高温ガスを測定するためのこの抽出法に代わる方法として、本発明者らは、今回、興味の対象である分子種の吸収線の近傍で光を出す1種類以上のレーザーを使用するというアイディアを持つに至った。ガラス炉の典型的な温度(一般に1200℃超)になった特にNO、NO2、COや、他のガス種を測定するため、特別なタイプの半導体レーザーを使用することを提案する。それは量子カスケード・レーザーと呼ばれるものであり、中赤外のスペクトル範囲(3μm〜24μm)の光を出す。測定を行なうため、分析する高温雰囲気を含むチャンバー(特に炉又は煙道ガス用ダクト)の壁を通過させてビームを送り、その雰囲気を横断させる。「チャンバー」という用語は広い意味で理解すべきであり、分析する雰囲気を含むあらゆるものを意味する。例えばこのチャンバーとして、煙道ガスを炉の外部に向かわせるダクトが可能である。すなわち例示するならば、炉と蓄熱室を接続していて、バーナーへの空気導入路と煙道ガスの回収装置として交互に機能するダクトである。吸収波長と温度と圧力がわかると、興味の対象である分子種の濃度が各波長の透過率の測定値から得られる(ランベール−ビアの法則)。「壁」とは、広い意味のあらゆる壁、すなわちチャンバーのあらゆる物理的境界(その中には、炉の天井も含まれる)を意味する。ただし、レーザー・ビームが、そのレーザー・ビームを強く吸収する障害物に遭遇することなくチャンバーの高温雰囲気を通過することが可能でなければならない。本発明では、1つのウインドウを通じてレーザー・ビームを中に入れ、別のウインドウからそのレーザー・ビームを外に出し、その2つのウインドウの間ではレーザーがチャンバーの高温雰囲気にしか遭遇しないことが好ましい。レーザーがガラス炉を通過する場合には、ガラスの上方のガス雰囲気の中を通過する。この雰囲気は、細かい粒子を含んでいてもよい。
レーザーという本発明の解決法により、レーザーを取り付けた設備の通常運転中に連続的な測定が可能になる。特に、本発明の装置はガラス炉に取り付けることができ、炉の通常運転中に高温雰囲気中のガス種を連続的に測定することができる。特に、この炉は連続運転することができる。制御する装置(例えば炉)の運転中にレーザー光線が常時存在している必要はない。なぜならガス濃度の変化は十分に遅いため、ガスの濃度変化を評価するには数秒間隔での測定で十分だからである。このような測定は、パルス式レーザーによって実現される。
特に、本発明の装置は、あらゆるタイプのガラス炉の雰囲気を分析するのに応用できる。炉としては、例えば頭上型バーナーを備えた炉、浸漬型バーナーを備えた炉、馬蹄形吹き出し炉、横吹き出しバーナーを備える炉(これらは、蓄熱室又は復熱室を備えていてもよい)、ガラス成形炉(例えば板ガラスを形成するためのフロート・ガラス炉)がある。
一般に、1本以上のレーザー・ビームを入射させ、そして取り出すため、分析するガスを含むチャンバーの壁にはウインドウが2つ配置されている必要がある。中赤外での作業は、ウインドウの設計に制約を与える。特に、ウインドウは、これらの波長で十分に透明であることと、ガス雰囲気の高温に耐えることが必要とされる。熱膨張率の非常に小さい材料(例えば溶融シリカ)は、これらの波長でそれほど透明ではないため、理想的な材料ではない。
米国特許第3,154,821号明細書は、炉の内部を調べる装置として、2枚の平行なガラス板を有するウインドウを備えていて、ガラス板の間を水が通過する装置を教示している。先行技術に関する別の文献として、特開平03−274385号公報、特開平08−014522号公報、米国特許出願公開第2004/156420号明細書、米国特許第7,283,243号明細書が挙げられる。米国特許第5,984,998号明細書は、レーザー・ビームを用いてチャンバー内の燃焼ガスを分析する装置を教示している。この装置はチャンバーから所定の距離にあり、熱保護プレートによって保護されている。
