本発明の目的は、単純且つ信頼度の高い方法で冷媒の動作温度を制御することが可能な、燃焼機関を冷却するための循環冷媒を用いる冷却システムを提案することである。
この目的は、請求項1の特徴部分において示される特徴により特徴づけられる、序文で述べられる種類の冷却システムにより達成される。パイロット・ラインにより、冷媒を、冷却システムの実質的にあらゆる領域からサーモスタットの感知素子へと送ることが可能となる。したがって、冷却システムのその領域における冷却システムの動作温度が、サーモスタットの制御パラメータとなる。冷却システムは、パイロット・ライン中の感知素子の上流の位置においてパイロット・ライン中の冷媒を加温又は冷却することが可能な熱的デバイスを備える。熱的デバイスが作動されない場合には、感知素子は、パイロット・ライン入口付近の冷媒の動作温度をモニタリングする。この場合には、サーモスタットは、サーモスタットの調整温度に対応する冷媒の一定の動作温度を維持する。
熱的デバイスが、作動され、パイロット・ライン中の冷媒を加温する場合には、冷媒は、冷媒の動作温度と、熱的デバイスによりパイロット・ライン・デバイス中の冷媒に対して与えられる温度上昇とを加算したものに対応する温度を、感知素子の付近において示す。したがって、パイロット・ライン中の感知素子付近の冷媒は、当初、調整温度よりも高い温度を示す。サーモスタットが開き、それにより、冷却を行うために実質的に全ての冷媒がラジエータへと送られる。この冷却の結果、冷媒の動作温度が低下する。冷媒の動作温度は、熱的デバイスの温度上昇との組合せにより、パイロット・ライン中の冷媒がサーモスタットの調整温度に対応する温度を示すようになる値にまで低下する。したがって、この場合には、冷却システム内の冷媒は、より低い動作温度を示す。熱的デバイスが、作動され、冷媒を冷却する場合には、冷媒は、冷媒の動作温度から、熱的デバイスによりパイロット・ライン中の冷媒に与えられる温度低下を減算したものに対応する温度を、感知素子付近において示す。これが生じた場合には、感知素子は、パイロット・ライン中の冷媒が調整温度よりも低い温度であることを検出する。したがって、サーモスタットは、冷却することなく実質的に全ての冷媒を燃焼機関に送る。冷媒の動作温度は、熱的デバイスの温度上昇との組合せにより、パイロット・ライン中の冷媒がサーモスタットの動作温度に対応する温度を示すようになる値にまで上昇する。したがって、この場合には、冷却システム内の冷媒は、より高い動作温度を示す。パイロット・ライン中の冷媒を加温又は冷却することにより、冷却システム内の冷媒の動作温度は、逆方向であっても対応する温度変化を受けることが可能となる。
本発明の一実施例によれば、熱的デバイスは、電気加温デバイスを備え、この電気加温デバイスは、作動状態において、冷媒がパイロット・ライン入口よりも高い温度を示すように、パイロット・ライン中の冷媒を加温するように構成される。電気加温デバイスは、電気加熱導体の形態の比較的単純な構成からなるものであってもよい。また、電気加温デバイスにより、優れた精度でパイロット・ライン中の冷媒の温度を上昇させることが容易になる。この場合には、冷媒の最高動作温度に対応する調整温度を有するサーモスタットが使用される。電気加温デバイスが作動されると、パイロット・ライン中の冷媒は、冷却システム内の冷媒の動作温度が下げられる分と同様の度数だけ加温される。
本発明の代替的な一実施例によれば、熱的デバイスは、熱交換器をパイロット・ライン中に備え、この熱交換器は、作動状態において、サーモスタットの調整温度よりも高い又は低い温度である媒質を熱交換器に通過させるように構成される。サーモスタットの調整温度よりも高い温度である媒質は、排ガス、モータオイル、リターダ・オイル、又は車両内で入手可能ななんらかの他の温かい媒質であってもよい。サーモスタットの調整温度よりも低い温度である媒質は、有利には周囲環境温度に対応する温度である空気であってもよい。
