JP2014524565A - 熱流計を使ってホット・スポットを突き止めるためのデバイス - Google Patents

熱流計を使ってホット・スポットを突き止めるためのデバイス Download PDF

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Abstract

電子デバイス(1)は、その熱的挙動が監視されることになる関心領域(4)を含む表面(3)を備える基板(2)と、関心領域(4)に位置するホット・スポットを検出するためのシステムとを含む。ホット・スポットを検出するためのシステムは、関心領域(4)の外側の基板(2)の表面(3)に配置される少なくとも3つの別々の熱流計(5)を含む。

Description

本発明は、基板の表面に配置される関心領域と前記関心領域に位置するホット・スポットを検出するためのシステムとを含むデバイスに関する。
集積密度が増加するにつれて、電子デバイス内で消散(dissipate)される電力が止むことなく増え続けている。消散される電力の増加は、いわゆる自己発熱現象を生じさせることがある。そのような現象は、電子デバイスのある物理的特性および電気的特性の劣化を引き起こすことがある。
現在、電子回路は、ますます多くの熱出力管理システムを含む。電子回路内の温度が、所与のしきい値を超えると、熱出力管理システムは、例えばファンを起動する、またはある部品もしくは二次回路の活動を一時停止することがある。この種のシステムの効率は、電子回路の加熱条件に関連して、温度センサによって収集される情報に依存する。温度センサは一般に、電子回路に近接して置かれ、熱出力管理システムに接続される。
最適効率のために、温度センサは、過熱を受けやすい重要な部品にできるだけ近接して配置される。したがって、温度センサは一般に、侵襲的であり、すなわち、重要な電子部品を含む調査対象の領域内に形成される。集積規則はその結果、ますます制約的なものになる。特に、ダイオード型の温度センサの場合、ダイオードでの電流フローは、調査対象の電子部品の動作を妨げることがある。
米国特許出願第2007/0296071号は、カプセル化された電子回路でのホット・スポットを検出することを目的とする温度センサを備えるカプセル化パッケージを述べる。一般に、カプセル化パッケージは、電子回路を含む基板とは異なる基板に形成される。したがって、この種の温度センサは、特定の方法に従って形成され、そのことが、それらの製造をさらに複雑にする。さらに、温度センサは、この特許出願では、電子回路の下に置かれる。温度センサのそのような配置は、パッケージ基板の利用できる表面積ならびに温度センサおよび熱出力管理回路を接続する電気的接続部のレイアウトなどの、いくつかの要因に依存するので、達成するのが困難である。さらに、そのようなデバイスは、非常に小さな観察領域を有し、アクセスの困難なホット・スポットを検出することができない。さらに、米国特許出願第2009/288425号は、ホット・スポットの発生に関して集積回路の熱的挙動を調節するためのデバイスを開示する。監視すべき集積回路は、第1の基板に形成され、一方熱調節デバイスは、第1の基板の裏面に置かれた第2の基板に形成される。調節デバイスは、格子を形成するように第2の基板に分配された複数の熱電デバイスを含む。各熱電デバイスは、第1の基板に配置された集積回路の一部分での温度を評価するためのサーミスタを含む。この種の熱調節デバイスの形成はその結果、複雑になる。
米国特許出願第2009/312887号は、PCB基板に組み立てられた電子部品を熱的に安定化させるためのデバイスを述べる。熱安定化デバイスは、熱感知デバイスの配列、熱電デバイスの配列、およびMIMO(多重入力、多重出力)型のコントローラを含む。熱伝導ペーストは、前記電子部品とPCB基板との間に挿入される。さらに、熱安定化デバイスは、電子部品の上に配置された熱電デバイスを含む。
したがって、基板表面に高集積密度で形成された電子デバイスを使用するある種の応用では、基板のこの表面に現れるホット・スポットの位置を突き止め、ホット・スポットの温度を定量化(数値化)することを可能にする、非侵襲的で、信頼でき、形成するのが容易なシステムが、必要とされる。
