JP5830523B2 - 結合化学量論の決定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、受容体とリガンドのような2つの結合パートナー間の結合化学量論を求める方法に関する。
2つの分子が相互作用する場合に関与する結合部位の数、すなわち結合化学量論は、分子機能に関連しているので、基本的に興味を持たれることが多い。結合化学量論は、例えば形成される複合体の分子量の決定により直接測定することができるし、或いは相互作用分子又は結合パートナーの両方の濃度が既知であれば、結合化学量論を間接的方法で測定することができる。
結合化学量論を決定する従来技術の間接的方法では、通例、UV又はNIR吸光分析のような分光光度法、或いは分子の全濃度を決定する蛍光式検出が用いられる。
米国特許第6025142号には、100μmの濃度まで一定濃度のu−PARをANSで滴定することによって、フルオロフォアである8−アニリノ−1−ナフタレンスルホネート(ANS)のウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(u−PA)への結合の化学量論及び親和性を求めることが開示されている。添加された全てのANSが結合曲線の初期部分において結合することを確実にするのに十分に高いタンパク濃度の滴定により、全てがu−PARと結合した場合における、モル溶液の理論的蛍光が計算された。生成されたデータはScatchardの方法で解析された。
米国特許出願公開第2005/0037377号には、蛍光技術を用いて結合因子とプローブとの結合複合体の結合親和性及び/又は化学量論を求める方法が開示されている。その方法は、(a)プローブをフルオロフォアで標識し、(b)標識プローブを、その標識プローブと結合して結合複合体を形成できる因子又は因子の群とインキュベートし、(c)異なる画分中で結合複合体と遊離プローブとを分離し、(d)結合複合体が遊離プローブとは異なる蛍光パターンを生成する条件下で段階(c)からの各画分を蛍光偏光測定に付して、結合複合体を検出できるようにし、(e)プローブと結合因子との結合親和性及び/又は化学量論を求めることを含んでいる。典型的に、結合複合体形成は、蛍光偏光検出によりモニターされる。
Zhi-Xin Wang, et al., Anal. Biochem. 206 (1992): 376・381には、分光法により検出可能なタンパク−リガンド複合体の解離定数及び結合化学量論を決定する滴定プロトコルが開示されている。その方法では、一定濃度のタンパク(又はリガンド)を、ストックリガンド(又はタンパク)溶液の体積を増加させることにより滴定し、各々の滴定剤の添加後、スペクトル信号の変化を記録する。タンパクとリガンドとの間の相互作用に関する信号は最初に増加し、最大値に到達し、次いで希釈効果に起因して減少し始める。最大信号変化を達成するのに必要とされる滴定剤の体積を利用して、その文献で開発されている理論的関係に従ってタンパク−リガンド複合体の解離定数及び結合化学量論を計算する。具体的には、アビジンと、発色団のビオチンアナログである、2−(4’−ヒドロキシアゾベンゼン)安息香酸との相互作用が、500nmにおけるそれらの相互作用の吸収信号に従って研究された。
しかし、これらの方法は、活性分子と不活性分子とを区別していない。調べられる相互作用において結合には活性分子しか寄与しないので、分子濃度は分子の全濃度の推定値でしかなく、「活性」分子の濃度とはかなり異なるおそれがある。容易に理解されるように、これは間接的方法で結合化学量論を決定する際に大きなジレンマとなりかねない
米国特許第6025142号 米国特許出願公開第2005/0037377号
Zhi-Xin Wang, et al., Anal. Biochem. 206 (1992): 376・381
本発明の目的は、従来技術の方法の短所を克服する方法を提供し、分子溶液が相当量の不活性反応体分子を含有していた場合であっても間接的方法で結合化学量論の正確な決定を提供することである。
本発明では、全分子濃度ではなく活性分子濃度の決定に基づいて結合化学量論を決定する。
結合化学量論を決定する本発明の方法は独立請求項1に定義される。
1つの態様では、第1の分子種と第2の分子種との複合体形成相互作用の結合化学量論を求める方法は、
