JP2014505074A - 血圧低下を最小化しおよび/または制御しながら頻脈を治療しおよび/または心拍数を制御する方法 - Google Patents

血圧低下を最小化しおよび/または制御しながら頻脈を治療しおよび/または心拍数を制御する方法 Download PDF

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Abstract

エスモロールのS−異性体を含んでなる医薬組成物の治療的有効量をそれを必要とする対象に投与するステップを含む、治療に付随する血圧低下を最小化および/または制御しながら、頻脈を治療する方法。一実施形態において、対象において頻脈を治療する方法が提供され、この方法は(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含んでなる医薬組成物の治療的有効量を前記対象に投与するステップを含んでなり、前記医薬組成物が(R)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を実質的に含まず、前記対象が付随する血圧低下が制御される頻脈の治療を必要とする。

Description

関連出願の相互参照
本明細書は、その開示全体を参照によって本明細書に援用する、2011年1月27日に出願された、米国仮特許出願第61/436,992号明細書の米国特許法119条(e)の下における優先権を主張する。
本発明は、それに付随する血圧低下を最小化しおよび/または制御しながら、頻脈を治療しおよび/または心拍数を制御する方法に関し、同方法は、エスモロールのS−異性体を含んでなる医薬組成物の治療的有効量を投与するステップを含んでなる。
塩酸エスモロール(メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナート塩酸塩)は、S−およびR−異性体の50:50ラセミ混合物である。塩酸エスモロールは、上室性頻脈、術中頻脈、および術後頻脈をはじめとする頻脈、および高血圧などの心臓の障害を治療するために使用される即効性β遮断薬である。目下利用できるβ遮断薬のほとんどは、作用開始が比較的遅い。しかし例えば心筋梗塞の際中、または直後などの救命状況では、心臓発作中に、心拍数を迅速に低下させおよび/または整脈性を改善することが望ましいことが多い。従来のβ遮断薬は、このような治療に用い得るが、それらの比較的遅い作用開始は、例えば患者が危機的状態にある場合などに、臨床医が効果的かつ迅速に用量設定するのを妨げ得る。塩酸エスモロールは作用開始が比較的早いため、フィードバックが即時であり、したがって有利に、患者の応答次第で投与が迅速に調節され得る。
塩酸エスモロールは、迅速に加水分解され得るエステル官能基を含有することで、従来のβ遮断化合物と異なる。塩酸エスモロールは、エステル基の存在のために生体内における持続時間が短く、短時間作用薬による心拍数の迅速な制御が望ましい、周術期、術後、またはその他の緊急状況にある、上室性頻脈(すなわち心房性細動または心房粗動)患者における、心拍数の迅速制御に特効がある。塩酸エスモロールはまた、麻酔誘導および気管挿管中、外科手術中、麻酔からの覚醒時、および術後期間中に発生する、頻脈および高血圧の治療に対しても特効がある。塩酸エスモロールは、典型的に輸液によって投与される。
塩酸エスモロールの短所は、それを投与されたかなりの数の患者において、血圧低下の発生を伴うことである。血圧低下は、エスモロール治療に付随する、一般に発生する有害事象として、添付文書に列挙される。Esmolol Hydrochloride Injection Ready−to−use 10 mLバイアルの添付文書 (Baxter Healthcare Corporation)を参照されたい;非特許文献1もまた参照されたい。事実上、塩酸エスモロールで治療された20〜50%の患者が、臨床試験で血圧低下を経験した。Esmolol Hydrochloride Injection Ready−to−use 10 mLバイアルの添付文書を参照されたい。血圧低下はあらゆる用量で生じ得るが、用量依存性であるので、200μg/kg/分を超える塩酸エスモロール用量は、一般に推奨されない(同文献)。血圧低下は、脳および重要臓器の酸素奪取を引き起こし、究極的にショックをもたらし得る。血圧低下はまた、目眩および失神を引き起こし得る。目下、血圧低下は、エスモロールが投与される患者において、薬剤輸液速度を注意深く設定することで、通常制御される。治療前血圧が低い患者を綿密にモニターすることは、特に重要である。血圧低下が生じるかもしれない懸念のために、および/または実際の血圧低下発生のために、所望されるより高い輸液速度は、ストレスを受けている患者の心拍数を低下させるのに、使用できないことが多い。その結果、塩酸エスモロール投与は、所望されるより高い輸液速度を利用する場合よりも、その所望の治療効果を達成するのにより長時間がかかることが多い。
Byrd et al.,JACC,(1984)3:394−9
前述したことを考慮すると、塩酸エスモロール投与においてかなり頻繁に起きる厄介な血圧低下を最小化しながら、塩酸エスモロールの有効なβ遮断効果を保つことが有利であろう。
本開示は、塩酸エスモロールのラセミ混合物投与に付随することが多い血圧低下を最小化するために、エスモロールのS−異性体を含んでなる医薬組成物を投与することで、心臓の病状(例えば頻脈および高血圧)を治療する方法、および/または心拍数を制御する方法を提供する。
一態様では、本発明は、対象において頻脈を治療する方法を提供し、方法は、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含んでなる医薬組成物の治療的有効量を対象に投与するステップを含んでなり、医薬組成物は、(R)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を実質的に含まず、対象は付随する血圧低下の制御を伴う頻脈治療を必要とする。
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象において頻脈を治療する方法を提供し、方法は、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含んでなる医薬組成物の治療的有効量を対象に投与するステップを含んでなり、医薬組成物は、(R)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能な塩を実質的に含まず、治療的有効量は血圧低下制御量で投与される。
別の態様では、本発明は、対象において心拍数を制御する方法を提供し、方法は、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含んでなる医薬組成物の治療的有効量を対象に投与するステップを含んでなり、医薬組成物は、(R)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を実質的に含まず、対象は付随する血圧低下の制御を伴う心拍数制御を必要とする。
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象において心拍数を制御する方法を提供し、方法は、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含んでなる医薬組成物の治療的有効量を対象に投与するステップを含んでなり、医薬組成物は、(R)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能な塩を実質的に含まず、治療的有効量は血圧低下制御量で投与される。
その他の本発明の特徴および利点は、以下の詳細な説明および請求項から明らかになるであろう。
図1は、ヒト患者における、塩酸エスモロール注射に付随する、可能な降圧応答を予測するための動物モデルを図示する。 図2A−2Cは、エスモロールのS−異性体を含んでなる医薬組成物と比較した、エスモロールのラセミ混合物を含んでなる医薬組成物投与の効果を評価する実験結果を図示する。「RS」はエスモロールのラセミ混合物を示し、「S」はエスモロールのS−異性体を示す。 図3A−3Cは、エスモロールのS−異性体を含んでなる医薬組成物と比較した、エスモロールのラセミ混合物を含んでなる医薬組成物投与の効果を評価する実験結果を図示する。 図4A−4Cは、エスモロールのS−異性体を含んでなる医薬組成物と比較した、エスモロールのラセミ混合物を含んでなる医薬組成物投与の効果を評価する実験結果を図示する。 図5A−5Cは、エスモロールのS−異性体を含んでなる医薬組成物と比較した、エスモロールのラセミ混合物を含んでなる医薬組成物投与の効果を評価する実験結果を図示する。 図6A−6Bは、図2〜5のS−異性体製剤で観察された血圧低下の減衰が、ラセミ製剤と比較して、S−異性体調合物の有効性(すなわちイソプロテレノール誘発性頻脈の制御能力)を低下させるかどうかを評価する実験結果を図示する。 図6Cは、図2〜5のS−異性体製剤で観察された血圧低下の減衰が、ラセミ製剤と比較して、S−異性体調合物の有効性(すなわちイソプロテレノール誘発性頻脈の制御能力)を低下させるかどうかを評価する実験結果を図示する。 図7A−7Bは、エスモロールのR−異性体を含んでなる医薬組成物およびエスモロールのS−異性体を含んでなる医薬組成物と比較した、エスモロールのラセミ混合物を含んでなる医薬組成物の投与効果を評価する実験結果を図示する。 図8A−8Bは、エスモロールのR−異性体を含んでなる医薬組成物およびエスモロールのS−異性体を含んでなる医薬組成物と比較した、エスモロールのラセミ混合物を含んでなる医薬組成物の投与効果を評価する実験結果を示図示する。 図9A−9Bは、エスモロールのR−異性体を含んでなる医薬組成物およびエスモロールのS−異性体を含んでなる医薬組成物と比較した、エスモロールのラセミ混合物を含んでなる医薬組成物の投与効果を評価する実験結果を図示する。 図10は、エスモロールのR−異性体を含んでなる医薬組成物およびエスモロールのS−異性体を含んでなる医薬組成物と比較した、エスモロールのラセミ混合物を含んでなる医薬組成物の投与後の降圧応答を比較する実験結果を図示する。示される結果は、特定の輸液開始直前から特定の輸液終了までの平均動脈圧の休止ベースライン状態からの百分率変化の平均値である。 図11は、1つの医薬組成物の投与から別の医薬組成物への投与に即座に移行した際の、平均動脈圧の変化を比較する実験の結果を図示する。示される結果は、第1の輸液終了から第2の輸液終了までの平均動脈圧の百分率変化の平均値である。 図12A−12Bは、イソプロテレノール挑戦に続く、エスモロールのS−異性体を含んでなる医薬組成物と比較した、イソプロテレノール挑戦に続く、エスモロールのラセミ混合物を含んでなる医薬組成物の投与効果を評価する実験の結果を図示する。 図13は、ヒトと比較した、イヌにおける上記実験からのエスモロールのラセミ混合物を含む医薬組成物投与の収縮期血圧に対する効果を図示する。
本明細書で開示される本発明は、エスモロールのS−異性体を含んでなる医薬組成物を投与することで、エスモロールのラセミ混合物を含んでなる医薬組成物の投与に付随することが多い血圧低下を同時に最小化および/または制御しながら、心臓の病状(例えば頻脈および高血圧)を治療し、および/または心拍数を制御する改善された方法を提供する。本発明者らは、エスモロールのS−異性体、好ましくは塩酸エスモロールのS−異性体を含んでなる医薬組成物の治療的有効量を投与することが、ラセミ混合物の投与、特にエスモロールのS−異性体の治療的当量に相当するラセミ混合物量の投与と比較して、実質的に同様の心拍数制御を実証し、顕著により軽度の血圧低下を引き起こすことを意外にもそして驚くことに見出した。血圧低下を誘発する傾向の低下の結果として、エスモロールのS−異性体の治療的薬剤濃度または輸液速度は、ラセミ混合物より安全に投与されてもよい。さらにエスモロールラセミ混合物による血圧低下を起こしやすい患者は、血圧低下を最小化しおよび/または制御しながら、エスモロールのS−異性体で治療されてもよい。したがって本発明は、有利には、ラセミ混合物を含んでなる組成物が投与される先行技術の方法よりも高い治療的用量のエスモロールのS−異性体が利用できるようにしながら、有利には、エスモロールのS−異性体を含んでなる組成物を与えられる患者における血圧低下進行を有益に最小化しおよび/または制御することで、顕著により高い安全性を与える。したがって本発明は、薬剤の注意深い用量設定と、治療前血圧が低い患者の密接なモニタリングとに対する必要性を最小化しながら、臨床医が有利には、患者が経験する頻脈および/または高血圧を診療できるようにし、または患者の心拍数をより容易に制御できるようにする。
一態様では、本発明は、対象において頻脈を治療する方法を提供し、方法は、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含んでなる医薬組成物の治療的有効量を対象に投与するステップを含んでなり、医薬組成物は、(R)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を実質的に含まず、対象は付随する血圧低下の制御を伴う頻脈治療を必要とする。
別の態様では、本発明は、それを必要とする対象において頻脈を治療する方法を提供し、方法は、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含んでなる医薬組成物の治療的有効量を対象に投与するステップを含んでなり、医薬組成物は、(R)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能な塩を実質的に含まず、治療的有効量は血圧低下制御量で投与される。
