ある種の実施態様では、R7、R8、R9、R10、およびR11がジュウテリウムである場合、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の少なくとも1個は、ジュウテリウムである。
一の実施態様では、d−ピルフェニドン療法を受けている患者における有害事象の可能性を減少させる方法であって、該d−ピルフェニドンが医薬組成物の形態である、方法が記載される。該方法は、例えば、患者へd−ピルフェニドンの治療有効量を食物と一緒に投与することを含む。ある種の実施態様では、該d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
一の実施態様では、d−ピルフェニドン療法を受けている患者における傾眠の可能性を減少させる方法であって、d−ピルフェニドンが医薬組成物の形態である、方法が記載される。該方法は、例えば、患者へd−ピルフェニドンの治療有効量を食物と一緒に投与することを含む。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
一の実施態様では、d−ピルフェニドン療法を受けている患者における吐気の可能性を減少させる方法であって、d−ピルフェニドンが医薬組成物の形態である、方法が記載される。該方法は、例えば、患者へd−ピルフェニドンの治療有効量を食物と一緒に投与することを含む。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
一の実施態様では、d−ピルフェニドン療法を受けている患者における頭痛の可能性を減少させる方法であって、d−ピルフェニドンが医薬組成物の形態である、方法が記載さえる。該方法は、例えば、患者へd−ピルフェニドンの治療有効量を食物と一緒に投与することを含む。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
いくつかの実施態様では、1種以上の有害作用の可能性が減少する。例えば、いくつかの実施態様では、吐気および傾眠の可能性が減少する。他の実施態様では、吐気および頭痛の可能性が減少する。さらに他の実施態様では、傾眠および頭痛の可能性が減少する。いくつかの実施態様では、吐気、傾眠および頭痛の可能性が減少する。
いくつかの実施態様では、該方法は、患者へd−ピルフェニドンを投与することを含み、ここで、該投与が、単位投与形態あたり約100mg〜約400mgのd−ピルフェニドンを与えることを含む。いくつかの実施態様では、該投与は、1個以上の単位投与形態を、1日1回以上、患者へ与えることを含む。一の実施態様では、該投与は、d−ピルフェニドンを含む1個以上のカプセル剤を、1日1回以上、患者へ与えることを含む。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
いくつかの実施態様では、該食物は、胃の中で急速に溶解したり吸収されたりしないように十分なカロリーおよび脂肪含有量をもつ固形食物である。かくして、いくつかの実施態様では、該食物は、食事であり、例えば、朝食、昼食または夕食である。
いくつかの実施態様では、d−ピルフェニドンの治療有効量が、食事の約1時間前から約2時間後までの間に患者へ投与される。いくつかの実施態様では、d−ピルフェニドンは、食物摂取から約30分以内、約15分以内に患者へ投与される。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
いくつかの実施態様では、本明細書に記載の方法は、さらに、処方医師、およびd−ピルフェニドンを摂った場合の有害事象を減少させるのに有用なd−ピルフェニドン療法を受けている患者へ情報を提供することを含む。好ましい実施態様では、該方法は、さらに、d−ピルフェニドンを食物と一緒に摂ることを患者にアドバイスすることを含む。いくつかの実施態様では、該方法は、さらに、d−ピルフェニドン療法に関連する有害事象を回避および/または最小化するために、d−ピルフェニドンを食物と一緒に摂ることを患者にアドバイスすることを含む。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
いくつかの実施態様では、該方法は、食物と一緒に投与することにより有害事象の可能性を減少させるということをアドバイスする印刷されたラベルを伴う容器中にて当該組成物を患者へ提供することを包含する。いくつかの実施態様では、該方法は、食物摂取の約1時間前から約2時間後の間に当該医薬組成物を投与すべきであることを患者にアドバイスする印刷されたラベルを伴う容器中にて当該医薬組成物を患者へ提供することを含む。いくつかの実施態様では、該方法は、実質的に食物摂取と同時に当該医薬組成物を投与すべきであることを患者にアドバイスする印刷されたラベルを伴う容器中にて当該医薬組成物を患者へ提供することを含む。
もう1つの実施態様は、容器を含む製品またはキットであって、該容器が、d−ピルフェニドンを含む単位投与形態の医薬組成物、および当該組成物を食物と一緒に摂った場合と一緒に摂らなかった場合では副作用が異なることをアドバイスする印刷された使用説明書を保持する、製品またはキットを提供する。いくつかの実施態様では、印刷された使用説明書は、胃の不調または傾眠が生じた場合に当該組成物を食物と一緒に摂ることを患者へアドバイスする。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
いくつかの実施態様では、印刷された使用説明書は、さらに、当該組成物を食物と一緒に投与することにより有害事象の可能性が減少することを患者にアドバイスする。いくつかの実施態様では、印刷された使用説明書は、食物摂取の約1時間前から約2時間後の間に当該組成物を摂るように患者にアドバイスする。いくつかの実施態様では、該印刷された使用説明書は、食物摂取と実質的に同時に当該組成物を摂ることを患者にアドバイスする。いくつかの実施態様では、印刷された使用説明書は、食物摂取の約30分前から約2時間後の間に当該組成物を摂ることを患者にアドバイスする。いくつかの実施態様では、印刷された使用説明書は、食物摂取の直後から1時間後までに当該組成物を摂ることを患者にアドバイスする。いくつかの実施態様では、印刷された使用説明書は、当該組成物を食事と一緒に摂ることを患者にアドバイスする。
いくつかの実施態様では、印刷された使用説明書は、1個以上のカプセル剤を、1日2回、摂ることを患者にアドバイスする。いくつかの実施態様では、印刷された使用説明書は、1個以上のカプセル剤を、1日2回または3回、摂ることを患者にアドバイスする。
もう1つの実施態様では、d−ピルフェニドン療法を患者に提供する方法であって、d−ピルフェニドンの治療量を患者に与えること、およびd−ピルフェニドンを食物と一緒に摂ることを患者にアドバイスすることを含む、方法を記載する。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
もう1つの記載される実施態様は、d−ピルフェニドン療法を患者に提供する方法であって、d−ピルフェニドンの治療量を患者に与えること、およびd−ピルフェニドンを食物と一緒に摂ることによりd−ピルフェニドン療法に起因する有害事象の発生を減少させることができることを患者にアドバイスすることを含む、方法である。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
d−ピルフェニドン療法を患者に提供する方法であって、d−ピルフェニドンの治療量を患者に与えること;およびd−ピルフェニドンを食物と一緒に摂ることによりd−ピルフェニドンの平均最大血漿濃度が減少することを患者にアドバイスすることを含む、方法もまた記載される。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
いくつかの実施態様では、該食物は、胃の中で急速に溶解したり吸収されたりしないように十分な容積および脂肪含有量をもつ固形食物である。ある種の実施態様では、該食物は、食事であり、例えば、朝食、昼食または夕食である。いくつかの実施態様では、該食物は、少なくとも約100カロリー、約200カロリー、約250カロリー、約300カロリー、約400カロリー、約500カロリー、約600カロリー、約700カロリー、約800カロリー、約900カロリー、約1000カロリー、約1250カロリーまたは約1500カロリーのものである。
本明細書に記載の方法は、d−ピルフェニドンを食物と一緒に患者へ投与することを含む。d−ピルフェニドンは、食物と一緒にいつ投与されてもよい。例えば、いくつかの実施態様では、該食物は、d−ピルフェニドン投与の約2時間前から約2時間後までの間のいつでも摂ることができる。いくつかの実施態様では、該食物は、d−ピルフェニドン投与前約2時間以内、約1.5時間以内、約1時間以内、約45分以内、約30分以内、約15分以内、約10分以内、または約5分以内に摂ることができる。いくつかの実施態様では、該食物は、d−ピルフェニドン投与後約5分以内、約10分以内、約15分以内、約30分以内、約45分以内、約1時間以内、約1.5時間以内、または約2時間以内に摂ることができる。いくつかの実施態様では、d−ピルフェニドンの患者への投与は、食物摂取直後(例えば、食物摂取後約1分以内)から食物摂取後約1時間までである。いくつかの実施態様では、d−ピルフェニドンは、食物摂取と実質的に同時に投与される。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
いくつかの実施態様では、d−ピルフェニドン有効な1日摂取量は、約100mg〜約200mg/日、約200mg〜約300mg/日、約300mg〜約400mg/日、約400mg〜約500mg/日、約500mg〜約600mg/日、約600mg〜約700mg/日、約700mg〜約800mg/日、約800mg〜約900mg/日、約900mg〜約1000mg/日、約1000mg〜約1100mg/日、約1100mg〜約1200mg/日、約1200mg〜約1300mg/日、約1300mg〜約1400mg/日、約1400mg〜約1500mg/日、約1500mg〜約1600mg/日、約1600mg〜約1700mg/日、約1700mg〜約1800mg/日、約1800mg〜約1900mg/日、約1900mg〜約2000mg/日、約2000mg〜約2100mg/日、約2100mg〜約2200mg/日、約2200mg〜約2300mg/日、約2300mg〜約2400mg/日、約2400mg〜約2500mg/日、約2500mg〜約2600mg/日、約2600mg〜約2700mg/日、約2700mg〜約2800mg/日、約2800mg〜約2900mg/日、約2900mg〜約3000mg/日、約3000mg〜約3100mg/日、約3100mg〜約3200mg/日、約3200mg〜約3300mg/日、約3300mg〜約3400mg/日、約3400mg〜約3500mg/日、約3500mg〜約3600mg/日、約3600mg〜約3700mg/日、約3700mg〜約3800mg/日、約3800mg〜約3900mg/日、または約3900mg〜約4000mg/日である。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
一の実施態様では、d−ピルフェニドンは、単位当たり約100〜約400mgのd−ピルフェニドンを含む単位投与形態で対象体へ投与される。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
投薬は、1回につき1個以上の単位をもって、1日2回または3回である。いくつかの実施態様では、d−ピルフェニドンの有効な1日摂取量は、1日を通して適当な間隔で1回、2回、3回、4回、5回、6回またはそれ以上の回数、投与される。いくつかの実施態様では、各投薬は、1個、2個、3個またはそれ以上の個数の単位投与形態を含む。例えば、いくつかの実施態様では、1個以上の単位が、1日1回以上、対象体へ投与される。いくつかの実施態様では、1個以上の単位が、1日2回、対象体へ投与される。いくつかの実施態様では、1個以上の単位が、1日2回または3回、対象体へ投与される。いくつかの実施態様では、3個の単位が、1日2回または3回投与される。いくつかの実施態様では、d−ピルフェニドンは、1日を通して間隔をあけた複数回の投薬として投与され、各投薬は、d−ピルフェニドンの治療有効量を含む。いくつかの実施態様では、d−ピルフェニドンは、1日1回、食物と一緒に投与される。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
一般に、1日摂取量は、体重約40〜約100kgの患者について、1回投与、分割投与または連続投与で、約100mg/日〜約10g/日の範囲、または約200mg〜約5g/日の範囲、または約400mg〜約3g/日の範囲、または約500mg〜約2g/日の範囲である(この投与量は、この体重よりも重いかまたは軽い患者、特に40kg未満の子供に関しては、調節することができる)。一般的に、該1日摂取量は、1日あたり体重1kgにつき約25mg/kg〜約200mg/kgの範囲である。いくつかの実施態様では、d−ピルフェニドンの最大1日摂取量は、4g/日である。
正確な投与量は、典型的には、医師が、処置を必要とする対象体に関する因子を考慮して決定する。投与量および投与は、一般的に、十分量のd−ピルフェニドンが提供されるように、または所望の効果が維持されるように調節される。考慮され得る因子としては、病態の重篤度、対象体の全体的な健康状態、対象体の年齢、体重および性別、食習慣、投与の時刻および頻度、併用薬物、反応感度、ならびに治療に対する耐性/反応が挙げられる。長時間作用型医薬組成物は、特定の製剤の半減期およびクリアランスに応じて、3〜4日毎、毎週、または2週間に1回、投与され得る。
本明細書に記載の単位投与形態の詳細は、使用される特定の投与量および達成されるべき効果、ならびに宿主におけるd−ピルフェニドンに関連する薬動力学に依存する。
d−ピルフェニドン療法を受けている患者における有害事象の期間または数の減少は、いずれかの好適な方法で立証され得る。望ましくは、d−ピルフェニドンの投与後に生じる有害事象の見直しによって立証されるように、食物と一緒に行われるd−ピルフェニドンの経口投与により、食物を伴わずに行ったd−ピルフェニドン投与と比べて有害事象の頻度および/または重篤度が低下する。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
いくつかの実施態様では、d−ピルフェニドンは、当該医薬組成物を食物と一緒に摂ることを患者にアドバイスし、いくつかの実施態様では、さらに、当該組成物を食物と一緒に摂ることにより、d−ピルフェニドン療法に関連する有害事象の期間、可能性および/または重篤度の軽減することを患者にアドバイスする処方情報を伴う容器中にて患者に提供される。いくつかの実施態様では、当該処方情報は、胃の不調および/または傾眠が生じた場合には、当該組成物を食物と一緒に摂ることを患者にアドバイスする。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
いくつかの実施態様では、当該方法は、d−ピルフェニドン療法に関連する有害事象の危険性があるかまたは該有害事象に罹患している対象体を同定することおよびd−ピルフェニドンの治療有効量を食物と一緒に投与することを包含し得る。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
一の実施態様では、当該方法は、本明細書に記載の方法の利益を享受する患者を同定することを含む。いくつかの実施態様では、本明細書に記載の方法は、d−ピルフェニドンの投与後に消化器症状、傾眠および/または頭痛のような有害事象を経験したか、または経験している対象体を同定することを含む。このような対象体の同定は、本明細書に記載の方法の利益を享受する患者を示すいずれかの方法によって、例えば、臨床診断、実験室試験、または同定のための手段の組み合わせを包含する当業者に知られている他のいずれかの方法行われ得る。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
本明細書に記載の方法は、d−ピルフェニドン療法に関連する有害事象を予防すること、寛解すること、および/または該有害事象の期間および/または重篤度を最小限度にすることを包含する。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
一の実施態様では、本明細書に記載の方法は、d−ピルフェニドン療法を食物と一緒に受けている(摂食)患者における吐き気の可能性を、d−ピルフェニドン療法を食物なしで受けている(絶食)患者と比べて低下させる。ある種の実施態様では、摂食集団の吐気の可能性は、絶食集団の吐気の可能性と比べて少なくとも約25%低下し;さらなる実施態様では、吐気の可能性は、少なくとも約30%低下する;さらなる実施態様では、少なくとも約33%低下し;さらなる実施態様では、少なくとも約40%低下し;さらなる実施態様では、少なくとも約50%低下し;さらなる実施態様では、少なくとも約60%低下し;さらなる実施態様では、少なくとも70%低下し;さらなる実施態様では、少なくとも約75%低下する。吐気の可能性は、再現性のある測定によって測定され得る。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
一の実施態様では、本明細書に記載の方法は、d−ピルフェニドン療法を食物と一緒に受けている(摂食)患者における傾眠の可能性を、d−ピルフェニドン療法を食物なしで受けている(絶食)患者と比べて低下させる。ある種の実施態様では、摂食集団の傾眠の可能性は、絶食集団の傾眠の可能性と比べて少なくとも約25%低下し;さらなる実施態様では、傾眠の可能性は、少なくとも約30%低下し;さらなる実施態様では、少なくとも約33%低下し;さらなる実施態様では、少なくとも約40%低下し;さらなる実施態様では、少なくとも約50%低下し;さらなる実施態様では、少なくとも約60%低下し;さらなる実施態様では、少なくとも70%低下し;さらなる実施態様では、少なくとも約75%低下する。傾眠の可能性は、再現性のある測定によって測定され得る。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
一の実施態様では、本明細書に記載の方法は、d−ピルフェニドン療法を食物と一緒に受けている(摂食)患者における頭痛の可能性を、d−ピルフェニドン療法を食物なしで受けている(絶食)患者と比べて低下させる。ある種の実施態様では、摂食集団の頭痛の可能性は、絶食集団の頭痛の可能性と比べて少なくとも約25%低下し;さらなる実施態様では、頭痛の可能性は、少なくとも約30%低下し;さらなる実施態様では、少なくとも約33%低下し;さらなる実施態様では、少なくとも約40%低下し;さらなる実施態様では、少なくとも約50%低下し;さらなる実施態様では、少なくとも約60%低下し;さらなる実施態様では、少なくとも70%低下し;さらなる実施態様では、少なくとも約75%低下する。頭痛の可能性は、再現性のある測定によって測定され得る。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
一の実施態様では、本明細書に記載の方法は、d−ピルフェニドン療法を食物と一緒に受けている(摂食)患者における眩暈の可能性を、d−ピルフェニドン療法を食物なしで受けている(絶食)患者と比べて低下させる。ある種の実施態様では、摂食集団の眩暈の可能性は、絶食集団の眩暈の可能性と比べて少なくとも約25%低下し;さらなる実施態様では、眩暈の可能性は、少なくとも約30%低下し;さらなる実施態様では、少なくとも約33%低下し;さらなる実施態様では、少なくとも約40%低下し;さらなる実施態様では、少なくとも約50%低下し;さらなる実施態様では、少なくとも約60%低下し;さらなる実施態様では、少なくとも70%低下し;さらなる実施態様では、少なくとも約75%低下する。眩暈の可能性は、再現性のある測定によって測定され得る。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
d−ピルフェニドン療法を患者に提供する方法であって、該患者にd−ピルフェニドンの治療量(通常、医薬組成物内に含有されている)を与えること;およびd−ピルフェニドンを食物と一緒に摂ることによって、d−ピルフェニドンを食物なしで摂取することと比べて、d−ピルフェニドンの平均最大血漿濃度(Cmax)が有意に減少すること、および/またはd−ピルフェニドンの平均吸収半減期(t1/2,abs)が有意に増加する(より長くなる)ことを患者にアドバイスすることを含む方法が記載される。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、食物摂取から1時間または30分以内に摂取される。いくつかの実施態様では、d−ピルフェニドンは、食物摂取と同時に摂取される。他の実施態様では、d−ピルフェニドンは、食物摂取の1時間前から2時間後までの間に摂取される。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
いくつかの実施態様では、当該患者は、d−ピルフェニドンを食物と一緒に摂取することにより、d−ピルフェニドンの平均最大血漿濃度を有意に低下させて、絶食患者のCmaxに対する摂食患者の平均Cmaxの比率(Cmax(fed):Cmax(fasted))が約0.3〜約0.8、約0.35〜約0.75、約0.4〜約0.7、約0.4〜約0.6、約0.4〜約0.5、または約0.45〜約0.55の範囲となることをアドバイスされ得る。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
さらに、または、別に、いくつかの実施態様では、当該患者は、d−ピルフェニドンを食物と一緒に摂取することにより、−ピルフェニドンの平均吸収半減期を有意に低下させて、絶食患者の平均t1/2,absに対する摂食患者の平均t1/2,absの比率(t1/2,abs(fed):t1/2,abs(fasted))が約1.5〜約5、約1.75〜約4.5、約2〜約4、約2.5〜約3.5、約2.75〜約3.5、または約2.75〜3.25の範囲となることをアドバイスされ得る。特定の実施態様では、平均t1/2,absは、食物を伴わない場合の0.572時間から食物を伴う場合の1.78時間へ増大する。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