a)所定の初期活性濃度の第1の分子種と第2の分子種を含む溶液を調製する段階であって、第2の分子種の初期活性濃度が、第1の分子種に対する第2の分子種の結合の飽和を生じさせるのに十分であるように選択される段階と、
b)第2の分子種の遊離活性濃度を決定する段階と、
c)(第2の分子種の初期活性濃度と遊離活性濃度との差)/(第1の分子種の初期活性濃度)の比又はその逆数を決定する段階と、
d)上記比から、相互作用の結合化学量論を決定する
段階を含む。
この態様の方法の好ましい実施形態では、第1の分子種に対する第2の分子種の結合飽和が存在することは、第2の分子種の活性濃度を変化させながら一定の活性濃度の第1の分子種を滴定することによって担保される。上述の段階a)〜c)は、複数の溶液を用意することによって実施してもよく、各溶液は一定所定濃度の第1の分子種と濃度を変化させた第2の分子種とを含む。各溶液で第2の分子種の遊離活性濃度を決定し、第2の分子種の初期活性濃度と遊離活性濃度との差を計算する。算出した差と初期活性濃度との関連付け(例えばプロッティング)によって、その差(第2の分子種の初期活性濃度と遊離活性濃度との差)での飽和レベルを決定でき、段階d)で用いることができる。
別の態様では、この方法は、
a)それぞれ所定の初期活性濃度を有する第1の分子種及び第2の分子種の溶液を調製する段階と、
b)第1の分子種の遊離活性濃度を決定する段階と、
c)第2の分子種の遊離活性濃度を決定する段階と、
d)(第2の分子種の初期活性濃度と遊離活性濃度との差)/(第1の分子種の初期活性濃度と遊離活性濃度との差)の比又はその逆数を決定する段階と、
e)上記比から、相互作用の結合化学量論を決定する段階と
を含む。
活性濃度を決定すべき分子種に対する特異的結合パートナーを担持するセンサ表面を典型的に含む、相互作用分析センサを用いて、好ましくは活性濃度の決定を実施する。センサ表面を分子種と接触させた後、表面における会合/解離過程をモニターする。
好ましくは、少なくとも初期活性濃度の決定は、少なくとも部分的に物質移動制限された条件下で、溶液を異なる流速でセンサ表面と接触させることを含んでおり、そのため校正基準使用する必要ない。
本発明の追加の好ましい実施形態を従属請求項に記載する。
本発明のより完全な理解、並びに本発明の更なる特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び添付の図面を参照することによって得られるだろう。
本発明の方法の実施形態に従ったシミュレーションした手順についての(Btot−Bfree)対Btotのプロットを示す図である。
本明細書で用いる技術用語及び科学用語は、別途定義しない限り、本発明の属する技術分野の技術者によって通常理解されている意味をもつ。本明細書において単数形で記載したものであっても、複数の場合も含む。
上述のように、本発明は、分子間で複合体が形成されるような2つの相互作用分子、例えば受容体とリガンドとの間の結合化学量論の決定に関する。手短に述べれば、この方法は、相互作用分子の初期活性濃度及び複合体形成が開始した後の1つ又は両方の分子の遊離(複合体化していない)分子の活性濃度を決定することに基づき、そして得られたデータから相互作用の結合化学量論を決定することに基づく。
相互作用分子対の更なる例としては抗体/抗原が挙げられる。
一実施形態では、相互作用して複合体ABを形成できる2種の分子AとBとの間の結合化学量論の決定は以下の段階を含む。
1)変動初期活性濃度の他の結合パートナー(Btot)で滴定される一定初期活性濃度の1つの結合パートナー(Atot)を有する溶液中での分子AとBのインキュベーション、
2)各混合物中の遊離結合パートナーB(Bfree)の活性濃度の決定、
3)(Btot−Bfree)対Btotのプロットから(Btot−Bfree)についての飽和値(複数も含む)の識別、ここで、(Btot−Bfree)の定義はAとの複合体におけるB分子の濃度である、
4)(Btot−Bfree)飽和/Atotの式からBに対するAの結合部位の数の決定。
勿論、上記で概説した手順において、分子A及びBは交換可能である。即ち、代わりに、分子Bを一定活性濃度にして、変動活性濃度の分子Aで滴定してもよい。
