JP2014513708A - フェキソフェナジンを含む医薬組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、液体充填組成物として適切な溶媒系中でのフェキソフェナジン塩酸塩の医薬製剤に関する。別の態様において、本発明は、前記医薬製剤の調製のための段階および患者におけるアレルギー反応の処置用の薬物の調製のための前記組成物の使用にも関する。

Description

本発明は、経口投与のためのフェキソフェナジン塩酸塩(HCl)の安定な医薬組成物に関する。
特に、本発明は、場合により軟ゼラチンカプセル中に封入された、フェキソフェナジン塩酸塩と、医薬として許容される賦形剤とを含む、改善された製剤に関する。
本発明は、さらに、このような医薬組成物の調製の方法およびアレルギー反応を処置するための医薬品を調製するためのこのような医薬組成物の使用にも関する。
水溶液中で溶解度が低いフェキソフェナジンは、患者への効果的な投与のためにこのような化合物を処方する際に困難な課題がある。適切に設計された製剤は、最低でも、吸収可能な形態で治療的有効量の疎水性化合物を所望の吸収部位に提示することが可能であるべきである。疎水性治療剤の送達に胃液および腸液などの水性の生理的環境との相互作用が必要である場合は、この最低限の機能さえも達成困難である。さらに、薬物吸収は、胃腸機能および食物摂取の違いゆえ、個体によって顕著に異なり得る。従って、投与量を決定し、制御することは非常に困難である。
フェキソフェナジン[(+)−4−[1−ヒドロキシ−4−[4(ヒドロキシジフェニルメチル)−1−ピペリジニル−ブチル]−α,α−ジメチルベンゼン酢酸]は、第二世代ヒスタミンH1受容体アンタゴニスト(抗ヒスタミン)テルフェナジンの活性代謝産物である。フェキソフェナジンは、インビトロモデルにおいてより高い用量でも純粋に非鎮静型であると思われるという点で独特である。排出型トランスポーターP−糖タンパク質は、フェキソフェナジンを輸送することが報告されており、フェキソフェナジン薬物動態の重要な決定因子であると考えられる。フェキソフェナジンは、P−gpおよび幾つかの有機陰イオン輸送ポリペプチド(OATP)の基質であるので、食物および薬物の同時摂取は、この経口バイオアベイラビリティに対して顕著な影響がある。経口投与可能な形態のフェキソフェナジン製剤におけるさらなる別の難問は、特に胃の条件下でフェキソフェナジンが低溶解性であるということである(pH1.2の水性緩衝溶液1mLあたりフェキソフェナジンHCl 0.2mgという溶解度)。
また、経口医薬組成物中のフェキソフェナジン製剤における別の難問は、不快で強く苦い味および後味であり、このため、処置に対するコンプライアンスが低くなるかまたはノンコンプライアンスとなり、従って治療効率に負の影響を与える。
上記から判断すると、経口投与される薬物の吸収を改善することは、難溶性薬物の低バイオアベイラビリティの問題を解決することにおいて非常に重要なポイントである。
現在まで、難溶性薬物を可溶性の塩またはエステルに変換すること、粒径を小さくすること、および表面積を増加させて薬物の溶解を促進すること、溶解剤などの添加など、難溶性薬物のバイオアベイラビリティを改善するために多くの方法が採用されてきた。さらに、活性成分を薬物投与のために可溶性の塩に変換し得るものの、この可溶性塩は、消化管でのpH変化ゆえに難溶性形態に戻り得、従ってこの結果、薬物の沈殿が起こり得る。
また、フェキソフェナジン塩酸塩は、P−糖タンパク質代謝経路の関与による初回通過代謝ゆえに、経口バイオアベイラビリティの低下(33%以下)に直面する。
これゆえ、バイオアベイラビリティ低下という上述の欠点を回避し、医薬の生物学的アベイラビリティーを最大まで加速し、安定な組成物としながら、非常に迅速な薬理学的作用を達成するために、同時に吸収率を向上させる必要がある。
US4,929,605は、ピペリジノアルカノール化合物および、ピペリジノアルカノール化合物の吸収およびバイオアベイラビリティを向上させるための非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート80(Tween80)などを含む経口投与のための医薬組成物を記載する。この文献は、フェキソフェナジン塩酸塩と、少なくとも1つの非イオン性親水性界面活性剤および少なくとも1つの非イオン性疎水性界面活性剤の液体混合物とを含む医薬組成物を記載または示唆していない。さらに、この文献は、ピペリジノアルカノール化合物を含む医薬組成物の貯蔵安定性および貯蔵寿命を向上させる技術的問題には対処していない。