この必要性は、その熱的挙動が監視されることになる関心領域を含む表面を備える基板と、前記関心領域に位置するホット・スポットを検出するためのシステムとを含む電子デバイスを提供することによって満たされる傾向がある。検出システムは、計算ユニットと、関心領域の外側の基板表面に配置される少なくとも3つの別々の熱流計とを含む。
他の利点および特徴は、非制限的な例のためだけに与えられかつ添付の図面で表される本発明の特定の実施形態の次の説明からよりはっきりと明らかになる。
本発明の第1の特定の実施形態による電子デバイスを斜視図で概略的に示す図である。 図1の電子デバイスによって使用される熱流計の例を上面図で概略的に示す図である。 冷却手段を使用する本発明の特定の実施形態を横断面図で概略的に示す図である。 本発明の他の特定の実施形態による電子デバイスを斜視図で概略的に示す図である。 本発明の他の特定の実施形態による電子デバイスを斜視図で概略的に示す図である。 本発明の他の特定の実施形態による電子デバイスを斜視図で概略的に示す図である。 本発明の他の特定の実施形態による電子デバイスを斜視図で概略的に示す図である。 図2の熱流計の近くに位置する3つの異なるホット・スポットを上面図で概略的に示す図である。 本発明の他の特定の実施形態による電子デバイスを上面図で概略的に示す図である。 本発明の他の特定の実施形態による電子デバイスを上面図で概略的に示す図である。
基板表面の関心領域でのホット・スポットを検出するための実用的でかつ信頼できる方法は、熱流計に基づくシステムを使用することを含む。より具体的には、ホット・スポット検出システムは、監視すべき熱的挙動を有する関心領域の外側に配置される熱流計を含む非侵襲的システムである。
特定の実施形態によれば、電子デバイス1が図1に示されている。電子デバイス1は、好ましくは厚さeを有する基板2を含む。基板2は、好ましくは実質的に平面で、監視すべき熱的挙動を有する関心領域4を含む表面3を備える。
基板2の関心領域4は、例えば基板2の前面、すなわち表面3に形成された1つまたは複数の能動部品もしくは受動部品を含んでもよい。これらの部品は、所与の電力を消散させることによって、関心領域での温度上昇を引き起こし、したがってホット・スポットを生じさせることがある。「監視」は、可能性のある熱的異常、より詳しくは現れる可能性があるホット・スポットを検出することを意味する。これを達成するために、電子デバイス1は、関心領域4に位置するホット・スポットを検出するためのシステムを含む。
ホット・スポット検出システムは、関心領域4の外側の基板2の表面3に配置される少なくとも3つの異なる熱流計5を含む。「熱流計」は、温度勾配に敏感で、この温度勾配によって生成される熱流量を表す値を測定することを目的とするデバイスを示す。熱流計5のために、関心領域4でのホット・スポットPの位置または前記ホット・スポットPの熱出力および温度もまた決定することが可能である。
ホット・スポットPによって生成される熱流は、基板2の中を伝搬され、その熱流は、ホット・スポットPから様々な距離に位置する異なる熱流計5に達する。各熱流計5は、それに達する熱流に対して、好ましくは電気的な応答を生じさせ、その応答は特に、熱流計5をホット・スポットPから隔てる距離に依存する。
熱流計5をあらかじめ校正し、それらの応答を使用することによって、関心領域4で発生しかねない1つまたは複数のホット・スポットの位置を突き止めることが可能である。実際、簡単な数学アルゴリズム、例えば三角測量(triangulation)を使用するアルゴリズムによって、関心領域4でのホット・スポットは、熱流計5の応答を利用することにより位置を突き止められてもよい。したがって、検出システムは有利には、異なる熱流計の値を解析して、好ましくは三角測量によって、関心領域4のホット・スポットの位置、熱出力、および温度を決定するようにプログラムされた計算ユニットを含む。好ましくは、関心領域4、熱流計5および計算ユニットは、基板2の表面3に形成される。そのような構成は有利には、位置合わせ問題を避けることを可能にする。実際、一例として、位置合わせ問題は、検出システムおよび関心領域の要素が、2つの異なる接合基板に形成されるときに起こることがある。さらに、これらの2つの基板を貼り付けて一緒にすることは、時間に沿った接合の挙動に起因して信頼性問題を引き起こし、したがってデバイスの熱的性能の劣化を引き起こすことがある。
