JP2014525234A - 核酸を単離するための方法 - Google Patents

核酸を単離するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、試料、好ましくは血液試料から、核酸を単離するための方法であって、以下のステップ、a)少なくとも1種の陽イオン性界面活性剤の使用によって、安定化されている試料を得るステップであって、前記陽イオン性界面活性剤が、前記核酸と複合体を形成しているステップ、b)場合によって、前記安定化されている試料由来の他の試料成分と一緒に前記複合体を得るステップであって、前記複合体が、単離されるべき前記核酸を含むステップ、c)前記複合体を再懸濁させ、場合によって、1種または複数の添加剤を、再懸濁前、再懸濁中および/または再懸濁後に加えることによって、少なくともi)単離されるべき前記核酸、ii)少なくとも1種のカオトロピック剤およびiii)少なくとも1種のキレート剤を含む、再懸濁させた試料を得るステップ、ならびにd)前記再懸濁させた試料から、核酸を単離するステップを含む、方法に関する。再懸濁中にキレート剤を加えると、容器壁に不可逆的に付着する沈殿の形成がかなり減少するため、核酸収量がかなり増加することが見出された。
【選択図】なし

Description

本発明は、核酸を単離する分野、特に、生物試料から、特に血液試料から、高い完全性を有するRNAを高収量で単離することに関する。
本発明に至る研究は、欧州共同体の第7次枠組計画(European Community's Seventh Framework Programme)(FP7/2007-2013)から、贈与契約番号222916の下に、財政的支援を受けている。
RNAおよび/またはDNAなどの核酸を単離するための方法は、異なる原理に基づく数種の方法が先行技術において知られている。一般的な核酸単離方法の例は、抽出、固相抽出、フェノール−クロロホルム抽出、クロマトグラフィー、沈殿およびその組合せを含むが、これらに限定されない。非常に一般的なものは、核酸を固相、例えばシリカを含むまたはシリカからなる固相に結合させるためのカオトロピック剤および/またはアルコールの使用を含む核酸単離方法である。RNA分解酵素はかなりの高量で遍在し、広い温度範囲にわたって活性であり、通常それらの活性のための補因子を必要としないため、RNAの単離は特に困難である。それ故に、良好な収量および質でRNAをもたらすRNA単離方法を提供することは難題である。
さらに、例えば診断の分野などの多くの分野において、多数の試料から核酸を単離することが望まれておりまたは必須であるとさえされている。この目的のために、自動化プロセス(例えば、多くの試料が同時に処理される)を使用することが一般的である。使用者を支援し、人の手を要する時間を削減するために、平行して多数の試料を処理することができるロボットシステムが、一般的に使用される。通常、試料を核酸単離用に手動で調製し、次いで、ロボットシステムの中に入れる。それぞれの手動調製ステップは、例えば、安定化された血液試料を得るための一般的なものである。それぞれの手動ステップは、例えば、核酸を含有するペレットを生成するための安定化された試料の遠心分離および例えば再懸濁緩衝液中へのペレットの再懸濁(それによって試料容量を減少させる)を含む。次いで、それぞれに再懸濁させた試料を、例えば消化および単離用の試料として準備し、ロボットシステムの中に置く。この原理または類似の原理に従って作動する市販のロボットシステムの例は、キアシンフォニー(QIAsymphony)(キアゲン(QIAGEN))、キアキューブ(QIAcube)(キアゲン(QIAGEN))およびマグナピュア(MagnaPure96)(ロシュ(ROCHE))を含むが、これらに限定されない。
これらのロボットシステムは、多数の試料を処理する際に注目すべき利点を提供するにもかかわらず、ある特定の限界も有する。例えば、前記ロボットシステムは、通常、ある特定の数の試料を一度に処理することのみ可能である。前記数は、核酸単離用の1バッチとして手動で調製される試料の数よりも少ないことが多い。したがって、調製された試料のすべてを同時に処理することができるとは限らない。このことは、核酸単離用に調製される試料において、核酸単離用の試料の調製(例えば、以上に記載されているような、ペレットの遠心分離および再懸濁)と実際の核酸単離との間の待機時間が、多くの場合異なるという影響をもたらす。調製された試料の第1のバッチがロボットシステムで処理されている間、調製された他の試料は待機状態である。調製された試料の待機時間が異なると、単離される核酸の質および核酸収量に影響を及ぼす可能性があることが見出された。より長い待機時間中に、一部の核酸が容器に不可逆的に固着し、したがって、精製することができない沈殿を形成することがある。さらに、核酸、特にRNAの完全性が損なわれる可能性がある。したがって、ロボットシステムにおいて処理される調製された試料の、第2のバッチおよびその後のバッチの核酸の量および/または質は、より低くなることが多い。よって、待機時間がより長いと、単離される核酸の質および/または量が減少する可能性がある。このことは、例えば、血液または血液に由来する試料および/または特定の化学物質を使用して安定化させた試料などの複合体試料が処理される場合に、問題を特に引き起こす。この問題は、多量の試料(例えば、1.5ml以上)が処理される場合に、さらに悪化する。収量および/または完全性におけるこの損失は、特に、収量および量に関して一様な核酸単離が重要であり、よって、使用される核酸単離方法による変動を避けなければならないような、例えば診断の分野などの慎重を要する適用分野において、問題を引き起こすことがある。
さらに、磁性ビーズを、核酸を結合および単離させるための固相として使用する方法は、その代わりに核酸結合膜を使用する類似の方法と比較して、核酸収量の減少を示すことが多い。それ故に、沈殿形成による核酸収量の損失は、磁性粒子を核酸結合固相として使用するそれぞれの方法およびシステムに、さらに強い影響を与える。
よって、たとえ待機時間が試料間で異なり、延長された待機時間中であっても、匹敵する高い核酸収量をもたらし、小さい核酸の収量をも高め、核酸、特にRNAの高い完全性をもたらす核酸単離プロトコルを提供することが、現況技術において必要とされている。
それ故に、本発明の目的は、試料、特に血液試料から、核酸、特にRNAを単離するための改良された方法を提供することである。さらに、本発明の目的は、たとえ単離用の試料の調製と核酸の実際の単離との間の待機時間が異なっても、複数の試料から、匹敵する質および/または量で核酸を単離することができる方法を提供することである。
本発明は、少なくとも1種のカオトロピック剤および少なくとも1種のキレート剤が、核酸単離用に調製される試料中に含まれる場合に、核酸の収量および質における変動が、著しく減少し得るという驚くべき発見に基づいている。たとえ、核酸がそれぞれ調製される試料から実際に単離される前に、調製される試料が、長期間(例えば、0.5時間から12時間まで、0.75時間から11時間まで、1時間から10時間まで、1.25時間から9時間まで、1.5時間から8.5時間まで、1.75時間から8時間まで、1.75時間から7.5時間まで、1.25時間から7時間まで、1.5時間から6.5時間まで、1.75時間から6時間まで、2時間から5.5時間までから選択される)静止したままであるとしても、少なくとも1種のカオトロピック剤および少なくとも1種のキレート剤を核酸単離用に調製される試料中に含むことにより、それぞれ調製される試料から単離される核酸の質および収量が十分に維持されるという利点を有することが見出された。この場合に、特に自動化システムを使用する際に、試料間の待機時間が異なることがむしろ一般的であるため、この利点は、多数の試料を処理する際に特に重要である。しかし、この利点はまた、核酸単離用に調製される試料から核酸を直ちに単離する必要を減らすため、一般に重要である。このことは、より柔軟性をもたらす。
第1の態様によると、本発明は、試料、好ましくは血液試料から、核酸、好ましくはRNAを単離するための方法であって、以下のステップ、
a)少なくとも1種の陽イオン性界面活性剤の使用によって、安定化されている試料を得るステップであって、陽イオン性界面活性剤が、核酸と複合体を形成しているステップ、
b)場合によって、安定化されている試料由来の他の試料成分と一緒に複合体を得るステップであって、前記複合体が、単離されるべき核酸を含むステップ、
c)複合体を再懸濁させ、場合によって、1種または複数の添加剤を、再懸濁前、再懸濁中および/または再懸濁後に加えることによって、少なくとも
i)単離されるべき核酸、
ii)少なくとも1種のカオトロピック剤および
iii)少なくとも1種のキレート剤
を含む、再懸濁させた試料を得るステップ、
ならびに
d)再懸濁させた試料から、核酸を単離するステップ
を含む、方法を提供する。
以上に論じられているように、本発明による方法によって、たとえステップc)とステップd)との間の待機時間が異なるとしても、試料から、匹敵する良好な収量および質で核酸を単離することができる。カオトロピック剤を加えると、再懸濁させた試料中に含有される核酸、特にRNAの質が保たれる。しかし、カオトロピック剤を加えることは、より長い待機時間中に核酸が沈殿し、さらに、沈殿した核酸が、試料を含む容器の壁に不可逆的に固着する可能性があり、このことが核酸収量をかなり減少させるという欠点を有する。本発明者らは今回、驚いたことに、再懸濁させた試料中にキレート剤を組み込むことが、沈殿の形成をかなり減少させ、さらに、カオトロピック剤を含む再懸濁させた試料を含む容器の壁への沈殿の付着を防ぐことを見出した。それによって、核酸収量の損失が、効果的に減少し得る。したがって、本発明の教示により、たとえ、以上に記載されているような核酸単離用に調製される再懸濁させた試料が、直ちに処理されずに、待機時間が異なるおよび/または長期であっても、核酸、特にRNAを、匹敵する収量および質で効果的に単離することが可能になる。
第2の態様によると、試料から、好ましくは血液試料から、核酸を単離するための方法であって、核酸が複数の試料から単離され、調製される試料から核酸が単離される前の待機時間が、単離用に調製される複数の試料で異なることに起因する、前記複数の試料から単離される核酸の収量および質における変動が、単離用に調製される試料が少なくとも1種のカオトロピック剤および少なくとも1種のキレート剤を含むことによって減少する、方法が提供される。
第3の態様によると、本発明は、少なくとも1種のカオトロピック剤および核酸を含む試料の容器壁に付着する沈殿の形成を防ぐまたは減少させるための、キレート剤の使用に関する。以上に論じられているように、それぞれの試料の長期の待機時間が、結果として、カオトロピック剤を含有する試料を含む容器壁に固着する沈殿の形成をもたらし、それによって、核酸収量を大幅に減少させる。したがって、本発明によって教示されているように、キレート剤の追加が、それぞれの沈殿の形成を減少させるまたは完全に防ぐこともあるという有利な効果をもたらす。したがって、たとえ単離用の試料の調製と実際の単離との間の待機時間が増えても、核酸は、良好な収量および質で単離することができる。このことは、本発明の技術が、核酸を自動化プロセス中で単離するために使用され、多数の試料が核酸単離用に調製されるが、調製される試料の一部のみが、自動化システム上でバッチ式に処理され得る場合に、特定の利点をもたらす。したがって、本発明の教示は、たとえ異なる試料間で待機時間が異なるおよび/または長期に及ぶとしても、質および収量に関して、実質的に一様な単離結果を保証し、このことは、医学および/または診断の分野のための核酸の単離などの挑戦のしがいがある分野にとって、特に有利である。
本出願の他の目的、特徴、利点および態様は、以下の記載および添付の特許請求の範囲から、当業者には明らかになる。しかし、以下の記載、添付の特許請求の範囲および特定の実施例は、本出願の好ましい実施形態を示すものであるが、例証としてのみ与えられていることが理解されるべきである。開示されている本発明の精神および範囲内の種々の変更および改変は、以下を読むことで、当業者には容易に明らかになる。
先行技術のプロトコルに従って処理した第1のバッチの試料については、RNA完全性が卓越していることを示す。 実施例2の結果を示す。 本発明による改変された再懸濁ステップが、沈殿形成に及ぼす効果を示す。 種々のバッチのプロトコルを用いて得られる全体的なRNA収量を、比較下に示す。 本発明による方法を用いて達成されるRNA完全性を示す。 種々の試験プロトコルを用いて得られた溶出液を分析する際に、miScript(登録商標)プライマー(Primer)アッセイ(hsa−miR 30b)を用いて得られた平均Cを示す。 平均総RNA収量を示す。 再懸濁させた試料を4時間、わきに置いておいた。次いで、上清を除去し、沈殿をガラス試験管およびプラスチック試験管の両方にデカンテーションした。
本発明は、試料調製と実際の核酸単離との間の待機時間が異なることに起因する、核酸の質および収量における差が、少なくとも1種のカオトロピック剤および少なくとも1種のキレート剤を、核酸単離用に調製される試料中に組み込むことによって減少し得るという発見に基づいている。
第1の態様によると、本発明は、試料、好ましくは血液試料から、核酸を単離するための方法であって、以下のステップ、
a)少なくとも1種の陽イオン性界面活性剤の使用によって、安定化されている試料を得るステップであって、陽イオン性界面活性剤が、核酸と複合体を形成しているステップ、
b)場合によって、安定化されている試料由来の他の試料成分と一緒に複合体を得るステップであって、前記複合体が、単離されるべき核酸を含むステップ、
c)複合体を再懸濁させ、場合によって、1種または複数の添加剤を、再懸濁前、再懸濁中および/または再懸濁後に加えることによって、少なくとも
i)単離されるべき核酸、
ii)少なくとも1種のカオトロピック剤および
iii)少なくとも1種のキレート剤
を含む、再懸濁させた試料を得るステップ、
ならびに
d)再懸濁させた試料から、核酸を単離するステップ
を含む、方法を提供する。
方法の個々のステップを、さらに詳細に説明する。
ステップa)において、少なくとも1種の陽イオン性界面活性剤の使用によって、安定化されている試料を得る。例えば、試料を少なくとも1種の陽イオン性界面活性剤と接触させることによって、試料を安定化することができる。陽イオン性界面活性剤は、試料中に含有される細胞の溶解を支援し、遊離した核酸と複合体を形成する。核酸は、それによって安定化する。試料、特に血液試料を安定化させるための陽イオン性界面活性剤の使用は、先行技術(例えば、参照することにより本明細書に援用されている、欧州特許出願公開第1031626号明細書および国際公開第02/00599号パンフレットを参照のこと)に記載されており、以下にさらに詳細に記載される。それぞれの安定化された試料は、例えば、1つの施設、例えば病院で得られ、第2の施設、例えば研究所に輸送され得、試料はさらに処理され、安定化された試料から核酸が単離される。
