JP2015536548A - 誘電性流体組成物として有用なブレンドした油組成物およびその調製方法 - Google Patents

誘電性流体組成物として有用なブレンドした油組成物およびその調製方法 Download PDF

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Abstract

本発明では、誘電性流体としての使用に好適である組成物は、再生可能源の油、およびそれらのブレンドから得られる。本明細書に記載されるような再生可能源の合成エステルは、天然もしくは生物原材料から得られる成分であって、原材料が従来の農業技術によって再生することができる成分を使用して製造される。業界基準を満たすことができる誘電性流体は、得られる誘電性流体の特性をカスタマイズするために合成ポリオールエステル、天然油、および鉱油から選択される適切な百分率の成分を組み合わせる方法を用いて得られる。本発明の実施において巧みに操作することができる特性のいくつかとしては、電気強度、抵抗率、インパルス強度、散逸率、誘電率、比熱、熱伝導率、化学的安定性、ガス吸収、流動点、粘度、揮発度、引火点および燃焼点、ならびに生分解性が挙げられる。

Description

本発明は、変圧器絶縁体および冷却液としての使用に好適な誘電性流体組成物に関する。
電気工業は、変圧器、電力ケーブル、ブレーカー、およびキャパシターなどの電気機器を冷却するために誘電性流体を使用する。典型的にはこれらの誘電性流体は、液体入り変圧器で固体絶縁体と組み合わせて使用される。例としては、鉱油、高分子量炭化水素(HMWH)、シリコーン流体、および合成炭化水素油(ポリアルファ−オレフィン)が挙げられる。そのような流体は、電気絶縁性で、分解に対して耐性でなければならず、かつ、電気装置で発生する大量の熱を周囲環境へ消散させることができて、それによって固体絶縁体を長持ちさせるように伝熱媒体として働かなければならない。
しかし、鉱油入り変圧器は典型的には、安全性、環境に対する、および必要とされる特別な封じ込めの配慮に対する懸念のために建物の内部で使用されない。
様々な設備での使用に好適なものとしての資格を誘電性流体に与えるための標準が策定されている。米国材料試験協会(American Society for Testing Materials)は、鉱物系絶縁油および炭化水素の高燃焼点絶縁油についての仕様限界を定めるASTM標準D3487−88およびD522292を策定している。ASTM D6871−03は、電気装置に使用される天然エステル流体の仕様限界を定め、国際電気標準会議標準(International Electrotechnical Commission Standard)IEC 61099は、合成エステル流体の仕様限界を定め、IEC 60296 Edition 4(第4版)は、防止剤なしの(uninhibited)鉱油の仕様限界を定めている。
添加剤が多くの場合、流体の性能を高め、それによって配電および電力変圧器を長持ちさせるために誘電性流体に添加される。1つの共通慣行は、防止剤なしの油への酸化防止添加剤の添加である。別の共通慣行は、正のガス発生傾向を有する流体へのガス発生防止添加剤の添加である。たとえば、変圧器に使用される誘電性流体は、使用の経過中にガスを生成し得るし、それは、閉鎖容器の内部で使用される場合には圧力問題を生み出し得る。また、冷却液の性能は、流体中の気泡の存在によって影響を及ぼされ得る。米国特許出願公開第2010/0279904A1号明細書は、ガス発生防止剤として重質改質油を含む電気絶縁油を記載している。
従来型誘電性流体の使用は、問題がないわけではない。近年規制機関は、地盤土壌および他のエリアを汚染し得る油流出に関してますます懸念するようになっている。従来型流体の多くは、妥当な時間枠中で生分解性ではない。いくつかは、それらを最善ではないものにする電気特性を有する。生分解性の誘電性流体が、人口の多いまたは生態学的に敏感なエリアで使用される変圧器などの電気装置にとって望ましいであろう。
天然および合成エステルは、安全性および環境上の理由で鉱油に取って代わるための誘電性流体として使用することができる。カナダ国特許出願公開第2,492,565号明細書は、約−40℃の流動点を少なくとも有し、そしてアルキル基がC5〜C22の鎖長を有する、特定化学構造の2つ以上のポリオールエステルの混合物を含む誘電性クーラントを開示している。米国特許第8,187,508B2号明細書は、グリセリンと6〜14個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐の脂肪酸とのエステル化生成物を主として含有する電気絶縁油用のベース試剤を記載している。
天然エステルの酸化安定性は、(1)完全なもしくは部分的な水素化による二重結合(不飽和)の数の低減によっておよび/または(2)油中のポリ不飽和の低減によって改善できることが知られている。しかし、どちらのプロセスも天然油の酸化安定性を高めることができるが、そのような手段は、油の流動点を上昇させ得るし、この結果は、低い周囲温度に曝される変圧器に使用される油にとって望ましくない。
低温で依然として流動的であり、かつ、高温で安定した状態を保つか、またはさもなければ温度極端でそれらの所望の特性を保持する、良好な酸化安定性を有する生分解性の電気冷却液が継続的に必要とされている。さらに、再生可能源の原材料から変圧器誘電性冷却液を得ることは望ましいものであり得る。
それらが様々な温度下に依然として流動的であり、かつ、安定した状態を保つことを確実にするだろう生分解性の電気冷却液の特性をコントロールする方法がまた必要とされている。
一態様では、本発明は、誘電性流体として有用な組成物であって、本組成物が、約3000ppm未満の未反応もしくは部分的に反応したポリオールを有する再生可能源の合成飽和ポリオールエステルであって、ポリオールエステルが、(i)少なくとも3個のヒドロキシル基を有するポリヒドロキシル成分と(ii)カルボキシル誘導体の少なくとも約95モル%が6〜12個の炭素原子を含む、飽和の線状カルボキシル誘導体の混合物とを含む反応混合物から得られる完全にエステル化された反応生成物であるポリオールエステルを含むまたはあるいは、それから本質的になり、本組成物が、少なくとも300℃のASTM D−92によって測定されるような燃焼点、および40℃で約30センチストークス未満のASTM 445によって測定されるような粘度を有する組成物である。
別の態様では、本発明は、誘電性流体として有用な組成物であって、本組成物が、約3000ppm未満の未反応ポリオールを有し、そして合成酸化防止剤をさらに含む再生可能源の合成ポリオールエステルであって、ポリオールエステルが、(i)少なくとも4個のヒドロキシル基を有するグリセロールオリゴマー成分と;(ii)カルボキシル誘導体の少なくとも約95モル%が6〜12個の炭素原子を含む、飽和の線状カルボキシル誘導体の混合物と;(iii)任意選択的にエステル化触媒とから本質的になる反応混合物から得られる完全にエステル化された反応生成物であり、本組成物が、ASTM D924によって測定されるように約4.5の誘電率(Dk)、少なくとも300℃のASTM D−92によって測定されるような燃焼点、および40℃で約30センチストークス未満のASTM 445によって測定されるような粘度を有する組成物である。
別の態様では、本発明は、誘電性流体として有用な組成物であって、本組成物が、(1)約1〜約99重量%の再生可能源の合成ポリオールエステルであって、ポリオールエステルが、(i)少なくとも3個のヒドロキシル基を有するポリヒドロキシル成分と(ii)カルボキシル誘導体の少なくとも約95モル%が6〜12個の炭素原子を含む、飽和の線状カルボキシル誘導体の混合物をと含む反応混合物から得られる完全にエステル化された反応生成物であるポリオールエステル;および(2)約1重量%〜約99重量%の、長鎖脂肪酸エステルから本質的になる、天然源から得られるトリアシルグリセロール天然油を含むブレンドであり、本ブレンドが、ブレンドの成分(1)のガス発生傾向と比較して‥芳香族ガス発生防止添加剤なしで‥低下したガス発生傾向を有する組成物である。
別の態様では、本発明は、誘電性流体として有用な組成物であって、本組成物が、(1)約1〜約99重量%の再生可能源の合成ポリオールエステルであって、ポリオールエステルが、(i)少なくとも3個のヒドロキシル基を有するポリヒドロキシル成分と(ii)カルボキシル誘導体の少なくとも約95モル%が6〜12個の炭素原子を含む、飽和の線状カルボキシル誘導体の混合物とを含む反応混合物から得られる完全にエステル化された反応生成物であるポリオールエステル;(2)約1重量%〜約99重量%の、約75モル%超のオレイルエステルを含む長鎖脂肪酸エステルから本質的になる、天然源から得られるトリアシルグリセロール天然油;ならびに(3)流動点降下剤、金属不動態化剤、消泡剤、および静電帯電傾向降下剤からなる群から選択される任意選択の添加剤から本質的になるブレンドであり、(a)本ブレンドが防止剤なしであり;(b)ブレンドが、少なくとも300℃のASTM D−92によって測定されるような燃焼点を有し;(c)ブレンドが‥被添加芳香族ガス発生防止添加剤なしで‥成分(1)のガス発生傾向と比較して低下したガス発生傾向を有し、(d)ブレンドが、約−20℃よりも低いASTM D−97によって測定されるような流動点を有する組成物である。
別の態様では、本発明は、本発明の誘電性流体を含む電気装置である。
油安定性指数(OSI)対ブレンドした組成物中の高オレイン酸大豆油の百分率のグラフである。
一実施形態では、本発明は、合成の、再生可能源のポリオールエステルを含む誘電性流体として有用である組成物である。合成エステルは、単独でか、トリアシルグリセロール油などの、他の天然油および/または鉱油とのブレンドとしてかのどちらかで使用することができる。
