JP2014522844A - 白血病を治療するための組成物、方法及びキット - Google Patents

白血病を治療するための組成物、方法及びキット Download PDF

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Abstract

被験体(例えば、ヒト)の白血病を治療するための組成物、キット及び方法は、Δ12-プロスタグランジンJ3若しくはその誘導体又はプロスタグランジンD受容体(DP)作働薬からなる第1抗がん剤を含む。前記組成物は第2抗がん剤をさらに含む。Δ12-プロスタグランジンJ3は、オメガ-3脂肪酸、エイコサペンタエン酸(EPA)の安定な代謝物であり、抗白血病特性を有することが見出された。前記組成物、キット及び方法は、1種類以上の抗がん剤に耐性であるヒト被験体の治療のために特に有用である。
【選択図】図1

Description

本発明は、一般的に、分子遺伝学、分子生物学及び腫瘍学の分野に関する。
出願に関する相互参照
本出願は、2011年6月29日に出願した米国仮出願第61/502,677号、2011年9月15日に出願した米国仮出願第61/535,149号、及び、2012年4月19日に出願した米国仮出願第61/635,458号の利益を主張し、本出願において、その全体が全体として引用により本明細書に取り込まれる。
白血病は、白血球の無制御な産生を示す高い罹患率を有する疾患である。現在のところ、白血病の治療法(cure)は全くない。現在の白血病療法は、化学療法、放射線療法、幹細胞療法及び生物学的療法を含む。これらの療法の全ては多くの副作用に悩まされる。抗白血病薬の使用は、がん幹細胞ではないが、大部分のがん細胞を標的にすることによって患者を延命するのみである。
AMLは成人白血病の最も一般的な種類の1つである。残念ながら、他の種類の白血病と比較するとき、AMLの5年相対生存率は最低である。AMLは、白血病幹細胞(LSC)が疾患分類体系の頂点を占める幹細胞疾患である。LSCは自己複製でき、大量の白血病細胞を作り出す非幹細胞の子孫細胞を生じ得る。化学療法剤は大量の白血病細胞を効率的に標的にすることができるが、LSCはそれらの薬物による殺傷を回避するための活性メカニズムを有する。結果として、LSCを除去できないことが疾患の再発を生じる。この特性のために、LSCの特異的標的化は効果的治療に必須である。新たな抗LSC療法の必要性が十分に認識されているが、LSCを標的にするためのメカニズムに基づいた薬物の検証が欠如している。明らかに、新たなアプローチが必要とされる。本明細書に記載されるものは、がん(例えば、白血病)を治療するための組成物、方法及びキットである。ω-3脂肪酸由来代謝物、Δ12-PGJ3は、慢性白血病の2つのマウスモデルでLSCを効率的に除去することが見出された。本明細書に記載された実験では、Δ12-PGJ3は、AMLのマウスモデル及びヒトAML白血病試料でアポトーシスを誘導することによってAML LSCを効率的に標的にすることを示すためにこれらの知見が展開された。対照的に、Δ12-PGJ3は、正常な造血幹細胞、又は、造血前駆細胞(hematopoietic progenitors)の分化に全く影響がない。Δ12-PGJ3は、LSC及び白血病細胞でp53の発現を誘導することによって作用する。LSCでのp53の高発現レベルは自己複製と適合せず、アポトーシスに導く。これらのデータは、Δ12-PGJ3がAMLを治療するための化学療法剤であることを示唆する。これは、マウスモデルで白血病幹細胞を除去し、慢性骨髄性白血病(CML)を効率的に「治療」し、白血病マウスをいつまでも延命する化合物の最初の例である。
本明細書に記載されるものは、白血病などのがんを治療するための組成物、方法及びキットである。がん幹細胞(CSC)を標的にすることは、がんの再発に十分に効果を有するために最も重要なことである。食物の魚油オメガ3多価不飽和脂肪酸(n-3 PUFA)、エイコサペンタエン酸(EPA; 20:5)からのΔ12-PGJ3、新規で、天然に産生されるシクロペンテノン プロスタグランジン、CyPGは、2つの十分に研究された白血病のマウスモデルで白血病の発症を軽減することが本明細書に示される。フレンド赤白血病ウイルス(FV)を感染したマウス、又は、造血幹細胞(HSC)プール(pool)で慢性骨髄性白血病(CML)がんタンパク質BCR-ABLを発現するマウスへのΔ12-PGJ3の腹腔内投与は、正常な血液学的パラメーター、脾臓の組織構造を完全に回復し、かかるマウスの生存を増大した。より重要なことに、Δ12-PGJ3は、脾臓及び骨髄でのアポトーシスのために白血病幹細胞(LSC)を選択的に標的にした。本治療は、第2移植で白血病を生じさせるために処置マウスからのドナー細胞の無能化によって示されるようなin vivoでLSCを完全に除去した。これは、マウスモデルで白血病幹細胞を除去し、CMLを効率的に「治療」し、白血病マウスをいつまでも延命する化合物の最初の例である。n-3 PUFA由来CyPGの効能、及び、LSCの周知の治療耐性を現在用いられている臨床薬に与えるために、Δ12-PGJ3は、LSCを標的にする白血病用の新規化学療法剤を表す。
したがって、本明細書に記載されるものは、LSCを有している被験体(例えば、白血病を患う被験体)でLSCの成長を抑制するための第1抗がん剤及び薬学的に許容可能な担体の治療学的有効量を含む組成物であり、前記第1抗がん剤は、単離若しくは合成されたΔ12-PGJ3又はその誘導体である。前記組成物は、第2抗がん剤(例えば、イマチニブ(グリベック(登録商標)、ノバルティス、ニュージャージー州イーストハノーバー)をさらに含むことができる。
また、本明細書に記載されるものは、LSCを有している被験体でLSCの成長を抑制するための、単離若しくは合成されたプロスタグランジンD受容体(DP)作働薬である第1抗がん剤及び薬学的に許容可能な担体の治療学的有効量を含む組成物である。前記組成物は、第2抗がん剤(例えば、イマチニブ)をさらに含むことができる。前記DP作働薬は、例えば、1種類以上のΔ12-PGJ3、ZK118182及びPGD2MEの場合がある。
さらに本明細書に記載されるものは、被験体の白血病を治療する方法である。前記方法は、前記被験体でのLSCの死滅を誘導するための1種類以上の、単離若しくは合成されたΔ12-PGJ3又はその誘導体、プロスタグランジンD3の誘導体、及び、単離若しくは合成されたDP作働薬である第1抗がん剤の治療学的有効量を含む組成物を、白血病を有している前記被験体に投与することを含む。例えば、前記LSCは、慢性骨髄性白血病幹細胞又は急性骨髄性白血病細胞の場合がある。いつかの実施態様では、前記被験体は、抗がん剤(例えば、イマチニブ)に耐性である。前記方法では、前記組成物は第2抗がん剤(例えば、イマチニブや、シタラビン又はドキソルビシンなどの標準的な化学療法剤など)の治療学的有効量をさらに含むことができる。
なおさらに本明細書に記載されるものは、被験体(例えば、ヒト)の白血病を治療する方法である。前記方法は、被験体でLSCの死滅を誘導するためのDP作働薬の治療学的有効量を含む組成物を、白血病を有している前記被験体に投与することを含む。例えば、前記LSCは、慢性骨髄性白血病幹細胞の場合がある。いくつかの実施態様では、前記被験体はイマチニブに耐性である。前記方法では、前記組成物は、抗がん剤(例えば、イマチニブや、シタラビン又はドキソルビシンなどの標準的な化学療法剤など)の治療学的有効量をさらに含むことができる。
また本明細書に記載されるものは、被験体(例えば、ヒト)の白血病を治療するためのキットである。前記キットは、被験体でLSCの死滅を誘導するための1種類の、単離若しくは合成されたDP作働薬、単離若しくは合成されたΔ12-PGJ3、及び、Δ12-PGJ3の誘導体である第1抗がん剤の治療学的有効量を含む組成物、使用のための説明書、及び、包装を含む。前記キットは、第2抗がん剤(例えば、イマチニブや、シタラビン又はドキソルビシンなどの標準的な化学療法剤など)をさらに含むことができる。
別段の定めがない限り、本明細書に用いられる全ての技術用語は、本発明の属する当業者によって一般的に理解されるような同一の意味を有する。
本明細書に用いられるところの「タンパク質」及び「ポリペプチド」は、長さ又は翻訳後修飾、例えば、グリコシル化又はリン酸化に関わらず、アミノ酸のペプチド結合鎖のいずれかを意味するのに同義的に用いられる。
「遺伝子」という用語は、特定のタンパク質をコードする核酸分子、又は、特定の場合には、機能的又は構造的なRNA分子を意味する。
本明細書に用いられるところの「核酸」又は「核酸分子」は、RNA(リボ核酸)及びDNA(デオキシリボ核酸)などの2つ以上のヌクレオチドの鎖を意味する。
「患者(patient)」、「被験体(subject)」及び「個人(individual)」という用語は本明細書で互換的に用いられ、処置される、及び/又は、生物学的試料を得るための哺乳類(例えば、ヒト、げっ歯類、非ヒト霊長類、イヌ、ウシ、ヒツジ、ウマ、ネコなど)の被験体を意味する。
本明細書で用いられるところの「結合する(bind)」、「結合する(binds)」、又は、「と相互作用する(interacts with)」は、1つの分子が、試料又は生物で特定の第2分子を認識し、接着するが、前記試料で構造的に関連のない他の分子を実質的に認識又は接着しないことを意味する。一般的に、第2分子に「特異的に結合する」第1分子は、第2分子に対して約10-8ないし10-12モル/リットルよりも大きな結合親和性を有し、共有結合及び非共有結合できる正確な「緊密な連携」で結合(docking)する相互作用(水素結合、疎水、イオン、及び、ファンデルワールス)を含む。
プローブ又は抗体に関して、「標識した」という用語は、検出可能な物質を前記プローブ又は抗体に結合(例えば、物理的に結合すること)による前記プローブ又は抗体の直接標識を含むことを意図する。
核酸分子又はポリペプチドに関して、「天然の」という用語は、天然(例えば、野生型すなわちWT)の核酸又はポリペプチドをいう。
本明細書で用いられるところの「調節する(regulating)」、「調節(regulation)」、「変調する(modulating)」又は「変調(modulation)」という用語は、分子(例えば、受容体)の活性及び/又は機能を、抑制又は増大又は維持のいずれかのための薬剤の能力をいう。例えば、DPの阻害剤は少なくとも部分的に前記DPの活性及び/又は機能を下向き調節、減少、低下、抑制、又は、不活性化をする。上向き調節は、機能及び/又は活性の相対的な増加をいう。
「Δ12-PGJ3」という用語は、Δ12-プロスタグランジンJ3オメガ-3脂肪酸由来代謝物を意味する。
「DP作働薬」という用語は、細胞でDP部位と複合体を形成するか、若しくは結合し、それによって、前記細胞からの活性応答をもたらすいずれかの薬剤(例えば、薬物、化合物、ホルモンなど)を意味する。DP作働薬は、天然又は合成か、若しくはそれらの組み合わせの場合がある。
「白血病幹細胞」という用語は、追加の白血病幹細胞(自己複製)及び非幹細胞白血病細胞を産出するための特性を有すると機能的に定義される、白血病を引き起こす細胞(leukemia initiating cells)を意味する。また、これらの細胞は、CD34、CD123及びCD117を含むがこれらに限定されない特定の細胞表面マーカーの発現によって特徴付けられる。
「単離した」又は「生物学的に純粋な」という用語は、その天然状態で見出されるようなそれに通常付随する成分を実質的又は本質的に含まない物質をいう。
「抗体」という用語は、酵素的分解、ペプチド合成又は組換え技術を含むが、これらに限定されない既知の技術のいずれかによって提供される、可溶型又は結合型であって、標識され得るポリクローナル抗体、モノクロナール抗体(mAb)、キメラ抗体、ヒト化抗体、抗体に対する抗イディオタイプ(抗Id)抗体と、それらの断片、領域又は誘導体とを含むことを意味する。
本明細書で用いられるところの「診断」、「診断する」及び「診断した」は、病的状態(例えば、白血病)の存在又は種類を同定することを意味する。
「試料」という用語は、その最も広い意味で本明細書で用いられる。ポリヌクレオチド、ポリペプチド、ペプチド、抗体などを含む試料は、体液、細胞調製物の可溶性画分、又は、細胞が増殖された培地、ゲノムDNA、RNA又はcDNA、細胞、組織、皮膚、毛髪などを含む場合がある。試料の例は、唾液、血清、血液、尿及び血漿を含む。
本明細書で用いられるところの「治療」という用語は、疾患、疾患の症状、又は、疾患になりやすい傾向を、治療(cure)、治癒(heal)、緩和、軽減、変更、改善(remedy)、改善(ameliorate)、改善(improve)又は影響を及ぼす目的で、前記疾患、疾患の症状、又は、疾患になりやすい傾向を有する、患者への治療剤の適用若しくは投与、又は、患者からの単離組織又は細胞株への治療剤の適用若しくは投与として定義される。治療は、例えば、脾腫の改善(ameliorating)、予防(preventing)又は除去(eliminating)、被験体でのLSC数の減少、被験体のLSCの除去などを含む場合がある。
本明細書で用いられるところの「安全有効量」という用語は、本発明の方法で用いられるとき、妥当な利益/リスク率に見合う(毒性、刺激又はアレルギー応答などの)過度の有害な副作用なしに、所望の治療学的反応を生じるのに十分な成分量をいう。「治療学的有効量」とは、所望の治療学的反応を生じるのに有効な本発明の組成物量を意味する。例えば、がん(例えば、CML)の成長を遅延するか、がん(例えば、CML)を縮小するか、若しくは転移を防止するのに有効な量。特定の安全有効量又は治療学的有効量は、治療される特定条件、患者の生理学的状態、治療される哺乳類又は動物の種類、治療期間、(もしあれば)併用療法の種類、及び、供される特定の処方、及び、化合物又はその誘導体の構造のような因子などによって変化する。
