JP2014240453A - 熱可塑性樹脂組成物、樹脂成形品、及びメッキ層付樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物、樹脂成形品、及びメッキ層付樹脂成形品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 広いレーザー条件で表面にメッキが形成でき、かつ、機械的強度に優れた樹脂成形品を提供できる樹脂組成物の提供。【解決手段】 熱可塑性樹脂100重量部に対し、レーザーダイレクトストラクチャリング添加剤1〜20重量部および炭素繊維10〜120重量部を含む、熱可塑性樹脂組成物。【選択図】 図1

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物に関する。さらに、該熱可塑性樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品および、この樹脂成形品の表面に、メッキ層を形成したメッキ層付樹脂成形品の製造方法に関する。
近年、レーザーダイレクトストラクチャリング(以下、「LDS」ということがある)技術が注目されている。LDS技術は、例えば、LDS添加剤を含む樹脂成形品の表面にレーザーを照射し、レーザーを照射した部分のみを活性化させ、該活性化させた部分に金属を適用することによってメッキ層を形成する技術である。この技術の特徴は、接着剤などを使わずに、樹脂基材表面に直接に金属構造体を製造できる点にある。かかるLDS技術は、例えば、特許文献1〜4に開示されている。このような用途は、携帯電話等携帯電子機器部品の筐体の表面に直接にアンテナ等を形成する技術として注目されている。
特表2000−503817号公報 特表2004−534408号公報 国際公開WO2009/141800号パンフレット 国際公開WO2012/128219号パンフレット
かかるLDS技術が採用される樹脂成形品は、近年、携帯電子機器部品の筐体の表面にアンテナ等を形成する目的の他、意匠用途としても利用することが期待できる。このようにLDS技術の多様化に伴い、角部を有する筐体などにLDS技術を採用するケースが増えている。筐体の角部にメッキを形成する場合、均一な樹脂成形品の表面にメッキを形成する場合と異なり、十分な照射エネルギーを付与できないことがある。そのため、例えば、光照射が低出力の場合などの条件でも適切にメッキが形成できる熱可塑性樹脂組成物が求められる。さらに、上記のような熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品についても、機械的強度の向上が求められている。
本発明は、かかる問題点を解決することを目的としたものであって、広いレーザー条件で樹脂成形品の表面にメッキが形成でき、かつ、機械的強度に優れた樹脂成形品を提供できる熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
かかる状況のもと、本発明者が鋭意検討を行った結果、熱可塑性樹脂とLDS添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物において、炭素繊維を配合することにより、上記課題を解決しうることを見出した。すなわち、炭素繊維を配合することによって、熱可塑性樹脂組成物がメッキ形成の際のレーザー光を吸収しやすくなる。この結果得られるエネルギーによって熱を発生し、周辺の樹脂を溶かし、レーザー光が樹脂成形品のより内部まで侵入しやすくなる。この結果、低出力のエネルギー照射でもメッキを形成できる。さらに、炭素繊維を配合しているため、樹脂成形品の機械的強度も維持される。
具体的には、下記手段<1>により、好ましくは<2>〜<13>により、上記課題は解決された。
<1>熱可塑性樹脂100重量部に対し、レーザーダイレクトストラクチャリング添加剤1〜20重量部および炭素繊維10〜120重量部を含む、熱可塑性樹脂組成物。
<2>炭素繊維の含有量が、熱可塑性樹脂100重量部に対し、40〜100重量部である、<1>に記載の熱可塑性樹脂組成物。
<3>前記レーザーダイレクトストラクチャリング添加剤は、銅とクロムを含む酸化物を含む、<1>または<2>に記載の熱可塑性樹脂組成物。
<4>さらに、タルクを含む、<1>〜<3>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
<5>前記熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂である、<1>〜<4>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
<6><1>〜<5>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品。