本発明の再生可能源の合成ポリオールエステル流体は、それらがコントロールされたプロセス条件下でのエステル化/エステル交換((トランス)エステル化)反応またはプロセスによって得られるので合成品である。(トランス)エステル化反応は、酸性、塩基性、または酵素的であり得る触媒の使用を含む、任意の公知の従来型もしくは非従来型手段によって行われ得る。一実施形態では、反応がある種の条件下では自己触媒的であり得るので被添加触媒はまったく必要とされない。
たとえば、アルコールのエステル化が、カルボン酸エステルを形成するのに好適な条件下で、アルコールをカルボン酸、またはその誘導体と接触させることによって成し遂げられ得ることは十分に確立されている。ある実施形態では、カルボン酸から出発する場合、本プロセスは、酸触媒−たとえば、塩酸、リン酸、硫酸などの強い鉱酸、またはp−トルエンスルホン酸などの化学技術分野でよく知られており、かつ、慣習的である他のそのような強プロトン酸−を使用して触媒することができる。ルイス酸は、本発明の合成油を提供することができるエステル化プロセスに好適であり得る。アルミニウム、チタンおよび(塩化第一スズ(II)二水和物およびジブチルスズ酸化物などの)スズ化合物などのルイス酸が、そのようなプロセスのために公知であり、慣習的である。
他の実施形態では、アルコールのエステル化は、完全なエステル化を確実にするために過剰のカルボン酸を使用して、被添加触媒なしで成し遂げることができる。過剰の脂肪酸は、反応後に減圧下で完全に取り除くことができる。もしそうでない場合、製品中に存在する残存酸は、酸化安定性、加水分解安定性、力率および他の特性などの特性に影響を及ぼし得るし、それ故製品の品質は向上させられるべきである。油の純化は、油品質を向上させるために有効であり得る。これは、反応カルボン酸が短鎖または中鎖脂肪酸である場合に特に重要である。
カルボン酸に加えて、本発明のエステルは、カルボン酸ハロゲン化物、たとえばカルボン酸クロリドおよびブロミドなどのカルボン酸誘導体を使用して得ることができる。カルボン酸無水物またはエステルもまた、本発明の合成エステルを製造するためのカルボン酸の有用な誘導体であり得る。別の実施形態では、天然油および/またはエステルは、本発明の合成エステルの好適なカルボキシル基(本明細書では「アシル」基とも言われる)源であり得るし、エステル交換として知られる従来型プロセスに使用することができ、エステル交換では、出発エステルのアシル基は、異なるエステルを形成するために異なるヒドロキシル含有化合物に移され、そしてエステル交換反応は典型的なエステル化触媒によって触媒される。
本発明の合成エステルを製造するために本発明の実施に使用されるカルボン酸または誘導体は、6〜12個の炭素原子を含む。6〜12個の炭素原子を有するカルボン酸または誘導体は、本明細書では中鎖酸または誘導体と言われる。本発明の目的のためには、14個以上の炭素鎖長を有するカルボン酸および誘導体は、長鎖アシル化合物と考えられる。
本発明の合成中鎖ポリアシルエステルは、飽和の脂肪酸炭素鎖を含むかまたはそれらから本質的になる。すなわち、炭素−炭素多重結合は本質的に存在しない。たとえば、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、本明細書で上に示されたようなそれらの誘導体、およびこれらのいずれかの混合物が、本発明の実施での使用に好適であり得る。
一般的な名称によって事実上見いだされる酸について言及することが慣習的であり得る。誤解を避けるために、6〜12個の炭素を有する、直鎖の飽和酸、およびそれらの誘導体が、それらを記載するために用いられる名称に関係なく本明細書での使用に好適である。たとえば、ヘキサン酸はまたカプロン酸としても知られ、オクタン酸はカプリル酸として知られ、デカン酸はカプリン酸として知られ、ドデカン酸はまたラウリン酸としても知られる。カプロン酸(C6)は、本発明の目的のためには、カプリル酸(C8)、カプリン酸(C10)およびラウリン酸(C12)と一緒に、中鎖脂肪酸と考えられるものとする。
本発明の合成エステルは、再生可能源の原材料から製造される。たとえば、再生可能源の中鎖カルボン酸は、本明細書での使用に好適な大きい割合の中鎖脂肪酸を必然的に含む、パーム核油またはココナツ油などの天然源から得ることができる。パーム核およびココナツから得られる油は、食用油工業の当業者に公知の従来法によって加水分解することができ、蒸留または分子量もしくは極性差に基づく分離などの公知の方法によって分画された−すなわち、高級鎖酸から分離された−中鎖カルボン酸は、好適なポリオールから本発明の合成エステルを製造するために使用される。
本発明の合成エステルは、ポリオールを中鎖脂肪酸の混合物と反応させることによって製造される。混合物中の各中鎖脂肪酸の百分率は、望ましい特性のエステルを提供するように調整することができるが、個々の中鎖脂肪酸のいずれの1つも、合成エステルを製造するために使用される混合物の約5〜約90%を占めることができる、ただし、合成エステルの全エステル結合の少なくとも約95%が中鎖エステルを含み、残りのエステルが短鎖および/または長鎖エステルである。一実施形態では、合成エステルのエステル結合の少なくとも約90%は、カプリリル、カプリルおよび/またはラウリルエステルの混合物を含む。
これらのパラメーターに従うカルボン酸およびそれらの誘導体に由来する組成物が、特に誘電性冷却液として使用される場合に、合成エステルおよびそれらのブレンドの性能を高めるバランスのとれたセットの所望の特性を提供できることが本明細書で発見された。
本発明の合成エステル中の炭素−炭素多重結合の存在は好ましくないが、本発明の合成エステルがこの関連で100%純度を達成しなくてもよいことは、本発明の考慮される範囲外ではない。それ故、完全に炭素−炭素多重結合を排除するコストおよび実用性、ならびに、特に不飽和成分を含んでもよい特許請求される本組成物中に存在する可能性がある他の成分を特に考慮して、そのような手段から得られる利益のような因子を考慮に入れて、そのような官能性が最小限に保たれることが現在特許請求される本発明において意図される。本発明の合成エステルは、5モル%未満、好ましくは3モル%未満、より好ましくは1モル%未満の不飽和エステルを含む。
本発明の合成エステルは、中鎖カルボキシル成分と、1分子当たり少なくとも3個のヒドロキシル官能基を有するポリヒドロキシアルコールを含むことができる、ポリヒドロキシル成分との反応から得られる。本発明の目的のためには、そのようなポリヒドロキシルアルコールはあるいはまた、「ポリオール」と本明細書では言われてもよい。本発明のポリオールは、グリセロールもしくはペンタエリスリトール(PE)もしくはトリメチロールプロパン(TMP)もしくはトリメチロールエタン(TME)などのモノマー多官能性アルコール、または−たとえば、ジグリセロール、トリグリセロール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトールなどの−オリゴマーアルコールあるいはそれらの混合物であり得る。本発明のポリオールは、−単糖類および二糖類ならびに/またはそれらの誘導体などの−糖類もしくは糖類アルコールなどの天然に存在する化合物を少量成分として含むことができる。たとえば、スクロース、グルコース、フルクトース、マンノース、ソルビトール、またはデンプンおよび他のセルロース系材料が、本発明の実施に使用するのに好適な考えられるポリオールであり得る。本発明の目的のためには、用語「ポリヒドロキシルアルコール」と「ポリオール」との間に意図される区別はまったくなく、これらの用語は、意図される本発明の範囲にまったく影響なしに同じ意味で用いられ得る。一実施形態ではポリオールは、非対称であり、たとえば、トリメチロールプロパンのようにヒドロキシルを有する炭素に隣接する(すなわち、β位)炭素上に水素を含まない。別の実施形態ではポリオールは、ジグリセロール、トリグリセロール、テトラグリセロールまたはそれらの混合物である。
別の実施形態では、本発明の合成エステル組成物は、天然油とブレンドすることができる。本発明のブレンドは、ブレンドの約5〜約90重量%の相対量で好適なトリアシルグリセロール油を含み、再生可能源の合成エステルがブレンドの約10〜約95重量%を提供することができる。あるいは、ブレンドは、約10〜約80重量%、または約10〜約70重量%、または約20〜約50重量%、または約30〜40重量%の量でトリアシルグリセロールを含むことができる。ある用途ではブレンドの組成が、Kクラス流体として分類することができるブレンドを提供するように調整されることが決定的に重要であり得るし、この相対量のトリアシルグリセロール成分がKクラスの誘電性流体を提供することを目的にブレンドされるべきであるそれらの用途では、トリアシルグリセロールの実際の百分率は、その基準を満たすための望ましい特性のバランスを達成するように調整することができる。
本発明のブレンドは、長鎖酸を含むかまたはそれらから本質的になるカルボン酸のエステルを含むトリアシグリセロール油を含むことができる。グリセロールの長鎖酸エステルは、大豆、キャノーラ、ヒマワリ、パーム、パーム核、ココナツ、および天然油の他の公知源を含む油生産作物などの、天然もしくは生物源から得ることができる。現在特許請求される本組成物のトリアシルグリセロール油成分は油の混合物であり得る。一実施形態では、本発明で使用するための好適なトリアシルグリセロール油は、高い、すなわち60モル%以上の、モノ不飽和エステル含有量を有する。たとえば、モノ不飽和含有量が高い油は、まるで完全に記載されているかのように参照により本明細書に援用される、米国特許第5,981,781号明細書に記載されている大豆油などの、高オレイン酸アシル(オレイル)組成を提供する天然源から得ることができる。そのような高オレイン酸大豆(HOS)油は、10モル%未満の総計ポリ不飽和エステル(C18:2およびC18:3)と共に、アシル成分の75モル%以上の高オレイル(C18:1)含有量を有する。高オレイン酸含有量を有する他の天然油は、たとえばヒマワリ油、サフラワー油、オリーブ油、およびキャノーラ油である。
