図1は、本開示に従った、有線及び無線のデータ通信のためのアンテナ及び伝送ラインとしてストリング配線を用いる例示の光起電性システム100を示す。この例示の実施形態において、システム100は複数のストリング102a〜102nを含む。各ストリング102a〜102nは、複数の光起電性パネル104a〜104m及び複数の電力コントローラ106a〜106mを含む。ストリング102a〜102nはアレイを形成し、このアレイが、太陽光又は任意の他の適切に明るい光源を用いて電力を生成する。各ストリング102a〜102nは、例えば、12個の光起電性パネル104a〜104m及び12個の電力コントローラ106a〜106mなど、任意の数の光起電性パネル104a〜104m及び任意の数の電力コントローラ106a〜106mを含み得る。
光起電性パネル104a〜104mは、ソーラーエネルギーを電気エネルギーに変換する。例えば、光起電性パネル104a〜104mは、ソーラーエネルギーをDC出力電圧及びDC出力電流など、直流(DC)エネルギーに変換可能である。各光起電性パネル104a〜104mは、ソーラーエネルギーを電気エネルギーに変換するための任意の適切な構造を含む。
電力コントローラ106a〜106mは、光起電性パネル104a〜104mに結合される。電力コントローラ106a〜106mは、光起電性パネル104a〜104mからのエネルギーを変化させるために電力変換を実行する。例えば、電力コントローラ106a〜106mは、光起電性パネル104a〜104mからストリング配線108に提供されるDC電圧又はDC電流を変化させ得る。電力コントローラ106a〜106mは、電力最適化など、他の特徴も実行し得る。例えば、最大又は最大に近い量の出力電力を提供する出力電圧及び出力電流を識別するために、最大電力点追尾(MPPT)を用いることができる。電力コントローラ106a〜106mの各々は、その関連付けられた光起電性パネル104a〜104mのための出力電圧及び出力電流を識別するために、局地的MPPT又は分散されたMPPTを実行し得る。電力コントローラ106a〜106mはまた、複数の光起電性パネル又はストリングに対して集中MPPTを実行する中央コントローラからのデータを受信し得る。
電力コントローラ106a〜106mの各々は、少なくとも1つの光起電性パネルから提供される電力を制御するための任意の適切な構造を含む。いくつかの実施形態において、電力コントローラ106a〜106mはDC−DCコンバータを含む。特定の例として、電力コントローラ106a〜106mは、ナショナルセミコンダクターコーポレーションのSolarMagic(商標)SM3320モジュールを含み得る。SM3320リファレンス設計は、付加的なハードウェア開発なしにファームウェア内の特徴を開発するための柔軟なプラットフォームを提供する。これらの特徴の例は、モジュールレベルモニタリング、セキュリティ(盗用の検出又は抑止など)、及び識別を含む。同様に、SM3320モジュールを任意の適切なモニタリングシステム又はインバータ通信プロトコルと互換可能にカスタマイズするために、このプラットフォームでのファームウェア開発を用いることができる。
各ストリング102a〜102n内のストリング配線108は、電力コントローラ106a〜106mを電力コンバイナ110に結合する。ストリング配線108は、DC電力を1つ又は複数の電力コントローラ106a〜106mから移送するための、任意の適切な導電性配線又は他の構造を表す。この例において、各ストリングのストリング配線108において電流フローを特定の方向に実質的に制限するために、ダイオード112が用いられる。ダイオード112は、オフにされているストリング内を流れるように動作しているストリングからの電流を防止するためにも時折用いられる。各ダイオード112は、電流フローを単一方向に実質的に制限するための任意の適切な構造を含む。
電力コンバイナ110は、ストリング102a〜102nから収集された電力を、電力コンバータ114に提供される単一の出力に組み合わせる。例えば、電力コンバイナ110は、ストリング102a〜102n内のストリング配線108を介して電力コントローラ106a〜106mからのDC電力を収集し、DC電圧及びDC電流を電力コンバータ114に出力する。電力コンバイナ110は、光起電性パネルの複数ストリングによって提供される電力を組み合わせるための任意の適切な構造を含む。
電力コンバータ114は、電力コンバイナ110によって提供された電力を他の形式に変換し、変換された電力を出力する。例えば、いくつかの実施形態において、電力コンバータ114は電気グリッドに結合され、電力コンバータ114(「インバータ」とも呼ばれる)は、電力コンバイナ110からのDC電力を電気グリッド用の交流(AC)電力に変換する。電力コンバータ114を用いる任意の他の変換が成され得ることに留意されたい。電力コンバータ114は、一つのものから他のものに変換するための任意の適切な構造を含む。
