JP2014521063A - 活性濃度の決定方法 - Google Patents

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Abstract

試料中の検体の活性濃度を決定する方法であって、
(a)検体と特異的に結合し得るリガンドを支持しかつそれぞれに異なるリガンド密度を有する複数の固相表面又は表面領域に、試料の層流を接触させる段階、
(b)各々のリガンド支持表面又は表面領域におけるリガンドへの検体の初期結合速度(dR/dt)を決定する段階、及び
(c)決定された初期結合速度から、表面又は表面領域における輸送制限相互作用に対応する初期結合速度を決定する段階、及び
(d)段階(c)で決定された初期結合速度から活性検体濃度を決定する段階
を含む方法。
【選択図】なし

Description

本発明はタンパク質のような生物検体の濃度の決定に関し、さらに詳しくは生物検体の活性濃度の決定に関する。
タンパク質及び他の生体分子の濃度を決定するためには数多くの方法が存在しているが、かかる方法の大部分は試料と標準調製物との比較を必要とする。しかし、多くの場合、標準品が入手できないか、或いは標準品の活性が不確実である。
多くの機会に、機能的に不活性な分子を含むことがある総濃度ではなく、生物検体の活性濃度を知ることも重要となる。これは、例えば、バイオ治療薬の開発及び生産の場合に言える。しかし、タンパク質濃度を測定するための確立された方法の多くは、活性分子と不活性分子とを区別しない。
このように、例えばタンパク質の総濃度は通例、活性分子と不活性分子とを区別しないUV又はNIR吸収分光分析によって測定される一方、生体分子の活性濃度はバイオセンサー技術によって簡便に測定できる。それによれば、生体分子を含む試料を特異的なリガンドが固定化されたセンサー表面に接触させ、その表面における会合/解離プロセスをモニターする。この場合、測定される活性を定義するのはリガンドの選択である。
通常、活性濃度は校正曲線を用いて測定される。しかし、バイオセンサー技術を用いて活性濃度の決定を実施する際には、検体の拡散性と検体濃度との関係を使用することで、校正標準への参照なしに検体濃度を決定することができる。したがって、検体の拡散係数を知れば検体濃度を計算できる。検討中の検体に対して満足すべき校正物質が入手できない場合に有用であり得るこのタイプの濃度測定は、通常は校正不要濃度分(CFCA)といわれ、観察される結合速度がセンサー表面への検体分子の輸送によって部分的又は完全に制限される(即ち、拡散によって部分的又は完全に制御される)条件下において様々な流量で検体結合を測定することに基づいている。
表面プラズモン共鳴検出を用いて、CFCAは最初にKarlsson,R.,et al.(1993),J.Immunol.Methods 166(1):75−8によって記載され、さらにSigmundsson,K.,et al.(2002)Biochemistry 41(26):8263−76によって記載された。この方法論は、(GE Healthcare社(ウプサラ、スウェーデン)から市販されている)商業的なBiacore(登録商標)システムにおいて実行されてきた。
Biacore(登録商標)機器では、試料はマイクロフローシステムに注入され、層流によってセンサー表面に輸送される。分子は拡散制御輸送プロセスによってバルク溶液からセンサー表面に到達する。輸送速度に影響する要因としては、検体分子の濃度に加えて、拡散係数、フローセル寸法及び流量がある。輸送速度と結合速度とのバランスにより、観察される結合が輸送制限されるか又は反応制限されるかが決定される。CFCAの成功のためには、観察される結合速度は上述のように少なくとも部分的には輸送によって制限されなければならない。
Biacore(登録商標)システムにおける技術の現行の実施では、検体を固定化リガンドに結合させる2つの結合実験が必要とされる。1つの実験は低い流量(多くは5又は10μl/分)で行われ、1つの実験は高い流量(多くは100μl/分)で行われる。分析に際しては、応答を輸送(拡散)制限挙動についてチェックし、輸送係数が一定である速度論的モデルに応答を当てはめて検体の濃度を当てはめる。(詳細に関しては、28−9768−788A Biacore T200 Software Handbook(GE Healthcare社、ウプサラ、スウェーデン)を参照されたい。)
このアプローチは、多くの場合に効率的であるものの、すくつかの制約を有している。第一に、輸送制限の程度が固定化レベルに大きく依存する。低すぎる固定化レベルは輸送制限が小さすぎるデータをもたらし、高すぎる固定化レベルはフック効果(即ち、一定の固定化レベルを超えると応答が低下すること)を引き起こすことがある。第二に、ダイナミックレンジ(即ち、アッセイが有用である濃度範囲)が制限される。さらに、この方法は2つのサイクル/試料濃度を必要とするので時間がかかる。また、データ分析はもっぱら速度論的アルゴリズムに基づいている。
部分的又は完全な輸送制限下でのCFCA測定の信頼性を向上させるための新規アプローチを提供することが本発明の目的である。
国際公開第2011/049530号パンフレット