追加的態様では、本発明は、対象において心拍数を制御する方法を提供し、方法は、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含んでなる医薬組成物の治療的有効量を対象に投与するステップを含んでなり、医薬組成物は、(R)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を実質的に含まず、対象は付随する血圧低下の制御を伴う心拍数の制御を必要とする。
さらに別の態様では、本発明は、それを必要とする対象において心拍数を制御する方法を提供し、方法は、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含んでなる医薬組成物の治療的有効量を対象に投与するステップを含んでなり、医薬組成物は、(R)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能な塩を実質的に含まず、治療的有効量は血圧低下制御量で投与される。
本発明の方法によって治療し得る心臓の病状および/または障害としては、エスモロールによる治療から恩恵を被ることが知られている、あらゆる心臓の病状が挙げられる。このような心臓の病状としては、頻脈(例えば上室性頻脈、術中および術後頻脈)および高血圧(例えば術中および術後高血圧)が挙げられるが、これに限定されるものではない。さらに対象が前述の心臓の病状の1つを有するかどうかに関わらず、臨床的に望ましい場合は、本発明の方法を使用して、患者の心拍数もまた制御し得る。
本明細書の用法では、「(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシを含んでなる医薬組成物]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩」、および「エスモロールのS−異性体を含んでなる医薬組成物」という用語は、(R)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を実質的に含まない医薬組成物を指す。「(R)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートを実質的に含まない」という用語は、組成物中に、メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩の総量を基準にして、10重量%未満、5重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、および/または0.5重量%未満の(R)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含有する組成物を指す。好ましくは「(R)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートを実質的に含まない」組成物は、メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩の総量を基準にして、組成物中に、例えば3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、および/または0.5重量%未満など、5重量%以下の(R)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含有する。全エスモロール含有量は、標準HPLCカラムまたは当該技術分野で公知の同様の分析法を使用して測定し得る。所与の組成物中のエスモロールのS−異性体およびエスモロールのR−異性体のそれぞれの相対含量は、キラルHPLC法または当該技術分野で公知の同様の分析法を使用して測定し得る。例えばTang et al.,J.Biochem.Biophys.Methods,59:159−166(2004)を参照されたい。
一態様では、「治療的有効量」は、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含んでなる、頻脈および/または高血圧を制御するのに十分な医薬組成物量を指す。したがって頻脈を制御するのに十分な量としては、頻脈および/または高血圧を緩和しおよび/または改善するのに十分な量が挙げられるが、これに限定されるものではない。
別の態様では、「治療的有効量」は、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含んでなる、心拍数を制御するのに十分な医薬組成物量を指す。したがって心拍数を制御するのに十分な量としては、心拍数増大を制御しおよび/または低下させるのに十分な量が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本開示の全ての態様において、治療的有効量は、下で定義されるような血圧低下制御量であり得る。
「血圧低下制御量」という用語は、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含んでなり、エスモロールのラセミ混合物を含んでなるエスモロールのラセミ混合物の投与に付随することが多い血圧低下を最小化しながら、組成物に治療的な恩恵(例えば頻脈および/または高血圧の制御および/または心拍数制御)を提供する、医薬組成物の量を指す。したがって血圧低下制御量は、特に20〜50%のヒトで血圧低下を誘発することが示されているラセミ混合物の投与と比較して、対象に血圧低下を引き起こさないあらゆる治療的有効量であり得る。Esmolol Hydrochloride Injection Ready−to−use 10 mLバイアルの添付文書を参照されたい。したがって様々な態様では、血圧低下制御量は、約25μg/kg/分以上の塩酸エスモロールのラセミ混合物に相当する、37.5nmol/kg/分以上のエスモロールのS−異性体(すなわち約12.5μg/kg/分の塩酸エスモロールのS−異性体)、約50μg/kg/分の塩酸エスモロールのラセミ混合物に相当する、75nmol/kg/分以上のエスモロールのS−異性体(例えば約25μg/kg/分の塩酸エスモロールのS−異性体)、および/または約100μg/kg/分の塩酸エスモロールのラセミ混合物に相当する、0.15μmol/kg/分以上のエスモロールのS−異性体(例えば約50μg/kg/分の塩酸エスモロールのS−異性体)である。さらに200μg/kg/分のラセミ塩酸エスモロールの用量は、通常推奨されないために(塩酸エスモロール添付文書を参照されたい)、一態様では、エスモロールのS−異性体または薬学的に許容可能なその塩を含んでなる医薬組成物の血圧低下制御量は、約200μg/kg/分の塩酸エスモロールのラセミ混合物に相当する、0.3μmol/kg/分以上のエスモロールのS−異性体(例えば約100μg/kg/分の塩酸エスモロールのS−異性体)の投与を指し得る。本態様に従ったエスモロールのS−異性体を含んでなる医薬組成物のその他の例示的な低血圧制御量としては、約300μg/kg/分の塩酸エスモロールのラセミ混合物に相当する、0.45μmol/kg/分以上のエスモロールのS−異性体(例えば約150μg/kg/分の塩酸エスモロールのS−異性体)、約400μg/kg/分の塩酸エスモロールのラセミ混合物に相当する0.6μmol/kg/分以上のエスモロールのS−異性体(例えば約200μg/kg/分の塩酸エスモロールのS−異性体)、約500μg/kg/分の塩酸エスモロールのラセミ混合物に相当する0.75μmol/kg/分以上のエスモロールのS−異性体(例えば、約250μg/kg/分の塩酸エスモロールのS−異性体)、約600μg/kg/分の塩酸エスモロールのラセミ混合物に相当する、0.90μmol/kg/分以上のエスモロールのS−異性体(例えば約300μg/kg/分の塩酸エスモロールのS−異性体)、約700μg/kg/分の塩酸エスモロールのラセミ混合物に相当する1.05μmol/kg/分以上のエスモロールのS−異性体(例えば約350μg/kg/分の塩基エスモロールのS−異性体)、約750μg/kg/分の塩酸エスモロールのラセミ混合物に相当する1.125μmol/kg/分以上のエスモロールのS−異性体(例えば約375μg/kg/分の塩酸エスモロールのS−異性体)、約800μg/kg/分の塩酸エスモロールのラセミ混合物に相当する、1.20μmol/kg/分以上のエスモロールのS−異性体(例えば約400μg/kg/分の塩酸エスモロールのS−異性体)、約900μg/kg/分の塩酸エスモロールのラセミ混合物に相当する、1.35μmol/kg/分以上のエスモロールのS−異性体(例えば約450μg/kg/分の塩酸エスモロールのS−異性体)、1.5μmol/kg/分以上のエスモロールのS−異性体(例えば約500μg/kg/分の塩酸エスモロールのS−異性体)に相当する約1000μg/kg/分の塩酸エスモロールのラセミ混合物、約1200μg/kg/分の塩酸エスモロールのラセミ混合物に相当する、1.8μmol/kg/分以上のエスモロールのS−異性体(例えば約600μg/kg/分の塩酸エスモロールのS−異性体)、約1400μg/kg/分の塩酸エスモロールのラセミ混合物に相当する、2.1μmol/kg/分以上のエスモロールのS−異性体(例えば約700μg/kg/分の塩酸エスモロールのS−異性体)、約1600μg/kg/分の塩酸エスモロールのラセミ混合物に相当する、2.4μmol/kg/分以上のエスモロールのS−異性体(例えば約800μg/kg/分の塩酸エスモロールのS−異性体を含んでなる医薬組成物)、約1800μg/kg/分の塩酸エスモロールのラセミ混合物に相当する2.7μmol/kg/分以上のエスモロールのS−異性体(例えば約900μg/kg/分の塩基性エスモロールのS−異性体)、および/または約2000μg/kg/分の塩酸エスモロールのラセミ混合物に相当する、3.0μmol/kg/分以上のエスモロールのS−異性体(例えば約1000μg/kg/分の塩酸エスモロールのS−異性体)が挙げられるが、これに限定されるものではない。例えばS−異性体または薬学的に許容可能な塩を含んでなる医薬組成物の血圧低下制御量は、37.5nmol/kg/分〜3.0μmol/kg/分、37.5nmol/kg/分〜1.5μmol/kg/分、37.5nmol/kg/分〜0.75μmol/kg/分、75nmol/kg/分〜3.0μmol/kg/分、75nmol/kg/分〜1.5μmol/kg/分、75nmol/kg/分〜0.75μmol/kg/分、0.15μmol/kg/分〜3.0μmol/kg/分、0.15μmol/kg/分〜1.5μmol/kg/分、0.15μmol/kg/分〜0.75μmol/kg/分、0.3μmol/kg/分〜1.5μmol/kg/分、0.45μmol/kg/分〜1.5μmol/kg/分、0.6μmol/kg/分〜1.5μmol/kg/分、0.75μmol/kg/分〜1.5μmol/kg/分、0.90μmol/kg/分〜1.5μmol/kg/分、1.05μmol/kg/分〜1.5μmol/kg/分、および/または1.20μmol/kg/分〜1.5μmol/kg/分の量で投与し得る。
「薬学的に許容可能な塩」という用語は、エスモロールの生物学的有効性および特性を保ち、生物学的にまたはその他の点で有害でない塩を指す。このような塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など、好ましくは塩酸などの無機酸、および酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸(oxylic acid)、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、N−アセチルシステインなどの有機酸を用いて形成し得る。全ての開示される実施形態において、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートの薬学的に許容可能な塩は、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナート塩酸塩であり得る。
一態様では、「それを必要とする対象」(すなわち頻脈および/または高血圧の治療を必要とする)という用語は、頻脈および/または高血圧を制御するβ遮断薬の投与から恩恵を被る個人と定義される。
別の態様では、という用語は、「それを必要とする対象」(すなわち心拍数制御を必要とする)は、心拍数増大を制御するβ遮断薬の投与から恩恵を被る個人と定義される。
「付随する血圧低下が制御される頻脈治療を必要とする」という用語は、頻脈および/または高血圧を制御するβ遮断薬の投与から利益を受け、投与量に付随する血圧低下を起こしやすい個人を指す。
「付随する血圧低下が制御される心拍数制御を必要とする」という用語は、β遮断薬の投与から利益を受け、投与量に付随する血圧低下を起こしやすい、心拍数が増大している個人を指す。
本明細書の用法では、「頻脈」という用語は、典型的に15歳以上のヒトにおける、安静時心拍数が1分あたり100を超える異常に速い心拍を指す。「上室性頻脈」は、心房起源のこのような異常に速い心拍を指す。
本明細書の用法では、「血圧低下」という用語は、異常に低い血圧を指す。当業者には理解されるように、「血圧低下」として特徴付けられる血圧は、個人毎に変動してもよい。しかし血圧低下は、一般に90mmHg未満の収縮期圧および/または50mmHg未満の拡張期圧と定義される。
本明細書の用法では、「高血圧」という用語は、異常に高い血圧を指す。当業者には理解されるように、「高血圧」として特徴付けられる血圧は、個人毎に変動してもよい。しかし高血圧は、一般に140mmHgを超える収縮期圧および/または90mmHgを超える拡張期圧と定義される。
本明細書の用法では、「心拍数増大」という用語は、個人の標準的安静期脈拍よりも1分あたり20拍高い心拍数を指し、より典型的には標準的安静期脈拍よりも1分あたり25拍高い心拍数を指し、および/または標準的安静期脈拍よりも1分あたり30拍高い心拍数を指す。このような心拍数増大は、本明細書で定義される頻脈でなくてもよいが、頻脈もまた、前述の心拍数上昇の定義に包含される。
