集積された光接続をプリント回路基板上で光導波路(平面導波路技術)を用いて実現することの最大の課題は、光電子部品、又は例えば、外部のグラスファイバケーブルなどの「外界」との接続を形成する光コネクタモジュールと、導波路端部との接続である。
本発明の目的は、2つの光導波路のカップリングを改良することである。
この目的は、本発明により、請求項1に記載されている特徴を有する上記のタイプの光学的カップリングシステムを用いることにより達成される。本発明の有利な実施形態が、さらなる請求項に記載されている。
本発明によれば、上記のタイプの光学的カップリングシステムにおいて、第1の光導波路の第1のコアの端面は、カップリング位置において第2の光導波路の第2のコアの端面に当接し、且つ、第2のコアは、軸方向において第1のコアと同一平面上にあり、カップリング位置の領域にて、予め決められた軸方向部分の少なくとも部分にわたり、第2の光導波路の第2シース及び第1の光導波路の第1シースの両方が協働して、予め決められた部分における光導波路のクラッドを形成する。
これは、接続されるべき2つの光導波路が、これらの2つの光導波路を単に互いに押し合わせるだけで、空間における少なくとも2つの方向において、互いに対して正確に位置合わせされることができるという利点を有する。
プリント回路基板上の平面型ポリマー光導波路のグラスファイバ又はポリマーファイバとのカップリングは、以下のように実現される。すなわち、第1の光導波路は、プリント回路基板上に形成され、ポリマーシースにより取り囲まれたポリマーコアを有するポリマー光導波路である。
接続されるべき光導波路のさらなる軸方向の位置合わせは、以下のように達成される。すなわち、第2の光導波路がフェルール内に埋め込まれ、少なくとも1つの第1のガイド装置がフェルール上に配置され、少なくとも1つの第2のガイド装置がプリント回路基板上に配置され、第1のガイド装置及び第2のガイド装置は、空間における少なくとも1つの方向において、第2のコアの位置決めと第1のコアの位置決めとが軸方向に調整されるように相互作用するために設計される。
第2のガイド装置の簡単な製造は、おそらくは、同時に、ポリマー光導波路のために用いられるプロセスと同一の製造プロセス、特に、リソグラフィプロセスにおいて、第2のガイド装置がポリマー光導波路と同一の材料から製造されることにより達成される。
プリント回路基板上の平面型ポリマー光導波路の、外部の信号処理装置への接続は、以下のように達成される。すなわち、第2の光導波路が、シース及び光導波路コアを有する、プリント回路基板に対して外部の光導波路であり、特には、グラスファイバ又はポリマーファイバの光導波路である。
接続されるべき光導波路の正確な位置決めのための接触面の、特に簡単でしかも正確な製造は、以下のように達成される。すなわち、予め決められた軸方向部分の少なくとも一部分において、第2のコアは、第2シースにもともと面していた第2のコアの第1の面を露出させるように第2のシースが取り去られ、また、第1の光導波路は、第1シースの残りの部分が、第1のコアにもともと面していた第2の面を露出させるように第1シース及び第1のコアの一部が取り去られ、第2のコアの第1面は、第1シースの第2面に接触する。
接続されるべき光導波路の正確な位置決めのさらなる単純化が、以下のように達成される。すなわち、予め決められた軸方向部分の少なくとも一部分において、第1のコアは、第1のコアの、第1シースにもともと面していた第3の面を露出させるように第1シースが取り去られ、また、第2の光導波路は、第2の光導波路の第2シースの残りの部分が、第2のコアにもともと面していた第4の面を露出させるように、第2シース及び第2のコアの一部が取り去られ、第1のコアの第3の面は、第2の光導波路の第2シースの第4の面に接触する。
本発明を、図面を参照しつつ、より詳細に説明する。
図1は、硬質の基板10及び追加の層12を有するプリント回路基板上に形成されたポリマー光導波路を示す。或いは、層10,12は、プリント回路基板上の一部から作ることもできる。ポリマー光導波路は、層12上に平面型の構造物として構築され、第1のポリマーシース14及び第2のポリマーシース16を含み、これらのシースの間にポリマーコア18が配置される。ポリマーコア18及びポリマーシース14,16は、同一のポリマー材料から製造される。ポリマーコア18の材料は、ポリマーシース14,16の材料よりも屈折率が高く、これにより、光導波路が画成される。
本発明によれば、ポリマー光導波路は、ポリマーコア18にもともと面していた第1のポリマーシース14の第2の面24を露出させるように、ポリマーコア18の端面20の付近で、予め決められた軸方向部分23(図2)の部分22にわたって第2のポリマーシース16及びポリマーコア18が取り去られる。或いは、ポリマー光導波路は、対応する「ステップ(段状部)」により直接製造される。