いくつかの実施態様では、当該患者は、吸光プロファイルの曲線下面積(AUC)によって測定すれば、d−ピルフェニドンを食物と一緒に摂取することにより、食物なしで摂取した場合と比べて、d−ピルフェニドンの全体的な平均吸収度の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または80%を保持することをアドバイスされ得る。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
全ての実施態様では、当該患者が書面または口頭でアドバイスされ得、記載された情報が、(例えば)ラベル、ステッカー、製品インサート、製品情報、または処方情報に含まれ得ると考えられる。
関連する実施態様では、本発明は、d−ピルフェニドンの投与を必要とするヒト患者、例えば、肺線維症に罹患している患者に、d−ピルフェニドンの治療量を含む医薬組成物を食物と一緒に投与することを含む、当該患者にd−ピルフェニドンを投与する方法であって、d−ピルフェニドンの平均最大血漿濃度(Cmax)が有意に減少するか、および/またはd−ピルフェニドン平均吸収半減期(t1/2,abs)が有意に長くなる、方法を提供する。いくつかの実施態様では、絶食患者の平均Cmaxに対する摂食患者平均Cmaxの比率(Cmax(fed):Cmax(fasted))は、約0.3〜約0.8、約0.35〜約0.75、約0.4〜約0.7、約0.4〜約0.6、約0.4〜約0.5、または約0.45〜約0.55の範囲であるかまたは約0.5であり、および/または絶食患者の平均t1/2,absに対する摂食患者の平均t1/2,absの比率(t1/2,abs(fed):t1/2,abs(fasted))は、約1.5〜約5、約1.75〜約4.5、約2〜約4、約2.5〜約3.5、約2.75〜約3.5、または約2.75〜3.25の範囲であるかまたは約3である。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
摂食条件について、Cmaxは、典型的には、絶食条件下でのd−ピルフェニドンのCmaxよりも低い。いくつかの実施態様では、Cmax(fasted)に対するCmax(fed)の比率は、約0.3〜約0.8、約0.35〜約0.7、約0.4〜約0.65、約0.4〜約0.6、約0.45〜約0.65、または約0.45〜約0.55である。特定に実施態様では、特定の実施態様では、Cmax(fasted)に対するCmax(fed)の比率は、約0.5である。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
摂食条件下で投与した場合のd−ピルフェニドンの吸収半減期(t1/2,abs(fed))は、典型的には、絶食条件下で投与した場合のd−ピルフェニドンの吸収半減期(t1/2,abs(fasted))よりも長い。いくつかの実施態様では、t1/2,abs(fasted)に対するt1/2,abs(fed)の比率(t1/2,abs(fed):t1/2,abs(fasted))は、約1.5〜約5、約2〜約4、または約2.5〜約3.5、約2.75〜約3.5、または約2.75〜3.25である。特定の実施態様では、t1/2,abs(fed):t1/2,abs(fasted)は、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、または約5である。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
摂食条件下または絶食条件下でのd−ピルフェニドンの全吸収は、吸収曲線の曲線下面積(AUC)を比較することによって決定され得る。いくつかの実施態様では、AUCfedは、AUCfastedの少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または少なくとも約90%である。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
本発明の一の態様は、線維症、例えば特発性肺線維症(IPF)の処置のためのd−ピルフェニドン投与後に異常な肝機能バイオマーカーを示した患者へd−ピルフェニドンの治療有効量を投与するための方法を提供する。いくつかの実施態様では、患者は、d−ピルフェニドンのオリジナルの全標的量の投与後に、1種、2種、3種またはそれ以上の肝機能バイオマーカーの有意に異常なレベル、例えば、グレード2の異常さのレベルを示す者であると同定される。このような患者においては、d−ピルフェニドンの投与量を、異常なバイオマーカーのレベルが正常な範囲にほぼ等しいかまたは正常な範囲となるまで減らすかまたは中止し、その後、該患者に、オリジナルの全標的量となるまでd−ピルフェニドンの用量を増やしながら投与する。別法として、d−ピルフェニドンの用量を全く減らさないが、肝臓バイオマーカーをモニターし続ける。もう1つの実施態様では、任意の一時的な用量減量または中止の後、患者に、永久に減量した用量でd−ピルフェニドンを投与する。本明細書で用いる場合、「オリジナルの全標的量」とは、米国食品医薬品局または外国、特に日本以外の外国における同様の政府機関によって承認された治療有効量を意味する。総一日用量は、1日1回、2回または3回投与される。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
当該方法のいくつかの実施態様では、d−ピルフェニドンは、グレード2の肝機能異常を示す患者に、以下のとおり、投与される:(a)約1週間、または肝機能バイオマーカーがグレード0または1に戻るまで、d−ピルフェニドンの減量した用量を投与し、そして(b)少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、または1ヶ月間、2ヶ月間または3ヶ月間、または1年間または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間、オリジナルの全標的量を投与すること。ある種の実施態様では、総一日用量は、食物と一緒に、1日2回または3回投与される。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
当該方法のいくつかの実施態様では、d−ピルフェニドンは、グレード2の肝機能異常を示す患者に、以下のとおり、投与される:(a)約1週間、または肝機能バイオマーカーがグレード0または1に戻るまで、d−ピルフェニドンの第1の減量した用量を投与し、(b)約1週間、d−ピルフェニドンの第2の減量した用量を投与し、そして(c)少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間または1ヶ月間、2ヶ月間、または3ヶ月間、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間、オリジナルの全標的量を投与する。ある種の実施態様では、総一日用量は、食物と一緒に、1日2回または3回投与される。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
当該方法のいくつかの実施態様では、d−ピルフェニドンは、グレード2の肝機能異常を示す患者に、以下のとおり、投与される:(a)約1週間、または肝機能バイオマーカーがグレード0または1に戻るまで、d−ピルフェニドンを中止し、(b)約1週間、d−ピルフェニドンの第1の減量した用量を投与し、(c)約1週間、d−ピルフェニドンの第2の減量した用量を投与し、そして(d)少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間または1ヶ月間、2ヶ月間、または3ヶ月間、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間、オリジナルの全標的量を投与する。ある種の実施態様では、総一日用量は、食物と一緒に、1日2回または3回投与される。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
別法として、d−ピルフェニドンは、グレード2の肝機能異常を示す患者に、永久に減量した用量で投与される。いくつかの実施態様では、d−ピルフェニドンは、グレード2の肝機能異常を示す患者に、以下のとおり、投与される:少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間または1ヶ月間、2ヶ月間、または3ヶ月間、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間、d−ピルフェニドンの減量した用量を投与する。いくつかの実施態様では、d−ピルフェニドンは、グレード2の肝機能異常を示す患者に、以下のとおり、投与される:(a)約1週間、肝機能バイオマーカーが正常範囲内になるまで、d−ピルフェニドンの第1の減量した用量を投与し、そして(b)少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間または1ヶ月間、2ヶ月間、または3ヶ月間、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間、d−ピルフェニドンの第2の減量した用量を投与する。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
他の実施態様では、d−ピルフェニドンは、グレード2の肝機能異常を示す患者に、以下のとおり、投与される:(a)約1週間、または肝機能バイオマーカーがグレード0または1に戻るまで、d−ピルフェニドンを中止し、(b)約1週間、または肝機能バイオマーカーが正常範囲内になるまで、d−ピルフェニドンの第1の減量した用量を投与し、そして(c)少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間または1ヶ月間、2ヶ月間、または3ヶ月間、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間、d−ピルフェニドンの第2の減量した用量を投与する。さらに他の実施態様では、d−ピルフェニドンは、グレード2の肝機能異常を示す患者に、以下のとおり、投与される:(a)約1週間、または肝機能バイオマーカーがグレード0または1に戻るまで、d−ピルフェニドンを中止し、そして(b)少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間または1ヶ月間、2ヶ月間、または3ヶ月間、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間、患者へd−ピルフェニドンの減量した用量を投与する。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
当該方法のいくつかの実施態様では、d−ピルフェニドンは、グレード1の肝機能異常を示す患者に、以下のとおり、投与される:(a)一定期間、所望により約1週間、肝機能バイオマーカーがグレード0に戻るまで、d−ピルフェニドンの減量した用量を投与し、そして(b)少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間または1ヶ月間、2ヶ月間、または3ヶ月間、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間、オリジナルの全標的量を投与する。ある種の実施態様では、総一日用量は、食物と一緒に、1日2回または3回投与される。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
当該方法のいくつかの実施態様では、d−ピルフェニドンは、グレード1の肝機能異常を示す患者に、以下のとおり、投与される:(a)一定期間、所望により約1週間、肝機能バイオマーカーがグレード0に戻るまでd−ピルフェニドンの第1の減量した用量を投与し、(b)一定期間、所望により約1週間、d−ピルフェニドンの第2の減量した用量を投与し、そして(c)少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間または1ヶ月間、2ヶ月間、または3ヶ月間、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間、オリジナルの全標的量を投与する。ある種の実施態様では、総一日用量は、食物と一緒に、1日2回または3回投与される。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
当該方法のいくつかの実施態様では、d−ピルフェニドンは、グレード1の肝機能異常を示す患者に、以下のとおり、投与される:(a)一定期間、所望により約1週間、肝機能バイオマーカーがグレード0に戻るまで、d−ピルフェニドンを中止し、(b)一定期間、所望により約1週間、d−ピルフェニドンの第1の減量した用量を投与し、(c)一定期間、所望により約1週間、d−ピルフェニドンの第2の減量した用量を投与し、そして(d)少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間または1ヶ月間、2ヶ月間、または3ヶ月間、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間、オリジナルの全標的量を投与する。ある種の実施態様では、総一日用量は、食物と一緒に、1日2回または3回投与される。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
別法として、d−ピルフェニドンは、永久に減量した用量で投与される。いくつかの実施態様では、d−ピルフェニドンは、グレード1の肝機能異常を示す患者に、以下のとおり、投与される:少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間または1ヶ月間、2ヶ月間、または3ヶ月間、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間、d−ピルフェニドンの減量した用量を投与する。いくつかの実施態様では、d−ピルフェニドンは、グレード1の肝機能異常を示す患者に、以下のとおり、投与される:(a)一定期間、所望により約1週間、または肝機能バイオマーカーが正常範囲内になるまで、d−ピルフェニドンの第1の減量した用量を投与し、そして(b)少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間または1ヶ月間、2ヶ月間、または3ヶ月間、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間、d−ピルフェニドンの第2の減量した用量を投与する。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
他の実施態様では、d−ピルフェニドンは、グレード1の肝機能異常を示す患者に、以下のとおり、投与される:(a)一定期間、所望により約1週間、肝機能バイオマーカーがグレード0に戻るまで、d−ピルフェニドンを中止し、(b)約1週間、または肝機能バイオマーカーが正常範囲内になるまで、d−ピルフェニドンの第1の減量した用量を投与し、そして(c)少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間または1ヶ月間、2ヶ月間、または3ヶ月間、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間、d−ピルフェニドンの第2の減量した用量を患者へ投与する。さらに他の実施態様では、d−ピルフェニドンは、グレード1の肝機能異常を示す患者に、以下のとおり、投与される:(a)一定期間、所望により約1週間、または肝機能バイオマーカーがグレード0に戻るまで、d−ピルフェニドンを中止し、そして(b)少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間または1ヶ月間、2ヶ月間、または3ヶ月間、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間、d−ピルフェニドンの減量した用量を患者へ投与する。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
本明細書に記載の実施態様のいずれかでは、d−ピルフェニドンのいずれかの減量した用量が、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、約2週間、または肝機能バイオマーカーの少なくとも1種のレベルが正常範囲内に戻るまで、または肝機能バイオマーカーの全てのレベルが正常範囲内に戻るまで、投与され得る。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
本明細書に記載の実施態様のいずれかでは、患者は、線維化病変組織を有し得る。このような患者は、d−ピルフェニドン投与による利益を受ける患者である。一の実施態様では、該患者は、肺線維症、特発性間質性肺炎、自己免疫性肺疾患、前立腺肥大症、冠動脈梗塞または心筋梗塞、心房細動、脳梗塞、心筋線維症、筋骨格線維症、術後癒着、肝硬変、腎線維性疾患、線維性血管疾患、強皮症、ヘルマンスキー・プドラック症候群、神経線維腫症、アルツハイマー病、糖尿病性網膜症、および/または皮膚病変に罹患している。一の実施態様では、該患者は、HIV関連リンパ節線維症に罹患している。一の実施態様では、該患者は、肺線維症、または特発性肺線維症に罹患している。もう1つの実施態様では、該患者は、特発性肺線維症に罹患していないヒトであることを任意の条件として、d−ピルフェニドン投与による利益を受けるヒトである。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
いくつかの実施態様では、肝機能バイオマーカーは、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ、ビリルビン、および/またはアルカリホスファターゼである。d−ピルフェニドンを受けている幾人かの患者において、臨床的肝機能障害を伴わずに、γグルタミルトランスフェラーゼの上昇が観察され、かくして、γグルタミルトランスフェラーゼの上昇だけは、必ずしも、肝機能障害のサインというわけではない。本明細書に記載の実施態様のいずれかでは、肝機能バイオマーカーからγグルタミルトランスフェラーゼを除外することができる。もう1つの実施態様では、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ、またはアルカリホスファターゼの異常レベルは、正常上限値(ULN)の約2.5倍よりも高い。関連実施態様では、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ、またはアルカリホスファターゼの異常レベルは、正常上限値(ULN)の約2.5倍を超えて約5倍まで高い、すなわち、「肝機能異常グレード2」である。いくつかの実施態様では、ビリルビンの異常レベルは、正常上限値(ULN)の約1.5倍を超えて約3倍まで高い、すなわち、「肝機能異常グレード2」である。
いくつかの実施態様では、異常な肝機能バイオマーカー、例えば、アラニントランスアミナーゼおよび/またはアスパラギン酸トランスアミナーゼの上昇および/またはビリルビンの上昇は、黄疸のような肝機能障害の臨床的サインを伴う。
本発明は、d−ピルフェニドンで処置された後に異常レベルの肝機能バイオマーカーを示した患者に、十分に治療上有効な用量のd−ピルフェニドンを投与する方法を提供する。肝機能異常は、薬物性肝障害(肝毒性)の兆候であり得るので、この異常が肝障害を反映しているのか、または単に薬物を摂取し続けながら経時的に解決する限定された毒性を示すのか決定することが重要である。本発明によると、異常肝機能を示す患者であっても、任意にd−ピルフェニドンを短期間中止した後またはd−ピルフェニドンを減量した用量で摂取した後に、d−ピルフェニドンをオリジナルの全標的量で摂取し続けることができる。この投与計画は、薬物の全標的量の投与期間を最大にするという利点を有しており、したがって、有益な治療効果の可能性を有するという利点を有する。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
該患者は、d−ピルフェニドン療法が症状の寛解に有用であり得るいずれかの疾患に罹患していてよい。このような患者は、d−ピルフェニドン投与の利益を享受する患者である。これらの疾患としては、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、炎症性肺線維症(IPF)、関節リウマチ;リウマチ性脊椎炎;変形性関節症;痛風、他の関節炎状態;敗血症;敗血症性ショック;エンドトキシンショック;グラム陰性菌性敗血症;毒素ショック症候群;筋筋膜痛症候群(MPS);細菌性赤痢;喘息;成人呼吸窮迫症候群;炎症性腸疾患;クローン病;乾癬;湿疹;潰瘍性大腸炎;糸球体腎炎;強皮症;慢性甲状腺炎;グレーブス病;オーモンド病;自己免疫性胃炎;重症筋無力症;自己免疫性溶血性貧血;自己免疫性好中球減少症;血小板減少症;膵線維症;肝線維症を包含する慢性活動性肝炎;急性および慢性腎疾患;腎線維症、過敏性腸症候群;発熱(pyresis);再狭窄;大脳マラリア;脳卒中および虚血傷害;神経外傷;アルツハイマー病;ハンチントン病;パーキンソン病;急性疼痛および慢性疼痛;アレルギー性鼻炎およびアレルギー性結膜炎を含むアレルギー;心肥大、慢性心不全;急性冠動脈症候群;悪液質;マラリア;ハンセン病;リーシュマニア症;ライム病;ライター症候群;急性滑膜炎;筋肉変性、滑液包炎;腱炎;腱鞘炎;ヘルニア様椎間板症候群、破裂性椎間板症候群または脱出性椎間板症候群;大理石骨病;血栓症;珪肺症;肺サルコイドーシス(pulmonary sarcosis);骨粗鬆症や多発性骨髄腫関連骨障害などの骨吸収疾患;癌(転移性乳癌、直腸結腸癌、悪性黒色腫、胃癌および非小細胞肺癌を含むがこれらに限定されない);対宿主移植片反応;および多発性硬化症や狼瘡や線維筋痛などの自己免疫疾患;AIDSおよび他のウイルス性疾患(帯状疱疹、単純ヘルペスI型またはII型、インフルエンザウイルス、重症急性呼吸器症候群(SARS)およびサイトメガロウイルスなど);および糖尿病が挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらに、当該実施態様の方法は、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、カポシ肉腫、転移性黒色腫、多発性骨髄腫、乳癌(転移性乳癌を含む)を含めた増殖性障害(良性および悪性の過形成を含む);直腸結腸癌;悪性黒色腫;胃癌;非小細胞肺癌(NSCLC);骨転移など;神経筋疼痛、頭痛、癌疼痛、歯痛および関節炎痛を含めた疼痛性障害;固形腫瘍の血管新生、眼血管新生および幼児性血管腫を含めた血管新生障害;プロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ−2に関連する状態(浮腫、発熱、痛覚消失および疼痛など)を含めたシクロオキシゲナーゼおよびリポキシゲナーゼシグナル伝達経路に関連する状態;臓器の低酸素状態;トロンビン誘導血小板凝集;原虫性疾患;子宮筋腫;糖尿病性腎症;部分肝切除後および肝虚血後のエンドトキシン誘発性肝障害;臓器移植後の同種移植片損傷:嚢胞性線維症:皮膚筋炎;びまん性実質細胞性肺疾患;縦隔線維症;結核;鎌状赤血球貧血によって引き起こされる脾臓線維症;関節リウマチ;および/または線維症および/またはコラーゲンの組織への浸潤を調節することによって寛解するいずれかの障害の治療に使用され得る。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
