JP2014505259A - 慢性心不全における予後診断および診断の方法 - Google Patents

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Abstract

本開示は、患者に由来する試料中の心不全のバイオマーカーの存在および量を検出することにより、患者における慢性心不全を診断する方法を提供する。このようなバイオマーカーを用いて、心不全を伴う患者についてより正確な予後診断を下す、または心不全を有することが疑われる患者を正確に診断することができる。

Description

本出願は、その内容を参照により本明細書に組み込む、2011年2月3日に出願された米国特許仮出願第61/439,227号に対する優先権を主張する。
本発明は、患者における特定のバイオマーカーならびにそれらの量を検出することにより、慢性心不全患者について、予後診断またはリスクの層別化を決定する方法に関する。このようなバイオマーカーを用いて、心不全を伴う患者について予後診断を正確に下し、心不全患者におけるリスクを層別化し、また、診断も下すことができる。
心不全は主に心筋の障害であるが、血管機能の異常も、心不全の進行および心リモデリングに大きな影響を及ぼす。血管内皮細胞増殖因子(VEGF)ファミリーのタンパク質などの血管新生性増殖因子は、冠状動脈床および末梢血管床における血管ホメオスタシスの多数の側面を統御している。虚血性心疾患の状況において、血管新生性増殖因子の変化は、内皮細胞の機能不全および血行再建の障害に寄与する。さらに、非虚血性心疾患の状況においても、拡張型心筋症では、心肥大が、抗アポトーシス作用および肥大促進作用を及ぼす中、血管新生性因子は、心筋の毛細血管密度を制御し、末梢血管負荷に影響を及ぼす。
胎盤成長因子(PlGF)は、血管新生性タンパク質のVEGFファミリーのメンバーであり、胎盤組織、心臓組織、および肺組織において発現する。PlGFは、Fms様チロシンキナーゼ受容体1(Flt−1)を活性化させ、内皮細胞、単球および腎臓のメサンギウム細胞を含めた多数の細胞型において発現する。Flt−1受容体は、PlGF、VEGF−A、およびVEGF−Bに対するアフィニティーを有する。動物モデルにおいて、PlGF/Flt−1シグナル伝達は、多面発現効果を及ぼす。これらには、血管新生の促進など、潜在的に有益な効果が含まれるが、アテロームの発生に寄与しうる、潜在的に有害な炎症促進作用も含まれる。結果として、心血管障害におけるPlGF/Flt−1シグナル伝達の全体的な効果は、予測するのが困難であり、疾患状態および併発状態に応じて変化しうる。
ヒト疾患の状況におけるPlGF/Flt−1シグナル伝達をよりよく理解するのに、研究者らは、PlGFおよびFlt−1受容体の循環形態である可溶性Flt−1(sFlt−1)がいずれも容易に定量化しうるという観察を利用してきた。末梢における血漿中のPlGFとsFlt−1との間では生化学的相互作用が認められるが、PlGFおよびFlt−1いずれの因子のレベルも、心血管障害を伴う患者における全体的なPlGF/sFlt−1活性を簡便に評価する方法をもたらしうる。妊娠時において、循環PlGFおよび循環sFlt−1の変化は、内皮機能を反映し、子癇前症のリスクを予測する。胸痛および急性冠状動脈症候群を伴う患者のうち、PlGFレベルの上昇は、心筋梗塞を伴う患者において見られ、短期および長期にわたる有害転帰のリスクの増大と関連している。循環sFlt−1についての研究は、ある研究が、急性心筋梗塞(MI)時における、対照患者と比較した高レベルに言及し、他の研究は、MI急性期の患者における、対照と比較した血漿レベルの低下に言及するという、矛盾する結果を裏付けている。
PlGFおよびsFlt−1は、重要な疾患修飾因子でありうるが、いずれの因子も、慢性ヒト心不全において包括的には研究されていない。PlGFについて公表された最大の知見は、98例の患者についての断面研究であって、虚血性心不全においては、PlGFレベルと、New York Heart Association(NYHA)分類との間で正の関係を示すが、非虚血性疾患においては正の関係を示さない断面研究であった(T.Nakamuraら、「Elevation of plasma placental growth factor in the patients with ischemic cardiomyopathy」、Int J Cardiol.、131:186−91(2009))。慢性ヒト心不全においては、循環sFlt−1が研究されていない。
T.Nakamuraら、「Elevation of plasma placental growth factor in the patients with ischemic cardiomyopathy」、Int J Cardiol.、131:186−91(2009)
したがって、上記の観点では、PlGFおよびsFlt−1を研究し、それらの値を慢性心不全の臨床マーカーとして決定することが火急に必要である。有用であれば、慢性心不全と診断された患者は、医師による処置を速やかに受けることができ、これにより、この重篤な状態に由来する致死率を潜在的に低減することができる。さらに、患者が特定の転帰を経過する可能性が高いかどうかを決定するための予後診断または予測の目的で用いうるバイオマーカーも必要とされる。
一態様において、本開示は、心不全を有する、または心不全のリスクがある対象についての診断、予後診断またはリスクの分類を提示する方法であって、a)対象に由来する生物学的試料を供給するステップ;b)試料中の可溶性Flt−1(sFlt−1)の濃度を決定するステップ;およびc)決定されたsFlt−1濃度を、基準のsFlt−1値と比較するステップを含み、対象の決定されたsFlt−1濃度が、基準のsFlt−1値より大きければ、対象における心不全または心不全のリスクの増大が示される方法を提供する。方法は、少なくとも1つのさらなる心不全のバイオマーカーを評価するステップをさらに含みうる。方法において、診断を提示することは、心不全の診断を提示することでありうる。あるいは、予後診断を提示することは、心不全の重症度を決定することの場合もあり、心不全を伴う対象についてのリスク評価の場合もある。方法において、心不全は、慢性心不全、収縮期心不全、拡張型心筋症(DCM)、虚血性心筋症、急性心筋梗塞、左室機能不全、または右室機能不全でありうる。方法は、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、N末端プロBNP、プロBNP、クレアチニン、PAPP−A、心筋トロポニンI(TnI)、心筋トロポニンT(TnT)、ニューレグリン1、VEGF、PlGF、可溶性CD40リガンド(sCD40L)、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、増殖分化因子15(GDF−15)、可溶性ST−2タンパク質(また、IL1RL1としても知られる)、コペプチン(C末端プロバソプレッシン)、アドレノメジュリン、高感度C反応性タンパク質(hs−CRP)、尿酸、およびガレクチン3(gal−3)から選択される少なくとも1つのさらなる心不全のバイオマーカーの評価をさらに含みうる。さらなるバイオマーカーの評価は、例えば、対象に由来する生物学的試料中のバイオマーカーの濃度を測定するステップを含む場合もあり、対象の臨床評価を含む場合もある。さらなるバイオマーカーを、対象に由来する生物学的試料中のバイオマーカー濃度を測定することにより評価する場合、方法は、少なくとも1つのさらなるバイオマーカーの測定された濃度を、このバイオマーカーについての基準値と比較するステップをさらに含みうる。さらなるバイオマーカーの基準値は、対照試料のバイオマーカー濃度の場合もあり、バイオマーカーのカットオフ値の場合もあり、対照対象群に由来する複数の対照試料の中央値濃度の場合もある。さらなるバイオマーカーは、例えば、BNPの場合があり、BNPの基準値は、血漿中約177pg/mlの中央値でありうる。
