JP2014240534A - ポリオレフィン合成パルプ - Google Patents

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Hiroyu Sekioka
裕佑 関岡
徳彦 中川
Norihiko Nakagawa
徳彦 中川
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Abstract

【課題】低温領域で安定したシール性を発現するヒートシール紙等に好適なポリオレフィン合成パルプを得ることを目的とする。
【解決手段】本発明は、下記要件(I)〜(IV)を満たすエチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体(A)を含むポリオレフィン合成パルプに係る。
(I)190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が0.1〜100g/10分の範囲である。
(II)密度(D)が860〜930kg/m3の範囲である。
(III)GPCで測定した重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)が1.50〜3.00の範囲である。
(IV)温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線において、最もピーク強度の強いピークの高さ(H)と、該ピークの1/2の高さにおける幅(W)との比(H/W)と密度(D)とが、下記の関係式を満たす。
0.0163×D−14.50≦Log10(H/W)≦0.0163×D−13.21
【選択図】なし

Description

本発明は、セパレータ、ヒートシール紙等に好適なヒートシール性を有するポリオレフィン合成パルプに関する。
ポリエチレンを原料とする合成パルプは、単独であるいは紙の原料となるパルプ(セルロース)と混抄して、電池用セパレータ、成形ボード、ティーバッグ紙、滅菌紙、壁紙、ヒートシール紙等の原料として広く使用されている。
ヒートシール性を改良したポリオレフィン合成パルプとして、密度が0.900〜0.980g/cm3、及び分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜3.5の範囲にあるエチレン・α−オレフィン共重合体からなるポリオレフィン合成パルプが提案されている(特許文献1:特開平9−157946号公報)。
一方、ポリエチレンを原料とする合成パルプに比べて、低温から高温迄の幅広い温度領域で安定したヒートシール性を示すポリオレフィン合成パルプとして、α,β‐不飽和カルボン酸含有量が1〜20重量%のエチレン・α,β‐不飽和カルボン酸共重合体をフラッシュ法によってパルプ状に形成した分岐状繊維からなるポリオレフィン合成パルプも提案されている(特許文献2:特開2001−81627号公報)。
しかしながら、用途によっては、更に低温領域で安定したシール性およびホットタック性を発現するヒートシール紙が要望されている。
特開平9−157946号公報 特開2001−81627号公報
本発明は、低温領域で安定したシール性を発現するヒートシール紙等に好適なポリオレフィン合成パルプを得ることを目的とする。
本発明は、下記要件(I)〜(IV)を満たすエチレン・α−オレフィン共重合体を含むポリオレフィン合成パルプに係る。
(I)190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が0.1〜100g/10分の範囲である。
(II)密度(D)が860〜930kg/m3の範囲である。
(III)GPCで測定した重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)が1.50以上3.00以下の範囲である。
(IV)温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線において、最もピーク強度の強いピークの高さ(H)と、該ピークの1/2の高さにおける幅(W)との比(H/W)と密度(D)とが、下記の関係式を満たす。
0.0163×D−14.50≦Log10(H/W)≦0.0163×D−13.21
本発明のポリオレフィン合成パルプは、低温領域で安定したシール性を発現するヒートシール紙に好適なポリオレフィン合成パルプを提供することができる。
<エチレン・α−オレフィン共重合体(A)>
本発明のポリオレフィン合成パルプの原料となるエチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、下記要件(I)〜(IV)を満たす、エチレンと炭素数4以上、好ましくは炭素数が6〜10のα−オレフィンとの共重合体である。
エチレンと共重合されるα−オレフィンとしては、具体的には、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等をあげることができる。
(I)190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が0.1〜100g/10分の範囲、好ましくは0.5〜20g/10分の範囲である。
