発明の背景
本発明は削岩用の回転装置に関するものであり、本回転装置は打撃装置を備えていない。回転装置は、これに連結される掘削装置が必要とする回転を発生させることを目的とし、掘削装置は最外端部に岩盤破砕用のドリルビットを備える。
また本発明は、掘削ユニットおよび削岩方法に関するものである。本発明の分野については、本願独立請求項の前段に詳細に記載されている。
岩盤の穿孔は、さまざまな掘削機によって行うことができる。打撃と回転を組み合わせた方法(打撃掘削方式)で掘削してもよく、または打撃機能を用いずに回転のみに基づく方法(回転掘削方式)で掘削してもよい。また、打撃掘削方式は、掘削時に打撃装置が掘削孔の外側にあるか、内側にあるかで分類することもできる。打撃装置が掘削孔の外側にある場合、掘削は通常、トップハンマ掘削と呼ばれ、打撃装置が掘削孔内にある場合は、一般にダウンザホール掘削(DTH)と呼ばれる。トップハンマ掘削機では、打撃装置と回転装置を結合させて1つの構成要素とするものであり、これに対し、回転式掘削機およびDTH掘削機には打撃装置をまったく有さない回転装置が設けられている。本願はとくに、上述のような打撃装置のない回転装置とその用途に関する。
回転装置は、その長手軸を中心として回転する主軸を備えている。この主軸に歯車装置を介して接続された回転モータによって回転力が発生する。掘削が進むにつれ、掘削装置につなぐ掘削管の本数を増やし、穿孔が終了すると掘削管を外して、ここで新たな穿孔を開始する。掘削管には連結ねじ部が設けられ、そのため送り動作を正確に同時制御しなくてもねじ部を締めたり緩めたりできる、いわゆるフローティングスピンドルが必要となる。フローティングスピンドルによれば、連結ねじ部のピッチから生じる必要な軸方向運動が可能になる。現在使用されているフローティングスピンドルは別体の装置であり、1本目の掘削管を連結する前に回転装置に連結しておく。しかし、こういった別体のフローティングスピンドルは、機器の耐久性の問題を生じることがわかった。
発明の簡単な説明
本発明は、新規に改良された回転装置、削岩機および削岩方法を供することを目的とする。
本発明に係る回転装置は、主軸が本体において軸方向に摺動可能に支持されていることを特徴とする。
本発明に係る削岩機は、回転装置の主軸が本体において軸方向に摺動可能に支持されていることを特徴とする。
本発明に係る方法は、掘削装置および掘削装置の各構成要素を着脱する際に、回転装置の主軸を回転装置の本体に対して軸方向に移動可能であることを特徴とする。
本発明の概念は、回転装置の主軸が本体に枢支されて、本体に対して軸方向へ所定の許容移動距離だけ摺動できることにある。
したがって、本発明は、主軸が軸方向に動くことで、掘削装置に別途フローティングスピンドル部を設けないでも、掘削装置の連結ねじ部を締めたり緩めたりできるという利点を有する。回転装置に滑り特性を持たせることで、その構造体をより堅固にでき、従来より高い耐久性を持たせることができる。
一実施例の発想によれば、主軸は、前部軸受を使用してその前端部の一部で、また後部軸受を使用して後端部の一部で、本体の半径方向に支持する。どちらの軸受も滑り軸受であり、例えば適切な滑り軸受メタルからなるものでよい。本構造により、軸受間の軸方向距離を相対的に長くとることができる。そのため、掘削中、掘削装置から主軸に伝達される横断方向の力を回転装置の堅固な本体で十分受け止めることができる。また、構造体の耐久性は、油で潤滑された空間内に前部および後部軸受を配置することで改善される。