本発明のさらなる代替的な一実施例によれば、熱的デバイスは、作動状態においてサーモスタットの調整温度よりも高い又は低い温度である冷媒を感知素子の上流の位置のパイロット・ラインへと供給するように構成された冷媒ラインを備える。温かい冷媒は、有利には、冷媒が最高温度となる冷却システムの領域から送られる。冷媒は、燃焼機関を冷却した後に、及び該当する場合には、冷却システム内のいくつかのさらなる構成要素を冷却した後に、最高温度を有する。冷たい冷媒は、有利には、冷媒が最低温度となる冷却システムの領域から送られる。冷媒は、ラジエータにおいて冷却された後に、冷却システム内における最低温度を有する。
本発明の別の好ましい実施例によれば、制御ユニットは、パイロット・ライン中の熱的デバイスの下流の位置において冷媒の温度をモニタリングする温度センサからの情報に基づき、熱的デバイスの作動を制御するように構成される。かかるセンサにより、制御ユニットは、熱的デバイスによってパイロット・ライン中の冷媒が加温又は冷却される度数に関する迅速な情報を受け取る。この情報及びサーモスタットの調整温度に基づき、冷媒の動作温度は、優れた精度で制御され得る。
本発明の別の好ましい実施例によれば、制御ユニットは、燃焼機関にかかる負荷に関する情報を受け取るように、及び冷却システム内の冷媒に対して、燃焼機関負荷の変化と共に変化する動作温度を与えることを目的として、熱的デバイスを作動させるように、構成される。通常は、燃焼機関負荷が低い場合には、冷却システム内の冷媒に高い動作温度を与え、燃焼機関負荷が高い場合には、低い動作温度を与えることが、適切である。冷媒温度の漸進的な又は段階的な調節は、燃焼機関負荷に応じて適用されてもよい。冷却システム内の冷媒は、燃焼機関以外の少なくとも1つの他の構成要素を冷却するように意図されてもよく、制御ユニットは、前記構成要素が冷却システムによる冷却を必要とする時を事前に示唆する情報を受け取るように、及びかかる場合に、前記構成要素の冷却が開始される前に冷媒の動作温度が低下するように熱的デバイスを作動させるように、構成されてもよい。ハイドロリック・リターダなどのいくつかの構成要素は、作動される場合には、大きな冷却能力を必要とする。GPSなどの位置インジケータが、車両の位置を、したがってリターダが作動される可能性が最も高い下り坂走行に車両が近づきつつあるか否かを判定するために、使用されてもよい。
本発明の別の好ましい実施例によれば、パイロット・ライン入口は、冷媒を燃焼機関へと送るライン中に配置される。したがって、この場合には、冷媒は、燃焼機関へと送られる冷媒と同一の温度となるパイロット・ライン内へと送られる。燃焼機関への冷媒の注入温度は、サーモスタットの非常に優れた制御パラメータである。
本発明の別の好ましい実施例によれば、前記感知素子は、サーモスタットの調整温度で相及びその結果として体積を変化させるように構成された物質を収容するケーシングを備える。かかる物質は、有利には、サーモスタットの調整温度で固体状態から液体状態へと相を変化させるワックス物質である。サーモスタットは、感知素子から弁へと運動を変換することにより、前記物質が相を変化させた場合に、弁が第1の位置と第2の位置との間で移動されるように構成された運動変換機構を備えてもよい。この運動変換機構は、ロッドなどを備えてもよい。このロッドは、感知素子が配置されるパイロット・ラインを、弁が配置される冷却システムのラインから分離させる、少なくとも1つの壁部を貫通して延在してもよい。
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施例を実例として説明する。
図1は、車両を駆動する燃焼機関1を冷却するための冷却システムを図示する。冷媒ポンプ2が、冷却システム内において冷媒を循環させる。冷媒ポンプ2は、燃焼機関1への注入ライン3中に配置される。冷媒は、燃焼機関を通り循環すると、ハイドロリック・リターダ内において使用されるオイルを冷却するために、オイル・クーラ4へと送られる。次いで、冷媒は、ライン5を通りサーモスタット6へと送られる。サーモスタット6は、冷媒がサーモスタットの調整温度よりも低い温度である場合には、ライン5中の冷媒を、戻りライン7及び注入ライン3を経由して燃焼機関へと送る。冷媒が、サーモスタットの調整温度よりも高い温度である場合には、冷媒の少なくとも一部が、ライン8を経由して、車両の前方部分に取り付けられ得るラジエータ9へと送られる。ラジエータ・ファン10が、ラジエータ9を通過させて冷却吸気流を引き込むことにより、冷媒は、ラジエータ9において効果的な冷却を受ける。冷媒は、ラジエータ9において冷却された後に、戻りライン11及び注入ライン3を経由して燃焼機関1へと送られて戻る。