ステップb)において、複合体は、安定化されている試料から得られる。前記複合体は、単離されるべき核酸を含む。前記複合体は、試料を安定化させるために使用された陽イオン性界面活性剤も含む。前記複合体は、例えば沈降法またはろ過によって得ることができる。それによって、通常、タンパク質および細胞残屑などの他の試料成分も、核酸を含有する複合体と一緒に得られる。好ましくは、複合体は、ペレットの形で得られる。それぞれのペレットは、例えば、試料を遠心分離し、上清を捨て、それによって、核酸および陽イオン性界面活性剤を含む複合体を含む試料を得ることによって、得ることができる。処理されるべき試料のタイプに応じて、それぞれのペレットは、通常、タンパク質および/または細胞残屑などのさらなる試料成分も含む。これは特に、例えば、全血または血清もしくは血漿などの血液に由来する試料などの複合体試料を処理する場合である。複合体を分離するのに適した方法、例えば、それらを安定化された試料からペレットの形で得ることによる方法は、参照することにより本明細書に援用されている欧州特許出願公開第1031626号明細書、パラグラフ[51]以下参照にも記載されている。複合体を、例えばペレットの形で得ることは、ステップd)において行われるその後の核酸単離を少量で行うことができ、このことは、核酸単離に必要な試薬がより少なくて済むため、コスト効率が高いという利点を有し、核酸単離に自動化方法を使用する際に、多くの自動化システムが、それらが処理できる容量に関して制限されているため、重要な利点をもたらす。
ステップc)において、好ましくはペレットの形で得られる、複合体および任意選択の他の試料成分を再懸濁させ、それによって、再懸濁させた試料を得る。前記再懸濁させた試料は、単離されるべき核酸、陽イオン性界面活性剤および場合によって、複合体と一緒に回収されたさらなる試料成分、例えばタンパク質および/または細胞残屑などを含む。さらに、場合によって、さらなる添加剤、例えばカオトロピック剤および/またはタンパク質分解化合物などを、再懸濁前、再懸濁中または再懸濁後に加えることができる。本明細書において、本発明者らは、任意選択のさらなる試料成分および/または再懸濁前、再懸濁中および/または再懸濁後に加えられた任意選択の添加剤を含む再懸濁させた複合体を、「再懸濁させた試料」と呼ぶ。本発明によると、再懸濁させた試料は、少なくとも1種のカオトロピック剤を含む。好ましくは、カオトロピック剤は、複合体を再懸濁させた後に、別個の添加剤として加えられ、カオトロピック剤を含む再懸濁させた試料を得る。特に複合体がペレットの形で得られる場合に、カオトロピック剤が複合体の実際の再懸濁プロセスを妨げる可能性があるため、この順序が好ましい。好ましくは、とりわけ核酸およびカオトロピック剤を含む再懸濁させた試料を生成するために、カオトロピック剤を、以下に記載されているような水溶液の形で、再懸濁させた複合体に加える。以上に論じられているように、カオトロピック剤は、核酸、特にRNAを分解から保護し、それによって、単離される核酸の質を増加させる。例において示されているように、カオトロピック剤を再懸濁させた試料中に含む場合、たとえ待機時間が異なり、例えば、ステップc)とステップd)との間が延長されるとしても、このことは、核酸、特にRNAを、匹敵する質で得ることができるという効果をもたらす。それ故に、本発明による方法を使用する場合、ステップc)とステップd)との間の待機時間が異なる、異なる試料について得られる単離結果は、より一様であり、したがって、より匹敵したものとなる。しかし、カオトロピック剤は、核酸の完全性の保存に関して有益な効果をもたらすのみならず、問題も引き起こす。より長い待機時間中に、それは、再懸濁させた試料を含む容器の壁(「壁」という用語は、底も含む)に固着し得る沈殿の形成を引き起こす。再懸濁させた試料中にカオトロピック剤が含まれる場合に観察される、この沈殿形成および容器壁への付着は、再懸濁させた試料から単離され得る核酸(DNAおよび/またはRNA)の収量を減少させる。例によって示されているように、再懸濁させた試料が、ステップc)とステップd)との間で、長期の待機時間、静置された状態になっている場合、収量は30%までもまたはそれ以上も減少し得る。この問題は、再懸濁させた試料中に少なくとも1種のキレート剤を追加的に含むことによる、本発明の教示によって克服される。キレート剤は、驚いたことに、不溶性の沈殿の形成を減少させ、容器壁への前記沈殿の付着も減少させ、それによって、ステップc)とステップd)との間の延長された待機時間中の核酸の損失を、効果的に減少させる。核酸収量を減少させる沈殿の形成を減少させ、それぞれ防ぐために、キレート剤は、複合体の再懸濁前、再懸濁中または再懸濁後に加えられ得る。好ましくは、キレート剤は、カオトロピック剤を加える前に、加えられる。キレート剤が複合体の再懸濁後に加えられる場合、キレート剤が上記のその有益な効果を発揮できることを保証するために、基本的には、再懸濁直後に加えられるべきである。キレート剤は、1時間以内、好ましくは30分以内、より好ましくは15分以内、より好ましくは10分以内、より好ましくは5分以内、最も好ましくは3分以内に加えられるべきである。
場合によって、ステップd)のための再懸濁させた試料を調製するために、方法はさらなる処理ステップを含み得る。それぞれの追加のステップの例を、以下にさらに詳細に記載する。
ステップd)において、核酸は、再懸濁させた試料から単離される。ここでは、基本的に任意の核酸単離方法を使用することができる。適した核酸単離方法は、先行技術において知られており、抽出、固相抽出、シリカベースの精製方法、カオトロピック剤および/または少なくとも1種のアルコールを使用して核酸を固相に結合させる核酸単離手法、磁性粒子ベースの精製、フェノール−クロロホルム抽出、クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー(陰イオン交換表面を使用する)、電気泳動、ろ過、沈殿、クロマチン免疫沈降およびその組合せを含むが、これらに限定されない。好ましくは、核酸は、ステップd)において、自動化システムを使用して単離される。好ましくは、核酸は、複数の試料から単離される。複数の試料は、バッチ式に処理され得る。たとえ待機時間がバッチ間で著しく異なっても、本発明は、匹敵する核酸単離結果を保証するため、待機時間は個々のバッチ間で異なってよい。適した方法および待機時間も、以下に記載されている。
それぞれの方法の利点が、以上に説明され、例によっても実証されている。ステップc)とステップd)との間の待機時間がより長いことに起因する、単離される核酸の質および/または量の損失は、本発明によって教示されている改変された再懸濁ステップのおかげで、効果的に避けることができる。それ故、本方法は、ステップc)とステップd)との間の許容される待機時間に関して、より柔軟性をもたらし、このことは、本発明による方法が、自動化システム上で行われ、好ましくは複数の試料がバッチ式手法で処理される場合に、特に有益である。
続いて、本発明による方法およびステップa)からステップd)までの好ましい実施形態を記載する。
一実施形態によると、再懸濁溶液は、ステップc)において、得られた複合体に加えられ、前記再懸濁溶液は、塩、好ましくは非カオトロピック塩を含む。塩として、数種の塩を使用することができ、かかる塩には、アンモニウム塩およびアルカリ金属塩、好ましくは酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、KClまたはNaClが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、アンモニウム塩が使用される。好ましくは、キレート剤が、再懸濁溶液中に含まれる。この実施形態は、取り扱いが容易であり、さらに、核酸を保護するために再懸濁させた試料にカオトロピック剤が加えられる場合に、キレート剤が沈殿の形成および/または容器壁への核酸の付着を防ぐという点において、キレート剤が、再懸濁させた試料に及ぼすその有益な効果を速やかに発揮することができることも保証する。以上に論じられているように、カオトロピック剤を、複合体が再懸濁された後、よって再懸濁溶液が加えられた後に、加えることが好ましい。よって、再懸濁溶液は、好ましくはカオトロピック剤を含まず、特にカオトロピック塩を含まず、よって、非カオトロピックな再懸濁溶液である。一実施形態によると、再懸濁溶液は、キレート剤を、少なくとも1mM、少なくとも5mM、好ましくは少なくとも7.5mM、より好ましくは少なくとも10mM、少なくとも15mMまたは少なくとも20mMの濃度で含む。好ましくは、濃度範囲は、1mMから150mMまで、5mMから100mMまで、5mMから75mMまで、7.5mMから65mMまで、7.5mMから50mMまでおよび10mMから30mMまでから選択される。既に、例によって示されているように、沈殿形成に及ぼす有益な効果を達成するために、低濃度のEDTAなどのキレート剤が十分である。いくつかの実施形態では、低濃度から中濃度までの、例えば1mMから50mMまで、好ましくは5mMから30mMまでまたは7.5mMから20mMまでの範囲のキレート剤を使用すること。沈殿形成に及ぼす有益な効果をその後も達成するとはいえ、低濃度のキレート剤を使用することは、キレート剤が溶出液中にキャリーオーバーされるリスクを減らす。キレート剤はまた、再懸濁溶液とは別個に、例えば液体または固体の形で加えられてもよい。
一実施形態によると、キレート剤は、再懸濁させた試料が、キレート剤を少なくとも0.5mM、少なくとも2.5mM、好ましくは少なくとも3.5mM、より好ましくは少なくとも5mM、少なくとも7.5mMまたは少なくとも10mMの濃度で含むような濃度で加えられる。好ましくは、キレート剤は、再懸濁させた試料が、キレート剤を0.5mMから100mMまで、2.5mMから75mMまで、2.5mMから60mMまで、3.5mMから50mMまで、3.5mMから30mMまで、3.5mMから25mMまで、3.5mMから20mMまで、5mMから15mMまでおよび5mMから10mMまでから選択される濃度で含むような濃度で加えられる。
本発明に従って使用されるキレート剤は、再懸濁させた試料中に含まれる場合に、沈殿の形成および/または容器への沈殿の付着を防ぐまたは減少させる。一実施形態によると、キレート剤は、金属陽イオンへの2つ以上の別個の配位結合を形成することができ、求核性配位原子として少なくとも1つの窒素原子を含む有機配位子である。一実施形態によると、キレート剤は、金属陽イオンへの2つ以上の別個の配位結合を形成することができ、少なくとも4つの求核性配位原子を含む有機配位子である。一実施形態によると、キレート剤は、金属陽イオンへの2つ以上の別個の配位結合を形成することができ、少なくとも4つのカルボキシル基を含む有機配位子である。一実施形態によると、キレート剤は、金属陽イオンへの2つ以上の別個の配位結合を形成することができ、結果として生じる錯体の安定度定数が、金属陽イオンとしてカルシウムの場合に少なくとも104-1である有機配位子である。本発明によるキレート剤は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジニトリロ四酢酸(EDTA)、エチレングリコール四酢酸(EGTA)およびN,N−ビス(カルボキシメチル)グリシン(NTA)を含むが、これらに限定されない。好ましい実施形態によると、EDTAが使用される。本明細書において使用される場合、「EDTA」という用語は、例えば、K2EDTA、K3EDTAまたはNa2EDTAなどのEDTA化合物の、とりわけEDTA部分を指す。
以上に論じられているように、キレート剤は、いくつかの有益な効果を有する。特に、核酸が再懸濁させた試料から単離される前に、再懸濁させた試料が長期間静止したままである場合に(例えば、0.1時間を超える、0.2時間を超える、0.3時間を超える、特に0.5時間を超える、0.75時間を超える、1時間を超える、1.25時間を超える、1.5時間を超える、1.75時間を超える、2時間を超える、2.5時間を超えるもしくは3時間を超える時間または0.1時間から12時間まで、0.5時間から11時間まで、0.75時間から10時間まで、1時間から9時間まで、1.25時間から8.5時間まで、1.5時間から8時間まで、1.75時間から7.5時間まで、1.25時間から7時間まで、1.5時間から6.5時間まで、1.75時間から6時間までもしくは2時間から5.5時間までの範囲で)、キレート剤は、沈殿形成および特に核酸を含有する沈殿の、カオトロピック剤を含む再懸濁させた試料を含む容器への結合を減少させ、それによって、核酸収量の損失を減少させるまたは防ぐこともある。それによって、キレート剤は、ステップc)とd)との間の待機時間が異なるおよび特に長期であることに起因する、核酸単離の効率および/または量における変動を減少させる。
一実施形態によると、核酸を含有する沈殿の形成および/または容器への沈殿の付着を防ぐまたは減少させるために使用されるキレート剤は、再懸濁させた試料中に含まれる場合に、クエン酸塩などの古典的な緩衝剤ではない。しかし、沈殿の形成および/または容器への沈殿の付着を防ぐまたは減少させるために使用されるキレート剤に加えて、緩衝剤も、再懸濁させた試料中に含まれ得、好ましくは含まれる。それぞれの緩衝剤が、例えば再懸濁溶液中に含まれ得る。
以上に論じられているように、試料中に含まれる核酸の完全性を保存するために、特にRNAの完全性をおよび特に再懸濁させた試料のより長い待機時間中に保存するために、カオトロピック剤が、再懸濁させた試料中に組み込まれ、したがってその中に含まれる。このことは、遍在するRNA分解酵素に非常に感受性であるRNAを単離する場合に、特に有利である。例によって実証されているように、核酸を複数の試料から自動化システムを使用して単離する場合によくあることであるが、特に、再懸濁させた試料が、ステップc)とステップd)との間で、より長い時間静止したままである場合に、および特に、複数の試料を処理するためにバッチ式手法が使用される場合に、再懸濁させた試料中にカオトロピック剤を組み込むことは、単離されるRNAの質をかなり向上させる。