一実施例における発想は、主軸が前部軸受および後部軸受によって本体に枢支され、両者間の軸方向距離が主軸の直径に比べて大きいことにある。これらの軸受は軸方向の支持距離を有し、主軸は軸受の位置で軸受径を有する。観察したところ、両軸受径のうち大きい方に対する支持距離の比が少なくとも3:1の場合、主軸の支持がとくに安定する。軸受径は、前部軸受および後部軸受とも同じでもよく、また異なっていてもよい。支持距離は、前部軸受および後部軸受の機能的中心点間の長さである。
一実施例の発想によれば、歯車装置と主軸の間にある伝動部材は、歯車装置に軸方向の力を伝達することなく主軸を軸方向に動かすことのできる摺動部材を備えている。主軸から歯車装置または回転モータへかかる軸荷重がなければ、回転装置の耐久性は良好になる。
一実施例における発想は、回転力を主軸へその後端部の一部から伝達することにある。主軸の後端部では伝動部材を配するための空間が広いため、回転力を主軸の前端部の一部から伝達させる方式に比べて伝動部材の寸法や配置の自由度が高い。
一実施例における発想は、回転モータおよび歯車装置が主軸の後端部の延長として位置することにある。したがって、回転モータ、歯車装置および主軸は、同一軸線上に相前後して配置されている。そのため、回転装置は横方向から見るとやや細い。回転装置の後端部側では長さが増すものの、これによって構造または動作が影響を受けることはない。また、回転モータおよび歯車装置は、回転装置の構造体の他の部分を取り外すことなく容易かつ迅速に取り外したり新しいものに交換したりできるモジュールでよい。回転装置の後端部には、これらのモジュールを処置するための空間が十分にある。また、必要に応じて、様々な機能や他の特性を備えたモジュールを回転装置の後端部に設けて、回転装置の諸特性を変えることも可能である。
一実施例における発想は、主軸の外周面に少なくとも1つの送りフランジを配設して軸方向の送り力を本体と主軸の間に伝達させることにある。送りフランジは軸方向の力の伝達を担う軸方向支持面を有する。また、本体は、送りフランジの位置に摺動空間を有する。摺動空間は、主軸の周囲に広がる長尺状の環状空間であり、両端が摺動空間の軸方向を画成している。前端部および後端部は支持面を備え、各支持面が軸方向の力の伝達を担ってもよい。
一実施例の発想によれば、送りフランジおよびその位置にある摺動空間は、主軸の前端部の一部に位置している。そうすれば、主軸および本体の間で回転装置の前端部および掘削装置に極力近いところに軸方向の力が伝達される。その結果、軸方向の力によって、主軸の後端部、または後部に位置する回転装置の各構成要素に応力が加わることはない。これらの特徴は、回転装置の耐久性にとっても好ましいものである。
一実施例における発想は、主軸を支持する前部軸受の前側の摺動空間に送りフランジが配置されていることである。そのため、掘削方向に送り動作がなされる際、前部軸受が軸方向の力を送りフランジと摺動空間の後端部の間に伝達する。前部軸受は、主軸のラジアル軸受およびアキシャル軸受として機能する。前部軸受は、掘削中に大きな軸方向力を受け止めることに優れた滑り軸受である。前部軸受は軸方向に摺動可能に摺動空間内に配設してもよく、その場合、前部軸受は主軸とともに移動する構成でよい。また摺動空間は油で潤滑してもよく、これにより前部軸受の耐久性がさらに向上する。
一実施例における発想は、回転装置の構造体が軸方向ダンパを含むことである。そこで軸方向ダンパは、回転装置の一部をなすように一体化されている。軸方向ダンパは、主軸に作用し掘削装置から主軸に伝達される振動、打撃、衝撃波および他の軸方向応力を減衰するために使用することができる。このような軸方向ダンパは、掘削装置から主軸を介して本体および各本体部品に向かう振動や応力波を大幅に低減させ、そのため軸方向ダンパの後方にある各構成要素に向かう応力は、ほとんどない。軸方向ダンパはさらに、ダンパの前側、すなわち掘削装置側に配された構成要素に向かう応力を、少なくともある程度低減することができる。