本明細書に記載されるものと類似又は均等の組成物、キット及び方法が本発明の実施又は試験で用いられ得るが、適切な組成物、キット及び方法が以下に記載される。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願及び特許が、全体として引用により取り込まれる。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が調整する。下記の特定の実施態様は例示のみであり、限定することを意図するものではない。
図1は、Δ12-PGJ3の内因性産生及びプロアポトーシス性質を示す。(A)RAW264.7マクロファージのPGD3、Δ12-PGJ3、15d-PGJ3の内因性形成、LC-UV追跡;EPA処置についてN=3。(B)特徴的なフラグメンテーションパターンを伴う溶出物を含むΔ12-PGJ3の代表的なLC-MSを示す。(C)正常なHSC(MSCV-GFP+HSC)と比較した、BCR-ABL+LSCにおけるΔ12-PGJ3の効果を実証する用量反応。細胞はΔ12-PGJ3でex vivoで36時間処置された。アポトーシスがアネキシンV染色によって測定された。(D)骨髄から選別され、Δ12-PGJ3(25 nM)又はベヒクル対照を含む培地でex vivoで36時間培養され、その後、GFP+細胞のフローサイトメトリー分析されたKit+Sca-1+Lin-BCR-ABL-GFP+細胞。N=3;平均±s.e.m. *はp<0.005を示す。インプットGFP+細胞の百分率として示される。(E)Δ12-PGJ3の記載の濃度でのFVマウスから単離されたLSCの36時間のインキュベーション後の用量反応。LSCのアポトーシスはアネキシンV染色後、フローサイトメトリーによって検討された。(F)FV-LSCが、各化合物の25 nMでex vivoで36時間培養された。N=3;平均±s.e.m. *は(PGJ3と比較した)P<0.0001を示す。 図2は、Δ12-PGJ3の腹腔内投与がマウスのFV白血病を除去することを示す。(A)Δ12-PGJ3の種々の用量で処置されたFV感染マウスの脾臓重量(mg/kg体重)。処置群あたりN=10。記載の投与量でΔ12-PGJ3処置は、7日間の感染後1週間で開始された。* P<0.05。挿入図:各処置群からの代表的な脾臓。UI:無感染マウス。(B)Δ12-PGJ3又はベヒクル(Veh)対照で処置されたFV感染マウスの脾臓中LSC(M34+Kit+Sca1+)の分析。(C)Δ12-PGJ3及びベヒクル対照で処置されたマウスのCFU-FVコロニー形成、* P<0.001。(D)非感染マウス(左)、FV感染でベヒクル処置マウス(中間)、及び、FV感染でΔ12-PGJ3処置マウス(右)の、感染14日後の脾臓切片のHE染色。左の各切片で示された小さい囲み部分は右側で拡大されている。縮尺目盛、500μm。 図3は、in vitroで拡大されたFV誘導LSCのFV耐性Stk-/-マウスへの移植によって誘導された白血病でのΔ12-PGJ3処置の効果を示す。(A)FV-LSCを移植した後7週間後、ベヒクル、0.05 mg/kg又は0.025 mg/kgのΔ12-PGJ3で1週間処置したStk-/-マウスからの脾臓の写真。(B)脾臓重量をパネルAの条件で示す。1群あたりN=5、感染ベヒクル群と比較して* P<0.05。(C)Δ12-PGJ3又はベヒクル対照の記載量で処理されたLSC移植Stk-/-マウスにおける白血球数(WBC counts)。1群あたりN=5、感染ベヒクル群と比較して* P<0.05。(D)LSCを移植されたStk-/-マウスにおけるM34+Kit+Sca1+細胞。単離され、Kit+でゲートされた脾臓細胞、M34及びSca1の発現を示す。1群あたりN=5。 図4は、Δ12-PGJ3の腹腔内投与は、マウスCMLモデルでLSCを除去し、延命することを示す。(A)BCR-ABL-GFP+LSCを移植したマウスでの脾腫の進展に対するΔ12-PGJ3処置の効果の分析。脾臓重量に応じてΔ12-PGJ3(0.025 mg/kg)又は溶剤ベヒクル対照で処置された対照マウス及びBCR-ABL移植マウスからの脾臓の代表的な写真。処置群あたりN=10、* P<0.05。(B)Δ12-PGJ3又はベヒクル対照で処置されたBCR-ABL+LSC又はMSCV-HSC移植マウスの白血球数(WBC counts)の分析。* P<0.0001。(C)Δ12-PGJ3又はベヒクル対照で処置されたBCR-ABL+LSC又はMSCV+HSC移植マウスの脾臓のSca-1+Kit+GFP+細胞のフローサイトメトリー分析。1群あたりN=5;* p<0.001。(D)Δ12-PGJ3(0.025 mg/kg)の最終投与5週間後のBCR-ABL+LSCが移植されΔ12-PGJ3で処置されたマウスの骨髄中LSC(Kit+Sca-1+Lin-GFP+)の分析。対照として、ベヒクルで1週間処置されたBCR-ABL+LSC移植マウスが比較のために用いられた。(E)Δ12-PGJ3(0.025 mg/kg)又はベヒクルで処置された、BCR-ABL+LSC又はMSCV-GFP+HSC移植マウスの生存曲線。処置群あたりN=8。(F)HSCがC57BL/6マウスの骨髄から単離され、PBS又はΔ12-PGJ3(25 nM)を有するメチルセルロースに播種され(1x106細胞/ml/ウェル;Epo、SCF、IL-3及びBMP4)、そして1週間培養された。造血コロニー(培養でのコロニー形成細胞、CFC)がスコア化された。示されたデータは3回の実験の代表的なものである。 図5は、Δ12-PGJ3処置レシピエントからの脾臓細胞の第2移植は白血病の非存在を示すことを示す。パネルA-Cは、CD45.2レシピエントマウスに移植された、Δ12-PGJ3又はベヒクル対照で処置されたCD45.1+BCR-ABLマウスの第2移植を示す。パネルD-Eは、Δ12-PGJ3又はベヒクル対照で処置されたマウスからのFV-LSCが、第2のBALB/c-Stk-/-レシピエントに移植されたことを示す。(A)ベヒクル処置ドナー細胞又はΔ12-PGJ3処置ドナー細胞からのドナー細胞を受け取っている第2移植マウスの脾臓の形態(左上)、脾臓重量(左下)及び白血球数(WBC counts)(右)。(B)第2移植からの脾臓細胞のフローサイトメトリー分析。細胞はGFP+でゲートされ、Kit及びSca1の発現を示す。(C)脾臓細胞でのドナーのCD45.1の発現分析。(D)ベヒクル処置ドナー細胞又はΔ12-PGJ3処置ドナー細胞からのドナー細胞を受け取っている第2移植マウスの脾臓の形態(左上)、脾臓重量(左下)及び白血球数(WBC counts)(右)。(E)第2移植からの脾臓細胞のフローサイトメトリー分析。細胞はM34+でゲートされ、Kit及びSca1の発現が示される。 図6は、PGJ3、Δ12-PGJ3及び15d-PGJ3へのPGD3のin vitroでの自発的な変換を示す。 図7は、LSCに対するCyPGの用量依存的なプロアポトーシス効果を示す。 図8は、イマチニブ耐性BCR-ABL(GFP)+細胞がΔ12-PGJ3によって標的にされることを示すグラフである。LSCは、イマチニブ(75 mg/kg)で1週間処置され、その後、前記処置が終了されたマウスから単離された。前記マウスは、白血病の進展が追跡調査された。白血病が進展したマウスは安楽死され、脾臓がLSCの供給源として用いられた。 図9は、前記DPの合成作働薬によるBCR-ABL+LSCのアポトーシスを示すグラフである。 図10は、in vitroで培養されるとき、骨髄細胞の、分化したコロニーを形成する能力によって測定されるように、正常なヒトの血液増加にΔ12-PGJ3及び関連作働薬は影響しないことを示すグラフである。ヒト非分画骨髄細胞(ウェルあたり5x105個)が、記載濃度の薬物を補充したIL-3、GM-CSF、G-CSF、SCF及びEpoを含むメチルセルロース完全培地に播種された。総数のコロニーが12日後に算定された。 図11は、正常骨髄細胞から赤血球系の細胞に分化する能力(バースト形成単位−赤血球、BFU-E)にΔ12-PGJ3は影響しないことを示すグラフである。 図12は、患者(#011711)からの急性転化CML細胞のΔ12-PGJ3依存性アポトーシスをDPが仲介することを示す一対のグラフである。 図13は、DPが患者(#100810)からのAML細胞の前記Δ12-PGJ3依存性アポトーシスを仲介する実験の結果を示す。さらに、Δ12-PGJ3は、アポトーシスについて白血病幹細胞(CD34+CD38-CD123+細胞)も特異的に標的にする。 図14は、BCR-ABL+LSC移植CMLモデルマウスにおけるΔ12-PGJ3とイマチニブ(グリベック(登録商標)、ノバルティス、ニュージャージー州イーストハノーバー)との比較の結果を示すグラフである。 図15は、AML患者及び急性転化CML患者からのLSCにおけるΔ12-PGJ3の効果を列挙する表である。 図16は、(内因性及び外因性の)DP作働薬及びDP拮抗薬によるヒト初代AML細胞のアポトーシスを示す一対のグラフである。
発明の詳細な説明
AMLは成人白血病の最も一般的な種類の1つである。残念ながら、他の種類の白血病と比較するとき、AMLの5年相対生存率は最低である。AMLは、LSCが疾患分類体系の頂点を占める幹細胞疾患である。LSCは自己複製でき、大量の白血病細胞を作り出す非幹細胞の子孫細胞を生じ得る。化学療法剤は大量の白血病細胞を効率的に標的にすることができるが、LSCはそれらの薬物による殺傷を回避するための活性メカニズムを有する。結果として、LSCを除去できないことが疾患の再発を生じる。この特性のために、LSCの特異的標的化は効果的治療に必須である。新たな抗LSC療法の必要性が十分に認識されているが、LSCを標的にするためのメカニズムに基づいた薬物の検証が欠如している。明らかに、新たなアプローチが必要とされる。本明細書に記載されるものは、がん(例えば、白血病)を治療するための組成物、方法及びキットである。ω-3脂肪酸由来代謝物、Δ12-PGJ3は、慢性白血病の2つのマウスモデルでLSCを効率的に除去することが見出された。本明細書に記載された実験では、Δ12-PGJ3は、AMLのマウスモデル及びヒトAML白血病試料でアポトーシスを誘導することによってAML LSCを効率的に標的にすることを示すためにこれらの発見は発展された。対照的に、Δ12-PGJ3は、正常な造血幹細胞、又は、造血前駆細胞(hematopoietic progenitors)の分化に全く影響がない。Δ12-PGJ3は、LSC及び白血病細胞でp53の発現を誘導することによって作用する。LSCでのp53の高発現レベルが自己複製と不適合であり、アポトーシスに導く。これらのデータは、Δ12-PGJ3がAMLを治療するための化学療法剤であることを示唆する。これは、マウスモデルで白血病幹細胞を除去し、CMLを効率的に「治療」し、白血病マウスをいつまでも延命する化合物の最初の例である。
生物学的方法
従来の分子生物学の手法を含む方法が本明細書に記載される。かかる手法は当業者に一般的に知られ、Molecular Cloning(実験室マニュアル、第3版、1-3巻、Sambrookら編、Cold Spring Harbor Laboratory Press、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー、2001)及びCurrent Protocols in Molecular Biology(Ausubelら編、Greene Publishing and Wiley-Interscience、ニューヨーク、1992(定期的な更新あり)などの方法論の論文で詳細に記載される。
被験体の白血病を治療するための組成物
本明細書に記載されるものは、被験体(例えば、ヒト被験体)の白血病を治療するための組成物である。前記組成物を用いて治療され得る白血病の例は、急性骨髄性白血病(AML)、CML、急性リンパ性白血病(ALL)及び慢性リンパ性白血病(CLL)を含む。1つの実施態様では、組成物は、LSCを有している被験体でのLSCの成長を抑制するためのΔ12-プロスタグランジンJ3又はその誘導体(第1抗がん剤)及び薬学的に許容可能な担体の治療学的有効量を含む。LSCの成長を抑制することは、前記がん細胞の死滅(の殺傷)を誘導すること、及び/又は、前記がん細胞の分化を誘導すること(より分化した表現型を促進すること、例えば、最終的に分化した細胞にLSCを分化させること)を含む。(例えば、合成した、単離した)Δ12-プロスタグランジンJ3又はその誘導体の適切な剤形のいずれかが用いられ得る。本明細書に記載された組成物及び方法での特定の使用を満たすΔ12-プロスタグランジンJ3誘導体は、LSCのアポトーシス又は分化を誘導するものである(例えば、16,16-ジメチル-Δ12-PGJ3)。かかる実施態様では、被験体に投与されるとき、前記組成物はLSCのアポトーシスを誘導する。前記組成物は、1種類以上の追加の抗がん剤(例えば、第2抗がん剤)をさらに含む。追加の抗がん剤の例は、イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ(dasafanib)、新世代BCR-ABL阻害剤、及び、シタラビン又はドキソルビシン又は類似分類の薬物などの標準的な化学療法剤など)を含む。1つの実施態様では、イマチニブ又は新世代BCR-ABL阻害剤と、Δ12-PGJ3とを含む併用療法はとりわけ治療的である場合がある。
