JP2014506872A - 一酸化窒素治療 - Google Patents

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Abstract

持ち運び可能な純粋な一酸化窒素送達システムを使用して様々な患者の状態を治療することができる。
【選択図】 なし

Description

(優先権の主張)
本願は、引用によりその全容が本明細書中に組み込まれている2010年12月3日出願の先行の米国仮特許出願第61/419,657号の恩典を請求するものである。
(技術分野)
本発明は、一酸化窒素治療に関する。
(背景)
ニトロシルラジカルとしても知られる一酸化窒素(NO)は、フリーラジカルであり、重要なシグナル伝達分子である。例えば、NOは、血管の平滑筋を弛緩させ、これにより血管の拡張をもたらし、該血管を通過する血流を増大させることができる。NOは、僅か数秒の寿命で極めて反応性が高く、体内で急速に代謝され得るため、これらの効果は、小さい生物学的領域に限定され得る。
一部の障害又は生理学的状態は、一酸化窒素の吸入によって調節することができる。低濃度の吸入一酸化窒素(NO)の使用は、限定されるものではないが、急性肺血管収縮、外傷、吸引又は吸入傷害、肺内の脂肪塞栓、アシドーシス、肺炎、成人呼吸逼迫症候群、急性肺水腫、急性高山病、心臓手術後の急性肺高血圧症、新生児の持続性肺高血圧症、周産期吸引症候群、硝子膜病、急性肺血栓塞栓症、ヘパリン-プロタミン反応、敗血症、喘息及び喘息発作重積状態、又は低酸素症を含み得る障害の進行を予防する、後退させる、又は制限することができる。また、一酸化窒素(NO)を使用して、慢性肺高血圧症、気管支肺異形成、慢性肺血栓塞栓症、及び突発性又は原発性肺高血圧症、或いは慢性低酸素症を治療することもできる。典型的には、NOガスは、窒素ガス(N2)で希釈され、ボンベに入れられた気体の形態で供給される。NOは、酸素(O2)の存在下で酸化されて二酸化窒素(NO2)となるため、NOガスのタンク内に微量のO2さえも存在しないように、多大な注意を払わなくてはならない。NOとは異なり、ppmレベルのNO2ガスは、吸入されると非常に有毒であり、肺に硝酸及び亜硝酸が生成し得る。
一般に、一酸化窒素は、吸入又は他の方法で各自の肺に送達することができる。治療量のNOの投与により、NOの吸入によって調節できる障害又は生理学的状態の患者を治療することができる、或いはこのような障害又は生理学的状態の従来の治療を補う、又はその必要性を最小限にすることができる。典型的には、NOガスは、窒素ガス(N2)で希釈され、ボンベに入れられた気体の形態で供給することができる。NOは、O2の存在下で酸化されて二酸化窒素(NO2)となり得るため、NOガスのタンク内にどんな微量の酸素(O2)も存在しないように、多大な注意を払わなくてはならない。NOとは異なり、ppmレベルのNO2ガスは、吸入されると毒性が高く、肺に硝酸及び亜硝酸が生成することがある。
持ち運び可能な純粋な一酸化窒素の送達システムを使用して様々な患者の状態を治療することができる。
一態様では、患者に心肺蘇生が行われた後に該患者を治療する方法は、二酸化窒素を一酸化窒素に変換するように構成されたカートリッジに二酸化窒素を通過させる工程、及び有効濃度の一酸化窒素を該患者に送達する工程を含み得る。
一部の実施態様では、一酸化窒素は、患者に心肺蘇生が行われてから約15分〜約3時間、約30分〜2時間、又は約45分〜約1.25時間の間、該患者に送達することができる。
一部の実施態様では、一酸化窒素は、患者に心肺蘇生が行われてから少なくとも15分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、又は少なくとも6時間の間、該患者に送達することができる。
一部の実施態様では、一酸化窒素は、患者に心肺蘇生が行われてから多くとも6時間、多くとも4時間、多くとも3時間、多くとも2時間、多くとも1.5時間、多くとも1.25時間、又は多くとも1時間の間、該患者に送達することができる。
別の態様では、患者が中枢神経系に炎症をもたらす事象を経験した後に該患者を治療する方法は、二酸化窒素を一酸化窒素に変換するように構成されたカートリッジに二酸化窒素を通過させる工程、及び有効濃度の一酸化窒素を該患者に送達する工程を含み得る。一部の実施態様では、中枢神経系に炎症をもたらす事象は、脳卒中又は脊髄損傷とすることができる。
一部の実施態様では、一酸化窒素は、患者が中枢神経系に炎症をもたらす事象を経験してから約15分〜約3時間、約30分〜2時間、又は約45分〜約1.25時間の間、該患者に送達することができる。
一部の実施態様では、一酸化窒素は、患者が中枢神経系に炎症をもたらす事象を経験してから少なくとも15分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、又は少なくとも6時間の間、該患者に送達することができる。
一部の実施態様では、一酸化窒素は、患者が中枢神経系に炎症をもたらす事象を経験してから多くとも6時間、多くとも4時間、多くとも3時間、多くとも2時間、多くとも1.5時間、多くとも1.25時間、又は多くとも1時間の間、該患者に送達することができる。
別の態様では、中枢神経系の外傷に起因する炎症と診断された後に患者を治療する方法は、二酸化窒素を一酸化窒素に変換するように構成されたカートリッジに二酸化窒素を通過させる工程、及び有効濃度の一酸化窒素を該患者に送達する工程を含み得る。一部の実施態様では、中枢神経系の外傷は、脳卒中又は脊髄損傷であり得る。
一部の実施態様では、一酸化窒素は、中枢神経系の外傷に起因する炎症と診断されてから約15分〜約3時間、約30分〜2時間、又は約45分〜約1.25時間の間、患者に送達することができる。
一部の実施態様では、一酸化窒素は、中枢神経系の外傷に起因する炎症と診断されてから少なくとも15分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、又は少なくとも6時間の間、患者に送達することができる。
一部の実施態様では、一酸化窒素は、中枢神経系の外傷に起因する炎症と診断されてから多くとも6時間、多くとも4時間、多くとも3時間、多くとも2時間、多くとも1.5時間、多くとも1.25時間、又は多くとも1時間の間、患者に送達することができる。
別の態様では、睡眠時無呼吸の患者を治療する方法は、二酸化窒素を一酸化窒素に変換するように構成されたカートリッジに二酸化窒素を通過させる工程、及び有効濃度の一酸化窒素を該患者に送達する工程を含み得る。一部の実施態様では、一酸化窒素を送達する工程は、患者に空気を強制的に供給する工程を含み得る。
別の態様では、肺動脈高血圧症の患者を治療する方法は、二酸化窒素を一酸化窒素に変換するように構成されたシステムに二酸化窒素を通過させる工程、及び有効濃度の一酸化窒素を該患者に送達する工程を含み得る。一部の実施態様では、該方法は、PDE5阻害剤を患者に送達する工程を更に含み得る。
別の態様では、肺障害の患者を治療する方法は、二酸化窒素を一酸化窒素に変換するように構成されたシステムに二酸化窒素を通過させる工程、及び有効濃度の一酸化窒素を該患者に送達する工程を含み得る。
一部の実施態様では、該肺障害は、肺高血圧症、慢性閉塞性肺疾患、突発性肺線維症、急性胸部症候群、感染性肺疾患、低酸素血症、呼吸器不全、呼吸窮迫症候群、肺塞栓、嚢胞性線維症、又はこれらの組み合わせであり得る。
別の態様では、心疾患又は血液疾患の患者を治療する方法は、二酸化窒素を一酸化窒素に変換するように構成されたシステムに二酸化窒素を通過させる工程、及び有効濃度の一酸化窒素を該患者に送達する工程を含み得る。一部の実施態様では、該血液疾患は、鎌状細胞関連疾患であり得る。一部の実施態様では、該心疾患は、心不全又は心血管ショック(cardiovascular shock)であり得る。
別の態様では、腎疾患の患者を治療する方法は、二酸化窒素を一酸化窒素に変換するように構成されたシステムに二酸化窒素を通過させる工程、及び有効濃度の一酸化窒素を該患者に送達する工程を含み得る。一部の実施態様では、該腎疾患は、α-1-アドレナリン受容体及び血管反応性を含み得る。
別の態様では、タバコを止めようとしている患者を治療する方法は、二酸化窒素を一酸化窒素に変換するように構成されたシステムに二酸化窒素を通過させる工程、及び有効濃度の一酸化窒素を該患者に送達する工程を含み得る。
別の態様では、神経障害の患者を治療する方法は、二酸化窒素を一酸化窒素に変換するように構成されたシステムに二酸化窒素を通過させる工程、及び有効濃度の一酸化窒素を該患者に送達する工程を含み得る。
別の態様では、患者を治療する方法は、二酸化窒素を一酸化窒素に変換するように構成されたシステムに二酸化窒素を通過させる工程、及び有効濃度の一酸化窒素を該患者に送達する工程を含み得る。
一部の実施態様では、該患者は、術後であり得る。一部の実施態様では、該術後の患者は、肺ストレス又は心ストレスの経験を有し得る。
一部の実施態様では、該患者は、虚血性傷害又は再灌流傷害の経験を有し得る。
一部の実施態様では、該患者は、臓器不全の経験を有し得る。
一部の実施態様では、該患者は、高地病又は肺水腫を有し得る。
別の態様では、創傷を有する患者を治療する方法は、二酸化窒素を一酸化窒素に変換するように構成されたシステムに二酸化窒素を通過させる工程、及び有効濃度の一酸化窒素を創傷部に接触させる工程を含み得る。
一部の実施態様では、カートリッジは、表面活性物質を含み得る。表面活性物質は、シリカゲル又は綿を含み得る。
一部の実施態様では、カートリッジは、還元剤を含み得る。NO2又はN2O4をNOに変換することができる任意の適切な還元剤を当業者の判断で使用することができる。例えば、還元剤は、ヒドロキノン、グルタチオン、還元金属塩、例えば、Fe(II)、Mo(VI)、NaI、Ti(III)、又はCr(III)、チオール、又はNO2 -を含み得る。還元剤は、酸化防止剤とすることができる。酸化防止剤は、酸化防止剤の水溶液とすることができる。酸化防止剤は、アスコルビン酸、αトコフェロール、又はγトコフェロールとすることができる。適切な酸化防止剤は、当業者の判断により活性及び特性に応じて使用することができる。酸化防止剤は、乾燥状態でも湿潤状態でも使用することができる。
一部の実施態様では、一酸化窒素は、15分〜48時間、又は12時間〜36時間の期間に亘って患者に送達することができる。
一部の実施態様では、一酸化窒素は、少なくとも15分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも36時間、又は少なくとも48時間の期間に亘って患者に送達することができる。
一部の実施態様では、一酸化窒素は、多くとも15分、多くとも30分、多くとも45分、多くとも1時間、多くとも2時間、多くとも4時間、多くとも6時間、多くとも8時間、多くとも12時間、多くとも24時間、多くとも36時間、又は多くとも48時間の期間に亘って患者に送達することができる。
一部の実施態様では、一酸化窒素は、患者に連続的に送達することができる。他の実施態様では、一酸化窒素は、患者に間欠的に送達することができる。間欠的にとは、一酸化窒素が、高い濃度及び低い濃度の一酸化窒素を有するパルス又は間隔で、例えば、オンオフサイクル、又はパルス一酸化窒素送達で送達されることを意味し得る。
一部の実施態様では、方法は、二酸化窒素供給源から二酸化窒素を放出する工程を更に含み得る。二酸化窒素供給源は、二酸化窒素放出化合物、例えば、四酸化二窒素(例えば、液体四酸化二窒素)を含み得る。二酸化窒素供給源は、ガスボンベ(例えば、二酸化窒素ガスボンベ)を含み得る。ガスボンベは、加圧されたガスボンベ、ガスタンク、又は加圧ガスタンクとすることができる。
一部の実施態様では、二酸化窒素供給源は、カートリッジに接続することができる。二酸化窒素供給源は、直接、又は間接的、例えば、管によってカートリッジに結合することができる。
一部の実施態様では、カートリッジは、複数のカートリッジを含み得る。複数とは、1、2、3、4、5、又はそれ以上のカートリッジを含み得る。
他の特徴は、例として様々な実施態様の特徴を例示する添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
図1は、カートリッジの略図である。
図2は、カートリッジを含む送達システムの略図である。
図3は、NO送達システムの線図である。
図4は、N2O4リザーバ及び臨界流量リストリクタを例示する線図である。
図5は、標準的なNO発生カートリッジを例示する線図である。
図6は、複数の偏心中空リブを備えた管を例示する線図である。
図7は、複数の偏心中空リブを備えた管の拡大図を例示する線図である。
図8は、リブを例示する線図である。
図9は、リザーバアセンブリの破断図及びリザーバアセンブリの斜視図を含む。
図10は、リザーバアセンブリの略図である。
図11は、リザーバアセンブリの破断略図である。
図12は、加圧金属管の写真である。
図13は、カートリッジのキャップの略図である。
図14は、一酸化窒素を送達するシステムの略図である。
図15は、一酸化窒素を送達するシステムの略図である。
図16は、回路基板の略図である。
図17は、使い捨てモジュールを含む一酸化窒素を送達するシステムの略図である。
図18は、システム、使い捨てモジュール、及びベースユニットの斜視図を含む。
図19は、使用中のシステムの写真である。
図20は、アスコルビン酸/シリカゲル粉末が充填された、直径が25マイクロンのリブ付き管についてのNO出力に対する温度を例示するグラフである。
図21は、アスコルビン酸/シリカゲル粉末が充填された、直径が50マイクロンのリブ付き管についてのNO出力に対する空気流量を例示するグラフである。
図22は、リブ付き可撓性管についてのNO及びNO2出力を例示するグラフである。該グラフは、相対湿度、出口での温度、周囲温度、及びNO2/NOX比を更に例示している。
図23は、性能データのグラフである。
図24は、時間に対するNO、NO2、及びNO+NO2(ppm)のグラフである。
図25は、時間に対する出力の安定性を示すグラフである。
図26は、一定時間に亘るNO及びNO2出力のグラフである。
(詳細な説明)
治療的使用のために一酸化窒素(NO)を哺乳動物へ送達する場合は、哺乳動物への二酸化窒素(NO2)の送達を回避することが重要となり得る。二酸化窒素(NO2)は、酸素(O2)による一酸化窒素(NO)の酸化によって生じ得る。二酸化窒素(NO2)の生成率は、酸素(O2)濃度に一酸化窒素(NO)濃度の二乗を乗じた値に比例し得る。NO送達システムは、二酸化窒素(NO2)を一酸化窒素(NO)に変換することができる。
一般に、一酸化窒素(NO)は、吸入又は他の方法で個人の肺に送達することができる。治療量のNOの供給により、NOの吸入によって調節できる障害又は生理学的状態の患者を治療することができる、或いはこのような障害又は生理学的状態の従来の治療を補うか、又はその必要性を最小限にすることができる。例えば、一酸化窒素は、引用によりその全容が本明細書中に組み込まれている米国特許出願第12/508,959号に説明されているように、心停止の治療及び診断を支援するために使用されてきた。
患者の治療において吸入一酸化窒素が有望であるにもかかわらず、現在認可されている装置が不便である環境、例えば、家庭又は救急車において、患者が吸入NOの送達を迅速に必要とする場合が多い。吸入NOガスを送達するための現在認可されている装置及び方法は、複雑で重い機器を必要とし得るため不便である。NOガスは、酸素を一切含まない重いガスボンベに窒素と共に貯蔵されている。NOガスは、特殊な注入装置及び複雑な換気装置を用いて空気又は酸素と混合され、この混合プロセスは、高精度マクロプロセッサ及び電子機器を有する設備で監視される。このような設備の全ては、NO2は非常に有毒であるため、混合プロセス中にNOが二酸化窒素(NO2)に決して酸化されないようにするために必要である。しかしながら、このような設備は、その大きさ、コスト、複雑さ、及び安全上の問題により、このような設備の操作が医療施設の高度な訓練を受けた専門家に制限されてしまうため、非医療施設環境(例えば、遠隔地、家庭、ショッピング中、車内、又は仕事中)での使用が制限される。
患者の居場所に加えて、治療には巨大かつ/又は重い設備が必要であるため、患者の移動が、現在認可されている装置によって制限され得る。したがって、空気を用いてNOを送達するための軽量で持ち運び可能な携帯型装置は、例えば、救急車内の患者まで運べる可能性を有する。該装置は、小型のバッテリ駆動ポンプによって、又は患者の吸入(タバコを吸うのと同様)によって駆動することができる。加えて、NOを供給する(例えば、N2O4をNOに変換する)治療は、酸素療法よりもコスト効率が良いであろう。
患者の治療に有用であり得る装置が本明細書に記載される。このような装置の利点は、該装置を、電子機器を殆ど又は全く必要としない、かつモニタ及び/又は換気装置を全く必要としない装置とすることができることである。したがって、このような装置は、現場で使用して迅速かつ効率的にNOを患者に送達することができる。
本明細書に記載される一酸化窒素送達装置及びシステムは全て、NO2を患者に事実上全く送達することなく、超高純度一酸化窒素を送達する。NO2レベルは、CAPSにより0.09 ppm未満と判定された。NO2レベルは、優れた試作品で更に下げることができ、0.05 ppm以下のレベルまで下がることが期待できる。これらのレベルは、大気中のNO2レベルよりも低い。従来の送達システムでは、一酸化窒素レベルが10 ppmから20 ppmに変化すると毒性NO2のレベルが4倍に増え、一酸化窒素レベルが10 ppmから40 ppmに変化すると毒性NO2のレベルが16倍に増える。NO2は、NO治療にいくつかの大きな問題を引き起こすことが分かっているため、NOの用量の増加が逆効果であることが何度も繰り返し文献に示されてきた。
例えば、ヒトにおけるNO2の有害な影響は、たとえ短い曝露であっても、以下の通りである。
Figure 2014506872
1 ppm未満に曝露された動物に対して報告された影響が、以下に示されている。
Figure 2014506872
記載される装置は、異なるハードウエアを使用して一酸化窒素を安全に患者に送達することができる。例えば、ハードウエアは、例えば、それぞれ引用によりそれらの全容が本明細書中に組み込まれている、米国特許第7,560,076号及び米国特許出願公開第2009/0285731号に説明されているような透過管を含み得る。ハードウエアは、例えば、それぞれ引用によりそれらの全容が本明細書中に組み込まれている、米国特許出願公開第2010/0104667 A1号及び米国特許出願公開第2010/0043788 A1号に説明されているような拡散管を含み得る。大抵の場合、両方の設計は機能し得るが、透過管は、漏れが制御された拡散管の1〜5分と比較して安定するまでに12〜36時間かかり得る。
一酸化窒素の発生、使用、及び追加のハードウエア構成についは、例えば、それぞれ引用によりそれらの全容が本明細書中に組み込まれている、米国特許出願公開第2007/0089739号、米国特許第8,066,904号、米国特許出願公開第2006/0172018号、米国特許出願公開第2009/0285731号、米国特許第8,057,742号、米国特許第7,947,227号、米国特許第7,914,743号、米国特許出願公開第2010/0043787号、米国特許出願公開第2010/0043789号、米国特許出願公開第2010/0043788号、米国特許出願公開第2010/0030091号、米国特許出願公開第2010/0089392号、米国特許出願公開第2010/0104667号、米国特許出願公開第2011/0220103号、米国特許出願公開第2011/0240019号、米国特許出願公開第2011/02362335号、又は米国特許出願公開第2011/00259325号に詳細に説明されている。
小型、微量供給源、軽量、安全、かつ制御されたNO供給源は、各疾患に特殊な部分を用いて利用することができ、又は人工呼吸器プラットフォームの場合には、一定の疾患群に利用することができる。例えば、哺乳動物の呼吸に合わせて膨張及び収縮できる可撓性バッグを含めることができ、該可撓性バッグと、一酸化窒素を有する流れが哺乳動物に送達される位置との間にカートリッジを配置することができる。
好ましい実施態様では、以下に記載される任意の装置の二酸化窒素/一酸化窒素供給源を、約35〜60℃の範囲の一定の温度、例えば、約35℃、約37℃、約40℃、約42℃、約45℃、約50℃、約55℃、又は約60℃に加熱することができる。これは、プロセスの精妙な制御のために行うことができる。例えば、使用者の胴に近接して供給源を配置させて、体温を使用して約37℃の中核体温に近づけることができる。この位置は、腋窩近傍の位置、脚間、胸の下などを含み得る。遠隔又は隔離された場所にいる人々、例えば、ハイカー又は兵士の場合は、この加熱方法は、エネルギーを節約できるために好ましいであろう。結果として、持ち運ばなければならないバッテリ又は他のエネルギー供給装置の個数を減らすことができる。
カートリッジ:
患者への迅速かつ単純な一酸化窒素の送達に利用することができる1つの送達装置は、1つ以上のカートリッジに接続された二酸化窒素ボンベである。カートリッジは、カートリッジ、NO発生カートリッジ、シリンダ、又はリブ付き管と呼ぶこともできる。カートリッジは、例えば、それぞれ引用により本明細書中に組み込まれている、米国特許第7,560,076号、同第7,618,594号、及び同第8,057,742号に詳細に説明されている。
カートリッジは、表面活性物質及び還元剤を利用することができる。表面活性物質は、還元剤で被覆することができる。例えば、表面活性物質を、変換を行うための単純かつ有効な機構として酸化防止剤で被覆することができる。酸化防止剤は、水溶液に溶解しても良いし、又は水溶液として表面活性物質上に堆積させ、次いで乾燥させることができる。
希釈気体NO2を、還元剤、好ましくは酸化防止剤で被覆された表面活性物質を通過させることによって、NO2をNOに変換することができる。還元剤が、水性アスコルビン酸(すなわち、ビタミンC)の形である場合は、反応は、周囲温度で定量的であり得る。カートリッジの使用は、NO2をNOに変換する他の技術と対比すべきである。2つのこのような技術では、NO2を含むガス気流を、ステンレス鋼上で650℃超に加熱する、又はモリブデン上で450℃に加熱する。これらの技術は共に、空気中のNO2をNOに変換して、化学発光によってNO濃度を測定する大気汚染機器に使用することができる。記載される別の方法では、160℃〜300℃を超える温度で触媒として銀を使用する。これらの技術は、潜在的に有効であるが、カートリッジを使用できる患者の環境での使用には適当ではない。
表面活性物質は、大きい表面積を有する物質とすることができる。好ましくは、表目活性物質は、水分を吸着することもできる。表面活性物質の一例として、シリカゲルが挙げられる。使用できる表面活性物質の別の例として、綿が挙げられる。表面活性物質は、水を保持できる基材としても良いし、この基材を含んでも良い。
図1は、NO2をNOに変換することによってNOを発生させるカートリッジ100を例示している。カートリッジ100は、NO発生カートリッジ、カートリッジ、又はシリンダとも呼ぶことができ、表面活性物質120及び還元剤を含み得る。加えて、カートリッジは、入口105及び出口110を備えることができる。スクリーン及びグラスウール115を、入口105及び出口110の両方に配置することができ、カートリッジ100の残りの部分には、表面活性物質120を満たすことができる。表面活性物質は、還元剤で被覆することができる。例えば、表面活性物質を酸化防止剤の飽和水溶液に浸漬して、該表面活性物質を被覆することができる。スクリーン及びグラスウール115もまた、還元剤を含み得る。好ましくは、スクリーン及びグラスウール115は、カートリッジ100内に挿入される前に、酸化防止剤の飽和水溶液に浸漬することができる。
NO2をNOに変換する一般的なプロセスでは、NO2を有する流れを、入口105を介して受け取ることができ、該気流は、出口110に流体連通し、表面活性物質120を通過して還元剤に接触する。一部の実施態様では、表面活性物質は、湿潤状態のままであり得、酸化防止剤が変換で使い尽くされない限り、この一般的なプロセスは、周囲温度でのNO2のNOへの変換に有効であり得る。
入口105は、NO2供給源からのNO2を有する流れを受け取ることができ、該流れを、カートリッジ100内に流体連通させる。例えば、入口105は、例えば、NO2加圧ボンベからのNO2を有する流れを受け取ることができ、該NO2加圧ボンベは、NO2タンク、ガスボンベ、又はNO2ガスボンベと呼ぶこともある。該流れは、NO2単独又は窒素(N2)、空気、酸素(O2)、又は不活性ガス中のNO2を含み得る。
