JPH11189537A - プロスタグランジン類の医薬用途 - Google Patents
プロスタグランジン類の医薬用途Info
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- JPH11189537A JPH11189537A JP35994797A JP35994797A JPH11189537A JP H11189537 A JPH11189537 A JP H11189537A JP 35994797 A JP35994797 A JP 35994797A JP 35994797 A JP35994797 A JP 35994797A JP H11189537 A JPH11189537 A JP H11189537A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 一酸化窒素および/または炎症性プロスタグ
ランジン類がその発症や病状の悪化に関与する各種疾
患、就中炎症性疾患、敗血症ショック等の疾患に対し、
誘導型一酸化窒素合成酵素および/または誘導型シクロ
オキシゲナーゼの誘導を阻害することにより予防・治療
し得る医薬組成物の提供。 【解決手段】 プロスタグランジンD2 、プロスタグラ
ンジンJ2 、Δ12- プロスタグランジンJ2 および15-d
eoxy- Δ12,14 - プロスタグランジンJ2 からなる群よ
り選択される少なくとも1種を有効成分とする誘導型一
酸化窒素合成酵素および/または誘導型シクロオキシゲ
ナーゼの誘導阻害剤。プロスタグランジンD2 、プロス
タグランジンJ2 、Δ12- プロスタグランジンJ2 およ
び15-deoxy- Δ12,14 - プロスタグランジンJ2 からな
る群より選択される少なくとも1種を有効成分とする、
当該両酵素の誘導阻害が有効な疾患、就中炎症性疾患、
敗血症ショックの予防・治療剤。
ランジン類がその発症や病状の悪化に関与する各種疾
患、就中炎症性疾患、敗血症ショック等の疾患に対し、
誘導型一酸化窒素合成酵素および/または誘導型シクロ
オキシゲナーゼの誘導を阻害することにより予防・治療
し得る医薬組成物の提供。 【解決手段】 プロスタグランジンD2 、プロスタグラ
ンジンJ2 、Δ12- プロスタグランジンJ2 および15-d
eoxy- Δ12,14 - プロスタグランジンJ2 からなる群よ
り選択される少なくとも1種を有効成分とする誘導型一
酸化窒素合成酵素および/または誘導型シクロオキシゲ
ナーゼの誘導阻害剤。プロスタグランジンD2 、プロス
タグランジンJ2 、Δ12- プロスタグランジンJ2 およ
び15-deoxy- Δ12,14 - プロスタグランジンJ2 からな
る群より選択される少なくとも1種を有効成分とする、
当該両酵素の誘導阻害が有効な疾患、就中炎症性疾患、
敗血症ショックの予防・治療剤。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプロスタグランジン
D2 ならびにその代謝産物を有効成分とする医薬組成物
に関するものであって、更に詳しくは誘導型一酸化窒素
合成酵素および/または誘導型シクロオキシゲナーゼ誘
導阻害剤ならびに誘導型一酸化窒素合成酵素および/ま
たは誘導型シクロオキシゲナーゼの誘導を阻害すること
が有効な疾患の予防・治療剤に関する。
D2 ならびにその代謝産物を有効成分とする医薬組成物
に関するものであって、更に詳しくは誘導型一酸化窒素
合成酵素および/または誘導型シクロオキシゲナーゼ誘
導阻害剤ならびに誘導型一酸化窒素合成酵素および/ま
たは誘導型シクロオキシゲナーゼの誘導を阻害すること
が有効な疾患の予防・治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】炎症時には生体が種々の外来刺激に反応
して、様々なサイトカインを遊離し、防御反応の域を越
えた過剰の炎症反応が惹起されると考えられている。特
に、痛み、腫張、発熱などの炎症反応にはシクロオキシ
ゲナーゼによるアラキドン酸代謝物である、ある種のプ
ロスタグランジン(以下PGともいう)類が重要な役割
を果たしており、その中でも特にPGE2 が重要な炎症
メディエーターであると考えられてきた。また、近年、
受容体ノックアウトマウスの研究から炎症メディエータ
ーとしてのPGI2 の役割が注目されてきている。従来
の、非ステロイド系の炎症疾患治療薬はシクロオキシゲ
ナーゼ活性を阻害することにより、上述の炎症性PG類
の産生を抑制するものであった。しかし、これらの非ス
テロイド系抗炎症薬は対症療法を期待するものであり、
根本治療としては充分なものとは言えない。また、長期
投与により、消化性潰瘍、腎障害、肝障害などの副作用
の発現が報告されている。近年、胃や腎臓に常時存在す
るシクロオキシゲナーゼ(シクロオキシゲナーゼ−1、
以下COX−1とも略す)とは異なる酵素として、炎症
時に誘導される、すなわち炎症時のシクロオキシゲナー
ゼ活性の増大をもたらす誘導型シクロオキシゲナーゼ
(シクロオキシゲナーゼ−2、以下COX−2とも略
す)の存在が明らかになってきた。さらに、このCOX
−2の誘導が大腸ガンの発症・増悪にも重要な役割を果
たしていることが明らかになっている(H. Sano ら, Ca
ncer Res., 55: 3785-3789, 1995)。そこで、消化性潰
瘍や腎障害を起こさない非ステロイド系抗炎症薬および
大腸ガン治療薬として、選択的COX−2阻害剤の研究
開発が進められているが、まだ満足すべき治療効果を有
するものは得られていない。また、これらの選択的CO
X−2阻害剤も従来の非選択的シクロオキシゲナーゼ阻
害剤同様、対症療法薬に留まる。副腎皮質ステロイド剤
は核内転写因子を阻害することにより種々の炎症性サイ
トカインやCOX−2の誘導を阻害し、強力な抗炎症作
用を有する。しかし、主としてそのホルモン作用に関係
した感染症の誘発・増悪、満月様顔貌、消化性潰瘍、副
腎皮質機能不全、血栓性静脈炎、骨そしょう症、糖尿病
などの副作用が強く、長期投与が難しいという欠点を有
する。
して、様々なサイトカインを遊離し、防御反応の域を越
えた過剰の炎症反応が惹起されると考えられている。特
に、痛み、腫張、発熱などの炎症反応にはシクロオキシ
ゲナーゼによるアラキドン酸代謝物である、ある種のプ
ロスタグランジン(以下PGともいう)類が重要な役割
を果たしており、その中でも特にPGE2 が重要な炎症
メディエーターであると考えられてきた。また、近年、
受容体ノックアウトマウスの研究から炎症メディエータ
ーとしてのPGI2 の役割が注目されてきている。従来
の、非ステロイド系の炎症疾患治療薬はシクロオキシゲ
ナーゼ活性を阻害することにより、上述の炎症性PG類
の産生を抑制するものであった。しかし、これらの非ス
テロイド系抗炎症薬は対症療法を期待するものであり、
根本治療としては充分なものとは言えない。また、長期
投与により、消化性潰瘍、腎障害、肝障害などの副作用
の発現が報告されている。近年、胃や腎臓に常時存在す
るシクロオキシゲナーゼ(シクロオキシゲナーゼ−1、
以下COX−1とも略す)とは異なる酵素として、炎症
時に誘導される、すなわち炎症時のシクロオキシゲナー
ゼ活性の増大をもたらす誘導型シクロオキシゲナーゼ
(シクロオキシゲナーゼ−2、以下COX−2とも略
す)の存在が明らかになってきた。さらに、このCOX
−2の誘導が大腸ガンの発症・増悪にも重要な役割を果
たしていることが明らかになっている(H. Sano ら, Ca
ncer Res., 55: 3785-3789, 1995)。そこで、消化性潰
瘍や腎障害を起こさない非ステロイド系抗炎症薬および
大腸ガン治療薬として、選択的COX−2阻害剤の研究
開発が進められているが、まだ満足すべき治療効果を有
するものは得られていない。また、これらの選択的CO
X−2阻害剤も従来の非選択的シクロオキシゲナーゼ阻
害剤同様、対症療法薬に留まる。副腎皮質ステロイド剤
は核内転写因子を阻害することにより種々の炎症性サイ
トカインやCOX−2の誘導を阻害し、強力な抗炎症作
用を有する。しかし、主としてそのホルモン作用に関係
した感染症の誘発・増悪、満月様顔貌、消化性潰瘍、副
腎皮質機能不全、血栓性静脈炎、骨そしょう症、糖尿病
などの副作用が強く、長期投与が難しいという欠点を有
する。
【0003】一方、一酸化窒素(以下NOともいう)は