<7>さらに、表面にメッキ層を有する、<6>に記載の樹脂成形品。
<8>機構部品である、<6>または<7>に記載の樹脂成形品。
<9><1>〜<5>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品の表面に、レーザーを照射後、金属を適用して、メッキ層を形成することを含む、メッキ層付樹脂成形品の製造方法。
<10>前記メッキが銅メッキである、<9>に記載のメッキ層付樹脂成形品の製造方法。
<11>レーザー照射によって付与される単位面積当たりのエネルギー量が2000〜100000Wμs/mm2である、<9>または<10>に記載の製造方法。
本発明により、広いレーザー条件で表面にメッキが形成でき、かつ、機械的強度に優れた樹脂成形品を提供できる熱可塑性樹脂組成物を提供可能になった。
樹脂成形品の表面にメッキを設ける工程を示す概略図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。なお、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物(以下、単に、「本発明の組成物」ということがある)は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、レーザーダイレクトストラクチャリング添加剤1〜20重量部および炭素繊維10〜120重量部を含む。このような構成とすることにより、広いレーザー条件で表面にメッキを形成でき、かつ、機械的強度に優れた樹脂成形品を提供できる。以下、本発明の組成物の詳細について、説明する。
<熱可塑性樹脂>
本発明の組成物は、熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性樹脂の種類は、特に限定されず、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン系樹脂のアロイ、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリアミド樹脂のアロイ、熱可塑性ポリエステル樹脂、メチルメタクリレート/アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合樹脂、メチルメタアクリレート/スチレン共重合樹脂、メチルメタアクリレート樹脂、ゴム強化メチルメタアクリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等が挙げられる。
本発明では、ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂が好ましく用いられ、ポリアミド樹脂がさらに好ましい。
ポリアミド樹脂は、その分子中に酸アミド基(−CONH−)を有する、加熱溶融できるポリアミド重合体である。具体的には、ラクタムの重縮合物、ジアミン化合物とジカルボン酸化合物との重縮合物、ω−アミノカルボン酸の重縮合物等の各種ポリアミド樹脂、またはこれらの共重合ポリアミド樹脂やブレンド物等である。
ポリアミド樹脂の重縮合の原料であるラクタムとしては、例えば、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム等が挙げられる。
ジアミン化合物としては、例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、(2,2,4−または2,4,4−)トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン(MXDA)、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジン等の脂肪族、脂環式、芳香族のジアミン等が挙げられる。
ジカルボン酸化合物としては、例えば、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の脂肪族、脂環式、芳香族のジカルボン酸等が挙げられる。
ω−アミノカルボン酸としては、例えば、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸等のアミノ酸が挙げられる。
これらの原料から重縮合されてなるポリアミド樹脂の具体例としては、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタラミド(ポリアミド6I)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリメタキシリレンドデカミド、ポリアミド9T、ポリアミド9MT等が挙げられる。本発明においては、これらポリアミドホモポリマーもしくはコポリマーを、各々単独または混合物の形で用いることができる。