中央コントローラ116が、1つ又は複数の光起電性アレイのオペレーションを制御可能である。例えば、中央コントローラ116は、遠隔遮断スイッチ118及び無線通信装置120を含み得る。遠隔遮断スイッチ118は、ユーザによる起動が可能な手動スイッチを表し得、無線通信装置120は、遠隔遮断スイッチ118が起動されたとき遮断コマンドを送信し得る。それに応じてDC切断スイッチ122が開いて、電力コンバータ114から電力コンバイナ110を切断することができる。これにより、電力コンバータ114へのDC電力の伝送を効果的にブロックし、電力コンバータ114からのAC電力の伝送も停止する。また、遮断コマンドは、パネル104a〜104mによって生成される電力を各ストリング102a〜102n内のストリング配線108から効果的に切断し得る。これは、例えばメンテナンス中に、或いは誤動作又は他の問題に応答して、必要であり得る。
遠隔遮断スイッチ118は、ユーザによる起動が可能な任意の適切な構造を含む。DC切断スイッチ122は、電気接続を選択的に中断するための任意の適切な構造を含む。無線通信装置120は、信号を無線送信及び/又は無線受信するための任意の適切な構造を含む。無線通信装置120は、例えば、共有アンテナを介して通信する送信器及び受信器を含み得るが、個別のアンテナも用い得る。特定の例として、無線通信装置120は、ノルディックセミコンダクターの1つ又は複数のnRF2723又は他のモジュールを用いて印刷回路基板上に実装され得る。
中央コントローラ116は、制御論理124も含む。制御論理124は、中央コントローラ116において任意の適切な機能性を実装し得る。例えば、上記で説明したように、制御論理124は、例えば電力コントローラ106a〜106mから受信したデータを用いることによるなど、1つ又は複数のストリング102a〜102n内の電力コントローラ106a〜106mに対する集中MPPTを実行し得る。制御論理124は、中央コントローラ116において任意の他の又は付加的な機能を実行し得る。制御論理124は、光起電性システム100に関する制御オペレーションを提供するための任意の適切な構造を含む。例えば、制御論理124は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブル・ゲートアレイ、又は特定用途向け集積回路を含み得る。
光起電性パネル104a〜104mに関連付けられた電力コントローラ106a〜106mとの一方向又は双方向通信を有することが、しばしば必要であるか又は望ましい。これは、任意数の特徴、例えば電力コントローラに対して、光起電性パネルの状況を報告すること、コントローラの状況を報告すること、又はファームウェアをダウンロードすることなどをサポートするために用いられ得る。他の特徴は、大気温度などのモニタリングされた特性を報告すること、制御の必要性の予測を報告すること、電力送達をオン又はオフにするためのコマンドを提供すること、或いは、ストリング回路を開く又は閉じるためのコマンドを提供することを含み得る。更に他の特徴は、侵入者の存在を報告すること、或いはアーク放電又はコロナの検出を報告することを含み得る。双方向通信は、例えば、或るコマンドが電力コントローラ106a〜106mによって局地的に実行されていることを示す確認(acknowledgement)の使用をサポートすることが望ましい可能性がある。これは特に、システム100において電力が切断されていることを保証するために確認され得る遮断コマンドに有用であり得る。遮断コマンドは、システム100の電源が切断される、設置、メンテナンス、又は緊急状態時に有用であり得る。
しかしながら、アレイ内の各電力コントローラ106a〜106mに有線接続を提供することは、特に大型アレイ内の光起電性パネル及び電力コントローラの数が与えられた場合、典型的には法外なコストとなり得る。更に、光起電性パネルの遮蔽により、無線通信はしばしば困難である。
オペレーションの一態様において、各ストリング102a〜102n内の電力コントローラ106a〜106mは、例えば、中央コントローラ116を用いるか又は異なるストリング内の電力コントローラ106a〜106mを用いるなど、無線で通信可能である。各ストリング102a〜102n内の電力コントローラ106a〜106mは、そのストリングのストリング配線108を無線通信用のアンテナとして用いことができる。この場合、ストリング配線108は、電力コントローラからの信号がより自由に発せられるように光起電性パネルの影から遠くへと移動させる。