例えば、限定されないが、タンパク質または核酸の、二次、三次または四次構造を変化させると同時に一次構造を無傷のままにしておくことによって、タンパク質または核酸に障害を引き起こす任意のカオトロピック剤が、ステップc)において使用され得る。好ましくは、カオトロピック塩が使用される。好ましいカオトロピック剤は、限定されないが、例えば、チオシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、過塩素酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩もしくはヨウ化物を含むおよび/またはグアニジニウムを含むカオトロピック塩を含み、好ましくは、グアニジン塩酸塩、グアニジンチオシアン酸塩、グアニジンイソチオシアン酸塩、チオシアン酸ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、トリクロロ酢酸ナトリウム、トリフルオロ酢酸ナトリウム、尿素などから選択される。好ましくは、カオトロピック剤は、GTCもしくはGITCまたは同等に強いカオトロピック剤である。それぞれの強カオトロピック剤は、核酸、特にRNAを分解から保護する際に、非常に効果的である。しかし、それぞれの強カオトロピック剤は、沈殿形成および上記の容器壁への沈殿の付着を強力に誘導する。一実施形態によると、再懸濁させた試料は、カオトロピック剤を、0.1から飽和限界まで、0.2から6Mまで、0.1Mから4Mまで、0.5Mから3Mまで、0.75Mから2.5Mまで、最も好ましくは少なくとも1Mからなる群から選択される濃度で含む。例において示されているように、それぞれの濃度を使用することは、組み込まれた核酸の完全性を効果的に保存するのに有用である。少なくとも1種のカオトロピック剤が、ステップc)において、別個の溶液の形で加えられ得る。前記別個の溶液は、好ましくは、カオトロピック塩、例えばグアニジニウム塩、緩衝液および/またはキレート剤を含む。好ましくは、前記緩衝液は、クエン酸ナトリウムを含む。
再懸濁させた試料のpH値は、好ましくは、5から10まで、5.5から9.5まで、6から9まで、6.5から8.5まで、好ましくは7から8までから選択される範囲にある。5から8.5までのpH範囲において、血液試料から得られたペレットは、特に良好に再懸濁された。それ故、一実施形態によると、再懸濁溶液は、ステップc)において、陽イオン性界面活性剤および核酸を含む複合体に、好ましくはペレットに加えられ、この再懸濁溶液は、加えられた量で、再懸濁させた試料において上記で定義されているpH範囲にあるpH値を達成するようなpH値を有する。一実施形態によると、再懸濁溶液のpH値は、5から10.5まで、5.5から10まで、5.7から10まで、6から9.7まで、6.3から9.5まで、6から9までおよび6から8.5までから選択されるpH範囲にある。好ましくは、pH範囲は、5.7から10まで、より好ましくは6から9までの範囲にある。その場合に、達成される核酸収量が、最適であった。
一実施形態によると、タンパク質分解化合物は、ステップc)において加えられ、したがって、再懸濁させた試料中に含まれる。タンパク質分解化合物の追加は、キレート剤の効果を支援することが本発明者らによって見出された。したがって、タンパク質分解化合物を再懸濁させた試料中に含むことは、沈殿形成および核酸を含有する沈殿の容器壁への付着を防ぐのに有益である。好ましい実施形態によると、タンパク質分解化合物は、タンパク質分解酵素である。タンパク質分解酵素は、例えばタンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチドおよびペプチドにおいて、ペプチド結合の開裂に触媒作用を及ぼす酵素を指す。例示的なタンパク質分解酵素は、プロテイナーゼおよびプロテアーゼ、特にスブチリシン、サブチラーゼ、アルカリセリンプロテアーゼなどを含むが、これらに限定されない。サブチラーゼは、セリンプロテアーゼのファミリー、すなわち活性端にセリン残基を有する酵素である。スブチリシンは、広範の基質特異性を有する微生物セリンプロテアーゼである。スブチリシンは、尿素およびグアニジン塩酸塩などのカオトロピック剤ならびにドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などの陰イオン性界面活性剤による変性に、比較的耐性である。例示的なスブチリシンは、プロテイナーゼK、プロテイナーゼR、プロテイナーゼT、スブチリシン、スブチリシンA、キアゲン プロテアーゼ(QIAGEN Protease)などを含むが、これらに限定されない。サブチラーゼ、スブチリシン、プロテイナーゼKおよび他のプロテアーゼの論考は、数ある中でも、ゲノヴ(Genov)ら, インターナショナル ジャーナル オブ ペプチド プロテイン リサーチ(Int. J. Peptide Protein Res.) 45: 391 -400, 1995に見出され得る。好ましくは、タンパク質分解酵素はプロテイナーゼKである。特にタンパク質分解酵素などのタンパク質分解化合物を再懸濁させた試料中に組み込むことは、ステップd)において核酸が単離される前の待機時間中に、再懸濁させた試料が予備消化もされるという利点を有する。限定されない態様では、タンパク質分解酵素は、再懸濁させた試料中に、約0.05mg/mlから約10mg/mlの間の濃度で含む。他の実施形態では、範囲は、約0.1mg/mlから約5mg/mlまでの間または約0.2mg/mlから約1.0mg/mlまでの間であり得る。本発明者らによって、特にタンパク質分解酵素などのタンパク質分解化合物が、沈殿形成および容器壁への沈殿の付着を防ぐのを支援することが見出された。たとえ試料が、タンパク質分解酵素の能力を引き出すのに最適である条件下で(例えば加熱および撹拌)インキュベートされなかったとしても、この効果は見られた。
ステップd)における核酸単離用に、再懸濁させた試料を効果的に調製するために、核酸を単離する前に、再懸濁させた試料を完全に消化することが好ましい。ここでは、本発明と併せて使用され得る、種々の選択肢が存在する。続いて、いくつかの限定されない選択肢を記載する。
一実施形態によると、タンパク質分解酵素は、再懸濁させた試料中に含まれるのが好ましい。以上に論じられているように、タンパク質分解酵素は、ステップc)において、複合体の再懸濁前、再懸濁中または再懸濁後に、好ましくは再懸濁直後に直接加えられ得、それによって、再懸濁させた試料中に含まれる。一実施形態によると、それぞれ調製され再懸濁させた試料は、次いで、試料の少なくとも部分的な消化を可能にする条件下でインキュベートされる。消化は、例えば、再懸濁させた試料の、例えば室温での待機時間中に生じ得る。それによって、再懸濁させた試料は、待機時間にもよるが、ステップd)より前に、少なくとも部分的に消化される。消化は、ステップc)とd)との間の待機時間中には不完全であり得る。ステップd)における効果的な核酸単離を保証するために、再懸濁させた試料の完全な消化が好ましい。したがって、一実施形態によると、再懸濁させた試料の待機時間後、したがって、好ましくはステップd)において行われる核酸単離の最初のステップにおいて、再懸濁させた試料は、ステップd)において、再懸濁させた試料の消化を支援する条件下で、好ましくは、少なくとも3分間、好ましくは少なくとも5分間の加熱および撹拌下で、インキュベートされる。タンパク質分解酵素が、ステップc)において全く加えられていない場合、再懸濁させた試料の効果的な消化を可能にするために、タンパク質分解酵素は、ステップd)で加えられることになる。たとえタンパク質分解酵素が、ステップc)において、再懸濁させた試料中に既に含まれていたとしても、追加の量またはさらなる(例えば異なる)タンパク質分解酵素またはタンパク質分解化合物を、ステップd)において加えることも、本発明の範囲内である。
好ましい実施形態によると、タンパク質分解酵素は、ステップc)において得られる再懸濁させた試料中に含まれる。再懸濁させた試料の待機時間中に、タンパク質分解酵素は、最適ではないインキュベーション条件下でも(例えば室温で)、再懸濁させた試料を少なくとも部分的に消化することができる。高効率の消化を保証するために、再懸濁させた試料は、好ましくは、待機時間後、ステップd)において行われる核酸単離の最初のステップにおいて、試料の消化を促進する条件下で、例えば加熱および撹拌下で、インキュベートされる。
一実施形態によると、試料の消化を可能し、好ましくはステップd)において使用される条件は、以下の
a)加熱、
b)撹拌、
c)塩の存在、
d)6から9の間のpH値および/または
e)少なくとも3分、好ましくは少なくとも5分、最も好ましくは少なくとも10分間のインキュベーション期間
のうちの1つまたは複数を含む。
好ましくは、前記インキュベーションステップは、加熱下で行われる。好ましくは、再懸濁させた試料は、インキュベーション中に、少なくとも35℃、少なくとも40℃または少なくとも50℃の温度に加熱され、好ましくは、少なくとも55℃の温度に加熱される。プロテイナーゼKなどのタンパク質分解酵素が、より高い温度で、その最適なそれぞれの最も高い活性を示すタンパク質分解化合物として使用される場合には、インキュベーション中に、それぞれのより高い温度を使用することは、特に好都合である。そのような条件下で、再懸濁させた試料の消化が促進される。言うまでもなく、タンパク質分解酵素が活性である温度が使用されるべきである。さらに、再懸濁させた試料を撹拌している間に、前記インキュベーションステップが行われることが好ましい。撹拌の限定されない例は、振盪、かき混ぜ、混合または振動を含む。ある特定の態様では、撹拌は、振盪を含む。振盪は、一次元、二次元または三次元の振盪であり得る。種々の振盪デバイスまたは撹拌デバイスが使用され得る。限定されない例は、サーモミキサー(Thermomixer)(エップンドルフ(Eppendorf))、ターボミックス(TurboMix(サイエンティフィック インダストリーズ(Scientific Industries))、モー バイオ ボルテックス アダプター(Mo Bio Vortex Adapter)(モー バイオ インダストリーズ(Mo Bio Laboratories))、マイクロチューブ ホルダー ボルテックス アダプター(Microtube holder vortex adapter)(トロエムナー(Troemner))およびマイクロチューブ フォーム ラック ボルテックス アタッチメント(Microtube foam rack vortex attachment)(サイエンティフィック インダストリーズ(Scientific Industries))である。撹拌は、例えばミキサー中、少なくとも50rpm、少なくともl00rpm、少なくとも200rpmまたは少なくとも500rpmで行われ得る。好ましくは、加熱および撹拌は、例えば、サーモミキサーまたは加熱および撹拌を同時に行うことができる同等の装置を使用することによって、同時に行われる。タンパク質分解化合物として少なくとも1種のタンパク質分解酵素を使用する場合、前記酵素が効果的に働き、触媒的に活性であることを保証するインキュベーション条件が使用される。条件は、使用されるタンパク質分解酵素によって決まり、それぞれ当業者によって決定可能であると知られている。好ましくは、インキュベーションは、タンパク質分解酵素の活性を促進および/または維持する塩および/またはイオンの存在下で行われる。適した塩は、NaCl、KCl、MgCl2もしくはCaCl2またはカオトロピック塩などのカオトロピック剤を含むが、これらに限定されない。
上記の条件は、タンパク質分解化合物としてタンパク質分解酵素を使用する場合には、特に好都合であり、前記条件は、再懸濁させた試料の消化を促進する。以上に論じられているように、それぞれの条件下で再懸濁させた試料の消化は、核酸ステップd)における最初のステップとして行われることが好ましい。
さらに、含まれる核酸、特にRNAの完全性を保存するために、少なくとも1種のカオトロピック剤が、再懸濁させた試料中に含まれるため、消化は、少なくとも1種のカオトロピック剤、好ましくはカオトロピック塩の存在下で行われる。さらなる量またはタイプのカオトロピック剤を、消化が行われる時点で加えることも、本発明の範囲内である。この目的のために、再懸濁させた試料中に含まれるもの(1種または複数)と同一でありまたは異なり得る少なくとも1種のカオトロピック剤を含む消化溶液を加えることができる。前記消化溶液は、例えば界面活性剤および塩などの、消化を促進するおよび/または含まれる核酸を保存する追加の化合物も含み得る。例えば、限定されないが、タンパク質または核酸の、二次、三次または四次構造を変化させると同時に一次構造を無傷のままにしておくことによって、タンパク質または核酸に障害を引き起こす任意のカオトロピック剤が、その目的のために使用され得る。インキュベーション中に、少なくとも1種のタンパク質分解化合物とともに使用することができる、好ましいカオトロピック剤は、限定されないが、グアニジン塩酸塩、グアニジンチオシアン酸塩、グアニジンイソチオシアン酸塩、チオシアン酸ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、トリクロロ酢酸ナトリウム、トリフルオロ酢酸ナトリウム、尿素など含むカオトロピック塩である。
再懸濁させた試料を消化するための、少なくとも1種のタンパク質分解化合物を用いたインキュベーションは、通常、含まれる核酸の分解につながらないpH値で行われる。さらに、タンパク質分解化合物としてタンパク質分解酵素を使用する場合、タンパク質分解酵素が活性であるpH値を使用するべきである。好ましくは、再懸濁させた試料を消化するための、少なくとも1種のタンパク質分解化合物を用いたインキュベーションは、pH4.3から9までの間、6から8までの間で行われ、好ましくは、中性のpH値で行われる。
以上に論じられているように、一実施形態によると、タンパク質分解酵素は、再懸濁させた試料中に含まれる。この実施形態において、消化は、ステップc)とd)との間の、再懸濁させた試料の待機時間中に、既に生じる。しかし、再懸濁させた試料は、ステップd)より前の待機時間が異なることがあり、さらに、消化は、待機時間中に存在する条件下で完全ではない可能性があるため、待機時間後、ステップd)において行われる核酸単離の最初のステップにおいて、試料の消化を促進する条件下で、再懸濁させた試料を追加的にインキュベートすることが好ましい。
