JP2014521518A - 缶製造方法および缶製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】コスト有効性に優れた態様で金属カップセクションの軽量化を改善することにある。
【解決手段】カップ側壁を絞る前および缶本体を絞る前に、カップベースの中央部の厚さを減少させるため、2回以上の延伸作業を使用する金属缶本体の製造方法を開示する。2回以上の延伸作業を用いることにより、完成した缶の圧力性能を大きく低下させることなくベースの厚さを制御できることが判明している。この方法を実施するための工具を備えた装置の実施形態も開示する。
【選択図】図2c

Description

本発明は、金属カップの製造に関し、特に、「ツーピース」の金属容器または缶本体の製造に適した金属カップの製造に関するが、これに限定されるものではない。
下記特許文献1には、ツーピース金属容器の製造に使用されるカップセクションから缶本体を製造する慣用的な絞りおよび壁アイロニング(Draw & Wall Ironing:DWI)加工および絞りおよび再絞り(Draw & Re-Draw:DRD)加工が詳細に開示されている(注:米国では、DWIの代わりに、一般にD&Iと呼ばれている)。用語「ツーピース」とは、i)缶本体と、ii)容器を形成すべく、充填された缶本体の開端部に固定される蓋とをいう。
DWI(D&I)加工(特許文献1の図6〜図10に示されている)では、金属シートのロールからスタンピングされた一般に平らな円形ブランクは、パンチの作用を受けて絞りダイにより絞られ、浅い第1段階のカップを形成する。この最初の絞り段階では、ブランクの意図する薄肉化は全く生じない。その後、カップ(カップは、一般に、ぴったり嵌合するパンチまたはラムの端面上に取付けられる)は、カップの側壁の厚さを減少させ、これによりカップの側壁を延伸させて缶本体を形成する目的で、1つ以上の環状壁アイロニングダイを通して押出される。アイロニング加工単独では、第1段階のカップの公称直径にいかなる変化も生じさせない。
図1は、慣用のDWI(D&I)加工から生じる容器(すなわち「缶」)本体の金属分布を示す。図1は、例示に過ぎず、必ずしも縮尺に正確ではない。図1には3つの領域が示されている。
・領域1は、ベース1のアイロニングされていない材料を示す。領域1はブランクの素材ゲージ(ingoing gauge)とほぼ同じ厚さに維持される。すなわち、領域1は、慣用のDWI加工の別の製造作業による影響を受けない。
・領域2は、側壁のアイロニングされた中間セクション2を示し、その厚さ(したがって、必要なアイロニングの量)は、容器本体に要求される性能により決定される。
・領域3は、側壁のアイロニングされた頂セクション3を示す。一般に、缶の製造において、このアイロニングされた頂セクション3は、素材ゲージの厚さの約50〜75%である。
DRD加工(特許文献1の図1〜図5に示す)では、同じ絞り技術を使用して第1段階のカップを形成する。しかしながら、アイロニング加工を用いるのではなく、第1段階のカップは、次に、1以上の再絞り作業を受ける。再絞り作業は、カップの直径を徐々に縮小させ、これによりカップの側壁を延伸させる。殆どの慣用的な再絞り作業は、カップ材料の厚さにいかなる変化を生じさせることを意図するものではない。しかしながら、一般的なDRD加工から製造された容器本体の例を見ると、実際には、完成した容器本体の頂部に幾分かの厚肉化(約10%より大きい)が生じる。この厚肉化は再絞り加工の本質的効果であり、大径のカップから小径のカップに再絞り加工するときに、材料に作用する圧縮効果であると説明される。
小型ダイまたは複合半径方向絞り加工ダイを用いて、カップの側壁の厚さ減少を達成し、絞り加工段階および再絞り加工段階で延伸(stretching)することにより側壁を薄肉化する他の既知のDRD加工があることに留意されたい。
或いは、アイロニングと再絞り加工との組合せを第1段階のカップに使用して、カップの直径および側壁の厚さの両方を減少させることもできる。例えば、ツーピース金属容器(缶)の製造分野では、一般に、容器本体は、ブランクを第1段階のカップに絞り、次に所望の公称直径の容器本体に到達するまで多くの再絞り作業を受け、次に側壁をアイロニングして所望の側壁の厚さおよび高さを得る。
