JP2014510599A - 高吸収性の粘着性薄型被覆材及び慢性創傷の治療のためのその使用 - Google Patents

Abstract

【課題】高吸収性の粘着性薄型被覆材及び慢性創傷の治療のためのその使用。
【解決手段】本発明は、粘着性シリコーンでコーティングされた側帯部を備える吸収性被覆材に関し、該被覆材は、特に、潰瘍や痂皮等の慢性創傷、又は、熱傷等の急性創傷の治療における使用に適している。上記吸収性被覆材は、通気性及び不浸透性を有する基材（４）と、吸収性不織布（６）とを備える。上記基材は、連続フィルム（４ａ）と透孔を有する補強材とを組み合わせて形成され、上記補強材はその孔を塞ぐことなく粘着性シリコーンゲル（４ｂ）でコーティングされている。非吸収性ウェブ（５）が、上記吸収性不織布（６）には全く固定されずに、上記吸収性不織布（６）を包みこむように補助不織布（７）に固定される。次いで、包み込まれた吸収性不織布は、上記基材（４）のシリコーンでコーティングされた表面部分で上記基材（４）に組み合わせられる。
【選択図】図１

Description

本発明は、通気性及び不浸透性を有する保護基材と、吸収性不織布とを備えた粘着性被覆材に関する。また、本発明は、病変周囲の皮膚が特に弱くなっている慢性創傷又は急性創傷の治療における上記被覆材の使用に関する。

粘着性の吸収性被覆材は、「側帯部（ｓｉｄｅ ｓｔｒｉｐ）」の形態であってもよい粘着性縁部を少なくとも１つ有し、これにより、被覆材を創傷周辺の皮膚に固定することができる。このような被覆材は、とりわけ、痛みの激しい慢性創傷の治療に使用する場合には、被覆材が生じさせ得る皮膚表面における引っ張りを抑えられるよう貼り心地が良く、薄いことが有利である。また、吸収性が非常に高いものでなければならない。上記のような創傷の場合、弱くて敏感な病変周囲の皮膚により優しいシリコーン系粘着剤で側帯部を覆った被覆材を用いることが好ましい。

吸収性発泡体（フォーム）と、通気性及び不浸透性を有する保護基材とからなる集合体を含む吸収性被覆材が存在する。上記保護基材は、液体や外部からの病原菌は透過させないが水蒸気は透過させるため、創傷が液体や細菌と接触するのを防止すると共に、創傷の浸軟も防止することができる。上記吸収性発泡体の厚さは、所望の滲出液吸収力及び保持力に応じて選択される。従って、高吸収性被覆材を得るためには非常に厚みのある発泡体を選択する必要がある。

よって、Ｍｅｐｉｌｅｘ（登録商標）Ｂｏｒｄｅｒという製品においては、吸収性不織布を発泡体に組み合わせることにより、吸収力を低下させることなく被覆材全体の厚みを低減することが提案されている。だが、２種類の吸収材料を含む上記構造体は製造がより複雑であり、また、シリコーン系粘着剤が被覆材の表面全体を覆っている。

しかし、上記被覆材の構造では、シリコーンゲルは創傷と直接接触する。シリコーン系粘着剤が被覆材の表面全体を覆うことから、吸収性発泡体の表面を覆うことが可能な界面層を特別に適用することはできない。最後に、このような被覆材においては、粘着剤でコーティングされた基材は側帯部としては機能していない。

この不連続な構造のシリコーンゲルによって、シリコーンゲルを架橋させてしまえば被覆材の吸収層に固定する必要がなくなる。実際には、架橋させてしまったシリコーンゲルは、粘着性側帯部を含む被覆材の製造において通常使用される吸収性発泡体に長期的に固定することはできない。

したがって、側帯部の表面のみがシリコーン系粘着剤で覆われた高吸収性被覆材であって、発泡体が不要となるように吸収性圧定布からなる構造を有することでより一層薄くした被覆材を作製することが求められている。

吸収性圧定布は、滲出液の吸収によって破けたり体積が大幅に増加したりするため、吸収性圧定布を包み込まなければならないという欠点を有する場合がある。圧定布は通常は不織布であるが、これを包み込むためには、滲出液が圧定布に到達すること、使用する通気性及び不浸透性を有する基材にケーシングが長期的に固定されることなどといった基準を満たす必要がある。したがって、ケーシングは創傷滲出液の吸収中に不織布が膨張したとしても耐えられるサイズでなければならず、また、滲出液を含んだ圧定布と接触して湿った状態になっても基材から離脱しないものでなければならない。液体が漏出するリスクや被覆材を構成する各層が剥離するリスクも回避しなければならない。

例えば特許文献１における被覆材は、ポリエチレン繊維と超吸収性粒子とを含む超吸収性のエアレイドセルロースパルプを含む。この圧定布は、不織布に包み込まれてから、アクリル系接着剤によって基材の中央に接着される。上記基材は２種の材料からなるものであって、ポリエチレンプラスチックフィルムがアクリル系接着剤によってポリエステル又はポリプロピレン不織布に接着されている。しかしながらこの被覆材は、慢性又は急性創傷の治療に用いるのにより適したものではない。これは主に以下の２つの理由による。つまり、ポリエチレン基材は非通気性であり、さらに、縁部に塗布されたアクリル系接着剤は、特に弱くなった病変周囲の皮膚を傷つける可能性がある。

特許文献２における吸収性圧定布は、ポリエステル繊維不織布に包み込まれている。ポリエステル不織布の縁部をシールして、圧定布をケーシングに固定せずに閉区画に閉じ込めたままにする。被覆材の基材層は、柔軟性のあるポリウレタンフィルムである。該フィルムは、水蒸気は透過させるが液体は透過させないものであり、その表面全体には、ポリエステル製ケーシングに接着するようにアクリル系粘着剤がコーティングされている。上記被覆材は、アクリル系粘着性の側帯部を有する。しかし、上で説明したように、慢性創傷の治療ではアクリル系粘着剤と皮膚の接触を避けることが好ましい。

高吸収性の粘着性被覆材の作製においては、複雑な仕様を満たし、相反する性質を調整することが求められる。被覆材が満たすべき主要な基準としては、本質的に、通気性が良好であると同時に漏出や浸軟のリスクを回避できること、液体や細菌を透過させないこと、通気性（すなわち水蒸気に対する透過性）を有すること、滲出液を含んでしまっても剥がす際に粘着力が持続すること、皮膚に貼付した被覆材による不快感が抑えられるよう薄型であること、並びに、製造が容易であることが挙げられる。