図2に示されているように、カートリッジ200は、NO2供給源250に直接又は間接的に結合することができる。カートリッジ200は、入口205を介してNO2供給源250に結合することができる。カートリッジ200は、例えば、出口210を介して患者インターフェイス275に更に結合することができる。患者インターフェイス275は、マウスピース、鼻カニューレ、フェイスマスク、又は完全密封型フェイスマスクを含み得る。一部の実施態様では、1つ以上のカートリッジ200を、NO2供給源250と患者インターフェイス275との間に含めることができる。
カートリッジは、それぞれ引用によりそれらの全容が本明細書中に組み込まれている、米国特許出願第13/094,541号、同第29/360,522号、及び同第29/360,525号に説明されているガスボンベに結合することができる。
NO2のNOへの変換は、広い濃度範囲で起こり得る。約2 ppm〜100 ppmのNO2、更には1000 ppmを超えるNO2の空気中のNO2濃度で実験を行った。一例では、長さが約6インチ(15.24 cm)であり、直径が1.5インチ(3.81 cm)のカートリッジに、最初にアスコルビン酸の飽和水溶液に浸漬したシリカゲルを充填した。この湿潤シリカゲルは、Aldrich Chemical社のA.C.S.試薬グレード99.1%純度と指定されたアスコルビン酸(すなわち、ビタミンC)及びS8 32-1、グレード40のメッシュサイズ35〜70と指定されたFischer Scientific International社のシリカゲルを使用して調製した。他のサイズのシリカゲルも有効である。例えば、1/8インチ(約0.318 cm)の直径を有するシリカゲルも機能し得る。
シリカゲルは、5〜35重量%のアスコルビン酸を水中で混合し、攪拌し、そしてこの水/アスコルビン酸混合物をシリカゲルに通して濾過することにより調製したアスコルビン酸の飽和溶液で湿潤させ、続いて脱水した。NO2のNOへの変換は、アスコルビン酸で被覆されたシリカゲルが湿潤しているときに良好に進行することが分かった。NO2のNOへの変換は、アスコルビン酸のみの水溶液では十分に進行しない。
湿潤シリカゲル/アスコルビン酸が充填されたカートリッジは、12日間連続して毎分150 mlの流量で定量的に空気中1000 ppmのNO2をNOに変換することができた。毎分わずか数ml〜5,000 mlの流量の範囲の様々な流量及びNO2濃度の試験に成功した。反応は、他の一般的な酸化防止剤、例えば、ビタミンEの変異体(例えば、αトコフェロール及びγトコフェロール)を用いても進行する。したがって、カートリッジ内の還元剤は、アスコルビン酸、αトコフェロール、及びγトコフェロールを含む任意の数の既知の酸化防止剤とすることができる。
カートリッジは、複数のカートリッジを含み得る。複数とは、2、3、4、5、又はそれ以上のカートリッジとすることができる。
カートリッジは、活性アルミナを含み得る。カートリッジは、流れを活性アルミナに流体連通させて周囲温度で気体二酸化窒素を吸着させるように構成することができる。
還元剤/表面活性物質カートリッジは、救急車内又は家庭にいる患者の吸入治療に迅速に使用することができる。該カートリッジは、加圧ボンベ供給源からNOを送達するNO吸入治療用のNO2スクラバーとして使用することができる。該カートリッジを使用して、吸入治療中に化学的に生成する全てのNO2を除去することができる。このカートリッジを使用して、有害レベルのNO2を患者が誤って吸入するのを防止することができる。
携帯型装置:
治療法に使用される携帯型装置は、重いガスボンベ、ガスの圧力及び流量調整弁、高度な電子機器、又は監視設備を必要としない自給式の持ち運び可能なシステムとすることができる。加えて、送達装置は、使用が簡単であり、特殊な訓練を一切必要としない。送達装置はまた、軽量、小型、かつ持ち運び可能とすることができる。更に、送達装置は、必要に応じて、個人自身がNO治療を行うことを可能にする。携帯型装置は、例えば、引用によりその全容が本明細書中に組み込まれている米国特許出願第2011/0220103 A1号に詳細に説明されている。
一実施態様によると、NO送達装置は、1回用又は24〜200時間持続する短期治療用では、コカコーラの缶のサイズとすることができる。或いは、この治療は、一度に、カテーテル検査室で5〜20分間、日中に6時間、1日に24時間で数週間に亘って継続することができる。別の実施態様では、該NO送達装置は、葉巻又は従来の吸入器のサイズである。或いは、NO送達装置は、大きめの装置であるが、より長い期間に亘ってNOを送達できる持ち運び可能な装置である。一実施態様では、該NO送達装置は、僅か1グラムの液体N2O4又は0.7mL未満のN2O4供給源からNOを1 L/分の流量、かつ80 ppmのNOで4日間に亘ってNOを送達することができる。別の実施態様では、該NO送達装置は、僅か0.5グラムの液体N2O4供給源から数日間に亘ってNOを送達することができる。
図3に示されているように、NO送達システムは、リザーバ301を含み得る。一般に、リザーバ301は、NOを貯蔵する方法に応じて、数分から1日以上連続的な使用を可能にするNOを供給することができる。一実施態様では、リザーバ301は、NOに変換することができる治療量のNO2を貯蔵することができる。治療量のNOは、NO2がNOに変換される前に、NO2の状態で必要な濃度まで希釈することができる。NOは、空気、酸素、窒素、又は不活性ガスで希釈することができる。何日にも亘る長期使用の別の実施態様では、NOは、典型的にはNOに変換することができるNO2に蒸発可能な液体四酸化二窒素(N2O4)として貯蔵することができる。様々な実施態様では、リザーバ301は、数ミリグラム〜数十グラムの液体N2O4が入る大きさにすることができる。短期の治療では、リザーバ301は、数ミリグラムのN2O4を収容する大きさにすることができる。例えば、リザーバ301は、20 ppmのNOを10分間供給できる約7 mgのN2O4(1)が入る大きさにすることができる。長期の適用例では、リザーバ301は、長期間、例えば、数週間の使用のために10g以上のN2O4を収容する大きさにすることができる。例えば、約0.3gのN2O4を収容するリザーバは、24時間に亘って20 ppmのNOを20 L/分で供給することができ、10gのN2O4を収容するリザーバは、約30日間に亘ってNOを連続的に供給することができる。他の例では、リザーバ301は、1 ml、2 ml、3 ml、4 ml、5 ml、又は10 ml未満の液体N2O4が入る大きさにすることができる。
一実施態様では、リザーバ301は、1g(約0.7 ml)のN2O4(302)を収容することができる。リザーバ301は、細いオリフィス又は非常に小さい孔を備えた管303に取り付けることができる。リザーバ301及び管303は、絶縁体315によって覆うことができる。N2O4は21℃で沸騰するため、リザーバ内の圧力は、例えば、約31℃で15 psi(約0.103 MPa)、41℃で30 psi(約0.207 MPa)、及び51℃で60 psi(約0.414 MPa)であり得る。ガス調整弁で装置内のガス圧を制御する代わりに、温度を制御して装置内のガス圧を正確に制御することができる。ガスに気化するときに、1モルのN2O4は、2モルのNO2を形成し得る。NO2の既知の物理的ガス特性を用いると、約3〜4マイクロンの臨界オリフィス開口は、約0.16 ml/分でNO2を漏出させ得る。この0.16 mlのNO2が2リットル/分のガス流で希釈されるとすると、得られる濃度は、80 ppm(100万分の1)となるであろう。例えば、口径が25マイクロン、長さが約20インチ(50.8 cm)の石英管303を用いても同じ結果を得ることができる。
リザーバ301内の圧力は、温度を制御することによって非常に正確に制御することができる。リザーバから出る流量Qは、差圧、管の直径の4乗に比例し、かつ管の長さに反比例する。この式は、この適用例で試した。
Q = ΠΔPD4
128 μL
一実施態様では、リザーバと細い管との間に小型オン/オフ弁を挿入することができる。この弁は、可変サイズの孔として機能し得る。別の実施態様では、石英管は、高温フレームで密閉することができ、弁を有していない;結果として、既知の温度に加熱されるリザーバ及び細い管を備えた極めて単純な装置となる。この装置は、リザーバを加熱して、かつ管を所望の長さにカットして作動させることができる。
別の実施態様では、NO送達システムは、管305を介して約0.5〜2 L/分のガスを送出するガスポンプ304を備えることができる。他の実施態様では、ガスポンプは、約4〜20 L/分で動作することができる。加熱されたN2O4供給源は、NO2を流れに徐々に漏出させて、ガス中で約80 ppmのNO2の濃度にすることができる。次いで、この流れが、表面活性物質及び還元剤を含むカートリッジ306を通過することができる。カートリッジがリブ付きではなく平滑な壁部を有する場合は、ガスが表面活性物質及び還元剤をバイパスできる通路を防止し、微粉末の沈下を回避するために管を垂直位置に配置する必要があろう。
第2のバックアップカートリッジ108をカニューレ307の直前に配置することができる。こうするには3つの理由がある:第1に、第2のカートリッジは、相互連結管で発生する全てのNO2をNOに戻すことができる。第2に、第2のカートリッジは、第1の管が故障した場合に、二重に余分なNO2をNO反応器306に供給することができる。第3に、第2のカートリッジは、NO2が存在しないことを保証することができるため、安全目的のNO2モニタを有する必要性をなくすことができる。2つの管が、異なるバッチの表面活性物質及び還元剤から形成されると、安全性が更に向上し得る。表面活性物質は、シリカを含み得る。還元剤は、酸化防止剤とすることができる。酸化防止剤の例として、アスコルビン酸、αトコフェロール、又はγトコフェロールを挙げることができる。
図3は、ガス(例えば、空気)吸入部(矢印309)及びガスポンプ304に対するガス吸入接続部310を例示している。次いで、加圧ガスがポンプから出る。携帯型としての使用では、このガスの流れは、0.1〜5 L/分の範囲とすることができる。一実施態様では、ポンプは、バッテリ駆動式ポンプである。ガスは、圧縮機によっても供給することができる。ガスはまた、例えば、病院の壁の流出口から供給することもできる。システムの内部構成要素が純酸素と共に使用するのに適しているのであれば、このガスの代わりに酸素を使用することができる。リザーバ301内に収容された液体N2O4は、細い溶融毛細管303によって、酸化防止剤の水溶液を含む表面活性物質を含むカートリッジ306に接続することができる。該管は、シリカ管、溶融石英管、又は石英管とすることができる。該管は、約50マイクロン以下、25マイクロン以下、例えば、15マイクロン、10マイクロン、又は5マイクロンの口径を有することができる。該管は、10マイクロン以下の口径を有することができる。該管のサイズは、必要な濃度、及び流量に基づいて選択することができる。一実施態様では、20 Lで80 ppmを送達するためには、80マイクロン以上の口径を必要とし得る。該管は、ガスクロマトグラフィに使用されるタイプとすることができる。該管は、内部被覆を有していなくても良く、かつ、ポリアミド保護層で外部を被覆して該管の破損を防止することができる。該管は、該管における圧力降下が、計算上、治療量を供給する正確な量のNO2の流れを供給するのであれば、30インチ(76.2 cm)の長さでも良いし、又は僅か0.25インチ(0.635 cm)の長さでも良い。0.1〜50インチ(0.254〜127 cm)の管の長さが使用されている。
加熱されると、N2O4の沸点が約21℃であるため、液体N2O4は、蒸発してNO2になることができる。この蒸気が、リザーバを加圧し、少量のNO2ガスを蒸発させて、管303を介して第1のカートリッジ306の中に送ることができる。第1のカートリッジ306内又はその直前で、NO2をまずガスと混合し、次いでNOに変換する。カートリッジは、変換カートリッジ又は変換器とも呼ぶこともある。このようなNO発生カートリッジは、上記説明され、引用によりその全容が本明細書中に組み込まれている米国特許出願第12/541,144号にも説明されている。第1のカートリッジ306は、入口及び出口を備えている。一実施態様では、該カートリッジは、表面活性物質及び還元剤で満たすことができる。例えば、表面活性物質は、酸化防止剤の水溶液に浸漬して表面活性物質を被覆することができる。酸化防止剤は、時にはピクシーダスト(pixie dust)とも呼ばれることがある。酸化防止剤は、アスコルビン酸、αトコフェロール、又はγトコフェロール、又は殆ど全ての適切な還元剤とすることができる。表面活性物質は、シリカゲル、又は還元剤に適合し得る表面積の大きい任意の物質とすることができる。
カートリッジの入口は、NO2を有する流れを受け取ることができる。該入口は、窒素(N2)中、空気中、又は酸素(O2)中にNO2を含む流れを受け取ることもできる。広い濃度範囲で変換が起こる。
次いで、NOガスが、第1のカートリッジ306から出ることができる。一実施態様では、NOは、第1のカートリッジ306を出てNOセンサ311に入る。該NOセンサは、鼻カニューレ管307に直接結合することができる。該NOセンサは、NOガスが確実に流れるように使用される任意の安全装置とすることができる。該NOセンサは、別個のNOモニタとしても良いし、又はセンサ及び電子機器を、ガスの流路自体に取り付けても良い。流路内に取り付ける理由は、別個のサンプルラインが必要ないこと、また検出器の応答時間が数秒から数ミリ秒に短縮されることである。
更なる実施態様では、鼻カニューレ管307は、表面活性物質が被覆されるように酸化防止剤の水溶液に浸漬された該表面活性物質を含む第2のカートリッジ308に接続することができる。第2のカートリッジ308の機能は、第1のカートリッジ306の機能と同じとすることができ、該第1のカートリッジがNO2をNOに変換できなくなった場合にバックアップとして機能する。次いで、混合物は、患者インターフェイス312に直接流れることができる。該患者インターフェイスは、マウスピース、鼻カニューレ、フェイスマスク、又は完全に密閉されたフェイスマスクとすることができる。患者へのガス流中のNO2濃度は、第2のカートリッジが、ガスライン中に存在する全てのNO2をNOに変換するため、たとえカニューレへのガス流が遅れたとしても常にゼロである。
図1に例示されているシステムの1つ以上の構成要素は、互いに直接接続しなくても良いことも想定している。図3は、ポンプ304及び電力モジュールが、N2O4リザーバ301並びに第1及び第2のカートリッジ306及び308とは別個であることを例示している。該電力モジュールは、購入して別個に取り付けることができ、内蔵型充電器を有しても良いし、又は使い捨てもしくは充電式バッテリを使用しても良い。ポンプは、例えば、家庭の電気のコンセントから電力を供給しても良いし、又はバッテリ式、ソーラー式、もしくは手動式に駆動しても良い。N2O4リザーバ301並びに第1及び第2のカートリッジ306及び308は、使い捨てモジュールとすることができる。使い捨てモジュールは、例えば、処方薬として薬局で別個に購入することができる。使い捨てモジュールは、6時間、24時間、2日、4日、7日、2週間、1ヶ月、又はそれ以上持続するように設計することができる。一実施態様では、カートリッジ内のN2O4及びアスコルビン酸/シリカゲルの組み合わせの両方を2倍の量にして、使い捨てモジュールの寿命を2倍に延ばすことができる。
図3に例示されているシステムは、任意にNO2モニタを備えることができる。NO2センサは、別個のNO2モニタとしても良いし、又はセンサ及び電子機器をガス流路自体に取り付けても良い。流路に取り付ける1つの理由は、別個のサンプルラインが必要ないこと、また検出器の応答時間が数秒から数ミリ秒に短縮されることである。NO2の場合、NO2が管壁に「付着」し、結果としてシステムの時定数が、例えば、数分から数時間と非常に長くなり得るため、サンプルラインを可能な限り短く保つことが特に重要であり得る。インラインセンサを設けることによってこの問題を回避することができる。
NO及びNOセンサを周期的に校正し、また周期的にチェックして、該センサが、十分に機能して故障していないこと、及び/又はなお校正中であることを確認することができる。校正及びチェックは、面倒で時間がかかる場合があり、かつ、前の校正の直後に校正が失敗したという保証がない。このため、自動的にセンサを校正することが望ましい。成功している1つの方法では、スパイクの期間が僅か数ミリ秒となるようにNO及び/又はNO2の非常に短時間のスパイクを供給する。これは、コンピュータが、スパイクの時間周波数及び振幅を認識するのに十分な時間であり、この結果が校正チェックとして使用される。
N2O4リザーバ及び臨界流量リストリクタ:図4は、N2O4リザーバ410及び臨界流量リストリクタ400を例示する線図である。リザーバ410は、球体、又はほぼ球体、又は管状とすることができる。リザーバ410は、N2O4に対して化学的に安定な材料から形成することができる。化学特性に基づいて、リザーバは、溶融石英(グレードの高い石英)、アルミニウム、又はステンレス鋼から製造することができる。リザーバは、非反応金属、例えば、パラジウム、銀、プラチナ、金、アルミニウム、又はステンレス鋼から形成することができる。
球形は、物理的に最も強いだけではなく、出口管が中心に突き出ることができ、該球形は、どの方向での運転でも液面が管400自体には決して接触し得ないため、液体がシステムから排出されるのが防止される。幾何学的形状、管状、立方体形状を含む他の形状も、当業者の判断で使用することができる。
リザーバ410及び毛細管400は、圧力を加えてNO2をリザーバから排出するために加熱する必要がある。一実施態様では、図3及び/又は図4に例示されている送達システムは、寒冷環境(例えば、約5℃未満、或いは酸化防止剤-水混合物が凍結し得る温度、及び/又はN2O4が凍結し得る温度)で使用される加熱要素を備えることができる。該加熱要素は、リザーバに取り付けることができる。該加熱要素は、電気式、化学式、又はソーラー式に駆動させることができる。例えば、加熱要素は、オメガ・ステンレス鋼シース・カートリッジ・ヒーター(Omega Stainless Steel Sheath Cartridge Heater)とすることができる20ワットヒーターとすることができる。システムはまた、該システムが加熱と冷却の両方を行うことができるように熱電冷却器も備えることができる。このような装置は、市販されており、温度を迅速に変更する能力を付与する。或いは、リザーバ又は送達システムは、個人の体の熱を利用して該システムを動作温度(すなわち、NO2が十分な蒸気圧を有し、かつアスコルビン酸−水が液体を維持する温度)に維持し、NOの用量が十分となるようにするために、個人の体にストラップで固定する、又は他の方法で固定することができる。
21℃では、リザーバ410内の圧力は、N2O4(図4の参照符号430)がこの温度で蒸発するため、大気圧に等しくすることができる。30℃では、液体よりも上の蒸気圧は、約2気圧に等しいであろう。この蒸気圧は、40℃で約4気圧、50℃で約8気圧に上昇し得る。このような圧力は、蒸気を貯蔵容器410から押し出して、口径が25マイクロンの管400を介して、NO2がNOに変換されるカートリッジにおけるガス流に入れるのに十分であり得る。
圧力は、経験的に10℃毎に約2倍になることが示されており、これは理論から予想されるものである。したがって、一定の圧力、従って一定の駆動力を維持するために、アセンブリ420の温度を制御することができる。1.0℃の温度上昇は、約10%の圧力上昇をもたらすため、気流中の濃度が10%増加する。約±5%の範囲内で一定の流量を維持するために、リザーバの温度は、0.25℃の範囲内で一定に維持する必要がある。
リザーバ410が収容できるN2O4の量に対する1つの制限は、全ての液体N2O4が突然室内に流出してNO2に蒸発する破滅的な故障が発生したときの結果に関係する。このような故障が起きたとしても、室内のNO2レベルは、作業環境のOSHA標準である5 ppmを超えないはずである。FDA指針書(「2000年1月24日付けの一酸化窒素送達装置、一酸化窒素分析装置、及び二酸化窒素分析装置の市販前通知書類の提出についての指針書(Guidance Document for Premarket Notification Submissions for Nitric Oxide Delivery Apparatus, Nitric Oxide Analyzer and Nitrogen Dioxide Analyzer dated 24 January 2000)」)に規定されている標準的な室内では、部屋は、空気交換がない場合は3.1×6.2×4.65メートルの部屋として言及されている。この基準を満たすためには、リザーバ内に収容でき得るN2O4の最大量は、約4日間持続する約1グラム又は0.7 mlであろう。
安全規定は、圧力が典型的には2000 psi(約13.79 MPa)を超える高圧ガスボンベについて記載されているが、内圧が、僅か112 psi(約0.77 MPa)に等しい僅か8気圧である場合には、起きる可能性は極めて低いであろう。実際、高圧ガスボンベは、圧力が150 psi(約1.034 MPa)よりも低下すると空になったと見なすことができる。この制限を突破する別の手法では、リザーバ410及び管400を含み得る貯蔵容器を、漏れた場合に酸性N2O4/NO2を中和することができるアルカリ溶液440で包囲することができる。破滅的な破裂が起きた場合には、リザーバ410は、周囲のアルカリ溶液に漏出して毒性N2O4を中和するように設計することができる。アルカリ溶液は、pHが7よりも高い任意の溶液とすることができる。限定されるものではないが、酸化カルシウム(剥離した石灰(flaked lime))、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、ケイ酸ナトリウムを含む任意のアルカリ溶液を使用することができる。同じアルカリ溶液を用いて、使用後、又は使い尽くされる前にシステムが廃棄される場合、全ての残存N2O4を中和することもできる。別の例では、活性チャコールは、NO2を吸着するために使用することができ、かつパッケージングに使用することができる。
別の実施態様では、貯蔵容器内の圧力を安定させるために、N2O4及びリザーバを約50℃以上に加熱することができる。加熱要素を使用することができる。該加熱要素は、電気式、化学式、又はソーラー式に駆動させることができる。一実施態様では、発熱反応から生じる化学エネルギーを用いて熱を供給することができる。このエネルギーを供給できる1つの化合物は、粉末酸化カルシウム(CaO)である。水と混合すると、酸化カルシウムは、熱の形でエネルギーを放出する。この物質は、コンクリートに使用される生石灰でもある。この物質はまた、食品を加熱するためにある形式でパッケージングすることができる。この物質の更なる利点は、該物質が、同様にアルカリ性であり、上記のシナリオでは、同じ物質を使用してN2O4/NO2を中和することができることである。
充填管:NO2をNOに変換する一般的なプロセスでは、NO2を有する気流を、入口505を介して標準的なNO発生カートリッジが受け取ることができ、該気流が、図5に例示されているように、水性酸化防止剤で被覆された表面活性物質520を介して出口510に流体連通している。典型的には、該管に粉末が充填されると、該粉末は、コーンフレークが入ったシリアルの箱とまさに同様に沈下する。沈下は、輸送中及び通常の使用中に生じる振動によって起こり得る。これは、粉末がコーンフレークのように脆くて該粉末を十分に詰め込むことができない場合、又は粉末を密に詰めることが不可能な場合に特に当てはまる。例えば、液体クロマトグラフィの充填カラムでは、粉末を充填して高い圧力で使用することができる;このようなカラムは、通常はスラリーとして充填して、粉末を押圧して密に詰めることができる。粉末が、表面活性物質、例えば、例を挙げると、シリカゲル、活性チャコール、活性炭、活性アルミニウム、又は乾燥剤、例えば、硫酸カルシウム(DRIERITE(商標))を有し、かつガスが表面活性物質と接触するようにカートリッジを通過するのが望ましい場合は、密に詰め込みすぎて充填材料が破砕し得るほど粉末を詰め込んではならならず、ガスが、過度に圧力降下せずに自由に流れ得えるようにする。このような場合、現在商業的に使用されている技術では、粉末を充填してから、ばねによって粉末を密に充填された状態に維持しようとする。加えて、管は、粉末が沈下したときに、図5に示されているようにガスが反応ベッド520をバイパスできる自由なガス通路530が発生しないように垂直にして使用することができる。該管が垂直で使用されない場合は、粉末の沈下により、ガスが優先的に流れ得る流路530が該管に亘って形成される。流路の形成により、粉末の効果が無効となり得、カートリッジが役に立たないものとなり得る。この問題は、非常に深刻であり得るため、このような充填管は、カートリッジが垂直である場合にのみ使用することができる。