β遮断薬は、RSラセミ混合物として製造され商品化されることが多い一方で、S−異性体が概して全てのβ遮断活性に関与する。Mehvar and Brocks,J.Pharm.Pharmaceut.Sci.,4(2):185−200(2001)を参照されたい。前述の内容と一致して、エスモロールのS−異性体は、βアドレナリン作動性遮断剤として、当量のラセミ混合物よりも2倍強力なことが実証されている。国際公開第88/01614号パンフレットを参照されたい。したがって本明細書の用法では、「治療的当量(equitherapeutic amount)」または「治療的当量(therapeutically equivalent amount)」という用語は、メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナート塩酸塩のラセミ混合物の所与の量と同一の治療的β遮断の恩恵を提供する、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩の量を指す。一般に、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩の治療的当量は、メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナート塩酸塩のラセミ混合物の半量である。換言すれば、300μg/kg/分の速度でラセミ混合物が投与される場合、エスモロールのS−異性体の治療的当量は150μg/kg/分である。
本発明の医薬組成物は、患者への非経口投与に適する。経口投与に適する経路としては、静脈内、皮下、皮内、筋肉内、関節内、およびクモ膜下腔内が挙げられる。例えばボーラス投与、静脈輸液、またはボーラス投与/静脈輸液の組み合わせの形態で、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含んでなる医薬組成物を投与してもよい。本発明のすぐ使用できる製剤は、好ましくは静脈輸液によって投与される。
(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含んでなる医薬組成物は、典型的に、輸液に適する無菌のすぐ使用できる組成物の形態である。すぐ使用できる提供形態は、輸液に先だって、濃縮された少量の非経口製剤を輸液希釈剤で希釈する不都合を回避し、ならびに取り扱いおよび希釈中の微生物学的汚染リスクと、あらゆる潜在的計算または希釈誤差を排除する。本明細書の用法では、「すぐ使用できる」製剤または組成物は、患者への投与前に希釈する必要がない(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含んでなる医薬組成物と定義される。同様に、「非経口注入に適する」とは、pHおよびモル浸透圧濃度が、輸液による患者への投与に適した生理学的または生理学的レベル近くに調節されている、製剤または組成物に言及する。このような製剤または組成物は、プロピレングリコールおよびエタノールを本質的に含まない。代案の実施形態では、エスモロールのS−異性体を含んでなる医薬組成物は、投与に先だって希釈しなくてはならない濃縮製剤の形態である。
頻脈を治療する場合、塩酸エスモロールのS−異性体を含んでなる医薬組成物の投与量は、典型的に、指標として心拍数を使用して用量設定される。概して塩酸エスモロールのS−異性体の投与量は、12.5μg/kg/分〜1000μg/kg/分、12.5μg/kg/分〜500μg/kg/分、12.5μg/kg/分〜400μg/kg/分、12.5μg/kg/分〜300μg/kg/分、12.5μg/kg/分〜200μg/kg/分、および/または12.5μg/kg/分〜100μg/kg/分である。例えば上室性頻脈を治療するための代表的投与プロトコルは、心拍数の応答性に関する指標を得るための、1分間にわたり注入される250μgの塩酸エスモロールのS−異性体/kg体重(μg/kg)の初期負荷用量と、それに続く4分間にわたる25μg/kg/分の塩酸エスモロールのS−異性体の維持輸液を含んでもよい。例えば12.5μg/kg/分などの塩酸エスモロールのS−異性体のより低い初期維持用量、または例えば37.5μg/kg/分、50μg/kg/分、62.5μg/kg/分、75μg/kg/分、87.5μg/kg/分など、または100μg/kg/分にさえ至る塩酸エスモロールのS−異性体のより高い初期維持用量を使用してもよい。本発明に従ったエスモロールのS−異性体を含んでなる組成物のための用量計算では、投与されたエスモロールは100%S−異性体からなると想定される。場合によっては、4分間の初期維持輸液後、所望の心室応答が達成されたかどうかに応じて、1分間にわたり注入される250μg/kgの塩酸エスモロールのS−異性体の負荷用量を繰り返し、追加的な維持輸液がそれに続き、25μg/kg/分で継続してもよく、またはさらに4分間50μg/kg/分まで段階的に増大してもよい。適切な治療効果がこの時点で観察されなければ、250μg/kgの塩酸エスモロールのS−異性体の第3の負荷量を1分間にわたり繰り返し、塩酸エスモロールのS−異性体追加的な維持輸液がそれに続き、それは元の25μg/kg/分で継続してもよく、または4分間にわたる50μg/kg/分または75μg/kg/分のいずれかに増大してもよい。維持輸液は、最高48時間まで最高100μg/kg/分で継続して、所望の治療効果を達成してもよい。上室性頻脈患者において、適切な心拍数制御と安定臨床状態を達成した後、プロプラノロール、ジゴキシン、またはベラパミルなどの代案の抗不整脈薬への移行を遂行してもよい。当業者には理解されるように、エスモロールのS−異性体は、エスモロールのラセミ混合物の投与に付随することが多い血圧低下を最小化するので、重症の頻脈を迅速に制御する必要からより高い用量が指示される場合、塩酸エスモロールのS−異性体の負荷量は、250μg/kgよりも高くあり得る。したがって塩酸エスモロールのS異性体負荷量は、300μg/kg/分以上、350μg/kg/分以上、400μg/kg/分以上、450μg/kg/分以上、500μg/kg/分以上、550μg/kg/分以上、600μg/kg/分以上、650μg/kg/分以上、700μg/kg/分以上、750μg/kg/分以上、800μg/kg/分以上、850μg/kg/分以上、900μg/kg/分以上、950μg/kg/分以上、および/または1000μg/kg/分以上であり得る。塩酸塩以外の薬学的に許容可能なエスモロールの塩が投与される場合、上の範囲のモル当量を投与し得る。
例えば急性術中頻脈および/または急性術中高血圧を治療する場合など、臨床状況において即時応答/制御が所望される場合、代表的投与プロトコルは、30秒間にわたるおよそ500μg/kgの塩酸エスモロールのS−異性体のボーラス投与と、必要ならばそれに続けて75μg/kg/分の塩酸エスモロールのS−異性体の輸液を投与するステップを含む。必要に応じて輸液速度を最高150μg/kg/分の塩酸エスモロールのS−異性体まで調節して、所望の心拍数および/または血圧を維持(または達成)し得る。この場合もやはり、塩酸塩以外の薬学的に許容可能なエスモロールの塩が投与される場合、上の範囲のモル当量を投与し得る。
他方、例えば治療術後頻脈および/または術後高血圧など、漸進的応答/制御が許容できる場合は、上室性頻脈を治療するための代表的投与プロトコルを使用してもよい。さらに臨床医は、上室性頻脈を治療するための代表的投与プロトコルもまた使用して、心拍数上昇(すなわち先に記載されたような患者の正常な安静期脈拍と比較した上昇)を有する患者の心拍数を成功裏に制御してもよい。
本発明の治療方法は、人間医学および獣医学の分野において有用であることが理解されるであろう。したがって治療される対象または個人は、例えば哺乳類、好ましくはヒトなどの動物であってもよい。
本発明に従った(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含んでなる医薬組成物の包装に適する容器としては、バイアル、シリンジ、バッグ、ボトル、およびアンプル提供形態をはじめとするが、これに限定されるものではない、当該技術分野で公知の多数の密封容器が挙げられる。容器は、ガラスまたはポリマー材料から組み立てられてもよい。すぐ使用できる製剤が、典型的にバイアル、シリンジ、バッグ、およびボトル内に包装されるのに対し、濃縮製剤は、典型的にアンプル内に包装される。
本発明に従った医薬組成物は、少量非経口(SVP)および大量非経口(LVP)投薬形態で調製され得る。投薬形態は、あらゆる適切な容器内に包装され得る。適切な容器としては、例えば1mL〜500mLの範囲にわたるサイズのガラスバイアル、ポリマーバイアル、アンプル、シリンジ、およびバッグが挙げられる。SVP溶液は、典型的に1〜100mLの提供形態で、アンプルおよびバイアルに充填される。これに加えてSVPのための容器として、シリンジを使用して「充填済みシリンジ」として販売し得る。LVPの提供形態は、バッグまたはボトル内に含有させ得る。すぐ使用できるLVPの好ましい提供形態は、ポリマーバッグである。
ポリマーバッグなどのポリマー容器は、好ましくは可撓性であり、ポリ塩化ビニル(PVC)を含有し得て、またはそれを含まない。好ましい容器は、米国特許第5,849,843号明細書および米国特許第5,998,019号明細書で開示されるもののように、PVCを含まない。ポリマー容器は、二次包装システムとしての防湿層付きでさらに提供されて、貯蔵中の水分損失を防止し、製剤安定性をさらに確実にし得る。好ましい防湿層は、アルミニウムパウチ外装である。
医薬組成物のpHは、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩の安定性に影響を及ぼし得る。pHは、3.5〜6.5、好ましくは4.5〜5.5、より好ましくは5.0であるべきである。pHは、当該技術分野で公知のように、例えば水酸化ナトリウムまたは塩酸の添加によって調節し得る。
エスモロールのS−異性体または薬学的に許容可能なその塩は、典型的に、0.3mM〜3.0Mの範囲にわたる濃度(すなわち約0.1〜1000mg/mLのS−異性体塩酸エスモロールに相当する)で、本発明に従った医薬組成物中に存在する。すぐ使用できる製剤は、概して、0.3mM〜300mM(すなわち約0.1〜100mg/mLのS−異性体塩酸エスモロールに相当する)、3〜150mM(すなわち約1〜50mg/mLのS−異性体塩酸エスモロールに相当する)、および/または3〜75mM(すなわち約1〜25mg/mLのS−異性体塩酸エスモロールに相当する)のS−異性体エスモロールまたは薬学的に許容可能なその塩を含有する。濃縮製剤は、300〜1500mM(すなわち約100〜500mg/mLのS−異性体塩酸エスモロールに相当する)、例えば、300〜750mM(すなわち約100〜250mg/mLのS−異性体塩酸エスモロールに相当する)のS−異性体エスモロールまたは薬学的に許容可能なその塩を含有してもよい。
適切な緩衝剤は当該技術分野で公知であり、典型的に、0.01〜2Mの範囲にわたる濃度で、本発明に従った医薬組成物中に存在する。すぐ使用できる製剤は、典型的に、例えば0.02〜0.1Mなど、0.01〜0.5Mの緩衝剤濃度を有する。濃縮製剤は、典型的に0.5〜2Mの緩衝剤濃度を有する。例示的な緩衝剤としては、酢酸、グルタミン酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、乳酸、グルコン酸塩、リン酸、およびグリシン緩衝剤が挙げられるが、これに限定されるものではない。好ましい緩衝剤は、酢酸ナトリウムと氷酢酸の組み合わせを含んでなる。
本発明の医薬組成物は、典型的に水性である。このような水性医薬組成物は、薬学的に許容可能な共溶媒をさらに含み、エスモロールのS−異性体または学的に許容可能なその塩の可溶化を助けてもよい。代案としては、本発明の医薬組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容可能な溶媒を含んでなる、溶媒ベースであってもよい。薬学的に許容可能な溶媒(および共溶媒)の例としては、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸、およびエタノールアミンが挙げられるが、これに限定されるものではない。
適切な浸透圧調節剤は、当該技術分野で公知であり、典型的に、1〜500Mの範囲にわたる濃度で、本発明に従った医薬組成物中に存在する。例示的な浸透圧調節剤としては、塩化ナトリウム、デキストロース、炭酸水素ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、乳酸ナトリウム、リンゲル液、および乳酸加リンゲル液が挙げられるが、これに限定されるものではない。好ましい浸透圧調節剤としては、塩化ナトリウムおよび/またはデキストロースが挙げられる。すぐ使用できる製剤は、例えば3〜60mg/mLの塩化ナトリウムまたは3〜10mg/mLの塩化ナトリウムなどの1〜100mg/mLの浸透圧調節剤を含有してもよい。希釈が意図される濃縮製剤は、1〜500mg/mLまたは50〜500mg/mLの浸透圧調節剤を含有してもよい。
本発明の医薬組成物を容器内に充填し、それらを引き続いて加工する手順は、当該技術分野で公知である。これらの手順は、医療で必要とされることが多い無菌医薬品製品を製造するために、慣習的に利用される。このような加工技術は、好ましくは、医薬組成物の調製および/または包装に続いて、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含んでなる医薬組成物中に存在してもよい、あらゆる微生物を破壊または排除する滅菌処理を使用する。例えば最終滅菌を使用して、医薬組成物を含有する最終密封包装内の全ての生存する微生物を破壊し得る。高圧蒸気滅菌が一般に使用されて、最終包装内の薬剤製品の最終加熱滅菌が達成される。