上で示されたように、ホット・スポット検出システムは、ホット・スポットPの熱出力を決定することができる。熱出力の概念は、熱流量に密接に結び付けられる。実際、所与の等温面を通る熱出力は、定義により、前記等温面を通る熱流量密度の合計である。それによって、関心領域4内で消散(dissipate)されるホット・スポットPの熱出力は、次の関係、
Figure 2014524565
に従って熱流計5から生じる応答の合計との相関によって決定されてもよい。ただしΦは、関心領域4で消散される熱出力であり、Nは、熱流計5の数であり、ΔVは、各熱流計5の応答であり、kは、関心領域4に関する熱流計5の設置および熱流計5の物理的特性に従って決定される定数である。定数kは、計算または校正によって決定されてもよい。
関心領域4のホット・スポットPの温度は、侵襲的としないために関心領域4の外側の基板2のレベルに置かれた基準温度センサSを使用することによって決定されてもよい。例えば、ホット・スポットPの温度は、特に前記基準温度センサSによって測定される温度値、熱流計5から決定されるホット・スポットの熱出力Φ、基準温度センサSをホット・スポットPから隔てる距離dを組み合わせることによって計算されてもよい。ホット・スポットPの温度Tは、例えば次の関係、T=Tref+Φ×RSPによって決定されてもよい。ただしRSPは、ホット・スポットPを基準温度センサSから隔てる基板部分の熱抵抗である。
デバイス1のホット・スポット検出システムは、任意の周知の種類の熱流計を使用してもよい。一例として、熱流計5は、周知の熱抵抗Rth−sを有する基板、例えば基板2に配置される、第1および第2の隣接温度センサを含んでもよい。そのような配置は、2つの温度センサ間で前記基板を横切る熱流量を決定することを可能にする。実際、熱流量φは、次の関係、
φ=(TS1−TS2)×Rth−s (1)
によって決定されてもよい。ただしTS1およびTS2は、それぞれ第1および第2の温度センサによって測定される温度である。しかしながら、この種の熱流計は、複雑な接続システムを必要とする。
接続およびプログラムされた計算ユニットによる応答処理を容易にするために、熱流計5は好ましくは、「ゼーベック」効果のために熱エネルギーを電気エネルギーに変換することを可能にする熱電流量計である。熱流計5は、例えば平面熱電対を含んでもよい。「平面熱電対」は、基板の平面に平行に形成された脚部を含む熱電対を意味する。この基板は好ましくは、関心領域4を支持する基板2である。検出すべき熱流は、熱電対を含む基板2の平面内で移動し、その熱流は、基板2全体にわたって準排他的に伝搬する。それによって、この種の熱流計を最適化し、校正するために、主に考慮すべき熱抵抗および熱容量は、基板2のそれらである。
熱電流量計5TCの例が図2に示されている。熱流計5TCは、m個の熱電対TCを含んでもよく、mは、最大可能整数(largest possible integer)である。熱電流量計の感度を改善するために、熱電対の数mは、利用できる表面積およびそれらの製造に使用される技術の分解能によって制限される。現在、20から40μmの範囲の長さおよび100nmよりも小さい厚さを有する6から20個の脚部を含む熱電流量計が、よく見られる可能性がある。図2に示されている場合では、熱流計5TCは、相互接続部Bを介して電気的に直列接続されるために、互いに隣接して並べられてもよい5つの熱電対TCを含む。一般に、熱電流量計は、効率的な電気的応答を熱流計から得るために、検出すべき熱流に関して平行に熱的に配置される、いくつかの電気的に直列接続された熱電対を含む。各熱電対TCは好ましくは、U字形であり、それは、2つの実質的に平行な脚部BおよびBを含む。言い換えれば、ホット・スポット検出システムの各熱流計5TCが、熱電材料でできた2つの脚部BおよびBを備える少なくとも1つの熱電対TCを含むことが、望ましい。
