JP2014509376A - スチレン−ブタジエン樹脂を含む防弾性物品および該物品を製造する方法 - Google Patents
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Abstract
前記繊維層の各々は、繊維のネットワークとマトリクス材料とを含み、
前記繊維は、ASTM D 7269−07に従って少なくとも800mN/tex(1100MPa)の強度を有し、
前記マトリクス材料は、少なくとも1種のスチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂と、少なくとも1種の粘着付与剤とを含む混合物を含む、防弾性物品を提供する。
同じ構造であるが粘着付与剤を含まないマトリクス材料を含む物品と比較して、本発明の物品は、未劣化状態および劣化状態の両方において繊維層間のより高い接着力、および水への浸漬後のより低い吸水性を備えている。また、さらに金属またはセラミックのプレートを含む物品は、弾道攻撃後、繊維層の層間剥離が最小であるかまたは示しさえしない。対照的に、同じ構造であるがスチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂を含まないマトリクス材料を含む物品は、繊維層の(非常に強い)内部層間剥離を示し、同じ構造の、スチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂を含むが粘着付与剤を含まないマトリクス材料による物品は、軽度の層間剥離を示す。
Description
さらに、水浸漬後の吸水性が低い防弾性シートが要求されている。
また、防弾性シートを金属またはセラミックのプレートに接合した場合に、プレート側からの弾丸攻撃後、プレート裏側の層には、より高い構造的完全性が要求されている。具体的には、弾丸攻撃後のプレート裏側の層には、層間剥離の程度がより低いことが要求されている。
さらに、驚くべきことに、本発明による防弾性物品は、同じ構造であるが粘着付与剤を含まないマトリクス材料を用いた防弾性物品と比較して、水浸漬後の吸水性が著しく低い。
本発明において「繊維」という用語は、その長さ寸法が、幅および厚さの横断寸法よりもはるかに大きい細長い物体を意味する。したがって、「繊維」には、モノフィラメント繊維、マルチフィラメント繊維、リボン、ストリップ、ステープルファイバーおよび前記の1種もしくは複数から作られる糸が含まれる。特に好ましい「繊維」は、マルチフィラメント糸を意味する。本発明に使用する「繊維」の横断面は、大きく異なっていてもよい。横断面としては、たとえば、円形、扁平、または長方形であり得る。これらはまた、例えば、フィラメントの縦軸から突出した1種もしくは複数の規則的または不規則的な丸い突出部を有する不規則的または規則的形状であってもよい。好ましくは、「繊維」は、実質的に円形の横断面を示す。
本発明の防弾性物品におけるマトリクス材料は、少なくとも1種のスチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂、すなわち、スチレンおよびブタジエンの共重合パラメータがスチレンおよびブタジエンの共重合体鎖においてランダム配列となっている共重合体と、少なくとも1種の粘着付与剤と、を含む混合物を含む。
第2の好ましい実施形態では、樹脂は、ブタジエンの小量部分が少なくとも1個のカルボキシル基を含み、スチレンおよびブタジエンをモノマーとして共重合することにより合成された共重合体である。
第3の好ましい実施形態では、樹脂は、スチレンおよびブタジエンの両方の小量部分が少なくとも1個のカルボキシル基を含み、スチレンおよびブタジエンをモノマーとして共重合することにより合成された共重合体である。
第6の好ましい実施形態では、樹脂は、ブタジエンおよび第3のモノマーの両方の小量部分が少なくとも1個のカルボキシル基を含み、スチレンおよびブタジエンならびに第3のモノマーを共重合することにより合成された共重合体である。
第7の好ましい実施形態では、樹脂は、スチレン、ブタジエン、および第3のモノマーそれぞれの小量部分が少なくとも1個のカルボキシル基を含み、スチレンおよびブタジエンならびに第3のモノマーを共重合することにより合成された共重合体である。
第8の好ましい実施形態では、少なくとも1種のカルボキシル化スチレン−ブタジエン樹脂は、第1、第2または第3の実施形態に属する少なくとも1種の共重合体と、第4、第5、第6、および第7の実施形態に属する少なくとも1種の共重合体の混合物である。
上に示すような少なくとも1種のカルボキシル化スチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂の全ての実施形態において、それぞれの共重合体に対する少なくとも1個のカルボキシル基を有するモノマーの重量パーセント(wt.%)は、一般的に低く、例えば、0.05重量%から10重量%の間であり、好ましくは5重量%以下から0.05重量%に至るまでの範囲である。あるいは、重量パーセントは、1重量%以下から0.05重量%以上の範囲である。
[式1]
cl=(wCOOH/wmonomer)・100(%)
・木の切り株(木質樹脂)、樹液(ガムロジン)、または製紙工程の副産物(トール油ロジン)のいずれかに由来するロジン樹脂であって、
・ロジン酸とアルコールとの間の反応により得られるロジンエステル
・ロジン酸原材料の水素化により得られる水素化ロジンエステル、または
・ロジン酸の二量体化から得られる二量体化ロジン樹脂、
・木材または柑橘類のいずれかのテルペン供給原料に由来するテルペン樹脂、あるいは
・NP−10、NP−25およびFN−175などのいくつかの名称で、Neville Chemical Company、USから市販されている炭化水素樹脂。