本発明は、特に燃焼ガス(例えばCO、NO、NO2)の濃度を測定するため、高温雰囲気を含むチャンバーの壁を貫通して中赤外の少なくとも1本のレーザー光線のビームを通過させることのできる光学システムを提案する。この連続測定システムにより、燃焼を最適化し、したがって炉のエネルギー効率を改善し、有害ガスを低減させることができる。このシステムは、測定スペクトルの範囲で比較的透明なウインドウを備えていて、そのウインドウは水/空気二重冷却システムによって冷却できるため、チャンバー(例えば炉)の通常運転条件に長期にわたって耐えることが可能である。これは、優れた温度耐性と優れた熱衝撃耐性を意味する。ウインドウは、特にチャンバーの壁の表面又は壁の中に、必要に応じて挿入体を介して設置することができる。そのためウインドウは、特に挿入体の中に組み込むことができる。その挿入体は、チャンバーの表面又は中に配置される。このタイプの光学的挿入体のおかげで、壁の穴の気密性を保持しつつ、チャンバーの内部に向けて、同一の窓又は異なる窓を通じ、1本又は複数本のレーザー・ビームを発生させることができる。この気密性により、チャンバーの内部から来る高温雰囲気のガス(場合によっては有毒ガス)が外に出ることが阻止される。測定長は入口ウインドウと出口ウインドウの間の距離にほぼ対応するため、その長さを正確に決定することができる。その事実から、ガスの濃度値が正確になる。「気密性」という用語は、チャンバーの内部にある雰囲気のガスが、ウインドウを備える穴から外に出ることを阻止されることを特に意味する。この気密性は、場合に応じて部分的な気密性でも全体的な気密性でもよい。
そこで、本発明は、第一に、1200℃を超える温度のガス雰囲気中にあって4〜8μmの波長に吸収線を有する分子の濃度を測定する装置であって、前記装置は、前記吸収線の波長に対応する波長のレーザー光線を発生させる発生装置を備えており、前記発生装置は、レーザー光線を発生させて第1のウインドウを通過させ、次いで前記雰囲気を通過させ、前記ウインドウは、厚さが1mmのときに前記レーザー光線の波長で50%超、好ましくは80%超の透過率を有する固体材料から作られ、前記レーザー光線は、前記雰囲気を通過した後に、ガス雰囲気中の分子によるレーザー光線の吸収を測定する分析装置によって分析される装置に関する。今述べたことは、ウインドウの厚さが必ず1mmであることを意味しておらず、単に材料の厚さが1mmのときの材料の固有透過率の値を定義しているだけである。なぜなら透過率は厚くなるにつれて低下するものであり、所定の厚さに対して固有の1つの値を与えることができるからである。ウインドウは、厚さを例えば0.5〜20mmにすることができる。ウインドウは薄くなるほど脆弱になり、厚くなるほど透過率が低下する。内部雰囲気が大気圧に近い圧力のガラス炉では、厚さが2〜5mmの範囲(両端の値を含む)のウインドウが一般に好適である。一般に、本発明の装置は、厚さが1mmのときにレーザー光線の波長での透過率が50%超、好ましくは80%超の固体材料でできた2つのウインドウを備えている。第1のウインドウをレーザー・ビームが通過するのは高温雰囲気を通過する前である。第2のウインドウをレーザー・ビームが通過するのは高温雰囲気を通過した後である。したがって第1のウインドウはレーザー・ビームを入射させるためのものであり、第2のウインドウはレーザー・ビームを受け取るためのものである。一般に、これら2つのウインドウは同じ材料となるように選択する。