WO99/08690は、ポリエチレングリコール(PEG400またはPEG1000)またはポリソルベートなどのp−糖タンパク質阻害剤の経口での同時投与によってフェキソフェナジン塩酸塩のバイオアベイラビリティを促進するための方法を開示する。フェキソフェナジン塩酸塩と、少なくとも1つの非イオン性親水性界面活性剤および少なくとも1つの非イオン性疎水性界面活性剤の液体混合物とを含む医薬組成物については何ら触れられていない。さらに非イオン性親水性界面活性剤のみとフェキソフェナジン塩酸塩との組み合わせは、長時間にわたり安定ではなく、フェキソフェナジン塩酸塩の分解を示し、本発明による組成物よりもバイオアベイラビリティが低いことが、本発明者らにより観察された。
従って、本発明の目的は、フェキソフェナジン塩酸塩の溶解度およびバイオアベイラビリティを向上させ、長時間にわたり安定な経口投与可能である液体医薬組成物を提供することである。
出願者らは、フェキソフェナジン塩酸塩と、医薬として許容される賦形剤とを含む改善された液体組成物を提供することによってこの目的を達成し得ることを見出した。
驚くべきことに、本発明によるフェキソフェナジン塩酸塩組成物の溶解度およびバイオアベイラビリティが、既知の液体製剤と比較して実質的に優れていることが分かった。
この製剤を含有するカプセル形態が、医薬の残存残余物(residual remnant)の味を減少させることがさらに分かった。
米国特許第4,929,605号明細書 国際公開第99/08690号
本発明は、薬物と付随成分との間の相互関係、個々の成分の最適な混合比の選択および特定の界面活性剤、水含量およびpH調整剤の使用など、薬物のバイオアベイラビリティを促進するために最適な条件を複合的に確立することによって、フェキソフェナジン塩酸塩を含む経口投与可能である安定な液体医薬組成物を提供する。
本製剤は、少なくとも1つの親水性界面活性剤および少なくとも1つの疎水性界面活性剤の液体混合物と、治療的作用が迅速で吸収およびバイオアベイラビリティがより優れた口当たりがよく安定な製剤を作製するための1以上の医薬として許容される賦形剤とを含む。
本発明の別の目的は、分解性が改善し、溶解速度が向上し、同時にバイオアベイラビリティが向上した、軟カプセルなどの製剤を提供することである。特に、本発明は、要するにフェキソフェナジン塩酸塩の従来の経口固形製剤、例えば、Allegra(登録商標)の商標で入手可能なものなどの錠剤により得られるものと生物学的に同等である薬物動態学的パラメーターを得られるようにする、フェキソフェナジン塩酸塩の軟ゼラチンカプセル製剤を調製することに関する。
本発明のまた別の目的は、化学的安定性が向上した本発明の製剤を含む、医薬製剤、例えば、軟カプセル、硬カプセル、ツーピースカプセルまたは錠剤を提供することである。
本発明の別の目的は、適切な量の、少なくとも1つの親水性界面活性剤および少なくとも1つの疎水性界面活性剤の液体混合物中でフェキソフェナジン塩酸塩を溶解させ、pHを許容可能な範囲にして、これによって製剤の貯蔵安定性および貯蔵寿命を促進することを含む、本発明の経口医薬組成物を調製するための方法を提供することである。
本発明は、患者におけるアレルギー反応の処置用の薬物の調製のための本発明の経口医薬組成物の使用にも関する。
本発明のこれらおよび他の態様、特性および長所は、次の説明および特許請求の範囲を参照してより詳細に理解される。
本明細書中で別段の定義がない限り、本発明と関連して使用される科学用語および技術用語は、当業者により一般的に理解される意味を有するものとする。これらの用語の意味および範囲は明確でなければならないが、潜在的な曖昧性がある場合、本明細書中で提供される定義があらゆる辞書および外部の定義よりも優先される。文脈により別段必要とされない限り、単数形の語は複数形の語を含み、複数形の語は単数形の語を含むものとする。