もう1つの実施態様では、組成物は、LSCを有している被験体でのLSCの成長を抑制するためのDP作働薬(第1抗がん剤)及び薬学的に許容可能な担体の治療学的有効量を含む。DP作働薬の例は、低分子、タンパク質、ペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、有機化合物、無機化合物、合成化合物、又は、単細胞又は多細胞生物から単離される化合物を含む。DP作働薬の特定の例は、PGD2ME(プロスタグランジンD2メチルエステル(9α,15S-ジヒドロキシ-11-オキソ-プロスタ-5Z,13E-ジエン-1-オイック酸、メチルエステル)、及び、ZK118182([[4-[5R-クロロ-2Z-[3R-シクロヘキシル-3S-ヒドロキシ-1R-プロペニル]-3S-ヒドロキシシクロペンチル]-2R-ブテニル]オキシ]-酢酸、イソプロピルエステル)を含む。DP作働薬は前記DPを活性化する薬剤のいずれかである。DPを活性化する薬剤のいずれかは、LSCの死滅を誘導し、白血病を治療するために本明細書に記載された組成物及び方法で用いられ得る。DP作働薬を含む組成物は、1種類以上の追加の抗がん剤(例えば、第2抗がん剤)をさらに含む場合がある。上述のように、追加の抗がん剤の例は、イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、新世代BCR-ABL阻害剤、シタラビン又はドキソルビシンなどの標準的な化学療法剤など)を含む。
本明細書に記載された組成物において、Δ12-プロスタグランジンJ3は、例えば、以下の実施例の段落では、商業的に入手されるか、若しくは記載された方法に従って合成され得る。同様に、Δ12-プロスタグランジンJ3誘導体は、Kimballらによって記載されたように合成され得る(Kimball FA、Bundy GL、Robert A及びWeeks JR(1979)、Synthesis and biological properties of 9-deoxo-16,16-9-methylene-PGE2. Prostaglandins 17:657-66)。
有効投与量
上記の組成物は、好ましくは、有効量、つまり、治療される被験体で所望の結果を生じること(例えば、被験体でLSCの成長を抑制すること、及び/又は、LSCの死滅を誘導すること)ができる量で哺乳類(例えば、げっ歯類、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ウシ、ヒツジ、ウマ、ネコなど)に投与される。本発明の方法で利用される組成物の毒性及び治療効果が、標準的な薬学的手段によって決定され得る。医学及び獣医学の当業者に周知のように、いずれか1種類の動物のための用量は、被験体のサイズ、体表面面積、体重、年齢、投与される特定の組成、投与時間及び経路、全体的な健康、がんの臨床症状、及び、同時に投与される他の薬物を含む多くの因子に依存する。本明細書に記載されたような組成物は、血液学的パラメーター(完全血球算定(CBC))、又は、がん細胞の成長又は増殖の低下を検証することによって評価されるように、LSCの死滅を誘導する(例えば、LSCのアポトーシスを誘導する)用量で典型的に投与される。本明細書に記載された実験では、LSCを除去するために用いられたΔ12-PGJ3の量は、7日間あたり0.6ミリグラム/日/グラム マウスと算出された。一般的に、前記投与量は、mg/Kg被験体/日=μg/g被験体/日である。典型的な実施態様では、約0.025ないし約0.05 mg/Kg/日の範囲の投与量が投与される。かかる投与量は、1日1回数週間典型的に投与される。
がんを治療する方法
本明細書に記載されるものは、がん(例えば、白血病)及び/又はその障害又は症状を治療する方法である。前記方法は、薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物の治療学的有効量と、疾患又はその障害又は症状を治療するのに十分なΔ12-PGJ3、その誘導体又はDP作働薬(第1抗がん剤)の量とを被験体(例えば、ヒトなどの哺乳類)に投与することを含む。前記方法では、前記被験体でLSCの死滅を誘導するのに十分なΔ12-PGJ3、その誘導体又はDP作働薬の量が典型的に投与される。典型的な実施態様では、前記LSCはCML幹細胞である。いくつかの実施態様では、前記組成物は、イマチニブ又は他の抗がん剤に耐性である被験体に投与され得る。前記方法では、前記組成物は、1種類以上の追加の抗がん剤(例えば、イマチニブなどの第2抗がん剤)又は標準的な化学療法剤の治療学的有効量をさらに含むことができる。
(予防的治療を含む)本発明の治療方法は、本明細書に記載された組成物の治療学的有効量を、それを必要とする、哺乳類、特にヒトを含む被験体に投与することを一般的に含む。かかる治療は、疾患、その障害又は症状を患っているか、有しているか、なりやすい傾向であるか、若しくはリスクのある被験体、特にヒトに適切に投与される。「リスクを有する」それらの被験体の決定は、被験体又は健康管理提供者の診断試験又は知見(例えば、遺伝子検査、酵素又はタンパク質マーカー、(本明細書で定義された)マーカー、家系など)による客観的又は主観的な決定のいずれかによって行われ得る。
がん(例えば、白血病)の治療のためにΔ12-PGJ3、その誘導体又はDP作働薬を含む組成物を投与することは、(例えば、他の成分と組み合わせたとき)がんを除去、低下又は安定化するのに有効である治療濃度を生じる適切な手段のいずれかによって行われる場合がある。前記Δ12-PGJ3、その誘導体又はDP作働薬は、いずれかの適切な担体物質にいずれかの適切量で含有される場合があり、組成物の全量あたり1-95重量%の量で一般的に存在する。前記組成物は、(例えば、非経口、皮下、静脈内、筋肉内又は腹腔内の)局所的又は全身投与に適切である剤形で提供される場合がある。医薬組成物は、従来の薬剤学的な実務に従って処方される場合がある(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy(第20版)、A. R. Gennaro、Lippincott Williams & Wilkins編、2000、及び、Encyclopedia of Pharmaceutical Technology、J. Swarbrick及びJ. C. Boylan編、1988-1999、Marcel Dekker、ニューヨーク州を参照せよ。)。
本明細書に記載されたような組成物は、従来の無毒な薬学的に許容可能な担体及びアジュバントを含む剤形での、処方での、又は、適切な送達デバイスを介しての、又は、移植物での、注射、点滴又は移植(皮下、静脈、筋肉内、腹腔内など)によって非経口的に投与される場合がある。かかる組成物の処方及び調製は製剤処方の分野の当業者に周知である。処方は、上述のRemington: The Science and Practice of Pharmacyで見ることができる。
非経口的使用のための組成物は、単位投与剤形(例えば、単回投与アンプル)又は複数回投与を含むバイアルで提供される場合があり、それらの中には、適切な保存剤が添加される場合がある(下記参照)。前記組成物は、溶液、懸濁液、乳剤、注入器、又は、移植用送達デバイスの形態の場合があるか、若しくは使用前に水又はもう1つの適切なベヒクルにもどされる乾燥粉末として提供される場合がある。がんを減少又は改善する活性剤を除いて、前記組成物は、非経口的に適切な許容可能な担体及び/又は添加剤を含む場合がある。活性治療剤は、制御放出のためにマイクロスフェア、マイクロカプセル、ナノカプセル、リポソームなどに取り込まれる場合がある。さらに、前記組成物は、懸濁剤、可溶化剤、安定化剤、pH調製剤、等張化剤、及び/又は、分散剤を含む場合がある。
上記したように、本明細書に記載された前記医薬組成物は、無菌注射のための適切な製剤の場合がある。かかる組成物を調製するために、適切な活性治療薬が、非経口的に許容可能な液体ベヒクルに溶解又は懸濁される。供され得る許容可能なベヒクル及び溶媒は、水、適切な量の塩酸、水酸化ナトリウム又は適切な緩衝液の添加によって適切なpHに調整した水、1,3-ブタンジオール、リンゲル液、及び、生理食塩水及びデキストロース溶液である。また、水性製剤は、1種類以上の保存剤(例えば、メチル、エチル又はn-プロピルp-ヒドロキシ安息香酸)を含む場合がある。化合物の1つが、単に水にやや溶けにくい又は溶けにくい場合には、溶解補助剤又は可溶化剤を添加することができ、又は溶媒は10-60% w/wのプロピレングリコールなどを含む場合がある。
マイクロスフェア及び/又はマイクロカプセルの調製で使用するための材料は、例えば、ポリガラクチン、ポリ(イソブチルシアノアクリレート)、ポリ(2-ヒドロキシエチル-L-グルタミン(glutam- nine))及びポリ(乳酸)などの生分解性/生体内分解性ポリマーである。制御放出非経口製剤を処方するとき、用いられ得る生体適合性担体は、糖質(例えば、デキストラン)、タンパク質(例えば、アルブミン)、リポタンパク質又は抗体である。移植での使用のための材料は、非生分解性(例えば、ポリジメチルシロキサン)又は生分解性(例えば、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)又はポリ(オルトエステル)又はこれらの組み合せである。
経口使用のための処方は、無毒の薬学的に許容可能な添加剤との混合物において、活性成分(例えば、Δ12-PGJ3又はその誘導体、DP作働薬)を含む錠剤を含む。かかる製剤は、当業者に知られる。例えば、添加剤は、不活性希釈剤又は充填剤(例えば、スクロース、ソルビトール、糖類、マンニトール、微結晶性セルロース、ジャガイモ澱粉を含む澱粉、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、又は、リン酸ナトリウム)と、造粒剤及び崩壊剤(例えば、微結晶性セルロースを含むセルロース誘導体、ジャガイモ澱粉を含む澱粉、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸塩又はアルギン酸)と、結合剤(例えば、スクロース、グルコース、ソルビロール、アカシア、アルギニン酸、アルギニン酸ナトリウム、ゼラチン、澱粉、アルファ化澱粉、微結晶性セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、プロビニルピロリドン又はポリエチレングリコール)と、滑沢剤、流動促進剤及び付着防止剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、硬化植物油又はタルク)の場合がある。他の薬学的に許容可能な添加剤は、着色剤、香味剤、可塑剤、保湿剤、緩衝剤などの場合がある。
前記錠剤はコーティングされない場合があるか、又は前記錠剤は、任意に、消化管での崩壊及び吸収を遅延し、その結果として、長期間にわたって持続した作用を提供するための既知の技術によってコーティングされる場合がある。前記コーティングは、(例えば、制御放出製剤を達成するために)所定のパターンで活性剤を放出するために採用される場合があるか、又は前記コーティングは、胃の通過後まで活性剤を放出しないために採用される(腸溶性コーティング)。前記コーティングは、糖衣、フィルムコーティング(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリレート共重合体、ポリエチレングリコール及び/又はポリビニルピロリドンに基づく)、又は、腸溶性コーティング(例えば、マレイン酸共重合体、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、シェラック及び/又はエチルセルロースに基づく)の場合がある。さらに、例えば、モノステアリン酸グリセリン又はジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料が採用される場合がある。
任意に、本発明で記載されたような組成物は、いずれかの他の抗がん療法(例えば、イマチニブ)と組み合わせて投与される場合があり、かかる方法は当業者に知られ、上述のRemington: The Science and Practice of Pharmacyに記載されている。1つの例では、Δ12-PGJ3、その誘導体又はDP作働薬の有効量は、放射線療法と組み合わせて投与される。組み合わせは有利な相乗作用となることが期待される。がん(例えば、白血病)の細胞増殖を抑制する、及び/又は、LSCのアポトーシスを誘導する治療学的組み合わせは、本明細書に記載されている方法において有用と検証される。
1つの実施態様では、本発明は治療の進捗を監視する方法を提供する。前記方法は、被験体は本明細書に記載された組成物の治療量が投与されており、がん(例えば、白血病)に関連した障害又はその症状を罹患しているか、又はなりやすい傾向の被験体における、血液学的パラメーター及び(例えば、CD34、CD38、CD90及びCD117を含むことができるがこれらに限定されない)診断マーカーとしての細胞表面タンパク質でのLSC分析又は診断測定(例えば、スクリーニング、アッセイ)の変化レベルを決定するステップを含む。前記方法で決定されるマーカーレベルは、健常な対照での、又は、被験体の疾患状態を定めるために他の疾患を罹患している患者での既知のレベルと比較され得る。好ましい実施態様では、前記被験体でのマーカーの第2レベルが第1レベルの決定よりも遅い時点で決定され、2つのレベルは、疾患の経過又は治療の効果を監視するために比較される。特定の好ましい実施態様では、前記被験体でのマーカーの治療前のレベルが本明細書に記載された方法に従って、治療を開始する前に決定され、その後、このマーカーの治療前のレベルは、治療効果を決定するために、治療開始後の前記被験者のマーカーのレベルと比較され得る。