最初に内皮細胞由来弛緩因子として発見され、血管拡張
や抗血小板作用などにより循環系の恒常性維持に関与し
ていると考えられている。一酸化窒素合成酵素として
は、神経細胞中に恒久的に存在するN−cNOS(nN
OSもしくはType Iともいう)および血管内皮細胞中に
恒久的に存在するE−cNOS(eNOSもしくは Typ
e III ともいう)といった構成型の一酸化窒素合成酵素
の他に誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS、macN
OSもしくはType II ともいう、以下iNOSとも略
す)が知られている。内皮細胞ではE−cNOSにより
アルギニンを基質として一酸化窒素が合成される。一
方、マクロファージ、血管平滑筋細胞、内皮細胞などで
は種々のサイトカインや内毒素によりiNOSが誘導さ
れる。iNOSにより産生される一酸化窒素も通常は抗
菌作用、抗ウイルス作用、殺ガン作用などを有し、生体
防御的な役割を果たしている。しかし、通常の生体制御
を逸脱したiNOSの慢性的ないし過剰量の誘導は持続
的ないし大量の一酸化窒素合成をもたらし、種々の炎症
性疾患、敗血症ショック、自己免疫疾患などの発症およ
び増悪に関与していると考えられている(J. K. Kerwin
ら, Med. Res. Rev. 14, 23-74, 1994、H. Kolb ら, Im
munology Today 13, 157-160, 1992)。現在までにアル
ギニン誘導体、アミジノ誘導体等、多数のiNOS阻害
剤が見いだされているが、いまだ満足すべき治療作用が
明らかになったものはなく、また、これらの酵素阻害薬
はあくまでも対症療法薬にすぎず、根本的治療効果は期
待できない。また、完璧なiNOS選択性を示す化合物
は知られておらず、残存するE−cNOS阻害作用が副
作用や病態増悪をもたらす可能性も否定できない。一
方、副腎皮質ステロイド剤は核内転写因子を阻害するこ
とによりiNOSの誘導を阻害するが、強い副作用のた
め充分な投与量および投与期間での治療が難しく、iN
OSが関与する種々の炎症性疾患、敗血症ショック、自
己免疫疾患等に対して充分な治療効果は得られていな
い。
最初に内皮細胞由来弛緩因子として発見され、血管拡張
や抗血小板作用などにより循環系の恒常性維持に関与し
ていると考えられている。一酸化窒素合成酵素として
は、神経細胞中に恒久的に存在するN−cNOS(nN
OSもしくはType Iともいう)および血管内皮細胞中に
恒久的に存在するE−cNOS(eNOSもしくは Typ
e III ともいう)といった構成型の一酸化窒素合成酵素
の他に誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS、macN
OSもしくはType II ともいう、以下iNOSとも略
す)が知られている。内皮細胞ではE−cNOSにより
アルギニンを基質として一酸化窒素が合成される。一
方、マクロファージ、血管平滑筋細胞、内皮細胞などで
は種々のサイトカインや内毒素によりiNOSが誘導さ
れる。iNOSにより産生される一酸化窒素も通常は抗
菌作用、抗ウイルス作用、殺ガン作用などを有し、生体
防御的な役割を果たしている。しかし、通常の生体制御
を逸脱したiNOSの慢性的ないし過剰量の誘導は持続
的ないし大量の一酸化窒素合成をもたらし、種々の炎症
性疾患、敗血症ショック、自己免疫疾患などの発症およ
び増悪に関与していると考えられている(J. K. Kerwin
ら, Med. Res. Rev. 14, 23-74, 1994、H. Kolb ら, Im
munology Today 13, 157-160, 1992)。現在までにアル
ギニン誘導体、アミジノ誘導体等、多数のiNOS阻害
剤が見いだされているが、いまだ満足すべき治療作用が
明らかになったものはなく、また、これらの酵素阻害薬
はあくまでも対症療法薬にすぎず、根本的治療効果は期
待できない。また、完璧なiNOS選択性を示す化合物
は知られておらず、残存するE−cNOS阻害作用が副
作用や病態増悪をもたらす可能性も否定できない。一
方、副腎皮質ステロイド剤は核内転写因子を阻害するこ
とによりiNOSの誘導を阻害するが、強い副作用のた
め充分な投与量および投与期間での治療が難しく、iN
OSが関与する種々の炎症性疾患、敗血症ショック、自
己免疫疾患等に対して充分な治療効果は得られていな
い。
【0004】さらに種々の炎症性疾患ではCOX−2と
iNOSが同時に誘導され、それにより産生された炎症
性NOおよびPG類が相加的ないし相乗的に発症ないし
病態の進展に関与している。また、NOおよびPG類は
COX−2とiNOSの誘導および活性に対して複雑に
影響しあっていると考えられている。従って、COX−
2あるいはiNOSの、それぞれ単独での誘導ないし活
性阻害だけでなく、両酵素の誘導ないし活性を同時に阻
害することができる化合物が有用であると考えられる。
しかしながら、現在のところ強い副作用を有するステロ
イド類を除いては、両酵素の誘導ないし活性を同時に阻
害する、炎症性NOおよびPG類の関与する疾患の予防
・治療に有効な化合物は見いだされていない。
iNOSが同時に誘導され、それにより産生された炎症
性NOおよびPG類が相加的ないし相乗的に発症ないし
病態の進展に関与している。また、NOおよびPG類は
COX−2とiNOSの誘導および活性に対して複雑に
影響しあっていると考えられている。従って、COX−
2あるいはiNOSの、それぞれ単独での誘導ないし活
性阻害だけでなく、両酵素の誘導ないし活性を同時に阻
害することができる化合物が有用であると考えられる。
しかしながら、現在のところ強い副作用を有するステロ
イド類を除いては、両酵素の誘導ないし活性を同時に阻
害する、炎症性NOおよびPG類の関与する疾患の予防
・治療に有効な化合物は見いだされていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、その発症な
いし病状の進展にNOおよび/またはPG類が関与する
各種疾患、例えば炎症性疾患、敗血症ショック等の疾患
に対する、副作用の少ない根本治療を確立すべく、iN
OS誘導阻害作用および/またはCOX−2誘導阻害作
用を有するプロスタグランジン類を有効成分とする医薬
組成物を提供することを目的とする。
いし病状の進展にNOおよび/またはPG類が関与する
各種疾患、例えば炎症性疾患、敗血症ショック等の疾患
に対する、副作用の少ない根本治療を確立すべく、iN
OS誘導阻害作用および/またはCOX−2誘導阻害作
用を有するプロスタグランジン類を有効成分とする医薬
組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
に鑑み、種々研究を重ねた結果、プロスタグランジンD
2 (以下PGD2 という)、プロスタグランジンJ
2 (以下PGJ2 という)、Δ12- プロスタグランジン
J2 (以下Δ12- PGJ2 という)および15-deoxy- Δ
12,14 - プロスタグランジンJ2 (以下15-d- Δ12,14
- PGJ2 という)が血管平滑筋およびマクロファージ
におけるiNOSおよび/またはCOX−2の誘導を阻
害することを見いだした。また、本発明者らはこれらの
化合物がiNOSおよび/またはCOX−2の誘導が関
与すると考えられる炎症性疾患、敗血症ショック等の治
療に有効であることを見いだし、本発明を完成するに至
った。
に鑑み、種々研究を重ねた結果、プロスタグランジンD
2 (以下PGD2 という)、プロスタグランジンJ
2 (以下PGJ2 という)、Δ12- プロスタグランジン
J2 (以下Δ12- PGJ2 という)および15-deoxy- Δ
12,14 - プロスタグランジンJ2 (以下15-d- Δ12,14
- PGJ2 という)が血管平滑筋およびマクロファージ
におけるiNOSおよび/またはCOX−2の誘導を阻
害することを見いだした。また、本発明者らはこれらの
化合物がiNOSおよび/またはCOX−2の誘導が関
与すると考えられる炎症性疾患、敗血症ショック等の治
療に有効であることを見いだし、本発明を完成するに至
った。
【0007】すなわち、本発明は以下のとおりである。 (1)PGJ2 、Δ12- PGJ2 および15-d- Δ12,14
- PGJ2 からなる群より選択される少なくとも1種を
