角質層を含む皮膚の厚さ及び真皮の水和の変化によって、組織貫入デバイスの組織貫入エレメントがランセットであるランシングデバイスのような既存の組織貫入デバイスを持っている異なる使用者の間で異なる結果が生まれることがある。多くの現在のデバイスは、ランセットの貫入の深さを制御するために、調節可能な機械的停止又は制動に頼る。
ばね駆動及びカム駆動の組織貫入デバイスの両者に対する変位速度プロファイルが、図1及び2にそれぞれ示される。速度はランセットの変位Xに対してプロットされる。図1は、ばね駆動デバイスに典型的な変位/速度プロファイルを表す。ランセット出口速度は、ランセットが皮膚10の表面を打つ(hit)まで増加する。皮膚の引張特性故に、それは、ランセット先端が表面20を切り込むまで曲がり又は変形して、ランセットは次いでそれが完全停止30に達するまで、皮膚に貫入するであろう。この点で、変位は最大であり、そして貫入及びランセットの停止の限界に達する。機械的停止はドライバからの過剰なエネルギを吸収し、そしてそれをランセットに移す。ばね中に保存されたエネルギによって、図1におけるコイル(coiled)プロファイルによって見られる通り、反動を起すことができて、複数の穿刺をもたらす。これは追加の組織貫入から、並びに皮膚内への振動エネルギの変位からの不必要な痛み及び神経端部の刺激をもたらす。次いで、ランセットの後退が起こり、そしてランセットは皮膚40を出てハウジング内に戻る。速度は、このタイプのばねで動かされるドライバに対して、如何なる意味のある方法においても制御され得ない。
図2は、カム駆動ドライバに対する変位/速度プロファイルを示し、それは図1のそれに類似しているが、戻り経路がカム構成において特定される故に、一回の作動からの複数回の組織貫入の可能性は全くない。カムに基づくドライバは、ランセット速度対変位の制御のいくらかのレベルを提供し得るが、多くの望ましい変位/速度プロファイルを達成するには十分でない。
有利な点は、電磁エネルギによって動かされるドライバのような、ランセットを駆動するために制御可能な力ドライバを利用することによって達成される。制御可能なドライバは、図3において示されるもののような、望ましい速度対位置プロファイルを達成できる。本発明の実施態様によって貫入の深さを正確に制御する、ランセット貫入及び引き抜き速度を制御する、そしてその結果、皮膚内に切り込むときに知覚される痛みを低減する能力を可能にする。発明の実施態様は、ランセットに送達されるパワーを制御するための位置センサを用いるフィードバックループと共に使用され得る制御可能なドライバを含み、それは皮膚の厚みにおける変動に対して補正するために速度及び変位プロファイルを最適化できる。
痛みの低減は、迅速ランセット切断速度を使用することによって達成できて、それは軽量のランセットの使用によって助けられる。迅速切断によって、効率的な切断のために皮膚の圧縮に加えてランセットが皮膚を打つ(strike)ときに生み出される衝撃波が最小化される。制御可能なドライバが使用される場合、機械的停止の必要性は排除できる。ランセットの非常に軽い質量及び機械的停止の欠如故に、切断中に指に伝えられる振動エネルギは殆ど又は全くない。
その速度対位置プロファイルが図1及び2において示されるもののようなランシングデバイスは一般的には50パーセント、自然の血液(spontaneous blood)を生み出す。また、幾つかのランシングイベントは上手くいかず、そして指を搾乳する場合でさえ、血液が全く生み出されない。自然の血液滴の発生は、血液サンプルを生み出す血液毛細管及び細静脈への到達に依存する。従って、それは切断デバイスの貫入の正しい深さの問題である。皮膚の厚み及び水和の変動故に、皮膚の幾つかのタイプは切断が始まる前により多く変形し、従って貫入の実際の深さはより小さくなり、毛細管及び細静脈のより少ない切断という結果になる。制御可能な力ドライバはランセットの貫入深さを制御でき、従って血液取得の自発性を改善できる。更に、制御可能な力ドライバの使用によって、ランセットのゆっくりした(切断速度よりもゆっくりした)後退が可能にでき、皮膚の表面への血液の自由経路に対して開いた状態で残っている傷チャンネル故に、改善された成功率が得られる。
切られた脈管からの血液が創傷路の上を皮膚の表面に流れるとき、自然の血液産出が起こり、そこでそれは集められそして試験できる。組織の弾性パラメータによって、後退するランセットの後ろで創傷路が無理やり閉じられ得て、血液が表面に到達することが防がれる。しかしながら、ランセットが創傷路からゆっくり引き抜かれ、そのようにして傷が開かれた状態に保持される場合、血液は、それが引き抜かれているとき、ランセットの先端の背後の特許のチャンネル(patent channel)の上まで流れ得るであろう(図10及び11を参照)。従って、傷の内外へのランセットの速度を制御する能力によって、デバイスが皮膚の厚みにおける変化及び皮膚の水和における変化に対して補正することが可能になり、そうすることによって、痛みを最小化しつつ、最大の成功率を有して自発的血液取得が達成される。
電磁ドライバは、ランセットの質量を最小化して、そして機械的停止を使用せずに、ドライバがランセットを所定の深さで停止させることを可能にするランセットに直接、連結できる。あるいは、積極的な位置付けのために機械的停止が必要である場合、停止に移されたエネルギは最小化できる。電磁ドライバは、ランセットの開始タイミング、ランセット位置の追跡、ランセット速度の測定、遠位停止の加速制御、及び皮膚貫入深さの制御を含む全ランシングプロセスの速度対位置プロファイルに亘ってプログラム化された制御を可能にする。
図4を参照すると、組織貫入デバイスの実施態様が示される。組織貫入デバイスは、ランセットを駆動するために使用できる、電磁ドライバの形態の制御可能な力ドライバを含む。本明細書において使用される用語、ランセットは一般的に、好ましくは、血管を切り込んで血液が皮膚の表面へと流れることを可能にする目的で皮膚を穿刺するために使用される、好ましくは、比較的小さい質量を有する如何なる鋭い又は鈍い部材をも含む。本明細書において使用される用語、電磁ドライバは一般的に、電気的に又は磁気的に誘起された力の下で、ランセットのような組織貫入エレメントを動かす又は駆動する如何なるデバイスも含む。図4は、電磁ドライバの実施態様の部分的に展開された図である。ドライバの上半分は組み立てられて示される。ドライバの底半分は、説明目的のために展開されて示される。
図4は、説明目的のために、固定(stationary)ハウジング又はPCボード20から分離された内部絶縁ハウジング22、及び内部絶縁ハウジング22から分離されたランセット24及びフラッグ26組立体を示す。また、四つのリベット18のみが内部絶縁ハウジング22に取り付けられ、そしてPC基板20から分離された状態で示されている。一つの実施態様において、PC基板20及び30中に置かれるPCボードにおける各コイル駆動場コアはリベットを用いて内部絶縁ハウジング22及び32に連結される。
電磁ドライバは、それらがフラッグ上の如何なる正味の横方向の力をも低減又は排除するように、フラッグでバランスが取れた場を生み出すように配置された、ランセット24を有するランセット組立体、及び近位又は駆動端に取り付けられた透磁率フラッグ26、及び電場コイルを有する固定ハウジング組立体を含んでなる固定部分を含む可動部を有する。電場コイルは一般的に、電流がコイルを通過するとき磁場を発生する一つ又はそれ以上の金属コイルである。鉄のフラッグは、ランセットの近位端と、場コイルによって生み出される磁場の間で生み出される磁力を向上させるために、ランセット組立体の表面積を増大させる磁性材料の平らな又は拡大されたストリップである。ランセット及び鉄フラッグの合計質量は、ランセットが皮膚中に停止するときに、衝撃を減じるために、患者の皮膚内への導入のための急速な加速を助けるために、そしてサンプリングサイクル全体を通して迅速な速度プロファイル変化を助けるために最小化できる。
固定ハウジング組立体は、一つのユニット内に組み立てられた、PC基板20、下方内部絶縁ハウジング22、上方内部絶縁ハウジング32、上方PC基板30、及びリベット18から成る。下方及び上方内部絶縁ハウジング22及び32は、ランセット組立体が、ランセットの前進及び後退の方向に直角な側部からドライバ組立体内に摺動できるように、スロットを形成するために解放される。これによって、ランセット組立体の廃棄及び別のランセット組立体を有する固定ハウジング組立体の再使用が可能になり、一方で、交換中の偶発的なランセットのランチ(launch)を避けることが可能になる。
上方及び下方固定ハウジング20及び23中の電場コイルは多層プリント(PC)基板中に製作される。それらは従来通り巻かれたワイヤーコイルでもあってよい。テフロン(登録商標)材料又は他の低摩擦絶縁材料が、下方及び上方内部絶縁ハウジング22及び32を構築するために使用される。各絶縁ハウジングは、電気的絶縁及び物理的保護を供するために、並びにランセットに対して低摩擦ガイドを供するためにPC基板上に取り付けられる。下方及び上方内部絶縁ハウジング22及び32は、ランセット組立体24及び26が、良好な電磁結合のために、PC基板中の駆動場コイルと整列することができるように小さな隙間を有する参照表面を供する。
リベット18は下方内部絶縁ハウジング22を下方固定ハウジング20に連結し、そして磁場を集中させるために役立つフェライト又は鋼材のような磁気的に透過可能な材料で作られる。これは上方内部絶縁ハウジング32及び上方固定ハウジング30の構築を反映する(mirrors)。これらのリベットは電場コイルの極を形成する。PC基板はコイルの複数の層を有して、又は複数の基板を有して製作される。各層は中央孔の周りのらせん軌跡を支持する。互い違いの層は中央から外側に向かって、又は端部から内側に向かってらせんを形成する。このようにして、各層は単純なフィードスルー穴を介して連結し、そして電流は常に同じ方向に走行して(travel)、アンペア回数を合計する。
下方及び上方固定ハウジング20及び30内のPC基板は、リベット18を用いて下方及び上方内部絶縁ハウジング22及び32に連結される。下方及び上方内部絶縁ハウジング22及び32は、ランセット組立体24及び26が走行するスロットの反対側の端部上にリベットの頭をさらす。各リベットからの磁場線はリベットの頭部で磁極を創出する。下方及び上方固定ハウジング20及び30の各々の内のPC基板の反対側上の鉄棒は、リベットを連結することによって磁気回路を完結する。鉄又は鋼材のような磁気的に透過可能な材料で作られた如何なるファスナもリベットの代わりに使用できる。磁気的に透過可能な材料で作られそして馬蹄形に形成される単一部品はリベット/ねじ及び鉄棒組立体の代わりに使用できる。作動中に、ランセット24に取り付けられる透磁率のフラッグ26はスリット及び棒34に分割される。スリットパターンは、コイルがフラッグ26を二つ、三つ又はそれ以上の段階で駆動できるようにジグザグ配列(stagger)される。
下方及び上方PC基板20及び23の両者は、フラッグ26の上下で対称的な磁場が存在するように駆動コイルを含む。PC基板の対にスイッチが入れられるとき、磁場は、フラッグ26上の磁気的に透過可能な鉄のスリットの間の棒の周りに確立される。フラッグの棒は、磁場線の数及び長さを最小化する、そして磁場線を磁極の間に導く位置に磁気的に透過可能な材料を動かす傾向にある力を受ける。
フラッグ26の棒が磁極のリベット18の間に中心をとるとき、フラッグ上に正味の力は全くなく、そして如何なる妨害力も場の不均衡によって抵抗される。デバイスのこの実施態様はソレノイドのそれと類似の原理で働く。ソレノイドは鉄を跳ね返すことによって押すことができない;それらは鉄を最低エネルギ位置内に引きつけることによって引くことができるのみである。フラッグ26の一方の側上のスリット34は、極のピッチの約半分だけ他の側に対してオフセットされる。PC基板上の各側上のコイルを交互に作動することによって、ランセット組立体は固定ハウジング組立体に対して動くことができる。走行の方向は、ランセット組立体上の金属フラッグに隣接するコイルを選択的に動かすことによって確立される。あるいは、三相、三極設計又は1/4ピッチだけオフセットされるくま取りコイルが走行の方向を確立する。図4において示される下方及び上方PC基板20及び30は電場コイルを含み、それは電磁ドライバ全体を制御するためにランセット組立体及び回路要素を駆動する。
上述の実施態様は、普通に入手可能な円形ステッパモータ(Hurst ManufacturingのBA Series motor、又は「電気工学ハンドブック」(Electrical Engineering Handbook)第二版、p1472−1474、1997)に類似した磁気的吸引ドライブの原理を一般的に使用する。これらの参照例は、参照することによって本明細書に組み込まれているものとする。他の実施態様は、ランセット組立体中に電流を誘起するために変化する磁場を使用するリニア誘導ドライブを含むことができる。これらの誘導電流は第一の磁場を跳ね返す第二の磁場を生み出し、そして正味の力をランセット組立体上にかける。リニア誘導駆動は、磁場を極から極に掃引する電気駆動制御を使用して、その前のランセットを推進する。駆動電圧及び周波数を変えて、掃引速度及び場の強さを変えることによって、ランセット組立体にかけられる力及びその速度が制御される。
磁束を集中するためのコイル及びリベットの配置は、場において電流を入れた際に磁場を成長させる誘起設計にも適用される。この成長する磁場によって、導電性フラッグ中に反対の電流が生み出される。リニア誘導モータにおいて、フラッグは導電性であり、そしてその磁気的性質は重要でない。銅又はアルミニウムは導電性フラッグに対して使用できる材料である。銅はその良好な導電性故に、一般的に使用される。反対の電場はコイルの場を跳ね返す反対の磁場を生み出す。コイルのパワーを同調する(phasing)ことによって、コイルの同期速度の真下に沿ってフラッグを押す変動場が生み出すことができる。掃引速度を制御することによって、そして複数掃引を生み出すことによって、フラッグを望ましい速度で動かすことができる。
図5は、直流電流(DC)電源を使用してランセット組立体に取り付けられた鉄芯又はスラグ(slug)を駆動することが可能であるソレノイド型電磁ドライバの別の実施態様を示す。電磁ドライバは、ランセットの経路に沿って三つの別々のコイル、二つの端部コイル及び中間コイル、に分割されるドライバコイルパックを含む。直流電流は、ランセットを前進及び引っ込めるために、コイルに対して互い違いにされる。ドライバコイルパックは三つのコイルを有して示されるものの、如何なる適する数、例えば、4、5、6、7、又はそれ以上のコイルも使用され得る。
固定鉄ハウジング40は、第一のコイル52が、磁極を創出する内径で磁束を集中させる鉄スペーサ50の側部に置かれるドライバコイルパックを含む。内部絶縁ハウジング48はランセット42及び鉄心46をコイルから隔離し、そして円滑な低摩擦ガイド面を供する。ランセットガイド44は更に、ランセット42及び鉄心46を中央に位置付ける。ランセット42は、鉄心46を引きつけるために、第一のコイル52、中間コイル及び第三のコイルの間で電流を互い違いにすることによって伸ばされそして後退させられる。コイルシーケンスを反転し、そしてコア及びランセットをひきつけてハウジング内に戻すことによってランセットが後退させられる。ランセットガイド44もランセット42に取り付けられた鉄心46に対する停止として役立つ、
上で論じられた通り、ばね又はカム駆動方法を採用する組織貫入デバイスは、図6及び7において示される通り、ランセットの前進及び後退の際に、対称的な又は略対称的な作動変位及び速度プロファイルを有する。利用できるランセットデバイスの殆どにおいて、一旦、ランチが開始されると、エネルギが散逸されるまで、保存されたエネルギによって速度プロファイルが決定される。組織内でのランセットの衝撃、後退速度及び滞在時間を制御することは、皮膚の性質の変動に適応しながら高い成功率を達成するため、そして痛みを最小化するために有用であってよい。これらの有利な点は、ランセットが皮膚の表面を穿刺しようと試みる際の、組織滞在時間が皮膚変形量、及び皮膚の水和に基づいて患者毎の皮膚変形における変動に関連することを考慮することによって達成できる。
貫入の速度及び深さを制御する能力は、フィードバックがドライバ制御の統合部分である制御可能な力ドライバの使用によって達成できる。そのようなドライバは、金属又はポリマーのランセット又は如何なる他のタイプの組織貫入エレメントの何れかを制御できる。そのようなドライバの動的制御が、制御された変位プロファイルの実施態様を図示する図8において、及び制御された速度プロファイルの実施態様を図示する図9において図示される。これらは、高調波ばね/質量で動かされるドライバの各々の変位及び速度プロファイルの実施態様を図示する図6及び7と比較される。
低減される痛みは、ランセットのような組織貫入エレメントの、組織内への2メータ/秒のエントリ(entry)より大きい衝撃速度の使用によって達成できる。
細静脈/毛細管メッシュの区分けに従動する低速でのランセットの後退によって、血液が創傷路に溢れること及び表面に自由に流れることが可能になり、そのようにして図10及び11において示される通り、後退中に、チャンネルを開いた状態に保持するためにランセットを使用することが可能になる。創唇の近くでのランセット低速度後退によって、創唇(wound flap)がチャンネルを密封することが防がれる。このように、ランセット後退を直接遅くする能力は、血液取得の成功率を上げることに寄与する。100パーセント近くまでサンプリング成功率を上げることは、グルコース試験片を組み込んだ統合されたグルコースサンプリングモジュールのような統合されたサンプリングモジュール内へのサンプリングと取得の組合せに対して重要であってよい。
図5を参照すると、ランセット及びランセットドライバは、フィードバック制御がランセット変位、速度又は加速に基づくように構成される。実際のランセット経路に関するフィードバック制御情報は、ドライバへのエネルギを調整し、そうすることによってランセットをその前進及び後退の全体を通して正確に制御する図12において図示されたもののようにプロセッサに戻される。ドライバは、直流電流及び交流電流を含む電流によって駆動され得る。
図5において、示された電磁ドライバは、芯とコイルの間の電磁結合を測定することによって、直流電流(DC)電源を用いてランセット組立体に取り付けられた鉄芯又はスラグを駆動することが可能であり、そして鉄芯の位置を決定することも可能である。コイルは鉄芯をドライバコイルパック内に引くために対で使用され得る。コイルの一つにスイッチが入れられるとき、隣接するコイル中の対応する誘導電流が監視され得る。この誘導電流の強さは鉄芯によって供された電磁結合の程度に関連し、そしてコアの位置、ひいてはランセットの相対的な位置を推測するために使用できる。
或る経過時間後、駆動電圧を切ることができて、コイルを緩めることを可能にし、そして次いでサイクルが繰り返される。コイルの間の電磁結合の程度は比例的なDC電圧に電気的に変換され、それはアナログ−デジタル変換器に供給される。デジタル化された位置信号は次いで中央処理装置(CPU)によって処理され、そして望ましい「公称」位置と比較される。次のパワーパルスのレベル及び/又は長さをソレノイドコイルに設定するために、CPUは実際の位置と公称位置の間のエラーを用いる。
別の実施態様において、ドライバコイルパックは、それらが作動又は磁気的に活性な領域を、中間ストロークで中間コイル上に中心付けられる領域で囲むように、ドライバ組立体内に構築される、バランスがとられる検出コイルによって横に並ばれる中央駆動コイルから成る三つのコイルを有する。電流パルスが中央コイルに適用されるとき、隣接する感知コイル中に電圧が誘起される。それらの誘起電圧が互いに反対であるように、感知コイルが一緒に連結される場合、得られる信号はある方向への中間ストロークからの検出に対してポジティブ、別の方向に対してネガティブ、中間ストロークでゼロであろう。この測定技術は線形可変差動変圧器(LVDT)において普通に使用される。ランセット位置は二つの感知コイルの間の電気的バランスを測定することによって決定される。
別の実施態様において、フィードバックループは、固定ハウジング上の固定されたモジュールからランセット組立体上に取り付けられた反射面又は目標までの距離を決定するための、1215 W. Crosby Road、Carrollton、Texas、75006、Optek Technology社製のOPB703のような市販品として入手可能なLED/光トランスデューサーモジュールを使用できる。LEDは、光ビームを反射面に送るための発光素子として働き、それは次いで、光を反射して、光学的センサとして作用する光トランスデューサーに戻す。4ミリメータ程度の範囲を超える距離は、反射光の強度を光トランスデューサーによって測定することによって決定される。別の実施態様において、フィードバックループは、線形可変差動変圧器(LVDT)のコアとして、ランセット軸自身上の磁気的に透過可能な領域を使用できる。
ランセット軸の一部分を選択的にアニールすることによって、又は隣接する感知コイルの間の連結を可能にするために十分な透磁率を備えたフェライトのような、ランセットアセブリにおける部品を含むことによって透過領域が創出される。コイルサイズ、巻き数、駆動電流、信号増幅及び透過領域への空気間隙は設計プロセスにおいて特定される。別の実施態様において、フィードバック制御によって、基本変位プロファイル上に高周波振動を重ねる圧電ドライバが供される。圧電ドライバは改善された切断効率を供し、そしてランセットの前進する端部の高周波数の振動によって生み出されたキャビテーションエネルギを用いてランセットが組織内にその道筋を「切る(saw)」こと、又は細胞を破壊することを可能にすることによって痛みを低減する。圧電ドライバに対する駆動パワーは、デバイスが目標組織と相互作用するときのインピーダンスシフトに対して監視される。得られる力測定は、ランセットの公知の質量と連結して、ランセットの加速、速度及び位置を決定するために使用される。
図12は、プロセッサを使用したフィードバックループの作動を図示する。プロセッサ60はプロファイル62を非揮発性メモリ中に保存する。使用者は、ランシングイベントに対する望ましい状況又はパラメータに関する情報64を入力する。プロセッサ60は、工場での試験を通して決定される又はオペレータによってプログラムされる通りの典型的な又は望ましい組織貫入デバイス性能に基づいて、プロセッサ60にプログラムされている代替ドライバプロファイルの組(set)からドライバプロファイル62を選択する。プロセッサ60は追加の使用者入力情報64に基づくプロファイルのスケーリング又は修正の何れかによってカスタム化し得る。一旦、プロセッサがプロファイルを選択しそしてカスタム化すると、プロセッサ60は、増幅器70を通して電源66からランセットドライバ68へのパワーをいつでも調整できる。プロセッサ60はアナログ−デジタル変換器76を通して位置感知機構74を用いてランセット70の位置を測定する。位置感知機構の例が上の実施態様において述べられた。プロセッサ60はランセットの実際のプロファイルを所定のプロファイルと比較することによってランセットの動きを計算する。プロセッサ60は、ランセットの実際のプロファイルが所定のプロファイルを事前に設定された誤差限界より大きく超えないように、増幅器70を制御する信号発生器78を通してランセットドライバ68に対するパワーを調節する。誤差限界はランセットの制御における正確さである。
ランシングイベントの後、プロセッサ60は、使用者がランシングイベントの結果をランク付けすることを可能にする。プロセッサ60はこれらの結果を保存し、そして個々の使用者に対するデータベース80を構築する。データベース80を用いて、プロセッサ60は、引き続くランシングサイクルに対して個々の使用者へのプロファイルを最適化するために、使用者入力情報64に依存して無痛の程度、成功率、及び種々のプロファイル62に対する血液容量のようなプロファイルの特色(traits)を計算する。これらのプロファイルの特色はランセットの前進及び後退の特徴的段階に依存する。プロセッサ60は各使用者に対するプロファイル62を最適化するためにこれらの計算を使用する。使用者入力情報64に加えて、内部時計は、ランシングイベントに対する時間スタンプを生み出す日時、及び使用者の昼間のニーズを予測するためのランシングイベントの間の時間などの情報のデータベース80における保存を可能にする。データベースは、各使用者に対する情報及び統計、並びに特別な使用者が使用する各プロファイルを保存する。
プロファイルを変えることに加えて、プロセッサ60は、使用者によって要求される血液容量を実現するために必要な適切なランセットの直径及び幾何形状を計算するために使用される。例えば、使用者が1〜5マイクロリッタの容量の血液を要求する場合、プロセッサは、これらの結果を達成するために200ミクロンの直径のランセットを選択する。ランセットの各クラスに対して、直径及びランセット先端幾何形状の両者は、所定の変位対速度プロファイルに基づいて達成され得る血液容量の上下限に対応するために、プロセッサ中に保存される。
ランシングデバイスは、使用者により適切に適するよう、ランシングイベントの始め及び終わりに使用者が情報を取るよう駆り立てる能力がある。目標は、異なるプロファイルに対して変更するか又は既存プロファイルを修正するかの何れかである。一旦、プロファイルが設定されると、ランセットを駆動する力はプロファイルに従動するための前進及び後退中に変えられる。ランシングデバイスを用いるランシング方法は、プロファイルの選択、選択されたプロファイルによるランシング、ランシングサイクルの各機能的段階に対するランシングプロファイルの特色の決定、及び引き続くランシングイベントに対するプロファイルの特色の最適化を含む。
図13は、望ましい変位及び速度プロファイルを達成するために、ランセット上のランセットドライバによってかけられる力を図示している力対時間のグラフ上でのランセットの前進及び後退の特徴的段階の実施態様を示す。特徴的段階は、ランセットが皮膚内に縦方向に前進させられるランセット導入段階A−C、ランセットがその縦方向の動きを停止してその最大深さに達し、そして比較的に固定状態になるランセット静置段階D、及びランセットが縦方向に皮膚から後退させられるランセット後退段階E−Gである。ランセット後退段階E−Gの継続期間は、ランセット導入段階A−Cの継続期間よりも長く、後者は、今度はランセット静置段階Dの継続期間より長い。
導入段階は更に、ランセットが皮膚に向かって空気を通して縦方向に動いているときであるAより前のランセットランチ段階、ランセットの遠位端が皮膚と初期の接触を起こすときであるAの開始時の組織接触段階、皮膚が水和及び厚さに関連するその弾性に依存して曲がるときである組織変形段階A、及びランセットが皮膚上の屈曲点を打ち、そして皮膚Bを切断し始め、そしてランセットが皮膚Cを切り込み続けるときを含む、組織ランシング段階を含む。ランセット静置段階Dは皮膚内へのランセットの貫入の限界である。痛みは、使用者毎に変わるであろう変形段階A及び屈曲点切断Bの継続期間に無関係に、ある貫入深さまで、迅速なランシングがあるように、ランセット導入段階A−Cの継続期間を最小化することによって低減される。成功率は、屈曲点Bから、ランセット静置段階Dにおける貫入の限界までの正確な貫入の深さを測定することによって上がる。この測定によって、ランセットが常に、又は少なくとも信頼できるように、皮膚の表面下の公知の距離である毛細管床を打つことが可能になる。
ランセットの後退段階は更に、皮膚が創傷路からランセットを押し出すときである第一の後退段階E、ランセットが除去された状態になり始め、そして皮膚の反対方向に引くときである第二の後退段階F、及びランセットが皮膚から自由になるときであるランセット退出段階Gを含む。第一の後退は、ランセットを指から引き離すとき、ランセットを皮膚から引き出すために減少する力をかける結果である。第二の後退は、ランセットを除去された状態にするために反対方向に力をかける結果である。血液が創傷路を流れ上がるとき、創傷路を開いた状態に保持するために制御が必要である。血液容量は、ランセット後退段階E−G中に、使用者の皮膚の性質に依存してその何れが使用者毎に変わり得る、第一の後退段階E又は第二の後退段階Fに対して要求される力とは無関係に、ランセットを引っ込めるため均一な速度を使用することによって増大される。
図14は、三つのファセット幾何形状を有する、グルコース試験用の標準の工業的ランセットを示す。第一のファセット110を創出するために、直径114の棒を取り、そして第一の軸の面に対して8度回すことによって、ランセット116が生み出される。第二のファセット112は次いで、針の軸を15度回すことによって、次いで第一のファセットの面を、12度を超えて回すことによって生み出される。他の可能な幾何寸法は、軸直径、角度、及び併進運動距離のようなランセットの製造パラメータを変えることを要求する。
図15は、痛みを低減すること、血液容量及び成功率において重要な因子であるファセット及び先端の幾何形状120及び122、直径124並びに深さ126を図示する。ランセットによる追加の切断は、せん断パーセント又は第二のファセットに対する第一のファセットの比を増すことによって達成されることは公知であり、それによって、ランセットの直径の低減と組み合わされるとき、皮膚の引き裂き及び貫入力が減じられ、そしてより少ない痛みの知覚が与えられる。しかしながら、血液取得の全体的な成功率は、ファセットの存在、ファセットの幾何形状及び皮膚解剖(skin anatomy)の存在を含む種々の因子にも依存する。
図16は、制御されたランセットの後退に対するランセットの変位対時間プロファイルの別の実施態様を示す。図17は、図16の制御された後退に対するランセットの速度対時間プロファイルを示す。ランセットドライバは、ランセットが血管を切断、血液が130にたまる(pool)ことを可能にするとき、そしてランセットが後退するとき、血液が創傷路を溢れさせることを可能にするよう後退速度を制御すること、一方で、血液が傷から出ることを可能にするために、創唇がチャンエル132をシールすること防ぐことを含む、ランシングサイクルにおける幾つかの工程でのランセット変位及び速度を制御する。
血液が皮膚表面に逃げるのを可能にするように、傷を開いた状態に保持するため、組織貫入エレメントのゆっくりした後退に加えて、他の方法が考えられる。図18は、ランセット先端上の後退可能なコイルを含む、本発明の実施態様の使用を示す。渦捲状のらせん又はチューブ140は、ランセットが皮膚150を貫入するとき、らせん又はチューブ140がランセット116の軌跡を従動するように、自由に摺動すべく、ランセット116に対して外側に取り付けられる。らせんはランセット144上のファセット及び軸の周りに巻き付けられてランシングサイクルを始める。ランセットが皮膚を貫入するとき、らせんはランセット146の周りの創傷路に筋交いを付ける。ランセットが後退するとき、らせんは創傷路を開いた状態に筋交いを付けるよう留まり、創傷路が潰されること及び表面皮膚フラップが閉じる148ことを防ぐ。これによって血液152が溜まり、そしてチャンネルを皮膚の表面に流れ上がることを可能にする。らせんは、次いで、ランセットが、らせんの直径が創傷路の直径より小さくなる点にらせんが減圧され、そして皮膚から除去された状態になる点に、ランセットがらせんを引くとき、後退させられる。
チューブ又はらせん140は、ステンレス鋼材、ニッケルチタン合金などのような血管形成ステントにおいて普通に使用されるタイプのワイヤー又は金属で作られる。あるいは、チューブ又はらせん140又はリングは、皮膚中に泊まる(lodge)ようになることによって創傷路に筋交いを付ける生分解性材料で作ることができる。生分解は挿入の数秒又は数分以内で完了され、血液が溜まりそして創傷路を流れ上るための適切な時間を可能にする。生分解は皮膚からの熱、水分又はPHによって活性化される。
代わりに、傷は、ランセットを粉末又は他の粒状物質で被覆することによって解放状態に保持され得るであろう。粉末は創傷路を被覆し、そしてランセットが引き抜かれるとき、それを解放状態に保持する。粉末又は他の粒状物質は、血液が多孔質間隙を通って流れることを可能にしつつ、チャンネルを開いた状態に保持するミクロスフェア又はカプセルの粗い床であってよい。
