JP2019531467A - 有害事象を示すマーカーとしてのヒストンおよび/またはproADM - Google Patents

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Abstract

本発明は、対象の有害事象、特に、死亡の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化に関する。本発明は、当該対象の試料において少なくとも1つのヒストン、特に、H2B、H4、H2Aおよび/もしくはH3のレベルを決定することであって、当該少なくとも1つのヒストンのレベルが、当該対象の当該有害事象を示す、決定すること;ならびに/または当該対象の試料における、プロアドレノメデュリン(proADM)のレベルを決定することであって、当該proADMのレベルが、当該対象の有害事象を示す、決定することを含む、方法に関する。本発明はさらに、本発明の方法を実施するためのキットに関する。【選択図】なし

Description

本発明は、対象の有害事象、特に、死亡の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化に関する。本発明は、対象の試料において、少なくとも1つのヒストン、特に、ヒストンH2B、H4、H2Aおよび/もしくはH3のレベルを決定することであって、少なくとも1つのヒストンのレベルが、当該対象の有害事象を示す、決定すること、ならびに/または対象の試料における、プロアドレノメデュリン(proADM)のレベルを決定することであって、proADMのレベルが、当該対象の有害事象を示す、決定すること、を含む方法に関する。本発明はさらに、本発明の方法を実施するためのキットに関する。
病院内の集中治療室(ICU)は、通常、最も重病の患者および最高の死亡率を有する部署である(Kaneko−Wada Fde,Dominguez−Cherit et al.2015)。これは、主に、ICUでの長期滞在、近代的かつコストのかかるテクノロジー、および集中治療の全体的な複雑性に起因して、任意のヘルスケアシステムの非常に費用のかかる部署である(Halpern and Pastores 2010)。集中治療の医術の大変な尽力にも関わらず、ICUでの死亡率は、解析された患者集団および彼らの重症状態に依存して6.4%から最大40%の範囲である(Mayr,Dunser et al.2006)。ICUでの有害な結果および死亡の主な原因は、多臓器不全症候群(MODS)のような臓器の障害および敗血症と関連する(Vincent 2008;Ferreira and Sakr 2011)。敗血症患者のサブグループについて、欧州における死亡率は依然として高く、27%〜54%の範囲である(Vincent 2008)。
有害または致命的な事象/結果を有するハイリスク患者を同定するために(i)、ICU入院後の早期の決断において臨床医を助けるために(ii)、臨床上の処置および援助を最適化するために(iii)、ならびに最終的にICUでの死亡を低下させるために(iv)、短期および長期結果のような決定パラメーターについての知識は非常に価値があるものである(Mayr,Dunser et al.2006)。これまで、重症度スコアは、主に、重症患者のリスクおよび重症度の評価、ならびに結果予測のため使用されている。予測ICUスコアリングシステムは、それぞれ、17、14もしくは6つの生理学または臓器特異的パラメーターに基づく、急性生理学及び慢性健康評価(acute physiology and chronic health evaluation:APACHE)スコア、簡易急性生理学スコア(simplified acute physiology score:SAPS)および連続臓器不全評価(sequential organ failure assesment:SOFA)スコアである(Bouch and Thompson 2008)。患者の結果を予測するこれらの能力にも関わらず、かかるスコアはまた、様々な欠点を有する。例えば、それぞれ単一のパラメーターのスコアが、評価され、調べられなければならない。それ故、スコア結果の決定は、時間がかかり(≧1日)、迅速な検査が高く評価されるICUケアにおいて、特に短所である。さらに、かかるスコアは、評価する臨床医毎の主観性に依存し、頻繁に再検査される必要があり、個々に決定されるべきいくつかのパラメーターを頼りにする。
したがって、対象、特に、重病対象において、有害事象の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化の単純、迅速かつ客観的な基準が必要である。
それ故、本発明の背景にある技術的な課題は、対象の有害事象、特に、致命的事象、例えば、死亡/死を予測する迅速かつ信頼できる方法をもたらすための手段および方法の提供である。
技術的な課題は、本明細書において以下で提供され、添付の請求の範囲において特徴付けられる実施形態の提供により解決される。
本発明は、対象の有害事象の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化方法であって、当該対象の試料における少なくとも1つのヒストンまたはそのフラグメントのレベルを決定することを含み、少なくとも1つのヒストンまたはその当該フラグメントの当該レベルが、当該対象の当該有害事象を示す、方法に関する。
さらに、本発明は、対象の有害事象の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化方法であって、当該対象の試料における、プロアドレノメデュリン(proADM)のレベルを決定することを含み、proADMまたはその当該フラグメントの当該レベルが、当該対象の当該有害事象を示す、方法に関する。
さらに、本発明は、対象の有害事象の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化方法であって、当該対象の試料における少なくとも1つのヒストンのレベル、ならびにproADMおよび/またはそのフラグメントのレベルを決定することを含み、少なくとも1つのヒストンの当該レベル、ならびにproADMおよび/またはその当該フラグメントの当該レベルが、当該対象の当該有害事象を示す、方法に関する。
本発明は、上で同定された技術的な課題を解決する。本明細書において以下で、および付記された実施例において記録される通り、臨床研究において、少なくとも1つのヒストン、特に、ヒストンH2B、H4、H2AおよびH3のレベル、ならびに/またはproADM、特に、MR−proADMのレベルが、対象の有害事象、例えば、死亡と強い統計的関連を示すことが予想外に見出された;実例となる実施例1を参照。したがって、当該少なくとも1つのヒストンタンパク質および/または当該proADM、例えば、MR−proADMが、有害事象の予測のマーカーとして使用することができることが、本明細書において記録される。特に、実施例は、かかるバーカーが、生存者または非生存者、すなわち、対象の死亡の予測のため利用され得ることを記録する。
付記された実施例において、少なくとも1つのヒストン、特に、H2B、H4、H2AおよびH3のレベルが、対象の有害事象、例えば、死亡と強く関連することも、驚くべきことに示されている。特に、付記された実施例は、ヒストンのレベルが、約28日以内、約7日以内または約3日以内に生じる有害事象、例えば、死亡と統計的に関連することを示す。付記された実施例は、マーカーのレベルの増大が、有害事象、例えば、死亡が対象において生じることを示すことを明らかにした;付記された実施例1、例えば、表1〜6を参照。さらに、ヒストンのレベルは、例えば、7日または3日以内に生じる短期有害事象と特に相関することを示した。さらに、呼吸器系疾患に罹患している対象の試料における少なくとも1つのヒストンのレベルが、7日以内に生じる有害事象、例えば、死亡と相関することが見出された;例えば、表4を参照。加えて、尿路感染症に罹患している対象の試料における少なくとも1つのヒストンのレベルが、28日以内に生じる有害事象、例えば、死亡と相関することが見出された;例えば、表5を参照。さらに、悪性腫瘍に罹患している対象の試料における少なくとも1つのヒストンのレベルが、28日以内に生じる有害事象、例えば、死亡と相関することが見出された;例えば、表6を参照。
加えて、驚くべきことに、付記された実施例において、proADMのレベル、例えば、フラグメントMR−proADMのレベルが、対象の有害事象、例えば、死亡と強く相関することも示されている。特に、付記された実施例は、proADMのレベルが、約28日以内、約7日以内または約3日以内に生じる有害事象、例えば、死亡と統計的に関連することを示す;例えば、表2および3を参照。特に、付記された実施例は、proADMのレベルが、28日以内に生じる、または7日以内に生じる有害事象、例えば、死亡を示すことを記録する;例えば、表2および3を参照。
加えて、付記された実施例において、マーカーのレベルの組み合わせが決定されるなら、予測がさらに改善されることが記録されている。特に、proADMのレベルに加え、少なくとも1つのヒストンのレベルの決定が、有害事象、例えば、死亡の予後をさらに改善した;表1〜3を参照。付記された実施例において、少なくとも1つのヒストンもしくはproADMのレベルに加え、さらなるマーカーおよび/またはパラメーターのレベルの決定が、有害事象、例えば、死亡の予測をさらに改善することが記録されている;実例となる表1〜3を参照。例えば、付記された実施例において、臨床スコアを決定することがまた、proADMまたはヒストンのレベルに基づく予測を改善することが、記録されている。また、アルドラーゼBのようなバイオマーカーのレベルの決定が、proADMまたはヒストンのレベルに基づく予測を改善する。したがって、本発明はまた、さらなるマーカーおよび/またはパラメーターのレベルを決定すること、すなわち、マーカーパネルの使用を含む方法に関する。
本発明は、とりわけ、従来の方法より以下の利点を有する:有害事象の予測のための、本発明の方法およびキットは、迅速であり、客観的であり、使用し易く、正確である。ヒストンおよびproADMのレベルは、日常的に得られる血液試料または対象から得られるさらなる生体体液において決定することができるので、本発明の方法およびキットは、病院において日常的に容易に測定可能であるマーカーに関する。加えて、ヒストンまたはproADMのレベルの決定は、非常に迅速である。それ故、本発明の方法およびキットは、有害事象、例えば、死亡の迅速評価、ならびに診断および予後に適している。したがって、迅速決定はまた、有害事象の発生のリスクを回避するか、または低減する迅速な処置決定に適している。さらに、1つの特定の値としてのバイオマーカー測定の単純な結果に起因し、本発明のこの方法またはキットを使用するとき、医療スタッフの主観的な偏りは存在しない。したがって、再現性は、例えば、SOFAスコアにおいて利用される、生理学的パラメーターについての主観的なスコアリングと比較して高い。ヒストンまたはproADMのレベルはまた、予測をさらに改善し、重症患者の全体状態を評価するため分析を特定の感度および特異性に合わせるために、さらなるマーカーおよび/またはパラメーター、例えば、SOFAスコアのような臨床スコアと組み合わせることができる。
したがって、本明細書において提供される方法およびキットは、対象の生じている有害事象、例えば、死亡/死の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化において有利である。
本明細書において上でおよび付記された実施例において記録される通り、ヒストンのレベルおよびproADMのレベルは、驚くべきことに、対象における、死亡のような有害事象と相関することが見出された。したがって、本発明は、対象の有害事象、特に、死亡の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化の方法およびキットに関する。
さらに、本発明は、対象のモニタリング、治療指針および/または治療制御の方法ならびにキットであって、少なくとも1つのヒストンおよび/またはproADMのレベルが、有害事象、特に、死亡を示す、方法およびキットに関する。本明細書において上および以下で提供される定義をまた、かかる態様に適用する。
特に、本発明は、対象の有害事象、特に、死亡の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化の方法であって、
(i)当該対象の試料における少なくとも1つのヒストンのレベルを決定することであって、少なくとも1つのヒストンの当該レベルが、当該有害事象、特に、死亡を示す、決定すること;および/または
(ii)当該対象の試料におけるプロアドレノメデュリン(proADM)のレベルを決定することであって、proADMの当該レベルが、当該対象の当該有害事象、特に、死亡を示す、決定すること、
を含む方法に関する。
本明細書において使用される、用語「少なくとも1つのヒストンのレベルを決定すること」などは、対象の試料におけるヒストンもしくはそのフラグメントのレベルを決定すること、または対象の試料における1つより多くのヒストンもしくはそのフラグメントのレベルを決定することを指す。特に、「少なくとも1つのヒストンのレベルを決定すること」は、対象の試料におけるヒストンのレベルを決定することを指してもよく、好ましくは、ヒストンは、ヒストンH2B、H4、H2AおよびH3からなる群から選択される。特に、ヒストンH2Bのレベルが決定される。さらに、「少なくとも1つのヒストンのレベルを決定すること」は、対象の試料におけるヒストンのレベルを決定することを指してもよく、特に、ヒストンH4のレベルが決定される。さらに、「少なくとも1つのヒストンのレベルを決定すること」は、対象の試料における2つのヒストンのレベルを決定することを指してもよく、好ましくは、ヒストンH2BおよびH4のレベルが決定される。さらに、「少なくとも1つのヒストンのレベルを決定すること」は、対象の試料における3つのヒストンのレベルを決定することを指してもよく、好ましくは、ヒストンH2B、H4、およびH2Aのレベルが決定される。さらに、「少なくとも1つのヒストンのレベルを決定すること」は、対象の試料における4つのヒストンのレベルを決定することを指してもよく、好ましくは、ヒストンH2B、H4、H2AおよびH3のレベルが決定される。
したがって、本発明との関係において、「少なくとも1つのヒストンのレベルを決定すること」は、ヒストンH2Bのレベル、ヒストンH4のレベル、ヒストンH2Aのレベルおよび/またはヒストンH3のレベルを決定することを指してもよい。
特に、用語「少なくとも1つのヒストンのレベルを決定すること」などは、対象の試料におけるヒストンのレベルを決定することを指してもよい。したがって、本発明はまた、対象の有害事象の診断、予後、リスク評価、リスク層別化、および/またはモニタリング方法であって、当該対象の試料におけるヒストンまたはそのフラグメントのレベルを決定することを含み、ヒストンまたはその当該フラグメントの当該レベルが、当該有害事象、特に、死亡を示す、方法に関する。
本明細書において使用される、「ヒストン」もしくは「ヒストンタンパク質」、または「複数のヒストン」もしくは「複数のヒストンタンパク質」は、H1、H2A、H2B、H3またはH4のような、カノニカルヒストン、ならびにH3.3、H2A.Zなどのような、ヒストンバリアント、またはそのフラグメントを指す。ヒストンは8量体粒子を形成し、その周囲に、DNAが、クロマチン構造を構築するよう巻き付く(Luger,Nature.1997 Sep 18;389(6648):251−60)。例えば、ヒストンタンパク質H2A、H2B、H3、およびH4(それぞれのうち2つ)が8量体を形成し、そしてそれに、165塩基対のDNAが巻き付いて、クロマチンの基本サブユニットであるヌクレオソームを形成する。ヒストンはまた、複数の病態生理学的プロセスにおいて核の外側でも検出される(国際公開第2009/061918号)。炎症プロセスに関与する異なる病因に罹患している患者の血液における、細胞外ヒストンの存在が、記載されている。活性化された免疫細胞からのヒストン放出は、細胞外トラップにより仲介され得る。感染症を制御し、除去する最終的な機序としての、活性化された好中球は、細胞外線維、いわゆる好中球細胞外トラップ(NET)を放出し得る(Brinkmann V.,et al.Science 2004;303(5663):p.1532−5)。ヒストンが患者の血流に放出され得る他の機序は、細胞のアポトーシス、壊死、ピロトーシスまたはネクロトーシスを含む。
特に、少なくとも1つのヒストンは、H2B、H4、H2AおよびH3からなる群から選択される。したがって、本発明の方法およびキットにおいて決定されるべきヒストンのレベルは、特に、ヒストンH2B、H4、H2Aおよび/またはH3のレベルである。ヒストンの配列は、当業者に公知である。ヒストンの典型的な配列は、配列番号1〜4において与えられる。ヒストンH4の典型的なアミノ酸配列は、配列番号1において与えられる。ヒストンH2Aの典型的なアミノ酸配列は、配列番号2において与えられる。ヒストンH3の典型的なアミノ酸配列は、配列番号3において与えられる。ヒストンH2Bの典型的なアミノ酸配列は、配列番号4において与えられる。特に、少なくとも1つのヒストンは、H2B、H4、H2AおよびH3からなる群から選択される。より具体的には、少なくとも1つのヒストンは、H2B、H4およびH2Aからなる群から選択される。より具体的には、少なくとも1つのヒストンは、H2BおよびH4である。より具体的には、少なくとも1つのヒストンは、H2BまたはH4である。
「少なくとも1つのヒストンのレベルを決定すること」などが、試料における少なくとも1つのヒストンまたは少なくとも1つのヒストンのフラグメントのレベルを決定することを指すことが理解される。特に、ヒストンH2B、H4、H2A、および/またはH4のレベルが、試料において決定される。したがって、試料において決定された少なくとも1つのヒストンは、遊離ヒストンであり得るか、または試料において決定された少なくとも1つのヒストンは、高分子複合体において、例えば、8量体、ヌクレオソームおよび/またはNETにおいて生じ、構築され得る。それ故、試料における少なくとも1つのヒストンのレベルは、遊離ヒストンタンパク質および/または高分子複合体において構築されたヒストンタンパク質のレベルを含み得る。
本発明の特定の態様において、ヌクレオソーム、8量体または好中球細胞外トラップ(NET)のような、高分子複合体において構築されない、ヒストンまたはそのフラグメントのレベルが、試料において決定され得る。かかるヒストンは、本明細書において、「遊離ヒストン」として言及される。したがって、少なくとも1つのヒストンのレベルは、特に、少なくとも1つの遊離ヒストンのレベルであってもよい。
かかる遊離ヒストンのレベルは、モノ−ヌクレオソームまたは8量体のような、構築された化学量論的高分子複合体においてアクセス可能でないヒストンのアミノ酸配列または構造エピトープの検出により決定することができる。かかる構造において、ヒストンの特定の領域は覆われており、これにより、好中球細胞外トラップ(「NET」)について示される通り、立体的に隔絶されている(Brinkmann V.,et al.Science 303(5663):p.1532−5,2004)。加えて、8量体またはヌクレオソームにおいて、ヒストンの領域はまた、個々のヒストン間のような、分子内相互作用に関与する。したがって、本発明との関係において決定されるヒストンの領域/ペプチド/エピトープは、ヒストンが、遊離ヒストン、または高分子複合体において構築されるヒストンであるかどうかを決定してもよい。例えば、イムノアッセイベースの方法において、利用される抗体は、ヒストン、例えば、H4を、エピトープが構造上隔絶されているので、ヌクレオソームの8量体の中心の一部であるとき、検出し得ない。本明細書において以下で、遊離ヒストンを決定するために利用され得る、ヒストンの領域/ペプチド/エピトープが例示される。例えば、高分子複合体において構築されるか、または本発明による遊離ヒストンであるかどうかに依存せず、ヒストンのN末端またはC末端の領域/ペプチド/エピトープを利用して、ヒストンを決定することができる。
ヒストンの決定が、翻訳後修飾されたヒストンタンパク質を含んでもよいことが、理解される。したがって、翻訳後修飾は、アミノ酸の脱アセチル化またはアセチル化、リン酸化、メチル化、ユビキチン化およびシトルリン化を含み得る。
この関連において「化学量論的」は、インタクトな複合体、例えば、モノヌクレオソームまたは8量体に関する。「遊離ヒストンタンパク質」はまた、非クロマチン結合ヒストンを含み得る。例えば、「遊離ヒストンタンパク質」はまた、個々のヒストンタンパク質または非8量体ヒストン複合体を含んでもよい。遊離ヒストンは、個々のヒストンに(例えば、一過性に)結合してもよく、例えば、ヒストンは、ホモ−またはヘテロ−2量体を形成してもよい。遊離ヒストンはまた、ホモ−またはヘテロ−4量体を形成してもよい。ホモまたはヘテロ4量体は、ヒストンの4つの分子、例えば、H2A、H2B、H3および/またはH4からなってもよい。典型的なヘテロ4量体は、2つのヘテロ2量体により形成され、それぞれのヘテロ2量体は、H3およびH4からなる。ヘテロ4量体が、H2AおよびH2Bにより形成されてもよいことも、本明細書において理解される。ヘテロ4量体が、H3およびH4からなる1つのヘテロ2量体、ならびにH2AおよびH2Bからなる1つのヘテロ2量体により形成されてもよいことも、本明細書において予想される。したがって、遊離ヒストンは、1量体、ヘテロ2量体または4量体ヒストンタンパク質として本明細書において言及され、1量体、ヘテロ2量体または4量体ヒストンタンパク質であり得、核酸、例えば、ヌクレオソームに結合したヒストン8量体からなる(「化学量論的」)高分子複合体において構築されない。加えて、遊離ヒストンはまた、核酸に結合してもよく、当該遊離ヒストンは、(「化学量論的」)高分子複合体、例えば、インタクトなヌクレオソームにおいて構築されない。好ましくは、遊離ヒストンは、本質的に核酸を含まない。