有効成分とするiNOS誘導阻害剤。 (2)PGD2 、PGJ2 、Δ12- PGJ2 および15-d
- Δ12,14 - PGJ2 からなる群より選択される少なく
とも1種を有効成分とするCOX−2誘導阻害剤。 (3)PGJ2 、Δ12- PGJ2 および15-d- Δ12,14
- PGJ2 からなる群より選択される少なくとも1種を
有効成分とするiNOSの誘導阻害が有効な疾患の予防
・治療剤。 (4)PGD2 、PGJ2 、Δ12- PGJ2 および15-d
- Δ12,14 - PGJ2 からなる群より選択される少なく
とも1種を有効成分とするCOX−2の誘導阻害が有効
な疾患の予防・治療剤。 (5)PGD2 、PGJ2 、Δ12- PGJ2 および15-d
- Δ12,14 - PGJ2 からなる群より選択される少なく
とも1種を有効成分とする、COX−2およびiNOS
の誘導阻害が有効な疾患の予防・治療剤。 (6)該疾患が炎症性疾患である上記(3)乃至(5)
に記載の予防・治療剤。 (7)該疾患が敗血症ショックである上記(3)乃至
(5)に記載の予防・治療剤。
- PGJ2 からなる群より選択される少なくとも1種を
有効成分とするiNOS誘導阻害剤。 (2)PGD2 、PGJ2 、Δ12- PGJ2 および15-d
- Δ12,14 - PGJ2 からなる群より選択される少なく
とも1種を有効成分とするCOX−2誘導阻害剤。 (3)PGJ2 、Δ12- PGJ2 および15-d- Δ12,14
- PGJ2 からなる群より選択される少なくとも1種を
有効成分とするiNOSの誘導阻害が有効な疾患の予防
・治療剤。 (4)PGD2 、PGJ2 、Δ12- PGJ2 および15-d
- Δ12,14 - PGJ2 からなる群より選択される少なく
とも1種を有効成分とするCOX−2の誘導阻害が有効
な疾患の予防・治療剤。 (5)PGD2 、PGJ2 、Δ12- PGJ2 および15-d
- Δ12,14 - PGJ2 からなる群より選択される少なく
とも1種を有効成分とする、COX−2およびiNOS
の誘導阻害が有効な疾患の予防・治療剤。 (6)該疾患が炎症性疾患である上記(3)乃至(5)
に記載の予防・治療剤。 (7)該疾患が敗血症ショックである上記(3)乃至
(5)に記載の予防・治療剤。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に係わるPGD2 、PGJ
2 、Δ12- PGJ2 および15-d- Δ12,14 -PGJ2 は
アラキドン酸代謝物として生体内に存在することが知ら
れている化合物であって、以下に示す構造を有するもの
である。
2 、Δ12- PGJ2 および15-d- Δ12,14 -PGJ2 は
アラキドン酸代謝物として生体内に存在することが知ら
れている化合物であって、以下に示す構造を有するもの
である。
【0009】
【化1】
【0010】本発明の誘導型一酸化窒素合成酵素誘導阻
害剤および誘導型シクロオキシゲナーゼ誘導阻害剤ある
いは予防・治療剤に有効成分として含められる当該化合
物は、有機合成の公知の製造技術により製造することが
できる化合物であり、研究用試薬としても市販されてい
る(例えばCAYMAN CHEMICAL 、BIOMOL、和光純薬等)。
さらにPGD2 はプロスタグランジンH2 から、又PG
J2 はPGD2 から、Δ12- PGJ2 および15-d- Δ
12,14 - PGJ2 はPGJ2 から、公知の手法により適
宜半合成することもできる。本発明の有効成分である各
種PG類は、取り扱いやすさ、安定性、安全性等に鑑
み、適宜必要に応じて適当な溶媒で溶解および/または
希釈して用いることができる。当該化合物は単独で、又
は2種以上を併用して用いることができる。
害剤および誘導型シクロオキシゲナーゼ誘導阻害剤ある
いは予防・治療剤に有効成分として含められる当該化合
物は、有機合成の公知の製造技術により製造することが
できる化合物であり、研究用試薬としても市販されてい
る(例えばCAYMAN CHEMICAL 、BIOMOL、和光純薬等)。
さらにPGD2 はプロスタグランジンH2 から、又PG
J2 はPGD2 から、Δ12- PGJ2 および15-d- Δ
12,14 - PGJ2 はPGJ2 から、公知の手法により適
宜半合成することもできる。本発明の有効成分である各
種PG類は、取り扱いやすさ、安定性、安全性等に鑑
み、適宜必要に応じて適当な溶媒で溶解および/または
希釈して用いることができる。当該化合物は単独で、又
は2種以上を併用して用いることができる。
【0011】本発明の有効成分であるPGD2 、PGJ
2 、Δ12- PGJ2 および15-d- Δ 12,14 - PGJ
2 は、ヒトをはじめウシ、ウマ、イヌ、マウス、ラット
等の哺乳動物に対しiNOSおよび/またはCOX−2
の誘導を阻害する作用を有するので、これらの酵素に起
因する各種疾患の予防・治療剤としての用途が示唆され
る。iNOXおよび/またはCOX−2の誘導に起因す
る疾患としては、炎症性疾患、敗血症ショック、自己免
疫疾患、大腸ガン、虚血性脳疾患、I型糖尿病等が例示
される。炎症性疾患としては急性炎症あるいは慢性炎症
に係わるものが挙げられる。より具体的には関節リウマ
チを含む種々の関節炎や潰瘍性大腸炎等が例示される。
2 、Δ12- PGJ2 および15-d- Δ 12,14 - PGJ
2 は、ヒトをはじめウシ、ウマ、イヌ、マウス、ラット
等の哺乳動物に対しiNOSおよび/またはCOX−2
の誘導を阻害する作用を有するので、これらの酵素に起
因する各種疾患の予防・治療剤としての用途が示唆され
る。iNOXおよび/またはCOX−2の誘導に起因す
る疾患としては、炎症性疾患、敗血症ショック、自己免
疫疾患、大腸ガン、虚血性脳疾患、I型糖尿病等が例示
される。炎症性疾患としては急性炎症あるいは慢性炎症
に係わるものが挙げられる。より具体的には関節リウマ
チを含む種々の関節炎や潰瘍性大腸炎等が例示される。
【0012】医薬品として使用する場合、経口的投与、
非経口的投与(例えば血管(静脈、動脈)内投与、直腸
内投与、関節腔内投与等)によって生体内に投与するこ
とができる。投与形態としては、例えば、錠剤、カプセ
ル剤、シロップ剤等の経口投与形態、溶液、乳剤、懸濁
剤等の液状の注射剤、点滴剤、坐薬、点眼剤、点鼻剤、
貼付剤、吸入剤等の非経口投与形態が例示されるが、特
に注射による投与が望ましい。
非経口的投与(例えば血管(静脈、動脈)内投与、直腸
内投与、関節腔内投与等)によって生体内に投与するこ
とができる。投与形態としては、例えば、錠剤、カプセ
ル剤、シロップ剤等の経口投与形態、溶液、乳剤、懸濁
剤等の液状の注射剤、点滴剤、坐薬、点眼剤、点鼻剤、
貼付剤、吸入剤等の非経口投与形態が例示されるが、特
に注射による投与が望ましい。
【0013】前記投与形態の製剤は、本化合物に、通常
の担体、賦形剤、結合剤、安定化剤等の製剤上必要な添
加剤を配合し、常套手段で製剤化することにより製造で
きる。例えば製剤が粉末、顆粒、錠剤等の場合、固形製
剤を製造するのに好適な任意の製薬担体、例えば賦形
剤、滑沢剤、崩壊剤、結合剤等を用いて製造することが
でき、コーティング剤でコーティングしてもよい。ま
た、製剤がシロップや液剤の場合、例えば安定化剤、懸
濁化剤、矯味剤、芳香剤等を適宜に選択して製造するこ
とができる。注射剤を製造するには、有効成分を塩酸、
水酸化ナトリウム、乳糖、乳酸ナトリウム、酢酸、リン
酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどのpH
調整剤、塩化ナトリウム、ブドウ糖などの等張化剤とと
もに注射用蒸留水に溶解し、無菌的に調製する。プロピ
レングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ
油、エタノール、ポリソルベート80などの不活性な非
水性の希釈剤を用いて調製してもよい。さらにマンニト
ール、デキストリン、シクロデキストリン、ゼラチンな
どを加えて、真空凍結乾燥し、用時溶解用注射剤として
もよい。また、安定化および病巣到達性を改善するため
公知の方法により、リポソーム製剤を調製して注射剤と
して用いることもできる。また、カカオ脂、脂肪酸のト
リ、ジ、モノグリセリド、ポリエチレングリコールなど