出現する信号が、経路に沿って存在する可能性のある粒子によって乱されないようにするため、レーザー・ビームは十分に広いことが有利である。したがってレーザー・ビームに垂直なウインドウの断面積は、少なくとも10cm2、それどころか少なくとも15cm2の面積を持つことが好ましい。ウインドウの面積は、レーザー・ビーム全体を通過させるのに十分な大きさである。特に高温雰囲気を通過した後のレーザー・ビームを受け取るために配置されたウインドウに関し、このウインドウは、レーザー・ビームの断面積よりも少なくとも30%、それどころか少なくとも50%大きい面積を持つことが好ましい。なぜなら炉の高温雰囲気は、その組成の揺らぎ、温度の揺らぎ、経路に沿って存在する粒子の揺らぎに応じ、レーザー・ビームをわずかに偏向させる可能性があるからである。したがって受け入れウインドウがより大きいと、レーザー・ビーム全体を回収する可能性がより大きくなる。例えば面積が25〜100cm2のウインドウが一般に必要とされる。レーザー・ビームの波長は、濃度測定を望む分子の性質に依存する。以下の表に、望む分子で使用するレーザー・ビームの波長を示す。
ウインドウは、特にフッ化カルシウム(CaF2)、サファイア(Al2O3)、セレン化亜鉛(ZnSe)のいずれかで製造することができる。本発明の文脈では、上記3種類の化合物は単結晶化合物であることが好ましい。単結晶では、レーザー・ビームは、単結晶を、CaF2とZnSeの場合には<111>結晶面に垂直に、サファイアの場合には(c軸に沿った)<0001>結晶面に垂直に通過することが好ましい。
ウインドウは、分析する高温雰囲気を含むチャンバーの壁に設けた穴と向かい合った(すなわちその軸に沿った)配置にされる。したがって入射されたレーザー・ビームはウインドウを通過した後、壁の穴を通過する。壁の穴として、例えばチャンバーを清掃するために設けられた穴、又は測定のために特に設けられた穴が可能である。
ウインドウは、ウインドウの材料に対して不活性なガス(例えば空気又は窒素)の流れをウインドウと高温雰囲気の間に注入することによってガス雰囲気から保護することが好ましい。不活性ガスをこのように注入すると、チャンバーの内部から来るダストでウインドウが覆われることが阻止され、チャンバーを清掃せずに長期にわたって使用することが可能になる。
ウインドウは、挿入体の中に組み込むことができる。その挿入体は、壁(壁の穴の位置)に、好ましくは気密な状態で固定されて、穴の正面にある高温雰囲気がその穴を通ってチャンバーの外に出るのを妨げる。この気密性は、特に挿入体とチャンバーを接続する耐火性セメントによって得ることができる。しかし、チャンバー内の雰囲気がほぼ大気圧である場合には、完全な気密性は必ずしも必要ではない。そこで本発明は、チャンバーに少なくとも部分的に気密に、又は完全に気密に取り付けられた本発明の装置を備えるチャンバーにも関する。
特に、ウインドウは、挿入体の金属部分に固定することができる。この金属部分は、レーザー・ビームが通過する穴を備えている。したがって金属部分のこの穴は、金属部分全体を貫通している。挿入体は、チャンバーの壁の厚みの中に収容されるチューブ状部分を備えることができる。チューブ状部分の中空領域(チューブ状部分のチューブの内部)が、レーザー・ビームが通過する穴となる。このチューブ状部分は、特に、ウインドウを備える別の部分に接続することができる。これら2つの部分の接続はフランジを用いて実現できる。挿入体のチューブ状部分は炉内の温度に近い温度にさらされるため、この温度と熱衝撃に耐える材料で製造せねばならない。この材料は、金属部分の金属(標準的な鋼が可能)よりも耐火性のある材料であることが望ましい。その材料として、耐火性セラミック(特にムライト)、耐火性コンクリート、又は耐火性金属が可能である。挿入体は、ウインドウの材料に対して不活性なガスの入口を備えることができる。そのためウインドウは、使用中にチャンバーの高温雰囲気から保護される。例えばこのガスの流れが、ウインドウ(ウインドウでチャンバーの内側を向いた面)と分析する高温雰囲気の間に到達する。