少なくとも1つのヒストンのフラグメントは、フラグメントが、特定のヒストンのレベルの明白な決定を可能にする限り、任意の長さ、例えば、少なくとも約5、10、20、30、40、50または100個のアミノ酸を有することができる。少なくとも1つのヒストンのフラグメントは、ヒストン、例えば、ヒストンH2B、H4、H2AおよびH3の独立したフラグメントを指す。対象の試料におけるヒストンのレベルを決定するのに適当である、ヒストンの様々な典型的なフラグメントが、本明細書において以下で開示される。本明細書において、ヒストンのレベルが、ヒストンのN末端またはC末端に及ぶフラグメントを決定することにより、決定することができることも、理解される。加えて、本発明との関係において決定されるべきヒストンまたはそのフラグメントはまた、例えば、翻訳後修飾により修飾されてもよい。典型的な翻訳後修飾は、アセチル化、シトルリン化、脱アセチル化、メチル化、脱メチル化、脱イミノ化、異性体化、リン酸化およびユビキチン化であり得る。
本明細書において使用される、用語「プロアドレノメデュリン」または「proADM」は、プロアドレノメデュリンまたはそのフラグメント、特に、MR−proADMを指す。「proADMのレベルを決定すること」などが、proADMまたはそのフラグメントを決定することを指すことは、理解される。フラグメントが、proADMのレベルの明白な決定を可能にする限り、フラグメントは、任意の長さ、例えば、少なくとも約5、10、20、30、40、50または100個のアミノ酸を有することができる。本発明の特に好ましい態様において、「proADMのレベルを決定すること」は、中間領域プロアドレノメデュリン(MR−proADM)のレベルを決定することを指す。MR−proADMは、proADMのフラグメントである。ペプチドアドレノメデュリン(ADM)は、52個のアミノ酸を含む降圧性ペプチドとして発見され、ヒト褐色細胞腫(phenochromocytomeby)から単離された(Kitamura et al.,1993)。アドレノメデュリン(ADM)は、185個のアミノ酸を含む前駆体ペプチド(「プレプロアドレノメデュリン」または「pre−proADM」)としてコードされる。ADMの典型的なアミノ酸配列は、配列番号5において与えられる。ADMは、pre−proADMアミノ酸配列の位置95〜146を含み、そのスプライス産物である。「プロアドレノメデュリン」(「proADM」)は、シグナル配列(アミノ酸1〜21)を含まないpre−proADM、すなわち、pre−proADMのアミノ酸残基22〜285を指す。「中間領域プロアドレノメデュリン」(「MR−proADM」)は、pre−proADMのアミノ酸42〜95を指す。MR−proADMの典型的なアミノ酸配列は、配列番号6において与えられる。本明細書において、pre−proADMまたはMR−proADMのペプチドおよびそのフラグメントが、本明細書に記載される方法のため使用され得ることも、予想される。例えば、ペプチドまたはそのフラグメントは、pre−proADMのアミノ酸22〜41(PAMPペプチド)またはpre−proADMのアミノ酸95〜146(成熟アドレノメデュリン)を含み得る。proADMのC末端フラグメント(preproADMのアミノ酸153〜185)は、アドレノテンシンと呼ばれる。proADMペプチドのフラグメントまたはMR−proADMのフラグメントは、例えば、少なくとも約5、10、20、30個以上のアミノ酸を含み得る。したがって、proADMのフラグメントは、例えば、MR−proADM、PAMP、アドレノテンシンおよび成熟アドレノメデュリンからなる群から選択されてもよく、好ましくは、本明細書において、フラグメントは、MR−proADMである。
本明細書において、ポリペプチドを決定することができ、proADMまたは少なくとも1つのヒストンに対する配列同一性を有することも、予想される。例えば、配列番号5もしくは6に対して、またはそれぞれ、配列番号1、配列番号2、配列番号3、もしくは配列番号4に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する、ポリペプチドが、本発明の方法およびキットにおいて決定することができ、より高い値の配列同一性が好ましい。本発明に従い、2つ以上のアミノ酸配列との関係における、用語「配列同一性」、「相同性」または「パーセント相同性」または「同一の」または「パーセント同一性」または「パーセンテージ同一性」は、同じであるか、または比較ウィンドウに渡り(好ましくは、全長に渡り)、または当該技術分野において公知の配列比較アルゴリズムを使用して、もしくは手動アライメントおよび目視検査により、測定された指定領域に渡り、最大一致について比較され、整列されたとき、同じである特定のパーセンテージのアミノ酸を有する、2つ以上の配列あるいはサブ配列を指す。例えば、70%〜90%以上(好ましくは、95%以上)の配列同一性を有する配列は、実質的に同一であるとみなされてもよい。かかる定義はまた、試験配列の補足に適用する。好ましくは、記載される同一性は、少なくとも約10〜約15アミノ酸長である領域に渡り、より好ましくは、少なくとも約20〜約35アミノ酸長である領域に渡り、最も好ましくは、全長に渡り存在する。当業者は、例えば、当該技術分野において公知の、CLUSTALWコンピュータープログラム(Thompson Nucl.Acids Res.2(1994),4673−4680)またはFASTDB(Brutlag Comp.App.Biosci.6(1990),237−245)に基づくもののようなアルゴリズムを使用して、配列の間/中のパーセント同一性を決定する方法を理解する。
本明細書において使用される、マーカーの「レベル」は、試料におけるマーカーの分子実体の量を指す。言い換えると、マーカーの濃度が、試料において決定される。例えば、proADMもしくはそのフラグメント、好ましくは、MR−proADMの濃度、ならびに/またはヒストンH2B、H4、H3および/もしくはH2Aまたはそのフラグメントの濃度が、対象の試料において決定される。
本明細書において使用される、用語「少なくとも1つのヒストンのレベル」は、対象から得られる試料における、少なくともヒストンの分子実体の量、例えば、H2B、H4、H2Aおよび/もしくはH3、またはそのフラグメントの量を指す。言い換えると、少なくとも1つのヒストンタンパク質またはそのフラグメントの濃度が、試料において決定される。
本明細書において使用される、用語「マーカープロアドレノメデュリン(proADM)のレベル」または「マーカープロアドレノメデュリン(proADM)もしくはそのフラグメントのレベル」は、対象から得られる試料におけるマーカープロアドレノメデュリンまたはそのフラグメントの分子実体の量を指す。言い換えると、マーカーの濃度が、試料において決定される。故に、用語「マーカー中間領域プロアドレノメデュリン(MR−proADM)のレベル」は、対象から得られる試料におけるマーカー中間領域プロアドレノメデュリン(MR−proADM)の分子実体の量を指す。上記の通り、本明細書において、プロアドレノメデュリン(proADM)、好ましくは、MR−proADMのフラグメントが、検出され、定量され得ることも予想される。また、MR−proADMのフラグメントを検出し、定量することができる。proADMもしくはそのフラグメント(好ましくは、MR−proADM)のレベルを決定するか、または少なくとも1つのヒストンもしくはそのフラグメントのレベルを決定する適当な方法が、本明細書において以下で記載される。
本明細書において使用される、「有害事象」は、生命を危うくするか、または生命を危うくするであろう対象の健康状態/状況を意味する。それ故、有害事象は、例えば、悪化の前約28日、14日、7日、3日、1日、12時間、5時間、1時間以内に診断され、確認される、同じ対象の健康状態のより早期の健康状態との比較における;または類似の疾患もしくは医学的状態に罹患している対象の健康状態との比較における、対象の健康状態/状況の重大な悪化を指す、すなわち、疾患または医学的障害の進行は、試験される対象において生命を危うくするか、または生命を危うくするようになる。有害事象はまた、健常対象の健康状態との比較における対象の健康状態/状況の重大な悪化を指し得る。本明細書において、健康状態/状況の重大な悪化、対象の生命を危うくする状態/状況、または生命を危うくする進行が、対象が死亡のリスクがあること、すなわち、対象の致命的な結果が起こり得ることを意味し得ることが理解される。重大な悪化、重大な健康状態/状況、または生命を危うくする健康状態/状況はまた、臨床スコア、例えば、SOFAスコアにより評価/診断することができる。例えば、14より上のSOFAスコアは、対象の重大な健康状況を示している、非常に重篤な健康状況を示す。SOFAスコア0〜6は、より低い重篤な健康状況を示し、7〜14のSOFAスコアは、重篤な健康状況を示す。例えば、対象の健康状態は、臓器障害、多臓器障害、感染症のような疾患または医学的障害に起因して、臨床上悪化し得る。したがって、用語「有害事象」は、生命を危うくするか、もしくは生命を危うくするであろう臓器障害、多臓器障害、感染症のような疾患または医学的状態を指してもよい。例えば、臓器障害または多臓器障害は、かかる重大な悪化に至り得、したがって、用語「有害事象」はまた、臓器障害または多臓器障害、特に、臓器不全または多臓器不全を指してもよい。例えば、疾患または医学的障害は、かかる重大な悪化に至り得、したがって、用語「有害事象」はまた、疾患または医学的障害を指してもよく、当該疾患または医学的障害は、生命を危うくする疾患または医学的障害を意味し得る。対象はまた、疾患および/または医学的障害に罹患し得、かかるシナリオにおける有害事象は、疾患または医学的障害の進行が、生命を危うくするようになるときの状態である、すなわち、有害事象はまた、疾患または障害の生命を危うくする進行を指してもよい。疾患または障害は、呼吸器系疾患、尿路感染症、感染性および非感染性の病因に関連する炎症反応、全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症、重症敗血症、敗血性ショック、臓器不全、心血管疾患、血液疾患、播種性凝固、糖尿病、悪性腫瘍、肝疾患、腎疾患ならびに/または免疫抑制からなる群から選択され得る。疾患はまた、感染症であり得る。
本発明の特定の態様において、有害事象は死亡である。言い換えると、有害事象は、本発明の特定の態様において死である。したがって、用語「有害事象」は、具体的には、「死亡」、または「死」を意味する。本明細書において使用される、「死亡」は、対象が死ぬこと、すなわち、致命的な結果を意味する。したがって、本発明の方法およびキットは、対象が死ぬかどうか、および/または対象が死ぬリスクがあるかどうかを決定する/予測する。
本明細書において使用される、一般用語「臓器障害」はまた、1つより多くの臓器が障害を有することを意味し得る、すなわち、それは、特に指摘されない限り、臓器障害にも関し得る。用語「臓器障害」または「複数の臓器障害」は、臓器または1つより多くの臓器が、例えば、少なくとも1人の健常対象の臓器のような、影響を受けていない臓器と比較して、その/それらの正常な機能を遂行しない対象における状態を指す。例えば、臓器は、低減された活性を有してもよいか、または臓器は、少なくとも1人の健常対象の臓器と比較して、臓器障害を有する対象における異常な活性であり得る。好ましくは、臓器障害を有する臓器は、例えば、少なくとも1人の健常対象の影響されていない臓器と比較して、少なくとも約10%、20%、30%、50%、70%、90%、100%もしくは200%の活性の低減または増大を有し得る。特に、臓器障害は、臓器不全をもたらし得る。したがって、「臓器障害」は、好ましくは、臓器不全を指し得る。「臓器不全」は、正常なホメオスタシスが、例えば、外部の臨床介入なしで、維持され得ない程度の臓器障害を指す。「臓器不全」はまた、臓器の正常なホメオスタシスが、例えば、外部の臨床介入なしで、維持され得ない程度の臓器障害を指してもよい。「臓器不全」はまた、対象の正常ホメオスタシスが、例えば、外部の臨床介入なしで、維持され得ない程度の臓器障害を指してもよい。本発明の特定の態様において、臓器障害は、臓器不全または少なくとも1つの臓器不全である。一般用語「臓器不全」はまた、1つより多くの臓器が、不全を有することを意味する、すなわち、それがまた、特に指摘されない限り、臓器不全に関し得る。本明細書において、臓器障害がまた、多臓器障害として言及され得ることが、理解される。本明細書において、臓器不全がまた、多臓器不全として言及され得ることが、理解される。典型的な臓器障害または臓器不全は、循環性ショック、血液不全、肝不全、神経系不全、腎不全、呼吸不全および代謝性アシドーシスである。したがって、本発明との関係において、臓器障害または少なくとも1つの障害は、好ましくは、循環性ショック、血液不全、肝不全、神経系不全、腎不全、呼吸不全および代謝性アシドーシスからなる群から選択され得る。本明細書において、対象がまた、例えば、循環性ショック、血液不全、肝不全、神経系不全、腎不全、呼吸不全および代謝性アシドーシスからなる群から選択される2つ、3つ、4つの臓器障害の組み合わせである、1つより多くの臓器障害または不全を有し得ることが、理解される。
本発明の特定の態様において、少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADM、特に、MR−proADMのレベルは、約28日以内に生じる当該有害事象を示す。本明細書において使用される、用語「以内に生じる有害事象」は、対象が、この特定の期間以内に有害事象を恐らく経験する/有する/罹患するか、経験するであろう/有するであろう/罹患するであろうか、または経験している/有している/罹患していることを意味する。
少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADM、特に、MR−proADMのレベルはまた、約28日、約25日、約20日、約15日、約14日、約13日、約12日、約11日、約10日、約9日、約8日、約7日、約6日、約5日、約4日、約3日、約2日または約1日以内に生じる当該有害事象を示す。少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADM、特に、MR−proADMのレベルはまた、14日以内に生じる当該有害事象を示してもよい。特に、少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADM、特に、MR−proADMのレベルはまた、7日以内に生じる当該有害事象を示してもよい。特に、少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADM、特に、MR−proADMのレベルはまた、3日以内に生じる当該有害事象を示してもよい。
本発明の特定の好ましい態様において、少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADM、特に、MR−proADMのレベルは、約28日以内に生じる対象の死亡を示す。少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADM、特に、MR−proADMのレベルはまた、約28日、約25日、約20日、約15日、約14日、約13日、約12日、約11日、約10日、約9日、約8日、約7日、約6日、約5日、約4日、約3日、約2日または約1日以内に生じる死亡を示してもよい。少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADM、特に、MR−proADMのレベルはまた、14日以内に生じる死亡を示してもよい。特に、少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADM、特に、MR−proADMのレベルはまた、7日以内に生じる死亡を示してもよい。特に、少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADM、特に、MR−proADMのレベルはまた、3日以内に生じる死亡を示してもよい。
本発明の好ましい態様において、当該対象のMR−proADMの当該レベルは、約28日以内に生じるか、または約7日以内に生じる当該対象の有害事象、特に、死亡を示す。
本発明の好ましい態様において、少なくとも1つのヒストンのレベルは、約7以内、または好ましくは、約3日以内に生じる有害事象、特に、死亡を示す。特に、H2Bのレベルは、約7日以内、または好ましくは、約3日以内に生じる有害事象(adverse even)を示す。
本発明の好ましい態様において、少なくとも1つのヒストンのレベルは、約7日以内、または好ましくは、約3日以内に生じる有害事象、特に、死亡を示す。特に、H4のレベルは、約7日以内、または好ましくは、約3日以内に生じる有害事象(adverse even)を示す。
本発明の好ましい態様において、少なくとも1つのヒストンのレベルおよびproADMのレベルは、28日以内に生じる当該対象の有害事象、特に、死亡を示す。
用語「当該有害事象を示す」は、対象が、当該有害事象、例えば、死亡を有するか、または恐らく経験する/有する/罹患することを意味する。それ故、対象の少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADMのレベルは、対象の有害事象、例えば、死亡を示す。
本発明の方法はまた、少なくとも1つのヒストンのレベルが、対象の試料において決定され、少なくとも1つのヒストンの当該レベルが、少なくとも1つのヒストンの参照レベルと比較され、少なくとも1つのヒストンの当該レベルが、当該有害事象を示す、方法に関する。
本発明はまた、プロアドレノメデュリン(proADM)、特に、MR−proADMのレベルが、対象の試料において決定され、proADM、特に、MR−proADMの当該レベルが、proADMの参照レベルと比較され、proADM、特に、MR−proADMの当該レベルが、当該有害事象を示す、方法に関する。
方法はまた、少なくとも1つのヒストンのレベルが決定され、プロアドレノメデュリン(proADM)、特に、MR−proADMのレベルが、対象の試料において決定され、少なくとも1つのヒストンの当該レベルが、少なくとも1つのヒストンの参照レベルと比較され、proADMの当該レベルが、proADMの参照レベルと比較され、当該対象における当該有害事象が、比較ステップに基づき同定される、方法に関する。
本明細書において使用される、用語「少なくとも1つのヒストンの参照レベルと比較して」または文法上のその変形は、対象の少なくとも1つのヒストンのレベルが、少なくとも1つのヒストンの参照レベルと比較されることを意味する。したがって、対象のヒストンのレベルは、同じヒストンの対応する参照レベルと比較される。例えば、対象の試料において決定されたヒストンH2Bのレベルが、ヒストンH2Bの参照レベルと比較される。これは、必要な変更を他のヒストンに適用する。少なくとも1つのヒストンの参照レベルは、特に、ヒストンH2Bのレベル、ヒストンH4のレベル、ヒストンH2Aのレベルおよび/またはヒストンH3のレベルである。
本明細書において使用される、用語「proADMの参照レベルと比較して」またはその文法上の変形は、対象のproADMのレベルが、proADMの参照レベルと比較されることを意味する。少なくとも1つのヒストンおよび/またはproADMのフラグメントレベルが、決定されるなら、参照レベルはまた、対応するフラグメントのレベルであってもよい。
本明細書において使用される、「参照レベル」は、本発明の好ましい態様において有害事象を示さない対応するマーカーの正常レベルを反映してもよい。したがって、かかる参照レベルは、対象の生命を危うくする状態、特に、死/死亡を示さない対応するマーカーの正常レベルを反映する。したがって、参照レベルは、少なくとも1人の参照対象の少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADMのレベルであってもよく、参照対象は、約28日以内、好ましくは、約14日以内、より好ましくは、約7日以内、または特に好ましくは、約3日以内に有害事象を有しない。参照レベルは、健常対象の群(例えば、コホート)の少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADMのレベルを表してもよい。したがって、参照レベルは、好ましくは、健常対象の少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADM、特に、MR−proADMのレベルである。健常対象は、診断された(および確認された)疾患および/または障害を有しない対象である。健常対象は、好ましくは、正常に機能している臓器を有し得る、すなわち、臓器障害もしくは臓器不全、および/または上記されたもののような診断された疾患もしくは医学的障害を有しない。したがって、参照レベルは、健常対象の試料において決定される少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADMのレベルであり得る。参照対象または健常対象は、本明細書において、好ましくは、対象の群または健常対象の群、例えば、対象のコホートとして定義される。健常参照対象は、臓器障害または臓器不全を有しない。したがって、参照レベルは、臓器障害または臓器不全を有しない対象の少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADMのレベルであってもよい。したがって、参照レベルは、臓器障害または臓器不全を示さないレベルであってもよい。
