本開示により、医療物品などの物品(例えば、カテーテルまたはシース)を血管またはドレナージ部分などの空間へと送達するためのアクセスデバイスが提供される。図1Aに示すアクセスデバイス20は、本発明の好適な実施形態に従って、血管(例えば、静脈または動脈)内へと挿入されるように構成される。以下、アクセスデバイスについて、本文脈(すなわち、血管アクセスのための文脈)において説明するが、医療物品(例えば、カテーテルまたはシース)を患者体内の他の位置(例えば、ドレナージ部分)にアクセスおよび配置する目的および他の目的(例えば、膿瘍のドレーン)のためにも、アクセスデバイスを用いることが可能である。
アクセスデバイスの本実施形態は、例示的な一体成形型の管状医療物品を患者内の体内空間内へと配置する文脈において開示される。一旦配置すれば、管状物品を用いて、他の医療物品(例えば、カテーテル、ガイドワイヤ)を受容して、体内空間内へのアクセスを入手しかつ/または体内空間内への流体導入または体内空間からの流体の除去(例えば、ドレーン)のための通路を得ることができる。図示の実施形態において、管状医療物品はシースまたはカテーテルであり、静脈内への流体通路を提供するように主に構成される。しかし、本発明の原理は、一体成形型のシースまたはカテーテルの配置に限定されず、また、そのシースまたはカテーテルを介した医療物品の後続挿入にも限定されない。すなわち、本開示を鑑みれば、本明細書中に開示されるアクセスデバイスは、1つ以上の他の種類の医療物品(例えば、他の種類のシース、流体ドレナージおよび送達管、および単一ルーメンまたは多ルーメンのカテーテル)を直接患者内へまたは間接的に別の医療物品を介して配置する際にも成功裏に用いることが可能であることが理解される。
例えば、限定されないが、本明細書中開示されるアクセスデバイスは、中心静脈カテーテル、末梢挿入型中心カテーテル、血液透析カテーテル、外科用ドレナージ管、剥離式シース、多ピースシース、PICC線、IV線、スコープ、ならびに外部電子デバイスまたはセンサまたは移植された電子デバイスまたはセンサへ接続されたワイヤまたはケーブルのための電線用導管を直接的または間接的に配置するように構成することも可能である。上述したように、上記に羅列した医療物品は、アクセスデバイスの拡張器、針、およびガイドワイヤを患者内に直接配置してもよいし、あるいは、アクセスデバイスの拡張器、針、およびガイドワイヤを介して患者内に予め配置された医療物品を介して患者内に後で配置してもよい。
さらに、本明細書中開示される実施形態は、単一の医療物品の同軸挿入に限定されない。例えば、挿入された1つのシースを介して2つのカテーテルを患者内に挿入してもよいし、あるいは、挿入された第1のカテーテルを介して第2のカテーテルを患者内に挿入してもよい。さらに、血管または他の体内空間内に導管を設けることに加えて、拡張器、針、およびガイドワイヤを介して挿入された医療物品は、後続挿入された医療物品のルーメン(単数または複数)に加えて別のルーメンを形成し得る。当業者であれば、本明細書中に開示されるデバイスおよびシステムのさらなる用途を発見することもできる。よって、(例えば、微小穿刺用途のための)シースに関連するアクセスデバイスの図示および記載は、アクセスデバイスの可能な用途のうちの1つの例示に過ぎない。
図1Aおよび図1Bは、アクセスデバイス20の好適な実施形態を示す。アクセスデバイス20は、針22、拡張器24およびシース26を含む。図示の実施形態において、アクセスデバイスは、ガイドワイヤ部28およびトラック30も含む。図1Bに最良に示すように、拡張器24は針22上に同軸に取り付けられ得、シース26は拡張器24上に同軸に取り付けられる。アクセスデバイスのコンポーネントを入れ子型にするためには、コンポーネントの軸が同軸ではなく実質的に平行になるようにコンポーネントを配置すればよい(例えば、モノレール型設計)。
これらのコンポーネントはそれぞれ、ルーメン接続具を含む。このルーメン接続具は、終端部または遷移部(すなわち、ハブ)と、接続具から延在する長細構造とに設けられる。よって、図示の実施形態において、針22は、針ハブ34から遠位方向に延在する針本体32を含む。拡張器24は、拡張器ハブ38から遠位方向に延在する拡張器シャフト36を含む。シース26は、シースハブ42から遠位方向に延在するシース本体40を含む。ガイドワイヤ部28は、ガイドワイヤ44を含み、好適にはガイドワイヤハブまたはキャップ46を含む。図示の実施形態において、ガイドワイヤハブ46は、ガイドワイヤ44の近位端部上に配置される。しかし、他の用途において、ハブ46は、ガイドワイヤ44の端部間の位置に配置してもよい。
図2A〜図2Gは、針22の針本体32および針ハブ34を示す。針本体32および針ハブ34は、アクセスデバイスの実施形態に沿って構成され、アクセスデバイス20のその他のコンポーネントから離隔されている。図2Aおよび図2B中に最良に示すように、針ハブ34は、針本体32の近位端部上に配置される。針本体32は、針22の遠位部50の近隣の遠位端部において終端し、針ハブ34は、針22の近位部52に配置される。
針本体32は好適には長細管状形状を有し、円形の一定直径の内径と、円形の一定直径の外面とを有する。しかし、他の実施形態において、針本体32は、他の内径形状および外径形状を持ってもよい(例を非限定的に挙げると、楕円断面形状)。針の内部または外部に溝部または導管を設けてもよい。溝部または導管により、針穴内の流体を針22の特定の構造の周囲または針22内(例えば、ガイドワイヤの周囲)へと誘導することができる。いくつかの実施形態において、溝部または導管により、拡張器に対する針22の配置方向を所望に維持することが支援され得る。
針本体32の長さは、標的となる皮下体内空間へのアクセスが得られるくらいの充分な長さであり、また、内径も、過度の外傷を引き起こすことなく体内空間へのアクセスの際の挿入力に耐えるだけの十分な内径である。多数の用途において、針本体の長さは3〜20cmであり、より好適には3〜10cmである。例えば、成人の胸部内の体内空間(例えば、血管)へアクセスするためには、針本体32の長さは好適に7cm以上、より好適には9cm以上、最も好適には9〜10cmである。針のサイズは好適には18ゲージ以下、より好適には18〜28ゲージ、最も好適には微小穿刺用途において18〜26ゲージである(例えば、末梢IV)。新生児への用途の場合、針本体32の長さおよびゲージは大幅に短くかつ小型にすべきであり、例えば好適には3〜4cmおよび26〜28ゲージである。
図2Aおよび図2D中に最良に示すように、針本体32は、遠位部50上に配置された斜面先端54を含み得る。さらに、いくつかの実施形態において、針本体32は、少なくとも1つの穿孔または開口部56を針本体32の遠位端部の近位において含み得る。いくつかの実施形態において、針本体32および/または拡張器シャフト36は、複数の側方穿孔または開口部を持ち得る。針本体32および/または拡張器シャフト36双方が開口部を有する実施形態において、これらの開口部のうち一部または全体が回転的に整列され得る。
穿孔56は、針本体32の壁部または側部を通じて延在するかまたは経路を提供する。さらに本明細書中に記載するように、穿孔56により、アクセスデバイス20の使用時において、血液などの流体を針本体32の一部と拡張器24(図3A〜図3D)の一部との間に流動させることが可能になる。穿孔56は、針本体32上において多様な形状および/または配置方向を持ち得る。例えば、図2Dに示す穿孔56は、楕円形状を有する。しかし、側部開口部56の形状は、例示の実施形態に限定されず、例えば、参照することにより本明細書にその全体が援用される2011年2月8日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US2011/024097に示されるように、円形、楕円形、四角形または別の形状であってもよい。
図2Aおよび図2Bに示すように、針ハブ34は、1つ以上のハンドリング部58および59を含み得る。これらのハンドリング部58および59により、針ハブ34を操作するための把持領域が得られる。例えば、医師または医療提供者は、ハンドリング部58および59のほぼ対向する側部上に人さし指および親指を配置して、針ハブ34を拡張器24および/またはシース26に対して安定させることができる。図示の実施形態において、拡張器/シースが針上を遠位方向にスライドすると、針ハブ34は、第1の位置121と第2の位置123の間においてトラック30に沿って相対的にスライドする(例示的部分を図6Aに示す)。ハンドリング部58および59は、(後述する)挿入工程を行う際に保持され得る。加えて、ハンドリング部58および59を用いて、拡張器ハブ38が回転している状態で針ハブ34を安定させることができる。さらに、医師または医療提供者は、針ハブ34をトラック30に沿った任意の位置に配置する際、ハンドリング部58および59をアクセスデバイス20を把持するための補助器具として用いることができる。いくつかの実施形態において、ハンドリング部58および59のうちいずれかまたは双方に1つ以上の任意選択のラッチ要素を設けてもよい。これらのラッチ要素により、以下にさらに説明するように、針ハブ34がアクセスデバイス20の別のコンポーネントへと連結される。
1つ以上のハンドリング部58および59は、針ハブ34の残り部分と一体的に形成してもよいし、あるいは別に形成してもよい。例えば、ハンドリング部58および/または59を針ハブ34の残り部分と別個に形成した場合、第1の組み立て工程における針ハブ34の残り部分のトラック30への取り付けが容易になり(例えば、図1Aおよび図6A参照)、また、第2の組み立て工程におけるハンドリング部58および/または59の針ハブ34の残り部分への取り付けも容易になる点において有利であり得る。例えば、図2Gおよび図1Aを参照すると、ハンドリング部59は、針ハブ34の残り部分と共に、トラック30への取り付けの際、をトラック30の周囲を包囲するように構成することができる。よって、例えば、ハンドリング部59が取り外されない限り、針ハブ34がトラック30から外れる状況を実質的に回避することができる。有利なことに、いくつかの実施形態において、トラック30への取り付け後にラッチ要素66を含まないハンドリング部59を追加することができ、これにより、ラッチ要素66を含み得るその他のハンドリング部58を、針ハブ34の他の部分と一体的に枢動可能に形成することができる。
1つ以上のハンドリング部58および59は、針ハブ34の残り部分へと解放可能にまたは永久的に取り付けられ、これにより、針ハブ34をトラック30から係合解除する際の容易性を制御する。例えば、ハンドリング部58および59は、解放可能に針ハブ34の残り部分へ取り付けることができる。これにより、第1の分解工程においてハンドリング部(単数または複数)58および59を針ハブ34の残り部分から分解することが可能になり、これにより、針ハブ34をトラック30から取り外すことが可能になる。逆に、ハンドリング部58および59を針ハブ34の残り部分に永久的に取り付けることも可能であり、この場合、初期組み立てプロセス後に針ハブ34がトラック30から外れる事態が回避される。針ハブ34がトラック30から外れる事態を回避することにより、感染の原因となり得るアクセスデバイス20の再利用を防止する。さらに、針ハブ34をトラック30から外れないようにすることにより、図10Aおよび図10Bに示しまたさらに以下に説明するように、針を第2の位置123により高い信頼性で保持することも可能になり、これにより、偶発的に針が穿刺する可能性が低減する。
1つ以上のハンドリング部58および59は、針ハブ34の周囲の外周位置に配置することができる。この外周位置は、針先端上の斜面54および/または針中の少なくとも1つの開口部または穿孔56のうち1つの外周位置と整列される。
図示の実施形態において、ハンドリング部58は、斜面54および穿孔56によってインデックスされる。さらに、図2A中に最も明確に示すように、針ハブ34は、色コーディング、単語または矢印などの他の印を含み得、これにより、拡張器24またはシース部26に相対する針本体32の斜面先端54または穿孔56の配置方向をオペレータに示すことができる。使用時において、医師または医療提供者は、露出したハンドリング部58の配置方向に留意することにより、斜面が血管の内部にありまた穿孔がシースおよび/または拡張器によって被覆されている場合でも、斜面付きの針先端(および穿孔56)の配置方向を決定することができる。例えば、図示の実施形態において、患者から離れたハンドリング部58の配置方向は、血管内の針先端の斜面上方配置方向と一致する。図示の穿孔56も、図2Cに示すようにハンドリング部58と同一側部上にある。
図2Dは、針本体32における側部開口部または穿孔56の拡大図である。1つ以上の穿孔56により、針本体32の側部を貫通する経路が得られる。図2Dに示す穿孔56は、楕円形状を有する。しかし、側部開口部56の形状は図示の実施形態に限定されず、円形、楕円形、四角形または別の形状であってもよい。
図2A〜図2Cおよび図2E〜図2Gを参照すると、針ハブ34は、針ハブ34の近位部60および遠位部61においてロック構造を含み得る。これらのロック構造は、ルアー型、ねじ山型、ラッチ型、他の種類の接続またはこれらの組み合わせであり得る。
