JP2014524747A - ウイルス抗原およびワクチンの製造方法 - Google Patents

ウイルス抗原およびワクチンの製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は製薬産業の分野に属し、かつ、エンベロープウイルスを含んでなる液体を提供する段階、前記エンベロープウイルスを含んでなる液体を澄明化する段階、得られる液体収集物の容量を低減する段階、エンベロープウイルスを可溶化する段階、およびウイルス抗原を精製する段階を含んでなるエンベロープウイルス由来のウイルス抗原の製造方法に関する。本発明はさらに、ワクチン製剤の製造のための前記方法の使用に関する。

Description

本発明は製薬産業の分野に属し、かつ、エンベロープウイルス由来のウイルス抗原を含んでなる製薬学的組成物の製造方法に関する。
現在、ワクチン製剤若しくはそれらの中間体のような製薬学的組成物の製造に使用されるウイルスは卵に基づく若しくは細胞に基づく培養系で増殖される。使用されるそれぞれの系に依存せず、培養系のそれぞれからのウイルス抗原の加工は、ワクチン製剤のような製薬学的組成物の製造において非常に重要かつ欠くことのできない段階である。卵に基づく系に関して、該加工の主要件は卵アルブミンのような孵化鶏卵タンパク質の十分な除去であり、また、細胞に基づく系に関して、該加工は宿主細胞DNAおよび宿主細胞タンパク質の大きな低減のような要件を満たさなければならない。さらに、生成物以外のウイルスは大きく除去されなければならない。
ウイルスタンパク質の精製に関して、特許文献1は、細胞、微小担体および細胞集塊物を沈降により培地から分離する段階、前記沈降物を化学的不活化および前記沈降物の可溶化にかける段階、コール酸ナトリウムを添加する段階、該混合物の遠心分離段階、Amberlite処理により洗剤の量を低減する段階、ならびにアフィニティークロマトグラフィーを実施する段階、次いで標的タンパク質を溶出する段階を含んでなるウイルス膜タンパク質の精製工程を開示する。
特許文献2は、精製されたビリオンを不活化する段階、次いで前記ビリオンを洗剤で分割する段階を本質的に含んでなるワクチン抗原の製造方法を記述する。
特許文献3は、細胞中でウイルスを増殖させる段階、前記ウイルスを細胞上清中に収集する段階、前記ウイルスを不活化する段階、密度勾配超遠心分離法によりそれを精製する段階およびそれを洗剤で処理する段階を含んでなる、ウイルスワクチンの製造方法を開示する。
特許文献4は、膜濾過技術を使用する精製されたインフルエンザサブユニットワクチンの製造方法を開示する。
特許文献5は、濃縮、精製および断片化の段階を含んでなる精製されたインフルエンザ抗原の製造方法を指す。
精製方法を指すさらなる文書は、特許文献6;特許文献7;非特許文献1;非特許文献2;特許文献8;特許文献9;非特許文献3;非特許文献4および特許文献10である。
上述された方法にもかかわらず、ウイルス抗原、とりわけウイルス抗原製剤および具体的にはワクチンのような製薬学的組成物の改良された製造方法に対する必要性および従って目的がなお存在する。とりわけ、低レベルの宿主細胞DNAおよびタンパク質ならびに外来性の剤の厳しい要件を満たしつつウイルス株に依存しない比較的低製造費用で高い生成物回収率を与えかつ最低数の段階のみを必要とする製造方法に対する必要性が存在する。
第EP 1 982 727 A1号明細書 第US 2011/0014230 A1号明細書 第US 2009/0060950 A1号明細書 第US 4,327,182号明細書 第US 6,048,537号明細書 第US 2010/0119552 A1号明細書 第US 2010/0158944 A1号明細書 第US 2008/0118970号明細書 第WO 03/097797号明細書 第WO 2010/052214 A2号明細書
Kalbfuss et al.、2007、Biotech&Bioeng.Vol.96、No.5、pp 932−944 Onions et al.、2010、Biologicals、Vol.38、pp 544−551 Goerke et al.、2005、Biotechnology and Bioengeneering、Vol.91、No.1、pp 12−21 Krober et al.、Chem.Eng.Technology 2010、Vol.33、pp 941−959
[発明の要約]
本発明は以下の局面、主題および好ましい態様を提供し、それらはそれぞれ単独で若しくは組合せで利用されて本発明の目的を解決することに寄与する。すなわち、
(1)以下の段階すなわち
a)エンベロープウイルスを含んでなる液体を提供する段階、
b)前記エンベロープウイルスを含んでなる液体を澄明化して前記エンベロープウイルスを含んでなる液体収集物をもたらす段階、
c)段階b)後に得られる液体収集物の容量を低減して濃縮された液体収集物を得る段階、
d)洗剤、または陽イオン性洗剤を含んでなる若しくはそれよりなる洗剤の混合物を段階c)で得られる濃縮された液体収集物に添加することにより、該液体収集物中に存在するエンベロープウイルスを可溶化する段階、
e)段階d)後に得られる組成物からウイルスコアを分離する段階、
f)場合によっては、段階e)後に得られる組成物から陽イオン性洗剤を除去する段階、および
g)ウイルス抗原を精製する段階
を示される順序で含んでなり、
段階c)に段階d)が直接続く、
エンベロープウイルス由来のウイルス抗原の製造方法。
好ましい一態様において、主精製段階、具体的にはエンベロープウイルスを精製することに向けられる主精製段階、好ましくはクロマトグラフィーが段階e)の前に実施されない。段階e)後に主精製段階が起こる。段階e)後に起こるこの主精製段階はウイルス抗原を精製することに向けられる。それはそれぞれウイルス全体若しくはビリオン全体を精製することに向けられない。「主精製段階」(若しくはそれぞれ「主精製方法」)という用語の定義に関して、本明細書の別の場所の定義に言及がなされる。
さらなる好ましい一態様において、実施される唯一のクロマトグラフィー段階は段階g)で実施される。
さらなる好ましい一態様において、密度勾配遠心分離(密度勾配超遠心分離法、例えばショ糖勾配超遠心分離法のような)は段階e)の前に実施されない。
さらなる一態様において、化学的不活化段階のような付加的なウイルス不活化段階および/若しくは付加的なウイルス除去段階を適用しうる。しかしながら、本発明を応用することにより、こうした付加的なウイルス不活化段階および/若しくは付加的なウイルス除去段階の使用は、いかなる病原体の十分な不活化および十分な除去に到着するために、すなわちそれぞれの規制に適合する不活化および除去に到着するために必要でないことがおそらくあり得る。こうした付加的なウイルス不活化および/若しくは付加的なウイルス除去段階を省略することは、例えば所望のウイルス抗原上に露出されるストレスを最小化することおよび/若しくは工程を短縮することに関して改良された方法にさらに寄与するため、これは一利点である。しかしながら、化学的不活化のような付加的なウイルス不活化段階および/若しくは付加的なウイルス除去段階を実施する場合、この段階(1個若しくは複数)は段階c)とd)の間で起こらない。すなわち、別の場所で開示されるとおり、段階d)による段階c)の直接続くことはとりわけウイルス抗原の高められた回収率に寄与する。別の局面において、前記付加的な不活化および/若しくは付加的な除去段階は段階e)の前で実施されない。さらなる一態様において、前記付加的な不活化および/若しくは付加的な除去段階は例えば段階g)後に実施される。さらに、こうした付加的なウイルス不活化段階および/若しくは付加的なウイルス除去段階が実施される場合、規制に適合する最終生成物に到着するために必要とされかつ使用される化学物質の濃度は、規制に適合する最終生成物に到着するために慣習的に必要とされかつ使用される化学物質の濃度に比較してより低い。これは、例えばウイルス抗原上での露出されるストレスおよび化学修飾を低減することに関して有利であり得る。それは製品の有効性およびおそらく安定性にさらに有益であり得る。
本発明の意味内で、「ウイルス抗原を精製すること」という用語は、クロマトグラフィー若しくは密度勾配超遠心分離精製法のような主精製方法若しくは主精製段階を示す。一態様において、主精製方法は選択的膜濾過を含まない。使用されるクロマトグラフィーは、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、混合様式クロマトグラフィー、偽アフィニティークロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、液体−液体クロマトグラフィーなどであり得る。本発明の意味内で、「主精製方法」若しくは「主精製段階」という用語は、(最終的に)所望の生成物を精製するために使用される主要精製方法である方法を指す。言い換えれば、主精製方法/段階は(最終的に)所望の生成物を特異的に精製することに向けられる。本発明において、例えば、前記(最終的に)所望の生成物は、可溶化前に精製されるべきであるウイルス抗原であるがしかしエンベロープウイルス全体でない。「主精製方法」でない他の方法は、澄明化目的、濃縮目的若しくはペレット化目的のような異なる目的を達成することができ、ときに所望の(最終)生成物を付加的に精製することという付随する効果を伴う。「主精製段階」若しくは「主精製方法」でないこうした方法段階の結果は、こうした方法/段階を実施した後の所望の(最終)生成物の精製効果が、「主精製段階/方法」を実施した場合に達成される精製効果と比較してより低いことである。主精製段階を実施した後、好ましいさらなる精製段階は実施されない(例えば組成物中になお存在する不純物に関して規制に適合させるために)。除去および化学的不活化段階のような不活化段階はこの点に関して主精製段階と見なされない。本発明により、こうした「主精製段階/方法」は段階e)の前に実施されない。