別の実施形態では、低い〜中位のモノ不飽和酸含有量を有する天然エステルが、本明細書での使用に好適であり得る。たとえば、約24モル%〜約75モル%未満−またはあるいは約60モル%〜約75モル%未満のモノ不飽和酸−を有する油が、低い〜中位のモノ不飽和を有すると考えられる。そのような油としては、たとえば、大豆油、ヒマワリ油、サフラワー油、およびキャノーラ油が挙げられる。
本発明のさらに別の態様では、望ましい低温および高温特性を有する任意の再生可能源の飽和ポリオールエステルを、ブレンドにおける全不飽和が100のヨウ素価を超えないように天然エステルとブレンドすることができる。好ましい再生可能源の合成ポリオールエステルは、グリセロールベースのエステル、トリメチロールプロパンベースのエステル、グリセロールオリゴマーベースのエステルおよびそれらの混合物から選択される。
本発明のブレンドは、個々の成分単独の特性に基づいて容易に予測できない意外な相乗効果を提供することができる。
本発明では、本明細書に記載されるような再生可能源の飽和合成ポリオールエステルは、天然または生物原材料であって、従来の農業技術によって再生することができる原材料から得られる脂肪酸成分を使用して製造される。
さらに、様々な冷却液組成物であって、冷却液が用途の具体的なニーズを満たすようにカスタマイズされるかまたは調整される特性を有する組成物を得るための方法論が本明細書に記載される。
様々な電気動作システムにおける具体的なニーズを満たすようにカスタマイズすることができる誘電性冷却液および固体電気絶縁材料を含む電気絶縁システム、ならびに前記絶縁システムのカスタマイズ方法がさらに本明細書に記載される。
理想的には、変圧器に使用される誘電性冷却液は、高い誘電強度、高い体積抵抗率(ASTM D−1169によって測定されるように25℃で少なくとも約1011オームcm)、高いインパルス強度、低い散逸率、低い粘度、高い比熱、高い熱伝導率、優れた化学的安定性およびガス吸収特性、良好な低温流動特性(低い粘度および低い流動点)、低い揮発度、高い引火点および燃焼点(不燃性)、非毒性、容易な生分解性、ならびに低コストでの入手可能性を有するべきである。さらに、冷却液が、電気機器に使用される固体誘電体に似ている誘電率(Dk)を有することが望ましいものであり得る。所望の特性のすべてを持ったただ一つのベースストック流体を提供するのは困難である。しかし、本発明の流体組成物は、再生可能源のポリオールエステルを含むブレンドした組成物において望ましい特性の全体的なバランスを提供する。
本明細書に記載される誘電性冷却液は、様々な代わりの用語を用いて総称的に言及されてもよい。たとえば、用語「変圧器油」、「冷却液」、「絶縁液」は、誘電性冷却液に総称的に言及するのに用いられてもよいし、または現在特許請求される本発明の特有の組成物に言及する他の用語が、本明細書の本文において同じ意味で用いられてもよい。本明細書でのそのような用語の文脈上の使用は、ある用語が総称的であることを意図されるかまたはそれが所与の使用もしくは組成物に対して特異的であるような場合に当業者に容易に伝わるはずである。
本発明の合成エステルおよびブレンドの物理的特性は、それらを誘電性流体としての使用に特に好適のものにする。本発明のエステル組成物は、本発明の合成エステル組成物の性能に決定的に重要であると本出願人が考える、望ましい低温特性(たとえば、粘度および流動点)、高温特性(たとえば、引火点および燃焼点)、化学的安定性(すなわち、熱および酸化安定性)ならびに電気特性(たとえば、散逸率、誘電率)をバランスさせる様々な特性を具体化するように調合することができる。さらに、誘電性流体のガス発生傾向は、それが、好適な流体が使用条件下で好適であるかどうかを示す計量性能として有用であるので、任意の誘電性流体の決定的に重要な特性である。
本発明の組成物の低温特性は、温度の極端などの、可変の大気温度に一般に曝される、変圧器において特に有用である。本発明の誘電性冷却液は、ASTM D−97によって測定されるように約−20℃よりも低い、あるいは約−30℃、または約−40℃よりも低い流動点を有する。
さらに、冷却液が伝熱流体としてのそれらの能力において効率的であるためには、流体は低い粘度、高い熱伝導率、高い比熱、および−特に、0℃よりも下の温度から100℃よりも上の温度までの範囲であり得る、変圧器動作温度で−高い膨張係数を有することが望ましい。これらの特性のうち、粘度は、より小さい自己冷却変圧器での自然対流かより大きいユニットでのポンプを使った強制対流かのどちらかによる伝熱にとってより影響力の大きい特性であると考えられる。一般に受け入れられるトレンドは、動粘度が低ければ低いほど、熱散逸はより高くなる。動粘度は、液体の動的粘度対その密度の比である。
再び、理想的な誘電性流体を提供することに、問題がないわけではない。低粘度流体は一般に、低い引火点および燃焼点を有する傾向があり、より少ない引火性のKクラス基準を満たさない可能性がある。他方では、Kクラス基準を満たす流体は典型的には、より高い動粘度を有し、典型的には液体入り変圧器で発生する熱を消散させるのに効果的ではない。この効果のない熱散逸は、変圧器の寿命を短くする一因となる。本発明の絶縁冷却液は、ASTM D−445によって測定されるように40℃で40cSt以下の動粘度を有し、それにもかかわらずKクラス流体であるという判断基準を満たすことができる。
粘度指数(VI)は、油の動粘度への温度変化の影響を示す経験的な単位なしの数である。油のVIが高ければ高いほど、温度と共に粘度を変化させるその傾向はより低くなる。たとえば、ナフテン系鉱油などのより低いVIの誘電性冷却液は、変圧器動作温度でより薄くなる傾向があり、従って非常に効果的に発生した熱を消散させるのに対して、たとえば、飽和エステルを含む天然エステル油などの高いVIの流体は、低温でより低い粘度を有する傾向があり、それ故流体は冷始動中に予期される使用温度に迅速に達する。天然植物油は一般に、合成エステルおよび鉱油と比較して高い粘度指数値(>200)を有する。
引火点および燃焼点などの高温特性は、誘電性流体の決定的に重要な特性である。引火点は、流体の蒸気の着火をもたらすだろう流体の温度を表し、燃焼点は、空気および着火源に曝されたときに燃焼が起こる流体の温度を表す。本発明の誘電性冷却液は、誘電性流体に対する最高の燃焼性能基準である、Kクラス材料としての資格をそれらに与える引火性が少ない液体の規格を満たす。本発明の冷却液は、Kクラス材料の基準である、ASTM D−92によって測定されるような少なくとも300℃の燃焼点を有する。
誘電性流体についての一つの他の重要な望ましい特徴は、経時の酸化安定性に主として関連する、良好な老化安定性である。酸化は、誘電性流体の老化において決定的に重要な因子であり、それは、密封変圧器に使用されるものに対して、自由呼吸変圧器に使用される流体にとって特に重要である。良好な酸化安定性は、スラッジおよび酸の形成を最小限にし、それは、電気伝導を向上させ、許容できる伝熱を確実にし、そしてシステム寿命を保持する。
天然エステルを含む流体は典型的には、鉱油が有するよりも高い酸化速度を有し、典型的には大気および熱に曝された場合に重合するであろう。それ故、従来慣行は、天然エステル流体が自由呼吸変圧器向けに推奨されないことである。本発明の実施では、天然エステルを含む従来の流体と比較して酸化的に安定である誘電性流体冷却液は、ある程度の不飽和を有する天然油を、本発明に記載されるように不飽和を持たない再生可能源の合成ポリオールエステルとブレンドすることによって得られる。
本発明の一実施形態では、不飽和の天然油と再生可能源の合成ポリオールエステルとを含む改善された誘電性流体組成物は、ブレンドした組成物のヨウ素価をコントロールするためのやり方で成分をブレンドすることによって得られ、ここで、ブレンドした組成物は100以下のヨウ素価を有する。100未満のヨウ素価は、使用条件下で酸化的に安定である冷却液を示唆し得る。ヨウ素価は、本明細書に記載される組成物に存在する不飽和の程度の指標である。
天然油は、トコフェロールなどの天然に存在する酸化防止剤を含む。しかし、天然油に存在する天然酸化防止剤は典型的には、合成酸化防止剤と比べて油を安定させるのに有効ではない。結果として、たとえば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)としても知られる、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(DBPC);ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA);没食子酸プロピル;またはt−ブチルヒドロキノン(TBHQ)などの1つ以上の合成酸化防止剤を、流体の酸化安定性を改善するために天然エステル誘電性流体に添加することが慣習的であり得る。しかし、ある用途では、合成酸化防止剤がまったく添加されていない誘電性流体を使用するかまたはほんの痕跡量の防止剤を使用することが望ましいものであり得る。
本発明の流体は、合成酸化防止剤の実質的な不在下で、すなわち、合成酸化防止剤が流体組成物にまったく添加されていない場合にさえも、油安定性指数(OSI)によって示されるように、優れた酸化安定性を有する。本発明に従って得られる防止剤なしの冷却液は、密封および自由呼吸電気機器の両方で使用するために単独で使用することができるか、または別の防止剤なしの誘電性流体に添加することができる。本発明の目的のためには、優れた酸化安定性は、米国油化学会(American Oil Chemists Society)の方法(AOCS方法12b−92)に従って130℃で測定される、少なくとも20時間のOSI誘導時間によって示される。