別の態様において、本開示は、心リスクが増大している1例以上の患者または患者亜群を同定する方法であって、a)基準の心リスクと比較して心リスクが増大している、または心リスクが増大していることが疑われる、少なくとも1例の患者に由来する生物学的試料を供給するステップ;b)試料中の可溶性Flt−1(sFlt−1)の濃度を決定するステップ、およびc)決定されたsFlt−1濃度を、少なくとも1つの基準値と比較するステップを含み、決定されたsFlt−1濃度が基準値より大きければ、患者の心リスクの増大が示される方法を提供する。方法は、心リスクの増大の少なくとも1つのさらなるバイオマーカーを評価するステップをさらに含みうる。さらなるバイオマーカーの基準値は、対照試料のバイオマーカー濃度の場合もあり、バイオマーカーのカットオフ値の場合もあり、対照対象群に由来する複数の対照試料の中央値濃度の場合もある。さらなるバイオマーカーは、例えば、BNPの場合があり、BNPの基準値は、血漿中約177pg/mlの中央値でありうる。
別の態様において、本開示は、心不全を有する、または心不全を有することが疑われる対象における心血管疾患の診断、予後診断および/またはリスクの層別化のための方法であって、対象におけるsFlt−1濃度の増大の検出を含む方法を提供する。
別の態様において、本開示は、腎疾患を有する、または腎疾患のリスクがある対象の診断または予後診断を提示する方法であって、a)腎疾患を有する、または腎疾患のリスクがある少なくとも1例の患者に由来する生物学的試料を供給するステップ;b)試料中の可溶性Flt−1(sFlt−1)の濃度を決定するステップ、およびc)決定されたsFlt−1濃度を、少なくとも1つの基準値と比較するステップを含み、決定されたsFlt−1濃度が基準値より大きければ、患者における腎疾患が示される方法を提供する。方法は、対象における推算糸球体濾過量(eGFR)を決定するステップ、決定されたeGFRを基準のeGFR値と比較するステップをさらに含んでもよく、決定されたeGFR濃度が基準のeGFR値より大きければ、患者における腎疾患がさらに示される。方法において、基準値は、対照対象のeGFRの場合もあり、対照対象群から決定される中央値eGFRの場合もある。
方法のうちのいずれかにおいて、sFlt−1の基準値は、対照試料のsFlt−1濃度の場合もあり、sFlt−1のカットオフ値の場合もある。sFlt−1濃度は、例えば、sFlt−1の血漿中濃度でありうる。対照試料は、対照対象の生物学的試料の場合もあり、sFlt−1の標準物質の場合もある。対照試料のsFlt−1濃度は、例えば、対照対象群に由来する複数の対照試料の中央値sFlt−1濃度でありうる。あるいは、sFlt−1のカットオフ値は、患者群の生物学的試料に由来するROC曲線(receiver operating curve)解析により決定することもできる。あるいは、sFlt−1のカットオフ値は、患者群の生物学的試料の四分位解析により決定することもできる。例えば、sFlt−1のカットオフ値は、慢性心不全を伴う患者からなる患者群の中央値に対応する値であって、例えば、血漿中約308pg/mlでありうる値を選択することにより決定することもできる。あるいは、sFlt−1のカットオフ値は、慢性心不全を伴う患者からなる患者群の第75百分位数に対応する値であって、例えば、血漿中約380pg/mlでありうる値を選択することにより決定することもできる。
方法のうちのいずれかにおいて、対象はヒト対象である可能性があり、対象の生物学的試料および/または対照試料は、ヒト対象から採取することができる。方法のうちのいずれかにおいて、生物学的試料は、全血液、血漿、血清、尿もしくは任意の細胞培養物懸濁液またはこれらの画分のうちのいずれか1つを含めた体液でありうる。例示的な方法において、試料は、全血液、血漿または血清であり、好ましくは血漿である。凝固阻害剤を、任意の末梢血液試料に添加することができる。方法において、sFlt−1濃度を決定し、場合によって、少なくとも1つのさらなるバイオマーカーの濃度を決定するステップは、免疫学的アッセイ法であって、sFlt−1に特異的に結合することが可能な試薬を用い、場合によって、さらなるバイオマーカーに特異的に結合することが可能な試薬を用いるアッセイ法により実施することができる。
本開示はまた、本明細書において開示される方法のうちのいずれかを実施するためのキットであって、sFlt−1に特異的に結合して、対象の生物学的試料中のsFlt−1濃度を定量化することが可能な少なくとも1つの試薬、および基準のsFlt−1濃度を示す基準の標準物質を包含するキットも提供する。心不全を有する、または心不全のリスクがある対象の診断、予後診断またはリスクの分類を提示する方法を実施するためのキットにおいて、キットは、生物学的試料中の少なくとも1つのさらなる心不全のバイオマーカーに特異的に結合して、生物学的試料中のこの少なくとも1つのさらなるバイオマーカーの濃度を定量化することが可能な少なくとも1つのさらなる試薬、および生物学的試料中のこの少なくとも1つのさらなる心不全のバイオマーカーの基準濃度を示す基準の標準物質をさらに含みうる。腎疾患を有する、または腎疾患のリスクがある対象の診断または予後診断を提示する方法を実施するためのキットにおいて、キットは、生物学的試料中の少なくとも1つのさらなる腎疾患のバイオマーカーに特異的に結合して、生物学的試料中のこの少なくとも1つのさらなるバイオマーカーの濃度を定量化することが可能な少なくとも1つのさらなる試薬、および生物学的試料中のこの少なくとも1つのさらなる腎疾患のバイオマーカーの基準濃度を示す基準の標準物質をさらに含みうる。キットのうちのいずれかにおいて、sFlt−1に特異的に結合することが可能な少なくとも1つの試薬は、sFlt−1に特異的に結合することが可能な少なくとも1つの抗体を含みうる。
カプラン−マイヤープロットから決定されたsFlt−1のベースラインレベルに応じた、無移植生存および無心室補助デバイス(VAD)生存を例示する図である。 カプラン−マイヤープロットから決定されたPlGFのベースラインレベルに応じた、無移植生存および無心室補助デバイス(VAD)生存を例示する図である。 追跡の1年後におけるベースラインのsFlt−1およびBNPについてのROC曲線を例示する図である。
本開示は、sFlt−1と慢性心不全との間の強く非依存的な関連の予期しない発見に基づく。特に、本開示は、sFlt−1レベルと、NYHA分類と、心不全における有害転帰のリスクとの間の関連、およびsFlt−1レベルと既存の標準物質であるBNPとの組合せ使用が、いずれかのバイオマーカー単独の使用より、リスクを分類するのに優れているというさらなる発見も初めて開示する。本明細書で記載される通り、sFlt−1は、慢性心不全における疾患の重症度および臨床転帰と著明に関連しており、この関連は頑健であり、多数の交絡変数について補正した後でもなお通用する。したがって、sFlt−1の評価は、患者のリスクを層別化し、患者における予後診断を下す現在の能力について改善される可能性があり、これにより、慢性心不全を有する、または慢性心不全を発症するリスクがある患者に大きな利益を与える可能性がある。さらに、sFlt−1とBNPとの組合せ使用も、同等の利点をもたらしうる。本開示は、sFlt−1の循環レベルが、腎機能に応じて変化する可能性があり、eGFR値が正常範囲内である状況下において関与性を増大させるという、同様に予期しない知見もさらに包摂する。したがって、sFlt−1は、慢性心不全における有害転帰についての新規の臨床バイオマーカーとして同定され、虚血性疾患および非虚血性疾患のスペクトルを超えてそれ自体として有用である。
したがって、本開示は、sFlt−1を有害転帰についての新規の臨床バイオマーカーとして用いて、心不全を有する、または心不全のリスクがある対象または対象群についての診断、予後診断またはリスクの分類を提示する方法を提供する。本開示はまた、特に、eGFR値が正常範囲内にある場合において、sFlt−1を腎疾患についての新規の臨床バイオマーカーとして用いて、腎疾患を有する、または腎疾患のリスクがある対象の診断または予後診断を提示する方法も提供する。また、開示される方法を実施するためのキットも提供される。
本節および本明細書における開示全体において用いられる節の見出しは、限定的であることを意図しない。
A.定義
本明細書で用いられる単数形の「ある(a)」、「ある(an)」および「その」は、文脈により別段に明確に指示されない限り、複数の指示対象を包含する。本明細書で数の範囲を列挙する場合、その間の精度が同じである各中間数が明示的に想定される。例えば、範囲6−9では、6および9に加えて、数7および8も想定され、範囲6.0−7.0では、数6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9および7.0が明示的に想定される。
「または」の使用は、別段に言明されない限り、「および/または」を意味する。さらに、「を含めた(including)」という用語ならびに「を含む(includes)」および「含まれる(included)」など、他の形態の使用は、限定的ではない。