別の実施形態では、Afree及びBfreeが任意の相互作用混合物について両方正確に決定できると仮定すると、溶液中の一定濃度の分子A及びBをインキュベートした場合、化学量論は形成した複合体における分子の比率を調べることにより、即ち、(Btot−Bfree)/(Atot−Afree)の比率を計算することによって決定できる。これは、これらの条件についての複合体化学量論の「スナップショット」を提供するが、これらの条件は分子Aにおける異なる親和性の部位が同じ時間に存在しなくてもよいので、段階的決定とは異なっていてもよい。適宜、より正確な化学量論値を得るために分子A及びBの2つ以上の異なる混合物で測定を実施してもよい。
分子A及びBの活性濃度の決定は好ましくは相互作用分析センサ、典型的にはバイオセンサを用いて実施する。このようなバイオセンサに基づいた活性濃度の決定は、例えば、KKarlsson, R., et al. (1993) J. Immunol. Methods 166(1):75-84、Richalet-Secordel, P. M., et al. (1997) Anal Biochem. 249(2):165-73、及びSigmundsson K., et al. (2002) Biochemistry 41(26):8263-76に記載されている。これらの開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。
相互作用分析センサは典型的にはセンサ表面(複数も含む)を備え、そのセンサ表面は、その上に固定化される、活性濃度を決定する分子についての特異的結合パートナーを有する。
センサ技術を用い活性濃度の決定の開発において、被分析物濃度は、校正基準を参照せずに決定できる。この方法(CFCA(Calibration-Free Concentration Analysis)と呼ばれる))は、被分析物分子のセンサ表面への移動が拡散によって部分的又は完全に制限されていることによって観測される結合速度が部分的又は完全に制限されている条件下で、センサ表面に固定化された標的物との被分析物の結合を様々な流速で測定することに依拠する。CFCAについて後で詳しく説明するが、まずバイオセンサの概念について簡単に説明しておく。
バイオセンサは典型的に、固定化層の質量、屈折率又は厚さ等のセンサ表面の特性の変化を検出する、無標識技術に基づく。本発明の目的のための典型的なバイオセンサは、センサ表面における質量検出に基づき、特に光学的方法及び圧電又は音波法を含む。光学的検出法に基づいた代表的なセンサとしては、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)センサを含むエバネセント波に基づいたセンサ、漏れ全反射(FTR)センサ、及び例えば、反射干渉分光法(RIfS)センサを含む導波路センサを含む、反射光の方法に基づいたセンサ等の物質表面濃度を検出するセンサが挙げられる。圧電及び音波センサとしては、表面音響波(SAW)及び水晶振動子マイクロバランス(QCM)センサが挙げられる。
SPR及び他の検出技術に基づいたバイオセンサシステムは現在市販されている。例示的なこのようなSPR−バイオセンサとしては、フロースルーセル式のBiacore(登録商標)システム(GE Healthcare Bio−Sciences AB(スウェーデン、ウプサラ))並びに試料中の分子と、センサ表面(複数も含む)上に固定化した分子構造との間の相互作用を検出する表面プラズモン共鳴を使用するProteOn(商標)XPRシステム(Bio−Rad Laboratories(米国カリフォルニア州ハーキュリーズ))が挙げられる。試料はセンサ表面上を通過するので、結合の進行は、相互作用が起こる速度を直接反映する。通常、試料を注入した後に緩衝液が流れ、その間に検出器応答が表面上の複合体の解離速度を反映する。システムからの典型的な出力は、会合段階部分及び解離段階部分を含む、時間と共に分子間相互作用の進行を記載しているグラフ又は曲線である。通常コンピュータースクリーン上に表示される、この結合曲線はしばしば「センサグラム」と称される。
Biacore(登録商標)システムを用いると、このように、標識を使用せず、並びにしばしば、試料中の特定分子、又は被分析物の存在及び濃度だけでなく、分子間相互作用における会合(結合)及び解離についての運動速度定数、同様に表面相互作用についての親和性を含む、追加の相互作用パラメーターに関連する物質を精製せずにリアルタイムで決定することが可能となる。
以下において、Biacore(登録商標)システム型のSPRセンサに関して、例示のみのために、限定せずに、本発明をかなりの程度まで説明する。