本発明によれば、安定な製剤とは、特に、フェキソフェナジン塩酸塩の分解に対して高耐性を示す製剤を意味する。従って、40℃および湿度75%で3ヶ月貯蔵した場合、本発明による医薬組成物は通常、高分解レベルの兆候を何ら示さず(総不純物レベルはフェキソフェナジン塩酸塩の1重量%未満)、(HPLC分析により明らかとなるように)初期フェキソフェナジン塩酸塩含量の少なくとも99重量%を含有する。
本発明は、薬物と付随成分との間の相互関係、個々の成分の最適な混合比の選択および具体的な界面活性剤の使用、水含量およびpH調整剤など、薬物のバイオアベイラビリティを促進するための最適な条件を含む、様々な要因を複合的に考慮することにより実現される溶媒系を使用する。
投与しようとする活性薬剤および特定の製剤の正確な用量は、多くの要因、例えば、処置しようとする状態、処置の所望の持続時間および活性薬剤の放出速度に依存する。例えば、必要とされるフェキソフェナジン塩酸塩の量およびこの放出速度は、血漿中の特定の活性薬剤濃度が治療効果のために許容可能なレベルでどの程度の時間留まるかを決定する、公知のインビトロまたはインビボ技術に基づいて決定され得る。
従って、本発明の第一の態様は、実質的によりバイオアベイラビリティが高い、医薬として許容される賦形剤とともにフェキソフェナジン塩酸塩を含む医薬組成物に関する。
本発明の組成物において、フェキソフェナジン塩酸塩は、本組成物の1から35重量%の範囲の量で存在する。最も好ましい実施形態において、フェキソフェナジン塩酸塩は、本組成物の10から30重量%の範囲の量で存在する。
本発明の組成物において、フェキソフェナジン塩酸塩は、1.0から4.0m/gの範囲の好ましい比表面積を有する。最も好ましい実施形態において、フェキソフェナジン塩酸塩は、3.2m/gの比表面積を有する。
本発明の組成物において、フェキソフェナジン塩酸塩は、D(0.1)0,913μm(分布の90%がこれより大きく、10%がこれより小さい、直径);D(0.5)9.207μm(分布の50%がこれより大きく、50%がこれより小さい、体積中位径)およびD(0.9)15.896μm(分布の10%がこれより大きく、90%がこれより小さい、体積中位径)の好ましい粒径分布(マルバーンによる。)を有する。
本組成物は、油性ビヒクルとして機能する、少なくとも1つの非イオン性親水性界面活性剤および少なくとも1つの非イオン性疎水性界面活性剤の液体混合物の使用を企図する。本界面活性剤混合物は、本発明により企図される有益な効果を促進するのに十分な量で存在する。
ある実施形態において、本医薬組成物は、10から18、好ましくは11から16の親水性親油性バランス(HLB)値を有する界面活性剤に対応する少なくとも1つの非イオン性親水性界面活性剤;および、4から10、好ましくは4から6のHLB値を有する界面活性剤に対応する少なくとも1つの疎水性界面活性剤の混合物を含んでいる。HLB系(Fiedler,H.B.,Encylopedia of Excipients,5th ed.,Aulendorf:ECV−Editio−Cantor−Verlag(2002))は、界面活性剤の属性である数値であるが、脂溶性(または疎水性)物質はHLB値が低く、親水性物質はHLB値が高い。
非イオン性界面活性剤の総量は、本組成物の総重量に対して、少なくとも60重量%、好ましくは65から90重量%である。より好ましくは、界面活性剤の総量は本組成物の65から85重量%である。
本発明の内容において使用可能な好ましい非イオン性疎水性界面活性剤としては、ラウリン酸プロピレングリコール(ラウログリコール90)、モノカプリル酸プロピレングリコール(カプリオール−90)およびこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。本医薬組成物中で含むための最も好ましい疎水性界面活性剤は、HLB値が4であるモノラウリン酸プロピレングリコール(ラウログリコール90)である。
本発明の組成物において、疎水性界面活性剤は、本組成物の少なくとも30重量%のレベルで存在することが好ましい。本発明の医薬組成物の有利な実施形態によれば、疎水性界面活性剤は、本組成物の50から85重量%の範囲の量で存在する。より好ましくは、疎水性界面活性剤は、本組成物の60から85重量%の範囲の量で存在する。最も好ましい実施形態において、疎水性界面活性剤は、本組成物の75から80重量%の範囲の量で存在する。