図6〜図8は、この問題を解消し、たとえ激しい振動に曝された後でも、粉末が充填されたカートリッジを任意の角度で使用することができる、複数の同心中空リブを備えた管を例示している。該管は、限定されるものではないが、シリカゲル、活性チャコール、又はDrieriteを含む全ての表面活性物質に使用することができる。該管は、垂直に充填することができ、粉末622が、底部から頂部まで満たされ、リブによって覆われた全ての体積部にも充填される。該管が、水平位置で振動させられて配置されると、624で示されているようにリブ内の粉末が沈下する。しかしながら、リブが十分に深ければ、ガスは、優先通路を有し得ないであろう。ガス流は、粉末ベッドを通過するよりも困難な沈下した体積部への通路を通るであろう。
図8は、カートリッジの一実施態様の1つのリブの拡大詳細図を示している。単純にするために、リブは、三角形として描かれているが、実際には、該リブは、丸い角及び丸い頂部を有し得る。Lは、三角形の底辺の長さであり、Aは、底辺よりも上にある粉末の高さである。Lが常に2Aよりも小さければ、空気の優先通路は、AではなくLであろう。しかしながら、体積の減少が大きくてLが2Aよりも大きくなった場合は、リブにおける空気の流路が、抵抗の最も少ない経路となり得、空気が、上昇して該流路に入り、該流路を通り、そして次のリブの反対側に下降する。
一実施態様では、カートリッジは、充填ベッド反応器に使用するために拡大することができる。現在は、粉末ベッド反応器は全て、問題を回避するために垂直に配置される。リブが付いた設計では、粉末ベッド反応器は、水平を含め、任意の角度で配置することができる。
更なる携帯型装置は、引用によりその全容が本明細書中に組み込まれている米国特許出願第13/094,535号に説明されている。
超高純度送達装置:
1つの解決策として、システムは、NO2の供給源を提供するために透過管又は透過セルを備えることができる。例えば、NO2の供給源は、液体四酸化二窒素(N2O4)とすることができる。この手法は、十分に機能することが示されている。この手法は、引用によりその全容が本明細書中に組み込まれている米国特許出願公開第2010/0104667号に説明されている。N2O4を蒸発させてNO2を生成することができ、このプロセスは、可逆的であり得る。透過管を使用すると、空気が、透過管の周りを流れることが可能であり、空気が、該透過管から拡散するNO2と混合され得、安定したNO2空気混合物が供給される。NO2の濃度は、例えば、透過管の温度及び空気流の量を含む多数の因子によって制御することができる。しかしながら、透過管の保存が問題であろう。例えば、NO2が透過管ポリマーと接触する場合、保存は、NO2の凍結を維持するために-11℃未満にするべきであり、こうすることより、NO2の損失を防止することができる。1つの解決策は、単純な弁によって貯蔵管に接続することができる透過管用の別個の保存チャンバを形成することである。この装置は、NO2の損失なしに室温で保存することができ、リザーバを透過管に接続することによって容易に作動させることができる。保存容器と透過管の組み合わせは、十分に機能するが、1つの大きな問題を有し得る。NO2がリザーバに保存され、透過管に対して突然開けられる場合、透過管の安定化に時間がかかり得る。安定には、数日の時間がかかり得る。初めにNO2で透過管を予め飽和させることにより、安定にかかる時間を短くすることができるが、この方法は、数ヶ月又は数年の長期の保存では十分に機能しない場合がある。
別の解決策として、リザーバアセンブリを利用することができる。リザーバアセンブリは、引用によりその全容が本明細書中に組み込まれている米国特許出願公開第2011/0259325号に詳細に説明されている。リザーバアセンブリは、リストリクタ及びリザーバを含むことができる。
リザーバは、N2O4、NO2、又はNO、或いはN2O4、NO2、又はNOを生成できる他の化合物を収容するのに適した任意の区画又は区画の一部とすることができる。リザーバは、液体又は固体を収容することができるが、好ましくは、リザーバは、液体N2O4を収容することができる。リザーバは、N2O4、NO2、又はNO、或いはN2O4、NO2、又はNOを生成できる他の化合物と反応しないし、これらを吸着もしない任意の材料から形成することができる。リザーバの材料はまた、後述する適切な範囲内での加熱、及び繰り返される加熱と冷却に耐え得るべきである。
リザーバは、二酸化窒素供給源を備えることができる。二酸化窒素供給源は、N2O4、NO2、又はNO2を生成できる化合物を含み得る。好ましくは、二酸化窒素供給源は、液体N2O4を含むことができる。液体N2O4の場合、リザーバ内の液体N2O4の量は、約5.0 g未満、約2.0 g未満、約1.0 g未満、約0.50 g未満、0.25 g未満、又は0.10 g未満とすることができ;リザーバ内の液体N2O4の量は、約0.05 g超、約0.10 g超、約0.20 g超、約0.50 g超、又は約1.0 g超とすることができる。リザーバ内の液体N2O4の量は、約5 ml未満、約2 ml未満、約1 ml未満、約0.5 ml未満、約0.25 ml未満、又は約0.10 ml未満とすることができ;リザーバ内の液体N2O4の量は、約0.001 ml超、約0.01 ml超、約0.05超、約0.10 ml超、約0.25 ml超、約0.50 ml超、又は約1.0 ml超とすることができる。
例示的な一実施態様では、液体N2O4を、小さいリザーバに収容することができる。1分当たり1リットルの空気中に80 ppmの送達濃度の場合、例えば、24時間の供給に必要なN2O4の量は、約0.24 g又は0.15 mlであろう。N2O4は、21℃で沸騰するため、装置は、大気圧よりも高いNO2の蒸気圧を得るために、この温度よりも高い温度まで加熱するべきである。更なる説明は、それぞれ引用によりそれらの全容が本明細書中に組み込まれている、米国仮特許出願第61/263,332号及び同第61/300,425号に説明されている。
リザーバはまた、二酸化窒素供給源の上の空間に二酸化窒素蒸気又はガスを含むことができる。
リザーバは、任意のサイズとすることができる。リザーバのサイズは、リザーバの使用方法に依存し得る。リザーバのサイズはまた、二酸化窒素供給源の量、必要な二酸化窒素ガスの量、又は二酸化窒素の流れが必要となる時間の長さにも依存し得る。リザーバは、比較的大きくすることができ、例えば、高さ(図9のh3)を、1フィート(30.48 cm)よりも高く、2フィート(60.96 cm)よりも高く、5フィート(152.40 cm)よりも高く、又は8フィート(243.84 cm)よりも高くすることができる。リザーバはまた、比較的小さくすることができ、例えば、高さ(図9のh3)を、2フィート(60.96 cm)未満、1フィート(30.48 cm)未満、6インチ(15.24 cm)未満、4インチ(10.16 cm)未満、3インチ(7.62 cm)未満、2インチ(5.08 cm)未満、1インチ(2.54 cm)未満、0.5インチ(1.27 cm)未満とすることができる。アセンブリは、リザーバ及び/又は追加の要素、例えば、リストリクタを収容できる大きさを有することができる。アセンブリは、比較的大きくすることができ、例えば、内径(図9のd3)を、4インチ(10.16 cm)よりも大きく、6インチ(15.24 cm)よりも大きく、又は1フィート(30.48 cm)よりも大きくすることができる。アセンブリは、比較的小さくすることができ、例えば、内径(図9のd3)を、4インチ(10.16 cm)未満、2インチ(5.08 cm)未満、1インチ(2.54 cm)未満、0.75インチ(1.905 cm)未満、又は0.5インチ(1.27 cm)未満とすることができる。
リストリクタは、リザーバからのNO2の流れを制限することができる任意の装置とすることができる。リストリクタは、NO2蒸気をリザーバからリストリクタに押し出すのに十分な蒸気圧の存在を必要とし得る。
リザーバは、リストリクタを備えることができる。例えば、リストリクタは、オリフィスとすることができる。リストリクタは、リザーバに接続することができる。例えば、リストリクタは、管、最も好ましくは毛細管を含むことができる。毛細管は、石英毛細管とすることができる。毛細管は、単純で再現性の高い高精度の使用を可能とし、かつコスト効率の良い解決策となり得る小径の毛細管とすることができる。便利な市販のリストリクタは、ガスクロマトグラフィ(GC)に使用できる小径の石英管とすることができる。
リストリクタは、第1の端部及び第2の端部を備えることができる。一部の実施態様では、リストリクタの第1の端部をリザーバに接続することができ、第2の端部をシールする、又は閉じることができる。一部の実施態様では、事前にシールされた又は閉じられた第2の端部は、開ける又は開封することができる、或いはシールの破壊を含むことができる。一部の実施態様では、リストリクタは、第1の端部と第2の端部との間の距離に一致する長さを更に有することができる。
リストリクタは、該リストリクタの前後の全圧力降下が、必要とされるNO2の流れに適切であり得る範囲で、任意の寸法を有することができる。一部の実施態様では、リストリクタの長さは、比較的長くすることができ、例えば、4インチ(10.16 cm)よりも長く、6インチ(15.24 cm)よりも長く、1フィート(30.48 cm)よりも長く、2フィート(60.96 cm)よりも長く、5フィート(152.4 cm)よりも長く、10フィート(304.8 cm)よりも長く、又は20フィート(609.6 cm)よりも長くすることができる。一部の実施態様では、リストリクタは、比較的短くすることができ、例えば、少なくとも約0.1インチ(0.254 cm)、少なくとも約0.25インチ(0.635 cm)、又は少なくとも約0.5インチ(1.27 cm)とすることができ;該長さは、最大で約4インチ(10.16 cm)、最大で約2インチ(5.08 cm)、最大で約1インチ(2.54 cm)、又は最大で約0.5インチ(1.27 cm)とすることができる。好ましくは、リストリクタは、約0.75インチ(1.905 cm)の長さを有することができる。一部の実施態様では、リストリクタの内径は、比較的大きくすることができ、例えば、約0.100ミクロンよりも大きく、約1ミクロンよりも大きく、約5ミクロンよりも大きく、約10ミクロンよりも大きく、約50ミクロンよりも大きく、又は約100ミクロンよりも大きくすることができる。一部の実施態様では、リストリクタの内径は、比較的小さくすることができ、例えば、少なくとも約0.001、少なくとも約0.005ミクロン、又は少なくとも約0.010とすることができ;該内径は、最大で約0.100ミクロン、最大で約0.050ミクロン、最大で約0.025ミクロン、又は最大で約0.010ミクロンとすることができる。好ましくは、リストリクタは、約0.010ミクロンの直径を有することができる。
任意の温度でリストリクタから押し出される物質(例えば、二酸化窒素)の量は、直径の制限によって決まり得る。従って、2つの重要な設計変数は、容器の温度並びに容器上部の直径及び長さの制限であり得る。例えば、約45℃で、内径が0.010ミクロン、長さが0.75インチ(1.905 cm)の管を使用して、1 L/分の気流中に80 ppmのNO2を供給した。
リストリクタは、当業者には既知である他の材料から形成することができる。該材料は、N2O4、NO2、又はNO、或いはN2O4、NO2、又はNOを生成できる他の化合物と反応するべきでも、これらを吸着するべきでもない。該材料はまた、後述する適切な範囲内の熱、及び繰り返される加熱と冷却に耐え得るべきである。
リストリクタは、シールすることができる。例えば、リストリクタが、石英又はガラスから形成される場合は、リストリクタの一端は、ヒートシール又は融解して該一端の開口を閉じることができる。リストリクタのシールされた端部は、該端部を折って開口させることができ、これにより、リストリクタ内の流路を全開にすることができる。リストリクタは、簡単かつ綺麗に折れるように斜角を付けるか、又は切れ目を入れることができる。リストリクタはまた、金属シールでシールすることもできる。金属シールは、溶解、穿刺、剥離、又は他の方法で除去してシールされた端部を開ける(すなわち、シールを破壊する)ことができる。リストリクタは、弁、例えば、微細加工弁を備えることができる。流れを制御又は防止するための他の適切なシール及び方法は、当業者には既知である。シールされた又は閉じられた端部が開けられると、二酸化窒素が、リストリクタの全長を移動し、以前にシールされた又は閉じられた端部から流出可能となる。
リザーバ及び毛細管を含むリザーバアセンブリは、高さ(図9のh1)を、1フィート(30.48 cm)未満、6インチ(15.24 cm)未満、5インチ(12.70 cm)未満、4インチ(10.16 cm)未満、3インチ(7.62 cm)未満、又は2インチ(5.08 cm)未満とすることができる。例示的な実施態様では、該アセンブリは、高さを、約1.6インチ(4.064 cm)とすることができる。アセンブリは、直径(図9のd1)を、1インチ(2.54 cm)未満、0.75インチ(1.905 cm)未満、又は0.5インチ(1.27 cm)未満とすることができる。例示的な実施態様では、アセンブリは、直径を、約0.4インチ(1.016 cm)(例えば、0.43インチ(1.0922 cm))とすることができる。
図10を参照すると、リザーバアセンブリの一実施態様では、リストリクタは、約1インチ(2.54 cm)×10μmの内径とすることができる毛細管1020(TSP010375 Flexible Fused Silica Capillary Tubing Polymicro Technologies)とすることができる。毛細管1020は、上部が金属(303 S.S.)管1045に接続された2つのGCナット1040及び1050(1/16インチ(約0.15 cm) Stainless Steel Nut Valco P/N ZN1-10)からなる該金属管1045の中に挿入することができる。平坦な端部が接触している2つのグラファイトフェルール1055(Graphite Ferrules P/N 20227 1/16インチ(約0.15 cm)×0.4 mm Restek)を、フェルール1055の下側のポリアミドコーティング1005が除去された(例えば、炎でポリアミドを焼き落として)毛細管1020の一端に配置することができる。フェルール1055は、ナット1040がアダプタ1015の独立した雌端部内に挿入されると毛細管1020を確実に保持することができ、該アダプタ1015自体を、金属(303 S.S.)製リザーバ容器1010内に挿入することができる。アダプタ1015は、ポリアミドの存在しない毛細管の領域を覆って保護することができる金属シース1045をリザーバの端部に有することができる。
リザーバアダプタの反対側の毛細管の端部1030は、火炎シールして切れ目を入れることができる。シールされた毛細管は、アセンブリが適切にシールされて漏れがないかを確認するためにヘリウムを流して試験することができる。リザーバ1010は、蒸留又は他の手段によって液体NO2/N2O4で満たすことができる。毛細管1020は、1/8インチ(0.3175 cm)管用ねじによってリザーバに取り付けられ、シールされている。リザーバアセンブリは、NO2の漏れがないかを確認するために加熱してチェックすることができる。
液体リザーバアセンブリ全体を加熱することができる。アセンブリを加熱する方法は:(1)温水槽、(2)管に固定するマントルを加熱し、ウレタン又は別の絶縁体、例えば、塗料で金属管の外側を絶縁し、かつ装置の周りにKanthal加熱ワイヤを巻きつける工程、及び/又は(3)銀の塗料を使用して、絶縁塗料の上の加熱要素を塗る工程を含むことができる。
次いで、平坦な端部が接触している2つのフェルール1035(Graphite Ferrules P/N 20227 1/16インチ(約0.15 cm)×0.4 mm Restek)を備えた毛細管のシールされた端部1030を送達管に挿入し、リザーバアセンブリの露出GCナット1040を該送達管にねじ込むことによって、リザーバアセンブリ1000を送達管に取り付けることができる。
毛細管のシールされた端部1030を、内部送達シールの偏心孔に挿入することができる。使用の準備ができたら、内部送達シールを回転させてシステムの流路へリザーバポートを開けて(これにより、毛細管を、切れ目が入れられた端部1025で折ることができる)、リザーバをシステムの流路に対して開口させて、NO2を流し始めることができる。
毛細管をリザーバ内に配置して管によって保護する利点は、有毒N2O4が、小径の石英管からしか流出できないことであり得る。全ての物質を流出させるために、ヒータのスイッチを入れて駆動力を提供しなければならない。例えば、約1.6インチ(約4.064 cm)の高さ及び0.43インチ(約1.092 cm)の直径を有することができる小さいリザーバアセンブリ(図9)を、大きい加圧ガスシリンダ、ガス流量調節器、及びガス制御弁の代わりに使用することができる。このサイズは、ボールペンのキャップと同様の大きさにすることができる。
アセンブリは、ドライアイス温度で凍結固体N2O4に維持することができる。しかしながら、これは、実験室での使用では適切であるが、患者に使用される安全な医療用送達装置としては実用的ではないであろう。
図11は、代替の実施態様を示している。この実施態様は、部品数を少なくしても、概念は同じままとすることができる。この実施態様は、製造コストを抑えることができる。容器400のサイズ及び形状は、液体410が、リストリクタ1120、例えば、毛細管に絶対に進入できないようにすることができる。図11では、容器1100は、横向きであり、液体1110のレベルは、液体がリストリクタ1120に進入できないレベルよりも下に維持することができる。同様に、容器1100は、反転させてもその機能を維持することができる。リストリクタ1120は、大口径の跳ね避け(splash guard)によって保護することができる。微小液滴がリストリクタ1120に進入する可能性を排除するために、バッフル(不図示)を該リストリクタ1120の前に配置することもできる。
別の態様では、様々な商業用及び民生用の、金属管内に二酸化炭素を密封するために使用される方法を使用することができる(図12)。液体NO2を、二酸化炭素に使用されるものと同様の鋼製又はアルミニウム製キャニスター(Leland社を参照)内に密封することができる。これらの装置は、薄い鋼板から形成された溶接キャップを有することができる。溶接は、抵抗加熱又は他の技術によって行うことができる。このシステムの利点は、液体を容器内に密封することができ、かつ該容器を安全に輸送できることであり得る。この用途の場合、二酸化窒素供給源の量は、5 ml未満、2 ml未満、好ましくは1 ml未満とするべきである。別法では、漏れずに約100 psi(0.69 MPa)の内圧に耐え得るのであれば、クリンプシールを使用することができる。材料は、アルミニウム又はステンレス鋼とすることができる。
充填及びキャップ透過技術は、二酸化炭素ペレットガンに使用される技術、及びこれらの小さい高圧シリンダの多数の他の用途に使用される技術と同一とすることができる。
一態様では、一酸化窒素を送達するためのシステムは、リザーバ、ガス供給源、及び送達管を含むことができる。システムは、リストリクタを更に含むことができる。リザーバ及びリストリクタは、既に述べた通りである。一部の実施態様では、システムは、リザーバアセンブリの一部であるリザーバ及びリストリクタを含むことができる。
ガス供給源は、ガス、例えば、空気、酸素、又は窒素の任意の適切な供給源とすることができる。好ましいガス供給源は、空気供給源、例えば、空気ポンプとすることができる。携帯型プラットフォームの場合、空気流は、小型空気ポンプによって供給することができる。また、空気圧縮機、或いはガスボンベからの空気又は酸素ガスの外部供給源も使用することができ、家庭用酸素発生器用の酸素富化空気も含まれる。湿潤又は絶乾状態の空気又は酸素の使用は、長時間の一定出力によって測定される性能に差異をもたらし得ない。しかしながら、湿り空気は、薬物、一酸化窒素を生成するためにNO2ガスが通される還元剤カートリッジ(例えば、アスコルビン酸カートリッジ)の寿命を大幅に延ばすことができる。それでもなお、プラットフォームは、絶乾空気又は絶乾酸素である最悪の場合に備えて設計することができる。
システムは、送達管を更に含むことができる。送達管は、NOセンサ、NO2センサ、又は温度センサを備えることができる。NOセンサは、化学発光検出器又は電気化学センサを含み得る。NO2センサは、化学発光検出器又は電気化学センサを含み得る。温度センサは、サーミスタ又は温度計を含み得る。場合によっては、システムは、圧力センサ又は流量センサを含むことができる。送達管はまた、他の医療関連装置、例えば、患者がNOを吸入する前に微生物を除去するためのフィルタを備えることができる。また、送達管は、ガス(例えば、NO2、NO、空気、酸素、窒素など)をシステムの1つの要素から別の要素に流体連通させるために必要な追加のハードウエア、例えば、管及び弁を備えることができることを理解されたい。
送達管は、入口を有することができ、該入口は、ガス供給源に接続することができる。送達管はまた、出口も備えることができ、該出口は、患者インターフェイスに接続することができる。患者インターフェイスは、マウスピース、鼻カニューレ、フェイスマスク、又は完全密封型フェイスマスクを含み得る。
患者が酸素の同時送達を必要とする場合は、空気の供給を酸素に置き換えても良いし、又はデュアルルーメンカニューレにより、空気中のNO及び酸素の両方を平行なルーメンを介して患者に送達し、患者の鼻の中で空気ラインのNOと酸素を混合しても良い。
また、酸素保存容器をNO出力に付加して、使い捨て構成要素の寿命を延ばすことは、十分に技術能力の範囲内である。
また、リストリクタの第2の端部を、送達管に接続することができる。リストリクタの第2の端部は、送達管の入口と出口との間の位置で、該送達管に接続することができる。リストリクタは、第1の端部と第2の端部との間の距離に一致する長さを更に有することができる。場合によっては、リストリクタの第2の端部は、送達管が該リストリクタの長さ方向に対して垂直に延在するように該送達管に接続される。
リストリクタの第2の端部は、閉じることができるため、送達管は、第2の端部を開けるための、又は該第2の端部のシールを破壊するための装置を備えることができる。
システムは、上記説明したように、カートリッジを更に含むことができる。システムを吸入NO薬物送達装置として使用して、空気又は酸素中のNO2出力を、カートリッジを通過させることができ、該カートリッジは、NO2から1つのO原子を除去して、超高純度NOを生成する。
カートリッジは、キャップを備えることができる。カートリッジ用のキャップは、プラスチックから成形することができる(図13)。
システムの例示的な実施態様が図14に示されている。図14を参照すると、システム1400は、リザーバ1405を備えることができる。リザーバ1405は、二酸化窒素供給源1410、例えば、液体N2O4を収容することができる。二酸化窒素供給源の上には、二酸化窒素蒸気1415が存在し得る。例えば、二酸化窒素の加熱により、二酸化窒素蒸気1415の蒸気圧が上昇すると、二酸化窒素蒸気1415が、リストリクタ1420内に押し出され得る。リストリクタ1420は、第1の端部1425においてリザーバに接続することができる。リストリクタの第2の端部1430を、保存のために閉じる又はシールすることができる。システムを使用する際には、第2の端部1430を開ける、又はシールを破壊することができ、これにより、二酸化窒素が、リストリクタ1420の全長を移動し、第2の端部1430から流出可能となる。ガス供給源1435は、ガス1450を供給することができ、該ガス1450は、送達管1440を通って移動することができる。送達管1440の入口1445は、ガス供給源1435に接続することができる。また、リストリクタの第2の端部1430を、送達管1440に接続することができる。このようにして、ガス供給源1435からのガス1450が、送達管1440を通り、リストリクタの第2の端部1430を通過し、該ガス供給源1435からのガス1450とリザーバからの二酸化窒素蒸気1415とが混合し、二酸化窒素-ガス混合物1455が生成する。次いで、二酸化窒素-ガス混合物が、後述するように、限定されるものではないが、センサ、カートリッジ、又はフィルタを含む多数の装置を通過することができる。