本発明の方法は、任意に、d−ピルフェニドンを受けている患者における異常肝機能を同定すること、およびd−ピルフェニドンの減量した用量を受けている患者における肝機能バイオマーカーをモニターすることを含んでもよい。本明細書に記載のいずれかの方法では、ATSおよび/またはALTがグレード2またはグレード3のレベルまで上昇していてもよい。いくつかの実施態様では、当該上昇は、グレード1のレベルまでである。別法として、ATSおよびビリルビンが、またはATSもしくはALPが、またはATSおよびGGTが、またはALTおよびビリルビンが、またはALTおよびALPが、またはALTおよびGGTが、またはビリルビンおよびALPが、またはビリルビンおよびGGTが、例えばグレード1、グレード2またはグレード3のレベルまで、上昇していてもよい。別法として、3種の肝機能バイオマーカー、例えばALTおよびATSおよびビリルビン、またはALTおよびATSおよびALPが、グレード1、グレード2またはグレード3のレベルまで上昇していてもよい。本明細書に記載の実施態様のいずれかでは、肝機能バイオマーカーからγグルタミルトランスフェラーゼを除外することができる。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
当該方法のいくつかの実施態様では、d−ピルフェニドンは、d−ピルフェニドン投与後にグレード2の肝機能異常を示す患者に、以下のとおり、投与される:(a)d−ピルフェニドンの第1の減量した用量を一定期間投与する。いくつかの実施態様では、工程(a)の後に、(b)オリジナルの全標的量を投与する。他の実施態様では、用量の一時的な減量または中止を行わずにオリジナルの全標的量が継続される。いくつかの実施態様では、工程(a)の期間は、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月間、または肝機能バイオマーカーの少なくとも1種のレベルが正常範囲内に戻るまで、または肝機能バイオマーカーの全てのレベルが正常範囲内に戻るまでである。いくつかの実施態様では、工程(b)は、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間または1ヶ月間、2ヶ月間、または3ヶ月間、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間、またはそれ以上の期間、行われる。所望により、当該方法は、工程(a)および/または工程(b)の間に1種以上の肝機能バイオマーカーを測定することを含む。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
当該方法のいくつかの実施態様では、d−ピルフェニドンは、グレード2の肝機能異常を示す患者に、以下のとおり、投与される:(a)一定期間、d−ピルフェニドンの第1の減量した用量を投与し、(b)一定期間、d−ピルフェニドンの第2の減量した用量を投与し、そして(c)オリジナルの全標的量を投与する。いくつかの実施態様では、工程(a)の期間は、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月間、または肝機能バイオマーカーの少なくとも1つのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、または肝機能バイオマーカーの全てのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまでである。いくつかの実施態様では、工程(b)の期間は、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月間、または肝機能バイオマーカーの少なくとも1つのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、または肝機能バイオマーカーの全てのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまでである。いくつかの実施態様では、工程(c)は、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間または1ヶ月間、2ヶ月間、または3ヶ月間、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間、またはそれ以上の期間、行われる。所望により、当該方法は、工程(a)および/または工程(b)および/または工程(c)の間、1種以上の肝機能バイオマーカーを測定することを含む。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
当該方法のいくつかの実施態様では、d−ピルフェニドンは、グレード2の肝機能異常を示す患者に、以下のとおり、投与される:(a)一定期間、d−ピルフェニドンを中止し、(b)一定期間、d−ピルフェニドンの第1の減量した用量を投与し、(c)一定期間、d−ピルフェニドンの第2の減量した用量を投与し、そして(d)オリジナルの全標的量を投与する。いくつかの実施態様では、工程(a)の期間は、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月間、または肝機能バイオマーカーの少なくとも1つのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、または肝機能バイオマーカーの全てのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまでである。いくつかの実施態様では、工程(b)の期間は、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月間、または肝機能バイオマーカーの少なくとも1つのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、または肝機能バイオマーカーの全てのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまでである。いくつかの実施態様では、工程(c)の期間は、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月間、または肝機能バイオマーカーの少なくとも1つのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、または肝機能バイオマーカーの全てのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまでである。いくつかの実施態様では、工程(d)は、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間または1ヶ月間、2ヶ月間、または3ヶ月間、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間、またはそれ以上の期間、行われる。所望により、当該方法は、工程(a)および/または工程(b)および/または工程(c)および/または工程(d)の間に1種以上の肝機能バイオマーカーを測定することを含む。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
当該方法のいくつかの実施態様では、d−ピルフェニドンは、グレード1の肝機能異常を示す患者に、以下のとおり、投与される:(a)一定期間、d−ピルフェニドンの減量した用量を投与し、そして(b)オリジナルの全標的量を投与する。いくつかの実施態様では、工程(a)の期間は、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月間、または肝機能バイオマーカーの少なくとも1つのレベルが正常範囲内に戻るまで、または肝機能バイオマーカーの全てのレベルが正常範囲内に戻るまでである。いくつかの実施態様では、工程(b)は、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間または1ヶ月間、2ヶ月間、または3ヶ月間、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間、またはそれ以上の期間、行われる。所望により、当該方法は、工程(a)および/または工程(b)の間に1種以上の肝機能バイオマーカーを測定することを含む。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
当該方法のいくつかの実施態様では、d−ピルフェニドンは、グレード1の肝機能異常を示す患者に、以下のとおり、投与される:(a)一定期間、d−ピルフェニドンの第1の減量した用量を投与し、(b)一定期間、d−ピルフェニドンの第2の減量した用量を投与し、そして(c)オリジナルの全標的量を投与する。いくつかの実施態様では、工程(a)の期間は、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月間、または肝機能バイオマーカーの少なくとも1つのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、または肝機能バイオマーカーの全てのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまでである。いくつかの実施態様では、工程(b)の期間は、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月間、または肝機能バイオマーカーの少なくとも1つのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、または肝機能バイオマーカーの全てのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまでである。いくつかの実施態様では、工程(c)は、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間または1ヶ月間、2ヶ月間、または3ヶ月間、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間、またはそれ以上の期間、行われる。所望により、当該方法は、工程(a)および/または工程(b)および/または工程(c)の間に1種以上の肝機能バイオマーカーを測定することを含む。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
当該方法のいくつかの実施態様では、d−ピルフェニドンは、グレード1の肝機能異常を示す患者に、以下のとおり、投与される:(a)一定期間、d−ピルフェニドンを中止し、(b)一定期間、d−ピルフェニドンの第1の減量した用量を投与し、(c)一定期間、d−ピルフェニドンの第2の減量した用量を投与し、そして(d)オリジナルの全標的量を投与する。いくつかの実施態様では、工程(a)の期間は、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月間、または肝機能バイオマーカーの少なくとも1つのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、または肝機能バイオマーカーの全てのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまでである。いくつかの実施態様では、工程(b)の期間は、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月間、または肝機能バイオマーカーの少なくとも1つのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、または肝機能バイオマーカーの全てのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまでである。いくつかの実施態様では、工程(c)の期間は、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1ヶ月間、または肝機能バイオマーカーの少なくとも1つのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまで、または肝機能バイオマーカーの全てのレベルが正常範囲内もしくはグレード1に戻るまでである。いくつかの実施態様では、工程(d)は、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間または1ヶ月間、2ヶ月間、または3ヶ月間、または1年間、または2年間、または3年間、または4年間、または5年間、または7年間、または10年間、またはそれ以上の期間、行われる。所望により、当該方法は、工程(a)および/または工程(b)および/または工程(c)および/または工程(d)の間に1種以上の肝機能バイオマーカーを測定することを含む。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
d−ピルフェニドンは、錠剤もしくはカプセル剤の剤形または他のいずれかの経口投与用剤形で提供され得、典型的には、経口投与用に製剤化される。代表的なカプセル剤は、WO 2007/038315(国際特許出願PCT/US2006/037057)に記載されている。
d−ピルフェニドン療法は、光線過敏性発疹、食欲不振(食欲減退)、胃部不快感、吐気、胸焼け、眠気(傾眠)、疲労、上気道感染症、発熱、陽性尿潜血、C反応性タンパク質(CRP)の上昇、体重減少、頭痛、便秘症および倦怠感を含む有害作用を伴うことがある。異常肝機能は、また、d−ピルフェニドンを受けている患者における有害作用(AE)として生じ得る。d−ピルフェニドンを受ける前の該患者の基底肝機能は、正常であり得、典型的には正常である。肝機能は、肝機能バイオマーカーを測定する血液化学試験のような当該技術分野で知られている様々な手段によって評価され得る。肝機能バイオマーカーの例としては、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(ATS)、ビリルビン、アルカリホスファターゼ(ALP)、およびγグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(SGPT)またはアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALAT)とも称されるアラニントランスアミナーゼ(ALT)は、アラニンからαケトグルタル酸へのアミノ基転移を触媒して、ピルビン酸およびグルタミン酸を生成する。肝臓が損傷を受けると、損傷を受けた肝細胞または壊死した肝細胞から血液中へALTが漏れることに起因して、ALTの血中濃度が上昇し得る。
血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(SGOTまたはGOT)またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ASAT)とも称されるアスパラギン酸トランスアミナーゼ(ATS)は、アスパラギン酸からαケトグルタル酸へのアミノ基移動を触媒して、オキサロ酢酸およびグルタミン酸を生成する。ATSは、肝臓損傷に反応して増加し得る。ATSの上昇は、赤血球、心筋、骨格筋、腎組織および脳組織を含む他の源への損傷によっても生じ得る。ALTに対するATSの比率は、肝臓損傷のバイオマーカーとして使用され得る。
ビリルビンは、肝臓によって体内から除去されるヘムのカタボライトである。肝細胞によるビリルビンとグルクロン酸との抱合は、体内から容易に除去される水溶性生成物である直接ビリルビンを生じる。間接ビリルビンは抱合されず、直接ビリルビンおよび間接ビリルビンの合計は、総ビリルビンを構成する。総ビリルビンの上昇は、肝機能障害を示し得る。
アルカリホスファターゼ(ALP)は、種々の分子からリン酸基を加水分解し、肝臓の胆管の内側を覆っている細胞中に存在する。血漿中のALP濃度は、肝臓損傷に反応して上昇し得、成長期の子どもおよび高齢のパジェット病患者において高い。しかしながら、高レベルのALPは、通常、胆管疾患を反映する。
異常肝機能の有害作用グレードは、表1に示される修正された共通毒性基準(CTC)によって定義される。米国国立癌研究所によって2006年8月9日に発行された有害事象共通用語基準バージョン3.0(CTCAE)(出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する)を参照。
肝機能の様々な指標のULNは、使用されるアッセイ、患者集団、および特定のバイオマーカーの値の各研究所の正常な範囲に依存するが、熟練者によって容易に決定され得る。健康な成人集団の正常な範囲の代表的な値を下記の表2に示す。Cecil Textbook of Medicine, pp.2317-2341, W.B. Saunders & Co. (1985)を参照。
グレード0のレベルは、正常範囲内(WNL)のバイオマーカーレベルによって特徴付けられる。「正常な」肝機能とは、本明細書で使用される場合、グレード0の有害作用をいう。「異常な」肝機能とは、本明細書で使用される場合、グレード1およびそれ以上の有害作用をいう。
「グレード1の肝機能異常」は、ALT、ATS、ALPまたはGGTの、ULNを超えてULNの2.5倍以下までの上昇を含む。グレード1の肝機能異常は、また、ビリルビンレベルの、ULNを超えてULNの1.5倍以下までの上昇を含む。
「グレード2の肝機能異常」は、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(ATS)、アルカリホスファターゼ(ALP)、またはγグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)の、正常上限値(ULN)の2.5倍を超えて5倍以下までの上昇を含む。グレード2の肝機能異常は、また、ビリルビンレベルの、ULNの1.5倍を超えて3倍以下までの上昇を含む。
「グレード3の肝機能異常」は、ALT、ATS、ALPまたはGGTの、ULNの5倍を超えて20倍以下までの上昇を含む。グレード3の肝機能異常は、また、ビリルビンレベルの、ULNの3倍を超えて10倍以下までの上昇を含む。
「グレード4の肝機能異常」は、ALT、ATS、ALPまたはGGTの、ULNの20倍を超える上昇を含む。グレード4の肝機能異常は、また、ビリルビンレベルの、ULNの10を超える上昇を含む。
本発明は、特発性肺線維症患者であって、d−ピルフェニドンの全標的量を受けている患者を処置する方法を提供する。当該方法によると、異常肝機能を有する患者に、肝機能が正常範囲内となるまでd−ピルフェニドンの第2の減量した用量を投与し、次いで、毎日、d−ピルフェニドンの全標的量を患者に投与する。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
本発明は、また、d−ピルフェニドン投与後に1種以上の肝機能バイオマーカーにグレード1の異常を示す患者の処置方法を提供する。ある種の実施態様では、該患者は、特発性肺線維症の処置のためにd−ピルフェニドンを受けていてよい。別法として、該患者は、d−ピルフェニドン投与が有益であり得る状態に罹患していてよい。所望により、患者は、一定期間、減量した用量を受けていてよいか、または処置を中止し、次いで、d−ピルフェニドンの投与を再開してよい。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
本発明は、d−ピルフェニドンの投与のための改良された用量増大スキームを提供する。本発明の用量増大スキームは、少なくとも1週間、全最大用量が達成されないような量でd−ピルフェニドンを提供する。一の実施態様では、d−ピルフェニドンの全最大用量は、処置の約15日目まで達成されない。本発明の方法は、毎日のd−ピルフェニドンの最大用量を患者に投与することができ、また、用量増大と当該患者における耐性発現をより正確にマッチさせることにより、d−ピルフェニドンの投与に伴う有害事象の発生を減少させる。実際に、本明細書に記載の用量増大スキームを使用して用量を増大させるにもかかわらず、傾眠のような有害事象を減少させることが観察された。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
本発明は、第1の期間、第1の量で、該患者にd−ピルフェニドンの初期一日用量を与えること;第2の期間、第2の量で、該患者にd−ピルフェニドンの第2の一日用量を与えること;および最終期間、最終の量で、該患者にd−ピルフェニドンの最終一日用量を与えることを含む、d−ピルフェニドン療法を患者に施す方法であって、第1の期間および第2の期間が合わせて少なくとも約7日間、または約8、9、10、11もしくは12日間、または約13もしくは14日間である、方法を記載する。いくつかの実施態様では、第1の期間および第2の期間は、合わせて、約15または約20または21日間までであり得る。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
一の実施態様では、第1の期間は、約7日間である;第2の期間は、約7日間である;第3の期間は、約1日〜無制限の日数の範囲である。特定の実施態様では、第3の期間は、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約1年間、少なくとも約18ヶ月間、少なくとも約2年間、または2年間を超え、少なくとも約3年間、少なくとも約4年間、少なくとも約5年間、またはd−ピルフェニドンによる治療が必要とされる限り、続く。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