別の実施態様において、傷は両頭(two-part)針、「U」の形をした外側部分、及び「U」を充填する内側部分を使用して開いた状態に保持され得る。傷を創出した後、内部針は引き抜かれて、楓の木から樹液を引き抜くために普通に使用されるプラグのようなものよりもむしろ開いたチャンネルを残す。
図19は、傷を覆うためのエラストマーを利用した血流を助けるための方法及びデバイスの更なる実施態様を示す。この方法は、指158の表面を被覆しそして伸ばすことによって創傷路156被覆する又は筋交いを付けるために、シリコンゴムのようなエラストマー154を使用する。エラストマー154はランシング前に指158に適用される。少し遅れて、(示されていない)ランセットは次いで、160において見られるように、エラストマー154、及び指158の表面上の皮膚を貫入する。血液は溜まって表面へと上がることが可能になり、一方、162及び164において見られる通り、エラストマー154は創傷路156に筋交いを付ける。ランシング後の血液取得の成功率を増すための他の公知の機構は、第一回目が不成功である場合、真空を創出する、傷を吸引する、接着片を適用する、切断しながら振動する、又は第二のランシングを開始することを含み得る。
図20は組織貫入デバイス、より具体的には、組織貫入エレメントに連結される制御可能なドライバ179を含むランシングデバイス180の実施態様を図示する。ランシングデバイス180は近位端181及び遠位端182を有する。遠位端182に、駆動カップラ185によって細長いカップラ軸184に連結されるランセット183の形態で組織貫入エレメントがある。細長いカップラ軸184は近位端186及び遠位端187を有する。ドライバコイルパック188はランセット183の近位で細長いカップラ軸184のそばに配列される。位置センサ191は細長いカップラ軸184の近位部分192のそばに配列され、そして電導体194はプロセッサ193を位置センサ191に電気的に連結する。位置センサ191によって制御されたドライバコイルパック188によって駆動される細長いカップラ軸184及びプロセッサ193は制御可能なドライバ、具体的に、制御可能な電磁ドライバを形成する。
図21を参照すると、ランシングデバイス180が部分縦断面においてより詳細に見られ得る。ランセット183は、ランセット183の遠位端196でとがった点を有する近位端195及び遠位端196、並びにランセット183の近位端195に配列されたドライブヘッド198を有する。ランセット軸201はドライブヘッド198と尖った点197の間に配列される。ランセット軸201はステンレス鋼、又は如何なる他の適する材料又は合金でも構成され得て、そして約0.1〜約0.4ミリメータの横断寸法を有する。ランセット軸は約3ミリメータ〜約50ミリメータ、具体的には、約15ミリメータ〜約20ミリメータの長さを有することができる。ランセット183のドライブヘッド198は、ドライブヘッド198の遠位のランセット軸201の横断寸法より大きい横断寸法を有する拡大された部分である。この構成によってドライブヘッド198が駆動カップラ185によって機械的に捕捉されるが可能になる。ドライブヘッド198は約0.5〜約2ミリメータの横断寸法を有することができる。
磁性部材202は細長いカップラ軸184の遠位部分203上の駆動カップラ185の近位の細長いカップラ軸184に固定される。磁性部材202は磁性部材202の長さに伸びている軸ルーメン204を有する、磁性材料の実質的に円筒状のストリップである。磁性部材202は、駆動コイルパック188内に配列された低摩擦、恐らく潤滑性のポリマーガイドチューブ205’の軸ルーメン205内で磁性部材202が容易に摺動することを可能にする外部横断寸法を有する。磁性部材202は、約1.0ミリメータ〜約5.0ミリメータ、具体的には、約2.3ミリメータ〜約2.5ミリメータの外部横断寸法を有することができる。磁性部材202は約3.0〜約5.0ミリメータ、具体的には、約4.7〜約4.9ミリメータの長さを有することができる。磁性部材202は、鉄の鋼(ferrous steel)、鉄、フェライトなどのような鉄合金などを含む種々の磁性材料で作られ得る。磁性部材202は、接着剤又はエポキシ接合(epoxy bonding)、溶接、クリンプを付ける又は如何なる他の適切な方法を含むも種々の方法によって細長いカップラ軸184の遠位部分203に固定され得る。
磁性部材202の近位で、光学的エンコーダーフラッグ206は細長いカップラ軸184に固定される。光学的エンコーダーフラッグ206は位置センサ191においてスロット207内を動くように構成される。位置センサ191のスロット207は、位置センサ191の第一の本体部分208と第二の本体部分209の間に形成される。スロット207は約1.5ミリメータ〜約2.0ミリメータの分離幅を有することができる。光学的エンコーダーフラッグ206は、約14〜約18ミリメータの長さ、約3〜約5ミリメータの幅、及び約0.04〜約0.06ミリメータの厚みを有することができる。
光学的エンコーダーフラッグ206は位置センサ本体部分208及び209上に又はその中に所定の方法で配列されたLEDによって生み出された種々の光学ビームと相互作用する。位置センサ191のLEDによって生み出された光学ビームの相互作用によって、実質的に高度の解像度を用いて、位置センサ191に対する光学的フラッグ206の縦方向の位置を示す信号が生み出される。位置センサ191の解像度は、1インチ当たり約200〜約400サイクル、具体的には、1インチ当たり約350〜約370サイクルであってよい。位置センサ191は、0〜約120、000Hzの速度応答時間(位置/時間解像度)を有し得て、ここで、フラッグの一つの明暗縞が1ヘルツ、つまり毎秒当たりのサイクルを構成する。磁性部材202、ドライバコイルパック188、及び位置センサ191に対する光学エンコーダーフラッグ206の位置は、光学的エンコーダー191がランセットのパワーストロークの全長に亘るランセット183についての正確な位置情報を供し得るようなものである。
位置センサ191に適する光学的エンコーダーは、線形光学増分(linear optical incremental)エンコーダー、Agilent Technologies社製のモデルHEDS9200である。モデルHEDS9200は、約20〜約30ミリメータの長さ、約8〜約12ミリメータの幅、及び約9〜約11ミリメータの高さを有することができる。図示された位置センサ191は線形光学増分エンコーダーであるものの、他の適切な位置センサ実施態様も、それらが必要な位置解像度及び時間応答を有すれば、使用され得るであろう。HEDS9200は二つのチャンネルデバイスであり、ここでチャンネルは互いに位相が90度ずれている。これによってフラッグの基本サイクルの4倍の解像度がもたらされる。これらの直交出力によって、プロセッサがランセット走行の方向を決定することが可能になる。他の適切な位置センサは、容量性エンコーダー、上で論じられた反射位置センサのようなアナログ反射センサなどを含む。
カップラ軸ガイド211はランシングデバイス180の近位端181に向かって配列される。ガイド211は細長いカップラ軸184の近位部分192を摺動するように受け取るために、ガイド211中に配列されるガイドルーメン212を有する。ガイド211は細長いカップラ軸184を光学的エンコーダー191の磁性部材202中に、水平にそして垂直に中心に位置付けるよう保持する。
ドライバコイルパック188、位置センサ191、及びカップラ軸ガイド211は全てベース213に固定される。ベース213は、ドライバコイルパック188、位置センサ191、及びカップラ軸ガイド211と縦方向に一緒に伸びる。ベース213は金属又はポリマーの矩形ストリップの形態を取ることができるか又はランシングデバイス180の種々の部品受け取るように構成される凹部を有するもっと精巧なハウジングであってよい。
上で論じたように、磁性部材202はドライバコイルパック188の軸ルーメン205内を摺動するように構成される。ドライバコイルパック188は第一のコイル214、第一のコイル214と第三のコイル216の間で軸方向に配列される第二のコイル215及び第四のコイル217を含む。第一のコイル214、第二のコイル215、第三のコイル216及び第四のコイル217の各々は軸ルーメンを有する。第一から第四のコイルまでの軸ルーメンは他のコイルの軸ルーメンと同軸であるように構成され、そして全体としてドライバコイルパック188の軸ルーメン205を一緒に形成する。軸方向に隣接しているコイル214〜217の各々は、デバイス180のランシングサイクル中に、コイル214〜217の磁気回路の完成を増大する磁気ディスク又はワッシャ218である。図21の実施態様の磁気ワッシャ218は、鉄を含む鋼で作られるが、鉄又はフェライトのような如何なる他の適する磁性材料でも作られ得るであろう。ドライバコイルパック188の外部シェル189も、コイルの周り及びワッシャ218の間に磁気経路を完成するために、鉄又はフェライトで作られる。磁気ワッシャ218は約4.0〜約8.0のミリメータのドライバコイルパック188の外径と釣り合う外径を有する。磁気ワッシャ218は約0.05〜約0.4ミリメータの、具体的には、約0.15〜約0.26ミリメータの軸厚みを有する。
十分な数の巻きが達成されるまで、細長い(elongate)電導体221を軸ルーメンの周りに包む又は巻くことによって、コイル214〜217が形成される。細長い電導体221は一般的に、約0.06ミリメータ〜約0.88ミリメータ、具体的には、約0.3ミリメータ〜約0.5ミリメータの小さい外部横断寸法を有する絶縁された固体銅ワイヤーである。一つの実施態様において、32ゲージの銅ワイヤーがコイル214〜217に対して使用される。ドライバコイルパック188のコイル214〜217の各々に対する巻き数は、コイルのサイズと共に変わり得るが、幾つかの実施態様に対して、各コイル214〜217は約30〜約80巻き、具体的には、約50〜約60巻きを有することができる。各コイル214〜217は約1.0〜約3.0ミリメータ、具体的には、約1.8〜約2.0ミリメータの軸長さを有することができる。各コイル214〜217は約4.0〜約2.0ミリメータ、具体的には、約9.0〜約12.0ミリメータの外部横断寸法又は直径を有することができる。軸ルーメン205は約1.0〜約3.0ミリメータの横断寸法を有することができる。
幾つかのドライバコイル188実施態様において、コイルが作動されるときのコイルのそれに類似した磁場を生み出す永久磁石を有する一つは又はそれ以上のコイルを交換することは有利であってよい。特に、幾つかの実施態様において、第二のコイル215、第三のコイル216又は両者を永久磁石で置き換えることは望ましいかもしれない。また、固定された磁石に磁性部材(Adams magnetic Productsの23A0002可撓性磁石材料(800)、747−7543)に対するゼロに合わせる(zeroing)機能を供するために、コイルドライバパックの近位端で又はその近くに永久磁石を位置付けることは有利であってよい。
図20及び21は、ドライバコイルパック188の近位端上に配列された棒磁石219を示す。図21において示される通り、棒磁石219は、磁性部材202の走行経路に隣接して配列された一端を有するように配置され、そして棒磁石219に対して中心位置において磁性部材202を引きつけるように構成された極性を有する。尚、ポリマーガイドチューブ205’は、磁性部材202の外面から棒磁石219の内側に向かう半径方向の面を絶縁するために近位に伸びるように構成され得る。この配置によって、電源225からの電気エネルギを消費せずに、棒磁石219がひいては細長いカップラ軸184がゼロ点又は静止位置に引きつけられ、そしてその中に保持されることが可能になる。
細長いカップラ軸184及びランセット183に対して固定されたゼロ点又は出発点を有することは、ランセット183の貫入の深さ、並びに他のランシングパラメータを適切に制御するために重大なはずである。これは、制御可能なドライバに対する深さ貫入制御の幾つかの方法が細長いカップラ軸184及びランセット183の加速及び変位を測定する故である。目標組織からのランセット先端196の距離が既知である場合、ランセットの加速及び変位は既知でありそしてランセットの始動位置は公知であり、組織接触の時間及び位置並びに貫入の深さはプロセッサ193によって決定され得る。
棒磁石219に対する如何なる数の構成も、上で論じられた目的のために使用され得る。特に、(示されていない)第二の永久棒磁石が、互いに補完するように構成される二つの棒磁石の磁場を用いてドライバコイルパック188の近位端に追加され得るであろう。また、ディスク磁石219’は、図22において説明される通り、使用され得るであろう。ディスク磁石219’は、最近位コイル217とディスク磁石219’の間に配列された、そしてディスク磁石219’を最近位コイル217の近位端から離して位置付けるポリマー非磁性ディスク219”を有するドライバコイルパック188の近位端に配列されて示される。ポリマー非磁性ディスクスペーサ219’’は磁性部材202がドライバコイルパック188の最近位コイル217の少し近位でゼロつまり始動位置に中心に置くことができるように使用される。これによって、ランシングサイクルの前方駆動部分において受動的である代わりに、ランシングサイクル開始時に磁性部材が最近位コイル217によって引きつけられることが可能になる。
ポリマー非磁性ディスク219’’の内部ルーメンは、磁性部材202がそこを通って軸方向に通過することを可能にするように構成され得て、一方、ディスク磁石219’の内部ルーメンは、細長いカップラ軸184が通過することを可能にするものの、磁性部材202が通過するほど十分に大きくないように構成され得る。これによって、磁性部材202がディスク磁石219’に引きつけられ、そして磁性部材202の近位面がディスク磁石219’の遠位面に抗して静止するようになる結果となる。この配置によって、磁性材料ひいてはランセットに対する、積極的でそして繰り返し可能な停止が供される。類似の構成は上で論じられた棒磁石219に対しても使用され得るであろう。
一般的に、ドライバコイルパック188のコイル214〜217中の電流が切られるとき、軟鉄で作られた磁性部材202は棒磁石219又はディスク磁石219’に引きつけられる。ドライバコイルパック188及び棒磁石219、又はディスク磁石219’又は如何なる他の適する磁石の磁場も、コイル214〜217中に電流が流されるとき、コイル214〜217からの漏れ磁場が棒磁石219又はディスク磁石219’と同じ極性を有するように構成できる。これによって磁性部材202を棒磁石219又はディスク磁石219’から跳ね返す、そして磁性部材202をコイル214〜217に引きつける磁力がもたらされる。この構成に対して、棒磁石219又はディスク磁石は、このように、加速に抗して働くのとは反対に、磁性部材202の加速を助けるために作用する。
電導体222はドライバコイルパック188を、電導体194によってプロセッサ193連結される位置センサ191からの位置フィードバックに基づいて、ドライバコイルパック188のコイル214〜217中の電流を制御するよう構成できる又はプログラム化できるプロセッサ193と連結させる。電源225はプロセッサ193に電気的に連結され、そしてプロセッサ193を作動しそしてドライバコイルパック188を動かすための電気的パワー供する。電源225はプロセッサ193に直流パワーを供する一つ又はそれ以上の電池であってよい。
図23は、駆動カップラ185の横断面図をより詳細に示す。ランセット183のドライブヘッド198は、ドライブヘッド198を捕捉し、一方でドライブヘッド198が駆動カップラ185内に横方向に挿入されそして最小の機械的抵抗で横方向に後退されることを可能にする、第一の保持レール226及び第二の保持レール227を用いて駆動カップラ185内に配列される。駆動カップラ185は、場合によっては、ドライブヘッド198が横方向に挿入されそして後退されることを可能にするが、外部にかけられた横方向の力の所定の量が、駆動カップラ185の横方向方開口部231に向かって欄セット183のドライブヘッド198にかけられない限り、ドライブヘッド198が駆動カップラ185から落ちることを防ぐスナップランプ228を含むように構成され得る。図27は、横方向方開口部231並びに保持レール226及び227中に配列されたスナップランプ228を示している駆動カップラ185のカップラ開口部231の拡大側面図を示す。図28は駆動カップラ185の拡大正面図を示す。駆動カップラ185はステンレス鋼、チタン又はアルミニウムのような合金で作られ得るが、ABS、PVC、ポリカーボネートプラスチックなどのような、適するポリマーでも作られ得る。駆動カップラは両側で開かれ得て、駆動ヘッド及びランセットが通過することを可能にする。
図24を参照すると、磁性部材202は細長いカップラ軸184の周りに配列されそしてそこに固定される。磁性部材202は第四のコイル217の軸ルーメン232内に配列される。ドライバコイルパック188はベース213に固定される。図25において、位置センサ191は、隙間又はスロット207によって分離された位置センサ191の第一及び第二の本体部分208及び209を有する位置センサ191の第二の本体部分209の反対に配列された位置センサ191の第一の本体部分208を用いてベース213に固定される。細長いカップラ軸184は位置センサ191の第一及び第二の本体部分208と209の間の隙間207内に摺動可能に配列される。光学的エンコーダーフラッグ206は細長いカップラ軸184に固定され、そして位置センサ191の第一の本体部分208と第二の本体部分209の間に配列される。図26を参照すると、細長いカップラ軸184の近位部分192はカップラ軸ガイド211のガイドルーメン212内に配列される。カップラ軸ガイド211のガイドルーメン212は、ランシング軸180中のパワーストローク中に細長いカップラ軸184の摩擦を減じるために、テフロン(登録商標)のような低摩擦材料で裏打ちされ得る。
図29A〜29Cを参照すると、作動サイクル中の上で論じられたランシングデバイス180のランセット183の制御において、プロセッサ193によって実行される作動を述べる流れ図が示される。図30〜36は、ランセットデバイス183の作動サイクル中の、ランセット183と患者の指234の皮膚233の相互作用を図示する。プロセッサ193は関連するメモリ中に保存されるプログラミング工程の制御下で作動される。プログラミング工程が実行されるとき、プロセッサ193は本明細書において述べられ通りの作動を実行する。このように、プログラミング工程は、図29の流れ図に関して述べられた作動の機能を実行する。プロセッサ193は、ハードドライブ又はフラッシュROMのような直接アクセスプログラム製品保存デバイス、フロッピディスクのような取り外し可能なプログラム製品保存デバイス、又は当業者に公知の如何なる他の方法をも含む記録可能な媒体中に保存されたプログラム製品からプログラミング工程を受け取り得る。プロセッサ193はまた、ネットワーク接続又はシリアル接続を通してプログラミング工程をダウンロードできる。
図29Aにおける番号245が付けられた流れ図によって表される第一の作動において、プロセッサ193は、運動中に制御可能なドライバ179の軌道を追跡するためにそれが使用する変数のような、ランセットの制御に関してメモリ中にそれが保存する値を初期化する。例えば、プロセッサは時計の値をゼロに、そしてランセット位置値をゼロに又は何らかの他の初期値に設定し得る。プロセッサ193は、如何なる残留フラックスもコイルから散逸することを可能にするように、約10ミリ秒の間のような時間だけ、コイルパック188から取り除かれるパワーも引き起こし得る
初期化プロセスにおいて、プロセッサ193もランセットが初期の固定位置を呈する(assume)ことを引き起こす。初期の固定位置にあるとき、ランセット183は、上の図21において示された、磁性部材202が実質的にドライバコイルパック188の第四のコイル217に隣接して位置付けられるように、一般的には完全に後退させられる。プロセッサ193は第四のコイル217に電流を脈動させることによって、ランセット183を初期の固定位置に動かすことができ、そうすることによってランセット183上の磁性部材202を第四のコイル217に引きつける。あるいは、磁性部材は、図20及び21において説明された組織貫入デバイスに関して、棒磁石219、ディスク磁石219’又は上で論じられた通りの如何なる他の適する磁石のような永久磁石のせいで、初期の固定位置に位置付けられ得る。
番号247が付けられた流れ図ボックスによって表される次の作動において、プロセッサ193は、コイルパック188中の一つ又はそれ以上のコイルを動かす。これによってランセット183が皮膚目標233に向かって動き始める(つまり、ゼロでない速度を達成する)ことになるべきである。プロセッサ193は次いで、番号249が付けられた決定ボックスによって表される通り、ランセットが実際に動いているか否かを決定する。プロセッサ193は、位置が時間を超えて変わるか否かを決定するために、ランセット183の位置を監視することによってランセット183が動いているか否かを決定できる。プロセッサ193は、そこでエンコーダー191がランセット183の空間位置を示すプロセッサ193に連結された信号を生み出す細長いカップラ軸184に固定された光学的エンコーダーフラッグ206の位置を追跡することによってランセット183の位置を監視できる。
(動きのイベントなしでのタイムアウトを介して)、ランセット183が動いていない(決定ボックス249からの「No」の結果)とプロセッサ193が決定する場合、次いで、プロセスは、番号253が付けられた流れ図ボックスによって表される作動に進み、ここで、プロセッサはエラー条件が存在すると考える。これは、システム中の何らかのエラーが原因でランセット183が動かないことを意味する。エラーは機械的な、電気的な又はソフトウエアに関連されたものであってよい。例えば、何かがその動きを妨害している故に、ランセット183は固定位置に貼り付け得る。
プロセッサ193が、ランセット183が実際に動いている(番号249が付けられた決定ボックスからの「Yes」の結果)と定めた場合、プロセスは次いで番号257が付けられた流れ図ボックスによって表される作動に進む。この作動において、プロセッサ193によって、ランセット183が加速され続けそして図30における矢印235によって示された通り、皮膚目標233に向かってランチすることになる。プロセッサ193は、コイル214〜217が磁性部材202上に吸引磁気的ランチ力をかけ、そして磁性部材202及びランセット183を望ましい方向に動かすために、そこに連結させるように、適切なコイル214〜217に電流を送ることによってランセット183の加速を達成できる。例えば、プロセッサ193は、第三のコイル216が磁性部材202を引きつけその結果、第四のコイル217に隣接する位置から第三のコイル216に向かって磁性部材202を動かすように、第三のコイル216に電流を送ることになり得る。プロセッサは、好ましくは、コイル214〜217に対する磁性部材202の位置に基づいて、どのコイル214〜217が磁性部材202をひきつけるために使用されるべきかを決定する。このようにして、プロセッサ193はランセットの動きを制御する制御された力をランセットに供する。
この作動中に、プロセッサ193は周期的に又は連続的にランセット183の位置及び/又は速度を監視する。ランセット183が患者の皮膚233又は他の組織に向かって動くとき、ランセット183の速度及び位置を追跡する際、プロセッサ193はコイル214〜217への電流を監視しそして調節もする。幾つかの実施態様において、プロセッサ193はランセット183が望ましい方向及び加速に従って動き続けるように、電流をコイル214〜217に流す。この場合、プロセッサ193は適切なコイル214〜217に電流を流し、それによってランセット183が患者の皮膚233の方向に連続して動き続けることになり又は他の組織が貫入されることになるであろう。
プロセッサ193は、磁性部材202が特別なコイル214〜217を過ぎて動くとき、次いでプロセッサ193はそのコイル214〜217への電流を遮断し、そして次いで磁性部材202を引きつけるであろう別のコイル214〜217に電流を流し、そして磁性部材202が望ましい方向に連続して動くようにするよう、コイル214〜217の間に引き続いて電流を移行(transition)し得る。コイル214〜217の間に電流を移行する際、プロセッサ193は、望ましい速度又は加速を達成するために、ランセット183の速度、コイル214〜217に対するランセット183の位置、コイル214〜217の数及びコイル214〜217に流される電流のレベルを含む種々の因子を考慮できる。
次の作動において、図31において示される通り、そして図29Bにおいて、図29Bにおける番号265が付けられた決定ボックスによって表される通り、プロセッサ193は、切断又はランセット183の遠位先端196が患者の皮膚233に接触したか否かを決定する。プロセッサ193は、ランシングサイクルの初期化前に測定されるパラメータに依存する幾つかの方法、及び如何なる所定のパラメータも使用しないランシングサイクル中の使用に適合可能な他の方法をも含む種々の方法によってランセット183が皮膚目標233に接触したか否かを決定し得る。
一つの実施態様において、プロセッサ193は、ランセット183の先端がその初期位置に対して所定の距離を動いたとき、皮膚が接触されたと決定する。ランセット183の先端961から皮膚目標233までの距離がランセット183の動きの開始の前に既知である場合、ランセット183の初期位置は固定されそして既知であり、そしてランセット183の動き及び位置は、ランシングサイクル中に正確に測定され得て、次いで、ランセット接触の位置及び時間が決定できる。
この方法は、ランセット183がゼロ時間つまり初期位置にあるとき、ランセット先端196と患者の皮膚233の間の距離の正確な測定を必要とする。これは多くの方法において成し遂げられ得る。一つの方法は、ランセット先端196から患者の組織又は患者の皮膚233に接触するであろうランシングデバイス180の表面までの距離に影響する機械的パラメータの全てを制御することである。これには磁性部材202の始動位置、磁気経路の許容誤差、磁性部材202の寸法、ランシングデバイス180全体内のドライバコイルパック188の位置、細長いカップラ軸184の長さ、細長いカップラ軸184上の磁性部材202の場所、ランセット183の長さなどが含まれ得るであろう。
これらのパラメータ、並びに他のものが、受け入れられ得る許容誤差の積み重ね(stuck-up)を有して製造中に適切に制御され得る場合、次いでランセット先端196から目標組織233までの距離はランシングデバイス180の製造の時点で決定できる。距離は次いで、プロセッサ193のメモリ内にプログラム化され得るであろう。調節可能な長さの細長いカップラ軸184のような調節可能な機能がランシングデバイス180に追加される場合、これはランセット183の長さを除いて上述のパラメータにおける全てにおける変更を収容できる。この機械的アプローチに対する電子的代替法は、上述の機械的パラメータに基づいて製造中にプロセッサ193のメモリ内への保存されたメモリ接触点を較正することであろう。
別の実施態様において、ランセット先端196を目標組織233に非常にゆっくりと動かし、そして作動前に優しく皮膚233に触れることによって、ランセット先端196から組織233への距離を成就できる。この位置センサは、初期化点から、ランセット183の前進に対する抵抗がランセットの動きを停止させる接触点までの距離を正確に測定できる。ランセット183は次いで、使用者に対する如何なる不快感も生み出すことなく目標組織233までの距離を測定したとき、初期化位置に後退させられる。
別の実施態様において、プロセッサ193は、患者の皮膚233によってランセット183上に課せられる摩擦又は抵抗故の、ランセット183の急激な速度低下を測定することによって、ランセット183が患者の皮膚233と接触したか否かを決定するためのソフトウエアを使用し得る。光学的エンコーダー191はランセット183の変位を測定する。位置出力データはプロセッサ193の中断入力に対する入力を供する。プロセッサ193は中断の間の時間を測定することが可能であるタイマも有する。中断の間の距離は光学的エンコーダー191に対して公知であり、したがってランセット183の速度は、中断の間の距離を中断の間の時間で割ることによって計算され得る。
この方法は、ランセット183及び細長いカップラ184組立体に対する摩擦による速度損失が、ランセット先端196と目標組織233の間の接触がそれを超えて推定されるであろう減速閾値を確立するとき、これらの速度損失及び得られる減速の説明できるように、受け入れ可能レベルに公知であることを必要とする。この同じ概念は多くの方法で実行できる。例えば、ランセット183の速度を監視するよりもむしろ、固定された速度を維持するためにプロセッサ193がランセットドライバを制御している場合、ドライバ188へのパワーが監視され得るであろう。一定速度を維持するために、所定の閾値を超えるパワーの量が要求される場合、次いで、ランセット196の先端と皮膚233の間の接触が推定され得るであろう。
更に別の実施態様において、プロセッサ193は、それが患者の皮膚233を打つとき、ランセット183の先端196によって生み出される音響信号の検出によって、ランセット183による皮膚233の接触を決定する。音響信号の検出は、図31において示される通り、ランセット貫入部位237に隣接する患者の皮膚233に接触して置かれる音響検出器236によって測定できる。適する音響検出器236は圧電変換器、マイクロフォンなどを含む。音響検出器236は音響信号によって生み出された電気信号を、電導体238を介してプロセッサ193に伝える。別の実施態様において、図31において示される通り、ランセット183の患者の皮膚233との接触は、ランセット183、患者の指234、及びランセット183の接触部位237に隣接して患者の皮膚233の上に配列される電気接触パッド240を含む回路における電気的連続性の測定によって決定できる。この実施態様において、ランセット183が患者の皮膚233と接触するや否や、回路239は完成され、そして電流が回路239を通して流れる。回路239の完了は次いで、ランセット183による皮膚233の接触を確認するために、プロセッサ193によって検出できる。
ランセット183が目標皮膚233と接触していない場合、次いで、図29Bにおいて番号267が付けられた決定ボックスによって表される通り、プロセスはタイムアウト作動に進む。タイムアウト作動において、プロセッサ193は所定の期間を待つ。タイムアウト期間がまだ経過していない(決定ボックス番号267が付けられた決定ボックスからの「No」の結果)場合、次いで、プロセッサは、ランセットが目標皮膚233と接触したか否かを監視し続ける。プロセッサ193は、好ましくは、望ましいランセット183を維持するために、ランセット183の位置及び速度、並びに適切なコイル214〜217への電流を監視し続ける。
ランセット183が皮膚に接触せずにタイムアウト期間が経過する(決定ボックス267からの「Yes」の結果)場合、次いでランセット183が皮膚に接触しないであろうと考えられ、そしてプロセスは引き抜き段階に進み、ここで以下により完全に論じられる通り、ランセットは皮膚233から引き抜かれる。ランセット183は、患者がランシングデバイスから皮膚233を取り除いた場合、又は何かがその前にランセット183が皮膚と接触することを妨害した場合のような種々の理由のために、目標皮膚233と接触していなかったかもしれない。
プロセッサ193は、他の理由で皮膚接触前にも引き抜き段階に進み得る。例えば、ランセット183の動きの開始後の或る点で、プロセッサ193は、患者の皮膚233に向かうランセット183の前進加速が停止されるべきである、あるいは全てのコイル214〜217への電流が遮断されるべきであると決定し得る。これは、例えば、ランセット183が十分な前進速度に達したがまだ皮膚233に接触していないと定められた場合に起こる。一つの実施態様において、皮膚との接触点から最大貫入点までのランセット183の平均貫入速度は、約2.0〜約10.0メータ/秒、具体的には、約3.8〜約4.2メータ/秒であってよい。別の実施態様において、ランセットの平均貫入速度は、約2〜約8メータ/秒、具体的には、約2〜約4メータ/秒であってよい。
