JP2014521339A - ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ酵素およびその使用方法 - Google Patents

ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ酵素およびその使用方法 Download PDF

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Abstract

本明細書では、ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドおよびこのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが提供される。また、このようなポリペプチドおよびポリヌクレオチドを含む組換え宿主細胞ならびにその使用方法も提供される。

Description

政府のライセンス権利
本発明は、米国エネルギー省により裁定された契約DE−AR0000006の下で政府支援により行われた。政府は、本発明において特定の権利を有する。
関連出願への相互参照
本出願は、参照によって本明細書中に援用される2011年7月28日に出願された米国仮特許出願第61/512,866号明細書に関連し、それに対する優先権の権利を主張する。
本発明は、イソブタノール産生経路における実施に適したα−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドに関する。
ブタノールは、燃料添加剤として、プラスチック工業における原料化学物質として、そして食品および香料産業における食品グレードの抽出剤として有用である、重要な工業用化学物質である。毎年、100〜120億ポンドのブタノールが石油化学的手段によって製造されており、この汎用化学物質の必要性は将来的に高まる可能性が高いであろう。
ブタノール異性体のイソブタノールの化学合成のための方法は、例えば、オキソ合成、一酸化炭素の接触水素化(非特許文献1)、およびメタノールとn−プロパノールのGuerbet縮合(非特許文献2)などが知られている。これらの方法は、石油化学物質に由来する出発材料を使用する。植物由来の原材料からのイソブタノールの製造は化石燃料の使用を最小限にし、当該技術分野における進歩を表すであろう。
特許文献1には、組換え微生物におけるイソブタノールの産生のための酵素経路が記載されている。そこに記載されるイソブタノールの産生のための1つの代謝経路の最後から2番目のステップは、α−ケトイソバレレートからイソブチルアルデヒドへの変換である。当該技術分野では、イソブタノール生合成経路において使用するのに適した付加的な酵素を同定することが依然として必要とされている。
米国特許第7,851,188号明細書
Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,6th edition,2003,Wiley−VCH Verlag GmbH and Co.,Weinheim,Germany,Vol.5,pp.716−719 Carlini et al.,J.Molec.Catal.A.Chem.220:215−220,2004
本明細書には、開示されるポリペプチドを用いてα−ケトイソバレレートをイソブチルアルデヒドへ変換する組換え宿主細胞および方法が提供されている。実施形態において、本方法は、(a)(i)配列番号51、52、53、55、56、58、59、61もしくは63またはこれらの活性断片に対する少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の同一性、あるいは(ii)α−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ活性、約1よりも大きいα−ケトイソバレレートのピルベートに対する特異性比、および約20μM以下のチアミン二リン酸補因子活性化定数(K)のうちの少なくとも1つを含むポリペプチドを提供するステップと、(b)イソブチルアルデヒドが産生される条件下で、前記ポリペプチドをα−ケトイソバレレートと接触させるステップとを含む。実施形態において、ポリペプチドは、配列番号51、52、53、55、56、58、59、61または63のアミノ酸配列を含む。実施形態において、ポリペプチドは、リステリア・グレイ(Listeria grayi)またはマクロコッカス・カセオリチクス(Macrococcus caseolyticus)からの配列を含む。実施形態において、ポリペプチドは、配列番号58または61のアミノ酸配列を含む。実施形態において、接触は、約30mg/L未満、約20mg/L未満、または約10mg/L未満のチアミンの存在下で生じる。実施形態において、接触は組換え宿主細胞内で生じ、ポリペプチドは組換え宿主細胞にとって異種である。実施形態において、組換え宿主細胞は、クロストリジウム(Clostridium)属、ザイモモナス(Zymomonas)属、エシェリキア(Escherichia)属、サルモネラ(Salmonella)属、セラチア(Serratia)属、エルウィニア(Erwinia)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、シゲラ(Shigella)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、バチルス(Bacillus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、パエニバチルス(Paenibacillus)属、アルスロバクター(Arthrobacter)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属、イサタケンキア(Issatchenkia)属、クルイベロミセス(Kluyveromyces)属、ヤロウイア(Yarrowia)属、ピキア(Pichia)属、カンジダ(Candida)属、ハンゼヌラ(Hansenula)属、またはサッカロミセス(Saccharomyces)属の一員である。実施形態において、組換え宿主細胞はサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である。実施形態において、組換え宿主細胞はさらに、基質から産物への変換:(a)ピルベートからアセトラクテートへの変換、(b)アセトラクテートから2,3−ジヒドロキシイソバレレートへの変換、および(c)2,3−ジヒドロキシイソバレレートから2−ケトイソバレレートへの変換を触媒するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。実施形態において、宿主細胞はさらに、イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの基質から産物への変換を触媒するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。実施形態において、組換え宿主細胞はさらに、低下または除去されたピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を含む。実施形態において、組換え宿主細胞はさらに、Fe−Sクラスター生合成に影響を与えるポリペプチドをコードする内因性遺伝子において少なくとも1つの欠失、突然変異、および/または置換を含む。実施形態において、組換え宿主細胞はfra2の欠失を含む。実施形態において、組換え宿主細胞は、低下または除去されたグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ活性を含む。
また本明細書には、(a)イソブタノール産生経路を含む組換え宿主細胞を提供するステップであって、この産生経路がポリペプチドを含み、前記ポリペプチドが、(i)配列番号51、52、53、55、56、58、59、61もしくは63またはこれらの活性断片に対する少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の同一性、あるいは(ii)α−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ活性、1よりも大きいα−ケトイソバレレートのピルベートに対する特異性比、および約20μM以下のチアミン二リン酸補因子活性化定数(K)のうちの少なくとも1つを含むステップと、(b)イソブタノールが産生される条件下で、組換え宿主細胞を炭素基質と接触させるステップとを含む、イソブタノールの製造方法も提供されている。実施形態において、ポリペプチドは、配列番号51、52、53、55、56、58、59、61または63のアミノ酸配列を含む。実施形態において、ポリペプチドは、リステリア・グレイ(Listeria grayi)またはマクロコッカス・カセオリチクス(Macrococcus caseolyticus)からの配列を含む。実施形態において、ポリペプチドは、hmmsearchプログラムを用いるKIVDクラスタープロファイルHMMのE値が1E−223未満である。実施形態において、本方法はさらにイソブタノールを単離するステップを含み、実施形態では、単離は液液抽出を含む。実施形態において、液液抽出のための抽出剤は、C12〜C22脂肪アルコール、C12〜C22脂肪酸、C12〜C22脂肪酸のエステル、C12〜C22脂肪アルデヒド、およびこれらの混合物を含む。実施形態において、組換え宿主細胞はサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である。実施形態において、本明細書において提供されるイソブタノールの製造方法は、(a)配列番号52または61に対する少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の同一性を有するポリペプチドを含むイソブタノール生合成を含む組換え宿主細胞を提供するステップと、(b)イソブタノールが産生される条件下で、組換え宿主細胞を炭素基質と接触させるステップとを含む。実施形態において、接触は、約30g/L未満のチアミンの存在下で生じる。
実施形態において、本明細書で提供される方法および組換え宿主細胞は、配列番号配列番号51、52、53、55、56、58、59、61、63、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、もしくは416、またはこれらの活性断片に対する少なくとも約80%、85%、90%、95%、または98%の同一性を有するポリペプチドを含む。
KIVDポリペプチド例(左から右に向かって、Mca、L.ラクティス(L.lactis)、KdcA、kivD81)の基質α−ケトイソバレレートおよびピルベートの特異性比データを示す。 実施例において説明されるように、0mg/L、1mg/Lおよび30mg/Lのチアミンの存在下、組換え宿主細胞のα−ケトイソバレレートおよびピルベートの収率を実証する。 実施例において説明されるように、0、1mg/L、および30mg/Lのチアミンの存在下、組換え宿主細胞のα−ケトイソバレレートの濃度を発酵時間に関して示す。
本明細書と共に電子出願された配列リストおよび表の組込み
本明細書と共に電子出願され、参照によってその全体が本明細書中に援用される表Zは、本明細書において記載されるKIVDクラスタープロファイルHMMである。表Zは本明細書の一部を形成する。
参照によって本明細書中に援用される、本明細書と共に出願された配列リスト(20120727_CL5253USNP_SEQ_ST25.txt、サイズ:1,304,771 バイトバイト、作成日:2012年7月26日)において提供される配列は、37C.F.R.1.821−1.825(「ヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列の開示を含む特許出願の要件−配列規則(Requirements for Patent Applications Containing Nucleotide Sequences and/or Amino Acid Sequence Disclosures − the Sequence Rules)」)に従い、世界知的所有権機関(World Intellectual Property Organization)(WIPO)標準ST.25(2009年)ならびにEPOおよびPCTの配列リスト要件(規則5.2および49.5(α−βis)ならびに実施細則の第208条および付属書C)と一致する。ヌクレオチドおよびアミノ酸配列データのために使用される記号および型式は、37C.F.R.§1.822に明記される規則に従う。
定義
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合には、定義を含む本出願が支配するであろう。また、文脈によって他に要求されない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。本明細書において言及される全ての刊行物、特許および他の参考文献は、全ての目的のためにその全体が参照によって援用される。
本発明をさらに定義するために、本明細書において以下の用語および定義が提供される。
本明細書で使用される場合、「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」、「含有する(contains)」もしくは「含有している(containing)」という用語、またはこれらの他のあらゆる変化形は、記載される完全体(integer)または完全体のグループの包含を意味するが、任意の他の完全体または完全体のグループの排除は意味しないと理解されるであろう。例えば、要素のリストを含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもこれらの要素だけに限定されるのではなく、明白に記載されていないか、あるいはこのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置に固有の他の要素も含み得る。さらに、反対する明確な記載がない限り、「または(or)」は包括的な「または」を指し、排他的な「または」を指さない。例えば、条件AまたはBは以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真であり(または存在し)かつBが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)かつBが真である(または存在する)、ならびにAおよびBの両方が真である(または存在する)。
本明細書で使用される場合、「からなる(consists of)」という用語、または「からなる(consist of)」もしくは「からなっている(consisting of)」などの変化形は、本明細書および特許請求の範囲を通じて使用される場合、列挙される任意の完全体または完全体のグループの包含を示すが、指定の方法、構造、または組成物に付加的な完全体または完全体のグループを追加することはできない。
本明細書で使用される場合、「から本質的になる(consists essentially of)」という用語、または「から本質的になる(consist essentially of)」もしくは「から本質的になっている(consisting essentially of)」などの変化形は、本明細書および特許請求の範囲を通じて使用される場合、列挙される任意の完全体または完全体のグループの包含を示し、場合により、指定の方法、構造または組成物の基本的または新規の特性を実質的に変化させることのない、列挙される任意の完全体または完全体のグループの包含も示す。M.P.E.P.§2111.03を参照されたい。
また、本発明の要素または成分に先行する不定冠詞「a」および「an」は、その要素または成分の例の数、すなわち発生の数に関して非限定的であることが意図される。そのため、「a」または「an」は1つまたは少なくとも1つを含むように読み取られるべきであり、要素または成分の単数の語形は、その数が明らかに単数形であることを意味しない限りは複数形も含む。
「発明」または「本発明」という用語は、本明細書で使用される場合、非限定的な用語であり、どれか1つの特定の本発明の実施形態を指すことは意図されず、本出願で開示される全ての可能性のある実施形態を包含する。
本明細書で使用される場合、使用される本発明の原料または反応物の量を修飾する「約」という用語は、例えば、実際に濃縮物または溶液の製造のために使用される典型的な測定および液体処理手順によって、これらの手順における不注意な誤差によって、組成物の製造または方法の実行のために使用される原料の製造、供給源、または純度の差異によって、そして同様のことによって生じ得る数量の変動を指す。また「約」という用語は、特定の初期混合物から得られる組成物に対する平衡条件が異なるために異なる量も包含する。「約」という用語によって修飾されているかどうかにかかわらず、特許請求の範囲はその量と同等の量を含む。一実施形態では、「約」という用語は、報告される数値の10%以内、好ましくは、報告される数値の5%以内を意味する。
「イソブタノール生合成経路」という用語は、イソブタノールを産生するための酵素経路を指す。時折、「イソブタノール生合成経路」は「イソブタノール産生経路」と同義に使用される。
「炭素基質」または「発酵性炭素基質」という用語は、本明細書中で開示される組換え宿主細胞によって代謝されることが可能な炭素源を指す。炭素基質の非限定的な例は本明細書で提供されており、単糖、オリゴ糖、多糖類、エタノール、ラクテート、スクシネート、グリセロール、二酸化炭素、メタノール、グルコース、フルクトース、スクロース、キシロース、アラビノース、デキストロース、一炭素基質またはこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「有効力価」という用語は、発酵培地1リットルあたり、発酵によって産生されるイソブタノールの総量を指す。イソブタノールの総量には、i)発酵培地中のイソブタノールの量、(ii)例えば有機抽出剤との接触によって発酵培地から回収されるイソブタノールの量、および(iii)ガスストリッピングが使用される場合には、気相から回収されるイソブタノールの量が含まれる。
本明細書で使用される場合、「有効速度」という用語は、1時間の発酵で発酵培地1リットルあたり、発酵によって産生されるイソブタノールの総量を指す。
本明細書で使用される場合、「有効収量」という用語は、生体触媒により消費される発酵性炭素基質1単位あたり、産生されるイソブタノールの量を指す。
「アセト乳酸シンターゼ」という用語は、ピルベートからアセトラクテートおよびCOへの変換を触媒する酵素を指す。アセトラクテートは、2つの立体異性体((R)および(S))を有し、酵素は、生物系によって作られる(S)−異性体を好む。アセト乳酸シンターゼは、EC番号2.2.1.6に分類され得る(Enzyme Nomenclature 1992,Academic Press,San Diego)。
「ケトール酸レダクトイソメラーゼ」(略語「KARI」)、および「アセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼ」という用語は交換可能に使用され、(S)−アセトラクテートの2,3−ジヒドロキシイソバレレートへの反応を触媒することができる酵素を指すであろう。KARI酵素は、EC番号EC1.1.1.86に分類され得る(Enzyme Nomenclature 1992,Academic Press,San Diego)。
「アセトヒドロキシ酸デヒドラターゼ」および「ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ」(DHAD)という用語は、2,3−ジヒドロキシイソバレレートからα−ケトイソバレレートへの変換を触媒する酵素を指す。アセトヒドロキシ酸デヒドラターゼはEC番号4.2.1.9に分類することができ、無数の微生物から入手可能である。
「分枝鎖α−ケト酸デカルボキシラーゼ」または「α−ケト酸デカルボキシラーゼ」または「α−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ」または「2−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ」(本明細書では、ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ、あるいは時折、KIVDとも呼ばれる)という用語は、α−ケトイソバレレート(「α−Kiv」)からイソブチルアルデヒドおよびCOへの変換を触媒する酵素を指す。ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ配列は、本明細書中で開示されるものを含むいくつかの微生物源から入手可能である。
「分枝鎖アルコールデヒドロゲナーゼ」という用語は、イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの変換を触媒する酵素を指す。分枝鎖アルコールデヒドロゲナーゼはEC番号1.1.1.265に分類され得るが、他のアルコールデヒドロゲナーゼにも分類され得る(具体的には、EC1.1.1.1または1.1.1.2)。
「KIVDクラスタープロファイルHMM」という用語は、本明細書中で開示されるように作成されたプロファイル隠れマルコフモデル(Profile Hidden Markov Model)を指す。KIVDクラスタープロファイルHMMは表Zとして提供される。
「単離核酸分子」、「単離核酸断片」および「遺伝子構築物」という用語は交換可能に使用され、場合により合成、非天然または改変ヌクレオチド塩基を含有する、一本鎖または二本鎖であるRNAまたはDNAのポリマーを意味するであろう。DNAポリマーの形態の単離核酸断片は、cDNA、ゲノムDNAまたは合成DNAの1つまたは複数のセグメントから構成され得る。
「アミノ酸」という用語は、タンパク質またはポリペプチドの基本的な化学構造単位を指す。本明細書では、特定のアミノ酸を同定するために以下の略語が使用される。
Figure 2014521339
「遺伝子」という用語は、特異的タンパク質として発現されることが可能なポリヌクレオチドを指し、場合により、コード配列の前の制御配列(5’非コード配列)およびコード配列の後の制御配列(3’非コード配列)が含まれる。「天然遺伝子」は、その独自の制御配列を有する天然に見出される遺伝子を指す。「キメラ遺伝子」は、天然に一緒に見出されない制御およびコード配列を含む、天然遺伝子でない任意の遺伝子を指す。従って、キメラ遺伝子は、異なる源に由来する制御配列およびコード配列、あるいは同じ源に由来するが、天然に見出されるものとは異なった形で配列された制御配列およびコード配列を含むことができる。「内因性遺伝子」は、微生物のゲノム中のその天然の位置にある天然遺伝子を指す。「外来性」遺伝子は、通常は宿主微生物中に見出されないが、遺伝子導入によって宿主微生物中に導入された遺伝子を指す。例えば、外来性遺伝子は、非天然微生物中に挿入された天然遺伝子、またはキメラ遺伝子を含むことができる。外来性遺伝子は、例えば、コード化ポリペプチドのアミノ酸残基を変化させる突然変異を有する天然遺伝子を含むこともできる。「導入遺伝子」は、形質転換手順によってゲノム内に導入された遺伝子である。
本明細書で使用される場合、「コード配列」という用語は、特異的なアミノ酸配列をコードするDNA配列を指す。「適切な制御配列」は、コード配列の上流(5’非コード配列)、内部、または下流(3’非コード配列)に位置し、関連コード配列の転写、RNAプロセシングもしくは安定性、または翻訳に影響を与えるヌクレオチド配列を指す。制御配列は、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位およびステムループ構造を含むことができる。
「内因性」という用語は、ポリヌクレオチド、遺伝子、またはポリペプチドに関連して使用される場合、生物のゲノム中のその天然位置にある天然ポリヌクレオチドまたは遺伝子を指すか、あるいは天然ポリペプチドの場合は、ゲノム中のこの位置から転写および翻訳される。
「異種」という用語は、ポリヌクレオチド、遺伝子、またはポリペプチドに関連して使用される場合、通常は宿主生物中に見出されないポリヌクレオチド、遺伝子、またはポリペプチドを指す。また「異種」は、対応する天然遺伝子とは異なる形態でソース生物中に再導入された(例えば、生物のゲノム中のその天然位置にない)天然コード領域またはその一部も含む。異種ポリヌクレオチドまたは遺伝子は、例えば、遺伝子導入によって、宿主生物中に導入され得る。異種遺伝子は、天然宿主中に再導入された非天然制御領域を有する天然コード領域を含むことができる。「導入遺伝子」は、形質転換手順によってゲノム中に導入された遺伝子である。
「組換え遺伝子発現要素」という用語は、タンパク質のコード配列の前の制御配列(5’非コード配列)およびコード配列の後の(3’終結配列)を含む、1つまたは複数の特異的タンパク質を発現する核酸断片を指す。キメラ遺伝子は、組換え遺伝子発現要素である。オペロンのコード領域は、作動可能に連結されたプロモーターおよび終結領域と共に、組換え遺伝子発現要素を形成することができる。
「制御配列」は、コード配列の上流(5’非コード配列)、内部、または下流(3’非コード配列)に位置し、関連コード配列の転写、RNAプロセシングもしくは安定性、または翻訳に影響を与えるヌクレオチド配列を指す。制御配列は、プロモーター、エンハンサー、オペレーター、リプレッサー、転写終結シグナル、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位およびステムループ構造を含むことができる。
「プロモーター」という用語は、コード配列または機能性RNAの発現を調節することができる核酸配列を指す。一般に、コード配列は、プロモーター配列の3’に位置する。プロモーターはその全体が天然遺伝子に由来してもよいし、天然に見出される異なるプロモーターに由来する異なる要素で構成されてもよいし、さらに、合成核酸セグメントを含んでいてもよい。異なるプロモーターが、異なる組織または細胞型において、あるいは異なる発達段階で、あるいは異なる環境または生理学的条件に応答して、遺伝子の発現を指示し得ることは当業者によって理解される。ほとんどの時点でほとんどの細胞型において遺伝子の発現を引き起こすプロモーターは、一般に「構成的プロモーター」と称される。一方、「誘導性プロモーター」は、プロモーター特異的シグナルまたは分子によってプロモーターが誘導またはオンにされる場合に遺伝子の発現を引き起こす。さらに、ほとんどの場合、制御配列の正確な境界は完全には画定されていないので、異なる長さのDNA断片が同一のプロモーター活性を有し得ることが認識される。例えば、「FBA1プロモーター」は、FBA1遺伝子のプロモーター領域に由来する断片を指すために使用可能であることが理解されるであろう。
本明細書で使用される場合、「ターミネーター」という用語は、コード配列の下流に位置するDNA配列を指す。これには、ポリアデニル化認識配列、およびmRNAプロセシングまたは遺伝子発現に影響を与えることができる制御シグナルをコードする他の配列が含まれる。ポリアデニル化シグナルは、通常、mRNA前駆体の3’端部へのポリアデニル酸経路の付加に影響を与えることを特徴とする。3’領域は、関連コード配列の転写、RNAプロセシングもしくは安定性、または翻訳に影響を与えることができる。ほとんどの場合、制御配列の正確な境界は完全には画定されていないので、異なる長さのDNA断片が同一のターミネーター活性を有し得ることが認識される。例えば、「CYC1ターミネーター」は、CYC1遺伝子のターミネーター領域に由来する断片を指すために使用可能であることが理解されるであろう。
「作動可能に連結された」という用語は、一方の機能が他方によって影響されるような単一の核酸断片における核酸配列の関連を指す。例えば、プロモーターは、コード配列の発現をもたらすことができる(すなわち、コード配列がプロモーターの転写調節下にある)場合、そのコード配列と作動可能に連結される。コード配列は、センスまたはアンチセンス方向で制御配列に作動可能に連結され得る。
「発現」という用語は、本明細書で使用される場合、本発明の核酸断片に由来するセンス(mRNA)またはアンチセンスRNAの転写および安定的な蓄積を指す。また発現は、mRNAからポリペプチドへの翻訳を指すこともある。
本明細書で使用される場合、「形質転換」という用語は、遺伝的に安定な遺伝形質をもたらす、宿主微生物のゲノムへの核酸断片の転移を指す。形質転換された核酸断片を含有する宿主微生物は、「遺伝子導入」または「組換え」または「形質転換」微生物と称される。
「プラスミド」、「ベクター」および「カセット」という用語は、本明細書で使用される場合、細胞の中心的な代謝の一部ではない遺伝子を保有することが多く、通常は環状二本鎖DNA断片の形態である染色体外要素を指す。このような要素は、任意のソースに由来する一本鎖または二本鎖DNAまたはRNAの自己複製配列、ゲノム組込み配列、ファージまたはヌクレオチド配列(線状または環状)であってもよく、ここで、多数のヌクレオチド配列は、選択された遺伝子産物のためのプロモーター断片およびDNA配列を適切な3’非翻訳配列と共に細胞内に導入することができる独特の構成に結合または組換えられている。「形質転換カセット」は、外来性遺伝子を含有し、外来性遺伝子に加えて特定の宿主細胞の形質転換を容易にする要素を有する特異的なベクターを指す。「発現カセット」は、外来性遺伝子を含有し、外来性遺伝子に加えて外来性宿主におけるその遺伝子の発現の強化を可能にする要素を有する特異的なベクターを指す。