オペレーションの第2の態様において、ストリング102a〜102n内の電力コントローラ106a〜106mは、ストリング配線108を用いて互いに通信可能である。例えば、1つの電力コントローラは、ストリング配線108をアンテナとして用いてデータを無線で受信し得、その電力コントローラはストリング配線108を用いてそのデータを他の電力コントローラへと中継し得る。これにより、ある距離から信号を受信する電力コントローラが、その信号を受信していない可能性のある近傍の電力コントローラへと信号を中継できるようになる。1つの電力コントローラがデータメッセージを受信する限り、同じストリング内のすべての他の電力コントローラがメッセージを受信できることをほぼ100%確実に保証し得る。
オペレーションの第3の態様において、ストリング配線108を介するデータの無線伝送は、中央コントローラ116との無線通信のみならず、ストリング102a〜102n間の無線通信を実行可能にする。これにより、1つのストリング内の電力コントローラ106a〜106mが、他のストリング内の電力コントローラ106a〜106mと通信することが可能となる。
アンテナとしてのストリング配線108の使用は、直観に反しているように思われる。多くの無線通信装置は50Ωの入力回路を有するが、アンテナ(ストリング配線108)はランダムな長さを有し得るため、入力回路の接続点に対してランダムなインピーダンス値を提示し得る。更に、光起電性パネルのジャンクションボックス内の無線通信装置とアンテナとの間の近似インピーダンスマッチを維持するために自動調整システムを用いることも、(サイズ及びコストの制約によって)困難な可能性がある。加えて、典型的にはストリング配線の長さ又は向きを制御するための実用的な方法がないため、アンテナの放射パターンを効果的に制御することができない。また、これらはすべてマルチパス環境内で発生することになる。
しかしながら、ストリング配線108が光起電性パネル104a〜104mから遠くへ移動するという事実により、ストリング配線108は光起電性パネルの陰から離れて無線信号を伝導及び受信可能である。結果として、光起電性パネル104a〜104mの遮蔽が、ストリング配線108を用いる無線の送信又は受信に与える影響は低くなる。また、電力コントローラ106a〜106mが光起電性パネルのジャンクションボックス内部に設置される場合でも、電力コントローラ106a〜106mと中央コントローラ116との間、又は電力コントローラ106a〜106m間の適切な無線範囲が得られる。特定の実施形態において、マルチパス環境において1mW無線を用いる伝送でも200フィートから350フィート又はそれ以上の範囲が得られる。これにより、多くの光起電性システムにおいて適切であり得、異なる実装を用いてより長い範囲が得られる。また、これにより、光起電性パネルのジャンクションボックスに結合されるか又は印刷回路基板に印刷されるか、又は印刷回路基板に取り付けられる小型の専用アンテナを用いて達成可能な範囲よりも、長い範囲を提示し得る。
このように、無線通信は、ストリング102a〜102nのすべてのパネルと中央コントローラ116との間、並びにストリング102a〜102n間で、実行可能である。また、データメッセージはストリング内及びストリング間で中継可能であり、各メッセージの所期の宛先がこのメッセージを直接又は間接的に受信する可能性があることを保証するのに役立つ。この機能性の特定の例として、通常の状況下で、中央コントローラ116は、出力電力が生成され得ること及び電力コンバイナ110に提供され得ることを示す信号を、各ストリング102a〜102n内の各電力コントローラ106a〜106mに送信することができる。緊急状態が生じた場合、中央コントローラ116は遮断コマンドをすべての電力コントローラ106a〜106mに送信可能であり、これによって電力コントローラの出力を切断し、理論的にはDC電圧を安全なレベルまで下げる。その後、電力コントローラ106a〜106mから中央コントローラ116に確認メッセージが提供され得、これにより、すべての電力コントローラ106a〜106mが遮断コマンドに確認したかどうかを作業員が検証できる。
任意の適切なデータメッセージをシステム100内で任意の適切な形式で伝送可能である。データメッセージは、システム100(例えば誤動作している機器など)又はシステムの環境(例えば侵入者の存在など)に伴う問題を識別する警告メッセージを含み得る。データメッセージは、コマンド及び関連する確認も含み得る。データメッセージは、センサー測定値又は任意の他のデータを更に含み得る。データメッセージは、例えば8バイト又は32バイトメッセージなど、任意の適切なサイズ及び形式を有し得る。