本明細書で用いられる「sFlt−1」という用語は、Flt−1受容体の循環形態であって、また、可溶性fms様チロシンキナーゼ−1、可溶性Flt−1およびsVEGFR−1とも称し、遊離循環VEGF(血管内皮細胞増殖因子)および遊離循環PlGF(胎盤成長因子)に特異的に結合するチロシンキナーゼタンパク質であるFlt−1受容体の循環形態を指す。
本明細書で用いられる「心不全」という語句は、心臓が血液を身体の残りの部分へと効率的に駆出できない状態を指す。心不全は、梗塞、心筋症(原発性または続発性)、高血圧症、冠状動脈疾患、心弁疾患、出生時欠損または感染に起因する、心臓への損傷または動脈の狭窄化に起因しうる。心不全は、慢性心不全、うっ血性心不全、急性心不全、非代償性心不全、収縮期心不全または拡張期心不全としてさらに記載することができる。New York Heart Association(NYHA)分類は、患者の機能的能力に基づき、疾患の重症度について記載するものであり、NYHA分類は、処置または処置の応答の欠如に基づき進行および/または軽快しうる。心不全において、心血管疾患の「重症度の増大」とは、NYHA分類度数の増大、例えば、分類III度または分類IV度への増大により示される疾患の増悪を指し、心血管疾患の「重症度の軽減」とは、NYHA分類度数の軽減、例えば、分類III度または分類IV度から分類II度または分類I度への軽減により示される疾患の改善を指す。
「心筋症」という用語は、心筋の脆弱化または心筋構造の変化を指す。心筋症は、心駆出の不十分または他の心機能の異常と関連していることが多い。心筋症は、ウイルス感染、心臓発作、アルコール依存症、長期にわたる重度の高血圧、栄養失調(特に、セレン、チアミン、およびL−カルニチン)、全身性エリテマトーデス、セリアック病、および末期腎疾患により引き起こされ得る。心筋症の種類には、拡張型心筋症、肥大型心筋症、および拘束型心筋症が含まれる。
本明細書で用いられる「拡張型心筋症」という用語は、地球規模で見られる、通常は特発性で、左室の顕著な拡張および左室機能の不十分を特徴とする心筋障害を指す。拡張型心筋症には、虚血性心筋症、特発性心筋症、高血圧性心筋症、感染性心筋症、アルコール依存性心筋症、毒性心筋症、および周産期心筋症が含まれる。
本明細書で用いられる「肥大型心筋症」という用語は、右側心筋と左側心筋とが異なるサイズへと成長することから結果として生じる状態を指す。
本明細書で用いられる「拘束型心筋症」という用語は、心筋が収縮と収縮との間で弛緩できないことを特徴とし、この能力の欠如のために、心臓が十分に血液で満たされない状態を指す。
「虚血性心疾患」という用語は、アテローム性動脈硬化により引き起こされることが最も多い、その血液供給の非存在または相対的欠損のために、心筋が損傷している、または心筋の働きが非効率的である任意の状態を指し、これには、狭心症、急性心筋梗塞、および慢性虚血性心疾患が含まれる。
「狭心症」とは、心筋の血管(冠状動脈)中の血流が不十分であることにより引き起こされる胸部の不快感を指す。
「心筋梗塞」(心臓発作)は、この領域への酸素の供給が不十分であるために、ある領域の心筋が死滅する、または損傷する場合に生じる。
本明細書で用いられる「臨床徴候」という語句は、心血管疾患の指標をもたらすアッセイ、検査法(造影法など)、評価基準(New York Heart Association(NYHA)分類など)、生物物理的尺度(LDL濃度、HDL濃度、トリグリセリド濃度、血圧、体格指数、胴囲、心拍数、空腹時インスリン濃度、空腹時ブドウ糖濃度、糖尿病状態など)および他のバイオメトリックスパラメータ(人種、性別、年齢、喫煙状態、心血管疾患の既往歴、心血管疾患の家族歴、降圧薬の使用などであるがこれらに限定されない)を指す。
本明細書で用いられる対象の「リスク評価」または「リスクの層別化」という用語は、対象に関する処置の決定が、より十分な情報に基づき下されるように、死亡を含め、将来において事象が発生するリスクを予測するための、バイオマーカーを含めた因子の評価を指す。
本明細書で用いられる対象の「心リスク」という用語は、任意の形態における心不全および心不全に起因する死亡の可能性の増大を含め、将来において心不全事象が発生するリスクを予測するための、バイオマーカーを含めた因子の評価を指す。
本明細書で用いられる「特異的結合」または「特異的に結合する」という用語は、抗体、タンパク質、またはペプチドの、第2の化学分子種との相互作用であって、化学分子種における特定の構造(例えば、抗原決定基またはエピトープ)の存在に依存する相互作用を指す(例えば、抗体は、タンパク質一般ではなく、特定のタンパク質構造を認識し、これに結合する。)。抗体がエピトープ「A」に特異的な場合、標識された「A」および抗体を含有する反応物中に、エピトープAを含有する分子(または遊離A、標識されていないA)が存在すると、標識されたAの抗体への結合量が低減される。
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子またはその免疫学的活性部分、すなわち、抗原結合部分を指す。免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分の例には、抗体をペプシンなどの酵素で処理することにより生成させうる、F(ab)断片およびF(ab’)2断片が含まれる。本開示において用いられ得る抗体の例には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、組換え抗体、単鎖Fv(「scFv」)、アフィニティー成熟抗体、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、F(ab)断片、F(ab’)断片、ジスルフィド結合型Fv(「sdFv」)、および抗イディオタイプ(「抗Id」)抗体および上記のうちのいずれかの機能的に活性なエピトープ結合断片が含まれるがこれらに限定されない。
本明細書で用いられる「対象」および「患者」という用語は、対象が現在、任意の形態の処置を受ける、または受けているかどうかに関わらず、互換的に用いられる。本明細書で用いられる、「対象」および「複数の対象」という用語は、哺乳動物(例えば、ウシ、ブタ、ラクダ、ラマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、およびマウス、非ヒト霊長動物(例えば、カニクイザル、チンパンジーなどのサル)およびヒト)が含まれるがこれらに限定されない任意の脊椎動物を指す。好ましくは、対象がヒトである。
本明細書で用いられる「試料」および「生物学的試料」という用語は一般に、sFlt−1など、対象の解析物について検査される生物学的物質および/またはsFlt−1など、対象の解析物を含有することが疑われる生物学的物質を指す。生物学的物質は、任意の生物学的供給源に由来しうるが、好ましくは、sFlt−1を含有する可能性が高い体液である。生物学的物質の例には、糞便、全血液、血清、血漿、赤血球、血小板、間質液、唾液、水晶体液、脳脊髄液、汗、尿、腹水、粘液、鼻腔内液、痰、滑液、腹腔内液、膣内液、経血、羊水、精液、糞尿などが含まれるがこれらに限定されない。試料は、生物学的供給源から得られた通りに直接的に用いる場合もあり、試料の特徴を改変するための前処理後に用いる場合もある。例えば、このような前処理には、血液からの血漿の調製、粘性流体の希釈、ヘパリンまたはEDTAなど、抗凝固因子の添加などが含まれる。前処理法はまた、濾過、沈殿、希釈、蒸留、混合、濃縮、干渉成分の不活化、試薬の添加、溶解なども伴ってもよい。試料に関してこのような前処理法を使用する場合、このような前処理法は、sFlt−1およびBNPなどの他の任意のバイオマーカーが、処理されない被験試料(例えば、すなわち、任意のこのような(1つ以上の)前処理法にかけられていない試料)中の濃度に比例する濃度で試料中に維持されるように行われる。
本明細書において別段に規定しない限り、本開示との関連において用いられる科学技術用語は、当業者により一般に理解される意味を有するものとする。例えば、本明細書において記載される細胞培養および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質化学および核酸化学およびハイブリダイゼーションとの関連において用いられる任意の用語法および技法は、よく知られており、当技術分野において一般に用いられる用語法および技法である。用語の意味および範囲は、明確であるものとするが、万一潜在的な曖昧さが認められる場合は、本明細書において提示される定義が、任意の辞書による定義または外在的な定義に優先される。さらに、文脈により別段に要請されない限り、単数形の用語は、複数形を包含するものとし、複数形の用語は、単数形の用語を包含するものとする。