本医薬組成物に含むための最も好ましい親水性界面活性剤は、HLB値が15であるポリソルベート80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート;Tween80)である。
本発明の組成物において、親水性界面活性剤は、本組成物の1から40重量%の範囲の量で存在することが好ましい。最も好ましくは、親水性界面活性剤は、本組成物の1から15重量%の範囲の量で存在する。最も好ましい実施形態において、親水性界面活性剤は、本組成物の1から10重量%の範囲の量で存在する。
本発明の最も好ましい実施形態において、本医薬組成物は、少なくともラウリン酸プロピレングリコール(ラウログリコール90)(非イオン性疎水性界面活性剤)および少なくともポリソルベート80(非イオン性親水性界面活性剤)の混合物である。
さらなる態様において、本発明は、フェキソフェナジン塩酸塩と、少なくとも1つの親水性界面活性剤および少なくとも1つの疎水性界面活性剤の液体混合物とを含み、フェキソフェナジン塩酸塩と界面活性剤液体混合物との重量比が、1:1.5から1:8である、経口投与可能な製剤に関する。本発明の好ましい実施形態において、フェキソフェナジン塩酸塩と液体混合物との重量比は、1:2から1:7であり、最も好ましくは、この比は1:4に等しい。
本発明内の別の重要な基準は、本医薬製剤の適切な貯蔵安定性を保証し、この貯蔵安定性および貯蔵寿命を向上させるための、適切な医薬ビヒクルにおけるフェキソフェナジン塩酸塩のpHである。pH値が4から9、より好ましくは5から6の間である場合に最良の結果が達成された。
本発明によれば、適切な酸性化および塩基性化剤の添加によってこれらのpH値を達成し得る。
本発明で使用される塩基性化剤は、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、アラビアゴム、リン酸二カルシウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、トリエタノールアミンなどおよびこれらの組み合わせから選択され得る。好ましい実施形態において、塩基性化剤はトリエタノールアミンである。
本発明で使用される酸性化剤は、酢酸、乳酸、アスコルビン酸、クエン酸、リン酸、シュウ酸、塩化カルシウム、水酸化アンモニウムなどおよびこれらの組み合わせから選択され得る。
本発明は、1から35%(w/w)のフェキソフェナジン塩酸塩と、少なくとも60%(w/w)の、少なくとも1つの非イオン性親水性界面活性剤および少なくとも1つの非イオン性疎水性界面活性剤の液体混合物とを含む、医薬製剤を調製するための方法にも関する。この方法は、次の段階:均一な混合物を得るために、少なくとも1つの非イオン性親水性界面活性剤および少なくとも1つの非イオン性疎水性界面活性剤の液体混合物中で撹拌させながらフェキソフェナジン塩酸塩を溶解させ;次いで十分な量の酸性化または塩基性化剤でpHを5から6に調整することを含む。
本発明のある態様は、ゼラチンおよび/もしくは可塑化剤ならびに、望ましいかまたは必要な場合は、さらなる助剤物質を含むカプセル殻を含む、軟ゼラチンカプセルを提供する。
本発明によるフェキソフェナジン塩酸塩組成物に対する軟ゼラチンカプセルを開発することにおいて、本カプセルは、フェキソフェナジン塩酸塩組成物と、フェキソフェナジン組成物を封入するために使用されるゼラチン殻と、から構成される系であることが認識されるはずである。このようなものとして、充填されるフェキソフェナジン組成物が、所望の溶解度およびバイオアベイラビリティを生み出すために重要であるだけでなく、ゼラチン殻製剤も、フェキソフェナジン塩酸塩組成物と適合するものでなければならないため、重要である。当業者は、物理的および化学的なカプセルの不安定性の両方を生じさせ得る充填物−殻相互作用の可能性に気付いているであろう。従って、フェキソフェナジン組成物に対するカプセルを形成させるために利用されるゼラチン殻製剤も本発明に対して重要であり、重大なものである。