システムの別の例示的な実施態様が図15に示されている。図15を参照すると、システム1500は、リザーバ1505を含むことができ、該リザーバ1505は、二酸化窒素供給源1510、例えば、液体N2O2を収容することができる。二酸化窒素供給源の上には、二酸化窒素蒸気1515が存在し得る。例えば、二酸化窒素の加熱により、二酸化窒素蒸気1515の蒸気圧が上昇すると、該二酸化窒素蒸気1515が、リストリクタ1520内に押し出され得る。リストリクタ1520は、その第1の端部1525でリザーバ1505に接続することができる。リストリクタの第2の端部1530を、保存のために閉じる又はシールすることができる。システムを使用する際には、第2の端部1530を開ける、又はシールを破壊することができ、これにより、二酸化窒素が、リストリクタ1520の全長を移動し、第2の端部1530から流出可能となる。ガス供給源1535は、ガス1550を供給することができ、該ガス1550は、送達管1540を通って移動することができる。送達管1540の入口1545は、ガス供給源1535に接続することができる。また、リストリクタの第2の端部1530を、送達管1540に接続することができる。このようにして、ガス供給源1535からのガス1550が、送達管1540を通って、リストリクタの第2の端部1530を通過し、該ガス供給源1535からのガス1550とリザーバからの二酸化窒素蒸気1515とが混合し、二酸化窒素-ガス混合物1555が生成する。次いで、二酸化窒素-ガス混合物1555が、送達管に配設された第1のカートリッジ1560を通過することができる。カートリッジ1560の前又は後で、二酸化窒素-ガス混合物1555が、後述するように、限定されるものではないが、センサ又はフィルタを含む、送達管に配設できる多数の装置を通過することができる。二酸化窒素-ガス混合物1555はまた、送達管を出る前に第2のカートリッジ1560を通過することもできる。患者インターフェイスを、送達管の出口1565に接続することができる。
システムは、加熱要素を備えることができる。加熱要素は、システム、或いは少なくともリザーバ及び/又はリストリクタの温度を変更及び維持できる任意の装置とすることができる。加熱要素は、温水槽、加熱マントル、又は電熱線とすることができる。絶縁電熱線を、管の表面に直接巻き付けることができる。加熱ウェルも使用することができる。加熱要素の他の適切な例は、当業者には既知である。
例示的な実施態様では、システム又は該システムの一部、例えば、リザーバ及び/又はリストリクタは、表面に電熱線がエッチングされた単純なフレキシブル回路基板によって加熱することができる(図16)。サーミスタを備える装置を、温度の測定及び制御のために回路に組み入れることができる。
システム又は該システムの一部を加熱する場合、実用的な最低温度は、約25℃であり得る。しかしながら、加熱温度が、周囲温度に近い場合は、該加熱温度を正確に制御することは困難であり得る。最大限の制御のためには、加熱温度は、起こり得る最も高い周囲温度よりも高く設定するべきである。温度の上限は、原理的に、摂氏数百度にすることができる。実用的な限度は、(a)装置から蒸気を押し出すことができる圧力を発生させるのに十分に高温の液体を有することと、(b)特にバッテリ駆動装置に必要となり得るエネルギーの量を最小限にすること、必要となり得る断熱の程度を最小限にすること(寸法因子)、及び保存容器内で発生し得る圧力に耐えることができる範囲内での該容器の単純化と、の技術的バランスであり得る。この加熱温度は、少なくとも約25℃、少なくとも約30℃、少なくとも約35℃、少なくとも約40℃、少なくとも約45℃、又は少なくとも約50℃とすることができ;該加熱温度は、最大で約200℃、最大で約150℃、最大で約100℃、又は最大で約75℃とすることができる。最適な加熱温度範囲は、約45〜75℃であり得、この温度範囲では、NO2蒸気をリストリクタに押し出すのに十分な蒸気圧を発生させることができる。
リザーバ及び/又はリストリクタは、加熱することができる。リザーバ及びリストリクタは、実質的に同じ温度、例えば、リザーバの温度とリストリクタの温度との間の差が、10℃未満、5℃未満、2℃未満、又は1℃未満となるように加熱することができる。こうすることにより、NO2の凝縮を回避することができる。また、システム、より具体的にはリザーバ及び/又はリストリクタの加熱温度は、NO2蒸気の一定出力を維持するために、約1℃の範囲内、好ましくは約0.5℃の範囲内に制御することができる。容器の温度が高ければ高いほど、厳密に温度制御するべきである。なぜなら、10℃の温度上昇で蒸気圧がほぼ2倍になるためである。従って、固定リストリクタ及び固定空気流の場合、出力中のNO2の濃度は、45℃での約40 ppmが55℃では80 ppmと2倍になり、更に65℃では160 ppmと2倍になり、更に75℃では320 ppmと2倍になり得る。65℃での0.5℃の温度の変化は、45℃での0.5℃の温度の変化と比べて4倍を超える出力の変化を引き起こし得る。
一実施態様では、システムの一部を、再使用可能とすることができ、システムの他の部分を、使い捨てとすることができる。例えば、再使用可能なベースユニットは、ガス供給源(例えば、空気ポンプ)を含むことができる。再使用可能なベースユニットはまた、センサ、電源(例えば、バッテリ)、警報装置、光源、表示器、及び/又は電子機器も含むことができる(図17)。使い捨てユニットは、リザーバ、二酸化窒素供給源(例えば、N2O4保存容器)、リストリクタ、及び/又は少なくとも1つのカートリッジ(例えば、2つのカートリッジ)を含むことができる。使い捨てユニットは、フィルタ、加熱要素、及び/又はセンサを含むことができる。設計の1つの目的は、安全性を担保しながら、できるだけ低コストで使い捨てシステムを形成することであり得る。液体N2O4源及び少なくとも1つのカートリッジは、大量生産できる密封ユニットに含めることができる。典型的な患者は、1日に1つの使い捨てユニットを使用し得るが、これは、リストリクタのサイズ、二酸化窒素供給源の量、カートリッジのサイズ、及び必要な用量によって異なり得る。
一実施態様では、2つのカートリッジ間で、流路は、NOセンサ(P/N NO-D4 Alphasense社、United Kingdom)を通過することができ、該NOセンサは、NOレベルが指定のレベルを超えていない、又は指定のレベル未満ではないことを確認することができる。必要に応じて、センサは、アラームを発する、又はガスの供給を停止することができる。一実施態様が、下の図18に示されており、図18は、別個に、かつ組み合わせられたベース及び使い捨て部品を示している。
使い捨て/再使用可能システムの一部の安全機能は、以下を含み得る:(1)石英先端部を折る弁の前の吸気口に設けられた活性チャコールフィルタであって、リザーバ内の全てのNO2を吸着するのに十分な大きさにすることができる、活性チャコールフィルタ;(2)輸送中に密封Teflonチャンバ内に封入される先端部であって、たとえガラス先端部が折れてもNO2が流出できないように、使い捨てユニットをベースユニット内に挿入することによってのみ除去することができる、先端部;(3)使い捨てユニットを1回しか使用できないようにするインターロック;(4)限定されるものではないが、低バッテリ、NOレベルの低又は高、誤った流れなどを知らせる警告灯を含む警告及び警報装置;(5)収納された液体リザーバであって、保存容器内の全てのNO2を吸着するのに十分な質量である活性チャコールシース内に完全に収納することができる、液体リザーバ;(6)ユニットがその設定温度を絶対に超えることができないようにする、加熱要素に設けられた温度ヒューズ;及び(7)流量、圧力、大気圧などのセンサ。
図19は、例示的な装置のサイズを示すものであり、装置を装着しながら魚釣りをしている男性が示されている。小型化は、重要な特徴であり得る。現在市販されている吸入NO送達システムは、患者を病院、通常は集中治療室のベッドに拘束しなければならないであろう。単純な方式で吸入NOを長期間供給する能力は、吸入NOを用いる治療におけるブレークスルーとなる。
システムは、比較的小さくすることができる。システムは、重さを、64オンス(約1.81 kg)未満、32オンス(0.91 kg)未満、又は16オンス(0.45 kg)未満とすることができる。システムは、高さを、2フィート(60.96 cm)未満、1.5フィート(45.72 cm)未満、1フィート(30.48 cm)未満とすることができる。システムは、幅を、2フィート(60.96 cm)未満、1.5フィート(45.72 cm)未満、1フィート(30.48 cm)未満、9インチ(22.86 cm)未満、又は6インチ(14.4 cm)未満とすることができる。システムは、深さを、6インチ(14.4 cm)未満、4インチ(10.16 cm)未満、3インチ(7.62 cm)未満、又は2インチ(5.08 cm)未満とすることができる。
二酸化窒素を送達する方法は、リストリクタの第2の端部のシールを破壊する、又はリストリクタの閉じた第2の端部を開ける工程を含むことができる。リストリクタは、二酸化窒素供給源を収容するリザーバ内に第1の端部を有することができる。この方法は、リザーバ及びリストリクタを加熱する工程であって、該リザーバ内の二酸化窒素供給源並びに該リザーバ及び/又は該リストリクタ内の二酸化窒素ガスも加熱する、工程も含むことができる。二酸化窒素ガスが加熱されると、蒸気圧が、リザーバ内で蓄積され得、二酸化窒素ガスがリストリクタに押し出される。第2の端部が開けられる、又は開封されると、リストリクタ内に押し出された二酸化窒素ガスが、リストリクタの第2の端部を通過することができる。この方法は、ガス供給源からのガスをリストリクタの第2の端部を通過させる工程を更に含むことができる。ガス供給源からのガスがリストリクタの第2の端部を通過すると、該リストリクタの第2の端部に負圧が生じ得る。リザーバ内の蒸気圧の上昇及び/又はリストリクタの第2の端部の負圧が、NO2蒸気を、リストリクタを強制的に通過させることができる。これにより、NO2ガスがガス供給源からのガスと混合することになる。次いで、ガス供給源からのガスと混合したNO2ガスが、少なくとも1つの変換器を通過することができる。加えて、方法は、NOセンサによりNOレベルを監視する工程、NO2センサによりNO2レベルを監視する工程、又は温度センサにより温度を監視する工程を含むことができる。
一例では、システムは、シールされたリストリクタのシールを破壊する、例えば、石英毛細管リストリクタの先端部を折ることによって作動される。NO2蒸気が、一定流量でリザーバから排出され得るが、この流量は、リザーバ内の液体の残量及び該リザーバの温度によって異なり得る。NO2蒸気を、小型ポンプからのガス、例えば、空気と混合し、次いで、この希釈NO2混合物を、NO2をNOに変換することができる第1の変換器を通過させることができる。変換器は、還元剤、例えば、アスコルビン酸溶液に浸漬し、次いで、ある程度乾燥させた微粒シリカゲルから形成することができる。ガス流中のNOを、第2の変換器に流すことができる。第2の変換器は、二重の機能を果たすことができる。2つのカートリッジのそれぞれは、リザーバ内の液体の容量の1.5倍を変換するのに十分なシリカゲル-アスコルビン酸粉末を有することができる。また、各カートリッジは、異なるロットから製造することができる。ガス流中のNOは、任意のNO電気化学センサ、任意のNO2電気化学センサ、任意の圧力センサ、及び/又は任意の流量センサを通過することができる。次いで、NO蒸気を含む空気を、鼻カニューレによって患者に送達することができる。
家庭で使用する場合、患者は、単位時間当たり一定量を送達するシステムを使用することができる。高用量を必要とする患者には、リザーバの温度を上昇させる、リストリクタの直径を変更する、又はリストリクタの長さを変更することによって送達量を増加させることができる改良されたシステムを提供することができる。
病院内では、看護師が、空気の流量とガス濃度の両方を変更する必要があろう。これは、リザーバの出力を増大させるためにリザーバの温度を変更することによって達成することができる。気流は、圧縮機によって、又は小型内臓空気ポンプの出力を増大させることによって調節することができる。流量及び出力が変更可能なシステムは、流量及びNO濃度のモニタ及びディスプレイを備えることができる。
カートリッジと組み合わせられた四酸化二窒素(N2O4)の小型液体供給源は、吸入一酸化窒素(NO)の治療に対する広範な医学的適用を可能にし得る。技術を可能にする鍵は、ガスボンベ、ガス流量調整弁、モニタなどを必要とすることなく、数日間に亘ってガスを供給することができる比較的小型かつ軽量の二酸化窒素/一酸化窒素供給源である。更に、説明された装置は、バッテリで駆動することができるため、電子機器を殆ど又は全く必要としない場合がある。小型かつ最少の電子機器によって得られる移動性により、病床、典型的には、集中治療室の病床から患者が離れることを可能にすることができる。これにより、連続的に一酸化窒素の供給を受けながら患者が帰宅する、又は仕事に復帰することが可能となり得る。非常に高価な人工呼吸器を使用しないことによる節約の可能性に加えて、一酸化窒素のコスト削減だけでも、非常に大きいであろう。病院以外での一酸化窒素の使用はまた、集中治療室又は病棟における空間を解放することにもなるであろう。設備の使用についてのコスト削減だけでも、1日当たり約3,000ドル〜約300ドルであろう。
比較的小型かつ安価の装置は、動物にも適用することができる。動物、例えば、ウシ及びウマの場合、装置が小型であること、及び病院以外で装置を使用できることは、動物の生死を分け得る。
送達:
上述したように、本明細書に記載される装置を使用して患者を治療することができる。患者を治療する1つの方法は、有効濃度の一酸化窒素を患者に送達する工程を含み得る。
用語「有効濃度」は、研究者又は臨床医が求めている組織、系、動物、又はヒトの生物学的又は医学的反応を誘発する一酸化窒素の濃度を意味する。有効濃度は、副作用を低レベルに維持したまま、陽性臨床反応に大きな影響を与えるのに十分な濃度である。必要とする患者に投与できる一酸化窒素の濃度は、連続的又は間欠的送達で投与される、1〜100 ppm、又は好ましくは30〜90 ppmの範囲、例えば、約1 ppm、約5 ppm、約10 ppm、約20 ppm、約30 ppm、約40 ppm、約50 ppm、約60 ppm、約70 ppm、約80 ppm、又は約90 ppmとすることができる。一酸化窒素の濃度及び送達計画(すなわち、連続的又は間欠的)はそれぞれ、患者のタイプ、人種、年齢、体重、性別、もしくは医学的状態、治療すべき状態の重症度、又は投与経路、又はこれらの組み合わせを含む様々な因子に従って選択することができる。患者の副作用に対する感受性又は敏感性も考慮することができる。有効な濃度は、用量又は投与量と呼ぶこともある。
一酸化窒素の用量は、一般に濃度(ppm)として投与されるが、一酸化窒素の送達は、有効量で投与しても良い。用語「有効量」は、研究者又は臨床医が求めている組織、系、動物、又はヒトの生物学的又は医学的反応を誘発する一酸化窒素の量を意味し得る。有効量は、副作用を低いレベルに維持したまま、陽性臨床反応に大きな影響を与えるのに十分な量である。必要とする患者に投与できる一酸化窒素の有効量は、0.01 mg〜10 mg、又は好ましくは0.025 mg〜5 mgの範囲とすることができる。該有効量は、連続的又は間欠的送達で投与される、例えば、少なくとも約0.01 mg、少なくとも約0.025 mg、少なくとも約0.05 mg、少なくとも約0.075 mg、少なくとも約0.1 mg、少なくとも約0.15 mg、少なくとも約0.2 mg、少なくとも約0.5 mg、少なくとも約0.75 mg、少なくとも約1 mg、少なくとも約1.5 mg、少なくとも約2 mg、少なくとも約2.5 mg、少なくとも約3 mg、少なくとも約4 mg、又は少なくとも約5 mgとすることができる。該有効量は、連続的又は間欠的送達で投与される、例えば、多くとも約50 mg、多くとも約20 mg、多くとも約15 mg、多くとも約10 mg、多くとも約7.5 mg、多くとも約5 mg、多くとも約2.5 mg、多くとも約2 mg、多くとも約1.5 mg、多くとも約1 mg、多くとも約0.5 mg、又は多くとも約0.1 mgとすることができる。一酸化窒素の量及び送達計画(すなわち、連続的又は間欠的)はそれぞれ、患者のタイプ、人種、年齢、体重、性別、もしくは医学的状態、治療すべき状態の重症度、又は投与経路、又はこれらの組み合わせを含む様々な因子に従って選択することができる。患者の副作用の感受性又は敏感性も考慮することができる。有効量は、用量又は投与量と呼ぶこともある。
場合によっては、有効量は、ミリグラム/投与される患者の体重(キログラム)/時間で表すことができる。例えば、有効量は、連続的又は間欠的送達で投与される、例えば、少なくとも約0.01 mg/kg/時間、少なくとも約0.025 mg/kg/時間、少なくとも約0.05 mg/kg/時間、少なくとも約0.075 mg/kg/時間、少なくとも約0.1 mg/kg/時間、少なくとも約0.15 mg/kg/時間、少なくとも約0.2 mg/kg/時間、少なくとも約0.5 mg/kg/時間、少なくとも約0.75 mg/kg/時間、少なくとも約1 mg/kg/時間、少なくとも約1.5 mg/kg/時間、少なくとも約2 mg/kg/時間、少なくとも約2.5 mg/kg/時間、又は少なくとも約5 mg/kg/時間とすることができる。有効量は、連続的又は間欠的送達で投与される、例えば、多くとも約50 mg、多くとも約10 mg/kg/時間、多くとも約7.5 mg/kg/時間、多くとも約5 mg/kg/時間、多くとも約2.5 mg/kg/時間、多くとも約2 mg/kg/時間、多くとも約1.5 mg/kg/時間、多くとも約1 mg/kg/時間、多くとも約0.5 mg/kg/時間、多くとも約0.1 mg/kg/時間、又は多くとも約0.05 mg/kg/時間とすることができる。ミリグラム/キログラム/時間の量及び送達計画(すなわち、連続的又は間欠的)はそれぞれ、患者のタイプ、人種、年齢、体重、性別、もしくは医学的状態、治療すべき状態の重症度、又は投与経路、又はこれらの組み合わせを含む様々な因子に従って選択することができる。患者の副作用の感受性又は敏感性も考慮することができる。ミリグラム/投与される患者の体重(キログラム)/時間で表される有効量は、用量又は投与量と呼ぶこともある。
一酸化窒素は、外傷又は傷害から、少なくとも15分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、又は少なくとも6時間、或いは多くとも6時間、多くとも4時間、多くとも3時間、多くとも2時間、多くとも1.5時間、多くとも1.25時間、又は多くとも1時間の間に患者に送達することができる。好ましくは、一酸化窒素は、外傷又は傷害から、約15分〜約3時間、約30分〜2時間、又は約45分〜約1.25時間の間に送達することができる。
一酸化窒素は、患者に連続的に投与することができる。或いは、一酸化窒素は、患者に間欠的に投与することができる。間欠的には、一酸化窒素を、第1の期間に亘って患者に送達することができ、次いで第2の期間に亘って送達を停止することができ、次いで一酸化窒素を第3の期間に亘って患者に送達することができることを意味し得る。言い換えれば、間欠的には、一酸化窒素を送達し、次いで、送達を再開する前に一酸化窒素の送達を一時的に減少させる、又は停止することを意味する。第1、第2、及び第3の期間は、等しい期間でも良いし、又は異なる期間でも良い。期間は、1秒未満、2秒未満、5秒未満、10秒未満、15秒未満、20秒未満、30秒未満、45秒未満、1分未満、5分未満、10分未満、15分未満、20分未満、30分未満、1時間未満、2時間未満、5時間未満、6時間未満、9時間未満、12時間未満、又は24時間未満とすることができる。期間は、1秒超、2秒超、5秒超、10秒超、15秒超、20秒超、30秒超、45秒超、1分超、5分超、10分超、15分超、20分超、30分超、1時間超、2時間超、5時間超、6時間超、9時間超、12時間超、又は24時間超とすることができる。
間欠的には、一酸化窒素が、パルス、例えば、患者の吸入1回に付き1回、患者の吸入2回に付き1回、又は患者の吸入3回に付き1回の一酸化窒素のパルスで患者に送達されることを意味する。
一酸化窒素は、一定期間に亘って患者に送達することができる。該一定期間は、治療期間に亘る送達を含む。例えば、一酸化窒素が、12時間に亘って0.5秒のパルスで送達される場合、治療期間は12時間とすることができ、従って一酸化窒素が送達される期間は、0.5秒ではなく12時間と見なすことができる。第2の例として、一酸化窒素が12時間に亘って5分間隔で間欠的に送達される場合、治療期間は、12時間とすることができ、従って一酸化窒素が送達される期間は、5分ではなく12時間と見なすことができる。一酸化窒素は、少なくとも15分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも36時間、又は少なくとも48時間、或いは多くとも15分、多くとも30分、多くとも45分、多くとも1時間、多くとも2時間、多くとも4時間、多くとも6時間、多くとも8時間、多くとも12時間、多くとも24時間、多くとも36時間、又は多くとも48時間の期間に亘って患者に送達することができる。
一酸化窒素の患者への送達は、患者インターフェイスを介して行うことができる。患者インターフェイスは、マウスピース、鼻カニューレ、フェイスマスク、又は完全密封型フェイスマスクを含み得る。
送達装置は、連続的なガス流で動作することができる。ガス流は、約0.5〜7 L/分、例えば、約0.5 L/分、約1 L/分、約1.5 L/分、約2 L/分、約2.5 L/分、約3 L/分、約3.5 L/分、約4 L/分、約4.5 L/分、約5 L/分、約5.5 L/分、約6 L/分、約6.5 L/分、又は約7 L/分とすることができる。好ましい実施態様では、ガス流は、約1 L/分とすることができる。
装置又はシステムは、一酸化窒素ガスを別のガス、例えば、空気で送達することができる。酸素補給も必要とする場合は、カニューレのルーメンを使用して酸素を送達することができる。或いは、各鼻孔に酸素用とNO用の2つの管を有する2ルーメンカニューレを使用することができる。90%の酸素でNOを送達することは、2つの理由から望ましくないであろう:第1に、酸素がカニューレ内でのNO2の生成率を5倍に増加させ得る。これは、結果として生成し得るNO2が、猛毒であるため望ましくないであろう。第2に、NOは、一般に、酸素が携帯型サンプルシステムを通過することによる引火の危険のあらゆる可能性を回避するために90%酸素で送達されることはない。
別の選択肢は、酸素節減装置を使用することであり得る。酸素節減装置は、当分野で公知である。酸素節減装置は、呼吸が始まろうとすることを感知し、吸入サイクルのある部分で大量のガスを送達することによって動作することができる。節減装置は、呼吸に一致する1つ以上の酸素パルスを供給するように設計することができ、人が吸気するときに酸素を供給し、人が呼気するときに酸素を停止することを含み得る。例えば、節減装置は、歩く、階段を上る、又は他の日常生活を送るときに酸素補給を必要とするCOPD患者に使用することができる。節減装置は、人が吸気する度に設定酸素用量を供給するように設計することができる。これは、酸素の流れが連続的である場合よりも、シリンダ又はボンベ内の酸素の供給を長持ちさせることができるため有利であり得る。
節減装置は、二酸化窒素又は一酸化窒素供給源と共に使用することもできる。装置内の液体NOを節減する方法は、節減装置を利用する工程を含み得る。この方法は、呼気中にNOの流れを停止させる工程、及び吸気中に1回量のNOを放出する工程を含み得る。言い換えれば、ガスが連続的に流れる代わりに、節減装置は、呼気中にガスの流れを停止させることができ、従って一酸化窒素を節減することができる。こうすることにより、装置内の二酸化窒素供給源を、節減装置を備えていない場合よりも2〜6倍長持ちさせることができる。節減装置は、NOガスと接触する表面及び構成要素並びにゴム及びプラスチック部品が一酸化窒素に適合する場合に適格であると見なすことができる。
場合によっては、人工呼吸器も、患者への一酸化窒素の送達に使用することができる。従来、一酸化窒素ガスは、人工呼吸器によって患者に送達される。NO供給源は、NO濃度が約800 ppmである、窒素中のNOの加圧シリンダとすることができる。従来の一酸化窒素送達システムは、2つの理由から、人工呼吸器での一酸化窒素の送達に適していないであろう。
第1に、NOガスは、通常は、人工呼吸器の前のガス送達ラインに導入される。この導入は、1呼吸の間に均一な一酸化窒素プロファイルを実現することができるが、人工呼吸器における追加時間により、この時間遅延中に二酸化窒素(NO2)が生成するため、使用に不適切となり得る。