B.方法
方法は、対象の予後診断を提示するステップであって、心不全に関して、心不全の重症度を決定すること、その後の全死因死亡率、移植、または左室補助デバイスの植込みについて対象のリスクを決定すること、および心不全を伴う対象についてのリスク評価のうちのいずれか1つ以上を包含するステップを包摂する。方法は、心不全を伴う対象に由来する生物学的試料におけるsFlt−1濃度が、対象の有害転帰を予測し、したがって、sFlt−1が、心不全の予後診断マーカーであることの新規の知見に部分的に基づく。例えば、対象のsFlt−1濃度を用いて、例えば、所与の年数以内の死亡率の予測など、その後の全死因死亡率、死亡、または心移植のリスクに関して予後診断を提示することができる。
方法は、対象に由来する生物学的試料であって、針刺し、注射針生検、スワブなどを含めた任意の既知の手段により得ることが可能な生物学的試料を供給するステップまたはこれを得るステップを伴う。例示的な方法において、生物学的試料は、血液試料であり、好ましくは血漿試料であり、これは、例えば、静脈穿刺により得ることができる。生物学的試料は、適切な組織保管条件下で保管または貯蔵することができ、保管または貯蔵されてきた。
方法は、対象におけるsFlt−1濃度を決定することにより、心不全を有する、または心不全を有することが疑われる対象における心血管疾患の診断、予後診断および/またはリスクの層別化のための方法を包摂する。診断を提示することは、例えば、心不全の診断を提示することでありうる。予後診断を提示することは、例えば、心不全の重症度を決定することの場合もあり、リスク評価、すなわち、対象の心リスクの決定の場合もある。方法はまた、心リスクが増大している1例以上の患者または患者亜群を同定するステップも包摂する。方法はまた、腎不全の診断を提示するステップも包摂する。本明細書において記載される通り、全ての方法の共通の特色は、生物学的試料中のsFlt−1濃度の決定であって、試料中のsFlt−1濃度の、sFlt−1濃度の基準値と比べた増大により、心不全、心不全のリスクの増大、腎不全、または腎不全のリスクの増大が示される決定である。
sFlt−1濃度は、基準値、すなわち、本明細書において記載されるsFlt−1の基準値と比較して、増大していると考えられる。例えば、基準値として有用なsFlt−1の血漿中濃度は約308pg/mlであるが、より高濃度となる可能性もあり、血漿中で約380pg/mlとなる場合もある。sFlt−1濃度は、著明に高濃度である場合、例えば、少なくとも20%高濃度(1.2倍)である場合、より好ましくは少なくとも30%高濃度(1.3倍)である場合、なおより好ましくは少なくとも40%高濃度(1.4倍)である場合、またはなおさらにより好ましくは100%高濃度(2.0倍)である場合、基準値と比較して増大していると考えることができる。
試料中のsFlt−1または他の任意のバイオマーカーの濃度を決定するには、特異的な、標的化されたバイオマーカーの濃度を決定する任意のバイオアッセイを用いることができる。例えば、1つ以上の特異的結合剤を用いて、試料中のバイオマーカーの存在または非存在を解析および決定することができる。生物学的試料を、バイオマーカーに結合する1つ以上の薬剤と接触させて、試料中のバイオマーカーの濃度または発現レベルを決定する。薬剤のうちの1つ以上はまた、検出用標識にも作動可能に連結することができる。イムノアッセイ法は、この点で適切であり、多種多様なフォーマットのうちのいずれかで行うことができる。免疫学的アッセイ法は一般に、sFlt−1に特異的に結合することが可能な試薬を伴い、場合によって、さらなる心不全のバイオマーカーとの特異的結合が可能な試薬も伴う。適切な免疫学的方法には、免疫沈降、粒子によるイムノアッセイ、免疫比濁法、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素免疫測定アッセイ(ELISA)、サンドウィッチELISAアッセイ、直接的ELISAアッセイ、間接的ELISAアッセイ、または競合的ELISAアッセイ、ELISPOT(enzyme−linked immunospot)アッセイを含めた酵素イムノアッセイ(EIA)、蛍光イムノアッセイ(FIA)、化学発光イムノアッセイ、フローサイトメトリーアッセイ、免疫組織化学、ウェスタンブロット、および例えば、抗体、抗体断片、受容体、リガンド、またはsFlt−1などの標的解析物に結合する他の薬剤を用いるプロテインチップアッセイが含まれるがこれらに限定されない。イムノアッセイについての一般的総説は、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる「Methods in Cell Biology」、37巻:「Antibodies in Cell Biology」、Asai編、Academic Press,Inc.、New York(1993)、および「Basic and Clinical Immunology」、7版、Stites & Terr編(1991)により入手可能である。例えば、sFlt−1および他の任意のバイオマーカーは、ARCHITECT(商標)イムノアッセイ(Abbott Laboratories、Abbott Park、IL)を用いて、血漿試料など、任意の生物学的試料から測定することができる。
しかし、一般に、本方法では、試料中のバイオマーカーを検出または定量化しうる他の任意の方法も用いることができる。これらの方法には、免疫学的方法に加えて、物理学的方法および分子生物学法が含まれる。例えば、適切な物理学的方法には、質量分析法、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)アッセイ、クロマトグラフィーアッセイ、および色素検出アッセイが含まれる。用いられ得る適切な分子生物学法には、ノーザンブロットハイブリダイゼーションまたはサザンブロットハイブリダイゼーション、核酸ドットブロットまたはスロットブロットハイブリダイゼーション、in situハイブリダイゼーション、核酸チップアッセイ、PCR、逆転写酵素PCR(RT−PCR)、またはリアルタイムPCR(taq−man PCR)が含まれるがこれらに限定されない。バイオマーカーを検出する他の方法には、例えば、核磁気共鳴(NMR)、蛍光光度法、比色分析、放射分析、発光光度法、または他の分光光度法、プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)、および1次元または2次元のゲル電気泳動が含まれる。
測定後、評価されるsFlt−1濃度および他の任意のさらなるバイオマーカーの濃度を、特定のバイオマーカーについてあらかじめ決定された基準値と比較する。測定された、すなわち、決定されたsFlt−1濃度が、基準のsFlt−1値を超えれば、対象における心不全または心不全のリスクの増大が示される。基準値は、複数のやり方のうちの1つにより決定することができる。例えば、sFlt−1の基準値は、対照対象から採取される試料中で測定されたsFlt−1濃度の場合もあり、対照対象群から採取される複数の対照試料中で測定された濃度から計算された中央値sFlt−1濃度の場合もある。中央値sFlt−1濃度は、好ましくは少なくとも20例、より好ましくは少なくとも30例、なおより好ましくは少なくとも40例の対照対象群から得られる。
「対照対象」とは、健康な対象、すなわち、重大な心疾患または心不全の臨床徴候または臨床症状を有さない対象である。対照対象は、臨床的評価以外の形では検出されていない、重大な心疾患または心不全の徴候または症状について臨床的に評価されることが好ましく、この評価には、心エコー法および他の日常的な検査室検査が含まれ得る。