上述のようなポリアミド樹脂の中でも、成形性、耐熱性の観点から、ポリアミド6、ポリアミド66、またはα,ω−直鎖脂肪族二塩基酸とキシリレンジアミンとの重縮合で得られるキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂(MXナイロン)がより好ましく使用される。これらの中でも、さらにMXナイロンが、耐熱性、難燃性の観点から好ましい。また、ポリアミド樹脂が混合物である場合には、ポリアミド樹脂中のMXナイロンの比率が50重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましい。
MXナイロンは、ポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド46、ポリアミド9T等の脂肪族系ポリアミド樹脂に比べ結晶化速度がやや遅いため、MXナイロンを使用する場合は、成形サイクルを短縮するために、MXナイロンに脂肪族系ポリアミド樹脂を配合して用いることが好ましい。成形サイクル短縮の目的で配合する場合に用いられる脂肪族系ポリアミド樹脂としては、ポリアミド66、ポリアミド6、ポリアミド46、ポリアミド9T等の結晶化速度の速いポリアミド樹脂や、ポリアミド66/6T、66/6T/6I等の高融点のポリアミド樹脂が挙げられ、経済性の観点からポリアミド66またはポリアミド6が好ましい。成形性および物性のバランスから、その脂肪族系ポリアミド樹脂の含有率は、全ポリアミド樹脂中の50重量%未満が好ましい。脂肪族系ポリアミド樹脂の含有率を50重量%未満にすることにより、耐熱性を良好に保つことができる。
MXナイロンの原料であるα,ω−直鎖脂肪族二塩基酸の中では、炭素数6〜20のα,ω−直鎖脂肪族二塩基酸、例えば、アジピン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカン二酸、エイコジオン酸等が好適に使用できる。これらのα,ω−直鎖脂肪族二塩基酸の中でも、成形性、成形品性能等のバランスを考慮すると、アジピン酸が特に好適である。
MXナイロンのもうひとつの原料に使用するキシリレンジアミンとは、メタキシリレンジアミン、もしくはパラキシリレンジアミンとメタキシリレンジアミンとの混合キシリレンジアミンである。混合キシリレンジアミン中のメタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンのモル比率(メタキシリレンジアミン/パラキシリレンジアミン)は55/45〜100/0が好ましく、70/30〜100/0がより好ましい。パラキシリレンジアミンのモル比率を45モル%未満とすることにより、ポリアミド樹脂の融点を低く保ち、MXナイロンの重合やMXナイロンを含む組成物の成形加工が容易になるため好ましい。
熱可塑性ポリエステル樹脂としては、特開2010−174223号公報の段落番号0013〜0016の記載を参酌することができる。例えば、ポリエステル樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂が例示される。
ポリフェニレンサルファイド樹脂としては、特開平10−292114号公報の段落番号0014〜0016の記載、特開平10−279800号公報の段落番号0011〜0013の記載、特開2009−30030号公報の段落番号0011〜0015の記載を参酌できる。
本発明の組成物中における熱可塑性樹脂の配合量は、合計で40重量%以上とすることが好ましく、45重量%以上とすることがより好ましい。上限については、特に定めるものではないが、通常、80重量%以下であり、好ましくは70重量%以下であり、さらに好ましくは60重量%以下である。熱可塑性樹脂は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。2種類以上用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<LDS添加剤>
本発明で用いるLDS添加剤は、熱可塑性樹脂(例えば、後述する実施例で合成しているMXD6)100重量部に対し、LDS添加剤と考えられる添加剤を4重量部添加し、波長1064nmのYAGレーザーを用い、出力10W、周波数80kHz、速度3m/sにて照射し、その後のメッキ工程は無電解のMacDermid社製M−Copper85のメッキ槽にて実施し、該レーザー照射面に金属を適用したときに、メッキを形成できる化合物をいう。本発明で用いるLDS添加剤は、合成品であってもよいし、市販品を用いてもよい。また、市販品は、LDS添加剤として市販されているものの他、本発明におけるLDS添加剤の要件を満たす限り、他の用途として販売されている物質であってもよい。