また、被覆材は貼り付けが簡単であり、病変周囲の皮膚に悪影響をもたらすことなくできるだけ長期間所定位置に保つことができ、吸収力が高く、剥がす際に創傷の治癒を妨げないものでなければならない。また、患者の身体形状にフィットし、補助的に使用される支持システムに適合するものでなければならない。また、できるだけ柔軟性が高く、創傷滲出液を吸収しても硬くならないものでなければならない。

上記性質をすべて同時に満たそうとすると、被覆材を構成する材料の選択、各材料の相対配置、及び、それらを組み合わせる方法が非常に複雑となる。

欧州特許第３５８４１２号明細書 米国特許第６０９６９４２号明細書

本発明の目的は、吸収性不織布と、不浸透性であるが水蒸気透過性は高い基材とを備えた新規な粘着性の吸収性被覆材であって、従来の同タイプの被覆材より製造が容易で、非常に薄く、乾燥状態のみならず湿潤状態においても粘着力が持続し、その粘着性側帯部が粘着性シリコーンゲルでコーティングされている被覆材を提供することである。

本発明は、特に、透孔を有する補強材であって、その孔を塞ぐことなく粘着性シリコーンゲルでコーティングされている補強材を含む基材に吸収性不織布を、上記基材の通気性を低下させることなく、上記吸収性不織布の吸収力を低下させることなく、上記被覆材の粘着力を低下させることなく固定するための新規な手段を提供する。

したがって本発明の主題は、吸収性不織布と、液体は透過させないが水蒸気は透過性させる保護基材とを備えた粘着性の吸収性被覆材であって、
・上記基材は、連続フィルムと透孔を有する補強材とを組み合わせて形成され、上記補強材の少なくとも１つの面は上記補強材の孔を塞ぐことなく粘着性シリコーンゲルでコーティングされており、上記補強材は上記連続フィルムの表面全体を覆っており、
・上記被覆材は、非吸収性ウェブと補助不織布を更に備え、上記非吸収性ウェブと上記補助不織布は、好ましくは上記吸収性不織布には全く固定されずに、上記吸収性不織布を包み込みながらそれぞれの周縁部に沿って互いに固定されており、
・上記非吸収性ウェブは、上記補強材にコーティングされた上記粘着性シリコーンゲルに接着している、被覆材である。

表面全体がシリコーンゲルで特に不連続にコーティングされた基材が、包み込まれた吸収性不織布に直接固定されないことから、上記非吸収性ウェブは本発明の必須構成要素である。また、包み込まれた吸収性不織布は、シリコーンゲルでコーティングされている場合、アクリル酸系接着／粘着剤によって基材に組み合わせることはできない。

本発明の１つの実施形態である被覆材の断面図を示す。

例えば、添付の図面において上記被覆材の断面図を示す。

図面は、本発明の１つの実施形態を示す。この実施形態では、吸収性不織布６はセルロース系繊維と超吸収性ポリマー粒子とを含む。

吸収性不織布６の創傷に面する側は、以下に示す部材によって順に覆われている。
・補助不織布７：滲出液と接触しても崩壊せず、吸収性不織布６に含まれる繊維と超吸収性ポリマー粒子による創傷の汚染を防ぐ。
・不連続な界面層１：親水コロイド粒子を含有するエラストマー系組成物からなる。
・剥離式の保護材３：界面層１を保護する。

補助不織布は、創傷に最も近い側に配置される。基材層４は、液体は透過させないが水蒸気は透過させるフィルム４ａと、透孔を有する補強材とを組み合わせて形成され、上記補強材は、その孔を塞ぐことなく粘着性シリコーンゲル４ｂでコーティングされている。基材層４は、非吸収性ウェブ５を挿入することにより吸収性不織布６に固定される。

本実施形態によれば、非吸収性ウェブ５と補助不織布７とは同じサイズであり、吸収性不織布６を包み込むようにそれぞれの縁部に沿ってシールされる。吸収性不織布６のサイズは、補助不織布及び非吸収性ウェブよりも小さい。

基材は、液体や外部からの病原菌は透過させないが、水蒸気に対して透過性を示すことで、創傷が外部からの液体や細菌と接触するのを防止すると共に、創傷の浸軟を防止することもできるものが好ましい。このような基材を「通気性及び不浸透性を有する基材」と呼ぶ。

基材は、身体の形状により良好にフィットし、剥がれる恐れがなく動きに追従できるよう、薄くて柔軟性があるものが好ましい。形状適合性を有する基材が有利である。基材の厚さは１００μｍ〜６００μｍであってもよく、好ましくは２５０μｍ〜５００μｍである。

本発明に係る被覆材の一部である基材は、連続フィルム４ａと透孔を有する補強材とからなり、上記補強材は、その孔を塞ぐことなく粘着性シリコーンゲル４ｂでコーティングされている。上記フィルムは、穿孔工程を施していないという意味で連続である。

上記フィルムの代わりに、発泡体／フィルム複合体、又は、テキスタイル／フィルム複合体を用いてもよい。使用可能なフィルムとしては、例えばポリエーテルウレタンフィルム、ポリエーテルアミドフィルム又はポリエーテルエステルフィルムが挙げられる。

フィルムの厚さは、例えば５〜２００ミクロン、好ましくは、１０〜７５ミクロン、より好ましくは１０〜５０ミクロンである。

連続フィルムは、液体は透過させないが水蒸気は透過させる。連続フィルムは、通気性及び不浸透性を有するフィルム又は上述した複合体であってもよく、例えば、吸収性被覆材の製造において通常使用されるものが挙げられる。フィルムは、水蒸気透過率（ＭＶＴＲ）が３０００ｇ／ｍ^２／２４ｈより高く、好ましくは７０００ｇ／ｍ^２／２４ｈ以上、より好ましくは１００００ｇ／ｍ^２／２４ｈ以上であることが有利である。透孔を有する補強材は、その孔を塞ぐことなくシリコーン化合物でコーティングされている。したがって、このようにコーティングされた補強材は、基材の水蒸気透過率が充分な値に保たれるもの、特に水蒸気透過率が４０００ｇ／ｍ^２／２４ｈ以上、好ましくは５０００ｇ／ｍ^２／２４ｈ以上に保たれるものを選択することが有利である。液体との接触における水蒸気透過率の測定法は、ＮＦ−ＥＮ１３７２６−２の規格（第３．３章）に記載されている。