(2)段階d)後かつ段階g)の前に段階d)で添加された洗剤が除去される、項目(
1)に記載の方法。
一態様において、クロマトグラフィー段階が洗剤を除去するために使用されない。
(3)段階c)の容量が最低4、好ましくは最低5の係数だけ低減される、項目(1)若しくは(2)に記載の方法。
好ましい一態様において、容量は最低4、好ましくは最低5若しくは最低9、より好ましくは最低12、なおより好ましくは最低13若しくは最低15、および最も好ましくは最低20若しくは最低25の係数だけ低減される。典型的な最大容量低減は30、35、40若しくは45である。
一態様において、段階c)での容量の低減は1つの単独段階で実施される。本発明の意味内で、「1つの単独段階」という表現は、実施された1つの容量低減段階のみ存在すること、およびこの単独の容量低減段階が反復されないことを示す。
(4)陽イオン性洗剤の最終濃度が最低約2000μg/ml、また好ましい最低約2500μg/ml、また好ましい最低約3000μg/ml、また好ましい最低約3500μg/ml、また好ましい最低約4000μg/ml、また好ましい最低約4500μg/ml、また好ましい最低約5000μg/ml、また好ましい最低約5500μg/ml、およびまた好ましい最低約6000μg/mlである、項目(1)ないし(3)のいずれかに記載の方法。
(5)陽イオン性洗剤が、臭化セチルトリメチルアンモニウム若しくは他のアルキルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルアミン酢酸塩若しくはココナツアルキルアミン酢酸塩のようなアルキルアミン塩、塩化および臭化ベンザルコニウム、例えば塩化ベンゼトニウム若しくは塩化メチルベンゼトニウム、ステアリルアミンポリグリコールエーテル若しくはオレイルアミンポリグリコールエーテルのような四級アンモニウム陽イオンに基づき、好ましくは陽イオン性洗剤が臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)である、先行する項目のいずれかに記載の方法。
さらなる一態様において、洗剤は洗剤の混合物であり、ここで前記混合物は、洗剤として本明細書に記述されるところの陽イオン性洗剤、好ましくはCTAB、および本明細書に記述されるところの非イオン性洗剤、好ましくはTweenファミリーのメンバー、好ましくはTween−80を含んでなる。
(6)段階b)に段階c)が直接続きこれに段階d)が直接続く、先行する項目のいずれかに記載の方法。
さらなる一態様において、段階d)に段階e)が直接続く。
(7)洗剤交換が起こらない、先行する項目のいずれかに記載の方法。
(8)ヌクレアーゼ若しくは他のDNA消化酵素、好ましくはBenzonase(R)が段階d)の前に添加されず、好ましくはヌクレアーゼが該方法のいずれの段階でも添加されない、先行する項目のいずれかに記載の方法。
(9)エンベロープウイルスが、エンベロープRNAウイルス、エンベロープDNAウイルス若しくはエンベロープレトロウイルスよりなる群から選択され、エンベロープRNAウイルスは、フラビウイルス、トガウイルス、コロナウイルス、D型肝炎ウイルス、フ
ィロウイルス、ラブドウイルス、ブニヤウイルス、オルソミクソウイルス、パラミクソウイルスおよびアレナウイルスを含んでなり、また、エンベロープDNAウイルスはヘパドナウイルス、ヘルペスウイルスおよびポックスウイルスを含んでなり、好ましくはエンベロープウイルスがエンベロープRNAウイルスから選択され、より好ましくはエンベロープウイルスがオルソミクソウイルス、最も好ましくはインフルエンザウイルスA、B若しくはCのようなインフルエンザウイルスである、先行する項目のいずれかに記載の方法。
(10)段階a)の液体が、細胞に基づくエンベロープウイルス増殖培養物若しくは卵に基づくエンベロープウイルス増殖培養物由来である、先行する項目のいずれかに記載の方法。
(11)細胞に基づくエンベロープウイルス増殖培養物が、哺乳動物細胞株、好ましくは動物細胞株の細胞を含んでなる、項目(10)に記載の方法。
(12)哺乳動物細胞株の細胞が、Vero、PerC6、BHK、293、COS、PCK、MRC−5、MDCK、MDBKおよびWI−38よりなる群から選択され、好ましくは細胞がMDCK細胞である、項目(10)若しくは(11)のいずれかに記載の方法。
(13)細胞が接着細胞として培養される、項目(10)ないし(12)のいずれかに記載の方法。
(14)卵に基づくエンベロープウイルス増殖培養物が鶏卵を含んでなる、項目(10)に記載の方法。
(15)段階a)の液体が使い捨てバイオリアクターを使用することにより製造される、先行する項目のいずれかに記載の方法。
使い捨てバイオリアクターの使用は、例えば得られる生成物それ自身に関して、例えば品質および/若しくは純度に関して、慣習的方法に比較しての本発明の方法の改良にさらに寄与し得る。これは該方法を大スケール、例えば工業的スケールで実施する場合にとりわけ有益である。
(16)澄明化段階b)が、遠心分離、接線流濾過および深層濾過よりなる群から選択される方法を適用することにより実施される、先行する項目のいずれかに記載の方法。
一態様において、遠心分離の条件は、例えば、2min未満の10000gに等しいか若しくはより小さいRCF(相対遠心力)、好ましくは2minに等しいか若しくは未満の3000gに等しいか若しくはより小さいRCF、より好ましくは2minに等しいか若しくは未満の500gに等しいか若しくはより小さいRCF、なおより好ましくは2minに等しいか若しくは未満の300gに等しいか若しくはより小さいRCFである。本発明の意味内で、「g」は地球表面での重力による標準加速度を指す。
一態様において、接線流濾過について、精密濾過膜の孔径は例えば最低0.2μm、好ましくは最低0.45μm、およびなおより好ましくは最低0.65μmである。
一態様において、深層濾過のために例えば0.2μm〜7μmフィルターを使用する。加えて、製品回収率をさらに改良するためおよび/若しくはフィルターの目詰まりを予防するため、プレフィルターを使用し得る。
(17)濃縮段階c)が、接線流濾過(TFF)、超遠心分離法および沈殿よりなる群から選択される方法を適用することにより実施される、先行する項目のいずれかに記載の方法。TFFはTFF限外濾過若しくは一段階でのTFF限外濾過およびダイアフィルトレーション(TFF限外濾過/ダイアフィルトレーション)である。
一態様において、接線流濾過を段階c)に使用する場合、限外濾過膜の分子量カットオフは、例えば1000kDaに等しいか若しくはより小さい、好ましくは750kDaに等しいか若しくはより小さい、より好ましい500kDaに等しいか若しくはより小さい、なおより好ましくは300kDaに等しいか若しくはより小さい、および最も好ましくは100〜300kDaであり得る。好ましい一態様において、限外濾過膜の分子量カットオフは50kDa未満でない。
段階c)で接線流濾過を適用する場合、好ましい一態様において、容量低減は5〜40媒の範囲にあり、好ましくは容量低減は10倍以上であり、より好ましくは容量低減は15倍以上である。容量低減は30倍以上でないことが好ましい。これは以下の処理段階の改良された結果につながりうる。
一態様において、超遠心分離法を段階c)に使用する場合、超遠心分離法の条件は例えば10min以上30,000g〜200,000gであり得る。段階c)で超遠心分離法を適用する場合、好ましい一態様において、超遠心分離法の容量低減は10倍以上、好ましくは20倍以上、より好ましくは30倍以上、なおより好ましくは40倍以上である。
一態様において、濃縮が沈殿を適用することにより実施される場合、適する化学物質は当業者に既知であり、そして例えばそれぞれ適切な濃度の塩、メチルおよびエチルアルコールならびにポリエチレングリコールであり得る。適切な濃度の適する化学物質は生成物例えばウイルス抗原を含有する粒子を沈殿させるが、しかし前記ウイルス抗原に対する負の影響を有しないか若しくは最小限有する。それらが(最終的に)所望の生成物例えばウイルス抗原と反応しないような化学物質が選ばれる。段階c)で沈殿を適用する場合、好ましい一態様において、容量低減は10倍以上、好ましくは20倍以上、より好ましくは30倍以上、なおより好ましくは40倍以上である。
(18)段階d)で、液体収集物中に存在するエンベロープウイルスの本質的に全部を可溶化するのに十分な時間および温度で可溶化が実施される、先行する項目のいずれかに記載の方法。
一般に、エンベロープウイルスの本質的に全部を可溶化するのに十分な時間および温度は当業者により決定され得る。一態様において、該時間は0℃より上、好ましくは2℃ないし30℃の温度で0.2hと20hの間であり、好ましくは、該時間は2〜25℃の温度およびより好ましくは2〜8℃の温度で0.5hと6.0hの間である。
(19)実施される場合、段階e)が超遠心分離法および接線流濾過よりなる群から選択される方法を適用することにより実施される、先行する項目のいずれかに記載の方法。
一態様において、超遠心分離法を段階e)で使用する場合、ペレット化するための超遠心分離法の条件は好ましくは10min以上30,000g〜200,000g、好ましくは30min以上60,000g以上、より好ましくは30min以上90,000g以上、なおより好ましくは30min以上120,000g以上である。
一態様において、接線流濾過を段階e)で使用する場合、限外濾過膜の分子量カットオ
フは好ましくは100kDa以上およびより好ましくは300kDa以上である。さらに、該膜の分子量カットオフは好ましくは500kDa以上でない。
(20)段階f)がクロマトグラフィーを適用することにより実施される先行する項目のいずれかに記載の方法であって、好ましくは、クロマトグラフィーは、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、混合様式クロマトグラフィー、偽アフィニティークロマトグラフィー、液体−液体クロマトグラフィーおよびサイズ排除クロマトグラフィーよりなる群から選択され、より好ましくは、クロマトグラフィーはイオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、偽アフィニティークロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーおよびサイズ排除クロマトグラフィーよりなる群から選択される。