被験体の白血病を治療するためのキット
被験体の白血病を治療するためのキットが本明細書に記載されている。典型的なキットは、被験体でのLSCの死滅を誘導するためのDP作働薬又はΔ12-プロスタグランジンJ3又はその誘導体(第1抗がん剤)の治療学的有効量を含む組成物、包装及び取扱説明書を含む。キットでは、前記組成物は、単位投与製剤で薬学的に許容可能な担体をさらに含む場合がある。所望の場合には、また、前記キットは、追加の抗がん剤(例えば、イマチニブなどの第2抗がん剤)の有効量を含む。いくつかの実施態様では、前記キットは治療又は予防上の組成物を含む無菌容器を含み、かかる容器は、ボックス、アンプル、ボトル、バイアル、チューブ、バッグ、ポーチ、ブリスターパック、又は、当業者に既知の他の適切な形態であり得る。かかる内容物は、プラスチック、ガラス、ラミネート紙、金属箔、又は、薬剤を包装するのに適切な他の材料から製造され得る。
実施例
本発明は以下の特定の実施例によってさらに例示される。前記実施例は例示のみのために提供され、決して本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
実施例1 Δ12-プロスタグランジンJ3、オメガ-3脂肪酸由来代謝物はマウスでLSCを選択的に除去する。
EPAからのΔ12-PGJ3の内因性形成が検討され、LSCを標的にするためのこの新規のn-3 PUFA代謝物の能力が、2つの十分に研究された白血病モデル、フレンドウイルス(FV)誘導赤白血病(Ben-David Y及びBernstein A, Cell. 1991;66:831-834)及びマウスへの形質導入HSCの移植がCMLの慢性期に類似する病状をもたらすBCR-ABL-IRESGFPレトロウイルスを利用するマウスでCMLを誘導するための十分に確立されたモデル(Schemionekら、Blood. 2010;115:3185-3195; Pear WSら、Blood. 1998;92:3780-3792; Hu Yら、Proc Natl Acad Sci USA. 2006;103:16870-16875; Zhao Cら、Nature. 2009;458:776-779)で実験された。FVは骨形成タンパク質-4(BMP4)依存性ストレス赤血球生成経路を活性化することによって白血病を誘導し、標的細胞の急速な増幅と、急性疾患とをもたらす(Subramanian Aら、J Virol. 2008;82:382-393)。本明細書に記載された結果は、FVを感染され、BCR-ABL+を形質導入されたHSC(以下、BCR-ABL+LSCという。)を移植したマウスへの(マウス/日と同程度の低用量での)Δ12-PGJ3の投与は、完全に白血病を除去し、血液学的パラメーターを回復し、これらの細胞でアポトーシスのATM/p53経路の活性化を介してLSCを除去することを示す。
方法
細胞培養
マウス赤白血病(MEL)細胞は10% FBS含有DMEMで培養された。3種類のPG産生を調べるために、BALB/c由来RAW264.7マクロファージ様細胞(ATCC)が、5% FBS、250 nM亜セレン酸ナトリウム及び(BSAコンジュゲートとして)50μM EPAを含むDMEMで72時間培養され、その後、大腸菌エンドトキシンリポ多糖(LPS;血清型0111B4;50 ng/ml)で30分間刺激された。前記細胞は新鮮なDMEMでさらに24-144時間培養された。細胞培養グレードの脂肪酸を含まないBSA(Sigma Aldrich)で培養された細胞が対照として供給された。培養培地は様々な時間で回収され、下記のように3シリーズのPGについて分析された。全RNAは供給者(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)の説明書のようにTrizol試薬を用いて細胞又は組織から単離され、cDNAはHigh Capacity cDNA Reverse Transcriptase kit(Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティー)を用いて調製された。p53及びβ-アクチンの半定量的RT-PCRが、補足の方法に記載されたようにプライマーで実施された。LSCの核及び細胞質タンパク質の抽出物が、以前に記載された標準的な方法を用いて調製された(Vunta Hら、J Biol Chem. 2007;282:17964-17973)。
PGD3代謝物の調製、単離及び分光学的特徴
PGD3(Cayman Chemicals)は、100μg/mlの終濃度の、0.9% NaClを含む0.1 Mリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4で37°Cで攪拌しながら、種々の時間(24時間-144時間)インキュベーションされた。反応産物と、細胞培養培地上清からのものとがHPLCで精製され、補足の情報及び方法で以下に記載されたようにUV及びMSによって分析された。
アポトーシス
LSCのアポトーシスは、補足の情報及び方法で以下に記載されたようにアネキシンVを用いて実施された。
FV誘導赤白血病及びFV白血病幹細胞(FV-LSC)産生
BALB/cマウスは以前に記載されたようにFVで感染された(Subramanian Aら、J Virol. 2008;82:382-393; Harandi OFら、J Clin Invest. 2010;120:4507-4519)。感染後14日目で、脾臓は単離され、脾臓細胞の単細胞懸濁液が作製された。前記細胞は、70μmの滅菌フィルターで濾過され、濾過された細胞(flow-through cells)はRBC溶解液に再懸濁され、その後、遠心分離された。白血病幹細胞はFACSによって単離された。脾臓細胞は、抗Kit抗体、抗Sca1抗体(BioLegend、カリフォルニア州サンディエゴ)及び抗M34抗体で標識された。M34は、SFFVのエンベロープタンパク質を認識するモノクロナール抗体であり(Chesebro Bら、Virology. 1981;112:131-144)、以前に記載されたように用いられた(Subramanian Aら、J Virol. 2008;82:382-393)。記載のように、M34+Kit+Sca1+細胞は、200 ng/mlソニックヘッジホッグ(Shh)、15 ng/ml骨形成タンパク質-4(BMP4)(両方ともR&D Systems Minneapolis, MN)及び50 ng/ml幹細胞因子(SCF; Peprotech)を補充したメソカルト(Methocult)培地(Stem Cell Technologies Vancouver BC)M3334で培養された。CFU-FVアッセイのために、細胞はウシ胎仔血清を含むが、以前に記載されたような添加成長因子を欠乏しているメチルセルロース培地に播種された(Mager DLら、Proc Natl Acad Sci USA. 1981;78:1703-1707)。
FV-LSCのBALB/c-Stk-/-マウスへの移植
FV-LSCは上記のように作製された。2.5x105個のFV-LSCは、後眼窩注射によってBALB/c-Stk-/-マウスに移植された。移植後6週間で、前記マウスは、本文で記載されたようにCyPG又はベヒクル対照で処置された。
MIGR-BCR-ABLレトロウイルスを用いるCMLの誘導
MIGR-BCR-ABLレトロウイルス及び対照MSCV-GFPレトロウイルスを得た。ウイルスのストック(stocks)は、以前に記載されたようにHEK293細胞で作製された(Finkelstein Lら、Oncogene. 2002;21:3562-3570)。C57BL/6マウスはHSCを循環して濃縮するために5-フルオロウラシル(5-FU;150 mg/kg、Sigma、ミズーリ州セントルイス)で処置された。処置後4日目に、骨髄細胞が採取され、5% FCSを含み、2.5 ng/ml IL-3及び15 ng/ml SCF(R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス)を補充したIMDM培地で、MIGR-BCR-ABLウイルス又はMSCV-GFP対照ウイルスを一晩感染された。0.5x106個の形質導入細胞は、950 Radの放射線で前処理されたC57BL/6レシピエントマウスに後眼窩注射によって移植された。CMLマウス及び対照マウスの数を増加するために、移植後17日のGFP+脾臓細胞がFACSによって単離され、1x105個のGFP+細胞が、放射線照射(950 Rad)した第2のC57BL/6レシピエントに移植された。移植後2週間で、マウスはCyPG及びベヒクル対照で記載のように処置された。Ex vivoの実験のために、Kit+Sca1+Lin-GFP+細胞は、移植マウスの骨髄又は脾臓からFACSによって単離された。選別された細胞は、Shh、SCF及びBMP4を補充したメソカルト培地M3334(Stem Cell Technologies Vancouver BC)で培養され、記載されたCyPG及びベヒクル対照で、記載された期間処置された。正常な造血前駆細胞でのΔ12-PGJ3の効果を実証するために、C57BL/6マウスの骨髄から単離されたHSCは、Δ12-PGJ3(25 nM)の存在下又は非存在下で、Epo(3 U/ml)、SCF、IL-3及びBMP4を含むメチルセルロース培地(1x106細胞/ml/ウェル)で培養された。造血コロニー(培養でコロニーを形成する細胞、CFC)が数えられた。
Δ12-PGJ3での処置後の残りのLSCについて試験するための第2移植
CMLモデルについて、B6.SJLPtprca Pep3b/BoyJ(CD45.1+)マウスは5-FUで処置され、骨髄細胞に豊富な循環しているHSCは、上記のようにMIGR-BCR-ABLウイルス又は対照MSCV-GFPウイルスでの感染後に単離された。前記細胞は、前述のようにC57BL/6(CD45.2)レシピエントマウスに移植された。前記マウスは、記載のようにΔ12-PGJ3又はベヒクル対照で処置された。処置後2週間で、脾臓細胞は単離され、上述のように放射線照射された第2のC57BL/6(CD45.2)レシピエントに移植された。第2移植後2週間で、マウスは、白血球数(WBC counts)、脾腫、及び、骨髄及び脾臓でのGFP+又はCD45.1ドナー細胞の存在についてフローサイトメトリーによって分析された。また、第2移植は、Δ12-PGJ3又はベヒクル対照で処置されたFV感染マウスで実施された。BALB/cマウスは、上記のようにフレンドウイルスで感染された。前記マウスは、記載のようにΔ12-PGJ3又はベヒクル対照で処置された。処置後2週間で、脾臓細胞がFV感染マウスから単離され、BALB/c-Stk-/-レシピエントマウス(マウスあたり1x105個の細胞)に移植された。移植後5週間で、第2移植したマウスは、白血球数(WBC counts)、脾腫、及び、M34+Kit+Sca1+ FV-LSCの存在についてフローサイトメトリーによって試験された。
PGでのマウスの処置
FV誘導赤白血病又はMIGR-BCR-ABL誘導CMLを有するマウスは、記載の日数CyPGで処置された。マウスはΔ12-PGJ3(0.01-0.1 mg/kg)、15d-PGJ2(0.1 mg/kg)又は9,10-ジヒドロ-15d-PGJ2(0.1 mg/kg)の毎日の腹腔内注射で7日間処置された。3種類の化合物全てはヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(30% w/v;Sigma;溶媒対照)で処方された。マウスを利用する実験全ては、ペンシルべニア州立大学のIACUCによって承認された。
LSCでのATMキナーゼ阻害
FV感染マウス又はBCR-ABL+LSC移植マウスから単離されたLSCは、ATM特異的阻害剤(MTPO、2-モルフォリン-4-イル-6-チアントレン-1-イル-ピラン-4-オン;KU55933;50 nM;Calbiochem)又はATM/ATR特異的阻害剤(CGK-733;1μM;Calbiochem)のいずれかで記載の濃度で処置され、その後、CyPGで処置された。
統計解析
結果は平均値±s.e.m.で表され、群間の相違は、GraphPad Prismを用いてスチューデントのt検定を用いて解析された。統計学的有意性に対する基準は、P<0.05であった。
結果
EPAの内因性代謝物