所与の熱電対TCの脚部BおよびBは、熱電接合部を形成するために、要素Bによってそれらの端部の1つのレベルで相互接続される。言い換えれば、熱電流量計5TCは、実質的に平行で、交互に配置されるm個の脚部Bおよびm個の脚部Bを含み、1つの脚部Bが1つの脚部Bの次にある。脚部BおよびBは、高さHNPを有する。脚部BおよびBはまた、2つの隣接熱電対TCを電気的に接続するために要素Bを介して相互接続されもする。
脚部BおよびBは、異なる熱電的性質を有する材料、すなわちゼーベック効果を生じさせることができる材料で形成される。好ましくは、脚部BおよびBは、それぞれN型およびP型にドープされる。実際、2つの異なるN型およびP型にドープされた熱電材料の会合は、2つの材料間の差分ゼーベック係数を増加させることを可能にする。したがって、熱電対TCの感度が、改善される。
脚部BおよびBは、任意の周知の方法によって、例えば製造コストの観点から利点を有するインクジェットまたはシルク・スクリーン印刷などの印刷方法を用いて形成されてもよい。熱電対TCはまた、CVDと記される化学的気相堆積法またはPVDと記される物理的気相堆積法などの、マイクロエレクトロニクスで使用される薄膜堆積法によって形成されてもよい。一例として、イオン注入ステップを堆積ステップの後に使用し、熱電対TCの温度勾配に対する感度を改善するために、脚部BおよびBをドープしてもよい。
動作時には、熱流計5TCは、温度勾配の中に配置される。好ましくは、熱電対TCの片方の端部は、第1のソース、例えば熱源に近接して配置される第1の側6、または「高温側」に位置付けられ、熱電対TCのもう一方の端部はそれによって、熱源から遠い第2の側7、または「低温側」に位置付けられる。今の場合、熱源は、関心領域4のホット・スポットによって形成される。したがって、熱流計5TCの感度を高めるためには、「高温側」6が、監視すべき熱的挙動を有する関心領域4にできるだけ近接して配置されることが、望ましい。図2の熱流計5TCについては、要素Bは、「高温側」6を形成し、Bは、「低温側」7を形成する。好ましくは、熱電対TCの脚部BおよびBは、第1および第2の端部を有する。第1の端部は、関心領域4の近位(proximal)にある。脚部BおよびBの第2の端部は、関心領域4の遠位(distal)にある。
図3で例示される実施形態によれば、冷却手段10は、図2に示されているのと同じ種類の熱流計5TCと関連付けられる。冷却手段10は、脚部BおよびBの第2の端部に配置される。冷却手段10は、小型放熱器10−1および/または冷却流体を運ぶことを目的とするマイクロ・ヒート・パイプ10−2を含んでもよい。小型放熱器10−1は好ましくは、脚部BおよびBの端部にそれらの第2の端部において配置される。マイクロ・ヒート・パイプ10−2は、基板2の中に形成されてもよい。好ましくは、マイクロ・ヒート・パイプ10−2は、脚部BおよびBの第2の端部の下に形成される。冷却手段は、関心領域4の遠位にある第2の端部に位置する熱電対TCの端部の温度を低下させることを可能にする。それによって、冷却手段は有利には、脚部BおよびBの第1の端部と第2の端部との間の温度差を増加させ、したがって熱電流量計5TCの感度を改善することを可能にする。
図4に示されている代替実施形態によれば、関心領域4は、第1の領域4−1および第2の領域4−2を含む。図4に示されているように、第1の組の少なくとも3つの熱流計5−1は、第1の領域4−1でのホット・スポットを検出するために第1の領域4−1の外側の基板2の表面3に配置される。第2の組の少なくとも3つの熱流計5−2もまた、第2の領域4−2でのホット・スポットを検出するために第2の領域4−2の外側の基板2の表面3に配置される。関心領域4でのホット・スポット検出のシステムは、この代替実施形態によれば、第1および第2の組の熱流計5−1および5−2を含む。熱流計5−1および5−2のそのような配置は有利には、その幾何学的形状に従って関心領域4をより良く覆うように熱流計5−1および5−2を分配することを可能にする。