さらに、参照レベルはまた、少なくとも1人の参照対象の少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADMのレベルであってもよく、当該参照対象は、疾患および/または医学的障害に罹患し、疾患または障害の進行は、生命を危うくしない。言い換えると、参照レベルはまた、少なくとも1人の参照対象の少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADMのレベルであり得、当該参照対象は、疾患および/または医学的障害に罹患し、有害事象、特に、死亡は、28日、7日または3日以内に生じない。
さらに、参照レベルはまた、少なくとも1人の参照対象の少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADMのレベルであってもよく、当該参照対象は、疾患および/または医学的障害ならびに感染症(例えば、敗血症もしくは敗血性障害)に罹患し、有害事象、特に、死亡は、28日、7日または3日以内に生じない。言い換えると、参照対象の有害事象は、28日、7日または3日以内に生じない。特に、参照対象は、検査されるべき対象と同じ疾患または医学的状態/障害に罹患する。
さらに、参照レベルはまた、少なくとも1人の参照対象の少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADMのレベルであってもよく、当該参照対象は、疾患および/または医学的障害に罹患し、感染症に罹患せず、有害事象、特に、死亡は、28日、7日または3日以内に生じない。
さらに、参照レベルはまた、少なくとも1人の参照対象の少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADMのレベルであってもよく、当該参照対象は、SIRSを含む疾患および/または医学的障害に罹患し、当該対象は、感染症に罹患せず、有害事象、特に、死亡は、28日、7日または3日以内に生じない。
本明細書において使用される、少なくとも1人の参照対象は、1人より多くの参照対象を指す。特に、少なくとも1人の参照対象は、参照対象の群またはコホートである。本明細書において以下で記載される通り、例えば、参照におけるマーカーのレベルを決定する手段および方法が記載される。
本明細書において使用される参照レベルは、典型的には、予め決められたレベルである、すなわち、これは、ポイントオブケア、例えば、ICUでの後の使用のための参照として予め決定されている。
本発明の好ましい態様において、有害事象は死亡である。これらの態様において、参照レベルはまた、少なくとも1人の参照対象の少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADMのレベルであってもよく、参照対象は、約28日以内、約14日以内、約7日以内または約3日以内に死亡しない。さらに、これらの態様において、参照レベルはまた、少なくとも1人の参照対象の少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADMのレベルであり得、当該参照対象は、疾患および/または医学的障害に罹患し、参照対象は、約28日以内、約14日以内、約7日以内または約3日以内に死亡しない。さらに、これらの態様において、参照レベルはまた、少なくとも1人の参照対象の少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADMのレベルであり得、当該参照対象は、疾患および/または医学的障害ならびに感染症に罹患し、参照対象は、約28日以内、約14日以内、約7日以内または約3日以内に死亡しない。さらに、これらの態様において、参照レベルはまた、少なくとも1人の参照対象の少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADMのレベルであり得、当該参照対象は、疾患および/または医学的障害に罹患し、感染症に罹患せず、参照対象は、約28日以内、約14日以内、約7日以内または約3日以内に死亡しない。さらに、これらの態様において、参照レベルはまた、少なくとも1人の参照対象の少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADMのレベルであり得、当該参照対象は、SIRSを含む疾患および/または医学的障害に罹患し、当該対象は、感染症に罹患せず、参照対象は、約28日以内、約14日以内、約7日以内または約3日以内に死亡しない。
本明細書において記録される通り、参照レベルと比較して、少なくとも1つのヒストンの増大したレベル(もしくは少なくとも1つのヒストンのレベルの増加)および/またはproADM、特に、MR−proADMの増大したレベル(もしくはproADMのレベルの増加)は、有害事象、特に、死亡を示す。特に、有害事象は、上記された通り、28日、7日または3日以内に生じる。したがって、当該有害事象を示している、少なくとも1つのヒストンの当該レベルおよび/またはproADMの当該レベルは、参照レベルと比較して増大したレベルであり得る。
したがって、本発明の方法は、当該対象の試料における少なくとも1つのヒストンのレベルを決定することを含み、少なくとも1つのヒストンの参照レベルと比較して、当該対象の当該少なくとも1つのヒストンの増大したレベルが、当該対象の有害事象、特に、死亡を示す、方法を含む。
さらに、本発明は、当該対象の試料における、proADM、特に、MR−proADMのレベルを決定することを含み、当該proADM、特に、MR−proADMの参照レベルと比較して、当該対象の当該proADM、特に、MR−proADMの増大したレベルが、当該対象の有害事象、特に、死亡を示す、方法を含む。
さらに、本発明は、当該対象の試料における少なくとも1つのヒストンのレベルを決定すること、および当該対象の試料におけるproADM、特に、MR−proADMのレベルを決定することを含み、少なくとも1つのヒストンの参照レベルおよび当該proADM、特に、MR−proADMの参照レベルと比較して、当該対象の当該少なくとも1つのヒストンの増大したレベルおよび当該対象の当該proADM、特に、MR−proADMの増大したレベルが、当該対象の当該有害事象、特に、死亡を示す、方法を含む。
本発明はまた、
(i)当該対象の試料における少なくとも1つのヒストンのレベルを決定することであって、
少なくとも1つのヒストンの当該レベルが、少なくとも1つのヒストンの参照レベルと比較され、
少なくとも1つのヒストンの当該参照レベルと比較して当該対象の当該少なくとも1つのヒストンの増大したレベルが、当該対象における当該有害事象を示す、決定すること;および/または
(ii)当該対象の試料におけるプロアドレノメデュリン(proADM)のレベルを決定することであって、
proADMの当該レベルが、proADMの参照レベルと比較され、
proADMの当該参照レベルと比較して当該対象の当該proADMの増大したレベルが、当該対象における当該有害事象を示す、決定すること、
を含む方法に関する。
言い換えると、本発明はまた、
(i)対象の試料における少なくとも1つのヒストンのレベルを決定することであって、
少なくとも1つのヒストンの当該レベルが、少なくとも1つのヒストンの参照レベルと比較され、
少なくとも1つのヒストンの参照レベルと比較して少なくとも1つのヒストンのレベルの増加が、当該対象の当該有害事象を示す、決定すること;および/または
(ii)当該対象の試料におけるプロアドレノメデュリン(proADM)のレベルを決定することであって、
proADMの当該レベルが、proADMの参照レベルと比較され、
proADMの参照レベルと比較してproADMのレベルの増加が、当該対象の当該有害事象を示す、決定すること、
を含む方法に関する。
本発明はまた、
(i)当該対象の試料における少なくとも1つのヒストンのレベルを決定することであって、
少なくとも1つのヒストンの当該レベルが、分析に先立ち得られた同じ対象の少なくとも1つのヒストン参照レベルと比較され、
少なくとも1つのヒストンの当該参照レベルと比較して少なくとも1つのヒストンのレベルの増加が、当該対象における当該有害事象を示す、決定すること;および/または
(ii)当該対象の試料におけるプロアドレノメデュリン(proADM)のレベルを決定することであって、
proADMの当該レベルが、分析に先立ち得られた同じ対象のproADMの参照レベルと比較され、
proADMの当該参照レベルと比較してproADMのレベルの増加が、当該対象における当該有害事象を示す、決定すること
を含む方法に関する。
本明細書において使用される、「分析に先立ち得られた」は、従前の時、例えば、次の分析の28日前、7日前、6日前、5日前、4日前、3日前、2日前または1日前における同じ対象の試料におけるマーカーレベルの決定を指し、かかる態様において、マーカーの当該従前に決定されたレベルが、参照レベルとみなされる。
本明細書において使用される、用語「マーカーのレベルの増加」は、マーカーのレベルが増大されていることを意味する、すなわち、それは、マーカーの増大したレベルを指す。したがって、用語「マーカーのレベルの増加」は、本明細書において用語「マーカーの増大したレベル」と互換的に使用される。対象のマーカーの増大したレベルまたはマーカーのレベルの増加は、マーカーのレベルが、マーカーの参照レベルより少なくとも約15%、好ましくは、少なくとも約20%、より好ましくは、少なくとも約25%、またはなおより好ましくは、少なくとも約30%高いことを意味する。
本発明との関係において、用語「参照レベルと比較して少なくとも1つのヒストンのレベルの増加」などは、本明細書において、用語「当該参照レベルと比較して当該対象の少なくとも1つのヒストンの増大したレベル」または用語「当該参照レベルと比較して少なくとも1つのヒストンの増大したレベル」などと互換的に使用される。かかる用語は、対象の、少なくとも1つのヒストンのレベル、例えば、H2Bのレベル、H4のレベル、H2Aのレベルおよび/またはH3のレベルが、少なくとも1つのヒストンの参照レベルより少なくとも約15%、好ましくは、少なくとも約20%、より好ましくは、少なくとも約25%、より好ましくは、少なくとも約30%、より好ましくは、少なくとも約40%、より好ましくは、少なくとも約50%、より好ましくは、少なくとも約60%、より好ましくは、少なくとも約70%、より好ましくは、少なくとも約80%、より好ましくは、少なくとも約90%、より好ましくは、少なくとも約100%高いことを意味する。言い換えると、最も好ましい態様において、当該少なくとも1つのヒストンの増大したレベル(またはレベルの増加)は、少なくとも1つのヒストンの当該参照レベルの約2倍高くてもよい。約2倍のレベルの増大は、有害事象、例えば、死亡のリスクをさらに増大させる。例えば、表1において記録されるH4の1.45のハザード比は、有害事象のリスクが、45%さらに増大することを意味する。それ故、かかる値はまた、診断についての、強い相関の指標であり、最適なマーカーである。
本明細書において使用される、用語「参照レベルと比較してproADMのレベルの増加」などは、本明細書において用語「当該参照レベルと比較して当該対象のproADMの増大したレベル」または用語「当該参照レベルと比較してproADMの増大したレベル」などと互換的に使用される。かかる用語は、対象の、proADMのレベル、特に、MR−proADMのレベルが、proADM、特に、MR−proADMの参照レベルより少なくとも約15%、好ましくは、少なくとも約20%、より好ましくは、少なくとも約25%、またはなおより好ましくは、少なくとも約30%、より好ましくは、少なくとも約40%、より好ましくは、少なくとも約50%、より好ましくは、少なくとも約60%、より好ましくは、少なくとも約70%、より好ましくは、少なくとも約80%、より好ましくは、少なくとも約90%、最も好ましくは、少なくとも約100%高いことを意味する。言い換えると、最も好ましい態様において、当該proADMの増大したレベルは、proADMの当該参照レベルの約2倍高くてもよい。
本明細書において、参照レベルおよび決定されたマーカーレベル(すなわち、ポイントオブケア、例えば、ICUでの個々の対象について決定されるレベル)は、アッセイ/方法に依存して変動し得、それにより、レベルが決定されることが、理解される。例えば、質量分析ベースの方法により決定された参照レベルおよび決められたマーカーレベルは、イムノアッセイにより決定されたそれぞれのレベルと異なり得る。付記された実施例は、マーカーのレベルが、いくつかの方法、例えば、イムノアッセイおよび質量分析ベースの方法により決定され得ることを示す。参照レベルは、コックス回帰解析のような、付記された実施例において例示される統計学的方法により最適化することができる。ハザード比がまた計算されてよい。例えば、付記された実施例において例示される通り、0より大きいハザード比(HR>0)は、最悪な予後、すなわち、有害事象が恐らく生じることを示し、0より小さいハザード比は、良好な予後、すなわち、有害事象が恐らく生じないことを示している。したがって、当業者は、参照レベルを決定する方法を知っている。例えば、レベル(参照レベルを含む)は、イムノアッセイにより、例えば、対象(または参照対象)の試料における、少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADM、例えば、MR−proADMのレベルを決定することにより決定され得る。
少なくとも1つのヒストンの参照レベルは、約100ng/ml、より好ましくは、約90ng/ml、より好ましくは、約80ng/ml、より好ましくは、約70ng/ml、より好ましくは、約60ng/ml、より好ましくは、約50ng/ml、より好ましくは、約45ng/ml、より好ましくは、約40ng/ml、または最も好ましくは、約35ng/mlであってもよい。少なくとも1つのヒストンの参照レベルは、約10ng/ml、より好ましくは、約15ng/ml、より好ましくは、約20ng/ml、より好ましくは、約25ng/ml、より好ましくは、約30ng/ml、または最も好ましくは、約35ng/mlであってもよい。
少なくとも1つのヒストンの参照レベルは、約10ng/ml〜約100ng/ml、約10ng/ml〜約90ng/ml、より好ましくは、約10ng/ml〜約60ng/ml、より好ましくは、約10ng/ml〜約40ng/ml、より好ましくは、約15ng/ml〜約40ng/ml、または最も好ましくは、約20ng/ml〜約40ng/mlであってもよい。
proADMの参照レベルは、約4nmol/L、より好ましくは、約5nmol/L、より好ましくは、約7nmol/L、より好ましくは、約8nmol/L、より好ましくは、約9nmol/Lまたは特に好ましくは、約6nmol/Lであってもよい。
さらに、レベル(参照レベルを含む)は、目的のタンパク質もしくはそのフラグメントの相対量を決定するか、または絶対量を決定する方法のような、質量分光学ベースの方法により決定され得る。
相対的定量「rSRM」は、以下により達成されてもよい。
1.試料において検出された所定の標的フラグメントペプチド由来のSRM(選択された反応モニタリング)特徴的ピーク面積を、少なくとも第2、第3、第4以上の生物学的試料における標的フラグメントペプチドの同じSRM特徴的ピーク面積と比較することにより、標的タンパク質の増大または低下した存在を決定すること。
2.試料において検出された所定の標的ペプチド由来のSRM特徴的ピーク面積を、異なりかつ別々の生物学的供給源からもたらされた他の試料における、他のタンパク質由来のフラグメントペプチドから発展したSRM特徴的ピーク面積と比較することにより、標的タンパク質の増大または低下した存在を決定することであって、ペプチドフラグメントについての2つの試料間のSRM特徴的ピーク面積比較は、例えば、それぞれの試料において分析されたタンパク質の量に標準化される、決定すること。
3.ヒストンタンパク質の変化するレベルを、様々な細胞条件下でそれらの発現レベルを変えない他のタンパク質のレベルに標準化するために、所定の標的ペプチドについてのSRM特徴的ピーク面積を、同じ生物学的試料内の異なるタンパク質からもたらされた他のフラグメントペプチド由来のSRM特徴的ピーク面積と比較することにより、標的タンパク質の増大または低下した存在を決定すること。
4.これらのアッセイは、標的タンパク質の修飾されていないフラグメントペプチドと修飾されたフラグメントペプチドの両方に適用することができ、修飾は、リン酸化および/またはグリコシル化、アセチル化、メチル化(モノ、ジ、トリ)、シトルリン化、ユビキチン化(ubiquitinylation)を含むが、これらに限定されず、修飾されたペプチドの相対レベルは、修飾されていないペプチドの相対量を決定するのと同じ方法で決定される。
所定のペプチドの絶対量は、以下により達成されてもよい。
1.個々の生物学的試料における標的タンパク質由来の所定のフラグメントペプチドについてのSRM/MRM特徴的ピーク面積を、生物学的試料由来のタンパク質可溶化液に急増した内部フラグメントペプチド標準のSRM/MRM特徴的ピーク面積と比較すること。内部標準は、調べられたまたは標識された組換えタンパク質である標的タンパク質由来のフラグメントペプチドの標識された合成バージョンであってもよい。この標準は、切断前(組換えタンパク質に必須の)または後に公知の量で試料に急増し、SRM/MRM特徴的ピーク面積は、生物学的試料における内部フラグメントペプチド標準と未変性のフラグメントペプチドの両方について別々に決定することができ、続いて、両方のピーク面積が比較される。これは、修飾されていないフラグメントペプチドおよび修飾されたフラグメントペプチドに適用することができ、修飾は、リン酸化および/またはグリコシル化、アセチル化、メチル化(例えば、モノ−、ジ−、またはトリ−メチル化)、シトルリン化、ユビキチン化(ubiquitinylation)を含むが、これらに限定されず、修飾されたペプチドの絶対レベルは、修飾されていないペプチドの絶対レベルを決定するのと同じ方法で決定することができる。
2.ペプチドはまた、外部検量線を使用して定量化することができる。通常の曲線アプローチは、内部標準として一定量の重ペプチド、および試料に急増した変動量の軽合成ペプチドを使用する。試験試料のものと類似する代表的な基質は、マトリックス効果を占める標準曲線を構築するために使用される必要がある。加えて、反向曲線方法は、基質中の内在性分析物の問題点を回避し、一定量の軽ペプチドが、内部標準を作成するために内在性分析物の上部に急増し、変動量の重ペプチドが急増して、濃度標準のセットを作成する。正常または反向曲線のいずれかと比較されるべき試験試料は、検量線を作成するために使用される基質に急増した内部標準と同じ量の標準ペプチドと共に急増する。
したがって、当業者は、付記された実施例においても例示される、マーカーレベルおよび特に、適当な参照レベルを決定する方法を知っている。
提供される方法の感度および特異性は、ただ試験の分析の質に依存する。感度および特異性はまた、異常(例えば、死亡)または正常な結果を構成するものの定義に依存する。有害事象を有する対象および有しない対象についての、少なくとも1つのヒストンおよび/またはproADMのレベル、好ましくは、MR−proADMのレベルの分布は、重複してもよい。かかる条件下で、試験は、100%の精度では障害状態から正常を絶対的に区別しない。当業者は、対象の状態自体、または対象の少なくとも1つのさらなるマーカーおよび/またはパラメーターが、データの解釈においてアシストとなり得ること、およびこのさらなる情報が、重複の範囲においてより信頼できる予後を可能にすることを知っている。したがって、少なくとも1つのさらなるマーカーならびに/またはパラメーター(例えば、性別、群および年齢)のレベルが決定される。少なくとも1つのさらなるマーカーおよび/またはパラメーターのレベルはまた、参照レベルと比較することができ、当該参照レベルの当該少なくとも1つのさらなるマーカーおよび/またはパラメーターの対応するレベルと比較して対象の当該少なくとも1つのさらなるマーカーおよび/またはパラメーターの類似または同一の値/レベルが、対象が有害事象を経験する/有する/罹患するリスクが低下することを示し、および/または当該参照レベルの当該少なくとも1つのさらなるマーカーおよび/またはパラメーターの対応するレベルと比較して当該少なくとも1つのさらなるマーカーおよび/またはパラメーターのより高いまたはより低いレベル/値が、有害事象を経験する/有する/罹患するリスクが増大することを示す。
したがって、本発明の方法およびキットはまた、少なくとも1つのヒストンおよび/またはproADMに加えて、少なくとも1つのさらなるマーカーおよび/またはパラメーターを決定することを含み得る。