EPA由来CyPGの強力な抗白血病効果をそれらの内因性産生に関連付けるために、PGD3、Δ12-PGJ3及び15d-PGJ3の細胞内生合成が、EPA(50μM)で培養されたマウスマクロファージ様細胞(RAW264.7)で調べられた。H-PGDS ADDIN EN.CITE ADDIN EN.CITE.DATA 26を発現するRAW264.7細胞は、COX-2の発現を誘導するために細菌性エンドトキシンリポ多糖(LPS;50 ng/ml)で刺激された。処置細胞は、LPS処置後48時間でPGD3及びその代謝物の検出可能な量を産生した。培養培地上清のLC-MS分析は、EPA処置細胞でのみPGD3、Δ12-PGJ3及び15d-PGJ3の増加した産生(図1A;図6)を確認した。LC保持時間及び質量断片化パターン(mass fragmentation patterns)に基づいて、細胞代謝物は、PGD3(m/z 349;図6A)、Δ12-PGJ3(m/z 331.45;図1B)及び15d-PGJ3(m/z 313.45;図S1A)として同定された。これらの代謝物は、内因性EPAなしで培養された細胞では見られなかった(図1A)。50μM EPAでのマクロファージの処置は、48時間で〜0.15μMのΔ12-PGJ3/106個の細胞を産生したと推定された。リン酸緩衝生理食塩水でのPGD3の非酵素的脱水は、PGJ3、Δ12-PGJ3及び15d-PGJ3をin vitroで産生した。無血清環境における37°Cで24-48時間のPGD3(100μg/ml;Cayman Chemicals)のインキュベーションは、Δ12-PGJ3、PGJ3(Δ13-PGJ3)(またPGJ3は炭素13での不飽和に起因してD13-PGJ3と呼ばれ、これは形成される異性体である)、及び、15d-PGJ3の形成を生じ、それらは、それぞれ保持時間9.63、9.97及び11.02分を有し、逆相LC(C18)カラムで十分に分離された(図6B、C)。また、37°Cでの144時間までのPGD3の延長インキュベーションは、それらの代謝物を生じ、Δ12-PGJ3が他のものよりも優位であった(図6C)。血清(10%)の存在は、PGD3の変換に影響しなかった(図6E)。精製Δ12-PGJ3のUV分光分析は、242 nmのλmaxでコンジュゲート化ジエン様構造の存在を確認した一方、PGJ3及び15d-PGJ3は、シクロペンテノン構造の特徴である〜300 nmでの明確なピークを示した。同時に、これらのデータは、PGD3代謝物の内因性産生と、水性環境でのΔ12-PGJ3の増大した安定性とを確認する。
Δ12-PGJ3はLSCのアポトーシスを誘導する。ここで、PGD3代謝物のプロアポトーシス特性が、2つの十分に研究された白血病マウスモデルで検討された。マウスは、BCR-ABLを発現するレトロウイルスを形質導入したHSCが移植された(以下、BCR-ABLマウスという。)。BCR-ABLマウスの脾臓から単離されたKit+Sca1+Lin-GFP+ LSCを低用量のΔ12-PGJ3とインキュベーションすることが、〜12 nMのIC50でこれらの細胞のアポトーシスを顕著に増加するが、MSCV-GFP対照ウイルスで形質導入したHSC移植マウス(以下、MSCV対照マウス)(図1C)から単離されたKit+Sca1+Lin-GFP+細胞で表される正常なHSCに影響しなかった。また、骨髄から単離されたBCR-ABL LSC(Kit+Sca1+Lin-GFP+)がΔ12-PGJ3でex vivoで処置されたとき、同様の効果が観察された(図1D)。また、同一の効果がFV-LSCで観察された(図1E)。FV-LSCをEPAとインキュベーションすることは全く影響なかった一方、PGJ3はアポトーシスのたった2倍の増加を示し、25 nMでのΔ12-PGJ3及び15d-PGJ3処置はアポトーシスの顕著な増加(〜75%)をもたらした(図1F)。また、BCR-ABLマウス由来のFV-LSC及びLSCにおけるARA由来のPGJ2、Δ12-PGJ2及び15d-PGJ2の効果が検討された。Δ12-PGJ2及び15d-PGJ2でもΔ12-PGJ3に類似する反応が観察された一方、PGJ2はほとんど効果が無かった(図7A)。対照的に、9,10-ジヒドロ-15d-PGJ2、C9に不飽和を欠く15d-PGJ2誘導体で処置したFV-LSCのアポトーシスは全くなかった(図7B)。移植マウスの脾臓から選別されたSca1+GFP+Kit+BCR-ABL+LSCの、25-1000 nMのΔ12-PGJ3及び15d-PGJ2でのex vivoでの処置が、それらのアポトーシスを顕著に増加した一方、9,10-ジヒドロ-15d-PGJ2は1μMまでの高濃度であっても効果がなかった(図7C)。本明細書に記載されたデータ全てがΔ12-PGJ3のプロアポトーシス能を明白に実証した一方、15d-PGJ2がアポトーシスを誘導するメカニズムとみられている(Rossiら、Nature. 2000;403:103-108、Forman BMら、Cell. 1995;83:803-812)NF-κB又はPPARγをΔ12-PGJ3が変調するかが次に検討された。Δ12-PGJ3は、LPS処置RAW264.7細胞において、高nM濃度の範囲で、ゲルシフト分析によって示されるように、NF-κB経路に影響しなかった。さらに、核抽出物のEMSA及びウェスタンブロットによる、Δ12-PGJ3で処置された選別BCR-ABL+LSCにおけるNF-κBの活性化分析もNF-κBの活性化を欠くことを示した。また、Δ12-PGJ3は、LSCのアポトーシスを生じるナノモル濃度でのレポーターアッセイでPPARγを活性化することができなかった。同一系譜におけるロシグリタゾン:PPARγの合成作働薬(Nolte RTら、Nature. 1998;395:137-143)でのFV-LSCの処置はLSCの増殖に影響せず、アポトーシス経路にPPARγを含まなかったことを示している(図7B、挿入図)。これらをまとめると、CyPGのアルキリデンシクロペンテノン構造が、PPARγ又はNF-κBを含まないメカニズムによって、白血病の2つのマウスモデルからのLSCのアポトーシスを効率的に誘導するために絶対に必須であることを前記データは示す。
Δ12-PGJ3はFV感染マウスで白血病を除去し、脾腫を緩和する。in vitroでLSCにΔ12-PGJ3の強力なプロアポトーシス能を与えるため、FV感染白血病マウスでLSCを除去するためのΔ12-PGJ3の能力が試験された。FVでの感染後7日目に、前記マウスはさらに1週間Δ12-PGJ3を0.01及び0.05 mg/kg/日で処置され、前記マウスは感染後14日目で安楽死された。ベヒクル処置マウスと比較して、Δ12-PGJ3を0.05(図2A)及び0.1 mg/kgで処置されたFV感染マウスは、脾腫の徴候を全く示さなかった。0.01 mg/kg処置は脾腫を完全に除去しなかったが、顕著な減少(〜50%)(図2A)があった。また、同様の傾向が15d-PGJ2で見られた一方、9,10-ジヒドロ-15d-PGJ2は脾腫の改善に全く効果がなかった。Δ12-PGJ3(0.05 mg/kg)が、脾臓でSca1+Kit+M34+Ter119lo細胞を完全に除去する2B)ことをLSC数を示すフローサイトメトリー分析は明白に示した。同一の結果が15d-PGJ2で得られた一方、9,10-ジヒドロ-15d-PGJ2処置は効果がなかった。脾腫の消滅及びLSCの完全除去に一致して、白血球及び網状赤血球の総数は、15d-PGJ2処置マウスと同様にΔ12-PGJ3処置マウスで正常レベルに減少した。形質転換白血病細胞が、成長因子なしのメチルセルロース培地で感染脾臓細胞を播種することによって測定できる、因子に非依存的な成長を示すコロニー形成単位−フレンドウイルス(CFU-FV)を形成することを先行研究は示している(Mager DLら、Proc Natl Acad Sci USA. 1981;78:1703-1707)。Δ12-PGJ3処置マウスのCFU-FVは、無感染マウスのバックグラウンドレベルと同様のレベルに完全に低下した(図2C)。類洞に取って代わる赤血球前駆細胞の増大とともに、白血病性芽球の浸潤の結果として脾臓構築の完全な消失を溶剤ベヒクル処置FV感染脾臓の組織学的な検討は示した(図2D)。減少した脾腫の結果と一致して、Δ12-PGJ3でのFV感染マウスの処置は細動脈周囲リンパ組織のより良好な分画を生じた(図2D)。ベヒクル処置FV感染群と比較するとき、CyPG処置群では、赤血球前駆細胞は実質的に少なく、2〜3個の巨細胞が、個々の腫瘍細胞の壊死の増加とともに、アポトーシス小体の数の増加を伴って見られた(図2D)。FV感染マウスのCyPG処置が、無感染マウスでのような、はっきりした赤色脾髄及び白色脾髄を有する脾臓構築を回復した。
Δ12-PGJ3はLSCの増大を抑制するが、ウイルスの複製を抑制しない。Δ12-PGJ3がウイルスの複製を抑制することによってFV誘導白血病を阻止する可能性を除外するために、FV誘導白血病の第2モデルが用いられた。ここで、FV-LSCがStk-/-マウスに移植された。短躯型(Short-form)Stk(Sf-Stk)、Stk/Ron受容体チロシンキナーゼの天然の欠失型(truncated form)はFV感受性遺伝子座2(Fv2)によってエンコードされる(Persons DAら、Nat Genet. 1999;23:159-165)。Fv2耐性マウスは、低レベルのSf-Stkを発現し、感染細胞の増殖をサポートできない。したがって、Stk-/-マウスへのFV-LSCの移植は、ウイルス感染の蔓延によってではなく、ドナー細胞の増大によって生じる白血病をもたらす。野生型マウスから作製されたLSCは、同系のStk-/-マウスに移植された。(0.025 mg/kg及び0.05 mg/kgの)Δ12-PGJ3での処置は、リンパ球数の減少とともに脾腫を顕著に減少した(図3A-C)。移植Stk-/-マウスの脾臓のLSCのフローサイト分析は、Δ12-PGJ3で処置したM34+Sca1+Kit+細胞の完全な除去(図3D)を示した一方、9,10-ジヒドロ-15d-PGJ2又はベヒクルで処置したStk-/-マウスからのLSCは、それらの生存性に全く影響がなく、脾腫も軽減しなかった。Δ12-PGJ3又は15d-PGJ2でのFV誘導白血病の処置は、それらの全てが白血病の特徴であるヘマトクリット値、白血球数(WBC counts)及び網状赤血球数を顕著に減少した一方、9,10-ジヒドロ-15d-PGJ2は上記で試験されたパラメーターのいずれにも全く影響がなかった(図3C)。
Δ12-PGJ3は、BCR-ABL+LSCの移植によって生じた白血病を除去する。図1のin vitro研究は、Δ12-PGJ3処置はBCR-ABL+LSCのアポトーシスをもたらすが、正常なHSC(MSCV-GFP+HSCs)のアポトーシスをもたらさないことを示した。次に、CMLの慢性期のモデルである(Pear WSら、Blood. 1998;92:3780-3792)BCR-ABLでのΔ12-PGJ3の抗白血病活性が検討された。図4に示されるように、BCR-ABL+LSCを移植したマウスを0.05 mg/kgのΔ12-PGJ3で一週間処置することが、前記MSCV-GFP+HSCsを移植したマウスに近い脾臓重量で脾腫を完全に軽減した(図4A)。さらに、Δ12-PGJ3処置は、末梢血の白血球数も顕著に減少し(図4B)、脾臓のKit+Sca1+GFP+LSCも減少し(図4C)、同様に、BCR-ABL+LSC移植マウスの骨髄においてKit+Sca1+Lin-GFP+LSCも除去した(図4D)。より重要なことに、BCR-ABL+LSC移植マウスのΔ12-PGJ3での処置は全てのマウスを救った一方、ベヒクル処置マウスはLSCの移植後2週間で死亡した(図4E)。対照的に、MSCV-GFP+HSC移植マウスのΔ12-PGJ3での処置は、白血球数(WBC counts)又は他の血液学的パラメーター又は生存に全く影響がなく、Δ12-PGJ3は定常状態の造血に影響しないことを示唆している(図4E)。Δ12-PGJ3が正常な造血分化に影響しないことをさらに示すために、CFCアッセイでのコロニー形成能の影響を試験することによって、Δ12-PGJ3処置が造血前駆細胞に悪影響があるかどうかが次に試験された。5-FU処置マウスからの骨髄が、25 nMのΔ12-PGJ3の存在下又は非存在下で複数のサイトカインを含むメチルセルロース培地に播種された。対照(PBS)処置細胞と比較して、Δ12-PGJ3処置細胞のCFCの数に違いは全くなかった(図4F)。
Δ12-PGJ3がLSCを除去したことを確認するために、Δ12-PGJ3又はベヒクルで処置したBCR-ABLマウスからの脾臓細胞を用いる第2移植が実施された。最初のドナーのMIGR-BCR-ABL形質導入骨髄細胞はCD45.1+で標識を付けた一方、第1及び第2レシピエントはCD45.2+で標識を付けた。ベヒクル処置マウスからのドナー細胞を受け取った第2移植は、白血病を示す脾腫及び高白血球数が急速に進展した。対照的に、Δ12-PGJ3処置マウスからのドナー細胞の第2レシピエントは、脾腫又は高白血球数が進展できなかった(図5A)。LSCについての脾臓のさらなる分析は、Δ12-PGJ3処置マウスからのドナー細胞のレシピエントがKit+Sca1+GFP+細胞を欠くことを示した。また、CD45.1発現分析もCD45.1+ドナー細胞が脾臓に存在しないことを示した(図5C)。ベヒクル処置マウスからのドナー細胞の第2レシピエントは、それらの脾臓で多数のドナー由来Kit+Sca1+GFP+及びCD45.1+細胞を示した(図5B及び5C)。同様に、第2移植実験が、Δ12-PGJ3又はベヒクルで処置されたFV-LSC移植BALB/c-Stk-/-マウスから単離したドナー脾臓細胞を用いて実施された。BCR-ABL第2移植と同様に、Δ12-PGJ3処置マウスからのドナー細胞を受け取るマウスは脾腫及び高白血球数が進展することができず、脾臓でのLSCを欠いた(図5D及び5E)。まとめると、これらのデータは、LSCを除去するためのΔ12-PGJ3の能力を2つの多様な骨髄性白血病マウスモデルで明白に示した。
EPA代謝物は、LSCでp53を選択的に活性化する。