好ましい実施形態によると、再懸濁させた試料を消化するためのインキュベーションは、加熱、撹拌下、カオトロピック剤の存在下で、pH5から9まで、好ましくは6から8まで、好ましくは中性のpHで、少なくとも3分、好ましくは少なくとも5分のインキュベーション期間で行われる。ステップd)におけるタンパク質の効果的な分解を保証するために、再懸濁させた試料は、ステップd)において、少なくとも3分、好ましくは少なくとも5分の期間、タンパク質の効果的な分解を保証するために、高温で、好ましくは50℃を超える温度でインキュベートされるべきである。好ましい実施形態によると、インキュベーションは、少なくとも5分間、好ましくは少なくとも10分間行われる。
ステップd)における核酸単離手法の最初のステップとして、以上に記載されているように、再懸濁させた試料を場合によって、しかし好ましくは消化した後、核酸を、例えば固相に結合させることができ、核酸を、場合によってそこから溶出することができる。好ましい実施形態は、以下に記載されている。
固相として、試料中に存在するまたは試料から放出される核酸を結合することができる任意の材料が使用され得、これは、適した条件下で核酸を結合することができる種々の材料を含み得る。本発明と併せて使用され得る例示的な固相は、限定されないが、シリカ粒子、二酸化ケイ素、珪藻土、ガラス、アルキルシリカ、ケイ酸アルミニウムおよびホウケイ酸塩を含むシリカ、ニトロセルロース、ジアゾ化紙、ヒドロキシアパタイト(ヒドロキシルアパタイトとも称される)、ナイロン、金属酸化物、ジルコニア、アルミナ、ポリマー支持体、ジエチルアミノエチル−およびトリエチルアミノエチル−誘導化支持体、疎水性クロマトグラフィー樹脂(フェニル−またはオクチルセファロースなど)などを含む化合物を含むが、これらに限定されない。固相という用語は、その形またはデザインに関して、いずれの限定も含意することを意図するものではない。したがって、固相という用語は、多孔性または非多孔性、透過性または不透過性である適切な材料を包含し、膜、フィルター、シート、粒子、磁性粒子、ビーズ、ゲル、粉末、繊維などを含むが、これらに限定されない。一実施形態によると、例えばシリカ固相などの固相の表面は、改変されない、例えば官能基を用いて修飾されない。
好ましい実施形態によると、シリカを含む固相が使用される。シリカベースの核酸単離方法は、先行技術において幅広く使用されている。シリカを含む固相は、例えばフィルター、繊維、膜または粒子の形を有し得る。特に、ビーズの形で使用することができ、好ましくは、約0.02から30μmまで、より好ましくは0.05から15μmまで、最も好ましくは0.1から10μmまでの粒子サイズを有するシリカ粒子の使用が好ましい。固相に結合する核酸の処理を容易にするために、好ましくは磁性シリカ粒子が使用される。磁性シリカ粒子は、例えば、フェリ磁性、強磁性、常磁性または超常磁性であり得る。適した磁性シリカ粒子は、例えば国際公開第01/71732号パンフレット、国際公開第2004/003231号パンフレットおよび国際公開第2003/004150号パンフレットに記載されている。他の磁性シリカ粒子は、先行技術からも知られており、例えば国際公開第98/31840号パンフレット、国際公開第98/31461号パンフレット、欧州特許出願公開第1260595号明細書、国際公開第96/41811号パンフレットおよび欧州特許出願公開第EP0343934号明細書(EP0343934)に記載されており、例えば磁性シリカガラス粒子も含む。
一実施形態によると、結合は、以下の特徴、
a)結合が、少なくとも1種のカオトロピック剤の存在下で行われる、
b)結合が、少なくとも1種のアルコールの存在下で行われる、
c)結合が、少なくとも1種の界面活性剤の存在下で行われる、
d)結合が、核酸、特にRNAの結合を促進する条件下で行われる、および/または
e)結合が、小さい核酸、特に小さいRNA種の結合を促進する条件下で行われる
のうちの、1つまたは複数、好ましくは少なくとも2つを有する条件下で行われる。
一実施形態によると、核酸の固相への結合は、ステップd)において、少なくとも1種のカオトロピック剤、好ましくはカオトロピック塩の存在下でおよび/または少なくとも1種のアルコールの存在下で行われる。以上に論じられているように、カオトロピック剤の混合物も使用することができる。結合中に使用される、カオトロピック剤またはカオトロピック剤の混合物の濃度は、0.05Mから飽和限界までの範囲にあり得る。好ましい濃度範囲は、使用されるカオトロピック剤によって決まり、0.1Mから7Mまで、1Mから7Mまで、1.5Mから6Mまでおよび2Mから4Mまでの範囲内にある。適したカオトロピック剤は、特にカオトロピック塩であり、限定されないが、グアニジン塩酸塩、グアニジンチオシアン酸塩、グアニジンイソチオシアン酸塩、チオシアン酸ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、トリクロロ酢酸ナトリウム、トリフルオロ酢酸ナトリウム、尿素などを含み、特に好ましいものは、グアニジン塩酸塩、グアニジンチオシアン酸塩およびグアニジンイソチオシアン酸塩である。以上に論じられているように、再懸濁させた試料は、ステップc)とステップd)との間のより長い待機時間中に、再懸濁させた試料中の核酸の完全性を保存するために加えられている、少なくとも1種のカオトロピック剤を既に含む。したがって、核酸の固相への結合を可能にするために、カオトロピック剤を追加的に加えることは必要ではない。しかし、ステップd)において、例えば水性結合溶液の形で、少なくとも1種のカオトロピック剤を追加的に加えることも、本発明の範囲内である。
結合を促進するために使用することができるアルコールとして、好ましくは1から5個までの炭素原子を有する、単鎖の分枝または非分枝のアルコールを使用することが好ましい。例として、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールおよびブタノールが挙げられる。アルコールの混合物も使用することができる。アルコールは、好ましくはイソプロパノールおよびエタノールから選択され、標的核酸としてRNAを単離する場合に、特に十分に適しているのはイソプロパノールである。好ましくは、本発明による方法は、フェノールおよび/またはクロロホルムの使用を含まない。
アルコールは、10%v/vから90%v/vまで、特に15%v/vから80%v/vまで、20%から80%v/vまでの濃度で、結合混合物中に含まれ得る。結合混合物は、再懸濁させた試料および固相を特に含み、場合によって、結合条件を確立し、それぞれ改良するために加えられたさらなる薬剤を含み得る。小さいRNAも含む総RNAを単離するために、結合中、したがって結合混合物中に、30%v/v以上、好ましくは40%v/v以上から90%v/v以下まで、より好ましくは50%v/v以上から90%v/v以下までまたは60%v/v以上から80%v/v以下までのアルコール濃度を使用することが有益である。
アルコールのそれぞれのより高い濃度によって、結合が向上し、したがって、短い核酸(通常、それぞれ500nt以下の長さのサイズを有する)、特に小さいRNA種の単離が向上する。小さいRNAを含むRNAを単離することを意図する場合、結合中に、40%v/v以上から90%v/v以下までまたは60%v/v以上から80%v/v以下までのアルコール濃度が最も好ましい。1種または複数のカオトロピック剤がより高い濃度で存在する場合および核酸をシリカ表面に結合させる場合に、これらの濃度は、特に良好に働く。
したがって、一実施形態によると、ステップd)における単離は、核酸を固相に結合させるための、以下の特徴、
a)10%v/vから90%v/vまで、15%v/vから90%v/vまで、20%v/vから85%v/vまで、30%v/vから80%v/vまで、40%v/vから85%v/vまで、40%v/vから80%まで、40%v/vから70%まで、50%v/v以上から80%v/v以下までおよび60%v/v以上から80%v/v以下までからなる群から選択されるアルコール濃度を使用する、
b)0.05Mから飽和限界まで、0.1Mから6Mまでおよび1Mから4Mまでからなる群から選択される、1種または複数のカオトロピック剤の濃度を使用する、および/または、
c)小さいRNAを含むRNAを固相に結合させるために、少なくとも30%v/v、好ましくは少なくとも40%v/vのアルコール濃度および少なくとも1種のカオトロピック剤を使用する
のうちの1つまたは複数を有する結合条件を使用して行われる。
それぞれの結合条件を確立するために、例えばアルコールおよびカオトロピック剤を含む結合溶液を、例えば再懸濁させた試料に、好ましくは再懸濁させ消化された試料に加えることができる。
場合によって、核酸の固相への結合を促進するために、1種または複数の界面活性剤を結合混合物に加えることができる。好ましくは、少なくとも1種のイオン性界面活性剤および/または少なくとも1種の非イオン性界面活性剤が加えられる。好ましくは、非イオン性界面活性剤は、少なくとも5%の濃度で使用される。それぞれの消化溶液が、消化、それぞれ試料の溶解を促進するために加えられる場合、前記界面活性剤は、例えば結合溶液と一緒に加えられ得るまたは再懸濁させた試料および/または消化溶液によって得られ得る。
さらに、生理的緩衝液などの緩衝液を、結合のために使用することができ、それぞれ結合溶液中に組み込むことができる。生理的緩衝液の限定されない例は、HEPES、MES、MOPS、TRIS、BIS−TRISプロパンおよび他のものを含むが、これらに限定されない。好ましくは、Tris緩衝液が、結合溶液中に使用される。
それ故、一実施形態によると、再懸濁させた試料中に含まれる核酸を固相に結合させることを可能にする結合条件を確立するために、ステップd)における核酸単離は、少なくとも1種のアルコールおよび/または少なくとも1種のカオトロピック剤および場合によって生理的緩衝液、好ましくはTrisを含む結合溶液の追加を含む。場合によって、結合溶液は、以上に記載されているような界面活性剤を追加的に含む。しかし、結合混合物における適した結合条件を確立するために、成分を別個に加えることもできる。好ましくは、結合溶液のpHは、8を含む範囲である。一実施形態によると、結合溶液のpHは、pH7.0から9まで、好ましくは7.5から8.5までの範囲であり、最も好ましくは、結合溶液はpH8を有する。
一実施形態によると、単離された核酸をさらに精製するために、1つまたは複数の洗浄ステップが、単離ステップd)において行われる。一実施形態によると、1つまたは複数の洗浄ステップは、核酸が固相に結合されている間に行われる。この目的のために、一般的な洗浄溶液が使用され得る。一実施形態によると、洗浄に使用される溶液は、少なくとも1種のカオトロピック剤、少なくとも1種のアルコール、少なくとも1種の界面活性剤および/または少なくとも1種の緩衝成分を含む。洗浄溶液中に使用することができるカオトロピック剤は、グアニジン塩酸塩、グアニジンチオシアン酸塩、グアニジンイソチオシアン酸塩およびヨウ化ナトリウムを含むが、これらに限定されない。さらに、トリクロロ酢酸塩、過塩素酸塩およびトリフルオロ酢酸塩からなる群から選択されるカオトロピック陰イオンを含むカオトロピック塩を使用することができる。それぞれのカオトロピック塩の例は、過塩素酸ナトリウム、トリクロロ酢酸ナトリウムおよびトリフルオロ酢酸ナトリウムのようなアルカリ塩である。それぞれ洗浄溶液中に、アルコールとして、好ましくは1から5個までの炭素原子を有する単鎖の分枝または非分枝のアルコールを、洗浄に使用することができる。例として、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールおよびブタノールが挙げられる。好ましくは、イソプロパノールおよび/またはエタノールが使用される。好ましくは、洗浄溶液は、少なくとも50%アルコールおよび少なくとも1Mカオトロピック塩、好ましくは少なくとも2Mカオトロピック塩を含む。さらに、洗浄溶液は、界面活性剤を含み得る。好ましくは、イオン性界面活性剤および/または非イオン性界面活性剤が、界面活性剤として使用される。好ましくは、非イオン性界面活性剤は、少なくとも5%の濃度で使用される。
代替的にまたは上記の洗浄溶液に加えても使用することができる、さらなる適した洗浄溶液は、アルコールおよび生理的緩衝液を含む。適したアルコールおよび生理的緩衝液は、以上に記載されている。好ましくは、イソプロパノールまたはエタノール、最も好ましくはエタノールが、この第2の洗浄ステップに使用される。好ましくは、エタノールが、少なくとも70%v/v、好ましくは少なくとも80%v/vの濃度で使用される。生理的緩衝液は、好ましくは約7から8までのpHのTrisである。一実施形態によると、洗浄に使用される溶液は、少なくとも1種のカオトロピック剤、少なくとも1種のアルコール、少なくとも1種の界面活性剤および/または少なくとも1種の緩衝成分を含む。
核酸を固相から溶出するために、溶出ステップを行うことが望ましい場合には、溶出は、例えば水、溶出緩衝液などの古典的な溶出溶液、特にTrisなどの生理的緩衝液を用いて行うことができ、好ましくは、意図された後続の適用を妨げない溶出溶液が使用される。溶出後、溶出液は、加熱変性され得る。しかし、ステップc)および/またはe)において、例えば加熱などの他の溶出手段によって、核酸を固相から放出する、したがって溶出することも、本発明の範囲内である。
一実施形態によると、本発明の方法に従って、RNAのみならずDNAも、ステップd)において固相に結合され、したがって単離される。以上に論じられているように、本発明の教示は、核酸の完全性を保存しながら、全体的な核酸収量を増加させる。
一実施形態によると、試料は、少なくとも1種の非標的核酸および少なくとも1種の標的核酸ならびに標的核酸を主に単離することを目指す方法を含む。例えば、非標的核酸はDNAであり得、標的核酸はRNAであり得、またはその逆も同様である。
一実施形態によると、単離ステップd)は、主に標的核酸の単離を可能にするために、いくつかの中間ステップを含む。一実施形態によると、単離ステップd)は、試料の消化ステップ(以上を参照のこと)のみならず、少なくとも一部の非標的核酸を除去する中間ステップも含む。好ましくは、非標的核酸は、少なくとも一部の非標的核酸を、適切な条件下で固相に結合させ、次いで、標的核酸を含む残りの試料から、固相に結合された非標的核酸を分離することによって除去される。これは、例えば、主に非標的核酸が固相に結合される条件下で、適した固相を加えることによって達成することができる。非標的核酸を標的核酸から選択的に除去するのに適した方法は、例えば、参照することにより本明細書に援用されている、欧州特許出願公開第0880537号明細書および国際公開第95/21849号パンフレットに記載されている。所望ならば、前記非標的核酸はまた、さらに使用され得、例えば固相から溶出されるなど、例えばさらに処理され得る。しかし、それはまた捨てられ得る。RNA(のみ)を標的核酸として単離することを意図する場合、非標的核酸は、通常DNAである。