(21)ウイルス抗原がエンベロープウイルスの一部であり、好ましくはウイルス抗原がウイルスタンパク質であり、およびより好ましくはウイルス抗原がウイルス表面タンパク質のようなウイルスタンパク質である、先行する項目のいずれかに記載の方法。
(22)ウイルスタンパク質がインフルエンザウイルスからのウイルス表面タンパク質HAおよび/若しくはNAである、先行する項目のいずれかに記載の方法。
さらなる一態様において、ウイルスタンパク質はインフルエンザウイルスからのMタンパク質である。
(23)得られたウイルス抗原を製薬学的組成物に処方する付加的な段階を含んでなる、先行する項目のいずれかに記載の方法。
(24)製薬学的組成物がワクチン製剤若しくはその中間体であり、好ましくは製薬学的組成物はエンベロープウイルスワクチンであり、より好ましくは製薬学的組成物はインフルエンザウイルスワクチンである、項目(23)に記載の方法。
(25)段階g)が、25℃に言及される場合、3.0に等しいか若しくはより大きいないし5.0mS/cm未満の間、好ましくは3.5に等しいか若しくはより大きいないし4.7mS/cmに等しいか若しくは未満の間の範囲、なおより好ましくは3.6に等しいか若しくはより大きいと4.65mS/cmに等しいか若しくは未満の間の範囲の伝導率を有する組成物の使用を含んでなる、先行する項目のいずれかに記載の方法。
好ましい一態様において、段階g)はイオン交換クロマトグラフィーのようなクロマトグラフィー段階を含んでなり、また、上で定義される伝導率を有する組成物は緩衝液、例えば使用されるそれぞれのクロマトグラフィー法と組合せの使用に適する塩を含んでなる負荷緩衝液および/若しくは平衡化緩衝液である。
該組成物の伝導率は、当業者に既知であるいずれかの適する方法に従って、例えば伝導率計のような電子的手段を使用することにより測定し得る。
(26)段階g)が、25℃に言及される場合、1.0Mに等しいか若しくはより大きいないし3.5Mに等しいか若しくは未満の間の範囲、好ましくは1.0Mに等しいか若しくはより大きいないし3.0Mに等しいか若しくは未満の間の範囲、より好ましくは1.5Mに等しいか若しくはより大きいないし3.0Mに等しいか若しくは未満の間の範囲、およびなおより好ましくは1.5Mに等しいか若しくはより大きいないし2.6Mに等しいか若しくは未満の間の範囲のモル濃度を有する組成物の使用を含んでなる、先行する項目のいずれかに記載の方法。好ましい一態様において、段階g)は疎水性相互作用クロ
マトグラフィーのようなクロマトグラフィー段階を含んでなり、そして、上で定義されるモル濃度を有する組成物は緩衝液、例えば使用されるそれぞれのクロマトグラフィー法と組合せの使用に適する塩を含んでなる負荷緩衝液および/若しくは平衡化緩衝液である。
モル濃度は当業者に既知であるいずれかの適する方法により測定し得る。
項目(25)および/若しくは(26)に定義されるところの組成物を使用することは、とりわけウイルス抗原回収率に関してウイルス抗原の改良された製造方法になおさらに寄与し得る。
(27)以下の段階すなわち
i)細胞に基づくエンベロープウイルス増殖培養物から得られるエンベロープウイルスを含有する液体収集物の容量を低減してそれにより濃縮された液体収集物を得る段階、および
ii)洗剤、若しくは陽イオン性洗剤を含んでなる洗剤の混合物を段階i)で得られる濃縮された液体収集物に添加することにより液体収集物中に存在するエンベロープウイルスを可溶化する段階であって、
段階i)に段階ii)が直接続き、ならびに
それによりワクチン製剤中に存在する宿主細胞DNAの低減が最低2.5対数、好ましくは最低3.0対数、より好ましくは最低3.5対数、なおより好ましくは最低4.0対数である、
を示される順序で含んでなる、細胞に基づくエンベロープウイルス増殖培養物由来のウイルス抗原を含有するワクチン製剤の製造方法の使用。
ワクチン製剤中の宿主細胞DNAの最低2.5対数の低減は、段階i)およびii)単独、せいぜい付加的には項目(1)の段階b)、e)、f)および/若しくはg)の組合せにより達成される。いずれの場合も、さらなるDNA特異的段階、具体的にはDNA消化酵素処理段階およびDNAを除去するクロマトグラフィー(アフィニティークロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィーなど)、および/若しくは不活化段階は、宿主細胞DNAの上で定義される低減を達成するために必ずしも若しくはなお全く実施する必要がない。さらなるDNA特異的段階および/若しくは不活化段階を実施する場合、これらの段階(および従って該方法全体)は、例えばプロセス効率(process economy)に関して顕著に改良された方法で実施し得る。例えば上の宿主細胞低減を達成するために有意により少量のDNA消化酵素若しくは不活化組成物が必要であるからである。
「ワクチン製剤」、「ワクチン抗原」、「細胞に基づく」、「液体収集物」、「エンベロープウイルス」および「洗剤」という用語に関して、本明細に言及がなされる。
好ましい一態様において、段階i)の前に,細胞破片および/若しくは微小担体が、エンベロープウイルスを含有する液体収集物から除去される。
(28)段階i)およびii)が上の項目で定義されるところの段階c)およびd)に対応する、項目(27)に記載の使用。
(29)段階i)の前に上の項目で定義されるところの段階a)およびb)、ならびに段階ii)後に上の項目で定義されるところの段階e)、f)および/若しくはg)が実施される、項目(27)若しくは(28)に記載の使用。
[発明の詳細な記述]
本発明は今や、好ましい態様および実施例によりより詳細に記述されるが、それらはしかしながら具体的説明の目的上のみ提示されかつ本発明の範囲をいかなる方法でも制限すると理解されるべきでない。
ワクチン製剤若しくはそれらの中間体のような製薬学的組成物の製造に使用されるウイルスは細胞に基づく若しくは卵に基づく系のいずれかで増殖され得る。それぞれ使用される系に依存して、前記製薬学的組成物は普遍的に卵に基づく若しくは細胞に基づく組成物いずれかに分類される。ワクチン製剤若しくはワクチンについて、加工の主要件は、卵に基づくウイルス増殖系の場合は卵アルブミンのような孵化鶏卵タンパク質のような不純物の十分な除去ならびに生成物以外のウイルスの除去であり、また、細胞に基づくウイルス増殖系の場合、加工の間に、宿主細胞DNAおよび宿主細胞タンパク質の有意の低減のような付加的な要件が満たされなければならない。
本発明の文脈において、定義された順序で実施される特定の工程段階の組合せが、例えば方法それ自体に関して、例えば方法全体の単純化に関して、および/若しくは得られる生成物に関して、例えば品質、収量および/若しくは純度に関して、慣習的方法に比較して改良された方法を提供することが、予期せぬことに見出された。本発明の方法を実施することにより、前記有益なかつ驚くべき効果を得ることができるが、但し、該方法が、前記液体収集物中のウイルス(ウイルス粒子ともまた称される)および他の構成要素の濃縮をもたらす増殖されたウイルスを含有する液体収集物の容量低減段階、ならびに該低減された容量の液体収集物中に存在するウイルスを可溶化する可溶化段階を含んでなる。とりわけ、および従来技術の方法と異なり、本発明の方法に存在する精製段階は可溶化段階が完了した後にのみ起こり、そしてさらに、ウイルス粒子全体に向けられるよりむしろウイルス抗原に向けられる。従って、本発明の方法を適用することにより、可溶化前のウイルス粒子全体の精製を意図しかつそれを標的とする高生成物損失、労力を要する、時間および費用集約的な精製段階(1個若しくは複数)を省略することができ、それでもなお満足すべき純度および収量を伴う組成物を得ることができる。さらに、該可溶化段階は容量低減段階により直接先行される。いずれかの理論により束縛されることを願わないが、これらの段階すなわち容量低減段階に直接続く可溶化段階は有益な効果に寄与し得ることが想定される。濃縮段階c)は宿主細胞DNAの濃度を増大させ得るからであり、これは順に精製効率に関して有益であり得る。
驚くべきことに、かつ、ウイルス抗原を含んでなるワクチンのような製薬学的組成物の慣習的製造方法と異なり、本発明の方法は、慣習的方法と比較して低減された数の工程段階のみを同時に必要とする一方で高められた製品回収率を得ることを可能にする改良された頑健な方法を表す。必要とされる工程段階のこの低減された数は、該方法の高められた頑健性、ならびにワクチン組成物を製造するために慣習的に必要とされる製造費用および時間の低減にさらに寄与する。これは、インフルエンザのようなウイルス感染症のパンデミック若しくは季節性の大流行の場合に、パンデミック若しくは季節性ワクチンの迅速な生産と市場への出荷に対する必要性が存在するためとりわけ有用であり、また、非常に時間がかかることが既知である、ウイルス増殖のため卵に基づく培養系を使用してワクチンを製造する場合になおいっそう有用である。
さらに、製薬学的組成物に適用される減少する数の工程段階で、存在するウイルスおよびウイルス抗原に与えられるストレスが低減され、これは最終生成物(例えばワクチン)およびその中間体の有効性および安定性の改良につながり得る。
さらに、本発明の方法を適用することにより、慣習的方法と比較して低減された数の工程段階にもかかわらず、タンパク質およびDNA汚染の耐えられる最大量に関して特定の管理上の要件を満たすワクチン製剤を製造し得る。例えば、インフルエンザワクチン製剤