の坐剤用基剤を用いて直腸内投与製剤を調製してもよ
い。さらにポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコール、グリセリン、グリセロゼラチン等の水溶性基
剤、白色ワセリン、ハードファット、パラフィン、流動
パラフィン、プラスチベース、ラノリン、精製ラノリン
等の油性基剤等を用いて適当な粘度に調製し直腸内注入
軟膏を調製することもできる。経肺的投与製剤を製造す
るには、本発明の有効成分を通常の噴霧剤に溶解または
分散して耐圧容器に充填する。更に、公知の方法でリポ
ソーム製剤として経肺的に投与することもできる。
の担体、賦形剤、結合剤、安定化剤等の製剤上必要な添
加剤を配合し、常套手段で製剤化することにより製造で
きる。例えば製剤が粉末、顆粒、錠剤等の場合、固形製
剤を製造するのに好適な任意の製薬担体、例えば賦形
剤、滑沢剤、崩壊剤、結合剤等を用いて製造することが
でき、コーティング剤でコーティングしてもよい。ま
た、製剤がシロップや液剤の場合、例えば安定化剤、懸
濁化剤、矯味剤、芳香剤等を適宜に選択して製造するこ
とができる。注射剤を製造するには、有効成分を塩酸、
水酸化ナトリウム、乳糖、乳酸ナトリウム、酢酸、リン
酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどのpH
調整剤、塩化ナトリウム、ブドウ糖などの等張化剤とと
もに注射用蒸留水に溶解し、無菌的に調製する。プロピ
レングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ
油、エタノール、ポリソルベート80などの不活性な非
水性の希釈剤を用いて調製してもよい。さらにマンニト
ール、デキストリン、シクロデキストリン、ゼラチンな
どを加えて、真空凍結乾燥し、用時溶解用注射剤として
もよい。また、安定化および病巣到達性を改善するため
公知の方法により、リポソーム製剤を調製して注射剤と
して用いることもできる。また、カカオ脂、脂肪酸のト
リ、ジ、モノグリセリド、ポリエチレングリコールなど
の坐剤用基剤を用いて直腸内投与製剤を調製してもよ
い。さらにポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコール、グリセリン、グリセロゼラチン等の水溶性基
剤、白色ワセリン、ハードファット、パラフィン、流動
パラフィン、プラスチベース、ラノリン、精製ラノリン
等の油性基剤等を用いて適当な粘度に調製し直腸内注入
軟膏を調製することもできる。経肺的投与製剤を製造す
るには、本発明の有効成分を通常の噴霧剤に溶解または
分散して耐圧容器に充填する。更に、公知の方法でリポ
ソーム製剤として経肺的に投与することもできる。
【0014】本発明の予防・治療剤を患者に投与する場
合、好ましい投与量は患者の年齢、体重、病態などによ
り異なるが、例えば各種炎症性疾患に対して投与する場
合であれば通常1日約1μg 〜500mgを1乃至数回に
わけて投与することが望ましい。2種以上の有効成分を
併用する場合、適宜増減することができる。また、疾患
によっては注射剤として点滴持続投与を行うことが望ま
しい場合もある。
合、好ましい投与量は患者の年齢、体重、病態などによ
り異なるが、例えば各種炎症性疾患に対して投与する場
合であれば通常1日約1μg 〜500mgを1乃至数回に
わけて投与することが望ましい。2種以上の有効成分を
併用する場合、適宜増減することができる。また、疾患
によっては注射剤として点滴持続投与を行うことが望ま
しい場合もある。
【0015】
【実施例】以下、試験例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。試験例1 :血管平滑筋におけるiNOS誘導阻害作用試
験 血管平滑筋をリポポリサッカライド(LPS)などで刺
激するとiNOSが誘導され、そこに基質であるアルギ
ニンが存在するとNOが産生され、血管が弛緩すること
が知られている(Shibanoら, Am. J. Physiol., 264: H4
03-H407, 1993)。そこで本発明の有効成分である各種P
G類のiNOS誘導阻害作用を、アルギニン存在下での
血管弛緩反応抑制作用として調べた。
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。試験例1 :血管平滑筋におけるiNOS誘導阻害作用試
験 血管平滑筋をリポポリサッカライド(LPS)などで刺
激するとiNOSが誘導され、そこに基質であるアルギ
ニンが存在するとNOが産生され、血管が弛緩すること
が知られている(Shibanoら, Am. J. Physiol., 264: H4
03-H407, 1993)。そこで本発明の有効成分である各種P
G類のiNOS誘導阻害作用を、アルギニン存在下での
血管弛緩反応抑制作用として調べた。
【0016】(1) 試験方法 雄性Wistarラットから腸間膜動脈を摘出し、一対
の内皮細胞除去らせん条標本を作成した。これらの血管
標本をF−10培地(GIBCO BRL 製)で15分間プレイ
ンキュベートした後LPS(100μM、Difco 製)を
添加し6時間インキュベートした。この血管標本を充分
洗浄した後、標本槽に懸垂し37℃で通気下に等尺性張
力変化を測定した。すなわち標本の上端を等尺性トラン
スデューサー(T7−8−240、オリエンティック)
に連結し、増幅器(180S、日本電気三栄)を介し
て、レクチノグラフ(日本電気三栄)上に張力変化を記
録した。U−46619(CAYMANより入手)(10
-8M)で収縮させ、L−アルギニンを累積的に適用し、
弛緩の程度を各々測定した(アルギニン濃度は表1に記
載)。最後に塩酸パパベリン(大日本製薬、10-4M)
を添加することにより最大弛緩反応を引き起し、それま
でのアルギニンによる弛緩をこの最大弛緩に対する相対
値として表した。結果を表1に示す。被験化合物とし
て、本発明の有効成分であるPGJ2 、 15-d-Δ12,14
- PGJ2 およびΔ12- PGJ2 (ともにCAYMAN CHEMI
CAL より入手)ならびに他のPG類であるPGI2 (フ
ナコシより入手)、PGF 2α(和光純薬より入手)お
よびPGB2 (BIOMOL Research Laboratories, Inc.
より入手)をそれぞれ10-5Mの濃度で用いた。一方、
NO合成阻害剤であるL−NAME(NG −nitro
−L−arginine methyl ester、
シグマ)を10-4Mの濃度で用いた。L−NAME以外
の被験化合物はLPS添加5分前に、L−NAMEはL
PS処置後、L−アルギニン添加の20分前に、それぞ
れ、一対の血管標本の一方に適用し、他方に被験化合物
を溶解する際に用いた溶媒(PGF2αおよびL−NA
MEに対しては蒸留水を、PGB2 およびPGI2 に対
してはエタノールを、PGJ2 、 15-d-Δ12,14 - PG
J2 およびΔ12- PGJ2 に対してはメチルアセテート
を本実験では用いた)の同容量を適用した。
の内皮細胞除去らせん条標本を作成した。これらの血管
標本をF−10培地(GIBCO BRL 製)で15分間プレイ
ンキュベートした後LPS(100μM、Difco 製)を
添加し6時間インキュベートした。この血管標本を充分
洗浄した後、標本槽に懸垂し37℃で通気下に等尺性張
力変化を測定した。すなわち標本の上端を等尺性トラン
スデューサー(T7−8−240、オリエンティック)
に連結し、増幅器(180S、日本電気三栄)を介し
て、レクチノグラフ(日本電気三栄)上に張力変化を記
録した。U−46619(CAYMANより入手)(10
-8M)で収縮させ、L−アルギニンを累積的に適用し、
弛緩の程度を各々測定した(アルギニン濃度は表1に記
載)。最後に塩酸パパベリン(大日本製薬、10-4M)
を添加することにより最大弛緩反応を引き起し、それま
でのアルギニンによる弛緩をこの最大弛緩に対する相対
値として表した。結果を表1に示す。被験化合物とし
て、本発明の有効成分であるPGJ2 、 15-d-Δ12,14
- PGJ2 およびΔ12- PGJ2 (ともにCAYMAN CHEMI
CAL より入手)ならびに他のPG類であるPGI2 (フ
ナコシより入手)、PGF 2α(和光純薬より入手)お
よびPGB2 (BIOMOL Research Laboratories, Inc.