上述の目的並びに他の目的及び利点は、(少なくとも)様々なリガンド密度を有する複数の表面又は表面領域(即ち、異なるリガンド密度のアレイ)に沿った単一のフローパス又は注入、並びに最大初期結合速度及びそれによって活性濃度を決定するための曲線当てはめアルゴリズムを用いて活性濃度を決定する方法によって達成される。本方法は直接的なものであって、標準曲線を必要としない。
したがって一態様では、本発明は、試料中の検体の活性濃度を決定する方法であって、
(a)検体と特異的に結合し得るリガンドを支持しかつそれぞれに異なるリガンド密度を有する複数の固相表面又は表面領域に、試料の層流を接触させる段階、
(b)各々のリガンド支持表面又は表面領域におけるリガンドへの検体の初期結合速度(dR/dt)を決定する段階、
(c)段階(b)で決定された初期結合速度から、固相表面又は表面領域における輸送制限相互作用に対応する初期結合速度を決定する段階、及び
(d)段階(c)で決定された初期結合速度から活性検体濃度を決定する段階
を含む方法を提供する。
段階(c)で決定された初期結合速度は、通例は最大結合速度である。
しかし、好ましい実施形態では、本方法は、2つの異なる流量について初期結合速度を決定する段階、異なるリガンド密度における2つの流量についての初期結合速度から、初期結合速度が流量の立方根に比例する最低のリガンド密度を決定する段階、及びこの初期結合速度から活性検体濃度を決定する段階を含んでいる。
上記の好ましい実施形態の変形例では、流量を単一の接触(例えば、注入)サイクル中に変化させる。
別の好ましい実施形態では、本方法はさらに、結合データを輸送係数が一定である速度論的モデルに当てはめる、部分的又は完全な輸送制限下での異なる流量における速度論的分析によって活性濃度決定からのデータを同時評価する段階を含んでいる。好ましくは、液体試料の複数の希釈度が使用され、結合データのグローバルフィット中に含まれる。
他の好ましい実施形態は従属請求項に記載されている。
本発明の方法は、コンピューターのような電気的データ処理装置上で動作するソフトウェアによって簡便に実行できる。かかるソフトウェアは、記録媒体、読出し専用メモリ、或いは電気ケーブル若しくは光ケーブルを介して又は無線通信若しくは他の手段によって伝送し得る電気信号又は光学信号を含む任意適宜のコンピューター読取り可能な媒体に載せてコンピューターに提供できる。
したがって、本発明の別の態様は、上述した方法変形例のいずれか1つの方法段階をコンピューターに実施させるための命令を含むコンピュータープログラムに関する。
本発明のより完全な理解、並びにそのさらなる特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び添付の図面を参照することによって得られよう。
図1Aは、初期結合速度のシミュレーションにおいて得られたグラフである。 図1Bは、初期結合速度のシミュレーションにおいて得られたグラフである。 図1Cは、初期結合速度のシミュレーションにおいて得られたグラフである。 図1Dは、初期結合速度のシミュレーションにおいて得られたグラフである。 図2は、8つの異なる結合レベルで当てはめた結合データのプロットである。 図3は、固定化レベルに対する初期結合速度のプロットである。 図4は、注入中に流量を変化させた、2つの異なる固定化レベルにおける結合対時間のプロットである。 図5は、分析のために作成した、図4のプロットに対応するプロットである。 図6は、通常のCFCAにおいて2つの異なる流量について当てはめた結合対時間データのプロットである。 図7は、同時に分析された複数の濃度においてグローバルに当てはめた結合対時間データのプロットである。
特に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。また、単数形は特に断らない限り複数の場合も含めて意味する。
上述の通り、本発明は、流体試料中の検体(通例は生物検体)の活性濃度の決定に関する。簡単に述べれば、本方法は、検体結合リガンドの異なる密度又は固定化レベルを有する固体支持表面又は領域において検体結合相互作用を測定し、初期結合速度データから完全な輸送制限(即ち、相互作用が拡散制御される条件)下での初期結合速度を決定することに基づいており、それから活性検体濃度を決定できる。
好ましくは、活性濃度決定に際して相互作用分析センサー(通例はバイオセンサー)が使用される。
本発明を一層詳しく説明する前に、バイオセンサーの概念及び相互作用速度論の検出を簡単に説明しよう。
バイオセンサーは通例標識を使わない技術に基づき、固定化された層の質量、屈折率又は厚さのようなセンサー表面の性質の変化を検出する。本発明の目的のための典型的なバイオセンサーはセンサー表面における質量検出に基づいており、特に光学的方法及び圧電又は音波方法を含んでいる。光学的検出方法に基づく代表的なセンサーには、質量表面濃度を検出するもの、例えば反射光学的方法に基づくセンサー、例えば、エバネッセント波に基づくセンサー(例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)センサー)、フラストレーテッド全反射(FTR)センサー及び導波管センサー(例えば、反射干渉分光法(RIfS)センサー)がある。圧電及び音波センサーには、表面音波(SAW)及び水晶マイクロバランス(QCM)センサーがある。