図5で例示される特定の実施形態によれば、関心領域4は、長方形の形状11を有し、熱流計5は、長方形11の1つの辺に沿って配置される。好ましくは、熱流計5は、長方形11の少なくとも2つの直交する辺に沿って交互に配列される(staggered)。言い換えれば、熱流計5は、関心領域4を包含する長方形の2つの隣接する辺を形成する2つの直交する軸に沿って分配される。接続およびそれらの形成を容易にするために、熱流計5は、相互接続されてもよい。この場合、熱流計5は、差分応答を供給し、その応答は次いで、ホット・スポット検出システムの計算ユニットに送られることになる。ホット・スポット検出システムの空間分解能は、長方形11の1つの辺に沿って配置される熱流計5の数の増加とともに向上する。
図6に示されている特定の実施形態によれば、表面3は、基板2の容積部Vを含む閉じた面である。関心領域4は、容積部V内に含まれる容積部である。少なくとも3つの熱流計5は、関心領域4の外側の表面3に配置される。関心領域4は、デバイスおよび/または電子回路の三次元組立て品を含んでもよい。そのような電子回路は好ましくは、積み重ねられ、ビアによって接続され、いわゆる「3D−IC」技術に従って形成されてもよい。そのような技術は、非常に高度な集積を提供するので、ますますよく使用される。しかしながら、そのような技術は、自己発熱問題に苦労する。熱流計5のその配置は有利には、関心領域4の容積部内に温度センサを一体化する必要がなく、関心領域4の熱管理を可能にする。前記熱管理は、関心領域4のホット・スポットの位置、熱出力、または温度もまた決定することによって実行される。
図7に示されている特定の実施形態によれば、各熱流計5は、有利には、関心領域4の重心Gの方へ向けられる検出面5dを含む。言い換えれば、各熱流計5は、好ましくは検出面5dに垂直で、関心領域4の重心Gおよび熱流計5を横切る直線に対して、−π/4からπ/4の間を含めた範囲にその方向角αを有する検出軸Dを含む。熱流計5の「検出軸」Dは、ホット・スポットPの熱波ベクトル
Figure 2014524565
の方向が有利には、熱流計5によるホット・スポットPの検出の最良の精度および感度を得るためにそれと混同されるべき直線を示す。
一例として、図2に示されているのと同じ種類の熱流計5TCが、図7で例示される実施形態で使用されてもよい。熱流計5はその時(then)、長さLに沿って交互に配列され、一定距離だけ互いに隔てられた、同一の熱電対TCを含む。熱流計5の検出軸Dは、脚部BおよびBに平行で、熱流計5の中央Mを通り抜ける直線である。「熱流計5の中央」は、軸(oy)に沿って熱流計5の端部に位置する2つの熱電対から約L/2の距離に位置する点Mを意味する。したがって、上で規定される検出面は実際には、図2の高温側6に対応する。
方向角αは、検出軸Dならびに関心領域4の重心Gおよび熱流計5を横切る直線によって形成される鋭角であり、検出軸Dはさらに、交点Iで関連する熱流計と交わる。すべての熱流計5について−π/4からπ/4の間の方向角αを有するという事実は有利には、関心領域4の所与のホット・スポットの方へ効率良く向けられる熱流計5の数を増加させることを可能にする。この場合、熱流計5の応答は、より正確でかつより敏感である。より良好な精度および感度は、関心領域4でのホット・スポットPの位置を突き止める精度を改善することを可能にする。
図8で示される例のように、3つのホット・スポットP、P、およびPは、図2に示されている熱流計5TCに関して異なる位置に置かれ、ここでは同じ参照数字は、同じ対象を示す。一般に、熱電対を形成する脚部は、典型的には数十μm程度、さらには数百μm程度のそれらの高さHNPに対して十分に小さい、典型的には数μm程度の幅Iを有する。