本明細書に記載されるような防止剤なしの誘電性流体ブレンドは、再生可能源の飽和ポリオールエステルと高モノ不飽和酸ベースの天然エステルとを含み、これらの誘電性冷却液は、合成酸化防止剤を本質的に含まない場合でさえも良好な化学的安定性を提供する。本発明の実施では、誘電性流体は、それが、流体の重量を基準として、0.08重量%未満の合成酸化防止剤を含む場合には「防止剤なし」である。しかし、必要ならば、−芳香族ガス発生防止添加剤、金属不動態化剤、消泡剤、静電帯電傾向降下剤、および流動点降下剤などの−合成添加剤を、さらに安定性を高めるために防止剤なしの流体に添加することができる。本発明の流体は、それが0.08重量%超の酸化防止剤を含むが、合計0.4重量%超の合成酸化防止剤を含まない場合には「防止剤あり」と言われる。防止剤ありの流体は、任意の有効量の他の合成添加剤を含むことができる。
本発明の一態様では、本発明の合成エステルと約75モル%以上のモノ不飽和エステル含有量を有する少なくとも1つの天然油との防止剤なしのブレンドは、ブレンドのOSIから測定されるような、防止剤なしの別個の成分のどちらのそれよりも長い誘導時間によって示されるように、意外な安定性を実証する。防止剤なしのブレンドは、合成エステルを天然エステルとブレンドすることの相乗効果を実証し、それによってOSIは、別個の成分のどちらと比べても増加する。特に、50重量%、もしくは特に70重量%以上の合成エステルを含む防止剤なしのブレンドもしくはより特に約80重量%以上の合成エステルを含む防止剤なしのブレンド、または90重量%以上の合成エステルを含むブレンドについて、意外にも改善されているOSIを得ることができる。
本発明の別の態様では、合成エステルと天然油とのブレンドであって、合成エステルが天然油とブレンドする前に約0.07mgKOH/gエステル未満の酸価まで純化されているブレンドは、改善された酸化安定性を実証することができる。ブレンディング前に本発明の合成エステルを純化する、または精製すると、たとえば、力率を下げることなどの、ブレンドした組成物の特性を改善し、そして、たとえば、体積抵抗率などの、誘電性流体として使用される場合のブレンドの性能を高めることができる。未反応ヒドロキシル化合物、未反応酸、特に不飽和酸もしくはエステルなどの不純物を除去するための合成エステルの処理は、合成エステルのおよび本エステルを含むブレンドの性能を改善することができる。
本発明の実施での使用に好適な合成エステルは、約0.05mgKOH/グラム未満のASTM D−974による酸価を有し、好ましくは、酸価は約0.03未満であり、最も好ましくは、酸価は約0.01mgKOH/グラム以下である。所望の酸価よりも高い酸価を有する商業的に入手可能な合成エステルは、誘電性流体として有用である流体を提供するレベルまで酸価を下げるために処理することができる。
流体の精製は、個々の成分かそれらのブレンドかのどちらかをシリカゲル、活性炭、塩基性アルミナ−またはこれらの任意の2つもしくはすべての3つの組み合わせ−で処理することによって実施することができ、未処理流体と比べて改善された誘電性流体をもたらす。合成エステルの処理は、処理中に約50℃〜約150℃の温度に流体を加熱することによって補完することができる。特に、本発明の処理される流体は、3000ppm未満の未反応もしくは部分的に反応したポリオール、好ましくは1500ppm未満の未反応ポリオール、より好ましくは500ppm未満の未反応ポリオールを有する合成エステルを含む。最も好ましくは、本発明の実施に有用な合成エステルは、約50〜約0ppmの未反応もしくは部分的に反応したポリオールを含む。
本発明の精製誘電性流体は、25℃で約0.5%未満、100℃で約5%未満の、ASTM D−924によって測定されるような、力率を有する。さらに、本発明の精製誘電性流体は、25℃で1011オームcmよりも大きい、ASTM D−1169によって測定されるような、体積抵抗率を有する。
誘電性流体のガス発生傾向、すなわち、電気的ストレス下にガスを吸収するかまたは放出するその傾向は、液体入り変圧器、ケーブルおよびキャパシターの性能に影響を及ぼし得る。ガス発生傾向は、ASTM D2300によって測定することができ、ASTM D2300では、圧力の減少または増加がこの電気的ストレス下の流体挙動を示す。低いガス発生傾向を有する流体は、より少ないガスを発生させるおよび/またはあらゆる発生ガスをより良好に吸収する傾向があり、それは、特に閉鎖システムにおいて望ましいものであり得るので、低いガス発生性能は非常に望ましい。米国材料試験協会は、変圧器冷却液に対して+30μL/分の−ASTM D2300−8によって測定されるような−ガス発生傾向の限界を設けるASTM標準D3487−00を策定している。国際電気標準会議(IEC)は、絶縁流体のガス発生傾向に対する基準を設けていないが、特別な用途について、IEC60628によって測定されるような、+5μL/分の最大値を提案している。
本発明の一実施形態では、本発明の誘電性流体は、正のガス発生傾向を有する少なくとも1つの誘電性流体を負のガス発生傾向を有する天然エステルとブレンドするプロセスによって、ASTM D2300−8によって測定されるように、流体のガス発生傾向が+30〜−30μL/分の範囲内であるように流体のガス発生傾向をコントロールするように調合される。本明細書に記載されるブレンドした誘電性流体のガス発生傾向は、誘電性流体のガス発生挙動をコントロールするために従来慣行で使用される、芳香族ガス発生防止添加剤の使用なしにコントロールされる。
散逸率は、熱として散逸されるエネルギーの量を順繰りに示す流体における誘電性損失の尺度である。散逸率値は、できるだけ低くなければならない。天然エステルおよび合成エステル絶縁流体は通常、高温でとりわけ非極性の鉱物絶縁油よりも高い散逸率を有する。本発明の流体についての典型的な値は、25℃で約0.5%未満、100℃で約5.0%未満である。未老化流体が、可溶性の極性汚染物質の存在を示唆するこれらの値を超える場合には、流体は、汚染物質のレベルを排除するかまたは低減するために純化することができる。
誘電率(Dk)は、単位電位勾配当たりの単位体積当たり貯蔵することができる静電エネルギーの量と定義され、それは、ASTM D924によって誘電性流体について測定することができる。従来の鉱油は約2.2の誘電率を有し、固体セルロース絶縁体は約4.5を有する。天然エステルおよびポリオールエステルの誘電率は、鉱油よりも高く、25℃で約2.5〜4.5の範囲にある。変圧器中の液体絶縁体の誘電率、Dkを増加させ、それらを固体絶縁体のそれにマッチさせると、オイルチャネルでのストレスを増加させることなく絶縁システムをバランスさせ、混合誘電体の利用を改善する。本発明の一態様では、冷却液対絶縁固体材料の誘電率の比(Dkr)は0.5よりも大きいように設計されるか、または0.5〜約1.0の範囲にあり得る。高いDkの液体絶縁体は、変圧器の設計および動作において省力をもたらす。本発明の誘電性流体の誘電率値がセルロース、Nomex(登録商標)またはセルロース−Nomex(登録商標)ブレンドなどの固体絶縁材料により近いように本発明の誘電性流体を調合できることが本発明の態様である。
本発明の別の実施形態では、合成ポリオールエステルは、グリセロールオリゴマーエステルを含み、ここで、このエステルは、グリセロールオリゴマーまたはそのオリゴマー混合物のエステル化後に得られる生成物である。グリセロールオリゴマーは、本発明の目的のためには、ジグリセロールからヘキサグリセロールオリゴマーまで、およびそれらの混合物を含む。ジ−、トリ−、または高級グリセロールオリゴマーエステル(GOE)を本発明の実施に使用する利点の一つは、グリセロールオリゴマーエステルが、約3.1の誘電率を典型的には有する、天然油よりも高い誘電率(約4.5)を有することである。それ故、流体誘電率が固体絶縁紙のそれにより厳密にマッチする範囲まで誘電性流体の誘電率をコントロールするかまたは調整する方法を提供することが、本発明の態様である。本方法は、GOEを天然エステルもしくは他の再生可能源の合成ポリオールエステルとまたは鉱油と、または鉱油を含むブレンドと混合する工程を含む。本発明の目的のためには、グリセロールオリゴマーは、2〜6つのグリセロール繰り返し単位、好ましくは2もしくは3つのグリセロール繰り返し単位、またはそれらの混合物を含み、4〜8個のヒドロキシルを有する。好ましくはオリゴマーの少なくとも約90%はジグリセロールである。
さらに別の実施形態では、再生可能源の合成エステルと鉱油とのブレンドは、誘電性冷却液として有効であり得る。特定の実施形態では、鉱油は、厳しく水素処理されたナフテン系油または厳しく水素処理されたイソパラフィン系油である。「厳しく水素処理された」とは、鉱油が、たとえば米国特許第6,790,386号明細書に記載されているように(1)水素化分解、(2)水素化異性化、および(3)水素化の順次プロセスにかけられることを意味する。この方法で処理された鉱油は生分解性であり得る。しかし、鉱油との本発明のブレンドは、低いもしくは負のガス発生傾向、すなわち、約+30未満〜約−30μL/分のガス発生傾向を有する誘電性流体を提供するために芳香族ガス発生添加剤を必要とする。ブレンドは、少なくとも約25重量%、またはあるいは約50重量%〜約99重量%、または約75〜約95重量%の鉱油と、本発明の再生可能源の組成物と高いモノ不飽和エステル含有量を有する天然油とのブレンドを含めて、約1〜約75重量%の本発明の再生可能源の組成物とを含むことができる。鉱油は、(1)天然油もしくはそのブレンド、特にかなりのモノ不飽和エステル含有量を有するもの、(2)合成ポリオールエステルもしくはそのブレンド、または(3)(1)におけるような天然油および(2)におけるような合成油を両方とも含むブレンドのどれかとブレンドすることができる。本明細書に記載されるような鉱油ブレンドは、鉱油以外の流体でコスト有効性を潜在的に向上させながら、改善された酸化安定性、低い流動点、低い粘度、低い粘度指数および改善されたガス発生傾向などの望ましい特性のバランスを有するブレンドした絶縁流体を提供するために本発明の方法に従って調合することができる。本発明のブレンドは、誘電性流体としての使用において安定であり、かつ、有効であるが、ガス発生傾向基準を満たすためにガス発生添加剤を必要としない流体を提供するために設定された基準を満たすように調合される。