単離された標的核酸中の非標的核酸の量をさらに減少させるために、少なくとも一部の非標的核酸が除去された後に、適した酵素を使用して、非標的核酸を分解するための中間ステップを行うことができる。除去ステップを省略し、1種または複数の適切な酵素のみを使用することによって、非標的核酸を破壊することも、本発明の範囲内である。したがって、一実施形態によると、単離ステップd)は、(残りの)非標的核酸を分解するために、酵素処理を行うことを含む。RNAが標的核酸として単離される一実施形態によると、DNase処理が行われる。DNase消化を行うための条件は、先行技術において知られているため、それらは、本明細書でのさらなる説明を必要としない。基本的には、DNAを標的核酸として単離する場合、よって、RNAを非標的核酸として分解するためのRNaseを使用する場合と同一のことが適用される。
RNAが少なくともRNAおよびDNAを含む試料から単離される、本発明の好ましい実施形態によると、単離ステップd)は、以下のステップ、
i)DNAを第1の固相に結合させ、前記第1の固相に結合されたDNAを、RNAを含む残りの試料から分離することによって、再懸濁させ好ましくは消化された試料から、少なくとも一部のDNAを除去するステップ、
ii)少なくとも1種のカオトロピック剤および30%v/v以上の濃度の少なくとも1種のアルコールが、この結合ステップii)中に使用される、RNAを第2の固相に結合させるステップ、
− 場合によって、前記第2の固相に結合されているRNAを洗浄するために、少なくとも1つの洗浄ステップを行うステップ、ならびに
− 場合によって、RNAを前記第2の固相から溶出するステップ
を含む。
単離ステップd)は、残りのDNAおよび/またはタンパク質汚染物を消化するために、追加のステップ、例えば少なくとも1種の追加の酵素的消化ステップも含み得る。
少なくともRNAが、少なくともRNAおよびDNAを含む試料から単離される、本発明の好ましい実施形態によると、単離ステップd)は、以下のステップを含む。
− タンパク質分解酵素を含む再懸濁させた試料を得るステップおよび好ましくは、再懸濁させた試料を、少なくとも5分間、室温を超える、好ましくは50℃を超える温度でインキュベートすることによって、再懸濁させた試料の消化を続けるステップ。適したインキュベーション条件は、以上に記載されており、それは、それぞれの開示に言及されている。
− DNAを第1の固相に結合させ、前記第1の固相に結合されたDNAを、RNAを含む残りの試料から分離することによって、再懸濁および消化された試料から少なくとも一部のDNAを除去するステップ。それによって、DNAを除去することができる。除去されたDNAは、例えば分析されるまたは増幅されるなど、さらに処理され得る。場合によって、RNAおよびDNAの平行単離が関心対象である場合、DNAは第1の固相から溶出される。
− 少なくとも1種のカオトロピック剤および30%v/v以上の濃度の少なくとも1種のアルコールが、このRNA結合ステップ中に使用される、RNAを第2の固相に結合させるステップ。適した結合条件ならびに特にカオトロピック剤およびアルコールの適した濃度範囲は、以上に記載されており、それは、それぞれの開示に言及されている。
− 場合によって、前記第2の固相に結合されているRNAを洗浄するために、少なくとも1つの洗浄ステップを行うステップ。洗浄ステップに関する詳細は、以上に記載されており、それは、それぞれの開示に言及されている。
− 場合によって、DNase消化および/またはタンパク質分解酵素を使用した消化を行うステップ。DNase消化を行うことは、残りの微量のDNAを、効果的に除去することができるという利点を有する。第2のタンパク質消化ステップを行うことも、単離されるRNAの純度を増加させるために有利である。好ましくは、RNAは、DNase消化を行う前に溶出され、タンパク質分解酵素は、DNase消化が行われた後に加えられ、反応混合物は、カオトロピック剤の存在下でインキュベートされる。適した消化条件も、以上に記載されている。好ましくは、プロテイナーゼKが、タンパク質分解酵素として使用される。前記第2のタンパク質消化ステップに関する詳細および関連する利点は、欧州特許出願公開第10007346.9号明細書(EP10007346.9)に記載されている。タンパク質消化ステップが行われた後、好ましくは、少なくとも1種のカオトロピック剤および少なくとも1種のアルコールを加えることによって、RNAは、第2の固相に再結合される。適した結合条件は、以上に記載されており、それは、それぞれの開示に言及されている。好ましくは、第1のRNA結合ステップにおいて使用されたのと同一の結合条件が使用される。再結合した後、場合によって、1つまたは複数の洗浄ステップが行われ得る。場合によって、RNAは、前記第2の固相から溶出され、場合によって、溶出されたRNAは、加熱処理を行うことによって変性される。
本明細書に記載されているもの以外の追加の中間ステップを行うことも、本発明の範囲内である。しかし、ある特定の実施形態によると、本明細書に記載されているもの以外の追加のステップは、全く行われない。
核酸が単離されるべき試料は、一実施形態によると、試料を、安定化させる組成物と接触させることによって、それぞれ安定化され得、かかる安定化させる組成物は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を有する。
a)安定化させる組成物は、
a)一般式
+1234-
の陽イオン性(cationic)化合物
[式中、Yは、窒素またはリン、好ましくは窒素を表し、
123およびR4は、独立して、分枝または非分枝のC1〜C20−アルキル基、C6〜C20−アリール基および/またはC6〜C26アラルキル基を表し、
-は、無機または有機の、一塩基酸または多塩基酸の陰イオン(anion)を表す]
および
b)少なくとも1つのプロトン供与体
を含む。
一実施形態によると、RNAが全血または血漿もしくは血清などの血液製剤などの生物試料から単離される場合が特に好ましく、試料中に含まれる核酸集団の現状、特に転写パターンを保存するために、試料中に含有される核酸は、好ましくは、生物試料がその自然環境から採取された直後に安定化される。このことは、医学および診断の分野において、特に有益である。
したがって、一実施形態によると、試料が得られた後、その試料から核酸を単離する前に、試料は、前記試料中の核酸を安定化させるための核酸貯蔵安定化組成物と、速やかに混合されることが好ましい。例えば、試料は、適した採取デバイス中、例えば、安定化組成物を含む真空採血管中に採取することができる。それによって、試料は、採取時に速やかに安定化される。一実施形態によると、前記安定化組成物は、
a)一般式
+1234-
の陽イオン性(cationic)化合物
[式中、Yは、窒素またはリン、好ましくは窒素を表し、
123およびR4は、独立して、分枝または非分枝のC1〜C20−アルキル基、C6〜C20−アリール基および/またはC6〜C26アラルキル基を表し、
-は、無機または有機の、一塩基酸または多塩基酸の陰イオン(anion)を表す]
および
b)好ましくは、組成物中に、50mMを超えて飽和までの濃度で存在し、好ましくは、飽和脂肪族モノカルボン酸、不飽和アルケニル−カルボン酸、飽和および/または不飽和脂肪族C2〜C6−ジカルボン酸、脂肪族ヒドロキシル−ジ−およびトリカルボン酸、脂肪族ケトカルボン酸、アミノ酸もしくは無機酸またはその塩の、単独または組合せからなる群から選択される、少なくとも1つのプロトン供与体
を含む。
好ましくは、R1は、12、14または16個の炭素原子を有する高級アルキル基を意味し、R2、R3およびR4は、それぞれメチル基を表す。
好ましくは、陰イオンX-は、ハロゲン化水素酸の陰イオンまたは一塩基もしくは二塩基の有機酸の陰イオンを表し、最も好ましくは、陰イオンX-は、臭化物、塩化物、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩またはクエン酸塩からなる群から選択される。
好ましくは、プロトン供与体は、飽和脂肪族モノカルボン酸、不飽和アルケニル−カルボン酸、飽和および/または不飽和脂肪族C2〜C6−ジカルボン酸、脂肪族ケトカルボン酸、アミノ酸もしくは無機酸またはその塩およびその組合せからなる群から選択される。好ましくは、脂肪族モノカルボン酸は、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、n−吉草酸、イソ吉草酸、エチル−メチル−酢酸(2−メチル−酪酸)、2,2−ジメチルプロピオン酸(ピバル酸)、n−ヘキサン酸、n−オクタン酸、n−デカン酸もしくはn−ドデカン酸(ラウリン酸)またはその混合物からなる群から選択されるC1〜C6−アルキル−カルボン酸を含む。好ましくは、脂肪族アルケニル−カルボン酸は、アクリル酸(プロペン酸)、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸もしくはビニル酢酸またはその混合物からなる群から選択される。好ましくは、飽和脂肪族C2〜C6−ジカルボン酸は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸もしくはアジピン酸またはその混合物からなる群から選択される。最も好ましくは、脂肪族ジカルボン酸は、シュウ酸もしくはコハク酸またはその混合物である。好ましくは、脂肪族ヒドロキシ−ジ−および−トリカルボン酸は、タルトロン酸、D−(+)、L−(−)もしくはDL−リンゴ酸、(2R、3R)−(+)−酒石酸、(2S、3S)−(−)−酒石酸、メソ−酒石酸およびクエン酸またはその混合物からなる群から選択される。最も好ましくは、不飽和ジカルボン酸は、マレイン酸および/またはフマル酸またはその混合物である。好ましくは、不飽和トリカルボン酸は、アコニット酸である。好ましくは、脂肪族ケトジカルボン酸は、メソシュウ酸もしくはオキサロ酢酸またはその混合物である。好ましくは、アミノ酸は、アミノ酢酸(グリシン)、α−アミノプロピオン酸(アラニン)、α−アミノ−イソ−吉草酸(バリン)、α−アミノ−イソ−カプロン酸(ロイシン)およびα−アミノ−β−メチル吉草酸(イソロイシン)またはその混合物からなる群から選択される。
好ましくは、安定化させる組成物は、水溶液中に存在する。好ましくは、陽イオン性化合物は、0.01重量パーセントから15重量パーセントまでの範囲の濃度で含まれる。
適した安定化させる溶液は、例えば、参照することにより本明細書に援用されている米国特許第7,270,953号明細書にも、詳細に記載されている。以上に記載されているように、安定化組成物中に含まれる陽イオン性化合物は、試料中に含まれる核酸と複合体を形成する。一実施形態によると、安定化された試料は、キレート剤を含まない。別の実施形態によると、それは、キレート剤を含み得る。
代替の実施形態によると、安定化組成物は、使用される条件下で、荷電した第4級アンモニウム陽イオンを極性頭部基として含む界面活性剤を含み、したがって、使用される安定化条件下で、陽イオン性であるまたは陽イオン性となる。よって、界面活性剤が、安定化中、それぞれ複合体形成中に、陽イオン性であるまたは陽イオン性となる場合には、本来は非イオン性の界面活性剤も、核酸複合体を得るために使用することができる。したがって、恒久的に荷電した頭部基を含む陽イオン性界面活性剤の他に、本来は第3級アミンも、もしも酸性環境で、それによって第3級アミンがプロトンを取り込み、正に帯電するようになるならば、陽イオン性界面活性剤として使用することができる。
一実施形態によると、下記式2
R1R2R3N(O)x (2)
[式中、
R1およびR2は、それぞれ独立して、H、C1〜C20アルキル残基、C6〜C26アリール残基またはC6〜C26アラルキル残基であり、好ましくはH、C1〜C6アルキル残基、C6〜C12アリール残基またはC6〜C12アラルキル残基であり、
R3、はC1〜C20アルキル基、C6〜C26アリール残基またはC6〜C26アラルキル残基であり、
Xは、0および1の整数である]
を有するアミノ界面活性剤は、安定化組成物中で界面活性剤として使用され、これは使用される安定化条件下で、陽イオン性であるまたは陽イオン性となり、それによって陽イオン性界面活性剤として機能する。
一実施形態によると、xは1であり、R1およびR2は、それぞれ独立に、C1〜C6アルキルであり、R3はC1〜C20アルキルである。好ましい実施形態によると、xは0である。一実施形態によると、前記アミノ界面活性剤は、ドデシルアミン、N−メチルドデシルアミン、N、N−ジメチルドデシルアミン、N、N−ジメチルドデシルアミンNオキシドおよび4−テトラデシルアニリンからなる群から選択される。好ましくは、前記アミノ界面活性剤は、第4級アンモニウム陽イオンになるための、少なくとも1種のプロトン供与体、好ましくは酸または酸性塩を追加的に含む安定化組成物中に含まれる。一実施形態によると、安定化組成物は、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、カルボン酸および鉱酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸性塩を含む。安定化組成物中の前記酸性塩の総濃度は、好ましくは0.01Mから1Mまでの範囲であり得る。
陽イオン性界面活性剤を使用して、以上に記載されているように安定化される複合体試料は、特に、試料が血液試料または血液に由来する試料である場合には、安定化させる溶液中の添加剤および試料の高タンパク質含量が原因で、核酸を単離するには特に難題である。本発明の方法は、これらの困難を克服し、それぞれの安定化された試料からならびに特に、全血および軟膜、血清および/または血漿などの血液製剤または組織試料、特に、例えば肺または肝臓から得られる臓器組織試料などの複雑な生物試料から、小さいRNA(所望ならば)を含むRNAの単離を、良好な収量および高純度で可能にする。それ故、 本発明の方法は、医学および特に診断の分野において、特に有用である。
一実施形態によると、核酸、少なくとも1種のカオトロピック剤、少なくとも1種のキレート剤および場合によってタンパク質分解化合物を含む再懸濁させた試料は、ステップc)とステップd)との間で待機状態である。ステップd)において核酸を単離する前の前記待機時間は、0.1時間を超える、0.25時間を超える、0.5時間を超える、0.75時間を超える、1時間を超える、1.5時間を超える、2時間を超える、2.5時間を超えるもしくは3時間を超える期間を有し得、好ましくは0.25時間から12時間まで、0.5時間から11時間まで、0.75時間から10時間まで、1時間から9時間まで、1.25時間から8.5時間まで、1.5時間から8時間まで、1.75時間から7.5時間まで、1.25時間から7時間まで、1.5時間から6.5時間まで、1.75時間から6時間までおよび2時間から5.5時間までから選択される範囲にある。