針ハブ34の近位部52上にロック構造を設けることにより、医師または医療提供者が別の医療物品を針ハブ34の近位端部60へと固定する(例えば、解放可能に固定する)ことが可能になる。例えば、図示の実施形態における針ハブ34は、環状フランジまたはリップ63を含む。リップ63にはねじ山が設けられ、これにより、針ハブ34を対応するねじ山付きロック機構により他の医療物品へと取り付けることが可能になる。さらに、医師または医療提供者は、注射器または監視装置を近位端部上のロック構造へと取り付けて、所望とされる他の治療を行うことができる。これらの特徴を特定の用途に用いることが所望される場合、針ハブ34は、近位端部および/またはサイドポートに隔壁を備えることも可能である。
針ハブ34の遠位部61上にロック構造を設けることにより、針ハブ34が第1の位置121にあるとき(例えば図6Aを参照)医師または医療提供者は、例えば針ハブ34を拡張器ハブ38などの医療物品(例えば、図1A〜図1Bを参照)へとロックすることができる。再度図2A〜図2Cおよび図2E〜図2Gに示す実施形態を参照すると、ロック構造は、ハンドリング部58へ連結されたラッチ要素66を含む。ハンドリング部58は、針ハブ34の残り部分に枢動可能に連結され、これにより、ラッチ要素を拡張器ハブ38の対応する部分、例えばリップ77(図7B)へと解放可能に係合および固定させることが可能になる。
よって、ラッチ要素66により、針ハブ34が拡張器ハブ38へと解放可能にロックされる。このロック構造により、医療提供者が針ハブ34および拡張器ハブ38のうちの1つまたは双方を把持した状態で、針を患者内へと前進させることが可能になる。いくつかの実施形態において、拡張器ハブ38のうちその上にラッチ要素66が係合する部分は、1つ以上の平坦部を含み得る。これら1つ以上の平坦部により、針ハブ34の拡張器ハブ38に対する回転が抑制される。図3Eに示す実施形態の拡張器ハブ38は、環状溝部33上に配置される平坦部33を含む。環状溝部33は、ラッチ要素66と係合することができ、針ハブ34の回転を抑制することができる。いくつかの実施形態において、平坦部は、針ハブ21と拡張器ハブ32との間のある程度の相対的回転(例えば、180度)の後に、このような回転を抑制することができる。
特定の実施形態において、ラッチ要素66は、針ハブ34の中心に向かって付勢を提供するように、構成される。好適には、付勢により、固定部分(例えば、拡張器ハブ38)がラッチ要素66からスリップするかまたは係合解除される事態が回避される。より好適には、ハンドリング要素58へ圧力を付加してラッチ要素66を解放することにより、ラッチ要素66の付勢を解消することができる。適切な解放用圧力を付加するために、医師または医療提供者は、例えばハンドリング要素58および59の対向する側部上に人さし指および親指を配置し、締め付けるように圧力を付加して、ヒンジ付勢を解消することができる。
ハンドリング部58および59ならびにロック部/ラッチ要素66は、複数の異なる形状のうち任意の形状を含み得、本明細書中に開示される特定の実施形態に限定されない。例えば、参照することにより本願明細書にその全体が援用される2011年2月8日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US2011/024097号には、放射状に延在するフィンと、針ハブ上の回転フック形状ラッチ要素とが開示されている。これらのフィンおよびラッチ要素は、拡張器ハブ上の対応する開口部と係合し得る。拡張器ハブ上の対応する開口部を用いることにより、本明細書中に記載されるアクセスデバイスの実施形態の取り扱いが容易になる。参照することにより本明細書にその全体が援用される2008年1月24日に出願された米国特許出願公開第2008−0294111号には、多様なロック機構およびクリップが開示されている。これらのロック機構およびクリップを組み入れることにより、本明細書中に開示されるアクセスデバイスの多様なコンポーネントを固定することができる。
以下にさらに詳述するように、ガイドワイヤ44は、針ハブ34の中空のテーパー部62および針本体32を通って、破裂した血管内へと挿入される。有利なことに、テーパー部62は、ガイドワイヤ44を針22の穴部へと誘導することができる。さらに、いくつかの実施形態において、このテーパー部62により、雌ルアー接続を得られる。ガイドワイヤ44により、医療提供者が拡張器24およびシース26を血管内へと誘導することが可能になる。
図2C、図2Fおよび図2Gを参照すると、針ハブ34は、2つの中子68も含み得る。これら2つの中子68により、第1の位置121と第2の位置123との間においてトラック30に沿って針ハブ34をスライドさせることが可能になる(図6A)。好適な実施形態において、針ハブ34の2つの中子68は第1の位置121と第2の位置123との間においてトラック30と係合したが、他の実施形態において、針ハブ34は、第1の位置121と第2の位置123との間におけるトラック30の長さの一部上においてのみトラック30と係合する。トラック30と針ハブ34との間のスライド相互接続は、他の協働構造(例えば、対応するピンおよび蟻継ぎ接続の尾)を用いて達成することも可能である。
針22は、当該分野において公知の多様な材料のうち任意のものを含み得る。いくつかの実施形態において、針22の1つ以上の部分は1つの材料を含み得、あるいは、針22へさらなる機能を提供するために材料上への処理またはコーティングを含み得る。例えば、針22に含まれ得る1つ以上の部分は、アクセスデバイス20の利用を促進するための特定の光学特性を備えた材料を含む。参照することにより本明細書にその全体がすでに援用されている2011年2月8日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US2011/024097号には、エコー源性部およびコントラスト部を含む針の実施形態が開示されている。エコー源性部およびコントラスト部のうちいずれかまたは双方は、本明細書中に記載のアクセスデバイスの実施形態における針または他のコンポーネントと共に使用することができる。
図3Aは、図1Aに示す実施形態の拡張器24の平面図である。図3Bは、図3Aに示す実施形態の拡張器24の3B−3B線に沿った断面図である。図3Aおよび図3Bに示すように、図示の拡張器24は、拡張器シャフト36、拡張器ハブ38、遠位領域70および近位領域72を含む。
拡張器ハブ38は、拡張器ハブ38をアクセスデバイス20の別の部分へ固定するためのロック構造を含み得る。各ロック構造は、ルアー型、ねじ山型、ラッチ型、他の種類の接続またはこれらの組み合わせであり得る。図示の実施形態において、拡張器ハブ38は、第1のルアー接続78、第2のルアー接続80、リップ77およびベース79を含む。第1のルアー接続78は、図2A〜図2Eに示す(図7Bも参照)針22上の針ハブ34と係合するように構成される。第2のルアー接続80は、第1のルアー接続78に対して遠位方向に配置される。いくつかの実施形態において、第2のルアー接続80(例えば、雄ルアースリップコネクタ)は、図1A〜図1Bに示す(図7Bも参照)シース26上のシースハブ42(例えば、雌ルアースリップコネクタ)と係合するように構成され得る。これらのコンポーネント上の雄/雌ルアースリップコネクタの配置方向を逆転させることが可能であり、かつ/またはラッチ要素66(図2E〜図2F、図7B)または本明細書中に記載の他のラッチおよびロック構造などのさらなるロック構造または代替的ロック構造が使用可能であることが理解される。
針と拡張器24との間の導管が形成された実施形態において、針22および/または拡張器24の色などの光学特性を選択する際、血液または他の流体と針22および/または拡張器24との間のコントラストを強調するように選択を行うことができる。例えば、本明細書中にさらに記載のような血液フラッシュの際には、血液が拡張器24と針22との間に流れているのを監視することにより、針が適切に血管内に配置されていることを確認する。流体が針22と拡張器24との間を流れている際の流体の視認性を向上させるために、流体の色とコントラストを為す色を有する針22を用いるとともに、拡張器24は透明な材料または若干透明な材料から製造されることが好ましい。例えば、針22を白色にすることにより、血液の赤色とのコントラストを強調することができる。流体の色および所望のコントラストレベルに応じて、他の色の針22も利用することができる。さらに、いくつかの実施形態において、血液フラッシュ領域内の針の一部のみをコントラストを付けて配色し、残り部分を異なる色にしてもよい。
図3Cは、拡張器ハブ38Aの別の実施形態の拡大斜視図である。拡張器ハブ38Aは、スピンナットまたはカラー84をさらに含む点を除いて、図3Aに示す拡張器ハブ38と同様である。スピンナット84の近位端部は、拡張器ハブ38内の環状溝部73の周囲を回転する(例えば図3Aを参照)。環状溝部73内に配置されると、スピンナット84は遠位方向において移動することは抑制されるが、拡張器ハブ38A周囲においては自由に回転することができる。スピンナット84は、シース26上の対応する相互係合要素へとロックされる相互係合要素を持ち得る。図示の実施形態において、スピンナット84は、図1Aに示すシース26上のシースハブ42上の外部ねじ山と係合する内部ねじ山を含む。
いくつかの実施形態において、拡張器シャフト36は、1つ以上の穿孔および/または導管と共に構成され得、これにより、拡張器の一部とシースとの間に配置される血液フラッシュチャンバが形成される。拡張器シャフト36は、溝部75(図3A、図3D)のような1つ以上の通気孔を含み得、これにより、血液フラッシュ時における通気を可能にする。本明細書中に記載の要素と共に使用することが可能な1つ以上の穿孔、導管および/または通気孔を備えたこのような拡張器シャフトの例は、参照することにより本明細書にその全体がすでに援用されている2011年2月8日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US2011/024097号に開示がある。
図4Aは、図1Aに示す実施形態のシース26の平面図である。図4Bは、図4Aに示す実施形態の4B−4B線に沿ったシース26の断面図である。図4Cは、図4Aのシース26の拡大近位端部図である。図4Dは、図4Aのシース26のシースハブ42の拡大斜視図である。図4A〜図4Dに示すように、シース26は、シース本体40、シースハブ42、遠位部90および近位領域92を含み得る。シース本体40は、透き通った、半透明な、透明な、または半不透明の材料によって部分的にまたは全体的に作成され得る。シース本体40は、例えば、硫酸バリウムストライプのような1つ以上のX線不透過性マーカも含み得る。好適な実施形態において、シースは、2つのこのようなX線不透過性ストライプを含む。これらのX線不透過性ストライプは、本体40の対向する側部上に直径方向に配置される。
シース本体40は、一体成形型のシースであり得、その内部を通じてカテーテルまたは他の医療物品(例えば、ガイドワイヤ)が血管内へと挿入される。このような実施形態において、シース本体40は、カテーテルまたは他の医療物品の挿入のための導管(例えば、ガイドワイヤ)を形成する。導管の提供に加えて、シースまたはシースの一部は、カテーテルのルーメン(単数または複数)に加えてルーメンを形成し得る。例えば、シース本体40そのものにより第3のルーメンを形成するとともに、シース本体40を通じてデュアルルーメンカテーテルを挿入することにより、トリプルルーメンカテーテルの均等物を形成することができる。
シースハブ42は、ロック部材94のような係合またはロック構造を含み得る。このような係合またはロック構造は、対応する構造と共にシースハブ42と噛み合うかまたは係合する。例えば、ロック部材94はルアー接続94であり得、拡張器ハブ38の第2のルアー接続80と係合するように構成され得る。いくつかの実施形態において、シースハブ42は、リップ95を含み得る。リップ95は、ねじ山または他の取り付け構造を含み、これにより、シースハブ42を対応するロック機構と共に他の医療物品へ取り付けることが可能になる。ロック部材94および/またはリップ95は、本明細書中にさらに説明され、図3C中に図示された拡張器ハブ38上に配置されるスピンナットまたはカラー84と係合するように構成され得る。ルアー接続94およびリップ95が双方とも用いられる実施形態において、2つの独立した接続形態により、シースハブ42をより確実に取り付けることができる。
シースハブ42は好適には、拡張器ハブ38のロック機構または第2のルアー接続80(例えば、図3A)が実質的な妨害無くシースハブ42内へと進入することができるように、設計される。しかし、使用時において、シースハブ42を拡張器シャフト36上の所望の位置に配置すると、医師または医療提供者は、シースハブ42を押圧、牽引またはツイストし得、場合によってはロック部材94を別の医療物品上の対応するコネクタと係合解除または係合させ得る。ロック部材94はルアー接続に限定されず、例えば、突出する突起、窪み、圧入、スナップフィットなどであってもよく、これにより、拡張器ハブ38およびシースハブ42が解放可能に連結されるように機械的結合が作成される。好適には、ロック位置の係合解除または係合は、拡張器ハブ38をシースハブ42に対して牽引するか、締め付けるか、押圧するかまたはツイストすることにより、行われ得る。
シースハブ42は好適には、1つ以上の表面特性を含む。これらの1つ以上の表面特性により、医師または医療提供者は、シース26および/またはアクセスデバイス20を容易に把持または操作することができる。例えば、シースハブ42は平坦部を含み得、これにより例えば四角形グリップが形成される。図示の実施形態において、シースハブ42は、ユーザによる把持に用いられるリッジ98を含む。