本明細書に記載される冷却液の性能を改善するための添加剤は、任意選択であり得る。ある実施形態では、観察される改善は、添加剤の不在を考えれば意外である。たとえば、酸化安定性は、合成エステルと天然油とをブレンドすることによって酸化防止剤の使用なしに意外な程度まで改善することができる。しかし、必要ならば、添加剤を使用することができる。ブレンドの組成に依存して、本発明のブレンドした組成物は、酸化防止剤、流動点降下剤、ガス発生防止芳香族試剤、金属不動態化材、消泡剤、および静電帯電傾向降下剤などの被添加合成添加剤を必要としてもしなくてもよい。
たとえば、一実施形態では、本発明のブレンドした組成物は、ブレンドの約51〜約99重量%の、主成分としての再生可能源の飽和合成ポリオールエステルと、ブレンドの約1重量%〜ブレンドの約49重量%の、オープン呼吸変圧器で使用するための少量成分としての天然油とを含み、添加剤が添加されていてもよい。
別の実施形態では、本発明のブレンドした組成物は、ブレンドの約1重量%〜ブレンドの約49重量%の、少量成分としての再生可能源の合成ポリオールエステルと、密封変圧器で使用するためのブレンドの約51〜約99重量%の、主成分としての天然ベースのエステルとを含み、添加剤が添加されていてもよい。
別の実施形態では、本発明のブレンドした組成物は、ブレンドの約51〜約99重量%の、主成分としてのナフテン系鉱油かイソパラフィン系鉱油かのどちらかと、ブレンドの約1重量%〜約49重量%の、少量成分とを含み、再生可能源の合成飽和ポリオールエステルと電力変圧器で使用するための高オレイン酸ベースのトリグリセリドとのブレンドを含み、添加剤が添加されていてもよい。
酸化防止剤が含められる場合には、IRGANOX(登録商標)259などの高分子量フェノール系酸化防止剤を含めることができるか、または鉱油を含むブレンドのためにTBHQを添加することができるかもしくはBHTを添加することができる。具体的な酸化防止剤を、最適結果のために流体ブレンドの特定の主成分とマッチさせることが有利であり得る。たとえば、ブレンドの主成分として合成エステルを含むブレンドは、TBHQによってよりもIRGANOX(登録商標)259などの酸化防止剤によって明らかに良好に安定させられる。主成分として天然エステルを含むブレンドは、TBHQによって明らかに良好に安定させられる。合成酸化防止剤のブレンドが、流体ブレンドの適切な主成分と個々の酸化防止剤がマッチする場合ほどブレンドした流体組成物の安定性を改善するのに有効でなかったことは意外である。
バイオベースの流体として分類される誘電性流体について、米国農務省(United State Department of Agriculture)(USDA)は、合成ポリオールエステルに対しては66%の再生可能炭素もしくはバイオベースの炭素含有量および天然エステルに対しては95%の再生可能炭素もしくはバイオベースの炭素含有量という最低基準を定めている。本発明の組成物は、66%超の再生可能炭素もしくはバイオベースの炭素含有量を有する。
一実施形態では、本発明のブレンド組成物は、通常のクラフト紙、熱的にアップグレードしたセルロース紙、Nomex(登録商標)紙およびセルロース/Nomex(登録商標)ブレンド紙から選択される絶縁紙を含む液体入り変圧器に有用である。
概要
以下の原材料を実施例において使用した。
次の脂肪酸:パルミチン酸(6.5重量%)、ステアリン酸(4.15重量%)、オレイン酸(73.9重量%)、リノール酸(8.77重量%)、およびリノレン酸(2.94重量%)のトリグリセリドを含有する純化された、漂白された、および脱臭された高オレイン酸大豆油(RBD HOS油)は、米国特許第5,981,781号明細書に従って得られた。
商品大豆油は、Homestead Farms,Des Moines,IAから入手した。
防止剤ありのタイプII鉱油、Univolt N 61Bは、ExxonMobil,Fairfax,VAから入手した。
防止剤なしの鉱油、Nytro Taurusは、Nynasから入手した。
カプリルおよびカプリン(C8/C10)脂肪酸のブレンドは、Acme Hardestyから入手した。ヘプタン酸(C7)は、Alfa Aesar(Heysham,England)から入手した。
ラウリン酸(>98%)は、Alfa Aesarから受け取ったまま使用した。
グリセロールおよびトリメチロールプロパン(97%)は、Aldrich Company(Milwaukee,WI)から入手した。
ジグリセロールは、Solvay Performance Chemicals(Houston,TX)から入手した。
グリセリルトリカプリレート−カプレート(GTCC)は、DuPontによって商品名Grindsted(登録商標)MCT 60 Xで販売されている。トリメチロールプロパントリカプリレート−カプレート(TTCC)(WAGLINOL 3/13480)およびペンタエリスリトールテトラカプリレート−カプレート(PTCC)(WAGLINOL 4/13680)は、Industrial Quimica Lasem,S.A.Barcelona,Spainから入手した。
シリカゲルは、EMD Chemicalsから入手した。
活性炭(PWA粉末)は、Calgonから入手した。
塩基性アルミナ(G250)は、BASF Companyから入手した。
天然エステルのヨウ素値は、プロトンNMRを用いて不飽和を定量化することによって求めた。
組成物に関する濁度測定は、懸濁粒子から反射される光を監視する比濁分析濁度計(MicroTPW,Model 20000,Scientific Inc.FT.Myers,FL)を用いて実施した。NTU(比濁分析濁度単位)数は、溶液の透明性を表し;より低い数は、より高い透明性を表す。
色は、ASTM D−1209に従ってAPHA値(白金−コバルトシステム)として測定した。
比較例1〜3
商業的に入手可能な合成飽和ポリオールエステル(GTCC、TTCCおよびPTCC)を、変圧器で使用するためのベースストックとしてのそれらの好適性を決定するために評価した。これらのエステルは、(C8/C10)脂肪酸の同じ混合物を含むが、エステルを製造するために使用されるポリオールのアイデンティティにおいてのみ異なる。これらのポリオールエステルの測定された特性を表1に報告する。
Figure 2015536548
表1に示されるデータから、試験された商業的に入手可能なポリオールエステル流体のどれも、誘電性流体にとっての所望の特性(低い粘度、高い誘電率、低い流動点、引火点および燃焼点についてのKクラス基準、低い力率、低いガス発生傾向)の組み合わせを持っていない。すべての3つのポリオールエステルが、ASTM D3487−00によって規定されているような+30μL/分という正のガス発生傾向の上限を超えた、したがって本発明の実施のための誘電性流体として好適ではない。
比較例4
トリメチロールプロパントリカプリレート−カプレート(TTCC)の製造
Dean−Starkトラップおよび冷却器、磁気攪拌機、窒素入口、熱電対ならびに外部加熱外套を備えた1Lの三つ口丸底フラスコに、1,1,1−トリメチロールプロパン(131.4g、0.98モル)、および60/40のC8/C10脂肪酸ブレンド(499.5g、3.21モル)を添加した。混合物を、400rpmおよび窒素雰囲気で攪拌しながら225℃に加熱した。圧力を、5時間にわたっておおよそ100mmHgずつ75mmHgまで下げ、さらなる6時間保持し、その時間の間ずっと蒸留物をトラップに集めた。
Dean−Starkトラップを、収集フラスコを備えた冷却器と取り換え、ヘッドスペースへの窒素入口を窒素パージと取り換えた。反応物を、速い窒素パージでおよび400rpmで攪拌しながら5mmHg圧力で225℃に加熱し、蒸留物を7時間にわたって集め、トリメチロールプロパントリカプリレート−カプレートを生成した(523.5g、98.3%)。
実施例1
トリメチロールプロパントリカプリレート−カプレート−ラウレートの製造
Dean−Starkトラップおよび冷却器、磁気攪拌機、窒素入口、熱電対ならびに外部加熱外套を備えた1Lの三つ口丸底フラスコに、1,1,1−トリメチロールプロパン(104.2g、0.8モル)、60/40のC8/C10脂肪酸ブレンド(332.0g、2.1モル)およびC12脂肪酸(83.0g、0.4モル)を添加した。混合物を、400rpmおよび窒素雰囲気で攪拌しながら225℃に加熱した。圧力を、5時間にわたっておおよそ100mmHgずつ75mmHgまで下げ、さらなる6時間保持し、その時間の間ずっと蒸留物をトラップに集めた。Dean−Starkトラップを、収集フラスコを備えた冷却器と取り換え、ヘッドスペースへの窒素入口を窒素パージと取り換えた。反応物を、速い窒素パージでおよび400rpmで攪拌しながら5mmHg圧力で225℃に加熱し、蒸留物を7時間にわたって集め、トリメチロールプロパントリエステルを生成した(429.9g、97.9%)。
この流体の特性を、C8/C10脂肪酸ブレンドからの実験室被合成エステル流体(比較例4)についての同じ特性と一緒に測定し、表2に提供した。
Figure 2015536548
実施例2
市販合成ポリオールエステル(TTCC)の精製