(II)密度(D)が860〜930kg/m3、好ましくは880〜920kg/m3の範囲である。
(III)GPCで測定した重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)が1.50〜3.00、好ましくは1.50〜2.30の範囲である。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体(A)の重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)はウォーターズ社製Alliance GPC 2000を用い、以下のようにして測定した。分離カラムは、TSKgelGMH6−HTを2本及びTSKgelGMH6−HTLを2本であり、カラムサイズはそれぞれ内径7.5mm、長さ300mmであり、カラム温度は140℃とし、移動相にはo−ジクロロベンゼン(和光純薬工業)および酸化防止剤としてBHT(武田薬品)0.025重量%を用い、1.0ml/分で移動させ、試料濃度は0.15重量%とし、試料注入量は0.5mlとし、検出器として示差屈折計を用いた。分子量計算は、ユニバーサル校正して、ポリエチレンに換算した値である。
(IV)温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線において、最もピーク強度の強いピークの高さ(H)と、該ピークの1/2の高さにおける幅(W)との比(H/W)と密度(D)とが、下記の関係式を満たす。
0.0163×D−14.50≦Log10(H/W)≦0.0163×D−13.21
温度上昇溶離分別(TREF)は、α−オレフィン含量の多い成分ほど低温にて溶出し、α−オレフィン含量の少ない成分ほど高温にて溶出する。H/Wは温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線において、最もピーク強度の強いピークの高さ(H)と、最もピーク強度の強いピークの1/2の高さにおける幅(W)との比で表されるので、同等の密度のエチレン系共重合体で比較した場合、H/Wが大きいほどα−オレフィンは均一に分子鎖中に導入されており、組成分布は狭くなる。
H/Wは得られるエチレン系共重合体の組成分布に強く依存しており、この組成分布は触媒の活性点が均一になれば狭くなり、不均一になれば広くなることが知られている。
なお、本発明において、H/Wは以下のようにして決定した。
温度上昇溶離分別(TREF)による溶出曲線は、Polymer ChAR社製クロス分別クロマトグラフ装置CFC2型を用いて、以下条件で測定した。
検出器 : 赤外分光計IR4(Polymer ChAR社製)、3.42μm
SECカラム: Shodex AT−806M×3本(昭和電工社製)、140℃
溶離液 : o−ジクロロベンゼン
流速 : 1.0mL/min
試料濃度: 4mg/mL
注入量 : 0.5mL
降温時間: 140℃から0℃へ140分で冷却し、その後30分間0℃に保持
溶出区分: 0,5,10,15,20,25,30,35,40,45,49,52,55,58,61,64,67,70,73,76,79,82,85,88,91,94,97,100,102,120,140℃
測定詳細は、試料を140℃で溶解し、測定装置内のサンプルループ内に注入する。試料溶液は、装置付属のTREF分離カラムに注入される。次に、試料溶液を1℃/minの速度で140℃から0℃の温度まで冷却し、不活性担体にコーティングさせる。このとき、高結晶性成分から低結晶性成分の順で不活性担体表面にポリマー層が形成される。TREF分離カラムが0℃で更に30分間保持された後、0℃の温度で溶解している成分が、1 ml/分の流速でTREF分離カラムからSEC分離カラムへ注入される。SEC分離カラム内で分子サイズでの分別が行われている間に、TREF分離カラムでは次の溶出温度に昇温され、その後保持される。溶出温度は上記の温度で段階的に昇温される。各温度で溶出した成分の分子量を測定し、汎用較正曲線を使用して、ポリエチレン換算分子量を求めた。SEC分離カラムを通過した試料溶液は、赤外分光光度計でポリマーの濃度に比例する吸光度が測定され(波長3.42μm)、各溶出温度区分のクロマトグラムが得られる。内蔵のデータ処理ソフトを用い、上記測定で得られた各溶出温度区分のクロマトグラムのベースラインを引き、演算処理される。各クロマトグラムの面積が積分され、積分溶出曲線が計算される。また、この積分溶出曲線を温度で微分して、微分溶出曲線が計算される。
次に、得られた微分溶出曲線の作図を、横軸に溶出温度を100℃当たり89.3mm、縦軸に微分量(全積分溶出量を1.0に規格し、1℃の変化量を微分量とした)0.1当たり76.5mmで行い、この微分溶出曲線のピーク高さ(mm)を1/2高さの幅(mm)で除した値をH/Wとした。
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体(A)には、本発明の目的を損なわない範囲で、通常用いられる酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、耐候安定剤、親水化剤等の種々公知の添加剤を必要に応じて配合してもよい。