図4Aを参照すると、シースハブ42は、ハブ42の遠位端部に向かって任意選択のリッジ47を含み得、これによりハブ42の把持が容易になる。リッジ47は、以下にさらに記載するように円筒型カバーも受容および固定し得る(図4J〜図4L)。
図4Eは、図4Aのシース26の拡大部分斜視図であり、明確さのためにシース本体40は図示していない。図4Fおよび図4Gはそれぞれ、図4Eのシース26の部分側面図および平面図である。
患者内へのシース26の挿入時または挿入後において、シース本体40が過度に屈曲するか、捻れかつ/または永久的に変形する場合があり、その結果、アクセスデバイス20の機能性の低減または抑制に繋がり得る。シース本体40は、例えばシース本体とシースハブ42との間のインターフェースにおいてまたはシース本体40とシースハブ42との間のインターフェースの上流または下流において、このような捻れまたは永久変形が発生し易い。捻れまたは永久変形が発生した場合、シース本体40内における血液または薬剤などの流体の流動が阻害される可能性がある。さらに、例えばIV線、PICC線および他の高圧用途のためにアクセスデバイス20が用いられる場合、加圧された流体がシース26内を通過すると、シース本体40の近位端部は、不規則に「高速移動」し得る。シース本体40内におけるこのような捻れまたは永久変形の可能性を低減するためにおよび/またはアクセスデバイス20の展開時におけるこのような高速移動の可能性を低減するために、いくつかの実施形態において、シース26は、シース26へのサポートを提供し得る多様な材料および任意選択のリリーフ要素を含み得る。いくつかの実施形態において、デバイス内の屈曲力を、捻れに強いリリーフ要素へと移動させることができる。
図4D〜図4Gは、シース26と共に使用される任意選択のリリーフ要素140の実施形態を示す。リリーフ要素140は、シースハブ42(例えば、シースハブ42の遠位部)から延在し得る。リリーフ要素140をシース本体40の近位部92付近に配置することにより、近位部92がシースハブ42に対して屈曲したとき、シース本体40の近位部92を支持することができる。
リリーフ要素140は、導管141を含み得る。導管141を通じて、シース本体40は少なくとも部分的に延在し得る。導管141のサイズは、シース本体40とのすきまばめまたは好適には近接した締まりばめを維持するようなサイズにされ、これにより、近位部92への上記したサポートが得られる。リリーフ要素140は、ただ例示目的のために、シース本体40の一部を完全に包囲するかまたは取り囲む少なくとも一部で示されている。いくつかの実施形態において、リリーフ要素140は、円弧状または三日月状の軸方向断面を含む。この断面は、シース本体40への上記したサポートを提供しつつ、シース本体40を完全には包囲しない。
リリーフ要素140は、シース本体40へ一定の可撓性を付与しつつ、シース本体40へのさらなるサポートを提供するための多様な形状および構造を含み得る。例えば、リリーフ要素140は、実質的に中空の長細部材を含み得る。この長細部材は、ほぼ矩形のまたは円筒型の管状形状を含み、一定のサポートおよび可撓性が得られる壁厚さおよび材料と共に構成される。リリーフ要素140は、実質的に連続するまたは切れ目の無い表面を持って構成され得る。あるいは、リリーフ要素140は、ギャップ、アパチャ、凹部、またはリリーフ要素140の表面を通って部分的または完全に延在するその他の構造を含み、これによりさらなる可撓性を提供し得る。リリーフ要素140は、外周または長手方向(軸方向)リブ、支柱などの導管141を部分的または完全に包囲する多様な支持構造を含み得る。
図4D〜図4Gを参照すると、リリーフ要素140は、導管141に沿っておよび/または導管141の周囲において(例えば、部分的または完全に包囲して)間隔を空けて配置される複数のリブ142を含み得る。リブ142は、リリーフ要素140(導管141)の長さまたは外周(例えば、円周)の一部または全体に沿って延在し得る。複数のリブ142は、リリーフ要素140(導管141)の長さまたは円周の一部または全体に沿って軸方向にまたは円周方向に間隔を空けて配置され得る。図示の実施形態において、リブ142は、導管141の周囲において円周方向に延在し、導管141に対して軸方向に間隔を空けて配置され、これによりリリーフ要素140を形成する。複数のリブ142内の隣接するリブを不規則的間隔で間隔を空けて配置することができるが、例示目的のために規則的間隔で間隔を空けて配置される様子が示される。
リリーフ要素140は、リブ142へ接続された複数の支柱143を含み得、これによりリブ142へのさらなる支持が得られる。図示の実施形態において、支柱142は、導管141の周囲において円周方向において間隔を空けて配置され、隣接するリブ142間において軸方向に延在する。しかし、軸方向に延在するリブが相互に円周方向において間隔を空けて配置される実施形態において、支柱は外円周方向に延在し得、隣接するリブ間において軸方向において間隔を空けて配置され得る。さらに、2本の支柱143が任意の2つの隣接するリブ142間において延在する様子が図示されているが、リリーフ要素140はこのような図示に限定されず、1つ以上の支柱を任意の2つの隣接するリブ間に延ばしてもよい。さらに、支柱および/またはリブが軸方向におよび円周方向に延在している様子が図示されているが、支柱および/またはリブは、リリーフ要素140を形成しつつ、相互にかつ/または導管141に対して多様な角度のうちの任意の角度で配置することが可能である。例えば、1つ以上のリブおよび/または支柱は、導管141の周囲において円周方向にかつ長手方向のいずれにも延在し得、これにより、螺旋状またはヘリカル形状を形成する。さらに、図示のように、支柱143は、交互の非連続的なパターンで提供することができ、これにより、捻れへの抵抗をさらに向上させることができる。
リリーフ要素140(および導管141)の断面形状は実質的に一定であってもよいし、あるいは、長手方向軸に沿って変化してもよい。例えば、リリーフ要素140の側壁の長手方向断面は、シース本体40の外側と実質的に整合し得、一定であってもよいしあるいは変化してもよい。例えば、リリーフ要素の側壁を、リリーフ要素140の遠位部147においてよりも近位部146において大きくすることができる。このような実施形態により、リリーフ要素140および遠位部147の間のインターフェースにおけるシース本体40の可撓性を向上させつつ、リリーフ要素140の近位部146は、シース本体40の近位部92への支持を向上させることができる。よって、リリーフ要素140は、実質的に円筒型の形状または実質的に円錐切頭形状を含み得る。
リブ142および/または支柱143を導管141の周囲に支持することにより、リリーフ要素140を多様な様態で形成することができる。例えば、図4D〜図4Gに示す上記した実施形態において、リブ142および支柱143は自己支持型であり得、グループ分けされた隣接リブ142と支柱143との間に延在する1つ以上の開口部、セル、アパチャまたはギャップ144を形成する。ギャップ144により、リブ142および支柱143による支持を保持しつつ、リリーフ要素140における可撓性が得られる。
図4Fおよび図4Gを参照すると、リリーフ要素140は、円周方向に相互にオフセットする1つ以上の支柱を含み得る。例えば、リリーフ要素140は、リブ142Aおよび142Bのような第1の隣接する一対のリブと、リブ142Bおよび142Cのような第2の隣接する一対のリブとを含み得る。よって、第1の隣接する一対のリブおよび第2の隣接する一対のリブは、共通リブ142Bを含み得る。第1の1組の支柱143Aおよび143Bは、第1の隣接する一対のリブ142Aおよび142B間において延在し得る。支柱143Aおよび143Bは、シースハブ42を通じて長手方向に延在する軸501に対して相互に円周方向にオフセットし得る。支柱143Aおよび143Bは、複数の角度のうち任意の角度で円周方向にオフセットし得るが、ここでは、支柱143Aおよび143Bは約180度オフセットしており、そのためリリーフ要素140を通じて延在する主軸502上においてほぼ相互に対向し同一線上にある。支柱143Aおよび143Bはほぼ同一線上にあるため、リブ142Aおよび142Bが軸502周囲において(例えば、隙間144A内において)、リリーフ要素142を捻れさせずに、相互に屈曲することができる。
同様に、第2の1組の支柱143Cおよび143Dは、第2の隣接する一対のリブ142Bおよび142C間に延在し得る。支柱143Cおよび143Dは、軸501に対して相互に円周方向にオフセットし得る。支柱143Cおよび143Dは、相互に対しかつ支柱143Aおよび143Bに対して、円周方向において複数の角度のうち任意の角度でオフセットし得る。ここで、支柱143Cおよび143Dは相互に約180度オフセットするため、相互にほぼ対向し、リリーフ要素140を通じて延在する主軸503上において同一線上にある。支柱143Cおよび143Dはほぼ同一線上にあるため、リブ142Bおよび142Cは、軸503の周囲において(例えば、隙間144B内において)、リリーフ要素142を捻れさせずに相互に屈曲することができる。
さらに、支柱143Cおよび143Dは、軸501周囲において支柱143Aおよび143Bに対して複数の異なる角度のうち任意の角度(例えば、90度)で円周方向にオフセットし得る。よって、軸502および503は相互に円周方向にオフセットし得るため、多様な複数組の隣接するリブ(例えば、リブ142A/142Bおよび142B/142C)を多様な方向において屈曲させることができる。リリーフ要素140のこれらの実施形態により、リリーフ要素140および/またはシース本体の捻れを低減しつつ、リリーフ要素140および/またはシース本体の支持および可撓性双方を得ることが可能になる。例えば、支柱143Aおよび143Bが軸502の周囲において屈曲すると、支柱143Cおよび143Dにより、リリーフ要素140への軸方向支持が得られる。逆に、支柱143Cおよび143Dが軸503の周囲において屈曲すると、支柱143Aおよび143Bにより、リリーフ要素140への軸方向支持が得られる。本明細書中に記載するような第1および第2の隣接する一対のリブは、リブ142Bのような共通リブと共に構成してもよいし、あるいは共通リブ無しで構成してもよいことが理解される。例えば、第1の隣接する一対のリブはリブ142Aおよび142Bを含み得、第2の一対の隣接するリブはリブ142Cおよび第4のリブを含み得る。このような実施形態において、上記した支柱のうち1つ以上を、上記した支柱配置方向のうち任意の方向において、リブ142Aおよび142B、142Bおよび142Cおよび/または142Cおよび第4のリブの間において延在するように構成することができる。
図4D〜図4Gに示すリリーフ要素の実施形態は、(図示のような)さらなる支持構造無しで構成することができる。しかし、いくつかの実施形態において、本明細書中に記載のリリーフ要素140のリブ142および/または支柱143などのリリーフ要素のうちのいくつか、ほとんど、全てまたは少なくとも一部を、1つ以上の任意選択の管状スリーブ、カバーまたは類似の構造などのさらなる構造へ取り付けてもよいし、このようなさらなる構造によって包囲してもよいし、このようなさらなる構造によって被覆してもよいし、かつ/またはこのようなさらなる構造によって支持してもよい。このようなスリーブ、カバーなどは、リリーフ要素と一体形成してもよいし(例えば、リリーフ要素の一部を含んでもよいし)、あるいは、リリーフ要素と別個に形成してもよい(例えば、取り外し可能なスリーブ)。
図4Iは、スリーブ145を含むリリーフ要素140の実施形態を示す。スリーブ145上には、複数のリブ142および/または支柱143が取り付けられかつ/または支持される。図4Hに示すようないくつかの実施形態において、リリーフ要素140は、スクリーン状のまたはメッシュ状の構造148を含み得る。この構造148は、内部を複数のアパチャ144が貫通して延在し、概して連続するリブおよび支柱によって、上記した交互の特徴を備えずに形成される。
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される任意選択の円筒型または管状カバーまたはスリーブは、リリーフ要素140のうち一部、ほとんど、全部または少なくとも一部あるいは本明細書中に記載のシースの他の部分を被覆するように、構成され得る。例えば、管状カバーまたはスリーブを用いることにより、リブ142、アパチャ144および/または支柱143内またはこれらの間の領域に血液または他の流体が進入する事態を回避することができる。いくつかの実施形態において、管状カバーまたはスリーブの壁は充分に肉薄であり、かつ/あるいは、カバーまたはスリーブに含まれ得る材料は、リリーフ要素140の上記可撓性を大きく損ねることなく、リリーフ要素140の一部を被覆できるだけの充分な可撓性を有する。いくつかの実施形態において、管状カバーまたはスリーブに含まれ得る材料の弾性係数は、リリーフ要素140の残り部分に用いられる弾性件数よりも高い。