図2は、フェルール32内に配置された、グラスファイバコア28及びシース30を有するグラスファイバ光導波路26を示す。本発明によれば、グラスファイバ光導波路26は、シース30にもともと面していたグラスファイバコア28の第1面36を露出させるように、予め決められた軸方向部分23の部分22よりも軸方向において長い、シース30の予め決められた軸方向部分23にわたる部分が、グラスファイバコア28の端面34付近にて取り去られる。
ポリマー光導波路14,16,18とグラスファイバ光導波路26とを、光を伝送するように光学的に接続する本発明によるカップリングシステムを製造するために、上記のように作成されたグラスファイバ光導波路26を有するフェルール32が、上記のように作成されたポリマー光導波路14,16,18を有するプリント回路基板10,12に、図2の矢印38により示されているように押し付けられ、これにより、第1の面と第2の面と(24,36)が互いに当接し、又は互いに接触する。この状態が図3に示されている。任意には、光学的に接続するために、接着剤層(図示せず)が、ポリマーコア18の端面20とグラスファイバコア28の端面34との間に、さらに配置される。本発明によれば、グラスファイバコア28は、このようにポリマーコア18に直接的にカップリングされる。任意には、機械的接続のために、硬質の基板10の面25とフェルール32の面37との間に接着剤層が設けられる。
すなわち、ポリマー光導波路14,16,18は、部分22にわたってステップ状に形成され、グラスファイバ光導波路26は、部分23にわたってステップ状に形成され、部分23は部分22よりも長い。この結果、端面20と端面34とが互いに確実に接触する。
図4は、ポリマー光導波路を有するプリント回路基板10,12の上面図である。図4におけるx−y座標軸40が、空間における2つの方向、すなわち、x方向及びy方向を示し、x方向とy方向とは互いに対して垂直であり、且つ、図4の表示面上に配置されている。第3の方向zが、図4の表示面に対して垂直方向に向いている。これは、図1及び図2のz−y座標軸42に見られる。第2の面24は、z方向において、カップリングされるべき2つの光導波路の正確な位置決めを保証する。当接する端面20と端面34とが、y方向において、カップリングされるべき2つの光導波路の正確な位置決めを保証する。
x方向において、カップリングされるべき2つの光導波路の正確な位置決めを保証するために、図4に見られるように、水平方向のガイド構造物44が、プリント回路基板上に、又は、プリント回路基板の層12上に形成されている。これらの水平方向のガイド構造物44は、図5に見られるようなフェルール32内に形成されたガイドボア46と協働する。
本発明は、プラグ着脱可能な光学的インタフェースに関連し、また、平面型ポリマー導波路システム14,16,18を有するプリント回路基板10,12に由来し、これは、光ファイバに接続されるべき導波路端部における特別なステップ(段状)構造を有する。示されている実施形態において、光学的カップリングシステムの、ポリマー光導波路システム14,16,18に光学的及び機械的に接続されるべき第2の部品は、MTフェルール(IEC(国際電気標準会議)61754−5に従う規格)又は類似の要素であり、これらの部品は、少なくとも1つのグラスファイバシステム30,34を用いて慣用の方法で接続される。グラスファイバ光導波路システム30,34を有するフェルール32と、ポリマー光導波路14,16,18とは、これらがステップ(段状)構造(図1及び図2)であるように仕上げられている。ここで、両方の部品(プリント回路基板10,12と、例として、MTフェルール32)は、正確に、互いに押し付け合わせることができ、こうして、最適な光学的カップリングが、プリント回路基板10,12上のポリマー導波路14,16,18と、MTフェルール32(例として用いる)内のグラスファイバ導波路26との間に達成される。固定するために、2つの部品は、例えば接着結合される。すなわち、ポリマー導波路14,16,18はプリント回路基板10,12上に接着され、グラスファイバ光導波路26はフェルール32内に接着される。
両方の部品が、以下の特性を有する。導波路の端面、又は、ポリマーコア18及び光導波路コア28の端面20,34が、非常に高い光学的品質、基準マーク又はガイド44,46を有し、これにより、これらの部品は、部品が機械的に固定されるプリント回路基板(面25を参照)の導波路及びキャビティに関して正確に位置合わせされる。この概念は、マルチモード及びシングルモード光導波路の両方に適している。
本発明によれば、プリント回路基板10,12上の平面型ポリマー導波路14,16,18と、グラスファイバ光導波路26(例えば、MTフェルール32内の)との直接的な光学的カップリングを含むインタフェース概念(光学的カップリングシステム)がこのように提示される。