冷却システムは、入口12aにより注入ライン3内の冷媒流の少量部分を受け取るパイロット・ライン12を備える。パイロット・ライン12は、サーモスタット6に冷媒を送る。パイロット・ライン12中の冷媒は、出口12bを経由して戻りライン7へと送り戻される。したがって、パイロット・ライン12中へと送られる冷媒は、燃焼機関を冷却する冷媒と同一の温度となる。本明細書において、燃焼機関中に送られる冷媒の温度を、冷却システムの動作温度と呼ぶ。この温度は、多数の場合において、冷媒が内燃機関及びオイル・クーラ4中のリターダ・オイルを冷却した後に、冷媒が冷却システムのライン5中において示す最高温度よりも、より優れたな制御パラメータとなる。パイロット・ライン12は、冷媒がサーモスタット6に到達する前に、パイロット・ライン中の冷媒を加温及び/又は冷却することが可能な熱的デバイスを備える。図1の実施例における熱的デバイスは、概略的に図示された電気加温デバイス13である。センサ14が、電気加温デバイス13の下流の位置において冷媒の温度をモニタリングする。制御ユニット15が、センサ14からの情報、燃焼機関にかかる負荷に関する情報16、及び車両位置をモニタリングする位置インジケータ17、場合によってはGPSからの情報に基づき、電気加温デバイス13の作動を制御するように構成される。
燃焼機関1の作動中に、冷媒ポンプ2は、冷却システム中に冷媒を循環させる。燃焼機関を最適に冷却するためには、燃焼機関へと送られる冷媒は、適切な動作温度であることが必要である。したがって、注入ライン3中の冷媒流の少量部分が、燃焼機関にではなくパイロット・ライン12中へと送られる。サーモスタット6は、電気加温デバイス13の下流において、パイロット・ライン12中の冷媒温度をモニタリングする。サーモスタット6は、パイロット・ライン12中の冷媒が調整温度よりも低い温度であると認識した場合には、冷却することなくライン5中の冷媒を燃焼機関へと送る。サーモスタット6は、パイロット・ライン中の冷媒が調整温度よりも高い温度であることを検出した場合には、冷却するためにライン5からラジエータ9へと冷媒を送る。従来のサーモスタット6は、冷媒に、調整温度に対応する一定の動作温度を与えようと試みる。しかし、冷媒を一定の動作温度に維持することは、あらゆる動作状況において望ましいわけではない。例えば、燃焼機関が高負荷下にある場合などには、冷媒は、燃焼機関にかかる負荷が低い場合よりも低い動作温度にあることが望ましい。冷却システムに対して高負荷を時として課す構成要素を備える車両の場合には、この構成要素が作動される前に、冷媒の動作温度を下げることが適切となり得る。かかる構成要素は、ハイドロリック・リターダであり得る。
制御ユニット15は、燃焼機関にかかる負荷に関する情報16を実質的に継続的に受け取る。また、制御ユニット15は、車両の位置に関する位置インジケータ17からの情報も実質的に継続的に受け取る。制御ユニット15は、ハイドロリック・リターダが作動される可能性が非常に高い下り坂走行へと車両が近づきつつあるか否かを予測するために、車両の現在位置と組み合わせて使用し得る、地図等々の情報を記憶していてもよい。大型車両は、しばしば所定のルートを辿るため、代替的に又は併用的に、制御ユニット15は、ハイドロリック・リターダが作動される場所を予測する情報を記憶していてもよい。