本明細書中に記載の管状カバーまたはスリーブは、リリーフ要素を含まないアクセスデバイスと共に用いることが可能である。管状カバーまたはスリーブは、本明細書中に記載のアクセスデバイスの他の部分を被覆するように構成することができる。いくつかの実施形態において、管状カバーまたはスリーブは、シース本体およびシースハブ双方を被覆しかつシース本体およびシースハブ双方の一部上に延在するように構成され得、また、好適には、これら2つのコンポーネント間の遷移部が被覆されるように構成され得る。このような実施形態によれば、シース本体およびシースハブ間のこの遷移部における汚染を保護および回避することができる。
いくつかの実施形態において、管状カバーまたはスリーブは、制菌材料や抗菌性材料などの薬効特性または治療特性を有する材料でコーティングされかつ/またはそのような材料を含み得る。例えば、管状カバーまたはスリーブは、この制菌特性のために、銀および/または銀化合物を含み得る。いくつかの実施形態において、管状カバーまたはスリーブは、熱可塑性エラストマーまたは他の適切な材料、例えば、多様な温度環境における長寿命化を提供しつつ、天然ゴムのような天然材料の可撓性および耐久性をシミュレートおよび/または付与する材料を含み得る。例えば、管状カバーまたはスリーブは、エチレンプロピレンジエンモノマーコポリマー(EPDM)およびポリプロピレンの混合物を含み得る。いくつかの実施形態において、管状カバーまたはスリーブは、EPDMと、Exxon Mobilによって製造されたSantoprene(登録商標)のような、ほぼ60部のEPDMおよび40部のポリプロピレンを含むポリプロピレン混合物とを含み得る。
図4Mは、カバーまたはスリーブ96の実施形態を示す。カバー96は、カバーおよびスリーブについて本明細書中に主に説明される特徴のうち任意のものを含み得る。好適には、スリーブ96は、リリーフ要素140(例えば、その外面)の一部または実質的に全体に合うように構成され、これにより、リブ142、アパチャ144および/または支柱143間の領域内に上記した流体が進入する事態が回避される。いくつかの実施形態において、リリーフ要素140が屈曲すると、カバー96は支持を提供し得る。図示のスリーブ96は、リリーフ要素のみを被覆するように描かれているが、他の実施形態において、シースハブ42上の他のリッジ、アパチャまたはその他の機構などのデバイスのより多くの部分を被覆するようにスリーブ96を変更することも可能である。いくつかの実施形態において、スリーブ96は、リリーフ要素の遠位端部を過ぎて延在して、シース本体40の一部または実質的に全体を被覆し得る。いくつかの実施形態において、スリーブ96は、リリーフ要素の近位端部を過ぎて延在して、シースハブ42の一部または実質的に全体を被覆し得る。さらに、カバー96は、本明細書中に記載のリリーフ要素の他の実施形態のうち一部または実質的に全体を被覆するように構成され得、また、図4Mに示すリリーフ要素140との使用に限定されない。さらに、上述したように、カバー96を用いて、リリーフ要素40を含むかまたは含まないシースの他の部分またはアクセスデバイスの他の部分を被覆することができる。リリーフ要素40を用いるかまたは用いない実施形態において、カバー96は、シースハブ42およびシース本体40の一部を被覆するかまたはその上を延在するように構成され得る。いくつかの実施形態において、カバー96は、シースハブ42およびシース本体40間の少なくとも図4Dに示すリリーフ要素40を含むかまたは含まない遷移部97のような遷移部を被覆するように、構成され得る。
リリーフ要素140は、シース40について本明細書中に記載した材料のうち任意のものを含み得、シース本体40および/またはシースハブ42と一体形成してもよいし、あるいは別個に形成してもよい。
さらに、いくつかの実施形態において、シース26は、分割可能なシースであり得る。例えば、アクセスデバイス20の利用後に血管へと挿入されるカテーテルまたは医療物品の種類に応じて、シース本体40の一部または全体を除去することが有利な場合がある。例えば、カテーテルまたは他の医療物品を血管へ挿入した後、シース本体40の一部を分離または剥離および除去することにより、アクセス部分における不要物を低減することができる。剥離型シースは、ミシン目、鋸歯縁、表面剥離または他の構造を含み得、または、医師または医療提供者がシース本体40の一部または全体を容易に取り外すことを可能にする他の材料(例えば、ビスマスを含むPTFE)を含む。
いくつかの実施形態において、シースハブ42は、放射状に延在する翼部またはハンドル構造を含み得る。このような構造により、アクセスデバイス20の他の部分からシース本体40を容易に解放および除去することが可能になる。いくつかの用途において、これらの翼部のサイズは、医療提供者がこの作用によってシースハブ42を分解することができるようなサイズである。シースハブ42および/またはシース本体40は、肉薄の(例えば、壊れやすい)薄膜によって接続される2つ以上の部分(例えば、半分)を含み得る。薄膜のサイズは、医療提供者がアクセスデバイスからシースハブ42および/またはシース本体40を除去することを決定するまでに、シースハブ42および/またはシース本体40の2つ以上の部分を共に保持できるようなサイズであればよい。医療提供者は、これらの翼部を操作して薄膜を破壊し、シースハブ42の1つ以上の部分を分断して、別個のまたは部分的に分割された断片とする。
このようなシースの一例を図4Jおよび図4Kに示す。この図示のシースは、本明細書中に先述したシースと若干類似する。シース26Aは、アクセスデバイス20他のコンポーネントと共に使用することができる。図示の実施形態において、シース26Aは、分割可能なまたは分断可能なシースである。図示のように、シースハブ42Aは、ユーザによって把持され得る2つ以上のタブ43を持ち得る。タブ43は、タブの把持を促進する複数の異なる形状および/または表面特性のうち任意のものを持ち得、図示の実質的にT字型形状に限定されない。タブ43は分離可能であり、分割可能なシース40Aを所定の分割または分離線45などの1つ以上の分割線に沿って分離することができる。分割線45は、シースハブ42Aおよびシース本体40Aのうちいずれかまたは双方を通じて延在することができる。分割線(単数または複数)は、シース本体40Aおよび/またはシースハブ42Aによって規定された1つ以上の長手方向軸に対して概して平行に延在し得るが、いくつかの実施形態において、分割線(単数または複数)は実質的に非平行に延在し得る。図示のように、シース26Aを分割線45に沿って分割すると、シース26Aを2つ以上の対称部分または非対称部分(例えば、半分)に分離することができる。シース26Aは、シース26について本明細書中に記載した類似のさらなる特徴を含み得る。いくつかの実施形態において、シース26Aは、同様に分割線45に沿って1つ以上の部分に分割するように構成された類似の特徴を含み得る。例えば、シース26Aは分離可能なリップ95Aを持ち得、これにより、分割線45に沿った分離を可能にしつつ、シース26Aと上記した拡張器24などの他の要素との係合が可能になる。シース26Aと共に用いることができる分割可能なシース本体および/またはハブのさらなる実施形態は、例えば図23A〜図23Bおよび参照することにより本明細書にその全体が援用される2010年5月12日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US2010/034609号の対応するサポート文(例えば、段落[0223]〜[0227])に図示および記載されている。
シースハブ42Aは、ハブの遠位端部に向かうリッジ47をさらに含み得る。リッジ47により、ハブ42Aの把持を促進することができる。いくつかの実施形態において、リッジ47は、管状または円筒型カバーを受容し得る。この管状または円筒型カバーは、(例えば、遠位部分、先端部分または他の部分を保護するために)シース、拡張器、および針の一部上に延在し得、リッジ47と係合する(例えば、リッジ47上に押圧される)。リッジ47は、圧入またはスナップフィットなどの複数の係合方法のうちの任意の方法を通じてカバーを所定位置に保持することができる。シース26A、針22および/または拡張器24のうち1つ以上の部分を被覆するために用いることが可能なカバー91の実施形態を図4Lに示す。カバー91およびリッジ47は任意選択のものであり、図4Jおよび図4Kの分割可能なシース42Aとの利用に限定されず、本明細書中に記載のシースの図4A〜図4I、図4Mに示すもののような他の実施形態のうち任意のものにおいて使用することが可能であることが理解される。さらに、カバー91においてリッジ47は不要であり、複数の異なる取り付け構造を用いてカバー91を固定することができる(例えば、解放可能に固定することができる)。いくつかの実施形態において、カバー91は、針22の先端などの針22の一部を被覆するように構成され得る。例えば、アクセスデバイス10がパッケージおよび搬送されるとき、カバー91は針22の先端を被覆することができ、カバー91を除去および廃棄した後に、アクセスデバイス10を用いることができる。
図5Aは、図1Aに示す実施形態のガイドワイヤ部28の斜視図である。図5Bは、図5Aに示すガイドワイヤ部28の平面図であり、ガイドワイヤ部28は好適には、ガイドワイヤハブ46を含む。ガイドワイヤハブ46は、医師または医療提供者がガイドワイヤハブ46および/またはアクセスデバイス20を容易に把持または操作することを可能にする1つ以上の表面特性を含み得る。図示の実施形態において、ガイドワイヤハブ46は、1つ以上のリッジ110を含む。事前ロードされた状態において、ガイドワイヤハブ46が第3の位置125に来ると、ガイドワイヤハブ46は、トラック30上のロック機構130と係合することができる。本明細書中、この点についてさらに説明する(例示的な第3の位置を図6Aに示す)。
図5Cおよび図5Dはそれぞれ、ガイドワイヤハブ46の実施形態の斜視図および下面図である。ガイドワイヤハブ46は、ハブ46をトラック30へと解放可能に接続するために、トラック30(図6A〜図6D)上の連結部290に対応する構造を持ち得る。図示のように、ガイドワイヤハブ46は、凹部の形態をとり得る受容部296を含み得る。図6D中に最良に示すように、凹部は、近位端部において連結部290と係合することができるT字型断面を持ち得る。部分296は、ラッチ突起298と共に終端する2つのタイン302を含み得る。これらのラッチ突起298は、受容部296の凹部内にさらに配置される。図5C、図5Dおよび図6Dを参照すると、ガイドワイヤハブ46上のラッチ突起298は、トラック30の連結部290のベースを受容するように構成され得る。いくつかの実施形態において、連結部290は、ラッチ凹部292を含み得る。これらのラッチ凹部292は、受容部296上の突起298と相互作用(例えば、係合)して、リバーシブルスナップフィットをトラック30とガイドワイヤハブ46との間に形成する。いくつかの実施形態において、タイン302は、屈曲部を含み得る。(この屈曲部は、肉薄の断面形状と共に構成されるかまたは屈曲可能な材料から形成される)。このような屈曲部により、タイン302を(例えば横方向に)屈曲させることが可能になり、これによりスナップフィットが促進される。さらに、受容部296は、タイン間の連結部290のために設けられた経路に沿った端部または凹部300を含み得、これにより、ラッチ凹部292および突起298が相互係合すると、連結部290の残り部分(例えば、端部)も端部凹部300へと進入する。よって、トラック30およびハブ46間の接続のさらなる安定化が可能になる。
いくつかの実施形態において、ガイドワイヤ44は、針本体の内径と密接に嵌合することができ、これにより、退避時において自己吸引型機能を提供することができる。例えば、ガイドワイヤ44の外径を選択する場合、ガイドワイヤの長さに沿ってまたはガイドワイヤ44の一部のみに沿って針との密接嵌合を形成するような外径を選択すればよい。
いくつかの実施形態において、ガイドワイヤの遠位端部の一部の直径を、ガイドワイヤの他の部分の直径よりも小さくすることができる。このようなより小さな直径部分のサイズおよび/または形状の選択については、ガイドワイヤが針の遠位先端を超えて前進した場合であっても、針本体内の穿孔56への流体移動が可能なように選択するとよい。ガイドワイヤのこのようなより小さな直径部分は、ガイドワイヤの最遠位端部においては構成する必要は無く、ガイドワイヤの先端または最遠位端部の近位において配置することも可能である。
ガイドワイヤの最遠位端部は、挿入時における組織の貫通を回避するために、曲線状または円形のヘッドを含み得る。いくつかの実施形態において、ガイドワイヤは、バネ状または他の屈曲可能な弾性部材をガイドワイヤの先端または遠位ヘッドの近くに含み得、これにより、患者の内腔または空洞部への挿入を促進することができる。
図6Aは、図1Aに示す実施形態のトラック30の斜視図である。図6Bは、図6Aに示すトラック30の平面図である。図6Cは、図6Aに示すトラック30の側面図である。図6A〜図6Cに示すように、図示の実施形態において、トラック30は、遠位部120、近位部122、遠位ロック部材124、ロック機構128およびロック機構130を含む。遠位ロック部材124は、トラックを拡張器ハブ38(図3A)へと接続させる。ロック機構128は、針ハブ34がトラック30に沿って第1の位置121から第2の位置123へとスライドした後、針ハブ34のさらなる近位および遠位移動を抑制する。ロック機構130は、ガイドワイヤハブが事前ロードされた状態にある場合または第3の位置125に来た場合、ガイドワイヤハブ46をトラック30へ取り付けることが可能とする。好適には、トラックはポリカーボネート材料製であるとよいが、しかし、以下に説明するように、他の材料も利用可能である。