10又は25 nMのΔ12-PGJ3で12時間の、FV感染マウスから選別されたLSCのex vivo処置は、転写レベルでp53の発現の顕著な上向き調節をもたらした。同様に、15d-PGJ2でのLSCの処置も、同様の傾向を示した一方、9,10-ジヒドロ-15d-PGJ2は効果がなかった。興味深いことに、PGJ2処置はp53の発現をほんのわすかな程度だけ上向き調節したが、他のCyPGで観察された程度までではなかった。しかし、LSCの添加前42時間の培地(37°C)でのPGJ2のプレインキュベーションはp53の増加した発現をもたらし、PGJ2(Δ13-PGJ2)をΔ12-PGJ2又は15d-PGJ2に、及び、PGJ3(Δ13-PGJ3)を後者の代謝物を前駆体よりもより強力にするΔ12-PGJ3又は15d-PGJ3におそらく変換する時間依存性異性化事象を示唆する(図1E)。また、Δ12-PGJ3又は15d-PGJ2(25 nM)でのBCR-ABL+LSCのex vivo処置は、p53のmRNAの同様の増加をもたらした一方、9,10-ジヒドロ-15d-PGJ2処置は効果がなかった。p53転写レベルは、12時間までに最大のp53の発現が観察されるΔ12-PGJ3のFV-LSCのex vivo処置後に、急速に増加したことを経時変化分析が示した。無感染又はベヒクル処置のFV感染マウスの全脾臓でのp53の発現分析は、全く増加しないことを明白に示したが、(1週間処置した)Δ12-PGJ3処置マウスは脾臓でp53の顕著な発現を示した。同様に、p53タンパク質の核内レベルの増加が12時間Δ12-PGJ3で処置した選別LSCで観察されたが、無処置又はベヒクル処置の細胞では観察されなかった。Δ12-PGJ3依存性LSCのアポトーシスの重要なメディエーターとしてのp53の役割を確かめるために、CyPGのプロアポトーシスの役割が、機能的なp53を欠損するマウス赤白血病(MEL)細胞で調べられた。MEL細胞は、細胞株へと拡張されたCFU-FVに由来する。Δ12-PGJ3でのMEL細胞の処置はアポトーシスを開始させることができなかった。MEL細胞は、ダウノルビシン、ミトキサントロン及びシタラビンなどの抗白血病薬での処置に対する感受性を示したが、ヌトリン(nutlin)、p53の再活性化を生じるMDM2-p53相互作用の低分子阻害剤に対して感受性を示さなかった。これらのデータは、LSCのアポトーシスでのp53経路のΔ12-PGJ3依存性の活性化の役割を確認する。
p53活性の活性化は、ATM依存性シグナル伝達経路によって調節されることが知られている。ATMは、Δ12-PGJ3のプロアポトーシス活性で重要な役割を果たすかを次に検討された。増加したリン酸化p53タンパク質に加えて、pChk2レベルの増加が、FV-LSCを移植したΔ12-PGJ3処置マウスからの全脾臓抽出物でのみで観察された。FV感染マウスからの脾臓切片のTUNEL染色は、Δ12-PGJ3処置群のみで増加したアポトーシスを示した。TUNEL染色の結果と一致して、Δ12-PGJ3で処置したFV感染マウスの脾臓でのアポトーシスの下流メディエーターであるBax発現の活性化が観察されたが、ベヒクルで処置したFV感染マウスでは観察されなかった。まとめると、上記の実験は、Δ12-PGJ3依存性アポトーシスの促進でのATM-p53シグナル伝達軸の関与を示唆した。ATMの関与をさらに確かめるために、2種類の十分に特徴付けられたATM阻害剤が利用された。ATM及びその関連ATRキナーゼのデュアル阻害剤(CGK-733)と同様に、ATMの高親和性阻害剤(MTPO)との選別されたFV-LSCのex vivoプレインキュベーションとその後のΔ12-PGJ3での処置は、p53のCyPG依存性発現を阻止し、ATMがΔ12-PGJ3によるアポトーシスの重要なメディエーターとして働くことを示した。FVで観察されたことと同様に、25 nMのΔ12-PGJ3でのBCR-ABL+LSC(Kit+Sca1+Lin-GFP+)の処置は、増加したアネキシンV染色と、カスパーゼ3及びカスパーゼ8の活性化のウェスタンブロットによって見られるようなアポトーシスの顕著な増加をもたらした。Δ12-PGJ3処置はp53の転写の増大をもたらした一方、GFP+細胞の付随した減少があった。FV-LSCで観察されたことと同様に、MTPOでのこれらの細胞の前処置が、アポトーシス及びp53発現誘導でのΔ12-PGJ3の効果を阻止した。
考察
本研究では、マクロファージにおけるEPA由来PGD3をシクロペンテノンPGJ3、Δ12-PGJ3及び15d-PGJ3への代謝が示された。マクロファージ培養培地で検出されたこれらの安定的な代謝物のうち、Δ12-PGJ3及び15d-PGJ3のみが、FV誘導白血病及びBCR-ABL+レトロウイルスに基づくCMLのマウスモデルでLSCをアポトーシスに対して標的にした。対照的に、EPA及びPGJ3は効果がなかった。これらのデータは、CyPGのアポ−シス活性に必要な、C12で不飽和を有するアルキリデンシクロペンテノン構造の形態について構造機能関係を示唆する。
LC-MS/MS研究に基づいて、LSCのアポトーシスをもたらすために必要とされる十分な濃度範囲内(IC50 = 7 nM)の十分量のΔ12-PGJ3(〜0.15μM/106個のマクロファージ)がマクロファージによって産生された。LSCのそのプロアポトーシス効果にも関わらず、Δ12-PGJ3はHSC又は下流の前駆細胞に副作用が全くなかった。これらの研究は、LSCが立体選択的な態様でΔ12-PGJ3及び他の関連CyPGへの増大した感受性を示すことを示す。これらの内因性代謝物によるLSCでのアポトーシス誘導は、ATM/p53シグナル伝達軸を必要とし、白血病の2つの異なるマウスモデルで見られるように、in vivoで白血病の完全な除去をもたらす。これらのデータは、LSC活性が第2移植で全く観察されない程度までに処置がLSCを除去することを示す。これらの研究は、LSCでの求電子性「ストレス」応答経路の重要なメディエーターとしてのATMの役割を支持する。
要約すると、LSCへの強力なプロアポトーシス活性を示す内因性Δ12-PGJ3を産生するマクロファージの能力は、アポトーシスのATM-p53経路を活性化することによって白血病の2つのマウスモデルで示された。Δ12-PGJ3の腹腔内投与はΔ12-PGJ3の観察された最終投与の投与後5週間で再発なしに、CMLのBCR-ABLレトロウイルスモデルでLSCを除去した。対照的に、LSCを移植したベヒクル処置マウスは、移植後第16日に生存することができなかった(図4F)。現在の抗がん療法はLSCに対して効果がない。したがって、LSCを除去するための安定な内因性代謝物の能力が、可能性のある療法として同定される。また、これらの結果は食物のn-3 PUFAに由来するΔ12-PGJ3は、白血病の治療で化学がん予防剤として働く可能性があることを示す。
補足の情報及び方法
PGD3の代謝物の調製、単離及び分光学的特徴
アルゴンをフラッシュした密封した茶色バイアルで、100μg/mlの終濃度にて、0.9% NaClを含む0.1 Mリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4で37°Cで振盪しながら、PGD3(Cayman Chemicals)を種々の時間(24時間-144時間)インキュベーションした。同様の反応が10% FBS存在下で実施された。反応混合物又は細胞培養培地上清を、1N HClでpH3.0に酸性にし、2倍量のヘキサン:酢酸エチル(50:50)で3回抽出した。有機相は無水硫酸ナトリウムで処理、放置され、アルゴン下で乾固された。前記有機相は、さらなる処理まで-80°Cで保存された。エイコサノイドは2 ml/分でMeCN:H2O:酢酸(70:30:1)を用いてダイナマックス(Dynamax)半定量的C18カラム(10x250 mm)の逆相LCによって分離され、溶出液は280 nmでモニターされた。ピークは採取され、アルゴンを用いて濃縮され、MS/MS及びUV分光分析のためにMSグレードメタノールにもどされた。エイコサノイドはトリプル四重極質量分析器(API 2000、ABI SCIEX)への直接注入によって陰エレクトロスプレーイオン化モードで分析された。電気スプレー電圧及びイオンスプレー供給源温度は、それぞれ、-4000 V及び300°Cに設定された。窒素が、カーテンガス(12 psi)及びネブライザーガス(15 psi)として用いられた。デクラスタリング電圧、デフォーカシング電圧及びエントランス電圧は、それぞれ、-50 V、-400 V及び-10 Vに設定された。
HPLCによって精製されたΔ12-PGJ3は、331.5から313.5 m/z及び331.5から269.5 m/zへの2種類の遷移について多重反応モニタリング(MRM)モードで操作された前記MSでの標準検量曲線を作成するために用いられた。全てのLC精製PGD3、メタノール中の代謝物のUVスペクトルが、ベックマンDU7500ダイオードアレイ分光光度計で記録された。PGJ2、Δ12-PGJ2及び15d-PGJ2(全てCayman Chemicalsから)についてのモル吸光係数が、それぞれ、PGJ3、Δ12-PGJ3及び15d-PGJ3の濃度を算出するために用いられた。
p53及びβ-アクチンの半定量的RT-PCR
半定量的PCRは、LSCから調製されたcDNAで実施された。バンドはアガロース(1% w/v)ゲルで可視化され、密度測定によって評価された。
アポトーシス
前記LSCは、DMEMで希釈され、16ゲージの針を用いて再懸濁され、遠心分離によって採取された。1x105個の細胞は、200μlの結合緩衝液(1.4 M NaCl、25 mM CaCl2を含む0.1 M HEPES、pH7.4)に再懸濁された。アネキシンV FITC(BD Biosciences)は、細胞と15分間氷上でインキュベーションされた後、フローサイトメトリー分析された。
細胞生存能力の研究
MEL細胞は、10% FBSを含むDMEMで培養され、終濃度1μMのダウノルビシン(DNR)、ミトキサントロン(MIT)及びシタラビン(CYT)などの一般的に使用される様々な抗白血病薬で24時間処置された。p53活性化剤ヌトリン(nutlin)(5μM; Cayman Chemicals)が、MEL細胞でのp53の活性化及びアポトーシスの欠如を示すために対照として用いられた。薬物処置24時間後、細胞増殖が、Dojindo Molecular Technologies, Inc.(メリーランド州ゲイザースバーグ)からのCCK-8キットでのMTTアッセイによって測定された。報告される全ての生存活性値は、100%で示される無処置細胞(UT)との相対である。結果は、3つの独立した観察の平均±SEMを示す。
図6に関して、PGJ3、Δ12-PGJ3及び15d-PGJ3へのin vitroでのPGD3の自発的な変換を示す。図6aは、CyPGへのEPAの変換の経路を示す概要図である。PGD3及び15d-PGJ3の代表的なMSを示す。図6b-dでは、(Cayman Chemicalsからの)PGD3は、アルゴンをフラッシュした密封した茶色のバイアルで、100μg/mlの終濃度で、0.9% NaClを含む0.1 Mリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4で37°Cで振盪しながら、様々な期間(24時間-144時間)インキュベーションされた。図6eでは、PGD3は、リン酸緩衝生理食塩水で希釈された10% FBSで37°Cで48時間上記のようにインキュベーションされた。前記PGはヘキサン:酢酸エチル(50:50)を用いて抽出され、有機相はアルゴンで濃縮された。エイコサノイドは、2 ml/分でMeCN:H2O:酢酸(70:30:1)を用いてダイナマックス(Dynamax)半定量的C18カラム(10x250 mm)の逆相LCによって分離され、溶出液は280 nmでモニターされた。ピークは採取され、アルゴンを用いて濃縮され、UV-MS/MS分析のためにMSグレードのメタノールにもどされた。N=8の独立の反応での表示。
変換の間の時間関数としてのΔ12-PGJ3及び15d-PGJ3のUV-分光光度分析が実施された。LCで精製されたΔ12-PGJ3及び15d-PGJ3がメタノールにもどされ、適切な溶媒バックグラウンド対照に対してベックマンDU7500ダイオードアレイ分光光度計でスペクトル特性についてUV分光法によって分析された。PGJ2、Δ12-PGJ2及び15d-PGJ2についてのモル吸光係数は、それぞれ、PGJ3、Δ12-PGJ3及び15d-PGJ3の濃度を算出するために用いられた。N=3での表示。結果は、アルキリデンシクロペンテノン構造の形成と、その後のPGD3前駆体からΔ12-PGJ3及び2重脱水産物15d-PGJ3を形成するための分子内転位を示す。
図7に関して、LSCでのCyPGの用量依存性プロアポトーシス効果を示す。アラキドン酸に由来するCyPG(2種類のPG)のアポトーシスを誘導する能力が、FV感染マウスからのLSCの培養及びマウスCMLモデルで試験された。図7Aでは、Δ12-PGJ2又は15d-PGJ2は、ベヒクルと比較してアポトーシスを誘導することができるが、PGJ2はアポトーシスを誘導することができない。15d-PGJ2はPPAPγ作働薬として知られている。図7Bでは、FV LSCが、15d-PGJ2、不活性型の9,10-ジヒドロ-15d-PGJ2又は商業的に入手可能な合成PPARγ作働薬ロシグリタゾン(図7Bの挿入図)で処置された。ロシグリタゾン及び9,10-ジヒドロ-15d-PGJ2はアポトーシスを誘導することができない。図7Cでは、Δ12-PGJ3、15d-PGJ2又は9,10-ジヒドロ-15d-PGJ2は、マウスCMLモデルでアポトーシスを誘導する能力が試験される。Δ12-PGJ2、15d-PGJ2のみが活性である一方、9,10-ジヒドロ-15d-PGJ2は全く効果がなかった。PPARγの活性化は、CyPGがアポトーシスを誘導するメカニズムではないことをこれらのデータは示す。図7aでは、FV感染マウスからの脾臓細胞はM34+Sca1+Kit+ LSCに対して選別され、ソニックヘッジホッグ(sHH) 200 ng/ml、SCF 50 ng/ml及びBMP4 15 ng/mlを含むメチルセルロース幹細胞培地で、25 nMのPGJ2、Δ12-PGJ2又は15d-PGJ2とともに36時間インキュベーションされた。細胞はアネキシンV-FITCで染色され、フローサイトメトリーによって分析された。N=4での表示。平均±s.e.m.。ベヒクル(PBS)と比較して* P<0.001。図7bでは、9,10-ジヒドロ-15d-PGJ2と15d-PGJ2とのプロアポトーシス機能の比較を示す。挿入図:LSCのアポトーシスにおけるロシグリタゾンの効果。ロシグリタゾン(0.1-2.0μM)が前記のように培養培地でLSCと36時間インキュベーションされ、細胞はアネキシンV染色後にフローサイトメトリーに供された。図7cは、CyPGでの処置後、BCR-ABL+を形質導入したHSCを移植したマウスの脾臓から単離されたBCR-ABL+Kit+Sca1+細胞のアポトーシス分析からの結果を示す。LSCは各化合物の記載の濃度でex vivoで36時間処置された。平均±s.e.m.。*は、P<0.001を示す。