必須ではないが、システム100は1つ又は複数の無線リピータ126も含み得る。各リピータ126は、例えば、ストリング102a〜102nと中央コントローラ116との間の無線範囲に拡張し得る無線信号を受信し、その後これを再送信し得る。各リピータ126は、無線信号を受信及び送信するための任意の適切な構造を含み得る。例えば、各リピータ126は、マスト、アンテナ、ストア及び転送機能性を備えた受信器、送信器(恐らくは低速)、並びに電源を含み得る。例えば再充電可能バッテリー及び超小型(数平方インチ)ソーラーパネルなどの任意の適切な電源が用いられ得る。各リピータ126は、任意の適切な範囲、例えば150〜350フィート、を有し得る。各リピータ126はまた、例えば1000〜1800個のパネルなど、任意の数の光起電性パネルをサービスし得る。複数のリピータ126が、例えばいくつかのリピータ126が(パネル辺りで異なる伝搬角度を得るために)光起電性パネルのクラスタ辺りの戦略的位置に配され、他のリピータ126が特定の間隔で並べて配される場合など、任意の適切な構成で配され得る。各リピータ126はまた、例えばマルチパス・フェージングパターンからヌルを満たすために、無線波長の2分の1の奇数倍の間隔が空けられたデュアルアンテナなど、複数のアンテナを有し得る(中央コントローラ116において同様のアンテナ配置を用い得ることに留意されたい)。
特定の実施形態において、システム100内で以下のうちの様々な特徴がサポートされ得る。電力コントローラ106a〜106mはスリープモードに入り、非常に低い電流(例えば数マイクロアンペアなど)を用いることができ、電力ドレインは、制限付きの夜間利用のため(例えば侵入者検出のため)にストレージキャパシタの使用を許可し得る。更に、少数のリピータ126を用いることができるようにするために電力コントローラ106a〜106m用の無線通信範囲を約250から350フィートとし得、任意の適切なデータ伝送レート(例えば1bpsから2Mbpsなど)が用いられ得る。無線通信システムの存在により、結果としてハーベストエナジーの起こり得る損失を最小にすることができる。変調を用いて干渉の減少又は回避が可能であり、無線システムは(例えば、2.4GHz ISM帯域の使用によるなど)事実上世界中のすべての国で合法であり得る。更に、電力コントローラ106a〜106mに関連付けられた無線通信装置をストリング配線108に結合することにより、通信信号を搬送するための余分な配線が無いため、結果としてハーベスト電力損失がわずか又は皆無となり得る。加えて、電力コントローラを用いる無線通信の実装コストは、光起電性パネル当たり2USドル未満となり得る。
図1は、有線及び無線のデータ通信のためのアンテナ及び伝送ラインとしてストリング配線108を用いる光起電性システム100の一例を示すが、図1に対して様々な変更が成され得る。例えばシステム100は、任意の適切な構成内に、任意数のストリング、光起電性パネル、電力コントローラ、電力コンバイナ、電力コンバータ、中央コントローラ、及びリピータを含み得る。又、光起電性パネルと電力コントローラとの間には1対1の対応が示されているが、各電力コントローラは任意の数の光起電性パネルに結合され得る。
図2は、本開示に従った、有線及び無線のデータ通信のためのアンテナ及び伝送ラインとしてストリング配線108を用いる例示の光起電性パネル104a〜104cのストリングを示す。この例示の実施形態において、各光起電性パネル104a〜104cは関連するジャンクションボックス202を有し、ジャンクションボックス202は光起電性パネル104a〜104cのオペレーション中に用いられる様々な構成要素を含む。図2に示されるように、各ジャンクションボックス202が電力コントローラ204及び無線通信装置206を含む。電力コントローラ204は、例えば図1の電力コントローラ106a〜106mを表すことができる。
無線通信装置206は、電力コントローラ204との間の有線及び無線の通信をサポートする。例えば無線通信装置206は、ストリング配線108をアンテナとして用いて電力コントローラ204が中央コントローラ116と無線で通信できるようにし得る。無線通信装置206は、例えば1つの電力コントローラ204によって受信された情報を他の電力コントローラ204に中継するように、ストリング配線108を介して同じストリング内の電力コントローラ204が互いに通信できるようにもし得る。更に無線通信装置206は、例えば1つのストリング内の電力コントローラ204によって受信された情報を他のストリング内の電力コントローラ204に中継するように、1つのストリング内の電力コントローラ204が他のストリング内の電力コントローラ204と無線で通信できるようにもし得る。