第2に、好ましい方法では、熱線流量計によって瞬間流を測定し、この瞬間流の測定値を使用して弁のタイミングをとり、これにより一酸化窒素をシステムに導入することができる。このフィードバックループは、1呼吸の間に、容積/容積単位のppmでの測定でほぼ一定の一酸化窒素プロファイルを実現することができる(平均一酸化窒素値の0%〜150%)。一酸化窒素-時間プロファイルは、容積/容積ベース(100万分の1)での測定で一定に維持することができる。しかしながら、呼吸速度が変化すると、一定のppmは、ミリグラム(mg)での測定で異なる用量になり得る。
窒素中のNOガスの供給源を使用する代わりに、本明細書に記載される装置及びシステムは、空気又は酸素中のNO2を使用することができる。特に、供給源として液体N2O4を使用する装置は、人工呼吸器で有利であり得る。上記のように、N2O4リザーバを加熱して、N2O4を蒸発させてNO2にすることができる。温度が、NO2の沸点である21℃よりも高い温度に上昇すると、液体よりも上の圧力が、大気圧よりも高く上昇し得る。次いで、この圧力差を利用して、NO2ガスをリザーバから狭い制限部に通すことができる。制限部を通過するNO2の質量流量は、圧力差が2:1よりも大きければ、下流の圧力から独立し得る。次いで、一定の質量流量のNO2を空気又は酸素で希釈することができる。
したがって、人工呼吸器の場合、NO2ガスのガスボンベでの貯蔵に対する液体供給源の1つの利点は、該液体供給源が、希釈流から独立して、単位時間当たり一定質量のNO2ガスを送達できることであり得る。これは、薬物を、容積/容積ベースでの100万分の1ではなく体重1キログラム当たりミリグラムとして送達することができるため重要であり得る。例えば、1分当たりの呼吸数が増加すると、ppmで測定される濃度は低下し得るが、液体供給源は、一定のミリグラム用量を送達し続けることができる。他方、ガスボンベが使用されたとすると、用量は、典型的には一定のppmとなるように調整することができるが、実際には、呼吸数が増加するとmgでの用量が増大し得る。
別の利点は、集中治療室の窮屈な空間における大きくて重い高圧ガスボンベの削減であり得る。
なお別の利点は、高圧ガスボンベ及びその漏れやすさに関連したリスク及び危険の排除であり得る。典型的なガスボンベは、2000 psi(約13.79 MPa)を超える圧力まで加圧することができ、圧力が約150〜200 psi(約1.034〜約1.379 MPa)よりも低下すると空と見なすことができる。50℃で動作中の液体供給源は、約50 psi(約0.345 Mpa)までしか上昇することができない、従って本質的により安全なシステムであり得る。
バイアルの液体は、大きいガスボンベの屋外保管と比べ、薬局内又は小さい棚で保管できるため有利であり得る。
ガスボンベは、賃借の場合があり、ガスのコストに加えられる毎日のレンタル料が発生する場合がある。ガスボンベは、追跡調査され、空のボンベは、清掃と充填のために返却しなければならない。これに対して、液体供給源は、使用後に廃棄できて追跡調査も返却もされない小型の使い捨てアイテムとすることができ、有利であろう。
傷害、疾患、及び状態:
NOは、数多くの傷害、疾患、及び状態の治療に有用であり得る。本明細書に記載されるNO送達装置は、電子機器及びモニタを殆ど又は全く備えなくても良く、従って医療施設に限定しなくても良いため、このような傷害、疾患、及び状態の治療に新たな方法を提供する。これにより、NOでの治療が以前は限定されていた、又は存在しなかった、傷害、疾患、及び状態の治療が可能となる。送達装置はまた、NOを投与量で、又は濃度で、又は各方式(パルス又は連続送達)で送達することも可能にする。本明細書に記載される装置を用いて上記のようにNOを送達することによって治療できる例示的な傷害、疾患、及び状態を以下に詳細に説明する。
心肺蘇生(CPR)が行われた患者
一酸化窒素は、心肺蘇生(CPR)を受けたばかりの患者を支援することもできる。CPRは、脳及び心臓に酸素化された血液を送達してこれらの臓器を維持する目的で心停止の人に施され得る。
心肺蘇生を受けたばかりの患者は、低血圧であり得る。低血圧のため、このような患者は、多くの血管拡張剤又は一酸化窒素供与体を使用することができない。しかしながら、吸入一酸化窒素は、このような患者に効果的に使用することができる。
患者を治療する1つの方法は、有効濃度の一酸化窒素を該患者に送達する工程を含み得る。一酸化窒素の送達は、患者に心肺蘇生が行われた後に行うことができる。
一酸化窒素は、心肺蘇生が行われてから少なくとも15分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、又は少なくとも6時間、或いは多くとも6時間、多くとも4時間、多くとも3時間、多くとも2時間、多くとも1.5時間、多くとも1.25時間、又は多くとも1時間の間、患者に送達することができる。好ましくは、一酸化窒素は、心肺蘇生が行われてから約15分〜約3時間、約30分〜2時間、又は約45分〜約1.25時間の間、患者に送達することができる。
虚血性/再灌流傷害の患者、又は中枢神経系に炎症をもたらす事象を有する患者を治療するために投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。更に、上記の装置はいずれも、虚血性/再灌流傷害の患者、又は中枢神経系に炎症をもたらす事象を有する患者を治療するために利用することができる。
睡眠時無呼吸
睡眠時無呼吸(OSA)は、心血管及び脳血管罹患の有病率の上昇に関連し得る。NOは、OSAにおける血圧の調節に重要な役割を果たし得る。長期合併症、すなわち、高血圧、心筋梗塞、及び脳卒中は、繰り返される組織中のNOの一時的な不足、続いて起こるNOの2つの必須の基体の一方である酸素の不足によるものであり得る(引用によりその全容が本明細書中に組み込まれている、「一酸化窒素(NO)及び閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)(Nitric oxide (NO) and obstructive sleep apnea (OSA))」(Sleep Breath, 2003 Jun, 7(2):53-62)を参照されたい)。
循環NOは、OSAで抑制されることがあり、鼻持続的気道陽圧法(nCPAP)の使用で迅速に回復可能である。一酸化窒素は、OSAにおける急性血行動態調節及び長期血管リモデリングに関与する媒介物質の1つであり得る(引用によりその全容が本明細書中に組み込まれている、「循環NOは閉塞性睡眠時無呼吸で抑制され鼻持続的気道陽圧法によって回復する(Circulating Nitric Oxide Is Suppressed in Obstructive Sleep Apnea and Is Reversed by Nasal Continuous Positive Airway Pressure)」(Am. J. Respir. Crit. Care Med., Volume 162, Number 6, December 2000, 2166-2171)を参照されたい)。
睡眠時無呼吸を治療するために患者に投与される有効量又は有効濃度は、例えば、組織に追加のNOを供給する方式では、上記の用量及び送達から選択することができる。
一部の実施態様では、CPAP装置は、肺に送り込まれる加圧空気を供給することができる。空気が、マスクを介して送り込まれるため、体で自然に生成する鼻腔内のNOが迂回する可能性があり、肺は、例えば、約0.05 ppmであり得る低レベルのNO源を受け取れないであろう。本願では、小型の携帯型カートリッジを使用して、肺に送り込まれる空気にNOガスを供給することができる。NOガスを供給する期間は、例えば、睡眠中に、少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも8時間、又は多くとも12時間、多くとも10時間、又は多くとも8時間とすることができる。最も好ましくは、NOガスを供給する期間は、6〜10時間とすることができる。
一部の実施態様では、患者が空気の代わりに酸素を使用する場合は、CPAPマスクへの酸素流にNOを添加することができる。NOの濃度は、少なくとも1 ppm、少なくとも5 ppm、少なくとも10 ppm、又は少なくとも15 ppmとすることができる。NOの濃度は、多くとも30 ppm、多くとも25 ppm、多くとも20 ppm、多くとも15 ppm、多くとも10 ppm、又は多くとも5 ppmとすることができる。NOの濃度は、1〜5 ppmの範囲、又は場合用によっては10〜20 ppmもの高濃度にすることができる。患者の状態によっては有用であり得ることを証明できる他の方式では、例えば、20〜80 ppmの高用量で開始し、次いで低いppm範囲まで用量を下げる。
上記の装置はいずれも、睡眠時無呼吸の治療に利用することができる。
突発性肺線維症(IPF)
IPF疾患で、乳癌よりも多くの女性が死亡していると推測される。IPFには既知の治療法が存在しない。IPFにおける低酸素血症をもたらすガス交換障害は、人工呼吸/灌流異常及び肺内シャントによって引き起こされ得る。吸入NOによって良好に換気される部分の選択的血管拡張は、酸素化を改善することができ、小血管可逆性(small vessel reversibility)は、該疾患の末期まで持続し得る。吸入NOは、混合型肺高血圧症を伴うIPFの状態における酸素化を改善することができる(引用によりその全容が本明細書中に組み込まれている、「突発性肺線維症患者における外来患者吸入一酸化窒素:肺移植の橋渡し(Outpatient Inhaled Nitric Oxide in a Patient with Idiopathic Pulmonary Fibrosis: A Bridge to Lung Transplantation)」(Journal of Heart Lung Transplantation, 2001, 20:1224-1227)を参照されたい)。
IPFを治療するために患者に投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。
上記の装置はいずれも、IPFの治療に利用することができる。
肺動脈高血圧症
肺動脈高血圧症(PAH)は、一酸化窒素(NO)の産生障害及びNO誘導性血管拡張の低下に関連し得る。この障害は、PDE-5阻害剤の使用によって間接的に対処することができる。吸入一酸化窒素は、病因にかかわらず、肺高血圧症の成人患者の肺血管系を選択的に拡張することができる。
PPH外来患者への吸入NOの長期送達は、場合によっては著しい改善をもたらすことがある(それぞれ引用によりそれらの全容が本明細書中に組み込まれている、Channick, R. N., J. W. Newhartらの論文、「原発性肺高血圧症患者への吸入一酸化窒素のパルス送達:携帯型送達システム及び初期臨床試験(Pulsed delivery of inhaled nitric oxide to patients with primary pulmonary hypertension: an ambulatory delivery system and initial clinical tests)」、Chest, (1996), 109(6):1545-1549;Perez-Penate, G. M., G. Julia-Serdaらの論文、「重度の肺高血圧症に対する長期の吸入一酸化窒素とホスホジエステラーゼ5阻害剤(Long-term inhaled nitric oxide plus phosphodiesterase 5 inhibitors for severe pulmonary hypertension)」、J Heart Lung Transplant, (2008), 27(12):1326-1332, Epub 2008 Oct 1326;ClinicalTrials.gov Identifier: NCT00352430を参照されたい)。
吸入NO単独又は吸入NOとPDE5阻害剤との組み合わせは、重度の肺高血圧症に対する潜在的な長期治療の選択肢であり得る。他の送達システムは、ガスボンベを含んでおり、患者は、家庭ではガスボンベに拘束された。ガスボンベ送達システムの使用には、ガスボンベが十分であることを保証するためのかなりの物流管理を伴う。加えて、ガスボンベ使用のコスト及び複雑さは、相当なものであり得る。ガスボンベは、空になると交換する必要があり得、調整弁を取り外して、該調整弁を新しいガスボンベに再装着する必要があろう。ガスボンベは、法外なコスト(3,000ドル/日)、複雑さ、安全性、及び物流管理によって、家庭でのNO治療計画の使用を妨げ得る。加えて、システムを動作させるために必要な化学モニタを毎日校正する必要があろう。校正には、追加のガスボンベ及び特殊な校正設備を必要とし得る。それでもなお、NOは、このような患者のPAHの治療に有効であり得る。
上記の装置はいずれも、PAHの治療に利用することができる。上記の送達装置は、患者の治療を可能にすることができる。吸入NOを使用する実用的な方法の分野に24-7の使用の必要性が存在する。該装置は、毎日一日中使用することができる。バッテリ式の装置では、バッテリ電源により、使用者が、完全に携帯することが可能となる。N2O4が液体で貯蔵される実施態様では、液体貯蔵容器は、使用者が毎日新しいカートリッジを使用できるように、24時間持続するように設計することができる。液体N2O4は、NO2に蒸発させることができ、次いでNO2を、アスコルビン酸上でNOに化学的に還元することができる。患者への送達は、鼻カニューレによって行うことができる。酸素補給を必要とする患者の場合は、2ルーメンカニューレによって酸素を供給することができ、この酸素供給は、従来の酸素貯蔵容器又は酸素発生器からである。
PAHを治療するために患者に投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。
COPDに関連した肺高血圧症
肺高血圧症は、重度の慢性閉塞性肺疾患(COPD)の頻繁な合併症であり得、2次性PHの形として、吸入NOの血管拡張効果を受けやすいであろう(それぞれ引用によりそれらの全容が本明細書中に組み込まれている、Kumar Ashutosh, Kishor Phadke, Jody Fragale Jackson, David Steeleの論文、「慢性閉塞性肺疾患における一酸化窒素の使用(Use of nitric oxide inhalation in chronic obstructive pulmonary disease)」(Thorax 2000, 55:109-113);K Vonbank, R Ziesche, T W Higenbottam, L Stiebellehner, V Petkov, P Schenk, P Germann, L H Blockの論文、「重度のCOPD患者における一酸化窒素及び酸素の携帯型長期使用の肺血行動態に対する効果についての前向き無作為化比較試験(Controlled prospective randomised trial on the effects on pulmonary haemodynamics of the ambulatory long term use of nitric oxide and oxygen in patients with severe COPD)」(Thorax, 2003, 58:289-293)を参照されたい)。
3ヶ月間に亘るNOの酸素との投与は、酸素のみと比較すると、COPD患者の血行動態の改善をもたらし得る。加えて、NOの酸素との投与は、酸素化の低下とならなかった。したがって、一酸化窒素と酸素との組み合わせは、COPDに関連したPAHの長期の治療に対して安全かつ効果的に使用することができる。
上記PAHと同様に、いずれの上記装置の使用でも、このクラスの患者の治療を単純にすることができる。疾患の重症度によっては、一部の患者は、もはや酸素補給を必要としないであろう。
COPDに関連したPAHを治療するために患者に投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
重度のCOPDを含む低酸素肺疾患では、NOの内皮放出が阻害され得る。吸入NOは、たとえ明確な肺高血圧症ではない場合でも、様々な程度の肺動脈圧の上昇を伴う重度のCOPDにおけるガス交換に影響を与え得る。COPD及び二次性肺動脈高血圧症の患者では、3ヶ月間の吸入NOは、肺動脈圧及び肺血管抵抗を低下させることができ、かつ悪影響が観察されることなく心係数を上昇させることができる。
COPDを治療するために患者に投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。
上記の装置はいずれも、COPDの治療に利用することができる。
突発性肺線維症(IPF)に関連した肺高血圧症
肺動脈高血圧症は、IPFにおける疾患後期の特徴及び予後不良の指標であり得る。一酸化窒素(NO)の低用量吸入は、安定した突発性肺線維症(IPF)患者における肺血行動態及びガス交換を改善することができる。NOと酸素とを組み合わせた吸入は、肺血行動態を改善し、動脈酸素化を上昇させることができる(引用によりその全容が本明細書中に組み込まれている、Yoshidaらの論文、「肺線維症患者における一酸化窒素の低用量吸入の効果(The effect of low-dose inhalation of nitric oxide in patients with pulmonary fibrosis)」(Eur Respir J, (1997) 10:2051-4)を参照されたい)。吸入一酸化窒素は、換気と血流の一致を維持し、動脈酸素分圧を低下させることなく肺血管抵抗を低下させた(引用によりその全容が本明細書中に組み込まれている、Ghofraniの論文、「肺線維症及び肺高血圧症の治療用のシルデナフィル:無作為化比較試験(Sildenafil for treatment of lung fibrosis and pulmonary hypertension: a randomised controlled trial)」(Lancet, (2002) 360:895-900)を参照されたい)。
IPFに関連したPAHを治療するために患者に投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。更に、上記の装置はいずれも、IPFに関連したPAHの治療に利用することができる。
肺高血圧症(PH)、鎌状赤血球クリーゼ(SCC)、及び急性胸部症候群(ACS)を含む鎌状赤血球病に関連した状態
一酸化窒素を、鎌状赤血球病の治療に使用することができる。この分野における研究及び治療は、典型的には、人工呼吸器を利用した設備を使用して診療所で行われる。なぜなら、これが、唯一の利用可能な技術であるためである。液体供給源携帯型プラットフォームの使用により、患者が、特殊な設備を必要とすることなく家庭で一酸化窒素を使用することが可能となる。液体供給源携帯型プラットフォーム、又は上記の任意の他装置の利点は、通院及び高価な集中治療室での滞在を最小限にすることによる治療コストの低減であろう。該薬物は、クリーゼを予防するために予防的に使用することもできる。実施可能な送達システムは、利用可能であり、有効な治療の選択肢となり得る。
肺高血圧症(PH)は、鎌状赤血球病(SCD)の合併症であり得、血管内溶血によって生成する遊離ヘモグロビンによるNO除去に関連した増殖性血管障害、イン・サイチュ血栓症、及び血管機能不全によって引き起こされ得る。NOは、SCDにおけるPHの原因となる3種類の成分全てに作用し得る。シルデナフィル、NO生成剤によるSCD患者の治療は、SCD及びPHの患者の肺動脈圧を低下させることができ、これは、PHの進行の防止の点で更なる利点を提供することを提示している(引用によりその全容が本明細書中に組み込まれている、「鎌状赤血球病、溶血関連肺高血圧症、及び無細胞ヘモグロビンによる一酸化窒素を伴う患者における血小板活性化(Platelet Activation in Patients with Sickle Cell Disease, Hemolysis-Associated Pulmonary Hypertension, and Nitric Oxide by Cell-Free Hemoglobin)」(Blood, 2007 Sep 15, 110(6): 2166-72)を参照されたい)。
ベースライン時及び鎌状赤血球クリーゼ(SCC)の最中にSCDの小児で観察されるL-アルギニンのレベル及び一酸化窒素代謝産物のレベルの変化は、SCDにおけるL-アルギニン-一酸化窒素経路と血管閉塞との間の関係を示唆している。したがって、これは、吸入NOの補給によって治療することができる。NOは、視覚的アナログ尺度によるアヘン剤使用疼痛スコアの有意な減少、及び入院期間の有意でない減少をもたらし得る(それぞれ引用によりそれらの全容が本明細書中に組み込まれている、「血管閉塞性クリーゼ及び急性胸部症候群を伴う鎌状赤血球病の患者におけるアルギニン及び一酸化窒素のパターン(Patterns of Arginine and Nitric Oxide in Patients with Sickle Cell Disease with Vaso-Occlusive Crisis and Acute Chest Syndrome)」(Journal of Pediatric Hematology/Oncology, 2000 Dec, 22(6):515-20);「慢性鎌状赤血球肺疾患:肺高血圧症の診断、病因、及び治療についての新たな洞察(Chronic Sickle Cell Lung Disease: New Insights into the Diagnosis, Pathogenesis and Treatment of Pulmonary Hypertension)」(British Journal of Hematology, 2005, 129:449-464);「鎌状赤血球病、溶血関連肺高血圧症、及び無細胞ヘモグロビンによる一酸化窒素を伴う患者における血小板活性化(Platelet Activation in Patients with Sickle Cell Disease, Hemolysis-Associated Pulmonary Hypertension, and Nitric Oxide by Cell-Free Hemoglobin)」(Blood, 2007 Sep 15, 110(6): 2166-72);「鎌状赤血球病の小児患者における急性血管閉塞性クリーゼに対する吸入一酸化窒素の予備的評価(Preliminary Assessment of Inhaled Nitric Oxide for Acute Vaso-occlusive Crisis in Pediatric Patients with Sickle Cell Disease)」(JAMA, 2003, 289:1136-1142)を参照されたい)。
急性胸部症候群(ACS)もまた、吸入一酸化窒素で治療することができる(引用によりその全容が本明細書中に組み込まれている、「青年期における鎌状赤血球病の急性胸部症候群の治療に効果的に使用される一酸化窒素(Nitric Oxide Successfully Used to Treat Acute Chest Syndrome of Sickle Cell Disease in a Young Adolescent)」(Critical Care Medicine, 1999 Nov, 27, (11):2563-8)を参照されたい)。
鎌状赤血球病に関連した状態を治療するために患者に投与される有効量及び有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。更に、上記の装置はいずれも、鎌状赤血球病に関連した状態の治療に利用することができる。
慢性腎疾患におけるα1-アドレナリン受容体の血管反応性
集中治療室の外部で一酸化窒素を用いて患者を治療するために使用することができるシステムを利用できないことで、慢性腎疾患における血管反応性のα1-アドレナリン受容体の研究及び治療が制限され得る。
一酸化窒素(NO)の全産生が、慢性腎疾患(CKD)で減少することがあり、これが、心血管事象及び腎障害の更なる進行の原因となる。慢性腎疾患(CKD)の患者は、高血圧を伴うことがあり、心血管疾患に対して高リスクであり得る。利用可能なNOが少ないことが、CKD患者においてα1-アドレナリン受容体系が高活性であることの原因であり得る(α-アドレナリン作用性血管反応性の調節における血管一酸化窒素の役割)。これらの様々な経路を標的とすることによってNOの産生を回復させることができる介入は、CKDの心血管合併症を低減すると共に進行の速度を遅らせる可能性がある。
上記の装置はいずれも、慢性腎疾患における血管反応性のα1-アドレナリン受容体の治療に利用することができる。例えば、NOは、携帯型液体供給源システムを使用してこのような患者に送達することができる(それぞれ引用によりそれらの全容が本明細書中に組み込まれている、「慢性腎疾患における一酸化窒素の欠乏(Nitric oxide deficiency in chronic kidney disease)」(Am J Physiol Renal Physiol, 294:F1-F9, 2008);ClinicalTrials.gov Identifier: NCT00240058を参照されたい)。