ホット・スポットPは、検出軸D上に置かれる。したがって、「高温側」6に配置されるすべての熱電対端部は、ホット・スポットPによって生成される同じ等温プロファイル上に位置付けられる。それによって、ほとんどすべての熱電対は、ホット・スポットPによって生成される熱流への応答として実質的に同じ電気信号を生成する。熱電流量計5の感度および精度はその結果、改善される。
ホット・スポットPは、熱流計5を横切る軸D上に置かれる。軸Dはまた、脚部BおよびBに垂直でもある。脚部BおよびBの端部はその結果、ホット・スポットPによって生成される同じ等温プロファイル上に位置付けられる。したがって、ほとんどすべての熱電対TCは、ホット・スポットPによって生成される熱流への応答としてゼロに近い実質的に同じ電気信号を生成する。
ホット・スポットPは、熱流計5を横切る軸D上に置かれる。軸Dは、軸Dと鋭角α’を形成する。したがって、「高温側」6に配置されるすべての熱電対端部は、ホット・スポットPによって生成されるわずかに異なる等温プロファイル上に位置付けられてもよい。熱電対TCの高さHNPが大きいと、熱流計5に関するホット・スポットPの位置は、熱電対TCの応答間にわずかな差を生じさせることがある。
3つのホット・スポットP、PおよびPの位置の上記解析は、ホット・スポットの検出を改善するためには熱流計5の方向を適合させる必要性があることを示す。この必要性は、ホット・スポット検出システムが、検出軸Dの方向角αを調整するために熱流計5を回転させるための手段を含む、代替実施形態によって満たされてもよい。各熱流計5は例えば、熱流計の検出面が関心領域4のレベルで基板2の表面を走査することを可能にするために、関連する熱流計5に回転運動を課すことを目的とする電気機械システムを備えてもよい。この回転運動は有利には、熱流計5を軸(oz)の周りで旋回させて関心領域4のホット・スポットの方へそれらをより良く向けることを可能にする。前記電気機械システムは有利には、計算ユニットの数学アルゴリズムと相互作用し、その計算ユニットは、熱流計の応答を利用して、熱流計5の感度および精度を最適化することを可能にする回転角を見いだす。典型的には、図2および図5での種類の熱流計について、熱電流量計によって提供される電圧が、最大であるとき、検出軸は、ホット・スポットを通り抜けると考えられることになる。
図9で例示される特定の実施形態によれば、熱流計5a、5b、および5cは有利には、監視すべき熱的挙動を有する関心領域4の重心Gから実質的に等しい距離に位置付けられる。言い換えれば、熱流計5は実質的に、関心領域4の重心Gと一致する中心を有する円上に配置される。熱流計5のそのような配置は、関心領域4の任意のホット・スポットPを熱流計5a、5b、および5cからそれぞれ隔てる距離d、dおよびdの間の差を減少させることを可能にする。それによって、各熱流計5の応答は、同程度の精度および感度で利用されてもよい。したがって、ホット・スポット検出システムの計算ユニットによって使用される数学アルゴリズムは、熱流計5の最大数の正確な応答を利用することができる。関心領域4のホット・スポットの座標および前記ホット・スポットの熱出力の信頼できる計算がその結果、行われる。
図10で例示される特定の実施形態によれば、5つの熱流計5が、その5つの熱流計5によって形成される頂点を有する五角形A’の形で配置される。五角形A’は、正五角形であり、関心領域4の重心Gと一致する中心を有する円C内に内接されてもよい。そのような配置は、五角形A’の角度および辺長を均一にすることを可能にする。したがって、これが制限となることなく、熱流計5は好ましくは、関心領域4の重心と一致する中心を有する円C内に内接されてもよい、正多角形A’の形で配置される。前記多角形A’の各頂点は、熱流計5と関連付けられる。そのような配置は、熱流計5間の角度を最大化し、熱流計5を円C上に均一に分配することを可能にする。したがって、関心領域4は、この実施形態によればより良く覆われる。
熱流計5が、図2に示されているのと同じ種類の熱電流量計である、特定の実施形態によれば、検出システムはその時(then)、測定分解能rを有する熱流計5の電気信号を取得するためのシステムを含む。各熱流計5は、m個の熱電対TCを含み、各熱電対TCは、高さHNPを有する、熱電材料でできた2つの脚部BおよびBを備える。