本発明で用いるLDS添加剤は、銅を含む酸化物であることが好ましく、銅とクロムを含む酸化物(銅クロム酸化物)であることがより好ましく、金属成分として銅とクロムのみを含む酸化物であることがさらに好ましい。このようなLDS添加剤としては、例えば、CuCr24やCu3(PO42Cu(OH)2が挙げられ、特にCuCr24が好ましい。このように、銅を含む酸化物をLDS添加剤として用いることにより、本発明の効果がより効果的に発揮される傾向にある。LDS添加剤における銅の含有量は、20〜95質量%であることが好ましい。
本発明で用いるLDS添加剤は、平均粒子径が0.01〜50μmであることが好ましく、0.05〜30μmであることがより好ましい。このような平均粒子径とすることにより、本発明の効果がより効果的に発揮される傾向にある。
本発明の組成物における、LDS添加剤の配合量は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、1〜20重量部であり、好ましくは2〜18重量部であり、より好ましくは5〜15重量部である。LDS添加剤の配合量をこのような範囲にすることによって、樹脂成形品のメッキ特性をより良好にすることができる。LDS添加剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。2種類以上用いる場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
<炭素繊維>
本発明の組成物は、炭素繊維を含む。本発明で用いる炭素繊維は、その種類等を特に定めるものではなく、ポリアクリロニトリル系炭素繊維(PAN系炭素繊維)およびピッチを使ったピッチ系炭素繊維のいずれも好ましく用いられ、ポリアクリロニトリル系炭素繊維(PAN系炭素繊維)が好ましい。PAN系炭素繊維を用いることにより、弾性率とシャルピー衝撃強度がより向上する傾向にある。
本発明で用いる炭素繊維は、また、ロービングまたはチョップトストランドのいずれであってもよいが、平均繊維長が0.1〜25mmのものが好ましく、平均繊維径が7〜20μmのものが好ましい。
本発明で用いる炭素繊維は、引張強度(JIS R7601準拠による測定)が5.1GPa以上のものが好ましく、5.2GPa以上であることがより好ましく、5.3GPa以上であることがさらに好ましい。炭素繊維の引張強度の上限は、特に定めるものではないが、例えば、8GPa以下とすることができる。炭素繊維の引張弾性率は250〜600GPaの範囲が好ましく、260〜500GPaの範囲がより好ましく、270〜400GPaの範囲がさらに好ましい。炭素繊維の繊維径(単繊維)としては4.0〜6.0μmの範囲が好ましく、4.5〜5.5μmの範囲がさらに好ましい。
また、炭素繊維の表面に、樹脂の濡れ性の改善、取り扱い性の向上を目的として、カップリング剤や集束剤等を付着させたものを用いてもよい。カップリング剤としては、例えば、アミノ系、エポキシ系、クロル系、メルカプト系、及びカチオン系のシランカップリング剤等が挙げられ、アミノ系シラン系カップリング剤が好適に使用可能である。集束剤としては、例えば、無水マレイン酸系化合物、ウレタン系化合物、アクリル系化合物、エポキシ系化合物、フェノール系化合物及びこれら化合物の誘導体から選ばれる1種以上を含有する集束剤が挙げられ、ウレタン系化合物を含有する集束剤が好適に使用可能である。炭素繊維中の集束剤の含有量は、0.1〜10.0重量%であることが好ましく、0.3〜8.0重量%がさらに好ましく、0.5〜6.0重量%が特に好ましい。また、溶融混練時に使用する炭素繊維形態としては、溶融混練装置に添加できる形態で有れば制限はなく、予め裁断されているチョップドストランドや破砕繊維、連続長繊維等が挙げられ、生産性の観点からチョップドストランドが好ましく利用できる。
本発明の組成物における炭素繊維の配合量は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、10〜120重量部であり、40〜100重量部が好ましく、50〜90重量部がより好ましい。炭素繊維は、1種類のみでもよいし、2種類以上を併用してもよい。2種類以上併用する場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明の組成物は、炭素繊維以外の無機フィラーを含んでいても良い。例えば、ガラス繊維(チョップドストランド)、ガラス短繊維(ミルドファイバー)、ガラスフレーク、ガラスビーズ等のガラス系フィラー;チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム等のウィスカー;シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等が挙げられる。しかしながら、これらの配合量は、本発明の組成物の全量の5重量%以下であることが好ましく、3重量%以下であることがより好ましく、1重量%以下であることがさらに好ましい。特に、ガラス系フィラーの配合量が本発明の組成物の全量の3重量%以下であることが好ましく、1重量%以下であることがより好ましく、0.1重量%以下であることがさらに好ましい。