しかしながら、商業的に大規模に用いられるDWI(D&I)およびDRD加工は、これらの方法がカップのベースの材料の厚さ(したがって重量)を低減させるようには作用しないという重大な制限を有する。より詳しくは、絞り加工は、絞られる物体の厚さに減少を生じさせないし、アイロニングは、缶本体の側壁に作用するに過ぎない。本質的に、ツーピース容器の缶本体を製造する既知のDWI(D&I)加工およびDRD加工では、ベースの厚さは、ブランクの素材ゲージの厚さからほぼ不変に維持される。これにより、ベースの厚さを、性能目的で必要とされるよりも遥かに厚くすることができる。
金属パッケージング産業は激しい競争に曝されており、重量低減は輸送コストおよび原料コストを低下させるため根本的な目的である。一般に、食品または飲料製品をパッケージングする缶のような容器は、厚さ0.35mmより小さい単一還元鋼(single reduced steel)から形成される。一例として、0.127mm(0.005インチ(5thou))にアイロニングされた側壁を有する一般的なツーピースの食品用金属容器を製造するコストの約65%は、原料コストに由来する。
米国特許第4095544号(NATIONAL STEEL CORPORATION社)20/06/1978 未公開特許出願PCT/EP11/051666号(Crown Packaging Technology, Inc)
したがって、コスト有効性に優れた態様で金属カップセクションの軽量化を改善することが要望されている。
上記特許文献2には、延伸前の金属シートの素材ゲージより薄いベースを達成するため、金属の損失または廃棄の必要のない、延伸作業を用いる缶本体の製造方法が開示されている。本願は、特許文献2の出願人と同じ出願人のものでかつ特許文献2の発明の改善に係り、延伸加工を2以上の別々の延伸段階で完了することにより延伸加工の有効性を改善するものである。本発明の改善により、カップセクションの前に延伸されなかった部分および/または延伸不足部分の延伸が増大される。
本明細書では、用語「カップセクション」および「カップ」は互換的に使用される。また、用語「容器」および「缶」は、しばしば、同じ製品をいうのに使用される。
本発明によれば、金属缶本体の製造方法が提供され、この製造方法は次の段階すなわち、i)側壁およびこれと一体のベースを備えたカップを用意する工程を有し、該カップは金属シートで形成されており、ベースの環状領域をクランプして、ベースの中央部を備えた包囲部分を形成する工程と、包囲部分の少なくとも幾分かを変形および延伸させて、ベースの表面積を増大させかつベースの厚さを減少させる工程とを更に有する第1延伸段階と、ii)ベースの他の包囲部分を延伸させる工程を有する第2延伸段階とを有し、前記他の包囲部分は第1包囲部分と同じまたは異なる領域でありかつベースの中央部を含み、環状クランプ作業は、延伸中に、金属がクランプ領域の半径方向外側から包囲部分へと流れることを制限または防止でき、iii)材料を、延伸されかつ薄肉化されたベースから外方に引出しかつ移動させることによりカップを缶本体に絞ることからなる絞り作業段階を更に有する。
食品および飲料製品の両方をパッケージングするための缶を製造するパッケージング産業では、軽量材料、例えば0.35mmより薄い単一還元鋼を用いるのが本質的であると考えられている。
一般に、第2延伸作業は、ベースの第2環状領域をクランプして第2包囲部分を形成する工程を有し、該第2包囲部分は、第1包囲部分とは異なる領域を形成するがベースの中央部を含んでおり、第2包囲部分の少なくとも幾分かを変形および延伸させて、ベースの厚さを更に減少させる工程を更に有し、各延伸段階の環状クランプ作業は、延伸中に、金属がクランプされた領域の半径方向外側から包囲部分へと流れることを制限または防止できる。
本発明の方法は、特許文献2の延伸における最小量の領域(すなわち、百分率薄肉化)に焦点を当てたものである。
本発明の方法は、多くの理由から、カップのこの領域の延伸レベルを更に増大させることにある。すなわち、
・この領域は完成した缶の中央にあり、通常、性能的に重要な領域ではない。したがって、金属の厚さも厳格ではなく、本発明により達成されるカップベースの更なる延伸によって、圧力性能を大きく低下させることなく缶の金属含有量を一層低減できる長所が得られる。
・カップベースの延伸領域の周囲ではなく、カップの中央部の付加延伸を用いることにより、カップが本体製造業者により再絞り加工されるときに、より多くの金属が本体壁に移動される。これは、カップベースの周囲がより厚く、より多くの体積の金属が所与の領域に移動されることによる。