SPR及びその他の検出技法に基づくバイオセンサーシステムは商業的に入手可能である。例示的なかかるSPRバイオセンサーには、フロースルーセルに基づくBiacore(登録商標)システム(GE Healthcare社、ウプサラ、スウェーデン)及びProteOn(商標)XPRシステム(Bio−Rad Laboratories社、ハーキュリーズ、米国カリフォルニア州)があり、これらは試料中の分子と検知表面に固定化された分子構造との相互作用を検出するために表面プラズモン共鳴を使用している。試料がセンサー表面を通過する際、結合の進行は相互作用が起こる速度を直接反映する。通常、試料の注入後に緩衝液流が続き、その間には検出器の応答は表面上の複合体の解離速度を反映する。システムからの典型的な出力は、会合相部分と解離相部分を含む分子相互作用の経時的進行を記述するグラフ又は曲線である。通常、コンピュータースクリーン上に表示されるこの結合曲線は「センサーグラム」といわれることが多い。
したがって、Biacore(登録商標)システムを用いれば、標識化を使用せずに、また多くの場合に関連する物質を精製することなく、試料中の特定の分子又は検体の存在及び濃度ばかりでなく、分子相互作用における会合(結合)と解離の速度論的速度定数及び表面相互作用に対する親和性を含む追加の相互作用パラメーターもリアルタイムで決定することが可能である。
以下、限定ではなく例示のみのため、Biacore(登録商標)システム型のSPRセンサーに関して本発明を詳細に説明する。
上述の通り、Biacore(登録商標)システム並びに類似のセンサーシステムは、検体の総濃度と区別して活性検体濃度を測定する。測定される活性の種類を定義するのはセンサー表面上のリガンドの選択である。
例えばBiacore(登録商標)システム型の層流システムに、検体をセンサー表面に接触するようにして注入した場合、それは結合イベントを引き起こす。検体/リガンド相互作用の速度は、相互作用速度論及びフローシステムの輸送効率によって決定される。
生化学的相互作用に関しては、相互作用が進行する速度は順方向(会合)プロセスと逆方向(解離)プロセスとの差によって与えられる。検体Aと表面結合(固定化)捕獲分子又はリガンドBとの間の可逆的1:1相互作用に関しては、それは拡散又は物質移動によって制限されない。
式中、ka及びkdはそれぞれ会合及び解離に関する速度定数である。
会合速度はka[A][B]によって与えられ、解離速度はkd[AB]によって与えられる。したがって、正味結合速度(即ち、生成複合体Bの表面濃度の変化)は次のようになる。
時間tの後、表面における非結合リガンドBの濃度は[BT]−[AB]である。ここで、[BT]はリガンドBの総濃度又は最大濃度である。上記式(2)に挿入すれば、次の式が得られる。
検出器の応答単位(Biacore(登録商標)システムでは、複合体の生成は共鳴単位(RU)で測定される応答の増加として観察される。)を用いれば、これは次のように表すことができる。
式中、Rは応答単位で表された応答であり、Cは試料中の検体の濃度であり、Rmaxは検体(A)が表面上の全てのリガンド(B)に結合した場合に得られる応答(即ち、最大検体結合容量)である。
速度論的速度定数ka及びkdは、通例、好ましくは複数の異なる検体濃度及びやはり好ましくはセンサー表面における1以上の他のリガンド密度に関する応答データを上記式(4)又は次のようなその積分形式に当てはめることによって計算される。
速度論的データ及び親和性データの分析のためのソフトウェアは商業的に入手可能である。したがって、例えば、Biacore(登録商標)機器によって生成された速度論的データ及び親和性データの評価は、通常、(GE Healthcare社(ウプサラ、スウェーデン)から供給される)専用のBIAevaluationソフトウェアにより、数値積分を用いて微分速度方程式を計算すると共に、非線形回帰を用いて、平方残差の和を最小に減少させる最も密接な当てはめを与える変数の値を見出すことによって速度論的パラメーター及び親和性パラメーターを当てはめることで実施される。「残差」とは各点における計算曲線と実験曲線との差であり、実験曲線の上方又は下方に偏差を等しく重み付けするために平方残差が使用される。平方残差の和は次の式によって表される。
式中、Sは平方残差の和であり、rfは所定の点における当てはめ値であり、rxは同じ点における実験値である。例えば、上記の分子相互作用に関しては、かかるソフトウェア支援データ分析が、バックグラウンドノイズの減算後に、上記の式(4)又は(5)によって表されるような上述の単純な1:1結合モデルを測定データに当てはめる試みを行うことで実施される。
通常、結合モデルは、異なる検体濃度Cを用いて(及び/又は異なるレベルの表面誘導体化Rmaxを用いて)得られた複数の結合曲線に同時に当てはめられる。これは「グローバルフィッティング」といわれ、センサーグラムデータに基づき、かかるグローバルフィ
ッティングは単一のグローバルka又はkdが全てのデータに良好な当てはめを提供するか否かを確認する。