より入手)をそれぞれ10-5Mの濃度で用いた。一方、
NO合成阻害剤であるL−NAME(NG −nitro
−L−arginine methyl ester、
シグマ)を10-4Mの濃度で用いた。L−NAME以外
の被験化合物はLPS添加5分前に、L−NAMEはL
PS処置後、L−アルギニン添加の20分前に、それぞ
れ、一対の血管標本の一方に適用し、他方に被験化合物
を溶解する際に用いた溶媒(PGF2αおよびL−NA
MEに対しては蒸留水を、PGB2 およびPGI2 に対
してはエタノールを、PGJ2 、 15-d-Δ12,14 - PG
J2 およびΔ12- PGJ2 に対してはメチルアセテート
を本実験では用いた)の同容量を適用した。
【0017】
【表1】
【0018】(2) 結果 表1からも明らかなようにPGJ2 、Δ12- PGJ2 お
よび 15-d-Δ12,14 -PGJ2 はL−アルギニンによる
弛緩反応を抑制したが、PGI2 およびPGB 2 では抑
制されず、PGF 2αで処理したものに至ってはむしろ
弛緩反応を増強した。なお、いずれのPG類も、LPS
処理後、L−アルギニン添加20分前に標本槽に適用し
た場合には、L−アルギニンによる弛緩反応に影響を及
ぼさなかった。以上の結果からPGJ2 、Δ12- PGJ
2 および 15-d-Δ12,14 - PGJ 2 は血管におけるiN
OS誘導阻害作用を有し、NOを産生するというiNO
Sの活性は阻害しないこと、また他のPG類はこのよう
なiNOS誘導阻害作用を有さないことが示された。
よび 15-d-Δ12,14 -PGJ2 はL−アルギニンによる
弛緩反応を抑制したが、PGI2 およびPGB 2 では抑
制されず、PGF 2αで処理したものに至ってはむしろ
弛緩反応を増強した。なお、いずれのPG類も、LPS
処理後、L−アルギニン添加20分前に標本槽に適用し
た場合には、L−アルギニンによる弛緩反応に影響を及
ぼさなかった。以上の結果からPGJ2 、Δ12- PGJ
2 および 15-d-Δ12,14 - PGJ 2 は血管におけるiN
OS誘導阻害作用を有し、NOを産生するというiNO
Sの活性は阻害しないこと、また他のPG類はこのよう
なiNOS誘導阻害作用を有さないことが示された。
【0019】試験例2:マクロファージにおけるiNO
S誘導阻害作用 マクロファージをLPSおよびインターフェロン−γ
(IFN−γ)で刺激するとiNOSが誘導され、多量
のNOが遊離されるが、このNOは速やかにNO 2 およ
びNO3 に変換されることが知られている(Y. Liら, Im
munopharmacol. 30:177-186, 1995)。そこで、本発明の
有効成分について、マクロファージ培養上清中のNO2
およびNO3 の蓄積量を指標にiNOS誘導阻害作用を
調べた。
S誘導阻害作用 マクロファージをLPSおよびインターフェロン−γ
(IFN−γ)で刺激するとiNOSが誘導され、多量
のNOが遊離されるが、このNOは速やかにNO 2 およ
びNO3 に変換されることが知られている(Y. Liら, Im
munopharmacol. 30:177-186, 1995)。そこで、本発明の
有効成分について、マクロファージ培養上清中のNO2
およびNO3 の蓄積量を指標にiNOS誘導阻害作用を
調べた。
【0020】(1) 試験方法 マウス由来マクロファージ(J774A.1、大日本製
薬より入手)を10cmシャーレでFBS(10%、Ca
usera International 製)含むDMEM培地(GIBCO-BR
L 製)で継代培養し、実験に用いた。尚、当該DMEM
培地には、塩酸アルギニン84mg/Lが含有されてい
る。106 cell/mlの細胞密度の細胞懸濁液を調
製し、24穴プレートの各ウェルに1mlずつ加え、3
7℃、5%CO2 存在下で2時間インキュベートした。
培地を取り除き洗浄後、LPS(B4,シグマ、1μg
/ml)、IFN−γ(GIBCO-BRL 、100U/ml)
および所定濃度(表2に記載)の被験化合物を含むDM
EM培地で37℃、20時間インキュベートし、上清中
のNO2 およびNO3 の蓄積量を測定した。被験化合物
あるいは被験化合物を溶解する際に用いた溶媒(PGF
2α、L−NAMEおよびシクロヘキシミドに対しては
蒸留水を、PGB2 、PGI2 およびデキサメサゾンに
対してはエタノールを、PGJ2 、 15-d-Δ12,14 - P
GJ2 およびΔ12- PGJ2 に対してはメチルアセテー
トを本実験では用いた)の同容量をLPSおよびIFN
−γと同時に適用した。溶媒処置細胞の培養上清中のN
O2 およびNO3 濃度と比較して、各被験化合物による
NO(ここではNO2 +NO3)生成(iNOS誘導)
抑制率を算出した。NO2 +NO3 の濃度は酸化窒素分
析システム(ENO−10、株式会社エイコム)により
測定した。別に、LPSとインキュベーションした後で
被験化合物あるいは溶媒を適用し(適用濃度は上述)、
DMEM培地(上述の如く、iNOSの基質であるL−
アルギニンを含有している)中で6時間インキュベート
した。6時間インキュベート後、培養上清中のNO2 お
よびNO3 の蓄積量を測定して、被験化合物の酵素活性
阻害作用の有無を確認した。被験化合物としては、試験
例1で用いたものの他に、蛋白合成阻害剤であるシクロ
ヘキシミドおよび合成副腎皮質ホルモンであるデキサメ
サゾンを用いた。結果を表2に示す。
薬より入手)を10cmシャーレでFBS(10%、Ca
usera International 製)含むDMEM培地(GIBCO-BR
L 製)で継代培養し、実験に用いた。尚、当該DMEM
培地には、塩酸アルギニン84mg/Lが含有されてい
る。106 cell/mlの細胞密度の細胞懸濁液を調
製し、24穴プレートの各ウェルに1mlずつ加え、3
7℃、5%CO2 存在下で2時間インキュベートした。
培地を取り除き洗浄後、LPS(B4,シグマ、1μg
/ml)、IFN−γ(GIBCO-BRL 、100U/ml)
および所定濃度(表2に記載)の被験化合物を含むDM
EM培地で37℃、20時間インキュベートし、上清中
のNO2 およびNO3 の蓄積量を測定した。被験化合物
あるいは被験化合物を溶解する際に用いた溶媒(PGF
2α、L−NAMEおよびシクロヘキシミドに対しては
蒸留水を、PGB2 、PGI2 およびデキサメサゾンに
対してはエタノールを、PGJ2 、 15-d-Δ12,14 - P
GJ2 およびΔ12- PGJ2 に対してはメチルアセテー
トを本実験では用いた)の同容量をLPSおよびIFN
−γと同時に適用した。溶媒処置細胞の培養上清中のN
O2 およびNO3 濃度と比較して、各被験化合物による
NO(ここではNO2 +NO3)生成(iNOS誘導)
抑制率を算出した。NO2 +NO3 の濃度は酸化窒素分
析システム(ENO−10、株式会社エイコム)により
測定した。別に、LPSとインキュベーションした後で
被験化合物あるいは溶媒を適用し(適用濃度は上述)、
DMEM培地(上述の如く、iNOSの基質であるL−
アルギニンを含有している)中で6時間インキュベート
した。6時間インキュベート後、培養上清中のNO2 お
よびNO3 の蓄積量を測定して、被験化合物の酵素活性
阻害作用の有無を確認した。被験化合物としては、試験
例1で用いたものの他に、蛋白合成阻害剤であるシクロ
ヘキシミドおよび合成副腎皮質ホルモンであるデキサメ
サゾンを用いた。結果を表2に示す。
【0021】
【表2】
【0022】(2) 結果 LPSおよびIFN−γの共存下でインキュベーション
を行なった細胞の培養上清中には経時的にNO2 および
NO3 量が増大し、インキュベーション2、4、6、
8、10、12および20時間後のNO2 +NO3 濃度
はそれぞれ0.2±0.02、0.3±0.03、1.
6±1.1、8.0±1.5、13.0±2.2、1
7.9±1.2および29.7±1.3μM(n=4)
であった。この間、蛋白合成阻害剤であるシクロヘキシ
ミドを処置しておくとNO2 およびNO3 産生が著明に
減弱した。デキサメサゾンおよびL−NAMEの適用で
は殆ど影響しなかった。PGJ2 、Δ12- PGJ2 およ
び 15-d-Δ12,14 - PGJ2 をLPSおよびIFN−γ
とのインキュベーションの間に処置しておくと、培養上
清中のNO2 およびNO3 の蓄積が顕著に減少した。一
方他のPG類であるPGI2 ではNO2 およびNO3 産
生の抑制はみられず、PGF 2αおよびPGB2に至っ
てはNO2 およびNO3 の産生をむしろ促進する結果と
なった。また、LPS処置後に被験化合物を適用した場
合には、L−NAMEのみがNO2 およびNO3 の産生
を抑制した。以上の結果から、本発明の有効成分である
PGJ2 、Δ12- PGJ2 および 15-d-Δ12,14 - PG
J2 は培養マクロファージにおけるiNOS誘導阻害作
用を有し、且つ、いったん誘導されたiNOSの活性そ
のものには影響を及ぼさないことが明らかとなった。
を行なった細胞の培養上清中には経時的にNO2 および
NO3 量が増大し、インキュベーション2、4、6、
8、10、12および20時間後のNO2 +NO3 濃度
はそれぞれ0.2±0.02、0.3±0.03、1.