・2回以上の延伸作業を行うことにより、ベースの厚さを更に制御できることが判明している。
第1実施形態では、第1延伸作業では、一般に、カップベースの中央部である第1包囲部分のみがドーム状の輪郭に延伸される。この実施形態の第2延伸作業では、第1作業に使用された延伸パンチよりも大きい直径および深い輪郭を有する延伸パンチが使用される。第2作業では、第1延伸作業で形成されたドームを支持して、ドームの外側部分を形成する。したがって、第2包囲部分は、第1包囲部分より大きい面積を有する。第1延伸作業で特にカップの中央部分を加工することにより、特許文献2の単一作業方法に比べ、この領域の材料の延伸が増大される。
他の実施形態では、第1延伸作業は、カップの実質的に全てのベースを延伸する工程および大きい直径および平らな中央部を有する第1延伸輪郭を形成する工程を有している。この実施形態は、ベースの中央部のみをクランプすることにより第2環状領域をクランプする工程を有している。換言すれば、第2環状領域をクランピングする工程は、実質的にベースの中央部のみを備えた第2包囲部分を形成する第2環状領域をクランプすることからなる。この実施形態の2つの延伸作業は、互いに完全に独立している。
本発明の第3方法では、第2延伸作業は、ベースの中央部の反転延伸工程を有している。この実施形態に使用される対応装置は、中央の反転成形機(ドーム成形機)を備えたカップホルダを有し、延伸パンチはこの中央部に対応凹部を有している。この実施形態の方法での延伸は、一般に、2段階で行われるが、プレスは単一移動するだけである。単一移動でドームの内側部分および外側部分の両方を延伸することにより、材料の割れの危険性が増大する。或いは、反転成形工具としての独立駆動コンポーネントと、カップホルダが一体化されていない中央ドーム成形機とを備えた装置を使用するのが好ましい。かくしてこの方法は、第1延伸後、したがってドームの外側部分の完了後に中央ドーム成形機を前進させる工程および反転ドームを延伸成形する工程を有している。
本発明の他の態様によれば、金属シートで形成されかつ側壁およびこれと一体のベースを備えたカップから金属缶本体を製造する装置において、i)カップを取付けることができるカップホルダと、ii)ベースの中央部を備えた第1包囲部分を形成すべく、ベース上に第1環状領域をクランプできる第1クランプリングと、iii)ベースの中央部の少なくとも幾分かを変形および延伸させて、その表面積を増大させかつベースの厚さを減少させることができる第1延伸パンチと、iv)第2環状領域をベース上にクランプできかつ第1包囲部分の面積とは異なる面積を有するが第1延伸作業から延伸された中央部を備えた第2包囲部分を形成する第2クランプリングとを有し、両クランプは、延伸中に、金属がクランプされたそれぞれの領域の半径方向外側から包囲部分に流れることを制限または防止でき、v)第2包囲部分の少なくとも幾分かを変形および延伸させて、ベースの厚さを更に減少させることができる第2延伸パンチと、vi)延伸されかつ薄肉化されたベースの材料を、外方に引出しかつ移動させることによりカップを缶本体に絞る手段を更に有することを特徴とする金属缶本体の製造装置が提供される。
本発明の装置は、上記他の延伸方法の対応工程を実施するための特徴を有している。かくして、一実施形態では、第2延伸パンチは、包囲部分の延伸された部分を支持するための補完支持面を有している。
他の実施形態では、第2クランプリングは、ベースの中央部の半径方向外側の材料が包囲部分に流れることを制限し、第2延伸工具は第1延伸作業から延伸された中央部と接触して、該中央部を更に延伸する。
更に他の実施形態では、延伸パンチが中央凹部を有し、装置がカップホルダの中央突出部を有し、該中央突出部は、使用時に、カップの中央部と接触して中央部を反転延伸する。
この実施形態では、両延伸作業が、同じ装置を用いて単一作動で行われる。或いは、カップホルダの中央突出部は、反転成形工具および中央ドーム成形機として作用する複動プレスを有し、延伸パンチは、より大きい外側ドームを形成できる輪郭を有する。これにより、使用時に、カップの中央部が、より大きい外側ドームの成形中または成形完了後に、別の作業で成形される。
以下、添付図面を参照して、本発明を単なる例示として説明する。