各無線通信装置206は、単方向又は双方向の無線通信をサポートする任意の適切な構造を含む。各無線通信装置206は、例えばガウス周波数シフトキーイング(GFSK)又は他の変調など、任意の適切な変調方式もサポートし得る。無線通信装置206は、送信器、受信器、又はトランシーバを表し得る。いくつかの実施形態において、無線通信装置206は、狭帯域変調又は(周波数ホッピングを伴うか又は伴わない)直接シーケンススペクトル拡散を用いる2.4GHzトランシーバを表す。特定の例として、各無線通信装置206は、2.4GHz無線及び単一チップ上の埋め込み型8051対応マイクロコントローラを含む、ノルディックセミコンダクターのnRF24LE1チップを表し得る。このチップは狭帯域変調を用い、8051マイクロコントローラを用いる遠隔遮断特徴をサポートしている。2.4GHzを用いる狭帯域変調は、少なくとも200の無線チャネルを提供し得、WiFi及びZigBee規格の下で動作する一般向けサービスによっては用いられない狭スペクトルスロット内でのオペレーションを可能にし得る。しかしながら、任意の他の適切な無線通信装置及び無線周波数が用いられ得ることに留意されたい。
2つのRFチョーク208〜210が、各ジャンクションボックス202をストリング配線108に結合する。この例において、ストリング配線108はセグメントに分割され、各電力コントローラ204はRFチョーク208〜210によってストリング配線108の2つのセグメントに結合される。RFチョーク208〜210は、ストリング配線108上のRF信号が、例えば電力コントローラ204など、ジャンクションボックス202の様々な構成要素に到達するのをブロックするのに役立つ。しかしながら、無線通信装置206はRFチョーク208〜210の外側のストリング配線108に結合され、無線通信装置206がストリング配線108上のRF信号を受信できるようにする。各RFチョーク208〜210は、RF信号を少なくとも実質的にブロックするための任意の適切な構造を含む。
図2は、有線及び無線のデータ通信のためのアンテナ及び伝送ラインとしてストリング配線108を用いる例示の光起電性パネル104a〜104cのストリングを示すが、図2に対して様々な変更が成され得る。例えば、ストリングは任意数の光起電性パネルを含み得る。又、単一のジャンクションボックス202は1つ又は複数の光起電性パネルに関連付けられ得る。更に構成要素204〜210は、すべてが共通構造(ジャンクションボックス202)内に存在する必要はない。加えて、RF信号の使用は単に例示のためである。
図3は、本開示に従った、有線及び無線のデータ通信のためのアンテナ及び伝送ラインとしてストリング配線108を用いる光起電性パネルのために、ジャンクションボックス202内に設置される例示のアセンブリを示す。この例示の実施形態において、ジャンクションボックス202は電力コントローラ204及び無線通信装置206を含む。特定の実施形態において、電力コントローラ204はナショナルセミコンダクターコーポレーションのSolarMagic(商標)SM72442プログラマブルMPPTコントローラを表し得、無線通信装置206はノルディックセミコンダクターのnRF24LE1無線通信装置を表し得る。nRF24LE1無線はSolarMagic(商標)SM3320内に配置され得、強制遮断及びパネルモードオペレーションを制御する受信器として用いられ得る。マイクロコントローラから2つのGPIO出力(P0.0及びP0.1)は、遮断又はパネルモード信号をSM72442コントローラに送信するために用いられ得る。遮断信号は、SM72442コントローラから発せられているPWM信号を非活動化するために、RESETピンをローにプルすることができる。SM72442コントローラのPTピンをローにプルすることによって、SM72442コントローラ内のパネルモードオペレーションを強制し得る。
キャパシタ302、インダクタ304、及びバランネットワーク306が、無線通信装置206をストリング配線108に結合する。キャパシタ302は、任意の適切なキャパシタンスを有する任意の適切な容量性構造を表す。インダクタ304は、任意の適切なインダクタンスを有する任意の適切な誘導性構造を表す。バランネットワーク306は、無線通信装置206からの平衡出力を、この例では不平衡であるストリング配線108に結合する。バランネットワーク306は、平衡信号及び不平衡信号を結合するための任意の適切な構造を含む。ここでインダクタ304は、無線通信装置の出力の短絡回路が接地するのを防ぐために用いられる。インダクタ304は、ストリング配線108と出力端子OUT−との間に配置される。出力端子OUT+及びOUT−は電力コントローラ104の正及び負の出力を表し、これらの出力は、ストリング配線108に結合される正及び負の端子308a〜308bにフィードするために用いられる。