トラック30は、図6Aおよび図6B中に最も明確に示すように、幅の狭いトラック部分132をさらに含み得る。このような狭い幅により、針ハブのトラック30への組み立て(例えば、中子68(図2F)のトラック30への係合)が促進される。図示の実施形態は、強化要素またはリブ133をトラック30の遠位部120上に含む。リブ133により、遠位ロック部材124とトラック30の残り部分との間のさらなる構造的強化を得ることができる。
図1Aに示すように、遠位ロック部材124は拡張器24へと接続し、また、遠位ロック部材124は、トラック30が拡張器24から近位方向に延在することを可能にする。例えば、ロック部材124は、拡張器ハブリップ77と拡張器ハブベース79との間の拡張器ハブ38に接続される2つの曲線状アーム124を含み得る。ロック部材124により、トラック30が拡張器ハブ38の周囲を自由に回転することを可能にしつつ、トラック30が拡張器ハブ38に対して遠位方向または近位方向に移動することを制限することができる。
図6Aおよび図6B中に最良に示すように、第2の位置123の領域内のトラック幅を変更することにより、ロック機構128が形成される。例えば、図示の実施形態において、トラック部分134の幅は遠位方向において増加し、トラック部分136の幅はトラック部分134に対して遠位方向に低減し、トラック部分134の幅は増加し、2つの指要素138が設けられる。これら2つの指要素138は、トラック部分136の遠位端部からトラック30の近位端部へ向かって突出し、トラック30の長手方向軸から離隔方向に広がる。トラック30は、リブ133に類似するリブまたは支持構造135も含み得る。リブまたは支持構造135は、ロック機構128上に渡され、これを強化し得る。
図6Dは、図6Bに示す実施形態の一部の拡大図である。図示のように、第3の位置125は、ガイドワイヤハブ46と係合し得る(例えば、図5A〜図5D)解放可能な連結またはロック機構130を含み得る。ロック機構130は、ガイドワイヤハブが第3の位置に来た際に、ガイドワイヤハブの一部またはトラック30の一部と係合するクリップ、クラスプまたは他の構造によって形成される。係合構造のうち一部または全体は、トラック30の一部であってもよいし、ガイドワイヤハブの一部であってもよいし、あるいは、トラック30およびガイドワイヤハブ間において分割してもよい。
接続機構130は、トラック30から延在するT字型突起により形成された連結部290を含み得る。T字型突起は、そのベースの各側部上に設けられ、概して連結部290の遠位端部へ向かう2つのラッチ凹部292をさらに含み得る。連結部290およびラッチ凹部292は、さらに上記したように、ガイドワイヤハブ46上の受容部296および突起298のような対応するコンポーネントとそれぞれ係合し得る(図5Cおよび5D)。
いくつかの実施形態において、トラック30は、グリップ突起294を含み得る。グリップ突起294は、連結部290と反対側に、トラック30から下流に延在し得る。図示のように、グリップ突起294は概して円形であるが、他の構造および形状も可能である。グリップ突起294は、ユーザによる把持を支援するためのリッジまたは他の表面特性を含み得る。有利なことに、グリップ突起294により、アクセスデバイスのオペレータがピストル型グリップ内にトラック30の近位端部を保持することが可能になる。例えば、薬指または中指をグリップ突起294の周囲に配置して、当該指を遠位側上に接触させることができる。その後、ハブ46が第3の位置125においてトラック30へ連結されると、同じ手の親指をガイドワイヤハブ46の近位端部上に配置することができる。その後、親指によって容易に圧力を付加して連結部290からハブ46を移動させ、第3の位置125から移動させることができる。さらに、類似のグリップ突起を針などの他の要素へ付加することができる。グリップ突起を針へ付加することにより、例えば、本明細書中に記載されるトラックに沿って針を容易に把持および移動させることが可能になる。
図示の実施形態において、針ハブと拡張器との間のロック機構は、拡張器ハブの近位側に常駐する。しかし、他の実施形態において、ロック機構を他の位置に配置することも可能である。いくつかの実施形態において、ロック機構は、止め具またはさらなる支持構造を含み得る。この止め具またはさらなる支持構造により、トラック30上にハブまたは他のコンポーネントの移動をさらに支持および/または制御することができる。
図7Aは、図1Aに示す実施形態のアクセスデバイスの拡大平面図である。このアクセスデバイスは、ガイドワイヤによって事前ロードされている。図7Bは、図7Aに示す実施形態の側面図である。図7Cは、図7Aに示す実施形態の断面図である。図7Dは、7D−7D線に沿った図7Bのアクセスデバイス20の近位端部図である。この事前ロードされた状態において、ガイドワイヤハブ46が第3の位置125に配置されると、ガイドワイヤハブ46は、トラック30にロックされる。この位置において、ガイドワイヤハブ46をロック機構130によりトラック30へ固定することができる。図示の実施形態において、ロック機構130は、ガイドワイヤハブ46が第3の位置125に来た場合、ガイドワイヤ44の意図しない回転および軸方向の移動を少なくとも近位方向において阻止することができる。さらに、医療提供者などのユーザがガイドワイヤハブ46をトラック30から係合解除してガイドワイヤがアクセスデバイス20を通じて遠位移動できるようになるまで、遠位方向における移動に耐えることができる。顕著なことに、本明細書中にさらに説明するように、拡張器ハブ38などの他の要素もトラック30へ取り付けることができ、またさらなる要素をトラック30へ取り付けることができる。よって、ガイドワイヤ40をトラック30へ固定することにより、ガイドワイヤがアクセスデバイス20の他の要素へ向かうことをも阻止することができる。
図7A〜図7Cに示す事前ロードされた状態において、針ハブ34が第1の位置121へと来ると、針ハブ34は拡張器ハブ38へロックされる。針および拡張器穿孔双方がロック位置にある実施形態において、針および拡張器中の開口部または穿孔は、相互に一致するかまたは整列される。ロックされると、針22および拡張器24が少なくとも相互に非意図的に回転および軸方向移動する事態が抑制される。さらに、本明細書中に記載するように、拡張器24は(例えば、ハブ38を介して)トラック30へと取り付けることができる。よって、針ハブ34と拡張器ハブ38とをロックすることにより、針22をアクセスデバイスの他の要素へ固定することが可能になる。
事前ロードされた状態において、拡張器ハブ38はシースハブ42へと固定される。その結果、拡張器24とシース26との間における意図せぬ回転および軸方向移動を少なくとも抑制することができる。シースハブ42および拡張器24においてルアースリップ接続のみが用いられる実施形態において、拡張器24およびシースハブ42は相互に回転し得る。しかし、例えばルアースリップ接続における任意選択の摩擦力により、このような回転(および他の移動)に耐えることができる。さらに、シースハブ42は、上記した様態と類似の様態により、ガイドワイヤ40などのアクセスデバイス20の他の要素へ固定することもできる。
図8Aは、図1Aに示す実施形態の平面図であり、アクセスデバイス20を用いた1つの方法の動作工程を示す。図8Bは、8B−8B線によって円状に囲まれた図8Aに示す実施形態の一部の拡大平面図である。図8Aおよび8Bは、アクセスデバイス20の針本体32が静脈または動脈などの血管148へ挿入された状態を示す。上述した方法においては血管アクセスに言及したが、アクセスデバイス20は、患者体内の他の位置内へアクセスしてカテーテルまたはシースを配置するため(例えば、膿瘍のドレーンのため)および他の目的のためにも、用いることが可能である。
図8Cは、8C−8C線によって円状に囲まれた図8Bに示す実施形態の一部の拡大平面図である。図8Dは、図8Cに示す実施形態の8D−8D線に沿った拡大断面図である。図8Eは、図8Cに示す実施形態の8E−8E線に沿った拡大断面図である。図8C〜図8Eは、アクセスデバイスのこのモードの実施形態を示す。針と拡張器との間に導管を形成することにより、例えば血液フラッシュ時における血液流動が可能になる。図8C〜図8Eを参照すると、針本体32は、1つ以上の穿孔56を有し、これにより、血液が針本体32の側壁を通じて針本体32と拡張器シャフト36との間の空間内に流入することが可能になる。1つ以上の任意選択のリッジ176(例えば、拡張器シャフト36から延在する2つのリッジ176が図示の実施形態中に示されている)は、針本体32と拡張器シャフト36との間に延在し得る。これらのリッジ176により、針本体32の長さに沿って延在する少なくとも1つの導管256の側部を規定することができる。いくつかの実施形態においてさらなる導管256をさらなるリッジまたは他の機構と共に形成することができる。いくつかの実施形態において、リッジ176は長手方向ギャップを含み得、これにより、リッジ176によって形成される隣接導管間の外周または横軸方向の流れが可能となる。他の実施形態において、導管256は、突出するリッジと共に形成してもよいし、あるいは、例えば陥没(単数または複数)を備えるまたは同心隙間を備えるなど突出するリッジ無しに形成してもよい。導管256は、拡張器シャフト36の内面および/または針本体32の外面上の(図示のような)突出するリッジまたは突出しない凹溝部または流路と共に形成することができる。導管256は、突出するリッジおよび/または溝部無しに形成することができ、単に針本体32と拡張器シャフト36との間に形成された環状空間のみを含み得る。導管256は直線状のものとして図示しているが、導管256は、例えばアクセスデバイスを包囲する螺旋状または別の形状などの他のパターンから形成してもよい。さらに、複数の導管が存在する場合、これらの導管は、交差する螺旋、平行な螺旋、または他のパターンも形成し得る。他の実施形態において、針本体32と拡張器シャフト36との間の距離(例えば、拡張器シャフトの内径が針本体の外径を超える箇所)により、導管256によって生成される空間に類似する空間を概して規定するかまたは概して環状の空間を規定することができる。
図8F中に最良に示すように、針ハブ34は、1つ以上の通気溝部175を含み得る。図示のように、通気溝部175はルアー接続64上にあるが、他の実施形態において、針本体32上に配置してもよいし、拡張器シャフト36上に配置してもよいし、針ハブ34を通過してもよいし、拡張器ハブ38を通過してもよいし、あるいは何らかの他の経路をとってもよい。通気溝部175により、導管256(または類似の空間;図8C〜図8D)と周囲雰囲気との間の連通が可能になる。ルアー接続64は、拡張器ハブ38と協働して実質的に液体密封を形成するように構成され得、これにより、物質は通気溝部175を通じてしか逃げることができなくなる。通気溝部175が放射状に延在しない実施形態において、針ハブ34の概して放射状に延在する側部180は、拡張器ハブ38の対応する面200から十分に離隔して配置するように構成され得、これにより、通気溝部175からの空気が両者間に流れることが可能になる。
いくつかの実施形態において、通気溝部175によって形成される通路は断面積が十分に小さく、これにより、分子量、粘度または表面張力が高い体液(例えば、赤血球)が周囲雰囲気へ逃げることを回避しつつ、気体(例えば、空気)が周囲雰囲気へと逃げることが可能になる。さらに、いくつかの実施形態において複数のこのような通路を設けることにより、断面積の小さな通路に関わらず、適切な通気が可能となる。
他の実施形態において、断面積の小さな通路は、拡張器ハブ38および針ハブ34の対向する2つの表面間に設けられ得る。例えば、針ハブ34上の通気溝部175のうち少なくとも一部を、拡張器ハブ38上の概して対応する形状の通気表面を受容するように、通気溝部全体を塞ぐこと無く、構成することができる。よって、その結果得られた針ハブ34の表面と拡張器ハブ38の表面との間の通路により、断面積が比較的小さな領域が少なくとも規定され、これにより、通気は許容されかつ体液の流動は制限される。
図示の実施形態において、上記の通気構造を溝部175として図示しているが、他の構造により類似の機能を行うことが可能である。例えば、単一の小空間を針本体32と拡張器本体34との間に設けることにより、血液が近位方向に小空間位置を超えて流れることを抑制しつつ、空気の逃げを可能にすることができる。同様に、迷路通路を周囲雰囲気とフラッシュバック空間(針と拡張器との間の空間)との間に設けることができ、気体は相対的に高速に逃げることが可能になる一方、アクセスデバイス20の使用時において流体は通路内をゆっくりと前進して逃げる。