慣用的なDWI加工により製造された従来技術による容器本体を示す側面図である。 本発明の第1実施形態を示す概略側面図である。 第1実施形態の2段階加工の第1作業を示すものである。 第1実施形態の2段階加工の第2作業を示すものである。 本発明の第2実施形態を示す概略側面図である。 第2実施形態の2段階加工の第1作業を示すものである。 第2実施形態の2段階加工の第2作業を示すものである。 単一プレス運動による2段階を示す本発明の第3実施形態の概略側面図である。 複動プレスを備えた図4と同様な概略側面図である。
図1は、慣用的なDWI加工により製造された従来技術の容器本体のベース1および側壁2の材料の分布を示す。
最初の「カッピング」作業は、特許文献2に詳細に開示されているように行われる。カッピング作業は、次のように要約される。
カッピングプレス(カッパとしても知られている)は、絞りパッドと絞りダイとを有している。絞りパンチは絞りダイと同心状に配置され、周囲の切断要素が絞りパッドを包囲している。使用に際し、金属シートのセクションが、絞りパッドと絞りダイとの対向面の間の所定位置に保持される。金属シートとして、0.280mmの素材ゲージの厚さ(tin-going)を有する鋼錫めっき(Temper 4)が使用されている。特許文献2の発明および本発明のいずれも特定のゲージまたは金属に限定されるものではなく、ポリマー被覆された金属をも使用できるが、金属パッケージング産業では、ゲージはできる限り小さく、一般的に、単一還元鋼では0.35mmより小さく維持すべきである。金属シートからディスクが切断され、円形の平ブランクを形成する。
カッパは、絞りダイの成形面に対して平ブランクを徐々に絞ることにより、ブランクからカップ輪郭を成形する。このように成形されるカップは、側壁およびこれと一体のベースを有している。カップの壁厚は、ブランクの素材ゲージの厚さから本質的に変化していない。すなわち、無視できる延伸すなわち薄肉化を生じさせるべきである。この最初の絞り作業から得られるカップは、特許文献2において言及されており、本願でも「第1段階カップ」と呼ぶことにする。
本発明の第1実施形態では、第1段階の工具は、図2aに示すように、カップホルダ10を有し、該カップホルダ10には第1段階カップ5が取付けられている。図2aに示す下方工具は、クランプリング20および延伸パンチ15を有している。
第1作業では、カップホルダ10がカップ5内に入りかつ矢印の方向に前進して、クランプリング20に対してカップベースの外側環状体をクランプする。カップホルダ10は引き続き前進して、クランプリング20によりカップ5を静止延伸パンチ15上に下降させる。図2bは、第1作業の終時での工具の位置を示す。クランプリング20内の包囲領域はカップ面の中央部に一致し、このため、カップホルダ10と、カップ5と、延伸パンチ15との間の相対移動により、カップ面の中央部のみがドーム状の輪郭に延伸される。
カップは第1作業工具のカップホルダから取出され、第2作業用の別のホルダ上に置かれる。2つの段階は、完全に別の工具ステーションで行われる。
図2cには、第2延伸作業に使用される第2段階の工具が示されている。第2作業工具は、延伸パンチ25の直径がより大きくかつ輪郭がより深い点を除き、第1作業工具と同じである。第2カップホルダ29には、延伸された内側ベースすなわちドーム8が取付けられ、かつより大きい内径のクランプリング27に対してクランプされる。図2cの例では、図2cに破線で示すように、第2作業の延伸パンチ25の中央部は、第1作業のパンチ15の輪郭と一致している(但し、輪郭の一致は本質的なものではない)。中央パンチ部分は第1作業カップに形成されたドーム8を支持し、一方、第2作業ドームの外側部分9が形成されている。第2延伸作業は、第1作業と同様に行われる。
この実施形態では、特許文献2に開示の既知の単段延伸加工とは異なり、第1延伸作業は特にカップの中央部を加工するものである。この結果、現在の単一作業方法と比較して、この中央領域を延伸する良い機会が存在する。還元すれば、特許文献2の単一作業延伸により達成される延伸ベースの全弦長と比較して、2段階および2作業後の延伸ベースの全弦長は増大される。
2段階および2作業を用いる本発明の第2実施形態(方法/装置)が図3に示されている。図3aの第1作業工具は前の実施形態と同様にカップ31を保持するカップホルダ30を有しているが、第1延伸パンチ35およびクランプリング40は、図2aの装置の延伸パンチおよびクランプリングより大きい直径(クランプリングの場合は内径)を有するため、第1作業でパンチがカップ31のベース全体を延伸する。パンチ35の輪郭は平らな中央部32を有するため、第1作業は主としてドーム状輪郭の外側部分を延伸する。