このガスは流量が少ないため(例えば0.1〜50Nm3/時)、高温雰囲気に向かわせてその高温雰囲気と混合してもチャンバー内のガス組成が実質的に変化することはない。例えばウインドウは、挿入体の金属部分に組み込むことができる。この金属部分は、レーザー光線が通過する穴を備えていて、場合によっては冷却水の箱も備えている。ウインドウが金属部分の穴を塞いでいて、レーザー・ビームはそのウインドウを通過することができる。したがってレーザー・ビームは、固体材料としてはウインドウにしか遭遇することなく、挿入体全体を通過することができる。ウインドウを保護するための不活性ガスの入口は、冷却水の箱とウインドウの間に配置することができる。それとは逆にすることも可能である。すなわち不活性ガスの入口とウインドウの間に冷却水の箱を配置することもできる。例えば挿入体は、金属部分に固定されたセラミック部分を備えることができる。そのセラミック部分は、チューブ状であってレーザー光線をその軸に沿って通過させることができ、チューブ状部分の軸は金属部分の穴を通過していて、挿入体は、セラミック部分がガス雰囲気の側を向くようにされる。したがって、本発明は、フッ化カルシウム、サファイア又はセレン化亜鉛から作られたウインドウと、穴を有する金属部分と、前記金属部分よりも耐火性の材料から作られたチューブ状部分を備えた挿入体であって、前記チューブ状部分は前記金属部分に固定されており、前記ウインドウは前記金属部分に組み込まれて金属部分の穴を塞ぎ、前記チューブ状部分の軸は前記金属部分の穴と前記ウインドウを通過し、前記金属部分は水の箱を備えることができ、前記金属部分は、前記ウインドウと前記チューブ状部分の間で前記金属部分の穴に通じているガスの入口を備えることができる挿入体にも関する。
レーザー・ビームに炉の上部空間を横断させることができる。そのときレーザー光線は、第1の側壁から、その第1の側壁と向かい合った第2の側壁に到達する。上流壁と下流壁の間でレーザー・ビームに炉の雰囲気全体を通過させることもできる。しかし炉のタイプに応じてレーザー・ビームに要求される軌跡は少し長くなりすぎる可能性があるため、出てくるビームは少し弱くなりすぎる可能性がある。なぜならレーザーが高温雰囲気を通過する距離は、1〜3mの範囲(両端の値を含む)の距離であることが好ましいからである。分析するガス雰囲気を取り囲む本発明の2つのウインドウの間の距離と、レーザー・ビームを入射するウインドウと、レーザー・ビームを受け入れるウインドウが問題である。したがって、例えばダクトやバーナーのポート、すなわち蓄熱室と炉を接続していて、バーナーへの空気取り込みポートとしてと、煙道ガスを蓄熱室に導く煙道ガス取り出しポートとして交互に機能するポートのように、煙道ガスの少なくとも一部が集められる位置にレーザー・ビームを配置することが望ましい可能性がある。この場合には、もちろん、レーザーによる本発明の測定は、(ダクトがバーナーの燃料としての空気の取り込み機能を持つときではなく)ダクトが煙道ガスの回収機能を持つときにしか実施されない。本発明のレーザー装置は、炉と復熱室の間の位置で煙道ガス用ダクトの中に配置することもできる。
本発明はまた、1200℃を超えるが一般に1700℃未満の温度のガス雰囲気中にある分子の濃度を本発明の装置によって測定する方法にも関する。この分子は、特にはCO、NO又はNO2であることができる。複数の分子を同時に分析することもできる。そうするには、一般にそれぞれが分析されるべき分子の吸収線を有する複数のレーザー源を使用して、さまざまなレーザー・ビームが分析されるべき高温雰囲気の中を通過するようにされる。さまざまなレーザー・ビームは、高温雰囲気の中を通過する前に組み合わせて単一のビームにしてもよい。
本発明はまた、バーナーを備えたガラス炉においてガラスを加熱し、本発明の測定方法によってその燃焼煙道ガスを分析する方法にも関する。