慢性腎疾患における血管反応性のα1-アドレナリン受容体を治療するために患者に投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。
感染性肺疾患
NOを用いた感染性肺疾患の治療は、一酸化窒素の抗菌性及び抗ウイルス性を上手く利用する。NOは、最後の手段として感染性肺疾患の治療のために、人工呼吸器を備えたICUで使用することができる。携帯型システムは、重病であるが、必ずしも入院する必要のない患者に対するNOの使用を可能にすることができる。該治療は、一例としてTB及びインフルエンザが挙げられる、全ての種類の細菌及びウイルス肺感染症に対して有効であり得る。
結核(TB)
一酸化窒素(NO)は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)に対する宿主防御において重要であり得る。アジュバント-吸入NOを、肺結核患者に送達することができる。例えば、NOは、80 ppmで投与することができ、かつ肺結核患者に安全に送達することができることが既に実証されている(それぞれ引用によりそれらの全容が本明細書中に組み込まれている、「結核に対するマウス及びヒト宿主防御における一酸化窒素の役割は何か?(What is the role of nitric oxide in murine and human host defense against tuberculosis?)」(Am. J. Respir. Cell. Mol. Biol. 25:606-612.)-1, The Proceedings of the American Thoracic Society 3:161-165 (2006);「一酸化窒素による呼吸の阻害が、ヒト型結核菌休眠プログラムを誘導する(Inhibition of Respiration by Nitric Oxide Induces a Mycobacterium tuberculosis Dormancy Program)」(Nitric Oxide 2006 February, 14 (1): 21-9);「陽性喀痰塗抹標本によって証明された肺結核患者の吸入一酸化窒素治療(Inhaled Nitric Oxide Treatment of Patients with Pulmonary Tuberculosis Evidenced by Positive Sputum Smears)」(Antimicrobial Agents and Chemotherapy, March 2005, p. 1209-1212, Vol. 49, No. 3)を参照されたい)。
上記の装置はいずれも、TBの治療に利用することができる。例えば、NOは、携帯型液体供給源システムを使用してこのような患者に送達することができる。
TBを治療するために患者に投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。
インフルエンザ
一酸化窒素(NO)は、その強力な抗ウイルス特性によって、宿主防御において重要な役割を果たし得る。ウイルス複製を抑制し、かつこのような感染の炎症促進性の事象を低減するNOの能力は、NOの投与が、ウイルス感染において広範に治療的に有効であり得ることを示唆し得る。特定のウイルス株、例えば、H1N1用に設計されたワクチンとは異なり、吸入NOは、全てのインフルエンザ株に対して広く有効であり得、ウイルス大流行の制御における大きなブレークスルーとなる。一酸化窒素はまた、気道疾患のウイルス悪化について実施可能な治療手法ともなり得る。
吸入NOは、インフルエンザウイルスの増殖を防止し得る。吸入一酸化窒素はまた、インフルエンザA(H1N1)に感染した重病患者の救援療法として利用することもできる(それぞれ引用によりそれらの全容が本明細書中に組み込まれている、「一酸化窒素はライノウイルス感染上皮細胞におけるインターフェロン制御因子-1及び核因子-kBを阻害する(Nitric oxide inhibits interferon regulatory factor-1 and nuclear factor-kB in rhinovirus infected epithelial cells)」(J. Allergy Clin. Immunol, 2009, in press);「実験的ライノウイルス感染の回復における鼻腔一酸化窒素の役割(Role of nasal nitric oxide in the resolution of experimental rhinovirus infection)」(J. Allergy Clin. Immunol., 2004, 113:697-702);「カナダでインフルエンザA(H1N1)2009に感染した重病患者(Critically ill patients with 2009 influenza A(H1N1) infection in Canada)」(JAMA, 2009, Nov 4, 302(17):1872-9, Epub 2009 Oct 12)を参照されたい)。
インフルエンザを治療するために患者に投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。更に、上記の装置はいずれも、インフルエンザの治療に利用することができる。
タバコの煙の影響
タバコの煙に含まれる一酸化窒素レベルは、最初の一吹きの約50 ppm〜最後の一吹きの2000 ppm超まで増加する。増加の1つの理由は、タバコに存在するニコチン並びに有機及び無機硝酸塩から、NOが火炎前面に生成し得ることである。このような有機物が、赤熱発光高温領域の前で蒸留され得、残りの燃えていないタバコにおける濃度が、タバコが吸われるにつれて上昇し得る。ついでに、習慣的喫煙者は、頭を「すっきりさせる」ためにタバコを手に取るが、これは、理論の裏づけはないが、タバコの非常に高いNOレベルが、脳-ニューロン化学に影響を及ぼすことを暗示し得る。これは、タバコ中毒の一部が、一酸化窒素によるものであり得ることを示唆し得る。したがって、可能なタバコを止めさせる手法は、1回の呼吸で、比較的高濃度のNO、例えば、少なくとも50 ppm、少なくとも100 ppm、少なくとも150 ppm、少なくとも200 ppm、少なくとも500 ppm、少なくとも750 ppm、少なくとも1000 ppm、少なくとも1500 ppm、又は少なくとも2000 ppmのNOを吸入することとすることができる。この呼吸(パルスと呼ぶこともある)の後に、少なくとも5回、少なくとも7回、少なくとも10回、少なくとも15回、少なくとも20回、又は少なくとも25回の室内空気の呼吸を続けることができる。好ましくは、5〜25回の室内空気の呼吸、最も好ましくは、10〜20回の室内空気の呼吸を続ける。後に室内空気の呼吸が続くNOの1回の呼吸を繰り返すことができる。例えば、パターンを、少なくとも2回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも8回、少なくとも10回、又は少なくとも15回繰り返すことができる。該パターンは、最も好ましくは少なくとも8回繰り返すことができる。
上記の装置はいずれも、タバコを止めようとしている患者の治療に利用することができる。しかしながら、代替手段は、本明細書に記載される送達装置をタバコの形態に構成することであり得る。人は、タバコとまさに同様にマイクログラム量の一酸化窒素を肺に吸入することができる。量は、少なくとも約0.01 mg、少なくとも約0.025 mg、少なくとも約0.05 mg、少なくとも約0.075 mg、少なくとも約0.1 mg、少なくとも約0.15 mg、少なくとも約0.2 mg、少なくとも約0.5 mg、少なくとも約0.75 mg、少なくとも約1 mg、少なくとも約1.5 mg、少なくとも約2 mg、少なくとも約2.5 mg、少なくとも約3 mg、少なくとも約4 mg、少なくとも約5 mgのNOとすることができる。代替の手法は、有機性窒素(アミノ酸)又は無機性窒素(硝酸塩)を多量に含む物質に浸漬された単純物質、例えば、紙を燃やすことであり得る。これを、非常に単純かつ安価な方法として使用して、吸入一酸化窒素をタバコを止めようとしている患者に送達することができる。
タバコを止めようとしている患者に投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。
ニューロンに対する影響
一酸化窒素(NO)の神経伝達物質としての発見により、シナプス伝達についての考えが変わった。不安定なフリーラジカルガスであるため(殆どの生物学的状態では、NOは溶液中に溶解しているが)、NOは、シナプス小胞に貯蔵され得ない。代わりに、NOは、必要に応じてNOシンターゼ(NOS)によってその前駆体L-アルギニンから合成され得る。エキソサイトーシスとは異なり、NOは、神経末端から拡散し得る。NOは、受容体とは反応しないが、隣接した細胞に拡散する。標的との可逆的な相互作用の代わりに、NOは、酵素、例えば、グアニリルシクラーゼ(GC)又は他のタンパク質もしくは非タンパク質標的を含み得る多数の標的と共有結合を形成することができる。
NOの不活化は、標的から離れる拡散、及び各種小分子又は巨大分子、例えば、超酸化物及び多様なタンパク質との共有結合を伴い得る。NOは、神経伝達物質の放出に影響を及ぼし得る。
哺乳動物の脳の殆どのニューロンは、胚発生中に形成され得る。しかしながら、成体の脳のいくつかの領域は、神経幹細胞の増殖によってニューロンを発生し続けることができる。このような新しいニューロンは、既存の脳回路に組み込まれ得る。
一酸化窒素は、成体の脳における新たなニューロンの誕生の極めて重要な天然の制御因子であり得る。一酸化窒素の産生を阻害することにより、神経幹細胞の増殖を刺激することができ、かつ成体ラットの脳で形成されるニューロンの数を劇的に増加させることができる。重要なことに、一酸化窒素の産生の阻害の結果として生じる新たなニューロンは、初期発生ニューロンの性質を示し得、該ニューロンは、成体の脳の構築に寄与し得る。したがって、一酸化窒素レベルの調節は、脳卒中又は慢性神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病によって脳から失われたニューロンに取って代わる有効な戦略であり得る。
神経変性疾患を治療するために患者に投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。更に、上記の装置はいずれも、神経変性疾患の治療に利用することができる。
急性低酸素性呼吸不全(AHRF)
吸入NOは、新生児集中治療室で広く使用することができ、広範な臨床経験に加えて、この環境では安全かつ有効な薬剤であり得る。吸入NOは、AHRFの新生児における標準的な療法と見なすことができ、かつAHRFの年長児における短期酸素化、並びに重度低酸素血症及びAHRFの年長児における長期酸素化を改善することができる。
それぞれ引用によりそれらの全容が本明細書中に組み込まれている、「小児での急性低酸素性呼吸不全(AHRF)の治療における吸入一酸化窒素の効果(Effects of Inhaled Nitric Oxide in the Treatment of Acute Hypoxemic Respiratory Failure (AHRF) in Pediatrics)」ClinicalTrials.gov Identifier: NCT00041561-Phase II;「小児急性低酸素性呼吸不全:酸素の管理(Pediatric Acute Hypoxemic Respiratory Failure: Management of Oxygenation)」(J Intensive Care Med 2004; 19; 140)を参照されたい。
AHRF患者は、生まれたばかりの子であり得る。生まれたばかりの子は、新生児とも呼ばれ、1歳未満、6ヶ月未満、3ヶ月未満、2ヶ月未満、又は1ヶ月未満の患者とすることができる。最も好ましくは、生まれたばかりの子は、3ヶ月未満である。生まれたばかりの子は、全妊娠期間(例えば、40週の妊娠期間)を経て生まれた子でも良いし、該期間を経ずに生まれた子でも良い。例えば、生まれたばかりの子は、妊娠期間が、例えば、40週未満、特に36週未満の未熟児であっても良い。乳児は、1歳未満の患者とすることができる。
AHRFを治療するために患者に投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。更に、上記の装置はいずれも、AHRF患者の治療に利用することができる。
呼吸窮迫症候群(RDS)
肺血管収縮及び低酸素血は、RDSにおける顕著なプロセスであり得、吸入NOは、選択的肺血管拡張によって酸素化の改善をもたらすことができる。動物モデルでは、吸入NOはまた、肺炎症を低減し、界面活性剤機能を改善し、過酸素肺外傷を軽減し、かつ肺の成長を促進することができる。無作為化多施設臨床試験では、吸入NOは、体重が1000 gを超える早産児における慢性肺疾患(気管支肺異形成)の発生率の減少を実証することができる。加えて、神経発達結果の改善は、早産児の中で吸入NOで治療された早産児で見ることができる(それぞれ引用によりそれらの全容が本明細書中に組み込まれている、「早産児の吸入NOは良しとなるか?(Inhaled NO for Preterm Infants-Getting to Yes?)」(N Engl J Med, 2006 Jul 27, 355(4):404-406);「機械的人工換気を受けている早産児における吸入一酸化窒素(Inhaled Nitric Oxide in Preterm Infants Undergoing Mechanical Ventilation)」(N Engl J Med., 2006 Jul 27, 355(4):343-54);「呼吸不全の早産児における初期吸入一酸化窒素療法(Early Inhaled Nitric Oxide Therapy in Premature Newborns with Respiratory Failure)」(N Engl J Med., 2006 Jul 27, 355 (4):354-64);「未熟児の吸入一酸化窒素試験。重度の呼吸不全の早産児の吸入一酸化窒素(Preemie Inhaled Nitric Oxide Study. Inhaled nitric oxide for premature infants with severe respiratory failure)」(N Engl J Med., 2005 Jul 7, 353(1):13-22);「呼吸窮迫症候群の早産児における吸入一酸化窒素(Inhaled Nitric Oxide in Premature Infants with the Respiratory Distress Syndrome)」(N Engl J Med, 2003, 349:2099-107);「吸入一酸化窒素で治療された早産児の神経発達結果(Neuro-developmental Outcomes of Premature Infants Treated with Inhaled Nitric Oxide)」(N Engl J Med, 2005 Jul 7, 353(1):23-32)を参照されたい)。
RDS患者は、生まれたばかりの子であり得る。生まれたばかりの子は、1歳未満、6ヶ月未満、3ヶ月未満、2ヶ月未満、又は1ヶ月未満の患者とすることができる。最も好ましくは、生まれたばかりの子は、3ヶ月未満である。生まれたばかりの子は、全妊娠期間(例えば、40週の妊娠期間)を経て生まれた子でも良いし、該期間を経ずに生まれた子でも良い。例えば、生まれたばかりの子は、妊娠期間が、例えば、40週未満、特に36週未満の未熟児であっても良い。乳児は、1歳未満の患者とすることができる。
RDSを治療するために患者に投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。更に、上記の装置はいずれも、RDS患者の治療に利用することができる。
術後の心肺バイパス、心臓手術、及び手技
肺高血圧症(PH)は、心肺バイパス(CPB)を利用する心臓手術の最中及び後の患者における周術期罹患率及び死亡率の主要危険因子であり得る。肺血管抵抗(PVR)の上昇による右室(RV)機能障害は、心肺バイパス(CPB)の中止を特に困難にすることがあり、緊急のCPBの再開が、時には必要と見なされることがある。一酸化窒素は、肺血管抵抗を低下させ、右室機能の改善をもたらす有効な薬剤であり得る。
肺動脈圧の上昇は、心肺バイパスの後の術後の状態で起こり得る:示唆された機序は、内因性一酸化窒素の産生の減少、不完全な心筋保護、血管作用物質の放出、又は心室の負荷状態の好ましくない変化を含み得る。この場合、血行動態を改善する選択的な肺血管拡張剤の使用が、論理ステップであり得る。
吸入プロスタサイクリン(iPGI2)及び一酸化窒素(iNO)を、重度の僧帽弁狭窄及び肺高血圧症の患者に使用することができる。iNO及びiPGI2患者において、平均肺動脈圧及び肺血管抵抗を低下させることができ、かつ心係数及び右室駆出率を増加させることができる。吸入薬物を使用している患者は、心肺バイパスを容易に停止することができ、挿管時間及び集中治療室の滞在期間を短くすることができる。吸入NOで治療したCABG患者は、肺血管抵抗の減少に関連した酸素化の改善を実証することができ、外科手術の前から肺高血圧症であった患者で効果が最も顕著であった(それぞれ引用によりそれらの全容が本明細書中に組み込まれている、「心臓手術成人患者における吸入一酸化窒素の有益な効果(Beneficial effects of inhaled nitric oxide in adult cardiac surgical patients)」(Ann Thorac Surg, 2002, 73:529-533);「心肺バイパスを用いて外科手術を受ける患者における肺高血圧症の治療:無作為化前向き二重盲検試験(Treatment of pulmonary hypertension in patients undergoing cardiac surgery with cardiopulmonary bypass: a randomized, prospective, double-blind study)」(J Cardiovasc Med (Hagerstown), Feb 2006, 7(2):119-23);「成人心臓手術中の一酸化窒素に対する反応(Response to nitric oxide during adult cardiac surgery)」(Journal of Investigative Surgery, 2002, 15 (1): 5-14);「成人心臓手術患者における一酸化窒素に対する用量反応(Dose response to nitric oxide in adult cardiac surgery patients)」(2001, Journal of Clinical Anesthesia, 13(4): 281-60)を参照されたい)。
心臓の状態、例えば、心臓手術の後に起こる状態を治療するために患者に投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。更に、上記の装置はいずれも、心臓の状態、例えば、心臓手術の後に起こる状態を有する患者の治療に利用することができる。
虚血性(ISCEHMIC)/再灌流傷害
一酸化窒素は、虚血性(又は低酸素)傷害及び/又は再灌流傷害の患者の転帰を改善することができる。このような種類の傷害の例として、心停止、脳卒中、動脈瘤、絞扼、窒息、低体温、呼吸器外傷、及び脊髄損傷を含む中枢神経外傷から生じる傷害を挙げることができる。
中枢神経(「CNS」)傷害及び外傷は、脳及び脊髄に対する広範な医学的及び外傷性の損傷を含む。例えば、脳卒中は、先進国では死因の第3位であり、米国では約1分に1件の脳卒中が起きている。死亡率は約30%であるが、400万人を超える脳卒中生存者が現在生存しており、これらの人々の殆どに、様々な程度の障害が残っている。臨床試験は、虚血性脳卒中(すなわち、血餅/血栓形成による血流の阻害に関連した脳卒中)における治療的神経保護をいまだ実証していない。血栓溶解療法(血栓の溶解又は破壊を引き起こす薬剤の使用と定義される)は、多くの制限を有するが、依然として急性虚血性発作の唯一認可された形態の治療である。前臨床研究戦略は、抗アポトーシス及び抗炎症機序を標的にすることを含む。
外傷性脳傷害(例えば、特に頭部の事故及び頭部創傷によって引き起こされる脳傷害)に対する病態生理学的反応は、脳卒中の病態生理学的反応に多くの点で類似しており、同様の手法がとられて、外傷性脳傷害治療の治療薬が開発されている。脳卒中が、虚血性又は出血性機序によって引き起こされるか否かは、CATスキャン又は他の臨床診断法によって決定することができ、このスクリーニングの結果によって後の治療方式が決まる。
脊髄損傷及び外傷は、外傷性脳傷害のように、若い健康な集団で起こり得るが、脳卒中後に脳で起こる変化と多くの病理学的類似性を共有している。このような共通の機序から、脳卒中、外傷性脳傷害、及び脊髄損傷に対して同様の治療手法が有効であろう。
脳卒中又は脊髄損傷の患者は、低血圧を有し得る。低血圧のため、このような患者は、多くの血管拡張剤又は一酸化窒素供与体を使用することができない。しかしながら、吸入一酸化窒素は、このような患者に効果的に使用することができる。
一酸化窒素(NO)はまた、心保護及び神経保護特性の両方を有することが示されているため、このような患者の有望な治療薬であり得る。吸入一酸化窒素の保護作用は、脳における水の拡散異常(water diffusion abnormality)の減少、カスパーゼ-3活性化の減少、サイトカインの誘導の減少、及び血清硝酸塩/亜硝酸塩レベルの増加に関連し得る。引用によりその全容が本明細書中に組み込まれている、Minamishimaの論文、Am. J. Physiol. Heart Circ. Physiol., April 2011, 300:H1477-H1483; doi:10.1152/ajpheart.00948を参照されたい。これらの結果は、可溶性グアニル酸シクラーゼ依存性機序によって起こり得る。
患者を治療する1つの方法は、有効濃度の一酸化窒素を患者に送達する工程を含み得る。一酸化窒素の送達は、患者が虚血性もしくは再灌流傷害、中枢神経に炎症をもたらす事象を経験した後、又は中枢神経の外傷に起因する炎症と診断された後に行うことができる。一部の実施態様では、中枢神経の炎症をもたらす事象又は中枢神経の外傷は、脳卒中又は脊髄損傷を含み得る。
一酸化窒素は、事象又は傷害から少なくとも15分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、又は少なくとも6時間、或いは多くとも6時間、多くとも4時間、多くとも3時間、多くとも2時間、多くとも1.5時間、多くとも1.25時間、又は多くとも1時間の間に患者に送達することができる。好ましくは、一酸化窒素は、事象又は傷害から約15分〜約3時間、約30分〜2時間、又は約45分〜約1.25時間の間に送達することができる。
虚血性/再灌流傷害の患者、又は中枢神経の外傷をもたらす事象を有する患者を治療するために投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。更に、上記の装置はいずれも、虚血性/再灌流傷害の患者、又は中枢神経に炎症をもたらす事象を有する患者の治療に利用することができる。
肝移植患者における臓器不全
移植肝臓における虚血性/再灌流(IR)傷害は、臓器機能不全及び臓器不全の原因となることがあり、かつNOの生物学的利用能の低下によって部分的に特徴付けることができる。吸入一酸化窒素は、移植肝臓における虚血性-再灌流傷害を制限することができる。結果として、吸入NOは、入院日数を低減することができ、かつ移植後に肝機能が回復する速度を改善することができる。
それぞれ引用によりそれらの全容が本明細書中に組み込まれている、「吸入NOは同所性肝移植後の成人における肝機能の回復を促進する(Inhaled NO accelerates restoration of liver function in adults following orthotopic liver transplantation.)」(J Clin Invest. 2007 Sep;117 (9):2583-91):「吸入NOは同所性肝移植後の成人における肝機能の回復を促進する(Inhaled NO accelerates restoration of liver function in adults following orthotopic liver transplantation.)」(J Clin Invest. 2007 Sep;117 (9):2583-91):「吸入一酸化窒素が移植後に肝機能を改善するか否かを評価する研究(Study to Evaluate if Inhaled Nitric Oxide Improves Liver Function After Transplantation NCT00582010)」を参照されたい。