最終製品の最終滅菌を達成するための製薬産業における典型的な高圧蒸気滅菌サイクルは、121℃で15分間である。本発明のエスモロールのS−異性体を含んでなる組成物は、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩の実質的分解を引き起こすことなく、5〜40分間の範囲にわたる時間、115℃〜130℃の範囲にわたる温度で高圧蒸気滅菌し得る。高圧蒸気滅菌は、好ましくは10〜36分間の範囲にわたる時間、119℃〜122℃の温度範囲で行われる。
代案としては、本発明に従った無菌医薬組成物は、無菌処理技術を使用して調製されてもよい。加熱滅菌に耐えない薬剤製品の調製には、無菌充填が通常使用されるが、その中では全成分が無菌である。無菌性は、無菌材料および制御作業環境を使用して維持される。全ての容器および装置は、充填に先だって、好ましくは加熱滅菌によって滅菌される。次に容器(例えばバイアル、アンプル、バッグ、ボトル、またはシリンジ)が無菌条件下で充填される。
上で説明したように、本発明の方法は、β遮断を必要として、血圧低下を起こしやすい患者の治療に、特に適する。したがって開示される方法による治療には、血圧低下易発性患者が特に適する。血圧低下を起こしやすい患者に、本発明に従ったS−エスモロールを含んでなる組成物を投与することで、エスモロールのラセミ混合物投与に続いて起きることが多い血圧低下を最小化しながら、患者はエスモロールのβ遮断の恩恵を被る。β遮断薬による治療から恩恵を被る心臓の病状としては、頻脈(例えば上室性頻脈、術中および術後頻脈)および高血圧(例えば術中および術後高血圧)が挙げられるが、これに限定されるものではない。さらに患者が前述の心臓の病状の1つを有するかどうかに関わらず、臨床的に望ましい場合は、本発明の方法を使用して、患者の心拍数増大もまた制御し得る。β遮断を必要とする対象が血圧低下を起こしやすくする病状は、下述される本発明の方法にとって特に適当である。
様々な実施形態において、本発明の方法に従って治療される対象は、β遮断を必要として血圧低下を起こしやすい。対象は、比較的高い治療用量のラセミ塩酸エスモロールの投与(例えば200μg/kg/分〜1000μg/kg/分の量のラセミ塩酸エスモロールなど、例えば200μg/kg/分以上、250μg/kg/分以上のラセミ混合物、300μg/kg/分以上のラセミ混合物、400μg/kg/分以上のラセミ混合物、500μg/kg/分以上、750μg/kg/分以上、および/または1000μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロールを含んでなる医薬組成物の輸液速度)が指示される状況、高齢、遺伝的異常、血液量減少、および糖尿病および前糖尿病状態をはじめとするが、これに限定されるものではない、多様な理由によって血圧低下を起こしやすい。頻脈治療のためのラセミエスモロールの好ましい用量は、当該技術分野で周知であるので、エスモロールのS−異性体を含んでなる組成物の適切な用量は、標準法により容易に判定されてもよい。
例えばエスモロールのラセミ混合物の比較的高い輸液速度(例えば200μg/kg/分以上の量のラセミ混合物、250μg/kg/分以上のラセミ混合物、300μg/kg/分以上のラセミ混合物、400μg/kg/分以上のラセミ混合物、500μg/kg/分以上のラセミ混合物、750μg/kg/分以上のラセミ混合物、および/または1000μg/kg/分以上のラセミ混合物)が指示されてヒトに投与される場合、このような対象は特に血圧低下を起こしやすい。したがって様々な実施形態で、本発明の方法に従って治療される対象は、例えば0.3μmol/kg/分〜1.5μmol/kg/分の量などの、例えば0.3μmol/kg/分(例えば100μg/kg/分のS−異性体塩酸エスモロール)以上、0.45μmol/kg/分(例えば150μg/kg/分のS−異性体塩酸エスモロール)以上、0.75μmol/kg/分(例えば250μg/kg/分のS−異性体塩酸エスモロール)以上、1.125μmol/kg/分(例えば375μg/kg/分のS−異性体塩酸エスモロール)以上、および/または1.5μmol/kg/分(例えば500μg/kg/分のS−異性体塩酸エスモロール)以上のエスモロールのS−異性体または薬学的に許容可能な塩などの比較的高い治療用量の塩酸エスモロールのS−異性体の輸液速度を与えられ得て、S−異性体塩酸エスモロールの治療的当量と比較して、(輸液速度に対応する)塩酸エスモロールのラセミ混合物の対応する用量の投与に付随することが多い降圧効果を最小化しながら、より大きなより即時の治療効果が達成される。
さらに高齢の患者は、血圧低下を起こしやすいことが知られている。したがって様々な実施形態で、治療を必要とする患者はβ遮断を必要とし、65歳以上である。
起立性低血圧を患っている患者もまた、エスモロールを与られた結果として、血圧低下を起こしやすい。起立性低血圧は、患者が概して背臥位から概して立位に動くと、付随する血圧低下を経験する状態と定義される。したがって別の実施形態では、本発明の方法による治療を必要とする患者は、β遮断を必要とし、起立性低血圧を発症しており、または発症しやすい。さらに起立性低血圧の発症は、65歳以上の成人でより頻繁に現れる。Benvenuto and Krakoff,Am J Hypertens(2010)を参照されたい。したがっていくつかの実施形態では、本発明の方法による治療を必要とする患者は65歳以上であり、起立性低血圧発症の病歴がある。
糖尿病がある患者は起立性低血圧のリスクがより高く、したがって血圧低下を起こしやすい。Wu et al.,Diabetes Care,32:1,69−74(2009)を参照されたい。いくつかの実施形態では、本発明の方法による治療を必要とする患者は、I型糖尿病、II型糖尿病を患っており、または個人の血糖レベルは上昇しているが、糖尿病を有する個人程ではない状態である「前糖尿病」を有すると見なされる。グルコースレベルは、通常、空腹時血糖値試験(FPG)または経口耐糖試験(OGTT)を使用して測定されるが、その他の試験もまた使用してもよい。FPG試験では、100〜125mg/デシリットル(mg/dL)の空腹時血糖値は前糖尿病の徴候であり、126mg/dL以上の空腹時血糖レベルは糖尿病の徴候である。OGTT試験では、グルコースに富む飲料を飲んだ2時間後に、個人の血糖値が測定される。140〜199mg/dLの2時間血糖レベルは前糖尿病の徴候であり、200mg/dL以上の2時間血糖値は糖尿病の徴候である。
家族性起立性低血圧障害を患っている患者もまた、エスモロールを与られた結果として、血圧低下を起こしやすい。家族性起立性低血圧障害は、起立時の浮遊感によって特徴付けられ、それは失神、動悸、および足関節の青紫変色に悪化することもあり、収縮期血圧の著しい低下、拡張期圧増大、および頻脈に付随して起こり、それらは全て背臥位で消散する。DeStefano et al.,AJHG,63:5,1425−1430(1998)を参照されたい。いくつかの実施形態では本発明の方法による治療を必要とする患者は、家族性起立性低血圧障害を患っている。
アルドステロン欠乏症(例えばウリック症候群またはビサー症候群)、オールグローブ症候群、テトラヒドロビオプテリン(tetrahyrdobiopterin)欠乏症、芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ欠乏症、モノアミンオキシダーゼ欠乏症、ドーパミン−β−ヒドロキシラーゼ欠乏症、ビアッジオーニ症候群、メンケス症候群(トリコジストロフィー)、家族性自律神経失調症(ライリー・デイ症候群)、遺伝性感覚運動ニューロパチー、家族性アミロイド症(アンドレイド症候群)、家族性オリーブ橋小脳萎縮症、僧帽弁逸脱(mitral valveprolapsed)症候群、遺伝性肥満細胞活性化障害、およびバーター症候群をはじめとするが、これに限定されるものではない遺伝的異常が、血圧低下を生じる感受性と関連があることが示されている。Robertson,Curr Opin Nephrol Hypertens,3(1):13−24(1994)を参照されたい。したがって様々な実施形態では、本発明の方法による治療を必要とする患者は、アルドステロン欠乏症(例えばウリック症候群またはビサー症候群)、オールグローブ症候群、テトラヒドロビオプテリン(tetrahyrdobiopterin)欠乏症、芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ欠乏症、モノアミンオキシダーゼ欠乏症、ドーパミン−β−ヒドロキシラーゼ欠乏症、ビアッジオーニ症候群、メンケス症候群(トリコジストロフィー)、家族性自律神経失調症(ライリー・デイ症候群)、遺伝性感覚運動ニューロパチー、家族性アミロイド症(アンドレイド症候群)、家族性オリーブ橋小脳萎縮症、僧帽弁逸脱(mitral valveprolapsed)症候群、遺伝性肥満細胞活性化障害、およびバーター症候群からなる群から選択される1つまたは複数の障害を患っている。
さらに血圧低下は、全身麻酔誘導後の一般的出来事である。Reich et al.,Anesth Analg,101:3,622−628(2005)を参照されたい。したがっていくつかの実施形態では、本発明の方法による治療を必要とする患者は、β遮断を必要として、全身麻酔下の処置を受け、またはここ36時間内に全身麻酔を投与されていた。同様に、血圧低下は、脊髄麻酔の最も頻度の高い副作用の1つである。Hartmann et al.,Anesthesia & Analgesia,94:6,1521−1529(2002)を参照されたい。いくつかの実施形態では、本発明の方法による治療を必要とする患者は、β遮断を必要として、脊髄麻酔下の処置を受け、またはここ36時間内に脊髄麻酔を投与されていた。
脊髄ブロックを伴う外科手術を受ける、心臓血管合併症のリスクがある患者を保護する作用物質としてのビソプロロール(β遮断薬)の可能性を分析する研究では、研究者らは血圧低下の前兆としてのADRB2遺伝子の多形性を同定した。Zaugg,Anesthesiology,107:33−44(2007)を参照されたい。Zaugg et al.は、Gly16Arg多形性(refSNP ID:rs1042713;配列番号1)のある個人が、ビソプロロール投与に続いて血圧低下を経験する可能性が高いことを見出した。したがっていくつかの実施形態では、本発明の方法による治療を必要とする患者は、β遮断を必要とし、ADRB2 Gly16Arg多形性を保有する。
さらにアジア系である患者は、エスモロール誘発血圧低下をより起こしやすいことが知られている。Ko et al.,JACC23:302−6(1994)を参照されたい。製造会社の推奨する500μg/kg体重/分の負荷輸液を使用して、Ko et al.は、この用量を投与された全ての患者が、急性血圧低下を経験したことを発見した(同文献303ページ)。負荷量および維持用量の低下によってのみ、研究者らは血圧低下を引き起こすことなく、上室性頻拍性不整脈(tacharrhythmia)を制御できた(同文献302ページ)。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の方法による治療を必要とする患者は、β遮断を必要し、アジア系であり、例えば患者は中国系であり得る。
以下の実施例は例証目的で提供され、本発明の範囲をどのようにも制限するものではない。
表1は、続く研究で用いられたエスモロール組成物の特性を列挙する。「バッチ番号」は、塩酸エスモロールの意図される濃度を指す。「実際のエスモロール濃度」は、下に示されるように、製剤調製時(「動物試験前」)または動物試験の後(「動物試験後」)に非キラルHPLC法によって測定された、各特定の製剤中の塩酸エスモロールの実際の濃度を指す。キラルHPLC法を使用して、組成物中のS異性体とR異性体の比率を判定した。動物試験前に測定された実際のエスモロール濃度を使用して、動物投与量を判定した。動物試験前と動物試験後値の濃度の不一致が小さいことは、組成物の安定性を実証する。各製剤のpHは、動物試験前および動物試験後に測定された。浸透圧は、動物試験後に測定された。
実施例1
血圧低下に対するエスモロール鏡像異性体の貢献度を分析するモデル系の確立
ヒト患者における塩酸エスモロール注射の血圧低下能力を予測するために、麻酔された雑種犬を利用するモデル系を確立した。1匹のイヌには、600μg/kg/分の負荷量でラセミ塩酸エスモロールを含有する製剤を3分間にわたり投与し、300μg/kg/分の10分間にわたる維持輸液がそれに続き(600RS/300RSと称される)、休薬期間(図1)がそれに続いた。本図および後続の図では、様々な薬剤の輸液の長さが、時間軸に平行なコード化された横線によって示される。2000μg/kg/分を3分間にわたり投与し、1000μg/kg/分の10分間にわたる維持輸液がそれに続き(2000RS/1000RSと称される)、次に400μg/kg/分を3分間にわたり投与し、200μg/kg/分の10分間にわたる維持輸液がそれに続き(400RS/200RSと称される)このプロトコルを繰り返した。実験全体を通じて、平均動脈圧および心拍数をモニターした。塩酸エスモロールのラセミ製剤投与に応えて、平均動脈圧に明白な用量依存性低下があり、用量依存性反射性頻拍がそれに付随して起きた。エスモロール投与が常態では心拍数を低下させることが予期される一方、500μg/kg/分以上のエスモロール用量での血圧低下に続発する同様の反射頻脈が、ヒトで報告されている。Reilly et al.,Clin Pharmacol Ther.38:579−85(1985)を参照されたい。
ヒトはラセミ塩酸エスモロール処置に応えて、同様に血圧低下(または降圧応答)を示すことが知られているので、これらのデータは、雑種犬が、異なる塩酸エスモロール製剤の血圧低下能力をある程度評価するための妥当な種であることを示唆する。本明細書に記載される実験でイヌに投与された用量は、典型的な臨床用量よりも高かったが、バックグラウンドノイズを超えて効果レベルを十分に増大させることで、再現性を増大させ、100%に近いイヌに急性血圧低下を誘発するために、本用量が投与された。さらにヒトにおけるエスモロール投与と比較して、イヌモデルは実験誤差内で、平均動脈圧−対−輸液速度の同一の依存性を再現する。したがってイヌにおいてこれらの比較的より高い用量レベルで得られた結論は、ヒトにおけるより低い用量での悪影響の最小化に妥当である。