について、現在(2011年)耐えられる汚染の最大量は、1用量あたり120μgのヘマグルチニン(HA)以外のタンパク質および1用量あたり10ngのDNA(こうした言及において、1用量は500μlのワクチン製剤に対応する)である。本発明の方法のさらなる一利点は、それを細胞に基づく若しくは卵に基づく系で増殖されるウイルスに独立に適用し得ることである。従って、例えば細胞に基づく系をウイルス増殖に使用する場合、本発明の方法は宿主細胞DNA汚染の大きな低減を提供し、また、卵に基づく系をウイルス増殖に使用する場合、該方法は卵培養物から生じる汚染の低減を提供する。
製造されるウイルス抗原の高められた回収率により、増大される数のワクチン用量を生産バッチあたりで製造しうる。これは例えば、それが例えば季節性インフルエンザの大流行の場合であるようなワクチン製剤の高需要の場合にとりわけ有益でありうる。
典型的かつ有益なワクチンとして、ワクチンはインフルエンザワクチン、具体的にはサブユニットワクチンである。
さらに、本発明の方法はウイルス株の変異に対処し得、これは該方法がより少なく株依存性であることを意味している。これは、インフルエンザウイルスのようなゲノムの一定のドリフトやシフトを表すウイルスを使用する場合にとりわけ有用である。
全体で、本発明の方法は、例えば頑健性、生成物回収率、製造の時間および費用、ならびに最終生成物若しくはその中間体に存在する汚染に関して顕著に改良された方法を提供し得る。
従って、一局面において、本発明は、以下の段階すなわち
a)エンベロープウイルスを含んでなる液体を提供する段階、
b)前記エンベロープウイルスを含んでなる液体を澄明化して前記エンベロープウイルスを含んでなる液体収集物をもたらす段階、
c)段階b)後に得られる液体収集物の容量を低減して濃縮された液体収集物を得る段階、
d)洗剤、若しくは陽イオン性洗剤を含んでなる洗剤の混合物を段階c)で得られる濃縮された液体収集物に添加することにより、該液体収集物中に存在するエンベロープウイルスを可溶化する段階、
e)段階d)後に得られる組成物からウイルスコアを分離する段階、
f)場合によっては、段階e)後に得られる組成物から陽イオン性洗剤を除去する段階、および
g)ウイルス抗原を精製する段階
をこの順序で含んでなり、
段階c)に段階d)が直接続く、
エンベロープウイルス由来のウイルス抗原の製造方法に関する。
ウイルス抗原はエンベロープウイルス由来である。これらのエンベロープウイルスは、一本鎖若しくは二本鎖ゲノム、センス若しくはアンチセンス、連続若しくは分節をもついかなるエンベロープDNA若しくはRNAウイルスでもあり得る。例えば、ウイルスはエンベロープRNAウイルス、エンベロープDNAウイルス若しくはレトロウイルスの群から選択され、エンベロープRNAウイルスの群はフラビウイルス、トガウイルス、コロナウイルス、D型肝炎ウイルス、フィロウイルス、ラブドウイルス、ブニヤウイルス、オルソミクソウイルス、パラミクソウイルスおよびアレナウイルスを含んでなり、また、エンベロープDNAウイルスの群はヘパドナウイルス、ヘルペスウイルスおよびポックスウイルスを含んでなる。好ましい一態様において、ウイルスは、D型肝炎ウイルス、オルソミクソウイルスおよびパラミクソウイルスを含んでなるエンベロープRNAウイルスの群か
ら選択され、とりわけ好ましいエンベロープRNAウイルスはインフルエンザA、インフルエンザB若しくはインフルエンザCのようなオルソミクソウイルスである。
本発明の方法の段階a)において、上述されたエンベロープウイルスを含んでなる液体が提供される。この液体は細胞に基づくウイルス増殖培養物若しくは卵に基づくウイルス増殖培養物由来である。それが当業者に既知であるとおり、上で定義されるエンベロープウイルスのようなウイルスは細胞に基づく培養系若しくは卵に基づく培養系で増殖させ得る。インフルエンザウイルスのようなウイルスを増殖させるのに使用される適する細胞株は典型的に哺乳動物起源のものであり、そして従って哺乳動物細胞株、好ましくは動物細胞株を表す。適する動物細胞株は当業者に既知であり、そしてハムスター、ウシ、霊長類(ヒトおよびサルを包含する)ならびにイヌ起源の細胞株を包含しうる。ある態様において、哺乳動物細胞株の細胞は、Vero、PerC6、BHK、293、COS、PCK、MRC−5、MDCK、MDBKおよびWI−38よりなる群から選択され、好ましくは細胞はMDCK細胞である。ウイルスは当業者に既知であるいずれかの適する方法に従って細胞で増殖させ得る。例えば、ウイルスは接着細胞培養物若しくは懸濁細胞培養物中で増殖させ得る。一態様において、細胞は微小担体上で増殖させる。さらなる一態様において、細胞は懸濁液中で増殖するようにもまた適合させ得る。細胞に基づく培養系にはいかなる適する培地も使用し得る。好ましい一態様において、細胞は無血清および/若しくは無タンパク質培地中で培養する。細胞に基づくウイルス増殖のためには、通常、それぞれウイルス若しくは生存ウイルス調製物をそれが増殖する細胞培養物に接種する。ウイルス増殖はバッチで若しくは流加バッチ(feed−batch)若しくは灌流で行うことができる。25〜37℃で2〜5日後にウイルス増殖を通常停止する。ウイルス増殖バイオリアクターに含有されるウイルスを含有する液体をその精製工程に直接供給し得るか、若しくは分離された容器に移すことができる。その後、分離された容器中のウイルスを含有する液体をワクチン精製工程に供給する。
あるいは、ウイルスは卵に基づく系で増殖させ得る。卵に基づく製造において、通常、作業種ウイルスを孵化鶏卵に注入する。ウイルスは卵の尿膜腔液(白身)中で増殖することを開始してウイルスの量を増大させる。2ないし3日のインキュベーション後に卵を2〜8℃に冷却しそして個々の卵の尿膜腔液を人的若しくは自動真空収集系を使用して収集しかつ採取する(poll)。収集されたウイルスを含有する尿膜腔液はウイルスを含んでなる卵に基づく液体であり、そしてその後の精製工程でさらに加工される。
ウイルス増殖に使用される培養系に依存して、増殖されたウイルス粒子を含んでなる液体は多様な汚染物質を含有しうる。例えば、卵に基づく培養物に存在する潜在的汚染物質は、卵アルブミンのような卵に基づくタンパク質若しくは抗生物質である一方、細胞に基づく培養物中に存在する典型的な汚染は残余の宿主細胞DNAである。有利には、本発明の方法はウイルス増殖に使用される系に関して制限されず;むしろ、有益な効果は、細胞に基づく培養系および卵に基づく培養系で同様に増殖されるウイルスを含んでなる液体を使用する場合に達成されることができる。
段階a)の液体は使い捨てバイオリアクターを使用することにより製造し得る。こうした使い捨てバイオリアクターを使用することにより、例えば得られる生成物それ自体が例えば品質および/若しくは純度に関して改良され得る。これは、該方法を大スケール例えば工業的スケールで実施する場合にとりわけ有益である。
エンベロープウイルスを含んでなる液体は澄明化段階にかけられる。澄明化段階はウイルス粒子を含んでなる液体で(しかしながら沈降された若しくは別の方法でペレット化された物質でない)実施する。本発明の意味内で、液体から細胞破片、タンパク質不純物のような微粒子物質および/若しくは微小担体のような細胞を増殖させるために使用される
支持物質を除去することがこの澄明化段階の目的である。本発明の意味内で、澄明化段階は例えば液体から微粒子物質を除去するが、しかしエンベロープウイルスのウイルス抗原の80%以上を保持する。タンパク質不純物は例えばアラントイン、コラーゲンおよび/若しくは卵アルブミンのようなアルブミンであり得る。澄明化のため、当業者に既知であるいずれの適する手段若しくは方法も使用し得る。とりわけ、接線流濾過(TFF)、深層濾過若しくは遠心分離を適用し得る。それに関して、それぞれ適用される澄明化手段(TFF、深層濾過、遠心分離)のそれぞれの状況は、上で示される目的が達成されるような方法で選ばれる。一般に、およびこの目的を考えれば、それぞれの手段のそれぞれの前記状況は当業者に既知である。本発明の好ましい一態様において、遠心分離を適用する場合、10000gに等しいか若しくはより小さい遠心力を2分(min)に等しいか若しくは未満の時間適用し得る。この澄明化段階で2分に等しいか若しくは未満の時間、より小さい遠心力、例えば1000gに等しいか若しくは未満、好ましくは500gに等しいか若しくは未満、より好ましくは300gに等しいか若しくは未満を適用することは、本発明の有益な効果になおより寄与し、例えば、それはウイルス抗原のさらに高められた回収率に寄与し得る。遠心分離を適用する場合のさらなるパラメータに関して、ならびに接線流濾過若しくは深層濾過のパラメータに関して、本明細の別の場所に言及がなされる。
本発明の意味内で、得られる澄明化された液体を「液体収集物」と称する。
本発明の方法の重要な一局面は、増殖されたウイルス粒子を含有する澄明化された液体の容量の低減、直接次いで、容量が低減され濃縮された液体収集物中に存在するウイルス粒子の可溶化/洗剤処理段階である。本明細書の別の場所に記述されるところのこの容量低減、直接次いで洗剤でウイルス粒子を処理することが、ウイルス抗原の改良された回収率および従って改良された収量につながることが、驚くべきことに見出された。さらに、ウイルス増殖を細胞に基づく系で実施した場合、宿主細胞DNAの予期されない高められた低減を達成し得ることが、驚くべきことに見出された。
本発明の意味内で、「直接次いで」という用語は、例えば処理段階若しくは特殊な積極的精製段階が段階c)とd)の間で実施されないことを示す。これは、例えば処理段階が段階c)とd)の間で液体収集物に対し実施されない、例えば不活化若しくは精製段階が実施されないことを意味している。これはまた、さらなる試薬が段階c)とd)の間で液体収集物から除去され若しくはそれに添加されないことも意味することができる。別の局面において、段階b)に段階c)が直接続きこれに段階d)が直接続く。これは、高い生成物(ウイルス抗原)回収率、収量および/若しくは純度をなお存続する一方、例えば単純化に関する若しくは時間効率および費用削減に関する本発明の方法の強化にさらに寄与し得る。