工程1:例えば、乳濁液として、カルボキシル化または非カルボキシル化スチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂であり得るスチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂を用意する。
工程2:任意選択により、カルボキシル化または非カルボキシル化スチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂であり得る別のスチレン−ブタジエンランダム共重合体を、例えば乳濁液として、工程1のスチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂とブレンドする。
工程3:例えば、水媒性分散液または乳濁液として、少なくとも1種の粘着付与剤を、攪拌しながら工程2のスチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂に添加する。
工程4:任意選択により、少なくとも1種の架橋剤を、「カルボキシル化または非カルボキシル化スチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂/粘着付与剤」混合物に添加する。
カルボキシル化スチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂は、例えば、Mallard Creek(米国)から商品名Rovene(登録商標)、Polymer Latex(ドイツ)から商品名Litex(登録商標)またはLipaton(登録商標)で市販されている。
本発明の防弾性物品のさらに好ましい実施形態では、単一繊維層の合計面密度は、好ましくは11g/m2から350g/m2、より好ましくは60g/m2から280g/m2、最も好ましくは111g/m2から230g/m2の範囲である。
本発明の防弾性物品のさらに好ましい実施形態では、熱可塑性材料を含み、好ましくは熱可塑性材料からなるスクリムを繊維層間に配置する。
繊維層間にスクリムを含む本発明の防弾性物品の好ましい実施形態では、少なくとも1種の粘着付与剤の量を、例えば、隣接する繊維層間の接着がスクリムを含まない場合と同じ程度まで減らすことができる。
ASTM D 7269に従って少なくとも800mN/tex(1100MPa)の強度を有する糸を、繊維軸方向に沿って互いに実質的に平行となるよう単一方向に整列させる。次いで、カルボキシル化または非カルボキシル化スチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂であり得る少なくとも1種のスチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂と、少なくとも1種の粘着付与剤と、を含む混合物を含む、好ましくはこの混合物のみからなるマトリクス材料にてコーティングし、単繊維層内にて繊維を互いに結合し、それによって単層の単一方向性繊維層を安定化する。単層の単一方向性繊維層を製造する好ましい実施形態では、マトリクス材料でコーティングする前、または間、あるいは後に、糸を広げることができる。コーティングは、例えば、リバースロールコーティング、浸漬、噴霧、または単一方向性繊維層を安定化する、すなわち、マトリクス材料を介して繊維を単一方向性繊維層となるよう接着させることができる他の任意の技術により達成することができる。マトリクスコーティングは、繊維を完全ではなく部分的にカプセル化する形態であってもよく、単一方向性繊維層の横断面にわたって均一である必要はない。例えば、マトリクス濃度は、単一方向性繊維層の上部および底部のほうが、単一方向性繊維層の中心部に向かう場所よりも高くてもよい。単一方向性繊維層の底部に比べて単一方向性繊維層の上部により多くのマトリクス材料が存在してもよく、逆であってもよい。単一方向性繊維層を調製した後に、カルボキシル化または非カルボキシル化スチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂であり得る少なくとも1種のスチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂の架橋反応を、架橋剤を前記少なくとも1種のスチレン−ブタジエン樹脂に添加することにより、または前記のように少なくとも1種のカルボキシル化スチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂の隣接ポリマー鎖のカルボキシル基により、行うことができる。
工程(1)で得られた2つの単一方向性繊維層を、0°から90°の範囲のクロスプライ角度でクロスプライするが、90℃とすることが好ましい。次いで、クロスプライした2つの単一方向性繊維層を、例えば、積層、圧縮、または2つの単一方向性繊維層間に接着を生じさせて接着性二層クロスプライを得ることができる他の任意の手順により、互いに接着する。この目的のために、50℃から225℃の温度範囲、0.5から10バールの圧力範囲、および5秒から200秒の時間範囲を、例えば、適用するマトリクス材料の粘着性および選択する粘着付与剤に応じて適用することができる。また、3以上の単一方向性繊維層を接着性クロスプライに製造することができる。例えば、4の単一方向性繊維層を互いに接着することができ、得られる接着性クロスプライは、例えば、(0°/90°/0°/90°)または(0°/90°/90°/0°)または(90°/0°/0°/90°)または(0°/0°/90°/90°)となるクロスプライ角度の配列を示し得る。
なお、本発明において「クロスプライ中」という用語は、クロスプライ手順の任意の適当な段階、例えば、積層手順中または圧縮手順中を意味する。