ホット・スポット検出システムが最適に動作するためには、熱量計5TCが、関心領域4でのホット・スポット検出システムの熱電流量計5TCの電気信号を取得するためのシステムの分解能rよりも大きい十分な電気信号を供給することが、望ましい。有利には、熱電流量計5TCの感度は、電気的分解能r、監視すべき関心領域4のサイズ、および検出すべきホット・スポットの最小出力Φminを考慮することによって調整される。一般に、電気的分解能rは、0.5mV程度の値を有し、検出すべき最小熱出力Φminは、10mW程度である。
熱電流量計5TCの形成において、熱電対TCの高さHNPおよび数mは、感度に影響を及ぼす、容易に調整できるパラメータを形成する。有利には、これらのパラメータは、熱電流量計5TCの感度を調整するために考慮されることになる。熱電対TCの脚部BおよびBの高さHNPは有利には、次式、
Figure 2014524565
によって規定され、ただしRは、関心領域4に外接する円の半径であり、Snpは、前記脚部BおよびBの熱電材料の差分ゼーベック係数であり、λsubは、基板2の熱伝導率であり、eは、前記基板2の厚さであり、Φminは、関心領域4でのホット・スポットによって消散される、検出すべき最小熱出力である。そのような条件では、ホット・スポットによって消散される出力Φは、次式、
Figure 2014524565
によって推定されてもよい。ただしΦは、関心領域4で消散される熱出力であり、Nは、熱流計5TCの数であり、ΔVは、各熱流計5TCの応答であり、kは、次式、
Figure 2014524565
によって規定される定数である。
代替実施形態によれば、脚部BおよびBの高さHNPの調整はまた、熱電流量計5TCの方向角αに依存することがある。有利には、関心領域4の重心Gおよび熱電流量計5TCを通り抜ける直線に対して、−π/4からπ/4の間を含めた範囲の方向角αを持つ検出軸Dを有する熱電流量計5TCについて、熱電流量計5TCの熱電対TCの脚部B、Bの高さ、
Figure 2014524565
は、次式、
Figure 2014524565
によって規定される。使用される変数は、上で規定されたのと同じである。

Claims (13)

  1. その熱的挙動が監視されることになる、1つまたは複数の能動的または受動的な電子部品を含む関心領域(4)を含む表面(3)を備える基板(2)と、
    前記関心領域(4)に位置するホット・スポットを検出するためのシステムとを含む電子デバイスであって、
    前記検出システムが、
    温度勾配に敏感であり、前記関心領域(4)でのホット・スポット(P)によって生成される熱流量を表す値を測定することを目的とする少なくとも3つの熱流計(5)であって、前記熱流計(5)が、前記関心領域(4)の外側の、前記基板(2)の前記表面(3)に別々に配置されている、少なくとも3つの熱流計(5)と、
    前記異なる熱流計(5)の前記値を解析し、前記関心領域(4)におけるホット・スポット(P)の位置を決定するように構成された計算ユニットと、
    を含むことを特徴とする電子デバイス。
  2. 前記計算ユニットが、三角測量によって前記関心領域(4)におけるホット・スポット(P)の位置を決定することを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
  3. 前記各熱流計(5)が、前記基板(2)の平面に平行に配置される、熱電材料でできた2つの脚部(B、B)を備える少なくとも1つの平面熱電対(TC)を含むことを特徴とする、請求項1および2のいずれかに記載のデバイス。
  4. 前記熱流計(5)が、前記熱電対(TC)が形成された前記基板(2)の平面内で移動する熱流を検出するように構成されていることを特徴とする、請求項3に記載のデバイス。
  5. 前記熱流計(5TC)が、前記熱電対(TC)が前記関心領域(4)の近位にある第1の端部、および前記関心領域(4)の遠位にある第2の端部を含むように配置されていることを特徴とする、請求項3に記載のデバイス。