〈エチレン・α−オレフィン共重合体(A)の製造方法〉
本発明に係るエチレン・α−オレフィン共重合体(A)は、具体的には、例えば、特開2008−231264号公報に記載された方法である、
(A)架橋型メタロセン化合物、並びに
(B)(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物、
(b−2)前記メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、および
(b−3)有機アルミニウム化合物
とから選ばれる少なくとも1種以上の化合物とからなるオレフィン重合用触媒の存在下に、エチレンおよびα―オレフィンから選ばれる1種以上のモノマーを120〜300℃の温度で溶媒の共存下で溶液重合することによって製造することができる。
<ポリオレフィン合成パルプ>
本発明のポリオレフィン合成パルプは、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)を含む合成パルプであり、1本の繊維の最長部分の平均値(以下、「平均繊維長」という。)が、通常0.05〜50mmであり、0.05〜10mmであるのが好ましく、0.1〜10mmであるのが特に好ましい。平均繊維長がこの範囲にあれば、当該合成パルプとしたときに適度な嵩高性を有するので好ましい。
本発明のポリオレフィン合成パルプの平均繊維長は以下の手順で求めた。
濃度0.02重量%になるようにポリオレフィン合成パルプを水に分散し、フィンランド国のメッツォ社製自動繊維測定機(製品名;FiberLab)で合成パルプを構成する繊維の一本一本の繊維の長さを測定した。当該測定機では、キャピラリー中を流れる際の繊維にキセノンランプ光を照射してCCD(電荷結合素子)センサーで映像信号を採取し、画像解析した。繊維の長さは0.05mm刻み(級)で、繊維の長さと各繊維の長さに該当する繊維の存在率(%)の両方が測定され、これをもとに以下の式により平均繊維長が得られる。測定は、約20000本の繊維について行った。
平均繊維長(mm)=Σ(Nn×Ln2)/Σ(Nn×Ln)
Nn:各級の繊維本数
Ln:各級の繊維長(mm)
本発明のポリオレフィン合成パルプには、本発明の目的を損なわない範囲において他の種々の化合物を含有していても良い。例えば、従来公知の抗菌剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、各種安定剤、酸化防止剤、分散剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、充填剤等が挙げられる。これらは複数の化合物を含有していても良く、その含有量は目的に応じて適宜選択できる。
〈ポリオレフィン合成パルプの製造方法〉
本発明のポリオレフィン合成パルプは、種々の方法により得られるが、通常はフラッシュ法で製造することが可能である。フラッシュ法とは、高圧で溶媒に溶解したポリマーを減圧することで溶媒を揮散させ、さらに必要に応じワーリング・ブレンダー、ディスクリファイナー等にて繊維を切断および叩解する方法である。特に、特開昭48-44523号公報に記載されているような方法により、ポリオレフィン溶液を懸濁剤の存在下、水媒体に分散させたものをフラッシュさせると、繊維状物質が乱雑に分岐した形状を有する本発明に係る合成パルプが得られる。
フラッシュ法は、具体的には、水とポリビニルアルコールなどの懸濁剤の存在下に前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)溶液をフラッシュする。最初に、原料となる前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)を、該共重合体を溶解可能な溶剤に溶解し、前述した懸濁剤及び水を加えてエマルジョンとする。
溶剤としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素系、ベンゼン、トルエン等の芳香族系、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭素類等の中から、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)を溶解せしめ、且つ、フラッシュ時に揮発し得られた繊維の集合体に残存しにくいものを適宜選択する。
懸濁剤の添加量は、繊維中、懸濁剤が0.1〜5重量%となる量とするのが好ましい。製造過程において、添加した懸濁剤の一部が抜けるような操作をする場合は多めに添加する等、適宜調整し添加する。添加量の目安としては、前記エチレン・α−オレフィン共重合体(A)100質量部に対して0.1〜10質量部である。懸濁剤を添加することにより、エマルジョンを安定化することができるとともに、フラッシュ後の繊維切断を水中で安定的に行うことができる。