あるいは、sFlt−1のカットオフ値は、患者群の生物学的試料に由来するROC曲線解析により決定することもできる。生物学的技術分野において一般によく知られているROC解析とは、ある検査が、1つの状態を別の状態から識別する能力、例えば、疾患例を正常例から識別する能力、または2つ以上の検査室検査または診断検査の診断能を比較する能力の決定である。本開示に従い適用されるROC解析についての記載は、その開示を、参照によりその全体において本明細書に組み込む、P.J.Heagertyら、「Time−dependent ROC curves for censored survival data and a diagnostic marker」、Biometrics、56:337−44(2000)において提供されている。あるいは、sFlt−1のカットオフ値は、患者群の生物学的試料の四分位解析により決定することもできる。例えば、sFlt−1のカットオフ値は、第25−75百分位数の範囲にある任意の値に対応する値を選択することにより、好ましくは、第25百分位数、第50百分位数または第75百分位数に対応する値を選択することにより、より好ましくは第75百分位数を選択することにより決定することができる。関与性の患者群の中央値から得られる例示的なsFlt−1の基準値は、血漿中約308pg/mlである。第75百分位数における四分位解析から得られる例示的なsFlt−1の基準値は、血漿中約380pg/mlである。
本方法は、例えば、生物学的試料中の少なくとも1つのさらなるバイオマーカーの濃度を測定し、測定された濃度を、評価されるさらなるバイオマーカーの各々についての基準値と比較することにより、少なくとも1つのさらなる心不全のバイオマーカーを評価するステップをさらに包含しうる。1、2、3、4つ以上のさらなるバイオマーカーを評価することができる。さらなるこのような心不全のバイオマーカーには、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、N末端プロBNP、プロBNP、クレアチニン、PAPP−A、心筋トロポニンI(TnI)、心筋トロポニンT(TnT)、ニューレグリン1、VEGF、PlGF、可溶性CD40リガンド(sCD40L)、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、増殖分化因子15(GDF−15;I.Anandら、Circulation.、122(14):1387−95(2010)を参照されたい)、可溶性ST−2タンパク質(また、IL1RL1としても知られる;B.Kyら、Circulation Heart Failure、2011年1月、印字版に先行する電子版公開(doi:10.1161/CIRCHEARTFAILURE.110.958223)を参照されたい)、コペプチン(C末端プロバソプレッシン、C末端プロAVP;S.Massonら、Eur J Heart Fail、12、338−347(2010)を参照されたい)、アドレノメジュリン(ADM;S.von Haelingら、Eur J Heart Fail、12、484−491(2010)を参照されたい)、高感度C反応性タンパク質(hs−CRP)、尿酸、およびガレクチン3(gal−3;D.Lokら、Clin Res Cardiol、99:323−328(2010)を参照されたい)が含まれるがこれらに限定されない。他の任意の心不全のバイオマーカーについての基準値も、sFlt−1についての基準値を決定することに関して本明細書において記載されるのと同様に決定することができる。典型的にはまた、生物学的試料中の任意のさらなるバイオマーカーについて測定された濃度、すなわち、決定された濃度が、そのバイオマーカーの基準値を超えても、対象における心不全または心不全のリスクの増大が示される。にもかかわらず、逆のことが成り立つバイオマーカーの例、すなわち、決定されたバイオマーカー濃度がバイオマーカーについての基準値を下回れば、対象における心不全または心不全のリスクの増大が示されるような、生物学的試料中の濃度と、心不全の症例または心不全のリスクの増大との関係が逆であるバイオマーカーも可能である。
例えば、血中のBNPまたはN末端プロBNPレベルの上昇が、心不全診断のバイオマーカーとして用いられており、BNPおよびN末端プロBNPの両方が、急性うっ血性心不全(CHF)のバイオマーカーとして承認されている。また、B型ナトリウム利尿ペプチドまたはGC−Bとしても知られるBNPは、心室において発現し、心筋細胞の過剰な伸長に応答して分泌される、32アミノ酸のポリペプチドである。N末端プロBNPとは、BNPと共に共分泌される、76アミノ酸のN末端断片である。BNPおよびN末端プロBNPの血漿中濃度は、無症候性左室機能不全および症候性左室機能不全を伴う患者において増大する。したがって、sFlt−1およびBNP両方の濃度を決定することができ、各々を、本明細書において記載される、あらかじめ決定された対応する基準値と比較することができる。BNPに適する基準値は、例えば、血漿中約177pg/mlの中央値である。同様に、sFlt−1およびN末端プロBNP両方の濃度を決定することができ、各々を、本明細書において記載される、あらかじめ決定された対応する基準値と比較することができる。ニューレグリン1は、心不全患者の予後診断またはリスクの層別化のためのバイオマーカーとして既に記載されている(B.Kyら、「Neuregulin− 1 beta is associated with disease severity and adverse outcomes in chronic heart failure」、Circulation、120:310−317(2009))。例えば、sFlt−1およびニューレグリン1の濃度は、BNPまたはN末端プロBNPなど、1つ以上のさらなるバイオマーカーと共に決定することもでき、これらを伴わずに決定することもでき、各々を、本明細書において記載される、あらかじめ決定された対応する基準値と比較することができる。
腎疾患を有する、または腎疾患のリスクがある対象の診断または予後診断を提示する方法に関して、方法は、対象における推算糸球体濾過量(eGFR)を決定するステップ、決定されたeGFRを基準のeGFR値と比較するステップをさらに包含しうる。eGFRは、よく知られた手順に従って、血液試料から容易に決定することができる。決定されたeGFR濃度が基準のeGFR値より大きければ、患者における腎疾患がさらに示される。基準のeGFR値は、本明細書において記載される対照のeGFR値の場合もあり、対照対象群を含む複数の対象において測定されたeGFRから計算された中央値eGFRの場合もある。中央値eGFRは、好ましくは少なくとも10例の対照対象群から得られ、好ましくは少なくとも20例の対照対象群、より好ましくは少なくとも30例、なおより好ましくは少なくとも40例の対照対象群から得られる。方法は、少なくとも1つのさらなる腎不全のバイオマーカーを、例えば、生物学的試料中のこの少なくとも1つのさらなるバイオマーカーの濃度を測定し、測定された濃度を、この評価されるさらなるバイオマーカーの各々についての基準値と比較することにより評価するステップをさらに包含しうる。腎不全のさらなるバイオマーカーには、血清クレアチニン、シスタチンC、NGAL、尿中インターロイキン18、アルカリホスファターゼの腸内形態、N−アセチル−ベータ−グルコサミニダーゼおよびアラニン−アミノペプチダーゼ、ならびに腎損傷分子1(KIM−1)などの尿細管酵素が含まれるがこれらに限定されない。
C.キット
本開示はまた、sFlt−1の存在および量、ならびに場合によって、1つ以上のさらなる心不全のバイオマーカー、または1つ以上のさらなる腎不全のバイオマーカーの存在および量について試料をアッセイするためのキットも提供する。このようなキットは、1つ以上のイムノアッセイを実施して、sFlt−1および任意の1つ以上のさらなるバイオマーカーを検出および定量化するのに有用な1つ以上の試薬を包含する。キットは一般に、1つ以上の個別の組成物として、または、場合によって、試薬の適合性が許容する場合は、混合物として試薬を保持する1つ以上の容器を伴うパッケージを包含する。検査用キットはまた、(1つ以上の)緩衝剤、(1つ以上の)希釈剤、(1つ以上の)標準物質、および/または試料の加工、洗浄、もしくはアッセイの他の任意のステップの実施において有用な他の任意の物質など、使用者の見地から所望でありうる(1つ以上の)他の物質も包含しうる。
検査用キットは、例えば、sFlt−1に特異的な抗体を包含する可能性があり、場合によって、各々が用いられる任意のさらなるバイオマーカーに特異的な1つ以上の抗体を包含する可能性がある。抗体試薬は、バイオマーカーを検出するイムノアッセイにおける陽性対照として用いることができる。所望の場合、キットに複数濃度の各抗体を組み入れて、被験試料中で検出されるシグナルを比較しうる検量線の作成を容易とすることもできる。あるいは、検量線は、キット中で供給される単一の抗体溶液の希釈液を調製することにより作成することもできる。