実施例2
エスモロールのS−異性体を含んでなる組成物は、ラセミ調合物と比較して、血圧低下能力の低下を実証する
実施例1の動物モデルは、エスモロールのS−異性体を含んでなる組成物と、エスモロールのラセミ混合物を含んでなる組成物とを複雑な生体系内で比較できるようにした。β遮断薬はRSラセミ混合物として製造され商品化されることが多い一方で、S−異性体が全てのβ遮断活性の原因である。Mehvar and Brocks,J.Pharm Pharmaceut Sci,482:185−200(2001)を参照されたい。したがってエスモロールのS−異性体は、βアドレナリン作動性遮断剤として、同等量のラセミ混合物よりも約2倍強力である。国際公開第88/01614号パンフレットを参照されたい。前述したことを考慮して、本明細書に記載される実験は、エスモロールのS−異性体を含んでなる組成物と比較した、エスモロールのラセミ混合物を含んでなる組成物の投与を例証し、S−異性体の投与量は、ラセミ混合物の半量であった。S−異性体は、ラセミ混合物中に存在する全ての治療能力を実質的に有するので、S−異性体からなる半量の組成物は、所与の量のエスモロールのラセミ混合物を含んでなる組成物と等治療効果があると見なされた。換言すれば、600μg/kg/分のラセミ体のエスモロールを含んでなる組成物が投与される場合、直接比較のために投与されるS−異性体を含んでなる組成物の等治療効果がある投与/輸液速度は、300μg/kg/分であった。
最初の実験では、塩酸エスモロールのS−異性体を含んでなる組成物の血圧低下能力をラセミ製剤を含んでなる組成物と比較した。平均動脈圧、心拍出量、および全身血管抵抗を実験全体を通じてモニターした。血圧低下(すなわち心拍出量および全身血管抵抗の低下)の原因を理解するために、心拍出量および全身血管抵抗を評価した。
4匹のl雑種犬のそれぞれに、用量を増大させながら塩酸エスモロールを投与した(図2〜5)。2匹のイヌ(D00028およびDG0029)には、150μg/kg/分のS−異性体製剤を平均動脈圧が定常状態に達するまで与え、その時点で動物を300μg/kg/分のラセミ製剤に即座に切り替えた(このプロトコルは図3aおよび4aで150S/300RSと称される)。定常状態に達したら輸液を停止し、休薬期間がそれに続いた。300μg/kg/分のエスモロールのS−異性体と、それに続く600μg/kg/分のエスモロールのラセミ混合物の投与を使用して、双方のイヌで同様のプロトコルを繰り返した(このプロトコルは、図3bおよび4bの300S/600RSである)。最終プロトコルは1000μg/kg/分のエスモロールのS−異性体の投与と、それに続く2000μg/kg/分のエスモロールのラセミ混合物の投与と、それに続く1000μg/kg/分のエスモロールのS−異性体を伴った(このプロトコルは、図3cおよび4cで1000S/2000RS/1000Sと称される)。
S−異性体の前にエスモロールのラセミ混合物を投与したこと以外は、同様の一連のプロトコルを別の2匹のイヌ(DG0027およびDG0030)で繰り返した。換言すれば、300μg/kg/分のエスモロールのラセミ混合物を投与し、150μg/kg/分のエスモロールのS−異性体の投与がそれに続き(このプロトコルは図2aおよび5aで300RS/150Sと称される)、600μg/kg/分のエスモロールのラセミ混合物を投与し、300μg/kg/分のエスモロールのS−異性体の投与がそれに続き(このプロトコルは図2bおよび5bで600RS/300Sと称される)、2000μg/kg/分のエスモロールのラセミ混合物を投与し、1000μg/kg/分のエスモロールのS−異性体、次に再度2000μg/kg/分のエスモロールのラセミ混合物の投与がそれに続いた(このプロトコルは、図2cおよび5cで2000RS/1000S/2000RSと称される)]。
実施例1と同様に、ラセミ製剤は、それがS−異性体の投与前または後に投与されたかどうかにかかわらず、4匹のイヌ全てにおいて、平均動脈圧に用量依存性低下を引き起こした。高用量輸液プロトコルでは、2つの製剤間で平均動脈圧に明確な差があった。具体的には、S−異性体は、ラセミ製剤と比較して顕著により軽度の血圧低下を生じた。一般に、平均動血圧に対するS−異性体とラセミ製剤間の区別は、300μg/kg/分のS−異性体と600μg/kg/分のラセミ混合物が投与される、中間の輸液プロトコルにおいて明白であった(図2bおよび5b;図3bおよび4bを参照されたい)。したがって区別は、ヒトにおけるほとんどの臨床的に妥当な輸液速度よりもおよそ2〜3倍だけ高いラセミ混合物用量(すなわち200μg/kg/分のラセミ混合物)において、明白であった。2000RS/1000S/2000RS投与プロトコル中には、1000S段階で平均動脈圧が増大した(図2cを参照されたい)。これらのデータは、R−異性体がラセミ製剤の血圧低下能力に寄与することを示唆する。
実施例3
エスモロールのS−異性体を含んでなる組成物は、ラセミ製剤と比較して血圧低下がより軽度で同様の有効性を示す
本実験の目的は、実施例2で、S−異性体の投与に続いて(平均動脈圧終点による評価で)観察された血圧低下の減衰に、ラセミ製剤と比較した有効性(すなわちイソプロテレノール誘発頻脈を制御する能力)低下が付随するかどうかを判定することであった。
1匹のイヌにボーラス用量のイソプロテレノール(0.25μg/kg)を投与して、ベースライン心拍数応答を確立した(図6a)。イソプロテレノールは、頻脈を誘発できる非選択的β1アドレナリン作動薬である。休薬期間後、90μg/kg/分のラセミ製剤(RS)を10分間にわたり投与して、即座にイソプロテレノール挑戦がそれに続いた。休薬期間後、45μg/kg/分のS−異性体(S)を10分間にわたり投与し、即座に別のイソプロテレノール投与がそれに続いた。150μg/kg/分のS−異性体とそれに続く300μg/kg/分のラセミ製剤(図6b)、次に2000μg/kg/分のラセミ製剤とそれに続く1000μg/kg/分のS−異性体(図6c)を使用して、このプロトコルを繰り返した。実施例2と同様に、ラセミ製剤は、S−異性体と比較して、平均動脈圧により大きな用量依存性低下を引き起こした。
高輸液速度では、2つの製剤間で、平均動脈圧応答にかなり大きな差があった。具体的には、S−異性体は、ラセミ製剤と比較して顕著により軽度の血圧低下を生じた。エスモロール輸液速度が増大すると、イソプロテレノール挑戦に続いて、心拍数の用量依存性低下が観察された。エスモロール用量が増大すると、イソプロテレノールが相互作用する受容体数が低下することから、観察された心拍数の用量依存性低下が予期された。より重要なことには、S−異性体の治療的当量は、イソプロテレノール誘発頻脈の低下において、ラセミ製剤と同程度の有効性を一貫して実証した。合計するとこのデータは、S−異性体が非常に広範な輸液速度にわたり、ラセミ製剤と比較して、血圧低下(平均動脈圧終点)がより軽度で同様の有効性(心拍数終点)を示すことを示唆する。
実施例4
エスモロールのS−異性体は、ラセミおよびR−異性体製剤と比較して、顕著により軽度の血圧低下を生じる。
塩酸エスモロールのR−異性体のみの製剤の血圧低下能力を、S−異性体およびラセミ製剤と比較した。3匹の雑種犬のそれぞれに、ラテン方格法を使用して、それぞれ2つの輸液速度で3種の製剤全てを投与した(図7〜9)。例えば動物DG0024には、300μg/kg/分のラセミ製剤を10分間にわたり与え、その時点で動物を150μg/kg/分のS−異性体製剤に即座に切り替え、10分間の時点で動物を150μg/kg/分のR−異性体製剤に即座に切り替え、10分間(このプロトコルは、図7aで300RS/150S/150Rと称される)で、休薬期間がそれに続いた。高輸液速度プロトコルを使用して、動物DG0024でこのプロトコルを繰り返した(すなわち2000μg/kg/分のラセミ製剤を10分間、1000μg/kg/分のS−異性体を10分間、2000μg/kg/分のラセミ製剤を10分間;このプロトコルは、図7bで2000RS/1000S/1000Rと称される)。動物DG0032およびDG0033の処置順序とモニターされたパラメータを、図8aおよび8bおよび図9aおよび9bにそれぞれ示す。
低輸液速度では、3種の製剤間で観察された平均動脈圧の差はなかった。この所見は、輸液速度が、エスモロールのS−異性体でおよそ300μg/kg/分、ラセミ混合物で600μg/kg/分になるまで、S−異性体とラセミ製剤間の区別がイヌにおいて発現しないことを示す、実施例2からの所見と一致する。
高用量輸液速度では、S−異性体製剤に続いて、ラセミ製剤と比較して平均動脈圧に顕著な差があった。具体的には、S−異性体製剤輸液に続いて、ラセミ製剤と比較して平均動脈圧が改善された(または上昇した)。この所見もまた、上の実施例2で観察されたものと一致する。
図2〜5および7〜9の高用量輸液プロトコルからの個々の動物データを合わせて、図10に提示する。輸液前(すなわち特定輸液開始直前の休止ベースライン状態)値からの平均動脈圧(MAP)の変化は、次のように計算した百分率変化として示される。[((輸液終了時の値−輸液開始時の値)/輸液開始時の値)*100]。これらのデータに基づいて、ベースラインから出発して、RSラセミ混合物の投与がMAPを40%低下させたのに対し、S−異性体製剤の投与は13%のみ低下させた。興味深いことに、R−異性体製剤の投与効果はこれらの値の中間であり、19%の低下がもたらされる。R−異性体とS−異性体製剤の投与効果の合計は、実質的にRS投与の効果と同等であり、これらの実験における1000μg/kg/分のRと1000μg/kg/分のS、および2000μg/kg/分のRSの薬剤の相対輸液速度に一致する。
異なる初期状態からの出発が、MAPに及ぼす効果を図11に示す。したがってRSラセミ混合物が投与されている初期状態からの出発では、MAPはS−異性体投与時に実際には34%増大し、それによってS−異性体製剤の投与が、ラセミ混合物の投与によって誘発される降圧効果からの回復を引き起こすことが実証される。他方、動物がS−異性体製剤を投与されている初期状態からの出発では、引き続くRSラセミ混合物製剤の投与はMAPを32%低下させ、これはRSからSへの実験の逆方向とほぼ同等である。
R−異性体製剤の投与に続く心臓血管変化は、ラセミ製剤の投与に続くものと定性的に同一であった。これらのデータは、R−異性体が、平均動脈圧低下(すなわち血圧低下)をはじめとする、ラセミ製剤に続いて観察された心臓血管変化に寄与することを示す。総合すると、実施例1〜4からのデータは、実験的に心拍数が増大された場合、R−異性体が、明白な固有の心拍数低下能力なしに、ラセミ混合物の投与によって観察された血圧低下に顕著に寄与するようであることを示唆する。
実施例5
エスモロールのS−異性体を含んでなる組成物は、顕著により軽度の血圧低下を生じ、ラセミ混合物を含んでなる組成物と比較して同様の有効性を示す
本実験の目的は、より広範囲の用量を試験して実施例3よりも多い試験対象を使用することで、S−異性体の投与に続いて(平均動脈圧終点によって実証される)血圧低下の減衰に、ラセミ製剤と比較して実質的に等しい効能(すなわちイソプロテレノール誘発頻脈を制御する能力)が付随することを実証して、実施例3の結果を確認することであった。
実験プロトコルは、本質的に実施例3に記載されるように実施した。要約すると、それぞれのイヌにラセミエスモロール(RS)を指示用量で10分間にわたり投与し、即座にイソプロテレノール挑戦がそれに続いた(0.25μg/kgのボーラス用量のイソプロテレノール)。休薬期間後、等治療効果用量のS−異性体(S)が10分間にわたり投与されて、即座に別のイソプロテレノール挑戦がそれに続いた。このプロトコルを90μg/kg/分のRSと45μg/kg/分のS(イヌ5匹)、300μg/kg/分のRSと150μg/kg/分のS(イヌ1匹)、600μg/kg/分のRSと300μg/kg/分のS(イヌ3匹)、1000μg/kg/分のRSと500μg/kg/分のS(イヌ4匹)、および2000μg/kg/分のRSと1000μg/kg/分のS(イヌ3匹)で実施した。
図12Aは、エスモロールのラセミ体またはS−異性体の輸液を与えられたイヌにおける、イソプロテレノール挑戦に続く、平均動脈圧と心拍数に対する影響を記載の輸液速度で比較する。全ての用量で、エスモロールのラセミ体の所与の用量とS−異性体の等治療効果用量とを比較すると(すなわちラセミ混合物の半量を含んでなるS−異性体の用量、例えば90μg/kg/分のエスモロールのラセミ製剤と比較して45μg/kg/分のS−異性体製剤)、心拍数の百分率低下は本質的に同一であったしたがってラセミ製剤の半分の用量で投与されるエスモロールのS−異性体製剤は、同等の治療効果(すなわち心拍数低下)を生じることができる。しかし平均動脈圧低下によって判定される降圧効果は、600μg/kg/分のラセミエスモロールと300μg/kg/分のS−異性体製剤を超える用量で、顕著に異なった。例えば1000μg/kg/分のラセミエスモロール輸液速度での平均動脈圧の低下が約20mmHgであったのに対し、500μg/kg/分のS−異性体の等治療効果用量での平均動脈圧低下は、約10mmHgであった。したがってラセミ混合物中のR異性体の存在は、ラセミエスモロールに付随する血圧低下に顕著に寄与する。特に、S−異性体の治療的当量は、イソプロテレノール誘発頻脈の低下において、ラセミ製剤と同程度の有効性を一貫して実証した(全ての用量にわたる)。