想定される弾丸攻撃に十分な防御力を有する、工程(2)で得られた複数の、例えば二層の、接着性のクロスプライを積層して得られた積層体を、例えば、圧密化パネルをもたらす圧力によって、パネルに圧密化する。圧密化は、例えば、等方加圧で、60℃から300℃の間、より好ましくは120℃から170℃の間の温度で、例えば、25バールから500バール、好ましくは25バールから100バールの値に維持された圧力で、例えば、15分から100分の間の時間、圧縮することにより行うことができる。架橋剤が存在する場合には、または架橋を少なくとも1種のカルボキシル化スチレン−ブタジエン樹脂の隣接ポリマー鎖のカルボキシル基により行う場合には、架橋反応が所望の程度起こるように、温度、圧力、および時間を選択すべきである。必要に応じて、圧縮中のパネルを、加圧下で、約50℃に冷却する。得られた圧密化パネルは、弾丸攻撃が想定される側と、内側とを有する。圧密化は、同じかまたは異なる接着性クロスプライを用いて行うことができる。異なる接着性クロスプライを用いる場合には、弾丸攻撃が想定される側により近い接着性クロスプライは、弾丸攻撃が想定される側から遠い接着性クロスプライとは異なる機械的特性、例えば、異なるTgを有する樹脂を含むことができる。後者の実施形態では、より硬く、より大きな剛性を有する接着性クロスプライ、すなわち、より高いTgを有するカルボキシル化または非カルボキシル化スチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂であり得るスチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂を含む接着性クロスプライを、弾丸攻撃が想定される側に向けて配置することができる一方で、硬くなく、可撓性の大きい接着性クロスプライ、すなわち、より低いTgを有するカルボキシル化または非カルボキシル化スチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂であり得るスチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂を含む接着性クロスプライを、弾丸攻撃が想定される側から遠くに、例えば、圧密化パネルの内側に配置することができる。
上記のように、本発明の方法における工程(1)に用いるスチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂は、カルボキシル化または非カルボキシル化スチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂であり得る。
本発明の方法のさらに好ましい実施形態では、工程(1)において、スチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂は非カルボキシル化スチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂である。
しかしながら、本発明の方法におけるさらなる実施形態では、架橋反応を、本発明の方法における工程(1)および工程(2)で行うことができる。この実施形態では、少なくとも1種のスチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂の部分的架橋を工程(1)で行い、工程(2)で架橋が完結する。
<比較例1>
a)単層の単一方向性繊維層(1L−UD)の製造
ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)マルチフィラメント糸(Twaron(登録商標)1000型;3360dtex f2000;製造業者:Teijin Aramid、NL)をクリールから取り出し、リードを通過させて互いに実質的に平行に整列させた。実質的に平行な糸を、リバースロールコーターを用いて、予備希釈した水性カルボキシル化スチレン−ブタジエンラテックス分散液(Rovene(登録商標)4019、固形分=52.0〜54.0重量%、粘度=580cps(Brookfield、スピンドルLV−2、20rpm、25℃);Tg=+14℃、結合スチレン=62%;製造業者:Mallard Creek Polymers、米国)でコーティングした。予備希釈したラテックス分散液は、水道水を用いて、Rovene(登録商標)4019の固形分が25重量%になるように希釈することにより得た。広げてコーティングした糸を、シリコーンコーティングした剥離紙上にレイアップし、120℃の温度に設定したホットプレート上に通すことにより乾燥し、単層の単一方向性繊維層(1L−UD)を得た。
a)で得られた2つの1L−UDを、90°のクロスプライ角度でクロスプライした。クロスプライした1L−UDを、加熱ゾーンに引き続いて圧縮ゾーンを有する平坦なベルトラミネーターに積層した。加熱ゾーンでは、クロスプライした1L−UDを120℃のホットベルトに接触させて15秒間加熱し、圧縮ゾーンでは、加熱したクロスプライした1L−UDを3.5バールのカレンダーロール圧力で圧縮し、最後に、冷却したベルトと接触させることで室温に冷却し、2つの1L−UDからの積層クロスプライを得た。
a)で得られた2つの1L−UDを、90°のクロスプライ角度でクロスプライし、プレス機に入れ、130℃および10バールで20分間圧縮した。プレス機が50℃に冷めるまで、2つの1L−UDは圧力下でプレス機中に留置した。次いで、プレス機を開き、2つの1L−UDからの圧縮クロスプライを得た。
b1)およびb2)で得られた積層または圧縮クロスプライにおける1L−UD間の接着力を、それぞれのクロスプライ手順により得られた直後に測定し、接着力(0)とした。
b1)およびb2)で得られた積層または圧縮クロスプライの一部を、最初に65℃および80%相対湿度の人工気候室中で27週間保管し、次いで、人工気候室から取り出し、20℃および65%相対湿度で24時間の条件で保管し、最後に、クロスプライにおける1L−UD間の接着力を測定して接着力(27)とした。
b1)で得られた積層クロスプライの吸水を、クロスプライ手順により得られた直後に測定した。