一般に、軟ゼラチンカプセルに対するゼラチン殻カプセル製剤は、未加工のゼラチンおよび、設計によりまたは好みによりカプセルを必要とされるような適切な硬度にするためにゼラチンを可塑性にするために添加される、1以上の成分からなる。典型的な可塑化剤としては、グリセリンおよびソルビトール(例:SPI PharmaからのSpecial(商標)MDF85)が挙げられる。また、ソルビタン無水物およびマンニトールも利用し得る。さらに、他の従来のものではない成分もゼラチンを可塑性にするために使用し得る。
本発明のフェキソフェナジン組成物との使用のための軟ゼラチンカプセルを構築する際の使用に好ましいゼラチン製剤は、ゼラチンおよび可塑化剤を含む。医薬製剤技術において周知であるこのような可塑化剤としては、例えば、プロピレングリコールおよびソルビトールが挙げられる。
本カプセル製剤はまた、カプセルを安定化するかまたはカプセルに対して色もしくは外観などの具体的な特徴を付与するために利用される他の適切な添加剤、例えば保存料または着色剤なども含み得る。医薬として許容される保存料としては、例えば、メチルおよびプロピルパラベンが挙げられ得る。FD&CまたはD&C色素を使用して、ゼラチン殻に対して色が付与され得る。代表的な色素としては、タートラジン・イエロー、アズラ・レッドなどが挙げられるがこれらに限定されない。乳白剤、例えば二酸化チタンまたは酸化鉄などは、カプセルを不透明な色にするかまたは不透明にするために使用され得る。
本発明は、セルロースベースのポリマー、フィルムコーティング剤または当業者にとって公知の他のコーティング剤などの非機能的または腸溶性コーティング剤の両方を含み得るコーティング剤の使用を企図する。
医薬組成物において従来から使用される他の添加剤が含まれ得、これらの添加剤は当技術分野で周知である。このような添加剤としては、抗酸化剤、保存料、キレート剤、錯化剤、粘性調節剤、等張剤、香味料、着色料 着臭剤、乳白剤、懸濁化剤、結合剤およびこれらの混合物が挙げられる。このような添加剤の量は、所望の特定の特性に従い当業者により容易に決定され得る。本発明はまた、当業者にとって公知の、結合剤、崩壊剤、希釈剤、潤滑剤、可塑化剤、浸透促進剤および可溶化剤などの他の医薬賦形剤の使用も企図する。
本発明による典型的な製剤のコア成分は、
1から35%(w/w)のフェキソフェナジン塩酸塩と;
少なくとも60%(w/w)の、油性ビヒクルとして機能する、少なくとも1つの親水性界面活性剤および少なくとも1つの疎水性界面活性剤の液体混合物
とを含み得る。
本発明による典型的な製剤のゼラチン殻成分は、
35から50%(w/w)、より好ましくは40から44%のゼラチンと;
グリセリンと組み合わせた、15から30%(w/w)、より好ましくは15から25%のソルビトールと;
0.1から10%(w/w)の着色剤と;
0.1から10%(w/w)の酒石酸と;
10から50%(w/w)の精製水
とを含み得る。
本発明の医薬組成物は、当業者にとって周知の従来の方法によって調製し得る。しかし、具体的な調製方法は、最終的な投与形態に依存する。本組成物は、予濃縮物を生成させるための単純な混合または成分の撹拌によって調製し得る。疎水性治療剤は、担体により可溶化される第一の量および、必要に応じて担体中での第二の量で存在し得る。様々な成分の添加の順序は一般的には重要ではなく、都合により変化させ得ることが強調されるべきである。この後、pHを安定性がより高くなる許容可能な範囲にし、透明な溶液が得られるまで混合物を振盪する。
軟ゼラチンカプセルは、従来の段階においてゼラチンを利用したロータリーダイ段階を使用して製造される。水および適切な可塑化剤と乾燥ゼラチン顆粒剤を合わせ、次いでこの組み合わせを混合し、真空下で加熱して、融解ゼラチン塊を生成させる。鋳造ホイールまたはドラムにおいてフィルムまたはリボンになるように整形するかまたは成型する間、このゼラチン塊をこの融解段階で保持する。このフィルムまたはリボンをウエッジ(wedge)下およびロータリーカプセル化ダイ(rotary encapsulation dies)の間に供給する。カプセル化ダイ(encapsulation dies)内で、ダイのポケット中でフィルムまたはリボンからカプセルを同時に形成させる。任意の従来法を用いてフェキソフェナジンを含有する組成物を軟ゼラチンカプセルに充填する。次に、カプセルを切断し、密封する。シールは、カプセルが充填され、切断されるときの圧力および加熱の組み合わせを介して形成される。