本発明は、また、複数の用量のd−ピルフェニドン、およびd−ピルフェニドンの一日用量に応じてこの複数の用量を分ける複数のコンパートメントを含むスターターパックを記載する。有利には、この複数のコンパートメントは、複数の行(columns)および複数の列(rows)で配列され得るが、他の配列も意図される。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
一の典型的な実施態様では、当該スターターパックは、日数を割り当てている複数の行および毎日行われるd−ピルフェニドンの投与の回数のための個別の複数の列を含む。一の実施態様では、当該スターターパックは、1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、7日目、8日目、9日目、10日目、11日目、12日目、13日目および14日目のための個別の複数の行および毎日投与されるべき複数の用量のための個別の複数の列を含み得る。もう1つの実施態様では、毎週の処置が個別のパネルに割り当てられ得る。もう1つの実施態様では、当該スターターパック内に収容された各パネルがほぼ同じサイズであり得る。もう1つの実施態様では、該スターターパックは、当該スターターパックの使用者が本発明によって教示される用量増大法に従ってd−ピルフェニドンを投与し得るように配列された複数のコンパートメントを有する。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
本明細書に記載のような投与計画に従ってd−ピルフェニドンを投与することを含む線維症状態の処置のための医薬の製造におけるd−ピルフェニドンの使用も意図される。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
本発明は、d−ピルフェニドンの使用に伴う有害事象を軽減する用量増大計画をもって患者へd−ピルフェニドン療法を施す方法を記載し、薬物の起こり得る有害作用に対する耐性の発現と投与量の増加とを良好にマッチさせると考えられる。一の実施態様では、本発明は、第1の期間、第1の量で、d−ピルフェニドンの初期一日用量を患者に与えること;第2の期間、第2の量で、d−ピルフェニドンの第2の一日用量を患者に与えること;および最終の期間、最終の量で、d−ピルフェニドンの最終の一日用量を患者に与えることを含む、患者へd−ピルフェニドン療法を施す方法である。ある種の実施態様では、第1の期間と第2の期間は、合わせて、少なくとも約7日間であり、さらなる実施態様では、約8日間、約9日間、約10日間、約11日間または約12日間であり、さらなる実施態様では、約13日間または約14日間である。いくつかの実施態様では、第1の期間と第2の期間は、合わせて、約15日間または約20日間または約21日間までであり得る。第1の期間と第2の期間は、合わせて、21日間を超えることができ、(例えば)22日間、24日間、26日間または30日間であり得るとも考えられるが、全治療量投与の遅延によって引き起こされる患者への治療利益の減少に起因して、用量増大期間が長くなるのは最善ではないと考えられる。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
本発明に記載は、三工程を有する用量増大計画を例示しているが、用量が小分けに増大するように同じ時間でより多くの工程を有することが可能である。実際に、必要に応じて、各用量を前回の用量よりも徐々に大きくできるか、または該用量を、例えば、毎日、2日毎、または3日毎または4日毎に増量することができる。用量増大工程のサイズに関係なく、以下で検討する初期用量および最終用量の使用が特に好ましい。
一の実施態様では、第1の期間は、約3日間〜約10日間の範囲内である。もう1つの実施態様では、第1の期間は、約6日間〜約8日間である。もう1つの実施態様では、第1の期間は、約7日間である。
一の実施態様では、第2の期間は、約3日間〜約10日間の範囲内である。もう1つの実施態様では、第2の期間は、約6日間〜約8日間である。もう1つの実施態様では、第2の期間は、約7日間である。
一の実施態様では、最終の期間は、約1日〜無制限の日数の範囲内である。ある種の実施態様では、しかしながら、この最終の期間は長く、d−ピルフェニドンによる処置期間は続くべきである。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
一の実施態様では、d−ピルフェニドンの用量を食物と一緒に摂る。もう1つの実施態様では、該患者は、d−ピルフェニドンの用量を食物と一緒に投与するように指示される。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
本発明のもう1つの実施態様では、d−ピルフェニドンを含むスターターパックが提供される。スターターパックは、経口固形薬物を単体化し、輸送し、貯蔵し、最後に調剤するための比較的容易な方法である。このようなパックは、例えば、「ブリスター」または行および列で構成された凸状突出部(convex protrusion)を提供するプラスチック製の透明な平面部材を含む。ブリスターまたは凸状突出部は、各々、分配される1回分の用量の特定の経口固形薬物を受けるような大きさに形成される。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
典型的には、当該ブリスターパックの固体受入側に少なくとも1つのバッキング層が固定されている。この層は、低強度保持バリアである。この低強度保持層は、ブリスターの背面を横切って伸びており、各ブリスター内に個別に密閉される複数の1回分の経口投与量を保持する。
かかるブリスターパックからの薬物の分配は、分かりやすい。消費者は、ブリスターの凸状側からブリスターを押す。ブリスターに収容されている1回分の経口投与量に対して直接このような圧力をかける。次いで、低強度保持バリアを介して、1回分の経口投与量が押し進められる。この低強度保持バリアは、少なくとも部分的に裂けて剥離する。この部分的な剥離および引き裂きの間に、1回分の経口投与量は、部分的に(典型的であるが、全体的ではない)、その個別のブリスターからはじき出される。ある種の実施態様では、この部分的な放出の間に使用者が経口固形薬物をつかみ、指示通りに消費する。これにより、ブリスターパックから所望の複数の1回投与量の薬物が安全で無菌状態で分配される。
本発明のスターターパックは、患者が毎日適当な投与量の薬物を摂るように、ブリスターまたは他の個々のコンパートメント内に割り当てられた様々な投与量のd−ピルフェニドンを含んでいる。当該スターターパックは、多種多様の剤形を含み得る。事実上、コンパートメントを含むようにパネルが構成され得ることを意図される。例えば、パネルは、3日間の処置のための複数の投与量を保持するように構成され得る。もう1つの実施態様では、パネルは、6日間の処置のための複数の投与量を保持するように構成され得る。もう1つの実施態様では、パネルは、10日間の処置のための複数の投与量を保持するように構成され得る。1つのパネルにおける日数および投与回数は、発明者らによって予定された。ある種の実施態様では、当該スターターパックは、使用者が本発明の用量増大計画に従ってd−ピルフェニドンを投与するように設計され得る。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
一の実施態様では、当該スターターパックは、第1週の処置および第2週の処置のためのd−ピルフェニドンの複数の投与量を示しているパネルを含む。もう1つの実施態様では、当該スターターパックは、さらに、第3週の処置のためのd−ピルフェニドンの複数の投与量を示しているパネルを含む。もう1つの実施態様では、当該スターターパックは、d−ピルフェニドンの適切な投与量を投与するために患者に使用説明を提供するパネルまたは折り込み物を含む。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
一の実施態様では、当該スターターパックは、第1週の処置および第2週の処置のための複数の投与量だけを含むことができる。ある種の実施態様では、かかるスターターパックは、また、用量増大が行われた後の治療のためにボトルからd−ピルフェニドンを投与するための患者への使用説明書も含む。当該スターターパックの使用者は、用量増大が行われた後にボトルからd−ピルフェニドン丸剤で治療を続けることが意図される。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
スターターパックのサイズおよびスターターパックを構成するパネルのサイズは、公知の類似スターターパックに典型的なものであり得る。好ましい実施態様では、スターターパック内の各パネルは、該スターターパックの他のパネルとほぼ同様のサイズのものである。
いくつかの実施態様では、当該スターターパックは、一体構造を含み、ここで、該一体構造は、2つ以上のパネルを含み、各パネルは、第1週の処置のための複数の投与量を含む。いくつかの実施態様では、当該スターターパックは、使用説明が印刷されたパネルを含む。いくつかの実施態様では、当該スターターパックは、d−ピルフェニドンの複数の投与量を収容するための複数のコンパートメントを有する複数のパネルを含み得る。当該投与量は、ブリスターの位置とは反対側の位置で、低強度保持バリアを介して押し出され得る。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
第1週目のパネルは、第1週の処置に関するd−ピルフェニドンの投与量を含むコンパートメントを有し得る。第2週のパネルは、第2週の処置に関するd−ピルフェニドンの投与量を含むコンパートメントを有し得る。所望により、第3週の複数の投与量のためのパネルを含み得る。第3週のパネルは、第3週の使用に関するd−ピルフェニドンの投与量を有し得る。残りのパネルは、空白のままであっても、使用説明書または他のいずれかのタイプの指示を提供するものであってもよい。いくつかの実施態様では、当該スターターパックは、接着シールまたはステッカーが使用者によって破られるまで、スターターパックを折り畳んだ状態で保持する接着シールまたはステッカーを含み得る。当該スターターパックは、スターターパックがその一体構造を維持しながら、個別のパネルがお互いに積み重ねられ得るように、折り畳みを可能にする領域を含む。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
一の実施態様では、1つのパネルは、用量増大計画の1日目〜7日目のための投与量を与えるコンパートメントを含み得、第2のパネルは、用量増大計画の8日目〜14日目のための投与量を与えるコンパートメントを含み得る。もう1つの実施態様では、任意の第3のパネルは、さらに、用量増大計画の第15日目〜第21日目の投与量を与えるコンパートメントを含むために提供され得る。
第1週の処置のための当該スターターパックは、d−ピルフェニドンの投与量を収容するための複数のコンパートメントを有するパネルを含み得る。当該コンパートメントは、例示したように列と行で配列され得るが、コンパートメントを全て直線上に配置したもの、コンパートメントを円形に配置したものを含む他の配列も意図される。さらに、投与量が投与されるべき適切な日時を指示する説明書をスターターパック上に提供することができる。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
第2週の処置のためのスターターパックは、d−ピルフェニドンの投与量を収容するための複数のコンパートメントを有するパネルを含み得る。第2週の処置のためのコンパートメントは、第1週の処置のためのコンパートメントよりも多くd−ピルフェニドンを保持するようにされ得る。第2週のためのd−ピルフェニドンの投与量は、第1週の投与量よりも多いものであり得る。さらに、投与量が投与されるべき適切な日時を指示する説明書をスターターパック上に提供することができる。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
第3週の処置のためのスターターパックは、d−ピルフェニドンの投与量を収容するための複数のコンパートメントを有するパネルを含み得る。第3週の処置のためのコンパートメントは、第2週の処置のためのコンパートメントよりも多くd−ピルフェニドンを保持するようにされ得る。第3週のためのd−ピルフェニドンの投与量は、第2週の投与量よりも多いものであり得る。さらに、投与量が投与されるべき適切な日時を指示する説明書をスターターパック上に提供することができる。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
いくつかの実施態様では、当該スターターパックは、個別のパネルを保持するケーシング部材を含み得、ここで、少なくとも1つのパネルは、d−ピルフェニドンの投与量を収容するための複数のコンパートメントを含む。いくつかの実施態様では、当該パネルは、容器が容易にケーシング部材の内外へスライドできるように、平坦な外面を有する容器内に位置され得る。一の実施態様では、各容器は、d−ピルフェニドンの投与量を保持する複数のコンパートメントを含むパネルを含み得る。いくつかの実施態様では、当該パネルは、さらに、使用者が用量増大計画に従ってd−ピルフェニドンを投与することができるように、使用説明書または指示を含み得る。いくつかの実施態様では、パネルは、薬物の使用についての指示または使用説明書を提供するために別々に提供され得る。いくつかの実施態様では、指示または使用説明書は、1個以上の容器の上に提供される。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
ある種の実施態様では、スターターパックは、ケーシング部材および少なくとも1個の容器を含む。当該容器は、部分的に容器から引き出され、d−ピルフェニドンの投与量を収容するための複数のコンパートメントを有するパネルを含むことができる。ある種の実施態様では、各パネルは、ケーシング部材への容易かつコンパクトな挿入のためにほぼ同一サイズである。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
本発明の一の実施態様は、d−ピルフェニドンの投与量、およびd−ピルフェニドンの一日用量にしたがって投与量を分けるコンパートメントを含むスターターパックである。一の実施態様では、当該スターターパックは、日数を割り当てる列、および毎日行われるd−ピルフェニドンの投与の回数のための個別の複数の行を含む。一の実施態様では、当該スターターパックは、1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、7日目、8日目、9日目、10日目、11日目、12日目、13日目および14日目のための個別の複数の列、および毎日摂られるべき複数の投与量のための個別の複数の行を含み得る。もう1つの実施態様では、当該スターターパック内に収容される各パネルは、ほぼ同じサイズであり得る。もう1つの実施態様では、当該スターターパックは、スターターパック使用者が本発明の容量増大方法に従ってd−ピルフェニドンを投与するように配置された複数のコンパートメントを有する。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
一の実施態様では、当該スターターパックは、さらに、15日目、16日目、17日目、18日目、19日目、20日目および21日目のためのさらなる複数の列を含む。もう1つの実施態様では、15日目、16日目、17日目、18日目、19日目、20日目および21日目に対応するコンパートメントの各々が、別々に、d−ピルフェニドンの一の投与量を収容する。15日目、16日目、17日目、18日目、19日目、20日目および21日目のための列の付加は、当該スターターパックが終わった後に必要とされる正しい投与量に関して患者を訓練することを目的とするものであり、当該患者は、薬瓶のような別の源から丸剤を取り出す。当該スターターパックにd−ピルフェニドンの全用量での第3週を提供することによって、当該患者は、本発明のd−ピルフェニドン療法によって必要とされるように15日目からその後の毎日投与を行うことに、よりいっそう慣れる。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
もう1つの実施態様では、当該スターターパックは、円形を含む。ある種の実施態様では、容器は、d−ピルフェニドンの一の用量を収容するための複数のコンパートメントを有する少なくとも1つのパネルを保持する底部を含む。当該パネルは、中心から放射状に伸びているコンパートメントを有する円形のものであり、各半径は、d−ピルフェニドンでの処置のための日自体を割り当てる。午前のための投与量、正午のための投与量および午後のための投与量を分けることができる。当該容器は、また、d−ピルフェニドンを収容している少なくとも1つのパネルが容器内で貯蔵され、密封され得るように、蓋を含む。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
ある種の実施態様では、スターターパックは、d−ピルフェニドンを使用する第1週の治療のための複数の投与量を含む。第1週の処置のための当該スターターパックは、d−ピルフェニドンの一の投与量を収容するための複数のコンパートメントを有する円形パネルを含み得る。当該コンパートメントは、それらがパン(pane)の中心から放射状に伸びるように配列され得る。当該パネルは、適時に投与することを投与患者に知らせる指示を含み得る。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
ある種の実施態様では、スターターパックは、d−ピルフェニドンを使用する第2週の治療のための複数の投与量を含む。第2週の処置のための当該スターターパックは、d−ピルフェニドンの一の投与量を収容するための複数のコンパートメントを有する円形パネルを含み得る。当該コンパートメントは、それらが中心から放射状に伸びるように、またはそれらがパネル内にちょうど収まるように、配置され得る。当該パネルは、適時に投与することを投与患者に知らせる指示を含み得る。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
ある種の実施態様では、スターターパックは、d−ピルフェニドンを使用する第3週の治療のための複数の投与量を含む。所望により、第3週の治療のためのパネルが提供されてもよい。第3週の処置のための当該スターターパックは、d−ピルフェニドンの一の投与量を収容するための複数のコンパートメントを有する円形パネルを含み得る。当該コンパートメントは、それらがパンの中心から放射状に伸びるように配列され得る。当該パネルは、適時に投与することを投与患者に知らせる指示を含み得る。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
もう1つの実施態様では、当該スターターパックは、スターターパック使用者が本発明によって教示される用量増大方法に従ってd−ピルフェニドンを投与するように配置されたコンパートメントを有する。もちろん、ブリスターパックの代替として、当該投与量は、別のタイプのコンパートメント、例えば、本の形で一緒に固定されるプラスチックバッグもしくは他の容器;列または他の幾何学模様に配列された複数のスナップオープン式の蓋をもつプラスチック容器、または多種多様の他の投与量収容パッケージに収容され得る。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
一の実施態様では、患者にd−ピルフェニドン療法を施す方法は、まず当該患者にd−ピルフェニドンの所定の開始用量を投与すること、および当該患者に投与される用量を所定の期間にわたってd−ピルフェニドンの所定の全容量まで増加させることを含む。いくつかの実施態様では、当該所定の期間は、最初の開始用量から測定され、約7〜20日間である。いくつかの実施態様では、当該所定の期間は、13日間または14日間である。いくつかの実施態様では、当該用量は、1つ、2つまたは3つの一日経口投与に分けられる。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、d3−ピルフェニドンである。
参照による本明細書への組み込み
背景技術の項に記載した刊行物および参考文献を含む本明細書で引用する全ての刊行物および文献は、それら全体を参照することにより本明細書に明示的に組み込まれる。しかしながら、組み込まれた刊行物または参考文献と本明細書に明示的に記載されているかまたは定義されているものの両者に見られる類似の用語または同一の用語に関しては、本明細書に明示的に記載されるこれらの用語の定義または意味があらゆる点で優先するものとする。
詳細な説明
本明細書で列記した開示の理解を促進するために、多数の語句を以下に定義する。一般に、本明細書で使用するところの用語、および本明細書で記述する有機化学、医学的化学および薬理学における研究室手順は、当業者によく知られており、一般に利用されているものである。他に定義しない限り、本明細書で使用するすべての技術的および科学的用語は一般に、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同一の意味を有する。本明細書で使用するところの用語に対して多数の定義が存在する場合、他に言及しない限り、本項目における定義が優先される。
本明細書で使用するところの、単数型「a」、「an」および「the」は、他に特に言及しない限り、複数品を意味し得る。
「d−ピルフェニドン」という用語は、構造式I:
[式中、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10およびR
11は、水素またはジュウテリウムからなる群から選択され;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10およびR
11の少なくとも1つは、ジュウテリウムである]
を有する化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグをいう。ある種の実施態様では、d−ピルフェニドンは、下記の構造式:
を有するd
3−ピルフェニドンである。
「対象体」という用語は、霊長類(例えば、ヒト、サル、チンパンジー、ゴリラ等)、齧歯類(例えば、ラット、マウス、アレチネズミ、ハムスター、フェレット等)、ウサギ科、ブタ科(例えば、ブタ、ミニブタ)、ウマ科、イヌ科、ネコ科等を含むがこれらに限定されない動物を意味する。「対象体」および「患者」という用語は、例えば、哺乳動物対象、例えばヒト患者に関して本明細書で相互的に使用される。
「処置する」、「処置すること」および「処置」という用語は、障害を軽減または抑制すること;または障害に関連する1種以上の症状を軽減または抑制すること;および/または障害の原因自体を軽減または根絶することを含むように意図される。