しかし、上記のことは、拡散又は物質移動によって制限されない反応についてのみ有効である。
したがって、センサー表面に結合すべき検体については、分子をバルク溶液からセンサー表面に輸送しなければならないが、これは拡散制限プロセスである。Biacore(登録商標)及び類似のバイオセンサーシステムに適用される層流条件下では、輸送速度はバルク溶液中の検体の濃度に比例する。
所定の分析状況では、任意の時点で観察される結合速度は、正味の生化学的相互作用速度及び物質輸送速度の相対的大きさによって決定される。相互作用が輸送よりずっと速ければ、観察される結合はもっぱら輸送プロセスによって制限される。このことはまた、検体が解離中に表面から十分に速く拡散せずに再結合を引き起こす場合にも言える。逆に、輸送が速くて相互作用が遅ければ、観察される結合は相互作用速度論のみを表す。2つのプロセスの速度が同程度の大きさである場合、結合は2つの速度特性の組合せによって決定される。
全体的な相互作用プロセスは、次のスキームによって表すことができる。
バルク溶液から表面への物質輸送速度は次の式によって与えられる。
式中、Asurfaceはセンサー表面における検体濃度であり、Abulkはバルク溶液中の検体濃度であり、kmは物質輸送係数である。
したがって、結合相互作用を記述する微分方程式は、上記式(8)に対応した、表面への検体の物質移動に関する項を含んでいる。フローセルに関しては、1組の対になった常微分方程式からなりかつ例えばMyszka,D.G.et al(1998)Biophys.J.75,583−594に記載されている「2コンパートメント」モデルが、データが物質輸送によって影響される場合に結合速度論の合理的な説明を与えるものと考えられる。このモデルでは、フローセルは2つのコンパートメントに分けられると仮定され、一方では検体の濃度が一定であり、センサー表面に近い第2のものでは検体濃度が物質輸送速度、リガンドの表面密度及び反応速度定数に依存する。
固定化一価リガンドBと反応する一価検体Aの上記に例示された相互作用に関しては、このモデルは、上記式(3)に代えて以下の2つの微分方程式で表すことができる。
式中、kmは(コンパートメント間の検体の拡散的移動を記述する)物質輸送係数であり、BTは総リガンド濃度であり、Asurfaceはセンサー表面における遊離検体の濃度であり、Abulkは注入(即ち、初期)検体濃度であり、ABは複合体ABの濃度(=結合検体の表面密度)であり、ka及びkdはそれぞれ会合速度定数及び解離速度定数である。
下記に一層詳しく説明されるように、物質輸送係数kmは計算することができ、応答データを式(9)及び(10)に当てはめることで速度論的速度定数ka及びkdが得られる。
上記に略述した速度論的特性決定は、従来、各試料濃度を独立のサイクルで流し、各サイクル間には表面の再生によって検体を除去する十分に確立された方法を用いて実施されてきた。しかし、「単一サイクル分析」といわれる最近開発されたアプローチでは、検体が単一のサイクルにおいて増加する濃度(又は他のやり方で変化する濃度)で注入され、表面は注入間に再生されない。かかる単一サイクル分析の一層詳しい説明については、Karlsson,R.,et al.(2006)Anal.Biochem.349:136−147(その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす)を参照されたい。
上述した物質輸送係数kmに関しては、次の式が適用される。
式中、Dは検体の拡散係数(m2/s)であり、Fはフローセルを通る液体の体積流量(m3/s)であり、h、W及びlはフローセルの寸法(高さ、幅及び長さ(m))である。
拡散係数Dは、分子の大きさ及び形状並びに当該溶媒の粘度によって与えられる摩擦抵抗の関数である。球状分子の場合、拡散係数は半径に反比例し、したがって分子量の立方根に比例する。しかし、タンパク質のような非常に大きい溶質分子の場合、拡散係数は分子量に対して比較的鈍感である。
拡散係数に関して文献値が存在しなければ、例えば分析超遠心又は光散乱によってそれを実験的に決定できる。別法として、拡散係数は次の式に従って分子量及び形状係数又は摩擦速度から推定できる。
式中、Dは拡散係数(m2/s)であり、Mは分子量(ダルトン)であり、fは摩擦比であり、ηrelは20℃の水と比較した溶媒の粘度である。
したがって、式(9)及び(10)から、物質輸送係数kmを計算できる。
Biacore(登録商標)システムに関しては、検体の分子量について調整し、(RUで)測定された応答を濃度単位に変換することで、Biacore固有の物質移動定数ktを求めることができる。
ここで、Mは分子量(Mw)であり、変換定数109は近似値であって、タンパク質検体及び特定のセンサー表面Sensor Chip CM5(GE Healthcare社、ウプサラ、スウェーデン)についてのみ有効である。他の検体/センサー表面に関しては、RU変換係数によるシステムの校正が必要となる(1RUは×ng/mm2に等しい)。