窒素パージ、熱電対、ヒーターおよび磁気攪拌機を備えた5Lの三つ口丸底フラスコに、トリメチロールプロパントリカプリレート/カプレート(3005.9g、Waglinol 3/13480)、活性炭(30.0g、Calgon、PWA粉末の)および塩基性アルミナ(30.0g、BASF、G250)を添加した。このシステムを、90分間250rpmで攪拌しながら、窒素をヘッドスペースに通過させながら、130℃に加熱した。流体を放冷し、減圧および窒素雰囲気を用いて、1/2インチのシリカゲル 60(おおよそ30g、Alfa Aesar)の上に1/2インチのCelite 545(おおよそ30g、EDM)を層状に重ねた粗いフリット漏斗を通過させ、精製トリメチロールプロパントリエステルを生成した(2793.0g、92.9%)。受け取ったままの市販エステルと比較した精製トリエステルの特性を表3に報告する。
Figure 2015536548
受け取ったままの市販製品の精製は、製品の品質およびその電気特性を改善した。著しい力率の低下および体積抵抗率の増加が精製製品について観察された。流体の酸化安定性は、精製手順によって改善された。
実施例3
ジグリセロールエステルまたはグリセロールオリゴマーエステル(GOE)の製造
22Lの反応フラスコにオーバーヘッド攪拌機、熱電対、窒素を液体中へ吹き込むための入口、ならびに蒸留塔および凝縮器を装備した。フラスコを窒素でフラッシュし、ジグリセロール(3.1Kg)、ヘプタン酸(1.2Kg)、オクタン酸(6.8Kg)、およびデカン酸(4.0Kg)をフラスコ中へ装填し、窒素を混合物中に吹き込んだ。反応物を150℃までゆっくり加熱し、4時間加熱し、次に別の11時間150℃〜224℃で加熱した。合計約1.25Lの水を集めた。反応混合物を室温に冷却した後、蒸留塔を取り除き、蒸留ヘッドをフラスコに直接連結した。反応混合物を、ポット温度が217℃に達するまで1トルの圧力で蒸留し、その温度で未反応酸(694g)を回収した。室温に冷却した後、反応混合物をヘキサン(7L)で希釈し、30Lの底部バルブ付き樹脂ケトルに移した。材料を次に、飽和NaCL(1L)、NaOH溶液(10%、2L)およびDI水(3L)の混合物、NaOH(10%、3×2L)で、そしてDI水(5×3L)で洗浄した。ヘキサン溶剤をロータリーエバポレーターで除去して粗生成物を形成した。粗生成物を、薄い(3/4インチ)シリカゲルを通過させ、濾過液を1時間110℃で真空で乾燥させて油を得た(11.8Kg)。油試料を、1時間1トル真空下に110℃で活性炭(2%)で処理した。室温に冷却した後、シリカゲル床を通しての濾過によって活性炭を除去してほとんど無色の油を得た。約3.2Lの濾過液を、10インチシリカゲルカラムを通過させ、約3Lの溶離液を集めた。FAME分析は、次の含有量:ヘプタン酸(8.6%)、オクタン酸(55.2%)、デカン酸(35.9%)、およびラウリン酸(0.2%)を示した。
FAME分析は、下に記載されるように行った。
FAMEプロフィール試験
ストック調製
この試験のために先ず、いくつかのストック液を調製した。
分析用の油:トルエン中30mg/ml。
ストック酸−メタノール(50mL)を冷却し、塩化アセチル(5mL)をゆっくり添加する。
ストック塩−1M水性塩化ナトリウム。
ストック内部標準−トルエン中5mg/mL、内部標準はトリグリセリドであり、トリグリセリドは、内部標準の反応速度が油の反応速度のそれに近いはずであるからメチルエステルへの油すべての100%未満の転化率の影響を最小限にすることによって油試料と一緒に反応してそこでメチルエステルを形成するであろう。トリペンタデカノイン(C15:0)である、内部標準は、Nu−Chek Prep、Inc.catalog code T−145から購入した。
試料実験
小さい攪拌バーを備えた20mLのバイアル中で、ストック油(100μL)、ストック内部標準(100μL)、およびストック酸(1mL)を組み合わせる。バイアルを1時間攪拌しながら80℃に加熱し;冷却するとすぐにバイアルを開け、ストック水性塩化ナトリウム(1mL)およびヘキサン(300μL)を添加する。十分に混合し、全溶液を小さいバイアル(約3mL)中へピペットで取ってより容易な層分離を可能にする。約300μLの有機液(トップ層)を、インサートを備えたGCバイアル中へピペットで取り出す。
GC法仕様
32個の異なるメチルエステルC4:0〜C24:1のGLC−461参照基準混合物を使用して保持時間を確認するために確立された方法。カラム:Supelco 24152 Omegawax 320 長さ30m、直径320μm、フィルム厚さ0.30μm。オーブンランプ:初期温度160℃が5分間そのままであり、次に2℃/分で220℃まで上昇し、10分間そのままであり、次に20℃/分で240℃まで上昇し、5分間そのままである。キャリアガスはヘリウムである。注入口 圧力11.55psiで250℃;スプリット比50:1 スプリット流量:77.8mL/分;全体流量:82.3mL/分。初期流量 11.56psiで1.6ml/分。270℃にセットして使用される水素炎イオン化検出器、水素流量35mL/分;空気流量400mL/分;モード定数 カラム+メークアップフロー;複合フロー32.0、メークアップガスはヘリウムである。
計算のデータ解析説明例
Figure 2015536548
油からのメチルエステルについてのメチルエステル相対重量パーセントを計算する。現在処理中の試料のそれぞれについて3つの繰り返しを、同じストック油溶液を使用して行う。これらの試料のそれぞれから、FAMEプロフィールが確立され、3つの繰り返しについての平均を、標準偏差と共に存在する各メチルエステルについて計算する。
Figure 2015536548
流体の酸化安定性
比較例5〜8:被添加酸化防止剤の不在下での2つのニート合成ポリオールエステル流体(比較例5および6)ならびに高オレイン酸大豆油(HOS)および商品大豆油(Soy)などの2つの天然エステル流体(比較例7および8)の酸化安定性を油安定性指数(OSI)によって評価した。OSI測定は、公認のAOCS法(AOCS Method Cd 12b−97)を用いてOxidative Stability Instrument(酸化安定性機器)(Omnion,Inc,Rockland,Mass.)を用いて130℃で行った。試料を正副2通り試験した、そして各流体についての平均値を表5に示す。
実施例4〜7:実施例2の精製TTCC流体を10〜50重量%の範囲の重量比で高オレイン酸大豆油と混合することによってブレンドを調製した。
実施例8:別個に、90重量%の実施例3のGOEを10重量%の高オレイン酸大豆油と混合することによって別のブレンドを調製した。
実施例9:90重量%の実施例3のGOEを10重量%の商品大豆油と混合することによってブレンドを調製した。
合成酸化防止剤の不在下での上記ブレンドの酸化安定性を、OSIによって評価し、表5においてニート流体と比較した。高オレイン酸大豆油および商品大豆油における不飽和の量を、NMRから求め、ブレンドにおける不飽和を、存在する量天然エステルに基づいて計算した、そしてヨウ素価として報告する。
Figure 2015536548
飽和ポリオールエステルは、天然エステルと比較してより高度のOSI誘導時間を実証し、遺伝子組み換え高オレイン酸大豆油は、従来の商品大豆油と比較されるときにより長い誘導時間を有した。
TTCCからなるブレンド中の高オレイン酸大豆油量のOSI誘導時間への影響を図1に示した。流体ブレンドの最高酸化安定性は、約10重量%のHOS油で到達され、ブレンド流体の安定性は、HOS油の増加と共に徐々に低下し、約50重量%のHOS油でニートポリオールエステルの安定性に達した。
流体のガス発生傾向
電気的ストレス下でのニート高オレイン酸大豆油および商品大豆油(比較例7および8)、ならびに2つの合成ポリオールエステル流体(比較例2および6)のガス発生傾向が、ASTM D2300に従ってDoble研究所において試験された、そしてそれらの値を表6に報告する。電気的ストレス下で天然植物油はガス吸収(負のガス発生)傾向を有し、合成飽和ポリオールエステルはガス放出(正のガス発生)傾向を有した。
実施例10〜12
表6に示されるように、再生可能源の合成飽和ポリオールエステル流体を、いかなる添加剤も添加することなく天然エステルと混合することによってブレンドを調製し、これらのブレンドのガス発生傾向を試験し、ニートエステル流体と比較した。
表6に示されるように、飽和TMPベースのトリエステル(TTCC)またはグリセロールオリゴマーベースのエステル(GOE)への高オレイン酸大豆(HOS)油または商品大豆油(Soy)などの天然エステル流体の添加は、合成飽和流体の特性を、ガス放出からガス吸収へと意外にも変えた(比較例2および6ならびに実施例10〜12)。
Figure 2015536548
ニートおよびブレンド流体のガス発生傾向への合成酸化防止添加剤の影響を研究した。表7に示されるように、添加剤は、負のガス発生傾向流体(比較例8および9)または正のガス発生傾向流体(比較例2)のどちらにも影響を及ぼさなかった。意外にも、添加剤は、ブレンドへの注目に値する影響を示した。ガス発生傾向の低下の非線形影響はまた、ブレンドについても明らかであった(実施例13、14、16)。
添加を逆にした場合、すなわち、少量の飽和ポリオールエステルを天然エステルに添加した場合、負のガス発生傾向速度は、−39.1から−36.2へわずかに低下し(実施例18)、その影響は、ポリオールエステルへの天然エステルの添加ほど著しくない。
Figure 2015536548
混合エステルおよび鉱油ブレンド:
防止剤ありの鉱油、Univolt N61B(比較例10)および防止剤なしの鉱油、Nytro Taurus(比較例11)のガス発生傾向を試験し、それらの値が許容範囲内にあることが分かった。それにもかかわらず、これらの流体のガス発生傾向は、ガス発生防止添加剤を添加することなく高オレイン酸大豆油(実施例22および23))または合成エステルと高オレイン酸大豆油とのブレンド(実施例24)のどちらかの添加によって改善された。再度、低下した正のガス発生傾向は、表8の実施例25に示されるように、酸化防止添加剤の存在下でのブレンド流体について観察された。