より低い用量範囲における、エスモロールのラセミ体とS−異性体間の血圧低下能力における真の差次的効果をより良く推定するために、イソプロテレノール挑戦実験の一部ではなかったが、その他の点では完全に同じように処理されたその他のイヌからのデータを図12Aからのデータセットと組み合わせて、図12Bに示す。いかなる交絡変数をも回避するために、追加的なデータ点は、記載用量が最初に投与され、または記載用量に十分な洗い出し期間が先行したイヌからのみ得た。サンプルサイズの増大は、600μg/kg/分のラセミエスモロール(イヌ7匹)と300μg/kg/分のS−異性体(イヌ5匹)の投与比較において、平均動脈圧の統計的有意差を明らかにした。したがって図12Aにおいて、より低い用量で見られる平均動脈圧の有意な区別の欠如は、比較的より小さなサンプルサイズと、生物学的変動のためであると思われる。
これらのデータは、エスモロールのS−異性体の等治療効果用量が、非常に広範な輸液速度にわたり、それぞれの平均動脈圧変化で実証されるように、血圧低下が顕著により軽度で、エスモロールのラセミ体の相当する用量の全ての治療効果(すなわち心拍数低下)を達成し得ることを実証する。
実施例6
イヌモデルのヒトとの関連性
バックグラウンドノイズを超えて効果レベルを十分に増大させることで、再現性を増大させ、100%に近いイヌに急性血圧低下を誘発するために、本明細書に記載される実験でイヌに投与されたエスモロール用量は、ヒトで使用される典型的な臨床用量よりも高くある必要があった。本明細書で雑種犬について得られた結果が、臨床的に妥当であることを確認するために、Yu et al.によって塩酸エスモロールの無作為化対照臨床試験のメタ分析において得られた収縮期血圧結果中の最大加重平均差(Yu et al.,Anesth Analg.2011 Feb;112(2):267−81)に、本明細書で得られた実験結果からのデータを重ね合わせた。図13に示されるように、これらのデータは、ヒト患者が、エスモロールのラセミ混合物の所与の用量で、イヌモデルの2倍を超える重症度の臨床血圧低下を経験したことを実証する。さらになおも、図12Aおよび12Bは、ヒトにおいて臨床的に妥当なラセミ混合物の用量(すなわち300μg/kg/分のラセミ混合物)で、イヌにおいて観察された有意な区別を実証する。(S−異性体製剤の等治療効果用量と比較して)エスモロールのラセミ混合物の所与の用量によって、ヒトによって経験される降圧効果の2倍を超える増大を考慮すると、これらのデータは、イヌで得られた結論が、ヒトにおいて臨床的に妥当なさらにより低い用量における、悪影響の最小化にとって、妥当であることを確認する。

Claims (92)

  1. 対象において頻脈を治療する方法であって、前記方法が(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含んでなる医薬組成物の治療的有効量を前記対象に投与するステップを含んでなり、前記医薬組成物が(R)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を実質的に含まず、前記対象が付随する血圧低下が制御される頻脈の治療を必要とする、方法。
  2. それを必要とする対象において頻脈を治療する方法であって、前記方法が(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含んでなる医薬組成物の治療的有効量を前記対象に投与するステップを含んでなり、前記医薬組成物が(R)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能な塩を実質的に含まず、前記治療的有効量が0.3μmol/kg/分以上の血圧低下制御量で投与される、方法。
  3. 前記治療的有効量が、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩の血圧低下制御量を含んでなる、請求項1に記載の方法。
  4. (S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩の血圧低下制御量が、37.5nmol/kg/分以上、75nmol/kg/分以上、0.15μmol/kg/分以上、0.3μmol/kg/分以上、0.45μmol/kg/分以上、0.6μmol/kg/分以上、0.75μmol/kg/分以上、0.90μmol/kg/分以上、1.05μmol/kg/分以上、1.125μmol/kg/分以上、1.20μmol/kg/分以上、1.35μmol/kg/分以上、1.5μmol/kg/分以上、1.8μmol/kg/分以上、2.1μmol/kg/分以上、2.4μmol/kg/分以上、2.7μmol/kg/分以上、および/または3.0μmol/kg/分以上である、請求項2または3に記載の方法。
  5. (R,S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナート塩酸塩を含んでなる医薬組成物の治療的当量濃度が、前記対象に恐らく血圧低下を引き起こす、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 25μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、50μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、100μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、200μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、300μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、400μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、500μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、600μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、700μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、750μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、800μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、900μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、1000μg/kg/分以上、1200μg/kg/分以上、1400μg/kg/分以上、1600μg/kg/分以上、1800μg/kg/分以上、および/または2000μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロールに相当する用量が指示される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記患者が、血圧低下に対する感受性によって特徴付けられる病状を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記血圧低下感受性によって特徴付けられる病状が、アルドステロン欠乏症、ウリック症候群、ビサー症候群、オールグローブ症候群、テトラヒドロビオプテリン欠乏症、芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ欠乏症、モノアミンオキシダーゼ欠乏症、ドーパミン−β−ヒドロキシラーゼ欠乏症、ビアッジオーニ症候群、メンケス症候群、家族性自律神経失調症、遺伝性感覚運動ニューロパチー、家族性アミロイド症、家族性オリーブ橋小脳萎縮症、僧帽弁逸脱(mitral valve prolapsed)症候群、遺伝性肥満細胞活性化障害、バーター症候群、起立性低血圧、家族性起立性低血圧障害、I型糖尿病、II型糖尿病、および血液量減少からなる群より選択される、請求項7に記載の使用。
  9. 前記患者が、ADRB2遺伝子に多形性を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記多形性が、Gly16Arg(rs1042713;配列番号1)である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記患者が65歳以上である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記患者がアジア系である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記患者が中国系である、請求項12に記載の方法。
  14. 前記患者が、脊髄麻酔下での処置を受けている、またはここ36時間前以内に脊髄麻酔を投与されていた、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記患者が、全身麻酔下での処置を受けている、またはここ36時間以内に全身麻酔を投与されていた、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記医薬組成物が、前記組成物中のメチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩の総量を基準にして、10重量%未満、5重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、および/または0.5重量%未満の(R)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含有する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 付随する血圧低下が制御される頻脈治療を必要とする対象において、頻脈を治療するための組成物であって、前記組成物が、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩の治療的有効量を含んでなり、(R)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を実質的に含まない、組成物。
  18. (S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩の血圧低下制御量を含んでなる、請求項17に記載の組成物。
  19. (S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を37.5nmol/kg/分以上、75nmol/kg/分以上、0.15μmol/kg/分以上、0.3μmol/kg/分以上、0.45μmol/kg/分以上、0.6μmol/kg/分以上、0.75μmol/kg/分以上、0.90μmol/kg/分以上、1.05μmol/kg/分以上、1.125μmol/kg/分以上、1.20μmol/kg/分以上、1.35μmol/kg/分以上、1.5μmol/kg/分以上、1.8μmol/kg/分以上、2.1μmol/kg/分以上、2.4μmol/kg/分以上、2.7μmol/kg/分以上、および/または3.0μmol/kg/分以上の速度で投与するための請求項17または18に記載の組成物。
  20. (R,S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナート塩酸塩を含んでなる医薬組成物の治療的当量濃度が、前記対象に恐らく血圧低下を引き起こす、請求項17〜19のいずれか一項に記載の組成物。
  21. 25μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、50μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、100μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、200μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、300μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、400μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、500μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、600μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、700μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、750μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、800μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、900μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、1000μg/kg/分以上、1200μg/kg/分以上、1400μg/kg/分以上、1600μg/kg/分以上、1800μg/kg/分以上、および/または2000μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロールに相当する用量を投与するための請求項20に記載の組成物。
  22. 血圧低下を起こしやすい患者の治療で使用するための請求項17〜21のいずれか一項に記載の組成物。