他の実施形態において、通気溝部175のうち1つ以上を多孔性材料によって少なくとも部分的に充填することができる。このような多孔性材料により、体液(例えば、血液)の通過を抑制しつつ、材料中の気体の流れを可能にすることができる。このような材料は、針ハブ34または拡張器ハブ38と一体形成することができ、これにより材料およびハブが単一となる。その後、材料は、通気溝部175の長さのうち任意の部分を含み得る。他の実施形態において、材料は、通気溝部175または溝部(単数または複数)と連通するレセプタクル内に配置することができる。材料が溝部175内に配置された場合、例えば、参照することにより本明細書にその全体がすでに援用されている2011年2月8日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US2011/024097号に開示されているように、溝部は、多孔性材料を受容するように構成された溝部ノッチなどの受容部を含み得る。他の実施形態において、通気通路のうち1つ以上は、このような多孔性材料によって全体的に形成され得る。適切な多孔性材料を非限定的に挙げると、HDPE、UHMWPE、PP、PTFE、PVDF、EVA、PE、ナイロンおよびPUなどの多孔性ポリマーがあり、細孔径はほぼ2.5ミクロンである。さらなる実施形態において、細孔容積および細孔径の組み合わせを選択する際、気体(例えば、空気)の通過を許容しかつ体液(例えば、血液)の通過を抑制するような組み合わせを選択する。
さらなる実施形態において、通気通路は管であり得、針ハブ34または拡張器ハブ38のいずれか一方のみによって規定される。例えば、導管256へ、針ハブ34内の開口部へ通じ得る。この開口部は、気体および流体の通過を制御するための上記した特性のうち任意のものを含み得る。よって、この開口部により、体液(例えば、血液)の通過を抑制しつつ、気体(例えば、空気)を針ハブ34を通じて周囲雰囲気へと逃がすことが可能になる。他の実施形態において、類似の通気通路は拡張器ハブ38のみによって規定される管であり得る。本明細書中の開示から、多様な通路(例えば、通気溝部175、管、多孔性材料)を用いて、体液(例えば、血液)の逃げを抑制しつつ気体(例えば、空気)を周囲雰囲気中へ逃がすことが可能であることが明らかである。
別の実施形態において、通気通路は、拡張器シャフト36およびシース本体40内に設けることができる。例えば、通気穴または通気材料のパッチを拡張器シャフト36およびシース本体40それぞれの内部に設けることができる。いくつかの実施形態において、これらの通気構造を重複させることができ、これにより、気体を直接一方から他方に通過させることが可能になる。他の実施形態において、これらの通気構造は相互に一定距離を空けて配置することができ、この場合、導管または図8F中の溝部に類似する溝部を拡張器シャフト36とシース本体40との間に設けることにより、通気構造を連通させる。これらの通気構造は、針本体32内の穿孔56から近位方向に配置することができる。
この実施形態において、拡張器シャフト36は穿孔を含まず、概して連続し得る。よって、拡張器シャフト36は、導管256(または類似の空間)に放射状に近接する。類似の実施形態において、拡張器シャフト36内のリッジが穿孔56を含む他の概して連続する針32と協働することにより、同一の機能を達成することができる。拡張器シャフト36は、全体に半透明な材料によって形成してもよいし、あるいは、少なくとも領域隣接する導管256に隣接する領域を半透明にしてもよい。同様に、シース本体40も半透明な材料で形成することができる。他の実施形態において、拡張器シャフト36またはシース本体40の材料を半透明にする代わりに透明にすることもできる。さらなる実施形態において、材料を空間的にかつ時間的にただ部分的に半透明にしてもよい。空間的に、拡張器シャフト36および/またはシース本体40の材料を導管256の近隣において半透明にすることにより、例えば血液フラッシュバックの視認が可能になる。時間的に、材料の視覚的特性は、体液の進入(例えば、温度変化または分子間相互作用に起因するもの)に応じて変化し得る。よって、体液が進入すると、材料は半透明になり得る。あるいは、他の実施形態において、材料の色が変化して、何らかの他の視覚的表示を提供する。
他の実施形態において、シースの内面上に1つの完全なリッジを設け、拡張器の外面上に1つの完全なリッジを設けることにより、導管256を形成することができる。他の実施形態において、シースの内面上に、導管256の長さのうち50%にわたって延びる2つのリッジが設けられ得る。また、拡張器の外面上に、導管256の長さのうち残り50%にわたって延びる2つのリッジが設けられ得る。
上述したように、シース本体40は好適には、透き通った、半不透明な、半透明なまたは透明な材料から部分的または全体的に構成され、これにより、血液が針本体32に流入して(1)この血液が針側部開口部56を通過し、(2)導管256内へと流入すると、医師または医療提供者は、シース本体40および拡張器24を通じて血液を視認することができる。いくつかのモードにおいて、導管256は、針本体32と拡張器シャフト36との間に形成され、針本体32上の1つ以上のリッジ176よって規定される。いくつかのモードにおいて、導管256は、拡張器シャフト36の壁部内に形成され、拡張器シャフト36は好適には透明材料を含む。針本体32の斜面先端54に起因して血管148が破裂すると、医師または医療提供者は血液を視認する。
導管256の軸方向長さは、シース26および/または拡張器24の長さとほぼ同延であり得る。他の実施形態において、導管256は、先ほど述べた長細導管256よりもずっと小さい。例えば、限定されないが、導管256は、拡張器シャフト36の遠位位置、中間位置および/または近位位置(単数または複数)に配置することができる。あるいは、導管256は、拡張器シャフト36の軸方向長さに沿って直線状、曲線状または螺旋状形状を持ち得、あるいは、複数のこのような形状によって形成することもできる。導管256は、多様な厚さおよびスパン角度を持ち得る。導管256の厚さは、ほぼゼロ〜0.010インチであり得る。好適には、導管256の厚さは、約0.0005〜約0.003インチであり得る。より好適には、導管256の厚さは、約0.001インチ〜約0.002インチであり得る。導管256の拡張器24の周囲におけるスパン角度Φは、約30度〜約210度以上であるが、より好適には360度未満である。より好適には、導管256のスパン角度Φは、約60〜150である。図示の実施形態において、導管256は120度に広がっている。厚さおよびスパン角度Φを選択する際、流体(例えば、全血)が導管256に進入したときに導管256内に発生する毛管現象を最適化できるように、選択することができ、体腔内において予期される圧力および液体の粘度に基づいてさらに選択することができる。アクセスデバイス内の導管上の流体速度を示す試験データの多様なグラフについて、参照することにより本明細書にその全体がすでに援用されている2011年2月8日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US2011/024097号中に開示がある。
上記した導管256の形状およびその結果得られる毛管現象について、全血と粘度が異なる他の流体(例えば、白血球、膿、尿、血漿)と対照的な全血に合わせて最適化を行った。しかし、導管256の形状は開示の形状に限定されず、膿などの他の液体のドレーンに合わせて最適化してもよい。さらに、上記した導管256の形状は、血管内の圧力に起因して、毛管現象およびその結果発生する血液フラッシュが促進され得る末梢血管とだけでなく、圧力が低くなり得る領域内の血管にも合わせて最適化した。例えば、身体の胸部領域においては、患者の呼吸時に、静脈内において予期される圧力は、末梢静脈内の圧力よりも低くなり得る。血管または体腔内において予期される圧力を考慮して、体内の他の領域において用いられるアクセスデバイス20のための異なるサイズの導管を用いることができる。
本明細書中に開示されるアクセスデバイスは、表面のうち1つ以上に付加される1つ以上の表面コーティングまたは処理を含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、拡張器シャフト36の内部(例えば、内面152)、針32の外部(例えば、外面154)、針本体32の内面、拡張器シャフト36の外面160、シース本体40の内面158、シース本体40の外面および/またはガイドワイヤ44のうち1つ以上へ表面処理またはコーティングを付加することができる。所望の効果に応じて、これらの表面に表面処理を個々にコーティングしてもよいし、相互に組み合わせてコーティングしてもよい。界面活性剤、潤滑コーティングおよび/または所望の親水性特性および/または疎水性特性を備えたコーティングなどの多様な表面コーティングまたは処理を実行することができる。
いくつかの実施形態において、導管256内の体液の前進を促進させる界面活性剤または他の材料により、針本体32の外面154および拡張器シャフト36の内面152双方をコーティングすることが好適である場合がある。上記した拡張器シャフトとシース本体との間に導管が設けられた実施形態において、界面活性剤または他の流動促進材料を、シース内面および拡張器外面上に供給することができる。しかし、いくつかの実施形態において、これら2つの表面のうち1つのみをコーティングすることが好適である場合もある。例えば、流動促進材料を、針外面のみ、拡張器内面のみ、または針内面のみに付加することができる。界面活性剤または他の流動促進材料を用いることにより、アクセスデバイス内の空間の流体の通過を促進することができ、フラッシュバックを加速することができ、また、針、拡張器および/またはシース内の血液の全身を促進することができる。利用可能な界面活性剤の一例として、BASF(登録商標)から市販されているLutrol68(登録商標)があるが、他の界面活性剤も利用可能である。いくつかの実施形態において、親水性材料を実行することにより、毛管現象の促進が同様に得られる。
上記した界面活性剤、親水性材料および/または他の流動促進材料を用いることにより、針が血管またはドレナージ部分に進入したことをオペレータが視認することができるような充分な速度で血液が部品内を通過することを可能にしつつ、より小型の針、拡張器および/またはシースを用いることが可能になる。顕著なことに、ほとんどの実施形態において、体液は針を通過するため、ほとんどの実施形態において、界面活性剤または他の流動促進材料を針内面に付加することが望ましい。
いくつかの実施形態において、何らかの親水性物質などの潤滑コーティングまたは表面処理をシース26の外面上に付加することにより、患者内へのシース26の挿入を容易化するための潤滑剤として機能させることができる。このような潤滑コーティングは、個々に実行してもよいし、あるいは上記した流動促進材料と組み合わせて実行してもよく、また、本明細書中に記載のアクセスデバイスと同じコンポーネントまたは異なるコンポーネント上において用いることが可能である。例えば、潤滑剤または潤滑コーティングをシース26の外部上に用いかつ/またはシース外面を潤滑材料で形成することができる。さらに、シース26を薬剤(例えば、ヘパリン)でコーティングまたは形成してもよい。この薬剤は、シースから溶出して、アクセスデバイス20の臨床用途を促進させ得る。一例において、シース26の外面は、Dow Corningから市販されているDow Corning360医療流体、12,5000CST(登録商標)のようなシリコーンコーティングを含み得る。
例えばアクセスデバイスの1つ以上のコンポーネント内におけるフラッシュバックおよび流体流れの減速または抑制のために、追加のまたは代替的な表面処理またはコーティングを用いることができる。このような流動抑制物質(例えば、抑制剤または減速剤)は、個別に実行してもよいし、あるいは上記した流動促進材料および/または潤滑材料と組み合わせて実行してもよく、また、本明細書中に記載のアクセスデバイスと同じか異なるコンポーネント上において用いることが可能である。例えば、アクセスデバイスが動脈または静脈へ進入する前の段階において、流動抑制コーティングを実行することにより、毛細血管との接触を通じてアクセスデバイスが血液フラッシュを誤通知してしまう事態を回避することができる。いくつかの疎水性物質を、流動抑制コーティングとして機能するように使用することができる。
いくつかの実施形態において、シース26(例えば、シース本体40)は、患者内へのシース26の挿入を促進できるような十分な可撓性を備えた材料を含み得る。いくつかの実施形態において、シース本体40は、露出される環境に応じて可撓性が変化する材料を含み得る。例えば、シース本体40は、シース本体40が晒される温度に応じて可撓性および/または剛性が変化する材料を含み得る。好適な実施形態において、シース本体40に含まれる材料は、熱、例えば、温度上昇に晒されたとき、軟化して剛性低下および/または可撓性増加を示す。例えば、シース本体40に含まれ得る材料は、患者との接触または患者へのin−vivo挿入に際し、軟化して剛性低下および/または可撓性増加を示す。いくつかの実施形態において、材料は、温度がほぼ2〜20℃の範囲内における上昇に反応して、このような剛性低下を示し得る。いくつかの実施形態において、材料は、ほぼ11〜17.5℃の温度における変化に基づいて、このような剛性低下を示し得る。いくつかの実施形態において、材料は、ほぼ室温(ほぼ20〜25℃の範囲)〜患者の体温(ほぼ30〜45℃の範囲であり、ヒトおよび動物の場合は35〜40℃、限定されないが、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、および他の家畜およびほ乳類を含む野生動物の体温)の温度変化に応答して、このような剛性低下および可撓性増加を示し得る。