次に、得られたエマルジョンを、100〜200℃、好ましくは130〜150℃に加熱し、圧力(絶対圧力)0.1〜5MPa、好ましくは圧力0.5〜1.5MPaの加圧状態にし、ノズルより減圧下へ噴出(フラッシュ)すると同時に溶剤を気化させる。減圧の条件は、圧力1kPa〜95kPaとすることが好ましく、噴出先は窒素雰囲気等の不活性雰囲気であることが好ましい。本発明において、「圧力」とは絶対圧力のことを示す。
上記のようにしてフラッシュすることにより、分岐構造を有する不定長の繊維が得られるが、この繊維は、さらにワーリング・ブレンダー、ディスクリファイナー等にて切断および叩解して、所望の長さにすることが好ましい。そのとき、繊維を0.5〜5g/リットル濃度の水スラリーとして上記切断・叩解処理を行うことが好ましい。乾燥後、所望によりミキサー等によって開綿してもよい。
以上説明した方法によれば、本発明に係るポリオレフィン合成パルプを好ましく製造することができる。
尚、本発明のポリオレフィン合成パルプに、前記の添加剤を混合する場合には、エマルジョンの段階で添加するのが好ましい。そうすることで分岐状繊維に成形した後も添加剤の効果を長期間保持することが可能となる。
本発明のポリオレフィン合成パルプは、(1)それ単独で添加剤として、あるいは単独シートとして用いられる他、(2)天然パルプや有機繊維、無機繊維、無機粉体等との混合物や混抄シート、さらに(3)単独シートあるいは混抄シートと別のシートとの積層体等の形態にして使用することができる。
本発明のポリオレフィン合成パルプの具体的な用途として次の例を挙げることができる。
(1)シート状にして、電池用セパレータ、成形ボード、ティーバッグ紙、滅菌紙、乾燥剤包装袋等の製造に用いるヒートシール紙にする。
(2)乾燥粉砕後に綿状にして、塗料のタレ防止剤、シーラー、シーラント、コーキング材、接着剤等の増粘用添加剤とする。
(3)木材パルプ等の天然パルプと混抄して、ラベル紙、ティッシュペーパー、タオルペーパー、ワイプ等の耐水紙にする。
(4)他の合成繊維と混抄して、合成紙、インモールドラベル紙にする。
(5)粉砕パルプ等と混合した後にマット状にして、水、油、溶剤、尿などを吸収する吸水シートもしくは吸水マットにする。
(6)解繊繊維等と混合して、電線ケーブル被覆材、絶縁紙、ブックカバー等の乾式バインダーにする。
(7)ファイバーセメント等のセメント添加剤にする。
(8)気体用フィルター、液体用フィルター、マスク、セラミックスペーパー等のフィルター材にする。
(9)その他、紙皿などの成形板紙、壁紙、クッションフロアーの裏打ち材、壁材の補強用繊維、タイルグラウト、濾過助剤等にする。
本発明のポリオレフィン合成パルプを用いて、ポリオレフィン合成パルプ単独タイプ、混抄タイプおよび二層タイプのヒートシール紙を好適に製造することができる。混抄タイプの場合には、ポリオレフィン合成パルプ以外の繊維状物としては、特に限定はされないが、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維などの合成繊維;針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、アバカパルプなどのパルプ;ガラス繊維、炭素繊維などの無機繊維などが挙げられる。
本発明のポリオレフィン合成パルプを上記他の繊維状物と混繊することにより得られる混抄タイプのヒートシール紙は、高融点で、低温ヒートシール性に劣るポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維からなる不織布のヒートシール性が改良され、また、本質的に融点を有せずヒートシール性がないパルプからなる紙に、ヒートシール性を付与される。混抄タイプの場合には、本発明のポリオレフィン合成パルプを5〜95質量%、好ましくは20〜80質量%の範囲、他の繊維状物を95〜5質量%、好ましくは80〜20質量%の範囲で含む。
二層タイプの場合には、本発明のポリオレフィン合成パルプから坪量2〜20(g/m2)のシートを成形し、そのシートをセルロースパルプ等から成形した基材繊維層の少なくとも一方の面に積層し、加熱オーブン、熱ロール等の手段によって熱処理して両層を一体化した積層体である。この積層体は、合成パルプ層と基材繊維層との間の層間接着強度が高く、また使用時のヒートシール工程で熱板に融着して生産効率を低下させることもなく、高いシール強度でヒートシールすることができる。なお、基材繊維層の両面に合成パルプ層を積層させ、三層構成として両面にヒートシール性を付与することも可能である。
ポリオレフィン合成パルプ単独タイプ、混抄タイプおよび二層タイプのヒートシール紙は、それの持つ優れたヒートシール性を利用して、袋体等の製造用原料紙として広く利用することができ、例えば、ティーバッグ、滅菌器具を入れる袋、乾燥剤を入れる袋に好適に使用できる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例における合成パルプおよび混抄タイプのヒートシール紙の物性等の測定は、下記の方法により行なった。
(1)平均繊維長
ポリオレフィン合成パルプの平均繊維長は、フィンランド国、メッツォ社製FiberLab型自動繊維長測定機を用いて測定した。平均繊維長は、重量平均として表わされる。