6±1.1、8.0±1.5、13.0±2.2、1
7.9±1.2および29.7±1.3μM(n=4)
であった。この間、蛋白合成阻害剤であるシクロヘキシ
ミドを処置しておくとNO2 およびNO3 産生が著明に
減弱した。デキサメサゾンおよびL−NAMEの適用で
は殆ど影響しなかった。PGJ2 、Δ12- PGJ2 およ
び 15-d-Δ12,14 - PGJ2 をLPSおよびIFN−γ
とのインキュベーションの間に処置しておくと、培養上
清中のNO2 およびNO3 の蓄積が顕著に減少した。一
方他のPG類であるPGI2 ではNO2 およびNO3 産
生の抑制はみられず、PGF 2αおよびPGB2に至っ
てはNO2 およびNO3 の産生をむしろ促進する結果と
なった。また、LPS処置後に被験化合物を適用した場
合には、L−NAMEのみがNO2 およびNO3 の産生
を抑制した。以上の結果から、本発明の有効成分である
PGJ2 、Δ12- PGJ2 および 15-d-Δ12,14 - PG
J2 は培養マクロファージにおけるiNOS誘導阻害作
用を有し、且つ、いったん誘導されたiNOSの活性そ
のものには影響を及ぼさないことが明らかとなった。
【0023】試験例3:腹腔マクロファージにおけるi
NOS誘導阻害作用 (1) 試験方法 雄性ICRマウス(7週齢)の腹腔常在性マクロファー
ジを常法(徳永徹、吉田彪、赤川清子編、「マクロファ
ージ実験マニュアル」p12-18、講談社サイエンティフィ
ク)に従い採取し、DMEM培地(上述の如く、当該D
MEM培地には塩酸アルギニン84mg/Lが含有され
ている)で106 cell/mlの細胞密度の細胞懸濁
液を調製した。96穴プレートの各ウェルに該細胞懸濁
液を0.2mlずつ加え、37℃、5%CO2 存在下で
1時間インキュベートした。培地を取り除き洗浄後、L
PS(10μg/ml)および所定濃度(表3に記載)
の被験化合物あるいは当該被験化合物を溶解する際に用
いた溶媒(PGF 2αおよびシクロヘキシミドに対して
は蒸留水を、デキサメサゾンに対してはエタノールを、
PGJ2 、 15-d-Δ12,14 - PGJ2 およびΔ12- PG
J2 に対してはメチルアセテートを本実験では用いた)
の同容量を含むDMEM培地で37℃、20時間インキ
ュベートし、培養上清中のNO2 およびNO3 濃度を測
定した。当該濃度測定は試験例2に準じて行った。溶媒
で処置した細胞の培養上清中のNO2およびNO3 濃度
と比較して、被験化合物によるNO(ここではNO2 +
NO3)生成(iNOS誘導)抑制率を算出した。被験
化合物として、本発明の有効成分であるPGJ2 、Δ12
- PGJ2 および15-d-Δ12,14 - PGJ2 、ならびに
他のPG類としてPGF 2α、さらにシクロヘキシミド
およびデキサメサゾンを用いた。結果を表3に示す。
NOS誘導阻害作用 (1) 試験方法 雄性ICRマウス(7週齢)の腹腔常在性マクロファー
ジを常法(徳永徹、吉田彪、赤川清子編、「マクロファ
ージ実験マニュアル」p12-18、講談社サイエンティフィ
ク)に従い採取し、DMEM培地(上述の如く、当該D
MEM培地には塩酸アルギニン84mg/Lが含有され
ている)で106 cell/mlの細胞密度の細胞懸濁
液を調製した。96穴プレートの各ウェルに該細胞懸濁
液を0.2mlずつ加え、37℃、5%CO2 存在下で
1時間インキュベートした。培地を取り除き洗浄後、L
PS(10μg/ml)および所定濃度(表3に記載)
の被験化合物あるいは当該被験化合物を溶解する際に用
いた溶媒(PGF 2αおよびシクロヘキシミドに対して
は蒸留水を、デキサメサゾンに対してはエタノールを、
PGJ2 、 15-d-Δ12,14 - PGJ2 およびΔ12- PG
J2 に対してはメチルアセテートを本実験では用いた)
の同容量を含むDMEM培地で37℃、20時間インキ
ュベートし、培養上清中のNO2 およびNO3 濃度を測
定した。当該濃度測定は試験例2に準じて行った。溶媒
で処置した細胞の培養上清中のNO2およびNO3 濃度
と比較して、被験化合物によるNO(ここではNO2 +
NO3)生成(iNOS誘導)抑制率を算出した。被験
化合物として、本発明の有効成分であるPGJ2 、Δ12
- PGJ2 および15-d-Δ12,14 - PGJ2 、ならびに
他のPG類としてPGF 2α、さらにシクロヘキシミド
およびデキサメサゾンを用いた。結果を表3に示す。
【0024】
【表3】
【0025】(2) 結果 LPS共存下でインキュベーションを行なった腹腔マク
ロファージの培養上清中には経時的にNO2 およびNO
3 の蓄積量が増大した。この間、蛋白合成阻害剤である
シクロヘキシミドあるいは合成副腎皮質ホルモンである
デキサメサゾンを加えておくとNO2 およびNO3 の蓄
積量が顕著に減少した。本発明の有効成分であるPGJ
2 、Δ12- PGJ2 および 15-d-Δ12,14 - PGJ2 を
処置することによりNO2 およびNO3 の蓄積量が顕著
に減少したが、PGF 2αとのインキュベーションでは
NO2 およびNO3 の産生量は減少しなかった。以上の
結果からPGJ2 、Δ12- PGJ2 および 15-d-Δ
12,14 - PGJ2 は腹腔マクロファージにおけるiNO
S誘導阻害作用を有することが明らかになった。
ロファージの培養上清中には経時的にNO2 およびNO
3 の蓄積量が増大した。この間、蛋白合成阻害剤である
シクロヘキシミドあるいは合成副腎皮質ホルモンである
デキサメサゾンを加えておくとNO2 およびNO3 の蓄
積量が顕著に減少した。本発明の有効成分であるPGJ
2 、Δ12- PGJ2 および 15-d-Δ12,14 - PGJ2 を
処置することによりNO2 およびNO3 の蓄積量が顕著
に減少したが、PGF 2αとのインキュベーションでは
NO2 およびNO3 の産生量は減少しなかった。以上の
結果からPGJ2 、Δ12- PGJ2 および 15-d-Δ
12,14 - PGJ2 は腹腔マクロファージにおけるiNO
S誘導阻害作用を有することが明らかになった。
【0026】試験例4:腹腔マクロファージにおけるC
OX−2誘導阻害作用 マクロファージをLPSで刺激するとCOX−2が誘導
され、PGE2 が生成されることが知られている(M. Th
ivierge ら, J. Immunol. 154: 6593-6599) 。そこで、
LPSで刺激したマクロファージを用い、PGE2 産生
を指標にCOX−2の誘導について調べた。
OX−2誘導阻害作用 マクロファージをLPSで刺激するとCOX−2が誘導
され、PGE2 が生成されることが知られている(M. Th
ivierge ら, J. Immunol. 154: 6593-6599) 。そこで、
LPSで刺激したマクロファージを用い、PGE2 産生
を指標にCOX−2の誘導について調べた。
【0027】(1) 試験方法 試験例3に準じて雄性ICRマウスの腹腔常在性マクロ
ファージを常法に従い採取し、DMEM培地で106 c
ell/mlの細胞密度の細胞懸濁液を調製した。96
穴プレートの各ウェルに該細胞懸濁液を0.2mlずつ
加え、37℃、5%CO2 存在下で1時間インキュベー
トした。COX−1の活性を阻害するため予めアスピリ
ン(1mM)を含むDMEM培地で30分間インキュベ
ートした。次いで細胞を十分に洗浄後、DMEM培地に
交換して、さらに30分間インキュベートした。培地を
取り除き洗浄後、LPS(10μg/ml)および所定
濃度(表4に記載)の被験化合物あるいは当該被験化合
物を溶解する際に用いた溶媒(PGF 2αおよびシクロ
ヘキシミドに対しては蒸留水を、PGD2 、PGI 2 お
よびデキサメサゾンに対してエタノールを、PGJ2 、
15-d-Δ12,14 - PGJ2 およびΔ12- PGJ2 に対し
てはメチルアセテートを本実験では用いた)の同容量を
含むDMEM培地で37℃、20時間インキュベートし
た。インキュベーション終了時に細胞をよく洗浄した
後、COX−2の基質であるアラキドン酸(終濃度 3
0μM)を添加して、37℃、5%CO2 存在下で30
分間インキュベートした。インキュベーションした後、
培養上清のPGE2 濃度を測定した。PGE2 濃度はPr
ostaglandin E2 Enzyme Immunoassay Kit (CAYMAN) に
より測定した。溶媒処置細胞の培養上清のPGE2 濃度
と比較して、被験化合物によるPGE2 生成(COX−
2誘導)抑制率を算出した。別に、LPSとのインキュ
ベーションの後に被験化合物あるいは溶媒を適用し(適
用濃度は上述)、COX−2の基質であるアラキドン酸
を含有するDMEM培地で37℃、5%CO 2 存在下で
30分間インキュベートした後の培養上清のPGE2 濃
度を測定して、被験化合物の酵素活性阻害作用の有無を
確認した。被験化合物としては、本発明の有効成分であ
るPGD2 、PGJ2 、Δ12- PGJ2 および 15-d-Δ
12,14 - PGJ2 ならびに他のPG類としてPGI2 お
よびPGF 2α、さらにシクロヘキシミドおよびデキサ
メサゾンを用いた。結果を表4に示す。
ファージを常法に従い採取し、DMEM培地で106 c
ell/mlの細胞密度の細胞懸濁液を調製した。96
穴プレートの各ウェルに該細胞懸濁液を0.2mlずつ
加え、37℃、5%CO2 存在下で1時間インキュベー
トした。COX−1の活性を阻害するため予めアスピリ
ン(1mM)を含むDMEM培地で30分間インキュベ