本明細書において使用される、パラメーターは、特定のシステムを定義する際に助けとなり得る特徴、特性、または測定可能な因子である。パラメーターは、疾患/障害/臨床状態のリスク、好ましくは、有害事象のような、健康および生理学と関連する評価についての重要な要素である。さらに、パラメーターは、治療介入への正常な生物学的プロセス、病原性プロセスまたは薬理学的応答の指標として客観的に測定され、評価される特徴として定義される。典型的なパラメーターは、急性生理学及び慢性健康評価スコア(Acute Physiology and Chronic Health Evaluation score:APACHEスコアI−IV)、簡易急性生理学スコア(simplified acute physiology score:SAPS I−IIIスコア)、連続臓器不全評価スコア(sequential organ failure assessment score:SOFAスコア)、簡易急性生理学スコアII(simplified acute physiology score II:SAPS IIスコア)、死亡率モデル(MPM I−III)、多臓器障害スコア(MODS)、治療介入スコアリングシステム(TISS)、9項目の看護者人的資源使用スコア(NEMS)、世界脳神経外科学会連盟(WFNS)類別、およびグラスゴー・コーマ・スケール(GCS)、年齢、性別、家族歴、民族性、体重、ボディ・マス・インデックス(BMI)、膀胱鏡検査報告、白血球カウント、CTスキャン、血圧、心拍数、降圧処置、液体摂取、喘鳴、体温、糖尿病の存在、ならびに現在の喫煙習慣からなる群から選択することができる。
本明細書において使用される、「マーカー」、「代理(surrogate)」、「予後マーカー」、「因子」または「バイオマーカー」もしくは「生物学的マーカー」のような用語は、互換的に使用され、疾患/障害/臨床状態のリスク、好ましくは、有害事象のような、健康および生理学と関連する評価についての指標として働く、測定可能かつ定量可能な生物学的マーカー(例えば、特定のタンパク質もしくは酵素濃度またはその一部、特定のホルモン濃度またはその一部、または生物学的物質またはその一部の存在)に関する。マーカーは、治療介入への正常な生物学的プロセス、病原性プロセスまたは薬理学的応答の指標として客観的に測定され、評価され得る特徴として定義される。バイオマーカーは、試料(血液、血漿、尿、または組織検体としての)において測定されてもよい。当該対象の少なくとも1つのさらなるマーカーは、プロカルシトニン、カルシトニン、エンドセリン−1(ET−1)、アルギニンバソプレシン(AVP)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)、トロポニン、脳ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C反応性タンパク質(CRP)、膵石タンパク質(PSP)、ミエロイド細胞に発現するトリガー受容体1(TREM1)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−1、インターロイキン−24(IL−24)、他のIL、プレセプシン(sCD14−ST)、リポ多糖結合タンパク質(LBP)、アルファ−1−アンチトリプシン、マトリックスメタロプロテイナーゼ2(MMP2)、マトリックスメタロプロテイナーゼ9(MMP9)、マトリックスメタロプロテイナーゼ7(MMP9)、クロモグラニンA、S100Aタンパク質、S100Bタンパク質および腫瘍壊死因子α(TNFα)またはそのフラグメントからなる群から選択することができる。
本発明の特定の態様において、当該対象の少なくとも1つのさらなるマーカーおよび/またはパラメーターは、当該試料におけるアルドラーゼBのレベル、当該試料におけるコペプチンのレベル、当該試料におけるプロエンドセリン−1のレベル、当該試料における乳酸のレベル、当該試料におけるプロカルシトニン(PCT)のレベル、当該試料の連続臓器不全評価スコア(sequential organ failure assessment score:SOFAスコア)、簡易急性生理学スコア(simplified acute physiology score II:SAPS II)、当該試料の急性生理学及び慢性健康評価II(Acute Physiology and Chronic Health Evaluation score:APACHE II)スコア、および当該試料における可溶性fms様チロシンキナーゼ−1(sFlt−1)のレベルからなる群から選択することができる。
本発明のある特定の態様において、当該対象の少なくとも1つのさらなるマーカーおよび/またはパラメーターは、プロカルシトニン、カルシトニン、エンドセリン−1(ET−1)、アルギニンバソプレシン(AVP)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)、トロポニン、脳ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C反応性タンパク質(CRP)、膵石タンパク質(PSP)、ミエロイド細胞に発現するトリガー受容体1(TREM1)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−1、インターロイキン−24(IL−24)、他のIL、プレセプシン(sCD14−ST)、リポ多糖結合タンパク質(LBP)、アルファ−1−アンチトリプシン、マトリックスメタロプロテイナーゼ2(MMP2)、マトリックスメタロプロテイナーゼ9(MMP9)、マトリックスメタロプロテイナーゼ7(MMP9)、クロモグラニンA、S100Aタンパク質、S100Bタンパク質、腫瘍壊死因子α(TNFα)、年齢、性別、家族歴、民族性、体重、ボディ・マス・インデックス(BMI)、膀胱鏡検査報告、白血球カウント、CTスキャン、血圧、心拍数、降圧処置、液体摂取、喘鳴、体温、糖尿病の存在、現在の喫煙習慣、急性生理学及び慢性健康評価スコア(Acute Physiology and Chronic Health Evaluation score:APACHEスコアI−IV)、単純化急性生理学スコア(simplified acute physiology score:SAPS I−IIIスコア)、連続臓器不全評価スコア(sequential organ failure assessment score:SOFAスコア)、死亡率モデル(MPM I−III)、多臓器障害スコア(MODS)、治療介入スコアリングシステム(TISS)、9項目の看護者人的資源使用スコア(NEMS)、世界脳神経外科学会連盟(WFNS)類別、およびグラスゴー・コーマ・スケール(GCS)からなる群から選択することができる。
本明細書において使用される「アルドラーゼB」は、クラスIフルクトース1,6−ビスホスフェートアルドラーゼ酵素の3つのアイソザイム(A、B、およびC)のうち1つであるフルクトース−ビスホスフェートアルドラーゼBまたは肝臓型アルドラーゼを指す。対象の試料におけるアルドラーゼBのレベルは、質量分析ベースの方法により決定することができる。
「コペプチン」はまた、「CT−proAVP」または「バソプレシンのC末端部分」として言及される。バソプレシンは、強力な血管収縮剤である。CT−proAVPのレベルは、以下で記載される通り、イムノアッセイにより対象の血漿または血清において測定することができる。
本明細書において使用される、「乳酸」は、血液において測定された最大乳酸濃度を指す。通常、乳酸濃度は、毎日、またはさらにより頻繁に評価される。血中の乳酸濃度は、乳酸オキシダーゼ分光光度方法により決定することができる。
本明細書において使用される、「プロカルシトニン」または「PCT」は、アミノ酸残基1〜116、2〜116、3〜116に及ぶペプチドまたはそのフラグメントに関する。したがって、プロカルシトニンフラグメントの長さは、少なくとも12個のアミノ酸、好ましくは、50個より多くのアミノ酸、より好ましくは、110個より多くのアミノ酸である。PCTは、グリコシル化、脂質化(liposidation)または誘導体化の様な翻訳後修飾を含んでもよい。プロカルシトニンは、カルシトニンおよびカタカルシンの前駆体である。したがって、正常条件下で、循環中のPCTレベルは、非常に低い(<約0.05ng/ml)。対象の試料におけるPCTのレベルは、以下で記載される通り、イムノアッセイにより決定することができる。
本明細書において使用される、「連続臓器不全評価スコア」または「sequential organ failure assessment score:SOFAスコア」は、集中治療室(ICU)に入院中の患者の状態を追跡するために使用される1つのスコアである。SOFAスコアは、人の臓器機能の程度または不全の割合を決定するためのスコアリングシステムである。スコアは、6つの異なるスコアに基づき、それぞれ1つが、呼吸性、心血管系、肝臓、凝固、腎臓および神経系についてである。平均と最大SOFAスコアの両方が、結果の予測因子である。ICUにおける最初の24〜48時間中のSOFAスコアの増加は、少なくとも50%から最大95%の死亡率を予測する。9未満のスコアは、33%の予測死亡率を与え、一方、14より上は、95%に近いか、またはそれより上の死亡率であり得る。
本明細書において使用される、「SAPS II」または「簡易急性生理学スコアII(simplified acute physiology score II)」は、疾患または障害の重症度を分類するシステムに関する(Le Gall JR et al.,A new Simplified Acute Physiology Score (SAPS II) based on a European/North American multicenter study.JAMA.1993;270(24):2957−63を参照)。SAPS IIスコアは、12の生理学的変数および3つの疾患関連変数から作られる。ポイントスコアは、12の日常的な生理学的測定値、従前の健康状態についての情報およびICUへの入院時に得られたいくつかの情報から計算される。SAPS IIスコアは、任意の時間において、好ましくは、入院の2日後において決定することができる。「最も悪い」測定値は、最大数のポイントと相関する測定値として定義される。SAPS IIスコアは、0〜163ポイントの範囲にある。分類システムは、次のパラメーター:年齢、心拍数、収縮期血圧、体温、グラスゴー・コーマ・スケール、人工呼吸またはCPAP、PaO2、FiO2、尿排出量、血中尿素窒素、ナトリウム、カリウム、炭酸水素、ビリルビン、白血球、慢性疾患および入院のタイプを含む。死亡率と合計SAPS IIスコアの間にシグモイド曲線関係が存在する。対象の死亡率は、29ポイントのSAPS IIスコアにおいて10%であり、死亡率は、40ポイントのSAPS IIスコアにおいて25%であり、死亡率は、52ポイントのSAPS IIスコアにおいて50%であり、死亡率は、64ポイントのSAPS IIスコアにおいて75%であり、死亡率は、77ポイントのSAPS IIスコアにおいて90%である(Le Gall loc.cit.)。
本明細書において使用される、「APACHE II」または「急性生理学及び慢性健康評価II(Acute Physiology and Chronic Health Evaluation score II)」は、疾患の重症度分類スコアリングシステムである(Knaus et al.,1985)。これは、患者の集中治療室(ICU)への入院の24時間以内に適用することができ、12の異なる生理的パラメーターに基づき決定されてもよい。
本明細書において使用される、「可溶性fms様チロシンキナーゼ−1」または「sFlt−1」は、血管成長を引き起こすタンパク質を無効にするチロシンキナーゼタンパク質である。可溶性Flt−1(sFlt−1)は、様々な組織により産生されるVEGF受容体1のスプライスバリアント(Flt−1)である。対象の試料におけるsFLT1のレベルは、質量分析ベースのアッセイおよびイムノアッセイにより決定することができる。
本発明の方法またはキットは、上で記載された通り、少なくとも1つのヒストンのレベル、および/またはproADMのレベル、ならびにさらなるマーカーおよび/またはパラメーターのレベルを決定することを含み得る。
本発明の方法および利用されるキットはまた、SAPS IIスコア、SOFAスコアおよび/またはAPACHE IIスコアのような、少なくとも1つのさらにパラメーターを決定することを含んでもよい。例えば、方法は、対象の試料における少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADMのレベル、ならびに対象のSOFAスコアを決定することを含み得る。好ましくは、方法は、当該対象の当該試料における少なくとも1つのヒストンの当該レベル、および当該対象の当該SAPS IIスコアを決定することを含む。少なくとも1つのヒストンのレベルおよびSAPS IIスコアは、28日以内に生じる当該対象の有害事象、特に、死亡を示し得る。
好ましくは、方法は、当該対象の当該試料におけるproADMのレベル、および当該対象の当該SAPS IIスコアを決定することを含む。proADMのレベルおよびSAPS IIスコアは、28日以内または7日以内に生じる当該対象の有害事象、特に、死亡を示し得る。
さらに、方法は、対象の試料における少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADMのレベル、ならびに対象のSOFAスコアを決定することを含んでもよい。
さらに、方法は、対象の試料における少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADMのレベル、ならびに対象の試料におけるPCTのレベルを決定することを含み得る。さらに、方法は、対象の試料における少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADMのレベル、ならびに対象の試料におけるアルドラーゼBのレベルを決定することを含み得る。
本明細書において使用される、「対象」(または「患者」)は、脊椎動物であってもよい。本発明との関係において、用語「対象」は、ヒトと動物、特に、哺乳類の両方、および他の生物を含む。したがって、本明細書において提供される方法は、ヒトと動物対象の両方に適用可能である。したがって、当該対象は、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、モルモット、フェレット、ネコ、イヌ、ニワトリ、ヒツジ、ウシ種、ウマ、ラクダ、または霊長類であってもよい。好ましくは、対象は、哺乳類である。最も好ましくは、対象はヒトである。
本明細書において提供される方法は、健常対象である任意の対象、または任意の疾患もしくは障害に罹患している対象に対して使用することができる。好ましい態様において、対象は、疾患、障害または医学的状態に罹患している。試験されるべき対象は、重症患者であり得、好ましくは、当該対象は、集中治療室に入院する。本明細書において使用される、重病は、対象または患者が、生命を危うくする状況にあることを意味する。
対象または参照対象は、疾患または医学的状態/障害に罹患してもよく、当該疾患または医学的状態/障害は、呼吸器系疾患、尿路感染症、感染性および非感染性の病因に関連する炎症反応、全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症、重症敗血症、敗血性ショック、臓器不全、心血管疾患、糖尿病、悪性腫瘍、肝疾患、腎疾患および/または免疫抑制からなる群から選択されてもよい。
特に、対象は、呼吸器系疾患、尿路感染症、および/または悪性腫瘍に罹患する。
本発明との関係における「全身性の炎症」は、好ましくは、生物学的要因、化学的要因または遺伝的要因により引き起こされ得る炎症促進性サイトカインの放出および活性化された自然免疫系により特徴付けられる状態に関する。重篤な「全身性炎症」は、臓器不全および死を導き得る。
本発明との関係における「SIRS」は、感染の徴候を有しない全身性炎症反応症候群である。これは、以下の臨床上の徴候の1つより多くを含むが、これらに限定されない:(1)38℃より高いか、または36℃未満の体温;(2)1分当たり90拍より多い心拍数;(3)1分当たり20回より多い呼吸数により表される頻呼吸、または32mmHg未満のPaCO2により示される過換気;および(4)12,000/mm3より大きいカウント、4,000/mm3未満のカウント、または10%より高い未熟好中球の存在のような白血球カウントにおける変化(Bone et al.,CHEST 101(6):1644−55,1992)。
本発明との関係における「敗血症」は、感染に対する全身応答を指す。あるいは、敗血症は、確認された感染プロセスまたは感染症を有するSIRSの組み合わせとして観察されてもよい。敗血症は、感染症と全身性炎症反応の両方の存在により定義される臨床症候群として特徴付けられてもよい(Levy MM et al.2001 SCCM/ESICM/ACCP/ATS/SIS International Sepsis Definitions Conference.Crit Care Med.2003 Apr;31(4):1250−6)。本明細書において使用される、用語「敗血症」は、敗血症、重症敗血症、敗血性ショックを含むが、これらに限定されない。この関係における重症敗血症は、臓器障害と関連する敗血症、低灌流異常、または敗血症により誘導される低血圧を意味する。低灌流異常は、乳酸アシドーシス、乏尿および精神状態の急性変化を含む。敗血症により誘導される低血圧は、約90mmHg未満の収縮期血圧の存在、または低血圧の他の原因(例えば、心原性ショック)の不存在におけるベースラインから約40mmHg以上のその低減により定義される。敗血性ショックは、低灌流異常または臓器障害の存在と共に、十分な補液蘇生にも関わらず、敗血症により誘導される低血圧持続性を有する重症敗血症として定義される(Bone et al.,CHEST 101(6): 1644−55,1992)。
本明細書において使用される、用語「敗血症」は、敗血症の発症における全ての可能性のあるステージに関する。
本明細書において使用される、本発明の範囲内の「感染症」は、病原性もしくは潜在的に病原性の微生物により、正常な無菌組織または体液の侵入により引き起こされる病理学的プロセスを意味し、細菌、ウイルス、真菌、および/または寄生虫による感染症に関する。したがって、感染症は、細菌感染症、ウイルス感染症、および/または真菌感染症であり得る。感染症は、局所または全身性感染症であり得る。さらに、感染症に罹患している対象は、同時に、感染症の1つより多くの供給源に罹患し得る。例えば、感染症に罹患している対象は、細菌感染症およびウイルス感染症;ウイルス感染症および真菌感染症;細菌および真菌感染症、ならびに細菌感染症、真菌感染症およびウイルス感染症に罹患し得る。
特に、対象は、敗血症に罹患する。さらに、対象は、好ましくは、呼吸器系疾患、好ましくは、下気道の感染症に罹患していてもよい。本明細書において使用される呼吸器系疾患は、より高等な生物においてガス交換を可能にする臓器および組織に影響する病理学的状態を含み、また上気道、気管、気管支、細気管支、肺胞、胸膜および胸膜腔の状態、ならびに呼吸の神経および筋肉を含む。
特に、本発明の方法およびキットにおいて、当該呼吸器系疾患に罹患している当該対象の当該試料における少なくとも1つのヒストンのレベルは、7日以内に生じる有害事象、特に、死亡を示す。
特に、本発明の方法およびキットにおいて、対象は、尿路感染症に罹患し、当該尿路感染症に罹患している当該対象の当該試料における少なくとも1つのヒストンの当該レベルは、28日以内に生じる有害事象、特に、死亡を示す。
特に、本発明の方法およびキットにおいて、対象は、悪性腫瘍に罹患し、当該悪性腫瘍に罹患している当該対象の当該試料における少なくとも1つのヒストンの当該レベルは、7日以内に生じる有害事象、特に、死亡を示す。
本明細書において使用される、用語「試料」は、対象から得られる生物学的試料である。本明細書において使用される、「試料」は、例えば、患者のような、目的の対象の診断、予後、もしくは評価の目的のため得られた体液または組織の試料を指してもよい。好ましくは、本明細書において、試料は、血液、血清、血漿、脳脊髄液、尿、汗、痰、および胸水のような、体液の試料である。特に、試料は、血液、血液血漿、血液血清、または尿である。試料は、分取または精製方法、例えば、全血の血清または血漿成分への分離によるように処理され(前処理され)得る。かかる前処理はまた、希釈、濾過、遠心分離、濃縮、沈降、沈殿または透析を含み得るが、これらに限定されない。前処理はまた、酸、塩基、バッファー、塩、溶媒、反応性の染料、界面活性剤、乳化剤、キレート剤のような、化学的または生化学的物質の溶液への添加を含んでもよい。好ましくは、試料は、血液試料であり、より好ましくは、血清試料または血漿試料である。
本発明との関係における「血漿」は、遠心分離後に得られる、抗凝固剤を含有する血液の実質的に細胞を含まない上清である。典型的な抗凝固剤は、EDTAまたはクエン酸のようなカルシウムイオン結合化合物、およびへパリネートまたはヒルジンのようなトロンビンインヒビターを含む。細胞を含まない血漿は、抗凝固剤処置された血液(例えば、クエン酸化、EDTAまたはヘパリン処理された血液)、例えば、少なくとも15分間の2000〜3000gでの遠心分離により得ることができる。
本発明との関係における「血清」は、血液を凝固させた後に集められる全血の液体分画である。凝血した血液(凝固した血液)が遠心分離されるとき、血清は、上清として得ることができる。