一実施例の発想によれば、軸方向ダンパは摺動空間の端部に配設された少なくとも1つの端部ダンパを含む。軸方向ダンパは、掘削方向に減衰を行う後端部ダンパ、および戻り方向に減衰を行う前端部ダンパからなってもよい。場合により、ダンパは後端部ダンパのみからなってもよい。端部ダンパの利点は、構造が簡易であること、また、安価なうえにメンテナンスをほとんど必要としないことである。
一実施例における発想は、端部ダンパを可圧縮弾性材からなる環状部品であることにある。端部ダンパは、例えば適切なポリウレタンなどの高分子材料でよい。このようなダンパは、意外なほど耐摩耗性が高い。
一実施例における発想は、軸方向ダンパが少なくとも1つの圧力媒体駆動ダンパ要素を備えることにある。このような軸方向ダンパは作動圧力空間を有していてもよく、これに液圧流体などの圧力媒体を送り込んで、作動圧力空間の作動圧力面に作用させてもよい。さらに、軸方向ダンパは1または複数のダンピングピストンを備えることも可能であり、ダンピングピストンは、直接に、または適切な中間部品によって、主軸の軸方向に作用するよう構成されている。圧力媒体の圧力は、ダンピングピストンに向い、主軸の滑り運動の限界位置にて所望の減衰をもたらすものでよい。
一実施例の発想によれば、回転装置の主軸の前端部には、軸方向における堅固な装着を行う連結部材がある。そのため、軸方向に向かう摺動連結を使用せずに掘削装置を主軸に取り付けられる。連結部材は連結ねじ部を備えていてもよく、これに掘削管、アダプタ部品または類似の要素を取り付けることができる。本実施例では、主軸と掘削装置の間の接続部に向かう負荷が低減される。
一実施例の発想によれば、主軸の後端部の外周面には、回転力を伝達する1組の軸方向溝がある。また、主軸の後端部の周りには回転スリーブがあり、その内周面には、対応する1組の軸方向溝がある。これにより、主軸の後端部の外面と回転スリーブの内面の間には、主軸の軸方向への移動を可能とする伝動接続がある。回転スリーブはアキシャル軸受を用いて本体に枢支され、これにより、軸方向の力が主軸から伝動部材を介して歯車装置に伝達されずにすむ。これらの特徴は、構造体の耐久性に関し好適である。
一実施例における発想は、歯車装置が遊星歯車であることである。遊星歯車は、物理的にやや小型で、また軸方向に短躯であるため、主軸の後端部に装着するのが容易である。
一実施例の発想によれば、主軸は、同一軸線上に配設されて相互に結合された第1の主軸部と第2の主軸部とを備えている。主軸部間の結合は、軸方向に対して強固である。第1の主軸部の後端部の外周面には1組の溝があり、これによって主軸へ回転力を伝達することができる。また、第2の主軸部の前端部には、掘削装置を装着するための連結ねじ部がある。主軸は、第1の主軸部の前部軸受および後部軸受のみによって本体に枢支されている。軸受は、可能な限り軸方向の相互間距離を大きくとって配設されているため、横断方向の負荷を効果的に受け止めることができる。また、送りフランジは、第2の主軸部の固定部品として設けてもよい。あるいは、送りフランジは、主軸部品間に配設された別個の部品、例えば環状フランジであってもよい。
一実施例の発想によれば、前部軸受と後部軸受の間の部分には、主軸を囲繞し圧搾空気または類似の圧力媒体の供給路に接続された圧力媒体空間がある。主軸は、圧力媒体を圧力空間から主軸の中央導路に誘導する1または複数の導路を有し、これに沿って圧力媒体は、さらに主軸に連結される掘削装置へ誘導される。主軸を取り巻く圧力空間は、軸方向封止部によって軸受空間から隔絶してもよい。これにより圧力媒体は、軸受空間内の潤滑油からの分離状態を維持する。