補強材によって基材の剛性を高めて、補助不織布、界面層及び／又は粘着性縁部を保護するために必要に応じて使用される剥離式の保護材を取り除いた後に基材が巻き上がらないようにすることができる。

補強材は、透孔を有する材料からなっていればその種類は特に限定されず、例えば有孔フィルム、熱可塑性ネット、テキスタイル（織布、編物、不織布等）が挙げられ、該材料は被覆材を皮膚上により良好に保持するために伸縮性を有することが好ましい。有孔フィルムは例えばポリエチレン又はポリプロピレン製であり、織布は例えばポリエチレンテレフタレート又はポリアミド製である。補強材の坪量は１０ｇ／ｍ^２〜５００ｇ／ｍ^２、例えば２０ｇ／ｍ^２〜３００ｇ／ｍ^２であるのが好ましい。補強材の１つの面、両面、さらには表面全体がシリコーンゲルでコーティングされていてもよい。補強材の孔径は０．１ｍｍ〜５ｍｍ、例えば０．５ｍｍ〜３ｍｍであってもよい。補強材の開口面積は、連続フィルムの表面積の１％〜９９％、好ましくは２５％〜９０％、より好ましくは３０％〜８０％となることが好ましい。シリコーンゲルで覆われてしまった補強材の開口面積は、連続フィルムの表面積の１０％〜９９％、好ましくは１０％〜６０％、より好ましくは２５％〜７５％となることが好ましい。

ある実施形態では、編物、好ましくは編物の孔を塞ぐことなく表面全体がシリコーンゲルでコーティングされた編物が使用される。該編物は連続フィルム４ａに接着剤で接着させることが好ましい。

他の実施形態によれば、補強材は有孔フィルムであり、該フィルムの片面のみが該フィルムの孔を塞ぐことなくシリコーンゲルでコーティングされる。例としては有孔ポリウレタンフィルムが挙げられる。該フィルムは、熱、超音波、高周波又は接着剤により連続フィルムに固定してもよい。

粘着性シリコーンゲルは、架橋構造を有するシリコーン化合物である。シリコーンゲルは、被覆材を剥がしたときに皮膚に残留物が残らず、補強材に接着し続けるような粘着／接着性を有する。シリコーンゲルはシリコーン前駆体から製造することができ、シリコーン前駆体は互いに接触させると架橋され、ヒドロシリル化反応又は縮合反応が起こる。このような系は従来技術において既知であり、例えば欧州特許出願公開第０２５１８１０号明細書、欧州特許出願公開第０３００６２０号明細書又は米国特許第４９２１７０４号明細書に記載されている。上記特許文献に記載の前駆体の混合物は本質的に以下の成分を含む。
・各末端がビニル基で置換された少なくとも１種のポリジメチルシロキサンと白金触媒とを含む成分Ａと、
・少なくとも２つのヒドロシラン基を含むポリジメチルシロキサンの成分Ｂ。

これら２つの成分を合わせると、官能基を有する２種のポリジメチルシロキサンの架橋反応が起こる。この架橋反応は周囲温度で行うのが有利であり、加熱により反応を促進してもよい。

顔料、阻害剤又は増量剤等の添加剤を上記２成分のうち少なくとも一方に配合してもよい。

粘着性シリコーンゲルの前駆体は下記製品から選択してもよい。Ｓｉｌｂｉｏｎｅ ＲＴ Ｇｅｌ（登録商標）４７１２Ａ＆Ｂ及びＳｉｌｂｉｏｎｅ ＲＴ Ｇｅｌ（登録商標）４７１７Ａ＆Ｂ（Ｂｌｕｅｓｔａｒ Ｓｉｌｉｃｏｎｅｓ社）、Ｗａｃｋｅｒ Ｓｉｌｇｅｌ（登録商標）６１２（Ｗａｃｋｅｒ−Ｃｈｅｍｉｅ ＧｍｂＨ）、Ｎｕｓｉｌ（登録商標）ＭＥＤ−６３４０、Ｎｕｓｉｌ（登録商標）ＭＥＤ−６３４５、Ｎｕｓｉｌ（登録商標）ＭＥＤ３−６３００又はＮｕｓｉｌ（登録商標）ＭＥＤ１２−６３００（Ｎｕｓｉｌ Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｙ社）及びＤ−７−９８００（登録商標）（Ｄｏｗ Ｃｏｒｎｉｎｇ社）。

シリコーンゲルの選択においては、皮膚に対する基材の粘着力が、ＥＮ１９３９の方法に準じて４０ｃＮ／ｃｍより高く、好ましくは４５ｃＮ／ｃｍとなるよう選択することが好ましい。横２０ｍｍ×縦１５０ｍｍの基材サンプルを前腕に置き、１０分後、動力計を用いて引張速度９００ｍｍ／ｍｉｎ、角度９０度で粘着力を測定する。

シリコーンゲルは、透孔を有する補強材の孔を塞ぐことなく、坪量が１００ｇ／ｍ^２〜５００ｇ／ｍ^２、好ましくは１５０ｇ／ｍ^２〜２５０ｇ／ｍ^２となるように該補強材に塗布されることが好ましく、これにより、充分な水蒸気透過率と、フィルム又は皮膚に対する充分な接着／粘着性とを両立することができる。

一例として、水蒸気透過率約７０００ｇ／ｍ^２／２４ｈ、厚さ３０μｍのポリウレタンフィルムと、両面の表面全体に２００ｇ／ｍ^２の量でシリコーンゲルがコーティングされた４０ｇ／ｍ^２のポリエステル編物との組み合わせからなる基材を用いてもよい。この基材は厚さが約４００μｍで、ＭＶＴＲが約５０００ｇ／ｍ^２／２４ｈである。

本発明に係る被覆材は、吸収性不織布と基材を組み合わせるために吸収性不織布と基材の間に挿入されたウェブを備えている。粘着性シリコーンゲルでコーティングされた基材の表面は、特に湿潤環境においては、吸収性不織布に充分に接着しないため、このような固定手段が必要である。