「相補的」は、互いにハイブリッド形成することができるヌクレオチド塩基間の関係を表すために使用される。例えば、DNAに関して、アデニンはチミンに対して相補的であり、シトシンはグアニンに対して相補的である。そしてRNAに関して、アデニンはウラシルに対して相補的であり、シトシンはグアニンに対して相補的である。
任意のポリペプチド鎖のアミノ酸をコードするコドンを含むヌクレオチド配列における偏差は、遺伝子をコードする配列における変動を可能にする。各コドンは3つのヌクレオチドからなり、DNAを含むヌクレオチドは4つの特定の塩基に限定されるので、64個の可能なヌクレオチドの組み合わせが存在し、そのうちの61個がアミノ酸をコードする(残りの3個のコドンは翻訳を終了させるシグナルをコードする)。どのコドンがどのアミノ酸をコードするかを示す「遺伝コード」は本明細書において表2のように再現される。結果として、多数のアミノ酸が2つ以上のコドンによって指定される。例えば、アミノ酸アラニンおよびプロリンは4つのトリプレットによってコードされ、セリンおよびアルギニンは6つによってコードされるが、トリプトファンおよびメチオニンはただ1つのトリプレットによってコードされる。この縮重によって、DNA塩基組成は、DNAによりコードされるタンパク質のアミノ酸配列を改変することなく広範囲にわたって変化することができる。
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多数の生物は、成長しているペプチド鎖における特定のアミノ酸の挿入をコードするために特定のコドンの使用に対するバイアスを示す。生物間のコドン使用における差異であるコドン選択またはコドンバイアスは遺伝コードの縮重によって提供され、多数の生物の間で十分に実証されている。コドンバイアスはメッセンジャーRNA(mRNA)の翻訳効率と相関することが多く、これは次に、特に、翻訳中のコドンの特性および特定の転移RNA(tRNA)分子の利用能に依存していると考えられる。細胞中で選択されるtRNAが優勢であることは、一般に、ペプチド合成において最も頻繁に使用されるコドンの反映である。従って、遺伝子は、コドン最適化に基づいて、所与の生物における最適な遺伝子発現のために調整され得る。
種々の宿主の形質転換のための核酸分子の遺伝子またはコード領域を指す場合の「コドン最適化」という用語は、DNAによってコードされるポリペプチドを変更することなく宿主生物の典型的なコドン使用を反映するための、核酸分子の遺伝子またはコード領域におけるコドンの改変を指す。このような最適化は、その生物の遺伝子中でより頻繁に使用される1つまたは複数のコドンによる、少なくとも1つ、または2つ以上、またはかなりの数のコドンの置換を含む。
様々な種類の動物、植物および微生物種に対して多数の遺伝子配列が利用可能であれば、相対的なコドン使用頻度を計算することが可能である。コドン使用表は、例えば、http://www.kazusa.or.jp/codon/(2008年3月20日訪問)で入手可能な「Codon Usage Database」において当該技術分野で容易に入手可能であり、これらの表は、多数の方法で適合させることができる。Nakamura,Y.,et al.Nucl.Acids Res.28:292(2000)を参照されたい。GenBank Release 128.0[2002年2月15日]から計算される酵母のためのコドン使用表は、以下の表3のように再現される。この表はmRNA命名法を使用するので、DNA中に見出されるチミン(T)の代わりに、この表では、RNA中に見出されるウラシル(U)が使用される。表1Bは、頻度が64個の全てのコドンに対してではなく各アミノ酸に対して計算されるように適合されている。
Figure 2014521339
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この表または類似の表を用いることによって、当業者は任意の所与のポリペプチド配列に頻度を適用して、ポリペプチドをコードするが所与の種にとって最適なコドンを使用するコドン最適化コード領域の核酸断片を生じることができる。
コドンを最適化頻度でランダムに割り当てて所与のポリペプチド配列をコード化することは、各アミノ酸のコドン頻度を計算し、次にコドンをポリペプチド配列にランダムに割り当てることによって手作業で行うことができる。さらに、種々のアルゴリズムおよびコンピュータソフトウェアプログラムは、当業者にとって容易に利用可能である。例えば、DNAstar,Inc.(Madison,WI)から入手可能なLasergene Packageにおける「EditSeq」機能、InforMax,Inc.(Bethesda,MD)から入手可能なVectorNTI Suiteにおける折り返し翻訳(backtranslation)機能、およびAccelrys,Inc.(San Diego,CA)から入手可能なGCG−Wisconsin Packageにおける「backtranslate」機能である。所与の頻度に基づいてコドンを割り当てるために基本的なアルゴリズムを構築することも、基本的な数学関数を用いて当業者により容易に達成され得る。コドン最適化コード領域は、「synthetic gene designer」(userpages.umbc.edu/〜wug1/codon/sgd/、2012年3月19日訪問)などのソフトウェアパッケージを含む、当業者に知られている種々の方法によって設計することができる。
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」という用語は単一の「ポリペプチド」および複数の「ポリペプチド」を包含することが意図され、アミド結合(ペプチド結合としても知られている)によって直線的に連結されたモノマー(アミノ酸)から構成される分子を指す。「ポリペプチド」という用語は、任意のアミノ酸鎖または2つ以上のアミノ酸の鎖を指し、産物の特定の長さを指さない。従って、ペプチド、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」、またはアミノ酸鎖もしくは2つ以上のアミノ酸の鎖を指すために使用される他の任意の用語は、「ポリペプチド」の定義の中に含まれ、「ポリペプチド」という用語は、これらの用語のいずれかの代わりに、または交換可能に使用することができる。ポリペプチドは天然の生物学的ソースに由来してもよいし、あるいは組換え技術によって作製されてもよいが、必ずしも指定される核酸配列から翻訳されるわけではない。化学合成を含む任意の方法で生成することができる。
「単離」ポリペプチドまたはその断片、変異体、もしくは誘導体とは、その自然環境にないポリペプチドを意図する。特定のレベルの精製は必要とされない。例えば、単離ポリペプチドは、その天然または自然環境から取り出すことができる。宿主細胞中で発現される組換えで産生されたポリペプチドおよびタンパク質は、任意の適切な技術によって分離、分画、または部分的もしくは実質的に精製された天然または組換えポリペプチドなので、本発明の目的では単離されていると考えられる。
アミノ酸またはヌクレオチド配列の「実質的な部分」は、当業者による配列の手動評価によって、あるいはBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)(Altschul,S.F.,et al.,J.Mol.Biol.,215:403−410(1993))などのアルゴリズムを用いるコンピュータ自動化配列比較および同定によって、そのポリペプチドまたは遺伝子を推定的に同定するのに十分なポリペプチドのアミノ酸配列または遺伝子のヌクレオチド配列を含む部分である。一般に、ポリペプチドまたは核酸配列が既知のタンパク質または遺伝子に相同であると推定的に同定するためには、10以上の近接アミノ酸または30以上のヌクレオチドの配列が必要である。さらに、ヌクレオチド配列に関して、配列依存性の遺伝子同定法(例えば、サザンハイブリダイゼーション)および単離法(例えば、細菌コロニーまたはバクテリオファージプラークのインサイツハイブリダイゼーション)において、20〜30の近接ヌクレオチドを含む遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブが使用されてもよい。加えて、プライマーを含む特定の核酸断片を得るために、PCRにおける増幅プライマーとして12〜15塩基の短いオリゴヌクレオチドが使用されてもよい。従って、ヌクレオチド配列の「実質的な部分」は、配列を含む核酸断片を特異的に同定および/または単離するために十分な配列を含む。本明細書は、特定のタンパク質をコードする完全なアミノ酸およびヌクレオチド配列を教示する。当業者は、本明細書で報告されるような配列の利益を得て、開示される配列の全てまたは実質的な部分を当業者に既知の目的のためにこれから使用することができる。従って、本発明は、添付の配列表において提供されるような完全な配列と、上記で定義したこれらの配列の実質的な部分とを含む。
「同一性パーセント」という用語は、当該技術分野において知られているように、配列を比較することによって決定される、2つ以上のポリペプチド配列の間または2つ以上のポリヌクレオチド配列の間の関係である。当該技術分野において、「同一性」は、場合によっては、このような配列のストリング間の一致によって決定されるポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列間の配列関連性の程度も意味する。「同一性」および「類似性」は、1.)Computational Molecular Biology(Lesk,A.M.,Ed.)Oxford University:NY(1988)、2.)Biocomputing:Informatics and Genome Projects(Smith,D.W.,Ed.)Academic:NY(1993)、3.)Computer Analysis of Sequence Data,Part I(Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,Eds.)Humania:NJ(1994)、4.)Sequence Analysis in Molecular Biology(von Heinje,G.,Ed.)Academic(1987)、および5.)Sequence Analysis Primer(Gribskov,M.and Devereux,J.,Eds.)Stockton:NY(1991)に記載される方法を含むが、これらに限定されない既知の方法によって容易に計算することができる。
同一性を決定するための好ましい方法は、試験される配列間に最良の一致を与えるように設計される。同一性および類似性を決定するための方法は、公的に入手可能なコンピュータプログラムにおいて体系化されている。配列アライメントおよび同一性パーセントの計算は、LASERGENEバイオインフォマティクスコンピューティングスイート(DNASTAR Inc.,Madison,WI)のMegAlign(商標)プログラムを用いて実施され得る。配列の多重アライメントは、Clustal Vと標識されるアライメント法に相当する「Clustal Vアライメント法」(Higgins and Sharp,CABIOS.5:151−153(1989)、Higgins,D.G.et al.,Comput.Appl.Biosci.,8:189−191(1992)によって記載される)を含む数種類のアルゴリズムを包含し、LASERGENEバイオインフォマティクスコンピューティングスイート(DNASTAR Inc.)のMegAlign(商標)プログラムにおいて見出される「Clustalアライメント法」を用いて実施される。多重アライメントの場合、デフォルト値は、GAP PENALTY=10およびGAP LENGTH PENALTY=10に相当する。Clustal法を用いるタンパク質配列のペアワイズアライメントおよび同一性パーセントの計算のためのデフォルトパラメータは、KTUPLE=1、GAP PENALTY=3、WINDOW=5およびDIAGONALS SAVED=5である。核酸については、これらのパラメータは、KTUPLE=2、GAP PENALTY=5、WINDOW=4およびDIAGONALS SAVED=4である。Clustal Vプログラムを用いた配列のアライメントの後、同じプログラム内の「配列距離」表を見ることによって「同一性パーセント」を得ることが可能である。さらに、「Clustal Wアライメント法」も利用可能であり、Clustal Wと標識されるアライメント法(Higgins and Sharp,CABIOS.5:151−153(1989)、Higgins,D.G.et al.,Comput.Appl.Biosci.8:189−191(1992)によって記載される)に相当し、LASERGENEバイオインフォマティクスコンピューティングスイート(DNASTAR Inc.)のMegAlign(商標)v6.1プログラムにおいて見出される。多重アライメントのためのデフォルトパラメータ(GAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=0.2、Delay Divergen Seqs(%)=30、DNA Transition Weight=0.5、Protein Weight Matrix=Gonnet Series、DNA Weight Matrix=IUB)。Clustal Wプログラムを用いた配列のアライメントの後、同じプログラム内の「配列距離」表を見ることによって「同一性パーセント」を得ることが可能である。
他の種からのものなどのポリペプチド(ここで、このようなポリペプチドは、同一または類似の機能または活性を有する)の同定において、あるいは対応するポリヌクレオチドの記述において、多数の配列同一性レベルが有用であることは当業者によって十分に理解されている。同一性パーセントの有用な例としては、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%などの55%〜100%の任意の整数の百分率が本発明の記述において有用であり得る。適切なポリヌクレオチド断片は上記の相同性を有するだけでなく、通常、少なくとも50個のヌクレオチド、少なくとも100個のヌクレオチド、少なくとも150個のヌクレオチド、少なくとも200個のヌクレオチド、または少なくとも250個のヌクレオチドを有するポリヌクレオチドを含む。さらに、上記の相同性を有する適切なポリヌクレオチド断片は、少なくとも50個のアミノ酸、少なくとも100個のアミノ酸、少なくとも150個のアミノ酸、少なくとも200個のアミノ酸、または少なくとも250個のアミノ酸を有するポリペプチドをコードする。
「配列分析ソフトウェア」という用語は、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列の分析に有用な任意のコンピュータアルゴリズムまたはソフトウェアプログラムを指す。「配列分析ソフトウェア」は市販のものでもよいし、あるいは独立して開発されてもよい。典型的な配列分析ソフトウェアには、1.)GCGプログラム一式(Wisconsin Package Version 9.0,Genetics Computer Group(GCG),Madison,WI)、2.)BLASTP、BLASTN、BLASTX(Altschul et al.,J.Mol.Biol.,215:403−410(1990))、3.)DNASTAR(DNASTAR,Inc.Madison,WI)、4.)SEQUENCHER(Gene Codes Corporation,Ann Arbor,MI)、および5.)Smith−Watermanアルゴリズムを組み込んだFASTAプログラム(W.R.Pearson,Comput.Methods Genome Res.,[Proc.Int.Symp.](1994),Meeting Date 1992,111−20.Editor(s):Suhai,Sandor.Plenum:New York,NY)が含まれ得るが、これらに限定されない。本出願との関連において、分析のために配列分析ソフトウェアが使用される場合、他に指定されない限り、分析結果が、参照されるプログラムの「デフォルト値」に基づくことは理解されるであろう。本明細書で使用される場合、「デフォルト値」は、最初の初期化の際にソフトウェアと共に最初にロードされた値またはパラメータの任意のセットを意味するであろう。
本明細書で使用される標準組換えDNAおよび分子クローニング技術は当該技術分野においてよく知られており、Sambrook,J.,Fritsch,E.F.and Maniatis,T.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY(1989)(以下、「Maniatis」と称する)によって、そしてSilhavy,T.J.,Bennan,M.L.and Enquist,L.W.,Experiments with Gene Fusions,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY(1984)によって、そしてAusubel,F.M.et al.,Current Protocols in Molecular Biology(Green
e Publishing Assoc.and Wiley−Interscienceによる出版)(1987)によって記載されている。本明細書で使用される付加的な方法は、Methods in Enzymology,Volume 194,Guide to Yeast Genetics and Molecular and Cell Biology(Part A,2004,Christine Guthrie
and Gerald R.Fink(Eds.),Elsevier Academic Press,San Diego,CA)中にある。その他の分子手段および技術は当該技術分野において既知であり、重複伸長ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるスプライシング(Yu,et al.(2004)Fungal Genet.Biol.41:973−981)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のURA3座位における突然変異の正の選択(Boeke,J.D.et al.(1984)Mol.Gen.Genet.197,345−346、M A Romanos,et al.Nucleic Acids Res.1991 January 11;19(1):187)、cre−lox部位特異的組換え系ならびに突然変異体lox部位およびFLP基質突然変異(Sauer,B.(1987)Mol Cell Biol 7:2087−2096、Senecoff,et al.(1988)Journal of Molecular Biology,Volume 201,Issue 2,Pages 405−421、Albert,et al.(1995)The Plant Journal.Volume 7,Issue 4,pages 649−659)、「シームレス」遺伝子欠失(Akada,et al.(2006)Yeast;23(5):399−405)、およびギャップ修復法(Ma et al.,Genetics 58:201−216;1981)が含まれる。
本明細書中で開示されるように、本出願人らは、α−ケトイソバレレートからイソブチルアルデヒドへの基質から産物への変換を触媒することができるα−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼポリペプチドとしてこれまで注釈がつけられていないポリペプチドを発見した。推定デカルボキシラーゼをコードするポリヌクレオチドを合成し、大腸菌(E.coli)において発現させ、α−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ活性について試験した。実施例において示されるように、イソブタノール生合成経路を含む組換え宿主細胞において特定のポリペプチドを使用した。
KIVDポリペプチド
ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ(KIVD)のタンパク質ファミリーのメンバーは、L.ラクティス(L.lactis)KivD(アルファ−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ)(配列番号68)、L.ラクティス(L.lactis)KDCA(分枝鎖ケト酸デカルボキシラーゼ)(配列番号66)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)IPDC(インドールピルビン酸デカルボキシラーゼ)(配列番号257)のアミノ酸配列を用いて、NCBI非冗長性(nr)タンパク質データベースのNational Center for Biotechnology Information(NCBI、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/、2012年7月27日訪問)BLAST検索により、以下の検索パラメータ:E値=10、ワードサイズ=3、マトリックス=Blosum62、ならびにギャップオープニング=11およびギャップエクステンション=1、10−3のE値カットオフで同定した。3回のblastの結果セットを結合し、同一であるか、またはその長さが712を超えるかもしくは583未満である配列を除去した。次に、プログラムCD−Hit(ダウンロード2007年1月、weizhong−lab.ucsd.edu/cd−hit/で入手可能、2012年7月25日訪問)を用いて、この結合した配列セットを配列間の最大同一性が65%であるセット(「nr65セット」)に縮小した。1184のKIVD配列のセットが得られた。
全てのデフォルトパラメータを用いるClustalWを用いて1184の配列をアラインさせた。次に、ClustalWを用いる近隣結合プログラムにより多重配列アライメントから系統樹を構築した。プログラムiTOL(itol.embl.de/、2012年7月27日訪問)を用いて、系統樹を可視化した。L.ラクティス(L.Lactis)KivD、E.クロアカ(E.cloacae)IPDC、S.セレビシエ(S.cerevisiae)PDC(ピルビン酸デカルボキシラーゼ)およびザイモモナス(Zymomonas)PDCならびにこれらの相同体に及ぶ180配列のサブツリーを選択した。次にこのサブツリーを、これらの180配列のnr65セット内の全てのクラスターメンバーを含むように拡張した。最終セットは601配列からなり、これを使用して、以下に記載されるような配列類似性ネットワークを構築した。
配列類似性ネットワークは、定義されたしきい値よりも良いペアワイズ関係に相当するエッジの集まりで構成された(Atkinson HJ et al.PLoS One.2009,4:e4345)。ここでの分析について、ペアワイズ関係は、E値に関連するBLASTアライメントに相当する。601配列のセットを使用し、「formatdb」(NCBI、www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/docs/formatdb.html、2012年7月26日訪問)を用いて、カスタムBLASTデータベースを作成した。次に、BLASTを用いてこのデータベースに対してセット内の各配列を検索した。BLASTのE値は対称ではないので、最良のE値を維持し、各ペアワイズ比較に関連させた。
E−130のE値しきい値よりも良い全てのペアワイズアライメントをプログラムCytoscape(www.cytoscape.org、2012年7月27日訪問)にロードし、Organicレイアウトアルゴリズムを用いてグラフを作成した。可視化すると、これらの601配列は識別可能なクラスターに分かれた。170配列を含有する1つのクラスターは、L.ラクティス(L.lactis)KivD、L.ラクティス(L.lactis)KDCA、およびE.クロアカ(E.cloacae)IPDCを含有することが確認された。L.ラクティス(L.lactis)KivDおよびL.ラクティス(L.lactis)KDCAは既知のα−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼなので、多様性選択のためにこのクラスターからいくつかの候補を選択した。本明細書で示されるように、このクラスターからの特定の配列がα−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ活性を有することを実験的に検証した(実施例3および5を参照)。
クラスターは、□−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドを含有することが検証されたので、上記で説明され、表4で提供される170配列のセットからKIVDクラスターのプロファイルHMMを作成した。ClustalWにより多重配列アライメントから決定される、□−エトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ活性を有することが実験的に検証された配列に対するクラスター配列の同一性%は、表4に提供される。当業者は、表4に提供されるポリペプチドが本明細書において提供される実施形態の候補ポリペプチドであり、□−ケト酸デカルボキシラーゼ活性のためのポリペプチドを容易に製造および試験できることを認識するであろう。従って、表4に提供されるソース生物は、本明細書において提供される実施形態に適したポリペプチドのためのソース生物であり得る。従って、本明細書には、α−ケトイソバレレートをイソブチルアルデヒドへ変換するための方法が提供されており、本方法は、配列番号51、52、53、55、56、58、59、61、63、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、または416を含むポリペプチド(またはこれらもしくはその活性断片に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、または98%の同一性を有するポリペプチド)を提供するステップと、イソブチルアルデヒドが産生される条件下で、前記ポリペプチドをα−ケトイソバレレートと接触させるステップとを含む。いくつかの実施形態では、前記接触は組換え宿主細胞内で生じる。いくつかの実施形態では、前記宿主細胞は、イソブタノール生合成経路を含む。いくつかの実施形態では、組換え宿主細胞は、表4のポリペプチド、またはこれらもしくはその活性断片に対する少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。本明細書にはイソブタノールを製造するための方法が提供されており、本方法は、配列番号51、52、53、55、56、58、59、61、63、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、または416を含むポリペプチド(またはこれらもしくはその活性断片に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、または98%の同一性を有するポリペプチド)を含む組換え宿主細胞を提供するステップと、イソブチルアルデヒドが産生される条件下で、前記ポリペプチドをα−ケトイソバレレートと接触させるステップとを含む。
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プロファイルHMMの作成
HMMER(Janelia Farm Research Campus,Ashb
urn,VA)から利用可能であるユーザーガイドに従い、HMMERソフトウェアパッケージ(プロファイルHMMの背後にある理論は、R.Durbin,S.Eddy,A.Krogh,and G.Mitchison,Biological sequence analysis:probabilistic models of proteins and nucleic acids,Cambridge University Press,1998、Krogh et al.,1994、J.Mol.Biol.235:1501−1531に記載されている)を用いて、上記のそして表Zで提供される170配列のアミノ酸配列を分析した。HMMERソフトウェアプログラムの出力は、入力配列を特徴付けるプロファイル隠れマルコフモデル(プロファイルHMM)である。ユーザーガイドに記載されるように、プロファイルHMMは多重配列アライメントのコンセンサスの統計的記述である。これらは、アミノ酸(またはヌクレオチド)のための位置特異的なスコアと、挿入または欠失をオープンおよび伸長するための位置特異的なスコアとを使用する。他のプロファイルベースの方法と比較して、HMMは形式的な確率論的基準(formal probabilistic basis)を有する。多数のタンパク質ファミリーのためのプロファイルHMMは、PFAMデータベース(Janelia Farm Research Campus,Ashburn,VA)において公的に入手可能である。
プロファイルHMMは、以下のように構築した。
ステップ1.配列アライメントの構築
デフォルトパラメータでClustal W(Thompson,J.D.,Higgins,D.G.,and Gibson T.J.(1994)Nuc.Acid Res.22:4673 4680)を用いて、上記のようなクラスター内の170の配列を整列させた。
ステップ2.プロファイルHMMの構築
デフォルトパラメータを用いて、整列された配列のセットにおいてhmmbuildプログラムを実行した。hmmbuildは多重配列アライメントファイルを読み込み、新しいプロファイルHMMを構築し、プロファイルHMMをファイルにセーブする。このプログラムを用いて、ステップ1に記載される170配列の多重配列アライメントから非較正プロファイルを発生させた。