一実施例の発想によれば、削岩機は送り装置によって送りビーム上を移動する搬送台を備えている。回転装置の本体は、搬送台に不動に装着されている。これにより回転装置およびその本体は、常に搬送台とともに動き、回転装置には摺動可能に取り付けられる本体部品が存在しない。
一実施例における発想は、回転装置を回転掘削方式で用いることにあり、その場合、掘削は、打撃装置をまったく使用せずに、回転力と送り力の作用のみで行う。
一実施例における発想は、回転装置をDTH掘削方式で用いることにあり、その場合、回転装置および打撃装置は掘削装置の両端部にある。したがって、打撃装置は回転装置内にはなく、掘削装置と接続されている。ドリルビットは一般に、打撃装置に直接取り付ける。
一実施例における発想は、主軸の軸方向位置とそれに関する情報をモニタし、削岩機の掘削管の操作装置を制御する制御装置にこの情報を伝送できることにある。さらに、主軸の位置に関する情報は、ねじ部を締めたり緩めたりする制御に利用してもよい。主軸の位置は、1または複数のセンサまたは測定装置を使ってモニタしてもよい。
一実施例における発想は、主軸の軸方向位置をモニタして、掘削時に送り力の調整に位置情報を役立てることである。
一実施例の発想によれば、回転装置は、少なくとも1つの軸方向ダンパと、主軸の軸方向位置をモニタする手段とを備えている。主軸の位置情報は、軸方向ダンパの状態モニタに利用してもよい。制御装置は、状態モニタの制御ソフトウエアを含んでいてもよい。軸方向ダンパは、可圧縮材料で形成されたダンパ要素を1つ以上備えていてもよく、これは、例えば10%の設計上の機能的圧縮面積を有する。位置情報を使用して、例えばダンパ要素の弾力性や復元力が永遠に失われたり、または別な具合にダンパ要素が損傷したりする場合、この設計上の圧縮状態を上回ることがないかを観察できる。本実施例によって、軸方向ダンパの損傷を早めに確認できる。
一実施例における発想は、主軸が一体型軸部品であることである。送りフランジは、主軸に一体化された分離不可能な部品である。あるいは、送りフランジは、別個に形成された部品、例えば円環状フランジでよく、軸部品に不動に取り付けられる。
一実施例における発想は、回転モータが液圧式モータであることである。
一実施例における発想は、回転モータが電気モータであることである。
一実施例における発想は、回転装置が歯車装置を一切備えず、回転力が他の伝動部材によって主軸に伝達されることにある。回転モータの回転速度およびトルクは、汎用の的確な方法によって制御可能である。回転モータは、直接駆動モータと呼ばれるタイプのものである。この種のモータは、液圧駆動式モータおよび電動モータが利用できる。歯車装置を回転装置からなくせるため、保守が必要で損傷しやすい構成要素がほとんどない。また、回転装置を小型化できる。
一実施例における発想は、潤滑空間における潤滑油の流れを促進する部材を伝動部材に設けることにある。よって、例えば、回転運動によって潤滑油の流れを生じさせるスクリュー状部材を回転ハブまたは回転スリーブに設けてもよい。このようにして、伝動面、伝動要素および軸受の耐久性を向上できる。
本発明に係るいくつかの実施例について添付図面にて詳細に説明する。
掘削装置をその長手軸を中心に回転させる回転装置を備えた削岩リグを示す概略図である。
DTH掘削方式の原理およびその場合の回転装置の動作を示す概略図である。
本発明に係る回転装置の原理を非常に単純化して示す概略図である。
および
本発明に係る第2の回転装置の部分上断面図であり、異なる2つの軸方向限界位置に主軸がある場合を示す。
さらに別の回転装置を示す概略上面図であり、主軸は一体部品であり、直接駆動モータによって回転する。
各図において、本発明のいくつかの実施例を簡易的に示して明確化を図っている。図中、類似の参照番号は同様の要素を示す。