不活化はウイルスの感染性の除去につながり、そして典型的には、ウイルスを有効量の以下の化学的手段、すなわち洗剤、ホルムアルデヒド、β−プロピオラクトン、メチレンブルー、ソラレン、カルボキシフラーレン(C60)、バイナリーエチルアミン(binary ethylamine)、アセチルエチレンイミン若しくはそれらの組合せの1種若しくはそれ以上で処理することにより実施する。さらなる不活化方法は当業者に既知であり、そして例えばウイルスをγ線照射および/若しくはUV光のような物理的手段で処理することを含んでなる。
本発明のある態様において、エンベロープウイルスを可溶化する(段階d))ために使用される同一の洗剤を適用することによる不活化は実施されない。
本発明のさらなる態様において、不活化、具体的には、ホルムアルデヒド、β−プロピオラクトンおよび/若しくはUV光(UV−Cのような)、好ましくはホルムアルデヒド
および/若しくはβ−プロピオラクトンでのウイルスの処理を包含する不活化は段階d)の前に実施されない。別の局面において、ウイルスの不活化の段階をエンベロープウイルスの可溶化の段階後すなわち段階d)後に適用することが可能である。なおさらなる一局面において、不活化段階は段階a)ないしf)の間に全く実施されない。これは、例えば費用および/若しくは作業に関する本発明の方法の強化にさらに寄与し得る。ときに、β−プロピオラクトンは、ウイルス増殖が細胞に基づく系で実施された場合に存在し得る残余の宿主細胞DNAの不活化にもまた使用される。しかしながら、β−プロピオラクトンはDNAのみならずしかし生成物抗原(ウイルス抗原)もまたアルキル化するアルキル化剤であり、そして従って前記抗原の例えば安定性および/若しくは免疫原性に関して品質に負の影響を与えるかもしれない。従って、驚くべきことに、β−プロピオラクトンのような不活化剤の省略にもかかわらず、(ワクチン製剤のような)最終生成物中の最大の許容される宿主細胞DNA不純物の限界に従うことができることが、本発明の方法の一利点である。
段階c)の液体収集物の濃縮は適する方法により達成し得る。前記方法は液体収集物の容量を低減することに向けられる。ウイルス粒子を特異的に精製することがこの段階の目的でない。すなわちこの段階は主精製段階ではない。むしろ、この段階はエンベロープウイルス粒子を含んでなる液体収集物の容量を低減して濃縮された液体収集物を得ることを目的とする。
容量を低減する段階の間に、小不純物が液体ウイルス収集物から分離されることが起こるかもしれない。小不純物は、エンベロープウイルスのものより下である大きさ、好ましくは約1000kDaより下、さらに好ましい約500kDaより下、なおさらに好ましい約300kDaより下を有する分子、粒子若しくは培地成分のようないかなる物質でもある。小不純物のこの分離は、それが起こる場合は、分離される不純物の大きさのみに基づくがしかしながら不純物の密度に基づかない。前記不純物の大きさにのみ基づくのではない(しかしながらまた前記不純物の密度にも基づく)不純物の分離は、勾配遠心分離のような勾配を含んでなる精製方法を実施する場合に起こる。勾配遠心分離の一例はショ糖勾配超遠心分離法である。容量の低減の段階は、例えばウイルス抗原の改良された回収率および/若しくは宿主細胞DNAの改良された除去を得ることに寄与する。
好ましい一態様において、容量は、TFF限外濾過若しくは一段階でのTFF限外濾過およびダイアフィルトレーション(TFF限外濾過/ダイアフィルトレーション)、超遠心分離法若しくは沈殿を適用することにより低減し得、好ましくはTFF限外濾過が容量を低減するために使用される。それに関して、それぞれ適用される濃縮手段(TFF、TFF限外濾過/ダイアフィルトレーション、超遠心分離法若しくは沈殿)のそれぞれの状況が、上で示される目的すなわち容量の低減およびウイルス粒子の濃縮が達成されるような方法で選ばれる。本発明の好ましい一態様において、容量低減は、50kDa〜1000kDaカットオフ膜、好ましくは100kDa〜300kDaカットオフ膜および好ましくは50kDa未満でない、を使用するTFF限外濾過/ダイアフィルトレーションを適用することにより達成される。
一態様において、容量を低減するのに超遠心分離法を使用する場合、超遠心分離法の条件は例えば10min以上30,000g〜200,000gのRCFであり得る。
一態様において、沈殿を適用することにより濃縮を実施する場合、適する化学物質は当業者に既知であり、そして例えばそれぞれ適切な濃度の塩、メチルおよびエチルアルコールならびにポリエチレングリコールであり得る。適切な濃度の適する化学物質は生成物例えばウイルス抗原を含有する粒子を沈殿させるが、しかし前記ウイルス抗原に対する負の影響を有しないか若しくは最小限有する。それらが所望の抗原例えばウイルス抗原と反応
せずかつ所望の抗原の免疫原性を変えないような化学物質が選ばれる。
また好ましく、段階c)の容量の低減の段階は、ショ糖勾配超遠心分離法のような密度勾配遠心分離法を使用することにより実施されない。勾配超遠心分離法は高水準のメンテナンスを必要とする高コストかつ労働集約的工程段階であり、および該作業は高価である。従って、勾配超遠心分離段階を省略することにより、該工程は例えば低減される製造コストおよび労働力に関して高めることができる。
一態様において、容量は最低4、好ましくは最低5若しくは最低9、また好ましくは最低12、また好ましくは最低13若しくは最低15およびまた好ましくは最低20若しくは最低25の係数だけ低減される。典型的な最大容量低減は30、35、40若しくは45である。とりわけ下で示されるところの濃度の洗剤と組合せて本明細書に示されるところの係数だけ容量を低減することが、ウイルス抗原の回収率の増加にさらに寄与することが、本発明で見出された。さらに、細胞に基づく系をウイルス増殖に使用する場合、宿主細胞DNAの予期しない高められた低減、例えば最低2.5対数の低減を達成し得る。
エンベロープウイルス粒子を含んでなるこの低減され濃縮された容量が可溶化段階に直接かけられる。ウイルス抗原は、集塊物中のならびに/若しくは細胞および細胞破片に付着されたいずれかの大型粒子、糸状形態のウイルス、無傷および遊離の球形ウイルス粒子、ウイルスフラグメント、ならびにウイルス以外が会合している緩い(loose)ウイルス抗原のような多様な形態で存在し得る。可溶化段階はウイルス抗原を多様な構造から遊離するために実施される。
液体収集物中に存在するエンベロープウイルスを可溶化することは、段階c)後に得られる液体収集物に洗剤、または陽イオン性洗剤を含んでなる若しくはそれよりなる洗剤の混合物を添加することにより実施する。陽イオン性洗剤は当業者に既知であり、そして、例えば、臭化セチルトリメチルアンモニウム若しくは他のアルキルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルアミン酢酸塩若しくはココナツアルキルアミン酢酸塩のようなアルキルアミン塩、塩化および臭化ベンザルコニウム、例えば塩化ベンゼトニウム若しくは塩化メチルベンゼトニウム、ステアリルアミンポリグリコールエーテル若しくはオレイルアミンポリグリコールエーテルのような四級アンモニウム陽イオンに基づき、CTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)が好ましい。さらに好ましい、最低2種の洗剤の混合物が使用される。好ましくは、洗剤の混合物は陽イオン性および非イオン性洗剤を含んでなるか若しくはそれらよりなる。好ましくは、洗剤の混合物は、陽イオン性洗剤好ましくはCTAB、ならびにアルキルポリエチレンオキシド、オクチルグリコシドおよびデシルマルトシドを包含するアルキルポリグリコシドのような非イオン性洗剤、例えばノニデット(nonidet)P10若しくはノニデット(nonidet)P40界面活性剤、MEGA−8、−9若しくは−10、Triton X 100および関連する洗剤、若しくはTween 20、Tween 40、Tween 60、Tween 80のようなTweenファミリーの洗剤のようなポリソルベート、APO−10、APO−12、C8E6、C10E6、C12E6、C12E8、C12E9、C12E10、C16E12、C16E21、ヘプタン−1,2,3−トリオール、ルブロール(lubrol)PX、ジェナポール(genapol)ファミリー、n,−ドデシル−b−D−グルコピラノシド、テシット(thesit)、プルロニック(pluronic)ファミリーなどを含んでなるか若しくはそれらよりなり;好ましくはポリソルベート(polysorbate)80のようなポリソルベートを使用する。
本発明の好ましい一態様において、複数の洗剤をプレミックス(それらが混合物中に存在することを意味している)として添加するか、または別個にしかし同時に若しくは次々と直接添加する。第二の洗剤の添加前に第一の洗剤が除去される洗剤交換を実施しないこ
とが好ましい。
陽イオン性洗剤(1種若しくは複数)好ましくはCTABの総量すなわち最終濃度は高く、これはそれが可溶化の目的上典型的に使用される最終量より多いことを意味している。従って、最終濃度は最低約2000μg/ml、また好ましい最低約2500μg/ml、また好ましい最低約3000μg/ml、また好ましい最低約3500μg/ml、また好ましい最低約4000μg/ml、また好ましい最低約4500μg/ml、また好ましい最低約5000μg/ml、また好ましい最低約5500μg/ml、およびまた好ましい最低約6000μg/mlである。陽イオン性洗剤(1種若しくは複数)の可能な最大量は約8000μg/ml、また好ましい約7000μg/ml、また好ましい約6000μg/mlである。とりわけ好ましい範囲は約4000μg/ml〜約6000μg/ml、約4500μg/ml〜約6000μg/ml、約4000μg/ml〜約5000μg/ml、約4500μg/ml〜約5000μg/mlである。