<タルク>
本発明の組成物は、タルクを含んでいても良い。本発明では、タルクを配合することにより、樹脂成形品のメッキ特性をより良好にすることができ、樹脂成形品に適切なメッキを形成することができる。タルクは、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン類およびオルガノポリシロキサン類から選択される化合物の少なくとも1種で表面処理されたものを用いてもよい。この場合、タルクにおけるシロキサン化合物の付着量は、タルクの0.1〜5重量%であることが好ましい。
本発明の組成物における、タルクの配合量は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、0.01〜10重量部であることが好ましく、0.05〜8重量部であることがより好ましく、1.0〜5重量部であることがさらに好ましい。また、タルクがシロキサン化合物で表面処理されている場合には、シロキサン化合物で表面処理されたタルクの配合量が、上記範囲内であることが好ましい。タルクは、1種類のみでもよいし、2種類以上を併用してもよい。2種類以上併用する場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<離型剤>
本発明の組成物は、離型剤をさらに含有していてもよい。離型剤は、主に、本発明の組成物の成形時の生産性を向上させるために使用されるものである。離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸アミド系、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。これらの離型剤の中では、特に、カルボン酸アミド系化合物が好ましい。
脂肪族カルボン酸アミド系としては、例えば、高級脂肪族モノカルボン酸および/または多塩基酸とジアミンとの脱水反応によって得られる化合物が挙げられる。
高級脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数16以上の飽和脂肪族モノカルボン酸およびヒドロキシカルボン酸が好ましく、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などが挙げられる。
多塩基酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ピメリン酸、アゼライン酸などの脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキシルコハク酸などの脂環族ジカルボン酸などが挙げられる。
ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、トリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、フェニレンジアミン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
カルボン酸アミド系化合物としては、ステアリン酸とセバシン酸とエチレンジアミンを重縮合してなる化合物が好ましく、ステアリン酸2モルとセバシン酸1モルとエチレンジアミン2モルを重縮合させた化合物がさらに好ましい。また、N,N'−メチレンビスステアリン酸アミドやN,N'−エチレンビスステアリン酸アミドのようなジアミンと脂肪族カルボン酸とを反応させて得られるビスアミド系化合物の他、N,N'−ジオクタデシルテレフタル酸アミド等のジカルボン酸アミド化合物も好適に使用し得る。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は炭素数6〜36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和一価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族又は脂環式飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、脂肪族炭化水素の数平均分子量は好ましくは5000以下である。