以上に論じられているように、試料が、ステップc)における再懸濁と実際の核酸単離ステップd)との間で待機状態である状況は、自動化システムを使用して複数の試料を処理する場合に生じることが多い。以上に論じられているように、試料は、(例えば、試料を遠心分離し、陽イオン性界面活性剤および核酸を含む複合体を含むペレットを得、再懸濁化学物質を加えることによって)核酸単離用に手動で調製されることが多い。その後、調製し、再懸濁させた試料を、核酸単離用のロボットシステムの中に置く。前記ロボットシステムは、加熱および/または撹拌ステップを行うように設計されていることが多いため、上記の消化ステップも遂行され得る。本発明による方法は、複数の試料を処理する場合、特に自動化システムを使用する場合に、特定の利点を有する。
したがって、一実施形態によると、ステップc)とステップd)との間の待機時間が、再懸濁させた試料のうちの少なくともいくつかの間で異なる、複数の試料が処理される。この実施形態によると、複数の試料は、ステップc)までの本方法に従って処理される。ステップc)における再懸濁後、一部の前記複数の試料は、残りの再懸濁させた試料が、待機状態である間に、ステップd)に従って、さらに処理される。次いで、好ましくは核酸が再懸濁させた試料のうちの最初の部分から単離された後に、待機状態であったこれらの再懸濁させた試料が、ステップd)に従って、さらに処理される。
好ましくは、複数の試料は、磁性粒子を処理することができる自動化システムを使用して処理される。ステップd)において、再懸濁させた試料から核酸を単離するために、磁性粒子を使用することは、取り扱いが簡素化されるので有益である。磁性粒子は、磁場を用いて処理され得る。適したおよび好ましい磁性粒子は、以上に記載されている。この点で、ステップd)における核酸単離中に、磁性粒子を処理するために、本発明と併せて使用され得る先行技術において、種々の自動化ロボットシステムが存在する。一実施形態によると、磁性粒子を、反応器の底部または側部で回収し、残りの液体試料を反応器から除去し、回収された磁性粒子を後に残し、これに核酸を結合させる。残りの試料の除去は、デカンテーションまたは吸引によって生じ得る。そのようなシステムは、先行技術においてよく知られており、したがって、本明細書でのさらなる説明を必要としない。磁性粒子を処理することで知られている代替システムにおいて、カバーまたはエンベロープによって通常被覆されている磁石が反応器中に投じられて、磁性粒子を回収する。結合された核酸を担持する磁性粒子は、次いで、例えばさらなる処理溶液、例えば洗浄溶液などを含む新しい反応器中に移され得る。それぞれのシステムは、先行技術においてよく知られており、市販もされているため(例えばキアシンフォニー(QIAsymphony)、キアゲン(QIAGEN))、それらは、本明細書でのさらなる説明を全く必要としない。磁性粒子を処理することで知られている、さらなる代替の自動化システムにおいて、磁性粒子を含む試料を、ピペットの先端中に吸引することができ、例えばピペットの先端の側部に磁石を適用することによって、ピペットの先端に磁性粒子を回収することができる。次いで、ピペットの先端にある磁石のために、結合された核酸を担持する回収された磁性粒子が、残ったままになっている間に、残りの試料が、ピペットの先端から放出され得る。回収された磁性粒子は、次いで、さらに処理され得る。そのようなシステムも、先行技術においてよく知られており、市販もされており(例えばバイオロボット(BioRobot)EZ1、キアゲン(QIAGEN))、したがって、本明細書でのさらなる説明を全く必要としない。
「試料」という用語は、本明細書において、幅広い意味で使用されており、核酸を含有する種々の源を含むことを意図する。試料は生物試料であり得るが、この用語は他のもの、例えば、核酸を含む人工試料も含む。例示的な試料は、限定されないが、一般に体液、全血、血清、血漿、赤血球、白血球、軟膜、限定されないが、頬部ぬぐい液、咽喉ぬぐい液、膣ぬぐい液、尿道ぬぐい液、子宮頚部ぬぐい液、咽喉ぬぐい液、直腸ぬぐい液、病巣ぬぐい液、膿瘍ぬぐい液、鼻咽頭ぬぐい液などを含むぬぐい液、尿、痰、唾液、精液、リンパ液、髄液、羊水、脳脊髄液、腹水、胸水、嚢胞からの液、滑液、硝子体液、房水、嚢液、洗眼剤、眼吸引液、血漿、血清、肺洗浄、肺吸引液ならびに限定されないが、肝臓、脾臓、腎臓、肺、腸、脳、心臓、筋肉、膵臓、細胞培養物を含む組織ならびに任意の細胞から得られる溶解物、抽出物または材料ならびに試料上または試料中に存在し得る微生物およびウイルスなどを含む。核酸を含有する、臨床的または法医学的環境から得られる材料も、試料という用語の意図される意味の範囲内である。さらに、当業者は、上記の例示的な試料のいずれかから得られる溶解物、抽出物もしくは材料またはその部分も、試料という用語の範囲内であることを理解する。好ましくは、試料は、ヒト、動物、植物、細菌または真菌に由来する生物試料である。特に、「試料」という用語は、タンパク質も含む、核酸を含有する試料を指す。好ましくは、試料は、細胞、組織、細菌、ウイルスならびに例えば、血液、軟膜、血漿および血清などの血液製剤、尿、髄液、痰、便、CSFおよび精液などの体液、上皮ぬぐい液、生検、骨髄試料および組織試料、好ましくは肺および肝臓などの臓器組織試料からなる群から選択される。好ましくは、試料は、全血および軟膜、血清または血漿などの血液製剤から選択される。
本明細書において使用される「核酸(nucleic acid)」または「核酸(nucleic acids)」という用語は、特に、典型的には、サブユニット間のホスホジエステル架橋によって、しかしある場合には、ホスホロチオエート、メチルホスホネートなどによって、共有結合しているリボヌクレオシドおよび/またはデオキシリボヌクレオシドを含むポリマーを指す。核酸は、限定されないが、すべてのタイプのDNAおよび/またはRNA、例えば、gDNA、環状DNA、循環DNA、hnRNA、mRNA、限定されないが、rRNA、tRNA、lncRNA(長鎖非コードRNA)、lincRNA(長鎖遺伝子間非コードRNA)、miRNA(マイクロRNA)、siRNA(低分子干渉RNA)、snoRNA(低分子核小体RNA)、snRNA(低分子核内RNA)およびstRNA(低分子一過性RNA)を含む非コードRNA(ncRNA)、piRNA(piwi干渉RNA)、tiRNA(転写開始RNA)、PASR(プロモーター関連RNA)、CUT(潜在性不安定性転写産物(cryptic unstable transcripts))、細胞外液または循環RNA、断片化核酸、ミトコンドリアまたは葉緑体などの細胞内小器官から得られる核酸ならびに生物試料中に存在し得る、微生物、寄生生物またはDNAウイルスもしくはRNAウイルスから得られる核酸を含む。生物試料中に加えられるまたは「スパイクされる」ヌクレオチド類似体を含み得るまたは含み得ない合成核酸配列も、本発明の範囲内である。小さいRNAまたは小さいRNA種という用語は、特に、500nt未満、400nt未満、300nt未満または100nt未満の長さを有するRNAを指し、miRNA、siRNA、他の短鎖干渉核酸、snoRNAなどを含むが、これらに限定されない。一実施形態によると、核酸はRNAである。RNAは、小さいRNA種を含み得る。
本発明の方法に従って処理することができる試料の記載例から明らかになるように、試料は、2つ以上のタイプの核酸を含み得る。意図される使用に応じて、試料からすべてのタイプの核酸((例えばDNAおよびRNA)またはある特定のタイプの核酸のみまたはある特定のタイプの核酸(例えばRNAのみでDNAではないもしくはその逆も同様またはDNAおよびRNAは、別々に得られることになっている)を単離することが望まれ得る。これらのすべての変形は、本発明の範囲内である。DNAもしくはRNAのいずれかまたは両方のタイプの核酸を平行して単離するのに適した方法は、先行技術において知られており、以上に記載もされている。
本発明はまた、試料、好ましくは血液試料から、核酸を単離するための方法であって、核酸が複数の試料から単離され、調製される試料から核酸が単離される前の待機時間が、単離用に調製される複数の試料で異なることに起因する、前記複数の試料から単離される核酸の収量および質における変動が、単離用に調製される試料が少なくとも1種のカオトロピック剤および少なくとも1種のキレート剤を含むことによって減少する、方法に関する。
試料は、試料に含有される核酸と複合体を形成する陽イオン性界面活性剤を使用することによって、安定化されることが好ましい。陽イオン性界面活性剤に関する詳細は、以上に記載されており、それは、上記の開示に言及されている。好ましくは、核酸はRNAであり、試料は、体液、好ましくは全血、血清もしくは血漿、最も好ましくは全血でありまたはそれらに由来する。一実施形態によると、核酸は、上記の方法に従って単離される。それは、本明細書にも適用される上記の開示に言及されている。
さらに、本発明は、カオトロピック剤および核酸を含む試料の容器壁と相互作用する沈殿の形成を防ぐための、キレート剤の使用に関する。試料は、試料に含有される核酸と複合体を形成する陽イオン性界面活性剤を使用することによって、安定化されることが好ましい。陽イオン性界面活性剤に関する詳細は、以上に記載されており、それは、上記の開示に言及されている。好ましくは、核酸はRNAであり、試料は、体液、好ましくは全血、血清もしくは血漿、最も好ましくは全血でありまたはそれらに由来する。カオトロピック剤およびキレート剤のそれぞれの使用の利点、特に、沈殿形成および/または容器壁への付着を防ぐことによる、核酸の質および量の増加に関する利点は、以上に詳細に記載されている。キレート剤およびその濃度、カオトロピック剤およびその濃度、陽イオン性界面活性剤、核酸および試料のタイプの適したおよび好ましい実施形態は、以上に記載されている。それは、本明細書にも適用される上記の開示に言及されている。
本発明は、本明細書において開示されている例示的な方法および材料によって限定されるものではなく、本明細書において記載されているものと類似のまたは同等の、任意の方法および材料を、本発明の実施形態の実施または試験に使用することができる。数値の範囲は、範囲を規定している数字を含む。本明細書において提供されている見出しは、全体として本明細書を参照することにより読み取ることができる、本発明の種々の態様または実施形態を限定するものではない。本明細書において使用される「溶液」という用語は、特に、液体組成物、好ましくは水性組成物を指す。それは、1相のみの均質の混合物であり得るが、本発明に従って使用される溶液が、固体成分、例えば沈殿を含むことも、本発明の範囲内である。一実施形態によると、方法の場合には、ある特定のステップを含むとまたは組成物、溶液および/または緩衝液の場合には、ある特定の成分を含むと、本明細書に記載されている主題は、それぞれのステップまたは成分からなる主題を指す。本明細書に記載されている好ましい実施形態を選択し、組み合わせることが好ましく、好ましい実施形態のそれぞれの組合せから起こる特定の主題も、本開示に属する。
実施例
これから、本発明を以下の限定されない例によって説明する。
実施例1
24例の血液試料(2.5ml)を、バッチごとに、(安定化剤として陽イオン性界面活性剤を含む)パックスジーン ブロッド RNA チューブ(PAXgene Blood RNA Tube)に採取した。試料を24h間、室温で安定化させ、キアシンフォニー パックスジーン ブロッド RNA キット(QIAsymphony PAXgene Blood RNA Kit),2008(キアゲン(QIAGEN))を用い、製造業者の使用説明書に従って処理した。
キアシンフォニー パックスジーン ブロッド RNA キット(QIAsymphony PAXgene Blood RNA Kit)
キアシンフォニー パックスジーン ブロッド RNA(QIAsymphony PAXgene Blood RNA)プロトコル(先行技術)において、陽イオン性界面活性剤および核酸を含む複合体を含むペレットを回収し、再懸濁させるために、安定化された試料を手動で調製する。前記ペレットを、遠心分離によって得、上清をデカンテーションする。その後、300μlの再懸濁緩衝液BR1(キアゲン(QIAGEN))をペレットに加え、ボルテックスした。次いで、それぞれ手動で調製した試料を、キアシンフォニー(QIAsymphony)ロボットシステム中に装填し、キアシンフォニー(QIAsymphony)のスクリプトに従って、再懸濁させた試料から核酸を単離した。
第1のバッチは、再懸濁後、直ちに処理され、第2のバッチは、2時間5分後に処理された。したがって、第2のバッチの試料は、待機時間が2時間5分長かった。
再懸濁中に、カオトロピック剤の追加を含む改変バージョン
RNAの完全性を保存するために、カオトロピック剤を再懸濁させた試料に加えることによって、キアシンフォニー パックスジーン ブロッド RNA(QIAsymphony PAXgene Blood RNA)プロトコルを改変した。血液試料を、以上に記載されているように、手動で調製した。再懸濁緩衝液BR1をペレットに加え、ボルテックスした後、カオトロピック塩(GITC)を含むさらなる溶液(BR2、キアゲン(QIAGEN))200μlを加えた。カオトロピック塩を加えて、RNAの完全性を保存した。次いで、2つの異なるバージョンに従って、試料を処理した。バージョン1によると、緩衝液BR2を加えた後に、試料をキアシンフォニー(QIAsymphony)ロボット上に直ちに装填した。バージョン2によると、緩衝液BR2を加えた後に、試料をボルテックスし、次いでキアシンフォニー(QIAsymphony)ロボット上に装填した。次いで、キアシンフォニー(QIAsymphony)ロボットシステムにおいて、キアシンフォニー(QIAsymphony)のスクリプトに従って、再懸濁させた試料から核酸を単離した。
単離されたRNAの質を、アジレント バイオアナライザー(Agilent Bioanalyzer)を用いて決定し、RIN値(RIN=RNA完全性数)で表した。
結果
結果を図1に示す。
1:キアシンフォニー パックスジーン ブロッド RNA(QIAsymphony PAXgene Blood RNA)−第1のバッチ
2:キアシンフォニー パックスジーン ブロッド RNA(QIAsymphony PAXgene Blood RNA)−第2のバッチ