検体の拡散性との関係を部分的な拡散制御条件下での結合速度の分析と共に用いて校正不要濃度測定結果を評価するためには、拡散係数から物質輸送係数を計算し、次いで物質輸送定数ktに変換し、これを用いて実験データを拡散制御相互作用モデルに当てはめ、それによって試料の検体濃度を求めることができる。
通例、(SPR検出技術を用いるBiacore(登録商標)システムの場合)、試料検体(例えばタンパク質)を2つの流量(例えば、5及び100μl/分)で固定化リガンドに沿って流し、各試行の初期結合速度(dR/dt)を決定する。次いで、(通例は専用のソフトウェアにより)、当てはめるべきパラメーターとしての検体濃度及び既知定数としてのkmをMwと共に設定することで検体濃度Cを評価する。
一般に、結合速度は試料注入の開始から直ぐに測定すべきである。これは、結合が定常状態に近づくに従って速度はゼロに近づくからである。
本発明
システムの輸送効率によって完全に制限される反応については、次の式が適用される。
式中、Rは検出器応答であり、kmは物質輸送係数であり、Cは試料の検体濃度である。即ち、センサー表面における応答増加dR/dt又は結合速度は物質輸送係数及び検体の活性濃度な比例する。
上記の式(14)から、完全な輸送制限時の(初期)結合速度dR/dt及びkmを知れば、dR/dtをkmで割ることで検体濃度Cを計算できることがわかる。
しかし、例えばBiacore(登録商標)システムのような質量検知システムに関しては、応答信号は質量依存性であり(Biacore(登録商標)システムの場合にはRU)、信号は上記の式(13)に従って質量に関係しているはずである。したがって、Cを得るためには、dR/dtを(kmではなく)ktで割る。
本発明は、完全な輸送制限時の初期結合速度を決定し、それによって活性濃度の決定を可能にするためのアプローチを提供する。これは、1以上のセンサー表面上で複数の異なるリガンド密度を用ることで得られる複数の異なる部分的制限条件下で初期結合速度を測定することによって達成される。
さらに詳しくは、複数(好ましくは4以上)の異なるリガンド密度レベル(即ち、固定化レベル)で初期結合速度を測定する。各固定化レベルについて、1以上の固定流量を用いて応答を記録する。初期結合速度を固定化レベル又は最大結合容量Rmaxに対してプロットし、通例はそれが可能なアルゴリズムを用いてデータを外挿することで、dR/dtがその最大値に達した結合速度を決定する。この最大結合速度は物質輸送制限時の結合速度に対応し、これは上記の式(14)が適用され、したがってdR/dtをktで割ることで活性濃度Cを計算できることを意味する。
外挿は、例えば、Biacore(商標)システムで通常使用される4パラメーター回帰式にデータを当てはめることで実施できる。
式中、Rhigh及びRlowはそれぞれ最大及び最小応答レベルに対応する当てはめパラメーターであり、A1及びA2は追加の当てはめパラメーターであり、yはdR/dtであり、xはRmax又はリガンド密度である。
最大値を確定し得る他のアルゴリズムも適用できる。
上記の式(11)に従えば、物質輸送係数kmは(流量)1/3に比例する。したがって、完全な輸送制限反応については、結合速度dR/dtも式(14)に従えば(流量)1/3に比例する。
本方法の現時点で好ましい変形例では、検体応答は2つの異なる流量を用いて測定される。データ分析では下記に記載するように検体に関する組合せデータを使用することができ、さらに固定化レベルに対する結合比のプロットを用いて物質輸送基準の正当性を立証することができる。
結合速度比のプロットはまた、(希釈率及び予測可能なRhighと無関係にグラフを重ね合わせる)予想挙動からの偏差がこのプロットの特徴であるので、濃度分析中に含めるべきデータを選択するためにも使用できる。
固定化レベルのより広い範囲にわたって結合データを収集する場合、当てはめアルゴリズムは、結合データが流量の立方根に比例するという基準を満たす最低の固定化レベルを確定するように構成される。したがって、この点では、物質輸送係数で割った初期結合速度として活性濃度を導くことができる。
例えば、流量がそれぞれ10μl/分及び80μl/分であると仮定すれば、完全に速度論的に制御された反応については、結合速度は流量によって影響されず、したがって結合速度比は1であることが容易にわかる。それとは対照的に、反応が完全に輸送制限される場合、この例示的な場合における結合比は2[(80/10)1/3]である。したがって、結合速度比が2である固定化レベル(リガンド密度)を決定し、その固定化レベルにおける結合速度のいずれかから検体濃度を計算できる。
2つの流量を用いる後者の方法変形例では、1回の試料注入中に流量を変化させる上述の単一サイクルアプローチが使用できる。例えば、試料を10μl/分で注入し、5〜20秒後に流量を100μl/分に増加させることができる。データ分析に際しては、これは使用する評価アルゴリズム中に実際の流量を入力することによって処理される。
任意には、本方法は液体試料の2以上の異なる希釈度を用いて実施される。
式(13)に関連して上述したようにして、センサーチップCM5についてのRU変換係数が得られる。濃度がCM5表面上で決定されているならば、異なる表面についても、例えば測定表面からの距離に応じて異なる変換係数を用いて同じ濃度が得られるはずである。CM5表面上でグローバル分析を実施することで、他の表面に関する物質輸送定数ktを計算でき、かくして使用範囲を他のタイプの表面に拡大できる。