肝移植後の臓器不全を治療するために患者に投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。更に、上記の装置はいずれも、肝移植後の臓器不全の患者の治療に利用することができる。
LVAD挿入後の右心不全/RV機能不全
NOは、呼吸不全、ショック、及び右室機能不全の患者における血行動態を改善することができる。吸入一酸化窒素は、RV不全の管理において有用であり得る。一酸化窒素は、全身の血圧を低下させることなく肺血管抵抗を低下させることができる。一酸化窒素はまた、後負荷を軽減して多量の右心拍出量を可能にすることによって変力療法(inotropic therapy)の効果を促進することもできる。移植の橋渡しとして左心補助循環装置(LVAD)の植え込みが、末期心不全患者の許容可能な手法となっている。左心補助循環装置の植え込み後の右心不全/RV機能不全は、LVADを受けた患者の20〜50%で起こり得る。一酸化窒素は、PA圧を低下させて、RV機能不全の状態でのLVADの流れを改善することができ、これにより機械的RV支援の必要性が軽減される。
PVRに血行動態的に有意な上昇及び右心不全の徴候が現れている、末期の心不全でLVADが留置されている患者は、吸入NOが投与された後にPAPの減少及びLVAD-支援心拍出量の増加として現れるPVRの減少を経験し得る。吸入NOは、肺高血圧症が装置の充填及び出力を制限するLVADが装着されている患者において、有用な術中の補助剤であり得る(それぞれ引用によりそれらの全容が本明細書中に組み込まれている、「左心補助循環装置装着後の右心不全:術中の危険因子(Right ventricular failure after left ventricular assist device insertion: preoperative risk factors)」(Interact CardioVasc Thorac Surg, 2006, 5:379-382);「肺高血圧症のLVAD被移植者における吸入一酸化窒素の無作為化二重盲検試験(Randomized, double-blind trial of inhaled nitric oxide in LVAD recipients with pulmonary hypertension)」(Ann Thorac Surg., 1998, 65:340-345);ClinicalTrials.gov Identifier: NCT00060840を参照されたい)。
LVAD装着後の右心不全/RV機能不全を治療するために患者に投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。更に、上記の装置はいずれも、LVAD装着後の右心不全/RV機能不全の患者の治療に利用することができる。
RV梗塞/右心不全(心血管ショック)梗塞(心不全)による心血管ショックの治療
心臓性ショックは、急性心筋梗塞で入院する患者の主な死亡原因である。右室梗塞(RVMI)は、急性左室(LV)下後壁梗塞の患者の最大50%で見ることができる。選択的肺血管拡張剤を用いたRV不全の後負荷低減療法は、全身血管拡張及び低血圧を引き起こすことなく心機能の改善をもたらすことが期待できる。一酸化窒素の吸入は、RVMI及びCSの患者に行われると、急激な血行動態の改善をもたらし得る。NO(80 ppm)が急激に投与された、RVMIによる心臓性ショックの患者は、mPAP及びmRAPの12%の減少、並びに心係数の24%の改善を実証することができる。吸入NOを用いた治療は、シャント血流を56%減少させことができ、顕著に改善された全身酸素飽和度に関連し得る(それぞれ引用によりそれらの全容が本明細書中に組み込まれている、「右室梗塞及び心臓性ショックにおける吸入一酸化窒素の血行動態効果(Hemodynamic effects of inhaled nitric oxide in right ventricular myocardial infarction and cardiogenic shock)」(J Am Coll Cardiol, 2004, 44:793-8);「難治性右心不全における一酸化窒素及びバソプレシンの役割(The Role of Nitric Oxide and Vasopressin in Refractory Right Heart Failure)」(Journal of Cardiovascular Pharmacology and Therapeutics, Vol. 9, No. 1, 9-11 (2004));Yoshidaらの論文、「肺線維症患者における一酸化窒素の低用量の吸入の効果(The effect of low-dose inhalation of nitric oxide in patients with pulmonary fibrosis)」(Eur Respir J, (1997) 10:2051-4);「右室梗塞及び心臓性ショックにおける吸入一酸化窒素の血行動態効果(Hemodynamic effects of inhaled nitric oxide in right ventricular myocardial infarction and cardiogenic shock)」(J Am Coll Cardiol, 2004, 44:793-8)を参照されたい)。
RV梗塞/右心不全(心血管ショック)梗塞(心不全)による心血管ショックを治療するために患者に投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。更に、上記の装置はいずれも、RV梗塞/右心不全(心血管ショック)梗塞(心不全)による心血管ショックの患者の治療に利用することができる。
冠動脈バイパス手術(CABG)後の虚血-灌流傷害
CABGに関連した重大な合併症は、死亡率及び罹患率を上昇させ得る。また、CABG中に起こり得る心筋再灌流は、重大な心外傷をもたらし得る。虚血及び再灌流におけるNOの保護作用は、その抗酸化特性及び抗炎症性特性によるものであり得る。加えて、NOは、核タンパク質、例えば、NF-κB及びAP-1の細胞情報伝達及び阻害に対する有効な効果を有し得る。NOは、CABG患者において、術後に酸素化の改善及び肺動脈圧の低下をもたらし得る(それぞれ引用によりそれらの全容が本明細書中に組み込まれている、「全国病院退院調査2006(2006 national hospital discharge survey)」(Natl Health Stat Rep No.5, at www.cdc.gov/nchs/data/nhsr/nhsr005);「虚血及び再灌流傷害における一酸化窒素の保護機序(Nitric oxide mechanisms of protection in ischemia and reperfusion injury)」(J Invest Surg, 22:46-55)を参照されたい)。
冠動脈バイパス手術(CABG)後の虚血-灌流傷害を治療するために患者に投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。更に、上記の装置はいずれも、冠動脈バイパス手術(CABG)後の虚血-灌流傷害の患者の治療に利用することができる。
計画的PCI急性冠動脈症候群(ACS)を受けたSTEMI及びNon-STEMI急性冠動脈症候群(ACS)の補助療法
MIの治療中の虚血心筋の再灌流は、矛盾した、心筋救済を損なう心筋傷害と左室機能の回復をもたらし得る。一酸化窒素は、虚血-再灌流傷害(IR)の原因となる多数のプロセスを調節することができ、吸入NOは、IR動物モデルにおける梗塞サイズを減少させることができる。吸入NOの肺血管拡張効果は、肺血管圧を低下させることができ、これにより右心の負荷が減少し、この負荷の減少は、MIの後の吸入NO療法の別の潜在的な利点となり得る。更に、吸入NOは、特にACSにおいて、抗血小板物質及び抗凝血剤が標準治療であるため、MIの治療に有用であり得る血栓溶解及び抗凝固効果も有し得る。
吸入NOの利点は、STEMI/NSTEMI管理の3つの重要な側面まで及び得る:1)心筋への酸素供給の増大、酸素化の促進、並びに再灌流傷害及び梗塞サイズの減少、2)肺血管圧の低下による心臓への負荷の減少、並びに3)血液凝固の望ましい制御(すなわち、血栓溶解及び抗凝固効果)。
高用量、例えば、30 ppm超、40 ppm超、50 ppm超、60 ppm超、70 ppm超、80 ppm超、又は90 ppm超であるが、最も好ましくは40 ppm〜80 ppmの吸入NOは、実験動物における全身血管抵抗及び一酸化窒素シンターゼ阻害剤に対する応答を変更することができ、全身血管作用を示唆している。更に、吸入NOは、心筋梗塞げっ歯類モデルの梗塞サイズを減少させることができる。
事例となる経験は、右室MI患者の血行動態の経過に対する吸入NOの有益な影響を示唆し、更なる調査を必要とする。初回血管形成術によって治療されたSTEMI(引用によりその全容が本明細書中に組み込まれている、ClinicalTrials.gov Identifier: NCT00854711を参照)、及び心筋梗塞サイズの減少(引用によりその全容が本明細書中に組み込まれている、ClinicalTrials.gov Identifier: NCT00568061を参照)における吸入NOの無作為化プラセボ対照臨床試験が進行中である(また、それぞれ引用によりそれらの全容が本明細書中に組み込まれている、「右室梗塞及び心臓性ショックにおける吸入一酸化窒素の血行動態効果(Hemodynamic effects of inhaled nitric oxide in right ventricular myocardial infarction and cardiogenic shock)」(J Am Coll Cardiol, 44:793-798);「治療薬としての吸入NO(Inhaled NO as a Therapeutic Agent)」(Cardiovascular Research, 2007 May 7, 75:339-48);ClinicalTrials.gov Identifier: NCT00854711;ClinicalTrials.gov Identifier: NCT00568061を参照されたい)。
計画的PCI急性冠動脈症候群(ACS)を受けたSTEMI又はNON-STEMI ACSを治療するために患者に投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。更に、上記の装置はいずれも、計画的PCI急性冠動脈症候群(ACS)を受けたSTEMI又はNON-STEMI ACSの患者の治療に利用することができる。
外傷性脳傷害(TBI)
一酸化窒素は、虚血(又は低酸素)傷害及び/又は再灌流傷害の患者の転帰を改善することができる。このような種類の傷害の例として、心停止、脳卒中、動脈瘤、絞扼、窒息、低体温、呼吸器外傷、及び脊髄損傷を含む中枢神経外傷から生じる傷害を挙げることができる。
中枢神経(「CNS」)傷害及び外傷は、脳及び脊髄に対する広範な医学的及び外傷性の損傷を含む。例えば、脳卒中は、先進国では死因の第3位であり、米国では約1分に1件の脳卒中が起きている。死亡率は約30%であるが、400万人を超える脳卒中生存者が現在生存しており、これらの人々の殆どに、様々な程度の障害が残っている。臨床試験は、虚血性脳卒中(すなわち、血餅/血栓形成による血流の阻害に関連した脳卒中)における治療的神経保護をいまだ実証していない。血栓溶解療法(血栓の溶解又は破壊を引き起こす薬剤の使用と定義される)は、多くの制限を有するが、依然として急性虚血性発作の唯一認可された形態の治療である。前臨床研究戦略は、抗アポトーシス及び抗炎症機序を標的にすることを含む。
外傷性脳傷害(例えば、特に頭部の事故及び頭部創傷によって引き起こされる脳傷害)に対する病態生理学的反応は、脳卒中の病態生理学的反応に多くの点で類似しており、同様の手法がとられて、外傷性脳傷害治療の治療薬が開発されている。脳卒中が、虚血性又は出血性機序によって引き起こされるか否かは、CATスキャン又は他の臨床診断法によって決定することができ、このスクリーニングの結果によって後の治療方式が決まる。
脊髄損傷及び外傷は、外傷性脳傷害のように、若い健康な集団で起こり得るが、脳卒中後に脳で起こる変化と多くの病理学的類似性を共有している。このような共通の機序から、脳卒中、外傷性脳傷害、及び脊髄損傷に対して同様の治療手法が有効であろう。
例えば、吸入一酸化窒素は、急性呼吸窮迫症候群を伴う外傷性脳傷害により頭蓋内圧が上昇した患者における炎症反応を減少させることができ、転帰の改善に寄与する。外傷性脳傷害の小児におけるNO療法による脳への悪影響は一切観察されていない(それぞれ引用によりそれらの全容が本明細書中に組み込まれている、「外傷性脳傷害の小児における脳血流及び脳代謝に対する吸入一酸化窒素の影響(The Influence of Inhaled Nitric Oxide on Cerebral Blood Flow and Metabolism in a Child with Traumatic Brain Injury)」(Anesth Analg, 2001, 93:351-3);「急性呼吸窮迫症候群を伴う重度の外傷性脳傷害の患者における吸入一酸化窒素の有益な効果(The beneficial effects of inhaled nitric oxide in patients with severe traumatic brain injury complicated by acute respiratory distress syndrome: a hypothesis)」(Journal of Trauma Management & Outcomes, 2008, 2:1);「急性呼吸窮迫症候群を伴う重度の外傷性脳傷害の患者における吸入一酸化窒素の効果的な使用による頭蓋内圧の低下:抗炎症性機序に対する役割?(Successful Use Of Inhaled Nitric Oxide To Decrease Intracranial Pressure In A Patient With Severe Traumatic Brain Injury Complicated By Acute Respiratory Distress Syndrome: A Role For An Anti-Inflammatory Mechanism?)」(Scandinavian Journal of Trauma, Resuscitation and Emergency Medicine, 2009, 17:5)を参照されたい)。
TBIを治療するために患者に投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。更に、上記の装置はいずれも、TBI患者の治療に利用することができる。
TOF/CHDにおける肺動脈弁不全/肺動脈弁逆流(PI)
肺動脈弁不全(PI)は、ファロー4徴症(TOF)の初回外科的修復術後に問題となり得る。TOFは、先天性心臓欠陥であり得る。長期PIは、右室の構造変化をもたらすことがあり、その後遺症には、右心不全、不整脈、及び突然心臓死が含まれる。重度の症候性PIの現在唯一の治療は、肺動脈弁置換術である。吸入一酸化窒素は、先天性心疾患における肺機能不全に対して急性効果を有し得る(それぞれ引用によりそれらの全容が本明細書中に組み込まれている、ClinicalTrials.gov Identifier NCT00543933;ClinicalTrials.gov Identifier NCT00543933を参照されたい)。
TOF/CHDにおける肺動脈弁不全/肺動脈弁逆流(PI)を治療するために患者に投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。更に、上記の装置はいずれも、TOF/CHDにおける肺動脈弁不全/肺動脈弁逆流(PI)の患者の治療に利用することができる。
肺塞栓症
急性肺塞栓症は、肺血管床の断面積の減少によって、及び血管収縮によっても肺血管抵抗を上昇させ得る。吸入NOは、血管拡張及び血小板凝集に対するその影響の両方による右室後負荷を軽減する可能性がある。吸入NOは、広範肺塞栓症の患者における全身血圧、心拍数、及びガス交換の改善をもたらす(それぞれ引用によりそれらの全容が本明細書中に組み込まれている、「吸入一酸化窒素は広範肺塞栓症後の肺機能を改善する:4人の患者の報告書及び文献の再検討(Inhaled Nitric Oxide Improves Pulmonary Functions Following Massive Pulmonary Embolism: A Report of Four Patients and Review of the Literature)」(Lung, 2006, 184:1-5)を参照されたい)。
肺塞栓症を治療するために患者に投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。更に、上記の装置はいずれも、肺塞栓症の患者の治療に利用することができる。
嚢胞性線維症(CF)
NOは、その抗菌特性により宿主防御において重要であり得る。CFの状態では、気道の低いNOレベルと慢性的な気道への緑膿菌(Pseudomonas aureginosa)定着との間の相関が実証されている。細菌定着は、CFの乳児における気道の低いNOレベルに起因し得る。したがって、吸入NOは、肺細菌感染に対する保護特性を有する(それぞれ引用によりそれらの全容が本明細書中に組み込まれている、ClinicalTrials.gov Identifier NCT00570349;「嚢胞性線維症の患者における気道一酸化窒素は膵臓機能、シュードモナス感染、及び多価不飽和脂肪酸に関連している(Airway Nitric Oxide in Patients With Cystic Fibrosis Is Associated With Pancreatic Function, Pseudomonas Infection, and Polyunsaturated Fatty Acids)」(Chest 2007, 131:1857-1864)を参照されたい)。
CF患者は、一般的には小児である。小児は、13歳未満、10歳未満、又は5歳未満の患者を含み得る。
しかしながら、CF患者は、青年も含み得る。青年は、13〜18歳の患者を含み得る。
CF患者は、生まれたばかりの子であり得る。生まれたばかりの子は、1歳未満、6ヶ月未満、3ヶ月未満、2ヶ月未満、又は1ヶ月未満の患者とすることができる。最も好ましくは、生まれたばかりの子は、3ヶ月未満である。生まれたばかりの子は、全妊娠期間(例えば、40週の妊娠期間)を経て生まれた子でも良いし、該期間を経ずに生まれた子でも良い。例えば、生まれたばかりの子は、妊娠期間が、例えば、40週未満、特に36週未満の未熟児であっても良い。乳児は、1歳未満の患者とすることができる。
CFを治療するために患者に投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。更に、上記の装置はいずれも、CF患者の治療に利用することができる。
敗血症(敗血症における組織灌流の促進)
微小循環機能不全は、敗血症の病因の要素であり得、全体の血行動態とは無関係に組織灌流の障害を引き起こし得る。微小循環機能不全の最も高い指数は、敗血症の非生存者に見ることができる。NOは、微小循環パターンを保護することができる。外因性NOは、敗血症における微小循環流を保つことができ、従って、微小血管の緊張の調節により低流量の微小循環系(microcirculatory unit)が開き、微小血管内皮細胞の付着が低減される(それぞれ引用によりそれらの全容が本明細書中に組み込まれている、Clinicaltrials.gov identifier NCT00608322;「嚢胞性線維症の患者における気道一酸化窒素は膵臓機能、シュードモナス感染、及び多価不飽和脂肪酸に関連している(Airway Nitric Oxide in Patients With Cystic Fibrosis Is Associated With Pancreatic Function, Pseudomonas Infection, and Polyunsaturated Fatty Acids)」(Chest 2007, 131:1857-1864)を参照されたい)。
敗血症を治療するために患者に投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。更に、上記の装置はいずれも、敗血症の患者の治療に利用することができる。
脳マラリア
1年に約2億件の脳マラリアが発症し、毎年約100万人が、脳マラリアで死亡する。これらの死亡の約98%が、病院又は他の治療施設へのアクセスが制限され得る発展途上国で起きている。更に、脳マラリア生存小児の約25%に、長期の脳傷害及び脳不全が残る(Black, D.の論文、「マラリアは好敵手を得たか?(Has malaria met its match?)」、Toronto Star, October 10, 2011)。
重度のマラリアは、体内での一酸化窒素の産生を減少させ、有害な影響をもたらす。マラリアのマウスモデルへの一酸化窒素の投与により、生存率の上昇、及び一酸化窒素の神経障害に対する保護が示された。
したがって、NOが、脳マラリア患者の生存率を改善できることが示唆された。世界の辺境の極貧地域でのこのような患者の治療は、このような場所でも機能する装置、例えば、本明細書に記載される送達装置によってのみ可能となり得る。
脳マラリア患者は、小児であり得る。小児は、13歳未満、10歳未満の患者であり、脳マラリアの場合は、最も一般的には5歳未満の患者を含み得る。
しかしながら、脳マラリア患者は、青年又は成人も含み得る。青年は、13〜18歳の患者を含み得る。成人は、18歳以上とすることができる。
脳マラリアを治療するために患者に投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。更に、上記の装置はいずれも、脳マラリア患者の治療に利用することができる。
戦場肺傷害(battlefield lung injury)
一酸化窒素は、肺灌流及び換気-灌流一致(ventilation-perfusion matching)を改善する選択的肺血管拡張剤である。NOの生理学的効果により、傷害直後の空気を用いた超高純度NOの送達は、胸部損傷の負傷兵士を酸素療法よりも迅速に安定させることができ、撤兵(輸送)のリスクが低減され、これにより生存の確率が上昇する。以前の限られた研究(Papadimos, 2009)は、急性肺傷害/急性呼吸窮迫症候群(ALI/ARDS)の患者における外傷性脳傷害(TBI)の従来のiNO治療に対して良好な結果(PaO2、生存の上昇)を示し、iNOの有効性についての追加の集中的な人体実験が必要であることを示唆している。
従来のNO(Ikaria's INOmax(登録商標))は、新生児における呼吸器疾患の治療への使用がFDAによって既に認可されているが、NOを発生させて送達する技術は、軍事用途では2つの大きな問題がある:1)この方法は、複雑なモニタを備えた大型加圧ガスタンクを輸送する必要があり、この輸送は、戦場では実用的でも安全でもない;及び2)この方法は、必然的に有毒レベルのNO2を同時に送達する。
従来の方法では、吸入の前にN2中の加圧NOガス(800 ppm NO)が酸素又は空気と混合される。NO2の発生は、供給源のNO濃度の二乗に比例するため、この手法では、かなりのNO2が発生する。例えば、吸入NO用量が80 ppmの場合、従来の技術を使用すると、3 ppmのNO2が送達され得る。国立労働安全衛生研究所(NIOSH)の上限は、健康な労働者の場合は1 ppmで15分間であり、環境保護庁(EPA)が推奨する上限は、0.1 ppmである。呼吸器疾患/傷害(ALI/ARDSを含む)の治療に従来の医療用NOを用いたNOの有効性についての過去の研究が、NO2の毒性によって影響を受け(Lowson, 2005)、これにより結果が制限され得ることが示唆された。
ラット及びイヌを用いた、上記の送達装置を使用した14日間の毒性試験は、80 ppmを大幅に上回るNOの用量で成功裏に完了した。