離型剤の含有量は、熱可塑性樹脂と炭素繊維および必要に応じて配合される無機フィラーとの合計100重量部に対して、好ましくは0.001重量部以上、より好ましくは0.01重量部以上であり、また、好ましくは2重量部以下、より好ましくは1.5重量部以下である。離型剤の含有量を、熱可塑性樹脂と炭素繊維および必要に応じて配合される無機フィラーとの合計100重量部に対して、0.001重量部以上とすることによって、離型性を良好にすることができる。また、離型剤の含有量を、熱可塑性樹脂と炭素繊維および必要に応じて配合される無機フィラーとの合計100重量部に対して、2重量部以下とすることによって、耐加水分解性の低下を防止することができ、また、射出成形時の金型汚染を防止することができる。離型剤は、1種類のみでもよいし、2種類以上を併用してもよい。2種類以上併用する場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<その他の添加剤>
本発明の組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に種々の添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、酸化チタン、アルカリ、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染顔料、蛍光増白剤、滴下防止剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。これらの成分は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
<熱可塑性樹脂組成物の製造方法>
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては、任意の方法を採用することができる。例えば、熱可塑性樹脂と、LDS添加剤と、炭素繊維および必要に応じて配合される無機フィラーとをV型ブレンダー等の混合手段を用いて混合し、一括ブレンド品を調整した後、ベント付き押出機で溶融混練してペレット化する方法が挙げられる。あるいは、二段階練込法として、予め、炭素繊維および必要に応じて配合される無機フィラー以外の成分等を、十分混合後、ベント付き押出機で溶融混練りしてペレットを製造した後、そのペレットと炭素繊維および必要に応じて配合される無機フィラーを混合後、ベント付き押出機で溶融混練りする方法が挙げられる。
さらに、炭素繊維および必要に応じて配合される無機フィラー以外の成分等を、V型ブレンダー等で十分混合したものを予め調整しておき、この混合物をベント付き二軸押出機の第一シュートより供給し、炭素繊維および必要に応じて配合される無機フィラーは押出機途中の第二シュートより供給して溶融混練、ペレット化する方法が挙げられる。
押出機の混練ゾーンのスクリュー構成は、混練を促進するエレメントを上流側に、昇圧能力のあるエレメントを下流側に配置されることが好ましい。
混練を促進するエレメントとしては、順送りニーディングディスクエレメント、直交ニーディングディスクエレメント、幅広ニーディングディスクエレメント、および順送りミキシングスクリューエレメント等が挙げられる。
溶融混練に際しての加熱温度は、通常180〜360℃の範囲から適宜選択することができる。温度が高すぎると分解ガスが発生しやすく、不透明化の原因になる場合がある。そのため、剪断発熱等を考慮したスクリュー構成を選定することが望ましい。また、混練り時や、後行程の成形時の分解を抑制する観点から、酸化防止剤や熱安定剤を使用してもよい。
樹脂成形品の製造方法は、特に限定されず、熱可塑性樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法などが挙げられる。また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることも出来る。
<メッキ層付樹脂成型品の製造方法>
次に、本発明のメッキ層付樹脂成型品の製造方法、具体的には、本発明の組成物を成形した樹脂成形品の表面にメッキを設ける工程を図1に従って説明する。
図1は、レーザーダイレクトストラクチャリング技術によって、樹脂成形品1の表面にメッキを形成する工程を示す概略図である。図1において、樹脂成形品1は、平坦な基板となっているが、必ずしも平坦な基板である必要はなく、一部または全部が曲面している樹脂成形品であってもよい。また、樹脂成形品1には、最終製品に限定されず、各種部品も含まれる。
本発明における樹脂成形品1としては、機構部品が好ましく、例えば、コネクタ、ソケット、プラグ、スイッチ、ビューズ、ヒートシンク等が挙げられる。特に、機構部品等の樹脂成形品に、メッキによって意匠性を付与する用途として好ましく用いられる。
また、携帯電子機器部品のアンテナ等の用途としても用いることができる。
レーザー2は、特に限定されるものではなく、YAGレーザー、エキシマレーザー、電磁線等の公知のレーザーから適宜選択することができ、特にYGAレーザーが好ましい。また、レーザー2の波長も特に限定されるものではない。好ましいレーザー2の波長範囲は、200nm〜1200nmであり、特に好ましくは800〜1200nmである。