吸収性不織布と基材の間に挿入されるウェブは、低坪量の非吸収性不織布である。不織布の種類は、衛生分野や被覆材分野で通常使用される不織布であれば特に限定されず、特にスパンレイド不織布、カード式不織布又はスパンレース不織布が挙げられる。不織布の坪量は好ましくは１５ｇ／ｍ^２〜５０ｇ／ｍ^２であり、より好ましくは２０ｇ／ｍ^２〜４０ｇ／ｍ^２である。

ウェブは、レーヨン、ビスコース又はセルロース誘導体等の吸収性繊維を含んでおらず、かつ、吸収性粒子も含んでいないという意味で非吸収性である。

ウェブは、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン及び／又はポリオレフィン繊維からなっていてもよい。ある実施形態によれば、ウェブはポリエチレン繊維を含む。繊維は、単一成分からなる繊維、又は、コアシェル型若しくはサイドバイサイド型の２成分からなる繊維であってもよい。例えば、スパンレイド不織布、好ましくはスパンボンド式のスパンレイド不織布が選択される。

非吸収性ウェブは、疎水性繊維からなるものが好ましいが、疎水化処理が施された親水性繊維からなるものであってもよい。ウェブは、充分な多孔性を有する限り、複数層からなっていてもよく、その粘着性シリコーンゲルと接触する層は非吸収性であり、好ましくは疎水性である。

ウェブは、熱、超音波、高周波又は接着剤等の従来の固定方法によりその表面全体にわたって、あるいは、好ましくはその周縁部に沿ってのみ吸収性不織布に固定される。ウェブは、熱で補助不織布に固定できるようにヒートシール可能であることが好ましい。

本発明においては、例えば、坪量３０ｇ／ｍ^２〜４０ｇ／ｍ^２のポリエチレン繊維からなるスパンボンドウェブが用いられる。例としては、Ｆｒｅｕｄｅｎｂｅｒｇ社からＶｉｌｍｅｄ（登録商標）ＬＳＯ１０４０Ｗｅｉｓｓという商品名で販売されている製品が挙げられる。

吸収性不織布は、超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性繊維の不織布、及び、超吸収性繊維を含む不織布から選択してもよい。

吸収性不織布は、セルロース、レーヨン又はビスコース繊維等の吸収性繊維を含んでいてもよい。不織布は、「エアレイド法」として知られる乾式製法により得られることが好ましい。

吸収性不織布の製造においては、不織布技術において通常使用される接着方法であればどの方法を適用してもよい。ラテックスのスプレーコーティングによる接着法、熱接着性繊維又は粉末を配合してから熱処理する接着法、これら２つの方法を組み合わせた接着法、及び、繊維の単純圧縮による接着法が挙げられる。最後の接着法は、熱接着性材料やラテックスの配合を要しないため好ましい。

本発明のある実施形態によれば、吸収性不織布は超吸収性ポリマー粒子を不織布の総重量の１重量％〜７０重量％、好ましくは２５重量％〜５５重量％の割合で含有する。超吸収性ポリマーは、ポリアクリル酸ナトリウム等のアクリルポリマー塩も含むアクリルポリマーから選択してもよい。

本発明の好ましい実施形態によれば、熱接着性材料やラテックスを配合することなく、超吸収性ポリマー粒子及びセルロース繊維を主体とした不織布が使用され、その不織布の各面はセルロース系ウェブで覆われる。本発明の他の実施形態によれば、２つのセルロース系ウェブからなり、その間に超吸収性ポリマー粒子のみ又は超吸収性ポリマー粒子と結合剤の組み合わせが導入された不織布を吸収性不織布として用いてもよい。

また、吸収性不織布は超吸収性繊維を含んでいてもよい。

本発明において、厚さが０．５ｍｍ〜３ｍｍで、坪量が２００ｇ／ｍ^２〜８００ｇ／ｍ^２で、及び／又は、吸収量が５０００ｇ／ｍ^２より大きい、より好ましくは１５０００ｇ／ｍ^２以上である不織布を使用することが好ましい。吸収量はＥＤＡＮＡ４４０．１．９９の規格に従って測定することができる。

好適な吸収性不織布としては、例えばＥＡＭ社から販売されているＮｏｖａｔｈｉｎ（登録商標）が挙げられる。

本発明の他の変形例によれば、吸収性不織布の代わりに、織物や編物等の他の吸収性材料を用いることもできる。

吸収性不織布が滲出液を吸収しても、ケーシングの壁を圧迫したり、圧力の影響によりケーシングが開いてしまったりすることなく、吸収性不織布の体積を増やすことができるように、吸収性不織布の寸法は補助不織布及び非吸収性ウェブより小さいことが好ましい。

包み込まれた不織布によって粘着性基材の表面全体が覆われないように、基材の表面積は該不織布よりも大きいことが有利である。基材上の吸収性不織布の位置によって、形成された粘着性縁部の形状及び表面積を被覆材を貼る体の部位の構造に適合させてもよい。包み込まれた吸収性不織布を基材の中央に配置して、縁部が均一な幅となるようにしてもよい。

非吸収性ウェブと補助不織布は、好ましくは吸収性不織布には全く固定されずに、吸収性不織布を包み込みながらそれぞれの縁部に沿って接着される。

補助不織布の種類は、衛生分野や被覆材分野で通常使用される不織布であれば特に限定されず、特にスパンレイド不織布、カード式不織布が挙げられる。補助不織布の構造は、粉末状若しくは繊維状の熱接着性ポリマーの添加、又は、タフティングにより補強されていてもよい。補助不織布の坪量は１５ｇ／ｍ^２〜２００ｇ／ｍ^２であるのが好ましい。

補助不織布は、吸収性又は非吸収性のどちらであってもよい。ここでいう「非吸収性」とは、吸収性繊維を含んでおらず、かつ、吸収性粒子も含有しないことを意味するものである。

補助不織布は、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル及びポリウレタンから選択される熱可塑性繊維及び／又はポリオレフィンからなるものであってもよい。補助不織布は、レーヨン、ビスコース及びセルロース誘導体等の吸収性繊維を含んでいてもよい。また、超吸収性繊維を含んでいてもよい。

繊維は、単一成分からなる繊維、又は、コアシェル型若しくはサイドバイサイド型の２成分からなる繊維であってもよい。

上記繊維は、親水性又は疎水性繊維のどちらであってもよいが、親水性繊維であることが好ましい。また上記繊維は、親水化処理が施された疎水性繊維を含んでいてもよい。

補助不織布は、坪量が１５ｇ／ｍ^２〜５０ｇ／ｍ^２、好ましくは２０ｇ／ｍ^２〜４０ｇ／ｍ^２である親水性不織布、好ましくは非吸収性繊維の親水性不織布から選択することが有利である。