図3bは、作業の開始時での第2作業工具を示す。この工具は、内側クランプリング45と、第1作業パンチ35より小さい直径の第2延伸パンチ50とを有している。
最初は、リフタパッド55が、クランプリング45および延伸パンチ50と同じ高さに上昇されている。第1作業により延伸されたカップ31がリフタパッド55上に載っている。第2作業のカップホルダ48が第1作業カップ内に入って、該カップのベースまで前進する。カップホルダ48が前進を続けると、カップホルダは、カップのドームの中央部がクランプリング45に対してクランプされるまで、リフタパッド55を押し下げる。引き続きカップホルダ48が前進すると、クランプリング45およびリフタパッド55は、カップが図3cに示すような最終形状59に延伸されるまで、第2延伸パッド50上でドームの中央部を延伸する。
この方法は2つの作業を必要とするが、カップベースの内側部分および外側部分を延伸するこれらの作用は、互いに完全に独立している。
図4には、2段階延伸をプレスの単一移動に結合した本発明の第3実施形態が示されている。この方法の工具は、図4のカップホルダ60が中央の反転した成形工具64を有しかつ延伸パンチ66がその中央部に対応凹部68を有する点を除き、図3aに示した第2実施形態の第1作業の工具と同じである。
使用に際し、カップホルダ60はカップ内に入って、カップベースの外側環状体72をクランプリング70に対してクランプすべく前進する。カップホルダ60は、クランプリング70とともに前進を続け、これにより、カップを延伸パンチ66上に押下げて、ベースの外側部分74をドーム状に延伸成形することを開始する。
次に、カップホルダ60の反転成形工具(ドーム成形具)64がカップの中央部と接触し、工具が更に前進するとカップベースが延伸されて、ドームの外側部分74の残部および反転成形された形状(反転部)76が同時に成形される。
2段階延伸は、プレスの単一移動によりドームの外側部分および内側部分の両方を延伸することにより行われる点で有利であるが、これはカップベースに割れを生じさせる危険性を増大させる。図5に示す複動プレスおよび工具は、この問題を解決する。
図5では、反転成形工具80が、カップホルダ85に一体化されるのではなく、独立的に駆動されるコンポーネントとして構成されている。作動に際し、反転成形工具80は、延伸パンチによりドームの外側部分74の延伸を行う間または延伸の後に前進され、反転ドーム76を延伸成形することができる。この複動プレスは、2つの独立段階で延伸を行って割れを低減できるという長所を有している。
特許文献の図10には、上記いずれかの実施形態のベースの延伸されかつ薄肉化された材料を、ベースから小径側壁に徐々に引出しかつ移動させる絞り加工の一例が開示されている。この絞り加工は、ベースの延伸領域を平坦化する効果を有する。
以上、本発明を種々の例示としてのみ説明したが、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
1 缶のベース
2 缶の下方側壁
3 缶の上方側壁
5 第1段階のカップ(未成形)
8 第1作業ドーム
9 第2作業ドームの外側部分
10 第1作業のカップホルダ
15 第1作業の延伸パンチ
20 第1作業のクランプリング
25 第2作業の延伸パンチ
27 第2作業のクランプリング
29 第2作業のカップホルダ
30 第1作業のカップホルダ
31 第1作業のカップ
32 パンチの中央部
35 第1作業の延伸パンチ
40 第1作業のクランプリング
45 第2作業のクランプリング
48 第2作業のカップホルダ
50 第2作業の延伸パンチ
55 リフタパッド
59 第2作業のカップ
60 カップホルダおよび上方工具
64 上方工具上の反転成形形状(中央ドーム)
66 下方パンチ工具
68 下方パンチ工具の凹部
70 クランプリング
72 外側ドームの環状体
74 ドームの外側部分
76 反転ドーム(反転成形形状)
80 反転成形用独立工具(中央ドーム成形機)
85 カップホルダ

Claims (11)

  1. i)側壁およびこれと一体のベースを備えたカップを用意する工程を有し、該カップは金属シートで形成されており、
    ベースの環状領域をクランプして、ベースの中央部を備えた包囲部分を形成する工程と、
    包囲部分の少なくとも幾分かを変形および延伸させて、ベースの表面積を増大させかつベースの厚さを減少させる工程とを更に有する第1延伸段階と、