3:改変キアシンフォニー パックスジーン ブロッド RNA(QIAsymphony PAXgene Blood RNA)(カオトロピック剤の追加)−第2のバッチ(ボルテックスなし)
4:改変キアシンフォニー パックスジーン ブロッド RNA(QIAsymphony PAXgene Blood RNA)(カオトロピック剤の追加)−第2のバッチ(ボルテックスあり)
図1は、先行技術のプロトコルに従って処理した第1のバッチの試料については、RNA完全性が卓越していることを示す。しかし、試料の再懸濁と核酸抽出との間の待機時間がより長かった第2のバッチにおいて、RNA完全性は減少している。したがって、待機時間がより長いと、RNA完全性が減少し、よってRNAの質が減少する。
再懸濁させた試料にカオトロピック塩を加える改変バージョンは、バッチ1とバッチ2との間で、RNAの質に関して差が全くないことを示している。したがって、たとえ試料の待機時間が2時間以上と長くても、RNA完全性は保存される。
実施例2
実施例2において、上記のキアシンフォニー パックスジーン ブロッド RNA(QIAsymphony PAXgene Blood RNA)プロトコルおよび改変バージョン(カオトロピック剤を再懸濁中に加える)を、核酸収量に関して分析した。実施例2で試験した前記改変バージョン3において、核酸単離もキアシンフォニー パックスジーン ブロッド RNA(QIAsymphony PAXgene Blood RNA)プロトコルに従って、キアシンフォニー(QIAsymphony)上で行ったが、核酸結合、特に小さいRNAの結合を向上させるために、改変結合緩衝液を使用して行った。キアシンフォニー パックスジーン ブロッド RNA(QIAsymphony PAXgene Blood RNA)プロトコルで使用する結合緩衝液QSB1の代わりに、実施例2で使用した改変結合緩衝液は、60%を超えるイソプロパノールおよび0.2Mトリクロロ酢酸ナトリウムを含んだ。特に小さい核酸の結合の向上を達成するために、それぞれ改変された結合緩衝液および相当する核酸単離プロトコルは、参照することにより本明細書に援用されている、欧州特許出願公開第10000432.4号明細書(EP10000432.4)に記載されている。試料の再懸濁は、実施例1(改変バージョン)に記載されているように行い、よって、カオトロピック剤(GITC)を、RNAの完全性を保存するために、緩衝液BR2の形で加えた。
それぞれの改変バージョン3について、3バッチを試験した。第1のバッチの試料は、試料の再懸濁後、直ちに処理され、第2のバッチは、待機時間が2時間5分であり、第3のバッチは、待機時間が4時間10分であった。追加の参照として、試料はまた、パックスジーン ブロッド RNA キット(PAXgene Blood RNA Kit)(膜ベースのシングルスピンカラム法)を用い、製造業者の使用説明書に従って処理した。実施例2の結果を、図2に示す。
1:キアシンフォニー パックスジーン ブロッド RNA(QIAsymphony PAXgene Blood RNA)
2:改変キアシンフォニー パックスジーン ブロッド RNA(QIAsymphony PAXgene Blood RNA)(カオトロピック剤の追加)−第1のバッチ
3:改変キアシンフォニー パックスジーン ブロッド RNA(QIAsymphony PAXgene Blood RNA)(カオトロピック剤の追加)−第2のバッチ
4:改変キアシンフォニー パックスジーン ブロッド RNA(QIAsymphony PAXgene Blood RNA)(カオトロピック剤の追加)−第3のバッチ
5:パックスジーン ブロッド RNA(PAXgene Blood RNA)(IVD)
図2から導かれるように、改変バージョンの第1のバッチは、良好な収量を達成しており、先行技術の方法と比較して向上もしている。しかし、改変バージョンの第2および第3のバッチについては、高RIN値を保証するために、カオトロピック剤を再懸濁させた試料に加えているにもかかわらず、収量が減少していることが観察される(実施例1および図1を参照のこと)。収量は、20までから30%に減少している。核酸収量におけるこの損失の理由は、待機時間中に、沈殿が形成され、それが管のプラスチック壁にしっかり固着するためである。
実施例3
高いRNA完全性および高い核酸収量の両方を保証するために、本発明の教示に従って、プロトコルを改変した。したがって、EDTAを追加的に含めた、改変された再懸濁緩衝液を加えることによって、ペレットを再懸濁した。この目的のために、25mM EDTAを、先行技術のプロトコルでは再懸濁用に使用する再懸濁緩衝液BR1(キアゲン(QIAGEN))に加えた。この改変された再懸濁緩衝液BR1の280μlを、パックスジーン(PAXgene)で安定化された血液試料(実施例1を参照のこと)から得られたペレットに加えた。さらに、再懸濁のために、20μlのプロテイナーゼKを試料ごとに加えた。試料をボルテックスすることによって再懸濁し、カオトロピック剤(BR2、キアゲン(QIAGEN)−3Mを超えるGITCを含む)を含む緩衝液200μlを加えた。
再懸濁させた試料を、キアシンフォニー(QIAsymphony)ロボットシステム上に装填し、自動化核酸抽出を行った。手短には、核酸単離プロトコルは、以下のステップを含む。
1.試料の消化
40μlのプロテイナーゼKを、再懸濁させた試料に加え、10分間、加熱および振盪下でインキュベートした。
2.DNAの除去
マグ アトラクス G ビーズ(Mag Attract G beads)(キアゲン(QIAGEN))を、消化された試料に加え、DNAをビーズに結合させた。次いで、ビーズを試料から除去した。
3.RNAの結合
マグ アトラクス G ビーズ(Mag Attract G beads)(キアゲン(QIAGEN))を加え、65%を超えるイソプロパノール、トリクロロ酢酸ナトリウムおよびTris緩衝液を含む結合緩衝液1500μl。
4.洗浄
洗浄緩衝液QSB1およびBR4(キアゲン(QIAGEN))を使用して、2つの洗浄ステップを行った。
5.DNaseおよびプロテイナーゼKによる消化
RNAを溶出し、DNaseIを使用して、微量のDNAを消化した。その後、2回目のプロテイナーゼK消化を行った(参照することにより本明細書に援用されている、欧州特許出願公開第10007346.9号明細書(EP10007346.9)を参照のこと)。
6.RNAの再結合
1400μlの結合緩衝液(上記を参照のこと)を加えた。
7.洗浄
4回の最終洗浄ステップを行った(緩衝液QSB1、QSW5およびBR4、すべてのキアゲン(QIAGEN)を使用する)。
8.溶出および加熱変性
RNAを200μlのBR5(キアゲン(QIAGEN))を使用して溶出し、溶出された核酸を10分間加熱変性させた。
24例の血液試料を、バッチごとに、パックスジーン ブロッド RNA チューブ(PAXgene Blood RNA Tube)に採取した。本発明によるこのプロトコルを、実施例2(RNAの完全性を保存するために、カオトロピック剤を再懸濁中に加えるが、EDTAは加えない)に記載されているような改変バージョンと比較した。3つのバッチを、それぞれの方法で試験した。第1のバッチは、試料の再懸濁後、直ちに処理され、第2のバッチは、待機時間が2時間20分という時間であり、第3のバッチは、待機時間が4時間40分という時間であった。追加の参照として、試料は、パックスジーン ブロッド RNA キット(PAXgene Blood RNA Kit)(膜ベースのシングルスピンカラム法)を用いて処理した。
結果を、図3から6に示す。
図3は、本発明による改変された再懸濁ステップが、沈殿形成に及ぼす効果を示す。左手側には、カオトロピック剤を再懸濁中に加える(が、EDTAは加えない)改変バージョン(実施例2を参照のこと)に従って試料を調製した、第3のバッチの管を示している。確認できるように、容器壁に不可逆的に固着する大きい沈殿が形成されており、したがって、その後の核酸単離にとって損失である(=収量の減少、実施例2を参照のこと)。右手側には、再懸濁中カオトロピック剤を加える際にEDTAを加える本発明の方法に従って試料を調製した、第3のバッチの管を示している。確認できるように、沈殿形成は、本発明による方法を用いて、十分に防がれた。
図4は、種々のバッチのプロトコルを用いて得られる全体的なRNA収量を、比較下に示す。
1:キアシンフォニー パックスジーン ブロッド RNA(QIAsymphony PAXgene Blood RNA)−第1のバッチ
2:本発明による改変キアシンフォニー パックスジーン ブロッド RNA(QIAsymphony PAXgene Blood RNA)−第1のバッチ
3:キアシンフォニー パックスジーン ブロッド RNA(QIAsymphony PAXgene Blood RNA)−第2のバッチ
4:本発明による改変キアシンフォニー パックスジーン ブロッド RNA(QIAsymphony PAXgene Blood RNA)−第2のバッチ
5:キアシンフォニー パックスジーン ブロッド RNA(QIAsymphony PAXgene Blood RNA)−第3のバッチ
6:本発明による改変キアシンフォニー パックスジーン ブロッド RNA(QIAsymphony PAXgene Blood RNA)−第3のバッチ
7:パックスジーン ブロッド RNA(PAXgene Blood RNA)(IVD)
図4は、本発明の方法に従って処理される試料が、種々のバッチ間でのより長い待機時間にもかかわらず、一定の高い核酸収量を達成することを実証している。核酸収量は、かなり向上している。
図5は、本発明による方法を用いて達成されるRNA完全性を示す。確認できるように、高いRINが3つのすべてのバッチで得られている。したがって、RNAの完全性は、長い待機時間にもかかわらず保存されている。
図6は、小さいRNAの達成された収量を実証している。
1:キアシンフォニー パックスジーン ブロッド RNA(QIAsymphony PAXgene Blood RNA)−第1のバッチ
2:本発明による改変キアシンフォニー パックスジーン ブロッド RNA(QIAsymphony PAXgene Blood RNA)−第1のバッチ
3:キアシンフォニー パックスジーン ブロッド RNA(QIAsymphony PAXgene Blood RNA)−第2のバッチ
4:本発明による改変キアシンフォニー パックスジーン ブロッド RNA(QIAsymphony PAXgene Blood RNA)−第2のバッチ
5:キアシンフォニー パックスジーン ブロッド RNA(QIAsymphony PAXgene Blood RNA)−第3のバッチ
6:本発明による改変キアシンフォニー パックスジーン ブロッド RNA(QIAsymphony PAXgene Blood RNA)−第3のバッチ
7:パックスジーン ブロッド RNA(PAXgene Blood RNA)(IVD)
図6は、種々の試験プロトコルを用いて得られた溶出液を分析する際に、miScript(登録商標)プライマー(Primer)アッセイ(hsa−miR 30b)を用いて得られた平均CTを示す。確認できるように、この方法は、小さいRNAの良好な収量を達成しており、先行技術の方法と比較してかなり向上もしている。
実施例4
実施例4において、再懸濁中のEDTAの追加が、RNA収量に及ぼす効果をさらに分析した。場合によって、タンパク質分解化合物(プロテイナーゼK)を加えた。
それぞれの一連の試験について、ヒト全血2.5mlで満たした24本の試験管(キアゲン(QIAGEN)からのパックスジーン ブロッド RNA チューブ(PAXgene Blood RNA Tube)を、12人の提供者から複製して得、核酸を含有するペレットを得た。上清を除去し、ペレットを、以下の再懸濁緩衝液BR1(キアゲン(QIAGEN))
− 280μlBR1(キアゲン(QIAGEN))、20μlプロテイナーゼK溶液(キアゲン(QIAGEN))および200μlのGITCを含有する緩衝液(BR2、キアゲン(QIAGEN))、
− 280μlBR1(キアゲン(QIAGEN))+10mM EDTA、20μlプロテイナーゼK溶液(キアゲン(QIAGEN))および200μlのGITCを含有する緩衝液(BR2、キアゲン(QIAGEN))、
− 280μlBR1(キアゲン(QIAGEN))+25mM EDTA、20μlプロテイナーゼK溶液(キアゲン(QIAGEN))および200μlのGITCを含有する緩衝液(BR2、キアゲン(QIAGEN))、
− 280μlBR1(キアゲン(QIAGEN))+50mM EDTA、20μlプロテイナーゼK溶液(キアゲン(QIAGEN))および200μlのGITCを含有する緩衝液(BR2、キアゲン(QIAGEN))、
− 280μlBR1(キアゲン(QIAGEN))+25mM EDTA、20μlプロテイナーゼK溶液(キアゲン(QIAGEN))および200μlのGITCを含有する緩衝液(BR2、キアゲン(QIAGEN))または300μlBR1(キアゲン(QIAGEN))+25mM(プロテイナーゼKなし)および200μlのGITCを含有する緩衝液(BR2、キアゲン(QIAGEN))
中でボルテックスすることによって再懸濁した。
試料を、実施例3に記載されているプロトコルに従って処理した。
図7は、平均総RNA収量を示す。プロテイナーゼKおよびカオトロピック剤を含むがEDTAを含まない緩衝液BR1中で再懸濁させた試料について、バッチ1の試料から(待機時間が短い)達成されたRNA収量は、バッチ2の試料(待機時間が延長されている)のものよりも高かった。カオトロピック剤、プロテイナーゼKおよびキレート剤EDTAを使用して再懸濁させた試料は、第1のバッチで得られる核酸収量から確認できるように、概して、より多くのRNAをもたらした。したがって、RNA収量は、概して向上した。さらに、第2のバッチの試料から、延長された待機時間の後に得られるRNA収量は、より高いEDTA濃度(25mMおよび50mM)では、第1のバッチで得られるRNA収量に匹敵するまたはそれよりさらに良好である。プロテイナーゼKを再懸濁中に省略する場合に、類似の結果が達成されている。したがって、RNA収量に及ぼす有益な効果は、キレート剤の追加に起因するものである。
実施例5
以上に説明されているように、再懸濁させた試料は、特にカオトロピック剤を再懸濁中に加える場合、より長い待機時間中に沈殿を形成する。沈殿した凝集体は、RNA−処理後、試験管に固着したままであり、それ故、精製手法中には含まれていない。結果として、後のバッチの血液試料は、より早いバッチからの試料に比べてより顕著な沈殿を示す。実施例5は、RNA収量を減少させる、沈殿形成および容器壁への付着が(上記を参照のこと)、容器の材質に関わりなく生じ、したがって、プラスチック管のみならずガラス管にも生じることを示している。