「予防する」、「予防すること」および「予防」という用語は、障害の発症を遅延または防止する方法;その付帯症状を遅延または防止する方法、対象体が障害に罹患することを防ぐ方法;および/または対象体の障害罹患のリスクを減少させる方法を意味する。
「治療有効量」という用語は、投与したときに、治療している障害の1つ以上の症状の発症を予防するため、またはある程度まで軽減するために十分な化合物の量を意味する。「治療有効量」という用語はまた、研究者、獣医、医者または臨床医によって求められる、細胞、組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を誘引するために必要な化合物の量を意味する。
「医薬上許容される担体」、「医薬上許容される賦形剤」または「生理学的に許容される担体」または「生理学的に許容される賦形剤」という用語は、液体または固体充填剤、希釈液、賦形剤、溶媒またはカプセル形成材料のような、医薬上許容される物質、組成物またはビヒクルを意味する。各成分は、他の医薬製剤成分と適合可能であるという意味で、「医薬上許容され」なければならない。過剰な毒性、炎症、アレルギー性応答、免疫原性、または他の問題または合併症なしに、適切な利益/リスク比をもって、ヒトおよび動物の組織または器官と接触して使用するのに適していなければならない。Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition;Lippincott Williams & Wilkins:Philadelphia, PA, 2005;Handbook of Pharmaceutical Excipients, 5th Edition;Rowe et al., Eds., The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association:2005;および Handbook of Pharmaceutical Additives, 3rd Edition;Ash and Ash Eds., Gower Publishing Company:2007;Pharmaceutical Preformulation and Formulation, Gibson Ed., CRC Press LLC:Boca Raton, FL, 2004を参照。
「ジュウテリウム濃縮」という用語は、水素に代わる、分子内の所定位置でのジュウテリウムの組み込みのパーセンテージを意味する。例えば、所定位置での1%のジュウテリウム濃度は、所定の試料中の分子の1%が、特定の位置でジュウテリウムを含むことを意味する。自然のジュウテリウム分布は、約0.0156%であるので、非濃縮開始物質を用いて合成した化合物中の、任意の位置でのジュウテリウム濃縮は、約0.0156%である。ジュウテリウム濃縮は、質量分析および核磁気共鳴スペクトルのような、慣用の分析方法を用いて測定可能である。
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11のような分子内の所定の位置を記述するために使用される場合の「ジュウテリウムである」という用語、または分子構造中の所定の位置を表すために使用される場合の記号「D」は、特定の位置が、自然のジュウテリウム分布を超えるジュウテリウムで濃縮されることを意味する。一の実施態様では、ジュウテリウム濃縮は特定の位置で、約1%以上、別の実施態様態では約5%以上、別の実施態様では約10%以上、別の実施態様では約20%以上、別の実施形態では約50%以上、別の実施態様では約70%以上、別の実施態様では約80%以上、別の実施態様では約90%以上、または別の実施態様では約95%以上のジュウテリウムを有する。
「同位体濃縮」という用語は、元素のより一般的な同位体に代わる、分子中の所与の位置における、該元素のより一般的ではない同位体の組み込みのパーセンテージを意味する。
「同位体濃縮されていない」という用語は、種々の同位体のパーセンテージが、自然のパーセンテージと実質的に同一である分子を意味する。
「実質的に純粋な」および「実質的に均質な」という用語は、薄膜クロマトグラフィー(TLC)、ゲル電気泳動、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、赤外線分光法(IR)およびガスクロマトグラフィー(GC)を含むがこれらに限定されるものではない、標準的な分析方法によって決定されるような、簡単に検出可能な不純物を含まないことが明らかなほど実質的に均質であるか;またはさらなる精製が、物質の、物理学的特性および化学的特性、または酵素活性および生物活性のような生物学的特性および薬理学的特性を検出可能に変化させないように実質的に純粋であることを意味する。ある種の実施態様では、「実質的に純粋な」または「実質的に均質な」とは、標準的な分析方法によって決定されるように、分子の少なくとも約50%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも99.5%が、そのラセミ混合物または単一立体異性体を含む、単一の化合物である、分子の集団をいう。
「約」または「ほぼ」という用語は、特定の値に関して許容可能な誤差を意味する(その誤差は、部分的に、その値が、どのように測定または決定されるかに依存する)。ある種の実施態様では、「約」は、1またはそれ以上の標準偏差を意味し得る。
「活性成分」および「活性物質」という用語は、障害の1つ以上の症状を治療するため、予防するため、または寛解させるために、対象体に、単独で、または1つ以上の医薬上許容される賦形剤および/または担体と合わせて、投与される化合物を意味する。
「薬物」、「治療剤」および「化学療法剤」という用語は、障害の1つ以上の症状を治療するため、予防するため、または寛解させるために、対象体に投与される、化合物またはその医薬組成物を意味する。
本明細書で使用する場合、「障害」という用語は、「疾患」、「症候群」および「状態」(医学的状態でのような)という用語と一般的に同義語であることが意図され、また相互互換的に使用される(そのすべてが体または正常な機能を損なうその部分の1つの異常な状態を反映し、特徴的な兆候および症状が典型的に現れるという意味において)。
「放出制御賦形剤」という用語は、その主な機能が、慣用の即時放出型投与剤形と比較して、投与剤形からの活性物質の放出の期間または場所を変更することである、賦形剤を意味する。
「非放出制御賦形剤」という用語は、その主な機能が、慣用の即時放出型投与剤形と比較して、投与剤形からの活性物質の放出の期間または場所を変更することを含まない、賦形剤を意味する。
「保護基」または「除去可能な保護基」という用語は、ヒドロキシル基もしくはカルボキシル基の酸素原子、またはアミノ基の窒素原子のような官能基に結合した場合、反応がその官能基で生じることを防止し、かつ慣用の化学的工程または酵素的工程によって除去されて、官能基を再構築しうる基をいう(Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999)。
「線維症」という用語は、器官または組織内の過剰な線維性結合組織の発生をいう。
「コラーゲン浸潤」という用語は、細胞中への、または細胞の周囲の細胞外マトリックス中への、結合組織コラーゲンの侵入をいう。これは、器官および組織内で、自然かつ正常な環境下で生じるが、過剰に生じ得、疾患に付随して起こり得るかまたは疾患を引き起こし得る。
「線維症」および「コラーゲン浸潤」という用語は、必ずしも同義語ではないが、場合によっては、互換性をもって使用され得る。
本明細書で使用する場合、「有害事象」および「有害反応」という用語は、疑わしい原因に関係なく処置および処置後の期間に患者において生じる、身体的なサイン、症状、および/または臨床的に重大な検査所見異常によって示される、ピルフェニドン療法を受けている患者における望ましくない変化、有害な変化または病的な変化をいう。この定義は、以下のものを含む:併発性疾患;外傷;既存の状態の悪化;薬物の脱離、乱用または過剰投与の結果として生じる有害事象;ならびに主治医が臨床的に重要であると考えるかまたは臨床医が該薬物の使用を減量もしくは中止するかまたは非プロトコル治療もしくは手順を開始する原因となる(またはその原因となったにちがいない)検査変数の変化。
本明細書で使用する場合、「食物と一緒に」という用語は、一般的に、ピルフェニドン投与の約1時間前〜約2時間後の間に食物を消費した状態を意味すると定義される。
「食物なしで」、「絶食した」または「空腹の」という用語は、ピルフェニドンの投与の約1時間前〜約2時間後の期間内に食物を消費しなかった状態を意味すると定義される。いくつかの実施態様では、ピルフェニドンの投与前に約10時間、約8時間、約6時間、約4時間、約2時間、食物を消費していない。
本明細書で使用する場合、「リスクがあるか罹患している」という用語は、ピルフェニドン療法に関連する有害事象を、以前に経験したか、または現在経験しているか、または経験する可能性が高い、対象体をいう。かかる有害事象にリスクを有するかまたは罹患している対象体を同定する方法は当該技術分野において知られている。
ジュウテリウム化ピリジノン誘導体
ピルフェニドンは、置換ピリジノン系線維症調節剤および/またはコラーゲン浸潤調節剤である。ピルフェニドンの炭素−水素結合は、自然水素同位体分布、すなわち、1Hまたはプロチウム(約99.9844%)、2Hまたはジュウテリウム(約0.0156%)、および3Hまたはトリチウム(プロチウム原子1018につきトリチウム原子約0.5〜67の範囲)を含有する。ジュウテリウム組み込み量の増加は、自然レベルのジュウテリウムを有する化合物と比べて、かかる線維症調節剤および/またはコラーゲン浸潤調節剤の薬物動態学的、薬理学的および/または毒物学的プロファイルに影響を及ぼし得る検出可能な動的同位体効果(KIE)を生じ得る。
ピルフェニドンは、メチル基を酸化することによって人体内で代謝されると思われる。この分子の他の部位は、また、未知の薬理学/毒物学をもって代謝物を導くトランスフォーメーションを受け得る。これらの代謝物の生産を制限することは、このような薬物の投与の危険性を減少させる可能性を有しており、投与量の増加および同時に起こる効力の増大を可能にすることができる。これらのトランスフォーメーションは全て、多様に発現される酵素を介して生じることができ、かくして、患者間の差異を悪化させ得る。また、多発性硬化症のような障害は、対象体が長期間1日中投薬治療された場合に最もよく処置される。上記のすべての理由のために、より長い半減期の医薬がより大きい効力および費用削減ももってこれらの問題を減らす可能性が大きい。
a)望ましくない代謝物を減少させるか排除するため、b)親薬物の半減期を増加させるため、c)所望の効果を達成するのに必要な投与回数を減少させるため、d)所望の効果を達成するのに必要な投与量を減少させるため、e)形成される場合には活性代謝物の形成を増加させるため、および/またはf)特定の組織内での有害な代謝物の生産を減少させるため、および/または、より有効な薬物を創薬するため、および/または多剤投与が意図されているか否かにかかわらず多剤投与のためのより安全な薬物を創薬するために、様々なジュウテリウム化パターンが使用され得る。ジュウテリウム化法は、様々な酸化およびラセミ化メカニズムを介して代謝を遅くする可能性が高い。
一の態様では、構造式I:
[式中、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10およびR
11は、水素およびジュウテリウムからなる群から選択され;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10およびR
11の少なくとも1つは、ジュウテリウムであり;
R
7、R
8、R
9、R
10およびR
11がジュウテリウムである場合、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6の少なくとも1つはジュウテリウムである]
を有する化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグが開示される。
もう1つの実施態様では、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11の少なくとも1つは、独立して、約1%以上、約5%以上、約10%以上、約20%以上、約50%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、または約98%以上のジュウテリウム濃縮を有する。
さらにもう1つに実施態様では、R1、R2およびR3の少なくとも1つは、ジュウテリウムである。
さらにもう1つに実施態様では、R1、R2およびR3は、ジュウテリウムである。
さらにもう1つに実施態様では、R4は、ジュウテリウムである。
さらにもう1つに実施態様では、R5およびR6の少なくとも1つは、ジュウテリウムである。
さらにもう1つに実施態様では、R5およびR6は、ジュウテリウムである。
さらにもう1つに実施態様では、R5およびR6は、ジュウテリウムであり;R1、R2、R3、R4、R7、R8、R9、R10およびR11の少なくとも1つは、ジュウテリウムである。
さらにもう1つに実施態様では、R7、R8、R9、R10およびR11の少なくとも1つは、ジュウテリウムである。
さらにもう1つに実施態様では、R7、R8、R9、R10およびR11は、ジュウテリウムである。
さらにもう1つに実施態様では、R7、R8およびR9は、ジュウテリウムであり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R10およびR11の少なくとも1つは、ジュウテリウムである。
さらにもう1つに実施態様では、R1、R2およびR3の少なくとも1つは、ジュウテリウムであり;R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は、水素である。
さらにもう1つに実施態様では、R1、R2およびR3は、ジュウテリウムであり;R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は、水素である。
さらにもう1つに実施態様では、R4は、ジュウテリウムであり;R1、R2、R3、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は、水素である。
さらにもう1つに実施態様では、R5およびR6の少なくとも1つは、ジュウテリウムであり;R1、R2、R3、R4、R7、R8、R9、R10およびR11は、水素である。
さらにもう1つに実施態様では、R5およびR6は、ジュウテリウムであり;R1、R2、R3、R4、R7、R8、R9、R10およびR11は、水素である。
さらにもう1つに実施態様では、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の少なくとも1つは、ジュウテリウムであり;R7、R8、R9、R10およびR11は、水素である。
さらにもう1つに実施態様では、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、ジュウテリウムであり;R7、R8、R9、R10およびR11は、水素である。
さらにもう1つに実施態様では、R7、R8、R9、R10およびR11の少なくとも1つは、ジュウテリウムであり;R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、水素である。
さらにもう1つに実施態様では、R7、R8、R9、R10およびR11は、ジュウテリウムであり;R1、R2、R3、R4、R5およびR6の少なくとも1つは、ジュウテリウムである。
他の実施態様では、R1は、水素である。さらに他の実施態様では、R2は、水素である。さらに他の実施態様では、R3は、水素である。さらに他の実施態様では、R4は、水素である。いくつかの実施態様では、R5は、水素である。さらに他の実施態様では、R6は、水素である。さらに他の実施態様では、R7は、水素である。さらに他の実施態様では、R8は、水素である。いくつかの実施態様では、R9は、水素である。他の実施態様では、R10は、水素である。さらに他の実施態様では、R11は、水素である。
他の実施態様では、R1は、ジュウテリウムである。さらに他の実施態様では、R2は、ジュウテリウムである。さらに他の実施態様では、R3は、ジュウテリウムである。さらに他の実施態様では、R4は、ジュウテリウムである。いくつかの実施態様では、R5は、ジュウテリウムである。さらに他の実施態様では、R6は、ジュウテリウムである。さらに他の実施態様では、R7は、ジュウテリウムである。さらに他の実施態様では、R8は、ジュウテリウムである。いくつかの実施態様では、R9は、ジュウテリウムである。他の実施態様では、R10は、ジュウテリウムである。さらに他の実施態様では、R11は、ジュウテリウムである。
さらにもう1つに実施態様では、式Iの化合物は、
またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグからなる群から選択される。
もう1つの実施態様では、Dで表される位置の少なくとも1つは、独立して、約1%以上、約5%以上、約10%以上、約20%以上、約50%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、または約98%以上のジュウテリウム濃縮を有する。
本明細書に記載のジュウテリウム化化合物は、また、炭素の13Cまたは14C、窒素の15N、および酸素の17Oまたは18Oを含むがこれらに限定されるものではない、他の元素のあまり一般的ではない同位体を含むこともできる。
一の実施態様では、本明細書に記載のジュウテリウム化化合物は、実質的に、最大耐性用量を増加させながら、毒性を減少させながら、半減期(T1/2)を増加させながら、最小有効用量(MED)の最大血漿濃度(Cmax)を低下させながら、有効用量を滴下させながら、かくして、メカニズム非関連毒性を減少させながら、および/または薬物間相互作用の可能性を低下させながら、対応する非同位体濃縮分子の有益な面を維持する。
同位体水素は、ジュウテリウム化試薬(これによって組み込み率が予め決定される)を使用する合成技術によって、および/または組み込み率が平衡条件によって決定され、反応条件に依存して非常に変化し得る交換技術によって、本明細書に記載の化合物に導入され得る。トリチウムまたはジュウテリウムが公知の同位体内容のトリチウム化またはジュウテリウム化された試薬によって直接、特異的に挿入される合成技術は、高いトリチウムまたはジュウテリウム存在度を生じ得るが、必要とされる化学反応によって制限され得る。加えて、標識される分子は、使用される合成反応の厳しさに応じて変化し得る。他方、交換技術は、しばしば同位体が分子の多くの部位に分布してトリチウムまたはジュウテリウムの組み込みが低い場合があるが、別々の合成工程を必要とせず、また、標識される分子の構造を破壊することは少ないという利点をもたらす。
本明細書に記載の化合物は、当業者に公知の方法およびその慣用的な変法によって、および/または本明細書の実施例に記載の方法と類似の方法およびその慣用的な変法に従って、および/またはEsaki et al Tetrahedron 2006, 62, 10954-10961、Smith et al Organic Syntheses 2002, 78, 51-56、米国特許第3,974,281号およびWO2003/014087ならびにそれらに引用されている文献に記載の方法およびその慣用的な変法に従って、製造され得る。本明細書に記載の化合物は、また、以下のスキームおよびその慣用的な変法にて示されるように製造され得る。
例えば、本明細書に記載の特定の化合物は、スキーム1および2に示されるように製造され得る。
銅含有試薬(例えば、銅粉末)の存在下で塩基(例えば、炭酸カリウム)で処理したアミノピロリドン1を、高温で、溶媒の存在または不在下で、ベンゼン2(ここで、Xは臭素またはヨウ素である)と反応させて、式1で示されるN−アリールピリジノン3を得る。
スキーム1に示される合成手順に従って、適当なジュウテリウム化された中間体を使用することによって、異なる位置にジュウテリウムを合成によって組み込む。例えば、R1、R2、R3、R4、R5およびR6の位置でジュウテリウムを導入するためには、対応するジュウテリウム置換を有する2−ヒドロキシ−5−ピコリンを使用することができる。R7、R8、R9、R10およびR11から選択される1つ以上の位置でジュウテリウムを導入するためには、対応するジュウテリウム置換を有する適当なハロベンゼンを使用することができる。これらのジュウテリウム化中間体は、市販品であるか、または、当業者に公知の方法によって、もしくは本明細書の実施例に記載の方法と類似の方法およびその慣用的な変法に従って製造される。
ジュウテリウムは、また、プロトン−ジュウテリウム平衡交換によって、交換可能なプロトンを有する種々の位置に組み込まれ得る。このようなプロトンは、当該技術分野において公知のプロトン−ジュウテリウム交換法介して、選択的に、または非選択的に、ジュウテリウムと置き換えられ得る。
6−ヒドロキシニコチン酸(4)を塩化チオニルおよびメタノールと反応させて、6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸メチル(5)を得、これを、ジクロロメタン中、酢酸銅(II)・一水和物、ピリジンおよびモレキュラーシーブの存在下にてフェニルボロン酸とカップリングさせて、6−オキソ−1−フェニル−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸メチル(6)を得る。化合物(6)をテトラヒドロフランおよび水中にて水酸化リチウム・一水和物で加水分解して、6−オキソ−1−フェニル−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸(7)を得た。酸(7)を、テトラヒドロフラン中、N−メチルモルホリンの存在下にてクロロギ酸イソブチルと反応させて混酸無水物を得、これをテトラヒドロフラン中にてホウ素化ジュウテリウム化ナトリウムで還元してd2−5−(ヒドロキシメチル)−1−フェニルピリジン−2(1H)−オン(8)を得る。化合物(8)を、ジクロロメタン中にて三臭化リンと反応させることによって、d2−5−ブロモメチル−1−フェニル−1H−ピリジン−2−オン(9)に変換する。臭化物(9)をジュウテリウム化アルミニウムリチウムで還元して、式(I)で示されるd3−5−(メチル)−1−フェニルピリジン−2(1H)−オン(10)を得る。