Biacore(登録商標)システム、及び類似のセンサシステムは、被分析物の全濃度は除外して活性被分析物濃度を測定する。「活性」という用語に関して、それは測定する活性の種類を定義するセンサ表面上でのリガンドの選択である。例えば、検量線を用いる標準的なタンパク濃度分析を使用できるのに対して、Biacore(登録商標)(及び類似のセンサシステム)は、しばしば、検量線を必要としない濃度分析(CFCA)と称されている、検量線を必要としない方法でタンパク(及び例えば他の高分子)濃度の評価を可能にする。
この方法は、物質移動が部分的又は完全に制限されている条件下で流速を変化させたときの、表面に固定化された標的物(リガンド)に対する被分析物の結合速度の変化に依拠するものであり、拡散係数が既知であるか或いは対象の分子の分子量から推定される場合には、上述のように、既知度の標準必要としない。このような無較正測定法の詳細については、例えば、上述のSigmundsson K., et al. (2002) Biochemistry 41(26):8263-8276を参照されたい
Biacore(登録商標)機器、又は類似の機器において、試料はマイクロフローシステムに注入され、層流においてセンサ表面に移動する。拡散律速移動課程によって分子はバルク溶液からセンサ表面に到達する。被分析物分子の濃度に加えて、移動に影響を及ぼす要因としては、拡散係数、フローセル容量及び流速が挙げられる。観測される結合が移動律速であるか、又は反応律速であるかに関わらず、移動速度と結合速度との間の平衡が決定される。
CFCAを成功させるためには、観測される結合速度は、移動により少なくとも部分的に制限されなければならない。少なくとも2つの異なる流速で結合実験を実施し、データを、過程を記述するモデル、例えば2分画モデルにフィッティングすることによって濃度が得られる(Myszka, D. G., et al. (1998) Biophys. J. 75, 583-594、及びSchank-Retzlaff, M. L. and Sligar, S. G. (2000) Anal. Chem. 72, 4212-4220)。Biacore(登録商標)システムに関する曲線フィッティングのより包括的な説明に関しては、BIAevaluation(商標)ソフトウェアハンドブック(GE Healthcare Bio−Sciences AB(スウェーデン、ウプサラ))を参照することができる。
精密フローシステムにおいて表面に付着したリガンドに対する被分析物の結合は、2つの過程である、被分析物の表面への移動及び固定化したリガンドとの分子間相互作用の総和により表される。分子間相互作用は速度定数ka及びkdにより説明されるのに対して、表面まで及び表面からの被分析物の移動は、物質移動定数km及びk−m(kt及びk−tとも称される)により説明される。移動現象は本質的に拡散律速課程、所謂km=k−mであるため、対称である。
このように、例えば、Biacore(登録商標)システム(又は類似物)を用いてタンパクの活性濃度を決定するために、タンパク溶液は、固定化した相互作用パートナーを有する表面上に少なくとも2回(異なる流速で)注入される。このような実験から得たセンサグラムの結合段階は、活性濃度がフィッティングパラメーターである、物質移動項を有する二分子間相互作用モデルにフィッティングされる。フィッティングは好ましくは全体的である。即ち、相互作用モデルは複数の結合曲線(センサグラム)に同時にフィッティングされる。このモデルにおいて、物質移動係数の値は上記のように一定として導入され、フローセルの容量、タンパクの拡散係数及び使用した流速から計算できる。
簡易化した形態において、結合したタンパクにより与えられるセンサ表面における反応増加dR/dtは、物質移動定数kt及び活性濃度に比例する。すなわち、
dR/dt=kt×(活性濃度) (2)
ktは、定数×Mw×D2/3(ここで、Mwはタンパクの分子量であり、Dはその拡散係数である)と書き換えることができ、次式に示す通りとなる。
dR/dt=定数×MW×D2/3×(活性濃度) (3)
拡散係数Dは、分子のサイズ及び形状の関数及び問題になっている溶媒の粘度により与えられる摩擦抵抗である。球形分子に関して、拡散係数は半径に反比例するので、分子量の立方根に比例する。しかし、タンパク等の非常に大きな溶質分子に関して、拡散係数は比較的分子量に関係がない。