別の態様において、本発明は、フェキソフェナジン塩酸塩の従来の経口固形製剤、例えば、商標Allegra(登録商標)で入手可能なものなどにより得られるフェキソフェナジン塩酸塩錠剤と生物学的に同等の薬物動態学的パラメーターを得るために、a)経口投与のための本発明の液体組成物を含む安定なゼラチン組成物を提供し;b)摂取のためにホストにこの組成物を投与し、これによってこの組成物が身体の体液と接触し、医薬活性物質のバイオアベイラビリティを向上させる段階を含む、フェキソフェナジン塩酸塩のバイオアベイラビリティを向上させるための方法を提供することに関する。
好ましくは、ゼラチン殻に充填され、溶解に供される本発明の組成物のフェキソフェナジン塩酸塩放出速度は、75RPMおよび37℃で、500mLのパンクレアチン入りのFeSSIF溶解液(pH5.8)中で試験した場合、10分間で溶解フェキソフェナジン塩酸塩の少なくとも40%(w/w)および15分間で溶解フェキソフェナジン塩酸塩の50%超となる。
使用時、本発明の方法および組成物は、次のものを含む幾つかの重要な長所を企図する。
標的部位でのロバスト性および送達改善:本発明の組成物は、予想外にロバストであり、本発明の組成物は予想外に、沈殿を最小限に抑えることによって吸収部位への治療剤の送達改善をもたらす。この送達改善の結果、治療剤のバイオアベイラビリティがより良好になると考えられる。
多用途性:本発明の組成物は、可溶化、送達および上述のようなこの他の長所の向上を損なうことなく、治療剤の極性および官能性に対して慎重に調節および調整し得る。
調製の簡素化:本発明の方法は、疎水性治療剤が容易に可溶化され、これにより高価な製造および人的資源を節約する組成物を提供する。
本発明は、さらに次の実施例により定義される。当然のことながら、これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示す一方、単なる説明として与えられるものである。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の基本的な特徴を確かめ得、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な使用および条件に本発明を適応させるために、本発明の様々な変更および改変をなし得る。
[実施例1]:本発明による組成物
Figure 2014513708
賦形剤は全て分散させた。フェキソフェナジン塩酸塩は、モノラウリン酸プロピレングリコール(ラウログリコール)中でポリソルベート80とともに分散させた(撹拌継続下で)。混合物を45分間撹拌した。必要に応じて、得られた混合物のpHをトリエタノールアミンで5から6のpHに調整した。当業者にとってこれ自体公知の方法の1つに従い180mgの強度に対して900mgの充填重量で、製剤を軟ゼラチンカプセル中に封入した。
[実施例2]:本発明による組成物
Figure 2014513708
賦形剤は全て分散させた。フェキソフェナジン塩酸塩は、透明な溶液が生成するまで125℃から165℃まで加熱して、モノカプリル酸プロピレングリコール(カプリオール−90)とともに撹拌継続下で分散させた。得られた混合物を室温まで冷却した。当業者にとってこれ自体公知の方法の1つに従い、製剤を軟ゼラチンカプセル中に封入した。
[実施例3]:本発明による組成物の安定性試験
試験した経口投与用医薬組成物は次の処方に基づく(充填組成物A):
Figure 2014513708
製造段階:
1.フェキソフェナジン、ラウログリコール90、Tween80をステンレス鋼容器中で15分間混合し;
2.十分な量のトリエタノールアミンを用いてpHを5から6に調整し;
3.当業者にとってこれ自体公知の方法の1つを使用して、段階2で得られた混合物を軟ゲルカプセルに充填し;
4.最終医薬形態をAlu/AluブリスターまたはPVC/PVdCパックにパッキングする。
フェキソフェナジンHCL軟ゼラチンカプセル60mg(充填組成物Aに基づく類似処方(homothetic formula))の安定性データ:
Figure 2014513708
Figure 2014513708
Figure 2014513708