発明のいくつかの実施例の詳細な説明
図1は削岩リグ1を示し、これは掘削ブーム3を備えた可動搬送台2を含む。ブーム3は掘削ユニット4を備え、これは送りビーム5、送り装置6および回転装置7を含む。回転装置7は可動台部8に支持されるか、あるいは、回転装置を送りビーム5に移動可能に支持する摺動部品もしくは同様の支持部材を備えたものでもよい。回転装置7は掘削装置9を備えていてもよく、これは1本以上の相互接続された掘削管10を含んでもよい。図1の掘削ユニット4は回転掘削に用いられ、その場合、回転装置7を使用して掘削装置9をその長手軸を中心としてR方向に回転させると同時に、回転装置7およびこれに連結された掘削装置9には、送り装置6によって掘削方向Aに送り力Fが供給される。これによりドリルビットは、回転Rおよび送り力Fの作用によって岩盤を破砕して、掘削孔12を形成する。掘削孔12が所望深度まで掘削されると、掘削装置9は送り装置6によって掘削孔12から戻り方向Bに引き抜かれ、掘削装置は、回転装置7によって掘削管10の間の連結ねじ部を緩めることで分解される。回転装置7の主軸には、掘削装置の連結ねじ部を締めたり緩めたりする摺動機能が設けられている。
図2は第2の掘削ユニット4を示し、これは、掘削装置9が打撃装置13を備えている点で図1のものと異なる。そこで打撃装置13は、例えば、掘削装置9の回転装置7とは反対側の端部に設けられている。掘削中、打撃装置13は掘削孔内にあり、ドリルビット11は打撃装置13に直接連結してもよい。回転装置7はモジュール構成でもよく、その場合、主軸を有する基本モジュール14およびその摺動支持体と、歯車装置モジュール15および回転モータモジュール16とを有していてもよい。各モジュールは、同一軸線上に次々と配設してもよい。
図3は、可能性のある一実施例の回転装置7をごく簡略的に示している。回転装置7は主軸17を含み、その前端部は、掘削装置9を取り付けるためのねじ部18を含んでいる。主軸17の反対側端部の一部には1組の軸方向溝19を設けてもよく、そこに回転スリーブ20を介して回転力が伝達される。回転スリーブ20は対応する1組の軸方向溝を有し、それにより主軸17は、回転スリーブ20に対して軸方向に摺動できる。回転スリーブ20は軸方向に不動に枢支してよい。回転力は、回転モータ16に接続された1つ以上の歯車装置15から回転スリーブ20に伝達できる。図に示すように、回転力を複数の歯車装置15から主軸に伝達できる。したがって歯車装置15は、主軸17の両側にそれぞれ配設して、横断方向の負荷をなくすようにしてもよい。
図3に示すように、主軸17は、後部軸受21および前部軸受22によって枢支することができる。軸受21、22は滑り軸受であり、これによって主軸17の軸方向運動Sが可能である。軸受21、22は大きな軸方向支持距離Lを隔てて配設されているため、主軸に直接かかる横断方向の負荷を軸受21、22で受けとめることができる。軸受21、22は互いに離れて位置しているため、確実に主軸を支持できる。主軸は支持点での直径D1およびD2を有し、両者は、実施例に応じて、同じか、多少異なっていてもよい。直径D1、D2のうちのどちらか大きい方に対する各支持点間の支持距離Lの比は、少なくとも3:1である。支持点とは、支点の機能的中心点のことである。
図3は、送り力Fを回転装置7の本体23から主軸17へ伝達する支持面も示している。主軸17は、送り力を掘削方向Aに伝える支持面24aおよび送り力を戻り方向Bに伝える支持面24bを有する1または複数の肩部、フランジまたは同様の形状面を含んでいてもよい。本体23は対応する支持面25aおよび25bを有する。主軸17の周囲には、上述の支持面の箇所に摺動空間26を設けてもよい。摺動空間26の軸端面を支持面25aおよび25bとして機能させてもよい。