ある実施形態によれば、補助不織布は、ポリエチレン／ポリエステルの２成分からなる繊維を主体とした、非吸収性及び親水性の熱接着された不織布であることが好ましい。その例として、Ｓａｎｄｌｅｒ社から販売されているＳａｗａｂｏｎｄ（登録商標）４４１３又は４４８３が挙げられる。

別の実施形態によれば、補助不織布は、超吸収性繊維と熱接着性繊維とを含む不織布から選択される。

創傷に接触する界面層１は、補助不織布の表面に配置するのが有利である。界面層は不連続であるため、滲出液は補助不織布に到達することができ、また、被覆材を剥がす際に創傷を害することもない。界面層を構成する組成物は、疎水性、親水性又は両親媒性であってもよい。

本発明のある実施形態によれば、界面層は創傷に対して微粘着性を有する、すなわち、被覆材を創傷に一時的に固定することができ、創傷又は病変周囲の皮膚の構造を害することなく剥がすことができる。

したがって、シリコーンポリマー系組成物（特にシリコーンゲル）、ポリウレタンゲル、親水コロイド含有エラストマー系組成物、又は、ヒドロゲル（ポリ（ＡＭＰＳ）系ヒドロゲル等）が挙げられる。

本発明において、エラストマーと可塑剤と親水コロイドとを含む組成物の不連続な層を使用することが特に好ましい。この界面層は、創傷部位において湿潤環境を維持することで治癒過程を促進し、また、シリコーンでコーティングされた界面とは異なり、活性薬剤を伝達することもできる。

エラストマーは、ジブロック共重合体と組み合わせてもよいポリ（スチレン−オレフィン−スチレン）トリブロックブロックポリマーから選択してもよい。トリブロック共重合体は、Ｋｒａｔｏｎ（登録商標）Ｇ１６５１、Ｋｒａｔｏｎ（登録商標）Ｇ１６５４又はＫｒａｔｏｎ（登録商標）Ｇ１６５２という商品名で販売されているポリ（スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン）（ＳＥＢＳと略称する）ブロック共重合、あるいは、ポリ（スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン）（ＳＥＰＳと略称する）ブロック共重合体であってもよい。

使用可能な可塑剤化合物のなかでも特に鉱油、ポリブテン又は他のフタル酸誘導体が挙げられる。Ｏｎｄｉｎａ（登録商標）９３３及びＯｎｄｉｎａ（登録商標）９１９という商品名で販売されている製品から選択される可塑化用鉱油を用いるのが特に好ましい。

好適な親水コロイドの例としては、ペクチン、アルギン酸塩、植物由来天然ガム（特にカラヤゴム等）、セルロース誘導体（例えばカルボキシメチルセルロース及びそのアルカリ金属塩（ＣＭＣ Ｂｌａｎｏｓｅ（登録商標）７Ｈ４ＸＦとして知られているナトリウム塩又はカルシウム塩等））や、超吸収性アクリル酸塩系合成ポリマー（例えば、ＢＡＳＦ社からＬｕｑｕａｓｏｒｂ（登録商標）１００３という商品名で販売されている製品、ＣＩＢＡ Ｓｐｅｃｉａｌｔｙ Ｃｈｅｍｉｃａｌｓ社からＳａｌｃａｒｅ（登録商標）ＳＣ９１という商品名で販売されている製品等）、並びに、上記化合物の混合物等が挙げられる。

親水コロイド含有エラストマー系組成物は、ゲル化速度、湿潤性、又は、組成物が活性薬剤を含有する場合にはその活性薬剤の放出性を最適化するために、１以上の酸化防止剤と、Ｍｏｎｔａｎｏｘ（登録商標）８０界面活性剤又はＳｅｐｉｎｏｖ（登録商標）ＥＭＴ１０ポリマー（いずれもＳＥＰＰＩＣ社製）とを必要に応じて含んでいてもよい。

界面層が微粘着性又は粘着性であることが望ましい場合、親水コロイド含有エラストマー系組成物は、粘着付与樹脂、低分子量ポリイソブチレン又はそれらの混合物から選択することができる粘着付与物質を含む。通常、Ｅｓｃｏｒｅｚ（登録商標）樹脂５０００シリーズ、特にＥｓｃｏｒｅｚ（登録商標）５３８０樹脂などの水添樹脂を使用することが好ましい。

上記組成物は、創傷の治療に有益な有効成分を含んでいてもよい。本発明において使用できる物質としては、例えば以下のものが挙げられる。
・銀塩等の銀誘導体又は他の金属の誘導体（例えば硫酸銀、塩化銀、硝酸銀及びスルファジアジン銀）、銀錯体又は他の金属の錯体（例えば、Ａｌｐｈａｓａｎ等の銀ゼオライト又はセラミックス）、メトロニダゾール、ネオマイシン、ポリミキシンＢ、ペニシリン類（アモキシシリン）、クラブラン酸、テトラサイクリン類、ミノサイクリン、クロルテトラサイクリン、アミノグリコシド類、アミカシン、ゲンタマイシン又はプロバイオティクス等の抗菌剤；
・クロルヘキシジン、トリクロサン、ビグアニド、ヘキサミジン、チモール、ルゴール、ポビドンヨード、塩化ベンザルコニウム及び塩化ベンゼトニウム等の防腐剤；
・パラセタモール、コデイン、デキストロプロポキシフェン、トラマドール、モルヒネ及びその誘導体、コルチコイド類及びその誘導体等の鎮痛剤；
・グルココルチコイド類、非ステロイド系抗炎症剤、アスピリン、イブプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ジクロフェナク、アセクロフェナク、ケトロラク、メロキシカム、ピロキシカム、テノキシカム、ナプロキセン、インドメタシン、ナプロキシノド、ニメスリド、セレコキシブ、エトリコキシブ、パレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、フェニルブタゾン、ニフルム酸、メフェナム酸等の抗炎症剤；
・レチノール、ビタミンＡ、ビタミンＥ、Ｎ−アセチルヒドロキシプロリン、センテラアジアチカエキス、パパイン、タイム精油、ニアウリ精油、ローズマリー精油、セージ精油、ヒアルロン酸、ポリ硫酸化オリゴ糖及びその塩（特に１〜４の単糖単位を有する合成硫酸化オリゴ糖（例えばスクロースオクタスルファートのカリウム塩又は銀塩））、スクラルファート、アラントイン、尿素、メトホルミン、各種酵素（ストレプトキナーゼ、トリプシン又はコラゲナーゼ等のタンパク質分解酵素等）、ペプチド、又は、プロテアーゼ阻害剤等の治癒を促進する活性薬剤；
・ベンゾカイン、リドカイン、ジブカイン、塩酸プラモキシン、ブピバカイン、メピバカイン、プリロカイン又はエチドカイン等の麻酔薬。