上記の送達装置は、より単純で持ち運び可能であるため、該装置を使用して、患者を安定させ、患者が長い撤退時間に耐えることを可能にし、これにより患者の転帰を改善することができ、死亡率が低下する。該装置は、全ての高度での救助に必要なO2補給の量を排除するか、又は実質的に削減することができる。したがって、上記の装置は、戦地での兵士又は他の軍人の支援に役立ち得る。例えば、上記の1 lb(約0.45 kg)の送達装置は、落下傘救助隊員による使用では18 lb(約8.2 kg)の持ち運び可能なO2システムよりも実用的であり得、戦場での看護の質を向上させることができる。結果として、上記の装置はいずれも、戦場傷害の患者を治療に利用することができる。
戦場傷害を治療するために患者に投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。
生まれたばかりの子の持続性肺高血圧症
FDAは、臨床又は心エコーのエビデンスに関連した低酸素性呼吸器不全の生まれたばかりの子の治療での吸入NOの使用を認可している。1999年のPPHNの認可以来、米国だけで、294,000人の患者がIkaria社 INOmax(登録商標)を用いて治療された。臨床試験により、吸入NOが動脈酸素レベルを安全に改善し、模型人工肺(ECMO)の必要性が減少することが実証されている。しかしながら、現在の方法は、ガスボンベの使用によって制限されている。
生まれたばかりの子は、1歳未満、6ヶ月未満、3ヶ月未満、2ヶ月未満、又は1ヶ月未満の患者とすることができる。最も好ましくは、生まれたばかりの子は、3ヶ月未満である。生まれたばかりの子は、全妊娠期間(例えば、40週の妊娠期間)を経て生まれた子でも良いし、該期間を経ずに生まれた子でも良い。例えば、生まれたばかりの子は、妊娠期間が、例えば、40週未満、特に36週未満の未熟児であっても良い。乳児は、1歳未満の患者とすることができる。
肺高血圧症は、既に詳細に述べている。しかしながら、簡単に述べると、生まれたばかりの子の持続性肺高血圧症は、動脈管が開いたままで生まれたばかりの子の血流が肺を迂回し続ける場合に生じる状態とすることができる。結果として、たとえ乳児が呼吸していても、酸素が血流に達しない。生まれたばかりの子の持続性肺高血圧症は、一次的疾患又は二次的疾患(すなわち、別の状態又は障害に起因する)のいずれかであり得る。
本明細書に記載される装置の使用は、一定のppmに比べて、送達手順を単純にし、一定のミリグラムの用量を可能にすることができる。また、液体供給源は、1呼吸の間に、平均値の1%未満、2%未満、5%未満、又は10%未満変動し得る一定用量を達成することができる。これは、現在FDAが許可する平均値の0〜150%の変動と比較して改善されている。
生まれたばかりの子の持続性肺高血圧症を治療するために患者に投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。
高地病(HAI)及び急性高山病/高地肺水腫(HAPE)
典型的には高高度に見られる低酸素環境に曝露されると、人は高所病を発症することがある。高高度は、海抜8,000フィート(約2,438メートル)超、海抜10,000フィート(約3,048メートル)超、海抜12,000フィート(約3,658メートル)超、海抜14,000フィート(約4,267メートル)超、海抜16,000フィート(約4,877メートル)超、海抜18,000フィート(約5,486メートル)超、及びそれ以上とすることができる。
高所病は、比較的軽度のものから致命的なものまであり得る。比較的軽度の高所病は、急性高山病であり、症状、例えば、限定されるものではないが、頭痛、息切れ、疲労、悪心、嘔吐、又は不眠によって特徴付けられる。致命的なタイプの高所病は、高地肺水腫(high altitude primary edema)(HAPE)及び高地脳浮腫(HACE)を含む。HAPEは、症状、例えば、肺高血圧症、肺毛細血管透過性の上昇、及び低酸素血によって特徴付けられる。HACEは、行動の変化、嗜眠、錯乱、及び協調の失調によって特徴付けられる。
低酸素性肺血管収縮反応(HPV)によって生じる肺動脈圧(PAP)の上昇は、高地肺水腫(HAPE)発症の重要な必要条件であり得、従ってPAPの低下は、HAPEの予防及び治療において重要であり得る。高高度では、吸入NOは、HAPEに罹りにくい人の心臓収縮期のPAPに対する影響に比べて、HAPEに罹りやすい人の心臓収縮期のPAPをかなり大幅に低下させることができる。
典型的には、軽症の高所病は、安静、液体、鎮痛薬、又はデキサメタゾンで治療される。より重度の高所病は、酸素、高圧治療、又は低い高度への下降で治療することができる。酸素、及び高圧治療、並びに低い高度への下降は、高所病を緩和するが、これらの治療には欠点がある。例えば、酸素治療は、高い高度に運ぶのが困難な重いガスボンベを必要とする。高圧治療は、特殊な機器を必要とし、かつ大きな労働力を必要とするため、理想的ではない。最後に、低い高度への下降は、環境因子又は個人の体調不良により不可能な場合がある。したがって、依然として高所病の治療が必要とされている。
吸入NOは、重度の低酸素血症、中程度の肺高血圧症、及び明らかに症候性の肺水腫の患者における動脈酸素化及び肺動脈圧の低下を改善することができる(例えば、それぞれ引用によりそれらの全容が本明細書中に組み込まれている、「急性高山病及び高地肺水腫の治療(Treatment of Acute Mountain Sickness and High Altitude Pulmonary Edema)」(MJAFI 2004, 60:384-38);「高地病の予防における正規クエン酸シルデナフィルの無作為化比較試験(Randomized, Controlled Trial of Regular Sildenafil Citrate in the Prevention of Altitude Illness)」NCT00627965;「吸入NO及び高高度(Inhaled NO and high altitude)」(N. Engl. J. Med., 1996, 334:624-9);「高地肺水腫における吸入一酸化窒素及び酸素の効果(Effects of Inhaled Nitric Oxide and Oxygen in High-Altitude Pulmonary Edema)」(Circulation 1998, 98:2441-2445);「急性高山病及び高地肺水腫の治療(Treatment of Acute Mountain Sickness and High Altitude Pulmonary Oedema)」(MJAFI, 2004, 60:384-387);「急性高山病、高地脳浮腫、高地肺水腫:最新概念(Acute Mountain Sickness, High Altitude Cerebral Oedema, High Altitude Pulmonary edema: The Current Concepts)」(MJAFI, 2008, 64:149-153)を参照されたい)。
吸入NOと酸素とを一緒に使用すると、肺血行動態及びガス交換に相加効果をもたらし得る(引用によりその全容が本明細書中に組み込まれている、「高地肺水腫:なお論争の的であるか?(High-altitude pulmonary oedema: still a place for controversy?)」(Thorax, 1995, 50:923-929)を参照されたい)。加えて、NOは、対照群と比較すると、HAPEの症例の転帰を大幅に改善し得る。Id。NO及び酸素は、異なるイオンチャネルによって機能していることが分かっており、従って治療における相乗効果が高い。
問題は、HAI及びHAPEのNOを用いた治療が、NOと窒素の混合物を含む高圧のガスボンベ、加圧酸素ガスボンベ、加圧ガスボンベからの流れを調節するガス流量調整弁、混合用ハードウエア、並びにNO用、酸素用、及びNO2用の化学的モニタリング機器を含む大規模な設備を必要とし得ることである。このレベルの設備は、大型車両でのみ持ち運び可能であろう。したがって、避難ができない場合の予防及び治療に使用することができない。
上記の装置の使用により、HAI及びHAPEの患者の治療が可能になるだけではなく、まず予防手段として使用して発生を予防することができる。HAPE及びHAIを予防及び治療する能力における利点は、開示される持ち運び可能な装置の持ち運び性であり得る。これらの装置は、登山者、高高度の地域を訪れる旅行者、ヘリコプターのパイロット、又は高高度で働き戦う必要がある兵士を含む高高度にいる人々による該装置の使用を可能にすることができる。
1つの方法によると、治療量の一酸化窒素(NO)が、個人が高高度にいるときにその人の肺に送達される。該送達は、高所病の症状の発生の前、最中、又は後に行うことができる。NOが、数分〜1日以上に亘って連続的又は間欠的に吸入される。別の方法では、高所病を治療するために、空気、酸素富化空気、又は実質的に純粋な酸素もNOと共に送達することができる。
HAPE、又はHAI、又は他のタイプの高所病の治療は、例えば、引用によりその全容が本明細書中に組み込まれている米国特許第2010/0043788号に詳細に説明されている。
高所病、HAPE、又はHAIを治療するために患者に投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。
創傷治癒
一酸化窒素は、抗菌性、抗ウイルス性、及び抗真菌性を有する。例えば、それぞれ引用によりそれらの全容が本明細書中に組み込まれている、米国特許第7,520,866号、同第7,192,018号、及び同第6,793,644号を参照されたい。微生物は、NOに対して免疫がないため、NOは、全ての細菌、ウイルス、真菌、及び寄生虫に対して潜在的に有効である。
創傷は、体の傷害とすることができる。創傷は、膜、例えば、皮膚の裂傷又は破壊を含み得る。創傷は、下層組織の損傷も含み得る。
創傷は、体の多くの部位で起こり得る。1つの一般的な部位は足であろう。例えば、糖尿病性の痛みは、多くの部位で起こり得るが、糖尿病性の痛みが高頻度の1つの部位は足であろう。糖尿病性の痛みで一般的である感染症をNOを用いて治療する限られた臨床試験が行われ、好ましい結果が実証された。加えて、NO治療は、足の真菌感染症、例えば、水虫に対しても有効であり得る。
上記の装置のいずれも利用することができるが、特殊な帯具を該装置又は別のNO供給源に接続して創傷を治療することもできる。特に、帯具は、ブーツ(足用)、グローブ(手用)、又は創傷に接触し得る任意の他の専用密着カバーとすることができる。
一酸化窒素を吸入する適用例とは異なり、創傷に投与される用量は、比較的高く、例えば、少なくとも約50 ppm、少なくとも約75 ppm、少なくとも約100 ppm、少なくとも約125 ppm、少なくとも約150 ppm、少なくとも約175 ppm、又は少なくとも約200 ppmとすることができる。このような高用量を投与する要求は、NOが典型的には家庭用としては実用的でないガスシリンダ内に貯蔵されている医療施設での投与によるものであろう。家庭での使用は、特に、濃度が十分に有害であるほど高い可能性があるときに危険であろう。診療所での一酸化窒素の用量は、後日、低用量で数時間続けることができる。
液体供給源は、この実用性をダイナミックに変更することができる。NOの液体供給源は、帯具の一部を構成することができ、かつガスボンベの必要性を排除することができる。低レベルの一酸化窒素を透過させる比較的小型の供給源は、家庭での使用を可能にし、この治療は、幅広く使用され得る。
外層を有する単純な帯具を使用することができる。該外層は、ビニル又は他のプラスチックのライニングを有するのと同様に、空気の透過速度を遅くすることができる。液体供給源は、シールを有し得る。帯具が所定の位置に配置されて、NOのシールが破壊されると、NOが、創傷又は痛む部位に放出され得る。正確な用量が必ずしも重要ではないので、温度を正確にする必要がないため、患者自身の体温で液体NO2を気体NOに十分に変換することができる。創傷を治療するために患者に投与される有効量又は有効濃度は、上記の用量及び送達から選択することができる。一部の実施態様では、用量は、少なくとも約1 ppm、少なくとも約2 ppm、少なくとも約5 ppm、少なくとも約8 ppm、少なくとも約10 ppm、少なくとも約12 ppm、少なくとも約15 ppm、少なくとも約18 ppm、又は少なくとも20 ppmの一酸化窒素とすることができる。好ましくは、一酸化窒素の用量は、約1〜約50 ppmの範囲、約1〜約30 ppmの範囲、又は最も好ましくは約5〜約20 ppmの範囲とすることができる。該装置は、共に良く機能し得る透過管又は拡散セルのいずれかを備えることができる。
1つの方法は、例えば、治癒していない創傷又は感染症を治療することができる。該方法は、NO帯具を創傷部に配置する工程、及び帯具を所定の位置に一定期間、例えば、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも2日以上放置する工程を含み得る。該方法は、創傷部で増殖している、又は存在するあらゆる微生物の増殖を停止又は抑制する工程を含み得る。これは、創傷を治癒させることを可能にする。この方法は、診療所に来る必要性を排除することができ、かつ患者が行う治療を可能にすることができる。
方法は、小型ヒータでNOを加熱して初回高用量を投与する工程を更に含み得る。初回高用量は、上記のように、少なくとも約50 ppm、少なくとも約75 ppm、少なくとも約100 ppm、少なくとも約125 ppm、少なくとも約150 ppm、少なくとも約175 ppm、又は少なくとも約200 ppmとすることができる。
一部の状況では、該方法は、温度を体温まで下げて、長く持続する用量を投与する工程を更に含み得る。
最初の温度スパイクには、加熱装置、例えば、ヒータを必要とし得る。好ましい実施態様では、加熱源は、市販の化学ヒータ、例えば、冬場に球技の観戦中に足を暖めるヒータとすることができる。市販の化学ヒータは、水の入った袋、及び化学物質、例えば、ソーダ石灰の入った袋を含むことができ、これらは、混合されると溶解熱を発生する。別の好ましい実施態様では、ヒータは、バッテリ型のヒータとすることができる。
(実施例)
(実施例1)
以下の表は、アスコルビン酸/シリカゲル粉末リブ付き反応器を使用して、(質量流量制御装置を用いて)1 L/分の空気の気流を用いて作成した。NO2は、水槽で61℃に加熱されたリザーバから供給した。NOの測定値は、約79 ppmである。石英ガラス管は、内径が25マイクロンであり、「ガートカラム」(「GC」)としてRestek社から供給された。GCカラムの長さは、39.88インチ(約101.3 cm)から開始した。GCカラム(最後の2インチ(5.08 cm)を除く)及び液体容器を、水槽に沈めた。表3は、この実験から得た長さと濃度との間の関係を示している。
Figure 2014506872
この結果は、実験誤差の範囲内で出力が長さに反比例していることを示している。
(実施例2)
この実施例では、直径が25マイクロンの管の長さを、38 3/16インチ(約97.0 cm)のままとした。カートリッジは、アスコルビン酸/シリカゲル粉末が充填されたリブ付き管とすることができる。貯蔵容器及び管の温度は、約49℃〜60℃を僅かに超える温度まで変化した。図20は、この温度範囲に亘って出力の増加がほぼ線形であり、50℃の44 ppmから60℃の88 ppmに10倍に増加していることを示している。
(実施例3)
この実施例では、内径が50マイクロンの管を使用した。この管の出力は、10リットル/分で64 ppm、20リットル/分で28 ppmであり;空気の流量を2倍にすると、予想通り出力が半減した。図21を参照されたい。この直径では、予想出力は、25マイクロンの管と比べて、直径の4乗又は16の倍数で変化するはずである。実施例2から、50℃、1 L/分での出力は、44 ppmであり、70 ppmの予想出力に変換される。これを65 ppmの測定出力と比較すると、実験誤差の範囲内である。
(実施例4)
この実施例では、リブ付き可撓管を使用した。該リブ付き管には、40 gのアスコルビン酸/シリカゲル粉末を充填した。100 ppmのNO2を、5 L/分で酸素中に供給した。この実験は、図22に示されているように、約42時間の期間に亘って行った。図22は、NOが約40時間に亘って安定的に放出されたことを更に示している。
(実施例5)
1/Tに対するlog (NO)のプロットの傾斜は、直線のはずであり、このTは絶対温度である。一酸化窒素送達システムを用いて得られた典型的なプロットが図23に示されている。直線からのわずかな変化は、主に不十分な温度管理による実験誤差によるものであろう。流量は、1分当たり1リットルの空気とした。
(実施例6)
一酸化窒素送達システムは、有意な変化又は劣化が起こることなく、何日も続けて動作することができる。例えば、約36時間の期間に亘る1つの実験についての時間に対するNO、NO2、及びNO+NO2(ppm)の典型的なプロットが、図24に示されている。この実験では、NO2をNOに変換するカートリッジは存在しなかった。図24は、リザーバの出力を示し、経時的(分単位)なNOレベル(緑色の線)、NO2レベル(黄色の線)、及びNO+NO2反応(黒色の線)を示している。いかなる理論にも拘束されるものではないが、最初のスパイクは、ロケット燃料酸化剤としての従来の使用中の腐食割れを低減するために、時にN2O4に添加される約1%のNO不純物によるものであろう。NOは、高い蒸気圧を有するため、初期に酸化剤中の液体から脱気するであろう。
(実施例7)
図25は、NO2を変換するためにNO変換カートリッジがシステムに含められた場合の出力を示している。この実験では、データを780分間(13時間)収集した。データは、ある程度のドリフトを示しているが、このドリフトは、臨床的使用に必要な±20%の十分に範囲内であった。
(実施例8)
図26は、24時間の期間のNO及びNO2の出力を示している。ガス流がカートリッジを通過した後のNO2濃度は、本質的にゼロであった。
上記の様々な実施態様は、単なる例示として記載したものであり、請求する本発明を限定すると解釈するべきではない。当業者であれば、本明細書に例示され、記載された例としての実施態様及び適用例に従うことなく、かつ添付の特許請求の範囲で規定される、請求する本発明の真の概念及び範囲から逸脱することなく、請求する本発明に対する様々な改良及び変更が可能であることを容易に理解できよう。

Claims (39)

  1. 患者に心肺蘇生が行われた後に該患者を治療する方法であって:
    二酸化窒素を一酸化窒素に変換するように構成されたシステムに二酸化窒素を通過させる工程;及び
    有効濃度の該一酸化窒素を前記患者に送達する工程を含む、前記方法。
  2. 前記システムが、表面活性物質及び還元剤を含むカートリッジを備えている、請求項1記載の方法。
  3. 前記還元剤が、酸化防止剤を含む、請求項2記載の方法。
  4. 前記酸化防止剤が、アスコルビン酸、αトコフェロール、又はγトコフェロールである、請求項3記載の方法。
  5. 前記表面活性物質が、シリカゲルを含む、請求項2〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. 一酸化窒素が、患者に心肺蘇生が行われた後に、約15分〜約3時間の間、該患者に送達される、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
  7. 一酸化窒素が、患者に心肺蘇生が行われた後に、約45分〜約1.25時間の間、該患者に送達される、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
  8. 一酸化窒素が、15分〜48時間の期間に亘って前記患者に送達される、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
  9. 一酸化窒素が、12時間〜36時間の期間に亘って前記患者に送達される、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
  10. 前記一酸化窒素が、患者に連続的に送達される、請求項8又は9記載の方法。
  11. 前記一酸化窒素が、患者に間欠的に送達される、請求項8又は9記載の方法。
  12. 二酸化窒素を二酸化窒素供給源から放出する工程を更に含む、請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
  13. 前記二酸化窒素供給源が、前記カートリッジに接続されている、請求項12記載の方法。
  14. 前記二酸化窒素供給源が、二酸化窒素ガスボンベを含む、請求項12又は13記載の方法。
  15. 前記二酸化窒素供給源が、液体四酸化二窒素を含むリザーバを備えている、請求項12又は13記載の方法。
  16. 前記カートリッジが、複数のカートリッジを含む、請求項1〜15のいずれか1項記載の方法。
  17. 患者が中枢神経系に炎症をもたらす事象を経験した後に該患者を治療する方法であって:
    二酸化窒素を一酸化窒素に変換するように構成されたシステムに二酸化窒素を通過させる工程;及び
    有効濃度の該一酸化窒素を前記患者に送達する工程を含む、前記方法。
  18. 中枢神経系に炎症をもたらす事象が、脳卒中又は脊髄損傷を含む、請求項17記載の方法。
  19. 前記システムが、表面活性物質及び還元剤を含むカートリッジを備えている、請求項17記載の方法。
  20. 睡眠時無呼吸の患者を治療する方法であって:
    二酸化窒素を一酸化窒素に変換するように構成されたシステムに二酸化窒素を通過させる工程;及び
    有効濃度の該一酸化窒素を前記患者に送達する工程を含む、前記方法。
  21. 前記一酸化窒素を送達する工程が、前記患者に空気を強制的に供給する工程を含む、請求項20記載の方法。
  22. 肺動脈高血圧症の患者を治療する方法であって:
    二酸化窒素を一酸化窒素に変換するように構成されたシステムに二酸化窒素を通過させる工程;及び
    有効濃度の該一酸化窒素を前記患者に送達する工程を含む、前記方法。
  23. PDE5阻害剤を前記患者に送達する工程を更に含む、請求項22記載の方法。
  24. 肺障害の患者を治療する方法であって:
    二酸化窒素を一酸化窒素に変換するように構成されたシステムに二酸化窒素を通過させる工程;及び
    有効濃度の該一酸化窒素を前記患者に送達する工程を含む、前記方法。
  25. 前記肺障害が、肺高血圧症、慢性閉塞性肺疾患、突発性肺線維症、急性胸部症候群、感染性肺疾患、低酸素血症、呼吸器不全、呼吸窮迫症候群、肺塞栓、嚢胞性線維症、又はこれらの組み合わせである、請求項24記載の方法。
  26. 心疾患又は血液疾患の患者を治療する方法であって:
    二酸化窒素を一酸化窒素に変換するように構成されたシステムに二酸化窒素を通過させる工程;及び
    有効濃度の該一酸化窒素を前記患者に送達する工程を含む、前記方法。
  27. 前記血液疾患が、鎌状細胞である、請求項26記載の方法。
  28. 前記心疾患が、心不全又は心血管ショックを含む、請求項26記載の方法。
  29. 腎疾患の患者を治療する方法であって:
    二酸化窒素を一酸化窒素に変換するように構成されたシステムに二酸化窒素を通過させる工程;及び
    有効濃度の該一酸化窒素を前記患者に送達する工程を含む、前記方法。
  30. 前記腎疾患が、血管反応性のα-1-アドレナリン受容体を含む、請求項29記載の方法。
  31. タバコを止めようとしている患者を治療する方法であって:
    二酸化窒素を一酸化窒素に変換するように構成されたシステムに二酸化窒素を通過させる工程;及び
    有効濃度の該一酸化窒素を前記患者に送達する工程を含む、前記方法。
  32. 神経障害の患者を治療する方法であって:
    二酸化窒素を一酸化窒素に変換するように構成されたシステムに二酸化窒素を通過させる工程;及び
    有効濃度の該一酸化窒素を前記患者に送達する工程を含む、前記方法。
  33. 患者を治療する方法であって:
    二酸化窒素を一酸化窒素に変換するように構成されたシステムに二酸化窒素を通過させる工程;及び
    有効濃度の該一酸化窒素を前記患者に送達する工程を含む、前記方法。
  34. 前記患者が術後である、請求項33記載の方法。
  35. 前記術後の患者が、肺ストレス又は心ストレスを経験した患者である、請求項33記載の方法。
  36. 前記患者が、虚血性傷害又は再灌流傷害を経験した患者である、請求項33記載の方法。
  37. 前記患者が、臓器不全を経験した患者である、請求項33記載の方法。
  38. 前記患者が、高地病又は肺水腫に罹患している、請求項33記載の方法。
  39. 創傷を有する患者を治療する方法であって:
    二酸化窒素を一酸化窒素に変換するように構成されたシステムに二酸化窒素を通過させる工程;及び
    有効濃度の該一酸化窒素を創傷部に接触させる工程を含む、前記方法。
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