HMMERソフトウェアユーザーガイドに基づいた以下の情報は、hmmbuildプログラムによりプロファイルHMMを作成する方法のいくらかの説明を提供する。プロファイルHMMは一連のノードからなる線形状態機械であり、ノードのそれぞれは、それを構築する多重配列アライメント内の位置(列)にほぼ対応する。ギャップが無視されれば対応は正確であり、すなわちプロファイルHMMは、アライメント内の各列に対するノードを有し、各ノードは1つの状態、一致状態に存在することができる。「一致」という語は、ここではモデルに整列される配列内の全ての位置に対してモデル内の位置が存在することを意味する。ギャップは、挿入(I)状態および欠失(D)状態を用いてモデル化される。特定の割合xよりも多いギャップ文字を含有する全ての列は、挿入列として割り当てられるであろう。デフォルトにより、xは0.5に設定される。各一致状態は、それに関連するIおよびD状態を有する。HMMERは、アライメント内の同じコンセンサス位置「ノード」において3つの状態(M/D/I)のグループを呼び出すことができる。
プロファイルHMMは、それに関連するいくつかのタイプの確率を有する。1つのタイプは、遷移確率(1つの状態から別の状態へ遷移する確率)である。また、アライメント内のその位置に存在する所与の残基の確率に基づいて、各一致状態に関連する出力確率も存在する。例えば、アライメント内の非常によく保存された列の場合、最も一般的なアミノ酸の出力確率は0.81であり得るが、他の19のアミノ酸のそれぞれに対しては0.01であり得る。
プロファイルHMMは、HMMをパラメータ化するために使用される全ての確率を含有するHMMER2プロファイルセーブファイルに完全に記載される。一致状態または挿入状態の出力確率は、nullモデルに対する対数オッズ比:Log(p_x)/(null_x)として保存される。ここで、p_xは、プロファイルHMMに従う、アライメント内の特定の位置におけるアミノ酸残基の確率であり、null_xはNullモデルに従う確率である。Nullモデルは、SWISSPROTリリース24におけるアミノ酸の分布から誘導される20のアミノ酸のそれぞれに対する出力確率の予め計算されたセットを有する単純な1つの状態確率モデルである。状態遷移スコアは対数オッズパラメータとしても保存され、Log(t_x)に比例する。ここで、t_xは1つの状態から別の状態へ遷移する遷移確率である。
ステップ3.プロファイルHMMの較正
hmmcalibrateを用いてプロファイルHMMを読み込み、プロファイル(使用される合成配列のデフォルト数は5,000である)により多数の合成ランダム配列をスコア化し、これらのスコアのヒストグラムに極値分布(EVD)を適合させ、この時点でEVDパラメータを含んでいるHMMファイルを再度セーブする。これらのEVDパラメータ(μおよびλ)を使用して、プロファイルがタンパク質配列データベースに対して検索される場合に、ビットスコアのE値を計算する。hmmcalibrateは、「EVD」とラベル化されたラインにおいてHMMファイルに2つのパラメータを書き込み、これらのパラメータは、SWISS−PROTとほぼ同じ長さおよび残基組成のランダムに発生された配列において計算されたスコアのヒストグラムに最良適合する極値分布(EVD)のμ(位置)およびλ□(スケール)パラメータである。この較正は、プロファイルHMMに対して1回行った。
KIVD配列のセットのための較正されたプロファイルHMMは表Zにおいて提供され、ここでは、KIVDクラスタープロファイルHMMと称される。HMMフラグラインから出発するメインモデルセクションにおいて、モデルは、Mのノード(ここで、LENGラインによって与えられるように、Mは一致状態の数である)に対して、ノードにつき3本のラインを有する。1番めのラインは、一致出力対数オッズスコア:その状態およびNullモデルから各アミノ酸を出力する対数オッズ比を報告する。最初の数はノード数(1..M)である。次のK個の数は、アミノ酸につき1つの一致放出スコアである。最高スコアのアミノ酸はノード数の後の括弧内に示される。これらの対数オッズスコアは、nullモデル確率を用いて元のHMM確率へ変換することができる。ライン上の最後の数は、この一致状態のアライメント列インデックスを表す。2番目のラインは挿入放出スコアを報告し、3番目のラインは、状態遷移スコアについて報告する:M→M、M→I、M→D;I→M、I→I;D→M、D→D;B→M;M→E。
ステップ4.構築されたプロファイルHMMの特異性および感受性の試験
hmmfileからプロファイルHMMを読み込み、有意に類似の配列一致について配列ファイルを検索するhmmsearchを用いてプロファイルHMMを評価した。検索された配列ファイルは601の配列を含有していた(上記を参照)。検索の間、データベース(Zパラメータ)のサイズを10億に設定した。このサイズ設定は、現在のデータベースに対して有意なE値が、予測可能な将来において有意なままであり得ることを保証する。E値カットオフを10に設定した。
170のKIVD相同体のアライメントから発生されたKIVDクラスタープロファイルHMM(参照によって本明細書中に援用される表Z)によるhmmer検索は、601の配列全てを1E−223未満のE値と一致させた。この結果は、KIVDクラスターのメンバーが有意な配列類似性を共有することを示す。E値のカットオフE−223によるhmmer検索を用いて、KIVDを他のタンパク質から分離した。従って、hmmer検索を用いてKIVDクラスタープロファイルHMMのE値<1E−223を有するポリペプチドは、α−ケトイソバレレートからイソブチルアルデヒドへの基質から産物への変換を含む方法および組換え宿主細胞などの、本明細書において提供される実施形態のための適切な候補であると考えられる。
本開示を備えて、そして当該技術分野において利用可能であると共に本明細書において提供される構造および配列情報の組み合わせを用いて、本明細書で提供される宿主細胞および方法において使用するために、ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ活性と、表4、5および6に例示される配列に対して100%未満の同一性とを含むポリペプチドが構築され得ることは認識されるであろう。例えば、本出願人らは本明細書において提供されるポリペプチドがケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ活性を有することを実証したので、当業者は、配列情報およびプロファイルHMMによって本明細書において提供される生化学情報、分子情報、および構造情報も、ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼに関して当該技術分野で利用可能な情報も利用することができる。例えば、Bertholdらは、L.ラクティス(L.lactis)からのholo−KdcAの構造を提供し(Acta Crys.(2007)D63:1217−1224)、Yepら(Bioorganic Chemistry、34(2006)325−336)は、基質結合ポケットを形成すると思われる残基として残基Ser286、Phe381、Val461、およびMet358を同定する、L.ラクティス(L.lactis)からのKdcAの構造の相同性モデルを開発し、Smitら(Appl.Environ.Microbiol.(2005)71:303−311)は、KdcAのアミノ酸配列を、2つの脱炭酸酵素、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)のインドールピルビン酸デカルボキシラーゼおよび酵母ピルビン酸デカルボキシラーゼ(X線結晶構造解析によって研究されている)と整列させた。
本開示を備えた当業者は、例えば、N末端またはC末端における配列アライメントに基づいて本明細書において提供されるポリペプチドを切断し、α−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ活性を確認することによって、本明細書において提供されるポリペプチドの活性断片も作成することができる。
従って、本明細書中で開示されるα−ケトイソバレレートからイソブチルアルデヒドへの基質から産物への変換を触媒することができるポリペプチドには、配列番号51、52、53、55、56、58、59、61、もしくは63またはこれらの活性断片のいずれか1つに対する少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の同一性を含むポリペプチドが含まれるが、これらに限定されない。実施形態において、ポリペプチドは、hmmsearchプログラムを用いるKIVDクラスタープロファイルHMMのE値が1E−223未満である。同様に、本出願人らはここで、配列番号30、31、32、34、35、37、38、40、または42、あるいは例えば大腸菌(E.coli)またはS.セレビシエ(S.cerevisiae)などの特定の宿主細胞における発現のためにコドン最適化されたこれらの配列のいずれか1つに対して、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の同一性を含むポリヌクレオチドを含むがこれらに限定されない、このようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。
チアミン二リン酸(チアミンピロリン酸または「TPP」または「TDP」としても知られている)は、KIVDによって補因子として使用される補酵素である。チアミンは、発酵培地などの反応媒体中に補充され得るビタミン形態である。細胞内に輸送されると、チアミンはチアミン二リン酸へ変換されるであろう。さらに、本明細書中で開示されるケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ活性を有する特定のポリペプチドは、配列番号68を有するラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)ポリペプチドと比べて増大したTPPに対する親和性を有し、従って、利点を提供し得る。例えば、本明細書において提供されるポリペプチドは、コストおよびプロトコルの複雑さを低下させる可能性のある、少量または低下したチアミンの条件下で、α−ケトイソバレレートからイソブチルアルデヒドへの基質から産物への変換を触媒するために有用であり得る。実施形態において、このようなポリペプチドは、配列番号51、52、53、55、56、58、59、61、もしくは63またはこれらの活性断片のいずれか1つに対して、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の同一性を含む。いくつかの実施形態では、このようなポリペプチドは、それぞれリステリア・グレイ(Listeria grayi)、マクロコッカス・カセオリチクス(Macrococcus caseolyticus)、またはラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)からのkivD81、Mca、もしくはkdcAの配列またはこれらの活性断片を含む。いくつかの実施形態では、このようなポリペプチドは、配列番号52、61、もしくは66またはこれらの活性断片に対して少なくとも約80%の同一性を含む。いくつかの実施形態では、このようなポリペプチドは、配列番号52もしくは61またはこれらの活性断片に対して少なくとも約80%の同一性を含む。
本明細書において提供されるポリペプチドおよびこれらをコードするポリヌクレオチドは、α−ケトイソバレレートからイソブチルアルデヒドへの基質から産物への変換を含むイソブタノール生合成経路を含む組換え宿主細胞などの組換え宿主細胞における発現のためにも有用である。さらに、本出願人らは、本明細書において提供されるポリペプチドが、発酵の間のα−ケトイソバレレートの蓄積によって測定される場合に、少なくとも配列番号68を有するラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)ポリペプチド配列と同程度に、組換え宿主細胞においてα−ケトイソバレレートをイソブチルアルデヒドへ変換できることを示した(実施例12を参照)。同様に、本明細書において提供されるポリペプチドは、配列番号68を有するラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)ポリペプチド配列を用いる細胞において観察されるイソブタノール収量と比較して、組換え宿主細胞におけるイソブタノール収量の増大を提供することができる(実施例12を参照)。従って、本明細書には、配列番号51、52、53、55、56、58、59、61、もしくは63またはこれらの活性断片のいずれか1つに対して、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の同一性を含むポリペプチド、あるいはこのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組換え宿主細胞が提供されている。
組換え宿主細胞の構築
本明細書に記載される宿主細胞の遺伝子操作は、標準的な遺伝子技術およびスクリーニングを用いて実施することができ、遺伝子操作に適した任意の宿主細胞において行うことができる(Methods in Yeast Genetics,2005,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,pp.201−202)。実施形態において、本明細書中で開示される組換え宿主細胞は、遺伝子修飾および組換え遺伝子発現に有用な任意の細菌、酵母または真菌宿主であり得る。他の実施形態では、組換え宿主細胞は、クロストリジウム(Clostridium)属、ザイモモナス(Zymomonas)属、エシェリキア(Escherichia)属、サルモネラ(Salmonella)属、セラチア(Serratia)属、エルウィニア(Erwinia)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、シゲラ(Shigella)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、バチルス(Bacillus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、パエニバチルス(Paenibacillus)属、アルスロバクター(Arthrobacter)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属、イサタケンキア(Issatchenkia)属、クルイベロミセス(Kluyveromyces)属、ヤロウイア(Yarrowia)属、ピキア(Pichia)属、カンジダ(Candida)属、ハンゼヌラ(Hansenula)属、またはサッカロミセス(Saccharomyces)属の一員であり得る。他の実施形態では、宿主細胞は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、クルイベロミセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、クルイベロミセス・サーモトレランス(Kluyveromyces thermotolerans)、クルイベロミセス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、ピキア・スティピティス(Pichia stipitis)、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、大腸菌(E.coli)、またはL.プランタルム(L.plantarum)であり得る。さらに他の実施形態では、宿主細胞は酵母宿主細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞はサッカロミセス(Saccharomyces)属の一員である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、クルイベロミセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)またはシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)である。いくつかの実施形態では、宿主細胞はサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である。S.セレビシエ(S.cerevisiae)酵母は当該技術分野において知られており、American Type Culture Collection(Rockville,MD)、Centraalbureau voor Schimmelcultures(CBS)Fungal Biodiversity Centre、LeSaffre、Gert Strand AB、Ferm Solutions、North American Bioproducts、Martrex、およびLallemを含むがこれらに限定されない様々な供給元から入手可能である。S.セレビシエ(S.cerevisiae)としては、BY4741、CEN.PK113−7D、Ethanol Red(登録商標)酵母、Ferm ProTM酵母、Bio−Ferm(登録商標)XR酵母、Gert Strand Prestige Batch Turboアルコール酵母、Gert Strand Pot Distillers酵母、Gert Strand Distillers Turbo酵母、FerMaxTMgreen酵母、FerMaxTMGold酵母、Thermosacc(登録商標)酵母、BG−1、PE−2、CAT−1、CBS7959、CBS7960、およびCBS7961が挙げられるが、これらに限定されない。
組換え宿主細胞(酵母細胞を含むが、これに限定されない)における遺伝子発現のための方法は当該技術分野において既知である(例えば、Methods in Enzymology,Volume 194,Guide to Yeast Genetics and Molecular and Cell Biology(Part A,2004,Christine Guthrie and Gerald R.Fink(Eds.),Elsevier Academic Press,San Diego,CAを参照)。実施形態において、発現されるα−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ酵素のコード領域は、当業者によく知られているように、標的宿主細胞のためにコドン最適化され得る。組換え宿主細胞(酵母細胞を含むが、これに限定されない)における遺伝子の発現は、対象のコード領域に作動可能に連結されたプロモーター、および転写ターミネーターを必要とし得る。酵母における使用に適した以下の構成的プロモーター:FBA1、TDH3(GPD)、ADH1、およびGPM1、ならびに酵母における使用に適した以下の誘導性プロモーター:GAL1、GAL10およびCUP1を含むがこれらに限定されないいくつかのプロモーターを、遺伝子の発現カセットの構築において使用することができる。その他の酵母プロモーターとしては、ハイブリッドプロモーターUAS(PGK1)−FBA1p(配列番号228)、UAS(PGK1)−ENO2p(配列番号229)、UAS(FBA1)−PDC1p(配列番号230)、UAS(PGK1)−PDC1p(配列番号231)、およびUAS(PGK)−OLE1p(配列番号232)が挙げられる。発現のためのキメラ遺伝子構築物において使用可能な適切な転写ターミネーターには、FBA1t、TDH3t、GPM1t、ERG10t、GAL1t、CYC1t、およびADH1tが含まれるがこれらに限定されない。
様々な宿主細胞の形質転換に有用なベクターは一般的であり、文献に記載されている。通常、ベクターは、選択可能なマーカー、ならびに所望の宿主における自己複製または染色体組込みを可能にする配列を含有する。さらに、適切なベクターは、コード領域DNA断片が間に挿入され得る転写開始調節および転写終結調節領域を有するプロモーター領域を含み、挿入されたコード領域の発現を提供することができる。調節領域は両方とも形質転換宿主細胞に相同の遺伝子に由来することができるが、このような調節領域が、産生宿主として選択される特定の種にとって天然でない遺伝子に由来することもできることは理解されるべきである。
実施形態において、適切なプロモーター、転写ターミネーター、およびα−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼコード領域は、大腸菌(E.coli)−酵母シャトルベクター内にクローン化され、酵母細胞に形質転換され得る。このようなベクターは、大腸菌(E.coli)および酵母株の両方における菌株の増殖を可能にし、選択可能なマーカー、ならびに所望の宿主における自己複製または染色体組込みを可能にする配列を含有することができる。酵母において通常使用されるプラスミドには、大腸菌(E.coli)複製開始点(例えば、pMB1)、酵母2−ミクロン複製開始点、および栄養選択のためのマーカーを含有する、シャトルベクターpRS423、pRS424、pRS425、およびpRS426(American Type Culture Collection,Rockville,MD)が含まれるが、これらに限定されない。これらの4つのベクターのための選択マーカーは、HIS3(ベクターpRS423)、TRP1(ベクターpRS424)、LEU2(ベクターpRS425)およびURA3(ベクターpRS426)である。
実施形態において、記載される酵素をコードするキメラ遺伝子を有する発現ベクターの構築は、酵母におけるギャップ修復組換え法によって実施することができる。実施形態において、酵母ベクターDNAは消化され(例えば、その多重クローニング部位において)、その配列内に「ギャップ」を形成する。互いに、そしてベクターDNAの5’および3’終端と順次重なる約21bpの配列を5’および3’端部の両方に含有する、対象のいくつかの挿入DNAが生成される。例えば、「遺伝子X」のための酵母発現ベクターを構築するために、酵母プロモーターおよび酵母ターミネーターが発現カセットのために選択される。プロモーターおよびターミネーターは酵母ゲノムDNAから増幅され、遺伝子Xはそのソース生物からPCR増幅されるか、あるいは遺伝子X配列を含むクローニングベクターから得られる。直線化ベクターの5’端部とプロモーター配列との間、プロモーターと遺伝子Xとの間、遺伝子Xとターミネーター配列との間、そしてターミネーターと直線化ベクターの3’端部との間には、少なくとも21bpのオーバーラップ配列が存在する。次に、「ギャップ」ベクターおよび挿入DNAは酵母株に同時形質転換され、プラスミド上の栄養選択マーカーの相補性を可能にする適切な化合物の混合物を含有する培地にプレーティングされる。正しい挿入断片の組み合わせの存在は、選択された細胞から調製されるプラスミドDNAを用いて、PCRマッピングにより確認することができる。次に、酵母(通常、低濃度)から単離されたプラスミドDNAを、大腸菌(E.coli)株、例えばTOP10に形質転換した後、ミニプレップおよび制限酵素マッピングを行い、プラスミド構築物をさらに検証することができる。最後に、構築物を配列分析によって検証することができる。
ギャップ修復技術と同様に、酵母ゲノムへの組込みも、酵母における相同組換えシステムを利用する。実施形態において、コード領域と、調節要素(プロモーターおよびターミネーター)および栄養要求性マーカーとを含有するカセットは、このカセットとハイブリッド形成し、挿入が所望されるゲノム領域の領域5’および3’に対して配列相同性を有する40〜70の塩基対を含有するプライマーを用いて、高忠実度DNAポリメラーゼによりPCR増幅される。次に、PCR産物は酵母に形質転換され、組み込まれた栄養要求性マーカーの選択を可能にする適切な化合物混合物を含有する培地にプレーティングされる。例えば、「遺伝子X」を染色体位置「Y」に組み込むために、プロモーター−コード領域X−ターミネーター構築物がプラスミドDNA構築物からPCR増幅され、SOE PCRまたは一般的な制限消化およびクローニングのいずれかによって、独立栄養性マーカー(URA3など)に結合される。プロモーター−コード領域X−ターミネーター−URA3領域を含有する全カセットは、酵母染色体における位置「Y」の領域5’および3’に対する相同性を有する40〜70bpを含有するプライマー配列によりPCR増幅される。PCR産物は酵母に形質転換され、ウラシルが欠けた増殖培地上で選択される。形質転換体は、コロニーPCRまたは染色体DNAの直接配列決定のいずれかによって検証することができる。
KIVD活性
本明細書中で開示される組換え宿主細胞におけるα−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ活性の存在は、当該技術分野において既知のルーチン方法を用いて確認することができる。非限定的な実施例において、そして本明細書中の実施例において記載されるように、形質転換体は、α−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ遺伝子に対するプライマーを用いるPCRによってスクリーニングすることができる。別の非限定的な例では、そして本明細書中の実施例において記載されるように、α−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ活性は、本明細書中で開示される内因性α−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ活性が欠けている組換え宿主細胞において、本明細書中で開示されるα−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ酵素を発現させることによってアッセイされ得る。別の非限定的な例では、α−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ活性は、生合成経路内のイソブチルアルデヒドの下流の産物を測定するなどのより間接的な方法によって確認することができる。別の非限定的な例では、α−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ活性は、補因子の消失を測定することによって、あるいは生合成経路内のイソブチルアルデヒドの下流のステップのための補因子の消失を測定することによって、例えば、本明細書および/または当該技術分野において記載される結合アッセイ(例えば、Zhang et al.,PNAS(2008)105(52):20653−20658を参照)によって確認することができる。別の非限定的な例では、α−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ活性は、本明細書に記載されるアルデヒド特異的Purpald(登録商標)比色酵素アッセイにより、α−ケトイソバレレートからイソブチルアルデヒドへの変換率を決定することによって確認することができる。別の非限定的な例では、α−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ活性は、当該技術分野において既知の方法を用いてα−ケトイソバレレートの消失を測定することによって確認することができる(例えば、de la Plaza,et al.FEMS Microbiol Letters(2004)238:367−374を参照)。
TPPに対する酵素親和性の尺度を提供するTPP補因子活性化定数は、Chang et al.(Biochem.J.(1999)339:255−260)において記載される。本明細書において提供されるポリペプチドTPP補因子活性化定数は、観察される比活性をTPP濃度の関数としてプロットすることによって決定することができる。α−ケトイソバレレートからイソブチルアルデヒドへの変換率は、Gocke,D.et al.(Adv.Synth.Catal.2007,349,1425−1435)において記載されている種々のTPP濃度で実行されるウマ肝臓ADH(hADH)結合酵素アッセイにおいて測定され得る。比活性は次にTPP濃度に対してプロットされる。得られた曲線は次に、Kaleidagraph(Synergy)などのソフトウェアを用いて、飽和式SA=(SAmax [TPP])/(K+[TPP])+C(式中、SAは比活性であり、SAmaxは最大比活性であり、Kは補因子活性化定数であり、[TPP]はTPPの濃度であり、そしてCはTPPが添加されない場合の活性である)に当てはめられ、補因子活性化定数(Kc)を決定することができる。ポリペプチドのTPP親和性は、Changら(Biochem.J.(1999)339:255−260)で記載されるように、蛍光消光法によって測定することもできる。
実施形態において、本明細書において提供されるポリペプチドは、約5μM未満、約10μM未満、約20μM未満、約30μM未満、約40μM未満、約50μM未満、約70μM未満、または約90μM未満のTPP補因子活性化定数(K)を有する。