親水コロイドを含有する微粘着性エラストマー系組成物であって、総重量１００重量％に対して下記を含むエラストマー系組成物を用いることが好ましい。
酸化防止剤を０．０５重量％〜１重量％；
粘着付与樹脂を１０重量％〜６０重量％；
カルボキシメチルセルロースナトリウムを２重量％〜２０重量％、好ましくは１２重量％〜１６重量％；
可塑化用鉱油を１０重量％〜６５重量％；
ポリ（スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン）又はポリ（スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン）トリブロックポリマーを５重量％〜２５重量％；及び、
２−メチル−２−［（１−オキソ−２−プロペニル）アミノ］−１−プロパンスルホン酸の塩と、プロペン酸の２−ヒドロキシエチルエステルとからなる共重合体を１重量％〜１５重量％。

他の親水コロイドエラストマー組成物は、総重量１００重量％に対して下記を含んでいてもよい。
酸化防止剤を０．０５重量％〜１重量％；
カルボキシメチルセルロースナトリウムを２重量％〜２０重量％、好ましくは１２重量％〜１６重量％；
可塑化用鉱油を２０重量％〜６５重量％；及び、
ポリ（スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン）又はポリ（スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン）トリブロックポリマーを３重量％〜２５重量％。

必要に応じて界面層で覆われていてもよい補助不織布は、少なくとも創傷と接触する面が保護フィルム膜で保護されていてもよい。該保護フィルム膜は、被覆材を使用する前に剥がし取ればよい。

剥離式の保護材３は、使用前に剥離可能な１以上の部材からなるものであってもよい。この保護材は被覆材の表面全体を覆う。

この保護材は、被覆材分野において当業者が保護材として通常用いる材料であれば特に限定されない。例えばフィルム状であってもよく、例としては、ポリエチレン若しくはポリプロピレン等のポリオレフィン製のフィルム、又は、ポリエステルフィルムに加え、紙も挙げられる。上記フィルムの少なくとも１つの面は、シラン等のシリコーン化合物、フッ素化合物又はフルオロシリコーン化合物で処理されていることが有利である。

上記保護材は、粘着性シリコーンゲルの性質に適したものでなければならず、また、必要に応じて界面層の微粘着性に適したものでなければならない。

本発明において、図に示すように、２部材からなる保護材を用いることが特に好ましい。

剥離式の保護材の厚さは１０μｍ〜１００μｍ、例えば約５０μｍであるのが好ましい。

このような保護材としては、Ｓｉｌｉｃｏｎａｔｕｒｅ社からＳｉｌｆｌｕ（登録商標）Ｍ１Ｒ８８００１として販売されている製品を用いることが有利である。

被覆材全体の厚みは３ｍｍ〜５ｍｍ、好ましくは約４ｍｍ〜４．５ｍｍであるのが有利である。

本発明の被覆材は、あらゆる滲出性慢性創傷（痂皮、潰瘍（例えば糖尿病による足の潰瘍））及び急性創傷（第２度熱傷、皮膚剥離、外傷性創傷、術後創傷）の治療を目的として使用するのが有利である。

本発明の被覆材は、特に病変周囲の皮膚が弱くなっている創傷の治療を目的として使用される。

本発明において、早期離脱を防止するために角が丸い被覆材を用いることが好ましい。

本発明の被覆材の形態は、サイズの小さい又は大きい個別の被覆材であってもよい。被覆材は個別に密封包装し、確実に無菌環境で保存できるようにする。

本発明の別の主題は、上述の被覆材を製造する方法であって、上記基材を作製する工程と、上記非吸収性ウェブと上記補助不織布を、好ましくは上記吸収性不織布には全く固定せずに、上記吸収性不織布を包み込みながら互いに固定する工程と、包み込まれた吸収性不織布を上記非吸収性ウェブの側で上記基材に組み合わせる工程とからなる方法である。

ある実施形態によれば、包み込まれた吸収性不織布を、基材の粘着性シリコーンゲルで覆われた側に非吸収性ウェブを接触させることで基材に組み合わせる。

第１工程では、補強材をコーティングし、そのコーティングされた補強材を連続フィルムに組み合わせることにより基材を作製する。

シリコーンゲルは、当業者が通常採用するコーティング法によって補強材にコーティングされる。

本発明の好ましい実施形態によれば、補強材の２つの面にシリコーンゲルをコーティングし、その後、透孔を有する補強材と連続フィルムとが確実に接着するように、ゲルの架橋が完了していない状態のままで連続フィルムに組み合わせる。本実施形態では、液体は透過させないが水蒸気は透過させるフィルムに補強材を接着させるための接着剤が不要である。

本実施形態において、基材は以下の一連の工程にしたがって製造できる。
・補強材の両面をシリコーンゲル前駆体の混合物で覆い、
・カレンダリング等により補強材をフィルムに組み合わせ、
・補強材とフィルムを組み合わせてしまったら、例えば基材をオーブンに入れるなどしてシリコーンゲルの架橋を開始又は促進する。

例えば、補強材をシリコーンゲル前駆体の混合物中に浸漬し、その後、積層装置において２つのローラー間で絞る。送風機によって、補強材の孔を再形成して、余分なシリコーンゲルを除去することができる。

別の実施形態によれば、シリコーンゲルは、補強材の２つの面のうちの一方にコーティングされ、もう一方の面は接着剤で連続フィルムに固定される。熱、超音波又は高周波で固定することもでき、この場合、補強材及び／又は連続フィルムは、ヒートシールできるように熱可塑性であってもよい。