本開示に従う検査用キットはまた、サンドウィッチ型イムノアッセイフォーマットにおいて捕捉抗体および/または検出抗体として機能する抗体を結合させた固相も包含しうる。固相は、磁気粒子、ビーズ、試験管、マイクロ滴定プレート、キュベット、膜、足場形成分子、石英結晶、フィルム、濾紙、ディスク、またはチップなどの材料でありうる。キットはまた、検出抗体として機能する抗体など、抗体へとコンジュゲートしうる、またはコンジュゲートした検出用標識も包含しうる。検出用標識は、例えば、酵素、オリゴヌクレオチド、ナノ粒子による化学発光団、フルオロフォア、蛍光消光剤、化学発光消光剤、またはビオチンの可能性がある直接的標識でありうる。検査用キットは場合によって、標識を検出するのに必要とされる任意のさらなる試薬も包含してもよい。
本開示に従う検査用キットは、1つ以上のイムノアッセイを行って、sFlt−1濃度および用いられる任意のさらなる心不全のバイオマーカーの濃度を含め、試料中のバイオマーカー濃度を検出し、定量化するための指示書を包含することが好ましい。キット中に包含される指示書は、梱包材料に貼付することもでき、パッケージの添付文書として組み入れることもできる。指示書は、典型的に、書かれたものまたは印刷物であるが、このようなものに限定されない。本開示では、このような指示書を保存し、これらを末端使用者へと伝達することが可能な任意の媒体が想定されている。このような媒体には、電子的保存媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学媒体(例えば、CD ROM)などが含まれるがこれらに限定されない。本明細書で用いられる「指示書」という用語は、指示書を提示するインターネットサイトのアドレスを包含しうる。
当業者には、本明細書において記載される本開示の方法の他の適切な改変および適応が明白であり、本開示の範囲または本明細書において開示される実施形態から逸脱しない適切な同等物を用いて行いうることが容易に明らかとなる。今や本開示について詳細に記載したので、例示だけを目的として包含されるものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない、以下の実施例を参照することにより、本開示はより明確に理解される。本明細書において言及される全ての雑誌の参考文献、米国特許および米国特許公開の開示は、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる。
バイオマーカーの測定
背景:Penn Heart Failure Study(PHFS)は、University of Pennsylvania(Philadelphia、PA)、Case Western University(Cleveland、OH)、およびUniversity of Wisconsin(Madison、WI)(20、21)における委託施設から募集された、主に慢性収縮期心不全を伴う外来患者についての多施設プロスペクティブコホート研究である。主要組入れ基準は、心不全の臨床診断であった。主治医により6カ月未満に予測される死亡を結果としてもたらすと判断される心臓以外の状態を有する、または説明同意文書の提示が不可能である、もしくは説明同意文書を提示する意思がない場合、参加者は除外された。研究への登録時、患者および主治医に対して実施された、標準化された問診を、治療記録により検証しながら用いて、詳細な臨床データを得た。登録時に静脈血試料を得、加工し、アッセイ時まで−80℃で保管した。全死因死亡率および心移植を含めた追跡事象は、6カ月ごとに患者との直接的な接触を介してあらかじめ確認し、死亡証明書、治療記録、および専門研究員による患者の家族構成員との接触を介して検証した。全ての参加者は、書面による説明同意文書を提示し、PHFSプロトコールは、参加施設の治験審査委員会により承認された。
バイオマーカーアッセイ:全てのバイオマーカーは、研究登録時において得られた、保存された血漿試料に由来する同じアリコートから測定した。PlGF(胎盤成長因子)およびsFlt−1(可溶性Fms様チロシンキナーゼ受容体1)は、試作品のARCHITECT(商標)イムノアッセイ(Abbott Laboratories、Abbott Park、IL)を用いて測定した。sFlt−1イムノアッセイでは、遊離sFlt−1および結合したsFlt−1の両方を測定する。アッセイの範囲は、15から50,000pg/mlであった。アッセイ内およびアッセイ間の変動係数(CV)は、それぞれ、1.3%から5.2%および1.9%から5.9%の範囲であった。PlGFイムノアッセイでは、PlGF−2アイソフォームとの交差反応性がほぼ20%の、遊離であり結合していないPlGF−1を測定する。アッセイ範囲は、1から1,500pg/mLであった。アッセイ内およびアッセイ間のCVは、それぞれ、1.4%から6.7%および1.8%から6.7%の範囲であった。
BNP(B型ナトリウム利尿ペプチド)は、既に記載されている通り(22)、ARCHITECT(商標)BNP化学発光微粒子イムノアッセイ(Abbott Laboratories、Abbott Park、IL)を用いて測定した。アッセイ範囲は、10から5,000pg/mlであった。アッセイ内およびアッセイ間のCVは、それぞれ、0.9%から5.6%および1.7%から6.7%の範囲であった。
統計学的方法:ベースラインの特徴は、コホート全体について標準的な記述統計を用いてまとめた。各マーカーについての多変数線形回帰モデルを用いて、ベースラインのsFlt−1およびPlGFについての非依存的決定因子を確認した。補正変数の組入れは、臨床判断および赤池情報量基準(AIC)に基づく段階式モデルによる選択手順に従う統計学的有意性に基づき規定した。
Cox回帰モデルを用いて、sFlt−1およびPlGFと、全死因死亡または心移植による組合せ転帰までの期間との未補正の関連を決定した。バイオマーカーには、連続変数としてのモデル化および四分位数を用いるモデル化の両方を施した。補正モデルには、上記で決定された交絡についての臨床判断および統計学的証拠に基づく共変数が含まれる。加えて、心不全の重症度は、New York Heart Association(NYHA)機能分類を介して、ベースラインのハザード関数を層別化することにより補正した。連続形態のバイオマーカー変数との相互作用項を用いて、心筋症の病因(すなわち、虚血性心筋症対非虚血性心筋症)および推算糸球体濾過量(eGFR;中央値で二分される)により定義される、群間におけるsFlt−1およびPlGFの関連の差違を評価した。
sFlt−1とBNPとの複合効果は、コホートを各マーカーの中央値レベルに基づく群へと分けることにより評価した。加えて、時間依存的なROC(receiver operating characteristic)曲線も用いて、マーカーが1年後における死亡または心移植に関して患者を分類する能力を比較した(23)。ROC曲線下面積(AUC)についての信頼区間は、1,000例のブートストラップ法による試料から得、ワルド検定を用いてAUCを比較した。全ての統計学的解析は、MASSパッケージ、survivalパッケージ、およびsurvivalROCパッケージを含めた、R 2.11.0を用いて完結させた(24−27)。
ベースラインの特徴:バイオマーカーデータは、1,535例の対象において入手可能であった。sFlt−1またはPlGFが第99百分位数より大きい24例の対象は、これらの患者におけるレベルが、心不全と関連しない他の疾患状態(例えば、妊娠、感染、炎症、またはがん)の影響を最もよく反映することを踏まえ、解析から除外した。ベースラインの特徴および転帰についての全データは、1,412例(92%)の対象について入手可能であった。
全データを伴う1,412例の患者についての臨床特徴を表1に示す。患者の大半は、男性(67%)およびコーカサス人(74%)であり、コホート間の平均年齢は56歳であった。心不全の虚血性の原因を伴う患者は426例(30%)であり、糖尿病の既往歴を伴う患者は398例(28%)であり、高血圧症の既往歴を伴う患者は821例(58%)であった。
Figure 2014505259