基質特異性比は、競合する基質の反応を酵素が区別する能力の尺度を提供し、Fersht,A.(Enzyme Structure and Mechanism,1977,1985 W.H.Freeman and Company,New York)によって記載されている。所与のポリペプチドについてのα−ケトイソバレレートのピルベートに対する特異性比は、ケトイソバレレートからイソブチルアルデヒドへの変換のVmaxおよびK値と、ピルベートからアセトアルデヒドへの変換のVmaxおよびK値とを測定することによって決定することができる。α−ケトイソバレレートからイソブチルアルデヒドへの変換率、ならびにピルベートからアセトアルデヒドへの変換率は、Gocke,D.et al.(Adv.Synth.Catal.2007,349,1425−1435)において記載されている種々の基質濃度で実行されるウマ肝臓ADH(hADH)結合酵素アッセイにおいて測定され得る。次に比活性は基質濃度に対してプロットされる。得られた曲線は次に、Kaleidagraph(Synergy)などのソフトウェア用いて、Michaelis−Mentonに当てはめられ、各基質に対するVmaxおよびK値を決定することができる。「特異性比」は、本明細書で使用される場合、α−ケトイソバレレートに対して決定されたVmax/Kを、ピルベートに対して決定されたVmax/Kで除した商である。
実施形態において、本明細書中で開示されるポリペプチドの特異性比は、約1よりも大きい、約10よりも大きい、約20よりも大きい、約50よりも大きい、約100よりも大きい、約150よりも大きい、約200よりも大きい、約250よりも大きい、あるいは約300よりも大きい。
本明細書には、開示されるポリペプチドを用いる、α−ケトイソバレレートからイソブチルアルデヒドへの変換方法が提供されている。実施形態において、本方法は、(a)(i)配列番号51、52、53、55、56、58、59、61もしくは63またはこれらの活性断片に対する少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%の同一性、およびα−ケト酸デカルボキシラーゼ活性、あるいは(ii)α−ケト酸デカルボキシラーゼ活性、約1よりも大きい、約10よりも大きい、約100よりも大きい、約150よりも大きい、または約200よりも大きいα−ケトイソバレレートのピルベートに対する特異性比、および約100μM、約50μM、または約20μM以下のチアミン二リン酸補因子活性化定数(K)のうちの少なくとも1つを含むポリペプチドを提供するステップと、(b)イソブチルアルデヒドが産生される条件下で、前記ポリペプチドをα−ケトイソバレレートと接触させるステップとを含む。実施形態において、本方法は、(a)配列番号51、52、53、55、56、58、59、61もしくは63またはこれらの活性断片に対する少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%の同一性、およびα−ケト酸デカルボキシラーゼ活性を含むポリペプチドを提供するステップと、(b)イソブチルアルデヒドが産生される条件下で、前記ポリペプチドをα−ケトイソバレレートと接触させるステップとを含む。実施形態において、前記ポリペプチドは、配列番号52もしくは61またはこれらの活性断片に対する少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%の同一性を含む。実施形態において、本方法は、(a)α−ケト酸デカルボキシラーゼ活性、約1よりも大きい、約10よりも大きい、約100よりも大きい、約150よりも大きい、約200よりも大きいα−ケトイソバレレートのピルベートに対する特異性比、および約100μM、約50μM、または約20μM以下のチアミン二リン酸補因子活性化定数(K)を含むポリペプチドを提供するステップと、(b)イソブチルアルデヒドが産生される条件下で、前記ポリペプチドをα−ケトイソバレレートと接触させるステップとを含む。実施形態において、接触は、約10mg/L未満のチアミンの存在下で生じる。実施形態において、接触は、約30mg/L未満のチアミン、約20mg/L未満のチアミン、または約5mg/L未満のチアミンの存在下で生じる。実施形態において、接触は、約1〜約10mg/Lのチアミン、約5〜約20mg/Lのチアミン、約10〜約15mg/Lのチアミン、約5〜約15mg/Lのチアミン、約5〜約10mg/Lのチアミン、または約1〜約5mg/Lのチアミンの存在下で生じる。実施形態において、接触は組換え宿主細胞内で生じ、ポリペプチドは、組換え宿主細胞にとって異種である。実施形態において、組換え宿主細胞は、クロストリジウム(Clostridium)属、ザイモモナス(Zymomonas)属、エシェリキア(Escherichia)属、サルモネラ(Salmonella)属、セラチア(Serratia)属、エルウィニア(Erwinia)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、シゲラ(Shigella)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、バチルス(Bacillus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、パエニバチルス(Paenibacillus)属、アルスロバクター(Arthrobacter)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属、イサタケンキア(Issatchenkia)属、クルイベロミセス(Kluyveromyces)属、ヤロウイア(Yarrowia)属、ピキア(Pichia)属、カンジダ(Candida)属、ハンゼヌラ(Hansenula)属、またはサッカロミセス(Saccharomyces)属の一員である。実施形態において、組換え宿主細胞はサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である。実施形態において、組換え宿主細胞はさらに、基質から産物への変換:(a)ピルベートからアセトラクテートへの変換、(b)アセトラクテートから2,3−ジヒドロキシイソバレレートへの変換、および(c)2,3−ジヒドロキシイソバレレートから2−ケトイソバレレートへの変換を触媒するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。実施形態において、宿主細胞はさらに、イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの基質から産物への変換を触媒するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。実施形態において、組換え宿主細胞はさらに、低下または除去されたピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を含む。実施形態において、組換え宿主細胞はさらに、Fe−Sクラスター生合成に影響を与えるポリペプチドをコードする内因性遺伝子において少なくとも1つの欠失、突然変異、および/または置換を含む。実施形態において、組換え宿主細胞はfra2の欠失を含む。実施形態において、組換え宿主細胞は、低下または除去されたグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ活性を含む。
イソブタノールの製造
本明細書には、イソブタノールの製造方法が提供されている。実施形態において、本方法は、(a)イソブタノール生合成経路およびポリペプチドを含む宿主細胞を提供するステップであって、前記ポリペプチドが、i)配列番号51、52、53、55、56、58、59、61、もしくは63またはこれらの活性断片に対する少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%の同一性同一性、およびα−ケト酸デカルボキシラーゼ活性、あるいは(ii)α−ケト酸デカルボキシラーゼ活性、約1よりも大きい、約10よりも大きい、約100よりも大きい、約150よりも大きい、または約200よりも大きいα−ケトイソバレレートのピルベートに対する特異性比、および約100μM、約50μM、または約20μM以下のチアミン二リン酸補因子活性化定数(K)のうちの少なくとも1つを含むステップと、(b)イソブタノールが産生される条件下で、宿主細胞を発酵性炭素基質と接触させるステップとを含む。実施形態において、接触は、約10mg/L未満のチアミンまたは約1mg/L未満のチアミンの存在下で生じる。実施形態において、組換え宿主細胞は、クロストリジウム(Clostridium)属、ザイモモナス(Zymomonas)属、エシェリキア(Escherichia)属、サルモネラ(Salmonella)属、セラチア(Serratia)属、エルウィニア(Erwinia)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、シゲラ(Shigella)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、バチルス(Bacillus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、パエニバチルス(Paenibacillus)属、アルスロバクター(Arthrobacter)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属、イサタケンキア(Issatchenkia)属、クルイベロミセス(Kluyveromyces)属、ヤロウイア(Yarrowia)属、ピキア(Pichia)属、カンジダ(Candida)属、ハンゼヌラ(Hansenula)属、またはサッカロミセス(Saccharomyces)属の一員である。実施形態において、組換え宿主細胞はサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である。実施形態において、組換え宿主細胞はさらに、基質から産物への変換:(a)ピルベートからアセトラクテートへの変換、(b)アセトラクテートから2,3−ジヒドロキシイソバレレートへの変換、および(c)2,3−ジヒドロキシイソバレレートから2−ケトイソバレレートへの変換を触媒するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。実施形態において、宿主細胞はさらに、イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの基質から産物への変換を触媒するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。実施形態において、組換え宿主細胞はさらに、低下または除去されたピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を含む。実施形態において、組換え宿主細胞はさらに、Fe−Sクラスター生合成に影響を与えるポリペプチドをコードする内因性遺伝子において少なくとも1つの欠失、突然変異、および/または置換を含む。実施形態において、組換え宿主細胞はさらにfra2の欠失を含む。実施形態において、組換え宿主細胞は、低下または除去されたグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ活性を含む。実施形態において、イソブタノールは、配列番号68を含むが(i)も(ii)も含まないポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む類似の宿主細胞によって産生されるよりも高い有効収率で産生される。
従って、本明細書では、(i)配列番号51、52、53、55、56、58、59、61もしくは63またはこれらの活性断片に対する少なくとも約80%の同一性を含む、α−ケトイソバレレートからイソブチルアルデヒドへの基質から産物への変換を触媒する異種ポリペプチド、あるいは(i)の異種ポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む組換え宿主細胞も提供される。実施形態において、前記ポリペプチドは、配列番号51、52、53、55、56、58、59、61もしくは63またはこれらの活性断片に対する少なくとも約95%の同一性を含む。実施形態において、宿主細胞はさらに、基質から産物への変換:(a)ピルベートからアセトラクテートへの変換、(b)アセトラクテートから2,3−ジヒドロキシイソバレレートへの変換、(c)2,3−ジヒドロキシイソバレレートから2−ケトイソバレレートへの変換を触媒するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。実施形態において、宿主細胞はさらに、イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの基質から産物への変換を触媒するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む。実施形態において、基質から産物への変換を触媒するポリペプチドはそれぞれ、宿主細胞にとって天然ではない。実施形態において、組換え宿主細胞は、低下または除去されたピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を含む。実施形態において、組換え宿主細胞は、Fe−Sクラスター生合成に影響を与えるポリペプチドをコードする内因性遺伝子において少なくとも1つの欠失、突然変異、および/または置換を含む。実施形態において、組換え宿主細胞は、クロストリジウム(Clostridium)属、ザイモモナス(Zymomonas)属、エシェリキア(Escherichia)属、サルモネラ(Salmonella)属、セラチア(Serratia)属、エルウィニア(Erwinia)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、シゲラ(Shigella)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、バチルス(Bacillus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、パエニバチルス(Paenibacillus)属、アルスロバクター(Arthrobacter)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属、イサタケンキア(Issatchenkia)属、クルイベロミセス(Kluyveromyces)属、ヤロウイア(Yarrowia)属、ピキア(Pichia)属、カンジダ(Candida)属、ハンゼヌラ(Hansenula)属、またはサッカロミセス(Saccharomyces)属の一員である。実施形態において、組換え宿主細胞はサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である。
イソブタノール生合成経路
使用され得るイソブタノールの産生のための生合成経路は、米国特許第7,851,188号明細書、米国特許第7,889,993号明細書、および米国特許第8,178,328号明細書(全て、参照によって本明細書中に援用される)に記載されるものを含む。1つのイソブタノール生合成経路は、以下の基質から産物への変換を含む:
− 例えばアセト乳酸シンターゼによって触媒され得るピルベートからアセトラクテートへの変換、
− 例えばアセトヒドロキシ酸レダクトイソメラーゼによって触媒され得るアセトラクテートから2,3−ジヒドロキシイソバレレートへの変換、
− 例えばアセトヒドロキシ酸デヒドラターゼによって触媒され得る2,3−ジヒドロキシイソバレレートからα−ケトイソバレレートへの変換、
− 例えば分枝鎖ケト酸デカルボキシラーゼによって触媒され得るα−ケトイソバレレートからイソブチルアルデヒドへの変換、および
− 例えば分枝鎖アルコールデヒドロゲナーゼによって触媒され得るイソブチルアルデヒドからイソブタノールへの変換。
いくつかの実施形態では、イソブタノール生合成経路は、宿主細胞にとって異種である少なくとも1つのポリヌクレオチド、少なくとも2つのポリヌクレオチド、少なくとも3つのポリヌクレオチド、または少なくとも4つのポリヌクレオチドを含む。実施形態において、組換え宿主細胞におけるイソブタノール生合成経路の基質から産物への変換はそれぞれ、異種ポリペプチドによって触媒される。実施形態において、アセトラクテートから2,3−ジヒドロキシイソバレレートへの基質から産物への変換を触媒するのポリペプチド、および/またはイソブチルアルデヒドからイソブタノールへの基質から産物への変換を触媒するポリペプチドは、補因子としてNADHを用いることができる。
本明細書に記載される基質から産物への変換のために使用可能な遺伝子およびポリペプチド、ならびにこのような遺伝子およびポリペプチドの同定方法は、本明細書および/または当該技術分野において記載されており、例えばイソブタノールについては、実施例において、そして米国特許第7,851,188号明細書、米国特許第7,889,993号明細書、および米国特許第8,178,328号明細書において記載されている。ケトール酸レダクトイソメラーゼ(KARI)酵素の例は、米国特許第8,129,162号明細書および米国特許第8,222,017号明細書、ならびに米国特許出願公開第20080261230A1号明細書、米国特許出願公開第20100197519A1号明細書、ならびにPCT出願公開第WO/2011/041415号パンフレット(これらは全て、参照によって援用される)に記載されている。これらにおいて開示されるKARIの例は、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ビブリオ・コレラエ(Vibrio cholerae)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)PAO1、およびシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)PF5変異体からのものである。KARIには、アナエロスティペス・カッカエ(Anaerostipes caccae)KARI変異体「K9G9」および「K9D3」(それぞれ、配列番号235および234)が含まれる。米国特許出願公開第20100081154A1号明細書、および米国特許第7,851,188号明細書には、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)(タンパク質配列番号417)からのDHADを含むジヒドロキシ酸デヒドラターゼ(DHAD)が記載されている。参照によって本明細書中に援用される米国特許第8,188,250号明細書には、SadB、アクロモバクター・キシロスオキシダンス(Achromobacter xylosoxidans)からのアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)が記載されている。アルコールデヒドロゲナーゼには、参照によって本明細書中に援用される米国特許出願公開第20110269199号明細書に記載されるウマ肝臓ADH(「HADH」)およびベイジェリンキア・インディカ(Beijerinkia indica)ADH(タンパク質配列番号247)も含まれる。
本明細書において提供されるイソブタノール生合成経路を含む宿主細胞がさらに、1つまたは複数の付加的な修飾を含み得ることは認識されるであろう。米国特許出願公開第20090305363号明細書(参照によって援用される)には、サイトゾル局在化アセト乳酸シンターゼの発現およびピルビン酸デカルボキシラーゼ活性の実質的な除去のために酵母を操作することによる、ピルベートからアセトラクテートへの変換の増大が開示される。米国特許出願公開第20090305363号明細書(参照によって本明細書中に援用される)に記載されるような、グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ活性を低減するための修飾、および/またはピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの遺伝子における破壊、またはピルビン酸デカルボキシラーゼ遺伝子発現を調節する制御要素をコードする少なくとも1つの遺伝子における破壊、米国特許出願公開第20100120105号明細書(参照によって本明細書中に援用される)に記載されるような、Entner−Doudoroff経路による炭素フラックスの増大または当量バランスの低下を提供する宿主細胞への修飾。その他の修飾には、ピルベート利用生合成経路におけるステップを触媒するポリペプチドをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドの組込みが含まれる。その他の修飾には、アセト乳酸レダクターゼ活性を有するポリペプチドをコードする内因性ポリヌクレオチドにおける少なくとも1つの欠失、突然変異、および/または置換が含まれる。実施形態において、アセト乳酸レダクターゼ活性を有するポリペプチドは、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisae)のYMR226C(配列番号236)またはその相同体である。付加的な修飾には、アルデヒドデヒドロゲナーゼおよび/またはアルデヒドオキシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードする内因性ポリヌクレオチドにおける欠失、突然変異、および/または置換が含まれる。実施形態において、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドは、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)からのALD6(配列番号233)またはその相同体である。酵母産生宿主細胞がpdc−である場合にグルコース抑制を低減する効果を有する遺伝子修飾は、参照によって本明細書中に援用される米国特許出願公開第20110124060号明細書に記載されている。
組換え宿主細胞はさらに、(a)ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの異種ポリヌクレオチドと、(b)(i)Fe−Sクラスター生合成に影響を与えるポリペプチドをコードする内因性遺伝子における少なくとも1つの欠失、突然変異、および/もしくは置換、ならびに/または(ii)Fe−Sクラスター生合成に影響を与えるポリペプチドをコードする少なくとも1つの異種ポリヌクレオチドとを含んでいてもよい。実施形態において、Fe−Sクラスター生合成に影響を与えるポリペプチドは、AFT1(核酸配列番号237、アミノ酸配列番号238)、AFT2(配列番号239および240)、FRA2(配列番号241および242)、GRX3(配列番号243および244)、またはCCC1(配列番号245および246)によってコードされる。実施形態において、Fe−Sクラスター生合成に影響を与えるポリペプチドは、構成的突然変異体AFT1L99A、AFT1L102A、AFT1C291F、またはAFT1C293Fである。
産生のための増殖
本明細書に開示される組換え宿主細胞は、適切な炭素基質を含有する発酵培地中で増殖される。追加的な炭素基質は、グルコースやフルクトースなどの単糖、ラクトース、マルトース、ガラクトース、もしくはスクロースなどのオリゴ糖、デンプンもしくはセルロースなどの多糖類、またはこれらの混合物と、チーズ乳清透過物、コーンスティープリカー、サトウダイコン糖蜜、および大麦モルトなどの再生可能な原料からの未精製混合物とを含むことができるが、これらに限定されない。その他の炭素基質としては、エタノール、ラクテート、スクシネート、またはグリセロールが挙げられる。
さらに、炭素基質は、重要な生化学的中間体への代謝的変換が実証されている二酸化炭素、またはメタノールなどの一炭素基質であってもよい。一および二炭素基質に加えて、メチロトローフ生物は、代謝活性のためにメチルアミン、グルコサミンおよび様々なアミノ酸などの多数の他の炭素含有化合物も利用することが知られている。例えば、メチロトローフ酵母はメチルアミンからの炭素を利用して、トレハロースまたはグリセロールを形成することが知られている(Bellion et al.,Microb.Growth C1 Compd.,[Int.Symp.],7th(1993),415−32,Editor(s):Murrell,J.Collin;Kelly,Don P.Publisher:Intercept,Andover,UK)。同様に、様々なカンジダ(Candida)種は、アラニンまたはオレイン酸を代謝するであろう(Sulter et al.,Arch.Microbiol.153:485−489(1990))。従って、本発明において利用される炭素源は様々な種類の炭素含有基質を包含することができ、生物の選択によってのみ制限され得ることが意図される。
上記の炭素基質およびその混合物は全て本発明において適切であることが意図されるが、いくつかの実施形態では、炭素基質は、グルコース、フルクトース、およびスクロースであるか、あるいはC5糖を使用するように修飾された酵母細胞についてはこれらとキシロースおよび/またはアラビノースなどのC5糖との混合物である。スクロースは、サトウキビ、サトウダイコン、キャッサバ、スイートソルガム、およびこれらの混合物などの再生可能な糖源に由来し得る。グルコースおよびデキストロースは、トウモロコシ、小麦、ライ麦、大麦、オート麦、およびこれらの混合物などの穀類を含むデンプンベースの原料の糖化による再生可能な穀類源に由来し得る。さらに、発酵性の糖は、例えば、米国特許出願公開第20070031918A1号明細書に記載されるような前処理および糖化プロセスにより再生可能なセルロースまたはリグノセルロース系バイオマスに由来し得る。バイオマスは任意のセルロースまたはリグノセルロース系材料を指し、セルロースと、場合によりさらに、ヘミセルロース、リグニン、デンプン、オリゴ糖および/または単糖とを含む材料が含まれる。またバイオマスは、タンパク質および/または脂質などの付加的な成分も含み得る。バイオマスは単一のソースに由来してもよいし、あるいはバイオマスは2つ以上のソースに由来する混合物を含むこともでき、例えば、バイオマスは、トウモロコシ穂軸およびトウモロコシ茎葉の混合物、または草および葉の混合物を含むことができる。バイオマスには、バイオエネルギー作物、農業残渣、都市固形廃棄物、産業固形廃棄物、製紙業からのスラッジ、庭の廃棄物、木材および林業廃棄物が含まれるが、これらに限定されない。バイオマスの例としては、トウモロコシ穀粒、トウモロコシ穂軸、作物残渣、例えばトウモロコシ皮、トウモロコシ茎葉、草、小麦、小麦わら、菜種、大麦、大麦わら、干し草、稲わら、スイッチグラス、古紙、サトウキビバガス、ソルガム、大豆、穀粒の製粉から得られる成分、木、枝、根、葉、木材チップ、おがくず、灌木および低木、野菜、果実、花(例えばヒマワリおよびベニバナ)、動物性肥料、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
適切な炭素源に加えて、発酵培地には、適切なミネラル、塩、補因子、緩衝液、および培養物の増殖と、本明細書に記載される酵素経路の促進とに適した当業者に既知の他の成分が含有されなければならない。
培養条件
通常、細胞は、適切な培地中、約20℃〜約40℃の範囲の温度で増殖される。本発明における適切な増殖培地は、Luria Bertani(LB)ブロス、Sabouraud Dextrose(SD)ブロス、Yeast Medium(YM)ブロス、または酵母窒素ベース、硫酸アンモニウム、およびデキストロース(炭素/エネルギー源として)を含むブロス、またはYPD培地(ほとんどのサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)株を増殖させるために最適な割合のペプトン、酵母抽出物、およびデキストロースのブレンド)などの一般的な市販の培地を含む。その他の定義された増殖培地または合成増殖培地も使用することができ、特定の微生物の増殖のための適切な培地は、微生物学または発酵科学の当業者には分かるであろう。異化産物抑制を直接または間接的に調節することが知られている薬剤、例えば環状アデノシン2’:3’−一リン酸塩の使用も発酵培地中に組み込むことができる。
発酵のために適切なpH範囲は、約pH5.0〜約pH9.0の間である。一実施形態では、約pH6.0〜約pH8.0が初期条件として使用される。酵母の発酵のために適切なpH範囲は、通常、約pH3.0〜約9.0の間である。一実施形態では、約pH5.0〜約pH8.0が初期条件として使用される。他の微生物の発酵のために適切なpH範囲は、約pH3.0〜約pH7.5の間である。一実施形態では、約pH4.5〜約pH6.5が初期条件として使用される。
発酵は、好気条件または嫌気条件下で実施することができる。一実施形態では、発酵のために嫌気条件または微好気条件が使用される。
工業的バッチおよび連続発酵
イソブタノールまたは他の産物は、バッチ発酵方法を用いて産生することができる。古典的なバッチ発酵は閉鎖系であり、培地の組成は発酵の最初に設定され、発酵は人為的な変更を受けない。標準的なバッチ系の変化形は、流加系である。流加発酵プロセスも本発明において適切であり、発酵が進行するにつれて基質が徐々に添加される点以外は典型的なバッチ系を含む。流加系は、異化産物抑制が細胞の代謝を阻害する傾向にある場合、および培地中の基質の量が制限されることが望ましい場合に有用である。バッチ発酵および流加発酵は一般的であり、当該技術分野においてよく知られており、その例は、Thomas D.Brock in Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology,Second Edition(1989)Sinauer Associates,Inc.,Sunderland,MA.,or Deshpande,Mukund V.,Appl.Biochem.Biotechnol.,36:227,(1992)において見出すことができる。