吸水率を測定するために、b1)から得られた積層クロスプライを最初に秤量して重量w1を得て、次いで、室温で24時間、0.3重量%塩化ナトリウム水溶液に浸漬し、引き続いて、周囲温度および相対湿度下で15分ドリップドライ、すなわち、クロスプライを前記条件下で15分間つるした。次いで、ドリップドライしたクロスプライを秤量して重量w2を得て、式(1)にしたがって吸水率を計算した。
[式2]
吸水率=([w2−w1]/w1)・100(%) (1)
比較例2は、Rovene 4176(登録商標)(固形分=48〜52重量%、粘度=300cps(Brookfield、スピンドルLV−2、20rpm、25℃);Tg=−23℃、結合スチレン=50%;製造業者:Mallard Creek Polymers、米国)を、カルボキシル化スチレン−ブタジエンラテックス分散液として適用したという違いを除いて、比較例1と同様に行った。
比較例3は、Prinlin(商標)B7137 ALをマトリクス材料に適用したという違いを除いて、比較例1と同様に行った。Prinlin(商標)B7137 ALは、ロジン、すなわち、粘着付与剤を含むスチレンイソプレンスチレンブロック共重合体の水性分散液である(固形分=43重量%、粘度=250cps(Brookfield、スピンドルLV−2、30rpm、23℃);スチレン:イソプレンの比=14:86;製造業者:Henkel、米国)。クロスプライの直後(接着力(0))、人工気候室中で27週間後(接着力(27))の接着力、および接着保持の結果を、積層クロスプライについては表1に、圧縮クロスプライについては表2に示す(表1および表2の両方において、「接着保持」項目は、式(2)により計算される)。
[式3]
接着保持=[接着力(27)/接着力(0)]・100(%) (2)
さらに、Rovene(登録商標)4019を含む積層クロスプライの吸水率は8.13%であり、Rovene(登録商標)4176を含む積層クロスプライの吸水率は7.89%であることが分かった一方で、Prinlin(商標)B7137 ALを含む積層クロスプライの吸水率は、22.9%であることが分かった。
a)8kg/m 2 圧縮パネルの製造
単層の単一方向性繊維層(1L−UD)を比較例1a)に記載のように製造した。すなわち、Rovene 4019(登録商標)をカルボキシル化スチレン−ブタジエンラテックス分散液として用いたことを意味する。1L−UDから積層クロスプライを、比較例1b1)に記載のように製造した。8kg/m2の面密度を有するパネルが得られるまでクロスプライを積層した。積層したパネルをプレス機に入れ、150℃および50バールで20分間圧縮した。プレス機が50℃に冷却されるまで、パネルを加圧下でプレス機中に留置した。次いで、プレス機を開き、圧縮パネルを得た。このようにして、6枚の圧縮パネルを製造した。
前記圧縮パネルのうちの3枚を、直接、すなわち未劣化状態で、以下のb)部に記載する方法にて3個の硬質防弾性物品にさらに加工した。前記圧縮パネルの他の3枚は最初に劣化させ、すなわち、65℃および80%の相対湿度の人工気候室中にて3箇月間保管し、次いで、以下のb)部で記載する方法にて3個の硬質防弾性物品にさらに加工した。
a)で得られた圧縮パネルの各々を、ThyssenKrupp Steel,DEから市販されている4mm厚さのSecure 500鋼フロントストライクプレート(500×500mm)に接合した。鋼プレートの面密度は32kg/m2であった。接合操作のために、パネルの接合側をプライマーとしてのSika(登録商標)209でコーティングし、次いで、鋼プレートおよびパネルの接合側の両方をSIKA Deutschland GmbH、DEから市販されているSikaflex(登録商標)228でコーティングした。
b)で得られた硬質防弾性物品を、v50、すなわち、弾丸の50%が停止した速度(m/s)を測定することにより、その耐防弾性能を評価した。使用する弾丸は、NIJ脅威レベル3の7.62×51mmソフトコア(NATO M80弾)0°傾斜度とした。v50の評価は、例えば、MIL STD 662Fに記載されている。
さらに、鋼プレートの後ろの圧縮パネル中の1L−UDの層間剥離挙動を、目視検査により評価した。「最小層間剥離」は、圧縮パネル中の1L−UD層の3%未満が層間剥離したことを意味する。「軽い層間剥離」は、圧縮パネル中の1L−UD層の5%未満が層間剥離したことを意味する。「内部層間剥離」は、圧縮パネル中の1L−UD層の30%超が層間剥離したことを意味する。「非常に強い内部層間剥離」は、圧縮パネル中の1L−UD層の70%超が層間剥離したことを意味する。
内部層間剥離およびさらに非常に強い内部層間剥離の両者は、耐防弾性物品の多衝撃能力に劇的に悪影響を与える。
実施例1は、マトリクス材料を形成するために用いる分散液を、90重量%のカルボキシル化スチレン−ブタジエンランダム共重合体Rovene(登録商標)4019と10重量%のAquatac(登録商標)6025との混合物としたという違いを除いて、比較例4と同様に行った。Aquatac(登録商標)6025は、約58重量%の粘着付与剤としてのロジンエステル、約39重量%の水、および4重量%未満の界面活性剤を含む水性分散液である。結果を表3に示す。
比較例5は、Rovene 4176(登録商標)をカルボキシル化スチレン−ブタジエンラテックス分散液として用いたという違いを除いて、比較例4と同様に行った。結果を表3に示す。
比較例6は、Prinlin(商標)B7137 ALをマトリクス材料に適用したという違いを除いて、比較例4と同様に行った。結果を表3に示す。
・カルボキシル化スチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂Rovene(登録商標)4019およびRovene(登録商標)4176のみ含むが、それぞれマトリクス材料中に粘着付与剤を含まない比較例4および5の硬質防弾性物品は、軽度の構造的層間剥離を示す。これは、前記比較の硬質防弾性物品の圧縮パネルにおける1L−UD層の5%未満が、層間剥離していることを意味する。
・スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体および粘着付与剤アビエチン酸を含むマトリクス材料Prinlin(商標)B7137 ALを含む比較例6の硬質防弾性物品は、
・未劣化状態では、内部層間剥離が生じ、具体的には、前記比較の硬質防弾性物品の圧縮パネルにおける1L−UD層の30%超が層間剥離し、
・劣化状態では、非常に強い内部層間剥離が生じ、具体的には、前記比較の硬質防弾性物品の圧縮パネルにおける1L−UD層の70%超が層間剥離した。
各々が8kg/m2の面密度を示す4枚の圧縮パネルを、比較例5のように、すなわち、Rovene(登録商標)4176を用いて製造した。前記パネルを劣化させた。すなわち、65℃および80%の相対湿度の人工気候室中で、3箇月間保管した。
劣化したパネルを、Etec Gesellschaft fur Technische Keramik GmbH,DEから得ることができる7mm厚さのALOTEC(登録商標)96 SBセラミックフロントプレート(500×500mm)に接合し、3個の硬質防弾性物品を製造した。セラミックプレートの面密度は26.3kg/m2であった。接合操作のために、セラミックプレートおよびパネルの接合側の両方をプライマーとしてのSika(登録商標)209でコーティングし、次いで、Biresin(登録商標)U−1305で両方コーティングした。Sika(登録商標)209およびBiresin(登録商標)U−1305の両方ともSIKA Deutschland GmbH,DEから市販されている。
得られた4個の硬質防弾性物品について、比較例4c)に記載のようにv50を測定して防弾性能を評価したところ、v50=956m/sであり、セラミックプレート後方の圧縮パネルにおける1L−UDには、軽度の変形が生じ、具体的には、前記比較の硬質防弾性物品の圧縮パネルにおける1L−UDの5%未満が層間剥離していた。
実施例2は、90重量%のRovene(登録商標)4019と10重量%のAquatac(登録商標)6025との混合物をマトリクス材料に用いたという違いを除いて、比較例1と同様に行った。得られた硬質防弾性物品は、最小の変形、具体的には、本発明の硬質防弾性物品の圧縮パネルにおける1L−UD層の3%未満が層間剥離している状態であり、また、850m/sのv50値を示した。
a)単層の単一方向性繊維層(1L−UD)の製造
ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)マルチフィラメント糸(Twaron(登録商標)1000型;3360dtex f2000;製造業者:Teijin Aramid,NL)をクリールから取り出し、リードを通過させて互いに実質的に平行に整列させた。実質的に平行な糸を、樹脂乳濁液を含む槽に浸漬した。樹脂乳濁液は、40重量%のRovene(登録商標)4176(Tg=−23℃;pH=9〜10)と60重量%のRovene(登録商標)4220(Tg=−26℃およびpH11〜12を有する)(製造業者:Mallard Creek Polymers、米国)との混合物からなっていた。Rovene(登録商標)4220は、非カルボキシル化スチレン−ブタジエンゴムであり、すなわち、カルボン酸基は含まない。浸漬した糸は、槽から出した後、ニップローラーに通し、広げた。乳濁液でコーティングした広げた糸を、シリコーンコーティングした剥離ライナー上にレイアップし、120℃の温度に設定したオーブンを用いて2から4分間乾燥し、単層の単一方向性繊維層(1L−UD)を得た。
1L−UDにおける樹脂濃度は、1L−UDの総重量基準で、すなわち、糸+マトリクスの重量に対して15.5から19重量%の範囲にあった。1L−UDにおけるポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)マルチフィラメント糸の面密度は、110±5g/m2であった。1L−UDの合計面密度は、121から137g/m2の範囲にあった。
a)で得られた2つの1L−UDを、90°±5°のクロスプライ角度でクロスプライした。クロスプライした1L−UDを、多重工程プロセスを用いてクロスプライ装置に積層した。第1の工程で、クロスプライした1L−UDを、いかなる圧力も印加することなく、92.5℃のホットプレートに近接接触させて5から15秒間加熱した。次いで、約1.1バールの圧力を5から15秒間印加し、最後に外気により室温に冷却して2枚の1L−UDから積層クロスプライを得た。
19.5kg/m2の面密度を有する381×381mmの寸法のパネルが得られるまで、b)で得られた積層クロスプライを積層した。積層したパネルをプレス機中に移し、30バールの圧力下、135℃の温度で30分間圧縮した。プレス機が30℃に冷却されるまで、パネルを加圧下でプレス機中に留置した。次いで、プレス機を開いて、圧縮パネルを得た。
c)で得られた圧縮パネルについて、2.851gの重さの30calのFSP脅威(MIL−P−46593A当たりとして)を用いてv50を測定し、その耐防弾性能を評価した。さらに、圧縮パネルの層間剥離挙動を、目視検査により評価した。結果を表4に示す。
実施例3は、工程a)で90重量%のRovene(登録商標)4176(Tg=−23℃;pH=9〜10)と10重量%の粘着付与剤Aquatac(登録商標)6025(製造業者:Arizona Chemicals(米国))とからなる乳濁液を用いたという違いを除いて、比較例8と同様に行った。1L−UDにおけるポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)マルチフィラメント糸の面密度は、110±5g/m2であった。1L−UDにおける樹脂濃度は、1L−UDの総重量基準で、すなわち、糸+マトリクスの重量に対して15.5から19重量%の範囲にあった。1L−UDの合計面密度は、121から127g/m2の範囲にあった。
結果を表4に示す。