ここで、再び本発明に戻ると、Biacore(商標)型センサ機器を用いて分子A及びBの活性濃度を測定するために、それぞれの分子に対する特異的結合パートナーが、センサ機器のセンサ表面上に固定化される。
滴定を含む、上記の最初に述べた態様の方法を実施するために、分子A及びBを含有するそれぞれのストック溶液を調製し、分子A及びBの活性濃度を、CFCA並びに分子A及びBのそれぞれに対する固定化結合パートナーを有するセンサ表面を用いて決定する。次いで、多くの溶液混合物を、一定濃度の分子A及び変動濃度の分子Bを含有するストック溶液から調製する。分子A及びBの初期濃度(それぞれAtot及びBtot)、即ち相互作用が起こる前の濃度は、使用するストック溶液の体積から計算できる。インキュベーション後、異なる混合物中の分子Bの活性濃度を、分子Bに対する固定化結合パートナーを有するセンサ表面(複数も含む)及び(i)CFCA、又は(ii)標準物若しくは検量線(Bのストック溶液についてCFCAにより決定した活性濃度を用いて調製した)のいずれかを用いて決定する。濃度決定の結果に基づいて、次いで分子間相互作用の結合化学量論をさらに上記のように決定できる。
上記のように変動活性濃度の他の結合パートナーで一定の活性濃度の1つの結合パートナーを滴定する場合、バイオセンサ機器へ注入する前に異なる溶液混合物を調製するか、又は適宜、既知の活性濃度のそれぞれの反応体の溶液が、例えば、国際公開第2008/033073号(その全開示は本明細書に参照により組み込まれている)に記載されているように、機器内で所定の割合で混合するためにバイオセンサ機器に注入されてもよい。
インキュベーション後の分子A及びBの遊離活性濃度の決定を含む、上述の他の態様の方法を類似の方法で実施できる。
以下の実施例において、本発明の方法に係る結合化学量論の決定についての手順のシミュレーションを記載する。
2種の分子AとBとの間の結合相互作用(複合体ABを形成する)についての化学量論のシミュレーションを以下の表1に提示する。入力データは以下の通りであった。
Aの全濃度:5.00E−07
Bの全濃度:1.00E−09
親和性:1.00E−06
上記のシミュレーションデータからの値を用いて、Btot−BfreeをBtotに対してプロットし、得られたグラフを図1に示す。容易に理解されるように、未知の場合において(即ちKD及び結合機構が未知である)、このようなプロットは結合化学量論(例示した場合において1:1)を明らかにするだろう。
本発明に係る化学量論の決定は、例えば、Biacore(商標)システム、例えばBiacore(登録商標)T100(GE Healthcare Bio−Sciences AB(スウェーデン、ウプサラ))を用いて実施でき、ここで、マイクロ流体システムを試料が通過し、泳動緩衝液は4つの個々に検出したフローセルを(一つずつ又は連続して)通る。
センサチップとして、例えば、共有結合的にカルボキシメチルで修飾したデキストランポリマーヒドロゲルを有する金でコーティングした表面を有するSeries S Sensor Chip CM5(GE Healthcare Bio−Sciences AB)を用いることができる。機器からの出力は、時間の関数として検出器応答(「共鳴単位」、RUで測定した)のプロットである「センサグラム」である。1000RUの増加は、約1ng/mm2のセンサ表面上の質量の増加に対応する。
計算のために、専用のBIAevaluationソフトウェア及びBiacore T100ソフトウェア2.0(GE Healthcare Bio−Sciences AB(スウェーデン、ウプサラ))を使用でき、それは検量線を必要としない濃度分析(CAFC)用のモジュールを備える。
Biacore(登録商標)T100を用いて分子Bについての分子Aにおける結合部位の数を決定する手順を以下のように実施できる。
A)活性濃度の決定
1)センサチップCM5を挿入し、システムに緩衝液を入れる。
2)フローセル2中で分子Aを固定化し、フローセル4中で分子Bを固定化する。
25〜100RU/kDaの間で固定化することを目標にする(すなわち、分子Aが50kDaの分子量を有する場合、1250〜5000RUの間で固定化する)。
3)固定化リガンドAに分子Bを注入し、5μl/分の流速で少なくとも0.3RU/秒の初期結合速度を与える希釈を使用する。60秒の注入時間を使用する。