非イオン性洗剤(1種若しくは複数)好ましくはポリソルベートの総量すなわち最終濃度は、最低約300μg/ml、また好ましい最低約500μg/ml、また好ましい最低約800μg/ml、また好ましい最低約900μg/ml、また好ましい最低約1000μg/ml、また好ましい最低約1200μg/ml、また好ましい最低約1400μg/ml、また好ましい最低約1800μg/mlである。非イオン性洗剤(1種若しくは複数)の好ましい最大量は約4000μg/ml、また好ましい約3000μg/ml、また好ましい約2000μg/mlである。とりわけ好ましい範囲は約300μg/ml〜約1500μg/ml、約300μg/ml〜約1100μg/ml、約900μg/ml〜約1500μg/ml、約900μg/ml〜約1200μg/mlである。
さらなる一態様において、液体ウイルス収集物は、最低5000μg/mlの陽イオン性洗剤の最終濃度の存在下で最低20の係数だけ低減されるか、若しくは、収集物は最低4000μg/mlの陽イオン性洗剤の最終濃度の存在下で最低15の係数だけ低減されるか、若しくは、収集物は最低2500μg/mlの陽イオン性洗剤の最終濃度の存在下で最低10の係数だけ低減される。
これらの条件を適用することにより、生成物回収率に関してとりわけ有益な結果を達成し得る。さらに、細胞に基づく系をウイルス増殖に使用する場合、高められた生成物回収率に加え、宿主細胞DNA不純物の高められた低減を達成し得る。
可溶化は、濃縮された液体収集物中に存在する本質的に全部、好ましくは全部のウイルス粒子の可溶化を達成するために適する条件で実施し得る。好ましい一態様において、可溶化は、濃縮されたウイルス収集物を0℃より上、好ましくは2℃ないし30℃の温度で0.2hないし20hの間、好ましくは2〜25℃の温度、より好ましくは2〜8℃の温度で0.5hと6.0hの間インキュベートすることにより実施する。
ウイルス増殖に細胞に基づく系を使用する場合、ヌクレアーゼ、例えばBenzonase(R)のようなDNアーゼを段階d)の前若しくは段階a)ないしf)の全部の間で添加しないことが好ましい。従来技術において、ウイルスを含んでなる液体すなわち液体収集物は、宿主細胞の核酸を分解かつ/若しくは除去しそして従って宿主細胞DNA不純物を最低限とするために、ヌクレアーゼで、および/若しくはβ−プロピオラクトン(BPL)により、および/若しくはゾーン超遠心分離法により、および/若しくはクロマトグラフィー段階を実施することにより処理される。例えば、インフルエンザに基づく精製工程について、しばしば宿主細胞DNAの4対数以上の低減が管理上の規制に適合するために達成されなければならない。本発明の方法を適用することにより、管理上の規制に適合するための宿主細胞DNAの十分に高い低減がBenzonase(R)処理のような
ヌクレアーゼ処理を伴わずにさえ達成され得ることは今や驚くべきことに見た。これは費用効率および時間に関して該方法を大きく高める。さらに、BPL処理は必要とされずそしてあれば所望の場合に制限され得る。ある態様においてBPL処理は段階d)の前に実施されず、ある態様においてBPL処理は全く実施されない。
段階d)後に、段階d)後に得られるウイルスコアを組成物から分離する段階e)を実施し得る。ウイルスコアの分離は前記所望の分離をもたらすいずれの適する方法によっても実施し得る。
本発明の一態様において、この分離段階は例えば超遠心分離法により(しかしながら好ましい一態様においては密度勾配超遠心分離法によらない)ウイルスコアをペレット化分離することにより実施する。ウイルス表面タンパク質、例えばHA、NA(ノイラミニダーゼ)若しくはMタンパク質のようなインフルエンザウイルス(表面)タンパク質は上清中に留まり、そしてサブユニットウイルスワクチンに最終的に到着するためにさらなる工程段階にかけることができる。例えば、ウイルスコアをペレット化するために選ばれる遠心分離条件は当業者に既知である。例えば、超遠心分離法は、バッチで若しくは連続でのいずれかであることができ、そして使用される超遠心分離条件は、それぞれ2〜25℃、より好ましくは2〜8℃のような適する温度で10分(min.)以上30,000gから10min.以上200,000gまでである。一態様において、得られるウイルスコアをペレット化するための超遠心分離条件は2〜8℃の温度範囲で100,000g、30min.である。
さらなる一態様において、段階d)後および段階g)前に段階d)由来の洗剤を除去し得る。この洗剤除去はこの目的上適するいずれの方法、例えばAmberlite処理若しくはTFFによっても実施し得る。Amberlite処理を使用する場合かつ段階e)を実施した後、好ましい一態様において、Amberliteは、ウイルスコアをペレット化した後に収集される上清に約100:1の陽イオン性洗剤の質量に対するAmberliteの質量の比で添加し、2〜8℃の間の範囲である温度のような適する温度で適する時間例えば8ないし24、適しては16時間インキュベートする。その後Amberliteを、慣習的フロー濾過/デッドエンド濾過、篩過若しくはTFFを使用することによるような当業者に既知であるいずれかの適する方法により除去する。フィルターを使用する場合、それはそれが5μmより大きい若しくは7μmより大きい粒子を保持することが可能であるような方法で選ぶべきである。さらに、アンバーライトは篩を使用することにより除去し得る。適切な篩の開口は30〜200μmの範囲、好ましくは150μm未満、より好ましくは100μm未満、なおより好ましくは約50μmである。一態様において、洗剤(1種若しくは複数)の除去のためにクロマトグラフィーを使用しない。
最後に、それぞれ主精製段階若しくは主精製方法を表す段階g)でウイルス抗原を精製する。本発明の意味内で、「ウイルス抗原」という用語は、前記抗原に対し被験体内で免疫応答を誘導し得るウイルス好ましくはエンベロープウイルスの一部分を示す。好ましくはウイルス抗原はウイルスタンパク質である。好ましくは、ウイルス膜タンパク質はHA、NA若しくはMタンパク質のような膜タンパク質であり、好ましくはウイルス膜タンパク質はHAおよび/若しくはNAである。
ウイルス抗原の精製は、段階e)後、若しくは段階f)が実施された場合は段階f)後に得られる組成物からウイルス抗原を特異的に精製するのに適するいずれの方法によっても実施し得る。好ましい精製方法は、クロマトグラフィー法例えばイオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、偽アフィニティークロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、液体−液体クロマトグラフィーなどのような精製方法である。一態様において、好ましい精製方法はイオン
交換クロマトグラフィーおよび疎水性相互作用クロマトグラフィーである。
本発明の方法はウイルスワクチン製剤、好ましくはウイルスワクチン、より好ましくはサブユニットワクチンのようなインフルエンザウイルスワクチンの製造の製造方法全体の一部として使用し得る。
本発明はさらに、該方法をワクチン製造好ましくはインフルエンザワクチン製造で使用する本発明の方法を指す。製造されるワクチンはサブユニットワクチンであり得る。
本発明はさらに、得られる精製されたウイルス抗原を製薬学的組成物に処方する付加的な段階をさらに含んでなる、本明細書に記述されるところの方法を指し、好ましくは製薬学的組成物はワクチン製剤若しくはその中間体である。とりわけ好ましい一態様において製薬学的組成物はインフルエンザワクチンである。この付加的な段階(1個若しくは複数)は、製薬学的組成物に到着するために実施されなければならないかもしれない段階(1個若しくは複数)である。こうした段階は例えば、照射段階例えばUVC照射段階のようなウイルス不活化段階であり得る。全般に、こうした段階はウイルス抗原が不活性でありかつ活性の汚染物質ウイルスを含まないことを確実にする。微生物汚染を最小限にするため、例えばバイオバーデン低減濾過を実施しなければならないかもしれない。さらに、例えばウイルス抗原がウイルスワクチンに処方されなければならない場合、アジュバント(1種若しくは複数)をある濃度で添加しなければならないことがありうる。さらなる付加的な一段階は、別のウイルス株由来であるウイルス抗原のようなさらなるウイルス抗原の添加でありうる。さらなる付加的な一段階は緩衝剤の添加および/若しくは保存剤の包含でありうる。さらなる付加的な一段階は除去段階すなわち除菌段階でありうる。
本発明の意味内で、「製薬学的組成物」という用語は、ヒト若しくは動物における疾患を予防、診断、軽減、処置若しくは治癒するため身体中若しくは上で使用し得る組成物を示す。好ましくは、こうした製薬学的組成物はワクチン製剤若しくはその中間体生成物、より好ましくは、例えば季節性、パンデミック若しくは流行性インフルエンザウイルスワクチン製剤を包含するインフルエンザウイルスワクチン製剤のようなエンベロープウイルスワクチン製剤である。パンデミック若しくは流行性インフルエンザウイルスワクチン製剤の例は、トリ、ヒト若しくはブタインフルエンザウイルスワクチン製剤である。
本発明はまた、以下の段階すなわち
i)細胞に基づくエンベロープウイルス増殖培養物から得られるエンベロープウイルスを含有する液体収集物の容量を低減してそれにより濃縮された液体収集物を得る段階、および
ii)段階a)で得られる濃縮された液体収集物に洗剤、若しくは陽イオン性洗剤を含んでなる洗剤の混合物を添加することにより、液体収集物中に存在するエンベロープウイルスを可溶化する段階
を示される順序で含んでなる、細胞に基づくエンベロープウイルス増殖培養物由来のウイルス抗原を含有するワクチン製剤の製造方法の使用も指し、
段階i)に段階ii)が直接続き、かつ
ワクチン製剤中に存在する宿主細胞DNAの低減が最低2.5対数、好ましくは最低3.0対数、より好ましくは最低3.5対数である。
「ワクチン製剤」、「ウイルス抗原」、「細胞に基づく」、「液体収集物」、「エンベロープウイルス」および「洗剤」という用語に関して、本明細に言及がなされる。
ワクチン製剤の製造において上の方法を使用することにより宿主細胞DNA汚染を大きく低減し得ることが、驚くべきことに見出された。