比較例9は、工程a)で100重量%のBARRIER PRO/Rovene(登録商標)4560−3−1(Tg=−17℃およびpH8〜9を有する)(製造業者:Mallard Creek Polymers、米国)からなる乳濁液を用いたという違いを除いて、比較例8と同様に行った。BARRIER PRO/Rovene(登録商標)4560−3−1は、非染色性抗酸化剤を含む陰イオン性カルボキシル化スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスである。1L−UDにおけるポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)マルチフィラメント糸の面密度は110±5g/m2であった。1L−UDにおける樹脂濃度は、1L−UDの総重量基準で、すなわち、糸+マトリクスの重量に対して15.5から19重量%の範囲にあった。1L−UDの合計面密度は、121から127g/m2の範囲にあった。
結果を表4に示す。
実施例4は、工程a)で90重量%のRovene(登録商標)4019(Tg=+14℃;pH=7〜8)と10重量%の粘着付与剤Aquatac(登録商標)6025(Tg約25℃)とからなる乳濁液を用いたという違いを除いて、比較例8と同様に行った。1L−UDにおけるポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)マルチフィラメント糸の面密度は、110±5g/m2であった。1L−UDにおける樹脂濃度は、1L−UDの総重量基準で、すなわち、糸+マトリクスの重量に関して15.5から19重量%の範囲にあった。1L−UDの合計面密度は、121から127g/m2の範囲にあった。
結果を表4に示す。
実施例5は、工程a)で90重量%のRovene(登録商標)4019(Tg=+14℃;pH=7〜8)、5重量%の粘着付与剤Aquatac(登録商標)6025(Tg約25℃)、および5重量%の粘着付与剤Aquatac(登録商標)6085(Tg約85℃)からなる乳濁液を用いたという違いを除いて、比較例8と同様に行った。1L−UDにおけるポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)マルチフィラメント糸の面密度は、110±5g/m2であった。1L−UDにおける樹脂濃度は、1L−UDの総重量基準で、すなわち、糸+マトリクスの重量に対して15.5から19重量%の範囲にあった。1L−UDの合計面密度は、121から127g/m2の範囲にあった。
結果を表4に示す。
比較例10は、工程a)で60重量%のBARRIER PRO/Rovene(登録商標)4560−3−1(Tg=−17℃;pH=8〜9)と40重量%のRovene(登録商標)4019(Tg=+14℃;pH=7〜8)とからなる乳濁液を用いたという違いを除いて、比較例8と同様に行った。1L−UDにおけるポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)マルチフィラメント糸の面密度は、110±5g/m2であった。1L−UDにおける樹脂濃度は、1L−UDの総重量基準で、すなわち、糸+マトリクスの重量に対して15.5から19重量%の範囲にあった。1L−UDの合計面密度は、121から127g/m2の範囲にあった。
結果を表4に示す。
比較例11は、工程a)で40重量%のRovene(登録商標)4176(Tg=−23℃;pH=9〜10)と60重量%のBARRIER PRO/Rovene(登録商標)4560−3−1(Tg=−17℃;pH=8〜9)とからなる乳濁液を用いたという違いを除いて、比較例8と同様に行った。1L−UDにおけるポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)マルチフィラメント糸の面密度は、110±5g/m2であった。1L−UD中の樹脂濃度は、1L−UDの総重量基準で、すなわち、糸+マトリクスの重量に対して15.5から19重量%の範囲にあった。1L−UDの合計面密度は、121から127g/m2の範囲にあった。
結果を表4に示す。
実施例12は、工程a)で40重量%のRovene(登録商標)4220(Tg=−26℃;pH=11〜12)と60重量%のRovene(登録商標)4019(Tg=+14℃;pH=7〜8)とからなる乳濁液を用いたという違いを除いて、比較例8と同様に行った。Rovene(登録商標)4220は、非カルボキシル化スチレン−ブタジエン樹脂である。1L−UDにおけるポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)マルチフィラメント糸の面密度は、110±5g/m2であった。1L−UDにおける樹脂濃度は、1L−UDの総重量基準で、すなわち、糸+マトリクスの重量に対して15.5から19重量%の範囲にあった。1L−UDの合計面密度は、121から127g/m2の範囲にあった。結果を表4に示す。
実施例6は、工程a)で97重量%のRovene(登録商標)4176(Tg=−23℃;pH=9〜10)と3重量%の粘着付与剤Aquatac(登録商標)6025(Tg約25℃)とからなる乳濁液を用いたという違いを除いて、比較例8と同様に行った。1L−UDにおけるポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)マルチフィラメント糸の面密度は、110±5g/m2であった。1L−UDにおける樹脂濃度は、1L−UDの総重量基準で、すなわち、糸+マトリクスの重量に対して15.5から19重量%の範囲にあった。1L−UDの合計面密度は、121から127g/m2の範囲にあった。
結果を表4に示す。