プロセッサ193は、ランセット183がランシング手順の作動サイクルのパワーストロークの最後まで完全に細長いと定められた場合にも、やはり引き抜き段階に進むことができる。言い換えれば、プロセスは、図21において示される通り、磁性部材202の軸中心241が第一のコイル214の軸中心242の遠位に動いたとき、引き抜き段階に進み得る。この状況において、ドライバコイルパック188の如何なるコイル214〜217の如何なる継続された力も磁性部材202ひいてはランセット183を減速することに役立つ。これに関して、プロセッサ193は、(メモリ中に保存され得る)ランセット183の長さ、磁性部材202に対するランセット183の位置、並びにランセット183が走行した距離を考える。
図29Bにおける決定ボックス265を再び参照すると、プロセッサ193が、ランセット183が皮膚233に接触したと定める場合(決定ボックス265からの「Yes」の結果の場合)、次いで、プロセッサ193はランセット183の速度、又はランセットの望ましい貫入速度を維持するために、ランセット183上の如何なる摩擦力にも打ち勝つため、皮膚貫入に対してランセット183に送達されるパワーを調節できる。番号267が付けられた流れ図ボックスがこれを表す。
皮膚233と接触後、ランセット183の速度が維持されるので、図32において示される通り、そして 図33において更に示される通りテンティング(tenting)された部分243を形成するために、ランセット183の遠位先端196は、接触された皮膚237及びランセット183に隣接する皮膚233を最初に押し下げ又はテンティングし始めるであろう。ランセット183が遠位方向に動き続け、又は患者の皮膚233に抗して遠位方向に駆動されるので、図34において示される通り、ランセット183は最終的に皮膚233を貫入し始めるであろう。一旦、皮膚233の貫入が始まると、皮膚233からランセット183の遠位先端196で静的な力が動的な切断力となるであろうし、それは一般的に静的な先端力よりも小さい。その結果、切断の開始の際、ランセット183の遠位先端196上の力の低減中に、図32及び34において示される通り押し下げられていた、ランセット183の遠位先端196に隣接する皮膚233のテンティングされた部分243は図34において示される通り、ばねで戻されるであろう。
図29Bにおいて番号271が付けられた決定ボックスによって表される次の作動において、プロセッサ193は、ランセット183の遠位端196がブレーキ深さに達したか否かを決定する。ブレーキ深さは、図35において示される通り、それに対してプロセッサ193が、ランセット183の望ましい最終貫入深さ244を達成するためにランセット183の減速が開始されるべきと決定する皮膚貫入深さである。ブレーキ深さは事前に決定され得て、そしてプロセッサのメモリ内にプログラム化され得るか、又はプロセッサ193は作動中にブレーキ深さを動的に定め得る。患者の皮膚233中のランセット183の貫入の量は、ランセットデバイス180の作動サイクル中に測定され得る。また、上で論じられた通り、使用可能なサンプルを成功裏に得るために必要な貫入深さは、ランシングサイクル中の皮膚233のテンティングの量に依存できる。患者の皮膚233のテンティングの量は、今度は、弾性、水和などのような患者の組織特性に依存できる。これらの特性を決定する方法は、ランシングサイクル中の皮膚233テンティング測定に関して以下に論じられ、そして図37〜41において説明される。
貫入測定は、患者の皮膚のテンティングの測定に依存しない種々の方法によって実行できる。一つの実施態様において、患者の皮膚233中のランセット183の貫入深さは、ランセット183と患者の皮膚233の間の静電容量の量を監視することによって測定される。この実施態様において、回路は、ランセット183、患者の指234、プロセッサ193及びこれらのエレメントを連結している電導体を含む。ランセット183が患者の皮膚233を貫入する際、貫入の量が大きいほど、ランセット183と患者の皮膚233の間の接触面積がそれだけ大きくなる。接触面積が増えるとき、皮膚233とランセット183の間の静電容量も増える。増大した静電容量は当業技術において公知の方法を使用してプロセッサ193によって容易に測定できて、そして貫入深さは次いで静電容量の量と関連付けできる。同じ方法がランセット183と患者の皮膚の間の電気抵抗を測定することによって使用できる。
ブレーキ深さが未だ到達されていない場合、次いで決定ボックス271から「No」の結果が得られ、そして、プロセスは、番号273が付けられた流れ図ボックスによって表されるタイムアウト作動に進む。タイムアウト作動において、プロセッサ193は所定の時間を待つ。タイムアウト時間がまだ経過されていない場合(決定ボックス273からの「No」の出力)、次いで、プロセッサはブレーキ深さが到達されたか否か監視を続ける。ランセット18がブレーキ深さを達成することなくタイムアウト時間が経過する場合(決定ボックス273からの「Yes」の出力)、次いでプロセッサ193はランセット183がブレーキ深さに達しないであろうと考え、そしてプロセスは引き抜き段階に進み、これは以下により完全に論じられる。これは、例えば、ランセット183がある深さで貼り付けられた場合に起こる。
図29Bにおける番号271が付けられた決定ボックスを再び参照すると、ランセットがブレーキ深さに実際に到達する場合(「Yes」の結果)、次いでプロセスは、番号275が付けられた流れ図ボックスによって表される作動に進む。この作動において、図26において示される通り、プロセッサ193はブレーキ力をランセットにかけることになり、そうすることによって最終的な皮膚貫入深さ244の望ましい量を達成するためにランセット183の速度を減じる。尚、図32及び33は患者の皮膚と接触し、そして皮膚の如何なる実質的な貫入の前にも皮膚を変形又は押し下げるランセットを図示する。ランセット183の速度は、好ましくは、望ましい閾値未満の値に減じられ、そして最終的にはゼロに減じられる。プロセッサ193は、図36における矢印290によって示される通り、患者の組織又は皮膚233から離して磁性部材202上に近位方向に引きつけるブレーキ力をかけるであろうコイル214〜217に電流を送ることによってランセット183の速度を減じることができる。そのような負の力によってランセット183の前方つまり遠位に向けられた速度が減じられる。プロセッサ193は、位置センサ191によって示される通り、ドライバコイルパック188のコイル214〜217に対する磁性部材202の位置に基づいて、どのコイル214〜217を動かすべきかを決定できる。
次の作動において、プロセスは、番号277が付けられた流れ図ボックスによって表されるように、引き抜き段階に進む。引き抜き段階は、図29Cにおける番号279が付けられた流れ図ボックスによって表される作動と共に始まる。ここで、図35において示される通り、プロセッサ193はランセット183が最大皮膚貫入244の位置で静置(settle)することを可能にする。これに関して、プロセッサ193は、ランセット183の位置の変化を監視することによって、(衝撃からの振動及び皮膚中に保存されたばねエネルギなどによる)ランセット183における如何なる動きも停止するまで待つ。プロセッサ193は、好ましくは、ランセット183の位置における変化が全くなしで、約8ミリ秒のオーダーのような数ミリ秒(ms)が経過するまで待つ。これはランセット183の動きが完全に止まったということを示す。幾つかの実施態様において、ランセットは、約1〜約2000ミリ秒、具体的には、約50〜約200ミリ秒間静置することが許され得る。他の実施態様において、静置時間は約1〜約200ミリ秒間であってよい。
患者の皮膚233のテンティングの量を測定しそのようにして、弾性、水和及びその他のような皮膚233特性を決定するためにソフトウエア方法が使用できるのはランシングサイクルのこの段階である。図37〜41を再び参照すると、ランセット183は目標組織233を用いたランシングサイクルの種々の段階において図示される。図37は初期の衝撃の点での皮膚233との初期の接触をするランセット183の先端196を示す。
図38は、図37において示される組織233との初期の接触をするランセット183の拡大図を図示する。図39において、ランセット先端196は、図39において矢印で印されたXによって示された通り、Xの距離に亘って貫入する前に、皮膚233を押し下げるか又はテンティングしている。図40において、ランセット183は切断パワーストロークの完全な長さに達しており、そして最大変位点にある。この位置において、ランセット先端196は、図39におけるYとラベルされた矢印によって示された通り、組織233をYの距離で貫入している。図38を図40と比べることから見ることができるように、図40において示される通り、皮膚233との初期接触がなされた時からランセット先端196がその最大伸びに達する時まで、ランセット先端196はXプラスYの合計距離を変位された。しかしながら、ランセット先端196は、テンティング現象のせいで、距離Yだけしか皮膚233を貫入していない。
図26及び図29Cのボックス279に関して上で論じたように、ランセット183のパワーストロークの端部で、プロセッサ193によってランセットが約8ミリ秒の間静置することが可能になる。図41において示される通り、ランセット183による接触前に、皮膚233が反動又は緩んでその元の構成に略戻るのはこの静置時間中である。ランセット先端196は図41において示される通り、Yの深さに皮膚中にまだ埋め込まれているが、組織の弾力的反動によって、ランセットは又は図41における矢印Zによって示される非弾性テンティングの点に、後方に向かって又は後退して変位させられている。組織233の弾性テンティングによるランセット183の後方に向かう変位中に、プロセッサは位置センサ191によって生み出された位置データを読みそして保存し、そのようにして、XとZの間の違いである弾性テンティングの量を測定する。
弾力及び非弾性テンティングを含むランシングサイクル中のランセット先端196の速度対時間図、及び位置対時間図の両者を示す図42において、ランシングサイクル中の、ランセット183のテンティングプロセス及び後退の動きが図的に図示される。図42において、ポイント0からポイントAまで、ランセット183は初期化位置つまりゼロ位置から加速されている。ポイントAからポイントBまで、ランセット183は、追加のパワーが全く送達されないで、弾道又は惰力走行(coast)モードにある。ポイントBで、ランセット先端196は組織233と接触しそして、それが変位点Cに達するまで皮膚233をテンティングし始める。ランセット先端196が最大変位点に近づく際、ランセットが点Dで停止するまで、ブレーキ力がランセット183にかけられる。ランセット183は次いで、DとEの間に表されるランシングサイクルの静置段階中に後退方向に跳ね返る。尚、図42において示された非弾性テンティングの大きさは説明目的で誇張されている。
Zによって示される非弾性テンティングの量は、弾性テンティングの大きさと比べてかなり一定でかつ小さい傾向にある。一般的に、非弾性テンティングの量Zは約120〜約140ミクロンであってよい。殆どの患者及び皮膚のタイプに対して、非弾性テンティングの大きさが、弾性テンティングの大きさと比べて、かなり一定の値でかつ小さいので、ランセット183の貫入ストロークに対するテンティングの合計量の値はプロセッサ193によって測定される通りの静置段階中のランセットの後方に向かう変位プラス、130ミクロンのような非弾力反動に対する所定の値に事実上等しい。幾つかの実施態様に対する非弾力反動は約100〜約200ミクロンであってよい。皮膚233テンティングの大きさを測定する能力は、年齢、一日の時間、水和のレベル、性別及び病理学的状態のせいで、皮膚が弾性及び他のパラメータにおいて一般的に変わることが公知である故に、ランセット先端196の貫入深さ制御することに対して患者にとって重要である。
ランシングサイクルに対する全テンティングのこの値は、次いで患者の皮膚233種々の特性を決定するために使用できる。一旦、或る患者に対するテンティングデータの本体が得られると、このデータは、成功裏のランシング手順に対して必要である皮膚接触の点からの合計ランセット変位を予測するために分析できる。これによって組織貫入デバイスが高い成功率を達成し、そして使用者に対する痛みを最小化することが可能になる。回転平均表(rolling average table)は、表中の最後のエントリに対するポインタを用いて、患者に対するテンティングデータを収集して保存するために使用され得る。新しいエントリが入力されるとき、それはポインタでのエントリを置き換え得て、そしてポインタは次の値に進む。平均が望ましいとき、全ての値が加えられ、そしてその合計はプロセッサ193によって、エントリの合計数で割られる。指数的制動(0.95を掛け、現在値の0.05倍を加えるなど)を含む類似技術も可能である。
皮膚233のテンティングに関して、一般的に、貫入深さに関連する幾つかの典型的な値がここで論じられる。図43は皮膚233の層の断面図を示す。皮膚233から血液の使用可能なサンプルを、信頼性を持って得るために、ランセット先端196を皮膚の細静脈叢に到達させることが望ましい。角質層は一般的には約0.1〜約0.6ミリメータの厚さであり、そして真皮の頂部から細静脈叢への距離は約0.3〜約1.4ミリメータであってよい。弾性テンティングは、約1ミリメータの平均の大きさを有する、約2ミリメータ程度、具体的には、約0.2〜約2.0ミリメータまでの大きさを有することができる。これは、テンティングに打ち克つために必要なランセット変位の量が、細静脈叢に達するべく貫入するために必要な、皮膚の厚さを上回る大きさを有することができることを意味する。初期皮膚接触の点からの合計ランセット変位は、約1.7〜約2.1ミリメータの平均値を有することができる。幾つかの実施態様において、貫入深さ及び最大貫入深さは、約0.5ミリメータ〜約5ミリメータ、具体的には、約1ミリメータ〜約3ミリメータ。幾つかの実施態様において、約0.5〜約3ミリメータの最大貫入深さが有用である。
図29Cに戻って参照すると、図29Cにおいて番号280と付けられた流れ図ボックスによって表される次の作動において、プロセッサ193は、図36における矢印290によって示される通り、皮膚233からランセット183を引っ込めるために、引き抜き力をランセット183上にかけることになる。プロセッサ193は、ランセット183を望ましい方向に後方に向かって動かすことになるべき、遠位に向けられた吸引力をコイル214〜217が磁性部材202上にかけるように、適切なコイル214〜217に電流を送る。幾つかの実施態様において、ランセット183は、作動サイクルの貫入部分中の力及び速度よりもより小さな力及びより遅い速度を用いて引き抜かれる。ランセットの後退速度は、幾つかの実施態様において、約0.004〜約0.5メータ/秒、具体的には、約0.006〜約0.01メータ/秒であってよい。他の実施態様において有用な後退速度は、毎秒約0.001〜約0.02メータ、具体的には、約0.001〜約0.01メータであってよい。貫入速度と比べて比較的に遅い引き抜き速度を使用する実施態様に対して、後退速度は毎秒約0.02メータまであってよい。そのような実施態様に対して、平均引き抜き速度に対する平均貫入速度の比は約100〜約1000であってよい。比較的に遅い引き抜き速度が重要でない実施態様において、毎秒約2〜約10メータの後退速度が使用され得る。
次の作動において、番号281が付けられた決定ボックスによって表されるように、プロセッサ193は、かけられた力の結果として、ランセット183が望まれた後方に向かう方向に動いているか否かを決定する。プロセッサ193が、ランセット183が動いていないと決定する場合(決定ボックス281からの「No」の結果)、次いで、プロセッサ193は、番号282が付けられた流れ図ボックスによって表されるように、ランセット183上に力をかけ続けることになる。プロセッサ193はランセット183上により強い力をかけ得るか又は同じ力の量を、ただかけ続け得る。プロセッサは次いで、再び番号283が付けられた決定ボックスによって表される通り、ランセットが動いているか否かを決定する。動きがまだ検出されない場合(番号283と付けられた決定ボックスからの「No」の結果)プロセッサ193は、番号284が付けられた流れ図ボックスによって表されるように、エラー条件が存在すると決定する。そのような状況において、プロセッサは、動きの欠如はランセットが患者の皮膚中に貼り付けられること、従ってランセットを皮膚から引き出す試みを継続することは望ましくあり得ないことの表示であってよい故に、ランセットから力を除くために、好ましくは、コイルの動きを止める。
図29Cにおける番号281及び283の番号が付けられた決定ボックスを再び参照すると、ランセットが皮膚233から離れて望ましい後ろに向かう方向に実際に動いているとプロセッサ193が決定する場合、次いで、プロセスは、番号285が付けられた流れ図によって表されるように進む。この作動において、ランセットの遠位端が患者の皮膚233から完全に引き抜かれるまで、ランセット183の後ろに向かう動きは続く。上で論じたように、幾つかの実施態様において、ランセット183は、作動サイクルの貫入部分中の力及び速度よりもより小さな力及びより遅い速度を用いて引き抜かれる。ランセット183の比較的遅い引き抜きによって、引き抜き中にランセット183によってアクセスされた患者の毛細管からの血液がランセット183を流れること、そして使用可能な血液サンプルが、信頼性を持って生み出すために皮膚表面に達することが可能になる。次いでプロセスは終了する。
上で論じたように、ランセット183の作動サイクルに亘ってランセットの動きを制御することによって、広汎に亘るランセット速度プロファイルがランシングデバイス180によって生み出されることが可能になる。特に、他の実施態様に関して上で論じられた、如何なるランセット速度プロファイルもランシングデバイス180のプロセッサ193、位置センサ191、及びドライバコイルパック188を用いて達成され得る。
ランセットに対する速度プロファイルの実施態様の別の例は図44及び45において見られ得て、それは速いエントリ速度及び遅い引き抜き速度を有するランセットプロファイルを図示する。図44は、ランセットの速度対位置を示すランシングプロファイルの実施態様を図示する。ランシングプロファイルはゼロの時間及び位置で始まり、そして電磁ドライバから生み出される電磁力から組織に向かうランセットの加速を示す。点Aで、パワーが切断され、そしてランセット183が、それがBによって示される皮膚233に達するまで、惰力走行を始め、その点で速度は下がり始める。点Cで、ランセット183は最大移点に達しており、そして瞬間的に、一般的には約8ミリ秒の間静置する。
次いで、後退の引き抜き力は、約0.006〜約0.01メータ/秒未満の引き抜き速度を維持するためにプロセッサによって制御される制御可能なドライバによってランセット上に課せられる。同じサイクルが、ランセットが始動点から点Aまで加速される図45の速度対時間プロットにおいて説明される。ランセット183はAから、ランセット先端196が組織233に接触するBに惰力走行する。ランセット先端196は次いで、組織を貫入し、そして最大貫入深さに近づくとき、ブレーキ力を最終的にかけられて遅くなる。ランセットは、CとDの間で停止され静置している。Dで、引き抜き段階が始まり、そしてランセット183は、図45におけるEによって示される初期化点にそれが戻るまで、ゆっくりと引き抜かれる。尚、図44及び45のランシングプロファイルにおいては、弾力及び非弾性テンティングからの後退反動は、説明及び明確性目的で示されなかった。
別の実施態様において、引き抜き段階は、ランセットが組織との接触点を過ぎて引き抜かれるまで、毎秒0.006〜0.01メータの遅い速度を使用した、次いで完全なサイクルを短縮するために、毎秒0.01〜1メータのより速い速度が使用され得る二重速度プロファイルを使用し得る。
図46を参照すると、ドライバコイルパック295を有する制御可能なドライバ294含むランシングデバイス、位置センサ及びランセット183の別の実施態様が示される。ランセット297は、ランセット297の遠位端299で、鋭い点を有する近位端298及び遠位端299を有する。磁性部材301は、ランセット軸303が磁性部材301と鋭い点299の間に配列されている、ランセット297の近位端部分302の周りに配列され、そしてそこに固定される。ランセット軸303はステンレス鋼又は如何なる他の適する材料又は合金からも成り得る。ランセット軸303は、約3ミリメータ〜約50ミリメータ、具体的には、約5ミリメータ〜約15ミリメータの長さを有することができる。
磁性部材301はドライバコイルパック295の軸ルーメン304内を摺動するように構成される。ドライバコイルパック295は第一のコイル305、第三のコイル307と最近位の第四のコイル308の間で軸方向に配列される最遠位の第一のコイル305及び第二のコイル306を含む。第一のコイル305、第二のコイル306、第三のコイル307及び第四のコイル308の各々は軸ルーメンを有する。第一から第四のコイル305〜308までの軸ルーメンは他のコイルの軸ルーメンと同軸であるように構成され、そして全体としてドライバコイルパック295の軸ルーメン309を一緒に形成する。軸方向に隣接して、コイル305〜308の各々は磁気ディスク又はドライバコイルパック295のランシングサイクル中にコイル305〜308の磁気回路の完了を増大させる(augment)ワッシャ310である。図46の実施態様のワッシャ310は鉄の鋼で作られ得るが、鉄又はフェライトのような如何なる他の適切な磁性材料でも作られ得るであろう。磁性ワッシャ310は、約4.0〜約8.0ミリメータの295の外径と見合った外径を有する。磁性ワッシャ310は、約0.05〜約0.4ミリメータ、具体的には、約0.15〜約0.25ミリメータの軸厚みを有する。コイルパックの外部シェル294もコイルの周り及びワッシャ310の間に磁気経路を完成するために鉄又は鋼材で作られる。
十分な巻き数が達成されるまで、電導体311を磁気ルーメン309の周りに包む又は巻くことによって、コイル305〜308が形成される。細長い電導体311は一般的に、絶縁された固体銅線(solid copper wire)である。コイル305〜308の特別な材料、寸法、コイル巻き数など、ドライバコイルパック295のワッシャ310及び他の部品は、上で論じられたドライバコイルパック188の材料、寸法、コイル巻きの数などと同じか又は類似したものであってよい。
電導体312はドライバコイルパック295を、電導体315によってプロセッサ313連結される位置センサ296からの位置フィードバックに基づいて、ドライバコイルパック295のコイル305〜308中の電流を制御するよう構成できる又はプログラム化できるプロセッサ313と連結させる。電源316はプロセッサ313に電気的に連結され、そしてプロセッサ313を作動しそしてドライバコイルパック295を動かす(power)ための電気的パワー供する。電源316は、上で論じられた通り、プロセッサ313に直流パワーを供する(示されていない)一つ又はそれ以上の電池であってよい。
位置センサ296は、ハウジング318がドライバコイルパック295に対して空間的関係において固定されて、ハウジング318内に配列された光トランスデューサー317の形態で光源及び光受信機を有するアナログ反射光学的センサである。反射部材319は磁性部材301の近位端320上に配列されるか又はそこに固定される。プロセッサ313は光トランスデューサー317の光源から反射部材319に向かって発光の所定の立体角を有して最初に光を発することによってランセット299の位置を決定する。次いで、光トランスデューサー317の光受信機は反射部材319から反射される光の強度を測定し、そして電導体315はそこから生み出される信号をプロセッサ313に伝える。
ドライバコイルパック295の作動サイクル中、ランセット297の種々の位置に対する反射部材319からの反射光の強さを較正することによって、その後ランセット297の位置が如何なる与えられた瞬間の反射光の強さも測定することによって決定できる。一つの実施態様において、センサ296は、1215 W.Crosby Road、Carrollton、Texas、75006のOptek Technology社によって製造されたOPB703のような市販品として入手できるLED/光変換器モジュールを使用する。位置感知のためのアナログ反射測定のこの方法は、本明細書において論じられたランセットアクチュエータの実施態様の何れに対しても使用され得る。また、コイルを含む如何なるランセットアクチュエータ又はドライバも、線形可変差動変圧器(LVDT)のコアとしてのランセット軸303又は磁性部材301自身の上の磁気的に透過可能な領域を使用することによって、ランセット297の位置を決定するために一つ又はそれ以上のコイルを使用し得る。
図47及び48を参照すると、本体ハウジング326及び回転枠327を有する平板状コイルランセットドライバ325が示される。回転枠327は、ベース329と、本体ハウジング326の上部本体部分330の間に配列され、そして回転枠327の枢動ガイド331中に配列された軸328の周りに枢動する。回転枠327のアクチュエータアーム332は枢動ガイド331から半径方向に伸び、そしてアクチュエータアーム332の外側端部334に配列されたリンケージ受け入れ開口部333を有する。カップラリンケージ336の第一の端部335はアクチュエータアーム332のリンケージ受け入れ開口部333に連結され、そしてリンケージ受け入れ開口部333内で回転できる。カップラリンケージ336の第二の端部337はカップラ併進運動部材341の近位端338で開口部内に配列される。この構成によって、アクチュエータアーム332上にかけられた円周方向の力が、カップラ併進運動部材341の遠位端343に固定された駆動カップラ342上の線形力に移されることが可能になる。駆動カップラ342の材料及び寸法は上で論じられた駆動カップラ342の材料及び寸法と同じであるか又は類似であってよい。
回転枠327のアクチュエータアーム332の反対側に、コイル腕344の形態をした併進運動基材が回転枠327の枢動ガイド331から半径方向に伸びる。コイル腕344は形が実質的に三角形である。平板状コイル345はコイル腕344上に配列されそしてそこに固定される(secured)。平板状コイル345はリードセグメント346及び追跡セグメント347を有し、その両者は、回転枠327が枢動ガイド331の回りに回転しているとき、セグメント346及び347の動きの方向に実質的に直交して伸びる。リードセグメント346は上方磁石ベース351に固定される第一の上方永久磁石349、及び下方磁石ベース353に固定される第一の下方永久磁石352によって生み出される第一の磁気的に活性な領域348内に配列される。追跡セグメント347は、第二の磁気的に活性な領域354内に配列される。
第一の上方及び下方の永久磁石349、352、355、及び356の磁場線又は回路は、第一の下方の永久磁石352から第一の上方の永久磁石349に上方向に又は反対方向に下方向に向けることができる。第二の永久磁石355及び356からの磁場線も上下に向けられ、そして 第一の上方及び下方の永久磁石349及び352のそれとは反対の方向を有するであろう。この構成によって、力の方向が平板状コイル345中の電流の方向によって決められて、枢動ガイド331の回りのコイル腕344上に回転力が生まれる。図47及び48において見られるように、可動部材327は、磁石349、353、355及び356によって、完全には封じ込まれ、一周され又は囲まれない。他の実施態様において、本構成は、可動部材327が磁石を含み、そしてコイルがそれらの位置において物品349、353、355、及び356を代替するように変えられ得ると考えられるべきである。このように、コイルは可動部材を完全には封じ込んでいない平板状のコイルである。
位置センサ357は、回転枠327と共に回転する回転枠327に固定される、光学的エンコーダーディスクセクション358を含み、そしてベース329に固定される光学的エンコーダー359によって読まれる。位置センサ357は回転枠327の回転位置を決定し、そして位置情報を、電気的リード361を介して上で論じられたプロセッサ193の機能と同じである又は類似している機能を有することができるプロセッサ360に送る。平板状コイル345の電導体リード363もプロセッサ360に電気的に連結される。
電流が平板状コイル345のリードセグメント346及び追跡セグメント347を通って流されるとき、リセグメント346及び347上にかけられる回転力はカップラリンケージ336及びカップラ併進運動部材341を通して回転枠327、アクチュエータアーム332にそして最終的に駆動カップラ342に移される。使用中に、(示されていない)ランセットは駆動カップラ342に固定され、そして平板状コイルランセットアクチュエータ325が作動される。平板状コイル345中の電流によって駆動カップラ342上で、ひいてはカップラ342に固定されるランセット上で生み出される力が決定される。プロセッサ360は、プロセッサ360に送られた位置センサ357の情報によって測定された通りのランセットの位置及び速度に基づいて、平板状コイル345中の電流を制御する。プロセッサ360は、上で論じたプロセッサ193と類似した方法でランセットの速度を制御することが可能であり、そして他のものに加えて、上で論じた望ましいランセット速度プロファイルの如何なるものも発生できる。
図49及び50は、組織貫入デバイスのためのドライバコイルパック370を有する制御されたドライバ369の更に別の実施態様を描く。ドライバコイルパック370は近位端371、遠位端372、及び近位端371から遠位端372に伸びている軸ルーメン373を有する。内部コイル374は軸ルーメン373の周りに配列され、そして遠位方向に細長い電導体375のインチ当たりの増えるラップを有してテーパになった構成を有する。内部コイル374は、約1〜約25ミリメータ、具体的には、約1〜約12ミリメータの主外径又は横断寸法を有して、ドライバコイルパック370の近位端371からドライバコイルパック370の遠位端372に伸びる。
ドライバコイルパック370の近位端371での内部コイル374の外径、つまり横断寸法は、ドライバコイルパック370の近位端371での軸ルーメン373の直径に略等しい。つまり、内部コイル374は、ドライバコイルパック370の近位端371で伸びた電導体375のラップが殆ど又は全くなくなるまで、テーパになって近位で外径を低減する。内部コイル374のテーパになった構成によって、内部コイル374が、内部コイル374の伸びた電導体375を通って流れる電流を用いて作動されるとき、ドライバコイルパック370の軸ルーメン373内に軸方向の磁場勾配が生み出される。
内部コイル374が作動されるとき、ドライバコイルパック370の遠位端372に向かって磁性部材376を駆動する軸ルーメン373内に配列された磁性部材376のための駆動力が軸方向の磁場勾配によって生み出される。内部コイル374によって生み出される磁性部材上の駆動力は円滑な連続力であり、それはそこに固定される磁性部材376及びランセット377の円滑で連続的な加速を生み出し得る。幾つかの実施態様において、外径における増大対遠位方向への内部コイル374に沿った軸方向の変位の比は約1〜約0.08、具体的には、約1〜約0.08であってよい。
外部コイル378は内部コイル374上に配列され、そして縦方向にそれと同じ広がりを持つ。外部コイル378は、外部コイル378が近位でテーパになって直径又は横断寸法が増すことを除いて、内部コイル374と同じ又は類似の寸法及び構造を有することができる。外部コイル378に対する近位方向の伸びた電導体379のインチ当たりのより大きいラップによって、外部コイル378が電流を用いて作動されるとき、近位方向に磁性部材376を駆動する磁場勾配が生み出される。これによってランセット377及びドライバコイルパック370の作動サイクル中に、磁性部材376上にブレーキ又は反転効果が生み出される。内部コイル374及び外部コイル378の伸びた電導体359及び379は、電源382に連結されるプロセッサ381に連結される。プロセッサ381は上で論じた他のプロセッサと類似した性質を有してよく、そして上の並びに他の速度プロファイルの如何なるものも生み出すために、磁性部材376及びランセット377の速度プロファイルを制御できる。ドライバコイルパック370は上で論じられたコイルドライブパックに対する代替として使用できて、ここでランシングデバイス180の他の部品は同じであるか又は類似している。