(2)カナダ標準フリーネス(CSF)
カナダ標準フリーネスは、JIS P 8121に準拠して測定した。
(3)ヒートシール強度
[ヒートシール方法]
テスター産業(株)製のヒートシール試験機を使用し、下記の条件でヒートシールを行なった。
シールバー幅:10.0mm
シール圧力 :0.1MPa
シール時間 :1.0秒
シール温度 :上部バーおよび下部バーを同一温度として、110℃、120℃、130℃
[ヒートシール強度の測定]
定速度引張試験機を用いて、上記条件でヒートシールを行なった試験紙の引張剥離試験を下記の条件で行なった。
試験紙形状 :幅15mm 、長さ50mm
引張速度 :100mm / 分
測定時雰囲気温度: 23℃
〔実施例1〕
<ポリオレフィン合成パルプの製造>
じゃま板を具備した80リットル容量の撹拌機付オートクレーブ中に、n-ヘキサン20リットル(23℃)、水20リットル(23℃)、エチレン・1−オクテン共重合体[MFR(ASTM D 1238-89, 190℃, 2.16kg荷重)= 2.1g / 10分、密度 = 909kg / m3、分子量分布(Mw / Mn)= 2.2、log(H/W)= 0.55] 1,000g、ポリビニルアルコール[PVA,ケン化度:99% 、4%水溶液粘度(20℃):4.6〜 6.0cPs、商品名ゴーセノールNL-05、日本合成化学工業(株)製]5gを投入し、回転数400 rpmで撹拌しながら、混合液の液温が140℃ になるまで昇温し、この温度で、さらに30分間撹拌を続けることにより、懸濁液を得た。
次いで、この懸濁液を、オートクレーブに取り付けられた直径3mm 、長さ6mmのノズルよりパイプを経て、窒素雰囲気下、かつ、-55kPaの減圧下にあるドラム内に噴出(フラッシュ)させて、繊維状物を得た。
得られた繊維状物を受容器内で3g / リットル濃度の水スラリーとした後、直径12インチのディスク型リファイナーで叩解し、エチレン・1−オクテン共重合体合成パルプを得た。得られたエチレン・1−オクテン共重合体合成パルプの物性を第1表に示す。
上記の方法で得られたエチレン・1−オクテン共重合体合成パルプ1.50gと木材パルプ(針葉樹晒クラフトパルプ、NBKP、CSF = 410 mL)2.25gとを、水2リットルとともにJIS型パルパー中に加え、10分間撹拌混合して水スラリーを得た。
次いで、この水スラリーを250mm×250mmの角型抄紙機を用いて、坪量60g /m2の混抄タイプのヒートシール紙を作製した。この混抄タイプのヒートシール紙を表面温度100 ℃ の回転型乾燥機で乾燥した。
上記のようにして得られたヒートシール紙について、ヒートシール強度を上述した測定方法で測定した。その結果を表1に示す。
〔比較例1〕
実施例1で用いたエチレン・1−-オクテン共重合体に替えて、表1に示すエチレン・1−ヘキセン共重合体を用いる以外は、実施例1と同様に行いポリオレフィン合成パルプ、及び混抄タイプのヒートシール紙を得た。得られたヒートシール紙の物性を前記方法で測定した。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
実施例1で用いたエチレン・1−オクテン共重合体に替えて、表1に示すエチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体を用いる以外は、実施例1と同様に行い合成パルプ及び混抄タイプのヒートシール紙を得た。得られたヒートシール紙の物性を前記方法で測定した。結果を表1に示す。
Figure 2014240534

Claims (3)

  1. 下記要件(I)〜(IV)を満たすエチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体(A)を含むポリオレフィン合成パルプ。
    (I)190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレート(MFR)が0.1〜100g/10分の範囲である。
    (II)密度(D)が860〜930kg/m3の範囲である。
    (III)GPCで測定した重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)が1.50〜3.00の範囲である。
    (IV)温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線において、最もピーク強度の強いピークの高さ(H)と、該ピークの1/2の高さにおける幅(W)との比(H/W)と密度(D)とが、下記の関係式を満たす。
    0.0163×D−14.50≦Log10(H/W)≦0.0163×D−13.21
  2. エチレン・α−オレフィン共重合体(A)100重量部に対して、ポリビニルアルコールを0.01〜10重量部含む請求項1に記載のポリオレフィン合成パルプ。
  3. ポリオレフィン合成パルプの平均繊維長が0.1〜10mmである請求項1または2に記載のポリオレフィン合成パルプ。
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