実施例7は、工程a)で97重量%のRovene(登録商標)4019(Tg=+14℃;pH=7〜8)と3重量%の粘着付与剤Aquatac(登録商標)6025(Tg約25℃)とからなる乳濁液を用いたという違いを除いて、比較例8と同様に行った。1L−UDにおけるポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)マルチフィラメント糸の面密度は、110±5g/m2であった。1L−UDにおける樹脂濃度は、1L−UDの総重量基準で、すなわち、糸+マトリクスの重量に対して15.5から19重量%の範囲にあった。1L−UDの合計面密度は、121から127g/m2の範囲にあった。
結果を表4に示す。
比較例13は、工程a)で100重量%のPrinlin(商標)B7137 HV、すなわち、粘着付与剤としてアビエチン酸を含むスチレンイソプレンスチレンブロック共重合体の分散液からなる乳濁液を用いたという違いを除いて、比較例8と同様に行った。1L−UDにおけるポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)マルチフィラメント糸の面密度は、110±5g/m2であった。1L−UDにおける樹脂濃度は、1L−UDの総重量基準で、すなわち、糸+マトリクスの重量に対して15.5から19重量%の範囲にあった。1L−UDの合計面密度は、121から127g/m2の範囲にあった。
結果を表4に示す。
a)2層複合体の製造
以下の構造を有する布帛を用いた。
・平織、1×1
・ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)マルチフィラメント糸(Twaron(登録商標)2040 1100dtex)
・31×31(経糸および緯糸の両方において1インチ当たり31本の糸)
・289g/m2の面密度
前記布帛から、1インチ×8インチ(2.54cm×20.32cm)の布片を切断した。得られた布片を紙の上に置き、布片の幅の上部分の0.25〜0.5インチ縁をテープで固定した。
得られた2枚のコーティングした布片を、コーティングした側を互いに向かい合わせて置き、131℃の温度、4.9バールの圧力で1分間加熱圧密化し、室温に冷却して、649g/m2の面密度を有する2層複合体を得た。樹脂の重量パーセントは、12重量%であった。
上記様式で、6個の2層複合体を製造した。
前記複合体のうちの3個を、常圧下、空気中、室温(20℃)で保管した。
得られた複合体のうち3個を、70℃、300psi(20.7バール)、99.7%酸素中、5日間または10日間、ASTM D572−04による加速した化学および熱劣化に供した。
未劣化状態および劣化状態の2層複合体中の布帛間の接着力をそれぞれ、ASTM 1876−00により測定し、標準偏差と共にそれぞれの3個の複合体の算術平均として重量グラム(1重量グラム=9.807mN)を求めた。
接着力を測定するために、長さ方向に沿った積層体の1/2インチ部分を分離した。いったん2つの層を分離した後、1個の層材料が各クランプ間にあるように試験標本を試験装置のクランプに配置した。積層体をクランプ面に集中させた。次に、6インチの伸長まで10インチ/分の一定ヘッド速度の剥離荷重を印加した。接着力値は、5個のピーク値および5個のトラフ値に基づく平均値とした。
それぞれ649g/m2の面密度を有する2層複合体は、表5に示す接着力の測定結果を示した。
実施例8は、工程a)で95重量%のRovene(登録商標)4176と5重量%のAquatac(登録商標)6025との混合物を用いたという違いを除いて、比較例14と同様に行った。Aquatac(登録商標)6025は、約58重量%のロジンエステル、約39重量%の水、および4重量%未満の界面活性剤を含む水性分散液である。得られた2層複合体は、649g/m2の面密度を有し、マトリクス材料の重量パーセントは、12重量%であった。
接着力の測定結果を表5に示す。
実施例9は、工程a)で90重量%のRovene(登録商標)4176と10重量%のAquatac(登録商標)6025との混合物を用いたという違いを除いて、実施例8と同様に行った。得られた2層複合体は、649g/m2の面密度を有し、マトリクス材料の重量パーセントは、12重量%であった。
接着力の測定結果を表5に示す。
比較例15は、工程a)でRovene(登録商標)4220を用いたという違いを除いて、比較例14と同様に行った。Rovene(登録商標)4220は、Tg=−26℃を有する非カルボキシル化スチレン−ブタジエンゴムであり、pH11〜12を有する乳濁液として調達される。得られた2層複合体は、649g/m2の面密度を有し、マトリクス材料の重量パーセントは、12重量%であった。
接着力の測定結果を表5に示す。
実施例10は、工程a)で95重量%のRovene(登録商標)4220と5重量%のAquatac(登録商標)6025との混合物を用いたという違いを除いて、比較例15と同様に行った。得られた2層複合体は、649g/m2の面密度を有し、マトリクス材料の重量パーセントは、12重量%であった。
接着力の測定結果を表5に示す。
実施例11は、工程a)で90重量%のRovene(登録商標)4220と10重量%のAquatac(登録商標)6025との混合物を用いたという違いを除いて、実施例10と同様に行った。得られた2層複合体は、649g/m2の面密度を有し、マトリクス材料の重量パーセントは、12重量%であった。
接着力の測定結果を表5に示す。
1.粘着付与剤Aquatac(登録商標)6025を含むまたは含まないカルボキシル化スチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂Rovene(登録商標)4176の複合体
比較例14と実施例8および9との比較からは、常圧の空気中20℃で5日後の布帛間の接着力は、粘着付与剤Aquatac(登録商標)6025を、カルボキシル化スチレン−ブタジエンランダム共重合体Rovene(登録商標)4176に添加することにより、増加することが示される。
比較例14と実施例8および9との比較からは、粘着付与剤Aquatac(登録商標)6025を、カルボキシル化スチレン−ブタジエンランダム共重合体Rovene(登録商標)4176に添加すると、20.7バールのO2において70℃で5日保管した後の布帛間の接着力が増加することが示される。未劣化複合体と劣化複合体の接着力値の比較からは、以下が示される。