イソブタノールまたは他の産物は、連続発酵法を用いて産生することもできる。連続発酵は開放系であり、定義された発酵培地がバイオリアクターに連続的に添加され、処理のために同時に等量の条件培地が除去される。連続発酵は、一般に、細胞が主に対数増殖期にあるときに、培養物を一定の高い密度に維持する。連続発酵は、細胞増殖または最終産物濃度に影響を与える1つの因子または任意の数の因子の調節を可能にする。連続発酵プロセスのための栄養物および成長因子の調節方法、ならびに産物形成速度を最大にするための技術は工業微生物学の分野でよく知られており、様々な方法が上記のBrockによって詳述されている。
イソブタノールまたは他の産物の産生はバッチ、流加または連続プロセスを用いて実施可能であり、任意の既知の発酵モードが適切であり得ることが意図される。さらに、細胞は全細胞触媒として基質上に固定化可能であり、イソブタノール産生のための発酵条件にさらされることが意図される。
発酵培地からのイソブタノールの単離方法
バイオ産生されたイソブタノールは、ABE発酵のための当該技術分野において既知の方法を用いて、発酵培地から単離することができる(例えば、Durre,Appl.Microbiol.Biotechnol.49:639−648(1998),Groot et al.,Process.Biochem.27:61−75(1992)、およびその中の参考文献を参照)。例えば、固体は、遠心分離、ろ過、デカンテーションなどによって発酵培地から除去され得る。次に、イソブタノールは、蒸留、共沸蒸留、液液抽出、吸着、ガスストリッピング、膜蒸発、またはパーベーパレイションなどの方法を用いて発酵培地から単離され得る。
イソブタノールは水と低沸点の共沸混合物を形成するので、蒸留を用いて、混合物をその共沸組成まで分離することができる。蒸留は、共沸混合物付近の分離を得るために、別の分離方法と組み合わせて使用することができる。ブタノールを単離および精製するために蒸留と組み合わせて使用することができる方法には、デカンテーション、液液抽出、吸着、および膜ベースの技術が含まれるがこれらに限定されない。さらに、ブタノールは、共沸剤を用いた共沸蒸留を用いて単離され得る(例えば、Doherty and Malone,Conceptual Design of Distillation Systems,McGraw Hill,New York,2001を参照)。
ブタノール−水混合物は不均一な共沸混合物を形成するので、イソブタノールを単離および精製するために、蒸留は、デカンテーションと組み合わせて使用され得る。この方法では、イソブタノール含有発酵ブロスは、共沸組成近くまで蒸留される。次に、共沸混合物は濃縮され、デカンテーションによって発酵培地からイソブタノールが分離される。デカントされた水相は、還流として第1の蒸留塔に戻すことができる。デカントされたイソブタノールが豊富な有機相は、第2の蒸留塔において、蒸留によりさらに精製され得る。
またイソブタノールは、蒸留と組み合わせて液液抽出を用いて発酵培地から単離することもできる。この方法では、イソブタノールは、適切な溶媒による液液抽出を用いて発酵ブロスから抽出される。次に、イソブタノール含有有機相は、ブタノールを溶媒から分離するために蒸留される。
蒸留を吸着と組み合わせて使用して、発酵培地からイソブタノールを単離することもできる。この方法では、イソブタノールを含有する発酵ブロスは共沸組成近くまで蒸留され、次に、モレキュラーシーブなどの吸着剤の使用により残存する水が除去される(Aden et al.Lignocellulosic Biomass to Ethanol Process Design and Economics Utilizing Co−Current Dilute Acid Prehydrolysis and Enzymatic Hydrolysis for Corn Stover,Report NREL/TP−510−32438,National Renewable Energy Laboratory,June 2002)。
さらに、蒸留をパーベーパレイションと組み合わせて使用して、発酵培地からイソブタノールを単離および精製することもできる。この方法では、イソブタノールを含有する発酵ブロスは共沸組成近くまで蒸留され、次に、親水性膜を通るパーベーパレイションによって残存する水が除去される(Guo et al.,J.Membr.Sci.245,199−210(2004))。
その場生成物除去(in situ product removal)(ISPR)(抽出発酵とも呼ばれる)は、ブタノール(または他の発酵アルコール)を、産生されたときに発酵容器から除去するために使用することができ、それにより、微生物はブタノールを高収率で産生することが可能になる。当該技術分野で記載されている発酵アルコールを除去するためのISPRの1つの方法は液液抽出である。通常、例えばブタノール発酵に関して、微生物を含む発酵培地は、ブタノール濃度が毒性レベルに達するよりも前の時点で有機抽出剤と接触される。有機抽出剤および発酵培地は二相混合物を形成する。ブタノールは有機抽出剤相に分配され、微生物を含有する水相中の濃度を低下させ、それにより抑制性ブタノールに対する微生物の暴露が制限される。
液液抽出は、例えば、米国特許出願公開第2009/0305370号明細書(その開示は本明細書にその全体が援用される)に記載される方法に従って実施することができる。米国特許出願公開第2009/0305370号明細書には、液液抽出を用いて発酵ブロスからブタノールを製造および回収するための方法が記載されており、この方法は、発酵ブロスを水と非混和性の抽出剤と接触させて、水相および有機相を含む2相混合物を形成するステップを含む。通常、抽出剤は、飽和、一価不飽和、多価不飽和(およびこれらの混合物)C12〜C22脂肪アルコール、C12〜C22脂肪酸、C12〜C22脂肪酸のエステル、C12〜C22脂肪アルデヒド、およびこれらの混合物からなる群から選択される有機抽出剤であり得る。ISPRのための抽出剤は、非アルコール抽出剤であり得る。ISPR抽出剤は、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、1−ウンデカノール、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸メチル、オ
レイン酸メチル、ウンデカナール、ラウリン酸アルデヒド、20−メチルウンデカナール、およびこれらの混合物などの外因性有機抽出剤であり得る。
いくつかの実施形態では、有機酸(例えば、脂肪酸)および有機酸によりアルコールをエステル化することができる触媒と、発酵培地中のアルコールを接触させることによって、エステルを形成することができる。このような実施形態では、有機酸は、アルコールエステルが分配されるISPR抽出剤としての役割を果たすことができる。有機酸は発酵容器に供給されることができ、そして/あるいは発酵容器に送給される発酵性炭素を供給するバイオマスから得ることもできる。原料中に存在する脂質は触媒作用により有機酸に加水分解することができ、同じ触媒(例えば、酵素)がアルコールにより有機酸をエステル化することができる。触媒は発酵よりも前に原料に供給されてもよいし、あるいは原料の供給よりも前または供給と同時に発酵容器に供給されてもよい。触媒が発酵容器に供給される場合、アルコールエステルは、脂質の有機酸への加水分解と、発酵容器内に存在するブタノールによる実質的に同時的な有機酸のエステル化とによって得ることができる。原料に由来しない有機酸および/または天然油を発酵容器に送給することもでき、天然油は有機酸に加水分解される。アルコールによりエステル化されない有機酸はどれもISPR抽出剤の一部としての役割を果たすことができる。アルコールエステルを含有する抽出剤は発酵培地から分離することができ、アルコールは抽出剤から回収することができる。抽出剤は、発酵容器へリサイクルすることができる。従って、ブタノールの製造の場合、例えば、ブタノールからエステルへの変換は発酵培地中の遊離ブタノール濃度を低下させ、ブタノール濃度を増大させる毒性効果から微生物を保護する。加えて、脂質は触媒作用により有機酸に加水分解され、それによりISPR抽出剤中の脂質の蓄積速度を低下させることができるので、分画されていない粒子を、その中の脂質を分離することなく原料として使用することができる。
その場生成物除去はバッチモードまたは連続モードで実行することができる。その場生成物除去の連続モードでは、生成物は反応器から連続的に除去される。その場生成物除去のバッチモードでは、大量の有機抽出剤が発酵容器に添加され、プロセスの間、抽出剤は除去されない。その場生成物除去の場合、有機抽出剤は発酵の開始時に発酵培地と接触して、二相発酵培地を形成することができる。あるいは、有機抽出剤は、微生物が所望の量の増殖(培養物の光学濃度の測定により決定することができる)を達成した後に発酵培地と接触することができる。さらに、有機抽出剤は、発酵培地中の生成物アルコールレベルが予め選択されたレベルに達した時点で発酵培地と接触することができる。本発明のいくつかの実施形態に従うブタノールの製造の場合、有機酸抽出剤は、有機酸によりブタノールをエステル化してブタノールエステルを生成し、その結果発酵容器中のブタノールの濃度を低減するように、ブタノール濃度が毒性レベルに達するよりも前の時点で発酵培地と接触することができる。次に、エステル含有有機相は、ブタノールエステルの所望の有効力価が達成された後で、発酵容器から除去する(そして、水相を構成する発酵ブロスから分離する)ことができる。いくつかの実施形態では、エステル含有有機相は、発酵容器内の利用可能な発酵性糖の発酵が実質的に完了した後で水相から分離される。
任意の相内のイソブタノール力価は、例えば、参照によって本明細書中に援用される米国特許出願公開第20090305370号明細書に記載されるように、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)またはガスクロマトグラフィなどの当該技術分野で既知の方法によって決定することができる。
プラスミド:
pYZ090(配列番号69)は、ALSの発現のために、酵母CUP1プロモーター(nt2−449)、続いてCYC1ターミネーター(nt2181−2430)から発現されるバチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)からのalsS遺伝子のコード領域(nt位置457−2172)を有するキメラ遺伝子と、KARIの発現のために、酵母ILV5プロモーター(2433−3626)、続いてILV5ターミネーター(nt4682−5304)から発現されるラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)(nt3634−4656)からのilvC遺伝子のコード領域を有するキメラ遺伝子とを含有するように構築した。
pYZ090をSpeIおよびNotIによって消化し、CUP1プロモーターのほとんど、ならびにalsSコード配列およびCYCターミネーターの全てを除去した。次に、Klenow断片による処理の後にベクターを自己連結させ、大腸菌(E.coli)Stbl3細胞に形質転換し、アンピシリン耐性を選択した。DNA領域の除去は、PCRによる連結結合部にわたるDNA配列決定によって、2つの独立したクローンについて確認した。得られたプラスミドをpYZ090ΔalsS(配列番号182)と命名した。
プラスミドpLH702(配列番号218)は、以下の段落において記載されるように、pYZ090から一連のステップで構築した。このプラスミドは、酵母ILV5プロモーターからKARI変異体K9D3(配列番号234)を発現する。
pYZ058(pHR81−PCUP1−AlsS−PILV5−酵母KARI)はpYZ090(pHR81−PCUP1−AlsS−PILV5−lactis KARI)に由来した。pYZ090をPmeIおよびSfiI酵素により切断し、酵母KARIのPCR産物と連結させた。サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)BY4741(Research Genetics Inc.)株のゲノムDNAから、上部プライマー5’−catcatcacagtttaaacagtatgttgaagcaaatcaacttcggtgg−3’(配列番号248)および下部プライマー5’−ggacgggccctgcaggccttattggttttctggtctcaactttctgac−3’(配列番号249)を用いてPCR産物を増幅し、PmeIおよびSfiI酵素により消化した。pYZ058を配列決定により確認した。pLH550(pHR81−PCUP1−AlsS−PILV5−Pf5.KARI)はpYZ058に由来した。野生型Pf5.KARI遺伝子をOT1349(5’−catcatcacagtttaaacagtatgaaagttttctacgataaagactgcgacc−3’(配列番号250))およびOT1318(5’−gcacttgataggcctgcagggccttagttcttggctttgtcgacgattttg−3’(配列番号251))によりPCR増幅し、PmeIおよびSfiI酵素により消化し、PmeIおよびSfiIにより切断されたpYZ058ベクターと連結させた。生成されたベクターpLH550を配列決定により確認した。pLH556は、SpeIおよびNotI酵素によりベクターを消化し、SpeIおよびNotI部位のためのオーバーラップ配列を含有するOT1383(5’−ctagtcaccggtggc−3(配列番号252))およびOT1384(5’−ggccgccaccggtga−3’(配列番号253))からアニーリングされたリンカーと連結させることによって、pLH550から得た。このクローニングステップは、機能性でない配列の上流160bp残基と共に、alsS遺伝子およびPCUP1プロモーターの大型断片をプラスミドから除去する。pLH556を配列決定により確認した。pLH702はpLH556に由来した。PmeIおよびSfiI酵素を用いて、K9D3突然変異体KARI遺伝子を別のベクターから切除し、PmeIおよびSfiI部位でpLH556と連結させ、Pf5.KARI遺伝子をK9D3遺伝子で置換した。構築されたベクターpLH702を配列決定により確認した。
pLH468プラスミドを、酵母中のDHAD、KivDおよびHADHの発現のために構築した。pBP915は、kivD遺伝子およびkivDの上流のTDH3プロモーターの957塩基対を欠失させることによって、pLH468から構築した。pLH468をSwaIにより消化し、大型断片(12896bp)をアガロースゲルにおいて精製した後、Gel Extractionキット(Qiagen、Valencia,CA)により精製した。DNAの単離断片をT4DNAリガーゼにより自己連結させ、エレクトロコンピテントなTOP10エシェリキア・コリ(Escherichia coli)(Invitrogen、Carlsbad,CA)を形質転換するために使用した。形質転換体からのプラスミドを単離し、SwaI制限酵素による制限分析によって適切な欠失について検査した。また単離物は欠失部位にわたって配列決定した。適切な欠失を有するクローンをpBP915(pLH468ΔkivD、配列番号166)と命名した。
以下のキメラ遺伝子:1)ジヒドロキシ酸デヒドラターゼの発現のために、酵母FBA1プロモーター、続いてFBA1ターミネーターから発現される、C末端Lumioタグを有するS.ミュータンス(S.mutans)UA159からのilvD遺伝子のコード領域、2)アルコールデヒドロゲナーゼの発現のために、酵母GPM1プロモーター、続いてADH1ターミネーターから発現されるウマ肝臓ADHのコード領域、3)ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼの発現のために、酵母TDH3プロモーター、続いてTDH3ターミネーターから発現される、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)からのKivD遺伝子のコード領域を含有するように、pYZ067(配列番号254)を構築した。
kivDおよびadhの両方のためのプロモーター−遺伝子−ターミネーターカセットを欠失させることによって、pYZ067からプラスミドpYZ067ΔkivDΔhADHを構築した。BamHIおよびSacI(New England BioLabs、Ipswich,MA)によりpYZ067を消化し、7934bp断片をアガロースゲルにおいて精製した後、Gel Extractionキット(Qiagen、Valencia,CA)により精製した。DNAポリメラーゼI、大型(Klenow)断片(New England BioLabs、Ipswich,MA)によりDNAの単離断片を処理し、次にT4DNAリガーゼと自己連結させ、コンピテントなTOP10エシェリキア・コリ(Escherichia coli)(Invitrogen、Carlsbad,CA)を形質転換するために使用した。形質転換体からのプラスミドを単離し、配列分析によって適切な欠失を検査した。正しいプラスミド単離物をpYZ067ΔkivDΔhADH(配列番号255)と命名した。
実施例1:大腸菌(E.coli)における候補酵素の発現
生物多様性検索(本明細書において上記で記載される)に基づいて、大腸菌(E.coli)(DNA2.0,Menlo Park,Calif)における発現のために最適化されたコドンを用いて9個の酵素をコードする遺伝子を合成した。ベクターpJexpress404(DNA2.0,Menlo Park,Calif)においてT5プロモーターの制御下で各遺伝子をクローン化し、大腸菌(E.coli)Top10(Invitrogen,San Diego,Calif)中で発現させた。100ugのアンピシリン/mLが補充され、30mg/Lのチアミンが補充されるか補充されないLB培地において37CでOD600nm=0.5まで振とうフラスコで増殖させた後、1mMのIPTGを添加し、培養物をさらに14〜16時間増殖させた。遠心分離によって細胞を回収し、SDS−PAGEによって異種タンパク質発現を確認した。
Figure 2014521339
実施例2:大腸菌(E.coli)における候補酵素の発現
1回目の生物多様性検索からの酵素アッセイ結果に基づいて、大腸菌(E.coli)(DNA2.0,Menlo Park,Calif)における発現のために最適化されたコドンを用いて13個の付加的な酵素をコードする遺伝子(表6)を合成した。さらに、L.ラクティス(L.lactis)kivD(対照、配列番号1)をコードするコドン最適化遺伝子を調製した。ベクターpJexpress404(DNA2.0,Menlo Park,Calif)においてT5プロモーターの制御下で各遺伝子をクローン化し、大腸菌(E.coli)Top10(Invitrogen,San Diego,Calif)中で発現させた。100ugのアンピシリン/mLが補充され、30mg/Lのチアミンが補充されるか補充されないLB培地において37CでOD600nm=0.5まで振とうフラスコで増殖させた後、1mMのIPTGを添加し、培養物をさらに14〜16時間増殖させた。遠心分離によって細胞を回収し、SDS−PAGEによって異種タンパク質発現を確認した。
Figure 2014521339
Figure 2014521339
実施例3.大腸菌(E.coli)において発現されたときにKIVD活性を示す酵素の同定
以下に記載される大腸菌(E.coli)無細胞抽出物の酵素アッセイによって、所望のα−ケトイソバレレート(αKIV)デカルボキシラーゼ活性を有する推定KIVD酵素を同定した。大腸菌(E.coli)における推定酵素の発現は、実施例1および2において詳述される。
無細胞抽出物の調製
大腸菌(E.coli)細胞を、3mLの100mMのHEPES、pH6.8、10mMのMgCl中に懸濁させ、0℃において超音波処理により破壊した。マイクロチッププローブを用いて細胞を10秒間超音波処理し、25秒間静止させた。全部で2分間の超音波処理のためにこのサイクルを12回繰り返した。破壊細胞からの粗抽出物を遠心分離して、細胞片をペレット状にした。上清を除去し、アッセイされるまで氷上で貯蔵した。
タンパク質の定量化
無細胞抽出物中の全タンパク質濃度を、Coomassie Plus(Thermo Scientific#23238、Rockford,Ill.)を用いてBradford Assayにより測定した。標準としてBSAを用いた。Cary 300分光光度計(Agilent Technologies,Wilmington Del.)を用いて595nmにおける吸光度を追跡することによってタンパク質の濃度を測定した。
KIVD酵素アッセイプロトコル−共役
Gocke,D.et al.(Adv.Synth.Catal.2007,349,1425−1435)において記載されているウマ肝臓ADH(hADH)共役酵素アッセイにおいてα−ケトイソバレレートからイソブチルアルデヒドへの変換率を測定した。無細胞抽出物のアッセイは、100mMのHEPES pH6.8、10mMのMgCl、200μMのNADH、500μMのTPP、30mMのα−KIV(Sigma)、および0.45UのhADH(1mg=1.5U)(Sigma)を含有する緩衝液において30℃で実施した。Cary 300分光光度計(Agilent Technologies,Wilmington Del.)において1cm経路長キュベット中340nmで、NADHの酸化をモニターした。NADHに対して6220M−1cm−1のモル吸光係数を用いて酵素速度を計算した。種々の濃度のhADHおよび無細胞抽出物における対照によって、測定される速度がKIVD酵素活性によって決定されることを保証した。
測定された酵素活性および全タンパク質濃度から、大腸菌(E.coli)中で発現される推定KIVD酵素の比活性を計算した。1回目および2回目からの結果はそれぞれ表7および8に示される。
Figure 2014521339
Figure 2014521339
KIVD酵素アッセイプロトコル−比色
高KIVD活性を有する3つの酵素のα−ケトイソバレレートからイソブチルアルデヒド(isobutryaldehyde)への変換率は、DuPont−DurstおよびGokel(J.Chem Edu.1978,55,206)によって記載されているアルデヒド特異的Purpald(登録商標)(Sigma)比色酵素アッセイによっても測定した。無細胞抽出物のアッセイは、100mMのHEPES pH6.8、10mMのMgCl、500μMのTPPおよび30mMのα−KIVを含有する緩衝液において30℃で実施した。全反応容積は1mLであった。固定された時点(0、10、20および30分)で200μLのアリコートを除去し、1mLのPurpald(登録商標)ストック溶液(2MのNaOH中5mg/mLのPurpald)中で反応を停止させることによって、イソブチルアルデヒドの形成をモニターした。次に、混合物を室温で20分間インキュベートして、発色を可能にした。インキュベーション工程中、混合物を5分ごとに混合した。0〜10mMのイソブチルアルデヒドの標準曲線を用いて、酵素により発生されるイソブチルアルデヒドの濃度を決定した。200μLの各標準物を作り、ゼロ時点で1mLのPurpald(登録商標)ストック溶液に添加した。標準物を室温で20分間インキュベートし、5分毎に混合した。Cary 300分光光度計(Agilent Technologies,Wilmington Del.)を用いて535nmにおける吸光度を測定した。測定された酵素活性および全タンパク質濃度から、大腸菌(E.coli)中で発現される推定KIVD酵素の比活性を計算した。
表9に示されるように比色および連続共役アッセイについて同等の比活性が見出された。
Figure 2014521339
実施例4.KIVD酵素のTPP補因子活性化定数の測定
1回目および2回目からの最高活性を有する3つの推定KIVD酵素(KivD80、KivD81、およびMca)、L.ラクティス(L.lactis)KivDおよびKdcAを、大腸菌(E.coli)細胞の粗溶解物におけるTPP補因子活性化定数について評価した。大腸菌(E.coli)におけるこれらの酵素の発現は、実施例1および2で記載される。粗溶解物の生成およびタンパク質の定量化は、実施例3に記載されるように実施した。
無細胞抽出物の脱塩
Zeba Desalt Spin Columns(VWR PI89889)を用いてタンパク質を脱塩し、緩く結合したTPPを除去した。カラム調製は、製造業者の使用説明書に従って実施した。全ての遠心分離ステップは、1000xgで2分間実行した。最初の遠心分離ステップにより製造業者の貯蔵緩衝液を除去した。2mLの100mMのHEPES、pH6.8のカラムへの添加と、その後の遠心分離とからなる4回の洗浄ステップにより、細胞溶解物を脱塩するためにカラムを調製した。洗浄ステップが終了したら、カラムを新しい15mLのCorning管(VWR、21008−670)に入れ、600μLの細胞溶解物を脱塩カラムに添加し、遠心分離した。流出液を捕集し、TPP依存性のKivD活性について分析した。
KIVD酵素アッセイプロトコル−共役
Gocke,D.et al.(Adv.Synth.Catal.2007,349,1425−1435)において記載されているウマ肝臓ADH(hADH)共役酵素アッセイにおいてα−ケトイソバレレートからイソブチルアルデヒド(isobutryaldehyde)への変換率を測定した。無細胞抽出物のアッセイは、100mMのHEPES pH6.8、10mMのMgCl、200μMのNADH、30mMのα−KIV(Sigma)、および0.45UのhADH(1mg=1.5U)(Sigma)を含有する緩衝液において30℃で実施した。TPP濃度を変化させた。Cary 300分光光度計(Agilent Technologies,Wilmington Del.)において1cm経路長キュベット中340nmで、NADHの酸化をモニターした。NADHに対して6220M−1cm−1のモル吸光係数を用いて酵素速度を計算した。種々の濃度のhADHおよび無細胞抽出物における対照によって、測定される速度がKIVD酵素活性によって決定されることを保証した。
測定された酵素活性および全タンパク質濃度から、大腸菌(E.coli)中で発現される推定KIVD酵素の比活性を計算した。これらの比活性をTPP濃度に対してプロットした。Kaleidagraph(相乗効果)を用いて、得られた曲線を飽和式(SA=(SAmax [TPP])/(K+[TPP]))+C)に当てはめた。TPP補因子活性化定数(K)を決定し、値を表10に記載する。
Figure 2014521339
実施例5.チアミン補充培地による大腸菌(E.coli)中での発現の後の選択された2回目の酵素のKIVD活性
KIVD活性を有する酵素に対する配列相同性に基づいて、2回目の候補のうちの5つをさらに分析した。挿入のないベクターおよびMcaをそれぞれ負および正の対照として使用した。大腸菌(E.coli)における発現は、増殖培地に30mg/Lのチアミン塩酸塩(Sigma)を補充することを変更して実施例2に記載されるように実施した。粗抽出物を調製し、実施例3に記載されるようにアッセイした。SDS−PAGE分析により、大腸菌(E.coli)において不溶性タンパク質としてNpuが発現されることが示された。
Figure 2014521339
実施例6.基質特異性比の測定
2つの推定KIVD酵素(KivD81、Mca)、KdcAおよびLactis KivDを基質選択性について評価した。酵素のそれぞれをコードするプラスミド(例えば、プラスミドの説明については実施例1および2を参照)を単離し、大腸菌(E.coli)のエレクトロコンピテントなKEIOΔldh株(Open Biosystems,Huntsville,AL)に形質転換した。100ugのアンピシリン/mLが補充されたLB培地において30℃でOD600nm=0.5まで振とうフラスコで増殖させた後、1mMのIPTGを添加し、培養物をさらに14〜16時間増殖させた。粗細胞溶解物を以下のように生成させ、aKivおよびピルベートとの活性に関して推定KivD酵素を分析した。
無細胞抽出物の調製
大腸菌(E.coli)細胞を、3mLの100mMのHEPES、pH6.8、10mMのMgCl中に懸濁させ、0℃において超音波処理により破壊した。プローブを用いて細胞を10秒間超音波処理し、25秒間静止させた。全部で2分間の超音波処理のためにこのサイクルを12回繰り返した。破壊細胞からの粗抽出物を遠心分離して、細胞片をペレット状にした。上清を除去し、アッセイされるまで氷上で貯蔵した。
タンパク質の定量化
無細胞抽出物中の全タンパク質濃度を、Coomassie Plus(Thermo Scientific#23238、Rockford,Ill.)を用いてBradford Assayにより測定した。標準としてBSAを用いた。Cary 50分光光度計(Agilent Technologies,Wilmington Del.)を用いて595nmにおける吸光度を追跡することによってタンパク質の濃度を測定した。
KIVD酵素アッセイプロトコル−共役
Gocke,D.et al.(Adv.Synth.Catal.2007,349,1425−1435)において記載されているウマ肝臓ADH(hADH)共役酵素アッセイにおいてケトイソバレレートからイソブチルアルデヒド(isobutryaldehyde)への変換率を測定した。無細胞抽出物のアッセイは、100mMのHEPES pH6.8、10mMのMgCl、200μMのNADH、500μMのTPP、および0.45UのhADH(1mg=1.5U)(Sigma)を含有する緩衝液において30℃で実施した。基質、ピルベート(Sigma)またはαKIV(Sigma)を種々の濃度で添加した。Cary 300分光光度計(Agilent Technologies,Wilmington Del.)において1cm経路長キュベット中340nmで、NADHの酸化をモニターした。NADHに対して6220M−1cm−1のモル吸光係数を用いて酵素速度を計算した。種々の濃度のhADHおよび無細胞抽出物における対照によって、測定される速度がKIVD酵素活性によって決定されることを保証した。