ベースラインのsFlt−1レベルおよびPlGFレベルと関連する臨床因子:コホート間で、sFlt−1およびPlGFの分布はほぼ正規分布であるが、それらの分布が真に正規分布である場合に予測されるよりやや厚めの正のテールを伴う。多変数モデルを用いて、各バイオマーカーのベースラインレベルに非依存的に影響を及ぼす臨床因子を決定した。sFlt−1レベルの範囲は、115から2012pg/mlであり、平均±標準偏差は350±190pg/mlであった。表2に示される通り、アフリカ系アメリカ人であること、NYHA分類が高値であること、血漿中BNPが高値であることは各々、高レベルのsFlt−1と関連した。加齢、アスピリンの使用、推算糸球体濾過量(eGFR)が高値であること、および脈圧が高いことは各々、低レベルのsFlt−1と関連した。PlGFでは、レベルの範囲は、0.7から42.3pg/mlであり、平均は19.5±6.2pg/mlであった。
Figure 2014505259
以下の表3に示される通り、加齢、男性であること、高血圧症、糖尿病、末梢血管疾患の既往歴、脈圧が高いこと、心臓再同期法の使用、およびBNPが高値であることは各々、PlGFレベルが高いことと関連した。アフリカ系アメリカ人であること、アンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害剤の使用またはアンジオテンシン受容体遮断剤(ARB)の使用およびeGFRが高値であることは各々、低レベルのPlGFと関連した。
Figure 2014505259
表2および3を比較すると、sFlt−1レベルは、PlGFより少数の因子の影響を受けると考えられる。しかし、sFlt−1が、心不全の重症度の2つの尺度(NYHA分類およびBNP)と非依存的に関連しているのに対し、PlGFは、BNPと弱く関連しているに過ぎないので、sFlt−1は、PlGFより特異的に心不全尺度と相関した。
sFlt−1およびPlGFと有害な臨床転帰との関連:追跡期間の中央値である2年間にわたり、175例の死亡および103例の移植が生じ、27器のLVADが植え込まれた。図1は、sFlt−1のベースラインレベル(A)およびPlGFのベースラインレベル(B)に応じた無移植生存を例示する。特に、カプラン−マイヤープロットを用いて、sFlt−1のベースラインレベル(A)およびPlGFのベースラインレベル(B)に応じた、Penn Heart Failure Studyの参加者における全死因死亡、心移植または心室補助デバイス(VAD)装着の発生率を例示した(各パネルについてログランク検定によりP<0.01)。
第4四分位数を第1四分位数と対比して比較する未補正モデルにおいて、循環sFlt−1レベルが>379pg/mlである患者は、有害転帰のリスクが6.17倍に増大した(p<0.01)(以下の表4および図1Aを参照されたい)。
Figure 2014505259
人口学的特徴、心不全の特徴、およびBNPを含めた臨床尺度についての補正後、この関連は、大きさでは減衰したが、統計学的有意性を維持した(第4四分位数を第1四分位数と比較すると、HR:1.67、95%CI:1.06−2.63、p=0.03)。シアトル心不全モデルなど、確立された臨床リスクスコアについての補正後、この関連が減衰する程度は低下した(HR:2.54、95%CI:1.76−2.27、p<0.01)。sFlt−1を、多様な百分位数の切断点を伴う連続変数としてモデル化しても、同様の結果が得られた。これに対し、PlGFの最高の四分位数(>22.7pg/ml)にある患者のリスクの増大は、1.89倍に過ぎず、補正モデルでは有意性を維持しなかった(表4および図1Bを参照されたい)。断面解析における通り、これらの知見が、心不全の重症度の非依存的なバイオマーカーとしてのsFlt−1についての役割を支持するのに対し、PlGFは、転帰との非依存的な関連を有さなかった。血管増殖因子と転帰との関連は、心不全および腎機能不全の基礎病因を含め、これらのマーカーの生物学的特性に影響を及ぼす疾患状態に基づき異なりうる(11、19)。
これらの可能性を探索するため、バイオマーカーレベル(連続的にモデル化された)と、心不全病因(虚血性または非虚血性)との間の相互作用項、およびバイオマーカーレベルと、腎機能(中央値eGFRを上回る、または中央値eGFRを下回る)との間の相互作用項を包含する二次解析を実施した。虚血性心疾患におけるPlGFおよびsFlt−1の大きな関与性を示唆する既に公表された報告に対し、心不全の病因による、いずれかのマーカーと転帰との間の関連に対する有意な相互作用は認められなかった(相互作用:sFlt−1についてはp=0.18;PlGFについてはp=0.41)。PlGFと転帰との関連に関してはまた、腎機能による相互作用も観察されなかった。しかし、eGFRと、sFlt−1および有害転帰の関連との間には、有意な相互作用が認められた(p<0.01)。eGFRが67.8ml/分/1.73m2の中央値未満の患者では、sFlt−1と転帰との関連は減衰した(HR:1.00、95%CI:0.90−1.12、p=0.95)。これに対し、eGFRが中央値より大きい患者では、sFlt−1を標準偏差1つずつ増大させたときの、補正された有害転帰のリスクが1.30であった(95%CI:1.14−1.47、p<0.01)ことから、sFlt−1の評価が、正常な腎機能状況においてより有用でありうることが示される。
sFlt−1およびBNPの組合せ使用:sFlt−1と臨床的に用いられるバイオマーカーであるBNPとの複合評価の有用性を、有害転帰の予測において探索した。sFlt−1レベルとBNPレベルとの間には中程度の相関が認められ(R=0.54、p<0.01)、それらの組合せ使用は、リスク評価(以下の表5および図1を参照されたい)において重要であった。
Figure 2014505259
いずれのマーカーのレベルも中央値未満である患者による参照対象群と比較して、sFlt−1およびBNPのいずれも上昇させた患者は、いずれかのマーカー単独を上昇させた患者よりリスクの推定値を顕著に上昇させ、この関連は、多変数補正モデルにおいても有意性を維持した(HR:2.87、95%CI:1.96−4.21、p<0.01)。さらに、BNPレベルが高い患者群では、高sFlt−1レベルの組合せが、sFlt−1レベルの低い患者と比較して、リスクの1.5から2倍の増大(未補正モデルではp<0.01、補正モデルではp=0.04)と関連した。図2は、1年後におけるベースラインのsFlt−1およびBNPについてのROC曲線を例示する。特に、ROC曲線は、ベースラインのsFlt−1およびBNPが、追跡の1年後に死亡した患者、心臓移植を要請した患者、またはVADの装着を要請した患者を適正に分類する能力を比較する(sFlt−1およびBNPをBNP単独またはsFlt−1単独と対比して比較するAUCについてp<0.05)。図2に示される通り、1年後のROC解析では、組み合わせたsFlt−1およびBNP(AUC=0.79)は、死亡した患者、心臓移植を要請した患者、またはVADの装着を要請した患者を同定するのに、sFlt−1単独(AUC=0.72、p<0.05)またはBNP単独(AUC=0.77、p<0.05)より大きな精度を示した。これらの知見は、sFlt−1およびBNPの両方を用いてリスクの高い心不全患者と、リスクの低い心不全患者とを識別する能力の、BNP単独を評価する現在の標準法と比較した改善を裏付ける。
Figure 2014505259
Figure 2014505259
Figure 2014505259

Claims (43)

  1. 心不全を有する、または心不全のリスクがある対象についての診断、予後診断またはリスクの分類を提示する方法であって、
    a)対象に由来する生物学的試料を供給するステップ;
    b)試料中の可溶性Flt−1(sFlt−1)の濃度を決定するステップ;および
    c)決定されたsFlt−1濃度を、基準のsFlt−1値と比較するステップ
    を含み、対象の決定されたsFlt−1濃度が、基準のsFlt−1値より大きければ、対象における心不全または心不全のリスクの増大が示される方法。
  2. 少なくとも1つのさらなる心不全のバイオマーカーを評価するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. sFlt−1の基準値が、対照試料のsFlt−1濃度またはsFlt−1のカットオフ値である、請求項1または2に記載の方法。
  4. sFlt−1濃度が、sFlt−1の血漿濃度である、請求項1または2に記載の方法。
  5. 対照試料が、対照対象の生物学的試料およびsFlt−1の標準物質から選択される、請求項3に記載の方法。