NF-κB及びPPAPγに対するΔ12-PGJ3の効果が検討された。RAW264.7マクロファージは、DMSO、0.25又は1.0μMのΔ12-PGJ3で前処置され、その後、100 ng/mL E.coli LPSで4時間刺激された。核抽出物が調製され、32Pで標識されたコンセンサス2本鎖オリゴヌクレオチドプローブへのNΦκBの結合がゲルシフト分析を用いて検討された。NS=非特異的バンド。レーン1-5は、それぞれ、無処置、LPSのみ、DMSO+LPS、Δ12-PGJ3(0.25μM)+LPS、及び、Δ12-PGJ3(1 M)+LPSを示す。BCR-ABL LSCが脾臓から選別され、播種され、PBS、25 nM Δ12-PGJ3又は9,10-ジヒドロ15d-PGJ2で0、2又は6時間処置された。前記細胞は回収され、核抽出物が標準的な手法を用いて調製された。10μgの核タンパク質がゲルシフト反応のために各試料から用いられた。NF-κBの陽性対照として、LPS処置マウス(RAW264.7)マクロファージからの核抽出物が用いられた。抗p50Abがスーパーシフトのためのこの陽性対照とともに用いられ、過剰な「非放射性(cold)」プローブが非放射性競合剤として陽性対照とともに用いられた。ウェスタンブロット分析が、PBS、Δ12-PGJ3又は9,10-ジヒドロ-15d-PGJ2で、種々の時間(0-6時間)処置されたBCR-ABL LSCからの上述の核抽出物について抗p65抗体及び抗β-アクチン抗体でプローブされ実施された。PPAPγの活性化についてのレポーターアッセイでは、酵母GAL4 DNA結合ドメインに融合したヒトPPAPγのリガンド結合ドメインを発現しているHEK293T細胞が、pGalRE-Lucリポーター遺伝子とともにトランスフェクションされた。これらの研究は、この十分に特徴付けられたレポーターシステムを用いてPPAPγを活性化するためのΔ12-PGJ3の能力を検討するために実施された。我々の研究は、陽性対照として用いられたロシグリタゾンとは違って、Δ12-PGJ3は0.01μMないし1.0μMの濃度でPPAPγを活性化できないことを示した。
Δ12-PGJ3(0.05 mg/kg)でのFV LSCを移植したマウスの処置は、マウスの血液学的パラメーターに悪影響しない。Δ12-PGJ3(0.05 mg/kg)で処置したマウスの全血球計算値が検討された。白血球細胞数、赤血球細胞数又は血小板数に関して、処置されたマウスと、移植されていないマウスとの違いはなかった。CyPGで処置したFV感染マウスの血液学的パラメーターの変化が検討された。FV感染Balb/cマウスはΔ12-PGJ3(0.05 mg/kg)の腹腔内投与で7日間処置された後、前記マウスは屠殺され、血液学的パラメーターがAdviaの血液分析器で分析された。Δ12-PGJ3で処置したFV感染マウスは、ベヒクルで処置した感染対照マウスと比較された。1群あたりN=5、全てのデータは、平均±s.e.m. * P<0.05である。3% w/vヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンが、in vivo実験群でのベヒクルとして用いられた。ベヒクル、9,10-ジヒドロ-15d-PGJ2(0.05 mg/kg)又は15d-PGJ2(0.05 mg/kg)のいずれかで処置されたFV感染マウスの脾臓サイズが検討された(1群あたり3匹)。Balb/cの無感染、感染及び15d-PGJ2処置のマウスの血液学的パラメーターが検討された(群あたり5匹)。全てのデータは平均±s.e.m. * P<0.05であった。
15d-PGJ2はFV-LSCを除去することが示された。FV-LSCはFV感染マウスの脾臓で15d-PGJ2によって標的化された。FV感染マウスは、0.05 mg/kgの15d-PGJ2又は9,10-ジヒドロ-15d-PGJ2で7日間処置された。脾臓LSC(M34+Sca1+Kit+)細胞は、感染後14日目にフローサイトメトリーによって分析された。15d-PGJ2での処置は、フローサイトメトリーによって測定されたようなLSC数の顕著な減少をもたらす。また、15dPGJ2は、形質転換CFU-フレンドウイルスコロニーを形成することができる形質転換白血病細胞数を著しく減少した。15d-PGJ2はフレンドウイルスのウイルス複製に影響しないので、これらの実験では、15dPGJ2での処置の単一処置はLSCを除去せず、ウイルス感染を継続することによって再生される。無感染及び感染のベヒクル対照が、比較のために用いられた。N=3; * P<0.05。感染マウスからの脾臓は、溶媒、9,10-ジヒドロ-15d-PGJ2及び15d-PGJ2で処置され、15d-PGJ2又は9,10-ジヒドロ-15d-PGJ2でのマウスの処置が、因子に非依存的な成長を示すCFU-FVコロニーの形成に影響するかを調べるために、成長因子を含まず、FCSを含むメチルセルロース培地に播種された。前記コロニーは、播種後10-14日に算定された。群あたりマウス3匹、* p<0.05。
ウイルス感染がLSCを再生することができない系でFV LSCを除去するための15d-PGJ2の能力を検討するために、Stk-/-マウスはin vitroで増大したFV-LSCを移植された。Stk-/-マウスはフレンドウイルス感染に耐性であるため、移植マウスによって生じた白血病は、移植したLSCの結果であり、FV感染の結果ではない。15dPGJ2で処置したマウスは、脾臓でのFV LSCの除去と、疾患の治癒とをもたらした。FV感染マウスの脾臓から選別されたLSCは、(Balb/cバックグラウンドの)Stk-/-マウスに移植された。6週間後、かかるマウスは、腹腔内注射によって、ベヒクル(ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン)、15d-PGJ2(0.05 mg/kg)又は9,10-ジヒドロ-15d-PGJ2(0.05 mg/kg)で1週間毎日処置された。前記マウスは、分析のためにLSC移植後51日目に屠殺された。ベヒクル、15d-PGJ2又は9,10-ジヒドロ-15d-PGJ2で処置された移植マウスでの、脾腫を含むマウスの脾臓の分析が実施された。処置後の対照(無移植マウス)と比較した脾臓重量と、処置後のマウスの末梢血の白血球数(WBC counts)とが調べられ、処置後に、無移植マウス及びLSC移植マウスの脾臓のフローサイトメトリー分析が実施された。全てのデータは、平均±s.e.m.であり、*はp<0.05であり、対照又は9,10-ジヒドロ-15d-PGJ2処置群と比較された。群あたり5匹。
MEL細胞はp53遺伝子に変異を有するため、Δ12-PGJ3はMEL細胞でアポトーシスを誘導することができない。MEL細胞が一般的に化学療法に耐性であるかを検討するために、我々は、MEL細胞が、標準的な抗白血病剤で処置されたとき、アポトーシスによって殺傷されるかを試験した。終濃度1μMのダウノルビシン(DNR)、ミトキサントロン(MIT)及びシタラビン(CYT)などの一般的に使用される様々な抗白血病薬で24時間処置された。ヌトリン(5μM)、p53活性化剤が、MEL細胞でのp53の活性化及びアポトーシスの欠如を実証するために対照として用いられた。薬物処置24時間後、細胞増殖は、Dojindo Molecular Technologies, Inc.(メリーランド州ゲイザースバーグ)からのCCK-8キットでのMTTアッセイによって測定された。ヌトリンを除外して、全ての化合物は顕著にアポトーシスを生じた。結果は、3つの独立観察の平均±SEMを示す。
実施例2 DPを活性する分子を介してのLSCのターゲッティング
図8及び9に示されたデータは、ある種類のGタンパク質共役受容体(DPという)の役割を示唆し、Δ12-PGJ3によってLSCのアポトーシスで重要な役割を果たす。また、実験は、同様に受容体の合成作働薬で実施された。
図8に関して、このデータは、イマチニブ−耐性BCR-ABL(GFP)+細胞がΔ12-PGJ3によって標的にされることを示す。この実験では、マウスはBCR-ABL+LSC細胞を移植され、1週間後、イマチニブ処置が25 mg/kg/日の腹腔内投与によって1週間開始された。イマチニブ処置後のウオッシュアウト期間1週間後に、脾臓は解剖され、全脾臓細胞が、25 nM Δ12-PGJ3又はベヒクル(PBS)でex vivoで24時間処置された。GFP+LSCは、フローサイトメトリーによって分析された。図8で示されるように、Δ12-PGJ3処置は、イマチニブ処置に耐性であるLSCでさえも標的にできる。
Δ12-PGJ3によるBCR-ABL+LSCのアポトーシスが前記DPの合成拮抗剤によって阻害されることを示す実験が実施された。本実験では、メソカルト培地で培養された選別BCR-ABL+LSC及びMSCV-HSCが、MK0824(DP1拮抗薬; 10 nM; Cayman Chem)、CAY10471(DP2拮抗薬; 10 nM; Cayman Chem)又はKU55933(ATMキナーゼ阻害剤; 10 nM; Calbiochem)で2時間前処置された後、25 nM Δ12-PGJ3又はDMSOで処置された。36時間のインキュベーション後、アポトーシス細胞がアネキシンV染色によって定量された。前記MSCV-HSC対照細胞の生存能力は、上述の処置のいずれかによって影響されなかった。n=3の平均±s.e.m.。CAY10471は、ラマトロバン(アレルギー性鼻炎の治療のための承認されたヒト医薬)の類似体であり、ヒトCRTH2/DP2受容体に対するその効力及び選択性の両方を増加する改良品を含む。CAY10471は、それぞれ、0.6、1200及び>10,000 nMのKi値でヒトCRTH2/DP2、DP1及びTP受容体に結合する。
MSCV-HSC(正常HSC)は、上記の処置のいずれかによって影響されなかった。しかし、BCR-ABL LSCは、25 nM Δ12-PGJ3によってアポトーシスに対して感受性が高く、かかる効果は、DP拮抗薬の使用によって抑制される。本データから、アポトーシス経路は、DP及びATMキナーゼ(血管拡張性失調症変異キナーゼタンパク質)の活性化を含む。Δ12-PGJ3処置がどの程度の顆粒球の脱顆粒を生じるかを検討するための関連研究では、ラット好塩基性細胞株(RBL-23)が100 nM Δ12-PGJ3で処置され、続いて、脱顆粒は、ヒスタミンの放出と、脱顆粒の第2マーカー、ヘキソサミニダーゼとが定量された。Δ12-PGJ3は脱顆粒を惹起しなかった一方、イオノマイシン、脱顆粒の周知の促進剤は、ヒスタミン及びヘキソサミニダーゼの豊富な産生を惹起したことを我々の結果は明白に示す。
図9に関して、本データは前記DPの合成作働薬によるBCR-ABL+LSCのアポトーシスを示す。本実験では、500,000個のBCR-ABL+LSCが24ウェルプレートに播種され、続いて、25 nM PGD2Me又は100 nM ZK118182(両者DPの作働薬である。)で24時間処置された。GFP+細胞はフローサイトメトリーによって分析された。これらの作働薬はCayman Chemicals、ミシガン州から購入された。本データ及び以前のデータに基づいて、合成作働薬によるDPの活性化がLSCのアポトーシスを誘導できることはとても明白である。したがって、十分に確立されたDP作働薬である合成化合物の使用はLSCを標的にすることができる。
実施例3 Δ12-PGJ3及び関連作働薬は正常ヒト造血に影響しない。
図10に関して、本グラフは、Δ12-PGJ3及び関連作働薬は正常ヒト造血に影響しないことを示す。上記の実験では、データは、最終分化した造血細胞コロニーの形成でのΔ12-PGJ3の効果を示した。これらのコロニーはコロニー形成細胞又はCFCと呼ばれる。その実験に対して、多系統骨髄コロニー形成に必要な成長因子のみが添加された。図10に関して、グラフのX軸に列挙された化合物を補充した複数の成長因子を含む培地が用いられた。Δ12-PGJ3は効果がなかった。また、合成DP作働薬ZKも効果がなかった。結論として、Δ12-PGJ3及び関連作働薬は正常ヒト造血に影響しない。
図11に関して、Δ12-PGJ3は、正常な骨髄細胞の(BFUeを形成するための)分化のための能力に影響しない。本実験では、ヒト骨髄細胞(CD34+; Reach Bio、ワシントン州シアトル)は、PBS、Δ12-PGJ3(50 nM及び100 nM)とともに、Epo(3 U/ml)+SCF(50 ng/ml)を有するメチルセルロース(Stem Cell Technology、H-4230)で8日間培養された。BFUeコロニーは8日目にベンジジンで染色された。