測定された酵素活性および全タンパク質濃度から、大腸菌(E.coli)中で発現される推定KIVD酵素の比活性を計算した。これらの比活性を適切な基質に対してプロットした。Kaleidagraph(相乗効果)を用いて、得られた曲線をMichaelis−Menton式に当てはめ、KおよびVmaxを決定した。動力学的な値および特異性比([(Vmax/K)αKiv]/[(Vmax/K)ピルベート])は表12に記載される。
Figure 2014521339
実施例7:PNY1503(BP1064)の構築
サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)株BP1064(PNY1503)の構築
株BP1064は、CEN.PK113−7D(CBS8340、Centraalbureau voor Schimmelcultures(CBS)Fungal Biodiversiry Centre,Netherlands)に由来し、以下の遺伝子:URA3、HIS3、PDC1、PDC5、PDC6、およびGPD2の欠失を含有する。
標的遺伝子の上流および下流の相同性領域と、形質転換体の選択のためのG418耐性マーカーまたはURA3遺伝子のいずれかとを含有するPCR断片による相同組換えによって、コード配列全体を完全に除去した欠失を作成した。Creリコンビナーゼ(pRS423::PGAL1−cre、配列番号71)を用いて、loxP部位により隣接されるG418耐性マーカーを除去した。URA3遺伝子を相同組換えにより除去して痕跡のない(scarless)欠失を作成する、あるいはloxP部位に隣接される場合には、Creリコンビナーゼを用いて除去した。
痕跡のない欠失の手順は、Akada et al.,Yeast,23:399,2006から適合させた。一般に、4つの断片A−B−U−CをオーバーラップPCRにより結合させることによって、痕跡のない欠失のそれぞれに対するPCRカセットを作った。PCRカセットは、選択可能/対抗選択可能なマーカー、天然CEN.PK113−7D URA3遺伝子からなるURA3(断片U)を、プロモーター(URA3遺伝子の上流250bp)およびターミネーター(URA3遺伝子の下流150bp)と共に含有した。断片AおよびCは、標的遺伝子のすぐ上流500bp(断片A)および標的遺伝子の3’端部の500bp(断片C)に相当した。断片AおよびCは、相同組換えによるカセットの染色体への組込みのために使用した。断片B(長さ500bp)は標的遺伝子のすぐ下流の500bpに相当し、カセットの染色体への組込みの際に断片Bに相当する配列の直接反復が作成されるように、相同組換えによる染色体からのURA3マーカーおよび断片Cの切除のために使用した。PCR産物ABUCカセットを用いて、まずURA3マーカーを組込み、次に相同組換えにより染色体から切除した。最初の組込みにより、3’の500bpを除く遺伝子が欠失された。切除の際、遺伝子の3’の500bp領域も欠失された。この方法を用いる遺伝子の組込みのために、組み込むべき遺伝子は、断片AとBの間でPCRカセットに包含させた。
URA3の欠失
内因性URA3コード領域を欠失させるために、ura3::loxP−kanMX−loxPカセットを、pLA54テンプレートDNA(配列番号72)からPCR増幅した。pLA54は、K.ラクティス(K.lactis)TEF1プロモーターおよびkanMXマーカーを含有し、loxP部位によって隣接されて、Creリコンビナーゼによる組換えおよびマーカーの除去を可能にする。PCRは、Phusion DNAポリメラーゼならびにプライマーBK505およびBK506(配列番号73および74)を用いて行った。各プライマーのURA3部分は、loxP−kanMX−loxPマーカーの組込みがURA3コード領域の置換をもたらすように、URA3プロモーターの上流の5’領域およびコード領域の下流の3’領域に由来した。標準遺伝子技術(Methods in Yeast Genetics,2005,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,pp.201−202)を用いてPCR産物をCEN.PK113−7Dに形質転換し、G418(100μg/ml)を含有するYPDにおいて30℃で形質転換体を選択した。形質転換体をスクリーニングして、プライマーLA468およびLA492(配列番号75および76)を用いるPCRによって正しい組込みを検証し、CEN.PK113−7DΔura3::kanMXと命名した。
HIS3の欠失
Phusion High Fidelity PCR Master Mix(New England BioLabs,Ipswich,MA)と、Gentra Puregene Yeast/Bactキット(Qiagen,Valencia,CA)により調製したテンプレートとしてのCEN.PK113−7DゲノムDNAとを用いて、痕跡のないHIS3欠失のためのPCRカセットの4つの断片を増幅した。プライマーoBP452(配列番号77)と、HIS3断片Bの5’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP453(配列番号78)とを用いて、HIS3断片Aを増幅した。HIS3断片Aの3’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP454(配列番号79)と、HIS3断片Uの5’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP455(配列番号80)とを用いて、HIS3断片Bを増幅した。HIS3断片Bの3’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP456(配列番号81)と、HIS3断片Cの5’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP457(配列番号82)とを用いて、HIS3断片Uを増幅した。HIS3断片Uの3’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP458(配列番号83)と、プライマーoBP459(配列番号84)とを用いて、HIS3断片Cを増幅した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen)により精製した。HIS3断片AおよびHIS3断片Bを混合し、プライマーoBP452(配列番号77)およびoBP455(配列番号80)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりHIS3断片ABを作成した。HIS3断片UおよびHIS3断片Cを混合し、プライマーoBP456(配列番号81)およびoBP459(配列番号84)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりHIS3断片UCを作成した。得られたPCR産物をアガロースゲルにおいて精製した後、Gel Extractionキット(Qiagen)により精製した。HIS3断片ABおよびHIS3断片UCを混合し、プライマーoBP452(配列番号77)およびoBP459(配列番号84)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりHIS3ABUCカセットを作成した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen)により精製した。
CEN.PK113−7DΔura3::kanMXのコンピテント細胞を作り、Frozen−EZ Yeast Transformation IIキット(Zymo Research,Orange,CA)を用いて、HIS3ABUCPCRカセットで形質転換した。形質転換混合物を、2%のグルコースが補充されたウラシルを欠いた合成完全培地において30℃でプレーティングした。Gentra Puregene Yeast/Bactキット(Qiagen)により調製されたゲノムDNAを用いて、his3ノックアウトを有する形質転換体を、プライマーoBP460(配列番号85)およびoBP461(配列番号86)によるPCRによってスクリーニングした。正しい形質転換体を株CEN.PK113−7DΔura3::kanMXΔhis3::URA3として選択した。
Δura3部位からのKanMXマーカーの除去およびΔhis3部位からのURA3マーカーの除去
Frozen−EZ Yeast Transformation IIキット(Zymo Research)を用いて、CEN.PK113−7DΔura3::kanMXΔhis3::URA3を、pRS423::PGAL1−cre(配列番号71)で形質転換し、2%のグルコースが補充されたヒスチジンおよびウラシルを欠いた合成完全培地において30℃でプレーティングすることによって、KanMXマーカーを除去した。1%のガラクトースが補充されたYP中、30℃で約6時間、形質転換体を増殖させて、CreリコンビナーゼおよびKanMXマーカーの切除を誘発させ、回収のために30℃でYPD(2%のグルコース)プレートにプレーティングした。分離株をYPD中で一晩増殖させ、5−フルオロ−オロト酸(0.1%)を含有する合成完全培地に30℃でプレーティングして、URA3マーカーを失った分離株を選択した。pRS423::PGAL1−creプラスミドの除去のために、5−FOA耐性分離株をYPDにおいて増殖およびプレーティングした。YPD+G418プレート、ウラシルを欠いた合成完全培地プレート、およびヒスチジンを欠いた合成完全培地プレートにおける増殖をアッセイすることによって、KanMXマーカー、URA3マーカー、およびpRS423::PGAL1−creプラスミドの損失について分離株を検査した。G418に対して感受性があり、ウラシルおよびヒスチジンに対して栄養要求性である正しい分離株を、株CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3として選択し、BP857と命名した。欠失およびマーカー除去は、Gentra Puregene Yeast/Bactキット(Qiagen)により調製されたゲノムDNAを用いて、Δura3のためのプライマーoBP450(配列番号87)およびoBP451(配列番号88)、ならびにΔhis3のためのプライマーoBP460(配列番号85)およびoBP461(配列番号86)によるPCRおよび配列決定によって確認した。
PDC6の欠失
Phusion High Fidelity PCR Master Mix(New England BioLabs)と、Gentra Puregene Yeast/Bactキット(Qiagen)により調製したテンプレートとしてのCEN.PK113−7DゲノムDNAとを用いて、痕跡のないPDC6欠失のためのPCRカセットの4つの断片を増幅した。プライマーoBP440(配列番号89)と、PDC6断片Bの5’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP441(配列番号90)とを用いて、PDC6断片Aを増幅した。PDC6断片Aの3’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP442(配列番号91)と、PDC6断片Uの5’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP443(配列番号92)とを用いて、PDC6断片Bを増幅した。PDC6断片Bの3’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP444(配列番号93)と、PDC6断片Cの5’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP445(配列番号94)とを用いて、PDC6断片Uを増幅した。PDC6断片Uの3’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP446(配列番号95)と、プライマーoBP447(配列番号96)とを用いて、PDC6断片Cを増幅した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen)により精製した。PDC6断片AおよびPDC6断片Bを混合し、プライマーoBP440(配列番号89)およびoBP443(配列番号92)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりPDC6断片ABを作成した。PDC6断片UおよびPDC6断片Cを混合し、プライマーoBP444(配列番号93)およびoBP447(配列番号96)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりPDC6断片UCを作成した。得られたPCR産物をアガロースゲルにおいて精製した後、Gel Extractionキット(Qiagen)により精製した。PDC6断片ABおよびPDC6断片UCを混合し、プライマーoBP440(配列番号89)およびoBP447(配列番号96)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりPDC6ABUCカセットを作成した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen)により精製した。
CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3のコンピテント細胞を作り、Frozen−EZ Yeast Transformation IIキット(Zymo Research)を用いて、PDC6ABUCPCRカセットで形質転換した。形質転換混合物を、2%のグルコースが補充されたウラシルを欠いた合成完全培地において30℃でプレーティングした。Gentra Puregene Yeast/Bactキット(Qiagen)により調製されたゲノムDNAを用いて、pdc6ノックアウトを有する形質転換体を、プライマーoBP448(配列番号97)およびoBP449(配列番号98)によるPCRによってスクリーニングした。正しい形質転換体を株CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3Δpdc6::URA3として選択した。
CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3Δpdc6::URA3をYPD中で一晩増殖させ、5−フルオロ−オロト酸(0.1%)を含有する合成完全培地において30℃でプレーティングして、URA3マーカーを失った分離を選択した。欠失およびマーカー除去は、Gentra Puregene Yeast/Bactキット(Qiagen)により調製されたゲノムDNAを用いて、プライマーoBP448(配列番号97)およびoBP449(配列番号98)によるPCRおよび配列決定によって確認した。分離株からのPDC6遺伝子の不在は、PDC6のコード配列、oBP554(配列番号99)およびoBP555(配列番号100)に特異的なプライマーを用いて、ネガティブPCR結果によって実証した。正しい分離株を株CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3Δpdc6として選択し、BP891と命名した。
PDC1欠失ilvDSm組込み
PDC1遺伝子を欠失させ、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)ATCC#700610からのilvDコード領域で置換した。Phusion High Fidelity PCR Master Mix(New England BioLabs)と、Gentra Puregene Yeast/Bactキット(Qiagen)により調製したテンプレートとしてのNYLA83(参照によってその全体が本明細書中に援用される米国特許出願公開第20110124060号明細書に記載される)ゲノムDNAとを用いて、PDC1欠失−ilvDSm組込みのためのPCRカセットのA断片とその後のストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)からのilvDコード領域を増幅した。(NYLA83は、参照によってその全体が本明細書中に援用される米国特許出願公開第2009/0305363号明細書に記載されるPDC1欠失ilvDSm組込みを有する菌株である。)プライマーoBP513(配列番号102)と、PDC1断片Bの5’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP515(配列番号103)とを用いて、PDC1断片A−ilvDSm(配列番号101)を増幅した。Phusion High Fidelity PCR Master Mix(New England BioLabs)と、Gentra Puregene Yeast/Bactキット(Qiagen)により調製したテンプレートとしてのCEN.PK113−7DゲノムDNAとを用いて、PDC1欠失−ilvDSm組込みのためのPCRカセットのB、U、およびC断片を増幅した。PDC1断片A−ilvDSmの3’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP516(配列番号104)と、PDC1断片Uの5’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP517(配列番号105)とを用いて、PDC1断片を増幅した。PDC1断片Bの3’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP518(配列番号106)と、PDC1断片Cの5’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP519(配列番号107)とを用いて、PDC1断片Uを増幅した。PDC1断片Uの3’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP520(配列番号108)と、プライマーoBP521(配列番号109)とを用いて、PDC1断片Cを増幅した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen)により精製した。PDC1断片A−ilvDSmおよびPDC1断片Bを混合し、プライマーoBP513(配列番号102)およびoBP517(配列番号105)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりPDC1断片A−ilvDSm−Bを作成した。PDC1断片UおよびPDC1断片Cを混合し、プライマーoBP518(配列番号106)およびoBP521(配列番号109)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりPDC1断片UCを作成した。得られたPCR産物をアガロースゲルにおいて精製した後、Gel Extractionキット(Qiagen)により精製した。PDC1断片A−ilvDSm−BおよびPDC1断片UCを混合し、プライマーoBP513(配列番号102)およびoBP521(配列番号109)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりPDC1A−ilvDSm−BUCカセットを作成した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen)により精製した。
CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3Δpdc6のコンピテント細胞を作り、Frozen−EZ Yeast Transformation IIキット(Zymo Research)を用いて、PDC1A−ilvDSm−BUCPCRカセットで形質転換した。形質転換混合物を2%のグルコースが補充されたウラシルを欠いた合成完全培地において30℃でプレーティングした。Gentra Puregene Yeast/Bactキット(Qiagen)により調製されたゲノムDNAを用いて、pdc1ノックアウトilvDSm組込みを有する形質転換体を、プライマーoBP511(配列番号110)およびoBP512(配列番号111)によるPCRによってスクリーニングした。分離株からのPDC1遺伝子の不在は、PDC1のコード配列、oBP550(配列番号112)およびoBP551(配列番号113)に特異的なプライマーを用いて、ネガティブPCR結果によって実証した。正しい形質転換体を株CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3Δpdc6Δpdc1::ilvDSm−URA3として選択した。
CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3Δpdc6Δpdc1::ilvDSm−URA3をYPD中で一晩増殖させ、5−フルオロ−オロト酸(0.1%)を含有する合成完全培地において30℃でプレーティングして、URA3マーカーを失った分離株を選択した。PDC1の欠失、ilvDSmの組込み、およびマーカーの除去は、Gentra Puregene Yeast/Bactキット(Qiagen)により調製されたゲノムDNAを用いて、プライマーoBP511(配列番号110)およびoBP512(配列番号111)によるPCRおよび配列決定によって確認した。正しい分離株を株CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3Δpdc6Δpdc1::ilvDSmとして選択し、BP907と命名した。
PDC5欠失sadB組込み
PDC5遺伝子を欠失させ、アクロモバクター・キシロスオキシダンス(Achromobacter xylosoxidans)からのsadBコード領域で置換した(sadB遺伝子は、参照によってその全体が本明細書中に援用される米国特許出願公開第2009/0269823号明細書に記載されている)。PDC5欠失−sadB組込みのためのPCRカセットのセグメントをまずプラスミドpUC19−URA3MCSにクローン化した。
pUC19−URA3MCSはpUC19に基づき、マルチクローニング部位(MCS)内に位置するサッカロミセス・セレビシエ(Saccaromyces cerevisiae)からのURA3遺伝子の配列を含有する。pUC19は、pMB1レプリコン、およびエシェリキア・コリ(Escherichia coli)における複製および選択のためにベータ−ラクタマーゼをコードする遺伝子を含有する。URA3のコード配列に加えて、この遺伝子の上流および下流からの配列は、酵母におけるURA3遺伝子の発現のために含まれる。ベクターはクローニングの目的で使用することができ、酵母組込みベクターとして使用することができる。
サッカロミセス・セレビシエ(Saccaromyces cerevisiae)CEN.PK113−7DゲノムDNAからのURA3コード領域の上流250bpおよび下流150bpと共に、URA3コード領域を包含するDNAを、Phusion High−Fidelity PCR Master Mix(New England BioLabs)を用いて、BamHI、AscI、PmeI、およびFseI制限部位を含有するプライマーoBP438(配列番号114)と、XbaI、PacI、およびNotI制限部位を含有するoBP439(配列番号115)により増幅した。Gentra Puregene Yeast/Bactキット(Qiagen)を用いてゲノムDNAを調製した。PCR産物およびpUC19(配列番号116)を、BamHIおよびXbaIによる消化の後、T4DNAリガーゼと連結させ、ベクターpUC19−URA3MCSを作成した。ベクターは、プライマーoBP264(配列番号117)およびoBP265(配列番号118)によるPCRおよび配列決定によって確認した。
sadBのコード配列およびPDC5断片BをpUC19−URA3MCSにクローン化して、PDC5A−sadB−BUCPCRカセットのsadB−BU部分を作成した。pLH468−sadB(配列番号119)をテンプレートとして用いて、AscI制限部位を含有するプライマーoBP530(配列番号120)と、PDC5断片Bの5’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP531(配列番号121)とによりsadBのコード配列を増幅した。sadBの3’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP532(配列番号122)と、PmeI制限部位を含有するプライマーoBP533(配列番号123)とを用いて、PDC5断片Bを増幅した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen)により精製した。sadBおよびPDC5断片BのPCR産物を混合し、プライマーoBP530(配列番号120)およびoBP533(配列番号123)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりsadB−PDC5断片Bを作成した。得られたPCR産物をAscIおよびPmeIにより消化し、適切な酵素による消化の後、pUC19−URA3MCSの対応する部位にT4DNAリガーゼと共に連結させた。プライマーoBP536(配列番号124)と、PDC5断片Cの5’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するoBP546(配列番号125)とを用いて、sadB−断片B−断片Uの増幅のために、得られたプラスミドをテンプレートとして使用した。PDC5sadB−断片B−断片Uの3’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP547(配列番号126)と、プライマーoBP539(配列番号127)とを用いて、PDC5断片Cを増幅した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen)により精製した。PDC5sadB−断片B−断片UおよびPDC5断片Cを混合し、プライマーoBP536(配列番号124)およびoBP539(配列番号127)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりPDC5sadB−断片B−断片U−断片Cを作成した。得られたPCR産物をアガロースゲルにおいて精製した後、Gel Extractionキット(Qiagen)により精製した。天然PDC5コード配列のすぐ上流の50個のヌクレオチドに対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP542(配列番号129)と、oBP539(配列番号127)とを用いてPDC5sadB−断片B−断片U−断片Cを増幅することによって、PDC5A−sadB−BUCカセット(配列番号128)を作成した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen)により精製した。
CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3Δpdc6Δpdc1::ilvDSmのコンピテント細胞を作り、Frozen−EZ Yeast Transformation IIキット(Zymo Research)を用いて、PDC5A−sadB−BUCPCRカセットで形質転換した。形質転換混合物を1%のエタノールが補充されたウラシルを欠いた合成完全培地(グルコースなし)において30℃でプレーティングした。Gentra Puregene Yeast/Bactキット(Qiagen)により調製されたゲノムDNAを用いて、pdc5ノックアウトsadB組込みを有する形質転換体を、プライマーoBP540(配列番号130)およびoBP541(配列番号131)によるPCRによってスクリーニングした。分離株からのPDC5遺伝子の不在は、PDC5のコード配列、oBP552(配列番号132)およびoBP553(配列番号133)に特異的なプライマーを用いて、ネガティブPCR結果によって実証した。正しい形質転換体を株CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3Δpdc6Δpdc1::ilvDSmΔpdc5::sadB−URA3として選択した。
CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3Δpdc6Δpdc1::ilvDSmΔpdc5::sadB−URA3をYPE(1%のエタノール)中で一晩増殖させ、エタノールが補充され、5−フルオロ−オロト酸(0.1%)を含有する合成完全培地(グルコースなし)において30℃でプレーティングして、URA3マーカーを失った分離を選択した。PDC5の欠失、sadBの組込み、およびマーカーの除去は、Gentra Puregene Yeast/Bactキット(Qiagen)により調製されたゲノムDNAを用いて、プライマーoBP540(配列番号130)およびoBP541(配列番号131)によるPCRによって確認した。正しい分離株を株CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3Δpdc6Δpdc1::ilvDSmΔpdc5::sadBとして選択し、BP913と命名した。
GPD2の欠失