好ましい一態様において、段階i)およびii)は本明細全体を通じて定義されるところの段階c)およびd)に対応する。
さらなる一態様において、段階i)の前に本明細全体を通じて定義されるところの段階a)およびb)、ならびに段階ii)後に本明細全体を通じて定義されるところの段階e)およびf)が実施される。
主要表面抗原HAの回収率に対する、CTABの濃度および全体的濃縮係数すなわち洗剤CTABが添加された後の収集物の最終濃度の影響を示す。図1は多くの結果およびグラフの一例を表す。 DNA低減に対する、CTABの濃度および全体的濃縮係数すなわち洗剤CTABが添加された後の収集物の最終濃度の影響を示す。図2は多くの結果およびグラフの一例を表す。
実施例1
本実施例は、インフルエンザウイルス収集物を、最小限の生成物損失を伴いかつ宿主細胞DNAの3対数以上の低減を伴いウイルス表面抗原ヘマグルチニン(HA)およびノイラミニダーゼ(NA)の部分的に精製された中間体に加工する方法を示す。得られる中間体はクロマトグラフィーを使用することによりさらに精製されることができる。
該工程段階の全般的概要を以下のワークフローに示す。すなわち
Figure 2014524747
インフルエンザウイルスをMDCK細胞中で増殖させた。収集物を3220gで8minの遠心分離により澄明化した。澄明化された収集物は100KD〜300kDカセットを使用するTFFにより約4〜13.7倍濃縮した。澄明化されかつ濃縮された収集物を、2400〜300μg/mlのCTABおよび600〜90μg/mlのTween−80を使用して2〜8℃で可溶化した。澄明化、濃縮かつ可溶化された収集物を2〜8℃で100,000gで30min遠心分離した。上清を収集した。Amberliteを、100:1のCTABの質量に対するAmberliteの質量の比で、収集された上清に添加した。2〜8℃で16hインキュベートした後に、添加されたAmberliteは5μmフィルターを通して該懸濁液を濾過することにより除去した。濾液はウイルス表面抗原ヘマグルチニン(HA)およびノイラミニダーゼ(NA)の部分的に精製された
中間体である。HAを一元放射免疫拡散法(SRD)により測定し、また、DNAを定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)により測定した。
結果を以下に描く。すなわち、
A/Uruguay X−175C、3220gで8min澄明化、300kDaカセットを使用して10倍濃縮、900μg/mlのTween−80および3000μg/mlのCTABで可溶化、100,000gで30min遠心分離、ならびにAmberlite処理された収集物のHA回収率。可溶化中に導入される希釈について補正された後の全体的濃縮係数は4倍である。すなわち、
Figure 2014524747
B/Malysia/2506/2004WT、澄明化条件:300g2min、100kDaカセットを使用して4倍濃縮、600μg/mlのTween−80および2400μg/mlのCTABで可溶化、100,000gで30min遠心分離、ならびにAmberlite処理された収集物のHA回収率。可溶化中に導入される希釈について補正された後の全体的濃縮係数は1.8倍である。
Figure 2014524747
A/California X−179A、澄明化条件:300g2min、100kDaカセットを使用して13.7倍濃縮、可溶化:900μg/mlのTween−80および3000μg/mlのCTAB、100,000gで30min遠心分離ならびにAmberlite処理された収集物のHA回収率。可溶化中に導入される希釈について補正された後の全体的濃縮係数は4.8倍である。すなわち、
Figure 2014524747
実施例2
実施例2は、澄明化、濃縮、可溶化されたAmberlite収集物の濾液のHAおよびNA抗原を、その総タンパク質(TP)/100μg HAが240μg/100μg
HAより低くかつその宿主細胞DNAが20ng/100μg HA未満となるようにイオン交換クロマトグラフィーにより十分に精製し得ることを示す。NA抗原はHA抗原と一緒になって共精製される。
インフルエンザウイルスをMDCK細胞中で増殖させた。収集物を300gで2min若しくは3220gで8minの遠心分離により澄明化した。澄明化された収集物は300kDカセットを使用するTFFにより約10倍濃縮した。澄明化されかつ濃縮された収集物は3000μg/mlのCTABおよび900μg/mlのTween−80を使用して2〜8℃で可溶化した。澄明化、濃縮かつ可溶化された収集物を2〜8℃で100,000gで30min遠心分離した。上清を収集した。Amberliteを、100:1のCTABの質量に対するAmberliteの質量の比で、収集された上清に添加した。2〜8℃で16hインキュベートした後に、添加されたAmberliteは該懸濁液に5μm深層フィルターを通過させることにより除去した。濾液をCapto(R) Qクロマトグラフィーカラムに負荷される前に調整した。負荷緩衝液で洗浄した後にHAおよびNA抗原を溶出した。通過、洗浄および溶出を分画した。UV信号に基づき、数個の画分をHA−SRD、NA、DNA、総タンパク質分析のため選択した。結果を下に示す。すなわち、
Figure 2014524747
見られるとおり、A/CaliforniaのHA回収率は伝導率により影響された。伝導率が3.6〜4.65mS/cmの範囲である場合、HA回収率は85%〜92%の間であった。クロマトグラフィー段階の負荷の調製物、澄明化、濃縮、可溶化されるおよびAmberlite段階のHA回収率を考慮に入れれば、HAの総回収率はA/Californiaについて約80%であり得る。NAはHA抗原と一緒になって共精製された。宿主細胞DNAおよびTPの含量はそれらの規格に適合した。
A/Uruguayについて、HA回収率は、伝導率がpH7.3で5mS/cmである場合に55%であった。クロマトグラフィー段階、澄明化、濃縮、可溶化されるおよびAmberlite段階の負荷の調製物のHA回収率を考慮に入れれば、HAの総回収率はA/Uruguayについて約50%であり得る。NA抗原は測定されなかった。TPの含量はその規格に適合した。宿主細胞DNAは測定されなかった。A/Californiaのように伝導率を低下させることにより、A/UruguayのHA回収率が同様に増加することが期待された。
実施例3
実施例3は、澄明化、濃縮、可溶化されたAmberlite収集物の濾液のHAおよびNA抗原を、その総タンパク質/100μg HAが240μg/mlより低くかつその宿主細胞DNA含量が20ng/100μg HA未満となるように疎水性相互作用クロマトグラフィーにより十分に精製し得ることを示す。NA抗原はHA抗原と一緒になって共精製される。
澄明化、濃縮、可溶化されたAmberlite収集物の調製法は実施例2のものと同一である。濾液は疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)カラムに負荷される前に調整した。負荷緩衝液で洗浄した後にHAおよびNA抗原を溶出した。通過、洗浄および溶出を分画した。UV信号に基づき、数個の画分をHA−SRD、NA、DNA、総タンパク質分析のため選択した。結果を下に示す。すなわち、
Figure 2014524747
見られるとおり、疎水性相互作用クロマトグラフィーのA/CaliforniaのHA回収率は試験された条件下で68%〜91%であった。塩濃度がHA回収率に影響した。クロマトグラフィー段階の負荷の調製物、澄明化、濃縮、可溶化されるおよびAmberlite段階のHA回収率を考慮に入れれば、HAの総回収率はA/Californiaについて60〜80%の間であった。NAはHA抗原と一緒になって共精製された。宿主細胞DNAおよびTPの含量はそれらの規格に適合した。
B/Malaysiaについて、HA回収率は、使用される塩濃度がpH7.4で1.5〜2.0Mであった場合に約70%であった。クロマトグラフィー段階の負荷の調製物、澄明化、濃縮、可溶化されるおよびAmberlite段階のHA回収率を考慮に入れれば、HAの総回収率はB/Malaysiaについて60%であった。NAはHA抗原と一緒になって共精製された。宿主細胞DNAおよびTPの含量はそれらの規格に適合した。
実施例4
方法および材料
インフルエンザウイルスをMDCK細胞中で増殖させた。収集物を300gで2min若しくは3220gで8minの遠心分離により澄明化した。澄明化された収集物は100〜300kDaカセットを使用するTFFにより多様な倍数濃縮した。澄明化されかつ濃縮された収集物を、600〜3000μg/mlのCTABおよび300〜900μg/mlのTween−80を使用して2〜8℃で可溶化した。澄明化、濃縮かつ可溶化された収集物を2〜8℃で100,000gで30min.遠心分離した。上清を収集した。Amberliteを、100:1のCTABの質量に対するAmberliteの質量の比で、収集された上清に添加した。2〜8℃で16hインキュベーション後に、添加されたAmberliteは該懸濁液に5μm深層フィルターを通過させることにより除去した。濾液をHA−SRD(一元放射免疫拡散アッセイ)、NA、DNAについて測定し、また、総タンパク質分析を実施した。
実施例4.1
本実施例は、高濃縮係数および陽イオン性洗剤の高濃度の組合せが抗原の回収率および宿主細胞DNAの除去の双方に好ましいことを示す。使用された株はB/Brisbaneであった。澄明化および濃縮後に収集物を洗剤の存在下に多様な条件でインキュベートした。洗剤の濃度、インキュベーション時間および濃縮係数は多様であった。CTABの濃度および濃縮係数の主要表面抗原HAの回収率およびDNA低減に対する影響を図1お
よび図2に示した。見ることができるとおり、陽イオン性洗剤の濃度および濃縮係数の増大が生成物の回収率(図1)および宿主細胞DNAの低減(図2)双方に有益である。
実施例4.2