当然のことながら、本明細書に記載の化合物は、“Stereochemistry of Carbon Compounds” Eliel and Wilen, John Wiley & Sons, New York, 1994, pp. 1119-1190に記載されるようなキラル中心、キラル軸および/またはキラル平面を1つ以上含有し得る。このようなキラル中心、キラル軸およびキラル平面は、(R)または(S)のいずれかの配置のものであり得るか、またはその混合物であり得る。
少なくとも1つのキラル中心を有する化合物を含有する組成物を特徴付けるためのもう1つの方法は、偏光の光線に対する当該組成物の効果によるものである。平面偏光の光線がキラル化合物の溶液を通過すると、現れる光の偏光平面が元の平面に対して回転する。この現象は、光学活性として知られており、偏光の平面を回転させる化合物は、光学活性を有すると言われる。化合物の一のエナンチオマーは、一の方向に偏光の光線を回転させ、他のエナンチオマーは、反対方向に該光線を回転させる。
時計回り方向に偏光を回転させるエナンチオマーは、(+)エナンチオマーであり、反時計回り方向に偏光を回転させるエナンチオマーは、(−)エナンチオマーである。本明細書に記載の化合物の(+)および/または(−)エナンチオマーを0〜100%含む組成物が、本明細書に記載の組成物の範囲内に含まれる。
本明細書に記載の化合物がアルケニル基またはアルケニレン基を含む場合、当該化合物は、幾何学的cis/trans(またはZ/E)異性体の1つまたは混合物として存在し得る。構造異性体が、低エネルギーバリアを介して相互交換的である場合、本明細書に記載の化合物は、単一の互変異性体または互変異性体の混合物として存在し得る。これは、例えば、イミノ基、ケト基またはオキシム基を含む、本明細書に記載の化合物中のプロトン互変異性の形態を取り得るか;または芳香族部位を含む化合物中の原子価互変異性と呼ばれる形態をとり得る。当然のことながら、単一化合物は、2つ以上の異性体の型を示し得る。
本明細書に記載の化合物は、単一のエナンチオマーまたは単一のジアステレオマーのような、鏡像異性的に純粋であり得るか、またはエナンチオマーの混合物、ラセミ混合物、またはジアステレオマー混合物のように、立体異性体混合物であり得る。したがって、当業者は、その(R)形態での化合物の投与が、生体内でエピマー化を受けている化合物に関して、その(S)形態での化合物の投与と等価であることを認識する。個々のエナンチオマーの製造/単離に関する慣用技術には、好適な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または例えばキラルクロマトグラフィー、再結晶、分割、ジアステレオマー塩形成、またはジアステレオマー付加物への誘導化に続く分離を用いる、ラセミ体の分割が含まれる。
本明細書に記載の化合物が、酸性または塩基性部位を含む場合、医薬上許容される塩としても記載され得る(Berge et al., J. Pharm. Sci. 1977, 66, 1-19;および“Handbook of Pharmaceutical Salts, Properties, and Use,”Stah and Wermuthm Ed.; Wiley-VCH and VHCA, Zurich, 2002を参照)。
医薬上許容される塩の製造に使用するのに適した酸としては、酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アシル化アミノ酸、アジピン酸、アルギニン酸、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、ホウ酸、(+)−ショウノウ酸、カンファースルホン酸、(+)−(1S)−カンファー−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、D−グルクロン酸、L−グルタミン酸、α−オキソ−グルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸、ラクトビオン酸、ラウリル酸、マレイン酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモン酸、過塩素酸、リン酸、L−ピログルタミン酸、サッカリン酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸および吉草酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
医薬上許容される塩の製造に使用するのに適した塩基としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化亜鉛または水酸化ナトリウムのような無機塩基;およびL−アルギニン、ベンタミン、ベンザチン、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、ジメチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、2−(ジエチルアミノ)−エタノール、エタノールアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、イソプロピルアミン、N−メチル−グルカミン、ヒドラバミン、1H−イミダゾール、L−リジン、モルホリン、4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、メチルアミン、ピペリジン、ピペラジン、プロピルアミン、ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、ピリジン、キヌクリジン、キノリン、イソキノリン、第二級アミン類、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチル−D−グルカミン、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールおよびトロメタミンを含む第一級、第二級、第三級および第四級、脂肪族および芳香族アミン類のような有機塩基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書に記載の化合物は、化合物の機能的誘導体であり、生体内で簡単に親化合物に変換可能である、プロドラッグとして提供され得る。プロドラッグはしばしば、場合によっては、親化合物よりも投与するのが簡単であり得るので、有用である。それらは、例えば、経口投与によってバイオアベイラブルであり得るが、親化合物はそうではない。プロドラッグはまた、親化合物よりも医薬組成物中での可溶性が増強されうる。プロドラッグは、酵素処理および代謝加水分解を含む種々のメカニズムによって親薬物に変換されうる。Harper, Progress in Drug Research 1962, 4, 221-294;Morozowich et al. in “Design of Biopharmaceutical Properties through Prodrugs and Analogs,” Roche Ed., APHA Acad. Pharm. Sci. 1977;“Bioreversible Carriers in Drug in Drug Design, Theory and Application,” Roche Ed., APHA Acad. Pharm. Sci. 1987;“Design of Prodrugs,” Bundgaard, Elsevier, 1985;Wang et al., Curr. Pharm. Design 1999, 5, 265-287;Pauletti et al., Adv. Drug. Delivery Rev. 1997, 27, 235-256;Mizen et al., Pharm. Biotech. 1998, 11, 345-365;Gaignault et al., Pract. Med. Chem. 1996, 671-696;Asgharnejad in “Transport Processes in Pharmaceutical Systems,” Amidon et al., Ed., Marcell Dekker, 185-218, 2000;Balant et al., Eur. J. Drug Metab. Pharmacokinet. 1990, 15, 143-53;Balimane and Sinko, Adv. Drug Delivery Rev. 1999, 39, 183-209;Browne, Clin. Neuropharmacol. 1997, 20, 1-12;Bundgaard, Arch. Pharm. Chem. 1979, 86, 1-39;Bundgaard, Controlled Drug Delivery 1987, 17, 179-96;Bundgaard, Adv. Drug Delivery Rev.1992, 8, 1-38;Fleisher et al., Adv. Drug Delivery Rev. 1996, 19, 115-130;Fleisher et al., Methods Enzymol. 1985, 112, 360-381;Farquhar et al., J. Pharm. Sci. 1983, 72, 324-325;Freeman et al., J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1991, 875-877;Friis and Bundgaard, Eur. J. Pharm. Sci. 1996, 4, 49-59;Gangwar et al., Des. Biopharm. Prop. Prodrugs Analogs, 1977, 409-421;Nathwani and Wood, Drugs 1993, 45, 866-94;Sinhababu and Thakker, Adv. Drug Delivery Rev. 1996, 19, 241-273;Stella et al., Drugs 1985, 29, 455-73;Tan et al., Adv. Drug Delivery Rev. 1999, 39, 117-151;Taylor, Adv. Drug Delivery Rev. 1996, 19, 131-148;Valentino and Borchardt, Drug Discovery Today 1997, 2, 148-155;Wiebe and Knaus, Adv. Drug Delivery Rev. 1999, 39, 63-80;Waller et al., Br. J. Clin. Pharmac. 1989, 28, 497-507を参照。
医薬組成物
本明細書において、医薬上許容されるビヒクル、担体、希釈剤、賦形剤、またはそれらの混合物と合わせた、活性成分として本明細書に記載の化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグを含み、1つ以上の医薬上許容される賦形剤または担体と組み合わされる、医薬組成物を開示する。
本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ、および、1つ以上の、本明細書で記載される放出制御賦形剤または担体を含む、放出調節製剤の医薬組成物である。適切な放出調節製剤ビヒクルとしては、親水性または疎水性マトリックスデバイス、水溶性の分離層コーティング、腸溶コーティング、浸透圧性デバイス、多粒子デバイス、およびそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されるものではない。当該医薬組成物は、また、非放出制御賦形剤または担体を含み得る。
さらに、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の化合物、またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ、および、腸溶コーティング剤形に用いるための1つ以上の放出制御賦形剤または担体を含む、腸溶性剤形の医薬組成物である。当該医薬組成物は、また、非放出制御賦形剤または担体を含み得る。
さらに、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の化合物、またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ、および、発泡性剤形に用いるための1つ以上の放出制御賦形剤または担体を含む、発泡性剤形の医薬組成物である。当該医薬組成物は、また、非放出制御賦形剤または担体を含み得る。
さらに、本明細書には、即時放出成分と、少なくとも1種の遅延放出成分を有し、0.1時間〜24時間の間隔がある少なくとも2つの連続パルスの形で化合物を不連続放出させることが可能な剤形の医薬組成物が提供される。当該医薬組成物は、本明細書に記載の化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ、および、崩壊性半透膜に適しており、膨潤性物質として適している賦形剤または担体のような放出制御および非放出制御賦形剤または担体の1つ以上を含む。
また本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の化合物またはその医薬上許容される塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ、および部分的にアルカリで中和され、陽イオン交換能を有する胃液耐性の高分子多層材料を含む反応中間層および胃液耐性の外層に囲まれた、1つ以上の医薬上許容される賦形剤または担体を含む、対象体へ経口投与するための剤形の医薬組成物である。
本明細書で提供されるのは、約0.1〜約1000mg、約1〜約500mg、約2〜約100mg、約1mg、約10mg、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mgの1つ以上の本明細書に記載の化合物を含む、経口投与用の即時放出フィルムコート錠の剤形の医薬組成物である。当該医薬組成物は、さらに、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、微結晶性セルロース、ポビドン、アルファ化デンプン、プロピレングリコール、二酸化珪素、ソルビン酸、モノオレイン酸ソルビタン、ステアリン酸、タルク、二酸化チタンおよびバニリンを含む。
本明細書で提供されるのは、約0.1〜約1000mg、約1〜約500mg、約2〜約250mg、約1mg、約10mg、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mgの1つ以上の本明細書に記載の化合物を含む、経口投与用の即時放出フィルムコート錠の剤形の医薬組成物である。当該医薬組成物は、さらに、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、コロイド状二酸化珪素、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、微結晶性セルロース、ポビドン、プロピレングリコール、ソルビン酸、モノオレイン酸ソルビタン、二酸化チタンおよびバニリンを含む。
本明細書で提供されるのは、約0.1〜約1000mg、約1〜約500mg、約2〜約250mg、約1mg、約10mg、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mgの1つ以上の本明細書に記載の化合物を含む、経口投与用の延長放出フィルムコート錠の剤形の医薬組成物である。当該医薬組成物は、さらに、セルロース系ポリマー、ラクトース・一水和物、ステアリン酸マグネシウム、プロピレングリコール、ソルビン酸、モノオレイン酸ソルビタン、タルク、二酸化チタンおよびバニリンを含む。
本明細書で提供されるのは、約0.1〜約1000mg、約1〜約500mg、約2〜約250mg、約1mg、約10mg、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mgの1つ以上の本明細書に記載の化合物を含む、経口懸濁剤のための顆粒の形態の医薬組成物である。当該医薬組成物は、さらに、カルボマー、ヒマシ油、クエン酸、フタル酸ヒプロメロース、マルトデキストリン、ソルビン酸カリウム、ポビドン、二酸化珪素、シュークロース、キサンタンガム、二酸化チタンおよびフルーツポンチフレーバーを含む。
明細書に記載の医薬組成物は、単位投与剤形または反復投与剤形で提供され得る。本明細書で使用される場合、単位投与剤形とは、ヒトおよび動物対象体への投与に適し、かつ当技術分野で知られている通りに個別包装された、物理的に別々の単位をいう。各単位投与剤形は、所望の治療効果を生じるのに十分な所定量の有効成分を、必要な医薬担体または賦形剤と共に含む。単位投与剤形の例としては、アンプル剤、注射剤、ならびに個々に包装された錠剤およびカプセル剤が挙げられる。単位投与剤形は、画分でまたはそれを複数で投与することができる。反復投与剤形は、単位投与剤形を分離して投与するために、同一の単位投与剤形が複数、単一の容器内に包装されたものである。反復投与剤形の例としては、バイアル、錠剤もしくはカプセル剤用の瓶、または1パイントもしくは1ガロン瓶が挙げられる。
本明細書に記載の化合物は、単独で、または本明細書に記載の1つまたは複数の他の化合物、1つまたは複数の有効成分と共に投与することができる。本明細書に記載の化合物を含む医薬組成物は、経口投与、非経口投与および局所投与のための種々の剤形に処方することができる。当該医薬組成物はまた、遅延放出剤形、延長放出剤形、持続放出剤形、徐放剤形、パルス放出剤形、制御放出剤形、加速放出剤形および高速放出剤形、標的化放出剤形、プログラムされた放出剤形、ならびに胃内貯留剤形を包含する放出調節剤形として処方することもできる。これらの剤形は、当業者に知られている慣用の方法および技術に従って調製可能である(Remington: The Science and Practice of Pharmacy, supra; Modified-Release Drug Deliver Technology, Rathbone et al., Eds., Drugs and the Pharmaceutical Science, Marcel Dekker, Inc.: New York, NY, 2002;Vol. 126を参照)。
本明細書に記載の医薬組成物は、単回投与、または時間の間隔を置いて反復投与することができる。当然のことながら、正確な用量および治療の持続期間は、治療される患者の年齢、体重および状態によって変化し得、既知の試験プロトコルを用いて、または生体内試験または生体外試験または診断データからの推定によって、経験的に決定することができる。さらに、当然のことながら、特定個人に対して、個々の必要性および、製剤投与の個人管理または監督についての専門家の判断に従って、長期にわたり特定の用量管理を調節すべきである。
患者の状態が改善されない場合には、医師の裁量で、当該化合物の投与は、患者の疾患の症状もしくは状態を寛解させるため、または制御するため、または制限するために、慢性的に、すなわち、患者の生命が存続している間中を含む、長期間にわたって施され得る。
患者の状態が改善される場合には、医師の裁量で、当該化合物の投与は、ある一定期間、連続的にまたは一時的に停止することができる(すなわち、「休薬期間」)。
患者の状態改善が起こった時点で、必要に応じて維持量を投与する。その後、症状に応じて、投与の用量または頻度、またはその両方を、疾患、障害または状態が改善された状態で維持されるレベルまで減らすことができる。しかしながら、患者は、症状の再発に際して、長期的に断続的な治療を必要とし得る。
A.経口投与
本明細書に記載の医薬組成物は、経口投与用の、固体、半固体、または液体の剤形で処方され得る。本明細書で使用される場合、経口投与には口腔投与、舌投与および舌下投与も含まれる。適切な経口剤形としては、錠剤、カプセル剤、丸薬、トローチ、ロゼンジ剤、芳香錠、カシェ剤、ペレット剤、薬用チューイングガム、顆粒剤、原末、発泡性または非発泡性粉末剤もしくは顆粒剤、液剤、乳剤、懸濁剤、液剤、ウエハース、噴霧剤、エリキシル剤およびシロップ剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。当該医薬組成物は、有効成分に加えて、結合剤、充填剤、希釈剤、崩壊剤、湿潤剤、滑沢剤、流動促進剤、着色剤、色流れ阻害剤、甘味剤および香料が挙げられるが、これらに限定されるものではない1つまたは複数の医薬上許容される担体または賦形剤を含み得る。
結合剤または顆粒化剤は、錠剤にまとまりを与えて圧縮後に錠剤が確実に原型を保てるようにする。適切な結合剤または顆粒化剤としては、コーンスターチ、ジャガイモデンプンおよびアルファ化デンプン(例えば、STARCH 1500)などのデンプン類;ゼラチン;ショ糖、ブドウ糖、デキストロース、糖液および乳糖などの糖類;アカシア、アルギン酸、アルギン酸塩、アイリッシュ・モスの抽出物、パンワルゴム(Panwar gum)、ガッチゴム(ghatti gum)、イサゴール(isabgol)外皮の粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、Veegum、カラマツのアラボガラクタン(larch arabogalactan)、トラガカント末、およびグアーガムなどの天然ゴムおよび合成ゴム;エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、などのセルロース類;AVICEL‐PH‐101、AVICEL‐PH‐103、AVICEL RC‐581、AVICEL‐PH‐105(FMC Corp,Marcus Hook,PA)などの結晶セルロース類;およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。適切な充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、粉末セルロース、デキストレート(dextrates)、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。結合剤または充填剤は、本明細書に記載の医薬組成物中、約50重量%〜約99重量%で存在し得る。
適切な希釈剤としては、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、乳糖、ソルビトール、ショ糖、イノシトール、セルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、および粉糖が挙げられるが、これらに限定されるものではない。マンニトール、乳糖、ソルビトール、ショ糖、およびイノシトールなどの特定の希釈剤は、十分な量が存在する場合には、一部の圧縮錠剤に対して、口の中で咀嚼することによって崩れる性質を与えることができる。そのような圧縮錠剤は、噛み砕ける錠剤として使用できる。