  6. 前記各熱流計(5)が、スポット(P)の熱波ベクトル(U)の方向が前記熱流計(5)による検出の最良の精度および感度を得るためにそれと混同されるべき直線であると規定される検出軸(D)を備えること、ならびに
    前記検出軸(D)が、前記関心領域(4)の重心(G)および前記熱流計(5)を通り抜ける直線に対して、−π/4からπ/4ラジアンを含めた範囲の方向角αを有することを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載のデバイス。
  7. 前記ホット・スポット検出システムが、前記検出軸(D)の方向角αを調整するために前記熱流計(5)を回転させるための手段を含むことを特徴とする、請求項6に記載のデバイス。
  8. 前記熱流計(5)が、前記関心領域(4)の重心(G)から実質的に等しい距離に位置することを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載のデバイス。
  9. 前記熱流計(5)が、熱流計(5)と関連付けられた各頂点を有する多角形(A’)の形で配置され、前記多角形(A’)が、正多角形であり、前記関心領域(4)の重心(G)と一致する中心を有する円(C)内に内接する可能性が高いことを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載のデバイス。
  10. 前記熱流計(5)が、その中に前記関心領域(4)を包含する長方形の、2つの隣接する辺を形成する2つの直交する軸に沿って分配されることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載のデバイス。
  11. 前記関心領域(4)におけるホット・スポットを検出するための前記システムが、測定分解能rを持つ前記熱流計(5TC)から電気信号を取得するためのシステムを含むこと、および前記各熱流計(5)が、m個の熱電対を含み、各熱電対が、次式、
    Figure 2014524565
    によって規定される高さHNPを有する、熱電材料でできた2つの脚部(B、B)を備え、ただしRが、前記関心領域(4)に外接する円の半径であり、Snpが、前記脚部(B、B)の前記熱電材料の差分ゼーベック係数であり、λsubが、前記基板(2)の熱伝導率であり、eが、前記基板(2)の厚さであり、Φminが、前記関心領域(4)における前記ホット・スポットによって消散される、検出すべき最小熱出力であることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載のデバイス。
  12. 前記関心領域(4)におけるホット・スポットを検出するための前記システムが、測定分解能rを持つ前記熱流計(5TC)から電気信号を取得するためのシステムを含むこと、および前記各熱流計(5)が、m個の熱電対を含み、前記各熱電対が、次式、
    Figure 2014524565
    によって規定される高さ、
    Figure 2014524565
    を有する、熱電材料でできた2つの脚部(B、B)を備え、ただしRが、前記関心領域(4)に外接する円の半径であり、Snpが、前記脚部(B、B)の前記熱電材料の差分ゼーベック係数であり、λsubが、前記基板(2)の熱伝導率であり、eが、前記基板(2)の厚さであり、Φminが、前記関心領域(4)における前記ホット・スポットによって消散される、検出すべき最小熱出力であることを特徴とする、請求項6に記載のデバイス。
  13. 前記熱電対(TC)の前記脚部(B、B)が、第1および第2の端部を有し、前記第1の端部が、前記関心領域(4)の近位にあり、前記第2の端部が、前記関心領域(4)の遠位にあること、ならびに、小型放熱器(10−1)および/またはマイクロ・ヒート・パイプ(10−2)が、前記脚部(B、B)の前記第2の端部に配置されていることを特徴とする、請求項3に記載のデバイス。
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