である、請求項1に記載の誘電流体。
  14. OECD Guideline 301Bに従う28日CO2放出試験の条件で「易生分解性」の基準を満たす、請求項1に記載の誘電流体。
  15. a)脂肪酸部分を含んでなる高オレイン酸大豆油であって、
    i)前記油中の脂肪酸部分の65%より高いC18:1含有量、ならびに
    ii)前記油中の脂肪酸部分の20%未満の組み合わせられたC18:2およびC18:3の含有量
    を含んでなる、高オレイン酸大豆油を提供する工程と、
    b)第1の塩基触媒の存在下で、前記高オレイン酸大豆油を、1〜5個の炭素の鎖長を有する脂肪族モノアルコールと反応させ、グリセロールと脂肪酸エステルの混合物とを含んでなる反応混合物を製造する工程と、
    c)前記グリセロールを分離および除去する工程と、
    d)第2の塩基触媒の存在下で、前記脂肪酸エステルの混合物を、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールまたはそれらの組み合わせを含んでなるポリオールと反応させ、ポリオールエステルの混合物を製造する工程と
    を含んでなる、ポリオールエステルの混合物の調製方法。
  16. a)ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールまたはそれらの組み合わせを含んでなるポリオールと、
    b)脂肪酸部分を含んでなる高オレイン酸大豆油であって、
    i)前記油中の脂肪酸部分の65%より高いC18:1含有量、ならびに
    ii)前記油中の脂肪酸部分の20%未満の組み合わせられたC18:2およびC18:3の含有量
    を有する、高オレイン酸大豆油から誘導される脂肪酸エステルの混合物と
    の反応から誘導されるポリオールエステルを含んでなる混合物
    を含んでなる、誘電流体を含んでなる電気装置。
  17. 変圧器、蓄電器、流体充填伝送線路、送電線、誘導子または高圧スイッチである、請求項16に記載の電気装置。
  18. 少なくとも10重量%の誘電流体で含浸された誘電物質であって、セルロース紙、合成紙または不織布ウェブを含んでなり、かつ前記誘電流体が、
    a)ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールまたはそれらの組み合わせを含んでなるポリオールと、
    b)脂肪酸部分を含んでなる高オレイン酸大豆油であって、
    i)前記油中の脂肪酸部分の65%より高いC18:1含有量、ならびに
    ii)前記油中の脂肪酸部分の20%未満の組み合わせられたC18:2およびC18:3の含有量
    を有する、脂肪酸部分を含んでなる高オレイン酸大豆油から誘導される脂肪酸エステルの混合物と
    の反応から誘導されるポリオールエステルを含んでなる混合物
    を含んでなる、誘電物質。
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