上記の表において、不純物レベルは、フェキソフェナジン塩酸塩の重量により表し、アッセイは、初期フェキソフェナジン塩酸塩含量の重量により表される薬物レベルに対応する。
40℃および湿度75%で3ヶ月間保存したとき、本発明による医薬組成物は、分解の兆候を何ら示さず(低不純物レベル、即ち1%以下)、(HPLC分析から明らかなように)初期フェキソフェナジン塩酸塩含量の少なくとも99%を含有する。
上記の観察から、40℃および75%RH条件で3ヶ月後の不純物総量から明らかにされるように、軟ゼラチン製剤は30mgの市販錠剤よりも安定である(Clear Triplex Aluブリスターパックにパッキングされた軟ゼラチンカプセルの場合は3M後、総不純物0.123%w/wとなり、これに対して、同じブリスターパックにパッキングされたフェキソフェナジンHCL錠剤の場合は総不純物0.2%w/wとなる。)。
[実施例4]:フェキソフェナジンAllegra(登録商標)錠と本発明によるかまたはよらない組成物との間のインビトロ溶解比較試験
溶解試験のために本発明による様々な試料を調製し、Allegra(登録商標)市販錠剤の薬物放出プロファイルと比較した。
Figure 2014513708
Figure 2014513708
Figure 2014513708
製造段階:
1.ステンレス鋼容器中で15分間、フェキソフェナジン、親水性界面活性剤およびこの他の成分を混合し;
2.十分な量のトリエタノールアミンを用いてpHを5から6の間に調整し;
3.当業者にとってこれ自体公知である方法の1つを用いて、様々なゼラチン組成物中の段階2で得られた混合物を軟ゲルカプセルに充填する。
方法:
a)器具類(または同等物)
精密および正確に設定温度を維持するための水浴、この水浴のプレート上に備え付けられた一群の溶解ボウル、ボウルの液体内容物を撹拌するための装置および液体媒質を容器に汲み出し、補給するための自動試料採取アクセサリを含む自動溶解系。
b)溶解試験装置:
(製造者:LabIndia instruments Ltd.、モデル:Disso2000)
カラムサーモスタットに連結された精密および正確に溶媒混合物を送達可能なポンプおよびUV−可視検出器を含むHPLC系。生成されたデータは、上述のハードウェアからのデータを処理可能なソフトウェアにより捕捉すべきである。
製造者:Agilent Technologies Ltd.、モデル:OpenLAB(商標)Disso 2000付きの1200シリーズ)
c)放出試験手順
機器:8−ベッセルアセンブリおよびパドル(8−vessel assembly and paddles)
液:下記のとおり
体積:500mL
撹拌速度:75RPM
温度:37℃
d)手順
37℃に維持された必要とされる体積の液を含有する各容器に、重量測定したカプセルを1個置き、この装置をすぐに60分間稼動させる。固定体積の試料を様々な時間間隔で、および溶解サイクルの終了時採取する。各試料を0.45μm膜フィルターに通してろ過する。37℃で保存された液の等アリコートを置き換える。
同等濃度の標準物質を調製することによって、HPLCを使用して試料を分析する。
e)HPLCにおける分析パラメーター
カラム:オクチル鎖が連結されているハイブリッドシリカ粒子を充填した内径4.6mmおよび長さ150mmのカラム。例えばWaters C−8 150mm X 4.6mm。
カラム温度:周囲温度
移動相:60:40V/V比のリン酸緩衝液(pH3.0):アセトニトリル
流速:1.5mL/分
検出器:220nm(UVの場合は、正確な波長)
注入体積:10μL
f)溶解液組成:(FeSSIF:摂食状態擬似腸液とも呼ばれる。)
Figure 2014513708
上記製剤の充填物B、CおよびDを空の硬ゼラチン殻に充填し、溶解試験に供した。
比較インビトロ溶解の結果:
Figure 2014513708
フェキソフェナジンHCL軟ゲルカプセルを処方するための最終的な目的は、フェキソフェナジンHCL軟ゲルカプセルをAllegra錠剤と生物学的に同等とすることであった。このために、前提条件として、第一に、特にpH5.8のFeSSIF液中で軟ゼラチンカプセルの溶解プロファイルがAllegra錠剤と合致することは非常に重要である。