適切な崩壊剤としては、寒天、ベントナイト、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースなどのセルロース類;木材生産物;天然スポンジ;陽イオン交換樹脂;アルギン酸;グアーガムおよびVeegum HVなどのゴム類;かんきつ類の果肉;クロスカルメロースなどの架橋セルロース類;クロスポビドンなどの架橋ポリマー類;架橋デンプン;炭酸カルシウム;デンプングリコール酸ナトリウムなどの微結晶セルロース;ポラクリリンカリウム(polacrilin potassium);コーンスターチ、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン、およびプレゼラチン化デンプンなどのデンプン類;粘土;aligns;およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本明細書に記載の医薬組成物中の崩壊剤の量は、処方の種類によって変わり、当業者に容易に識別できる。本明細書に記載の医薬組成物は、約0.5重量%〜約15重量%、または約1重量%〜約5重量%の崩壊剤を含み得る。
適切な滑沢剤としては、ステアリン酸カルシウム;ステアリン酸マグネシウム;鉱油;軽油;グリセリン;ソルビトール;マンニトール;ベヘン酸グリセロールおよびポリエチレングリコール(PEG)などのグリコール類;ステアリン酸;ラウリル硫酸ナトリウム;タルク;ピーナッツ油、綿実油、ひまわり油、ゴマ油、オリーブ油、とうもろこし油、および大豆油などの硬化植物油;ステアリン酸亜鉛;オレイン酸エチル;ラウリン酸エチル;寒天;デンプン;ヒカゲノカズラ;AEROSIL(登録商標)200(W.R.Grace Co.,Baltimore,MD)およびCAB‐O‐SIL(登録商標)(Cabot Co.of Boston,MA)などのシリカまたはシリカゲル;およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本明細書に記載の医薬組成物は、約0.1重量%〜約5重量%の滑沢剤を含み得る。
適切な流動促進剤としては、コロイド状二酸化ケイ素、CAB‐O‐SIL(登録商標)(Cabot Co.of Boston,MA)、およびアスベスト不使用のタルクが挙げられる。着色剤としては、任意の、認可、認定された、水溶性FD&C染料およびアルミナ白に懸濁させた不水溶性FD&C染料、およびレーキ顔料、およびそれらの混合物が挙げられる。レーキ顔料は、水溶性染料を重金属の水和酸化物に吸着させて、不溶性の染料にした合成品である。香料添加剤としては、果実類などの植物から抽出した天然香料および、ペパーミントおよびメチルサリチル酸などの口当たりが良い感覚を生ずる化合物を合成的に混合したものが挙げられる。甘味剤としては、ショ糖、乳糖、マンニトール、シロップ、グリセリン、ならびにサッカリンおよびアスパルテームなどの人口甘味料が挙げられる。適切な乳化剤としては、ゼラチン、アカシア、トラガカント、ベントナイト、ならびにポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(TWEEN(登録商標)20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート80(TWEEN(登録商標)80)、およびトリエタノールアミンオレアートなどの界面活性剤が挙げられる。懸濁化剤および分散剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、トラガカント、ビーガム、アカシア、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンが挙げられる。防腐剤としては、グリセリン、メチルパラベンおよびプロプルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウムおよびアルコールが挙げられる。湿潤剤としては、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ジエチレングリコール、およびポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。溶剤としては、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコール、およびシロップが挙げられる。乳剤に用いられる非水性液体の例としては、鉱油および綿実油が挙げられる。有機酸としては、クエン酸および酒石酸が挙げられる。二酸化炭素源としては、重炭酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムが挙げられる。
当然のことながら、多くの担体および賦形剤が、同一の製剤内においてさえもいくつもの働きをし得る。
本明細書に記載の医薬組成物は、圧縮錠剤、粉薬錠剤、チュアブルドロップ、速溶性錠剤、多重圧縮錠剤、または腸溶コーティング錠、糖衣錠もしくはフィルムコート錠として提供することができる。腸溶コーティング錠は、胃の作用には耐えるが、腸内で溶解または分解する物質で被覆した圧縮錠剤で、有効成分を胃の酸性環境から保護する。腸溶コーティング剤としては、脂肪酸、脂質、サリチル酸フェニル、ワックス類、セラックニス、アンモニア処理したセラックニス、および酢酸フタル酸セルロースが挙げられるが、これらに限定されない。糖衣錠は、糖衣に囲まれた圧縮錠剤で、好ましくない味またはにおいを隠すこと、ならびに錠剤を酸化から保護することに有効でありうる。フィルムコート錠は、水溶性物質の薄層または薄膜で被覆した圧縮錠剤である。フィルムコーティング剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000、および酢酸フタル酸セルロースが挙げられるが、これらに限定されない。フィルムコーティングにより糖衣と同様の一般的特徴が得られる。多重圧縮錠剤は、層状錠剤および、加圧コーティング錠剤もしくは乾燥コーティング錠剤などの、2回以上の圧縮周期によって作られた圧縮錠剤である。
錠剤の剤形は、粉末状、結晶状、もしくは顆粒状の有効成分を単独で、または1つもしくは複数の、本明細書に記載の担体または添加剤(結合剤、崩壊剤、放出制御ポリマー、滑沢剤、希釈剤、および/または着色剤など)と共に用いて、調製することができる。香料添加剤および甘味剤は、チュアブル錠およびチュアブルドロップの形成において特に有効である。
本明細書に記載の医薬組成物は、ゼラチン、メチルセルロース、デンプン、またはアルギン酸カルシウムから作製できるソフトカプセルまたはハードカプセルとして提供されてよい。ハードゼラチンカプセルは、乾燥充填カプセル(DFC)としても知られ、2つの部分からなり、片方が他方を覆って滑り降りるので、有効成分を完全に封入できる。弾性ソフトカプセル(SEC)は、グリセリン、ソルビトール、または類似のポリオールの添加によって可塑化した、軟らかい、ゼラチンの殻などの球状の殻である。軟らかいゼラチン殻には、微生物の増殖を防ぐ為の防腐剤が含まれ得る。適切な防腐剤としては、メチルパラベンおよびプロピルパラベン、ならびにソルビン酸などの、本明細書に記載のものが挙げられる。本明細書に開示の液体、半固体、および固体の剤形は、カプセル中に封入して提供され得る。適切な液体および半固体の剤形としては、炭酸プロピレン、植物油、またはトリグリセリド類の溶液および懸濁液が挙げられる。そのような溶液を被覆するカプセルは、米国特許第4,328,245号、同第4,409,239号、および同第4,410,545号に記載のように調製できる。カプセルはまた、有効成分の溶解性を改良するためまたは持続させるために、当業者に公知の通りに被覆することができる。
本明細書に記載の医薬組成物は、乳剤、液剤、懸濁剤、エリキシル剤、およびシロップ剤などの液体または半固体の剤形で提供され得る。乳剤は、一方の液体が他方の液体全体に小球上に分散している2層系であり、水中油型または油中水型でありうる。乳剤は、医薬上許容される非水性の液体または溶媒、乳化剤、および防腐剤を含有し得る。懸濁剤は、医薬上許容される懸濁化剤および防腐剤を含有してよい。水性アルコール溶液は、医薬上許容される、低級アルキルアルデヒドのジ(低級アルキル)アセタール(例えばアセトアルデヒドジエチルアセタール)(「低級」という用語は、炭素原子を1〜6個有するアルキルを指す)などのアセタール、ならびにプロピレングリコールおよびエタノールなどの、1つまたは複数の水酸基を有する水混和性溶媒を含有し得る。エリキシル剤は、透明な、甘味がある、含水アルコール溶液である。シロップ剤は、糖(例えばショ糖)の濃縮水溶液であり、防腐剤を含有してもよい。液体の剤形については、例えば、ポリエチレングリコール溶液を十分な量の医薬上許容される液体担体(例えば水)で希釈することで、投与のための計量を便利にすることができる。
他の有効な液体および半固体の剤形としては、本明細書に開示される有効成分(1種または複数種)を含有するもの、および、1,2−ジメトキシメタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコール−350−ヂメチルエーテル、ポリエチレングリコール−550−ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール−750−ジメチルエーテル(ここで、350、550、および750はポリエチレングリコールのおよその平均分子量を示す)などのジアルキル化されたモノ−またはポリ−アルキレングリコールが挙げられる。これらの処方はさらに、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンE、ヒドロキノン、ヒドロキシクマリン、エタノールアミン、レシチン、ケファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、リン酸、亜硫酸水素塩、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオジプロピン酸およびそのエステル、およびジチオカルバミン酸などの坑酸化剤を1つまたは複数含有することができる。
本明細書に開示される経口投与用の医薬組成物はまた、リポソーム製剤、ミセル製剤、ミクロスフェア製剤、またはナノ製剤の形で提供され得る。ミセル剤形は、米国特許第6,350,458号に記載の通りに調製することができる。
本明細書に記載の医薬組成物は、液体の剤形に再構成できるように、発泡性または非発泡性の顆粒および粉末として提供され得る。非発泡性の顆粒または粉末に用いられる、医薬上許容される担体および添加剤としては、希釈剤、甘味剤、および湿潤剤が含まれてよい。発泡性の顆粒または粉末に用いられる医薬上許容される担体および添加剤としては、有機酸および二酸化炭素源が含まれ得る。
着色剤および香料添加剤は、上記剤形の全てに用いることができる。
本明細書に記載の医薬組成物は、即効性剤形または、遅延放出剤形、徐放剤形、パルス放出剤形、制御放出剤形、標的化放出剤形、プログラムされた放出剤形などの改変放出剤形に処方することができる。
0231
ここに開示される医薬組成物は、所望の治療作用を損なうことのない他の活性成分と、または他のドロトレコジンαおよびヒドロコルチゾンのような所望の作用を補足する物質と共に製剤しうる。
B.非経口投与
本明細書に記載の医薬組成物は、注射、注入、または埋め込みによって局所投与または全身投与することができる。本明細書で使用される場合、非経口投与には、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、くも膜下投与、脳室内投与、尿道内投与、胸骨内投与、頭蓋内投与、筋肉内投与、骨液嚢内投与、および皮下投与が含まれる。
本明細書に記載の医薬組成物は、非経口投与に適した任意の剤形に処方され得、例えば液剤、懸濁剤、乳剤、ミセル製剤、リポソーム製剤、ミクロスフェア製剤、ナノ製剤、および、注射前に液剤または懸濁剤に液化するのに適した固体形が挙げられる。そのような剤形は、薬学の当業者に知られている従来の方法に従って調製することができる。(前記Remington: The Science and Practice of Pharmacyを参照)。
非経口投与を対象とした医薬組成物は、医薬上許容される担体および添加剤を1つまたは複数含有してよいが、水性賦形剤、水混和性賦形剤、非水溶性賦形剤、抗菌剤または微生物の増殖に対する防腐剤、安定剤、溶解度増加剤、等張剤、緩衝剤、坑酸化剤、局所麻酔薬、懸濁および分散剤、湿潤または乳化剤、錯化剤、金属イオン封鎖またはキレート剤、凍結防止剤、溶解保護剤、増粘剤、pH調節剤および不活性ガスが挙げられるが、これらに限定されない。
適切な水性賦形剤としては、水、生理食塩水(saline)、生理食塩水(physiological saline)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、塩化ナトリウム注射、Ringers注射が挙げられるが、これらに限定されない。非水性賦形剤としては、植物由来の固定油、ヒマシ油、とうもろこし油、綿実油、オリーブ油、ピーナツ油、ペパーミント油、サフラワー油、ゴマ油、大豆油、硬化植物油、硬化大豆油、およびココナツ油の中鎖トリグリセリド、およびパーム核油が挙げられるが、これらに限定されない。水混和性賦形剤としては、エタノール、1,3−ブタンジオール、液体ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール300およびポリエチレングリコール400)、プロピレングリコール、グリセリン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、およびジメチルスルホキシドが挙げられるが、これらに限定されない。
適切な抗菌剤または防腐剤としては、フェノール、クレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、パラオキシ安息香酸メチルおよびパラオキシ安息香酸プロピル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、メチルパラベンおよびプロピルパラベン、およびソルビン酸が挙げられるが、これらに限定されない。適切な等張剤としては、塩化ナトリウム、グリセリン、およびデキストロースが挙げられるが、これらに限定されない。適切な緩衝剤としては、リン酸塩およびクエン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。適切な坑酸化剤としては、亜硫酸水素塩およびメタ重亜硫酸ナトリウムなどの、本明細書に記載のものが挙げられる。適切な局所麻酔薬としては、塩酸プロカインが挙げられるが、これに限定されない。適切な懸濁および分散剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンなどの本明細書に記載のものが挙げられる。適切な乳化剤としては、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン80、およびオレイン酸トリエタノールアミンなどの本明細書に記載のものが挙げられる。適切な金属イオン封鎖またはキレート剤としてはEDTAが挙げられるが、これに限定されない。適切なpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸、および乳酸が挙げられるが、これらに限定されない。適切な錯化剤としては、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン、およびスルホブチルエーテル7−β−シクロデキストリン(CAPTISOL(登録商標)、CyDex、Lenexa、KS)などのシクロデキストリンが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に記載の医薬組成物は、単回投与または反復投与用に処方することができる。単回投与用量は、アンプル、バイアル、または注射器に包装される。反復用量の非経口製剤は、静菌的なまたは静真菌的な濃度で坑菌剤を含有する必要がある。全ての非経口製剤は、当技術分野で公知かつ実践されているように滅菌される必要がある。
1つの実施形態においては、医薬組成物はそのまま使用できる(ready−to−use)滅菌液剤として提供される。別の実施形態においては、医薬組成物は凍結乾燥粉末および皮下注射用錠剤を含有し、使用前に賦形剤を用いて再構成するための、滅菌した乾燥溶解性製品として提供される。また別の実施形態においては、医薬組成物は、そのまま使用できる(ready−to−use)滅菌懸濁剤として提供される。また別の実施形態においては、医薬組成物は、使用前に賦形剤を用いて再構成するための、滅菌した乾燥不溶性製品として提供される。さらに別の実施形態においては、医薬組成物は、そのまま使用できる滅菌乳剤として提供される。
本明細書に記載の医薬組成物は、即効性剤形または、遅延放出剤形、徐放剤形、パルス放出剤形、制御放出剤形、標的化放出剤形、プログラムされた放出剤形などの改変放出剤形に処方することができる。
医薬組成物は、デポー剤注入として投与するために、懸濁剤、固体、半固体、または揺変性液体として処方することができる。ある実施形態においては、本明細書に記載の医薬組成物は、体液には不溶性だが、医薬組成物中の有効成分はそれを通して拡散できるような高分子外膜に囲まれた、固体の内部マトリックス中に分散される。
適切な内部マトリックスとしては、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、可塑化または非可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル、共重合体、シリコンゴム、ポリジメチルシロキサン、炭酸ケイ素共重合体、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルのヒドロゲルなどの親水性ポリマー、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコール、および架橋した部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニルなどが挙げられる。
適切な高分子外膜としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、シリコンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合体、塩化ビニリデン、エチレンおよびプロピレン、ポリエチレンテレフタレートのアイオノマー、ブチルゴム、エピクロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコール共重合体、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコール三元重合体、およびエチレン/ビニルオキシエタノール共重合体が挙げられる。
D.調節放出
本明細書に記載の医薬組成物は、放出調節投与形態として処方してよい。本明細書で使用するところの「調節放出(modified release)」は、(1つまたは複数の)活性成分の放出の速度または一が、同一の経路によって投与した場合に、即効性の投与形態のものとは異なる、投与形態を意味する。可変放出投与形態には、遅延、拡張、延長、除放、パルス、制御、加速および迅速、標的化、プログラムされた放出、および胃貯留投与形態が含まれる。放出調節投与形態中の医薬組成物は、限定はしないが、マトリックス制御放出器具、浸透圧制御放出器具、多重微粒子制御放出器具、イオン−交換樹脂、腸溶性コーティング、多重層化コーティング、ミクロスフィア、リポソームおよびこれらの組合せを含む、当業者に知られる種々の改変放出器具および方法を用いて調製可能である。(1つまたは複数の)活性成分の放出速度はまた、(1つまたは複数の)活性成分の粒子の大きさおよび多型性を変更することによって改変することも可能である。
調節放出の例としては、米国特許第3,845,770号、第3,916,899号、第3,536,809号、第3,598,123号、第4,008,719号、第5,674,533号、第5,059,595号、第5,591,767号、第5,120,548号、第5,073,543号、第5,639,476号、第5,354,556号、第5,639,480号、第5,733,566号、第5,739,108号、第5,891,474号、第5,922,356号、第5,972,891号、第5,980,945号、第5,993,855号、第6,045,830号、第6,087,324号、第6,113,943号、第6,197,350号、第6,248,363号、第6,264,970号、第6,267,981号、第6,376,461号、第6,419,961号、第6,589,548号、第6,613,358号および第6,699,500号に記載されたものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
1.マトリックス制御放出器具
改変放出投与形態での本明細書に記載の医薬組成物を、当業者に既知であるマトリックス制御放出器具を用いて加工することができる(Takada et al in “Encyclopedia of Controlled Drug Delivery,” Vol. 2, Mathiowitz ed., Wiley, 1999を参照)。
1つの実施形態において、改変放出投与形態において本明細書に記載の医薬組成物は、合成ポリマーおよび多糖類およびタンパク質のような、天然に存在するポリマーおよび誘導体を含む、水膨潤性、浸食性または可溶性ポリマーである、浸食性マトリックス器具を用いて処方する。