圧搾空気などの圧力媒体を圧力導路27に沿って主軸17に供給し、さらに掘削装置に供給する。
図4は第2の回転装置17を示し、これはいくつかの点が図3に示す装置に対応している。図4に示す方式では、主軸17は、その後端部側に第1の主軸部17aを、また前端部側に第2の主軸部17bを備え、これらは、剛性の軸方向連結部28、例えば連結ねじ部によって互いに連結されている。第2の主軸部17bは送りフランジ29を備え、その軸方向面が支持面24a、24bを形成している。送りフランジ29の周囲には摺動面26が設けられ、これは、本体23において支持面25a、25bとしても機能する端部25a、25bによって軸方向が画成された環状空間である。前部軸受22は滑り軸受であり、送りフランジ29の背面側の摺動空間26内に配設されている。前部軸受22は、摺動空間26内で主軸17に沿って摺動するものでよい。掘削方向Aに送り動作が生じる場合、送り力は本体23から端部25aおよび前部軸受22を介して送りフランジ29に伝達され、さらに主軸17に伝達される。送り動作が戻り方向Bに生じる場合、送り力は本体23から端部25bおよび送りフランジ29を介して主軸17に伝達される。摺動空間26は、その一方端または両端のどちらかに端部ダンパ30、31を備えていてもよい。端部ダンパ30、31は、弾性を有する可圧縮材からなる環状部品でよい。端部ダンパは、掘削装置9から主軸17、さらには構造体の他の部分へと伝達される衝撃および応力を減衰できる。場合により、端部ダンパ30および31を設けなかったり、あるいは後端部ダンパ30のみを設けたりする。摺動空間26には導路32から潤滑油を供給して、前部軸受22、端部ダンパおよび各支持面を油によって潤滑する。
主軸17の周囲には圧力媒体空間33が設けられ、その内部に圧搾空気などを導路27を通して供給できる。主軸17は、圧力媒体をその前方端へ、またその先の掘削装置9へ送る導路を備えている。圧力媒体空間33は、軸方向封止部35および36によって摺動空間26および端部軸受21の潤滑空間37から隔絶してもよい。空間37には導路38から潤滑油を供給して、端部軸受21も油によって潤滑する。
第1の主軸部17aの後部端の外周面には1組の溝19が設けられ、そこには対応する1組の溝を有する回転スリーブ20が連結されている。この1組の溝により主軸17は軸方向に動くことができる。回転スリーブ20は、軸受39および40によって軸方向の動きが固定されて本体23に支持されている。回転力は、歯車装置15のシャフト42などに接続された回転ハブ41により回転スリーブ20に伝達される。勿論、回転スリーブ20および回転ハブ41の構造を組み合わせて1つの要素とすることも可能であろう。歯車装置15および回転モータ16はモジュール構造であってもよく、両者を主軸17の軸方向の延長線上に配設してもよい。
図5は、主軸17が軸方向における最前端位置まで移動した状態を示す。このような滑り運動は、例えば両連結ねじ部を連結しているときに起きる。
図6に示す実施例は図4および図5に示す形態とは異なり、主軸17が2部品で形成されているのではなく、1つのシャフト状一体部品で形成されている。送りフランジ29は、主軸17の一体部分でよく、あるいは、別途作製されて主軸のシャフト部分に取り付けられる部品でもよい。図6では、送りフランジと軸部の間の結合部を破線で示し、これは例えば溶接継ぎ手でよい。また、図6の回転装置7は、歯車装置を有さない代わりに、回転モータ16がシャフト42または他の伝動部品によって回転ハブ41に接続されている点が異なっている。回転モータは、別個の歯車装置を必要としない大きさの直接駆動モータでよい。