ートした。次いで細胞を十分に洗浄後、DMEM培地に
交換して、さらに30分間インキュベートした。培地を
取り除き洗浄後、LPS(10μg/ml)および所定
濃度(表4に記載)の被験化合物あるいは当該被験化合
物を溶解する際に用いた溶媒(PGF 2αおよびシクロ
ヘキシミドに対しては蒸留水を、PGD2 、PGI 2 お
よびデキサメサゾンに対してエタノールを、PGJ2 、
15-d-Δ12,14 - PGJ2 およびΔ12- PGJ2 に対し
てはメチルアセテートを本実験では用いた)の同容量を
含むDMEM培地で37℃、20時間インキュベートし
た。インキュベーション終了時に細胞をよく洗浄した
後、COX−2の基質であるアラキドン酸(終濃度 3
0μM)を添加して、37℃、5%CO2 存在下で30
分間インキュベートした。インキュベーションした後、
培養上清のPGE2 濃度を測定した。PGE2 濃度はPr
ostaglandin E2 Enzyme Immunoassay Kit (CAYMAN) に
より測定した。溶媒処置細胞の培養上清のPGE2 濃度
と比較して、被験化合物によるPGE2 生成(COX−
2誘導)抑制率を算出した。別に、LPSとのインキュ
ベーションの後に被験化合物あるいは溶媒を適用し(適
用濃度は上述)、COX−2の基質であるアラキドン酸
を含有するDMEM培地で37℃、5%CO 2 存在下で
30分間インキュベートした後の培養上清のPGE2 濃
度を測定して、被験化合物の酵素活性阻害作用の有無を
確認した。被験化合物としては、本発明の有効成分であ
るPGD2 、PGJ2 、Δ12- PGJ2 および 15-d-Δ
12,14 - PGJ2 ならびに他のPG類としてPGI2 お
よびPGF 2α、さらにシクロヘキシミドおよびデキサ
メサゾンを用いた。結果を表4に示す。
【0028】
【表4】
【0029】(2) 結果 LPS共存下でインキュベーションを行なった腹腔マク
ロファージではCOX−2が誘導され、LPS洗浄後ア
ラキドン酸を添加することによりPGE2 が産生され
た。LPS処置時に、蛋白合成阻害剤であるシクロヘキ
シミドあるいは合成副腎皮質ホルモンであるデキサメサ
ゾンを加えておくとCOX−2誘導が阻害され、PGE
2 の産生が顕著に減少した。また、本発明の有効成分で
あるPGD 2 、PGJ2 、Δ12- PGJ2 および 15-d-
Δ12,14 - PGJ2 を処置することによりPGE2 の産
生が顕著に減少した。しかしながらこれらの化合物をL
PS処置後、アラキドン酸添加時に一緒に処置した場合
にはPGE2 の産生には変化は殆ど見られなかった。以
上の結果からPGD2 、PGJ2 、Δ12- PGJ2 およ
び 15-d-Δ12,14 - PGJ2 は腹腔マクロファージにお
けるCOX−2誘導阻害作用を有することが明らかとな
り、且つPGE2 を産生するというCOX−2活性その
ものには影響を与えないことが示された。さらに、PG
J2 、Δ12- PGJ2 および 15-d-Δ12,14 - PGJ2
に関しては試験例3と併せ、iNOSの誘導抑制作用な
らびにCOX−2誘導抑制作用を併せ持つ化合物である
ことが示唆された。尚、PGD2 については、すでにi
NOS誘導抑制作用が細胞レベルで報告されている(名
越洋ら、Japan. Circ. J.61 (Suppl 1): 219, 1997 )
ことからPGD2 についてもiNOSおよびCOX−2
の両酵素の誘導を同時に阻害することが示された。
ロファージではCOX−2が誘導され、LPS洗浄後ア
ラキドン酸を添加することによりPGE2 が産生され
た。LPS処置時に、蛋白合成阻害剤であるシクロヘキ
シミドあるいは合成副腎皮質ホルモンであるデキサメサ
ゾンを加えておくとCOX−2誘導が阻害され、PGE
2 の産生が顕著に減少した。また、本発明の有効成分で
あるPGD 2 、PGJ2 、Δ12- PGJ2 および 15-d-
Δ12,14 - PGJ2 を処置することによりPGE2 の産
生が顕著に減少した。しかしながらこれらの化合物をL
PS処置後、アラキドン酸添加時に一緒に処置した場合
にはPGE2 の産生には変化は殆ど見られなかった。以
上の結果からPGD2 、PGJ2 、Δ12- PGJ2 およ
び 15-d-Δ12,14 - PGJ2 は腹腔マクロファージにお
けるCOX−2誘導阻害作用を有することが明らかとな
り、且つPGE2 を産生するというCOX−2活性その
ものには影響を与えないことが示された。さらに、PG
J2 、Δ12- PGJ2 および 15-d-Δ12,14 - PGJ2
に関しては試験例3と併せ、iNOSの誘導抑制作用な
らびにCOX−2誘導抑制作用を併せ持つ化合物である
ことが示唆された。尚、PGD2 については、すでにi
NOS誘導抑制作用が細胞レベルで報告されている(名
越洋ら、Japan. Circ. J.61 (Suppl 1): 219, 1997 )
ことからPGD2 についてもiNOSおよびCOX−2
の両酵素の誘導を同時に阻害することが示された。
【0030】試験例5:マウス敗血症モデルに対する作
用試験 マウスにLPSを投与すると血管壁細胞、肝臓等におい
てiNOSが誘導され、過剰のNOが産生され、血圧低
下、多臓器不全を経て死亡することが知られている(い
わゆる敗血症ショックに相当する)。そこで実際本発明
の有効成分である各種のPG類のマウス敗血症モデルに
対する効果を調べた。
用試験 マウスにLPSを投与すると血管壁細胞、肝臓等におい
てiNOSが誘導され、過剰のNOが産生され、血圧低
下、多臓器不全を経て死亡することが知られている(い
わゆる敗血症ショックに相当する)。そこで実際本発明
の有効成分である各種のPG類のマウス敗血症モデルに
対する効果を調べた。
【0031】(1) 試験方法 15-d- Δ12,14 - PGJ2 (1mg/kg)あるいは当
該化合物を溶解する際に用いた溶媒(蒸留水)の同容量
を雄性ICRマウス(7週齢)の腹腔内に投与し、続い
て敗血症ショックを引き起こすべくその10分後にLP
S(10mg/kg)を静脈内投与した。LPS投与後
再び、1時間毎に計5回15-d- Δ12,14- PGJ2 (1
mg/kg)を腹腔内投与した。LPS投与後6時間後
に当該マウスから採血し、血清中のNO2 +NO3 の濃
度を測定した。当該濃度測定は試験例2に準じて行っ
た。また、48時間後のマウス死亡率を溶媒投与群と比
較した。結果を表5に示す。
該化合物を溶解する際に用いた溶媒(蒸留水)の同容量
を雄性ICRマウス(7週齢)の腹腔内に投与し、続い
て敗血症ショックを引き起こすべくその10分後にLP
S(10mg/kg)を静脈内投与した。LPS投与後
再び、1時間毎に計5回15-d- Δ12,14- PGJ2 (1
mg/kg)を腹腔内投与した。LPS投与後6時間後
に当該マウスから採血し、血清中のNO2 +NO3 の濃
度を測定した。当該濃度測定は試験例2に準じて行っ
た。また、48時間後のマウス死亡率を溶媒投与群と比
較した。結果を表5に示す。
【0032】
【表5】
【0033】(2) 結果 LPS投与マウスでは血中NO2 +NO3 の蓄積量が著
明に増大し(無処置マウスでは17.5±35.9μ
M、n=6)、さらに12例中10例が死亡した。15-d
- Δ12,14 - PGJ2 の反復投与によりマウス血清中の
NO2 +NO3 濃度が有意に低下し、48時間後の死亡
率も減少した。以上の結果から、本発明の有効成分であ
る15-d- Δ12,14 - PGJ2 はiNOS誘導を阻害する
ことによりiNOSにより産生されるNOに起因する敗
血症ショック死の予防に有用であることが示唆された。
明に増大し(無処置マウスでは17.5±35.9μ
M、n=6)、さらに12例中10例が死亡した。15-d
- Δ12,14 - PGJ2 の反復投与によりマウス血清中の
NO2 +NO3 濃度が有意に低下し、48時間後の死亡
率も減少した。以上の結果から、本発明の有効成分であ
る15-d- Δ12,14 - PGJ2 はiNOS誘導を阻害する
ことによりiNOSにより産生されるNOに起因する敗
血症ショック死の予防に有用であることが示唆された。
【0034】試験例6:ラットカラゲニン胸膜炎抑制試
験 カラゲニン胸膜炎にはiNOSによるNO産生およびC
OX−2によるPGE 2 の産生が関与していることが報
告されている(W. R. Tracey ら, JPET 273:1295-1299
(1995) およびA. Tomlinsonら, Br. J. Pharmacol 113:
693-698 (1994))。そこで本発明の有効成分である15-d-
Δ12,14 - PGJ2 のラットカラゲニン胸膜炎に対す
る作用を検討した。
験 カラゲニン胸膜炎にはiNOSによるNO産生およびC
OX−2によるPGE 2 の産生が関与していることが報
告されている(W. R. Tracey ら, JPET 273:1295-1299
(1995) およびA. Tomlinsonら, Br. J. Pharmacol 113:
693-698 (1994))。そこで本発明の有効成分である15-d-
Δ12,14 - PGJ2 のラットカラゲニン胸膜炎に対す
る作用を検討した。
【0035】(1) 試験方法 雄性SDラット(7週齢)にλ−カラゲニンの2%注射
用生理食塩水溶液0.1mlを胸腔内投与し、カラゲニ
ン胸膜炎を誘発した。15-d- Δ12,14 - PGJ 2 (1m
g/kg)あるいは当該化合物を溶解する際に使用した