ドライバ及びアクチュエータ機構の実施態様が述べられてきたが、我々はここでランセットを収容でき、流体のサンプルを収集でき、サンプルを分析でき又はこれらの機能の如何なる組合せもできるデバイスの実施態様を論じる。これらの最先端のデバイスは、上で論じたもの、又は如何なる他の適するドライバ又は制御可能なドライバのようなアクチュエータと統合され得る。
一般的に、最も知られた血液サンプリングの方法は幾つかの工程を必要とする。第一に、ランセット、ランセットドライバ、試験片、分析装置などのような種々の物品を集めることによって測定活動が始められる。第二に、患者は、殺菌したランセットを装着し、試験片を装着しそしてランセットドライバを装備することによって、装置を組み立てなければならない。第三に、患者は、ランセットドライバに抗して指を置き、そしてドライバを作動するために他の手を使用しなければならない。第四に、患者は、ランセットドライバを抑えて、そして血が出ている指を、試験片に対して置かなければならない(試験片は分析装置内に装着されているか又は装着されていない)。患者は試験片上に血液が装着されたこと、そしてそのような装着の前に、分析装置が較正されていることを保証(insure)しなければならない。最後に、患者はランセットを含む全ての血液で汚染された装置を廃棄しなければならない。そのように、組織貫入サンプリングデバイスのランシング及びサンプル収集機能の統合によって、患者の利便性に関して有利な点が達成できる。
図51はランセット412を収容する使い捨てのサンプリングモジュール410を示す。ランセット412はドライバ438及び皮膚をランシングするランセット412に連結する近位端416上にヘッドを有する。遠位端414は導管418内に配列される。近位端416は空洞420内に伸びる。サンプルリザーバ422はランセット412の遠位端414に隣接する人間工学的に輪郭付けられた面426上に狭い入力ポート424を有する。本明細書において使用される用語「人間工学的に輪郭付けられた」は一般的に、ランシングされるべき又はさもなければ表面上に置かれて試験されるべき指又は他の体の部分を快適に嵌入するために形付けられることを意味する。サンプリングモジュール410は、血液サンプルを、(示されていない)小さな通路を通してサンプルリザーバ422から分析領域428に輸送する能力がある。分析領域428は、血液サンプルを分析する化学的、物理的、光学的、電気的又は他の手段を含み得る。ランセット、サンプル流れチャンネル、サンプルリザーバ及び分析領域は、単一のパッケージされたユニット中のサンプリングモジュール410内に統合される。
図52は、サンプリングモジュール410が装着されるハウジング410’中のチャンバ430を示す。サンプリングモジュール410はばね434を用いて吊り下げられたソケット432上に装着されそしてスロット436中に座する。ドライバ438はソケット432に取り付けられる。ドライバ438は近位端440及び遠位端442を有する。ドライバ438は、ランセットを前進、停止及び引っ込めるための、バネ又はカム駆動されるような如何なる機械的、又は電磁気的に又は電子的に駆動されるような電気的手段をも有する、制御可能なドライバ又は制御不可能なドライバの何れかであってよい。ドライバ438の遠位端442と、チャンバ430に取り付けられるセンサ446の間に空隙444がある。ソケット432は血液を分析するためのシステムである分析器448も含む。分析器448は、それがソケット432内に装填されるとき、サンプリングモジュール410上の分析領域428に対応する。
図53は、ハウジング410’のソケット432内に装着されるサンプリングモジュール410を有する組織貫入サンプリングデバイス411を示す。分析領域428及び分析器448は重なる。ドライバ438は空洞420内に嵌入する。ドライバ438の近位端440はランセット412の遠位端416と隣接する。患者の指450は人間工学的に輪郭付けられた面426上に座する。
図54は、ランセット412及びドライバ438が、指450が、それが人間工学的に輪郭付けられた面426上に座すとき、指450の側部をランシングするように向けられる、代替ランセット構成の図を示す。
図55は、オリフィス452及び人間工学的に輪郭付けられた面426を図示する。導管418は血液ウェル(blood well)454上に開くオリフィス452を有する。リザーバ422のサンプル入力ポート424も血液ウェル454上に開く。サンプル入力ポート424の直径は、ランセット412の直径と実質的に同じ直径であるオリフィス452の直径よりも著しく大きい。ランセットが後退させられた後、指450から流れる血液は血液ウェル454中に集まるであろう。ランセット412はオリフィス452内に後退させられており、血液がオリフィス452に下って通ることを効果的に阻止するであろう。血液は血液ウェル454からサンプル入力ポート424を通ってリザーバ422内に流れるであろう。
図56はランシングイベントの図を示す。患者は指450を用いて押し下げることによって人間工学的に輪郭付けられた面426によって圧力をかける。これによってソケット432内に装着されるサンプリングモジュール410上に下方に向かって圧力がかけられる。ソケット432が下方に向かって押されるとき、それはばね434を圧縮する。センサ446はドライバ438の遠位端442と接触し、そしてそうすることによって人間工学的に輪郭付けられた面上の指の存在を電気的に検出する。センサは圧電デバイスであり得て、それはこの圧力を検出し、そして信号を回路456に送り、それはドライバ438を作動し、そして前進させ、そして次いで、指450をランシングしているランセット412を引っ込める。別の実施態様において、センサ446は電気的接触であり、それは、それが指450をランシングするランセット412を前進及び後退するために、ドライバ438に接触してドライバ438を作動するとき、回路を閉じる。
方法及びサンプリングの一つの実施態様は、サンプルを得て、そしてサンプルを分析するために患者によって取られなければならない工程の減らされた数を含む。第一に、患者は、埋め込まれた殺菌されたランセットを有するサンプリングモジュール410をハウジングデバイス410’内に装着する。第二に、患者は、デバイスに対するパワーのスイッチを入れることによって、又はランシングされるべき指を人間工学的に輪郭付けられた面426上に置いて押し下げることによってランシングサイクルを開始する。センサの開始によってセンサが作動状態になり、そしてランチャーを作動するための制御が与えられる。
ランセットがそのランシングサイクルの後、偶発的な多数回のランシングイベントを避けるために後退させられるとき、センサは自発的である(unprompted)。ランシングサイクルは、ランセットの装備、前進、停止及び後退、並びにリザーバ中への血液の収集から成る。サイクルは、一旦、血液サンプルがリザーバ中に収集されたら、完了する。第三に、患者はサンプリングモジュール上を押し下げ、それによってドライバ38がセンサと無理やり接触させられ、そしてドライバ438が作動される。ランセットは次いで、皮膚を穿刺し、そしてリザーバは血液サンプルを集める。
次いで、患者は、場合によっては、ブザー又はベルのような聞くことができる信号、及び/又はLED又はディスプレイスクリーンのような視的信号によって指を除くよう知らされる。次いで、患者は、サンプリングモジュール410を除き、そしてそれを廃棄することによって全ての汚染された部品を廃棄できる。別の実施態様において、複数のサンプリングモジュール410は、(示されていない)カートリッジの形態でハウジング410’内に装着され得る。患者は、組織貫入サンプリングデバイス411によって、分析が完了した後、全カートリッジを何時廃棄すべきかについて知らされ得る。
サンプリングモジュール410の分析領域428においてサンプルを適切に分析するために、サンプル流れチャンネル、サンプルリザーバ又は分析領域の与えられた部分中に流体サンプルが存在するか否かを決定することが望ましく、又は必要であってよい。領域中に流体が存在することを決定するための種々の装置及び方法が以下に論じられる。
図57において、熱センサ500は、流体がその上を流れ得る面504に隣接する基板502中に埋め込まれる。例えば、その表面は、それを通して流体が流れ得るチャンネルの壁、又はその上を流体が流れ得る平らなデバイスの表面であってよい。熱センサ500は信号調節エレメント506と電気的に連通状態にあり、それは基板502中に埋め込まれ得るか又は遠く離れて置かれ得る。信号調節エレメント506は熱センサ500から信号を受信し、そしてそれを増幅する、そしてノイズを減らすためにそれを濾過することのような手段によってそれを修正する。図57も、それが直接流体流にさらされる表面上の代替場所に置かれた熱センサ508を描く。
図58は、別個の加熱エレメント510に隣接する熱センサ500の構成を示す。熱センサ500及び加熱エレメント510は、その上を流体が流れ得る面504に隣接する基板502中に埋め込まれる。代替実施態様において、一つ又はそれ以上の追加の熱センサが加熱エレメントに隣接され得て、そして増大された信号感度を供し得る。熱センサ500は信号調節エレメント506と電気的に連通状態にあり、それは基板502中に埋め込まれ得るか又は遠く離れて置かれ得る。
信号調節エレメント506は熱センサ500から信号を受信し、そしてそれを増幅する、そしてノイズを減らすためにそれを濾過することのような手段によってそれを修正する。熱センサ510はパワー供給及び制御エレメント512と電気的に連通状態にあり、それは基板502中に埋め込まれ得るか又は遠く離れて置かれ得る。パワー供給及び制御エレメント512は、制御された電圧及び電流源を加熱エレメント510に供する。
図59は、面504に並んで、互いに近くに基板502中に埋め込まれた、(図58において述べられたような、関連する信号調節エレメント506並びにパワー供給及び制御エレメント512を有する)三つの熱センサ/加熱エレメント対(500/510)又は検出エレメントを有する熱センサ500の構成を描く。本図は面504に平行な直線状に配置された熱センサ500を描くが、如何なる作動可能な構成も使用され得る。代替実施態様において、三つ未満又は三つより多い熱センサ/加熱エレメント対(500/510)が面504を横切って流れる流体の到着を示すために使用され得る。他の実施態様において、自己加熱熱センサが使用されて、別々の加熱エレメントが排除される。
本発明の実施態様は、画成された場所での流体の到着を検出するための簡単かつ正確な方法論を供する。そのような検出は、速度に基づいた反応(rate-based reaction)を測定するためのタイミングサイクルのゼロ時間、つまり始動時間を定義するために特に有用であってよい。これは、種々のタイプの生物学的標本又は流体中に存在する種々の被検質を検出するための生化学分析において、及び酵素反応のような速度に基づいた反応に対して使用できる。当該流体の例として、血液、血清、血漿、尿、脳脊髄液、唾液、酵素物質及び他の関連物質、並びに分析及び生体医学技術において周知の流体が挙げられる。生体分子流体を分析するための特別なアッセイに対する反応化学は一般的に周知であり、そして使用される特別なアッセイの選択は、目的の生物学的流体に依存するであろう。
本発明の実施態様に関連するアッセイは、例えば、グルコース、乳酸エステル、クレアチニンキナーゼなどの個々の被検質又は酵素の測定をもたらすもの、並びに、例えば、凝固時間(凝集)又は補体依存性リーシスのような全体サンプルの特性を測定するものを含む。この発明の他の実施態様は、試験物品へのサンプルの追加、又はその物品内の特別な場所でのサンプルの到着の感知を供する。
図60をここで参照すると、基板502は、その上を流体が流れ得る内面522を有するチャンネル520を画成する。分析部位524は、そこでチャンネル520中を流れる流体が分析部位524と接触するチャンネル520内に置かれる。種々の実施態様において、分析部位524は、基板502内に凹んだ内面522上に代わりにあってよいか、又は本質的に内面522と同一平面にあってよい。図60は、基板、チャンネル及び分析部位に対する熱センサ用の幾つかのあってよい場所を描く;また他の場所も有用であり得て、そして当業者にとって明らかであるように、デバイスの設計に依存するであろう。
使用において、熱センサは、意図された設計に依存して、図60において描かれた一つ又はそれ以上の場所から除外され得る。分析部位524における凹部は、分析部位の周囲が熱センサ528のための場所を供し得るように、熱センサ526のための場所を供し得る。一つ又はそれ以上の熱センサ530、532、534は(図60において流体が右から左に流れるとき)分析部位524の上流側上に置かれ得るか、又は一つ又はそれ以上の熱センサ536、538、540は分析部位524の下流側上に置かれ得る。
熱センサは、熱センサ542が描かれるように、表面近くの基板中に埋め込まれ得る。種々の他の実施態様において、一つ又は複数の熱センサは、内面内に凹んだ、内面上に置かれ得るか、又は内面と本質的に同一平面にあってよい。各熱センサは、上述の通り、信号調節エレメント、加熱エレメント、並びにパワー供給及び制御エレメントにも関連付けられ得て、そして単一信号調節エレメント、加熱エレメント、又はパワー供給及び制御エレメントは、一つより多くの熱センサに関連付けられ得る。
図61は、面556上のアレイ中に配置された分析部位524に対する熱センサ用の可能な位置を示す。分析部位524における凹部は、分析部位の周囲が熱センサ546のための場所を供し得るように、熱センサ544のための場所を供し得る。分析部位のアレイを囲む面の端部は、一つ又はそれ以上の熱センサ548用の場所を供し得る。熱センサは、アレイの特別な行550又は列552における分析部位の間に位置付けられ得るか、又は対角線554上に配置され得る。
種々の実施態様において、一つ又は複数の熱センサは、表面近くの基板中に埋め込まれ得るか又は面内に凹んだ、面上に置かれ得るか、又は面と本質的に同一平面にあってよい。各熱センサは、上述の通り、信号調節エレメント、加熱エレメント、並びにパワー供給及び制御エレメントにも関連付けられ得て、そして単一信号調節エレメント、加熱エレメント、又はパワー供給及び制御エレメントは、一つより多くの熱センサに関連付けられ得る。小さな熱センサの使用は、非常に小さな流体サンプルについて生体分子分析を実行するマイクロ流体デバイスのような小型化されたシステムにおいて有用であってよい。そのような分析は一般的に生体分子流体を、分析部位を通して、その上を、又はそれに隣接して流すことを含み、そして試薬及び/又は試験回路及び/又は分析部位に関わる部品の使用を通して得られる生体分子流体に関する情報を生み出す。
図62は、チャンネル及び分析部位に対する熱センサの幾つかの可能な構成を描く。図62において模式的に描かれたデバイスは、例えば、小さな容量のサンプル流体、例えば、生体分子流体を分析するためのマイクロ流体デバイスであってよい。デバイスはサンプル流体の量を保持するためのサンプルリザーバ560を有する。サンプル流体は、サンプルリザーバ560と流体連通状態にあるサンプル入力ポート562を介してサンプルリザーバ560に導入される。熱センサ564はサンプル入力ポート562中又はその近くに置かれる。第一のチャンネル566はサンプルリザーバ560の近くで始まり、そして流出リザーバ568で終わる。
一つ又はそれ以上の補足リザーバ570は、場合によっては存在し、そして補足リザーバ570から第一のチャンネル566に繋がる一つ又はそれ以上の補足チャンネル572を介して、第一のチャンネル566と流体連通状態にある。補足リザーバ570は、試薬溶液、洗浄溶液、現像溶液、固定溶液などの、アッセイの作動のために必要な流体を保持するために機能する。サンプルリザーバ560から所定の距離での第一のチャンネル566において、分析部位574のアレイが存在する。
熱センサは(図において流体が右から左に流れるとき)、アレイ576から直接上流に、そしてアレイ578から直接下流に置かれる。熱センサは、それに隣接して、サンプルリザーバ580で第一のチャンネルが始まり、そしてそれに隣接して流出リザーバ582で第一のチャンネルが終わる第一のチャンネル中にも置かれる。補足チャンネルは別の熱センサ584のための場所を供する。
デバイスが作動中であるとき、サンプル入力ポート562中又はその近くに置かれる熱センサ564は、本明細書において述べられた通り、熱センサの局所環境におけるサンプル流体、例えば、生体分子流体の到着を示すために使用され、そしてそのようにして、サンプル流体がデバイス中に成功裏に導入されたことの確認を供する。それに隣接して、サンプルリザーバ560で第一のチャンネル566が始まる第一のチャンネル566中に置かれる580は、サンプル流体がサンプルリザーバ560から第一のチャンネル566内に流れ始めたということを示す信号を生み出す。分析部位574のアレイから少しばかり上流の第一のチャンネル566中の熱センサ576は、流体サンプルがアレイ574に近づいていることを示すために使用され得る。同様に、分析部位574のアレイから少しばかり下流の第一のチャンネル566中の熱センサ578は、流体サンプルがアレイ574を超えて前進し、その結果、各分析部位と接触していることを示すために使用され得る。
補足チャンネル572中の熱センサ584は、補足リザーバ570内に含有される流体がそこから流れ始めたという確認を供する。そこに隣接して第一のチャンネル566が流出リザーバ568で停止する第一のチャンネル566における熱センサ582は、サンプル流体が流出リザーバ568の近くに何時到達するかを示し、それは次いで、十分なサンプル流体が分析部位574のアレイの上を通過したこと、そして分析部位で分析が完了したことを示し得る。
本発明の実施態様は、熱センサの近くの熱センサの局所環境における分析部位のような定められた領域での流体サンプルの到着を検出するために、熱センサの使用を供する。種々の熱センサが使用され得る。サーミスタは、対応する温度変化にさらされたとき、負の温度係数(NTC)サーミスタが電気抵抗の低下を示し、そして温度上昇にさらされたとき、正の温度係数(PTC)サーミスタが電気抵抗の上昇を示す、その第一の機能が電気抵抗における予測可能なそして正確な変化を検出することである感熱抵抗器である。
種々のサーミスタが、店頭での(over the counter)使用及び適用のために生産されてきた。サーミスタは−100度〜600度Fを超える温度範囲に亘っての作動が可能である。それらのたわみ性故に、サーミスタはマイクロ流体への適用、並びに温度の測定及び制御に対して有用である。
温度変化によって、サーミスタの電気抵抗の対応する変化がもたらされる。この温度変化は、伝熱を介した熱の外部移動、又はサンプル若しくは取り囲む環境からサーミスタへの放射、又はデバイス内の電気的パワー散逸による熱の内部適用としての何れかから起こる。サーミスタが「自己加熱」モードにおいて作動されるとき、デバイス中に散逸されるパワーはその温度を局所環境の温度を上回って上げるために十分であり、それは次いで局所環境の導電率における熱的変化をより容易に検出することになる。
サーミスタは、流体レベル検出、気流検出、及び伝熱性材料の特性評価のような用途において、「自己加熱」モードにおいてしばしば使用される。このモードは、自己加熱導電率センサが、静止空気において散逸するよりも、流体において又は動いている空気流において著しくより多くの熱を散逸する故に、流体感知において、特に、有用である。
本発明の実施態様は、熱センサが直接サンプルにさらされるように設計され得る。しかしながら、それはまた、例えば、サンプルを輸送するために意図されるチャンネルの壁におけるデバイスの材料中にも埋め込まれ得る。熱センサはポリマー又は他の保護材料の薄いコーティングで覆われ得る。
デバイスの実施態様は、温度のような監視されるパラメータのベースライン又は閾値を確立する必要がある。理想的には、これは組み立てプロセス中に確立される。一旦、流体の動きが開始されると、デバイスはその後の著しい変化に対して連続的に監視する。「著しい」として示される変化レベルは、ノイズ拒否と適切な感度の間の妥協として設計される。「ゼロ時間又は始動時間」の実際の定義は、データの時間履歴から求められたアルゴリズムも含み得る、つまり、それは単純な閾値が交叉される正確な場面から、データの時間シーケンスに基づく複雑な数学的関数までの範囲で定義できる。
使用において、信号がサンプル又は流体が存在しない熱センサから読まれる。流体サンプルが次いで導入される。サンプルは、熱センサの局所環境における目的の部位に又はそれを通過して流れ、そして熱センサはサンプルの到着を登録する。興味ある部位は、例えば、酵素的アッセイを行うための分析部位を含み得る。興味ある部位での流体の到着を測定することによって、このように実行されるべき反応のゼロ時間又は始動時間が示される。流体の存在の検出に対して、これらの部位は流体経路に沿った種々の望ましい場所の如何なるものでもあってよい。発明の実施態様は流体サンプルが導入され、そしてプラットフォーム中の適切な場所に流れたという保証を使用者に供するマイクロ流体カートリッジ又はプラットフォームに特別によく適する。
速度に基づいたアッセイの場合、開始時間及び、その一つがアッセイの終点である、幾つかの数のその後の時点の両者を測定する必要がある。従って、ベースライン又は閾値が確立できて、そして次いでその後の著しい変化に対して連続的に監視する:そのような変化の一つは、酵素反応を開始する流体サンプルの到着である。ベースラインの値は、デバイスの設定プロセス中にしばしば確立される。閾値は、ノイズ拒否と適切な感度の間の妥協として設計される。定義されたゼロ時間又は「始動時間」は、単純な閾値が交叉される正確な場面から、データの時間シーケンスに基づくフィルタを用いてアルゴリズム的に決定される値までの範囲で定義できる。
本発明の実施態様はこれを種々の方法において成就する。一つの実施態様において、初期の温度測定はサンプルが存在しない熱センサでなされる。サンプルの到着によって熱センサは新しい値を登録することになる。これらの値は次いで比較される。
別の実施態様では、流体サンプルの到着によって引き起こされる、熱センサの局所環境における(熱伝導率又は熱容量のような)熱的性質における変化が測定される。一般に、これは「熱伝導率センサ」又は「熱フラックスセンサ」として公知のデバイスのクラスの作動原理である。少なくとも二つのハードウエア実施が使用されてきて、そして上で述べられる。一つの実施では「自己加熱モード」において熱センサが利用される。「自己加熱モード」において、自己加熱熱センサは、流れチャンネル中又はその近くに置かれる、例えば、流れチャンネルの壁中に置かれる、正の温度係数のサーミスタを利用し得る。
電流はサーミスタを通して流され、周囲の環境のそれを超えるサーミスタの平均温度の上昇を引き起こす。温度は、それが温度に依存するため、電気抵抗から決定できる。流体がチャンネルを通して流れるとき、それはサーミスタの近くの局所熱伝導度を変え(通常より高くなる)、そしてこれによってサーミスタの平均温度の変化がもたらされることになる。それは熱容量も変え、それは熱力学的応答を修正する。これらの変化によって信号が出され、それは周知の手段によって電子的に検出できて、そして流体の到着がそうすることによって推測できる。
第二のハードウエア実施は、流れチャンネル中又はその近くの個別の加熱エレメントに加えてごく近位での熱センサ配置を必要とする。エレメントを通して電流を流すことによって、局所環境に熱が供され、そして熱電対デバイスによって検出される局所温度が確立される。この温度又はその動的な応答は、前に述べられた実行と同様、局所環境中又はその近くへの流体又は血液の到着によって変えられ、そしてそのイベントは電子的に検出される。
加熱エレメントは制御された入力モードにおいて作動できて、それは、所定の方法における一つ又はそれ以上の以下のパラメータ−かけられる電流、電圧又はパワー−を制御することを含み得る。制御された入力モードにおいて作動するとき、流体の到着を検出するために、熱センサの温度の変動が監視される。
あるいは、加熱エレメントは所定の方法における熱センサの温度を制御するような方法で作動できる。作動のこのモードにおいて、流体の到着を検出するために、加熱エレメントに対する一つ又はそれ以上の入力パラメータ(かけられる電流、電圧又はパワー)における得られる変動が監視できる。
上述の作動モードの何れかにおいて、所定のパラメータは一定値、又はデバイスの作動の特定の段階中に一定に保持される一連の値に保持できる。定められたパラメータは公知の関数又は時間における波形としても変えることができる。
流体の到着によって引き起こされる監視されたパラメータにおける変化は、信号処理技術において周知の方法を用いて、多くの方法の如何なるものにおいても計算できる。信号処理方法によって、流体の到着前に受信された信号と、流体の到着の際に受信された信号の関係が、流体の到着を示すことが可能になる。例えば、そして適切な信号濾過が適用された後、監視された値における変化又は信号の値の変化率が、流体の到着を検出するために監視できる。加えて、流体の到着によって、熱伝導率又は熱容量のような局所環境の熱力学的性質における動的変化が引き起こされるであろう。入力パラメータが時間で変わる関数であるとき、熱力学的性質のこの変化によって、制御されたパラメータに対する測定されたパラメータの相シフトが引き起こされるであろう。この相シフトは、流体の到着を検出するために監視できる。
尚また、熱ノイズに対する感度及び作動パワーレベルは、これらの作動モードのこれらの何れかにおいても、監視されたパラメータに適用される適切なそして周知の信号処理方法と共に、所定のパラメータに対する時間変動波形の適する選択によって低減され得るであろう。しかしながら、これらの潜在的利便性は、より遅い応答時間を犠牲によって得られ得る。
図63を参照すると、使い捨てサンプリングモジュール590、ランセットドライバ591、及び場合によるモジュールカートリッジ592を組み込んだ組織貫入サンプリングデバイスの代替実施態様が示される。場合によるモジュールカートリッジは、サンプリングモジュール590を保存するための保存空洞594を有するケース本体593を含む。この空洞へのカバーは明確化のために省略された。カートリッジは更に、ランセットドライバ591を保持するためのチャンバ595を含む。ランセットドライバは、それによってランセットドライバのトリガー点が調節され得る事前負荷調節ノブ596を有する。これによって、貫入の深さ及び血液収率のより良い制御のための皮膚の表面上の再現性がある張力が保証される。一つの実施態様において、サンプリングモジュール590は、サンプリングモジュール590が使い捨て可能でありそしてランセットドライバ591が再使用可能であるように、示された通りランセットドライバ591に取り外し可能に取り付けられる。代替実施態様において、サンプリングモジュール及びランセットドライバは、単一の組合せハウジング内に含まれ、そして組合せサンプル取得モジュール/ランセットドライバは使い捨てである。サンプリングモジュール590は、好ましくは、凹んだ窪み598、又は使用者の指の形又は(示されていない)他の解剖学的機能に適合するように人間工学的に設計できるゆりかごを有するサンプリング部位597を含む。
サンプリング部位は更に、凹んだ窪み中に置かれた開口部599を含む。ランセットドライバ591は、指がサンプリング部位597上に置かれるとき、使用者の指上のランシングを創出するためにサンプリングモジュール590内に含有され、そしてそれによってガイドされるランセットを発射する(fire)ために使用される。一つの実施態様において、サンプリング部位は、サンプリング部位に抗して皮膚がしっかりと押しつけられるとき、開口部で実質的に気密なシールを形成する;サンプリング部位は、周囲の空気による血液サンプルの汚染を更に制限するために、開口部を取り囲む柔らかい、圧縮できる材料を追加して有することができる。この文脈における「実質的に気密な」は、無視できる量の周囲の空気のみが、通常の作動条件下でシールを過ぎて漏れ得て、実質的に気密なシールによって血液が続けて集められ得ることを意味する。
図64及び65を参照すると、ランセット600は、使用者の指又は他の身体部分を位置付けるための架台602、架台602内のサンプリングポート603、及び得られた血液サンプルを収集するためのサンプリングサーバ603’を供する一体化ハウジングハウジング601内に保護される。ランセット600は、最小の痛みでランシングを生み出すために鋭くされた遠位端604を有する軸である。ランセット600は遠位端の反対側に近位端605を更に有する。類似のランセットは当業技術において普通に公知である。
鋭い端部を有する軸に限定されるよりもむしろ、ランセットは、そのような他のランセット構成を収容するようにシステムに対してなされた適切な修正を備えて当該技術分野において公知の種々の構成を有していてもよく、そしてそのような構成は、血液サンプルが得られ得る傷を創出するためにサンプリングポートを出る鋭利機器を有する。
これらの図において、ランセット600はハウジング601中のランセットガイド606内に摺動可能に配列され、そしてランセットガイド606内のランセット600の動きは、ランセットの横方向の動きを低減し、そうすることによって、ランセット穿刺の痛みを低減するために綿密に制御される。サンプル取得モジュールは戻り停止(return stop)613も含み、それはランセットをサンプル取得モジュール内に留める。サンプリングモジュールは、ランセットドライバに取り付けるための取り付け部位615を有する。
サンプリングモジュールは、使用者が数個の貫入深さ設定の一つを選択することを可能にする深さ選択器を更に含む。深さ選択器は、目盛がつけられた表面を有する複数位置サムホイール607として示される。サムホイール607を回転することによって、使用者は、ランセットガイド606内のランセット600の動きを制限するために、目盛がつけられた表面のどの部分がランセットの増大した近位端605と接触するかを選択する。
サムホイールは、サムホイール607中の幾つかのくぼみ609(例えば、小さなディンプル、溝又はスロット)の少なくとも一つを係合する、突き出ている、丸められた表面を有する保持具608によって選択位置に維持される。くぼみ609は、サムホイール607が回されたとき、深さ設定が選択された特定の深さ設定に対応するくぼみ609を係合する保持具608によって選択されそして維持されるように、サムホール607の目盛がつけられたスロープに対応するよう空間的に整列される。
代替実施態様において、保持器は、保持器が窪地を機能的に係合し得るように、深さ選択器、及びハウジング上に置かれた深さ選択器に対応する窪地上に置かれ得る。部品を整列状態に保持するための他の類似の配置が当業技術において公知でありそして使用され得る。更なる代替実施態様において、深さ選択器は、ランセットの拡大された近位端を、ハウジング中の溝によって留められている楔に接触させる、目盛が付けられたスロープを有する楔の形態をとり得る。
サンプルリザーバ603’は、サンプル取得モジュールのハウジング601内に、細長い、丸められたチャンバ610を含む。チャンバ610は、チャンバ610の少なくとも一つの側が、好ましくは鋭い角が存在しない平滑なポリマーで形成された、平らな又は少しばかり球状の形を有する。サンプルリザーバ603’は、サンプリングポート603と流体連通状態にあるチャンバ610に対するサンプル入力ポート611、及びチャンバを出るベント612も含む。
好ましくは、プラスチックのような透明材料の(示されていない)カバーは、ランセット600を位置付け、そしてサンプルリザーバ603’を閉じてサンプルリザーバ603’の対向する側部を形成する。カバーが透明である実施態様において、カバーは試験手段として役立ち得て、そうすることによってサンプルはリザーバ中で、カバーを通して作動される光学的感知技術を介して分析され得る。透明なカバーは、サンプルリザーバが血液サンプルでいっぱいであるとき、検査による決定においても助けるであろう。