この場合には、燃焼機関にかかる負荷が小さい場合に、及び/又はハイドロリック・リターダが作動されない場合に、冷媒の適切な動作温度に対応した調整温度を有するサーモスタット6が使用される。制御ユニット15は、燃焼機関が高負荷下にあるという、又は車両が下り坂走行に近づきつつあるという情報を受け取った場合には、パイロット・ライン12中の冷媒を加温する電気加温デバイス13を作動させる。したがって、冷媒は、パイロット・ライン中において、注入ライン3中の動作温度よりも高い温度を示す。したがって、パイロット・ライン12中の加温された冷媒は、当初、調整温度よりも高い温度を示す。したがって、サーモスタット6は、開位置にされて、ライン5中の全冷媒が、ラジエータ9へと送られる。その結果、冷媒の動作温度は低下し、したがって、冷媒がパイロット・ライン入口12a内に送られる際の冷媒の温度も低下する。動作温度が、電気加温デバイス13によりパイロット・ライン12中において冷媒が加温される度数と同一の度数だけ低下すると、パイロット・ライン中の冷媒は、再び、サーモスタットの調整温度に対応する温度を示す。したがって、電気加温デバイス13が作動される限り、冷媒は、調整温度よりも低い動作温度となる。電気加温デバイス13により冷媒がパイロット・ライン中において加温される度数がより大きいほど、動作温度をより大きく下げることが可能となり、その結果、燃焼機関及びオイル・クーラ4中のリターダ・オイルの冷却がより効率的になる。制御ユニット15が、電気加温デバイス13を作動停止すると、パイロット・ライン中の冷媒は、当初、冷媒の動作温度を示す。したがって、サーモスタット6は、閉位置にされて、ラジエータ9において冷却することなく、ライン5中の実質的に全ての冷媒をライン7及び燃焼機関へと送る。その結果、冷媒の動作温度は、サーモスタットの調整温度に達するまでに、上昇する。
図2は、サーモスタット6をどのように構成し得るかをより詳細に示す。サーモスタットは、4つのライン5、7、8、及び12に対して連結されたケーシング内に配置される。サーモスタットは、感知素子6b内に上方端部部分が固定されたロッド19に対して固定された弁6aを備える。感知素子は、冷媒が感知要素と良好に接触するように、パイロット・ライン12中の適切な位置に配置される。感知素子は、有利には優れた熱伝導性特徴を有する金属材料である、薄壁の剛性材料から作製されたケーシング18を有する。このケーシングは、サーモスタットの調整温度にて固体状態から液体状態へと相を変化させる特徴を有するワックス物質を囲む、内部空間を有する。ワックス物質が液体状態にある場合には、このワックス物質の体積は、固体状態にある場合の体積よりも大きい。
ケーシング18は、ある方向、この場合には下向きを除く全ての方向においてワックス物質を囲む剛性壁部を有する。したがって、ワックス物質が、溶融し、その体積が増加すると、ワックス物質は、ケーシング内において下方にのみ膨張することが可能となる。ワックス物質の体積が増加すると、ロッド19は、下方に移動する。ケーシング18内におけるワックス物質の体積変化をロッド19の線形運動へと変換することは、従来の先行技術であり、様々な異なる方法で行うことができる。弁6aは、ワックス物質が固化し、その際にケーシング18内において占める体積が低下した場合に、ロッド19及び弁6aを上方に移動させるように構成された戻しばね20を有する。戻しばね20は、ワックス物質が溶融しケーシング18内において膨張した場合に、ロッド19及び弁6aの下方移動を防止するのに十分な強度ではない弾性力を、ロッド19に対して印加する。弁6aは、弁6aが図2におけるような上方の第1の位置にある場合に、ライン5とライン8との間において開口22を閉じるように構成された第1の弁ディスク21を有する。また、弁6aは、弁が下方の第2の位置にある場合に、ライン5とライン7との間において開口24を閉じるように構成された第2の弁ディスク23を備える。第2の弁ディスク23は、ばね25によりロッド19に対して引っ張られる。
この場合には、パイロット・ライン12は、熱交換器26の形態の熱的デバイスを備える。熱交換器26は、サーモスタットの調整温度よりも低い温度にて媒体を収容する第1の媒体源27と、サーモスタットの調整温度よりも高い温度にて媒体を収容する第2の媒体源28とに対して連結された、パイプ・ループを備える。第1の媒質は、周囲環境温度の空気であってもよく、第2の媒質は、燃焼機関からの温かい排ガスであってもよい。この場合には、制御ユニット15は、弁29を開くことにより第1の媒質源27から熱交換器26へと空気を送り、弁30を開くことにより第2の媒質源28から熱交換器26へと温かい排ガスを送ってもよい。また、ここで、制御ユニット15は、燃焼機関にかかる負荷に関する情報16と、例えばGPSなどの位置インジケータ17からの車両の位置に関する情報とを受け取る。