異なるリガンド密度を有する表面又は表面領域への試料の接触は、単一のセンサー表面を有する分析機器において、順次の試料注入及び注入間でのリガンド密度の変化によって実施できる。しかし好ましくは、本方法は、Biacore(商標)T100、T200又は4000(GE Healthcare社、ウブサラ、スウェーデン)或いはProteOn(商標)XPRシステム(Bio−Rad Laboratories社、ハーキュリーズ、米国カリフォルニア州)のようなマルチフローチャンネル機器を用いて、好ましくは並行試料注入によって実施される。
任意には、異なる固定化レベル及び異なる流量で結合データを収集する場合、本発明の方法は上述したような「通常の」校正不要濃度分析(CFCA)と組み合わせることができる。即ち、かかる組合せ分析は、(本発明の方法におけるような)完全な輸送制限への外挿及び(「通常の」CFCAにおけるような)部分的な輸送制限下での分析の両方を考慮しており、したがってより頑強になる可能性を有する。
組合せ分析は、共通パラメーターをグローバルに当てはめることによって可能となる。通常のCFCAでは、Cを直接に当てはめる。上記の式(15)に基づく4パラメーター当てはめでは、Rhighを決定し、上述のように対応する結合速度dR/dtをktで割ることで検体濃度Cを得る。ここでは、濃度Cを代わりに修正4パラメーター方程式中に当てはめパラメーターとして設定することもできる。これは、速度論に基づく実験及び初期結合速度実験がグローバルパラメーターを共有する結果、実験を同時評価できることを意味する。
組合せ分析では、「通常の」CFCAは好ましくは、液体試料の複数の異なる希釈度が使用され、少なくともいくつかの希釈度が濃度データのグローバルフィット中に含まれ、いくつかの希釈度に同じ当てはめ基準が適用されるような後者の改良法によって置き換えられる。かくして、分析はより頑強になると共に、分析のダイナミックレンジは拡大する。かかる改良CFCAは、本願と同日に提出された、“Method of determining active concentration by calibration−free analysis”と称する我々の同時係属特許出願(その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす)中に記載されている。
校正不要方式で活性濃度を決定する有利な方法では、複数の異なる試料希釈度に関し、部分的又は完全な輸送制限時に異なる固定化レベル及び異なる流量で(初期)結合速度データを収集する。次いで、複数の代替手段に従って得られた結合速度データを評価する選択の自由がある。即ち、かかる代替手段としては、(i)完全な輸送制限への外挿、(ii)好ましくは試料の複数の希釈度に関するデータのグローバルフィッティングを用いる改良CFCAによる、部分的な輸送制限下での分析、又は(iii)(i)と(ii)との組合せがある。
複数のリガンド密度(固定化レベル)及び異なる流量について結合データが生成され、かつ当てはめのために一定の物質輸送定数ktが使用される場合には、同一の実験からのデータを用いて濃度及び速度論を同時に当てはめることが可能である。
濃度分析及び速度論的分析は、様々なやり方で組み合わせることができる。例えば、捕獲実験では、先ず抗体を表面上に捕獲してその濃度をCFCAで決定した後、抗体の注入による「通常の」速度論的分析を用いて実験を続ける。次いで、単一の実験によって抗体濃度及び抗体速度論の両方が得られる。
次に、以下の非限定的な実施例によって本発明をさらに例示する。
実施例1
例えば一部変更したBiacore(登録商標)T200システムを用いる本発明の方法によって活性濃度を決定するための手順は、次のようにして実施できる。
(この記載はCFCA実験そのものに焦点を合わせたものであり、固定化方法、緩衝液条件及び再生条件のような他のアッセイ開発段階は既に実施済みであることに注意されたい。)
1)適当な固定化技法(アミンカップリング、チオールカップリング、ビオチニル化、ストレプトアビジン上への捕獲、或いは他のタグ又はドメイン特異的捕獲試薬の固定化)を用いてセンサー表面上の個別のスポット/チャンネルにリガンドを固定化する。固定化レベルを記録する。
2)参照のため、1つのスポットは固定化リガンドを持たないままにする。
3)試料の連続希釈液(通例は2〜5段階)を調製する。
4)Method Builderソフトウェアを用いて、次のようなアッセイ段階を有するアッセイを構成する。
a)システムのコンディショニングのために使用される始動サイクル。始動サイクルは通例は試料サイクルの模倣であるが、。データ分析では無視される。
b)実際の分析のための試料サイクル。
各サイクルでは、ソフトウェアに関連する入力を与えて試料の注入のための条件(流量、注入中に到達すべきスポット、接触時間、解離時間及び注入特性)を確定する。可逆的な捕獲固定化を使用する場合には、興味あるリガンドを捕獲するために追加の注入が使用される(例えば、ヒスチジン標識タンパク質は固定化された抗ヒスチジン抗体上に捕獲することができる。)大抵の場合、再生溶液もプログラムされる。