図66は、サンプルリザーバの代替実施態様を図示するサンプリングモジュールの部分を示す。サンプルリザーバは、チャンバ616を血液輸送毛細管チャンネル618に結合しているサンプル入力ポート617を有するチャンバ616を有する;チャンバ616はベント619も有する。チャンバは、鋭い角が存在しない、平らな又は少しばかり球状の形を有し、そして円滑なポリマーによって形成される第一の側620を有する。エラストマー製ダイアフラム621はチャンバ616の周囲に取り付けられ、そして、好ましくは、チャンバの第一の側620の第一の側にピッタリと嵌入し得る。
血流の方向を制御するために、サンプルリザーバには、サンプルリザーバの入口617に置かれる第一の逆止弁622、及びベント619に置かれる出口チャンネル624に繋がる第二の逆止弁623が供される。あるいは、(場所622で)一つの逆止弁が存在し得て、血液輸送毛細管チャンネル618を介してチャンバ616内への流れ込み、及びチャンバ616から場合による代替出口チャンネル625への流れ出しの両方を制御する。サンプルリザーバは、ダイアフラム621の動きを助ける変動圧源に連結しているダクト626を有する。
ダイアフラム621がチャンネル620の第一の側から離れて曲げられるとき(ダクト626を介して低い圧力が源から供される)、第一の逆止弁622は開かれ、第二の逆止弁623は閉じられ、そしてサンプルリザーバ内への血液サンプルの吸引が続く。第一の逆止弁622が閉じられ、そして第二の逆止弁623が開かれて、(ダクト626を介して源から高圧が供給される)チャンネル620の第一の側の方向にダイアフラム621が曲げられるとき、血液はチャンバ616から無理やり押し出される。ダイアフラム621の動きの方向及び作動速度は圧力源によって制御できて、従ってサンプルの流れは加速又は減速できる。この機能によって、血液細胞への損傷の減少のみならず、それによってチャンバ616が満たされる速度の制御も可能になる。
空気による手段を介したダイアフラム621の制御がこの実施態様において述べられる一方、機械的手段が代わりに使用され得る。本質的に、このマイクロダイアフラムポンプは吸引、保存及び送達の機能を果たす。ダイアフラム621は、要求される全ての領域に達する血液の移動を助けるためのポンプとして本質的に使用され得る。そのような要求される領域は、アッセイのための又は血液を化学センサ又は他の試験手段にさらすための、更に下流での単純なサンプル保存領域であってよいであろう。血液の送達は、サンプリングモジュール内に座すること、又はサンプリングモジュールの外側、つまり、別個の分析デバイスに座することである。
代替実施態様において、化学センサ又は他の試験手段はサンプリングモジュール内に置かれ、そして血液は、サンプルリザーバと流体連通状態にある血液移動チャンネルを介して化学センサ又は他の試験手段に送達される。サンプリングモジュールの部品は射出成形され得て、そしてダイアフラムは統合部品として融合され又は挿入成形され得る。
図67は、サンプリング部位のゆりかご面628の部分を含む、サンプリングポート627を囲んでいる使い捨てサンプリングモジュールの部分を描く。サンプリングモジュールのハウジングは、サンプル入力ポートをサンプルリザーバに連結している毛細管チャンネルである第一のサンプル流れチャンバ629を含む。第一のサンプル流れチャンバ629は第一のチャンネルルーメン面630及び第一のチャンネル入口631を含み、そうして第一のチャンネル入口631はサンプル入力ポート627内に開く。サンプリングモジュールは場合によっては、補助のチャンネルルーメン面633及び補助のチャンネル入口634を有する毛細管チャンネルでもある補助のサンプル流れチャンネル632を含み、そして補助のチャンネル入口634はサンプル入力ポート627内に開く。
第一のサンプル流れチャンバ629は、補助のサンプル流れチャンネル632よりも、好ましくは、少なくとも2倍だけ大きな断面積を有する。このように、補助のサンプル流れチャンネル632は第一のサンプル流れチャンバ629よりも早く流体を引く。血液の第一の滴がサンプル入力ポート627内に受け取られるとき、補助のサンプル流れチャンネル632を通してこの滴の大部分が引かれる。しかしながら、血液が、ランシング部からサンプル入力ポート627内に流れ続ける際に、補助のサンプル流れチャンネル632が限定した能力のものであり、そして第一の血液滴で充填される又は殆ど充填される故に、この血液の殆どが第一のサンプル流れチャンバ629を通って引かれる。この二重毛細管チャンネル構成は、例えば、ランセットストライキからの破片を伴う、又は(特に、血液ガス試験の場合)空気を伴う、サンプルの汚染に関心がある試験において特に有用である。
血液滴の流れを改良するために、毛細管流プロセスを開始するための、血液を用いた表面の幾らかのプライミング又はウイッキング(wicking)が時々必要である。サンプル入力ポート627及び第一の及び(もし存在すれば)補助のサンプル流れチャンバ629、632の部分は、それらの表面を親水性にするために処理される。表面改質は、機械的、化学的、コロナ又はプラズマ処理を用いて達成され得る。そのような被覆及び方法の例は、AST Products(Billerica、MA)及びSpire Corporation(Bedford、MA)によって販売される。
しかしながら、表面の完全な全面的な処理は、血液が表面全体に亘って無差別に、そして優先的に一つ又は複数の毛細管チャンネルを通してではなく流れることを引き起こすことによって有害であると証明し得るであろう。これによって、最終的に血液流体の損失がもたらされるであろう。処理を受ける特別な表面が、サンプル入力ポート627及び少なくとも一つのサンプル流れチャンバ629、632を通して、サンプリング部位ゆりかご面628上のランシングされた指からサンプルリザーバへの血流を改善するために選択される。このように、処理プロセスはマスキングされ、そして選択された表面のみに制限されるべきである。サンプリング表面を、親油性から親水性に選択的に改質するマスキングプロセスは、金属遮蔽、沈積された誘電フィルム若しくは導電フィルム、又は電気的遮蔽手段を用いるような機械的マスキング技術を用いてなされ得る。
幾つかの実施態様において、処理された表面は一つ又はそれ以上の以下のものに制限される:サンプリング部位ゆりかご面と第一及び補助のサンプル流れチャンネルの間に横たわるサンプリングポートの表面、第一及び/又は補助のサンプル流れチャンネル631、634(両方共、サンプル入力ポート内及びサンプル流れチャンネル内)の入口に直ぐ隣接している表面、及び第一及び/又は補助のサンプル流れチャンネル630、633のルーメン表面。
ランシング部を出る際、血液は、優先的には、サンプル入力ポート627を通して(もし存在すれば)補助のサンプル流れチャンネル632内へと、そして第一のサンプル流れチャンバ629内へとサンプルリザーバに動き、結果として血液が効率的に捕捉される。あるいは、基板材料は親水性又は親油性であるよう選択され得て、そして基板材料の表面の部分は反対の特性を有するように処理され得る。
一つの実施態様において、図67において、サンプル入力ポート627のベースで膜635はランセット636の後退させられた鋭い遠位端とチャンネル入口631、634への入口の間に位置付けられる。膜635は、血液が、ランセット637の遠位端を囲む領域636内に流れることを制限することによって、血液サンプルがサンプル流れチャンバ629、632を通して流れることを助ける。血液はこのようにサンプルリザーバ内に優先的に流れる。一つの実施態様において、膜635は親油性を有するように処理される。別の実施態様において、膜635は、シリコーン系ゲル639で覆われたポリマー系フィルム638で作られる。
例えば、膜構造は、MYLAR(登録商標)の下で売られているフィルムのようなポリエチレンテレフタレートで構成されるポリマー系フィルム638を含み得る。本膜構造は、フィルムの少なくとも一つの面上で、SYLGARD(登録商標)下で販売されているゲルのようなシリコーン系ゲル639の薄い被覆を更に含み得る。そのようなフィルムの有用性は、ランセットがそれを貫入した後、ランセットの切断先端及び端部に物理的に影響することなく、その再シールをする能力にある。MYLARフィルムは構造的安定性を供し、一方、薄いSYLGARDシリコーン積層体は、その形態を留めるために、そしてMYLARフィルム中に作られた孔全体を閉じるために十分可撓性である。構造安定性及び可撓性の役割を満たす他の類似の材料は、この実施態様において膜の製造において使用され得る。
膜635は、637の尖った遠位端がサンプル入力ポート627内にそしてそれを通して走行するとき、ランセット637の尖った遠位端が膜を穿刺すことを可能にするように作動される。一つの実施態様において、膜635のシリコーン系ゲル639は、穿刺するランセットによって生じる切断部を自動的にシールする。従って、使用者の指上にランシングがなされた後、ランシングからの血液は膜635を通して流れることが防がれ、それはサンプルリザーバ内に蓄積するために血液が第一のサンプル流れチャンネル629を通って走行するのを助ける。このように、本フィルムは、如何なる血液もランセットデバイス組立体内に流れることを防ぎ、そしてランセットデバイス機構空洞内への血液汚染及び損失を防ぐ。剥離層639なしでさえ、親油製膜635は、膜635を横切る血液の流れを阻止し、第一のサンプル流れチャンバ629を通る改良された流れ、及び穿刺された膜635を通る低減された又は排除された流れをもたらす。
図68〜70は、ランセットドライバの使用中に、三つの異なる点でランセットドライバ640の一つの実行を図示する。ランセットドライバのこの記述において、近位とはサンプリングモジュールの取り付けの部位に比較的に近い位置を表す;逆に、遠位とはサンプリングモジュールの取り付けの部位に比較的に遠い位置を表す。ランセットドライバは、その内に事前に負荷をかけられたばね643があるウェル642を画成するドライバハンドル本体641を有する。事前に負荷をかけられたばね643に対して近位にドライバ袖644があり、それはウェル642内にぴったりと嵌入し、そしてその内に摺動可能に配列される。ドライバ袖644は、その内にアクチュエータばね646がある円筒状ドライバチャンバ645を画成する。アクチュエータばね646に対して近位にプランジャ袖647があり、それはドライバ袖644内にぴったりと嵌入し、そしてその内に摺動可能に配列される。
ドライバハンドル本体641は、その中に事前に負荷をかけられたねじ650が嵌入するねじが切られた通路649を画成する遠位端648を有する。事前に負荷がかけられるねじは座ぐり(counterbore)651を画成する。事前に負荷がかけられるねじ650は事前負荷調節ノブ653、及び開口部655を画成する近位端654に取り付けられる遠位端652を有する。ドライバ袖644は捕捉付属品657に取り付けられる遠位端656を有する。捕捉付属品657は捕捉孔658を画成する。ドライバ袖644は近位端659の内面を回る傾斜したリング機能660を持つ近位端659を有する。
ランセットドライバは近位端661及び遠位端662を有するプランジャ柄660を含む。その662662で、拡大されたプランジャ頭663はプランジャ柄660を終わらせる。その近位端661で、プランジャ柄660はプランジャ先端667の中の孔665内に接着剤での接合、溶接、クリンプ又はねじによってプランジャ先端667に固定される。プランジャフック665はプランジャ頭663とプランジャ先端667の間でプランジャ柄660の上に置かれる。プランジャ頭663は事前に負荷がかけられるねじ650によって画成される座ぐり651内に摺動可能に配列される。プランジャ柄660はプランジャ頭663から事前に負荷がかけられるねじの近位端654によって画成される開口部655を通して、ひいては捕捉付属品657中の孔658を通してプランジャ先端667中のジョイント664へと伸びる。組立目的に対して、プランジャベースジョイント664はプランジャ袖647及びクリンプ、スエージ加工、糊づけ、溶接、又は幾つかの他の手段によってプランジャベース664に取り付けられるプランジャ柄660内に組み込まれ得る。尚、ランセットドライバ640は、上で論じられた制御された電磁ドライバの如何なるものでも置き換えられ得るであろう。
図63〜70を参照すると、組織貫入サンプリングデバイスの作動は以下のように述べられ得る。作動中にて、新しいサンプリングモジュール590が保存空洞594から取り外され、そして複数位置サムホイール607を用いて望ましい深さ設定のために調節される。サンプリングモジュール590は次いでランセットドライバ591の端部上に置かれる。事前負荷設定はチェックされ得るが、一旦、好まれる設定が見出されるとサイクルごとには変えられないであろう:必要ならば、事前負荷設定は事前負荷調節ノブ596を用いて調節され得る。
組み合わされたサンプリングモジュール及びランセットドライバ組立体が次いで、事前設定されたトリガー点が到達されるまで、使用者の指(又は他の選択された解剖学的機能)に抗して円滑な動きで押し付けられる。トリガー点は、ランセットを皮膚に向かって駆動するためにドライバを作動するべく打ち克たれる必要がある事前負荷力の量に対応する。一貫性があり、(使用者による)事前設定される事前負荷力の量が、ランシングが実行される度にサンプリング部位597に適用されるように、事前に負荷がかけられたねじは、使用者によって事前負荷設定が調節されることを可能にする。
組立体を使用者の指に抗して押し付ける動きが始まるとき(図68を参照)、プランジャフック665は捕捉付属品657を係合し、そしてアクチュエータばね646をぴんと立った位置に保持し、一方、指に抗する力はドライバ袖644が事前に負荷がかけられたばね643を圧縮し続けるときに利用する(builds)。最終的に(図69を参照)、プランジャフック665の傾斜した後部は、事前に負荷がかけられたねじ654の近位端における孔655内に摺動し、そして捕捉付属品657から係合解除する。プランジャ袖647は、一旦、プランジャフック665が解放されると、近位方向に自由に動き、そしてプランジャ袖647は、プランジャ先端667がランセット212の拡大された近位端を打つまで、アクチュエータばね646によって加速される。
近位端605の拡大された近位端にぶつかる際に、作動されたランセットドライバのプランジャ先端667はリバーシブルに近位端605の拡大された近位端を係合する。これは機械的手段、例えば、ランセット605の拡大された近位端上の補足的付属品(fitting)に取り外し可能に係合するプランジャ先端667に取り付けられる付属品よって完成され得るか、又は近位端605の拡大された近位端は、作動されたランセットドライバのプランジャ先端667に接着する接着剤を用いて被覆され得る。プランジャ先端667によって係合される際、使用者の指におけるランシングを創出するために、ランセット600はランセットガイド606内を摺動し、ランセット604の鋭くされた遠位端がハウジング601から、サンプリングポート603を通して現れる。
プランジャ先端667がランセット605の拡大された近位端に接触する点の近くで、アクチュエータばね646はその緩められた位置にあり、そしてプランジャ先端667はその最高速度で走行している。伸長ストローク中に、アクチュエータばね646は伸ばされており、そしてプランジャ先端667及びランセット600を遅くしている。ストロークの最後は、ランセット605の拡大された近位端が複数位置サムホイール607を打つときに、起きる(図70を参照)。
ランセット600の動きの方向は、次いで、逆転され、そして細長いアクチュエータばねは次いで、ランセット604の尖った遠位端を、サンプリングポート603を通して戻るように迅速に後退する。戻りストロークの最後に、ランセット600は戻り停止613によってプランジャ先端667からはがされる。接着剤は戻り停止613に接着し、ランセットを安全な位置に留める。
血液が傷口からしみ出るとき、それはサンプリングポート603を満たし、そして毛細管作用によってサンプルリザーバ603’内に引かれる。血液サンプルが、例えば、シリンジ又はポンプによって供給される吸引によって引かれる実施態様も使用され得るが、この実施態様においては、傷では減圧又は真空は全くなく、つまり、傷は周囲空気圧力にある。ベント612は、チャンバ全体が満たされるまで毛細管作用が進むことを可能にし、そして他の装置による血液の分析のための移動ポートを供する。指は、サンプルリザーバにおいて完全なサンプルが観察されるまで、サンプル取得モジュールに抑えつけられる。
サンプリングモジュール600がランセットドライバ591から取り外されるとき、戻り停止613構造の部分であるラッチ614はランセットドライバ591内部の傾斜したリング機能6660を係合する。ランセットドライバ591が3モジュール600から取り外されるとき、ランセットは戻り停止613をランセット600向かって無理やり回転させて、それを安全な場所にロックして再使用を防ぐためにそれを曲げる。
サンプリングモジュール600がランセットドライバ591から取り外されるとき、ドライバ袖644は事前に負荷がかけられたばね643中に保存されたエネルギによってドライバハンドル本体641中に無理やり摺動させられる。ドライバ袖644、プランジャ袖647、及びアクチュエータばね646は、プランジャ柄660上のプランジャ頭663が、事前に負荷がかけられたねじ654の近位端で座ぐり651の底と接触するまで、一緒に外側に向かって動く。事前に負荷がかけられたばね643は、プランジャフック665が捕捉付属品657中の孔658を通過するまで、ドライバ袖644を外側に向かって動かし続けてアクチュエータばね646を圧縮する。最終的に、二つのばねは平衡に達し、そしてプランジャ袖647はピンと立った位置で静止状態になる。
サンプリングモジュール600がランセットドライバ591から取り外された後、それは、血液の化学的データを読み取るために別の分析デバイス中に置かれ得る。好まれる実施態様において、サンプリングモジュール600のハウジング601又はサンプルリザーバ603’は少なくとも一つのバイオセンサを含み、それは別の分析デバイスによって動かされ及び/又は読まれる。別の実施態様において、分析デバイスは、直接、サンプリングモジュールの透明なプラスチックカバーを通して、血液サンプルの光学的分析を実行する。あるいは、血液サンプルはサンプリングモジュールから、種々の分析プロセスに配分するために分析デバイス内に移送され得る。
本発明の代替実施態様は、改善されたサンプリングに対する成功率を供し、それは不適切な容量充填による、サンプル保存リザーバ又は分析モジュールの不必要な犠牲を減じる。代替実施態様によって、(例えば、信号光又は聞くことができる発信音によって)使用者に皮膚をサンプリング部位からから取り外されてよいという信号を送る前に、十分な血液が集められたことの自動的検証が可能になる。そのような代替実施態様において、一つ又はそれ以上の追加のランセット(バックアップランセットを意味する)及び/又は一つ又は複数のランセットドライバ(バックアップランセットドライバを意味する)及び/又は一つ又は複数のサンプルリザーバ(バックアップサンプルリザーバを意味する)が「第一の」サンプリングモジュールと共に存在する。
一つのそのような好まれる実施態様において、不適切な血液サンプル容量の(例えば、光又は電子的な方法による)検出に続いて、バックアップサンプリングサイクルが自動的に開始される。「バックアップサンプリングサイクル」は、単純なバルブシステムを介した第一のサンプルリザーバの切り離し、バックアップ部品のオンライン化、皮膚のランシング、血液の収集、及びバックアップサンプルリザーバへの血液の動きを含む。
血液は、要求される容量が得られるまで、バックアップサンプルリザーバ内へ流れる。もし必要ならば、正しい容量が得られるまで、サイクル自身は繰り返す。そのときにのみ、サンプルリザーバが、測定における使用のために又は他の用途のためにサンプリングされた血液源として利用できるようになる。一連のリザーバ及び/又はランセット及び/又はランセットドライバは、同じハウジングにおいて容易に製造され得て、そして使用者に対して透明であってよい。
一つの実施態様において、三つまでのサンプルリザーバ(第一のものプラス二つのバックアップ)が単一のサンプル取得モジュール中に存在し、各々は一つ又はそれ以上のサンプリングポートに、毛細管チャンネル/バルブシステムを介して連結される。別の実施態様は単一のサンプル取得モジュール中に存在する4つのサンプルリザーバ(第一のものプラス三つのバックアップ)を有し、各々は一つ又はそれ以上のサンプリングポートに、毛細管チャンネル/バルブシステムを介して連結される。幾つかの実施態様に対して、三つ又は四つのサンプルリザーバを用いて、少なくとも80パーセントのサンプリング成功率が達成できる。
別の実施態様は組織貫入サンプリングデバイスの小型化されたタイプを含む。小型ランセットの幾つかは、血液を一つ又はそれ以上のリザーバに移すための対応するサンプル流れチャンネルを有する単一のサンプリング部位中に置かれ得る。サンプル流れチャンネルは、場合により、血流を制御するためのバルブを有する。本デバイスは、例えば、十分な量の血液が得られたかどうか決定するべく血液の存在を検出するための、上で論じられた熱センサのような一つ又はそれ以上のセンサも含み得る。そのような実施態様において、使い捨てサンプリングモジュール、ランセットドライバ、及び場合による光学的モジュールカートリッジは、約150ミリメータの長さ、60ミリメータの幅、及び25ミリメータの厚みよりも決して大きくない寸法を有するであろう。
別の実施態様において、使い捨てのサンプリングモジュール、ランセットドライバ、及び場合によるカートリッジを含む組織貫入サンプリングデバイスのサイズは、約100ミリメータの長さ、約50ミリメータの幅、及び約20ミリメータの厚みより決して大きくない、そして更に他の実施態様において、約70ミリメータの長さ、約30ミリメータの幅、及び約105ミリメータの厚みの寸法を有するであろう。使い捨てのサンプリングモジュール、ランセットドライバ、及び場合によるカートリッジを含む組織貫入サンプリングデバイスのサイズは、一般的に少なくとも約10ミリメータの長さ、約5ミリメータの幅、及び約2ミリメータの厚みであろう。
別の小型実施態様において、カートリッジ又はサンプリングモジュールを有しないランセットドライバの寸法は約80ミリメータの長さ、10ミリメータの幅、及び10ミリメータの厚みより決して大きくない;又は具体的に、約50ミリメータの長さ、7ミリメータの幅、及び7ミリメータの厚みより決して大きくない;又は更にまた具体的に、約15ミリメータの長さ、5ミリメータの幅、及び3ミリメータの厚みより決して大きくない;カートリッジ又はサンプリングモジュールを有しないランセットドライバの寸法は、一般的に、少なくとも、約1ミリメータの長さ、0.1ミリメータの幅、及び0.1ミリメータの厚み、又は、具体的には、少なくとも、約2ミリメータの長さ、0.2ミリメータの幅、及び0.2ミリメータの厚み、又はもっと具体的には、少なくとも、約4ミリメータの長さ、0.4ミリメータの幅、及び0.4ミリメータの厚みである。
更に別の小型実施態様において、ランセットドライバ又はカートリッジを有しない小型サンプリングモジュールの寸法は、約15ミリメータの長さ、約10ミリメータの幅、及び約10ミリメータの厚みより決して大きくなく、又は約10ミリメータの長さ、約7ミリメータの幅、及び約7ミリメータの厚みより決して大きくなく、又は約5ミリメータの長さ、約3ミリメータの幅、及び約2ミリメータの厚みより決して大きくなく;ランセットドライバ又はカートリッジを有しない小型サンプリングモジュールの寸法は、一般的に少なくとも約1ミリメータの長さ、0.1ミリメータの幅、及び0.1ミリメータの厚み、具体的に、少なくとも約2ミリメータの長さ、0.2ミリメータの幅、及び0.2ミリメータの厚み、又はより具体的に、少なくとも約4ミリメータの長さ、0.4ミリメータの幅、及び0.4ミリメータの厚みである。
別の実施態様において、小型化されたサンプリングモジュール及びランセットドライバは、共通のハウジングを有する単一のユニットを形成し、そして組み合わされたサンプル取得モジュール/ランセットドライバは使い捨てである。そのような組み合わされたユニットは約80ミリメータの長さ、30ミリメータの幅、及び10ミリメータの厚みより決して大きくなく、具体的に、少なくとも約50ミリメータの長さ、20ミリメータの幅、及び5ミリメータの厚みより決して大きくなく、そしてより具体的に、少なくとも約20ミリメータの長さ、5ミリメータの幅、及び3ミリメータの厚みより決して大きくなく;組み合わされたユニットは一般的に、少なくとも約2ミリメータの長さ、0.3ミリメータの幅、及び0.2ミリメータの厚み、具体的に、少なくとも約4ミリメータの長さ、0.6ミリメータの幅、及び0.4ミリメータの厚み、より具体的に、少なくとも約8ミリメータの長さ、1ミリメータの幅、及び0.8ミリメータの厚みである。
図71を参照すると、保持具608カートリッジ及び分析器デバイス669を組み込んだ組織貫入サンプリングデバイスの別の実施態様が示される。分析器デバイス669はシステム672の後方端部に沿ってヒンジによってデッキに取り付けられた蓋671を有するデッキ670を含む。蓋671上の読み出しディスプレイ673は、分析器デバイス669及び/又はサンプリングモジュールカートリッジ668の状態についての情報を使用者に与える、又は血液試験の読出しを与えるよう機能する。分析器デバイス669は、分析器デバイス669の制御機能のための、又は読取装置669内に情報を入力するための幾つかの機能ボタン674を有する。あるいは読取装置は、触覚スクリーン、光学スキャナ又は当業技術において公知の他の入力手段を有することができる。
光学スキャナを有する分析器デバイスは、患者のリストバンド又はファイルの上の走査コードを用いて患者の情報が記録され得る臨床環境において特に有用であってよい。分析器読取装置はメモリを有し得て、分析器デバイスが多くの最近の試験の結果を保存することが可能である。分析器デバイスは時計及びカレンダ機能も有し得て、メモリ中に保存された試験結果に日時をスタンプすることが可能である。コンピュータインターフェース675は、メモリ中の記録がコンピュータに送りだされる(export)ことを可能にする。分析器デバイス669は、デッキ670と蓋671の間に置かれたチャンバを有し、それはサンプリングモジュールカートリッジ668をしっかりと収容する。サンプリングモジュールカートリッジ668が挿入され又は取り外されることを可能にする蓋671を上げることでチャンバに近づく。
図72はサンプリングモジュールカートリッジの実施態様の幾つかの機能を示す説明である。サンプリングモジュールカートリッジ668は、分析器デバイス上の補助面と嵌合するための、向きに感知する接触インターフェースを有するハウジングを有する。接触インターフェースはサンプリングモジュールを分析器デバイスと整列させるよう機能し、そしてまた新しいサンプリングイベントに備えて分析器デバイスが3モジュールカートリッジを回転させることを可能にする。接触インターフェースは、ハウジング中に形成された歯又は溝の形態を取り得て、それは分析器デバイスのチャンバ中の補足的歯又は溝と嵌合する。
サンプリングモジュールカートリッジは、ハウジング上に複数のサンプリング部位678を有し、それらはサンプリングモジュールカートリッジ668の周辺近くで少しばかり凹んだ窪地として示される。各サンプリング部位は、サンプリングモジュールに入るサンプル入力ポートと隣接する開口部679を画成する。代替実施態様において、サンプリング部位及びサンプル入力ポートはサンプリングモジュールカートリッジの端部上に置かれる。光学的窓680は、試験結果を光学的に読む目的で、サンプリングモジュールカートリッジ内への光の送信を可能にする。あるいは、センサ連結点は、電気的接触を介して試験結果を分析器デバイスに伝達することを可能にする。もし存在すれば、アクセスポート681は分析器デバイスからサンプリングモジュールカートリッジ内に力又は圧力を伝達することを可能にする。アクセスポートは、較正試験を実行すること又は試薬をサンプリングされた血液又は他の体液と組み合わせることと合わせて有用であってよい。
述べられた機能はサンプリングモジュールカートリッジの周りに配置され、そしてサンプリングモジュールカートリッジは多くのサンプリングモジュールに半径方向に区分けされ、各サンプリングモジュールは、単一の血液サンプリング及び試験イベントを実行するために必要な部品を有する。複数のサンプリングモジュールはサンプリングモジュールカートリッジ上に存在し、一般的に少なくとも10個のサンプリングモジュールが単一の使い捨てサンプリングモジュールカートリッジ上に存在する;幾つかの実施態様の場合、少なくとも約20個又はそれ以上、そして一つの実施態様では、少なくとも約34個のサンプリングモジュールが存在し、サンプリングモジュールカートリッジが、(7日間に対して、1日当たり5回のサンプリング及び試験イベントを仮定して)新しいサンプリングモジュールカートリッジで交換される前に分析器デバイス中に約1週間、維持されることが可能になる。小型化が増すと、約100個までの、又は好ましくは、約150個までのサンプリングモジュールが単一サンプリングモジュールカートリッジ上に含まれ得て、新しいサンプリングモジュールカートリッジを用いた交換の間に一カ月までが可能になる。サンプリング部位は、単一サンプリングモジュールカートリッジ上により多数のサンプリングモジュールを可能にするために、サンプリングモジュールカートリッジの周りの幾つかの同中心リング中に置かれること又はそうでなければ、ハウジング表面上にパックされることが必要であってよい。
他の実施態様において、サンプリングモジュールカートリッジは、分析器デバイス内に便利に挿入され得る、そして複数のサンプリングモジュールを含有するように設計される、如何なる他の形、例えば、四角、矩形、楕円又は多角形でもあってよい。各サンプリングモジュールは小型化され、35個の幾分楔形をしたサンプリングモジュールが約6.0センチメータの半径を有するディスクの周りに嵌入し得るように、一般的に約6.0センチメータの長さ×約1.0センチメータの幅×約1.0センチメータの厚みより小さい。幾つかの実施態様において、サンプリングモジュールは、もっと小さく、例えば、約3.0センチメータの長さ×約0.5センチメータの幅×約0.5センチメータの厚み未満であってよい。
図73は、高度に模式的に、分析器デバイス内に位置付けられる単一サンプリングモジュールを描く。勿論、当業者は、種々の言及された部品が、機能的システムをもたらすよう種々の構成において物理的に配置され得ることを思いつくであろう。図73は、代替実施態様においてのみ存在し得るであろう、そして如何なる単一の実施態様においても必ずしも全て存在する必要がない幾つかの部品を描く。サンプリングモジュールはカートリッジハウジング685上のサンプリング部位684によって画成される開口部683と隣接するサンプル入力ポート682を有する。サンプル入力ポート682に隣接するランセット先端687を有するランセット686は、ランセット686がサンプル入力ポート682を通してサンプリングモジュールカートリッジの外側にランセット先端687を伸ばすために動き得るように、ハウジング内に作動可能に維持される。
ランセット686はランセット先端の反対側にランセット頭688も有する。ランセット686はランセットドライバ689によって動くよう駆動され、それがランセット686の周りのコイルとして模式的に描かれる。ランセットドライバ689は、場合により、描かるようにサンプリングモジュールカートリッジ中に含まれるか、又は替わりにサンプリングモジュールカートリッジの外部にある。サンプリングモジュールはランセット頭688に隣接するハウジングによって画成されたドライバポート690を更に含み得て、ドライバポート690は外部ランセットドライバ691がランセット686にアクセスすることを可能にする。