安定化したヒト全血(パックスジーン(PAXgene)安定化化学物質を使用した)の試料を、ガラス管またはプラスチック管中で処理した。安定化した試料を遠心分離し、上清を除去し、ペレットを300μl緩衝液BR1および200μl緩衝液BR2の混合物中でボルテックスすることによって再懸濁した。さらに、追加的に25mMのEDTAを再懸濁中に加える、本発明による再懸濁プロトコルを試験した。
再懸濁させた試料を4時間、わきに置いておいた。次いで、上清を除去し、沈殿をガラス試験管およびプラスチック試験管の両方にデカンテーションした。
結果を図8aおよび図8bに示す。試験した両方の材質について、EDTAを含まずに再懸濁した試料では、大量の沈殿が試験管の底部に固着しているのが分かった(図8aを参照のこと)。これは、その後のRNA単離手法に含まれない損失した材料を表しており、したがって、結果として核酸収量を減少させることにつながる。本発明による方法に従って再懸濁させた試料、よって、EDTAを再懸濁中に追加的に含む試料は、4時間という待機時間の後でさえも、全く沈殿が見られなかった。

Claims (18)

  1. 試料、好ましくは血液試料から、核酸を単離するための方法であって、以下のステップ、
    a)少なくとも1種の陽イオン性界面活性剤の使用によって、安定化されている試料を得るステップであって、前記陽イオン性界面活性剤が、前記核酸と複合体を形成しているステップ;
    b)場合によって、前記安定化されている試料由来の他の試料成分と一緒に前記複合体を得るステップであって、前記複合体が、単離されるべき前記核酸を含むステップ;
    c)前記複合体を再懸濁させ、場合によって、1種または複数の添加剤を、再懸濁前、再懸濁中および/または再懸濁後に加えることによって、少なくとも
    i)単離されるべき前記核酸;
    ii)少なくとも1種のカオトロピック剤;および
    iii)少なくとも1種のキレート剤;
    を含む、再懸濁させた試料を得るステップ、
    ならびに
    d)前記再懸濁させた試料から、核酸を単離するステップ
    を含む、方法。
  2. 前記再懸濁させた試料が、ステップc)とステップd)との間で、少なくとも0.2時間、少なくとも0.3時間、少なくとも0.4時間、少なくとも0.5時間、少なくとも0.75時間または少なくとも1時間の間および/または0.5時間から12時間まで、1時間から10時間まで、1.5時間から8時間まで、2時間から7時間まで、3時間から6時間までの期間、待機状態である、請求項1に記載の方法。
  3. ステップc)において行われる前記再懸濁が、以下の特徴、
    a)非カオトロピック塩、好ましくはアンモニウム塩を含む再懸濁溶液が加えられる;
    b)前記キレート剤が、再懸濁前、再懸濁中または再懸濁後に加えられる;
    c)前記キレート剤が、再懸濁溶液とは別個に加えられる;
    d)前記キレート剤が、再懸濁溶液中に含まれる;
    e)前記再懸濁させた試料が前記キレート剤を、0.5mMから75mMまで、1mMから50mMまで、2.5mMから25mMまでおよび5から15mMまでから選択される濃度で含むような濃度で、前記キレート剤が加えられる;
    f)前記キレート剤が、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジニトリロ四酢酸(EDTA)、エチレングリコール四酢酸(EGTA)およびN,N−ビス(カルボキシメチル)グリシン(NTA)からなる群から選択される、および/または
    g)少なくとも1種の添加剤が、再懸濁前、再懸濁中および/または再懸濁後に加えられ、前記添加剤が、カオトロピック剤、タンパク質分解化合物および緩衝剤からなる群から選択され、それによって前記再懸濁させた試料中に含まれる、
    のうちの1つまたは複数を有する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記再懸濁させた試料中に存在する前記キレート剤が、
    a)沈殿した試料の、前記試料を含む容器への結合を減少させる;
    b)前記単離された核酸の収量を増加させる;および/または
    c)ステップc)とd)との間の待機時間が異なることに起因する、前記核酸単離の効率および/または量における変動を減少させる、
    請求項1から3の1項または複数項に記載の方法。
  5. 前記再懸濁させた試料中に含まれる前記カオトロピック剤に関して、以下の特徴、
    a)前記再懸濁させた試料中の前記カオトロピック剤の濃度が、0.1Mから4Mまで、0.5Mから3Mまでおよび0.75Mから2.5Mまでからなる群から選択され、好ましくは少なくとも1Mである;
    b)前記カオトロピック剤が、ステップc)において、別個の溶液の形で加えられる;
    c)前記カオトロピック剤が、ステップc)において、前記複合体の再懸濁後に加えられ、それによって前記再懸濁させた試料中に含まれる;および/または
    d)ステップc)において存在する前記カオトロピック剤が、カオトロピック塩、グアニジン塩酸塩、グアニジンチオシアン酸塩、グアニジンイソチオシアン酸塩、チオシアン酸ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、トリクロロ酢酸ナトリウム、トリフルオロ酢酸ナトリウム、尿素からなる群から選択され、好ましくはGTCまたはGITCである、
    のうちの1つまたは複数を有する、請求項1から4の1項または複数項に記載の方法。
  6. タンパク質分解化合物が、ステップc)において加えられる、請求項1から5の1項または複数項に記載の方法。
  7. ステップc)において加えられる前記タンパク質分解化合物に関して、以下の特徴、
    a)前記タンパク質分解化合物が、タンパク質分解酵素である;および/または
    b)前記タンパク質分解化合物が、プロテイナーゼ、プロテアーゼ、スブチリシンおよびサブチラーゼからなる群から選択されるタンパク質分解酵素であり、好ましくはプロテイナーゼKである、
    のうちの1つまたは複数を有する、請求項6に記載の方法。
  8. ステップc)が、
    aa)非カオトロピック塩およびキレート剤を含み、カオトロピック剤を含まない再懸濁溶液が加えられ、前記複合体が再懸濁されること、
    bb)カオトロピック剤が、前記複合体の再懸濁後に加えられ、それによって前記再懸濁させた試料中に含まれるようになることであって、好ましくは、前記カオトロピック剤が、水溶液の形で、前記再懸濁させた複合体に加えられること、
    cc)場合によって、タンパク質分解酵素が、前記複合体の再懸濁後に加えられ、それによって前記再懸濁させた試料中に含まれること、
    を含む、請求項1から7の1項または複数項に記載の方法。
  9. ステップd)において行われる前記単離が、以下のステップ、
    i)好ましくは、前記再懸濁させた試料を、タンパク質分解酵素の存在下で加熱および/または撹拌することによって、前記再懸濁させた試料を消化するおよび/または変性させるステップ;
    ii)適切な結合条件を使用して、前記核酸を固相に結合させるステップ、ならびに
    iii)場合によって、前記核酸を洗浄するステップ;
    iv)場合によって、前記核酸を溶出するステップ、
    を含む、請求項1から8の1項または複数項に記載の方法。
  10. 前記試料が血液試料であり、ステップa)において、前記血液試料を、
    i)一般式:
    +1234-
    の陽イオン性(cationic)化合物
    [式中、Yは、窒素またはリン、好ましくは窒素を表し、
    123およびR4は、独立して、分枝または非分枝のC1〜C20−アルキル基、C6〜C20-アリール基および/またはC6〜C26アラルキル基を表し、
    -は、無機または有機の、一塩基酸または多塩基酸の陰イオン(anion)を表す]および
    ii)少なくとも1つのプロトン供与体、
    を含む、安定化させる組成物と接触させることによって、前記血液試料が安定化される、請求項1から9の1項または複数項に記載の方法。
  11. 前記試料が血液試料であり、ステップa)において、前記血液試料を、
    (i)下記式(2)
    R1R2R3N(O)x (2)
    [式中、
    R1およびR2は、それぞれ独立して、H、C1〜C6アルキル残基、C6〜C12アリール残基またはC6〜C12アラルキル残基であり、
    R3は、C1〜C20アルキル基、C6〜C26アリール残基またはC6〜C26アラルキル残基であり、
    Xは、0および1の整数である]
    を有するアミノ界面活性剤および
    (ii)酸または酸性塩、
    を含む、安定化させる組成物と接触させることによって、前記血液試料が安定化される、請求項1から9の1項または複数項に記載の方法。
  12. 複数の試料が処理され、ステップc)とステップd)との間の前記待機時間が、前記再懸濁させた試料のうちの少なくともいくつかの間で異なる、請求項1から11、特に請求項8から11の1項または複数項に記載の方法。
  13. 以下の特徴、
    a)前記核酸がRNAである;
    b)複数の試料がステップa)からステップc)に従って調製され、それによって、複数の再懸濁させた試料を得、前記再懸濁させた試料がバッチに分けられ、前記核酸がステップd)に従って前記バッチから単離され、ステップc)とd)との間の前記待機時間が、少なくとも2つのバッチ間で異なる;
    c)ステップd)が、自動化システムを使用して行われる;
    d)複数の試料が、ステップc)まで手動で処理され、それによって、複数の再懸濁させた試料を得、好ましくは、ステップd)において、前記再懸濁させた試料が、前記核酸を単離するための自動化システムを使用して処理される;および/または
    e)少なくともRNAが、少なくともRNAおよびDNAを含む試料から単離され、単離ステップd)が、以下のステップ、
    − タンパク質分解酵素を含む前記再懸濁させた試料を得るステップおよび好ましくは、前記再懸濁させた試料を、少なくとも5分間、室温を超える、好ましくは50℃を超える温度でインキュベートすることによって、前記再懸濁させた試料の消化を続けるステップ;
    − DNAを第1の固相に結合させ、前記第1の固相に結合された前記DNAを、前記RNAを含む残りの試料から分離することによって、前記再懸濁および消化された試料から少なくとも一部の前記DNAを除去するステップ、
    − 少なくとも1種のカオトロピック剤および30%v/v以上の濃度の少なくとも1種のアルコールが、このRNA結合ステップ中に使用される、RNAを第2の固相に結合させるステップ、
    − 場合によって、前記第2の固相に結合されているRNAを洗浄するために、少なくとも1つの洗浄ステップを行うステップ、
    − 場合によって、DNase消化および/またはタンパク質分解酵素を使用した消化を行うステップ、
    − 場合によって、前記RNAを溶出するステップ、
    を含む、
    のうちの1つまたは複数を有する、請求項1から12の1項または複数項に記載の方法。
  14. 以下のステップ、
    a)少なくとも1種の陽イオン性界面活性剤の使用によって、安定化されている試料を得るステップであって、前記陽イオン性界面活性剤が、前記核酸と複合体を形成しており、好ましくは、請求項10または11に記載の陽イオン性界面活性剤が、安定化のために使用されたステップ;
    b)場合によって、前記安定化されている試料由来の他の試料成分と一緒に前記複合体を得るステップであって、前記複合体が、単離されるべき前記核酸を含むステップ;
    c)前記複合体を再懸濁させ、場合によって、1種または複数の添加剤を、再懸濁前、再懸濁中および/または再懸濁後に加えるステップであって、ステップc)が、
    aa)非カオトロピック塩およびキレート剤を含む再懸濁溶液を加えることであって、前記再懸濁溶液が、カオトロピック剤を含まないこと、ならびに前記複合体を再懸濁すること、
    bb)カオトロピック剤を、前記複合体の再懸濁後に加えることであって、好ましくは、前記カオトロピック剤を、水溶液の形で、前記再懸濁させた複合体に加えること、
    cc)場合によって、タンパク質分解酵素を、前記複合体の再懸濁後に加えること、
    それによって、少なくとも
    i)単離されるべき前記核酸;
    ii)少なくとも1種のカオトロピック剤;および
    iii)少なくとも1種のキレート剤;および
    iv)場合によって、タンパク質分解酵素;
    を含む再懸濁させた試料を得ること、
    を含むステップ、
    ならびに
    d)前記再懸濁させた試料からRNAを単離するステップであって、好ましくは、前記RNAが、請求項13のe)に記載の特徴に従って単離され、好ましくは、シリカ粒子が前記RNAを結合させるための固相として使用され、好ましくは、自動化システムが、RNA単離に使用されるステップ、
    を含み、
    複数の試料がステップa)からステップc)に従って調製され、それによって、複数の再懸濁させた試料を得、前記再懸濁させた試料がバッチに分けられ、前記核酸がステップd)に従って前記バッチから単離され、ステップc)とd)との間の前記待機時間が、少なくとも2つのバッチ間で異なる、血液試料からRNAを単離するための、請求項1から13の1項または複数項に記載の方法。
  15. 試料、好ましくは血液試料から、核酸を単離するための方法であって、前記核酸が複数の試料から単離され、調製される試料から前記核酸が単離される前の待機時間が、単離用に調製される前記複数の試料で異なることに起因する、前記複数の試料から単離される前記核酸の収量および質における変動が、単離用に調製される前記試料が少なくとも1種のカオトロピック剤および少なくとも1種のキレート剤を含むことによって減少する、方法。
  16. 前記核酸が、請求項1から14の1項または複数項に記載の方法に従って単離される、請求項15に記載の方法。
  17. 少なくとも1種のカオトロピック剤および核酸を含む試料の容器壁に付着する沈殿の形成を防ぐまたは減少させるための、キレート剤の使用。
  18. 前記試料が、陽イオン性界面活性剤、タンパク質分解化合物、塩および/または緩衝液の群から選択される少なくとも1種の成分を含む、請求項17に記載の使用。
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