本明細書において使用される、「尿」は、排尿(または放尿)と呼ばれるプロセスを介して腎臓により分泌され、尿道を通じて排泄される身体の液体産物である。
上記の通り、少なくとも1つのヒストンおよび/またはproADMのレベルは、対象の試料において決定される。当業者は、試料におけるバイオマーカーのレベルを決定するために利用することができる方法/アッセイを知っている。
上記の通り、少なくとも1つのヒストンのレベルが決定される、特に、ヒストンH2B、H4、H2Aおよび/またはH3のレベルが決定される。特に、ヒストンまたはヒストンフラグメントを決定することができる。かかるフラグメントは、本明細書において以下で例示される。
かかるヒストンまたはそのフラグメントはまた、遊離ヒストンを表してもよい。例えば、本発明の方法、キットおよび抗体は、特に、遊離ヒストンのペプチドまたはエピトープを検出してもよい。アミノ酸のかかる区間はまた、本明細書において、ヒストンの中心領域または部分として言及される。以下において、本明細書において提供される方法を使用して遊離ヒストンを検出するために利用され得る、ペプチドまたはエピトープが記載される。
特に、少なくとも1つのヒストンは、ヒストンH4であり得、少なくとも、配列番号1に示されるヒストンH4のアミノ酸残基22〜102に及ぶ配列のペプチドが決定される。特に、わずか1つのヒストンは、ヒストンH4であり、少なくとも、配列番号1の残基60〜67、配列番号1の残基46〜56、配列番号1の残基67〜78、配列番号1の残基22〜30、配列番号1の残基67〜78、配列番号1の残基92〜102、配列番号1の残基22〜34、配列番号1の残基46〜102、配列番号1の残基46〜55、配列番号1の残基80〜91、配列番号1の残基24〜35、および配列番号1の残基68〜77に及ぶアミノ酸配列からなる群から選択される配列のペプチドが決定される。例えば、2つのペプチドが、決定されてもよい。
特に、わずか1つのヒストンは、ヒストンH4であり、配列番号1の残基46〜56および配列番号1の残基67〜78に及ぶアミノ酸配列のペプチドが決定される。
さらに、わずか1つのヒストンは、ヒストンH2Aであり、少なくとも、配列番号2に示されるヒストンH2Aのアミノ酸残基20〜118に及ぶ配列のペプチドが決定される。特に、わずか1つのヒストンは、ヒストンH2Aであり、少なくとも、配列番号2の残基21〜53、配列番号2の残基21〜29、配列番号2の残基30〜53、配列番号2の残基120〜129、配列番号2の残基21〜29、配列番号2の残基82〜88、配列番号2の残基89〜95、および配列番号2の残基100〜118に及ぶアミノ酸配列からなる群から選択される配列のペプチドが決定される。
さらに、わずか1つのヒストンは、ヒストンH3であり、少なくとも、配列番号3に示されるヒストンH3のアミノ酸残基27〜62に及ぶ配列のペプチドが決定される。さらに、わずか1つのヒストンは、ヒストンH3であり、少なくとも、配列番号3のアミノ酸残基27〜37に及ぶ、および/または配列番号3のアミノ酸残基52〜62に及ぶ配列のペプチドが決定される。
さらに、わずか1つのヒストンは、ヒストンH2Bであり、少なくとも、配列番号4に示されるヒストンH2Bのアミノ酸残基41〜69に及ぶ配列のペプチドが決定される。
さらに、わずか1つのヒストンは、ヒストンH2Aであり、少なくとも、配列番号7、8、9および10からなる群から選択されるペプチドまたはそのフラグメントが決定される。
さらに、わずか1つのヒストンは、ヒストンH4であり、少なくとも、配列番号11、12、13、14、15および16からなる群から選択されるペプチドまたはそのフラグメントが決定され得る。
本明細書において、1つ、2つ、3つ、4つ以上のペプチドを決定することができることが、理解される。
マーカー、例えば、少なくとも1つのヒストンもしくはそのフラグメントおよび/またはproADMもしくはそのフラグメントのレベルは、マーカーの濃度を確実に決定する任意のアッセイにより決定することができる。特に、質量分析(MS)および/またはイムノアッセイが、付記された実施例において例示される通り、使用され得る。本明細書において使用される、イムノアッセイは、抗体もしくは抗体結合フラグメントまたは免疫グロブリンの使用を介して溶液中の高分子/ポリペプチドの存在または濃度を測定する生化学的試験である。
あるいは、抗体の代わりに、ヒストン配列、ヒストンエピトープおよびヒストンの構造上の立体構造を特異的ならびに/もしくは選択的に認識する他の捕獲分子または分子スキャフォールドが、本発明の範囲により包含されてもよい。本明細書において、用語「捕獲分子」または「分子スキャフォールド」は、試料由来の、目的の標的分子または分子、すなわち、分析物(例えば、ヒストンおよび/もしくはproADM)に結合するために使用され得る分子を含む。したがって、捕獲分子は、空間的、ならびに表面変化、疎水性、親水性、ルイスドナーおよび/もしくは標的分子または目的の分子に特異的に結合するためのアクセプターの存在または不存在のような表面特性の点の両方で十分に形作られなければならない。これにより、結合は、捕獲分子または分子スキャフォールドと標的分子または目的の分子の間の、例えば、イオン性、ファンデルワールス、パイ−パイ、シグマ−パイ、疎水性または水素結合相互作用、または上述の相互作用または共有結合性相互作用の2つ以上の組み合わせにより仲介されてもよい。本発明との関係において、捕獲分子または分子スキャフォールドは、例えば、核酸分子、炭水化物分子、PNA分子、タンパク質、ペプチドおよび糖タンパク質からなる群から選択されてもよい。捕獲分子または分子スキャフォールドは、例えば、アプタマー、DARpin(デザインされたアンキリンリピートタンパク質)、Affimerなどを含む。
本明細書において使用される、用語「抗体」は、免疫グロブリン分子、および免疫グロブリン(Ig)分子、すなわち、抗原に特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含有する分子の免疫学的に活性な部分を指す。本発明によると、抗体は、モノクローナルならびにポリクローナル抗体であってもよい。特に、少なくとも1つのヒストンに特異的に結合する抗体、および/またはproADMに特異的に結合する抗体が使用される。抗体は、目的の分子、例えば、少なくとも1つのヒストンおよび/もしくはproADM、またはそのフラグメントに対するその親和性が、目的の分子を含有する試料に含まれる他の分子に対するものより、少なくとも50倍高い、好ましくは、100倍高い、最も好ましくは、少なくとも1000倍高いなら、特異的であるとみなされる。所定の特異性を有する抗体を開発し、選択する方法は、当該技術分野において周知である。本発明との関係において、モノクローナル抗体が好ましい。抗体または抗体結合フラグメントは、本明細書において定義されたマーカーまたはそのフラグメントに特異的に結合する。特に、抗体または抗体の結合フラグメントは、本明細書において定義された少なくとも1つのヒストンタンパク質のペプチドに結合する。したがって、本明細書において定義されたペプチドはまた、抗体が特異的に結合するエピトープであり得る。さらに、proADM、特に、MR−proADMに特異的に結合する、抗体または抗体の結合フラグメントが、本発明の方法およびキットにおいて使用される。典型的なイムノアッセイは、発光イムノアッセイ(LIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、化学発光および蛍光イムノアッセイ、酵素イムノアッセイ(EIA)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、発光ベースのビーズアレイ、磁気ビーズベースのアレイ、タンパク質マイクロアレイアッセイ、迅速試験フォーマットまたは稀少クリプテートアッセイであり得る。さらに、例えば、免疫クロマトグラフィーストリップ試験のようなポイントオブケア試験および迅速試験フォーマットに適したアッセイを利用することができる。
本発明のある特定の態様において、方法は、対象の有害事象の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化方法であり、当該方法は、
(i)対象の試料を得ること;
(ii)試料を、当該少なくとも1つのヒストンおよび/または当該proADMのエピトープに特異的な抗体もしくは抗原結合フラグメントまたはその誘導体と接触させること、ならびに抗体もしくは抗原結合フラグメントまたはその誘導体と当該少なくとも1つのヒストンおよび/または当該proADMの間の結合を検出することにより、当該対象の試料における少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはプロアドレノメデュリン(proADM)のレベルを検出することを含み;
(iii)少なくとも1つのヒストンの当該レベルおよび/またはプロアドレノメデュリン(proADM)の当該レベルが、当該対象の当該有害事象を示す。
本発明のある特定の態様において、方法は、
a)試料を
(i)ヒストンまたはproADMの第1のエピトープに特異的な第1の抗体もしくは抗原結合フラグメントまたはその誘導体、および
(ii)ヒストンまたはproADMの第2のエピトープに特異的な第2の抗体もしくは抗原結合フラグメントまたはその誘導体
と接触させる;ならびに
b)第1および第2の抗体もしくは抗原結合フラグメントまたはその誘導体のヒストンまたはproADMへの結合を検出する
ステップを含むイムノアッセイである。
好ましくは、抗体の一方が標識され得、他方の抗体が、固相に結合され得るか、または固相に選択的に結合され得る。アッセイの特に好ましい態様において、抗体の一方が標識され、一方、他方が、固相に結合されるか、または固相に選択的に結合され得るかのいずれかである。第1の抗体および第2の抗体は、液体反応混合物に分散して存在し得、蛍光または化学発光吸光または増幅に基づく標識システムの一部である第1の標識成分が、第1の抗体に結合し、検出されるべき当該少なくとも1つのヒストンおよび/または当該proADMへの両方の抗体の結合後、測定溶液中の生じたサンドイッチ複合体の検出を可能にする測定可能なシグナルが生じるように、当該標識システムの第2の標識成分が、第2の抗体に結合される。標識システムは、特に、シアニンタイプである、蛍光または化学発光色素との組み合わせでレアアースクリプテートまたはキレート剤を含み得る。
好ましい実施形態において、方法は、異種性サンドイッチイムノアッセイとして実行され、抗体の1つが、任意に選択された固相、例えば、コーティングされた試験管の壁(例えば、ポリスチロール試験管;コーティングされた管;CT)または例えば、ポリスチロールからなる、マイクロタイタープレート、または例えば、磁気粒子のような、粒子に固定化され、これにより、他の抗体が、検出可能な標識に似ているか、または標識への選択的結合を可能にする基を有し、形成されたサンドイッチ構造の検出を果たす。適当な固相を使用した一時的に遅延されるか、またはその後の固定化もまた可能である。
本発明による方法は、さらに、異種性の方法として具体化され得、抗体/複数の抗体およびマーカー、例えば、検出されるべきヒストンもしくはproADMまたはそのフラグメントにより形成されたサンドイッチ複合体は、液相に懸濁されたままである。この場合において、2つの抗体が使用されるとき、両方の抗体が、検出システムの一部で標識され、両方の抗体が、単一のサンドイッチに取り込まれたなら、シグナルの生成に至るか、またはシグナルの引き金を引くことが好ましい。かかる技術は、特に、蛍光増強または蛍光クエンチング検出方法として具体化されるべきである。特に、好ましい態様は、例えば、米国特許第4882733A号、欧州特許第B10180492号または欧州特許第B10539477号およびこれらで引用された先行技術において記載されるもののような、対として使用されるべきである検出試薬の使用に関する。この方法において、反応混合物において直接、単一の免疫複合体中の両方の標識成分を含む反応産物のみが検出される測定が、可能になる。例えば、かかるテクノロジーは、商標名TRACE(登録商標)(時間分解増幅クリプテート放出)またはKRYPTOR(登録商標)の下で提供され、これらは上で引用された適用の教示を実行する。それ故、特に好ましい態様において、診断装置を使用して、本明細書に提供される方法を実施する。例えば、本明細書に提供される方法の、ヒストンもしくはproADMまたはそのフラグメントのレベル、および/あるいは任意のさらなるマーカーのレベルが決定される。特に好ましい態様において、診断装置は、KRYPTOR(登録商標)である。
さらに、本発明のイムノアッセイ方法は、好ましくは、少なくとも1つのヒストンおよび/またはproADMのエピトープに特異的である第1の抗体および/もしくは第2の抗体またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体を利用してもよい。典型的には、proADMおよび/または少なくとも1つのヒストンのレベルの決定に適当であり得るペプチドが、本明細書において以下および上で記載される。
例えば、本発明のイムノアッセイ方法は、好ましくは、ヒストンH4のエピトープに特異的である第1の抗体および/もしくは第2の抗体またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体を利用し、第1のエピトープおよび/または第2のエピトープは、配列番号1のアミノ酸残基22〜102に及ぶ配列に存在するヒストンH4のエピトープである。
さらに、本発明のイムノアッセイ方法は、配列番号1のアミノ酸残基46〜56に及ぶ配列に存在するヒストンH4のエピトープに特異的である第1の抗体、抗原結合フラグメントまたはその誘導体、および配列番号1のアミノ酸残基67〜78に及ぶ配列に存在するヒストンH4のエピトープに特異的である第2の抗体、抗原結合フラグメントまたはその誘導体を利用してもよい。
例えば、本発明のイムノアッセイ方法は、好ましくは、ヒストンH2Bのエピトープに特異的である第4の抗体および/もしくは第2の抗体またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体を利用し、第1のエピトープおよび/または第2のエピトープは、配列番号1のアミノ酸残基41〜69に及ぶ配列に存在するヒストンH2Bのエピトープである。
さらに、本発明のイムノアッセイ方法は、好ましくは、ヒストンH2Aのエピトープに特異的である第1の抗体および/もしくは第2の抗体またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体を利用し、第1のエピトープおよび/または第2のエピトープは、配列番号2のアミノ酸残基20〜118に及ぶ配列に存在するヒストンH2Aのエピトープである。
さらに、本発明のイムノアッセイ方法は、ヒストンH2Aのエピトープに特異的である第1の抗体および/もしくは第2の抗体またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体を利用し、第1のエピトープおよび/または第2のエピトープは、配列番号2のアミノ酸残基21〜53、20〜118、または120〜129に及ぶ配列に存在するヒストンH2Aのエピトープである。
さらに、本発明のイムノアッセイ方法は、ヒストンH3のエピトープに特異的である第1の抗体および/もしくは第2の抗体またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体を利用し、第1のエピトープおよび/または第2のエピトープは、配列番号3のアミノ酸残基27〜62に及ぶ配列に存在するヒストンH3のエピトープである。
より好ましくは、本発明のイムノアッセイ方法は、ヒストンH4のエピトープに特異的である第1の抗体および/もしくは第2の抗体またはその抗原結合フラグメントまたは誘導体を利用してもよく、エピトープは、配列番号1の残基22〜30、配列番号1の残基46〜56、配列番号1の残基67〜78、配列番号1の残基92〜102、配列番号1の残基22〜34、および配列番号1の残基46〜102に及ぶアミノ酸配列からなる群から選択される。
さらに、本発明のイムノアッセイ方法は、ヒストンH2Aのエピトープに特異的である第1の抗体および/もしくは第2の抗体またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体を利用してもよく、エピトープは、配列番号2の残基21〜53、配列番号2の残基21〜29、配列番号2の残基30〜53、および配列番号2の残基120〜129に及ぶアミノ酸配列からなる群から選択される。
さらに、本発明のイムノアッセイ方法は、配列番号4の残基41〜69に及ぶヒストンH2Bのエピトープに特異的である第1の抗体および/もしくは第2の抗体またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体を利用してもよい。
さらに、本発明のイムノアッセイ方法は、配列番号3の残基27〜37に及ぶ、および/または配列番号3の残基52〜62に及ぶヒストンH3のエピトープに特異的である第1の抗体および/もしくは第2の抗体またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体を利用してもよい。
さらに、本発明のイムノアッセイ方法は、配列番号2により表されるヒストンH2A配列のアミノ酸残基21〜53および/または120〜129に及ぶ配列に存在するヒストンH2Aのエピトープに特異的である第1の抗体および/もしくは第2の抗体またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体を利用してもよい。
さらに、本発明のイムノアッセイ方法は、配列番号1のアミノ酸残基22〜102に及ぶ配列に存在するヒストンH4のエピトープに特異的である第1の抗体、抗原結合フラグメントまたはその誘導体、および遊離ヒストンH2A、H2B、または好ましくは、H3のエピトープに特異的である第2の抗体、抗原結合フラグメントまたはその誘導体を利用してもよい。
さらに、本発明のイムノアッセイ方法は、配列番号4のアミノ酸残基41〜69に及ぶ配列に存在するヒストンH2Bのエピトープに特異的である第1の抗体、抗原結合フラグメントまたはその誘導体、および遊離ヒストンH2A、H4、もしくはH3のエピトープに特異的である第2の抗体、抗原結合フラグメントまたはその誘導体を利用してもよい。
さらに、本発明のイムノアッセイ方法は、配列番号2のアミノ酸残基20〜118に及ぶ配列に存在するヒストンH2Bのエピトープに特異的である第1の抗体、抗原結合フラグメントまたはその誘導体、および遊離ヒストンH2B、H4、もしくはH3のエピトープに特異的である第2の抗体、抗原結合フラグメントまたはその誘導体を利用してもよい。
さらに、本発明のイムノアッセイ方法は、配列番号3のアミノ酸残基27〜62に及ぶ配列に存在するヒストンH2Bのエピトープに特異的である第1の抗体、抗原結合フラグメントまたはその誘導体、および遊離ヒストンH2B、H4、もしくはH2Aのエピトープに特異的である第2の抗体、抗原結合フラグメントまたはその誘導体を利用してもよい。
さらに、本発明のイムノアッセイ方法は、配列番号2のアミノ酸残基21〜53、120〜129、もしくは20〜118に及ぶ配列に存在するヒストンH2Aのエピトープに特異的である第1の抗体、抗原結合フラグメントまたはその誘導体、および遊離ヒストンH3、H4、もしくは好ましくは、H2Bのエピトープに特異的である第2の抗体、抗原結合フラグメントまたはその誘導体を利用してもよい。
本発明は、さらに、上で詳述されたヒストンタンパク質もしくはそのフラグメントのエピトープに特異的である抗体または抗原結合フラグメントあるいはその誘導体に関する。ヒストンまたはproADM、好ましくは、MR−proADMを検出するために首尾よく利用される典型的な抗体が、付記された実施例に示される。したがって、本発明は、ヒストンH2B、H4、H2A、H3および/もしくはproADM、好ましくは、MR−proADMのエピトープに特異的である抗体、抗原結合フラグメントまたはその誘導体に関する。抗体が特異的に結合する典型的なエピトープまたはペプチドは、本明細書において上および下で記録される。
マーカー、例えば、少なくとも1つのヒストンおよび/またはproADMのレベルはまた、付記された実施例に記載される通り、質量分光(MS)ベースの分析により決定することができる。かかる方法は、当該生物学的試料または当該試料由来のタンパク質消化物(例えば、トリプシン消化物)における例えば、proADMおよび/もしくはヒストンの1つまたは複数の修飾されたあるいは修飾されていないフラグメントペプチドの存在、量あるいは濃度を検出すること、ならびに場合により、クロマトグラフィー方法で試料を分けること、ならびに調製され、場合により分けられた試料をMS分析の対象にすることを含んでもよい。例えば、選択された反応モニタリング(SRM)、複数の反応モニタリング(MRM)または並行反応モニタリング(PRM)質量分析を、MS分析において使用し、特に、少なくとも1つのヒストンペプチドの量を決定してもよい。本明細書において、用語「質量分析」または「MS」は、化合物をこれらの質量により同定するための分析技術を指す。質量分析の質量分解能および質量決定能を増強するために、試料は、MS分析に先立ち処理することができる。したがって、本発明は、免疫濃縮テクノロジー、試料調製に関連する方法、および/または好ましくは、液体クロマトグラフィー(LC)、より好ましくは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)または超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)を含むクロマトグラフィー方法と組み合わせることができるMS検出方法に関する。試料調製方法は、溶解、分取、試料のペプチドへの消化、枯渇、濃縮、透析、脱塩、アルキル化および/またはペプチド還元の技術を含む。しかしながら、これらのステップは、任意である。分析物イオンの選択的検出は、タンデム質量分析(MS/MS)で行われてもよい。タンデム質量分析は、質量選択ステップ(本明細書において使用される、用語「質量選択」は、特定のm/zまたは狭い範囲のm/zを有するイオンの単離を示す)により特徴付けられ、続いて、選択されたイオンが断片化され、得られた生成物(フラグメント)イオンが、質量分析される。