燃焼機関の作動中には、冷媒ポンプ2は、冷却システム中に冷媒を循環させる。したがって、注入ライン3中の冷媒流の少量部分が、燃焼機関にではなくパイロット・ライン12中へと送られる。パイロット・ライン中に送られる冷媒は、燃焼機関内に送られる冷媒と同一温度にある。したがって、パイロット・ライン12中の冷媒は、サーモスタットの感知素子6bと接触状態で流れる。パイロット・ライン12中の冷媒が、サーモスタットの調整温度よりも低い場合には、ケーシング18内のワックス物質は、固体状態にあり、したがってケーシング内において最小体積を占めることとなる。したがって、戻しばね20は、ロッド19及び弁6aを上方位置に維持する。この状況において、第1の弁ディスク21は、開口22を閉じ、第2の弁ディスク23は、開口24を開放する。この場合には、燃焼機関及びライン5からの冷媒は、戻りライン7へと送られる。その後、この冷媒は、注入ライン3及び燃焼機関へと送られる。したがって、この場合には、冷媒は、ラジエータ9における冷却を受けない。
冷媒が、ラジエータ9において冷却されることなく、燃焼機関へと送られる場合には、冷却システム内における冷媒の温度は、上昇する。パイロット・ライン12中の冷媒の温度が、調整温度を上回り上昇すると、ワックス物質は、溶融し始める。ワックス物質が溶融すると、ワックス物質の体積が増加する。ワックス物質は、ケーシング18内において下方に膨張し、その結果、ロッド19及び弁6aは、下方に移動する。実質的に全てのワックス物質が溶融すると、弁6aは、第2の弁ディスク23により開口24が閉じられる下方位置に到達する。弁がこの位置に到達する際には、第1の弁ディスク21は、開口22を開放した状態にある。ばね25は、ロッド19を、弁6aに対して下方へとある程度継続的に膨張させ得る。この場合には、燃焼機関及びライン5から来る冷媒は、ライン8へと送られ、ライン8は、ラジエータ9へとこの冷媒を送る。冷媒は、空気により囲まれることによりラジエータ9において冷却され、その後、ライン11を経由して注入ライン3及び燃焼機関1へと送られる。
作動中に、制御ユニット15は、燃焼機関にかかる負荷に関する情報16と、車両の位置に関する位置インジケータ17からの情報とを実質的に継続的に受け取る。この場合には、燃焼機関負荷が正常である場合に、冷媒の適切な動作温度に対応した調整温度を有するサーモスタット6が、使用される。制御ユニット15が、車両に対する負荷が正常値を上回っているという、又は車両が下り坂走行に近づきつつあるという情報を受け取った場合には、制御ユニット15は、排ガス源28からの温かい排ガスが熱交換器26を通り流れるように、弁30を開く。熱交換器26の温かい排ガスは、パイロット・ライン12中の冷媒を加温し、それにより、冷媒は、感知素子6bに到達する際には温度の上昇を示す。ワックス物質は、感知素子6bにおいて溶融し始め、ライン5内の冷媒は、弁6aによりライン8へと送られ、したがってラジエータ9へと送られて冷却される。冷媒の冷却が高まることにより、冷媒の動作温度が低下する。制御ユニット15は、冷媒が熱交換器26において排ガスにより加温された後で、冷媒の温度に関する情報をセンサ14から受け取る。制御ユニット15は、弁30を利用して、熱交換器への温かい排ガス流を調整し、それにより、冷媒の動作温度を適切な値にまで低下させることが可能である。したがって、燃焼機関内に送られる冷媒は、燃焼機関の、及びオイル・クーラ4内のリターダ・オイルの効果的な冷却を可能にする。