基材の粘着面を保護層又はフィルム膜で覆うことにより基材を保護してもよい。このような保護層は、例えば紙又はポリエステルフィルムであってもよい。

第２工程では、吸収性不織布を包み込む。

一巻きのウェブと一巻きの吸収性不織布の巻きを解いて伸ばしてから、重ね合わせる。その後、吸収性不織布を厚み方向に沿って好ましくは正方形に切断してから、その正方形をウェブ上に置く。一巻きの補助不織布の巻きを解いて伸ばしてから、ウェブ層と切断済みの吸収性不織布層とからなる集合体に補助不織布層を重ね合わせる。非吸収性ウェブと補助不織布を熱、超音波、高周波又は接着剤によりそれぞれの周縁部に沿ってのみ互いに固定する。例えば、吸収性不織布が液体を吸収する際に膨張できるよう充分なサイズのケーシングを形成できるように、吸収性不織布の縁からかなり離れた線に沿ってウェブと補助不織布をヒートシールする。

ウェブと補助不織布は、熱又は超音波によりシールすることが好ましい。シール温度は、例えば８０℃〜１５０℃、より好ましくは９０℃〜１２０℃、特に約１１０℃である。ウェブと補助不織布の固定は例えば１ｍｍ〜３ｍｍ幅で行う。

その後、包み込まれた吸収性不織布に対してストリッピング（不要物除去）を行った後、積層装置において０〜１０ｂａｒ、好ましくは０〜６ｂａｒに設定された圧力をかけることにより、吸収性不織布を、事前に製造しておいた基材の粘着面側に組み合わせる。積層装置は延伸（ｄｒａｗｉｎｇ）装置であるのが有利である。

基材／包み込まれた不織布からなる集合体の創傷と接触する補助不織布側を保護フィルム膜で覆ってから切断を行う。該保護フィルム膜は、被覆材を使用する前に剥がし取ることができる。

補助不織布が、界面層及び剥離式の仮保護材で事前に覆われている場合は、仮保護材を取り除いて、基材／包み込まれた不織布／界面層からなる集合体の創傷と接触する界面層側を保護フィルム膜で覆う。該保護フィルム膜は、被覆材を使用する前に剥がし取ることができる。

接着剤で非吸収性ウェブを補助不織布に固定することが望ましい場合は、巻きを解いて伸ばした補助ウェブに接着剤をコーティングしてから、ウェブ層と切断済みの吸収性不織布層とからなる集合体と一緒にカレンダリングする。

界面層で覆われていてもよい補助不織布の創傷と接触する表面を保護フィルム膜で覆うことで保護してもよい。該保護フィルム膜は、被覆材を使用する前に剥がし取ることができる。

非吸収性ウェブと補助不織布を、好ましくは吸収性不織布には全く固定せずに、吸収性不織布を包み込みながら互いに固定してしまったら、得られた集合体を上記と同様の積層処理により基材に組み合わせることが好ましい。本発明に係る非吸収性ウェブを選択することで、従来技術のようにアクリル系接着剤にたよることなく、基材とウェブを組み合わせることができるため、有利である。使用した被覆材を皮膚から取り除く又は取り外す際も基材と非吸収性ウェブは互いに連結されたままである。

ある実施形態によれば、非吸収性ウェブに対して、好ましくはその巻きを解いた直後に、コロナ処理を行うことが有利である。コロナ処理によって、粘着性シリコーンゲルでコーティングされた基材に対するウェブの接着を高めることができる。本実施形態において、ウェブはポリエチレン繊維からなるものであってもよい。

包み込まれた吸収性不織布の創傷と接触する補助不織布面を界面層で覆ってから、圧定布を構成する別の構成要素と組み合わせて複合体としてもよい。

親水コロイド含有エラストマー系界面層は、上述の通り、当業者には周知のホットメルト法で製造することができる。つまり、各種構成成分を９０℃〜１６０℃、好ましくは１１０℃〜１４０℃で加熱混合することにより製造できる。好ましくは、エッチング加工されたシリンダを事前に加熱混合した組成物に浸した後、まだ熱が冷めていない組成物を型から取り出し、補助不織布上に移す。まだ熱が冷めていない組成物を補助不織布に貼り付けることで、界面層の接着を最適化することができる。界面層でコーティングされた補助不織布上に仮保護材を配置して、粘着性基材と共にカレンダリング工程を行ってもよい。

界面層でコーティングされた補助不織布を基材に固定した後で仮保護材を取り除いて、剥離式の保護材を貼付する。この剥離式の保護材は、被覆材を創傷に貼る前に取り除かれる。

以下に実施例を挙げて本発明を説明する。

実施例１：吸収性被覆材の作製
非吸収性ポリエチレンウェブと親水性補助不織布とによって包み込まれた吸収性不織布を備える側帯部付き被覆材を製造する。微粘着性の界面層を補助不織布の創傷と接触する表面に置く。

以下に示す材料を用いる。
・基材は、その両面の表面全体が粘着性シリコーンゲル（２００ｇ／ｍ^２）でコーティングされた４０ｇ／ｍ^２のポリエステル編物であり、これを厚さ３０μｍのポリウレタンフィルムに積層する。この基材は厚さが約３００μｍ、ＭＶＴＲが約５０００ｇ／ｍ^２／２４ｈである。
・ポリエチレンウェブは、Ｆｒｅｕｄｅｎｂｅｒｇ社からＶｉｌｍｅｄ（登録商標）ＬＳＯ１０４０Ｗｅｉｓｓとして販売されている４０ｇ／ｍ^２の不織布である。
・吸収性不織布は、ＥＡＭ社からＮｏｖａｔｈｉｎ（登録商標）として販売されている超吸収性ポリマーを５０％含有するエアレイド不織布（４００ｇ／ｍ^２）である。
・補助不織布は、Ｓａｎｄｌｅｒ社からＳａｗａｂｏｎｄ（登録商標）４４８３として販売されている親水性不織布である。
・剥離式の保護材は、Ｓｉｌｉｃｏｎａｔｕｒｅ社からＳｉｌｆｌｕ（登録商標）Ｍ１Ｒ８８００１として供給されているフッ素化ＰＥＴ製の羽根（５０ｎｍ）で構成される。