溶媒(リン酸緩衝液(pH7.2))のみの同容量をλ
−カラゲニン溶液投与15分前に胸腔内投与した。8時
間後に胸腔滲出液量、蛋白質量、白血球数、NO2 およ
びNO3濃度ならびにPGE2 濃度を測定した。結果を
表6に示す。
用生理食塩水溶液0.1mlを胸腔内投与し、カラゲニ
ン胸膜炎を誘発した。15-d- Δ12,14 - PGJ 2 (1m
g/kg)あるいは当該化合物を溶解する際に使用した
溶媒(リン酸緩衝液(pH7.2))のみの同容量をλ
−カラゲニン溶液投与15分前に胸腔内投与した。8時
間後に胸腔滲出液量、蛋白質量、白血球数、NO2 およ
びNO3濃度ならびにPGE2 濃度を測定した。結果を
表6に示す。
【0036】
【表6】
【0037】λ−カラゲニンをラット胸腔内に投与する
ことにより、胸腔滲出液量、蛋白質量、白血球数、NO
2 およびNO3 の濃度ならびにPGE2 濃度が上昇した
(ラットカラゲニン胸膜炎)。一方、15-d- Δ12,14 -
PGJ2 を投与することによりこれらの上昇を有意に抑
制した。以上の結果から、15-d- Δ12,14 - PGJ2は
カラゲニン投与により引き起こされる、しいてはiNO
SおよびCOX−2の関与する炎症反応を抑制すること
が明らかになった。
ことにより、胸腔滲出液量、蛋白質量、白血球数、NO
2 およびNO3 の濃度ならびにPGE2 濃度が上昇した
(ラットカラゲニン胸膜炎)。一方、15-d- Δ12,14 -
PGJ2 を投与することによりこれらの上昇を有意に抑
制した。以上の結果から、15-d- Δ12,14 - PGJ2は
カラゲニン投与により引き起こされる、しいてはiNO
SおよびCOX−2の関与する炎症反応を抑制すること
が明らかになった。
【0038】
【発明の効果】以上の結果から明らかなように有効成分
であるPGD2 ならびにその代謝産物であるPGJ2 、
Δ12- PGJ2 および 15-d-Δ12,14 - PGJ2 はiN
OSおよび/またはCOX−2の誘導を抑制する作用を
有している。これらの化合物のiNOSおよび/または
COX−2の誘導抑制作用は、両酵素の誘導により産生
されるNOあるいは炎症性のPG類に起因すると考えら
れてきた疾患、例えば炎症性疾患、敗血症ショック等の
疾患に対して効果を有する。従来の、iNOSあるいは
COX−2の活性そのものを阻害する医薬組成物とは異
なり、本願発明はiNOSあるいはCOX−2の、さら
には両酵素の誘導を同時に抑制する、新しい作用機構を
有するものである。
であるPGD2 ならびにその代謝産物であるPGJ2 、
Δ12- PGJ2 および 15-d-Δ12,14 - PGJ2 はiN
OSおよび/またはCOX−2の誘導を抑制する作用を
有している。これらの化合物のiNOSおよび/または
COX−2の誘導抑制作用は、両酵素の誘導により産生
されるNOあるいは炎症性のPG類に起因すると考えら
れてきた疾患、例えば炎症性疾患、敗血症ショック等の
疾患に対して効果を有する。従来の、iNOSあるいは
COX−2の活性そのものを阻害する医薬組成物とは異
なり、本願発明はiNOSあるいはCOX−2の、さら
には両酵素の誘導を同時に抑制する、新しい作用機構を
有するものである。
Claims (7)
- 【請求項1】 プロスタグランジンJ2 、Δ12- プロス
タグランジンJ2 および15-deoxy- Δ12,14 - プロスタ
グランジンJ2 からなる群より選択される少なくとも1
種を有効成分とする誘導型一酸化窒素合成酵素誘導阻害
剤。 - 【請求項2】 プロスタグランジンD2 、プロスタグラ
ンジンJ2 、Δ12-プロスタグランジンJ2 および15-de
oxy- Δ12,14 - プロスタグランジンJ2 からなる群よ
り選択される少なくとも1種を有効成分とする誘導型シ
クロオキシゲナーゼ誘導阻害剤。 - 【請求項3】 プロスタグランジンJ2 、Δ12- プロス
タグランジンJ2 および 15-deoxy-Δ12,14 - プロスタ
グランジンJ2 からなる群より選択される少なくとも1
種を有効成分とする誘導型一酸化窒素合成酵素の誘導阻
害が有効な疾患の予防・治療剤。 - 【請求項4】 プロスタグランジンD2 、プロスタグラ
ンジンJ2 、Δ12 -プロスタグランジンJ2 および 15-
deoxy-Δ12,14 - プロスタグランジンJ2 からなる群よ
り選択される少なくとも1種を有効成分とする誘導型シ
クロオキシゲナーゼの誘導阻害が有効な疾患の予防・治
療剤。 - 【請求項5】 プロスタグランジンD2 、プロスタグラ
ンジンJ2 、Δ12 -プロスタグランジンJ2 および 15-
deoxy-Δ12,14 - プロスタグランジンJ2 からなる群よ
り選択される少なくとも1種を有効成分とする、誘導型
シクロオキシゲナーゼおよび誘導型一酸化窒素合成酵素
の誘導阻害が有効な疾患の予防・治療剤。 - 【請求項6】 該疾患が炎症性疾患である請求項3乃至
5に記載の予防・治療剤。 - 【請求項7】 該疾患が敗血症ショックである請求項3
乃至5に記載の予防・治療剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35994797A JPH11189537A (ja) | 1997-12-26 | 1997-12-26 | プロスタグランジン類の医薬用途 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35994797A JPH11189537A (ja) | 1997-12-26 | 1997-12-26 | プロスタグランジン類の医薬用途 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11189537A true JPH11189537A (ja) | 1999-07-13 |
Family
ID=18467120
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35994797A Pending JPH11189537A (ja) | 1997-12-26 | 1997-12-26 | プロスタグランジン類の医薬用途 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11189537A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1170594A2 (en) * | 2000-07-07 | 2002-01-09 | Pfizer Products Inc. | Methods for the identification of compounds useful for the treatment of disease states mediated by Prostaglandin D2 |
WO2002085372A1 (fr) * | 2001-04-19 | 2002-10-31 | Teika Pharmaceutical Co., Ltd. | Medicaments et trousses medicales |
CN103619168A (zh) * | 2011-06-29 | 2014-03-05 | 宾州研究基金会 | 用于治疗白血病的组合物、方法和药盒 |
-
1997
- 1997-12-26 JP JP35994797A patent/JPH11189537A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1170594A2 (en) * | 2000-07-07 | 2002-01-09 | Pfizer Products Inc. | Methods for the identification of compounds useful for the treatment of disease states mediated by Prostaglandin D2 |
EP1170594A3 (en) * | 2000-07-07 | 2003-08-06 | Pfizer Products Inc. | Methods for the identification of compounds useful for the treatment of disease states mediated by Prostaglandin D2 |
WO2002085372A1 (fr) * | 2001-04-19 | 2002-10-31 | Teika Pharmaceutical Co., Ltd. | Medicaments et trousses medicales |
US7816399B2 (en) | 2001-04-19 | 2010-10-19 | Teika Pharmaceutical Co., Ltd. | Medicines and medicinal kits |
CN103619168A (zh) * | 2011-06-29 | 2014-03-05 | 宾州研究基金会 | 用于治疗白血病的组合物、方法和药盒 |
US8802680B2 (en) | 2011-06-29 | 2014-08-12 | The Penn State Research Foundation | Compositions, methods and kits for treating leukemia |
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