当業者は、質量分光方法により試料におけるマーカーのレベルを定量する方法を知っている。例えば、相対的定量「rSRM」または絶対量を、上で記載された通り、利用することができる。
本明細書において使用される、本発明との関係にける「診断」は、対象における有害事象、特に、死亡の認識および(早期)検出に関し、また、異なる診断を含んでもよい。また、有害事象の重症度の評価は、用語「診断」により包含されてもよい。例えば、状態がどれだけ重大であるか、有害事象の発生がどの程度であるかの評価。加えて、診断は、対象において有害事象が生じるときの時間、例えば、約少なくとも28、7または3日以内が予測され得る。
「予後」は、対象が有害事象、特に、死亡を経験する/有する/罹患する結果または特定のリスクの予測に関する。これはまた、当該対象について、回復の機会または有害な結果の機会の推定を含んでもよい。
本発明はまた、対象のモニタリング、治療指針および/または治療制御方法およびキットに関し、方法は、
(i)当該対象の試料における少なくとも1つのヒストンのレベルを決定することであって、少なくとも1つのヒストンの当該レベルが、当該対象の当該有害事象を示す、決定すること;および/または
(ii)当該対象の試料におけるプロアドレノメデュリン(proADM)のレベルを決定することであって、proADMの当該レベルが、当該対象の当該有害事象を示す、決定すること
を含む。
本発明の方法およびキットはまた、モニタリングのため使用されてもよい。「モニタリング」は、既に診断された疾患または医学的状態を追跡し続けて、例えば、疾患もしくは医学的状態の進行、または進行に対する特定の処置の影響を分析すること、および有害な結果、例えば、生命を危うくする健康状態または死亡でさえ予測することに関する。
本発明との関係における用語「治療制御」は、対象の治療処置のモニタリングおよび/または調整を指す。
本発明において、用語「リスク評価」および「リスク層別化」は、対象を、彼らのさらなる予後に従い異なるリスク群にグループ化することに関する。リスク評価はまた、予防および/または治療上の測定を適用するための層別化に関する。
本明細書において使用される、用語「治療指針」は、1つもしくは複数のバイオマーカーおよび/または臨床上のパラメーターおよび/または臨床スコアの値に基づくある特定の治療または医学的介入の適用を指す。
本発明は、さらに、キット、キットの使用、およびかかるキットを使用する方法に関する。本発明は、本明細書において上および下で提供される方法を実施するためのキットに関する。例えば、方法と関連して提供される、本明細書において提供される定義をまた、本発明のキットに適用する。特に、本発明は、診断、予後、リスク、リスク評価、および/またはリスク層別化のためのキットであって、
(i)当該対象の当該試料における少なくとも1つのヒストンの当該レベル、および
少なくとも1つのヒストンの当該参照レベルを含む参照データを決定するための検出試薬であって、
少なくとも1つのヒストンの当該参照レベルと比較して当該対象の当該試料における当該少なくとも1つのヒストンの増大したレベルが、当該対象の有害事象を示す、検出試薬;ならびに/または
(ii)当該対象の当該試料におけるproADMの当該レベル、および
proADMの当該参照レベルを含む参照データを決定するための検出試薬であって、
proADMの当該参照レベルと比較して当該対象の当該試料における当該proADMの増大したレベルが、当該対象の有害事象を示す、検出試薬、
を含むキットに関する。
本発明はまた、対象の有害事象の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化のためのキットならびにその使用に関し、
(i)少なくとも1つのヒストンのレベルが、対象の試料において決定され、
少なくとも1つのヒストンのレベルが、少なくとも1つのヒストンの参照レベルと比較され、
当該対象の有害事象が、試料において決定された少なくとも1つのヒストンのレベルと少なくとも1つのヒストンの参照レベルの比較に基づき同定され;および/または
(ii)proADMのレベルが、対象の試料において決定され、
proADMのレベルが、proADMの参照レベルと比較され、
対象の有害事象が、試料において決定されたproADMのレベルとproADMの参照レベルの比較に基づき同定される。
本発明はまた、対象の有害事象の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化のためのキットおよびその使用に関し、
(i)キットが、対象の試料における少なくとも1つのヒストンのレベルを決定するための検出試薬を含み、
少なくとも1つのヒストンのレベルが、当該対象の有害事象を示す;および/または
(ii)当該キットが、対象の試料におけるproADMのレベルを決定するための検出試薬を含み、
当該proADMの当該レベルが、当該対象の当該有害事象を示す。
本明細書において使用される、「参照データ」は、少なくとも1つのヒストンおよび/またはproADM、特に、MR−proADMの参照レベルを含む。対象の試料における少なくとも1つのヒストンおよび/またはproADMのレベルは、キットの参照データに含まれる参照レベルと比較することができる。決定されたマーカーの増大したレベルは、有害事象、特に、死亡を示す。参照レベルは、本明細書において上で記載される。参照データはまた、少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADMのレベルが比較される参照試料を含み得る。参照データはまた、本発明のキットを使用する方法の指示マニュアルを含み得る。
本明細書において使用される、「検出試薬」などは、本明細書において記載されたマーカー、例えば、少なくとも1つのヒストンおよび/またはproADMを決定するのに適した試薬である。かかる典型的な検出試薬は、本明細書において記載されたマーカーのペプチドもしくはエピトープに特異的に結合する、例えば、リガンド、例えば、抗体またはそのフラグメントである。かかるリガンドは、上で記載されたイムノアッセイにおいて使用されてもよい。マーカーのレベルを決定するためにイムノアッセイにおいて利用されるさらなる試薬はまた、キットに含まれてもよく、本明細書において検出試薬とみなされる。検出試薬はまた、MSベースの方法によりマーカーまたはそのフラグメントを検出するために利用される試薬に関し得る。したがって、かかる検出試薬はまた、MS分析のための試料を調製するために使用される試薬、例えば、酵素、化学物質、バッファーなどであり得る。質量分析計はまた、検出試薬とみなされ得る。本発明による検出試薬はまた、例えば、マーカーのレベルを決定し、比較するために利用することができる校正溶液であり得る。
所定の定義および説明はまた、必要な変更を以下の項目に適用する。本発明はまた、ある特定の実施形態における以下の項目に関する。
1.対象の有害事象の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化方法であって、
(i)当該対象の試料における少なくとも1つのヒストンのレベルを決定することであって、少なくとも1つのヒストンの当該レベルが、当該対象の当該有害事象を示す、決定すること;および/または
(ii)当該対象の試料におけるプロアドレノメデュリン(proADM)のレベルを決定することであって、proADMの当該レベルが、当該対象の有害事象を示す、決定すること、
を含む、方法。
2.当該有害事象が28日以内の生じる、項目1の方法。
3.(i1)少なくとも1つのヒストンの当該レベルが、少なくとも1つのヒストンの参照レベルと比較され;および/または
(ii1)proADMの当該レベルが、proADMの参照レベルと比較され;および
(iii)当該対象の当該有害事象が、それぞれ、ステップ(i1)および/または(ii1)における前記比較に基づき同定される、
項目1または2の方法。
4.(i)少なくとも1つのヒストンの参照レベルと比較して少なくとも1つのヒストンのレベルの増加が、当該対象の当該有害事象を示す;および/または
(ii)proADMの前記参照レベルと比較してproADMのレベルの増加が、当該対象の当該有害事象を示す
項目1〜3のいずれか1つの方法。
5.当該有害事象が、死亡、臓器障害、多臓器障害、および感染症のような、疾患または医学的障害からなる群から選択される、項目1〜4のいずれか1つの方法。
6.当該有害事象が死亡である、項目1〜5のいずれか1つの方法。
7.(i)当該少なくとも1つのヒストンの増大したレベルが、少なくとも1つのヒストンの当該参照レベルの約2倍高い;および/または
(ii)当該proADMの増大したレベルが、proADMの当該参照レベルの約2倍高い
項目1〜6のいずれか1つの方法。
8.少なくとも1つのヒストンの当該参照レベルおよび/またはproADMの参照レベルが、少なくとも1人の参照対象の少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADMのレベルである、項目3〜4のいずれか1つの方法。
6.参照対象が、健常対象および/または有害事象を有しない対象である、項目4の方法。
7.少なくとも1つのヒストンの当該参照レベルおよび/またはproADMの参照レベルが、当該対象の分析に先立ち得られる少なくとも1つのヒストンおよび/またはproADMのレベルである、項目2〜4のいずれか1つの方法。
8.当該proADMが、中間領域プロアドレノメデュリン(MR−proADM)である、項目1〜7のいずれか1つの方法。
9.当該対象のproADMの当該レベルが、28日以内に生じる当該対象の当該有害事象、好ましくは死亡を示す、項目1〜8のいずれか1つの方法。
10.当該対象のproADMの当該レベルが、7日以内に生じる当該対象の当該有害事象、好ましくは、死亡を示す、項目1〜9のいずれか1つの方法。
11.当該少なくとも1つのヒストンが、ヒストンH2B、ヒストンH2A、ヒストンH3および/またはヒストンH4である、項目1〜10のいずれか1つの方法。
12.当該少なくとも1つのヒストンが、ヒストンH2Bである、項目1〜11のいずれか1つの方法。
13.当該対象の当該少なくとも1つのヒストンのレベルが、7日以内または3日以内に生じる当該対象の当該有害事象、好ましくは、死亡を示す、項目1〜12のいずれか1つの方法。
14.当該試料におけるアルドラーゼBのレベル、当該試料におけるコペプチンのレベル、当該試料における乳酸のレベル、当該試料におけるプロカルシトニン(PCT)のレベル、当該対象の連続臓器不全評価スコア(sequential organ failure assessment score:SOFAスコア)、簡易急性生理学スコア(simplified acute physiology score II:SAPS IIスコア)、当該対象の急性生理学及び慢性健康評価II(Acute Physiology and Chronic Health Evaluation score:APACHE II)スコア、および当該試料における可溶性fms様チロシンキナーゼ−1(sFlt−1)のレベルからなる群から選択される当該対象の少なくとも1つのマーカーならびに/またはパラメーターを決定することをさらに含む、項目1〜13のいずれか1つの方法。
15.当該対象の当該試料における少なくとも1つのヒストンの当該レベルおよびproADMの当該レベルを決定することを含む、項目1〜14のいずれか1つの方法。
16.少なくとも1つのヒストンの当該レベルおよびproADMの当該レベルが、28日以内に生じる当該対象の当該有害事象、好ましくは、死亡を示す、項目15の方法。
17.当該対象の当該試料における少なくとも1つのヒストンの当該レベル、および当該対象の当該SAPS IIスコアを決定することを含む、項目1〜16のいずれか1つの方法。
18.少なくとも1つのヒストンの当該レベルおよび当該SAPS IIスコアが、28日以内に生じる当該対象の当該有害事象、好ましくは、死亡を示す、項目17の方法。
19.当該対象の当該試料におけるproADMの当該レベル、および当該対象の当該SAPS IIスコアを決定することを含む、項目1〜18のいずれか1つの方法。
20.proADMの当該レベルおよび当該SAPS IIスコアが、28日以内または7日以内に生じる当該対象の当該有害事象、好ましくは、死亡を示す、項目19の方法。
21.当該対象が、疾患または医学的状態に罹患している、項目1〜20のいずれか1つの方法。
22.当該対象が、重症患者であり、好ましくは、当該対象が、集中治療室に入院している、項目1〜21のいずれか1つの方法。
23.当該対象が、疾患または医学的状態に罹患し、当該疾患または医学的状態が、呼吸器系疾患、尿路感染症、感染性および非感染性の病因に関連する炎症反応、全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症、重症敗血症、敗血性ショック、臓器不全、心血管疾患、糖尿病、悪性腫瘍、肝疾患、腎疾患および/または免疫抑制からなる群から選択される、項目1〜22のいずれか1つの方法。
24.当該対象が敗血症に罹患している、項目1〜23のいずれか1つの方法。
25.当該対象が、呼吸器系疾患、好ましくは、下気道の感染症に罹患している、項目1〜26のいずれか1つの方法。
26.当該呼吸器系疾患に罹患している当該対象の当該試料における少なくとも1つのヒストンの当該レベルが、7日以内に生じる死亡を示す、項目27の方法。
27.当該対象が尿路感染症に罹患している、項目1〜26のいずれか1つの方法。
28.当該尿路感染症に罹患している当該対象の当該試料における少なくとも1つの当該レベルが、28日以内に生じる死亡を示す、項目27の方法。
29.当該対象が悪性腫瘍に罹患している、項目1〜28のいずれか1つの方法。
30.当該悪性腫瘍に罹患している当該対象の当該試料における少なくとも1つのヒストンの当該レベルが、7日以内に生じる死亡を示す、項目29の方法。
31.当該試料が、体液、血液、血液血漿、血液血清、または尿である、項目1〜30のいずれか1つの方法。
32.少なくとも1つのヒストンおよび/またはproADMの当該レベルが、質量分析(MS)、発光イムノアッセイ(LIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、化学発光および蛍光イムノアッセイ、酵素イムノアッセイ(EIA)、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)、発光ベースのビーズアレイ、磁気ビーズベースのアレイ、タンパク質マイクロアレイアッセイ、迅速試験フォーマット、ならびに稀少クリプテートアッセイからなる群から選択される方法を使用して決定される、項目1〜31のいずれか1つの方法。
33.イムノアッセイであり、アッセイが、異種性の相においてまたは同種の相において行われる、項目32の方法。
34.a)試料を
(i)ヒストンまたはproADMの第1のエピトープに特異的な第1の抗体または抗原結合フラグメントもしくはその誘導体、および
(ii)ヒストンまたはproADMの第2のエピトープに特異的な第2の抗体もしくは抗原結合フラグメントまたはその誘導体
と接触させる;ならびに
b)第1および第2の抗体もしくは抗原結合フラグメントまたはその誘導体の当該第1のヒストンまたはproADMへの結合を検出する
ステップを含むイムノアッセイである、項目32の方法。
35.第1または第2の抗体の1つが標識され、他の抗体が、固相に結合するか、または選択的に結合する能力がある、項目34の方法。
36.第1の抗体および第2の抗体が、液体反応混合物に分散して存在し、蛍光または化学発光吸光または増幅に基づく標識システムの一部である第1の標識成分が、第1の抗体に結合し、当該標識システムの第2の標識成分が、検出されるべき当該少なくとも1つのヒストンおよび/または当該proADMへの両方の抗体の結合後、測定溶液における生じたサンドイッチ複合体の検出を可能にする測定可能なシグナルが生じるように、第2の抗体に結合する、項目34または35の方法。
37.標識システムが、特に、シアニンタイプの蛍光または化学発光色素と組み合わせたレアアースクリプテートまたはキレート剤を含む、項目36の方法。
38.MS分析方法が、反応モニタリング(SRM)、複数の反応モニタリング(MRM)または並行反応モニタリング(PRM)である、項目32の方法。
39.当該少なくとも1つのヒストンが、ヒストンH4であり、少なくとも、配列番号1に示されるヒストンH4のアミノ酸残基22〜102に及ぶ配列のペプチドが、決定される、項目1〜38のいずれか1つの方法。
40.当該少なくとも1つのヒストンが、ヒストンH4であり、少なくとも、配列番号1の残基47〜59、配列番号1の残基68〜79、配列番号1の残基60〜67、配列番号1の残基22〜30、配列番号1の残基67〜78、配列番号1の残基92〜102、配列番号1の残基22〜34、配列番号1の残基46〜102、配列番号1の残基46〜55、配列番号1の残基80〜91、配列番号1の残基24〜35、および配列番号1の残基68〜77に及ぶアミノ酸配列からなる群から選択される配列のペプチドが決定される、項目1〜39のいずれか1つの方法。
41.当該少なくとも1つのヒストンが、ヒストンH2Aであり、少なくとも、配列番号2に示されるヒストンH2Aのアミノ酸残基20〜118に及ぶ配列のペプチドが、決定される、項目1〜40のいずれか1つの方法。
42.当該少なくとも1つのヒストンが、ヒストンH2Aであり、少なくとも、配列番号2の残基21〜53、配列番号2の残基21〜29、配列番号2の残基30〜53、配列番号2の残基120〜129、配列番号2の残基21〜29、配列番号2の残基82〜88、配列番号2の残基89〜95、および配列番号2の残基100〜118に及ぶアミノ酸配列からなる群から選択される配列のペプチドが決定される、項目1〜41のいずれか1つの方法。
43.当該少なくとも1つのヒストンが、ヒストンH3であり、少なくとも、配列番号3に示されるヒストンH3のアミノ酸残基27〜62に及ぶ配列のペプチドが、決定される、項目1〜42のいずれか1つの方法。
44.当該少なくとも1つのヒストンが、ヒストンH3であり、少なくとも、配列番号3のアミノ酸残基27〜37に及ぶ、および/または配列番号3のアミノ酸残基52〜62に及ぶ配列のペプチドが決定される、項目1〜43のいずれか1つの方法。
45.当該少なくとも1つのヒストンが、ヒストンH2Bであり、少なくとも、配列番号4に示されるヒストンH2Bのアミノ酸残基41〜69に及ぶ配列のペプチドが、決定される、項目1〜44のいずれか1つの方法。
46.当該少なくとも1つのヒストンが、ヒストンH2Aであり、少なくとも、配列番号7、8、9および10からなる群から選択されるペプチドまたはそのフラグメントが決定される、項目1〜45のいずれか1つの方法。
47.当該少なくとも1つのヒストンが、ヒストンH4であり、少なくとも、配列番号11、12、13、14、15および16からなる群から選択されるペプチドまたはそのフラグメントが、決定される、項目1〜46のいずれか1つの方法。
48.(i)当該対象の当該試料における少なくとも1つのヒストンの当該レベル、および
少なくとも1つのヒストンの当該参照レベルを含む参照データを決定するための検出試薬であって、少なくとも1つのヒストンの当該参照レベルと比較して当該対象の当該試料における少なくとも1つのヒストンのレベルの増加が、当該対象の有害事象を示す、検出試薬;ならびに/または
(ii)当該対象の当該試料におけるproADMの当該レベル、および
proADMの当該参照レベルを含む参照データを決定するための検出試薬であって、
proADMの当該参照レベルと比較して当該対象の当該試料におけるproADMのレベルの増加が、当該対象の有害事象を示す、検出試薬、
を含む、項目1〜47のいずれか1つに記載の方法を実施するためのキット。
49.項目1〜47のいずれか1つの方法における項目48に記載のキットの使用。
50.対象の有害事象の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化のための項目49に記載のキットの使用であって、
(i)少なくとも1つのヒストンの当該レベルが、当該対象の当該試料において決定され、
当該少なくとも1つのヒストンの当該レベルが、少なくとも1つのヒストンの当該参照レベルと比較され、
当該対象の当該有害事象が、当該試料において決定された少なくとも1つのヒストンの当該レベルと少なくとも1つのヒストンの当該参照レベルの比較に基づき同定される;および/または
(ii)proADMの当該レベルが、当該対象の当該試料において決定され、