それ故、本発明の流体は、合成ポリオールエステル流体を適切な量の天然エステルと、特に高オレイン酸大豆油とブレンドすることによって酸化および電気的ストレスに関して良好な化学的安定性を有するように調整することができる。
Figure 2015536548
再生可能源の合成ポリオールエステルおよび天然エステルブレンド
実施例26
防止剤なしのブレンド流体を、90重量%のTTCCと10重量%のHOS油とのみを混合することによって調合した、そしてこの流体は、芳香族ガス発生防止添加剤、合成酸化防止剤、不動態化剤および流動点降下剤などの合成添加剤を本質的に含まない。調合流体の特性を表9に示す。
実施例27〜28
防止剤ありの流体調合物をまた、主なベースストックとしての再生可能源の合成ポリオールエステル(精製TTCC)と少量(添加物)成分としての天然エステル(HOS)とをブレンドすることによって調製した。結果として生じる流体は、表9に示されるように優れたバランスのとれた特性を有し、変圧器での、特に、オープン呼吸電力変圧器で使用するための絶縁流体として好適である。
Figure 2015536548
表9のデータは、再生可能源の合成エステルを天然エステルとブレンドすることによる流体の特性を、それによって誘電性流体としてのそれらの性能を変える柔軟性を示す。
比較例12
天然エステル油をベースとする商業的に入手可能な誘電性流体を試験した、そしてこの流体の特性を表10に報告する。データが示すように、この流体は、粘度、流動点、酸化安定性およびガス発生傾向の所望の特性を満たさなかった。
実施例29
改善された特性の防止剤ありの流体調合物を、主成分としての、天然エステル大豆油、少量成分としての2つの合成ポリオールエステル(TTCCおよびGTCC)の混合物、0.2%の酸化防止剤および1.0%の流動点降下剤をブレンドすることによって調製した。表10に示されるように、この流体は、市販流体と比較して優れた酸化安定性、低いガス発生傾向、秀でた低温流体特性を有し、K火災安全クラスを満たした。再度、酸化安定性の流体は、同様にまた低いガス発生傾向を有することが分かった。この流体は、密封およびオープン配電ならびに電力変圧器の両方において有用である。
Figure 2015536548
本発明の調合物は、記載された組成物に限定されず、調合物のさらなる最適化を、流体の性能を改善するために行うことができる。
実施例30
防止剤なしの誘電性流体を、厳しく水素処理した防止剤なしの絶縁材料油(80重量%、Nytro Taurus)、16重量%のポリオールエステル(トリメチロールプロパントリカプリレート/カプレート)、および4重量%の高オレイン酸大豆油をブレンドすることによって調製した。合成添加剤は流体にまったく添加しなかった。防止剤なしの誘電性流体ブレンドの特性を試験し、表11においてニート鉱油(比較例13)と比較した。
Figure 2015536548
表11に見られるように、鉱油への20重量%混合エステルの添加は、有意に鉱油の特性を変えなかった。それにもかかわらず、非極性鉱油への極性の、安定したエステル流体ブレンドの添加は、本発明の誘電性流体中の固体絶縁体の秀でた安定性のために電力変圧器の信頼性、持続可能性、および寿命を高める可能性がある。老化時に、この流体は、ニート鉱油と比較されるときに、水分ならびに熱応力および電気的ストレスに対してより多くの耐性を有する可能性があり、固体絶縁紙を乾燥状態に保ち、より低いスラッジ形成およびより低い酸発生を維持する。さらに、この流体の生分解性は、鉱油よりも高いだろう。
表12は、酸化防止剤の存在下でのエステルブレンドの酸化安定性を報告し、ニートエステル流体と比較する。
Figure 2015536548
実施例31
市販MCT60X試料におけるジグリセリド不純物および力率(Pf)低下
「受け取ったまま」のMCT60X試料に関する1H NMR分析は、それが約3800ppmのジグリセリドを含有することを示した。シリカゲル処理(実施例2を参照されたい)後に、精製MCT60Xは、そのジグリセリド不純物が、1H NMR分析に基づく検出限界よりも下に減少することを示した。したがって、試料のPfは著しく低下した(表13を参照されたい)。
Figure 2015536548
Figure 2015536548
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕誘電性流体として有用な組成物であって、前記組成物が、約3000ppm未満の未反応もしくは部分的に反応したポリオールを有する再生可能源の合成飽和ポリオールエステルを含み、前記ポリオールエステルが、(i)少なくとも3個のヒドロキシル基を有するポリヒドロキシル成分と(ii)カルボキシル誘導体の少なくとも約95モル%が6〜12個の炭素原子を含む、飽和のカルボキシル誘導体の混合物とを含む反応混合物から得られる完全にエステル化された反応生成物であり、
前記組成物が、少なくとも300℃のASTM D−92によって測定されるような燃焼点、および40℃で約30センチストークス未満のASTM 445によって測定されるような粘度を有する組成物。
〔2〕再生可能源の合成飽和ポリオールエステルを含む、誘電性流体としての使用に好適な組成物であって、
(A)前記ポリオールエステルが、(i)少なくとも3個のヒドロキシル基を有するポリヒドロキシル成分と(ii)カルボキシル誘導体の少なくとも約95モル%が6〜12個の炭素原子を含む、飽和の線状カルボキシル酸の混合物とを含む反応混合物から得られる完全にエステル化された反応生成物であり、
(B)前記ポリオールエステルが、約0.07mg KOH/グラム未満の酸価を有し、そして約3000ppm未満の未反応もしくは部分的に反応したポリオールを含むポリオールエステル流体組成物を得るために、
(a)前記流体を活性炭および塩基性アルミナまたはシリカゲルと約50℃〜約150℃の温度で接触させる工程と、
(b)前記混合物を濾過する工程と
を含む方法によってさらに処理されており、
前記組成物が:
(1)約5%未満の100℃でASTMD−924によって測定されるような、力率を有し;
(2)10 11 オームcmよりも大きい25℃でのASTM D−1169による体積抵抗率を有する、
組成物。
〔3〕誘電性流体として有用な組成物であって、前記組成物が、約3000ppm未満の未反応ポリオールを有し、そして合成酸化防止剤をさらに含む再生可能源の合成ポリオールエステルを含み、前記ポリオールエステルが、(i)少なくとも4個のヒドロキシル基を有するグリセロールオリゴマー成分と;(ii)カルボキシル誘導体の少なくとも約95モル%が6〜12個の炭素原子を含む、飽和の線状カルボキシル誘導体の混合物と;(iii)任意選択的にエステル化触媒とから本質的になる反応混合物から得られる完全にエステル化された反応生成物であり、
前記組成物が、ASTM D924によって測定される約4.5の誘電率(Dk)、少なくとも300℃のASTM D−92によって測定されるような燃焼点、および40℃で約30センチストークス未満のASTM 445によって測定されるような粘度を有する組成物。
〔4〕再生可能源の合成飽和ポリオールエステルを含む、誘電性流体としての使用に好適な組成物であって、
(A)前記ポリオールエステルが、(i)少なくとも4個のヒドロキシル基を有するグリセロールオリゴマー成分と;(ii)カルボキシル誘導体の少なくとも約95モル%が6〜12個の炭素原子を含む、飽和の線状カルボキシル誘導体の混合物と;(iii)任意選択的にエステル化触媒とを含む反応混合物から得られる完全にエステル化された反応生成物であり、
(B)前記ポリオールエステルが、約0.07mg KOH/グラム未満の酸価を有し、そして約3000ppm未満の未反応もしくは部分的に反応したポリオールを含むポリオールエステル流体組成物を得るために、
(a)前記流体を活性炭および塩基性アルミナまたはシリカゲルと約50℃〜約150℃の温度で接触させる工程と、
(b)前記混合物を濾過する工程と
を含む方法によってさらに処理されており、
前記組成物が、ASTM D924によって測定される約4.5の誘電率(Dk)、少なくとも300℃のASTM D−92によって測定されるような燃焼点、および40℃で約30センチストークス未満のASTM 445によって測定されるような粘度を有する組成物。
〔5〕誘電性流体として有用な組成物であって、前記組成物が、
(1)約1〜約99重量%の再生可能源の合成ポリオールエステルであって、前記ポリオールエステルが、(i)少なくとも3個のヒドロキシル基を有するポリヒドロキシル成分と(ii)カルボキシル誘導体の少なくとも約95モル%が6〜12個の炭素原子を含む、飽和の線状カルボキシル誘導体の混合物とを含む反応混合物から得られる完全にエステル化された反応生成物であるポリオールエステル;および
(2)約1重量%〜約99重量%の、長鎖脂肪酸エステルから本質的になる、天然源から得られるトリアシルグリセロール天然油
を含むブレンドであり、
前記ブレンドが、前記ブレンドの成分(1)のガス発生傾向と比較して、芳香族ガス発生防止添加剤なしで、低下したガス発生傾向を有する組成物。
〔6〕(a)前記合成ポリオールエステルまたはそのブレンドを活性炭および塩基性アルミナと約50℃〜約150℃の温度で接触させ、
(b)前記混合物を濾過した
後に得られる前記〔5〕に記載の組成物であって、
前記組成物が、
(1)0.5%未満の25℃でASTMD−924によって測定されるような、力率を有し;
(2)少なくとも300℃のASTM D−92によって測定されるような燃焼点を有し;
(3)約3.1〜約4.5の範囲の誘電率(Dk)を有し;
(4)約−20℃よりも低い、ASTM D−97によって測定されるような、流動点を有する組成物。
〔7〕誘電性流体として有用な組成物であって、前記組成物が、
(1)約1〜約99重量%の再生可能源の合成ポリオールエステルであって、前記ポリオールエステルが、(i)少なくとも3個のヒドロキシル基を有するポリヒドロキシル成分と(ii)カルボキシル誘導体の少なくとも約95モル%が6〜12個の炭素原子を含む、飽和の線状カルボキシル誘導体の混合物とを含む反応混合物から得られる完全にエステル化された反応生成物であるポリオールエステル;