バイパスキャパシタ310が出力端子OUT−と接地との間に結合される。キャパシタ302、310、及びインダクタ304は、RF信号をDC電力フィードに短絡させることなく負のストリング配線端子308bへ及び負のストリング配線端子308bから結合するためにLネットワークを作成する。Lネットワークは、無線通信装置206とストリング配線アンテナとの間により良い近似マッチを提供するためにも役立つ。同時に、それらはDC電力を電力フィードからストリング配線108に搬送する。正のストリング配線端子308aは、1つ又は複数の接地平面を介してRFについての戻りを無線通信装置206に提供するため、接地へのバイパスキャパシタ314を有し得る。この回路は、ストリング配線108を、ストリング配線108の複数のセグメントを利用して、ダイポールアンテナに変換し得る(しかしながら、単一のセグメントのみも用いられ得ることに留意されたい)。端子308a〜308bはストリング配線108に結合され、光起電性パネルからの電力をストリング配線108に提供する。図2のチョーク208〜210は、Lネットワークによって表され得る。
ここでレイアウトは、近傍の接地平面が利用可能であることを想定することに留意されたい。近傍の層が電力平面である場合、1つ又は複数のバイパスキャパシタ(例えば3つの0.01μF及び3つの100pFキャパシタなど)が、無線通信装置206近くで接地と電力平面との間に追加され得る。又、RFトレース及びその周囲の平面からの距離は、(共面接地フロアが計算に含まれていない限り)ラインインピーダンスを低下させる共面結合を避けるために、RFトレースの幅の少なくとも2倍とされ得る。加えて、無線通信装置206の水晶発振器に入るトレースは、低温でのより信頼できる始動のために、ラインインダクタンスを低下させるだけの充分な幅(例えば約15ミルなど)であり得る。他方で、これらのトレースを増加させることによって接地へのラインキャパシタンスも増加させ得、これも同様に始動に影響を与える可能性がある。しかしながらこの影響は、nRF24LE1無線通信装置のピン28及び29に結合されたキャパシタのキャパシタンスを低下させることなどによって、反対に作用する可能性がある。
ジャンクションボックス202は、ここでは電源316も含む。電源316はジャンクションボックス202内の様々な構成要素、例えば無線通信装置206など、に電力を供給することができる。いくつかの実施形態において、無線通信装置206は、日中には光起電性パネルによってハーベストされるエネルギーによってフィードされ、夜間或いは、光起電性パネルがエネルギーを殆ど又はまったくハーベストしていない他の時間には、電源316によってフィードされる。電源316は、動作電力を少なくとも無線通信装置に供給するための任意の適切な構造、例えばバッテリー又は高額キャパシタなど、を含む。
無線通信装置206は、ここでは通信コントローラ318を含む。コントローラ318は、データの無線通信に関連付けられた様々な特徴を実行するために用いられ得る。例えばコントローラ318は、変調、暗号化、又は他の特徴を制御し得る。他の例として、いくつかの実施形態において、無線通信装置206はストリング配線108に対する固定RFマッチングを有し得る。他の実施形態において、より大きな無線範囲を達成するため、ストリング配線108へのより効率的な結合を得るために、可変インピーダンスマッチングシステムが用いられ得る。インピーダンスマッチングシステムは、例えば、キャパシタ302をバラクタダイオードに置き換え可能であり、定在波比ブリッジが信号経路内に含まれ得る。インピーダンスマッチングシステムを制御するために、制御メカニズム(例えば通信コントローラ318など)が用いられ得る。通信コントローラ318は、任意の他の機能又は追加的な機能を実行し得る。
図3は、有線及び無線のデータ通信のためのアンテナ及び伝送ラインとしてストリング配線108を用いる光起電性パネルのために、ジャンクションボックス202内に設置されるアセンブリの一例を示すが、図3に対して様々な変更が成され得る。例えば、無線通信装置206をストリング配線108に結合するために、任意の他の適切な構成要素が用いられ得る。