proADMの当該レベルが、proADMの当該参照レベルと比較され、
当該対象の当該有害事象が、当該試料において決定されたproADMの当該レベルとproADMの当該参照レベルの比較に基づき同定される、
使用。
51.対象の有害事象の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化のためのキットの使用であって、
(i)当該キットが、対象の試料における少なくとも1つのヒストンのレベルを決定するための検出試薬を含み、
少なくとも1つのヒストンの当該レベルが、当該対象の当該有害事象を示す;および/または
(ii)当該キットが、対象の試料におけるproADMのレベルを決定するための検出試薬を含み、
当該proADMの当該レベルが、当該対象の当該有害事象を示す
使用。
本明細書において使用される、用語「含むこと」および「含むこと」またはその文法上の変形は、少なくとも規定された特性、整数、ステップまたは成分を特定すると受け取られるべきであるが、1つもしくは複数のさらなるその特性、整数、ステップ、成分または群の添加を除外しない。この用語は、任意のさらなる特性を排除して、規定された特性、整数、ステップまたは成分のみを特定すると解される用語「からなる」および「本質的にからなる」を包含する。
したがって、用語「含む(comprising)」/「含む(including)」/「有する」は、任意のさらなる成分(または同様に、特性、整数、ステップなど)が、存在し得る/してもよいことを意味する。
用語「からなる」は、さらなる成分(または同様に、特性、整数、ステップなど)が存在しないことを意味する。
本明細書において使用されるとき、用語「本質的にからなる」またはその文法上の変形は、規定される特性、整数、ステップまたは成分を特定すると取られるべきであるが、さらなるその特性、整数、ステップ、成分または群が、請求された組成物、装置または方法の基本的特徴および新規特徴を実質的に変えない場合のみ、1つもしくは複数のさらなるその特性、整数、ステップ、成分または群の添加を排除しない。
したがって、用語「本質的にからなる」は、さらなる成分に特異的なもの(または同様に、特性、整数、ステップなど)、すなわち、組成物、装置または方法の必須の特徴に実質的に影響しないものが、存在し得ることを意味する。言い換えると、用語「本質的にからなる」(本明細書において、用語「実質的に含む」と互換的に使用することができる)は、必須の成分(または同様に、特性、整数、ステップなど)に加えて、組成物、装置または方法における他の成分の存在を可能にする、但し、装置または方法の必須の特徴は、他の成分の存在により実質的に影響されない。
用語「方法」は、化学的、生物学的および生物物理学的分野の実施者に公知、または公知の方法、手段、技術および手法から容易に開発されるこれらの方法、手段、技術および手法を含むが、これらに限定されない、所定の目的を成し遂げるための方法、手段、技術および手法を指す。
用語「約」は、好ましくは、示された数値の±10%、より好ましくは、示された数値の±5%、特に、示された正確な数値を指す。
本明細書において使用される、用語「約」は、示される数値の±10%、特に、示された数値の±5%を指す。用語「約」が使用される限り、示される正確な数値への特定の参照もまた、含まれる。用語「約」が、所定の核酸におけるヌクレオチドの数のような、整数で定量されるパラメーターと組み合わせて使用されるなら、示される数値の±10%または±5%に対応する数が、最も近い整数に概算されるべきである。例えば、表現「約25個のアミノ酸」は、23〜28個の範囲のアミノ酸、特に、24〜26個の範囲のアミノ酸を指し、好ましくは、特定の値である25個のアミノ酸を指す。
診断および/または予後試験の感度ならびに特異性は、ただ試験の分析上の「質」以外に依存し、感度および特異性はまた、異常な結果を構成するものの定義に依存する。実際、受診者動作特性曲線(ROC曲線)は、典型的には、「正常」(すなわち、出生前障害または状態を有しない一見健常な個人)および「疾患」集団、例えば、有害事象、例えば、死亡を経験している/有している/罹患している対象における変数の値をその相対的頻度に対してプロットすることにより、計算される。任意の特定のマーカー(MR−proADMのような)について、疾患/状態を有する対象および有しない対象についてのマーカーレベルの分布は、重複するだろう。かかる条件下で、試験は、100%の精度で患者から正常を絶対的には区別せず、重複の範囲は、試験が疾患から正常を区別できないところを示し得る。試験が異常であるとみなされるより下、かつ試験が正常であるとみなされるより上、または試験が特定の状態、例えば、異常な現象を示すより下もしくは上の閾値が選択される。ROC曲線下面積は、予想された測定値が、状態の正しい同定を可能にする確率の測定値である。ROC曲線は、試験結果が、正確な数を必ずしも与えないときでさえ、使用することができる。人が結果をランク付けし得る限り、人は、ROC曲線を作成することができる。例えば、「疾患」試料(または有害事象)についての試験の結果は、程度に従いランク付けされてもよい(例えば、1=低い、2=正常、および3=高い)。このランク付けは、「正常」集団における結果に相関し、ROC曲線が作成され得る。これらの方法は、当該技術分野において周知である;例えば、Hanley et al.1982.Radiology 143:29−36を参照。好ましくは、閾値は、約0.5より広い、より好ましくは、約0.7より広い、さらにより好ましくは、約0.8より広い、なおより好ましくは、約0.85より広い、最も好ましくは、約0.9より広いROC曲線面積を提供するよう選択される。この関連における用語「約」は、所定の測定値の+/−5%を指す。
ROC曲線の横軸は、(1−特定)を表し、これは、偽陽性の割合に伴い増大する。曲線の縦軸は、感度を表し、これは、真の陽性の割合に伴い増大する。したがって、選択された特定のカットオフについて、(1−特定)の値が決定されてもよく、対応する感度が得られてもよい。ROC曲線下面積は、測定されたマーカーレベルが、有害事象、特に、死亡の正しい同定を可能にする可能性の測定である。したがって、ROC曲線下面積を使用して、試験の有効性を決定することができる。
他の実施形態において、陽性尤度比、陰性尤度比、オッズ比、またはハザード比は、リスクを予測するかまたは障害もしくは状態(有害な結果)、すなわち、「疾患群」を診断する試験の能力の測定値として使用される。陽性尤度比の場合において、値1は、陽性結果が、「疾患」と「対照」群の両方において対象の間で等しく起こり得ることを示し;1より大きい値は、陽性結果が、疾患群においてより起こり得ることを示し;1未満の値は、陽性結果が、対照群においてより起こり得ることを示す。陰性尤度比の場合において、値1は、陰性結果が、「疾患」と「対照」群の両方において対象の間で等しく起こり得ることを示し;1より大きい値は、陰性結果が、試験群においてより起こり得ることを示し;1未満の値は、陰性結果が、対照群においてより起こり得ることを示す。
オッズ比の場合において、値1は、陽性結果が、「疾患」と「対照」群の両方において対象の間で等しく起こり得ることを示し;1より大きい値は、陽性結果が、疾患群においてより起こり得ることを示し;1未満の値は、陽性結果が、対照群においてより起こり得ることを示す。
ハザード比の場合において、値1は、エンドポイント(例えば、死)の相対的リスクが、「疾患」と「対照」群の両方において等しいことを示し;1より大きい値は、リスクが、疾患群においてより高いことを示し;1未満の値は、リスクが、対照群においてより高いことを示す。
当業者は、診断とまたは将来的な臨床結果の予後リスクと、診断または予後指標を関連付けることが、統計的分析であることを理解する。例えば、Xより低いマーカーレベルは、患者が、統計上有意であるレベルにより決定された、X以上のレベルを有する患者より、有害事象/結果に罹患しやすいことを知らせ得る。加えて、ベースラインレベルからのマーカー濃度における変化は、患者の予後を反映し得、マーカーレベルにおける変化の程度が、有害事象の重症度と関連し得る。統計上の有意性は、しばしば、2つ以上の集団を比較し、信頼区間および/またはp値を決定することにより決定される;例えば、Dowdy and Wearden,Statistics for Research,John Wiley&Sons,New York,1983を参照。本発明の好ましい信頼区間は、90%、95%、97.5%、98%、99%、99.5%、99.9%および99.99%であり、一方、好ましいp値は、0.1、0.05、0.025、0.02、0.01、0.005、0.001、および0.0001である。
別段示されない限り、確立された方法の組換え遺伝子テクノロジーが、例えば、全体が、参照により本明細書に組み込まれるSambrook,Russell“Molecular Cloning,A Laboratory Manual”,Cold Spring Harbor Laboratory,N.Y.(2001)に記載される通り、使用された。
本発明は、以下の非限定的な図面および実施例を参照することにより、さらに記載される。
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照してさらに記載される。
実施例1
方法:
研究集団
2013年6月1日から2014年6月14日までに、ディジョン・ブルゴーニュのユニヴェルシテール総合病院(centre hospitalier universitaire:CHU)の内科の集中治療室(ICU)に入院した237人の重症患者を、臨床研究に連続して登録した。18歳未満の患者を除外した。研究は、地方の施設内倫理委員会により承認された。登録前、記載のインフォームド・コンセントを、患者自身から、または患者の最近親者から得た。全ての患者は、心血管疾患、糖尿病、悪性腫瘍、呼吸器系疾患、肝疾患、腎疾患および免疫抑制を含む、広範な疾患を示し、退院または病院での死亡までモニターした。診療記録、画像および微生物学結果の遡及的検討に基づき、2人の独立した医師が、国際標準基準に従い、入院の日に患者を、非敗血症(全身性炎症反応症候群(SIRS)またはSIRSでない)、重症敗血症または敗血性ショックのいずれかに分類した(Bone,Balk et al.1992)。入院の日、すなわち、最初の24時間の間に、血液試料を採取した。ベースラインの人口動態および病歴を含む臨床データ、身体検査の結果、日常的な血液分析物(例えば、血液培養物)、実験室でない診断検討(例えば、SIRS基準、臓器不全(OF)基準)、治療介入(例えば、人工呼吸(MV)、血管収縮性および腎置換療法(RRT))ならびに結果のパラメーター(例えば、入院の長さ、全原因死亡)を記録した。6つの臓器パラメーターに基づく、連続臓器不全評価(sequential organ failure assessment:SOFA)スコア、および17つの主な生理学変数に基づく、簡易急性生理学スコア(simplified acute physiology score II:SAPS II)を入院の際に計算した(Le Gall,Lemeshow et al.1993;Vincent,Moreno et al.1996)。
バイオマーカー
血清乳酸レベルを、Roche Diagnostics、メラン、フランスのe501モジュールアナライザーを使用した比色分析アッセイにより測定した。乳酸についての参照限界は、0.5〜2.2mmol/Lであった。
MR−proADM(中間領域プロアドレノメデュリン)、コペプチンおよびPCT(プロカルシトニン)レベルを、KRYPTORランダムアクセス分析機器(Thermo Scientific B・R・A・H・M・S)のような、超高感度アッセイを使用して血漿試料において決定した。ヒストンH2A、H2B、H3およびH4のレベル、ならびにアルドラーゼBのレベルを、例えば、以下で記載する、選択した反応モニタリングまたは複数の反応モニタリング(SRM/MRM)アッセイにより、血漿試料において決定した。マーカーからもたらされた特定のペプチドを、LC−MS/MSテクノロジー(TSQ Quantiva質量分析計(MS);サーモフィッシャー・サイエンティフィック)により測定した。それぞれのペプチドについて、同定したペプチド配列その断片化イオン、いわゆる遷移は、血液試料におけるマーカータンパク質レベルをモニタリングするための有用な代理(surrogate)であることを見出した。同位体で重く標識することができる合成ペプチドに対して、最適化を行った。ノイズ対シグナルに関して最適なペプチドを選択した。それぞれのペプチドについて、最適な保持時間および少なくとも4つの最善の遷移を設定した。
ペプチドおよび遷移の典型的なMS定量ならびに選択
それぞれの臨床血漿試料5μLを、8M尿素/2.5%n−プロパノール/300mM Tris/10mM DTT、pH8.5 20μLに加え、37℃において1時間インキュベーションした。1M炭酸水素アンモニウムにおいて調製した500mMヨード酢酸を、それぞれの試料ウェルに加え、暗所で室温にて1時間インキュベーションした。50mM Tris/5mM CaCl2pH8.0 113μLをそれぞれのウェルに加えた。比1:10(総タンパク質含有量:タンパク質分解酵素)で、トリプシン(サーモフィッシャー・サイエンティフィック)を25mM酢酸150μLで再水和し、37℃で20時間インキュベーションした。ギ酸2μLの添加で、消化を最終的にクエンチした。次に、注射前に、グルカゴン(1ng/μL)および標準重ペプチドを加えた。
HPLC Ultimate 3000(サーモフィッシャー・サイエンティフィック)とつなげたトリプル四重極質量分析計TSQ Quantivaにおいて、SRMアッセイを展開した。20分の5〜40%Bの直線勾配、40分の合計の実行時間で逆相分離を行った(溶媒A:水0.2%FA、溶媒B:ACN0.2%FA)。直線勾配中の流速を、240μL/分に設定した。全ての試料および曲線上のポイントについて、トータルの注射体積は160μLであった。150mm×2.1mmのAccucore aQカラム(サーモフィッシャー・サイエンティフィック)を、温度50℃で実行した。
13C−および15N−標識アルギニンまたはリジン(サーモフィッシャー・サイエンティフィックもしくはNew England Peptide)を取り込んでいる、重く標識した合成ペプチドについて、最適化を行った。衝突エネルギー、筒レンズ、および滞在時間のような個々の計器パラメーターを、遷移毎に自動的に試験した。複数の相互作用後、最適化したリストのペプチドおよび遷移(すなわち、最高強度シグナル、および他の遷移とのわずかな重複)、ならびに対応する保持時間を、選択した1つのペプチド当たり少なくとも4つのフラグメント遷移で終わらせた。
クロマトグラフィー分離において軽くおよび重く標識した遷移を共溶出することにより、ペプチドを同定した。時間整列、遷移の相対的定量および標的化タンパク質定量のため、Pinpoint(サーモフィッシャー・サイエンティフィック)およびSkyline(MacCoss Lab)ソフトウエアを使用した。
以下で記載する典型的な方法を利用することにより、マーカーの相対的および絶対的定量を行った。
相対的定量:
1.生物学的試料において検出した所定のペプチド由来のSRM特徴的ピーク面積を、少なくとも第2の、第3、第4以上の生物学的試料における同じフラグメントペプチドの同じSRM特徴的ピーク面積と比較することにより、マーカーの増大または低下した存在を決定すること。
2.生物学的試料において検出した所定のペプチド由来のSRM特徴的ピーク面積を、異なるおよび別々の生物学的供給源からもたらされる他の試料における他のタンパク質由来のフラグメントペプチドから発展したSRM特徴的ピーク面積と比較することにより、マーカーの増大または低下した存在を決定することであって、ペプチドフラグメントについて2つの試料間のSRM特徴的ピーク面積比較を、それぞれの試料において分析したタンパク質の量に標準化する、決定すること。
3.様々な細胞条件下での発現のこれらのレベルを変化させない、他のタンパク質のレベルにマーカーの変化するレベルを標準化するために、所定のペプチドについてのSRM特徴的ピーク面積を、同じ生物学的試料内の異なるタンパク質からもたらされた他のフラグメントペプチド由来のSRM特徴的ピーク面積と比較することにより、マーカーの増大または低下した存在を決定すること。
4.これらのアッセイを、修飾されていないフラグメントペプチドと修飾されたフラグメントペプチド、例えば、ヒストンタンパク質の両方に適用し、修飾は、リン酸化および/またはグリコシル化、アセチル化、メチル化(モノ、ジ、トリ)、シトルリン化、ユビキチン化(ubiquitinization)を含むが、これらに限定されず、修飾されたペプチドの相対レベルを、修飾されていないペプチドの相対量を決定するのと同じ方法で決定した。
所定のペプチドの絶対的定量:
個々の生物学的試料におけるマーカー由来の所定のフラグメントペプチドについてのSRM/MRM特徴的ピーク面積を、生物学的試料由来のタンパク質可溶化液に急増した内部フラグメントペプチド標準のSRM/MRM特徴的ピーク面積と比較すること。
内部標準は、調べたまたは標識した組換えタンパク質であったマーカータンパク質由来のフラグメントペプチドの標識した合成バージョンであった。この標準は、切断前または後に公知の量の試料において急増し、SRM/MRM特徴的ピーク面積は、生物学的試料において内部フラグメントペプチド標準と未変性のフラグメントペプチドの両方について別々に決定し、続いて、両方のピーク面積を比較した。
かかるアッセイは、修飾されていないフラグメントペプチドおよび修飾されたフラグメントペプチドに適用され、修飾は、リン酸化および/またはグリコシル化、アセチル化、メチル化(モノ、ジ、トリ)、シトルリン化、ユビキチン化(ubiquitinization)を含むが、これらに限定されず、修飾されたペプチドの絶対レベルが、修飾されていないペプチドの絶対レベルを決定するのと同じ方法で決定された。
ヒストンH4をまた、イムノアッセイにより測定した。ヒストンH4免疫アッセイ(H4 IA)は、MagPlex−C Micropheres(ルミネックス、Austin Texas)に結合した合成ペプチド(配列番号1のアミノ酸46〜56)に対して生じたマウスモノクローナル抗体(mAb)、および合成ペプチド(配列番号1のアミノ酸67〜78)に対して生じたビオチン化ヒツジポリクローナル抗体(pAb)からなる。合成ペプチド(配列番号1のアミノ酸46〜102)を、標準物質として使用した。xPonent 4.2システム(ルミネックス、Austin Texas)でMAgPixにおいて、試料を測定した。JMP−12(SAS統計ソフトウエア、英国)からの5つのパラメーターロジスティック回帰分析を使用して、データを解析した。
統計的分析
ソフトウエアR3.0.2を使用して、全ての分析を行った。
データを、括弧内の平均および四分位範囲[IQR]として表す。
全ての分析したバイオマーカーは、高度に右に斜行した分布を示すので、モデルフィットに対する極値の衝撃を低下するために、回帰モデルへの包含に先立ち、値をlog10変換した。
定量限界(LoQ)未満の値を、LoQ未満の小さな値で置き換えた。見当たらない値は置き換えなかった。それぞれのモデルは、モデルにおける全ての変数についての完全なデータを有する全ての患者を含む。
P値<0.05を、有意とみなした。
生存解析について、必要に応じて、ICU入院後3、7または28日(最大追跡期間(FUP))で追跡を打ち切った。(すなわち、早期退院、または別の病棟への移転に起因して)FUP評価前に追跡に属していない患者は、ICUでの彼らの最後の滞在の日に打ち切った。最大FUPにて生存している患者は、この日に打ち切った。時間依存性の結果変数については、コックス回帰モデルを使用した。提示した結果は、尤度−比−χ検定(L.R.χおよびp値)、C指数(Harrel)および標準化ハザード比(HR)である。ハザード比は、本明細書において、バイオマーカーレベルにおける2倍の変化(バイオマーカーの上位対下位四分位点)を指す。補正モデルにおいて、モデルの性能に対するバイオマーカーのさらなる効果を決定するために、変数の補正をモデルに含めた。
結果:
研究集団は、237人の患者を含むものであった。死亡率データの文書化と相反することに起因して、2人の患者(1人の患者がSIRSを有せず、1人が敗血症患者)を分析から除外しなければならなかった。172人の患者(73%)が、重症敗血症または敗血性ショックを示し、15人の患者(6%)がSIRSを有し、49人の患者(21%)が、SIRSを有しない。中央の年齢は、67[59〜77歳]歳であった。患者の大部分は、男性であった(60%)。最も頻繁に背景にある状態は、心血管疾患(35%)、糖尿病(31%)および悪性腫瘍(27%)、続いて、呼吸器系疾患(16%)、肝疾患(12%)、腎疾患(12%)および免疫抑制(7%)であった。感染の最も頻繁な部位は、下気道(46%)および尿路(45%)であった。入院時に、SAPS IIスコア(56[40〜69ポイント]ポイント)およびSOFAスコア(9[6〜12ポイント]ポイント)が増大した。臓器不全は、最も頻繁には、呼吸不全(61%)、循環性ショック(56%)および腎不全(41%)であった。したがって、多くの患者は、ICU入院中、MV(78%)、血管収縮性(68%)およびRRT(37%)を必要とした。全ての原因ICU死亡率は32%であり、ICU入院の長さの中央値は、5.4[2.5〜10.6日]日であった。