非イオン性親水性界面活性剤と非イオン性疎水性界面活性剤との、または非イオン性疎水性界面活性剤なしの、様々な組み合わせを用いて処方し、生体関連液中での溶解試験に供した上記実験充填物から、疎水性界面活性剤を含有しない充填組成物Dの場合、10分後に溶解フェキソフェナジン塩酸塩の薬物放出が16%(w/w)であることに対して、充填組成物BまたはCの場合は10分後に溶解フェキソフェナジン塩酸塩のそれぞれ63%(w/w)または48%(w/w)が放出されることにより明らかであるように、充填物が、非イオン性疎水性界面活性剤と組み合わせて非イオン性親水性界面活性剤を含む場合、充填物からのフェキソフェナジン塩酸塩放出が増加することが明らかとなる。
従って、少なくとも60%(w/w)の、少なくとも1つの非イオン性親水性界面活性剤および少なくとも1つの非イオン性疎水性界面活性剤の液体混合物を含有する本発明による充填組成物(充填組成物BおよびC)によって、非イオン性疎水性界面活性剤を含有しない組成物(充填組成物D)と比較して、作用開始がより迅速となる。
前述の考察および説明は、本発明の幾つかの実施形態の例示であるが、本発明の実施に対する制限ではない。

Claims (15)

  1. a.1から35%(w/w)のフェキソフェナジン塩酸塩と、
    b.少なくとも60%(w/w)の、少なくとも1つの非イオン性親水性界面活性剤および少なくとも1つの非イオン性疎水性界面活性剤の液体混合物
    とを含む、経口投与のための医薬組成物。
  2. フェキソフェナジン塩酸塩が1.0から4.0m/gの範囲の比表面積を有する、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 界面活性剤の総量が、組成物の65から85重量%の範囲である、請求項1に記載の医薬組成物。
  4. 非イオン性疎水性界面活性剤が4から6のHLB値を有する、請求項1に記載の医薬組成物。
  5. 非イオン性疎水性界面活性剤が、ラウリン酸プロピレングリコール、モノカプリル酸プロピレングリコールおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
  6. 疎水性界面活性剤が、組成物の75から80重量%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の医薬組成物。
  7. 非イオン性親水性界面活性剤が、11から16の範囲のHLB値を有する、請求項1に記載の医薬組成物。
  8. 非イオン性親水性界面活性剤がポリソルベート80である、請求項1に記載の医薬組成物。
  9. 非イオン性親水性界面活性剤が、組成物の1から10重量%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の医薬組成物。
  10. フェキソフェナジン塩酸塩と界面活性剤の総液体混合物との重量比が1:4である、請求項1に記載の医薬組成物。
  11. 非イオン性疎水性界面活性剤がモノラウリン酸プロピレングリコールであり、非イオン性親水性界面活性剤がポリソルベート80である、請求項1に記載の医薬組成物。
  12. 最終pH値が4から9の間である、請求項1から11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  13. 軟カプセルの形態である、請求項1から12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  14. 請求項1から13のいずれか一項に記載の医薬調製物を調製するための方法であって、均一な混合物を得るために、少なくとも1つの非イオン性親水性界面活性剤および少なくとも1つの非イオン性疎水性界面活性剤の液体混合物中で撹拌しながらフェキソフェナジン塩酸塩を溶解させ、次いで十分な量の酸性化剤または塩基性化剤を用いてpHを5から6の間に調整する連続的段階を含む、方法。
  15. 患者におけるアレルギー反応の処置用の薬物の調製のための、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物の使用。
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