本実施例は、B/Florida/4/2006の高い生成物回収率および宿主細胞DNAの大きな低減の双方が、3000μg/mlのCTABおよび900μg/mlのTween−80を使用することならびに次いで100,000gで30minの遠心分離により実現され得ることを示す。
Figure 2014524747
実施例4.3
本実施例は、A/Wisconsinの高い生成物回収率および宿主細胞DNAの大きな低減の双方が、3000μg/mlのCTABおよび900μg/mlのTween−80を使用することならびに次いで100,000gで30minの遠心分離により実現され得ることを示す。
Figure 2014524747
実施例4.4
本実施例は、A/Victoriaの高い生成物回収率および宿主細胞DNAの大きな低減の双方が、3000μg/mlのCTABおよび900μg/mlのTween−80を使用することならびに次いで100,000gで30minの遠心分離により実現され得ることを示す。
Figure 2014524747
実施例4.5
本実施例は、A/Californiaの高い生成物回収率および宿主細胞DNAの大きな低減の双方が、3000μg/mlのCTABおよび900μg/mlのTween−80を使用することならびに次いで100,000gで30minの遠心分離により実現され得ることを示す。
Figure 2014524747

Claims (28)

  1. 以下の段階すなわち
    a)エンベロープウイルスを含んでなる液体を提供する段階、
    b)前記エンベロープウイルスを含んでなる液体を澄明化して前記エンベロープウイルスを含んでなる液体収集物をもたらす段階、
    c)段階b)後に得られる液体収集物の容量を低減して濃縮された液体収集物を得る段階、
    d)洗剤、若しくは陽イオン性洗剤を含んでなる洗剤の混合物を段階c)で得られる濃縮された液体収集物に添加することにより、該液体収集物中に存在するエンベロープウイルスを可溶化する段階、
    e)段階d)後に得られる組成物からウイルスコアを分離する段階、および
    f)場合によっては、段階e)後に得られる組成物から陽イオン性洗剤を除去する段階、ならびに
    g)ウイルス抗原を精製する段階
    を示される順序で含んでなり、
    段階c)に段階d)が直接続く、
    エンベロープウイルス由来のウイルス抗原の製造方法。
  2. エンベロープウイルスを特異的に精製することに向けられる精製段階が段階d)の前に実施されない、請求項1に記載の方法。
  3. 実施される唯一のクロマトグラフィー段階が段階g)で実施される、請求項1若しくは2に記載の方法。
  4. 密度勾配超遠心分離法および/若しくはクロマトグラフィーが段階d)の前に実施されない、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  5. 不活化段階および/若しくはウイルス除去段階が実施される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  6. 段階c)の容量が最低4、好ましくは最低5の係数だけ低減される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  7. 陽イオン性洗剤の最終濃度が最低2000μg/mlである、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  8. 陽イオン性洗剤が四級アンモニウム陽イオンに基づく、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  9. 段階b)に段階c)が直接続きこれに段階d)が直接続く、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  10. 洗剤交換が起こらない、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  11. ヌクレアーゼ若しくは他のDNA消化酵素が段階d)の前に添加されず、好ましくはヌクレアーゼが該方法のいずれの段階でも添加されない、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  12. エンベロープウイルスが、エンベロープRNAウイルス、エンベロープDNAウイルス
    若しくはエンベロープレトロウイルスよりなる群から選択され、エンベロープRNAウイルスがフラビウイルス、トガウイルス、コロナウイルス、D型肝炎ウイルス、フィロウイルス、ラブドウイルス、ブニヤウイルス、オルソミクソウイルス、パラミクソウイルスおよびアレナウイルスを含んでなり、また、エンベロープDNAウイルスがヘパドナウイルス、ヘルペスウイルスおよびポックスウイルスを含んでなり、好ましくはエンベロープウイルスがエンベロープRNAウイルスから選択され、より好ましくはエンベロープウイルスがオルソミクソウイルス、最も好ましくはインフルエンザウイルスA、B若しくはCのようなインフルエンザウイルスである、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  13. 段階a)の液体が、細胞に基づくエンベロープウイルス増殖培養物若しくは卵に基づくエンベロープウイルス増殖培養物由来である、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  14. 細胞に基づくエンベロープウイルス増殖培養物が、哺乳動物細胞株、好ましくは動物細胞株の細胞を含んでなる、請求項13に記載の方法。
  15. 細胞が接着細胞として培養される、請求項14に記載の方法。
  16. 卵に基づくエンベロープウイルス増殖培養物が鶏卵を含んでなる、請求項13に記載の方法。
  17. 段階a)の液体が使い捨てバイオリアクターを使用することにより製造される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  18. 段階b)が、遠心分離、接線流濾過および深層濾過よりなる群から選択される方法を適用することにより実施される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  19. 段階c)が、接線流濾過、超遠心分離法および沈殿よりなる群から選択される方法を適用することにより実施される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  20. 段階e)が超遠心分離法および接線流濾過よりなる群から選択される方法を適用することにより実施される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  21. 段階g)がクロマトグラフィーを適用することにより実施され、好ましくは、クロマトグラフィーが、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーおよびサイズ排除クロマトグラフィーよりなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  22. ウイルス抗原がエンベロープウイルスの一部であり、好ましくはウイルス抗原がウイルスタンパク質である、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  23. ウイルスタンパク質がインフルエンザウイルスからのHAおよび/若しくはNAである、請求項22に記載の方法。
  24. 得られるウイルス抗原を製薬学的組成物中に処方する付加的な段階を含んでなる、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  25. 製薬学的組成物がワクチン製剤若しくはその中間体であり、好ましくは製薬学的組成物がインフルエンザウイルスワクチンである、請求項24に記載の方法。
  26. 段階g)が、25℃に言及される場合、3.0に等しいか若しくはより大きいないし5
    .0mS/cm未満の間、好ましくは3.5に等しいか若しくはより大きいないし4.7mS/cmに等しいか若しくは未満の間の範囲、なおより好ましくは3.6に等しいか若しくはより大きいと4.65mS/cmに等しいか若しくは未満の間の範囲の伝導率を有する組成物の使用を含んでなる、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  27. 段階g)が、25℃に言及される場合、1.0Mに等しいか若しくはより大きいないし3.5Mに等しいか若しくは未満の間の範囲、好ましくは1.0Mに等しいか若しくはより大きいないし3.0Mに等しいか若しくは未満の間の範囲、より好ましくは1.5Mに等しいか若しくはより大きいないし3.0Mに等しいか若しくは未満の間の範囲、およびなおより好ましくは1.5Mに等しいか若しくはより大きいないし2.6Mに等しいか若しくは未満の間の範囲のモル濃度を有する組成物の使用を含んでなる、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  28. 以下の段階すなわち
    i)細胞に基づくエンベロープウイルス増殖培養物から得られるエンベロープウイルスを含有する液体収集物の容量を低減してそれにより濃縮された液体収集物を得る段階、および
    ii)洗剤、若しくは陽イオン性洗剤を含んでなる洗剤の混合物を段階i)で得られる濃縮された液体収集物に添加することにより液体収集物中に存在するエンベロープウイルスを可溶化する段階であって、
    段階i)に段階ii)が直接続き、ならびに
    それによりワクチン製剤中に存在する宿主細胞DNAの低減が最低2.5対数である、
    を示される順序で含んでなる、細胞に基づくエンベロープウイルス増殖培養物由来のウイルス抗原を含有するワクチン製剤の製造方法の使用。
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