・粘着付与剤を含まない場合には、劣化により、2113から1943[重量グラム]までの接着力の減少、すなわち、8%の接着力の減少がもたらされた(比較例14参照)
・5重量%の粘着付与剤を含む場合には、劣化により、3280から3180[重量グラム]までの接着力の減少、すなわち、わずか3%の接着力の減少しか起こらなかった(実施例8参照)
・10重量%の粘着付与剤を含む場合には、劣化により、4577から4553[重量グラム]までの接着力の減少、すなわち、わずか0.5%の接着力の減少しか起こらなかった(実施例9参照)
比較例14における劣化試料と未劣化試料についての10日後の接着力値の比較は、3430から3567[重量g]までの接着力の増加、すなわち、4%の接着力の増加が示される。
実施例8における劣化試料と未劣化試料についての10日後の接着力値の比較は、2875から3415[重量g]までの接着力の増加、すなわち、19%の接着力の増加が示される。
実施例9における劣化試料と未劣化試料についての10日後の接着力値の比較は、3765から4815[重量g]までの接着力の増加、すなわち、28%の接着力の増加が示される。
実施例10および11と比較例15との比較からは、5または10重量%の非カルボキシル化スチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂Rovene 4220を、5または10重量%の粘着付与剤Aquatac(登録商標)6025で置換すれば、2層複合体における布帛の接着力を増加させる傾向があることが示される。
Claims (16)
- 複数の繊維層を含む防弾性物品であって、
前記繊維層の各々は、繊維のネットワークとマトリクス材料とを含み、
前記繊維は、ASTM D 7269−07に従って少なくとも800mN/tex(1100MPa)の強度を有し、
前記マトリクス材料は、少なくとも1種のスチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂と、少なくとも1種の粘着付与剤とを含む混合物を含む、防弾性物品。 - 前記スチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂が、カルボキシル化スチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂である、請求項1に記載の防弾性物品。
- 前記スチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂が、非カルボキシル化スチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂である、請求項1に記載の防弾性物品。
- 前記粘着付与剤が、ロジン樹脂、テルペン樹脂、および炭化水素樹脂からなる群から選択される、請求項1から3いずれか記載の防弾性物品。
- 前記粘着付与剤が、前記マトリクス材料中に、前記マトリクス材料の重量に対して1重量%から20重量%存在する、請求項1から4いずれか記載の防弾性物品。
- 前記繊維のネットワークが、繊維の単一方向性配列である、請求項1から5いずれか記載の防弾性物品。
- 前記繊維が、アラミド繊維である、請求項1から6いずれか記載の防弾性物品。
- 前記繊維が重量wfであり、前記マトリクス材料が重量wmである場合に、(wf+wm)に対する前記マトリクス材料の重量パーセントが、5重量%から50重量%である、請求項1から7いずれか記載の防弾性物品。
- 単一繊維層における前記繊維の面密度が、10g/m2から250g/m2である、請求項1から8いずれか記載の防弾性物品。
- 単一繊維層の合計面密度が、11g/m2から350g/m2である、請求項1から9いずれか記載の防弾性物品。
- 前記複数の繊維層からパネルが形成され、前記パネルが金属またはセラミックのプレートに接合されている、請求項1から10いずれか記載の防弾性物品。
- 熱可塑性材料を含むスクリムが、前記繊維層間に配置されている、請求項1から11いずれか記載の防弾性物品。
- (1)少なくとも1種のスチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂と、少なくとも1種の粘着付与剤とを含む混合物を含むマトリクス材料を含み、単一方向性繊維層を製造する工程と、
(2)工程(1)から得られた少なくとも2つの単一方向性繊維層から、接着性クロスプライを製造する工程と、
(3)工程(2)から得られた複数の接着性クロスプライから圧密化パネルを製造する工程と、必要に応じて、
(4)工程(3)から得られた前記圧密化パネルを、金属またはセラミックのプレートに接合して硬質防弾性物品を得る工程と、
を含む、請求項1から12いずれか記載の防弾性物品を製造する方法。 - 前記工程(1)におけるスチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂が、非カルボキシル化スチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂である、請求項13に記載の方法。
- 前記工程(1)におけるスチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂が、カルボキシル化スチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂である、請求項13に記載の方法。
- 前記少なくとも1種のスチレン−ブタジエンランダム共重合体樹脂の架橋反応が、前記工程(1)、(2)、または(3)の少なくとも1つに含まれている、請求項13から15いずれか記載の方法。
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