  23. アルドステロン欠乏症、ウリック症候群、ビサー症候群、オールグローブ症候群、テトラヒドロビオプテリン欠乏症、芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ欠乏症、モノアミンオキシダーゼ欠乏症、ドーパミン−β−ヒドロキシラーゼ欠乏症、ビアッジオーニ症候群、メンケス症候群、家族性自律神経失調症、遺伝性感覚運動ニューロパチー、家族性アミロイド症、家族性オリーブ橋小脳萎縮症、僧帽弁逸脱(mitral valve prolapsed)症候群、遺伝性肥満細胞活性化障害、バーター症候群、起立性低血圧、家族性起立性低血圧障害、I型糖尿病、II型糖尿病、および血液量減少の1つまたは複数を有する患者において、頻脈治療で使用するための請求項22の組成物。
  24. 前記ADRB2遺伝子に多形性を有する患者において、頻脈治療で使用するための請求項17〜23のいずれか一項に記載の組成物。
  25. 前記多形性がGly16Arg(rs1042713;配列番号1)である、請求項24に記載の組成物。
  26. 65歳以上の患者において、頻脈治療で使用するための請求項17〜25のいずれか一項に記載の組成物。
  27. アジア系である患者において、頻脈治療で使用するための請求項17〜26のいずれか一項に記載の組成物。
  28. 中国系である患者において、頻脈治療で使用するための請求項27に記載の組成物。
  29. 脊髄麻酔下での処置を受けている、またはここ36時間内に脊髄麻酔を投与されていた患者において、頻脈治療で使用するための請求項17〜28のいずれか一項に記載の組成物。
  30. 全身麻酔下での処置を受けている、またはここ36時間内に全身麻酔を投与されていた患者において、頻脈治療で使用するための請求項17〜29のいずれか一項に記載の組成物。
  31. 前記組成物中のメチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩の総量を基準にして、10重量%未満、5重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、および/または0.5重量%未満の(R)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含有する、請求項17〜30のいずれか一項に記載の組成物。
  32. (R)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を実質的に含まず、頻脈治療用であり、付随する血圧低下の制御もまた提供する、薬剤の製造における、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩の使用。
  33. 前記薬剤が、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩の血圧低下制御量を含んでなる、請求項32に記載の使用。
  34. 前記薬剤が、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を37.5nmol/kg/分以上、75nmol/kg/分以上、0.15μmol/kg/分以上、0.3μmol/kg/分以上、0.45μmol/kg/分以上、0.6μmol/kg/分以上、0.75μmol/kg/分以上、0.90μmol/kg/分以上、1.05μmol/kg/分以上、1.125μmol/kg/分以上、1.20μmol/kg/分以上、1.35μmol/kg/分以上、1.5μmol/kg/分以上、1.8μmol/kg/分以上、2.1μmol/kg/分以上、2.4μmol/kg/分以上、2.7μmol/kg/分以上、および/または3.0μmol/kg/分以上の速度で投与するためのものである、請求項32または請求項33に記載の使用。
  35. (R,S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナート塩酸塩を含んでなる医薬組成物の治療的当量濃度が、前記対象に恐らく血圧低下を引き起こす、請求項32〜34のいずれか一項に記載の使用。
  36. 前記薬剤が、25μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、50μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、100μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、200μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、300μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、400μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、500μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、600μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、700μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、750μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、800μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、900μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、1000μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、1200μg/kg/分以上、1400μg/kg/分以上、1600μg/kg/分以上、1800μg/kg/分以上、および/または2000μg/kg/分以上に相当する用量を投与するためのものである、請求項35に記載の使用。
  37. 前記薬剤が、血圧低下を起こしやすい患者を治療するためのものである、請求項32〜36のいずれか一項に記載の使用。
  38. 前記薬剤が、アルドステロン欠乏症、ウリック症候群、ビサー症候群、オールグローブ症候群、テトラヒドロビオプテリン欠乏症、芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ欠乏症、モノアミンオキシダーゼ欠乏症、ドーパミン−β−ヒドロキシラーゼ欠乏症、ビアッジオーニ症候群、メンケス症候群、家族性自律神経失調症、遺伝性感覚運動ニューロパチー、家族性アミロイド症、家族性オリーブ橋小脳萎縮症、僧帽弁逸脱(mitral valve prolapsed)症候群、遺伝性肥満細胞活性化障害、バーター症候群、起立性低血圧、家族性起立性低血圧障害、I型糖尿病、II型糖尿病、および血液量減少の1つまたは複数を有する患者において、頻脈治療で使用するためのものである、請求項37に記載の使用。
  39. 前記薬剤が、前記ADRB2遺伝子に多形性を有する患者において、頻脈を治療するためのものである、請求項32〜38のいずれか一項に記載の使用。
  40. 前記多形性が、Gly16Arg(rs1042713;配列番号1)である、請求項39に記載の使用。
  41. 前記薬剤が、65歳以上の患者において頻脈を治療するためのものである、請求項32〜40のいずれか一項に記載の使用。
  42. 前記薬剤が、アジア系である患者において頻脈を治療するためのものである、請求項32〜41のいずれか一項に記載の使用。
  43. 前記薬剤が、中国系である患者において頻脈を治療するためのものである、請求項42に記載の使用。
  44. 前記薬剤が、脊髄麻酔下での処置を受けている、またはここ36時間内に脊髄麻酔を投与されていた患者において、頻脈を治療するためのものである、請求項32〜43のいずれか一項に記載の使用。
  45. 前記薬剤が、全身麻酔下での処置を受けている、またはここ36時間内に全身麻酔を投与されていた患者において、頻脈を治療するためのものである、請求項32〜44のいずれか一項に記載の使用。
  46. 前記薬剤が、前記組成物中のメチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩の総量を基準にして、10重量%未満、5重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、および/または0.5重量%未満の(R)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含有する、請求項32〜45のいずれか一項に記載の組成物。
  47. 前記対象において心拍数を制御する方法であって、前記方法が(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含んでなる医薬組成物の治療的有効量を前記対象に投与するステップを含んでなり、前記医薬組成物が(R)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を実質的に含まず、前記対象が付随する血圧低下が制御される心拍数制御を必要とする、方法。
  48. それを必要とする対象において心拍数を制御する方法であって、前記方法が(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含んでなる医薬組成物の治療的有効量を前記対象に投与するステップを含んでなり、前記医薬組成物が(R)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能な塩を実質的に含まず、前記治療的有効量が0.3μmol/kg/分以上の血圧低下制御量で投与される、方法。
  49. 前記治療的有効量が、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩の血圧低下制御量を含んでなる、請求項47に記載の方法。
  50. (S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩の血圧低下制御量が、37.5nmol/kg/分以上、75nmol/kg/分以上、0.15μmol/kg/分以上、0.3μmol/kg/分以上、0.45μmol/kg/分以上、0.6μmol/kg/分以上、0.75μmol/kg/分以上、0.90μmol/kg/分以上、1.05μmol/kg/分以上、1.125μmol/kg/分以上、1.20μmol/kg/分以上、1.35μmol/kg/分以上、1.5μmol/kg/分以上、1.8μmol/kg/分以上、2.1μmol/kg/分以上、2.4μmol/kg/分以上、2.7μmol/kg/分以上、および/または3.0μmol/kg/分以上である、請求項48または49に記載の方法。
  51. (R,S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナート塩酸塩を含んでなる医薬組成物の治療的当量濃度が、前記対象に恐らく血圧低下を引き起こす、請求項47〜50のいずれか一項に記載の方法。
  52. 25μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、50μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、100μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、200μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、300μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、400μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、500μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、600μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、700μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、750μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、800μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、900μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、1000μg/kg/分以上、1200μg/kg/分以上、1400μg/kg/分以上、1600μg/kg/分以上、1800μg/kg/分、および/または2000μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロールに相当する用量が指示される、請求項51に記載の方法。
  53. 前記患者が、血圧低下感受性によって特徴付けられる病状を有する、請求項47〜52のいずれか一項に記載の方法。
  54. 前記血圧低下感受性によって特徴付けられる病状が、アルドステロン欠乏症、ウリック症候群、ビサー症候群、オールグローブ症候群、テトラヒドロビオプテリン欠乏症、芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ欠乏症、モノアミンオキシダーゼ欠乏症、ドーパミン−β−ヒドロキシラーゼ欠乏症、ビアッジオーニ症候群、メンケス症候群、家族性自律神経失調症、遺伝性感覚運動ニューロパチー、家族性アミロイド症、家族性オリーブ橋小脳萎縮症、僧帽弁逸脱(mitral valve prolapsed)症候群、遺伝性肥満細胞活性化障害、バーター症候群、起立性低血圧、家族性起立性低血圧障害、I型糖尿病、II型糖尿病、および血液量減少からなる群より選択される、請求項53に記載の使用。
  55. 前記患者が前記ADRB2遺伝子に多形性を有する、請求項47〜54のいずれか一項に記載の方法。