対照的に、制御ユニット15が、車両に対する負荷が正常値を下回るという情報を受け取った場合には、制御ユニット15は、空気源27からの冷気が熱交換器26へと流れるように、弁29を開く。熱交換器中の冷気は、パイロット・ライン12中の冷媒を冷却し、それにより、冷媒は、感知素子6bに到達する際にはより低い温度を示す。感知素子内のワックス物質は、固相に変化し、サーモスタットは、ライン5からライン7へと冷媒を送る。これにより、冷媒は、ラジエータ9において冷却を受けず、その動作温度は、上昇することとなる。したがって、冷媒は、サーモスタットの調整温度よりも高い動作温度を示す。冷媒の動作温度とサーモスタットの調整温度との間の差は、パイロット・ライン12において冷媒から受ける冷却に対応する。したがって、冷媒の動作温度は、燃焼機関にかかる負荷が低い場合には、高いことが望ましい。
図3は、さらなる代替的な構成を図示する。この場合には、パイロット・ライン12は、サーモスタットの感知素子6bの上流の位置においてパイロット・ラインに連結された冷媒ライン31の形態の熱的デバイスを備える。このライン31は、冷却システムのライン11から送られ得る冷たい冷媒32の形態の第1の媒質源に対して、及び冷却システムのライン5から送られ得る温かい冷媒の形態の第2の媒質源33に対して、連結可能である。この冷媒ラインは、前記媒質源32、33のいずれかからパイロット・ラインに冷媒を搬送するためのポンプ34を備える。ポンプ34は、制御ユニット15により作動される。冷たい冷媒が、パイロット・ライン内へと送られるべき場合には、ポンプ34が、作動され、また同時に、制御ユニット15が、第1の媒質源32に連結された弁35を開く。温かい冷媒が、パイロット・ライン12内へと送られるべき場合には、ポンプ34が、作動され、また同時に、制御ユニット15が、第2の媒質源33に対して連結された弁36を開く。
この場合もやはり、制御ユニット15は、燃焼機関にかかる負荷に関する情報16と、位置インジケータ17からの情報とを、実質的に継続的に受け取る。サーモスタット6は、燃焼機関負荷が正常である場合には、冷媒の適切な動作温度に対応した調整温度を有する。制御ユニット15が、車両に対する負荷が正常値を上回っているという、又は車両が下り坂走行に近づきつつあるという情報を受け取った場合には、制御ユニット15は、ポンプ34を作動させ、また同時に、弁36を開いて、媒質源33からの温かい冷媒を冷媒ライン31に通しパイロット・ライン12中に送る。この温かい冷媒の供給により、パイロット・ライン中の感知素子6bに到達する冷媒は、当初、温度の上昇を示す。したがって、サーモスタット6は、ライン5中の実質的に全ての冷媒をラジエータ9へと送る。したがって、冷媒動作温度は、調整温度未満まで低下する。したがって、燃焼機関中に送られる冷媒は、燃焼機関及び/又はオイル・クーラ4内のオイルの効果的な冷却を可能にする。制御ユニット15は、弁36によりパイロット・ライン12中に送られる温かい冷媒の量を調整することにより、動作温度を調整温度よりもどの程度低くすべきかを決定することが可能である。
対照的に、制御ユニット15が、車両に対する負荷が正常値を下回っているという情報を受け取った場合には、制御ユニット15は、ポンプ34を作動させ、また同時に、弁35を開いて、第1の媒質源32からの冷たい冷媒をパイロット・ライン12中に送る。このパイロット・ライン中の冷たい冷媒の供給により、感知素子6bに到達する冷媒は、当初、調整温度よりも低い温度を示す。したがって、サーモスタット6は、冷却することなく実質的に全ての冷媒を燃焼機関に送る位置にされる。したがって、冷媒の動作温度は、熱的デバイスによるパイロット・ライン中の冷媒の冷却に対応した値だけ調整温度を上回るレベルにまで上昇する。したがって、冷媒の動作温度は、燃焼機関にかかる負荷が低い場合には、高いことが望ましい。
本発明は、図面が示す実施例に限定されず、特許請求の範囲内において自由に変更され得る。図2及び図3の実施例は、温かい媒質及び冷たい媒質の両方を利用することにより、パイロット・ライン12中の冷媒の温度を変更させ、パイロット・ラインにおけるかかる加温又は冷却は、調整温度に対して冷媒の動作温度を調節するのに十分なものである。図2の実施例において、パイロット・ライン中の冷媒を加温又は冷却するために、実質的にあらゆる気体媒質又は液体媒質を使用し得る。