レーザー2が樹脂成型品1に照射されると、レーザー2が照射された部分3のみ、樹脂成形品1が活性化される。このように活性化された状態で、樹脂成形品1をメッキ液4に適用する。メッキ液4としては、特に定めるものではなく、公知のメッキ液を広く採用することができ、金属成分として銅、ニッケル、金、銀およびパラジウムの少なくとも1種が配合されているものが好ましく、銅がより好ましい。
樹脂成形品1をメッキ液4に適用する方法についても、特に限定されないが、例えば、メッキ液を配合した液中に投入する方法が挙げられる。メッキ液を適用後の樹脂成形品1は、レーザー2を照射した部分のみ、メッキ層5が形成される。
本発明の方法では、1mm以下、さらには、150μm以下の幅の回線間隔(下限値は特に定めるものではないが、例えば、30μm以上)を形成することができる。かかる回路は携帯電子機器部品のアンテナとして好ましく用いられる。すなわち、本発明の樹脂成形品1の好ましい実施形態の一例として、携帯電子機器部品の表面に設けられたメッキ層が、アンテナとしての性能を保有する樹脂成形品が挙げられる。
さらには、本発明の方法では、レーザー照射によって付与される単位面積当たりのエネルギー量が2000〜100000Wμs/mm2、さらには、4000〜10000Wμs/mm2としても、適切にメッキを形成できる。すなわち、本発明の組成物は、メッキを形成できるレーザー照射条件が広いという利点を有する。この結果、角部を有する成形品など、均一なレーザー照射が難しい領域にも、適切にメッキを形成できる。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、特開2011−219620号公報、特開2011−195820号公報、特開2011−178873号公報、特開2011−168705号公報、特開2011−148267号公報の記載を参酌することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
<原材料>
<<ポリアミド(PAMP10)の合成>>
セバシン酸を窒素雰囲気下の反応缶内で加熱溶解した後、内容物を攪拌しながら、パラキシリレンジアミン(三菱瓦斯化学(株)製)とメタキシリレンジアミン(三菱瓦斯化学(株)製)のモル比が3:7の混合ジアミンを、加圧(0.35Mpa)下でジアミンとセバシン酸とのモル比が約1:1になるように徐々に滴下しながら、温度を235℃まで上昇させた。滴下終了後、60分間反応継続し、分子量1000以下の成分量を調整した。反応終了後、内容物をストランド状に取り出し、ペレタイザーにてペレット化し、ポリアミドを得た。以下、「PAMP10」という。
<<ポリアミド樹脂 MP6の合成>>
アジピン酸を窒素雰囲気下の反応缶内で加熱溶解した後、内容物を攪拌しながら、パラキシリレンジアミン(三菱瓦斯化学(株)製)とメタキシリレンジアミン(三菱瓦斯化学(株)製)のモル比が3:7の混合ジアミンを、加圧(0.35Mpa)下でジアミンとアジピン酸(ローディア社製)とのモル比が約1:1になるように徐々に滴下しながら、温度を270℃まで上昇させた。滴下終了後、滴下終了後、0.06MPaまで減圧し10分間反応を続け分子量1,000以下の成分量を調整した。その後、内容物をストランド状に取り出し、ペレタイザーにてペレット化し、ポリアミドを得た。以下、「MP6」という。融点は、257℃であった。
上記融点は、パーキン・エルマー(PERKIN-ELMER)社製、DSC−IIを用い、1分間当り10℃の昇温速度で、試料を予測される融点以上の温度に加熱し、次に試料を1分間当り10℃の速度で降温し、20℃まで冷却し、そのまま約1分間放置した後、再び1分間当り10℃の速度で加熱昇温することにより測定した。
ポリアミド樹脂 MXD6:三菱瓦斯化学(株)製、商品名「ポリアミドMXD6#6000」、メタキシリレンジアミンとアジピン酸から製造されたポリアミド樹脂
LDS添加剤:Black1G、銅クロム酸化物(CuCr24)、シェファードジャパン製
ガラス繊維:03T−296GH、Eガラス、日本電気硝子製
炭素繊維:パイロフィルTR06NL、PAN系炭素繊維、三菱レイヨン製
炭素繊維:ダイヤリードK223SE、ピッチ系炭素繊維 三菱樹脂製
タルク:ミクロンホワイト5000S(MW5000S)、林化成製
離型剤:CS−8CP、モンタン酸カルシウム、日東化成工業製
<コンパウンド>
後述する下記表に示す組成となるように、各成分をそれぞれ秤量し、炭素繊維およびガラス繊維を除く成分をタンブラーにてブレンドし、二軸押出機(東芝機械社製、TEM26SS)の根元から投入し、溶融した後で、ガラスフィラーをサイドフィードして樹脂ペレットを作成した。押出機の温度設定は、280℃とした。