試料に関する典型的なプログラム入力は次の通りである。高速注入、流路1,2、接触時間36秒、解離時間5秒、流量5又は100μl/分。試料名及び希釈率も与えられる。好ましくは、濃度ゼロの試料の1回以上の注入をプログラムすべきである。
(市販のソフトウェアを使用した場合、注入中の流量変化は可能でないことに注意されたい。)
5)高いデータ収集速度(通例10Hz)を選択する。
6)アッセイを実行する。
7)4以上の異なるリガンド密度を用いてアッセイを繰り返す。
8)適当な評価プログラム、例えばBiacore(登録商標)T200評価ソフトウェア又はBiaevaluationソフトウェア4.1においてデータを開く。
9)適切なブランク注入(濃度ゼロの試料)を選択する。
10)試料注入からブランク注入を差し引く。
11)オーバーレイプロット中にデータを表示する。
12)残留する参照又はブランク減算アーティファクトによる影響を受けない結合曲線の最も早期の部分を確認する。5μl/分の流量では、これは通常注入開始から数秒であり、100μl/分では、これは通例注入開始から1秒付近である。
さらなる分析は複数の部分に分けられる。
パート1
初期結合速度を用いる濃度の決定
1)初期結合速度を決定するため、最も早期の妨害されないデータのウィンドウを選択する。典型的なデータウィンドウは5〜10秒であるが、それより短くても長くてもよい。
2)データを線形方程式y=a*x+b(式中、xは初期結合速度に対応している。)に当てはめる。
3)注入中に流量を変化させる場合には、流量の変化からできるだけ早く第2の流量に関するデータを選択し、第2の流量に関する初期結合速度を決定する。
4)異なる流量で得られた結合速度の比を計算する。
5)各試料希釈度に関し、初期結合速度及びポイント4で記載した結合速度の比を固定化リガンドのレベルに対してプロットしたグラフを作成する。
6)上記の式(15)を用いて結合速度データを当てはめる。かかる当てはめは、各試料希釈度について最大の結合速度を返すように直接に行うか(全ての当てはめパラメーターはローカルである)、或いは好ましくは試料希釈度及び流量の変化を説明するパラメーターでRhighを置換した修正バージョンに対して行う。例えば、Rhighの代わりに、Rhigh*((Flrate/Lfrate)^(1/3))/Dilを使用できる。式中、Flrateは結合速度が決定される実際の流量であり、Lfrateは実験で使用される最低の流量であり、Dilは試料に関する希釈率である。
7)Rhighをkm値で割ることで試料の濃度を求める。グローバルフィットを使用する場合には、割るために使用するkt値は最低の流量に対応したものであることに注意されたい。
パート2
単一サイクルCFCA
このアプローチでは、流量を注入中に変化させる。時間区分をそれぞれの流量とリンクさせることで、このデータは容易に分析できる。
パート3
通常のCFCAデータのグローバル分析
この手順には、複数の濃度のグローバル分析を可能にするためのCFCAアルゴリズムの修正が組み込まれる。これは、希釈率を通して局所濃度を導き出し、グローバルフィットを実施することによって行われる。
実施例2
初期結合速度のシミュレーション
以下の実施例では、初期結合速度のシミュレーションからのデータを、図1A乃至1Dを参照しながら説明する。
図1Aはシミュレートしたデータのオーバーレイプロットを示している。左のパネルでは、濃度は3nM(希釈率10)である。50、100、300、500及び1000RUの結合容量を与えるリガンドレベル、ka 1e6、kd 1e−3、kt 1e9(赤)又は2e9(青)。右のパネルでは、濃度は10nM(希釈率3)である。他のパラメーターは全て、左のパネルの通りである。
図1Bは、注入開始から1〜4秒における3秒のウィンドウを用いた結合データの直線当てはめを示している。
図1Cは、修正4パラメーター方程式を用いたグローバルフィットを示している。両方の流量における各濃度についての結合速度をリガンド密度(Rmax)に対してプロットする。分析によって返されたデータは、Rhi 302、Chi^2 62E−06、非希釈試料の濃度30nMである。
図1Dは、リガンド密度(Rmax)に対してプロットした結合速度比を示している。データが重なり合っていることに注意されたい。当てはめたRhiは1.08であって、ktの2倍の変化に対して一致している。
実施例3
抗β−2−ミクログロブリン抗体及びβ−2−ミクログロブリンを用いて得られた結合データの分析
この実施例では、(435〜13300RUの範囲内にある)8つの異なる結合レベルで抗体を固定化し、1つの濃度のβ−2−ミクログロブリンを5μl/分の流量で注入した。結合データ及び5秒のウィンドウを用いたデータへの直線当てはめを図2に示す。
初期結合速度(dR/dt)を固定化レベル(Imm)に対してプロットし、式(15)を用いたデータの当てはめを図3に示す。
Rhi(この場合には4.81RU/s)を関連するkt値4.9e8RU/(M*s)で割って9.9nMの活性濃度を得ることにより、β−2−ミクログロブリンの濃度を決定した。