図4は、本開示に従った、有線及び無線のデータ通信のためのアンテナ及び伝送ラインとしてストリング配線108を用いる光起電性パネルのための例示の無線通信装置206を示す。この例において、構成要素402〜410は、クロックソース402、シフトレジスタ404、電圧制御発振器(VCO)406、結晶(XTAL)発振器408、及び周波数逓倍器410を含む、送信器を形成する。クロックソース402は、任意の適切な周波数、1Hzなどのなお一層低い周波数、を有するクロック信号を提供する。シフトレジスタ404は、VCO406用の制御として用いられる、入力データをシフトするためにクロック信号を用いる。VCO406の出力は、結晶発振器408をオン及びオフにするために用いられ、結晶発振器408の出力は、周波数逓倍器410によって周波数が増加される。周波数逓倍器410は、無線伝送用のアンテナ(ストリング配線108)に信号を出力する。
構成要素412〜440は、アンテナ(ストリング配線108)に結合するため、及びアンテナからの入力信号を受信するための、マッチング回路及びフロントエンドフィルタ412を含む、受信器を形成する。RFプリアンプ414が入力信号を増幅し、ミキサー416が、入力信号を、周波数逓倍器420によって修正された結晶発振器418からの信号とを混合して、中間周波数(IF)信号を生成する。IF信号は、例えば約10.7MHzなど、任意の適切な周波数を有し得る。IF信号はIFフィルタ422によってフィルタリングされ、IF増幅器424によって増幅される。
振幅変調(AM)検出器426が、IF信号から回復されたAM変調データを検出し、出力する。このデータは、RFプリアンプ414及びIF増幅器424のオペレーションを調節するために、自動利得制御(AGC)サーボ428によって用いられ得る。このデータは、例えば2kHz幅の1kHzバンドパスフィルタなどの、フィルタ430にも提供される。フィルタリングされたデータは、位相ロックループ(PLL)周波数変調(FM)検出器432に提供され、検出器432は、回復されたデータをレベルシフタ434に提供する。レベルシフタ434は、データの信号レベルをシフトし、シフトされたデータをシフトレジスタ436及びクロックソース438に提供する。クロックソース438は、任意の適切な周波数、1Hzなどのなお一層低い周波数、を有するクロック信号を提供する。シフトレジスタ436は、クロック信号に基づいてデータ値をシフトし、その値を検出器440に出力し、検出器440は、回復されたデータが特定のパターンにマッチするかどうかを示す信号を出力する。
この例において、無線通信装置206は極端な狭帯域、恐らくは約1ヘルツ又は数ヘルツ、であり得る。信号をIFフィルタに置くために必要とされる周波数安定性が高いことによるローカル発振器の場合と同様、IFフィルタは高価であるため、極端な狭帯域受信器は非常に高価であり得る。これらはすべて、例えば光起電性システム内について存在するなど、特に広範囲の温度要件について真である。しかしながらこれらの問題は、振幅変調副搬送波システムを用いることによって回避され得る。通常、振幅変調は周波数変調よりも劣ると想定される。しかしながら、本願では、振幅変調を用いることにより、検出器426の前のSNRに関係なく、AM検出器426後の入力信号の信号対雑音比(SNR)は、AM検出器426前のものより約3dB低くなり得る。また、狭帯域AM信号はIFパスバンド内のどの箇所でも可能であり、ローカル発振器の周波数安定性要件を緩和する。低コストVHF又はUHF受信器は、3dBのシステムノイズと、約300kHzに等しいIFパスバンドとを有し得る。これは、6dB SNRについて、受信器入力の信号が約−110dBm(50Ωへの0.7μV)であればよいことを意味する。典型的には、低コスト機器の場合の300kHzのスペクトル幅は約100kbpsを処理し得るが、本願の場合、非常に低いレート(例えば1bpsなど)が用いられ得る。
VHF又はUHF搬送波信号が、2bpsを送信できるようにするために1Hzレートで±30Hzの周波数シフトキーイングされた、100Hz副搬送波によって振幅変調されるものと想定する。受信器入力の信号レベルが約−140dBm(50Ωへの0.022μV)である場合、AM検出器426にフィードするIF増幅器424の出力のSNRは、AM検出器の出力で−24dB及び−27dBとされ得る。受信器は、AM検出器426が過負荷なしに処理可能な最高レベルで信号プラス雑音を維持するために、AGC制御を用いることができる。このレベルが1V RMSである場合、100Hz副搬送波はAM検出器426を44.7mVにしておくが、300kHzの広帯域雑音は1V RMSに近い。AM検出器426に続き、フィルタ430は、雑音を2.6mV RMSまで低下させ、信号を44.7mVにしておくことができる。その後、PLL FM検出器432の出力はクリーンな1bps出力となり得、シフトレジスタ436によって出力されるデータは、そのデータが警告状態のパターン又は他のパターンにマッチするかどうかを判定するために、復号器440によって検査され得る。