  56. 前記多形性が、Gly16Arg(rs1042713;配列番号1)である、請求項55に記載の方法。
  57. 前記患者が65歳以上である、請求項47〜56のいずれか一項に記載の方法。
  58. 前記患者がアジア系である、請求項47〜57のいずれか一項に記載の方法。
  59. 患者が中国系である、請求項58に記載の方法。
  60. 前記患者が、脊髄麻酔下での処置を受けている、またはここ36時間内に脊髄麻酔を投与されていた、請求項47〜59のいずれか一項に記載の方法。
  61. 前記患者が、全身麻酔下での処置を受けている、またはここ36時間内に全身麻酔を投与されていた、請求項47〜60のいずれか一項に記載の方法。
  62. 前記医薬組成物が、前記組成物中のメチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩の総量を基準にして、10重量%未満、5重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、および/または0.5重量%未満の(R)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含有する、請求項47〜61のいずれか一項に記載の方法。
  63. 付随する血圧低下が制御される心拍数制御を必要とする対象において、心拍数を制御するための組成物であって、前記組成物が、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩の治療的有効量を含んでなり、(R)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を実質的に含まない、組成物。
  64. (S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩の血圧低下制御量を含んでなる、請求項63に記載の組成物。
  65. (S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を37.5nmol/kg/分以上、75nmol/kg/分以上、0.15μmol/kg/分以上、0.3μmol/kg/分以上、0.45μmol/kg/分以上、0.6μmol/kg/分以上、0.75μmol/kg/分以上、0.90μmol/kg/分以上、1.05μmol/kg/分以上、1.125μmol/kg/分以上、1.20μmol/kg/分以上、1.35μmol/kg/分以上、1.5μmol/kg/分以上、1.8μmol/kg/分以上、2.1μmol/kg/分以上、2.4μmol/kg/分以上、2.7μmol/kg/分以上、および/または3.0μmol/kg/分以上の速度で投与するための請求項63または64に記載の組成物。
  66. (R,S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナート塩酸塩を含んでなる医薬組成物の治療的当量濃度が、前記対象に恐らく血圧低下を引き起こす、請求項63〜65のいずれか一項に記載の組成物。
  67. 25μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、50μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、100μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、200μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、300μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、400μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、500μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、600μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、700μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、750μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、800μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、900μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、1000μg/kg/分以上、1200μg/kg/分以上、1400μg/kg/分以上、1600μg/kg/分以上、1800μg/kg/分以上、および/または2000μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロールに相当する用量を投与するための請求項66に記載の組成物。
  68. 血圧低下を起こしやすい患者の治療で使用するための請求項63〜67のいずれか一項に記載の組成物。
  69. アルドステロン欠乏症、ウリック症候群、ビサー症候群、オールグローブ症候群、テトラヒドロビオプテリン欠乏症、芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ欠乏症、モノアミンオキシダーゼ欠乏症、ドーパミン−β−ヒドロキシラーゼ欠乏症、ビアッジオーニ症候群、メンケス症候群、家族性自律神経失調症、遺伝性感覚運動ニューロパチー、家族性アミロイド症、家族性オリーブ橋小脳萎縮症、僧帽弁逸脱(mitral valve prolapsed)症候群、遺伝性肥満細胞活性化障害、バーター症候群、起立性低血圧、家族性起立性低血圧障害、I型糖尿病、II型糖尿病、および血液量減少の1つまたは複数を有する患者において、心拍数制御で使用するための請求項68の組成物。
  70. 前記ADRB2遺伝子に多形性を有する患者において、心拍数制御で使用するための請求項63〜69のいずれか一項に記載の組成物。
  71. 前記多形性がGly16Arg(rs1042713;配列番号1)である、請求項70に記載の組成物。
  72. 65歳以上の患者において、心拍数制御で使用するための請求項63〜71のいずれか一項に記載の組成物。
  73. アジア系である患者において、心拍数制御で使用するための請求項63〜72のいずれか一項に記載の組成物。
  74. 中国系である患者において、心拍数制御で使用するための請求項73に記載の組成物。
  75. 脊髄麻酔下での処置を受けている、またはここ36時間内に脊髄麻酔を投与されていた患者における、心拍数制御で使用するための請求項63〜74のいずれか一項に記載の組成物。
  76. 全身麻酔下での処置を受けている、またはここ36時間内に全身麻酔を投与されていた患者における、心拍数制御で使用するための請求項63〜75のいずれか一項に記載の組成物。
  77. 前記組成物中のメチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩の総量を基準にして、10重量%未満、5重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、および/または0.5重量%未満の(R)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含有する、請求項63〜76のいずれか一項に記載の組成物。
  78. (R)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を実質的に含まず、心拍数制御用であり、付随する血圧低下の制御もまた提供する、薬剤の製造における、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩の使用。
  79. 前記薬剤が、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩の血圧低下制御量を含んでなる、請求項78に記載の使用。
  80. 前記薬剤が、(S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を37.5nmol/kg/分以上、75nmol/kg/分以上、0.15μmol/kg/分以上、0.3μmol/kg/分以上、0.45μmol/kg/分以上、0.6μmol/kg/分以上、0.75μmol/kg/分以上、0.90μmol/kg/分以上、1.05μmol/kg/分以上、1.125μmol/kg/分以上、1.20μmol/kg/分以上、1.35μmol/kg/分以上、1.5μmol/kg/分以上、1.8μmol/kg/分以上、2.1μmol/kg/分以上、2.4μmol/kg/分以上、2.7μmol/kg/分以上、および/または3.0μmol/kg/分以上の速度で投与するためのものである、請求項78または請求項79に記載の使用。
  81. (R,S)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナート塩酸塩を含んでなる医薬組成物の治療的当量濃度が、前記対象に恐らく血圧低下を引き起こす、請求項78〜80のいずれか一項に記載の使用。
  82. 前記薬剤が、25μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、50μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、100μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、200μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、300μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、400μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、500μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、600μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、700μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、750μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、800μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、900μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、1000μg/kg/分以上のラセミ塩酸エスモロール、1200μg/kg/分以上、1400μg/kg/分以上、1600μg/kg/分以上、1800μg/kg/分以上、および/または2000μg/kg/分以上に相当する用量を投与するためのものである、請求項81に記載の使用。
  83. 前記薬剤が、血圧低下を起こしやすい患者を治療するためのものである、請求項78〜82のいずれか一項に記載の使用。
  84. 前記薬剤が、アルドステロン欠乏症、ウリック症候群、ビサー症候群、オールグローブ症候群、テトラヒドロビオプテリン欠乏症、芳香族L−アミノ酸デカルボキシラーゼ欠乏症、モノアミンオキシダーゼ欠乏症、ドーパミン−β−ヒドロキシラーゼ欠乏症、ビアッジオーニ症候群、メンケス症候群、家族性自律神経失調症、遺伝性感覚運動ニューロパチー、家族性アミロイド症、家族性オリーブ橋小脳萎縮症、僧帽弁逸脱(mitral valve prolapsed)症候群、遺伝性肥満細胞活性化障害、バーター症候群、起立性低血圧、家族性起立性低血圧障害、I型糖尿病、II型糖尿病、および血液量減少の1つまたは複数を有する患者において、心拍数制御で使用するためのものである、請求項83に記載の使用。
  85. 前記薬剤が、前記ADRB2遺伝子に多形性を有する患者において、頻脈を治療するためのものである、請求項78〜84のいずれか一項に記載の使用。
  86. 前記多形性が、Gly16Arg(rs1042713;配列番号1)である、請求項85に記載の使用。
  87. 前記薬剤が、65歳以上の患者において心拍数を制御するためのものである、請求項78〜86のいずれか一項に記載の使用。
  88. 前記薬剤が、アジア系である患者において心拍数を制御するためのものである、請求項78〜87のいずれか一項に記載の使用。
  89. 前記薬剤が、中国系である患者において心拍数を制御するためのものである、請求項88に記載の使用。
  90. 前記薬剤が、脊髄麻酔下での処置を受けている、またはここ36時間内に脊髄麻酔を投与されていた患者において、心拍数制御するためのものである、請求項78〜89のいずれか一項に記載の使用。
  91. 前記薬剤が、全身麻酔下での処置を受けている、またはここ36時間内に全身麻酔を投与されていた患者において、心拍数を制御するためのものである、請求項78〜90のいずれか一項に記載の使用。
  92. 前記薬剤が、前記組成物中のメチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩の総量を基準にして、10重量%未満、5重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、および/または0.5重量%未満の(R)−メチル−3−[4−(2−ヒドロキシ−3−イソプロピルアミノ)プロポキシ]フェニルプロピオナートまたは薬学的に許容可能なその塩を含有する、請求項78〜91のいずれか一項に記載の使用。
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