<ISO引張り試験片の作成>
上記の製造方法で得られたペレットを80℃で5時間乾燥させた後、ファナック社製射出成形機(100T)を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度130℃の条件で、ISO引張り試験片(4mm厚)を射出成形した。
射出速度:ISO引張試験片中央部の断面積から樹脂流速を計算して50mm/sとなるように設定した。約95%充填時にVP切替となるように保圧に切り替えた。保圧はバリの出ない範囲で高めに500kgf/cm2を15秒とした。
<曲げ強度および曲げ弾性率>
ISO178に準拠して、上記ISO引張り試験片(4mm厚)を用いて、23℃の温度で曲げ強度(単位:MPa)及び、曲げ弾性率(単位:GPa)を測定した。
<Plating外観>
金型として60×60mmで厚みの2mmのキャビティに、一辺60mmが1.5mm厚みのファンゲートから樹脂を充填して成形を行った。ゲート部分をカットし、プレート試験片を得た。
得られたプレート試験片の10×10mmの範囲に、SUNX(株)製LP−Z SERIESのレーザー照射装置(波長1064nmのYAGレーザー最大出力13W)を用い、表に示す出力(単位:%)およびパルス周期(単位:μ秒)で、速度4m/sにて照射した。その後のメッキ工程は無電解のMacDermid社製 MIDCopper100XB Strikeを用い、60℃のメッキ槽にて実施した。メッキ性能は15分間にメッキされた銅の厚みを目視にて判断した。
以下の通り評価した。結果を下記表に示す。
A:良好な外観(銅の色も濃くメッキが厚く乗っている様子が確認された)
B:メッキは乗っているが若干薄い様子(一部不足)
C:メッキがほとんど確認されない様子
Figure 2014240453
上記結果から明らかなとおり、本発明の組成物は、機械的強度に優れ、かつ、レーザー照射が低出力でも高いメッキ性を達成できた(実施例1〜6)。これに対し、炭素繊維の代わりにガラス繊維を配合した場合(比較例1〜3)や炭素繊維の配合量が少ない場合(比較例5)、レーザー照射が低出力の場合に、適切なメッキの形成ができなかった。また、LDS添加剤の配合量が少ない場合(比較例4)、レーザー照射の出力に関係なく、メッキが殆ど形成できなかった。さらに、炭素繊維の配合量が多い場合(比較例6)、コンパウンドできず、機械的強度およびメッキ性の評価ができなかった。
また、上記実施例において、レーザーのドットサイズの直径が概ね80μmであることから、レーザー照射面積は、約5024μm2となる。ここで、出力20%、最大出力13W、周期パルス20μsの照射条件においては、20%*13W*20μs/2(周期のためエネルギーがかかっている時間は10μsと仮定される)=26(Wμs)となる。ここで、1mm平方辺りのドット数が1000μm*1000μm/5024=約200(ドット)となる。すなわち、1mm平方辺りのエネルギー量は200*26(Wμs)=5200(Wμs/mm2)となる。本発明ではこのように少なくエネルギー量でも、適切にメッキが形成できる点で意義が高い。
1 樹脂成形品、2 レーザー、3 レーザーが照射された部分、4 メッキ液、5 メッキ層

Claims (11)

  1. 熱可塑性樹脂100重量部に対し、レーザーダイレクトストラクチャリング添加剤1〜20重量部および炭素繊維10〜120重量部を含む、熱可塑性樹脂組成物。
  2. 炭素繊維の含有量が、熱可塑性樹脂100重量部に対し、40〜100重量部である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記レーザーダイレクトストラクチャリング添加剤は、銅とクロムを含む酸化物を含む、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. さらに、タルクを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品。
  7. さらに、表面にメッキ層を有する、請求項6に記載の樹脂成形品。
  8. 機構部品である、請求項6または7に記載の樹脂成形品。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品の表面に、レーザーを照射後、金属を適用して、メッキ層を形成することを含む、メッキ層付樹脂成形品の製造方法。
  10. 前記メッキが銅メッキである、請求項9に記載のメッキ層付樹脂成形品の製造方法。
  11. レーザー照射によって付与される単位面積当たりのエネルギー量が2000〜100000Wμs/mm2である、請求項9または10に記載の製造方法。
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