さらにより好適な実施形態において、シース本体40は、ウレタンポリカーボネート、または別の形態のウレタン、または類似の特性(例えば、類似のデュロメーター、弾性係数、剛性係数(剛性率)、吸水率、メルトフロー、耐化学性および/または体積弾性率)を提供する別のプラスチックまたは非プラスチック材料を含む。いくつかの実施形態において、シース本体40はエーテルフリーのポリウレタンエラストマーを含む。いくつかの実施形態において、シース本体40を患者内に挿入している際、シース本体40は、患者の体または他の熱源からの熱を吸収し得、その結果シース本体40の剛性が低下する。このような剛性低下により、シース26の挿入および利用時においける患者にとっての快適性が増しかつ/または患者の怪我または組織損傷の可能性が低下する。例えば、実質的に硬質の管を通じて流体を注入する場合、この管が振動性の高速動作をすることによりこの圧力に応答する場合がある。シース本体40の剛性を低減することにより、注入または他の流体移動時におけるこのような動作の強さを弱めることができる。シース26(例えば、シース本体40)に用いることができかつ本明細書中に記載の熱への露出に伴う可撓性の増加などの特性のうち1つ以上を含み得る生体適合性材料の例は、AdvanSource Biomaterials Corp.(例えば、ChronoFlexC(登録商標))およびLubrizol(例えば、CarbothaneTPU(登録商標))によって製造されている。
図8Iは、穿孔56の遠位における、図8Cに示す実施形態の8I−8I線に沿った断面図である。図示のアクセスデバイス20のこの領域において、シース本体40を同軸に配置することにより、針本体32および拡張器シャフト36の相対移動を可能にしつつ、針本体32と拡張器シャフト36との間の環状空間157を最小化することができる。拡張器シャフト36の内面152は、針本体32の外面154に直接配置することも可能であるが、必ずしもそのようにしなくてもよい。針本体32の外面154とシース拡張器シャフト36の内面152との間の環状内面157は、この領域内において低減し得、これにより、血液またはその構成成分(あるいは他の流体)が針本体32中の開口部56から遠位に流れる事態が抑制される。
図8Iを参照して、拡張器シャフト36は、穿孔56から遠位の部分において内径d1を持ち得る(図8C)。さらに、針本体32は、外形d2を持ち得る。いくつかの実施形態において、d1はd2よりも小さい。そのため、複数の利点が得られる。例えば、拡張器シャフト36を針本体32上に締まりばめすることにより、拡張器シャフト36に放射状または輪状の負荷を加えることができる。このような負荷により、拡張器シャフト36の軸方向における強度を向上させることができる。このような強度向上により、組織(例えば、皮膚、筋肉および/または血管壁)を通じて拡張器を挿入する際の拡張器の遠位先端における材料の広がり、クリンプまたは座屈の傾向が低減する。例えば、針本体32および拡張器シャフト36が(皮膚に切れ目を入れることなく)皮膚を通過する際、拡張器は、拡張器の遠位端から発生し得る軸方向力に耐えることができる。いくつかの実施形態において、上記の結果、拡張器の隆起、折れ曲げまたは歪みが発生し得、その結果、隆起または折れ曲げ箇所において断面積が増加し、拡張器としての機能が抑制され得る。換言すれば、拡張器が変形した場合、拡張器を患者へ挿入することが困難になる。内径d1がより小さな拡張器を用いれば、拡張器の強度増加が可能になり、その結果このような変形が抑制される。針外形に対する拡張器シャフトの内径の有利な範囲について、参照することにより本明細書にその全体がすでに援用されている2011年2月8日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US2011/024097号中に開示がある。
図9Aは、図1Aに示す実施形態の側面図であり、アクセスデバイス20のさらなる動作工程を示す。図9Aは、アクセスデバイス20のガイドワイヤ44が遠位方向において血管148内に前進する様子を示す。これは、ガイドワイヤハブ46を遠位方向において第3の位置125から前進させることにより、達成することができる。その後、針ハブ34が第1の位置121に来たとき、ガイドワイヤハブ46を針ハブ34へとロックする。
図9Bは、図9Aに示す実施形態の9B−9B線によって円状に包囲される部分の拡大側面図である。図9Cは、図9Bに示す実施形態の断面側面図である。図9Cは、ガイドワイヤハブ46と針ハブ34との間のロック機構を示す。好適には、ガイドワイヤハブ46は、針ハブ34と機械的に嵌合しかつ解放可能にまたは不可逆的に相互ロックするように、構成される。ガイドワイヤハブは、アクセスデバイス20の他のコンポーネントについて本明細書中に記載する多様なロック機構を含む複数の方法のうち任意の方法で針ハブ34上にロックすることができる。図示の実施形態において、例えばガイドワイヤハブ46の内面(図9C)上に配置された対応するねじ山付き要素47を介して、ガイドワイヤハブ46を針ハブ34へロックすることができる。参照することにより本明細書にその全体がすでに援用されている2011年2月8日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US2011/024097および参照することにより本明細書にその全体が援用される2009年3月13日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/US2009/037198号には、針ハブ46のリップ上の溝部と係合するガイドワイヤハブの内面上に突起を含むさらなるロック機構が開示されている。
図10Aは、図1Aに示す実施形態の側面図であり、アクセスデバイス20の別の動作工程を示す。図10Aは、拡張器シャフト36およびシース本体40が遠位方向において血管148内へと前進する様子を示す。これは、針ハブ34から拡張器ハブ38を解放し、拡張器24およびシース26をガイドワイヤおよび針に沿って針ハブ34に対して遠位方向に前進させることにより、達成することができる。図10Aは、針22およびガイドワイヤ部28の拡張器24およびシース26に相対する近位移動をさらに示す。針ハブ36が第2の位置123へと到達すると、針ハブ34はトラック30へとロックされる。
図10Bは、図10Aに示す実施形態の10B−10B線によって円状に包囲された一部の拡大下面図であり、明確さのためにハンドリング部59は図示していない。図10Bに示すように、針ハブ34は、第2の位置123においてロック機構128を介してトラック30へとロックされる。針ハブ中子68はトラックフィンガー138上において近位方向にスライドし、中子68は、トラックフィンガー138とより広い幅134のトラック部分との間において所定位置にロックされ得る。この構成により、いくつかの実施形態において、針ハブ34が第2の位置123に来た際に針本体32が少なくとも遠位方向において軸方向移動することが妨げられ、実質的に不可逆的に回避される。図示の実施形態において、ロック機構128により、針ハブ34が係合後に近位方向または遠位方向に移動する事態が抑制される。さらに、針ハブ34が第2の位置123に来たとき、針22の遠位先端54を拡張器24中に牽引することにより、遠位先端54を保護する。よって、このロック機構128により、使用時において拡張器シャフト36が針本体32上を前進した後、針本体32の遠位部50上に配置された斜面先端54が拡張器シャフト36の遠位端部を超えて前進する事態が抑制される。よって、拡張器シャフト36は、針本体32の鋭利な斜面先端54を保護して、偶発的な針の穿刺の発生を抑制する。
図11Aは、図1Aに示す実施形態の側面図であり、アクセスデバイス20の最終動作工程のうち1つを示す。図11Aは、血管148内に適切に挿入されたシース本体40を血管内に残してガイドワイヤ44および拡張器シャフト36を血管から除去する様子を示す。図11Bは、図11Aに示す実施形態の11B−11B線によって円状に包囲された一部の拡大平面図である。図11Bに明確に示すように、拡張器シャフト36の遠位端部およびガイドワイヤ44は、針本体32の鋭利な斜面先端54を超えて、偶発的な針の穿刺の発生を抑制する。
本明細書中にさらに記載するように、アクセスデバイスは、針のシャフトと拡張器のシャフトとの間に規定された流体フラッシュバック空間を含む(例えば、図8C〜図8E)。このモードにおいて、フラッシュバック空間は好適には雰囲気へ通気し、より好適にはシースから独立して通気する。詳細には、上述したように、通気通路は、拡張器を通じて設けてもよいし、針を通じて設けてもよいし、あるいは拡張器と針との間に設けてもよい。
さらなる実施形態において、図12Aおよび図12Bに最良に示すように、拡張器ハブ38と針ハブ34との間のインサート51を少なくとも通じて通気を提供することができる。いくつかの実施形態において、インサート51などのさらなるピースにより、一般的に不可能または経済的に不可能であり得る特定の所望の寸法、材料および他の設計特徴の入手が容易になる。例えば、図8C〜図8Eについて上記した実施形態において、拡張器シャフト36の中間部の内径を針穿孔の近隣の針本体32の外形よりも実質的に大きくすることが望ましい場合がある。このような直径の差により発生した空間により、(例えば、導管256における)両者間において穿孔から体液を流動させることが可能になる。しかし、上記したように、いくつかの実施形態において、拡張器の遠位先端の近くに、より小さな内径の拡張器シャフト36を設けることが望ましい場合もある。さらなる実施形態において(例えば、上記した実施形態)において、拡張器424の近位部の直径を低減することにより、通気を可能にしつつ、近位方向における血液などの体液の流れを抑制することが望ましい場合がある。上記したように、このような通気により、空間、空洞部または導管中への体液の引き込みを促進することができる。しかし、近位および遠位端部における内径が小さくかつ中間部における内径が大きい拡張器24を製造することは困難である場合がある。
図12A〜図12Cに示す実施形態により、インサート51の支援による通気が得られる。インサート51は、拡張器ハブ38の近位開口部107内に配置され得る。近位開口部107は、上記の類似の実施形態(例えば、針および拡張器ハブ間のルアー接続具を形成する部分)に記載のように、針ハブ34の遠位突出部109も受容するように構成され得る。いくつかの実施形態において、インサート51を拡張器ハブ34中へ圧入することができ、他の実施形態において、(例えば、拡張器424と組み合わせる前に)インサート51を緩やかに針本体32上へスライドすることもできる。
図12Cに示すように、インサート51によって規定された貫通穴101は、針22(または本明細書中に記載の別の針)を例えば針本体32に沿ってスライド可能に受容する。さらに、図示のように、インサート51は、実質的に円形形状またはドーナツ形状であり得、これにより、拡張器ハブ38内における回転位置において可撓性が得られる。しかし、他の実施形態において、インサート51は、拡張器ハブ38内において回転的に固定することができる、すなわち、非円形のインサートおよび対応する非円形の受容部を拡張器ハブ38内に設けることができる。
さらに、インサート51を特定の寸法にすることにより、体液の放出を抑止しつつ、気体の放出を促進することができる。例えば、インサートの貫通穴101の直径を針本体32の外形より若干大きくすることにより、空間またはギャップ(図示せず)をインサート51と針本体32との間に生成することができ、ギャップのサイズは、体液の放出を抑止しつつ気体の放出を可能にするようなサイズにされる。図12Aおよび図12B中に最良に示すように、その後気体はインサート51と針本体32との間のギャップ内において近位方向に流れて、拡張器ハブ38の受容部または開口部107内の針ハブ34とインサート51との間の空間107および108内に入る。その後、この空間から、気体は、針ハブ34と拡張器ハブ38との間に規定された通路111内の周囲雰囲気へと進むことができる。顕著なことに、いくつかの実施形態において針ハブ34および拡張器ハブ38はガス通過を回避し得るルアー接続を介して接続することができるが、当該分野において公知のまたは本明細書中に記載されるさらなる機構をこれら2つのハブに取り付けてもよい。例えば、図示の実施形態において、針ハブ34は、拡張器のレッジ部またはリップ77へ解放可能にフックし得るラッチ要素66を含み得る。よって、これら2つのハブ間のルアー接続を別の方法で形成する可能性のあるコンポーネントを充分に分離させることができ、これにより、ハブ間の接続に妥協を生じることなくガスを逃がすことが可能になる。
さらに、インサート51の外側縁部の形状は、拡張器ハブ38の受容部の受容部と実質的に整合するような形状にすることができ、これにより、両者間に密封部を形成することができ、体液の逃げを少なくとも抑止することができる。いくつかの実施形態において、(上述するように針とのルアー接続にも用いられる)拡張器ハブ38内のテーパー105により、インサート51と拡張器ハブとの間の密封を促進することができる。いくつかの実施形態において、インサート51の外側縁部と拡張器ハブ38の受容部107との間の密封部も気体に対して不浸透性であるため、上述したように貫通穴101を通じて気体を強制移動させることができる。