図1は、本発明の装置を備える炉1を示す。3〜24μmの波長範囲のレーザーを発生させる発生装置2がレーザー光線3を出し、挿入体5に固定されたウインドウ4を通過させる。挿入体5は、炉1の側壁6を貫通している。レーザー光線3は炉の高温雰囲気7を横断し、側壁6と向かい合った側壁10を貫通する挿入体9の中に設けられたウインドウ8を通って出ていく。出てくるレーザー・ビームは、次に、そのレーザー光線の吸収値をもとにして分析装置11によって分析され、雰囲気7中の所定のガスの濃度が明らかにされる。レーザー光線は、一群のミラー12によって向きを変えられて発生装置から分析装置まで送られる。
図2は、本発明の光学挿入体を示す。この挿入体は、耐火性セメント(Licofest MW95C又はLicofest H195C)からなるチューブ状部分20と、金属部分21を備えている。これら2つの部分は、フランジ・システム22によって互いに固定されている。耐火性セメントからなる部分20は、炉の壁の厚みの中に挿入される。このチューブ状部分の(軸に近い)中空領域は、レーザー・ビームの通路として機能する。金属部分21は、ウインドウ23の保持と冷却の機能を有する。ウインドウ23は、例えば直径50mm、厚さ3mmのフッ化カルシウム(CaF2)の円筒形単結晶で製造することができる。この金属部分は、レーザー・ビームが通過する(軸に近い)穴を備えている。ウインドウ23が金属部分の穴を塞いでいて、このウインドウをレーザー・ビームが通過する。ウインドウ23は、水の箱24と空気冷却システムにより、炉から来る高温ガスから保護される。水の箱は環状タイプである。すなわち水の箱は金属部分の穴のまわりに存在し、挿入体の軸に近い中心を塞ぐことはない。水の箱にはパイプ25を通じて水が供給され、その水はパイプ26を通って再び出ていく。パイプ27を通じて空気を注入する。ウインドウ23の正面から注入する空気の流量は、例えば約5Nm3/時である。注入された空気はその後、炉の高温雰囲気の中を通過する。空気のこの流れにより、炉から来るダストが挿入体の中に蓄積することが阻止される。挿入体から来て炉に注入される空気の量は、炉の内部雰囲気の体積と比べて無視できる。空気の入口は、金属部分の穴に通じており、ウインドウとチューブ状部分の間に位置する。図2では、ウインドウを保護するための空気の入口は、ガス雰囲気と水の箱の間に位置する。逆にすることも可能である。すなわち保護用空気の入口をウインドウ23にできるだけ近くし、水の箱を空気入口とガス雰囲気の間に配置することができる。図2の挿入体は、レーザー・ビームを出す機能、又はレーザー・ビームを受け取る機能を持つことができる。
図3は、本発明の文脈で使用できる馬蹄形吹き出し炉を上から見た図である。この炉は、上流面31と、2つの側方面32、32’と、下流面33を備えている。この炉には2つの同じ蓄熱室34、34’が並置して取り付けられていて、両方とも上流面の裏側に位置する。各蓄熱室は、上流面の半分の裏側に位置する。ガラス化材料を導入するために供給ポート36と36’が側壁32と32’に設けられている。これら供給ポートは、側壁の上流の最初の1/3以内に配置されている。融解浴の中に浸漬された状態になる障壁35が、炉の下流半分以内に設けられている。図3の場合には、炎は上流面の半分1aから出る。その炎は炉の雰囲気中で馬蹄形ループを形成し、上流面の残りの半分1bに向かって戻る。そのため煙道ガスは、上流面の半分1bの裏側に位置する蓄熱室34’を通過する。本発明による装置のレーザー・ビーム38は炉と蓄熱室34’の間の位置でダクトを横断し、煙道ガスの分析に使用される。蓄熱室34’の中の耐火レンガが十分に熱いとき、炉の動作は図4に示したように逆転する。この場合には、炎は上流面の半分1bから出て、煙道ガスの熱は別の蓄熱室34の中に回収される。そこで、レーザー・ビーム39を発生させる本発明の別の装置を使用する。この装置は、レーザー・ビームが炉と蓄熱室34’の間の位置でダクトを横断する配置になっている。炎の燃料は、蓄熱室34’を横断するときに加熱される空気である。ガラスは、炉の下流面に設けられた穴37を通って流出する。燃料の注入装置は図示していない。