図6に見られるように、主軸17の軸方向位置を1または複数のセンサ50を用いてモニタしてもよい。センサ50は回転装置7の構造体の適切な位置に配設するとよい。センサ50の代わりに、適切な測定装置を用いてもよい。無線または有線のデータ伝送通信接続51を使用して識別情報を制御ユニット52に伝送し、そこで削岩機に含まれる各アクチュエータを制御する際にこの識別情報を考慮してもよい。また、位置情報を用いて、掘削時の送り力を制御し、軸方向ダンパの状態をモニタしてもよい。
図6は流れ部材49も示し、その目的は、潤滑空間内に潤滑油流を発生させて、潤滑空間内の構成要素の潤滑を改善することである。例えば、回転ハブ41の外周面に設けられたねじ部、螺旋または突起で流れ部材49の役割を果たしてもよい。
図6はさらに別の実施例も示し、これは、破線で大幅に簡略的に示すラジアル軸受53を用いて主軸17を本体23またはそのかなり前方部にある本体部に支持するものである。そのため、軸受21および53間の支持距離Lを大きくとれる。さらに、本実施例では、軸受22はアキシャル軸受でよく、これは主軸17の径方向支持にまったく関与しなくてよいものである。軸受22と主軸17の間、および軸受22と摺動空間26の間に間隙を持たせて、軸受22が軸方向へ容易に動けるようにしてもよい。この特性は、軸方向応力波の減衰に望ましいであろう。本実施例は、一体型軸方向ダンパを備えた回転装置7にもより広く活用できよう。よって本方式は、図6の実施例そのものに限定されるものでない。
上述の実施例における回転モータは、油圧式モータまたは電気モータでよいことに留意されたい。また、図3ないし図5に示す回転装置7でも直接駆動モータを使用してよく、その場合、これらの図に示す方式とは異なって歯車装置を具備しない。
本願に開示する各特徴事項は、必要に応じて、他の特徴事項に関係なくそれ自体として用いてもよい。またその反対に、本願に開示の各特徴事項を必要に応じて組み合わせてさまざまな組合せを提供してもよい。
図面およびその関連説明は、本発明の思想の例示を企図するにすぎない。本発明の詳細は、特許請求の範囲内において変更可能である。
図4は第2の回転装置7を示し、これはいくつかの点が図3に示す装置に対応している。図4に示す方式では、主軸17は、その後端部側に第1の主軸部17aを、また前端部側に第2の主軸部17bを備え、これらは、剛性の軸方向連結部28、例えば連結ねじ部によって互いに連結されている。第2の主軸部17bは送りフランジ29を備え、その軸方向面が支持面24a、24bを形成している。送りフランジ29の周囲には摺動面26が設けられ、これは、本体23において支持面25a、25bとしても機能する端部25a、25bによって軸方向が画成された環状空間である。前部軸受22は滑り軸受であり、送りフランジ29の背面側の摺動空間26内に配設されている。前部軸受22は、摺動空間26内で主軸17に沿って摺動するものでよい。掘削方向Aに送り動作が生じる場合、送り力は本体23から端部25aおよび前部軸受22を介して送りフランジ29に伝達され、さらに主軸17に伝達される。送り動作が戻り方向Bに生じる場合、送り力は本体23から端部25bおよび送りフランジ29を介して主軸17に伝達される。摺動空間26は、その一方端または両端のどちらかに端部ダンパ30、31を備えていてもよい。端部ダンパ30、31は、弾性を有する可圧縮材からなる環状部品でよい。端部ダンパは、掘削装置9から主軸17、さらには構造体の他の部分へと伝達される衝撃および応力を減衰できる。場合により、端部ダンパ30および31を設けなかったり、あるいは後端部ダンパ30のみを設けたりする。摺動空間26には導路32から潤滑油を供給して、前部軸受22、端部ダンパおよび各支持面を油によって潤滑する。