本発明者らは、年齢および性別について補正した一および二変数コックス回帰モデルを使用して、全235人の重症患者において、短期(例えば、3日目および7日目において、すなわち、3日および7日)ならびに長期(28日目において、すなわち、28日)死亡を解析した。ICU入院後、23人の患者(10%)が、3日目までに死亡し、49人の患者(21%)が、7日目までに死亡し、74人の患者(32%)が、28日目までに死亡した。加えて、年齢および性別について補正した単変量コックス回帰モデルを使用して、下気道感染症、尿路感染症(UTI)および悪性腫瘍を有する患者のサブ集団において、死亡を解析した。ICU入院後、下気道感染症を有する109人の患者のうち27人の患者(25%)が、7日目までに死亡し、UTIを有する94人の患者のうち34人の患者(36%)が、28日目までに死亡し、悪性腫瘍を有する64人の患者のうち16人の患者(25%)が、7日目までに死亡した。生存者を非生存者から区別するそれぞれのコックス回帰モデルの検出力を、1に近いC指数をもたらす、最善の予測コックス回帰モデルで0〜1の範囲にあるC指数により示す。加えて、最悪の予後を示すHR>0、および変数の保護効果を示すHR<0を有する、HRを計算する。
全ての解析した変数の中で、全235人の重症患者において、ICU入院時のSAPS IIスコアは、3日(C指数0.876、1IQR当たりのHR8.42)、7日(C指数0.809、1IQR当たりのHR5.15)および28日(C指数0.776、1IQR当たりのHR4.19)の死亡において最善の予測を示し、続いて、3日(C指数0.866、1IQR当たりのHR6.68)および7日までの死亡(C指数0.778、1IQR当たりのHR3.82)の予測におけるICU入院の際のSOFAスコアを示す(表1〜表3)。敗血症患者のサブグループにおいて、およびSAPS IIスコア(C指数0.773、1IQR当たりのHR3.47)について、下気道感染症を有する重症患者における7日までの死亡の予測について、同様の結果を得る(表4)。
比較において、全重症患者において、ICU入院後7日目(C指数0.769、1IQR当たりのHR4.53)および28日目(C指数0.765、1IQR当たりのHR4.86)の全バイオマーカーの中で、MR−proADMが、生存者と非生存者を最善に区別する(表2、表3)。これは、全重症患者における28日までの死亡の予測において、SOFAスコアより優れている(表3)。同様の結果を、敗血症患者のサブグループにおいて得る。二変数解析において、MR−proADMは、全重症患者において、7日までの死亡の予測についてのSAPS IIまたはSOFAの検出力(SAPS II単独についてのC指数0.809と比較して、SAPS IIおよびMR−proADMの組み合わせモデルについてのC指数0.832)、ならびに28日までの死亡の予測についてのSAPS IIの検出力(SAPS II単独についてのC指数0.776と比較して、SAPS IIおよびMR−proADMの組み合わせモデルについてのC指数0.810)を改善する(表2、表3)。これらの患者における3日までの死亡の予測についてのSAPS IIまたはSOFAとMR−proADMの組み合わせモデルにおいて、改善した予測値は存在しない(表1)。
他のバイオマーカーおよびスコアとの比較において、ICU入院時の、PCT(例えば、全重症患者における28日までの死亡の予測について、C指数0.689、1IQR当たりのHR1.90)およびアルドラーゼB(例えば、全重症患者における28日までの死亡の予測について、C指数0.667、1IQR当たりのHR1.47)は、全重症患者またはそのサブグループにおいて、死亡と中程度の関連を示す(例えば、表1)。しかしながら、二変数コックス回帰モデルにおいて、PCTは、全重症患者において、28日までの死亡の予測についてのSAPS IIまたはSOFAの予測値を改善する(例えば、SAPS IIとPCTの組み合わせモデルは、二変数解析におけるSAPS IIについての0.776と比較して、C指数0.786となる)(例えば、表3)。加えて、アルドラーゼBを含む二変数コックス回帰モデルは、全重症患者において、MR−proADMの7日までの死亡との関連性を改善する(MR−proADMとアルドラーゼBの組み合わせモデルは、C指数0.769を有するMR−proADMの二変数モデルと比較して、C指数0.780を有する)(表2)。他の死亡解析において、PCTまたはアルドラーゼBからSAPS II、MR−proADMまたはヒストンまでにより、予測はさらに改善されなかった(表1〜表3)。
全重症患者において、ICU入院時のヒストンH2A、H2B、H3およびH4のレベルは、3日(例えば、H2B C指数0.793、1IQR当たりのHR2.76)、7日(例えば、H2B C指数0.768、1IQR当たりのHR2.40)および28日(例えば、H2B C指数0.752、1IQR当たりのHR2.40)までの死亡と強く関連した(表1〜表3)。同様の結果を、敗血症患者のサブグループにおいて得る。全ての中で、ヒストンH2Bの検出力が最善であり、続いて、H4、H2AおよびH3である(表1〜表6)。ヒストンH2A、H2B、H3およびH4を他のバイオマーカーと比較すると、短期(3および7日)の死亡についてヒストンの特筆すべき予測値が存在する、すなわち、一方、H2Bは、28日までの死亡の予測においてMR−proADMより劣り得る(MR−proADM C指数0.765対H2B C指数0.752)。H2BおよびMR−proADMは、全重症患者において、7日までの死亡と同じ程度に関連し(H2B C指数0.793対MR−proADM C指数0.786)、H2Bは、3日までの死亡の予測についてMR−proADMより優れている(H2B C指数0.768対MR−proADM C指数0.769)(表1〜表3)。
二変数コックス回帰モデルにおいて、ヒストンH2A、H2B、H3およびH4は、SAPS IIまたはSOFA(例えば、28日までの死亡の予測について、SAPS IIの二変数モデルC指数0.776と比較して、H2BとSAPS IIの組み合わせモデルC指数0.811)およびMR−proADM(28日までの死亡の予測について、MR−proADMの二変数モデルC指数0.765と比較して、H2BとMR−proADMの組み合わせモデルC指数0.795)の検出力を改善する(表1〜表3)。下気道感染症を有する重症患者において、ICU入院時のヒストンH2A、H2B、H3およびH4は、バイオマーカーの中で7日までの死亡の最善の予測因子である(例えば、H2B C指数0.785、1IQR当たりのHR2.56)(表4)。UTIを有する重症患者において、ヒストンH2A、H2B、H3およびH4は、ICU入院時の全変数の中で、28日までの死亡と最も強く関連する(例えば、H2B C指数0.764、1IQR当たりのHR2.52)(表5)。ICU入院時のヒストンH2A、H2B、H3およびH4は、ICUに入院した悪性腫瘍を有する重症患者において、全変数の中で、7日までの死亡と最も強く関連する(例えば、H2B C指数0.815、1IQR当たりのHR4.79)(表6)。
表1:全重篤患者における3日までの死亡についての一および二変数コックス回帰解析
235人の重症患者の総数(n)のうち24人の患者が、ICU入院後3日目までに死亡した(事象)。モデルにおいて、ICU入院時に測定したスコアまたはバイオマーカーを含む。全ての単変量または二変数モデルを、年齢および性別について補正する。自由度(df)は、含まれる変数および補正の数を反映する。提示した結果は、尤度−比−χ検定(L.R.χおよびp値)、C指数(Harrel)ならびに四分位範囲(IQR)または2倍変化当たりのいずれかの標準化ハザード比(HR)プラス95%信頼区間(CI)である。(SAPS II:簡易急性生理学スコアII(simplified acute physiology score II);SOFA:連続臓器不全評価(sequential organ failure assessment);MR−proADM:中間領域プロアドレノメデュリン;PCT:プロカルシトニン;ヒストンを、ヒストンH2A、H2B、H3およびH4により表し;H4も、イムノアッセイ(IA)により測定した)。
表2:全重篤患者における7日までの死亡についての一および二変数コックス回帰解析
235人の重症患者の総数(n)のうち49人の患者が、ICU入院後7日目までに死亡した(事象)。モデルにおいて、ICU入院時に測定したスコアまたはバイオマーカーを含む。全ての単変量または二変数モデルを、年齢および性別について補正する。自由度(df)は、含まれる変数および補正の数を反映する。提示した結果は、尤度−比−χ検定(L.R.χおよびp値)、C指数(Harrel)ならびに四分位範囲(IQR)または2倍変化当たりのいずれかの標準化ハザード比(HR)プラス95%信頼区間(CI)である。(SAPS II:簡易急性生理学スコアII(simplified acute physiology score II);SOFA:連続臓器不全評価(sequential organ failure assessment);MR−proADM:中間領域プロアドレノメデュリン;PCT:プロカルシトニン;ヒストンを、ヒストンH2A、H2B、H3およびH4により表し;H4も、イムノアッセイ(IA)により測定した)。
表3:全重症患者における28日までの死亡についての一および二変数コックス回帰解析
235人の重症患者の総数(n)のうち74人の患者が、ICU入院後3日目までに死亡した(事象)。モデルにおいて、ICU入院時に測定したスコアまたはバイオマーカーを含む。全ての単変量または二変数モデルを、年齢および性別について補正する。自由度(df)は、含まれる変数および補正の数を反映する。提示した結果は、尤度−比−χ検定(L.R.χおよびp値)、C指数(Harrel)ならびに四分位範囲(IQR)または2倍変化当たりのいずれかの標準化ハザード比(HR)プラス95%信頼区間(CI)である。(SAPS II:簡易急性生理学スコアII(simplified acute physiology score II);SOFA:連続臓器不全評価(sequential organ failure assessment);MR−proADM:中間領域プロアドレノメデュリン;PCT:プロカルシトニン;ヒストンを、ヒストンH2A、H2B、H3およびH4により表し;H4も、イムノアッセイ(IA)により測定した)。
表4:下気道感染症を有する全重症患者における7日までの死亡についての単変量コックス回帰解析
下気道感染症を有する109人の重症患者の総数(n)のうち27人の患者が、ICU入院後7日目までに死亡した(事象)。モデルにおいて、ICU入院時に測定したスコアまたはバイオマーカーを含む。全ての単変量または二変数モデルを、年齢および性別について補正する。自由度(df)は、含まれる変数および補正の数を反映する。提示した結果は、尤度−比−χ検定(L.R.χおよびp値)、C指数(Harrel)ならびに四分位範囲(IQR)または2倍変化当たりのいずれかの標準化ハザード比(HR)プラス95%信頼区間(CI)である。(SAPS II:簡易急性生理学スコアII(simplified acute physiology score II);SOFA:連続臓器不全評価(sequential organ failure assessment);MR−proADM:中間領域プロアドレノメデュリン;PCT:プロカルシトニン;ヒストンを、ヒストンH2A、H2B、H3およびH4により表し;H4も、イムノアッセイ(IA)により測定した)。
表5:尿路感染症を有する全重症患者における28日までの死亡についての単変量コックス回帰解析
尿路感染症を有する94人の重症患者の総数(n)のうち24人の患者が、ICU入院後28日目までに死亡した(事象)。モデルにおいて、ICU入院時に測定したスコアまたはバイオマーカーを含む。全ての単変量または二変数モデルを、年齢および性別について補正する。自由度(df)は、含まれる変数および補正の数を反映する。提示した結果は、尤度−比−χ検定(L.R.χおよびp値)、C指数(Harrel)ならびに四分位範囲(IQR)または2倍変化当たりのいずれかの標準化ハザード比(HR)プラス95%信頼区間(CI)である。(SAPS II:簡易急性生理学スコアII(simplified acute physiology score II);SOFA:連続臓器不全評価(sequential organ failure assessment);MR−proADM:中間領域プロアドレノメデュリン;PCT:プロカルシトニン;ヒストンを、ヒストンH2A、H2B、H3およびH4により表し;H4も、イムノアッセイ(IA)により測定した)。
表6:悪性腫瘍を有する全重症患者における7日までの死亡についての単変量コックス回帰解析
悪性腫瘍を有する64人の重症患者の総数(n)のうち17人の患者が、ICU入院後7日目までに死亡した(事象)。モデルにおいて、ICU入院時に測定したスコアまたはバイオマーカーを含む。全ての単変量または二変数モデルを、年齢および性別について補正する。自由度(df)は、含まれる変数および補正の数を反映する。提示した結果は、尤度−比−χ検定(L.R.χおよびp値)、C指数(Harrel)ならびに四分位範囲(IQR)または2倍変化当たりのいずれかの標準化ハザード比(HR)プラス95%信頼区間(CI)である。(SAPS II:簡易急性生理学スコアII(simplified acute physiology score II);SOFA:連続臓器不全評価(sequential organ failure assessment);MR−proADM:中間領域プロアドレノメデュリン;PCT:プロカルシトニン;ヒストンを、ヒストンH2A、H2B、H3およびH4により表し;H4も、イムノアッセイ(IA)により測定した)。
本明細書において引用された全ての参考文献は、参照により完全に組み込まれる。
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Claims (15)

  1. 対象の有害事象の診断、予後、リスク評価、および/またはリスク層別化のための方法であって、
    (i)前記対象の試料における少なくとも1つのヒストンのレベルを決定することであって、前記少なくとも1つのヒストンのレベルが前記対象の前記有害事象を示す、決定すること、および/または、
    (ii)前記対象の試料におけるプロアドレノメデュリン(proADM)のレベルを決定することであって、前記proADMのレベルが前記対象の前記有害事象を示す、決定すること、を含む、方法。
  2. 前記少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/または前記proADMのレベルが、28日以内に生じる前記有害事象を示す、請求項1に記載の方法。
  3. 前記有害事象が、死亡、臓器障害、多臓器障害、および疾患もしくは医学的障害からなる群から選択される、または好ましくは、前記有害事象が死亡である、請求項1または2に記載の方法。
  4. (i1)前記少なくとも1つのヒストンのレベルを、少なくとも1つのヒストンの参照レベルと比較する、および/または、
    (ii1)前記proADMのレベルを、proADMの参照レベルと比較する、および、
    (iii)前記対象の前記有害事象が、それぞれ、ステップ(i1)および/または(ii1)における前記比較に基づき同定される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. (i)前記少なくとも1つのヒストンの参照レベルと比較して、前記少なくとも1つのヒストンのレベルの増加が、前記対象の前記有害事象を示す、および/または
    (ii)前記proADMの参照レベルと比較して、前記proADMのレベルの増加が、前記対象の前記有害事象を示す、請求項4に記載の方法。
  6. 前記少なくとも1つのヒストンの参照レベルおよび/または前記proADMの参照レベルが、少なくとも1人の参照対象の少なくとも1つのヒストンのレベルおよび/またはproADMのレベルであり、前記参照対象が、健常対象および/または有害事象を有しない対象である、請求項4または5に記載の方法。
  7. 前記proADMが、中間領域プロアドレノメデュリン(MR−proADM)である、および/または前記少なくとも1つのヒストンが、ヒストンH2B、ヒストンH4、ヒストンH2Aおよび/またはヒストンH3である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記対象の前記proADMのレベルが、28日以内に生じる前記対象の死亡を示すか、または前記対象の前記少なくとも1つのヒストンのレベルが、7日以内もしくは3日以内に生じる前記対象の死亡を示す、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記方法が、前記試料におけるアルドラーゼBのレベル、前記試料におけるコペプチンのレベル、前記試料における乳酸のレベル、前記試料におけるプロカルシトニン(PCT)のレベル、前記対象の連続臓器不全評価スコア(sequential organ failure assessment score:SOFAスコア)、簡易急性生理学スコアII(simplified acute physiology score II:SAPS IIスコア)、前記対象の急性生理学及び慢性健康評価II(Acute Physiology and Chronic Health Evaluation score II:APACHE II)スコア、および前記試料における可溶性fms様チロシンキナーゼ−1(sFlt−1)のレベルからなる群から選択される前記対象の少なくとも1つのマーカーおよび/またはパラメーターを決定すること、をさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記対象が、疾患または医学的状態に罹患し、前記疾患または医学的状態が、呼吸器系疾患、尿路感染症、感染性および非感染性の病因に関連する炎症反応、全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症、重症敗血症、敗血性ショック、臓器不全、心血管疾患、糖尿病、悪性腫瘍、肝疾患、腎疾患および免疫抑制からなる群から選択される、および/または前記対象が重症患者であり、好ましくは、前記対象が、集中治療室に入院している、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記対象が、呼吸器系疾患、尿路感染症または悪性腫瘍に罹患している、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記試料が、体液、血液、血液血漿、血液血清、または尿である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記少なくとも1つのヒストンおよび/またはproADMのレベルが、質量分析(MS)、発光イムノアッセイ(LIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、化学発光および蛍光イムノアッセイ、酵素イムノアッセイ(EIA)、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)、発光ベースのビーズアレイ、磁気ビーズベースのアレイ、タンパク質マイクロアレイアッセイ、迅速試験フォーマット、ならびに稀少クリプテートアッセイからなる群から選択される方法を使用して決定される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. (i)前記少なくとも1つのヒストンが、ヒストンH2Bであり、少なくとも、配列番号4に記載のヒストンH2Bのアミノ酸残基41〜69に及ぶ配列のペプチドが決定される、
    (ii)前記少なくとも1つのヒストンが、ヒストンH4であり、少なくとも、配列番号1に記載のヒストンH4のアミノ酸残基22〜102に及ぶ配列のペプチドが決定される、
    (iii)前記少なくとも1つのヒストンが、ヒストンH2Aであり、少なくとも、配列番号2に記載のヒストンH2Aのアミノ酸残基20〜118に及ぶ配列のペプチドが決定される、および/または、
    (iv)前記少なくとも1つのヒストンが、ヒストンH3であり、少なくとも、配列番号3に記載のヒストンH3のアミノ酸残基27〜62に及ぶ配列のペプチドが決定される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記キットは、
    (i)前記対象の前記試料における前記少なくとも1つのヒストンのレベル、および、
    前記少なくとも1つのヒストンの参照レベルを含む参照データ、を決定するための検出試薬であって、
    前記少なくとも1つのヒストンの参照レベルと比較して、前記対象の前記試料における前記少なくとも1つのヒストンのレベルの増加が、前記対象の有害事象を示す、検出試薬、および/または、
    (ii)前記対象の前記試料における前記proADMのレベル、および
    前記proADMの参照レベルを含む参照データ、を決定するための検出試薬であって、
    前記proADMの参照レベルと比較して、前記対象の前記試料における前記proADMのレベルの増加が、前記対象の有害事象を示す、検出試薬、を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法を実施するためのキット。
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