組み立て時において、インサート51が拡張器ハブ38へ挿入されると、インサートは受容部から若干角度がずれて進入する場合があり、その場合は若干斜めに傾いて立ち往生する。ピースのサイズおよび受容部107の深さに起因して、インサート51が斜めに傾いたことを検出することが困難な場合がある。よって、このような角度がずれた状態での挿入を許容できるように、インサート51を構成することができる。例えば、図示のように、貫通穴101は、近位方向テーパー部102(図12C)を含み得る。近位方向テーパー部102により、針本体32とインサート51との間に通気空間を保持することが支援され得る。この通気空間を通じて、ガスの通過を可能にしかつ体液の通過を抑止することができる。
インサート51は、近位面に沿ったリッジ103として図示される近位方向突出部も含み得る。近位方向突出部は、図12Bに示すように特に関連し得る。例えば、インサート51が斜めに傾いた場合、インサート51を拡張器ハブ38内に完全に挿入することができなくなり、その結果、図12Bに示すように、インサート51と開口部107内の拡張器ハブ38の遠位部との間に隙間106が発生する。隙間106により、インサート51を針ハブ34と接触させることができ、その結果密封部を形成することができ、インサートの貫通穴101を通じて気体が逃げる事態を回避することができる。よって、いくつかの実施形態において、インサートは、1つ以上の溝部104を備えたリッジ103も含み得る。針ハブ34は、リッジ103と接触した後、インサート51の近位端部の残り部分と接触し、その結果両者間に空間を保持する。1つ以上の溝部104により、リッジ103内にガスの通路となる開口部または導管が得られ、この開口部または導管は、ハブ34および38間の通路111へ延びる。図示の実施形態において、1つよりも多くの溝部を設けることにより、有利なことにガスを複数の方向に通過させることが可能になる。よって、インサート51と針ハブ34との間の密封接触が片側に形成された場合も、気体は他方側に逃げることができる。
他の実施形態において、インサート51上の近位方向突出部は、他の形態もとり得る。例えば、いくつかの実施形態において、インサート51は、1つ以上の別個の突起を持ち得、これら別個の突起により、針ハブ34からの分離が維持される。さらなる実施形態において、インサート51に含まれ得る1つ以上の溝部により、針ハブ34と接触していても気体を逃がすことが可能になる。さらに、いくつかの実施形態において、インサート上の構造の代わりにまたはインサート上の構造に加えて、類似の構造を針ハブ上に設けることができる。
気体の通気を可能にしかつ液体(例えば、血液)の通過を抑止し得る本明細書中に記載の通路(例えば、通路111、溝部104)のサイズは、血液または他の液体を濾過するようなサイズにしてもよいし、あるいはフィルタなどを含むようにしてもよい。例えば、シースまたは拡張器そのものに、小型開口部、細孔または多孔性材料の形態の1つ以上の通路を含めてもよい。1つ以上の通路のサイズと、流体分子および形成要素(例えば、赤血球)の予測されるサイズとに応じて、シース中の1つ以上の小型開口部、細孔または多孔性材料は、多孔性通気部を形成し得、これにより血液を保持しつつ空気の通過を許容することができる。
図13A〜図13Cは、拡張器24Bの別の実施形態を示し、拡張器24Bは、アクセスデバイス20の流体フラッシュバック特性を向上させるための追加要素を含む。1つの追加要素は、周囲において拡張器24Bが同軸に配置された針(例えば、図1〜図7に示す上記の実施形態に関連して説明した針22)と相互作用する少なくとも1つのワイパーまたはシールを含み、針外部(例えば、図8Dの針外部表面154)と拡張器内部(例えば、図8Dの拡張器内部表面152)との間に発生する空間を通じた流体取り込みを抑制する。このシール特性は、アクセスデバイス20の上記実施形態のうち任意の実施形態において、図12A〜図12Cに示す他の要素と共にまたは図12A〜図12Cに示す他の要素と別個に用いることができる。例えば、シール特性はより小さな内径を持ち得、図12A〜図12Cに示す拡張器ハブ38に関連して拡張器本体上に設けることができる。図示の実施形態は、単一のシールに関連してこの追加要素について説明するが、拡張器は、拡張器の長さに沿って設けられた複数のシールを含み得る。このようなシールは、拡張器穿孔および/または針穿孔の近位側に対して直列に配置することができる。いくつかの実施形態において、追加シールをこのような穿孔の遠位側にさらに配置することもできる。しかし、図示の実施形態において、シールは、拡張器および針穿孔双方の近位側に図示されている。
図13Aおよび図13Cを参照すると、拡張器24Bは、密封部250を含む。拡張器24Bが針本体32内に設けられると(例えば、図8Cを参照)、密封部250は、針本体32上の穿孔56の若干近位に設けられる。密封部250は、内側方向の突起として図示されており、この突起により、狭領域が拡張器24B内に形成される。この密封部250において、拡張器24Bは、針(図示せず)と共にシールを形成し得、これにより、拡張器24Bと針との間の空間を、シールの片側にそれぞれ設けられた近位部分および遠位部分に分割する。1つの可能な結果として、針穴から流体を針本体32と拡張器24Bとの間の空間へと前進させることが意図される実施形態(例えば、図8C〜図8Eに示された実施形態に関連して上述したもの)において、体液が近位方向に密封部250を超えて通過することが抑制されることにより、拡張器24Bと針との間の近位空間中への流体漏れが低減する。よって、流れを針本体32と拡張器(例えば、拡張器24;図8D〜図8E)との間の導管256へとさらに方向付けて、フラッシュバック応答の視認を促進することができる。さらに、いくつかの実施形態において、密封部250はワイパーとして機能することができ、拡張器24B内へと退避する際、針の遠位部表面から流体(例えば、血液)を除去する。1つ以上の密封部250により、拡張器24Bと針本体32との間に放射状の支持を提供することもでき、これにより、拡張器シャフト36の軸方向強度が向上し、本明細書中において図8Iを参照してさらに説明するように、針本体32および拡張器シャフト36の構成(例えば、直径)に実質的に類図する利点が得られる。
密封部250は、三角形状(その一例を図13Cに示す)、円形形状または矩形形状を含む多様な断面形状をとり得る。図13Cに示す実施形態において、密封部250は、概して三角断面形状を有し、好適には近位方向において内側に傾斜するテーパー表面252によって部分的に形成される。テーパー表面252は、密封部250のレッジ251と交差する。レッジ251は、拡張器24Bの長手方向軸に対して概して垂直に位置する。しかし、他の実施形態において、レッジ251は、長手方向軸に対して多様な角度で設けることもでき、これにより、テーパー表面252とレッジ251との間に形成される角度を鋭角、直角または鈍角とすることができる。有利なことに、密封部250上のテーパー表面252により、拡張器24Bを通じた針の近位方向移動を支援することができる。レッジ251により、針の進行時における密封部250の近位方向偏向が可能になる。密封部250の内側突起の大きさは、好適には、穿孔点における針外部と拡張器内部との間の直径差の半分よりも大幅に小さくないとよく、より好適にはより大きいとよい。
図13Aにさらに示すように、いくつかの実施形態において、拡張器24Bは、密封部250の近位においてテーパー262を備えて形成された拡張部260を含み得る。拡張部260により、針本体32と拡張器シャフト36(図8D〜図8E)との間に導管256のための空間を得ることができ、拡張器24Bと拡張器24Bを通過する針(または関連する他の物品)との間の接触または摩擦を低減することができる。さらに、いくつかの実施形態において、拡張器24Bを通過する針または他の物品は、放射状に外側に延在して、テーパーと係合し、物品のさらなる前進を抑制するストップ部を含み得る。よって、拡張部260およびその一致するテーパーにより、拡張器24Bと対応する針または他の物品との間の軸方向および/または放射方向の移動を制限することができ、これにより、本明細書中において図8Iを参照してさらに説明する針本体32および拡張器シャフト36の構成(例えば、直径)に実質的に類似する利点が得られる。
当業者が容易に知られた多種多様な方法のうちの任意のものにおいて、密封部250を拡張器上に形成することができる。例えば、いくつかの実施形態において、拡張器を押し出した後の拡張器ティッピングプロセス時において、密封部250を形成することができる。密封部250の原像を有する環状溝部により、内部マンドレルを切断することができる。次に、マンドレルを拡張器内に配置する。ティッピングプロセスにおいて拡張器の遠位端部材料を加熱した後、所望の外径中へと圧入し、材料もマンドレル上の環状溝部中へと圧入して、密封部250を形成する。充分に冷却した後、拡張器を退避させることができる。
他の実施形態において、密封部は異なる形態をとり得る。例えば、針は拡張外部を持ち得、穿孔の近位側上に、図13A〜図13Cに示す実施形態の拡張部260の内径に類似する拡大外部直径を形成する。よって、針は、遠位部においてより小さな外径を有し、遠位部においてより大きな外径を有する。拡大直径部は、拡張器の内面(例えば、テーパー262に対する)と係合または隣接して、上記したものと類似する密封部を形成する。いくつかの実施形態において、密封部を形成する針と拡張器との接触は、拡張器24B上のテーパー262と針上の類似の外部テーパーのような整合するテーパー間形成することができる。他の実施形態において、針と拡張器との間の接触を、針の長手方向軸および拡張器に対して概して平行な表面などの他の表面上に形成することもできる。
さらに、図13Aに図示のように、拡張器先端を斜面付きとすることにより、より円滑な拡張が可能になり、さらに、拡張器先端が患者体内へ進入する際に変形することが無くなる。図示のように、先端は、各側部上において角度φでテーパー面または斜面を持ち得る(図示の角度φの対角はφに等しいため、本明細書中において同じものとして取り扱う点に留意されたい)。斜面付きの先端により、組織(例えば、皮膚)を通過する際の拡張器24B上への軸方向の力を低減することができる。いくつかの実施形態において、角度φは、ほぼ30度であり得る。他の実施形態において、角度φは、ほぼ40〜20度である。この初期斜面の後、拡張器先端を図13Cに示すようにより浅い角度でテーパーさせることができる。例えば、いくつかの実施形態において、その後、拡張器をほぼ3度でテーパーさせてもよいし、あるいはほぼ3度未満の角度でテーパーさせてもよい。
本明細書中に記載される実施形態は、従来の生体適合性材料を含む。例えば、針は好適には、セラミック、硬質ポリマー、またはステンレススチール、ニチノールなどの金属からなる。他の要素は、ポリカーボネート、ナイロン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素重合体、およびペルフルオロ(エチレン−プロピレン)コポリマー、ポリウレタンポリマーまたはコポリマー等のコポリマーなどの適切なポリマー材料によって形成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、拡張器はナイロンから形成され得る。
上述したように、本アクセスデバイスを用いて、患者体内の他の位置にカテーテルを配置することができる。よって、例えば、限定されないが、アクセスデバイスを多様なカテーテルとして用いてまたは多様なカテーテルと共に用いて、腫瘍からの流体をドレーンすること、気胸からの空気をドレーンすること、および腹腔へアクセスすることを行うことができる。このような用途において、針が適切に配置されたとき、体液は視認空間内へと流れる。
本発明について、特定の好適な実施形態および例の文脈において説明してきたが、当業者によれば、本発明は、特定の開示の実施形態を超えて、他の代替的実施形態および/または本発明およびその明らかな改変例および均等物の利用にまで拡大することが理解される。加えて、本発明の複数の変更例について詳細に図示および記載してきたが、当業者であれば、本開示を鑑みて、本発明の範囲内にある他の改変例を容易に想起する。また、実施形態の特定の特徴および態様の多様な組み合わせまたはサブコンビネーションが可能であり、本発明の範囲内であることが企図される。よって、開示の発明の多様な様式を形成するために、開示の実施形態の多様な特徴および態様を相互に組み合わせるかまたは代替することが可能であることが理解される。例えば、図8Fに示す針ハブの一般的形状は、図2Fに示す針ハブとさらなる方法において異なる。しかし、これらの一般的針ハブ形状は、上述し図示した複数の実施形態間において相互交換が可能である。さらに、本明細書中の実施形態のうち多数において、針、拡張器、シース、ガイドワイヤ部、トラック、カバーおよび他のコンポーネントを含むアクセスデバイスの利用について記載しているが、本発明は、これらのコンポーネントまたは本明細書中に記載の他のコンポーネントのうち別個にまたは組み合わされて供給される1つ以上のコンポーネントを含み得ることが理解される。例えば、本明細書中に記載のコンポーネントを組み立てられた形態で供給してもよいし、あるいは、ユーザによって別個に供給されて組み立てられたキットまたは他のパッケージ構成として供給してしてもよい。さらに、本発明は、本明細書中に記載の実施形態のうち任意のものを用いる指示を含み得る。この指示は、紙、音声および/または視覚的記録物、コンピュータまたは他の電子メモリなどの有形の媒体中に設けられる。
よって、本明細書中に開示される本発明の範囲は、上記された特定の開示の実施形態によって限定されるのではなく、本開示および以下の特許請求の範囲を公正に読むことのみによって決定されるべきであることが意図される。