浸食性マトリックスを形成することにおいて有用な物質としては、キチン、キトサン、デキストランおよびプルラン、ガム寒天、アラビアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、トラガカントガム、カラギーナン、ガッチガム、グアーガム、キサンタンガムおよびスクレログルカン、デキストリンおよびマルトデキストリンのようなデンプン、パクチンのような親水性コロイド、レシチンのようなホスファチド、アルギン酸、プロピレングリコールアルギン酸、ゼラチン、コラーゲン、およびエチルセルロース(EC)、メチルエチルセルロース(MEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、CMEC、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、酢酸セルロース(CA)、プロピオン酸セルロース(CP)、ブチル酸セルロース(CB)、酢酸ブチル酸セルロース(CAB)、CAP、CAT、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、HPMCP、HPMCAS、ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸トリメリテート(HPMCAT)、およびエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)のようなセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ポリビニル、グリセロール脂肪酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、エタクリル酸またはメタクリル酸のコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)、ロームアメリカ社(Rohm America,Inc.)、Piscataway,NJ)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メチルアクリレート)、ポリアクチド、L−グルタミン酸とエチル−L−グルタミン酸塩のコポリマー、分解可能乳酸−グリコール酸コポリマー、ポリ−D−(−)−3−ヒドロキシブチル酸、およびブチルメタクリレート、メチルメトアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、(2−ジメチルアミノエチル)メタクリレート、および塩化(トリメチルアミノエチル)メタクリレートのような他のアクリル酸誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
さらなる実施形態において、医薬組成物を、非浸食性マトリックス器具とともに処方する。(1つまたは複数の)活性成分を、不活性マトリックス内に溶解または分散させ、まず、一旦投与したときに、不活性マトリックスを介した拡散によって放出される。非浸食性マトリックス器具としての利用のために効果的な物質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、塩素化ポリエチレン、ポリビニルクロライド、メチルアクリレート−メチルメタクリレートコポリマー、エチレン−ビニル酢酸コポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/エチルアクリレートコポリマー、酢酸ビニルとのビニルクロライドコポリマー、塩化ビニリデン、エチレンおよびプロピレン、イオノマー ポリエチレン テレフタル酸、ブチルラバーエピクロヒドリンラバー、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/ビニル酢酸/ビニルアルコールテルポリマーおよびエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマー、塩化ポリビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンエーテルフタル酸、天然ラバー、シリコーンラバー、ポリジメチルシロキサン、シリコーン炭酸コポリマーのような不溶性プラスチック、およびエチルセルロース、酢酸セルロース、クロスポビドン、および架橋特異的加水分解ポリビニル酢酸のような親水性ポリマー、およびカルナウバワックス、微晶質性ワックス、およびトリグリセリドのような脂肪化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
マトリックス制御放出系において、望む放出速度論は、たとえば、利用したポリマー型、ポリマー粘度、ポリマーの粒子サイズおよび/または(1つまたは複数の)活性成分、(1つまたは複数の)活性成分のポリマーに対する比、および組成物中の他の賦形剤を介して、制御可能である。
放出調節投与形態における、本明細書に記載の医薬組成物は、直接圧縮、乾燥または湿潤顆粒化と続く圧縮、溶解−顆粒化と、その後の圧縮を含む、当業者に知られる方法によって調製することができる。
2.浸透圧制御放出器具
放出調節投与形態中の本明細書に記載の医薬組成物を、1チャンバー系、2チャンバー系、非対称膜技術(AMT)、および押し出し成型コア系(ECS)を含む、浸透圧制御放出器具を用いて加工することができる。一般に、そのような器具は、少なくとも以下の2つの成分を有する、(a)(1つまたは複数の)活性成分を含むコア、および(b)コアをカプセル封入する、少なくとも1つの伝達ポートを持つ、半透膜。半透膜は、(1つまたは複数の)送達ポートを介した押し出し成形による薬物放出を引き起こすように、利用の水性環境からコアへの水の流入を制御する。
(1つまたは複数の)活性成分に加えて、浸透圧器具のコアには任意に、器具のコア内への利用の環境からの水の輸送のための、駆動力を作り出す、浸透圧性薬剤が含まれる。浸透圧性薬剤の1つのクラスは、水膨張性親水性ポリマーであり、「オスモポリマー(osmopolymers)」および「ハイドロゲル(hydrogel)」としても呼ばれており、限定はしないが、親水性ビニルおよびアクリルポリマー、アルギン酸カルシウムのようなポリサッカリン、酸化ポリエチレン(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(アクリル)酸、ポリ(メタクリル)酸、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋PVP、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA/PVPコポリマー、メチルメタクリレートおよび酢酸ビニルのような疎水性モノマーとのPVA/PVPコポリマー、第PEOブロックを含む親水性ポリウレタン、ナトリウムクロスカルメロース、カラゲーナン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)およびカルボキシエチル、セルロース(CEC)、アルギン酸ナトリウム、ポリカルボフィル、ゼラチン、キサンタンガム、およびナトリウムデンプングリコレートが含まれる。
他のクラスの浸透圧性薬剤は、吸収水が、周辺のコーティングのバリアにわたる、浸透圧勾配に影響を与えることが可能である、オスモーゲンである。好適なオスモーゲンには、限定はしないが、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、塩化カリウムおよび硫酸ナトリウムのような無機塩、デキストロース、フルクトース、グルコース、イノシトール、ラクトース、マルトース、マンニトール、ラフィノース、ソルビトール、スクロース、トレハロースおよびキシリトールのような糖、アスコルビン酸、安息香酸、フマル酸、クエン酸、マレイン酸、セバシン酸、ソルビン酸、アジピン酸、エデト酸、グルタミン酸、p−トルエンスルホン酸、コハク酸、および酒石酸のような有機塩、尿素およびそれらの混合物が含まれる。
異なる溶解率の浸透圧性薬剤を、いかに迅速に(1つまたは複数の)活性成分が、投与形態からまず送達されるかに影響を与えるように使用し得る。たとえば、Mannogeme EZ(SPIファーマ(SPI Pharma)、Lewes,DE)のような不定形糖を使用して、望む治療的効果を産出するために、最初の2時間のより速い伝達、および長期間にわたる治療的および予防的効果の望むレベルを維持するための残った量の徐々および連続放出を提供するために利用可能である。この場合、(1つまたは複数の)活性成分は、代謝されるか、排泄される活性成分の量が置換される速度にて放出される。
コアにはまた、投与の性能を増強させるため、または安定性または処理を促進するために、本明細書で記述される、広い範囲の種々の賦形剤および担体が含まれ得る。
半透性膜を形成することにおいて有用な物質には、生理学的に相等するpHにおいて、水浸潤性および水不溶性であるか、または架橋のような化学改変によって、水不溶性を与えられる余地のある、種々のグレードのアクリル、ビニル、エーテル、ポリアミド、ポリエステル、セルロース性誘導体が含まれる。コーティングを形成することにおいて有用な、好適なポリマーの例には、可塑性、非可塑性、および強化酢酸セルロース(CA)、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸CA、硝酸セルロース、酢酸ブチル酸セルロース(CAB)、CAエチルカルバメート、CAP、CAメチルカルバメート、コハク酸CA、酢酸トリメリテートセルロース(CAT)、CAジメチルアミノ酢酸、カルボン酸CAエチル、クロロ酢酸CA、エチルオキサロ酸CA、メチルスルホン酸CA、ブチルスルホン酸CA、p−トルエンスルホン酸CA、酢酸寒天、アミロース酸酢酸、酢酸βグルカン、酸酢酸βグルカン、アセトアルデヒドジメチル酢酸、ローカストビーンガムの三酢酸、水酸化エチレン−ビニル酢酸、EC、PEG、PPG、PEG/PPGコポリマー、PVP、HEC、HPC、CMC、CMEC、HPMC、HPMCP、HPMCAS、HPMCAT、ポリ(アクリル)酸およびエステルおよびポリ−(メチルアクリル)酸およびエステルおよびそれらのコポリマー、デンプン、デキストラン、デキストリン、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、ポリアルケン、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ハロゲン化ポリビニル、ポリビニルエステルおよびエーテル、天然のワックス、および合成ワックスが含まれる。
半透膜はまた、米国特許第5,798,119号にて開示される、孔が実質的に気体で充填され、水性媒体によっては湿らないが、水蒸気に対して透過性である、疎水性微晶抗膜であり得る。そのような疎水性であるが、水蒸気透過性の膜は典型的に、ポリアルキレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリル酸誘導体、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ハロゲン化ポリビニル、フッ化ポリビニリデン、ポリビニルエステルおよびエーテル、天然ワックスおよび合成ワックスからなる
半透性膜上の(1つまたは複数の)送達孔は、機械的またはレーザードリルによって、コーティングの後に形成することができる。(1つまたは複数の)送達孔はまた、水溶性物質のプラグの浸食によって、またはコアのへこみ上の、膜の薄い部分の破裂によって、原位置で形成することができる。さらに、送達孔は、米国特許第5,612,059号および第5,698,220号にて開示された型の、非対称膜コーティングの場合でのように、コーティング工程の間に形成することができる。
放出される(1つまたは複数の)活性成分の総量および放出速度は実質的に、半透性膜の厚さと気孔率、コアの組成、送達孔の数、大きさおよび位置を介して調整することが可能である。
浸透圧制御放出投与形態中の医薬組成物にはさらに、処方の性能または処理を促進するために、本明細書に記載されるさらなる慣用の賦形剤または担体を含み得る。
浸透圧制御放出投与形態は、従来の方法および当業者に知られた技術にしたがって調製可能である(上記のRemington: The Science and Practice of Pharmacy;Santus and Baker, J. Controlled Release 1995, 35, 1-21;Verma et al., Drug Development and Industrial Pharmacy 2000, 26, 695-708;Verma et al., J. Controlled Release 2002, 79, 7-27を参照)。
特定の実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物を、AMT制御放出投与形態として処方し、これには、活性成分(類)と他の医薬上許容される賦形剤を含むコアをコートする、非対称性浸透性膜が含まれる。米国特許第5,612,059号および国際特許公開WO2002/17918を参照のこと。AMT制御放出投与形態は、直接圧縮、乾燥顆粒化、湿潤顆粒化、およびディップ−コーティング法を含む、従来の方法および当業者に知られる技術にしたがって調製可能である。
特定の実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、ESC制御放出投与形態として処方し、これには、活性成分(類)、ヒドロキシエチルセルロース、および他の医薬上許容される賦形剤または担体を含むコアをコートする、浸透性膜が含まれる。
3.多重微粒子制御放出器具
改変放出用量形態中の、本明細書で提供された医薬組成物を、直径約10μm〜約3mm、約50μm〜約2.5mm、または約100μm〜約1mmの範囲で、多数の粒子、顆粒またはペレットを含む、多重微粒子制御放出器具を作り出すことができる。そのような多重微粒子は、湿潤および乾燥顆粒化、押し出し成形/球形化、ローラー−圧縮、融解−凍結を含む、当業者に知られる工程によって、そしてスプレー−コーティングシードコアによって、作製することができる。例えば、Multiparticulate Oral Drug Delivery;Marcel Dekker: 1994;およびPharmaceutical Pelletization Technology;Marcel Dekker: 1989を参照。
本明細書で記述されたような他の賦形剤または担体を、多重微粒子を処理する、および形成することを補助するために、医薬組成物と混合し得る。得られた粒子はそれ自体、多重微粒子器具を構成し得、または腸溶性ポリマー、水膨潤性および水可溶性ポリマーのような、種々のフィルム−形成物質によってコートされ得る。多重微粒子をさらに、カプセルまたは錠剤として処理可能である。
以下の実施例によって本発明をさらに例示する:
実施例1
5−メチル−1−フェニルピリジン−2(1H)−オン
5−メチル−1−フェニル−1H−ピリジン−2−オン: 2−ヒドロキシ−5−メチルピリジン(0.500g、4.58mmol)、無水炭酸カリウム(0.693g、6.41mmol)、銅末(0.006g、0.09mmol)およびヨードベンゼン(1.68g、8.26mmol)の微粉混合物を180〜190℃で7時間加熱した。該混合物を冷却し、標準的な抽出処理を行って、茶色の残留物を得、これを石油エーテルと一緒にトリチュレートし、熱水から再結晶して、標記化合物を白色固体として得た(0.470g、56%)。融点105〜107℃;1H NMR(400MH,DMSO−d6)δ2.50(s,3H)、6.43(d,J=9.3Hz,1H)、7.36−7.53(m,7H);IR(KBr)υ3045、1675、1611、1531、1270cm-1;MS 186(M+1)。
実施例2
d
3−5−(メチル−)−1−フェニルピリジン−2(1H)−オン
6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸メチル: 6−ヒドロキシニコチン酸(10.0g、71.94mmol)の0℃メタノール中溶液に塩化チオニル(6.3mL、86.33mmol)を滴下した。該混合物を6時間加熱還流し、溶媒を除去し、標準的な抽出処理により、標記化合物を茶色の固体として得た(7.5g、68%)。融点166〜172℃;1H NMR(400MH,DMSO−d6)δ3.77(s,3H)、6.37(d,J=9.3Hz,1H)、7.79(dd、J=2.7、9.5Hz,1H)、8.04(d,J=2.4Hz,1H);IR(KBr)υ3050、2965、1712、1651、1433、1300、1106cm-1;MS 154(M+1)。
6−オキソ−1−フェニル−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸メチル: ジクロロメタン(100mL)中の6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸メチル(6.0g、39.22mmol)、フェニルボロン酸(5.74g、47.06mmol)、酢酸銅(II)・一水和物(11.76g、58.82mmol)、ピリジン(6.32mL、78.43mmol)およびモレキュラーシーブ(4Å、6.0g)を周囲温度で12時間拡販し、濾過した。標準的な抽出処理により粗残留物を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(100〜200メッシュ)(クロロホルム中1〜2%メタノール)によって精製して、標記化合物を茶色の固体として得た(5.0g、56%)。融点100〜105℃;1H NMR(400MH,CDCl3)δ3.86(s,3H)、6.63(d,J=9.5Hz,1H)、7.36−7.55(m,5H)、7.91(dd,J=2.5,9.9Hz,1H)、8.23(d,J=2.5Hz,1H);IR(KBr)υ3058、2924、2854、1721、1675、1540、1446、1313、1271、1103cm-1;MS 230(M+1)。
6−オキソ−1−フェニル−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸: 6−オキソ−1−フェニル−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸メチル(1.0g、4.37mmol)、テトラヒドロフラン(9mL)および水(6mL)の0℃の混合物に水酸化リチウム・一水和物(0.366g、8.73mmol)を添加した。該混合物を1時間撹拌し、水で希釈し、酢酸エチルで洗浄した。2N塩酸を使用して水層のpHを2に調整し、沈殿物を濾過して、標記化合物を茶色の固体として得た(0.740g、79%)。融点256〜263℃;1H NMR(400MH,DMSO−d6)δ6.53(d,J=9.4Hz,1H)、7.40−7.49(m,5H)、7.87(dd,J=2.5,9.8Hz,1H)、8.23(d,J=2.5Hz,1H);IR(KBr)υ3446、1708、1645、1577、1263、1228cm-1;MS 214(M−1)。
d2−5−(ヒドロキシメチル)−1−フェニルピリジン−2(1H)−オン: 6−オキソ−1−フェニル−1,6−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸(0.500g、2.32mmol)およびN−メチルモルホリン(0.38mL、3.49mmol)のテトラヒドロフラン(10mL)中−5℃溶液にクロロギ酸イソブチル(0.45mL、3.49mmol)を添加した。該混合物を同温度で3時間撹拌し、テトラヒドロフランで希釈し、アルゴン下にてCeliteパッドで濾過した。混酸無水物を含有する該濾液をホウ素化ジュウテリウム化ナトリウム(0.117g、2.79mmol)のテトラヒドロフラン中−10℃懸濁液に滴下した。該反応混合物を室温に加温し、16時間撹拌した後、D2O(1mL)を添加した。標準的な抽出処理により、粗残留物を得、これを分取HPLCによって精製して、標記化合物を白色固体として得た(0.290g、61%)。融点115〜120℃;1H NMR(400MH,CDCl3)δ2.05(br,1H)、6.66(d,J=9.1Hz,1H)、7.25−7.51(m,7H);IR(KBr)υ3337、1665、1586、1535、1257cm-1;MS 204(M+1)。
d3−5−(メチル)−1−フェニルピリジン−2(1H)−オン: d2−5−(ヒドロキシメチル)−1−フェニルピリジン−2(1H)−オン(0.300g、1.47mmol)のジクロロメタン中−10℃溶液に三臭化リン(0.07mL、0.738mmol)を滴下し、該混合物を30分間撹拌した。ジクロロメタンおよび過剰の三臭化リンをアルゴン流によってフラッシュし、残留物をテトラヒドロフランに溶解した・この臭化物溶液をジュウテリウム化アルミニウムリチウム(0.092g、2.2mmol)のテトラヒドロフラン中−78℃懸濁液に滴下し、該混合物を1時間撹拌した。D2Oを添加し、標準的な抽出処理によって、粗残留物を得、これを分取HPLCによって精製して、標記化合物を薄茶色の固体として得た(0.070g、25%)。融点103〜107℃;1H NMR(400MH,DMSO−d6)δ6.42(d,J=9.2Hz,1H)、7.36−7.53(m,7H);IR(KBr)υ3045、2925、1673、1607、1488、1272cm-1;MS 189(M+1)。
実施例3
d
11−5−メチル−1−フェニル−1H−ピリジン−2−オン
d6−5−メチル−ピリジン−2−イルアミン: 当該手順は、Esaki et al Tetrahedron 2006, 62, 10954-10961に記載の方法を使用して行われる。
d6−5−メチル−1H−ピリジン−2−オン: 当該手順は、水中の硫酸に代えて酸化ジュウテリウム中におけるd2−硫酸を使用し、5−メチル−ピリジン−2−イルアミンに代えてd6−5−メチル−ピリジン−2−イルアミンを使用した以外は、Smith et al Organic Syntheses 2002, 78, 51-56に記載の方法を使用して行われる。
d11−5−メチル−1−フェニル−1H−ピリジン−2−オン: 当該手順は、ウルマンカップリングが5−メチル−1H−ピリジン−2−オンに代えてd6−5−メチル−1H−ピリジン−2−オンを使用し、ブロモベンゼンに代えてd5−ブロモベンゼン(複数の供給元から市販されている)を使用して行われる、WO2003/014087に記載の方法を使用して行われる。
実施例4
ヒト用量増大実験
当該手順は、米国特許第7,635,707号の記載(出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する)に従って行われる。
実施例5
肝機能試験上昇に反応する用量変更
当該手順は、米国特許第7,635,707号の記載(出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する)に従って行われる。
実施例6
反復投与試験
当該手順は、米国特許出願公開第20070203202号の記載(出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する)に従って行われる。
実施例7
単回投与試験
当該手順は、米国特許出願公開第20080287508号の記載(出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する)に従って行われる。
実施例8
反復投与試験
当該手順は、米国特許出願公開第20080287508号の記載(出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する)に従って行われる。