ランセットドライバ689がサンプリングモジュールカートリッジ中にある幾つかの実施態様において、分析器デバイスにアクセスできるハウジング上にドライバ連結点694を有することが必要であってよい。ドライバ連結点694は、ランセットドライバ689をトリガーする又はランセットドライバ689を動かす力、例えば、電気機械的なランセットドライバへ電流を供給する手段であってよい。尚、制御可能なドラーバ、電子機械的ドライバなどを含む、上で論じられた如何なるドライバも、示されたランセットドライバ689に対して置き換えられ得る。
一つの実施態様において、穿刺され得る膜692はランセット先端687とサンプル入力ポート682の間に存在し、ランセット686を使用前の如何なる外部接触からもシールする。第二の膜693はドライバポート690をシールするランセット頭部688に隣接して存在し得る。穿刺され得る膜692及び第二の膜693は、使用前にランセット686の殺菌性を維持するために、ランセットチャンバ内にランセット686を隔離するよう機能する。使用中に、ランセット先端687及び外部ランセットドライバ691は、もし各々が存在する場合、穿刺され得る膜692及び第二の膜693を穿刺する。
サンプル流れチャンネル695はサンプル入力ポート682から分析領域696へと繋がる。分析領域696は、分析器デバイスによって読まれ得る同じセンサに関連付けられる。サンプルセンサが本質的に光学的である場合、サンプルセンサは分析領域696の上下のハウジング中に光学的に透明な窓697を含み得て、分析器デバイス中の光源が、光698を分析領域に通過させることを可能にする。光学的センサ698’、例えば,CMOSアレイは分析領域696を通過した光699を感知するために、そして分析器デバイスによって分析されるべき信号を発生するために分析器デバイス中に存在する。
別個の実施態様において、一つの光学的に透明な窓のみが存在し、分析領域の反対側は銀メッキされ、又はそうでなければ、分析領域を通して光を反射して戻し、分析器デバイスによって分析されるべき窓から外に出すために反射的に被覆される。代替実施態様において、センサは電気化学700、例えば、酵素電極であり、そしてサンプリングモジュールカートリッジから分析器デバイスにアクセスできるハウジング上の分析器デバイス、例えば、電気的接触701又は複数の電気的接触701に電流を送る手段を含む。
一つの実施態様において、穿刺され得る膜692は、シリコーン系ゲルで被覆されたているポリマー系フィルム出作られ得る。例えば、膜構造は、MYLAR(登録商標)の下で売られているフィルムのようなポリエチレンテレフタレートで構成されるポリマー系フィルムを含み得る。本膜構造は更に、フィルムの少なくとも一つの面上で、SYLGARD(登録商標)下で販売されているゲルのようなシリコーン系ゲルの薄い被覆を含み得る。
そのようなフィルムの有用性は、ランセットがそれを貫入した後、ランセットの切断先端及び端部に物理的に影響することなく、その再シールをする能力にある。MYLAR(登録商標)フィルムは構造的安定性を供し、一方、薄いSYLGARD(登録商標)シリコーン積層体は、その形態を留めるために、そしてMYLAR(登録商標)フィルム中に作られた孔全体を閉じるために十分可撓性である。構造安定性及び可撓性の役割を満たす他の類似の材料は、この実施態様において膜の製造において使用され得る。
ランセット先端687がサンプリングポート682内にそしてそれを通って走行するとき、穿刺され得る膜692はランセット先端687が穿刺され得る膜692を穿刺すことを可能にするよう作動される。述べられた実施態様において、膜692のシリコーン系ゲルは、ランセット先端687によって引き起こされた切断を自動的にシールする。従って、使用者の指の上でランシングがなされ、そしてランセット先端687が穿刺され得る膜692を通って後退されて戻った後、ランシングからの血液は穿刺され得る膜692を通して流れることが防がれ、それは分析領域696内に蓄積するために血液がサンプル流れチャンネル695を通って走行するのを助ける。
このように、穿刺され得る膜692は、血液がランセットデバイス組立体内に流れることを防ぎ、そしてランセットデバイス機構空洞内への血液の汚染及び損失を防ぐ。更に別の実施態様において、使用されたサンプル入力ポートは、単純なボタン機構によって、次のサンプル取得サイクルに行く前に自動的に密封される。万一、サンプリングが不成功の場合、類似の機構がサンプル入力ポートを密封する。
代替実施態様において、検量体供給リザーバ702は各サンプリングモジュール中にも存在する。検量体供給リザーバ702は検量体溶液で満たされ、そして較正チャンバ703と流体連通状態にある。較正チャンバ703は、分析領域696内で実行される試験を検証し及び定量するために使用されるサンプリングモジュールカートリッジからの既知の信号の源を供する。そのように、較正チャンバ703の構成は分析領域696と厳密に類似している。
使用中に、検量体溶液は検量体供給リザーバ702から較正チャンバ703内に無理やり押される。図は、検量体供給リザーバ702を圧搾(squeeze)準備ができた、検量体供給リザーバ702の上方の型にはめられたプランジャ704を描く。実際に、少量の流体を輸送する種々の方法が当業技術において公知であり、そしてサンプリングモジュールカートリッジ上で実行され得る。較正チャンバ703は検量体試験手段と関連付けられる。
図73は、二つの代替検量体試験手段、光学的な窓697及び電気化学センサ676を示す。サンプリングモジュールが、血液に関する幾つかの異なる試験を実行するように設計される場合、光学的及び電気機械的試験手段の両方が存在し得る。光学的な窓697は分析器デバイスから較正チャンバ703を通って光677が通過することを可能にし、その際、較正チャンバ703を出る光703’は光学的センサ698’上へと通過して分析器デバイス中に信号をもたらす。
電気化学センサ676は、例えば、電気的接触704’を介して分析器デバイスに通信される信号を発生する能力があり、それは電気的接触704’と接触するよう伸ばされ得る分析器デバイス上の接触プローブ702’にアクセスできる。検量体溶液は如何なる溶液でもあり得て、それは、検量体試験手段と組み合わされて、較正測定として役立つであろう適切な信号を分析器デバイスに供するであろう。適する検量体溶液は、当業技術において公知であり、例えば、既知の濃度のグルコース溶液である。較正測定は分析領域696からのサンプルセンサから得られた結果を調節するために使用される。
幾つかのサンプリングモジュールカートリッジの実施態様において小さいサイズを維持して、採取した血液の少量が十分であることを可能にするために、サンプリングモジュールの各部品、特に、サンプル流れチャンネル及び分析領域は小さくあらねばならない。サンプル流れチャンネルは直径が約0.5ミリメータ未満、具体的に、直径が約0.3ミリメータ未満、もっと具体的に、直径が約0.2ミリメータ未満、そして更にもっと具体的に、直径が約0.1ミリメータの未満であってよい。
サンプル流れチャンネルは一般的に、少なくとも直径が約50ミクロンであってよい。分析領域の寸法は、約1ミリメータ×約1ミリメータ×約1ミリメータ未満、具体的に、約0.6ミリメータ×約0.6ミリメータ×約0.4ミリメータ未満、もっと具体的に、約0.4ミリメータ×約0.4ミリメータ×約0.2ミリメータ未満、そして更にもっと具体的に、約0.2ミリメータ×約0.2ミリメータ×約0.1ミリメータ未満であってよい。分析領域は一般的に、少なくとも100ミクロン×100ミクロン×50ミクロンであってよい。
サンプリングモジュールカートリッジは、患者の皮膚から採取された血液の約5マイクロリッタ未満、具体的に、約1マイクロリッタ未満、もっと具体的に、約0.4マイクロリッタ未満、そして更にもっと具体的に、約0.2マイクロリッタ未満を用いて有効な試験結果を戻すことが可能である。一般的に、血液の少なくとも0.05マイクロリッタがサンプルのために引き抜かれる。
カートリッジハウジングは、複数の別個のストリップで作られ得て、それらは次いで、完全なハウジングを供するように組み立てられる。別個のストリップは広い範囲の基板材料で製造され得る。述べられた装置を形成するために適する材料は、制限するものではないが、ポリマー材料、(酸化アルミニウムなどを含む)セラミックス、ガラス、金属、複合材料及びそれらの積層体を含む。ポリマー材料は、本明細書において特に好まれ、そして一般的には、ホモポリマー類又はコポリマー類、天然に生じる又は合成の、橋架けされた又は橋架けされていない有機ポリマー類であろう。
サンプリングモジュールカートリッジ、サンプリングモジュール、ハウジングなどのような、本明細書において述べられた種々の部品及びデバイスが以下のような材料を含む種々の材料から作られ得ると考えられる:ポリカーボネート類;ポリ(エチレンテレフタレート)及びポリ(ブチレンテレフタレート)を含むポリエステル類;(ナイロンのような)ポリアミド類;ポリホルムアルデヒド及びポリ(フェニレンスルフィド)を含むポリエーテル類;登録商標KAPTON(DuPont、Wilmington、DE)及びUPILEX(宇部興産、日本)の下で製造されたもののようなポリイミド類;ポリオレフィン化合物類;ABSポリマー類、Kel−Fコポリマー類、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(スチレン−ブタジエン)コポリマー類、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(酢酸エチレンビニル)コポリマー類、ポリ(N−ビニルカルバゾール)及びポリスチレン。
本明細書において述べられた種々の部品及びデバイスは「複合材料」、つまり、異種材料から構成される組成物からも製作され得る。複合材料は、ブロック複合材料、例えば、A−B−Aブロック複合材料、A−B−Cブロック複合材料などであってよい。あるいは、複合材料は材料の不均一組合せ、つまり、材料が別々の相で区別される、又は異種材料の均一組合せであってよい。同じ又は異なる材料の幾つかの異なる接合層を有する積層複合材料も使用され得る。
他の好まれる複合材料基板は、ポリマー積層体、ポリマー−金属積層体、例えば、銅で被覆されたポリマー、金属中のセラミック又は金属中のポリマーの複合材料を含む。一つの複合材料は、やはりDuPont(Wilmington、DE)から入手可能な、KJ(登録商標)として公知のポリイミドの熱接着剤形態の第二の薄い層と共押し出しされた、DuPont(Wilmington、DE)から入手できるKAPTONポリイミドのようなポリイミドの第一の層から形成されるポリイミド積層体である。
制限するものではないが、成形及びキャスティング技術、エンボス方法、表面切削技術、バルク切削技術、及びスタンピング方法を含む、本明細書においての述べられた種々の部品及びデバイスに対する如何なる適する製作方法も使用され得る。更に、当業技術において周知である射出成形技術は、サンプルモジュール及び他の部品を製造するために使用される材料を形付けることにおいて有用であってよい。
幾つかの実施態様に対して、新しいサンプリングモジュールカートリッジ668が最初に使用されるとき、使用者はサンプリングモジュールカートリッジ668から如何なる外部包装材料も取り外し、そして分析器デバイス669の蓋671を開いてチャンバをさらす。サンプリングモジュール668はチャンバ内に摺動させられ、そして蓋671が閉じられる。患者の皮膚はサンプリング部位678上に置かれ、そして皮膚をランシングする、血液サンプルを集める、及び血液サンプルを試験する統合されたプロセスが、ランセットドライバがトリガーされることになる、例えば、機能ボタン674を押すことによって開始される。患者の皮膚は、血液の適切な容量が集められるまで、サンプル入力ポート682に隣接するサンプリング部位678上の場所において維持され、その際、システムは、患者の皮膚がサンプリング部位678から持ち上げられ得るという信号(例えば、聞くことができる発信音)を発し得る。
サンプルの試験が完了したとき、分析器デバイス669はサンプリングモジュールカートリッジ668から自動的に結果を読み、そして結果を読み出しディスプレイ673上に報告する。分析器デバイス669はまた、後ほどコンピュタシステムにダウンロードするために結果をメモリ中に保存し得る。サンプリングモジュールカートリッジ668は、次いで、次の使用に対して次のサンプリングモジュールをインラインにもたらすために、自動的に前進させられる。各連続した時間に、(場合により、サンプリングモジュールカートリッジ668が使用し尽くされるまで)システムは使用され、患者の皮膚は、(既に装着された)サンプリングモジュールカートリッジ668のサンプリング部位678の上に置かれ得て、そのようにして血液のサンプリング及び試験のプロセスが単純化される。
もっと便利な血液のサンプリングを供する方法が述べられ、そこでは一連の血液サンプルが集められ得て、そして分析器デバイスと連結するように設計される単一の使い捨てサンプリングモジュールカートリッジを用いて試験され得る。サンプリングモジュールカートリッジの実施態様は複数のサンプリングモジュールを含む。各サンプリングモジュールは、単一の血液サンプリングサイクルを実行するように適合され得て、そして血液サンプリングサイクルが完了した後、新しいサンプリングモジュールがオンラインにもたらされることを可能にするために、サンプリングモジュールカートリッジ内に機能的に配置される。
各血液サンプリングサイクルは、患者の皮膚のランシング、血液サンプルの収集及び血液サンプルの試験を含む。血液サンプリングサイクルは、分析器デバイスによって血液サンプルに関する情報を読むこと、分析器デバイスによって試験結果をディスプレイ及び/又は保存すること、及び/又は新しいサンプリングモジュールをオンラインにもたらして次の血液サンプリングサイクルが始まる準備をするために、サンプリングモジュールカートリッジを自動的に前進させることも含む。
一つの方法実施態様はサンプリングモジュールカートリッジと分析器デバイスの連結、次いで血液サンプリングサイクルの開始と共に始まる。血液サンプリングサイクルの完了の際、サンプリングモジュールカートリッジは新しい、未使用のサンプリングモジュールをオンラインにもたらし、別の血液サンプリングサイクルをすぐに実施できるように前進させられる。一般的に、少なくとも10個のサンプリングモジュールが存在し、最初の血液サンプリングサイクルの後、サンプリングモジュールカートリッジが9回前進させられることを可能にする。
幾つかの実施態様において、もっと多くのサンプリングモジュールが存在し、そしてサンプリングモジュールカートリッジは約19回、そして幾つかの実施態様においては約34回、前進させられ得て、初期の血液サンプリングサイクルの後、各々約19回又は約34回の血液サンプリングサイクルを可能にする。一連の血液サンプリングサイクルが実行され、そしてサンプリングモジュールの実質的に全て(つまり、約80パーセントより多く)が使用された後、サンプリングモジュールカートリッジは分析器デバイスから連結解除されて廃棄され、分析器デバイスを、新しいサンプリングモジュールカートリッジとすぐに連結できる状態にする。
図74〜76を参照すると、図20の制御可能なドライバ179がサンプリングモジュールカートリッジ705に連結され、そしてドライバハウジング706内に配列された組織貫入サンプリングデバイス180が示される。ラチェット駆動機構707はドライバハウジング706に固定され、サンプリングモジュールカートリッジ705に連結され、そして、サンプリングモジュールベルト708において各サンプリングモジュール709が逐次使用されることを可能にするように、サンプリングモジュールカートリッジ705内でサンプリングモジュールベルト708を前進させるように構成される。ラチェット駆動機構707は、サンプリングモジュールベルト708のサンプリングモジュール709を係合するように構成される駆動車輪711を有する。駆動車輪711は、駆動車輪711を単一サンプリングモジュール709の幅の増分において前進させるアクチュエーションレバー712に連結される。T−スロット駆動カップラ713は細長いカップラ軸184に固定される。
サンプリングモジュール709が装着され、そして駆動カップラ713のT−スロット714中に装着されたサンプリングモジュール709のランセット183のドライブヘッド198を用いてすぐに使えるようになる。サンプリング部位715はランセット出口ポート717のそばに配列されるサンプリングモジュール709の遠位端716に配列される。サンプリングモジュール709の遠位端716は、サンプリングモジュールカートリッジ705のカートリッジカバー721中の開口部であるモジュール窓718中にさらされる。これによって、ランシングプロセスからの血液によるカートリッジカバー721の汚染を避けるようにさらすべく、サンプリングモジュール709の遠位端716が使用のために装着されることが可能になる。
読み取り機モジュール722は、図77において示される通り、使用のために駆動カップラ713中に装着されるサンプリングモジュール709の遠位部分に亘って配列され、そしてサンプリングモジュール709のセンサ接触部725と整列しそして電気的接触をするように構成される二つの接触ブラシ724を有する。センサ接触部725と接触ブラシ724の間の電気的接触を用いて、制御可能なドライバ179のプロセッサ193は、ランシングサイクルが完了しそして血液サンプルがサンプリングモジュール709の分析領域726に入った後、サンプリングモジュール709の分析領域726からの信号を読むことができる。接触ブラシ724は、サンプリングモジュールベルト708が接触ブラシ724の下を横方向に過ぎることを可能にするであろう如何なる適する構成をも有し得て、そして駆動カップラ713中に装着されたサンプリングモジュール709と信頼性をもって電気的接触をなし、そしてすぐに使用できる。ばね懸架式導電性ボールベアリングは、使用され得るであろう接触ブラシ724の一例である。サンプリングモジュール709のセンサ接触領域728に沿って可撓性ポリマーシート727の内面に抗して押し付けるように形付けられた弾力的導電片は接触ブラシ724の別の実施態様である。
サンプリングモジュールカートリッジ705は供給キャニスタ729及びリセプタクルキャニスタ730を有する。サンプリングモジュールベルト708の未使用のサンプリングモジュールは供給キャニスタ729内に配列され、そして使用されたサンプリングモジュールベルト708のサンプリングモジュールは、使用後、リセプタクルキャニスタ730内に連続的に前進させられる。
図77は、図74におけるサンプリングモジュールカートリッジ705において示されたサンプリングモジュールベルト708の断面の斜視図である。サンプリングモジュールベルト708は、可撓性ポリマーシート727によって直列に連結される複数のサンプリングモジュール709を有する。図77において示されるサンプリングモジュールベルト708は、互いに隣接して横方向に配列される複数のサンプリングモジュール本体部分731から形成され、そして可撓性ポリマー727の単一シートによって連結されそしてシールされる。可撓性ポリマーシート727は、センサ接触部725、可撓性電導体732、サンプルセンサ733又は可撓性ポリマーシート727の内側面734上に形成されるこれらのエレメントの如何なる組合せも場合により有することができる。これらの電気的、光学的又は化学的エレメントは、蒸着などを含む種々の方法によって形成できる。
可撓性ポリマーシート727の近位部分735は、センサ接触部725をサンプリングモジュール709の外側面にさらすためにそれ自身の上に折り畳まれている。これによって、サンプリングモジュール709が前進させられ、そして制御可能なドライバ179の駆動カップラ713をすぐに使用できるようにする位置内に装着されるので、読み取り機モジュール722の接触ブラシ724とセンサ接触部725の間の電気的接触がより容易に確立される。可撓性ポリマーシート727は、接着接合、溶媒接合、超音波熱接合又は如何なる他の適切な方法によってもサンプリングモジュール本体部分731に固定され得る。
図78は、サンプリングモジュール709の組立段階中の、図77のサンプリングモジュールベルト708の単一サンプリングモジュール709の斜視図を示す。可撓性ポリマーシート727の近位部分735は、可撓性ポリマーシート727の内側面上に、センサ接触部725をさらすために、示された通り、彼らの上に折り畳まれている。図79は、センサ接触部725、可撓性電導体732及び可撓性ポリマーシート727の底面上に配列されたサンプルセンサ733を説明している図78のサンプリングモジュール709の可撓性ポリマーシート727の断面の底面図である。
ランセット183は、図78のサンプリングモジュール709のランセットチャンネル736内、並びに図77のサンプリングモジュールベルト708のサンプリングモジュール709のランセットチャンネル736内に配列されて示される。ランセット183は先端196及び軸部分201及びドライブヘッド198を有する。ランセットの軸部分201はサンプリングモジュール709のランセットチャンネル736内を摺動し、そしてランセット183のドライブヘッド198は、サンプリングモジュール709のドライブヘッドスロット737内に近位方向及び遠位方向に動くための空隙を有する。ドライブヘッドスロット737に隣接して配列され、そして少なくとも部分的に駆動ヘッドスロットを形成して、細長いそしてランセット183に実質的に平行に伸びる第一の保護ストラット737’及び第二の保護ストラット737’’がある。
一つのランセット183の実施態様において、ランセット183のドライブヘッド198は約0.9〜約1.1ミリメータの幅を有することができる。ランセット183のドライブヘッド198の厚みは約0.4〜約0.6ミリメータであってよい。サンプリングモジュール709のドライブヘッドスロット714は、ドライブヘッド198がドライブヘッドスロット714内を自由に動くことを可能にする幅を有するべきである。ランセット183の軸部分201は約50ミリメータ〜約1000ミリメータの横断寸法を有することができる。一般的に、ランセット183の軸部分201は丸い横断断面を有するが、他の構成が考えられる。
サンプリングモジュール本体部分731及び可撓性ポリマーシート727は両方共、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、又は上で論じられたもののような如何なる他の適するポリマーでも作られ得る。典型的なサンプリングモジュール本体部分731の寸法は、約14〜約18ミリメータの長さ、約4〜約5ミリメータの幅、及び約1.5〜約2.5ミリメータの厚みであってよい。他の実施態様において、サンプルモジュール本体の長さは約0.5〜約2.0インチであり得て、そして横断寸法は約0.1〜約0.5インチであってよい。可撓性ポリマーシート727の厚みは約100〜約150ミクロンであってよい。サンプリングモジュールベルト708における隣接するサンプリングモジュール709の間の距離は、約0.1〜約0.3ミリメータ、そして幾つかの実施態様においては、約0.2〜約0.5ミリメータで変わり得る。
図80及び81は、説明目的で示された可撓性ポリマーカバーシート727又はランセット183なしの図77のサンプリングモジュール709の本体部分731の斜視図を示す。図81は、サンプリング部位715、サンプル入力空洞715’、サンプル入力ポート741、サンプル流れチャンネル742、分析領域743、制御チャンバ744、ベント762、ランセットチャンネル736、ランセットチャンネル停止構造747及び748、並びにサンプリングモジュール709のランセットガイド749〜751を説明している図80のサンプリングモジュール709の本体部分731の部分の拡大図である。
ランセットチャンネル736は近位端752及び遠位端753を有し、そして一連のランセットベアリングガイド部分749〜751及びサンプル流れ停止構造47〜748を含む。ランセットガイド749〜751は、ランセット183の軸としっかり嵌入し、そしてランセット184を実質的に軸方向の動きに拘束するように構成され得る。ランセットチャンネル736の遠位端753で、最遠位のランセットガイド部分749はサンプル入力ポート741に隣接して配列され、そしてその最遠位先端で、サンプル入力空洞715’に隣接して配列されるランセット出口ポート754を含む。サンプル入力空洞は、ランセット183の横断寸法の約2〜5倍の横断寸法、深さ又は両者、つまり、約0.2〜約2ミリメータ、具体的には、約0.4〜約1.5ミリメータ、そしてより具体的には、約0.5〜約1.0ミリメータを有することができる。最遠位のランセットガイド749は、幅が約300〜約350ミクロン、そして深さが約300〜約350ミクロンの内部横断寸法を有することができる。最遠位のランセットガイド部分749の近位に、最遠位のランセットガイド749に隣接したチャンバを含む遠位サンプル流れ停止747がある。本チャンバは最遠位のランセットガイド749の横断寸法より著しく大きな横断寸法を有する。チャンバは、約600〜約800ミクロンの幅、約400〜約600ミクロンの深さ、及び約2000〜約2200ミクロンの長さを有することができる。横断寸法、及び最遠位のランセットベアリングガイド749と遠位サンプル流れ停止747の間の断面積の迅速な移行によって、サンプル入力空洞715’を通してそしてランセットチャンネル736内に流体サンプルを引く毛細管作用が妨害される。
中央ランセットベアリングガイド750は遠位ランセットチャンネル停止747の近位に配列され、そして最遠位のランセットベアリングガイド749のそれに類似した寸法を有することができる。中央ランセットガイド750の近位に、チャンバを有する近位ランセットチャンネル停止748がある。近位ランセットチャンネル停止の寸法は遠位ランセットチャンネル停止747のそれと同じか又は類似したものであってよい。近位ランセットチャンネル停止748は、約600〜約800ミクロンの幅、約400〜約600ミクロンの深さ、及び約2800〜約3000ミクロンの長さを有することができる。近位ランセットチャンネル停止748の近位は近位ランセットガイド751である。近位ランセットガイド751は、約300〜約350ミクロンの幅、及び約300〜約350ミクロンの深さを有する他のランセットガイド749及び750部分のそれらと類似した寸法であってよい。一般的に、ランセットガイド749〜751の横断寸法は、ランセットガイド749〜751がガイドするように構成されるランセット183の軸部分201の横断寸法よりも約10パーセント大きい。
(示されていない)近位の破壊され得るシールは、近位ランセットガイド751と、近位ランセットチャンネル停止748のチャンバランセットを外部環境からシールするランセット183の軸部分201の間に位置付けられ得る。破壊可能なシールは、サンプリングモジュール709が使用のために保存されるとき、近位ランセットチャンネル停止748のチャンバ及びサンプルチャンバの他の内部部分を外部環境からシールする。破壊可能なシールは、ランセットサイクル中に、ランセット183が遠位に駆動されるまで、そのままで留まり、その点でシールが破られ、そしてサンプルチャンバの殺菌状態の内部部分がさらされ、そして血液のサンプルのような液体サンプルの入力を容易に受け入れることができる。(示されていない)遠位の破壊可能なシールは、ランセット183がランシングサイクル中に前方に駆動されるまで、サンプリングモジュール709の内部部分の殺菌状態を維持するために、ランセットチャンネル736の遠位端753及びサンプル入力ポート741をシールするよう、ランセット183とサンプリングモジュール709の最遠位ランセットガイド749の間に配列できる。
サンプル入力空洞715’内のランセット出口ポート754に隣接して、ランシングサイクル後のランシング部位で、目標組織233からサンプル入力空洞715’内に発出する流体サンプルを受け入れるように構成されるサンプル入力ポート741がある。サンプル入力ポート741の寸法は、約60〜約70ミクロンの深さ、約400〜約600ミクロンの幅を有することができる。サンプル入力空洞は、ランセット183の横断寸法の約2倍〜約5倍の横断寸法、つまり、約400〜約1000ミクロンを有することができる。サンプル入力空洞は、それがランシングされた組織から発出して、流体サンプルをサンプル入力ポート741に、そしてその後サンプル流れチャンネル742に向かわせるとき、流体サンプルを受け取るために役立つ。サンプル流れチャンネル742はサンプル入力ポート741と分析領域743の間に配列され、そしてそれらと流体連通状態にある。サンプル流れチャンネル742の横断寸法は約60〜約70ミクロンの深さ、約400〜約600ミクロンの幅を有するサンプル入力ポート741の横断寸法と同じであってよい。サンプル流れチャンネル742の長さは約900〜約1100ミクロンであってよい。このように、使用中に、目標組織はサンプリング部位715上に配列され、そしてランシングサイクルが開始される。一旦、目標組織233がランシングされ、そしてサンプルがそこから流れ始めると、サンプルはサンプル入力空洞715’にそして次にサンプル入力ポート741に入る。サンプル入力空洞715’は、ランシングサイクルの前、中及び後に目標組織233の周囲に圧力をかけることによって、サンプリングの成功を助けるようなサイズであり得てそして構成され得て、そしてランシングサイクルの後、血液又は他の流体が創傷路からそしてサンプル入力空洞715’内に流れることを可能にするよう、創傷路を開いた状態に保持する。サンプル入力ポート741から、サンプルは次いで、毛細管又は他の力によってサンプル流れチャンネル742を通って、そして分析領域743内に、そして最終的に制御チャンバ744内に引かれる。制御チャンバ744は、サンプル流体による分析領域743の完全な充填の間接的な確認を供するために使用され得る。流体サンプルが制御チャンバ744中で検出された場合、これによってサンプルが分析領域743を完全に満たしたことが確認される。このように、サンプル検出器は分析領域743の充填を確認するために制御チャンバ744内に位置付けられ得る。
分析領域743はサンプル流れチャンネル742と制御チャンバ744の間に配列され、そしてそれらと流体連通状態にある。分析領域743は、約60〜約70ミクロンの深さ、約900〜約1100ミクロンの幅、及び約5〜約6ミリメータの長さを有することができる。分析領域743の典型的な容量は約380〜約400ナノリッタであってよい。制御チャンバ744は分析領域743に隣接して又はその近位に配列され、そして約900〜約110ミクロンの横断寸法又は直径、及び約60〜約70ミクロンの深さを有することができる。
制御チャンバ744は、制御チャンバ744と近位ランセットチャンネル停止748のチャンバの間に配列され、そしてそれらと流体連通状態にあるベントによって近位ランセットチャンネル停止748のチャンバにベントされる。ベント762は、分析領域743とサンプル入力ポート741の間に配列されたサンプル流れチャンネル742のものと同じであるか又は類似した横断寸法を有することができる。サンプル入力ポート741、サンプル流れチャンネル742及び762、分析領域743、ベント745、又は制御チャンバ744の内面の何れも、毛細管作用を促進するコーティングで被覆され得る。洗剤のような親水性コーティングはそのようなコーティングの例である。
分析領域743は、サンプル入力空洞715’を通ってそしてサンプル入力ポート741内に、サンプル流れチャンネル742を通ってそして分析領域743内に、サンプリング部位715からの毛細管作用によって走行する血液サンプルを収容する。血液は次いで、制御チャンバ744内に走行できる。制御チャンバ744及び分析領域743の両者は、ガスが逃げることを可能にする、そして分析領域743及び制御チャンバ744における気泡形成及びサンプルの捕捉を防ぐベント762によってベントされる。尚、毛細管作用に加えて、分析領域743内への血液サンプルの流れは、真空、機械的ポンピング又は如何なる他の適する方法の適用によっても助けることができ又は成就できる。
一旦、血液サンプルが分析領域743内に配列されると、サンプルについての分析試験が実行できて、その結果が電導体732によって、場合によっては如何なる他の適する方法又は手段によってもプロセッサ193に伝えられる。幾つかの実施態様において、血液サンプルが分析領域743を満たしたこと、そしてサンプルに関する分析を実行するために適切な量のサンプルがチャンバ中に存在することを確認することは望ましいかもしれない。