固定化レベル4200RU及び10400RUで得られたデータを、図4に示すように2つの流量で分析した。この実験では、流量は最初5μl/分であり、注入開始から15秒後に100μl/分に変化させた。数RUの信号オフセットが切り取られた。流量の増加には結合速度の増加が伴っている。
図示されたこのデータを、図5に示すように、参照及びブランク減算なしに直接分析した。
この手順によって決定された濃度は10.7nMであり、当てはめに際して使用し及び当てはめ中に得られた追加のパラメーターは下記の表1中に示す。
当てはめたRmax値は固定化レベルに対応している一方、他のパラメーターは定数として使用した。kt1及びkt2は、それぞれ5及び100μl/分における輸送係数である。
実施例4
CFCAデータのグローバルフィット
ここに記載する実験では、抗体を結合し得る固定化プロテインA誘導体に対する抗体結合が実証される。通常のCFCA分析を図6に示す。
検体を別々のサイクルにおいて様々な流量で注入した。この場合、検体は原液濃度に対して400倍に希釈した。CFCA分析は19.1nMの局所抗体濃度を与え、したがって原液は7.6μMである。
しかし、多くの場合、試料の複数の希釈度を試験するのが有用であり、分析は長々しくなる。データのグローバルフィットに頼ることで、図7に示すように複数の濃度が同時に分析される。
このグラフは、抗体希釈度1:400、1:1200、1:3600及び1:10800のグローバルフィットを示している。各希釈液が2つの流量で注入され、原液についてグローバルに決定された濃度は7.6μMである。これは直ちに、濃度分析が希釈度に依存せず、分析を簡略化することを証明している。
本発明は上記の好ましい実施形態に限定されない。様々な代替例、修正例及び同等物を使用し得る。したがって、上記実施形態は添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の技術範囲を限定するものと解すべきない。

Claims (14)

  1. 試料中の検体の活性濃度を決定する方法であって、
    (a)検体と特異的に結合し得るリガンドを支持しかつそれぞれに異なるリガンド密度を有する複数の固相表面又は表面領域に、試料の層流を接触させる段階、
    (b)各々のリガンド支持表面又は表面領域におけるリガンドへの検体の初期結合速度(dR/dt)を決定する段階、
    (c)決定された初期結合速度から、表面又は表面領域における輸送制限相互作用に対応する初期結合速度を決定する段階、及び
    (d)段階(c)で決定された初期結合速度から活性検体濃度を決定する段階
    を含む方法。
  2. 結合速度が4以上の異なるリガンド密度で決定される、請求項1記載の方法。
  3. 輸送制限相互作用に対応する初期結合速度が最大初期結合速度である、請求項1又は請求項2記載の方法。
  4. 2以上の異なる流量が使用される、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の方法。
  5. 2つの異なる流量について初期結合速度を決定する段階、異なるリガンド密度における初期結合速度から、初期結合速度が流量の立方根に比例する最低のリガンド密度を決定する段階、及びこの初期結合速度から活性検体濃度を決定する段階を含む、請求項4記載の方法。
  6. さらに、異なる流量における結合速度の固定化レベルに対するプロットを用いて物質輸送基準の正当性を立証する段階を含む、請求項4又は請求項5記載の方法。
  7. さらに、異なる流量における結合速度の固定化レベルに対するプロットを用いて濃度分析に含めるべきデータを選択する段階を含む、請求項4乃至請求項6のいずれか1項記載の方法。
  8. 流量を単一の接触サイクル中に変化させる、請求項4乃至請求項7のいずれか1項記載の方法。
  9. さらに、結合データを輸送係数が一定である速度論的モデルに当てはめる、部分的又は完全な輸送制限下での異なる流量における速度論的分析によって活性濃度決定からのデータを同時評価する段階を含む、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の方法。
  10. 液体試料の複数の希釈度が使用され、結合データのグローバルフィット中に含まれる、請求項9記載の方法。
  11. 相互作用分析センサー、好ましくはバイオセンサーが使用される、請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の方法。
  12. 相互作用分析センサーが質量検知、好ましくはエバネッセント波検知、特に表面プラズモン共鳴(SPR)に基づいている、請求項11記載の方法。
  13. コンピューターで実行される、請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載の方法。
  14. 請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載の方法段階をコンピューターに実施させるための命令を含むコンピュータープログラム。
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