    ii)ベースの他の包囲部分を延伸させる工程を有する第2延伸段階とを有し、前記他の包囲部分は第1包囲部分と同じまたは異なる領域でありかつベースの中央部を含み、
    環状クランプ作業は、延伸中に、金属がクランプ領域の半径方向外側から包囲部分へと流れることを制限または防止でき、
    iii)材料を、延伸されかつ薄肉化されたベースから外方に引出しかつ移動させることによりカップを缶本体に絞ることからなる絞り作業段階を更に有することを特徴とする金属缶本体の製造方法。
  2. 前記2つの延伸段階が2つの独立したプレス作業で行われ、
    i)第1延伸段階は第1プレス作業であり、
    ii)第2延伸段階は第2プレス作業であり、かつ、
    ベースの第2環状領域をクランプして第2包囲部分を形成し、該第2包囲部分は、第1包囲部分とは異なる領域を形成しかつベースの中央部を含んでおり、
    第2包囲部分の少なくとも幾分かを変形および延伸させて、ベースの厚さを更に減少させ、
    iii)各延伸段階の環状クランプ作業は、延伸中に、金属がクランプされた領域の半径方向外側から包囲部分へと流れることを制限または防止できることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 前記第2延伸作業は、包囲部分の延伸部分を支持する工程を更に有することを特徴とする請求項2記載の製造方法。
  4. 前記第2環状領域をクランプする工程は、第1包囲部分より大きい領域を有する第2包囲部分を形成することを特徴とする請求項2または3記載の製造方法。
  5. 前記第2環状領域をクランプする工程は、第2環状領域をクランプすること、および実質的にベースの中央部のみを含む第2包囲部分を形成することからなることを特徴とする請求項2記載の製造方法。
  6. 前記第2延伸作業は、ベースの中央部の反転延伸からなることを特徴とする請求項2記載の製造方法。
  7. 金属シートで形成されかつ側壁(2、3)およびこれと一体のベース(1)を備えたカップ(5)から金属缶本体を製造する装置において、
    i)カップを取付けることができるカップホルダ(10、30)と、
    ii)ベースの中央部を備えた第1包囲部分を形成すべく、ベース(1)上に第1環状領域をクランプできる第1クランプリング(20、40)と、
    iii)ベース(1)の中央部の少なくとも幾分かを変形および延伸させて、その表面積を増大させかつベース(1)の厚さを減少させることができる第1延伸パンチ(15、35)と、
    iv)第2環状領域をベース上にクランプできかつ第1包囲部分の面積とは異なる面積を有するが第1延伸作業から延伸された中央部を備えた第2包囲部分を形成する第2クランプリング(27、45)とを有し、両クランプ(20、27;40、45)は、延伸中に、金属がクランプされたそれぞれの領域の半径方向外側から包囲部分に流れることを制限または防止でき、
    v)第2包囲部分の少なくとも幾分かを変形および延伸させて、ベースの厚さを更に減少させることができる第2延伸パンチ(25、50)と、
    vi)延伸されかつ薄肉化されたベースの材料を、外方に引出しかつ移動させることによりカップを缶本体に絞る手段を更に有することを特徴とする金属缶本体の製造装置。
  8. 前記第2延伸パンチ(25)は、包囲部分の延伸された部分を支持するための補完支持面を有していることを特徴とする請求項7記載の製造装置。
  9. 第1延伸工具(32)の中央部は実質的に平らであることを特徴とする請求項7記載の製造装置。
  10. 前記第2クランプリング(27)は、ベースの中央部の半径方向外側の材料が包囲部分に流れることを制限し、第2延伸工具(25、50)は第1延伸作業から延伸された中央部と接触して、該中央部を更に延伸することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項記載の製造装置。
  11. 第2作業のカップホルダ(48)を有し、第2延伸工具(50)は中央ドーム成形機として機能し、第1作業延伸パンチ(35)は、より大きい外側ドームを成形できる輪郭を有し、これにより、使用時に、カップの中央部は、より大きい外側ドームの成形中または成形完了後に、別の作業で成形されることを特徴とする請求項10記載の製造装置。
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