分析領域743又は制御チャンバ744の何れかにおいてサンプルが到着したことの確認は、透明であってよい可撓性ポリマーシート727を通して視的に達成できる。しかしながら、幾つかの実施態様において、ランシングサイクル中の患者への痛み及び不快感を低減するために非常に少量の血液サンプルを使用することは望ましいかもしれない。本明細書において述べられたようなサンプリングモジュール709の実施態様に対して、ランセット出口ポート754に隣接するサンプル入力空洞715’及びサンプル入力ポート741を有することによって、ランシングサイクルとサンプル収集プロセスの間でサンプリングモジュール709を動かす必要なしで患者の皮膚233から血液サンプルが集められることが可能になる。そのように、使用者は、サンプルをサンプリングモジュール709内に移させるために、それを見ることが可能である必要がない。このために、サンプル入力空洞715’及びランセット出口ポート754に隣接するサンプル入力ポート741の位置によって、非常に少量のサンプルが信頼性を持って得られそして試験されることが可能になる。
約10〜約50ナノリッタのよう数十ナノリッタのオーダーのサンプルがサンプリングモジュール709を用いて信頼性を持って集めることができそして試験できる。血液サンプルのこのサイズは、見ること及び信頼性を持って視的に検証するためには少な過ぎる。従って、分析領域743中で血液サンプルの存在を確認するために別の方法を有することが必要である。上で論じられた熱サンプルセンサのようなサンプルセンサ733は、適切な量の血液サンプルの到着を確認するために、分析領域743又は制御チャンバ744中に位置付けることができる。
また、分析領域743又は制御チャンバ744の内容物の分光法分析のような光学的方法が、血液サンプルの到着を確認するために使用され得るであろう。電気的検出のような他の方法も使用され得るであろうし、そしてこれらの同じ検出方法も、図81における矢印763によって示される通り、それが流路に沿って動く際にサンプル(又は複数のサンプル)の位置又は前進を確認するために、サンプリングモジュール709を通ってサンプル流路に沿って何処にでも配列できる。上述の検出方法は、正確な始動時間を必要とする分析方法に対しても有用であってよい。
分析方法のために、正確な始動時間を有するという要求は、今度は、一旦、血液サンプルが分析領域743に入ったら多くの分析プロセスが始まる故に、分析領域743の迅速な充填を要求することになる。分析領域743の充填にあまりにも長い時間がかかる場合、分析領域743に最初に入る血液サンプルの部分は、分析領域743に入る血液サンプルの最後の部分よりもより長い時間試験されたことになるであろうし、それは不正確な結果をもたらすことができる。従って、これらの状況において、血液サンプルを最初にリザーバ中へ流し、リザーバを満たし、そして次いで、リザーバから分析領域743内に一気に急速にサンプルを流すことは望ましいかもしれない。
サンプリングモジュール709の一つの実施態様において、分析領域743は制御チャンバ744の横断断面よりも実質的により大きい横断断面を有することができる。横断面における変化は制御チャンバ744の深さにおけるステップを減らすことによって、又は如何なる他の適する方法によっても、分析領域743に対して制御チャンバ744の横断寸法を制約するによって達成できる。分析領域743と制御チャンバ744の間のそのようなステップが図81において示される。そのような実施態様において、分析領域743はサンプルリザーバとして、そして制御チャンバ744は、一貫した分析開始時間を有するために、迅速な又は略瞬間的な充填を要求する分析領域として挙動できる。分析領域743は、分析領域が充填されそしてサンプルが、制御チャンバ744との境界でチャンバ深さにおけるステップ減少に到達するまで、サンプル流れチャンネル742からのサンプルの流れによって満たされる。一旦、サンプルが制御チャンバ744の断面積におけるステップ減少に達すると、サンプルは次いで、制御チャンバ744の低減された断面積の向上された毛細管作用のせいで制御チャンバ744を迅速に満たす。制御チャンバの迅速な充填によって、制御チャンバ744の全サンプルのための分析プロセスに対する信頼できる開始時間を用いて、制御チャンバ744において実行されるべきサンプルの存在によって開始される如何なる分析プロセスも可能になる。
毛細管力による充填は受動的である。分析試験の幾つかのタイプが、サンプルの最初の部分の介在性流体汚染があってよい場合のように、サンプリングモジュール709に入るサンプルの最初の部分を廃棄することも有用であってよい。サンプルのそのような汚染された部分は、それらと流体連通状態にある側部サンプル流れチャンネル又はリザーバが満杯になるまで、毛細管作用によってサンプルを(示されていない)側部サンプル流れチャンネル内に引き抜くブラインドチャンネル又はリザーバを有することによって廃棄できる。サンプルの残りは次いで、分析領域743へのブラインドサンプル流れチャンネルと隣接するサンプル流れチャンネルに進むことができる。
分析試験の幾つかのタイプに対して、それが単一のサンプリングモジュール709において複数の分析領域743を有することは有利であってよい。このように、同じタイプの分析の複数の繰り返しは、幾つかの統計的情報、例えば、平均、ばらつきを得るために実行され得るであろうし、又は種々の異なるパラメータを測定する与えられた試験又は複数の試験の確認が、単一ランシングイクルからの血液サンプルで満たされた同じサンプリングモジュール709中で異なる分析領域743において実行され得るであろう。
図82は、複数の小容量の分析領域767を有するサンプリングモジュール766の代替実施態様の一部分の拡大立面図である。小容量の分析領域767は、両方向の幅が約40〜約60ミクロンで、各分析領域767に対して約1ナノリッタ〜約100ナノリッタ、具体的には、約10ナノリッタ〜約50ナノリッタの容量を供する深さの寸法を有することができる。小容量の分析領域767のアレイは、第一の分岐点769、第二の分岐点770、及び第三の分岐点771で分岐するサンプル流れチャンネル768を通した毛細管作用によって満たすことができる。各小容量の分析領域767は類似の分析試験を実行するために使用できるか又は種々の異なる試験が種々の分析領域767において実行できる。
幾つかの分析試験に対して、分析領域767は、血液サンプルについて実行され得る分析試験の幾つかが容量に依存する故に、非常に正確な容量を維持しなければならない。幾つかの分析試験方法では、グルコース消費の速度又は動力学を測定することによってグルコースレベルが検出される。これらの試験ために要求される血液の容量は約1〜約3マイクロリッタのオーダーである。動力学的分析は、それが、グルコースの濃度が分析を通して本質的に一定のままである比較的な大きな容量のサンプルにおけるグルコースの濃度に依存する故に、血液サンプルの容量における変化に鋭敏でない。このタイプの分析は試験中にグルコースを動的に消費する故に、それは、グルコースの消費によってグルコースの濃度が変わるであろう少量のサンプル、例えば、数十ナノリッタのオ−ダ−のサンプルを用いる使用に対しては適さない。
別の分析方法はグルコース濃度の電量的測定を使用する。この方法は、サンプル容量が約1マイクロリッタ未満であり、そして分析領域の容量が正確に制御される場合、正確である。方法の正確さ及び速さは、分析の速度が容量に依存し、そして大きな容量は反応時間を遅くし、そして測定の正確さにマイナスの影響を及ぼす故に、分析領域767の小さくて正確に知られる容量に依存する。
別の分析方法は、分析されるべき非常に小さいサンプル容量を可能にする光学的蛍光制動測定を使用する。この方法は、分析領域767の容量が正確に制御されることも要求する。上で論じられた小容量の分析領域767は、小容量の分析領域767が精密製造技術を用いて形成されるとき、小さい、正確に制御された容量を維持するという基準に合致できる。正確に形成された小容量の分析領域767は、PMMAのような材料において、成形及びスタンピングのような方法によって形成できる。化学的又はレーザプロセスの何れかによる切削及びエッチィングも使用できる。蒸着又はリソグラフィも望ましい結果を達成するために使用できる。
上で論じられたサンプリングモジュール709及び766は全て、両方共ランセット183を収容し、そしてサンプルを収集して分析する能力を有する実施態様に向けられる。サンプリングモジュールの幾つかの実施態様において、ランセット183は収容され得て、そしてサンプルは如何なる分析器能も持たないサンプルリザーバ中に集められ得る。そのような実施態様において、サンプルリザーバ中のサンプルの分析は、サンプルをリザーバから別の分析器に移すことによって実行され得る。また、幾つかのモジュールは、如何なるサンプル取得能力も全く有しないランセット183を収容するためにのみ役立つ。そのようなランセットモジュール775の本体部分774は図83において示される。ランセットモジュール775は、上で論じられたサンプリングモジュール709及び766のそれと類似の外部構造を有し、そして同じ又は類似の材料で作ることができる。
(示されていない)可撓性ポリマーシート727はランセットモジュール775の面を覆うために使用できて、そしてランセットモジュール本体部分774中に縦方向に伸びるランセットチャンネル776中にランセット183を含む。可撓性ポリマーシート727は同じ材料でできたものであってよく、そして上で論じられた可撓性ポリマーシート727と同じ寸法を有することができる。尚、可撓性ポリマーシート727の近位部分は、さらされるセンサ接触部725が全くない故に、それ自身の上に折り畳まれる必要はない。そのようなランセットモジュール775中の可撓性ポリマーシート727は、ランセットチャンネル776中にランセット183を閉じ込めるためにのみ役立つ。ランセットモジュール775は、ベルトとして作用する可撓性ポリマーシート727を有する上で論じられたサンプリングモジュールベルト708と類似して、ランセットモジュールベルトにおいて構成され得る。ドライブヘッドスロット777はランセットチャンネル776の近位に配列される。
図74の組織貫入サンプリングデバイス180に関して、デバイス180の使用は、サンプリングモジュールカートリッジ705を制御可能なドライバハウジング706に連結するように、そしてサンプリングモジュールベルト708をラチェットドライブ707及び制御可能なドライバ179の駆動カップラ713と係合するように、制御可能なドライバハウジング706内へサンプリングモジュールカートリッジ705を装着することと共に始まる。駆動カップラ713は図84及び85において示されるようなT−スロット構成を有することができる。細長いカップラ軸184の遠位端は、本体部分779、第一及び第二のガイドランプ780及び781、並びに本体部分779内に配列されるT−スロット714を有する駆動カップラ713に固定される。T−スロット714は、ランセット183のドライブヘッド198を受け入れるように構成される。サンプリングモジュール705が制御可能なドライバハウジング706内に装着された後、サンプリングモジュールベルト708は、図86〜88において示される通り、サンプリングモジュール709の一つのランセット183のドライブヘッド198が駆動カップラ713内に供されるまで、横方向に前進させられる。図86〜88は、駆動カップラ713に隣接する使用されたランセット183の軸部分201を曲げるランセットクリンプデバイス(lancet crimp device)783も図示する。これによって、使用されたランセット183がモジュール本体731を通って動き出すこと、そして再使用されることが防がれる。
サンプリングモジュールベルト708のサンプリングモジュール709が逐次的に使用される際に、それらはリセプタクルキャニスタ730内に一度に横方向に前進させられ、そこでサンプリングモジュールベルト708全部が消費されるまでそれらは保存される。リセプタクルキャニスタ730は次いで、血液で汚染された廃物の廃棄ための適切な技術に従って適切に廃棄できる。サンプリングモジュールカートリッジ705は、血液廃棄製品に不必要にさらされることなく、そして、各使用の後、汚染されたランセット183又はモジュール709を廃棄する必要がある代わりに、多数回の使用の後、一つのカートリッジのみを廃棄することのみを必要として、使用者が便利に複数の試験作動を実行することを可能にする。
図89及び90はサンプリングモジュールカートリッジの代替実施態様を図示する。図89は、隣接するサンプリングモジュール785がしっかりと連結されて、そして種々のサンプリングモジュール785の分析領域からのセンサ接触部786が回転ラックの内径787の近くに配列されて、回転ラック構成にあるサンプリングモジュールカートリッジ784を示す。サンプリングモジュールカートリッジ784のサンプリングモジュール785は、線形状態とは反対に円形に駆動カップラ713を通って前進させられる。
図90は、4×8マトリックスにおけるサンプリングモジュール788のブロックを図示する。図90において示される、サンプリングモジュール789のランセット183のドライブヘッド189は、上で論じた駆動カップラ713のそれとは異なる方法を用いて係合されそして駆動される。ランセット183のドライブヘッド198は、ランセットドライバ179の駆動カップラ791と嵌合しそしてそれに固定される接着被覆部790を有し、それは上で論じられた制御可能なドライバを含むドライバの如何なるものでもあってよい。
駆動カップラ791の遠位端792は、ランセットサイクルの開始中に、ランセット183のドライブヘッド98の近位面の接着部790に接触しそしてくっつく。駆動カップラ791はランセット183を目標組織237内に望ましい貫入の深さまで押し、そして停止する。駆動カップラ791は次いで、ランセット183のドライブヘッド198の近位面と、近位面と嵌合するよう形付けられる駆動カップラ791の遠位端面の間の接着剤による接触を用いて、ランセット183を組織233から引っ込める。
後退ストロークの頂部で、サンプリングモジュール789に固定される一対のフック部材793はドライブヘッド198の近位面を係合し、そしてドライブヘッド198及びランセット183による如何なる更なる後退の動きも防ぐ。その結果、駆動カップラ791はドライブヘッド198を用いて接着接合を破り、そして次いで、使用されるべき次のサンプリングモジュール789に、索引操作(indexing operation)によって前進できる。
図91は、ランセットモジュール800内に配列され、そして横方向スロット797中に装着されたL−形状をしたドライブヘッド798を有して示されるランセット799のL−形状をしたドライブヘッド798を受け入れるように構成される横方向スロット797を有する796の代替実施態様の側面図である。図92は、図91の駆動カップラ796、L−形状をしたドライブヘッド798を有するランセット7990、及びランセットモジュール800の展開図である。このタイプの駆動カップラ796及びL−形状をしたドライブヘッド798の配置は、図84〜88に関して上で論じられた構成に対して代替され得るであろう。ドライブヘッド798のL形状の実施態様は、制御可能なランセットドライバ179のようなランセットドライバの駆動カップラ796を通したサンプリングモジュールベルト又はランセットモジュールベルトの連続前進を可能にする連結配置を生み出すためのより高価でない選択肢であり得る。
複数のランシングデバイス180の幾つかの実施態様に対して、カートリッジ中に保存されたランセット183を収容するために、ランセットモジュール755を要求しない高キャパシティランシングデバイスを有することは望ましいかもしれない。ランセットモジュール755を複数のランセットデバイス180から排除することによって、カートリッジの容量がランセットモジュール775のバルクで取り上げられない(not taken up with)故に、より高いキャパシティのカートリッジが可能になる。図93〜96は、ベルト前進機構804に連結された高キャパシティランセットカートリッジを図示する。ベルト前進機構804は、制御された電磁ドライバを含む制御可能なドライバ179ハウジングに固定される。
ランセットカートリッジ803は供給キャニスタ805及びリセプタクルキャニスタ806を有する。ランセットベルト807は供給キャニス805内に配列される。ランセットベルト807は、接着面808及び810が、それらをしっかりとランセットベルト807において保持するために、接着面808及び810がランセット183の軸部分201の周りに一緒に押し付けられて、第一のキャリアテープ809の接着面808と第二のキャリアテープ811の接着面810の間に配列されたランセット183の軸部分201を有する複数の殺菌されたランセット183を含む。ランセット183は制御可能なドライバ179の細長いカップラ軸184に固定される駆動カップラ713と横方向に係合されるように構成されるドライブヘッド198を有する。
ベルト前進機構804は、同期化された回転運動を有し、そして増分指標付きの動きにおいて一体的に前進させられる第一の歯ローラ814及び第二の歯ローラ815を含む。第一及び第二の歯ローラ814及び815の指標付きの動きによって、ランセットベルト807は、ランセットベルト807において配列されたランセット183の間の距離に等しい距離の単位で前進させられる。ベルト前進機構804は、第一及び二のキャリアテープ809及び811におけるたるみを各々取り上げるように構成される第一の引き上げローラ816及び第二の引き上げローラ817も含む。
ランセットベルトカートリッジ803がベルト前進機構804中に装着されるとき、第一のキャリアテープ809のリード部分818は、ベルト前進機構804の第一の歯ローラ814と第二の歯ローラ815の間に配列される。第一のキャリアテープ809のリード部分818は、第一の回転ローラ827の外面819の周りをラップし、そして再び第一の歯ローラ814を、第一のキャリアテープ809中の嵌め合っている嵌合孔821と係合している第一の歯ローラ814の歯820と係合する。第一のキャリアテープ809のリード部分818は次いで、第一の引き上げローラ816に固定される。第二のキャリアテープ811のリード部分822は、第一の歯ローラ814と第二の歯ローラ815の間に配列され、そして第二の回転ローラ828の外面823の周りをラップし、そして再びローラ815を、第二のキャリアテープ811中の嵌め合っている嵌合孔825と係合している第二の歯ローラ815の歯826’と係合する。第二のキャリアテープ811のリード部分822はその後、第二の引き上げローラ817に固定される。
第一及び第二の歯ローラ814及び815が前進させられるとき、回転ローラ827及び828は第一及び二のキャリアテープ809及び811を剥離して離し、そしてランセット183をさらす。第一及び第二の歯ローラ814及び815の前進から生み出された、第一及び二のキャリアテープ809及び811の部分の追加された長さ及びたるみは第一及び第二の引き上げローラ816及び817によって取り上げられる。ランセット183は第一及び二のキャリアテープ809及び811から剥離されるので、さらされたランセット183は図96において示されるベルト前進機構804のランセットガイドホイール826’によって捕捉され、それは第一及び第二の歯ローラ814及び815と同期化される。ランセットガイドホイール826’は次いで、ランセット183のドライブヘッド198が制御可能なドライバ179の駆動カップラ713内に装着されるまで、ランセット183を横方向に前進させる。制御可能なドライバ179は次いで、目標組織233内へのランセット183の駆動を作動され得て、そしてランシングサイクルを完了するために後退させられる。
一旦、ランシングサイクルが完了すると、ベルト前進機構804はもう一度作動され得て、ランセットガイドホイール826を回転させそして使用されたランセット183を横方向にリセプタクルキャニスタ806内に前進させる。同時に、新しい未使用のランセット183は駆動カップラ713内に装着され、そしてすぐに次のランシングサイクルができる。複数のランシングデバイス180のこの繰り返される連続使用は、ランセットベルト807中の全てのランセット183が使用され、そしてリセプタクルキャニスタ806中に廃棄されるまで続く。最後のランセット183が消費された後、ランセットベルトカートリッジ803は次いで、使用者を如何なる血液汚染された材料にもさらすことなく取り外しできそして廃棄できる。ベルト前進機構804は、第一及び第二の歯ローラ814及び815並びにランセットガイドホイール826に連結される、ベルト駆動又は手動で作動されるサムホイールを含む種々の方法によって作動できる。
本明細書において述べられたデバイスの議論は、患者の毛細管血液にアクセスするための実質的に痛みが無い方法及びデバイスに主として向けられてきたものの、デバイス及び方法のための多くの他の使用がある。例えば、本明細書において論じられた組織貫入デバイスが、薬物、又は遺伝子治療作用物質、ベクタ、放射性源などのような生理活性作用物質の少量の実質的に痛みがない送達のために使用され得るであろう。そのように、本明細書において論じられた組織貫入デバイス及びランセットデバイスは作用物質を患者の体内の場所に送達するために、並びに血液、リンパ液、脳脊髄液などのような材料を患者の体から採取するために使用され得るであろうと考えられる。送達された薬物は、患者によって知覚される痛みを更に減じるであろう沈痛剤、並びに患者の組織の貫入の際に血液サンプルの成功裏の取得を助け得る抗凝集剤を含み得る。
図97〜101を参照すると、患者の組織内へ薬物又は他の有用な材料を注射するためのデバイスが図示される。体内の組織、組織の層又は器官内の特定の部位に注射液又はワクチンを局在化させる能力は重要であってよい。例えば、上皮腫瘍は抗原、サイトカイン又はコロニー刺激因子の皮下注射針による注射、又は抗原が少なくとも患者の表皮又は真皮に入るために十分な高圧注射によって処置できる。しばしば、薬物又は併用薬物療法の効き目は、局在化された領域への目標とされる送達に依存し、このようにして、処置の成果が影響を受ける。
皮膚又は組織層内の特定の深さに薬物を正確に送達する又はワクチンを接種する能力によって、高価な薬物療法の浪費が避けられ得て、そのため特別な処置のコスト効果に影響する。また、薬物又は他の作用物質を正確な深さに送達する能力は、処置の成果が(病変内免疫療法の処置を用いるような)正確な局在化された薬物送達に依存する場合、明確な利点であってよい。また、患者の皮膚中の正確な所定の深さへの皮下注射針の速い挿入速度は、皮膚内への針の挿入の痛みを減じると期待される。皮下注射針の迅速な挿入及び貫入深さ、又は組織を貫入ために適する如何なる他の適切な細長い送達デバイスも、皮下注射針に連結される制御可能なドライバの位置フィードバックループのおかげで正確に制御できる。
図97は、電磁制御可能なドライバ904によって皮膚組織903の層内に駆動される皮下注射針902の遠位端901を図示する。図79の電磁制御可能なドライバ904は、上で論じられた電磁制御可能なドライバの構成のような如何なる適する構成も有することができる。貫入される皮膚903の層は上皮角質層905、淡明層906、顆粒層907、有刺層908、基底細胞層909、及び真皮911を含む。上皮角質層905の厚みは一般的に約300マイクロメータである。上皮角質層905を除外し淡明層906、顆粒層907及び基底細胞層を含む表皮の部分は、厚みが約200マイクロメータであってよい。真皮は厚みが約1000マイクロメータであってよい。図97において、皮下注射針902の出口ポート912は有刺層908内に作用物質913を注射する、皮膚903の有刺層908中に略配列されて示される。
図98〜101は、薬物、ワクチンなどの注射のために皮下注射針を皮膚903内に駆動するための、上で論じられた制御可能なドライバの如何なるもののような制御可能なドライバによっても駆動され得る又は作動され得る、折り畳み式キャニスタ917及び皮下注射針902を含む注射部材916を含む作用物質注射モジュール915を図示する。作用物質注射モジュール915は、注射されるべき薬物又はワクチン913に対する、図98において示されるような主チャンバ918を有する折り畳み式キャニスタ917の形態にあってよいリザーバを有する。複数の(示されていない)作用物質注射モジュール915のカセットは、長期間の薬物治療の必要性に対する一連の定量用量を供し得る。そのようなカセットは、上で論じられたモジュールカセットと同様にように構成され得る。作用物質注射モジュール915及び針902は使い捨てであり得て、使いきっていない薬物又は使用された皮下注射針902からのバイオハザードの懸念が避けられる。図79において示される皮下注射針のランシングファセット921の幾何形状は、上で論じられたランセット183の切断ファセットの幾何形状と同じであるか又は類似したものであってよい。
制御可能なドライバの幾つかの実施態様の位置及び速度制御システムに固有なものは、制御可能なドライバ又は目標組織の層又は貫入されるべき皮膚903に対する皮下注射針902の位置又は貫入深さを正確に決定する能力である。Agilent HEDS9200シリーズのような位置センサに対する光学的エンコーダーを使用する、そして四端検出アルゴリズムを使用する制御可能なドライバの実施態様に対して、深さにおいて±17ミクロンの面内空間解像度を達成できる。皮内又は皮下注射に対して使用され得るであろうように、合計組織貫入ストロークが約3ミリメータの長さである場合、合計で88の位置点が貫入ストロークに沿って解像できる。この細かい空間解像度によって、作用物質又は薬物913の送達中の皮膚903の層に対する皮下注射針902の遠位先端901又は出口ポート912の正確な位置付けが可能になる。幾つかの実施態様において、約200ミクロンより良好な変位の正確さが達成できて、別の実施態様において、約40ミクロンより良好な変位の正確さが達成できる。
作用物質注射モジュール915は、皮下注射針902及び薬物リザーバ又は折り畳み式キャニスタ917を含み、示された通り、駆動カップラ185を介して細長いカップラ軸184に連結し得る注射部材916を含む。皮下注射針902は望ましい貫入深さに駆動できて、そして次いで、薬物又はワクチンのような他の作用物質913が、図98において示される、矢印924によって示される通りの皮下注射針902の中央ルーメン923を通って皮下注射針902の入口ポート922内に通過し、そして図97において示される皮下注射針902の遠位端901で出口ポート912から出ていく。
薬物又は作用物質の送達は、最大貫入の点で、又は皮下注射針902の後退に従動して起こり得る。幾つかの実施態様において、皮下注射針902の挿入中に、薬物又は作用物質913が送達されることが望ましいかもしれない。薬物又は作用物質の送達は、皮下注射針902が引き抜かれている(これは、歯科作業(dental work)における麻酔中に通常行われる)とき続き得る。あるいは、薬物送達は、後退段階の如何なる部分中にも、針902が固定状態にある間に起こることができる。
中空皮下注射針902は、投薬されるべき薬物又は他の作用物質913を含有する折り畳み式キャニスタ917に嵌入される。この折り畳み式キャニスタ917の壁928は、プラスチック、ゴム又は如何なる他の適する材料のような軟質弾力材料でも作られ得る。遠位板925は、折り畳み式キャニスタの遠位端926で配列され、そして皮下注射針902の遠位先端901の近位の皮下注射針の軸927にしっかりと固定される。遠位板925は、折り畳み式キャニスタ917からの薬物913の漏れを防ぐために、皮下注射針902の軸927にシールされそして固定される。
折り畳み式キャニスタ917の近位端932に配列される近位板931は、摺動シール934を用いて皮下注射針902の軸927の近位部分933に摺動するように嵌入される。摺動シール934は、シール934と皮下注射針902の軸927の外面の間の作用物質又は薬剤913の漏れを防ぐ。摺動するシールは、折り畳み式キャニスタ917の遠位板925に対して折り畳み式キャニスタ917の近位板931が針902に沿って軸方向に摺動することを可能にする。薬物の用量は、製造中に、折り畳み式キャニスタ917の主チャンバ918内に装着され得て、そして全体の組立体は、出荷及び保存中に、包装によってそして915のドライブヘッドスロット936を囲むガイドフィン935によって保護される。
注射サイクルは、作用物質注射モジュール915が(示されていない)ラチェット前進機構内に装着され、そして駆動カップラ185中に係合される皮下注射針902のドライブヘッド937を用いて駆動位置で登録されるとき、始まり得る。この準備ができた位置における皮下注射針902及び折り畳み式キャニスタ917の位置が図99において示される
一旦、作用物質注射モジュール915のドライブヘッド937が駆動カップラ185内に装着されると、制御可能なドライバは次いで、患者の皮膚又は他の器官内の所定の深さに高速で患者の組織903に向かってそしてその内に、皮下注射針902及び折り畳み式キャニスタ917を含む注射部材916をランチするために使用できる。患者の皮膚903又は他の組織との接触点での注射部材916の速度は、幾つかの実施態様に対して、毎秒約10メータまで、具体的には約2〜約5メータ/秒であってよい。幾つかの実施態様において、注射部材916の速度は、患者の皮膚903との接触点で約2〜約10メータ/秒。折り畳み式キャニスタ917が皮下注射針902と共に動くとき、折り畳み式キャニスタ917の近位板931は、図100において示される通り、折り畳み式キャニスタ917が、貫入ストロークの最後に到達するとき、近位板931の背後にパチンと入るモジュール本体939の二つのラッチばね938の間を通過する。
制御可能なドライバは次いで、反転して反対の後退方向に力をかけ、そして皮下注射針902を(貫入ストロークの速度に対して)ゆっくりと後退させ始める。皮下注射針902は折り畳み式キャニスタ917の摺動シール934を通して摺動し、一方で、折り畳み式キャニスタ917の近位板931に対して近位方向にそれを用いて折り畳み式キャニスタの遠位板925を運ぶ。折り畳み式キャニスタ917の遠位板925と折り畳み式キャニスタ917の近位板931の間の相対的動きによって、主チャンバ918の容量が減少することになる。主チャンバ918の減少する容量によって、折り畳み式キャニスタ917の主チャンバ918内に配置される薬剤又は他の作用物質913が主チャンバ918から出て、皮下注射針902の軸927中の入口ポート922内に押し込まれる。皮下注射針902の入口ポート922は、図80において示される通り、折り畳み式キャニスタ917の主チャンバ918と流体連通状態内に配設される。薬物又は作用物質は次いで、皮下注射針902の中空軸927の中央ルーメン923を通過し、そして次いで皮下注射針902の遠位端901で出口ポート912から目標組織903内に投薬される。薬物又は他の作用物質913の潅流の比率は、折り畳み式キャニスタ917の横断寸法の内径によって決定され得る。潅流比は、送達される薬物又は他の作用物質913の粘度、中央ルーメン923の横断寸法又は直径、入口ポート922、又は皮下注射針902の出口ポート912、並びに他のパラメータによっても決定され得る。
皮下注射針902の後退ストローク中に、薬物送達は、図101において示される通り、折り畳み式キャニスタ917の主チャンバ918が完全に潰されるまで続く。このポイントで、駆動カップラ185は、皮下注射針902のドライブヘッド937が自由になるか又はチャンバの遠位板925と皮下注射針902の間の遠位シール941が働かなくなるまで後退を継続でき、駆動カップラ185が始動位置に戻ることを可能にする。皮下注射針902の遠位先端901は、制御可能なドライバ又は任意の他の適切なドライバも用いて、所望の貫入深さを達成することに関して上で論じられた任意の方法又はデバイスを用いて、患者の組織903内の正確な貫入深さに駆動できる。
別の実施態様において、作用物質注射モジュール915は、皮膚接触点又は面942に対して作用物質注射モジュール915を位置付ける、調節可能な又は動き得る遠位ステージ又は(示されていない)面を含むラチェット前進機構内に装着される。このように、図99〜101において示されたような、所定の固定された長さの貫入ストロークを有する作用物質送達モジュール915は事前に設定され得る貫入深さに達する。可動ステージは、薬物送達サイクル中に固定状態に留まる。この実施態様の変形例において、可動ステージの動きは、薬物送達の深さを更に制御するために、皮下注射針902の引き抜きと調和され得る。