内因性GPD2コード領域を欠失させるために、loxP−URA3−loxPPCR(配列番号135)をテンプレートDNAとして用いて、gpd2::loxP−URA3−loxPカセット(配列番号134)をPCR増幅した。loxP−URA3−loxPは、loxPリコンビナーゼ部位に隣接される(ATCC♯77107)からのURA3マーカーを含有する。Phusion DNAポリメラーゼならびにプライマーLA512およびLA513(配列番号136および137)を用いてPCRを行った。loxP−URA3−loxPマーカーの組込みがGPD2コード領域の置換をもたらすように、各プライマーのGPD2部分は、GPD2コード領域の上流の5’領域およびコード領域の下流の3’領域に由来した。PCR産物をBP913に形質転換し、形質転換体を1%のエタノールが補充されたウラシルを欠いた合成完全培地(グルコースなし)において選択した。形質転換体をスクリーニングして、プライマーoBP582およびAA270(配列番号138および139)を用いるPCRによって正しい組込みを検証した。
pRS423::PGAL1−cre(配列番号71)による形質転換と、1%のエタノールが補充され、ヒスチジンを欠いた合成完全培地における30℃でのプレーティングとによって、URA3マーカーを再利用した。形質転換体を1%のエタノールが補充され、5−フルオロ−オロト酸(0.1%)を含有する合成完全培地上に画線し、30℃でインキュベートして、URA3マーカーを失った分離株を選択した。pRS423::PGAL1−creプラスミドを除去するために5−FOA耐性分離株をYPE(1%のエタノール)中で増殖させた。欠失およびマーカー除去は、プライマーoBP582(配列番号138)およびoBP591(配列番号140)によるPCRによって確認した。正しい分離株を株CEN.PK113−7DΔura3::loxPΔhis3Δpdc6Δpdc1::ilvDSmΔpdc5::sadBΔgpd2::loxPとして選択し、BP1064(PNY1503)と命名した。
実施例8:PNY1507の構築
サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)株BP1135(PNY1505)およびPNY1507ならびにイソブタノール産生誘導体の構築
この実施例の目的は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)株BP1135およびPNY1507を構築することであった。これらの株はPNY1503(BP1064)に由来した。PNY1503(BP1064)の構築は上記に記載される。BP1135は、FRA2遺伝子の付加的な欠失を含有する。PNY1507はBP1135に由来し、ADH1遺伝子の付加的な欠失を有し、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)における発現のためにコドン最適化されたラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)からのkivD遺伝子のADH1座位への組込みを有した。
FRA2の欠失
FRA2の欠失は、FRA2コード配列の最初の113個のヌクレオチドはインタクトのままにして、コード配列の3’端部から250個のヌクレオチドを欠失するように設計した。インフレームの終止コドンは欠失の7ヌクレオチド下流に存在した。Phusion High Fidelity PCR Master Mix(New England BioLabs,Ipswich,MA)と、Gentra Puregene Yeast/Bactキット(Qiagen,Valencia,CA)により調製したテンプレートとしてのCEN.PK113−7DゲノムDNAとを用いて、痕跡のないFRA2の欠失のためのPCRカセットの4つの断片を増幅した。プライマーoBP594(配列番号141)と、FRA2断片Bの5’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP595(配列番号142)とを用いて、FRA2断片Aを増幅した。FRA2断片Aの3’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP596(配列番号143)と、FRA2断片Uの5’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP597(配列番号144)とを用いて、FRA2断片Bを増幅した。FRA2断片Bの3’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP598(配列番号145)と、FRA2断片Cの5’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP599(配列番号146)とを用いて、FRA2断片Uを増幅した。FRA2断片Uの3’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP600(配列番号147)と、プライマーoBP601(配列番号148)とを用いて、FRA2断片Cを増幅した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen)により精製した。FRA2断片AおよびFRA2断片Bを混合し、プライマーoBP594(配列番号141)およびoBP597(配列番号144)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりFRA2断片ABを作成した。FRA2断片UおよびFRA2断片Cを混合し、プライマーoBP598(配列番号145)およびoBP601(配列番号148)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりFRA2断片UCを作成した。得られたPCR産物をアガロースゲルにおいて精製した後、Gel Extractionキット(Qiagen)により精製した。FRA2断片ABおよびFRA2断片UCを混合し、プライマーoBP594(配列番号141)およびoBP601(配列番号148)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりFRA2ABUCカセットを作成した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen)により精製した。
PNY1503のコンピテント細胞を作り、Frozen−EZ Yeast Transformation IIキット(Zymo Research,Orange,CA)を用いて、FRA2ABUCPCRカセットで形質転換した。形質転換混合物を、1%のエタノールが補充されたウラシルを欠いた合成完全培地において30℃でプレーティングした。Gentra Puregene Yeast/Bactキット(Qiagen)により調製されたゲノムDNAを用いて、fra2ノックアウトを有する形質転換体を、プライマーoBP602(配列番号149)およびoBP603(配列番号150)によるPCRによってスクリーニングした。正しい形質転換体をYPE(酵母抽出物、ペプトン、1%のエタノール)中で増殖させ、5−フルオロ−オロト酸(0.1%)を含有する合成完全培地において30℃でプレーティングして、URA3マーカーを失った分離株を選択した。欠失およびマーカー除去は、Gentra Puregene Yeast/Bactキット(Qiagen)により調製されたゲノムDNAを用いて、プライマーoBP602(配列番号149)およびoBP603(配列番号150)によるPCRによって確認した。分離株からのFRA2遺伝子の欠損は、FRA2のコード配列、oBP605(配列番号151)およびoBP606(配列番号152)に特異的なプライマーを用いて、陰性PCR結果によって実証した。正しい分離株を株CEN.PK113−7DMATa ura3Δ::loxP his3Δpdc6Δpdc1Δ::P[PDC1]−DHAD|ilvD_Sm−PDC1t pdc5Δ::P[PDC5]−ADH|sadB_Ax−PDC5t gpd2Δ::loxP fra2Δとして選択し、PNY1505(BP1135)と命名した。この菌株をイソブタノール経路プラスミド(pYZ090、配列番号69)およびpLH468(配列番号70)で形質転換させ、1つのクローンをBP1168(PNY1506)と命名した。
ADH1欠失およびkivD Ll(y)組込み
ADH1遺伝子を欠失させ、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)における発現のためにコドン最適化されたラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)からのkivDコード領域で置換した。ADH1欠失−kivD_Ll(y)の組込みのための痕跡のないカセットを、まずプラスミドpUC19−URA3MCSにクローン化した。
pLH468(配列番号70)をテンプレートとして用いて、PmeI制限部位を含有するプライマーoBP562(配列番号153)と、ADH1断片Bの5’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP563(配列番号154)とにより、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)における発現のためにコドン最適化されたラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)からのkivDコード領域を増幅した。kivD_Ll(y)の3’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP564(配列番号155)と、FseI制限部位を含有するプライマーoBP565(配列番号156)とにより上記のように調製したゲノムDNAからADH1断片Bを増幅した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen)により精製した。kivD_Ll(y)およびADH1断片BのPCR産物を混合し、プライマーoBP562(配列番号153)およびoBP565(配列番号156)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりkivD_Ll(y)−ADH1断片Bを作成した。得られたPCR産物をPmeIおよびFseIにより消化し、適切な酵素による消化の後、pUC19−URA3MCSの対応する部位にT4DNAリガーゼにより連結させた。SacI制限部位を含有するプライマーoBP505(配列番号157)と、AscI制限部位を含有するプライマーoBP506(配列番号158)とにより、ゲノムDNAからADH1断片Aを増幅した。ADH1断片AのPCR産物をSacIおよびAscIにより消化し、kivD_Ll(y)−ADH1断片Bを含有するプラスミドの対応する部位にT4DNAリガーゼにより連結させた。PacI制限部位を含有するプライマーoBP507(配列番号159)と、SalI制限部位を含有するプライマーoBP508(配列番号160とにより、ゲノムDNAからADH1断片Cを増幅した。ADH1断片CのPCR産物をPacIおよびSalIにより消化し、ADH1断片A−kivD_Ll(y)−ADH1断片Bを含有するプラスミドの対応する部位にT4DNAリガーゼにより連結させた。AscI制限部位を含有するプライマーoBP674(配列番号162)と、PmeI制限部位を含有するプライマーoBP675(配列番号163)とにより、ベクターpRS316−UAS(PGK1)−PFBA1−GUS(配列番号161)から、ハイブリッドプロモーターUAS(PGK1)−PFBA1を増幅した。UAS(PGK1)−PFBA1のPCR産物をAscIおよびPmeIにより消化し、kivD_Ll(y)−ADH1断片ABCを含有するプラスミドの対応する部位にT4DNAリガーゼにより連結させた。プライマーoBP505(配列番号157)およびoBP508(配列番号160)を用いて、得られたプラスミドから組込みカセット全体を増幅し、PCR Purificationキット(Qiagen)により精製した。
PNY1505のコンピテント細胞を作り、Frozen−EZ Yeast Transformation IIキット(Zymo Research)を用いて、上記で構築したADH1−kivD_Ll(y)PCRカセットで形質転換した。形質転換混合物を、1%のエタノールが補充されたウラシルを欠いた合成完全培地において30℃でプレーティングした。形質転換体をYPE(1%のエタノール)中で増殖させ、5−フルオロ−オロト酸(0.1%)を含有する合成完全培地において30℃でプレーティングし、URA3マーカーを失った分離株を選択した。Gentra Puregene Yeast/Bactキット(Qiagen)により調製されたゲノムDNAを用いて、外部プライマーoBP495(配列番号164)およびoBP496(配列番号165)ならびにkivD_Ll(y)特異的プライマーoBP562(配列番号153)および外部プライマーoBP496(配列番号165)によるPCRによってADH1の欠失およびkivD_Ll(y)の組込みを確認した。正しい分離株を株CEN.PK113−7D MATa ura3Δ::loxP his3Δpdc6Δpdc1Δ::P[PDC1]−DHAD|ilvD_Sm−PDC1tpdc5Δ::P[PDC5]−ADH|sadB_Ax−PDC5t gpd2Δ::loxP fra2Δadh1Δ::UAS(PGK1)P[FBA1]−kivD_Ll(y)−ADH1tとして選択し、PNY1507(BP1201)と命名した。
実施例9:PNY2211の構築
S.セレビシエ(S.cerevisiae)株PNY2211およびPNY2209の構築
PNY2211は、以下の段落に記載されるように、S.セレビシエ(S.cerevisiae)株PNY1507から、いくつかのステップで構築した。まず、ホスホケトラーゼ(phosophoketolase)遺伝子を含有するように菌株を修飾した。次に、ホスホケトラーゼ遺伝子に隣接する配列に標的化された組込みベクターを用いて、アセト乳酸シンターゼ遺伝子(alsS)を菌株に付加した。最後に、相同組換えを用いてホスホケトラーゼ遺伝子および組込みベクター配列を除去し、pdc1Δ::ilvDと、染色体XIIの天然TRX1遺伝子との間の遺伝子間領域におけるalsSの痕跡のない挿入を得た。PNY2211の得られた遺伝子型は、MATa ura3Δ::loxP his3Δpdc6Δpdc1Δ::P[PDC1]−DHAD|ilvD_Sm−PDC1t−P[FBA1]−ALS|alsS_Bs−CYC1t pdc5Δ::P[PDC5]−ADH|sadB_Ax−PDC5t gpd2Δ::loxP fra2Δadh1Δ::UAS(PGK1)P[FBA1]−kivD_Ll(y)−ADH1tである。
ホスホケトラーゼ遺伝子カセットを相同組換えによりPNY1507に導入した。組込み構築物は以下のように作成した。プラスミドpRS423::CUP1−alsS+FBA−budA(参照によってその全体が本明細書中に援用される米国特許出願公開2009/0305363号明細書に既に記載されている)をNotIおよびXmaIにより消化して1.8kbのFBA−budA配列を除去し、Klenow断片で処理した後、ベクターを連結させた。次に、DNA2.0(Menlo Park,CA)からのDNA合成およびベクター構築サービスにより、CUP1プロモーターをTEF1プロモーター変異体(参照によってその全体が本明細書中に援用されるNevoigt et al.Appl.Environ.Microbiol.72:5266−5273(2006)によって既に記載されているM4変異体)で置換した。得られたプラスミド、pRS423::TEF(M4)−alsSをStuIおよびMluI(alsS遺伝子の一部およびCYC1ターミネーターを含有する1.6kb部分を除去する)で切断し、プライマーN1176(配列番号168)およびN1177(配列番号169)によりpRS426::GPD−xpk1+ADH−eutD(配列番号167)から生成された4kbのPCR産物、ならびにプライマーN822(配列番号170)およびN1178(配列番号171)により酵母ゲノムDNA(ENO1プロモーター領域)から生成された0.8kbのPCR産物DNAと結合させ、S.セレビシエ(S.cerevisiae)株BY4741(ATCC#201388)に形質転換した(ギャップ修復クローニング法、Ma et al.Gene 58:201−216(1987)を参照)。ヒスチジンを含まない合成完全培地に細胞をプレーティングすることによって形質転換体を得た。PCR(プライマーN821(配列番号173)およびN1115(配列番号174))および制限消化(BglI)によって、予想されるプラスミド(pRS423::TEF(M4)−xpk1+ENO1−eutD、配列番号172)の適切な構築物を確認した。続いて、2つのクローンを配列決定した。3.1kbのTEF(M4)−xpk1遺伝子を、SacIおよびNotIによる消化によって単離し、pUC19−URA3::ilvD−TRX1ベクターにクローン化した(クローンA、AflIIで切断)。クローニング断片をKlenow断片で処理して、連結のための平滑断端を生成した。連結反応物を大腸菌(E.coli)Stbl3細胞に形質転換し、アンピシリン耐性について選択した。PCR(プライマーN1110(配列番号175)およびN1114(配列番号176))によってTEF(M4)−xpk1の挿入を確認した。ベクターをAflIIにより直線化し、Klenow断片で処理した。1.8kbのKpnI−HincIIジェネテシン耐性カセットを、Klenow断片処理の後、連結によりクローン化した。連結反応物を大腸菌(E.coli)Stbl3細胞に形質転換して、アンピシリン耐性について選択した。PCR(プライマーN160SeqF5(配列番号183)およびBK468(配列番号178))によってジェネテシンカセットの挿入を確認した。プラスミド配列は、配列番号179(pUC19−URA3::pdc1::TEF(M4)−xpk1::kan)として提供される。
得られた組込みカセット(pdc1::TEF(M4)−xpk1::KanMX::TRX1)を単離し(AscIおよびNaeI消化により5.3kbバンドが生じ、これをゲル精製した)、Zymo Research Frozen−EZ Yeast Transformation Kit(カタログ番号T2001)を用いてPNY1507に形質転換した。YPE+50μg/mlのG418にプレーティングすることによって形質転換体を選択した。PCR(プライマーN886(配列番号180)およびN1214(配列番号181))によって、予想される座位における組込みを確認した。次に、CreリコンビナーゼをコードするプラスミドpRS423::GAL1p−Cre(配列番号71)を使用して、loxP隣接KanMXカセットを除去した。PCR(プライマーoBP512(配列番号111)およびN160SeqF5(配列番号177))によって、カセットの適切な除去を確認した。最後に、alsS組込みプラスミド(配列番号225、pUC19−kan::pdc1::FBA−alsS::TRX1、クローンA)を、包含されたジェネテシン選択マーカーを用いてこの菌株に形質転換した。プラスミドpYZ090ΔalsS(配列番号182)およびpBP915(配列番号166)による形質転換(Amberg,Burke and Strathern”Methods in Yeast Genetics”(2005)のプロトコル#2を用いて形質転換)、ならびにグルコース含有培地における増殖およびイソブタノール産生の評価によって、2つの組込み体をアセト乳酸シンターゼ活性について試験した(増殖およびイソブタノール測定方法は以下の通りである:炭素源として0.3%のグルコースおよび0.3%のエタノールを含有するヒスチジンおよびウラシルのない合成完全培地(125mLの通気口のあるErlenmeyerフラスコ(VWRカタログ番号89095−260)内に10mLの培地)において全ての菌株を増殖させた。一晩のインキュベーション(Innova(登録商標)40 New Brunswick Scientific Shaker中、30℃、250rpm)の後、2%のグルコースおよび0.05%のエタノールを含有する合成完全培地(125mLの堅くフタをしたErlenmeyerフラスコ(VWRカタログ番号89095−260)内に20mlの培地)において、培養物を0.2OD(Eppendorf BioPhotometer測定)に希釈して戻した。48時間のインキュベーション(Innova(登録商標)40 New Brunswick Scientific Shaker中、30℃、250rpm)の後、米国特許出願公開第20070092957号明細書に記載される方法によるHPLCによって培養の上清(Spin−X遠心管フィルタユニット、Costarカタログ番号8169を用いて捕集)を分析した。)。2つのクローンのうちの1つは陽性であり、PNY2218と命名した。
PNY2218をCreリコンビナーゼで処理し、得られたクローンを、PCR(プライマーN886(配列番号180)およびN160SeqR5(配列番号183))によりxpk1遺伝子およびpUC19組込みベクター配列の損失についてスクリーニングした。これにより、xpk1の上流のDNA、および組込みベクターの挿入中に導入された相同DNAの組換えの後、pdc1−TRX1遺伝子間領域に組み込まれたalsS遺伝子だけが残された(ベクター、マーカー遺伝子およびloxP配列は失われるので、「痕跡のない」挿入)。この組換えはどの時点でも生じたはずであるが、ジェネテシン選択がなくてもベクターの組込みは安定していたようであり、組換え事象はCreリコンビナーゼの導入後にのみ観察された。1つのクローンをPNY2211と命名した。
実施例10:PNY1528の構築
PNY1528(PNY2211におけるhADHの組込み)
標的領域の上流および下流の相同性領域ならびに形質転換体の選択のためのURA3遺伝子を含有するPCR産物による相同組換えによって、欠失/組込みを作成した。URA3遺伝子を相同組換えにより除去して、痕跡のない欠失/組込みを作成した。
痕跡のない欠失/組込み手順は、Akada et al.,Yeast,23:399(2006)から適合させた。欠失/組込み手順のためのPCRによりカセット全体を増幅する前に、個々の断片をプラスミドにクローン化することにより4つの断片A−B−U−Cおよび組み込むべき遺伝子を結合させることによって、各欠失/組込みのためのPCRカセットを作った。組み込むべき遺伝子は、断片AとBの間でカセットに包含させた。PCRカセットは、選択可能/対抗選択可能なマーカー、天然CEN.PK113−7D URA3遺伝子からなるURA3(断片U)を、プロモーター(URA3遺伝子の上流250bp)およびターミネーター(URA3遺伝子の下流150bp)領域と共に含有した。断片AおよびC(それぞれ、長さ約100〜500bp)は、標的領域のすぐ上流の配列(断片A)および標的領域の3’配列(断片C)に相当した。断片AおよびCは、相同組換えによるカセットの染色体への組込みのために使用した。断片B(長さ500bp)は標的領域のすぐ下流の500bpに相当し、カセットの染色体への組込みの際に断片Bに相当する配列の直接反復が作成されるように、相同組換えによる染色体からのURA3マーカーおよび断片Cの切除のために使用した。
YPRCΔ15の欠失およびウマ肝臓adhの組込み
YPRCΔ15座位を欠失させ、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)からのPDC5プロモーター領域(538bp)およびサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)からのADH1ターミネーター領域(316bp)と共に、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)における発現のためにコドン最適化されたウマ肝臓adh遺伝子で置換した。YPRCΔ15欠失−P[PDC5]−adh_HL(y)−ADH1tの組込みのための痕跡のないカセットを、まずプラスミドpUC19−URA3MCSにクローン化した。
Phusion High Fidelity PCR Master Mix(New England BioLabs,Ipswich,MA)と、Gentra Puregene Yeast/Bactキット(Qiagen,Valencia,CA)により調製したテンプレートとしてのCEN.PK113−7DゲノムDNAとを用いて、断片A−B−U−Cを増幅した。KpnI制限部位を含有するプライマーoBP622(配列番号184)と、YPRCΔ15断片Bの5’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP623(配列番号185)とにより、ゲノムDNAからYPRCΔ15断片Aを増幅した。YPRCΔ15断片Aの3’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP624(配列番号186)と、FseI制限部位を含有するプライマーoBP625(配列番号187)とにより、ゲノムDNAからYPRCΔ15断片Bを増幅した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen)により精製した。YPRCΔ15断片AおよびYPRCΔ15断片BのPCR産物を混合し、プライマーoBP622(配列番号184)およびoBP625(配列番号187)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりYPRCΔ15断片A−YPRCΔ15断片Bを作成した。得られたPCR産物をKpnIおよびFseIにより消化し、適切な酵素による消化の後、pUC19−URA3MCSの対応する部位にT4DNAリガーゼにより連結させた。NotI制限部位を含有するプライマーoBP626(配列番号188)と、PacI制限部位を含有するプライマーoBP627(配列番号189)とにより、ゲノムDNAからYPRCΔ15断片Cを増幅した。YPRCΔ15断片CのPCR産物をNotIおよびPacIにより消化し、YPRCΔ15断片ABを含有するプラスミドの対応する部位にT4DNAリガーゼにより連結させた。AscI制限部位を含有するプライマーHY21(配列番号190)と、dh_Hl(y)の5’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーHY24(配列番号191)とにより、CEN.PK113−7DゲノムDNAからPDC5プロモーター領域を増幅した。P[PDC5]の3’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーHY25(配列番号192)と、PmeI制限部位を含有するHY4(配列番号193)とにより、pBP915(配列番号166)からadh_Hl(y)−ADH1tを増幅した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen)により精製した。P[PDC5]およびadh_HL(y)−ADH1tのPCR産物を混合し、プライマーHY21(配列番号190)およびHY4(配列番号193)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりP[PDC5]−adh_HL(y)−ADH1tを作成した。得られたPCR産物をAscIおよびPmeIにより消化し、YPRCΔ15断片ABCを含有するプラスミドの対応する部位にT4DNAリガーゼにより連結させた。プライマーoBP622(配列番号184)およびoBP627(配列番号189)を用いて、得られたプラスミドから組込みカセット全体を増幅した。
PNY2211のコンピテント細胞を作り、Frozen−EZ Yeast Transformation IIキット(Zymo Research,Orange,CA)を用いて、YPRCΔ15欠失−P[PDC5]−adh_HL(y)−ADH1t組込みカセットPCR産物で形質転換した。形質転換混合物を、1%のエタノールが補充されたウラシルを欠いた合成完全培地において30Cでプレーティングした。形質転換体を、プライマーURA3−end F(配列番号194)およびoBP637(配列番号195)によるPCRによってスクリーニングした。正しい形質転換体をYPE(1%のエタノール)中で増殖させ、1%のEtOHが補充され、5−フルオロ−オロト酸(0.1%)を含有する合成完全培地において30Cでプレーティングして、URA3マーカーを失った分離株を選択した。YeaStar Genomic DNA(Zymo Research)により調製されたゲノムDNAを用いて、外部プライマーoBP636(配列番号124)およびoBP637(配列番号195)によるPCRによってYPRCΔ15の欠失およびP[PDC5]−adh_HL(y)−ADH1tの組込みを確認した。さらなる修飾のために以下の遺伝子型の正しい分離株を選択した:CEN.PK113−7D MATa ura3Δ::loxP his3Δpdc6Δpdc1Δ::P[PDC1]−DHAD|ilvD_Sm−PDC1t−P[FBA1]−ALS|alsS_Bs−CYC1t pdc5Δ::P[PDC5]−ADH|sadB_Ax−PDC5t gpd2Δ::loxP fra2Δadh1Δ::UAS(PGK1)P[FBA1]−kivD_Ll(y)−ADH1typrcΔ15Δ::P[PDC5]−ADH|adh_Hl−ADH1t。
fra2Δにおけるウマ肝臓adhの組込み
サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)からのPDC1プロモーター領域(870bp)およびサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)からのADH1ターミネーター領域(316bp)と共に、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)における発現のためにコドン最適化されたウマ肝臓adh遺伝子をfra2の欠失部位に組み込んだ。fra2Δ−P[PDC1]−adh_HL(y)−ADH1tの組込みのための痕跡のないカセットを、まずプラスミドpUC19−URA3MCSにクローン化した。
Phusion High Fidelity PCR Master Mix(New England BioLabs,Ipswich,MA)と、Gentra Puregene Yeast/Bactキット(Qiagen,Valencia,CA)により調製したテンプレートとしてのCEN.PK113−7DゲノムDNAとを用いて、断片A−B−U−Cを増幅した。NotI制限部位を含有するプライマーoBP695(配列番号197)と、PacI制限部位を含有するプライマーoBP696(配列番号198)とにより、ゲノムDNAからfra2Δ断片Cを増幅した。fra2Δ断片CのPCR産物をNotIおよびPacIにより消化し、pUC19−URA3MCSの対応する部位にT4DNAリガーゼにより連結させた。PmeI制限部位を含有するプライマーoBP693(配列番号199)と、FseI制限部位を含有するプライマーoBP694(配列番号200)とにより、ゲノムDNAからfra2Δ断片Bを増幅した。得られたPCR産物をPmeIおよびFseIにより消化し、適切な酵素による消化の後、fra2Δ断片Cを含有するプラスミドの対応する部位にT4DNAリガーゼにより連結させた。BamHIおよびAsiSI制限部位を含有するプライマーoBP691(配列番号201)と、AscIおよびSwaI制限部位を含有するプライマーoBP692(配列番号202)とにより、ゲノムDNAからfra2Δ断片Aを増幅した。fra2Δ断片AのPCR産物をBamHIおよびAscIにより消化し、適切な酵素による消化の後、fra2Δ断片BCを含有するプラスミドの対応する部位にT4DNAリガーゼにより連結させた。AscI制限部位を含有するプライマーHY16(配列番号203)と、adh_Hl(y)の5’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーHY19(配列番号204)とにより、CEN.PK113−7DゲノムDNAからPDC1プロモーター領域を増幅した。P[PDC1]の3’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーHY20(配列番号205)と、PmeI制限部位を含有するHY4(配列番号193)とにより、pBP915からadh_Hl(y)−ADH1tを増幅した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen)により精製した。P[PDC1]およびadh_HL(y)−ADH1tのPCR産物を混合し、プライマーHY16(配列番号203)およびHY4(配列番号193)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりP[PDC1]−adh_HL(y)−ADH1tを作成した。得られたPCR産物をAscIおよびPmeIにより消化し、fra2Δ断片ABCを含有するプラスミドの対応する部位にT4DNAリガーゼにより連結させた。プライマーoBP691(配列番号201)およびoBP696(配列番号198)を用いて、得られたプラスミドから組込みカセット全体を増幅した。
YPRCΔ15においてadh_Hl(y)が組み込まれたPNY2211変異体のコンピテント細胞を作り、Frozen−EZ Yeast Transformation IIキット(Zymo Research)を用いて、fra2Δ−P[PDC1]−adh_HL(y)−ADH1t組込みカセットPCR産物で形質転換した。形質転換混合物を、1%のエタノールが補充されたウラシルを欠いた合成完全培地において30Cでプレーティングした。形質転換体を、プライマーURA3−end F(配列番号194)およびoBP731(配列番号206)によるPCRによってスクリーニングした。正しい形質転換体をYPE(1%のエタノール)中で増殖させ、1%のEtOHが補充され、5−フルオロ−オロト酸(0.1%)を含有する合成完全培地において30Cでプレーティングして、URA3マーカーを失った分離株を選択した。YeaStar Genomic DNA(Zymo Research)により調製されたゲノムDNAを用いて、内部プライマーHY31(配列番号207)および外部プライマーoBP731(配列番号155)によるコロニーPCRと、外部プライマーoBP730(配列番号208)およびoBP731(配列番号206)によるPCRとによって、P[PDC1]−adh_HL(y)−ADH1tの組込みを確認した。以下の遺伝子型の正しい分離株をPNY1528と命名した:CEN.PK113−7D MATa ura3Δ::loxP his3Δpdc6Δpdc1Δ::P[PDC1]−DHAD|ilvD_Sm−PDC1t−P[FBA1]−ALS|alsS_Bs−CYC1t pdc5Δ::P[PDC5]−ADH|sadB_Ax−PDC5t gpd2Δ::loxP fra2Δ::P[PDC1]−ADH|adh_Hl−ADH1tadh1Δ::UAS(PGK1)P[FBA1]−kivD_Ll(y)−ADH1typrcΔ15Δ::P[PDC5]−ADH|adh_Hl−ADH1t。
実施例11:菌株PNY1549、PNY1550、およびPNY1551の構築
この実施例の目的は、adh1Δ座位におけるPNY1528中のkivD_Ll(y)の染色体コピーをkivD_Lg(y)またはkivD_Mc(y)で置換するために使用される構築物の組み立て、ならびにkivD遺伝子を発現するイソブタノロゲン株PNY1549、PNY1550、およびPNY1551の構築を説明することである。
標的領域の上流および下流の相同性領域ならびに形質転換体の選択のためのURA3遺伝子を含有するPCR産物による相同組換えによって、欠失/組込みを作成した。URA3遺伝子を相同組換えにより除去して、痕跡のない欠失/組込みを作成した。痕跡のない欠失/組込み手順は、Akada et al.,Yeast,23:399、2006から適合させた。欠失/組込み手順のためのPCRによりカセット全体を増幅する前に、個々の断片をプラスミドにクローン化することにより4つの断片A−B−U−Cおよび組み込むべき遺伝子を結合させることによって、各欠失/組込みのためのPCRカセットを作った。組み込むべき遺伝子は、断片AとBの間でカセットに包含させた。PCRカセットは、選択可能/対抗選択可能なマーカー、天然CEN.PK113−7D URA3遺伝子からなるURA3(断片U)を、プロモーター(URA3遺伝子の上流250bp)およびターミネーター(URA3遺伝子の下流150bp)領域と共に含有した。断片AおよびC(長さ500bp)は、標的領域のすぐ上流の配列(断片A)および標的領域の3’配列(断片C)に相当した。断片AおよびCは、相同組換えによるカセットの染色体への組込みのために使用した。断片B(長さ500bp)は標的領域のすぐ下流の500bpに相当し、カセットの染色体への組込みの際に断片Bに相当する配列の直接反復が作成されるように、相同組換えによる染色体からのURA3マーカーおよび断片Cの切除のために使用した。
kivD_Lg(y)およびkivD_Mc(y)を組み込むためのプラスミドは、UAS(PGK1)P[FBA1]−kivD_Ll(y)をサッカロミセス・セレビシエ(Saccaromyces cerevisiae)のADH1座位に組み込むために構築されたプラスミドに由来した。UAS(PGK1)P[FBA1]−kivD_Ll(y)をADH1座位に組み込むために使用されるプラスミドの構築は以下で説明される。プラスミドは、pUC19−URA3MCSにおいて構築した。
ADH1欠失/UAS(PGK1)P[FBA1]−kivD_Ll(y)組込みプラスミドの構築
pLH468(配列番号70)をテンプレートとして用いて、PmeI制限部位を含有するプライマーoBP562(配列番号153)と、ADH1断片Bの5’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP563(配列番号154)とにより、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)における発現のためにコドン最適化されたラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)からのkivDコード領域、kivD_Ll(y)を増幅した。kivD_Ll(y)の3’端部に対する相同性を有する5’尾部を含有するプライマーoBP564(配列番号155)と、FseI制限部位を含有するプライマーoBP565(配列番号156)とにより、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)CEN.PK113−7DゲノムDNAからADH1断片Bを増幅した。PCR産物をPCR Purificationキット(Qiagen,Valencia,CA)により精製した。kivD_Ll(y)およびADH1断片BのPCR産物を混合し、プライマーoBP562(配列番号153)およびoBP565(配列番号156)により増幅することによって、オーバーラップPCRによりkivD_Ll(y)−ADH1断片Bを作成した。得られたPCR産物をPmeIおよびFseIにより消化し、適切な酵素による消化の後、pUC19−URA3MCSの対応する部位にT4DNAリガーゼにより連結させた。SacI制限部位を含有するプライマーoBP505(配列番号157)と、AscI制限部位を含有するプライマーoBP506(配列番号158)とにより、ゲノムDNAからADH1断片Aを増幅した。ADH1断片AのPCR産物をSacIおよびAscIにより消化し、kivD_Ll(y)−ADH1断片Bを含有するプラスミドの対応する部位にT4DNAリガーゼにより連結させた。PacI制限部位を含有するプライマーoBP507(配列番号159)と、SalI制限部位を含有するプライマーoBP508(配列番号160)とにより、ゲノムDNAからADH1断片Cを増幅した。ADH1断片CのPCR産物をPacIおよびSalIにより消化し、ADH1断片A−kivD_Ll(y)−ADH1断片Bを含有するプラスミドの対応する部位にT4DNAリガーゼにより連結させた。AscI制限部位を含有するプライマーoBP674(配列番号162)と、PmeI制限部位を含有するプライマーoBP675(配列番号163)とにより、ベクターpRS316−UAS(PGK1)−PFBA1−GUSから、ハイブリッドプロモーターUAS(PGK1)−PFBA1(配列番号161)を増幅した。UAS(PGK1)−PFBA1のPCR産物をAscIおよびPmeIにより消化し、kivD_Ll(y)−ADH1断片ABCを含有するプラスミドの対応する部位にT4DNAリガーゼにより連結させて、pBP1181を生成した。
pBP1716、pBP1719、およびpBP2019の構築
ADH1欠失/UAS(PGK1)P[FBA1]−kivD_Ll(y)組込みプラスミドpBP1181からkivD_Ll(y)を除去した。プラスミドをPmeIおよびFseIにより消化し、大型DNA断片をアガロースゲルにおいて精製した後、Gel Extractionキット(Qiagen)により精製した。PmeI制限部位を含有するプライマーoBP821(配列番号210)と、FseI制限部位を含有するプライマーoBP484(配列番号211)とにより、pBP1181からADH1断片Bを増幅した。ADH1断片BのPCR産物をPmeIおよびFseIにより消化し、ゲル精製した大型DNA断片の対応する部位にT4DNAリガーゼにより連結させた。kivD_Ll(y)の3’の500bpに相当するPCR断片を、PNY1528におけるkivD_Ll(y)の標的化欠失のために、得られたベクターにクローン化した。NotI制限部位を含有するプライマーoBP822(配列番号212)と、PacI制限部位を含有するoBP823(配列番号213)により、pBP1181から断片を増幅した。NotIおよびPacIにより断片を消化し、適切な制限酵素による消化の後、kivD_Ll(y)欠失を有する上記プラスミドにおいてURA3の下流の対応する部位へT4DNAリガーゼにより連結させた。得られたプラスミドをpBP1716と命名した。
サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)における発現のためにコドン最適化されたリステリア・グレイ(Listeria grayi)からのkivDコード領域(配列番号214)、kivD_Lg(y)を、DNA2.0(Menlo Park,CA)により合成した。PmeI制限部位を含有するプライマーoBP828(配列番号215)と、PmeI制限部位を含有するoBP829(配列番号216)とにより、kivD_Lg(y)を増幅した。得られたPCR産物をPmeIにより消化し、適切な酵素による消化の後、pBP1716における対応する部位にT4DNAリガーゼにより連結させた。プライマーFBAp−F(配列番号217)およびoBP829(配列番号216)によるPCRによって、クローン化遺伝子の方向性を検査した。正しい方向性でkivD_Lg(y)を有する分離株をpBP1719と命名した。
サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)における発現のためにコドン最適化されたマクロコッカス・カセオリチクス(Macrococcus caseolyticus)からのkivDコード領域(配列番号224)、kivD_Mc(y)を、DNA2.0(Menlo Park,CA)により合成した。PmeI制限部位を含有するプライマーoBP900(配列番号226)と、PmeI制限部位を含有するoBP901(配列番号227)とにより、kivD_Mc(y)を増幅した。得られたPCR産物をPmeIにより消化し、適切な酵素による消化の後、pBP1716における対応する部位にT4DNAリガーゼにより連結させた。プライマーFBAp−F(配列番号217)およびoBP901(配列番号227)によるPCRによって、クローン化遺伝子の方向性を検査した。正しい方向性でkivD_Mc(y)を有する分離株をpBP2019と命名した。
菌株PNY1549、PNY1550、およびPNY1551の構築
菌株PNY1528をプラスミドpLH702およびpYZ067ΔkivDΔhADHで形質転換した。形質転換体をPNY1549と命名した。
kivD_Ll(y)欠失/kivD_Lg(y)組込みカセットを、プライマーoBP505(配列番号73)およびoBP823(配列番号213)によりpBP1719から増幅した。PNY1528のコンピテント細胞を作り、Frozen−EZ Yeast Transformation IIキット(Zymo Research,Orange,CA)を用いてPCR産物で形質転換した。形質転換混合物を、1%のエタノールが補充されたウラシルを欠いた合成完全培地において30Cでプレーティングした。形質転換体をYPE(1%のエタノール)中で増殖させ、1%のEtOHが補充され、5−フルオロ−オロト酸(0.1%)を含有する合成完全培地において30Cでプレーティングして、URA3マーカーを失った分離株を選択した。YeaStar Genomic DNA(Zymo Research)により調製したゲノムDNAを用いて、プライマーoBP674(配列番号162)およびoBP830(配列番号220)によるPCRによって、kivD_Ll(y)の欠失およびkivD_Lg(y)の組込みを確認した。正しい分離株は、PNY1528中のkivD_Ll(y)と同じ座位に、同じプロモーターから発現されたkivD_Lg(y)を含有した。分離株をプラスミドpLH702およびpYZ067ΔkivDΔhADHで形質転換した。形質転換体をPNY1550と命名した。
kivD_Ll(y)欠失/kivD_Mc(y)組込みカセットを、プライマーoBP505(配列番号157)およびoBP823(配列番号213)によりpBP2019から増幅した。PNY1528のコンピテント細胞を作り、Frozen−EZ Yeast Transformation IIキット(Zymo Research)を用いてPCR産物で形質転換した。形質転換混合物を、1%のエタノールが補充されたウラシルを欠いた合成完全培地において30Cでプレーティングした。形質転換体を、プライマーHY51(配列番号221)およびoBP906(配列番号222)によるPCRによってスクリーニングした。正しい形質転換体をYPE(1%のエタノール)中で増殖させ、1%のEtOHが補充され、5−フルオロ−オロト酸(0.1%)を含有する合成完全培地において30Cでプレーティングして、URA3マーカーを失った分離株を選択した。YeaStar Genomic DNA(Zymo Research)で調製したゲノムDNAを用いて、プライマーHY50(配列番号223)およびHY51(配列番号221)によるPCRによって、kivD_Ll(y)の欠失およびkivD_Mc(y)の組込みを確認した。正しい分離株は、PNY1528中のkivD_Ll(y)と同じ座位に、同じプロモーターから発現されたkivD_Mc(y)を含有した。分離株をプラスミドpLH702およびpYZ067ΔkivDΔhADHで形質転換した。形質転換体をPNY1551と命名した。
実施例12:KIVD発酵
方法:
播種材料の調製
各菌株に対して、単一の凍結バイアルを解凍し、125mLの通気口のある振とうフラスコ内の10mLの種培地へ移し、一晩の増殖させるために30℃および300rpmで振とうさせてインキュベートした。次に、5mLの一晩培養物を、75mLの種培地を入れた250mLの通気口のある振とうフラスコに移し、30℃および300rpmで振とうさせながら一晩増殖させた。培養物がOD600 1−2に達したら、フラスコ培養物を用いて1Lの発酵槽を播種した。種培地の組成は次の通りである:アミノ酸を含まない酵母窒素塩基(Difco)、6.7g/L;ヒスチジン、ロイシン、トリプトファンおよびウラシルを含まないYeast Synthetic Drop−out Medium Supplements(Sigma)、2.8g/L;L−ロイシン、20mg/L;L−トリプトファン、4mg/L;チアミンHCl、20mg/L;ナイアシン、20mg/L;エタノール、3g/L;グルコース10g/L。20%の水酸化カリウムによりpHを5.2に調整し、培地を0.22μフィルタによりろ過滅菌した。
発酵槽の調製および操作:
発酵は1LのBiostat B DCU3発酵槽(Sartorius,USA)内で行った。Prima DB質量分析計(Thermo Electron Corp.,USA)によりオフガスの組成をモニターした。オフガス中のイソブタノールおよびエタノールを測定するために、氷水浴に入れた、0.5Lの水を含む1リットルのShottボトルにまずガスを通した後、質量分析計に送った。発酵全体を通して、発酵槽の温度を30℃に保持し、pHを20%のKOHにより5.2に調節した。エアレーションを0.2標準リットル/分に調節し、攪拌を100rpmに調節した。溶解酸素は調節せず、発酵の大部分の間検出されなかった。サンプルを抜き取り、YSI Select Biochemisty Analyzer(YSI,Inc.,Yellow Springs,Ohio)によって、600nmにおける光学濃度およびグルコース濃度について分析した。この分析を用いる際、50%(w/w)溶液を手で添加することによりグルコースを過剰(5〜20g/L)に保持した。
発酵のために使用される培地を以下のように調製した:滅菌の前、4.0gの硫酸アンモニウムを含む520mLの水、2.2gの一塩基性リン酸カリウム、1.5gの硫酸マグネシウム七水和物、および0.2mLのSigma Antifoam 204を発酵槽に移した。発酵槽を121℃で30分間滅菌した。30℃の設定点まで冷却した後、後滅菌成分をポンプにより無菌で添加した。後滅菌成分を200mLの全容積で作った:4.8mLの微量ミネラル溶液(1Lの水中で調製:15gのEDTA、4.5gの硫酸亜鉛七水和物、0.8gの塩化マンガン無水物、0.3gの塩化コバルト六水和物、0.3gの硫酸銅五水和物、0.4gのモリブデン二ナトリム(disodium molybdenum)無水物、4.5gの塩化カルシウム二水和物、3gの硫酸鉄七水和物、1gのホウ酸、0.1gのヨウ化カリウム)、0.8mLのビタミン混合物(1Lの水中、50mgのビオチン、1gのパントテン酸Ca、1gのニコチン酸、25gのミオイノシトール、1gのピリドキソール(pyridoxol)塩酸塩、0.2gのp−アミノ安息香酸)、16gのグルコース、3mLのエタノール、12.8mgのL−ロイシン、3.2mgのL−トリプトファン、2.2gのヒスチジン、ロイシン、トリプトファンおよびウラシルを含まないYeast Synthetic Drop−out Medium Supplements(Sigma)、チアミンHClを、特定の発酵に対して表1に示される量で添加し、容積が200mLになるように脱イオン水を添加し、発酵槽へ添加する前に溶液をろ過滅菌した。播種後の発酵槽の最終容積は800mLであった。
培養上清中のグルコース、イソブタノール、および他の発酵副産物の測定は、Bio−Rad Aminex HPX−87Hカラム(Bio−Rad,USA)を用いて、屈折率(RI)およびダイオードアレイ(210nm)検出器と、Agilent 1100シリーズHPLC(Agilent,USA)とによるHPLCによって行った。クロマトグラフ分離は、0.6mL/分の流速および40℃のカラム温度で、移動相として0.01NのHSOを用いて達成した。水トラップを発酵の最後にサンプリングし、同じHPLC法により分析した。イソブタノールおよびエタノールの総量を決定するために、発酵槽から除去したトラップ中の水の重量も測定した。供給ボトル中のグルコース濃度は、Mettler Toledo RE40 Refractometer(Mettler Toledo,USA)を用いて20℃で決定した。報告される収率は消費されたグルコースに基づく。イソブタノールの収率には最後のサンプルの発酵ブロスおよび水トラップ中のイソブタノールが含まれる。図2は、各チアミン濃度において、各菌株のイソブタノールおよびα−ケトイソバレレートのモル収率を示す。図3は、各チアミン濃度において、α−ケトイソバレレートの濃度を各菌株の発酵時間に関して示す。
Figure 2014521339

Claims (18)

  1. α−ケトイソバレレートからイソブチルアルデヒドへの変換方法であって、
    a.(i)配列番号51、52、53、55、56、58、59、61もしくは63またはこれらの活性断片に対する少なくとも80%の同一性、または
    (ii)α−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ活性、1よりも大きいα−ケトイソバレレートのピルベートに対する特異性比、および約20μM以下のチアミン二リン酸補因子活性化定数(Kc)、
    のうちの少なくとも一方を含むポリペプチドを提供するステップと、
    b.該ポリペプチドをイソブチルアルデヒドが生成される条件下でα−ケトイソバレレートと接触させるステップと
    を含む方法。
  2. ポリペプチドが、hmmsearchプログラムを用いるKIVDクラスタープロファイルHMMのE値が1E−223未満である、請求項1に記載の方法。
  3. 接触させるステップが組換え宿主細胞内で行なわれ、ポリペプチドが組換え宿主細胞にとって異種である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 組換え宿主細胞が、クロストリジウム(Clostridium)属、ザイモモナス(Zymomonas)属、エシェリキア(Escherichia)属、サルモネラ(Salmonella)属、セラチア(Serratia)属、エルウィニア(Erwinia)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、シゲラ(Shigella)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、バチルス(Bacillus)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、エンテロコッカス(Enterococcus)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、パエニバチルス(Paenibacillus)属、アルスロバクター(Arthrobacter)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属、イサチェンキア(Issatchenkia)属、クルイベロミセス(Kluyveromyces)属、ヤロウイア(Yarrowia)属、ピキア(Pichia)属、カンジダ(Candida)属、ハンゼヌラ(Hansenula)属、またはサッカロミセス(Saccharomyces)属の一員である、請求項3に記載の方法。
  5. 組換え宿主細胞がサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である、請求項3に記載の方法。
  6. 組換え宿主細胞がさらに、基質から生成物への変換:(a)ピルベートからアセトラクテートへの変換(b)アセトラクテートから2,3−ジヒドロキシイソバレレートへの変換、および(c)2,3−ジヒドロキシイソバレレートから2−ケトイソバレレートへの変換を触媒するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む、請求項3〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 宿主細胞がさらに、イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの基質から生成物への変換を触媒するポリペプチドをコードする異種ポリヌクレオチドを含む、請求項6に記載の方法。
  8. 組換え宿主細胞は、さらに、低下したピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を備えるか、または該活性が排除される、請求項3〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 組換え宿主細胞がさらに、Fe−Sクラスター生合成に影響を与えるポリペプチドをコードする内在性遺伝子において少なくとも1つの欠失、突然変異、および/または置換を含む、請求項3〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 組換え宿主細胞がfra2の欠失を含む、請求項3〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 組換え宿主細胞は、低下したグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ活性を備えるか、または該活性が排除される、請求項3〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. a.イソブタノール産生経路を備える組換え宿主細胞を提供するステップであって、該産生経路がポリペプチドを含み、前記ポリペプチドが、
    (i)配列番号51、52、53、55、56、58、59、61もしくは63またはこれらの活性断片に対する少なくとも80%の同一性、または
    (ii)α−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ活性、1よりも大きいα−ケトイソバレレートのピルベートに対する特異性比、および約20μM以下のチアミン二リン酸補因子活性化定数(Kc)、
    のうちの少なくとも一方を含むステップと、
    b.該組換え宿主細胞をイソブタノールが生成される条件下で炭素基質と接触させるステップと、
    を含む、イソブタノールの製造方法。
  13. ポリペプチドが、hmmsearchプログラムを用いるKIVDクラスタープロファイルHMMのE値が1E−223未満である、請求項12に記載の方法。
  14. さらに、液液抽出を用いてイソブタノールを単離するステップを含む、請求項12または13に記載の方法。
  15. 抽出剤が、C12〜C22脂肪アルコール、C12〜C22脂肪酸、C12〜C22脂肪酸のエステル、C12〜C22脂肪アルデヒド、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
  16. 組換え宿主細胞がサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である、請求項12〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. a.配列番号52または61に対する少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドを含むイソブタノール生合成を備える組換え宿主細胞を提供するステップと、
    b.該組換え宿主細胞をイソブタノールが生成される条件下で炭素基質と接触させるステップと、
    を含む、イソブタノールの製造方法。
  18. 接触させるステップが、約30g/L未満のチアミンの存在下で行なわれる、請求項17に記載の方法。
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