  6. 対照試料のsFlt−1濃度が、対照対象群に由来する複数の対照試料の中央値sFlt−1濃度である、請求項3に記載の方法。
  7. sFlt−1のカットオフ値が、患者群の生物学的試料に由来するROC曲線解析により決定される、請求項3に記載の方法。
  8. sFlt−1のカットオフ値が、患者群の生物学的試料の四分位解析により決定される、請求項3に記載の方法。
  9. sFlt−1のカットオフ値が、血漿中約308pg/mlである、請求項3に記載の方法。
  10. 診断を提示することが、心不全の診断を提示することである、請求項1に記載の方法。
  11. 予後診断を提示することが、心不全の重症度の決定および心不全を伴う対象のリスク評価から選択される、請求項1に記載の方法。
  12. 心不全が、慢性心不全、収縮期心不全、拡張型心筋症(DCM)、虚血性心筋症、急性心筋梗塞、左室機能不全、および右室機能不全からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  13. B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、N末端プロBNP、プロBNP、クレアチニン、PAPP−A、心筋トロポニンI(TnI)、心筋トロポニンT(TnT)、ニューレグリン1、VEGF、PlGF、可溶性CD40リガンド(sCD40L)、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、増殖分化因子15(GDF−15)、可溶性ST−2タンパク質、コペプチン、アドレノメジュリン、高感度C反応性タンパク質(hs−CRP)、尿酸、およびガレクチン3(gal−3)からなる群から選択される、少なくとも1つのさらなる心不全のバイオマーカーの評価をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  14. 少なくとも1つのさらなる心不全のバイオマーカーの評価が、対象の生物学的試料中の前記少なくとも1つのさらなるバイオマーカーの濃度を測定することを含む、請求項13に記載の方法。
  15. 少なくとも1つのさらなるバイオマーカーの測定された濃度を基準値と比較するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
  16. さらなるバイオマーカーがBNPであり、BNPの基準値が血漿中約177pg/mlのカットオフ値である、請求項15に記載の方法。
  17. 基準値が対照試料のバイオマーカー濃度またはバイオマーカーのカットオフ値である、請求項15に記載の方法。
  18. 対象の生物学的試料および/または対照試料がヒトから採取される、請求項1に記載の方法。
  19. 試料が、体液、全血液、血漿、血清、尿および細胞培養物懸濁液またはこれらの画分から選択される、請求項18に記載の方法。
  20. 試料が、血漿または血清である、請求項18に記載の方法。
  21. 凝固阻害剤が末梢血液に添加される、請求項20に記載の方法。
  22. sFlt−1および少なくとも1つのさらなるバイオマーカーの濃度を決定するステップが、免疫学的方法ならびにsFlt−1および前記バイオマーカーに結合する分子を用いることにより行われる、請求項1に記載の方法。
  23. 心リスクが増大している患者または患者亜群を同定する方法であって、
    a)基準の心リスクと比較して心リスクが増大している、または心リスクが増大していることが疑われる、少なくとも1例の患者に由来する生物学的試料を供給するステップ;
    b)試料中の可溶性Flt−1(sFlt−1)の濃度を決定するステップ、および
    c)決定されたsFlt−1濃度を、少なくとも1つの基準値と比較するステップ
    を含み、決定されたsFlt−1濃度が基準値より大きければ、患者の心リスクの増大が示される方法。
  24. 心リスクの増大の少なくとも1つのさらなるバイオマーカーを評価するステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
  25. 基準値が、対照試料のsFlt−1濃度またはsFlt−1のカットオフ値である、請求項23に記載の方法。
  26. sFlt−1濃度が、sFlt−1の血漿中濃度である、請求項25に記載の方法。
  27. 対照試料が、対照対象の生物学的試料およびsFlt−1の標準物質から選択される、請求項25に記載の方法。
  28. 対照試料のsFlt−1濃度が、対照対象群による対照試料の中央値sFlt−1濃度である、請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
  29. sFlt−1のカットオフ値が、患者群の生物学的試料に由来するROC曲線解析により決定される、請求項25に記載の方法。
  30. sFlt−1のカットオフ値が、患者群の生物学的試料の四分位解析により決定される、請求項25に記載の方法。
  31. sFlt−1のカットオフ値が、血漿中約308pg/mlである、請求項30に記載の方法。
  32. 心不全を有する、または心不全を有することが疑われる対象における心血管疾患の診断、予後診断および/またはリスクの層別化のための方法であって、対象におけるsFlt−1濃度の増大の検出を含む方法。
  33. 腎疾患を有する、または腎疾患のリスクがある対象の診断または予後診断を提示する方法であって、
    a)腎疾患を有する、または腎疾患のリスクがある少なくとも1例の患者に由来する生物学的試料を供給するステップ;
    b)試料中の可溶性Flt−1(sFlt−1)の濃度を決定するステップ、および
    c)決定されたsFlt−1濃度を、少なくとも1つの基準値と比較するステップ
    を含み、決定されたsFlt−1濃度が基準値より大きければ、患者における腎疾患が示される方法。
  34. 対象における推算糸球体濾過量(eGFR)を決定するステップ、決定されたeGFRを基準のeGFR値と比較するステップをさらに含み、決定されたeGFR濃度が基準のeGFR値より大きければ、患者における腎疾患がさらに示される、請求項33に記載の方法。
  35. 基準値が、対照試料のsFlt−1濃度またはsFlt−1のカットオフ値である、請求項33または34に記載の方法。
  36. sFlt−1濃度が、sFlt−1の血漿中濃度である、請求項33または34に記載の方法。
  37. 対照試料が、対照対象の生物学的試料およびsFlt−1の標準物質から選択される、請求項33または34に記載の方法。
  38. 対照試料のsFlt−1濃度が、対照対象群による対照試料の中央値sFlt−1濃度である、請求項33または34に記載の方法。
  39. 基準のeGFR値が、対照対象群の中央値eGFRである、請求項33または34に記載の方法。
  40. 請求項1、23または33のいずれか一項に記載の方法を実施するためのキットであって、
    a)sFlt−1に特異的に結合して、対象の生物学的試料中のsFlt−1濃度を定量化することが可能な少なくとも1つの試薬、および
    b)基準のsFlt−1濃度を示す基準の標準物質を含むキット。
  41. 心不全を有する、または心不全のリスクがある1例以上の対象の診断、予後診断またはリスクの分類を提示する方法を実施するために、生物学的試料中の少なくとも1つのさらなる心不全のバイオマーカーに特異的に結合して、生物学的試料中の前記少なくとも1つのさらなるバイオマーカーの濃度を定量化することが可能な少なくとも1つのさらなる試薬、および生物学的試料中の前記少なくとも1つのさらなる心不全のバイオマーカーの基準濃度を示す基準の標準物質をさらに含む、請求項40に記載のキット。
  42. 腎疾患を有する、または腎疾患のリスクがある対象の診断または予後診断を提示する方法を実施するために、生物学的試料中の少なくとも1つのさらなる腎疾患のバイオマーカーに特異的に結合して、生物学的試料中の前記少なくとも1つのさらなるバイオマーカーの濃度を定量化することが可能な少なくとも1つのさらなる試薬、および生物学的試料中の前記少なくとも1つのさらなる腎疾患のバイオマーカーの基準濃度を示す基準の標準物質をさらに含む、請求項40に記載のキット。
  43. 少なくとも1つの試薬が、sFlt−1に特異的に結合することが可能な少なくとも1つの抗体を含む、請求項40に記載のキット。
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