実施例4 Δ12-PGJ3の効能及びイマチニブとの比較データ
急性転化CML(011711)のサイトスピンと、ギムザ染色とを含む実験が実施された。急性転化CMLは、BIT、LDL、L-GluとともにIMDMで培養され、PBS又は100 nM Δ12-PGJ3で12時間処置された。細胞が採取され、スライドがサイトスピンによって作製された。サイトスピンスライドはライトギムザ染色で染色され、画像(100X)はマテリアル顕微鏡で記録された。研究は急性転化CML細胞の死滅を確認する。
図12に関して、この一対のグラフのデータは、DPが患者(#011711)からの急性転化CML細胞のΔ12-PGJ3依存性アポトーシスを仲介することを示す。この実験では、110,000個/ウェルの初代AML細胞が、上記の特殊培地で6時間及び12時間培養された。細胞は採取され、氷冷PBSで1回洗浄された。前記細胞は、試験管全てにアネキシン−V PEを有する1xアポトーシス緩衝液200μlに再懸濁された。前記細胞はPBSで洗浄され、PBS 600μlに再懸濁され、フローチューブに移され、FC-500でアポトーシス(アネキシンV+細胞)について分析された。本実験の結論はΔ12-PGJ3又は合成DP作働薬がBC-CML初代患者細胞でアポトーシスを誘導することである。DP作働薬は、DP依存性であることを示す本反応をΔ12-PGJ3の効果は阻害する。図13に関して、本図は、DPが患者(#100810)からのAML細胞のΔ12-PGJ3依存性アポトーシスを仲介することを示す。本実験では、110,000個/ウェルのAML細胞は、前述の培地で6及び12時間培養された。細胞は採取され、PBSで1回洗浄され、PBS 200μlに再懸濁され、FC受容体抗体で室温で10分間ブロックされた。以下の抗体CD38、CD123、CD34、CD117(BD bioscience)が、氷上で1時間添加された。細胞は、PBSで1回洗浄され、200μlのアポトーシス緩衝液に再懸濁され、アネキシンVが添加され、15分間インキュベーションされた。アポトーシス細胞(アネキシンV+細胞)はフローサイトメーターによって算定された。本実験からの結論は、Δ12-PGJ3が初代ヒトAML細胞のアポトーシスを誘導すること、及び、CD34+CD38-CD123+CD117+細胞のアネキシンV+分画を分析することによって測定されるようにLSCを特異的に殺傷できることである。同様の研究が、他のAML患者試料(AML患者#123009、#033107、#041909、#101308)を用いて実施され、その結果(図15を参照せよ。)は上記と同一であった。Δ12-PGJ3はこれらの試料全てでLSCを標的にした。より重要なことには、CAY10471(DP拮抗薬)でのLSCの前処置は、Δ12-PGJ3によってアポトーシスを完全に阻止した。図15で示された実験結果に関して、患者# 100810、123009、033107、041909、101308からの110,000個/ウェルのAML細胞は、100 nM Δ12-PGJ3(100 nM)と共に若しくは無しで前述の培地で6時間培養され、又は、CAY10471(10 nM)で前処置した後、D12-PGJ3(100 nM)で処置された。細胞は採取され、PBSで1回洗浄され、PBS 200μlに再懸濁され、FC受容体抗体で室温で10分間ブロックされた。以下の抗体CD38、CD123、CD34(BD bioscience)が、氷上で1時間添加された。細胞は、PBSで1回洗浄され、200μlのアポトーシス緩衝液に再懸濁され、アネキシンVが添加され、15分間インキュベーションされた。アポトーシス細胞(アネキシンV+細胞)はフローサイトメトリーによって計数された。本実験からの結論は、Δ12-PGJ3が初代ヒトAML細胞のアポトーシスを誘導すること、及び、CD34+CD38-CD123+細胞のアネキシンV+分画を分析することによって測定されるようにLSCを特異的に殺傷することができることである。
Δ12-PGJ3処置後のヒトAML試料でのサバイビンの発現が調べられた。全RNAが、Trizol(Invitrogen)を用いて、記載の処置(6時間)をしたAML細胞から単離され、cDNAがSuperscript II(Invitrogen)を用いて作製され、cDNAが、SYBRグリーンPCRマスターミックス及び76ntのPCR産物を増幅するプライマーを用いてRT-PCRによって定量された。GAPDH用タックマンプローブ(Applied biosystems)が用いられた。サバイビンはアポトーシス阻害剤である。Δ12-PGJ3は、DP作働薬はアポトーシスを阻害する対抗制御経路(counter-regulatory pathways)を抑制することを示唆するサバイビンの発現を減少する。
Δ12-PGJ3で処置したAMLでのMCL-1発現が検討された。MCL-1は、Bcl-2ファミリーに属する抗アポトーシス遺伝子である。全RNA及びcDNAは、上記のように、初代AML細胞から単離された。MCL-1の発現はリアルタイムPCRを用いて測定された。(Hs01050896-m1、Applied Biosystems)。Δ12-PGJ3での処置は、増加したアポトーシスに付随するMCL-1の発現を減少する。
図14に関して、本グラフは、BCR-ABL+LSC移植CMLモデルマウスでのイマチニブ(グリベック)とΔ12-PGJ3との比較を示す。本実験では、イマチニブ及びΔ12-PGJ3が、それぞれ、75 mg/kg及び0.025 mg/kgで用いられた。1週間のイマチニブ療法であるCML患者の標準的治療(care)でのCMLマウスモデルの処置は、延命をもたらすが、白血病の急速な再発をもたらす。対照的に、Δ12-PGJ3での処置は延命をもたらすが、白血病の再発はない。
AML化学療法剤としてのΔ12-PGJ3
AMLは成人白血病の最も一般的な種類の1つである。残念ながら、他の種類の白血病と比較するとき、AMLの5年相対生存率は最低である。AMLは、LSCが疾患分類体系の頂点を占める幹細胞疾患である。LSCは自己複製でき、大量の白血病細胞を作り出す非幹細胞の子孫細胞を生じることができる。化学療法剤は大量の白血病細胞を効率的に標的にすることができるが、LSCはそれらの薬物による殺傷を回避するための活性メカニズムを有する。結果として、LSCを除去できないことが疾患の再発を生じる。この特性のために、LSCの特異的標的化は効果的治療に必須である。新たな抗LSC療法の必要性が十分に認識されているが、LSCを標的にするためのメカニズムに基づいた薬物の検証が欠如している。明らかに、新たなアプローチが必要とされる。ω-3脂肪酸由来代謝物Δ12-PGJ3は、慢性白血病の2つのマウスモデルでLSCを効果的に除去することが見出された。本明細書に記載された実験では、Δ12-PGJ3は、AMLのマウスモデル及びヒトAML白血病試料でアポトーシスを誘導することによってAML LSCを効率的に標的にすることを示すためにこれらの発見は展開された。対照的に、Δ12-PGJ3は、正常な造血幹細胞、又は、造血前駆細胞(hematopoietic progenitors)の分化に影響がない。Δ12-PGJ3は、LSC及び白血病細胞でp53の発現を誘導することによって作用する。LSCでのp53の高発現レベルが自己複製に適合せず、アポトーシスに導く。これらのデータは、Δ12-PGJ3がAMLを治療するための化学療法剤であることを示唆する。
実施例6 (内因性及び外因性の)DP作働薬及びDP拮抗薬によるヒト初代AML細胞のアポトーシス
図16で示される結果に関して、これらの実験は、患者から単離された初代AML幹細胞で実施された。これらの結果は、Δ12-PGJ3(及び他のDP作働薬)がAML患者からのヒト初代白血病幹細胞においてさえも有効であるという事実を強く支持する。AML患者の骨髄から単離されたヒト初代AML細胞(72%の細胞がCD133+であった)は、DP拮抗薬(CAY10471及びMK0524、両方とも10 nM)の存在下又は非存在下、Δ12-PGJ3の種々の濃度(5、50、100 nM)でin vitroで6時間及び24時間処置された。同一の実験では、また、前記細胞は合成DP作働薬、ZK118182(100 nM)で処置された。(アネキシンV染色による)細胞のアポトーシスがフローサイトメトリーを用いて測定された。これらの結果はマウスAML幹細胞での上記のデータと一致し、白血病療法としてDPの使用をさらに支持する。
他の実施態様
いずれかの改良が、組成物、キット及び方法ステップの一部又は全てで行われる場合がある。本明細書で引用される、刊行物、特許出願及び特許を含む全ての引用文献が、引用により本明細書に取り込まれる。本明細書で提供される、あらゆる例又は例示的表現(例えば、「など」)の使用は、別段の要求がない限り、本発明を例示することを意図し、本発明の範囲を限定するものではない。本発明又は好ましい実施態様の特性又は利益に関する本明細書のいずれかの記載は限定することを意図せず、添付の請求項は、かかる記載によって限定されると考えられるべきではない。より一般的には、明細書の用語は、本発明の実施に必須とされる請求項に記載されていない要素のいずれか(any non-claimed element)を示すものと解釈されるべきでは全くない。本発明は、法律によって許される最大の限度で、本願に添付された請求項で列挙された主題の改良品及び均等物全てを含む。さらに、その全ての可能な変化での上記要素の組合せのいずれかが、本明細書に別なふうに示された又は文脈から明らかに別なふうに禁忌とされるものでなければ、本発明に取り込まれる。

Claims (18)

  1. 薬学的に許容可能な担体と、単離又は合成されたΔ12-プロスタグランジンJ3(Δ12-PGJ3)又はその誘導体からなる第1抗がん剤の治療学的有効量とを含むことを特徴とする、白血病幹細胞(LSC)を有する被験体でLSCの成長を阻害するための組成物。
  2. 第2抗がん剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記第2抗がん剤がイマチニブであることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
  4. 薬学的に許容可能な担体と、単離又は合成されたプロスタグランジンD受容体(DP)作働薬からなる第1抗がん剤の治療学的有効量とを含むことを特徴とする、LSCを有する被験体でLSCの成長を阻害するための組成物。
  5. 第2抗がん剤をさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
  6. 前記第2抗がん剤がイマチニブであることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
  7. 前記DP作働薬が、Δ12-PGJ3、ZK118182及びPGD2MEからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
  8. 単離又は合成されたΔ12-プロスタグランジンJ3、プロスタグランジンD3の誘導体及び単離又は合成されたDP作働薬からなる群から選択される少なくとも1つの第1抗がん剤と、薬学的に許容可能な担体とを含む組成物を白血病を有する被験体に前記被験体のLSCの死滅を誘導するための治療学的有効量で投与することを含むことを特徴とする、被験体の白血病を治療する方法。
  9. 前記LSCが、慢性骨髄性白血病幹細胞又は急性骨髄性白血病細胞であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  10. 前記被験体がイマチニブに耐性であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  11. 前記被験体がヒトであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  12. 前記組成物が第2抗がん剤の治療学的有効量をさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  13. 前記第2抗がん剤がイマチニブであることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
  14. 前記組成物の投与が前記被験体のLSCのアポトーシスを誘導することを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  15. 前記組成物の投与が前記被験体のLSCを除去することを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  16. 被験体の白血病を治療するためのキットであって、
    (a)前記被験体のLSCの死滅を誘導するための治療学的有効量で、単離又は合成されたΔ12-プロスタグランジンJ3、プロスタグランジンJ3の誘導体及び単離又は合成されたDP作働薬からなる群から選択される少なくとも1つの第1の抗がん剤と、薬学的に許容可能な担体とを含む組成物;
    (b)取扱説明書;及び
    (c)包装;を含むことを特徴とする、キット。
  17. 前記キットが第2抗がん剤の治療学的有効量をさらに含むことを特徴とする、請求項16に記載の方法。
  18. 前記第2抗がん剤がイマチニブであることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
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