界面層の作製、及び、補助不織布へのコーティング：
作製した組成物の組成を総重量に対する重量パーセントで以下に示す。
・Ｓｈｅｌｌ社からＯｎｄｉｎａ（登録商標）９１９という商品名で販売されている鉱油：３９．７％
・Ａｑｕａｌｏｎ社からＣＭＣ Ｂｌａｎｏｓｅ（登録商標）７Ｈ４ＸＦという商品名で販売されているカルボキシメチルセルロースナトリウム塩：１４．８％
・Ｋｒａｔｏｎ社からＫｒａｔｏｎ（登録商標）Ｇ １６５１Ｅという商品名で販売されているポリ（スチレン−エチレン−ブチレン）ブロック共重合体：４．７％
・Ｃｉｂａ Ｓｐｅｃｉａｌｔｙ Ｃｈｅｍｉｃａｌｓ社からＩｒｇａｎｏｘ（登録商標）１０１０という商品名で販売されている酸化防止剤：０．２％
・ＳＥＰＰＩＣ社からＳｅｐｉｎｏｖ（登録商標）ＥＭＴ１０という商品名で販売されている２−メチル−２−［（１−オキソ−２−プロペニル）アミノ］−１−プロパンスルホン酸の塩とプロペン酸の２−ヒドロキシエチルエステルとの共重合体（離型剤）：５％
・Ｅｘｘｏｎ Ｃｈｅｍｉｃａｌｓ社からＥｓｃｏｒｅｚ（登録商標）５３８０という商品名で販売されている粘着付与樹脂：３５．６％

上記鉱油、親水コロイド及びエラストマー、次に上記酸化防止剤及び離型剤、最後に上記粘着付与樹脂を１００℃〜１１０℃に昇温した状態でＭＥＬ Ｇ−４０ブレンダーに投入して、均一な混合物を得た。

得られた混合物を１７０ｇ／ｍ^２（±４０）の量で補助不織布に不連続にコーティングする。

各層の組み合わせ：
補助不織布及びポリエチレンウェブを正方形に切断し、Ａｍｉｓ手動シーラーを用いて１辺のみを２ｍｍ幅でシールする。以下の条件でポリエチレンウェブに予めコロナ処理を行った。
・発電機電力：５７０ワット
・電極数／幅：３／０．２５ｍ
・ギャップ調整：２ｍｍ
・移動速度：２ｍ／分

その後、吸収性不織布を補助不織布とウェブの間に挿入する。

上記と同様の条件で補助不織布とポリエチレンウェブの他の３辺をシールして８ｃｍ×８ｃｍの正方形を形成した後、得られた集合体の縁を切り取る。

基材を１５ｃｍ×１５ｃｍの正方形に切断した後、１０ｋｇローラーを用いて垂直２方向にカレンダリングを行うことで上記集合体に組み合わせる。

その後、切断して最終製品の被覆材を得る。

１ 不連続な界面層
３ 剥離式の保護材
４ 基材層
４ａ 連続フィルム
４ｂ 粘着性シリコーンゲル
５ 非吸収性ウェブ
６ 吸収性不織布
７ 補助不織布

Claims (12)

1. 吸収性不織布（６）と、液体は透過させないが水蒸気は透過させる保護基材（４）とを備えた粘着性の吸収性被覆材であって、
   前記基材は、連続フィルム（４ａ）と透孔を有する補強材とを組み合わせて形成され、前記補強材の少なくとも１つの面は前記補強材の孔を塞ぐことなく粘着性シリコーンゲル（４ｂ）でコーティングされており、前記補強材は前記連続フィルムの表面全体を覆っており、
   前記被覆材は、非吸収性ウェブ（５）と補助不織布（７）を更に備え、前記非吸収性ウェブと前記補助不織布は、好ましくは前記吸収性不織布には全く固定されずに、前記吸収性不織布を包み込みながらそれぞれの周縁部に沿って互いに固定されており、
   前記非吸収性ウェブ（５）は、前記補強材にコーティングされた前記粘着性シリコーンゲル（４ｂ）に接着していることを特徴とする被覆材。
2. 前記非吸収性ウェブ（５）の坪量が１５ｇ／ｍ^２〜５０ｇ／ｍ^２であることを特徴とする請求項１に記載の被覆材。
3. 前記粘着性シリコーンゲルの坪量が１００ｇ／ｍ^２〜５００ｇ／ｍ^２であることを特徴とする請求項１又は２に記載の被覆材。
4. 前記補助不織布（７）が、坪量が１５ｇ／ｍ^２〜５０ｇ／ｍ^２である、非吸収性繊維を主体とした親水性不織布から選択されることを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載の被覆材。
5. 前記補助不織布（７）が、超吸収性繊維と熱接着性繊維とを含む不織布から選択されることを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載の被覆材。
6. 前記透孔を有する補強材（４ｂ）が編物であり、該編物の両面の表面全体が該編物の孔を塞ぐことなく粘着性シリコーンゲルでコーティングされていることを特徴とする請求項１〜５のいずれか１項に記載の被覆材。
7. 前記透孔を有する補強材（４ｂ）が有孔フィルムであり、該有孔フィルムの片面のみが該有孔フィルムの孔を塞ぐことなく粘着性シリコーンゲルでコーティングされていることを特徴とする請求項１〜５のいずれか１項に記載の被覆材。
8. 滲出性慢性創傷、特に痂皮、潰瘍、例えば糖尿病による足の潰瘍、及び、急性創傷、例えば第２度熱傷、皮膚剥離、外傷性創傷又は術後創傷等の創傷に用いられる、請求項１〜７のいずれか１項に記載の被覆材。
9. 請求項１〜８のいずれか１項に記載の被覆材を製造する方法であって、前記基材（４）を作製する工程と、前記非吸収性ウェブ（５）と前記補助不織布（７）を、好ましくは前記吸収性不織布（６）には全く固定せずに、前記吸収性不織布を包み込みながら互いに固定する工程と、包み込まれた吸収性不織布（６）を前記非吸収性ウェブ（５）の側で前記基材（４）に組み合わせる工程からなる方法。
10. 前記非吸収性ウェブ（５）と前記補助不織布（７）を熱、超音波、高周波又は接着剤によりそれぞれの周縁部に沿ってのみ互いに固定することを特徴とする請求項９に記載の方法。
11. 積層装置において０〜１０ｂａｒの圧力を加えることにより、前記包み込まれた吸収性不織布（６）に前記基材（４）を組み合わせることを特徴とする請求項９又は１０に記載の方法。
12. 前記非吸収性ウェブ（５）に対して、その巻きを解いた直後にコロナ処理を行うことを特徴とする請求項９〜１１のいずれか１項に記載の方法。

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