プリント回路基板10,12は、平面型光導波路(平面光導波路)14,16,18を備えている。プリント回路基板10,12は、例えばFR4などの硬質の基板10及び、硬質であり、或いは可撓性であってもよく、例えば、ポリイミドからなる追加の層12を含む。層12に光導波路14,16,18が付与され、これらは、平坦に付与されたポリマーシース(クラッド)14、組み込まれた導波路コア又はポリマーコア18、及び、平坦に付与されたさらなるポリマーシース(クラッド)16を有する。ポリマーシース又はクラッド層14、16は、同一の材料から製造される。導波路コア18の材料は、クラッド層14、16の材料よりも高い屈折率を有し、これが、ポリマー光導波路を画成する。ポリマー光導波路14,16,18と同一の材料からなり、且つ同一のリソグラフィプロセスにより作成された水平方向のガイド構造物16も付与される。
プリント回路基板10,12は、以下の3つの構造特徴が、ポリマー導波路コア18に対する、接続されるべき部品の位置を正確に画定するように構成される。すなわち、y方向における位置が、第1のレベル48(図4,図5)により画定される。これは、接続されるべき部分が、端面20との接触点までガイドされることによる。z方向における位置は、第2面24により画定される第2のレベル50(図2)により調整される。x方向における位置は、第3のレベル52又は水平方向のガイド構造物44により調整される。これらの3つの位置決め構造48,50及び52は、マーカを用いて間接的に決定されるのではなく、導波路に直接接続されるため、カップリングされるべき光導波路間の非常に正確な位置合わせが実現される。
グラスファイバ光導波路の例示的な実施形態は、図5に示されているような、標準的なMTフェルール32である。この標準MTフェルール32は、ガイドボア46を有する。さらに、この標準MTフェルール32の端面が、フェルール32内に嵌め込まれたファイバもまた端面34で光学的に高品質の表面を有するように、公知の方法で研磨される。フェルール32のさらなる特徴は、例えば研削及び研磨により作成されるステップ(段状部分)である。このステップ(段状部分)の深さは、ファイバコア28の上側36により画定され、したがって、第4のレベル54を形成する。プリント回路基板10,12上のポリマー光導波路14,16,18とのカップリングにおいて、第4のレベル54が、y方向における位置を画定し、したがって、第4のレベル54は、第1のレベル48に対応する部分となる。第5のレベル56(図2)は、z方向における位置を画定し、第5のレベル56は、第2のレベル50に対応する部分となる。第6のレベル58と、x方向における位置(第3のレベル52に対応する部分)とが、MTフェルール32内に既に存在する、非常に正確に形成されたガイドボア46を介して画定される。
2つの部品、すなわち、フェルール32とプリント回路基板10,12とが、互いに容易に押し合わされることができ、これにより、光学的カップリングシステムを形成する。プリント回路基板19,12上の平面型ポリマー光導波路14,16,18のポリマーコア18と、MTフェルール32内の、グラスファイバからなるグラスファイバコア28とが、位置x,y及びzにおいて互いに対して正確に位置合わせされる。2つの部品は、2つの面25,37の間の接触領域にて、機械的安定性を高めるために、互いに接着させることができる。導波路コア18,28に適合した屈折率を有する光学接着剤を、平面型導波路の端部(端面20)とファイバ端部(端面34)との間に付与して、空隙の形成を防止することもできる。
本発明は、光プリント回路基板(平面型の光学的ポリマー光導波路14,16,18を有する光プリント回路基板10,12)が、グラスファイバ光導波路のグラスファイバ又はポリマーファイバに、修正された標準的MTフェルール32又は類似のデザインを有する要素を用いて、受動的に、光学的に接続される。この光学的インタフェースは、光学データ伝送において将来益々重要な役割を果たすであろう光プリント回路基板が、既に数十年も用いられているような標準的な光ファイバに接続されることを可能にする。
本発明は、ポリマー導波路がプリント回路基板に、例えば、光ファイバなどのカップリングモジュールを介して接続される全ての光学用アプリケーションに使用することができる。アプリケーションの範囲は、ハイエンドのコンピュータの分野及びファイバトゥザホーム用のアプリケーションの分野におけるデータ伝送のソルーションから、エンターテイメント分野用の光学的カップリングシステムにわたる。
本発明により、光ファイバとプリント回路基板上のポリマー光導波路との間の、3次元的、すなわち、互いに垂直な3方向における正確な位置合わせのための構造を有する受動的なカップリングシステムが提供される。