図4は、有線及び無線のデータ通信のためのアンテナ及び伝送ラインとしてストリング配線108を用いる光起電性パネルのための無線通信装置206の一例を示すが、図4に対して様々な変更が成され得る。例えばこれは、光起電性パネルと共に用いられ得る1つの特定のタイプの無線通信装置206を表す。特に、これは低データレート情報を伝送するために周波数シフトキーイング信号の振幅変調を用いる、1つの特定のタイプの無線通信装置を表す。任意の他の適切な無線通信装置をここに用いることもできる。
図5は、本開示に従った、有線及び無線のデータ通信のためのアンテナ及び伝送ラインとして光起電性システムにおいてストリング配線を用いるための例示の方法500を示す。図5に示されるように、ステップ502で、データを含む無線信号が光起電性パネルに送信される。これは、例えば、中央コントローラ116が遮断コマンド或いは1つ又は複数のストリング102a〜102nに対する他のデータを含む無線信号をブロードキャストすることを含み得る。ステップ504で、無線信号は光起電性パネルストリングのストリング配線で受信される。これは、例えば、無線信号がストリング内の光起電性パネル104a〜104mによって遮蔽されないストリング配線108の部分によって受信されることを含み得る。無線信号は、ストリング配線内に電気信号を作成し、この信号が、ステップ506で、1つ又は複数の光起電性パネルに関連付けられた1つ又は複数の無線通信装置に提供される。無線通信装置は、ステップ508で、電気信号からこのデータを取得し、用いる。これは、例えば、無線通信装置206が、電気信号内に含まれるデータを復調し、このデータを電力コントローラ204に提供することを含み得る。これは、電力コントローラ204が、データを受信すること、遮断コマンド又は他のコマンドを認識すること、及びコマンドを実行することも含み得る。
ステップ510で、光起電性パネルから送信されるデータが取得される。これは、例えば、1つ又は複数の電力コントローラ204が、以前に実行されたコマンド又は他のデータに対する確認を生成すること、及びデータを無線通信装置206に提供することを含み得る。ステップ512で、データを表す電気信号が無線通信装置を用いて生成される。これは、例えば、無線通信装置206が、AM、FM、又は他の変調技法を用いてデータを変調することを含み得る。ステップ514で、電気信号がストリング配線を介して提供される。
この時点で、ステップ516で電気信号が近隣の光起電性パネルに送信され得る。この場合、ストリング配線108を介して1つの無線通信装置206によって出力される電気信号は、同じストリング配線108に接続された他の無線通信装置206によって受信及び処理され得る。ステップ518で、電気信号はまた、近隣の光起電性ストリング又は中央コントローラに無線で送信され得る。その場合、ストリング配線108を介して1つの無線通信装置206によって出力される電気信号は、近隣のストリングのストリング配線108に又は中央コントローラ116に無線で放射され得る。
このようにして、無線信号がストリング配線108を用いて光起電性パネルのストリングに送信され得、そのストリングから受信され得る。また、信号は、ストリング配線108を用いて(ストリング内及びストリング間の両方の)光起電性パネル間で中継され得る。
図5は、有線及び無線のデータ通信のためのアンテナ及び伝送ラインとして光起電性システム内でストリング配線108を用いるための方法500の一例を示すが、図5に対して様々な変更が成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、光起電性パネルとの通信は単方向であってもよい。また、図5内の様々なステップは、重複、並行する実行、異なる順序での実行、又は複数回の実行も可能である。
いくつかの実施形態において、上記で説明した様々な機能は、コンピュータ読み取り可能プログラムコードから形成される、及びコンピュータ読み取り可能媒体内に具体化される、コンピュータプログラムによって実装又はサポートされる。「コンピュータ読み取り可能プログラムコード」という語句は、ソースコード、オブジェクトコード、及び実行可能コードを含む、任意のタイプのコンピュータコードを含む。「コンピュータ読み取り可能媒体」という語句は、例えば、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、又は任意の他のタイプのメモリなど、コンピュータによりアクセス可能な任意のタイプの媒体を含む。
当業者であれば、説明した実施形態及び本発明の特許請求の範囲内で実装される多くの他の実施形態に対して、修正が実行可能であることを理解されよう。