4)また60秒間、100μl/分の流速で同じ希釈の分子Bを注入する。
5)段階3及び4と同様の方法で、5及び100μ/分で固定化リガンドBに分子Aを注入する。
6)T100評価ソフトウェアを開き、濃度分析/検量線を必要としない分析ツールを用いて分子A及びBの濃度を決定する。
B)化学量論の決定
分子A及びBの活性濃度を知ることができれば、結合化学量論を決定できる。
1)一定濃度「2a」の分子Aを使用し、その100μl溶液を96ウェルプレートの10以上のウェルにピペットで取る。
2)濃度100×2a(又はそれ以上)の分子Bの200μl溶液を調製し、10(又はそれ以上)の連続3倍希釈のBを調製する。
これらの溶液は、遊離濃度のBの決定及び分子Aとのインキュベーションのための標準曲線に使用する。
3)100μlの各々のBの溶液を、分子Aの初期濃度「a」を与える濃度「2a」で分子Aが既に存在しているウェルに移す。
4)固定化リガンドAに標準濃度のBを注入する。
5)固定化リガンドAに変動濃度のBとインキュベートしたAの溶液を注入する。
段階4及び5において、典型的な注入時間は3分であり、典型的な流速は10μl/分である。反応値として注入停止後に記録点のセットとして10秒を使用する。
6)T100評価ソフトウェアを開き、既知濃度のBに対して注入から得られた反応値をプロットすることによってBについての標準曲線を調製する。
7)各々の混合物中のBの遊離濃度を決定する。
8)(Btot−Bfree)対Btotをプロットし、飽和におけるデータ点(図1を参照のこと)を使用して、化学量論=(Btot−Bfree)飽和/Atotの式から化学量論を計算する。
本発明は上記の好ましい実施形態に限定されない。種々の代替、修飾及び等価物が使用されてもよい。従って、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。

Claims (6)

  1. 第1の分子種と第2の分子種との複合体形成相互作用の結合化学量論を求める方法であって、当該方法が、
    a1)所定の初期活性濃度の第1の分子種と第2の分子種を含む溶液を調製する段階であって、第2の分子種の初期活性濃度が、第1の分子種に対する第2の分子種の結合の飽和を生じさせるのに十分であるように選択される段階と、
    a2)第2の分子種の遊離活性濃度を決定する段階と、
    a3)(第2の分子種の初期活性濃度と遊離活性濃度との差)/(第1の分子種の初期活性濃度)の比を決定する段階と、
    a4)上記比から、相互作用の結合化学量論を決定する段階、
    又は
    b1)それぞれ所定の初期活性濃度を有する第1の分子種及び第2の分子種の溶液を調製する段階と、
    b2)第1の分子種の遊離活性濃度を決定する段階と、
    b3)第2の分子種の遊離活性濃度を決定する段階と、
    b4)(第2の分子種の初期活性濃度と遊離活性濃度との差)/(第1の分子種の初期活性濃度と遊離活性濃度との差)の比を決定する段階と、
    b5)上記比から、相互作用の結合化学量論を決定する段階と
    を含んでおり、分子種の活性濃度が、活性濃度を決定すべき分子種に対する特異的結合パートナーを担持するセンサ表面を含む相互作用分析センサを用いて決定され、活性濃度の決定が、決定すべき分子を含有する溶液を、少なくとも部分的に物質移動が制限された条件下で異なる流速でセンサ表面と接触させることを含んでいるとともに、校正基準を使用せずに実施される、方法。
  2. 段階a1)〜a3)が、各溶液が一定所定濃度の第1の分子種と濃度を変化させた第2の分子種を含む複数の溶液を調製し、各溶液で第2の分子種の遊離活性濃度を決定し、第2の分子種の初期活性濃度と遊離活性濃度との差を各溶液について計算し、各々の差をそれぞれの初期活性濃度と関連付けて、その差での飽和レベルを求め、段階a4)で用いることを含む、請求項1記載の方法。
  3. 相互作用分析センサがバイオセンサである、請求項1又は請求項2記載の方法。
  4. バイオセンサが質量検知バイオセンサである、請求項記載の方法。
  5. バイオセンサがエバネセント波検知に基づくバイオセンサである、請求項4記載の方法。
  6. バイオセンサが表面プラズモン共鳴(SPR)に基づくバイオセンサである、請求項4記載の方法。
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