図5は、横吹き出しバーナーを備える炉を上から見た図である。ガラス化材料は、側方壁の上流に位置する供給ポート15、15’を通じて導入される。多数の横吹き出しバーナー16が側方壁に取り付けられている。煙道ガスはダクト18によって回収され、復熱室17に送られる。ガラスは出口18から回収される。復熱室は熱交換器と同様にして機能することを想起しよう。煙道ガスは、空気を再加熱する通路を通過し、別の通路を通って横吹き出しバーナーに供給される。本発明による装置のレーザー19は、燃焼ガスを分析するためダクト18を横断する。
図6は、横吹き出しバーナーと蓄熱室を備える炉41を示している。炉41は、上流壁43と、下流壁44と、2つの側方壁45、45’を備えている。ガラス化材料は、標準的な装置(図示せず)によって上流壁43のすぐ上流から導入される。融解したガラス化材料は、図に矢印で示したように上流から下流に向かって流れる。ガラスは、変換ユニット(図示せず。板ガラスを製造するためのフロート・ガラス設備が可能である)に入る前に、熱調節を目的としたコンディショナー47の中を通過する。炉41は、2つの側方壁を貫通していて1つずつ順番に機能する4つの頭上バーナーからなる列を2つ備えている。各頭上バーナーは、パイプ68、68’によってガスを供給する少なくとも1つの燃料注入装置と、熱い空気の入口69、69’を備えている。各側壁の最初の2つのバーナーは、炉の最初の1/3以内の位置にあることがわかる(この最初の1/3の境界は、横断方向の点線48で示されている)。開口部69、69’は、熱い空気の入口と煙道ガスの回収口の役割を交互に果たす。これら開口部は、それぞれが蓄熱室50、50’に接続されている。壁45の注入装置が動作しているとき、壁45’の注入装置は動作しない。煙道ガスは側方壁45’の開口部69’の正面に来ると開口部69’を通過し、煙道ガスの熱が蓄熱室50に回収される。数十分後、炉の動作を逆転させる。すなわち壁45のバーナーの動作を停止させ(パイプ68を通過する燃料ガスを停止し、入口69を通過する空気を停止し)、パイプ68’から注入装置にガスを供給し、入口69’に熱い空気を供給することにより、壁45’の頭上バーナーを作動させる。空気は蓄熱室50によって再加熱されるため熱い。数十分後、炉の動作を再び逆転させ、その後も同様にする(逆転サイクルの繰り返し)。壁45’の中に位置するバーナーから出る煙道ガスを蓄熱室50が受け入れている間に、本発明の一連の装置70によりレーザー・ビームが入口69を横断して燃料ガスを分析することができる。それぞれの入口69に本発明の装置を1つ配置することができる。壁45の中に位置するバーナーから出る煙道ガスを蓄熱室50が受け入れている間に、本発明の一連の装置70’によりレーザー・ビームが入口69’を横断して燃料ガスを分析することができる。それぞれの入口69’に本発明の装置を1つ配置することができる。このシステムにより、このようにして各バーナーについて個々のガスが分析される。そのためバーナーは個別に調節することができる。
ガラス炉において実際の条件下で実施した実験から、ウインドウは、挿入体に取り付けると破れず、透明度がよく維持されることがわかった。ウインドウは、図2に示した挿入体のように、水の箱と、ウインドウ前の空気流による冷却装置とともに挿入体に取り付けた。実験中に測定したウインドウの温度は、炉の温度が1500℃のときに60℃であった。