別の実施態様において、図99〜101の作用物質注射モジュール915において示されるラッチばね938は、それが貫入ストローク上を通り過ぎるとき、折り畳み式キャニスタ917の近位端932を係合する多くの(示されていない)ラチェット歯と共に成形され得る。所定の貫入の深さがフルストローク未満である場合、中間歯は、折り畳み式キャニスタ917の主チャンバ918を潰し、そして上で論じた通り、薬物又は作用物質913を投薬するために、引き抜きストローク中に折り畳み式キャニスタ917の近位端932を留める。
更に別の実施態様において、(示されていない)駆動指は、(示されていない)作動機構に固定され、そしてラッチばね938を代替する。作動機構は、作動サイクル中の何処においても、送達される薬物の速度及び量を制御するために、上で論じられたプロセッサ60のようなプロセッサ又はコントローラによって制御可能なデバイスと併せて電子的に駆動される。この実施態様によって、作動サイクル中に並びに後退サイクル中に、薬剤の送達が可能になる。
制御可能なデバイスの位置及び速度制御システムに固有なものは、皮下注射針902の空間における位置を正確に画成する能力であり、薬物、ワクチンなどの注射のための皮膚903中の皮下注射針の有限の配置を可能にする。薬物送達は必要に応じて、個別的又は連続的であってよい。
図102〜106は、サンプリングのために使用され得る、そしてランセットカートリッジ本体946及びサンプリングカートリッジ本体947の両者を有するカートリッジ945の実施態様を図示する。サンプリングカートリッジ本体947は、サンプリングカートリッジ本体947の縦軸949から半径方向に配列される複数のサンプリングモジュール部分948を含む。ランセットカートリッジ本体946はその中に摺動可能に配列されるランセット183を持つランセットチャンネル951を有する複数のランセットモジュール部分950を含む。ランセットモジュール部分950はランセットカートリッジ本体946の縦軸952から半径方向に配列される。
サンプリングカートリッジ本体947及びランセットカートリッジ本体946は、各ランセットモジュール部分950が、各サンプリングモジュール部分948と機能的配置において容易に整列され得るように、運転する構成において、互いに隣接して配列される。図102〜106において示された実施態様において、サンプリングカートリッジ本体947は、如何なるランセットチャンネル951及びランセットカートリッジ本体946の対応するランセット183をも、サンプリングカートリッジ本体947のサンプリングモジュール部分948のランセットチャンネル953の如何なるものとも整列させるために、ランセットカートリッジ本体946に対して回転できる。サンプリングカートリッジ本体947とランセットカートリッジ本体946の相対的場所及び回転可能な連結の運転する構成によって、特別なランセットモジュール部分950及びサンプリングモジュール部分948の機能的配置を達成するために、ランセットチャンネル951及び953の即座の整列が可能になる。示された実施態様に対して、特別なランセットモジュール部分950及びサンプリングモジュール部分948を整列するために使用される相対的な動きは、相対的な回転を介して単一の自由度に制約される。
カートリッジ945が種々のサンプリングモジュール部分948及びランセットモジュール部分950を整列させる能力によって、使用者はサンプリングカートリッジ本体947の複数のサンプリングモジュール部分948を有する特別なランセットモジュール部分950の単一ランセット183を使用することが可能になる。また、ランセットモジュール部分950の複数の異なるランセット183は、各ランシング作用のために新鮮な未使用のランセット183が要求され又は望まれ、そして使用可能なサンプルを得ることにおいて前のランシングサイクルが不成功であった場合、サンプリングカートリッジ本体947のサンプリングモジュール部分948においてサンプルを得るために使用され得るであろう。
図102は、近位端部分954及び遠位端部分955を有するカートリッジ945の斜視における展開図を示す。ランセットカートリッジ本体946はカートリッジ945の近位端部分954に配列され、そして図103において示されるランセットモジュール部分950のような複数のランセットモジュール部分950を有する。各ランセットモジュール部分950は、ランセット183をランセットチャンネル951内に摺動可能に配列させて、ランセットチャンネル951を有する。ランセットチャンネル951はランセットカートリッジ本体946の縦軸952に実質的に平行である。示されたランセット183はドライブヘッド198、軸部分201及び鋭い先端196を有する。ランセットのドライブヘッド198は、上で論じられた駆動カップラ185のような(示されていない)駆動カップラに連結されるように構成される。
ランセット183は、図102における矢印956及び矢印957によって示されるように、各ランセットチャンネル951中を自由に摺動し、そして先端196を保護し、そしてランセットカートリッジ本体946とサンプリングカートリッジ本体947の間での相対的な回転運動を可能にするために、ランセットチャンネル951内に引かれる鋭い先端196を用いて名目上、配列される。各ランセットチャンネル951の半径方向の中心は、ランセットカートリッジ本体946の縦軸952及びカートリッジ945の縦軸958から固定された既知の半径方向の距離で配列される。各ランセットチャンネル951をランセットカートリッジ本体946及びカートリッジ945の縦軸952及び958から固定された既知の半径方向の距離で配列することによって、ランセットチャンネル951は次いで、サンプリングカートリッジ本体947のランセットチャンネル953を用いて機能的配置において容易にそして繰り返して整列され得る。ランセットカートリッジ本体946は、ランセットカートリッジ本体946及びカートリッジ945の縦軸952及び950と同軸である縦軸960を有する取り外し可能な枢動軸959の周りを回転する。
サンプリングカートリッジ本体947は、カートリッジの遠位端部分955に配列され、そしてサンプリングカートリッジ本体947の縦軸949の周りに半径方向に配列された複数のサンプリングモジュール部分948を有する。サンプリングカートリッジ本体947の縦軸949は、ランセットカートリッジ本体946、カートリッジ945、及び枢動軸959の縦軸952、958、及び960と同軸である。サンプリングカートリッジ本体947は枢動軸959の周りにも回転し得る。ランセットカートリッジ本体946とサンプリングカートリッジ本体947の間で正確な相対的動きを達成するために、ランセットカートリッジ本体946及び947の一つ又は両方は枢動軸959の周りに回転できなければならないが、しかしながら、両者が枢動軸959の周りに回転可能であることは必要でない、つまり、カートリッジ本体946及び947の一つが、恒久的に又は取り外し可能に枢動軸959に固定され得る。
サンプリングカートリッジ本体947は、液密シールを形成するベースの近位面963を覆うベース961及びカバーシート962を含む。(図示の明瞭さのためにカバーシートを有しない)図104において示されたサンプリングモジュール部分948のような、サンプリングカートリッジ本体947の各サンプリングモジュール部分948はサンプルリザーバ964及びランセットチャンネル953を有する。サンプルリザーバ964は、サンプルリザーバ964が容易に流体サンプルで満たされることを可能にする外側に向かう半径方向の端部でベント965を有する。サンプルリザーバ964はサンプリングカートリッジ本体947の縦軸949に実質的に平行に伸びる各ランセットチャンネル953と流体連通状態にある。ランセットチャンネル953はサンプルリザーバ964の内側に向かう半径方向の端部で配列される。
サンプルカートリッジ本体947のランセットチャンネル953はランセット183の通過を可能にし、そしてまた、図106において示される、ランセットチャンネル953の入力ポート967からサンプルリザーバ964に伸びているサンプル流れチャンネル966としても機能する。尚、カバーシート962の近位面968は、如何なる流体サンプルも毛細管作用によってランセットカートリッジ本体946のランセットチャンネル951内に引かれることを防ぐために、ランセットチャンネル部位で、ランセットカートリッジ本体946の遠位面969から空間的に分離される。ランセットカートリッジ本体946の遠位面969からのカバーシート962の近位面968の空間的分離は、図105において示される通り、ランセットカートリッジ本体の遠位面969内に形成される、二つの面968及び969の間のボス970を用いて達成される。
サンプリングカートリッジ本体947のサンプルリザーバ964は、他のサンプリングモジュール実施態様に関して上で論じられたサンプル検出センサ、試験センサ、センサ接触などの如何なるものも含み得る。カバーシート962はPMMAで形成され得て、そして導体、センサ又はその表面上に形成されるセンサ接触部を有する。サンプルリザーバ中に得られたサンプルに対して光学的感知又は試験方法を使用するために、透明又は半透明の材料で作られたカバーシート962を有することも望ましいかもしれない。示された実施態様において、サンプリングカートリッジ本体967のサンプルリザーバ964の少なくとも一部分の外部半径場所はランセットカートリッジ本体946の外部半径寸法を超えたところにある。このように、図105において示されるような光学的検出器又はセンサ971は、カバーシート962を通して光学的信号を伝え、そして光学的信号をサンプルから受信することによって、サンプルリザーバ964内に配列されたサンプルを検出し又は試験できる。
カートリッジ本体946及び947は、サンプリングカートリッジ及びランセットカートリッジ又は上で論じられた如何なるその部品の機能、寸法又は材料と同じ又は類似した機能、寸法又は材料を有することができる。モジュール部分948及び950は、ランセット又はサンプリングモジュール又は上で論じられた如何なるその部品の機能、寸法又は材料と同じ又は類似した機能、寸法又は材料を有することができる。また、カートリッジ945は上で論じられた如何なるドライバ又は如何なる他の適するドライバにも隣接して、作動可能な構成において連結でき又は位置付けできて、そうすることによってランセットカートリッジ本体のランセットはランシングサイクルにおいて選択的に駆動できる。図102〜106において示される実施態様によって、相対的な回転運動を有する種々のサンプリングモジュール部分948及び950の整列が可能になるものの、似たように機能する他の実施態様も考えられる。例えば、ランセットモジュール部分又はサンプリングモジュール部分又は両方は、相対的なx−yの動きが、機能的配置においてモジュール部分の整列のために使用されて、二次元アレイにおいて配置され得るであろう。そのような相対的なx‐yの動きは、整列を達成するために、そのような代替実施態様において位置センサ及びサーボモータを用いて完成され得るであろう。
図46〜48に対して上で論じられ、そして図107において一般的に説明された通り、本発明の一つの実施態様は、ランセット1002上に駆動力をかけるよう構成されそして図37において見られる通り、組織部位234上で使用されるランセットドライバ1000を含み得る。ランセットドライバ1000は、制限するものではないが、(図30〜41において同様に説明された通り)ランセットを経路1006に沿って組織部位234内に前進させ又は作動するために、図4のデバイス、線形ボイスコイルデバイス294、又は回転ボイスコイルデバイス325のような駆動力発生器1004を使用する。ボイスコイル駆動力発生器、ソレノイド駆動力発生器、又は類似の駆動力発生器のような種々の駆動力発生器が使用され得ると理解されるべきである。ばね系駆動力発生器又は他の非電気的力発生器が、ある代替実施態様において使用され得て、ここで力発生器はランセットを望ましい速度で送達でき、一方、ランセットの振動を最小化する望ましい減速を供するために機械的ダンパ、停止又は他の装置を有する(図68参照)。加えて、図47において見られる通り、コイルは磁気的に活性な領域によって完全に囲まれる必要はない。
センサ1008は、ランシングサイクル中に経路1006に沿ってランセット位置を検出するために使用され得る。適するセンサは、限定するものではないが、位置感知機構74、位置センサ191、光学的位置センサ319、光学位置センサ357などを含み得る。適するセンサは、経路1006に沿ったランセット速度を供するために、ランセット位置及び十分なセンサ解像度を供し得るものも含み得る。上で論じられた通り、センサ1008は、(図21、エレメント219において示される通り)ランセットに対応する又はそれを作動する駆動エレメントの位置を検出するように位置付けられ得る。センサ1008も、(図46、エレメント296及び319において示される通り)ランセット自身の位置を検出するために位置付けられ得る。
図108をここで参照すると、図12において示されたもの(プロセッサ60)と類似のプロセッサ1020又は他のものは、ランセット制御を供するべく、矢印しで示される通り、閉フィードバック制御ループ1022を支援するために使用され得る。図107のドライバ1000もコントローラ又は(示されていない)プロセッサを含み得る。ランセット1002の制御は、ランセット位置制御を含み得て、そして図12において示された通り、選択可能なランセット速度プロファイル又は波形に従動するようランセット速度制御も含み得る。殆どの実施態様において、プロセッサ1020は、駆動力発生器1004に連結されるであろうし、そこでプロセッサは、ランセットを種々の速度で駆動するために信号を出すか又は発生器を作動するであろう。
図6〜9、16〜17及び42に関して論じられたように、ランセット速度プロファイル又は波形は、患者への痛みを最小化するべく、また一方で、サンプリング目的に対して十分な体液又は血液の収率を供するべく、ランセットを駆動するように設計され得る。速度プロファイル、具体的には、電気的に動かされる力発生器は、電気的に動かされる力発生器にかけられる電流の継続期間と量に対応し得る。速度プロファイルは、患者に対して痛みを増す突然のハード停止なしで、組織部位におけるランセット停止を供するためのランセット速度のプログラム可能な減速プロファイルも供し得る。具体的な実施態様において、ランセット速度プロファイルは、貫入ストロークに関して、毎秒約0.8〜20.0メータの間のランセット速度、及び引き抜きストロークに関して毎秒約0.5メータ〜毎秒約0.02メータ未満のランセット速度を供するために、適切な駆動力発生器と共に使用され得る。
図10、11及び107を参照すると、ランセット1002は組織部位324に向かう経路に沿って、組織部位324内に駆動され得て、そして次いで、ランセットによって創出された傷チャンネル内に体液を引き込むために(図11を参照)、組織部位324から引き抜かれる(図10を参照)。このように限定するものではないが、ランセットは組織部位内への一方向の線形経路に従動し得て、そして組織部位から外へ同じ線形経路に従動する。
図109を参照すると、ボイスコイル駆動力発生器1030は、ランセットがドライバから離れて望ましい変位に到達する際に、制御された減速を供するために、機械的ダンパ1032を有して示される。この機械的ダンパ1032は、デバイスの駆動部分が電気的に作動されることを除いて、図68を用いて論じられたものに概念において類似したものであってよい。他の適する機械的ダンパは、空気、液体又はゲルを用いるダッシュポット、永久磁石又は電気磁石を有する導体内に誘起される渦電流を用いる電気力学的ダッシュポット、振動を最小化するポリマー又はエラストマー材料を含む機械的停止、又はランセットを、それが引き抜きストロークに対してランセットを解放することが望ましいまでしかるべき位置にランセットを保持する機械的捕捉部、又はこれらのダンパの幾つかの組合せを含み得る。ダンパ1032は、ランセット又は(影を付けて示される)駆動力発生器1030の駆動部品に連結されることを含め、ランセットドライバ上の種々の場所において配列され得ると理解されるべきである。
図110A及び110Bは、駆動力発生器1004、及び図96及び102において述べられた弾帯(bandolier)のような複数ランセットデバイス1040を有する、本発明の実施態様を示す。駆動力発生器1004は、限定するものではないが、ランセット1042を駆動するためのボイスコイル力発生器であってよい(図110B)。複数ランセットデバイス又はカートリッジ1040は、図93の実施態様と類似しており、そして使用者が、各ランシングイベントに対して、新しいランセットを有するドライバの再装着することなく、複数のランセットイベントを有することを可能にする。これによって、患者が実行する工程の数が低減され、そしてこのようにしてもっと頻繁な血糖試験に対するバリアが低減されるであろう。
図111をここで参照すると、本発明の一つの実施態様において、限定するものではないが、LCDスクリーンのようなヒトインターフェース1051はランセットドライバ1050を含み得る。ヒトインターフェースはヒトが読み得る出力、(フラッシュする表示器、アイコン又は符号のような)ヒトが認識可能な出力、又は可能なオーディオ信号を供し得ると理解されるべきである。ドライバ1050は、ランセットを発射する(fire)又は作動するための一つのボタン1052のようなソフトウエア制御下にあるボタン類も含み得る。第一のプレスによってドライバ1050がスイッチが入り、そして第二のプレスによってランセットを発射し又は作動し得る。一つの特定の実施態様において、本発明は、(幻影を付けて示される)二つのプロセッサ1054及び1056、速くかつ高いパワーである−−1054、及び低いパワーでかつより遅いLCD/ヒトインターフェース(HI)プロセッサ1056を使用し得る。HIプロセッサ1056はスリープモードにあり、そしてパワーを保存するために断続的に作動する。HIプロセッサ1056はプロセッサ1054へのパワーを必要に応じて制御する。それは、それが長時間オン状態に留まらない、そして電池を消耗させないであろうように、高速プロセッサに対する見張りタイマでもある。二つのプロセッサ1054と1056の間の通信は二、三ラインを使用し、そして必須ではないが、本質的に連続的であってよい。本通信は、制限するものではないが、RS−232、SPI、I2C又は専有のスキームのような種々のインターフェース標準品を使用し得る。本実施態様は少なくとも一つのインターフェースワイヤー及び接地(wire and ground)を含み得る。幾つかの実施態様において、ヒトインターフェースは、制限するものではないが、穿刺又はランシングイベント数、残っているランセット、時刻、警報、プロファイル情報、最後の穿刺/ランシングイベントにおける力、又は最後の穿刺/ランシングイベントの時刻のような種々の出力を供し得る。
図112をここで参照すると、ドライバ1050の一つの実施態様は、警報又は他の情報を使用者に供するために、少なくとも一つの又は複数のLED光1060を含み得る。図113は、警報又は他の情報を使用者に供するためにオーディオ又は音発生器を有するドライバを示す。図114は、制限するものではないが、コンピュータ、PDA、コンピュータネットワーク、一時的保存デバイス、ランセットドライバからデータを受け取る他のデバイスのような、別の支援デバイスとのデータ通信を可能にするために、(影を付けて示される)データインターフェースデバイス1064を有するドライバを示す。図115は、ヒトインターフェース1051が、ヒトインターフェース機能を供するためにドライバ1050と連結される別個の又は分離可能なデバイス上にある更なる実施態様を示す。勿論、ヒトインターフェースは、ビデオ、オーディオ、他の信号を供するもののような、本明細書において述べられた如何なるものでもあってよいと考えられるべきである。
一つの実施態様において、本発明は、使用者がヒトインターフェースを制御し得るように、一つ又はそれ以上のボタンを含み得る。限定するものではないが、個々のLED、LEDのアレイ、LCDパネル、ブザー、ベル、振動のような一つ又はそれ以上の出力ディスプレイデバイスが、フィードバックを供するために使用者によって使用され得る。パソコン、モデム、PDAなどのような他のデータ交換デバイスとの外部通信が供され得る。
ヒトインターフェースの一つの機能は、使用者がアクチュエータのサイクルを開始することを可能にすることである。使用者入力を可能にするために、ヒトインターフェースは、限定するものではないが、少なくとも一つの押しボタン、ディスプレイデバイスと独立したタッチパッド、又はLCDディスプレイ上のタッチ感知スクリーンを更に含み得る。加えて、本インターフェースは、使用者がサンプリング/痛みインターフェース環境を制御することを可能にするインターフェース、又はランセットが装着されているか、そしてすぐに使用できるか否かを感知するデバイス、使用者が指対前腕のような体の異なる領域をサンプリングするために事前に設定できる複数のサンプリング/痛みインターフェースプロトコールのような他の機能を可能にする。加えて、使用者は、次の穿刺が何時必要であるかを思い出すために実時間時計及び一つ又はそれ以上の警報を設定できる。警報は、警報が有害であろうレストラン及び劇場又は他の状況において、それらを容易に抑制するよう全ての警報に影響するマスタ可能/不可能を用いて個別に設定可能であってよい。警報は光、音及び振動を点滅又はオフにするために設定可能である。向上策によって、警報は一日間又はそれ以上可能になるであろう。このようにして、使用者のスケジュールが収容され得るであろう。例えば、警報は、月曜日から金曜日までを通しで午前10:00に、それらの日に午前11:00の警報より優先して設定されるが、土曜日と日曜日は解除され得るであろう。
幾つかの実施態様において、HIはデータ記録計機能を有することができる。それは使用者又は別のデータ収集デバイス又はネットワークへのフィードバックのための種々のデータを集積し得る。記録されるべきであろうデータのタイプの幾つかの例は以下を含む:使用されるランセットの数、この日のための穿刺数、最後のn回のランセットイベントの日時、又は警報及び穿刺の間の間隔、穿刺の力の量、使用者の環境、電池の状態など。HIプロセッサは、普通に利用できるデータインターフェースデバイス又は複数のインターフェース1064、又は場合により、専有のインターフェースを通して情報を他のデバイスにパスし得る。幾つかの共通のデータインターフェースデバイス又は複数のインターフェースは、制限するものではないが以下を含む:セリアルRS−232、モデムインターフェース、USB、HPNA、Ethernet、光学的インターフェース、IRDA、RFインターフェース、Bluetoothインターフェース、携帯電話インターフェース、二方向性ポケベルインターフェース、平行ポートインターフェース標準、近接場電磁結合、又は他のRFネットワークトランシーバ。これらのインターフェースの一つの使用は、使用者、医者、看護師又は他の医療技術者がそれを分析し得るように、データをどこか別の場所に動かすことである。これらのインターフェースはパソコン、モデム、PDA又は既存のコンピュータネットワークと両立でき得る。
図116(a)及び116(b)を参照すると、本発明の一つの実施態様において、(i)ユーザーインターフェース入力のための手動スイッチ、(ii)LED又は光源、(iii)ユーザーインターフェース表示器、(iv)透明ランセット検出窓及び(v)角のある円筒状ハウジングを含むランシングデバイス1100が供される。
複数位置機械的スイッチ1112が図116(a)及び116(b)において説明される。複数位置機械的スイッチ1112は、低コストかつ高信頼性の回路基板接触パッドを介して固定された又は機械的に索引をつけられた(indexed)位置を有することができる。これらはデジタルスイッチ連結又は組合されたアナログ電子レベルを供し、そしてユーザーインターフェース入力制御として使用される。ユーザーインターフェース入力制御は、非限定例として、3〜100の分離されたステップであってよい、深さ設定範囲及び快適プロファイルを供し得て、デバイスのON−OFF、デバイスのスタンバイなどを供し得る。それはランシングデバイス1110をスリープ又はスタンバイモード状態に置くこと、並びに発射ボタンを用いて偶発的にランセットをランシングするのを不可能にすることもできる。
図117において示されるLED又は他の適する光源1114は、制限するものではないが低電池充電、ランセットの存在、一つ又は複数のデバイスエラー条件、ランチ準備完了、電池が交換を要求することの表示、などを含む種々の異なるユーザーインターフェース出力を示すために使用できる。透明な、半透明な及び/又は成形されたハウジングの機能は、制限するものではないが、電池アナンシエータ(annucator)、ランセットの存在符号、オーディオのオン/オフ、深さ設定、データ管理モードなどを含む符号の光透過又は部分的光透過を可能にする。
図118において説明される透明又は半透明のハウジング窓1116によって、使用者が、ランセットが装着されている、装着されていない、ランチ中に動いていることを視的に確認することが可能になり、そしてベアリングアクチュエータを潜在的に損なう血液、埃、又は他の物体のような物理的汚染を除去、及びハウジング窓を取り除くことによるクリーニングを可能にする第二の機能が可能になる。
一つの実施態様において、ランシングデバイス1110は角のあるハウジングを有する。これによって、二つの似ていない円筒状形を介して、より小さいデバイス容量が供される。一方の形はより大きな半径の電池用であり、そして他方のより小さい直径は、アクチュエータ組立体、高電圧キャパシタ、PCB及び全ての電気部品、変換器、エンコーダー、ランセット、マイクロコントローラのような全ての追加ハードウエア用である。
本発明の一つの実施態様において、ランシングデバイス1110は以下の設計要求事項/仕様を有する:(i)質量:非制限例として、合計の動いている質量<0.40グラムであってよい低質量;(ii)摩擦:非常に低い一貫した摩擦(接触点に影響する);及び(iii)ユーザーインターフェース:単純、直観的、非常に低い手先の器用さを要求する、視的鋭敏さ及び触感。幾つかの設計制約は、限定するものではないが、(i)使用者に作動される、重ね成形されたランセット針、(ii)重ね成形によって供され、使用者によって取り外される殺菌性バリアなどを含む。
種々の実施態様において、ランシングデバイス1110の設計エレメントは、限定するものではないが、(i)ランセット−チャック連結:針場所X−Y−Zの堅牢、正確さ、挿入及び取り外しの触覚フィードバック;(ii)ランセットの存在/不在の検出:存在/不在の検出の低コスト解決策;(ii)ランシングデバイスへのインターフェース:駆動のためのしっかりした機械的連結(スラグ);(iii)ベアリング/ガイド:許容解析に付き(per tolerance analysis)、用途に対して変わる、及び(iv)ラッチング(latching):ランセットの保存、取り外しに対するラッチの能力などを含む。
種々の実施態様において、ランシングデバイス1110の設計エレメントは、限定するものではないが、(i)ランセット−チャック連結:チャック/駆動に対して取り外し可能な重ね成形されたランセットをインターフェース接続する方法;(ii)トロイダルばね保持(例えば、バルシール(balseal));(iii)ベアリング:ランシング軌跡を正確に画成するための一つ又は複数のガイド機能;(iv)チャック−シャーシ形態ベアリング;(v)使い捨てカートリッジ中に含有されるベアリング;(vi)ラッチング:使用されていないとき、及びランセットの取り外しのためにランセットが−−1110を出ることを抑える;(vii)磁気作動されたラッチ;(viii)ランセットアクセス用のボタン押し、ラッチング;(ix)ランセット存在の検出:ランセット存在又はランシングデバイス1110から不在の透明検出;(x)チャックに対してエンコーダーのためにプランジャを動かすこと(チャックに対するホーム位置へのランセット挿入位置エンコーダー);(xi)エレメントの存在又は不在に基づいて作動を起こす能力があるランシングデバイス1110;(xii)ランセットの視的(使用者が観察する)検出;(xiii)ランセットの装着−脱着;(xiv)開口部を通したランセット検出;(xv)使用者が挿入したランセットカートリッジなどを含む。
図119(a)−119(c)に示された、本発明の別の実施形態の中で、ランシングデバイス1210は、試験片を受ける開口部1212を備える。適切な試験片は、U.S.特許No.6,555,061に開示され、参照により本明細書に組み入れられる。一つの実施形態では、ランシングデバイス1210は、その中にランセットを備えた体液計の代わりに、本質的により多くのランシングデバイスである。ランシングデバイス1210は、U.S.公表No.2005120365に開示された電子機器、及び被検体センサのいくつか又は全てを含むことができ、参照により本明細書に組み入れられる。
ランシングデバイス1210は、簡単にポケットに入れることができる大きさにできる。2つの位置決めされたインラインと共に、ランシングデバイス1210は、ランセットへの出口のトップにある試験片の開口部を備えた縦置き(vertical mount)形状を有してよい。一つの実施形態では、ランシングデバイス1210は、ランスドフィンガー(lanced finger)がランシングエレメントから試験片まで、約1インチだけ動くのを提供する形状およびレイアウトを有する。
ランシングデバイス1210は無痛であり、離散測定を提供し、指の衛生、易しい試験方法を提供し、そしてランシングを単一のデバイス内での体液測定と一体化する。音は本質的に一切ない。
ランシングデバイス1210は、限定されるものではないが、(i)指又は前腕などの、組織部位のランシングからの1つのタッチ試験が、続いて1滴の血液を有する指の、ランセットの周りに置かれた試験片への短い距離を動きを伴う、(ii)1つのマイクロリットル以下の小さいサンプルサイズ、(iii)日時の情報表示、(iv)無洗浄、(v)人間工学的である、(vii)安価、(viii)非常に強健である、等、を含む多くの利点を提供する。一つの実施形態では、ランシングデバイス1210は、単純化されたナビゲーションのために2通りのスクロール・ボタンを有する。
ランシングデバイス1210は、大きい試験メモリを有することができる。非限定的な実施例として、試験メモリは、前の結果を見直す500の試験メモリであってよい。ランシングデバイス1210は、バックライトを備えた比較的大きなディスプレイ有することができ、試験は10秒未満、より好ましい5秒以下の中で完了できる。
種々の実施態様において、ランシングデバイス1210の内部の構成部材は、(i)線形の通路中に実質的に全ての構成部材を備えたシングル幅、(ii)二倍幅、及び(iii)トリプル幅の配置で配置できる。非限定的な実施例として、電子的エレメントの全ては、シングル幅の構成で配置できる。非限定的な実施例として、ランシングデバイスのハウジングは、以下の寸法、27mmの幅、24のmmの高さ、及び127mmの長さを有することができる。一つ以上の電池が、提供できる。2つの電池を含むことができ、シングル幅の部分に連結された二倍幅形状を有することができるランシングデバイス1210の部分に位置できる。
本発明が、その或る特別な実施態様を参照して述べられそして説明されてきたが、当業者は、手順及びプロトコールの種々の適合、変更、修正、置換、削除又は追加が、本発明の精神と範囲を逸脱することなくなされ得ると理解するであろう。例えば、ヒトインターフェースのためのLCDスクリーンの位置付けは、人間工学的使用に対して最良の場所を供するように変えられ得る。ヒトインターフェースは、状態を述べるための言葉、又はデバイス使用に関する警報を使用する、音声システムであってよい。結果における予測される変化又は違いは、本発明の目的及び実行に従うと考えられる。従って本発明は以下の請求の範囲によって定義され、そしてそのような請求の範囲は合理的である限り広義に解釈されるべきと意図される。