(2)約1重量%〜約99重量%の、約75モル%超のオレイルエステルを含む長鎖脂肪酸エステルから本質的になる、天然源から得られるトリアシルグリセロール天然油;ならびに
(3)流動点降下剤、金属不動態化剤、消泡剤、および静電帯電傾向降下剤からなる群から選択される任意選択の添加剤
から本質的になるブレンドであり、
(a)前記ブレンドが防止剤なしであり;
(b)前記ブレンドが、少なくとも300℃のASTM D−92によって測定されるような燃焼点を有し;
(c)前記ブレンドが、被添加芳香族ガス発生防止添加剤なしで、成分(1)のガス発生傾向と比較して低下したガス発生傾向を有し、
(d)前記ブレンドが、約−20℃よりも低いASTM D−97によって測定されるような流動点を有する組成物。
〔8〕(a)前記合成飽和ポリオールエステルまたはそのブレンドを活性炭および塩基性アルミナと約50℃〜約150℃の温度で接触させ、
(b)前記混合物を濾過した
後に得られる前記〔7〕に記載の組成物であって、
前記組成物が、
(1)約0.5%未満の25℃でASTMD−924によって測定されるような、力率を有し;
(2)少なくとも300℃のASTM D−92によって測定されるような燃焼点を有し;
(3)約3.1〜約4.5の範囲の誘電率(Dk)を有し;
(4)約−20℃よりも低い、ASTM D−97によって測定されるような、流動点を有する組成物。
〔9〕約−30〜約+30μL/分の範囲内の、ASTM D−2300に従って測定されるような、ガス発生傾向を有する前記〔8〕に記載の組成物。
〔10〕前記〔1〕〜〔9〕のいずれか一項に記載の誘電性流体を含む電気装置。

Claims (10)

  1. 誘電性流体として有用な組成物であって、前記組成物が、約3000ppm未満の未反応もしくは部分的に反応したポリオールを有する再生可能源の合成飽和ポリオールエステルを含み、前記ポリオールエステルが、(i)少なくとも3個のヒドロキシル基を有するポリヒドロキシル成分と(ii)カルボキシル誘導体の少なくとも約95モル%が6〜12個の炭素原子を含む、飽和のカルボキシル誘導体の混合物とを含む反応混合物から得られる完全にエステル化された反応生成物であり、
    前記組成物が、少なくとも300℃のASTM D−92によって測定されるような燃焼点、および40℃で約30センチストークス未満のASTM 445によって測定されるような粘度を有する組成物。
  2. 再生可能源の合成飽和ポリオールエステルを含む、誘電性流体としての使用に好適な組成物であって、
    (A)前記ポリオールエステルが、(i)少なくとも3個のヒドロキシル基を有するポリヒドロキシル成分と(ii)カルボキシル誘導体の少なくとも約95モル%が6〜12個の炭素原子を含む、飽和の線状カルボキシル酸の混合物とを含む反応混合物から得られる完全にエステル化された反応生成物であり、
    (B)前記ポリオールエステルが、約0.07mg KOH/グラム未満の酸価を有し、そして約3000ppm未満の未反応もしくは部分的に反応したポリオールを含むポリオールエステル流体組成物を得るために、
    (a)前記流体を活性炭および塩基性アルミナまたはシリカゲルと約50℃〜約150℃の温度で接触させる工程と、
    (b)前記混合物を濾過する工程と
    を含む方法によってさらに処理されており、
    前記組成物が:
    (1)約5%未満の100℃でASTMD−924によって測定されるような、力率を有し;
    (2)1011オームcmよりも大きい25℃でのASTM D−1169による体積抵抗率を有する、
    組成物。
  3. 誘電性流体として有用な組成物であって、前記組成物が、約3000ppm未満の未反応ポリオールを有し、そして合成酸化防止剤をさらに含む再生可能源の合成ポリオールエステルを含み、前記ポリオールエステルが、(i)少なくとも4個のヒドロキシル基を有するグリセロールオリゴマー成分と;(ii)カルボキシル誘導体の少なくとも約95モル%が6〜12個の炭素原子を含む、飽和の線状カルボキシル誘導体の混合物と;(iii)任意選択的にエステル化触媒とから本質的になる反応混合物から得られる完全にエステル化された反応生成物であり、
    前記組成物が、ASTM D924によって測定される約4.5の誘電率(Dk)、少なくとも300℃のASTM D−92によって測定されるような燃焼点、および40℃で約30センチストークス未満のASTM 445によって測定されるような粘度を有する組成物。
  4. 再生可能源の合成飽和ポリオールエステルを含む、誘電性流体としての使用に好適な組成物であって、
    (A)前記ポリオールエステルが、(i)少なくとも4個のヒドロキシル基を有するグリセロールオリゴマー成分と;(ii)カルボキシル誘導体の少なくとも約95モル%が6〜12個の炭素原子を含む、飽和の線状カルボキシル誘導体の混合物と;(iii)任意選択的にエステル化触媒とを含む反応混合物から得られる完全にエステル化された反応生成物であり、
    (B)前記ポリオールエステルが、約0.07mg KOH/グラム未満の酸価を有し、そして約3000ppm未満の未反応もしくは部分的に反応したポリオールを含むポリオールエステル流体組成物を得るために、
    (a)前記流体を活性炭および塩基性アルミナまたはシリカゲルと約50℃〜約150℃の温度で接触させる工程と、
    (b)前記混合物を濾過する工程と
    を含む方法によってさらに処理されており、
    前記組成物が、ASTM D924によって測定される約4.5の誘電率(Dk)、少なくとも300℃のASTM D−92によって測定されるような燃焼点、および40℃で約30センチストークス未満のASTM 445によって測定されるような粘度を有する組成物。
  5. 誘電性流体として有用な組成物であって、前記組成物が、
    (1)約1〜約99重量%の再生可能源の合成ポリオールエステルであって、前記ポリオールエステルが、(i)少なくとも3個のヒドロキシル基を有するポリヒドロキシル成分と(ii)カルボキシル誘導体の少なくとも約95モル%が6〜12個の炭素原子を含む、飽和の線状カルボキシル誘導体の混合物とを含む反応混合物から得られる完全にエステル化された反応生成物であるポリオールエステル;および
    (2)約1重量%〜約99重量%の、長鎖脂肪酸エステルから本質的になる、天然源から得られるトリアシルグリセロール天然油
    を含むブレンドであり、
    前記ブレンドが、前記ブレンドの成分(1)のガス発生傾向と比較して、芳香族ガス発生防止添加剤なしで、低下したガス発生傾向を有する組成物。
  6. (a)前記合成ポリオールエステルまたはそのブレンドを活性炭および塩基性アルミナと約50℃〜約150℃の温度で接触させ、
    (b)前記混合物を濾過した
    後に得られる請求項5に記載の組成物であって、
    前記組成物が、
    (1)0.5%未満の25℃でASTMD−924によって測定されるような、力率を有し;
    (2)少なくとも300℃のASTM D−92によって測定されるような燃焼点を有し;
    (3)約3.1〜約4.5の範囲の誘電率(Dk)を有し;
    (4)約−20℃よりも低い、ASTM D−97によって測定されるような、流動点を有する組成物。
  7. 誘電性流体として有用な組成物であって、前記組成物が、
    (1)約1〜約99重量%の再生可能源の合成ポリオールエステルであって、前記ポリオールエステルが、(i)少なくとも3個のヒドロキシル基を有するポリヒドロキシル成分と(ii)カルボキシル誘導体の少なくとも約95モル%が6〜12個の炭素原子を含む、飽和の線状カルボキシル誘導体の混合物とを含む反応混合物から得られる完全にエステル化された反応生成物であるポリオールエステル;
    (2)約1重量%〜約99重量%の、約75モル%超のオレイルエステルを含む長鎖脂肪酸エステルから本質的になる、天然源から得られるトリアシルグリセロール天然油;ならびに
    (3)流動点降下剤、金属不動態化剤、消泡剤、および静電帯電傾向降下剤からなる群から選択される任意選択の添加剤
    から本質的になるブレンドであり、
    (a)前記ブレンドが防止剤なしであり;
    (b)前記ブレンドが、少なくとも300℃のASTM D−92によって測定されるような燃焼点を有し;
    (c)前記ブレンドが、被添加芳香族ガス発生防止添加剤なしで、成分(1)のガス発生傾向と比較して低下したガス発生傾向を有し、
    (d)前記ブレンドが、約−20℃よりも低いASTM D−97によって測定されるような流動点を有する組成物。
  8. (a)前記合成飽和ポリオールエステルまたはそのブレンドを活性炭および塩基性アルミナと約50℃〜約150℃の温度で接触させ、
    (b)前記混合物を濾過した
    後に得られる請求項7に記載の組成物であって、
    前記組成物が、
    (1)約0.5%未満の25℃でASTMD−924によって測定されるような、力率を有し;
    (2)少なくとも300℃のASTM D−92によって測定されるような燃焼点を有し;
    (3)約3.1〜約4.5の範囲の誘電率(Dk)を有し;
    (4)約−20℃よりも低い、ASTM D−97によって測定されるような、流動点を有する組成物。
  9. 約−30〜約+30μL/分の範囲内の、ASTM D−2300に従って測定されるような、ガス発生傾向を有する請求項8に記載の組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の誘電性流体を含む電気装置。
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