JP2017159604A - 樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 適切にメッキを形成でき、かつ、他の成分に由来する性能に悪影響を与えない樹脂成形品を製造の製造方法の提供。【解決手段】 熱可塑性樹脂とレーザーダイレクトストラクチャリング添加剤を含むフィルムと、前記熱可塑性樹脂と同系統の熱可塑性樹脂を含む、熱可塑性樹脂組成物と、を熱成形することを含む、樹脂成形品の製造方法。【選択図】 なし

Description

本発明は、樹脂成形品の表面に直接にメッキを形成できる、レーザーダイレクトストラクチャリング(以下、「LDS」ということがある)技術を用いることが可能な樹脂成形品の製造方法に関する。
近年、スマートフォンを含む携帯電話の開発に伴い、携帯電話の内部にアンテナを製造する方法が種々検討されている。特に、携帯電話に3次元設計ができるアンテナを製造する方法が求められている。このような3次元アンテナを形成する技術の1つとして、LDS技術が注目されている。LDS技術は、例えば、LDS添加剤を含む樹脂成形品の表面にレーザーを照射して活性化させ、前記活性化させた部分に金属を適用することによってメッキ層を形成する技術である。この技術の特徴は、接着剤などを使わずに、樹脂成形品の表面に直接にアンテナ等の金属構造体を製造できる点にある。かかるLDS技術は、例えば、特許文献1〜4に開示されている。
特表2000−503817号公報 特表2004−534408号公報 国際公開WO2009/141800号パンフレット 国際公開WO2012/128219号パンフレット
ところで、LDS添加剤は、樹脂成形品の表面にメッキを形成させるためには必要な成分であるが、表面にメッキを形成した後のメッキ層付樹脂成形品中では異物となる。さらに、熱可塑性樹脂と、LDS添加剤と、他の成分を配合して、樹脂成形品を製造すると、LDS添加剤が他の成分にダメージを与え、他の成分の本来の性能が発揮されなかったり、樹脂成形品のメッキ性が劣る場合がある。
本発明は、かかる課題を解決するものであって、LDS添加剤を含む樹脂成形品であって、LDS添加剤以外の他の成分を配合しても、適切にメッキを形成でき、かつ、他の成分に由来する性能に悪影響を与えない樹脂成形品の製造方法を提供する。
上記課題のもと、本発明者が検討した結果、熱可塑性樹脂とレーザーダイレクトストラクチャリング添加剤を含むフィルムと、前記熱可塑性樹脂と同系統の熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を熱成形することにより適切にメッキを形成でき、かつ、他の性能に悪影響を与えない樹脂成形品を製造することに成功した。
具体的には、下記手段<1>により、好ましくは<2>〜<8>により、上記課題は解決された。
<1>熱可塑性樹脂とレーザーダイレクトストラクチャリング添加剤を含むフィルムと、前記熱可塑性樹脂と同系統の熱可塑性樹脂を含む、熱可塑性樹脂組成物と、を熱成形することを含む、樹脂成形品の製造方法。
<2>前記レーザーダイレクトストラクチャリング添加剤が、前記フィルム中において分散している、<1>に記載の樹脂成形品の製造方法。
<3>前記熱可塑性樹脂組成物が強化繊維を含む、<1>または<2>に記載の樹脂成形品の製造方法。
<4>前記フィルムを配した金型に、前記熱可塑性樹脂組成物を射出してインサート成形することを含む、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の樹脂成形品の製造方法。
<5>前記フィルムと、前記熱可塑性樹脂組成物から形成される成形品を、熱によって溶着させることを含む<1>〜<3>のいずれか1つに記載の樹脂成形品の製造方法。
<6><1>〜<5>のいずれか1つに記載の樹脂成形品の製造方法によって製造した樹脂成形品の表面に、さらに、レーザーを照射後、金属を適用して、メッキ層を形成することを含む、メッキ層付樹脂成形品の製造方法。
<7>前記メッキ層が銅メッキ層である、<6>に記載のメッキ層付樹脂成形品の製造方法。
<8><1>〜<5>のいずれか1つに記載の製造方法により得られた樹脂成形品または<6>もしくは<7>に記載のメッキ層付樹脂成形品の製造方法により得られたメッキ層付樹脂成形品。
本発明により、適切にメッキを形成でき、かつ、他の成分に由来する性能に悪影響を与えない樹脂成形品を製造の製造方法を提供可能になった。
本発明における樹脂成形品の構成を示すイメージ図である。 樹脂成形品の表面にメッキを設ける工程を示す概略図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本発明の製造方法は、熱可塑性樹脂とレーザーダイレクトストラクチャリング添加剤を含むフィルム(以下、「LDS添加剤含有フィルム」ということがある)と、前記熱可塑性樹脂と同系統の熱可塑性樹脂を含む、熱可塑性樹脂組成物(以下、単に、「熱可塑性樹脂組成物」ということがある)とを熱成形することを含む。
LDS添加剤含有フィルムと熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、メッキ性に悪影響を与える成分や、LDS添加剤が悪影響を与える成分を、熱可塑性樹脂組成物に配合することができる。このため、得られる樹脂成形品において、メッキ性が確保され、かつ、他の成分に由来する性能も十分に発揮させることができる。特に、強化繊維や難燃剤など、LDS添加剤によって、ダメージを受けやすい成分、または、メッキ性を低下させる成分を配合する場合に効果的である。
さらに、本発明では、LDS添加剤含有フィルムに含まれる熱可塑性樹脂と、熱可塑性樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂に同系統の樹脂を用いることにより、LDS添加剤含有フィルムと熱可塑性樹脂組成物(成形品)の密着性を高くすることができる。
加えて、LDS添加剤含有フィルムを用いることにより、LDS添加剤が、樹脂成形品の全体ではなく、樹脂成形品の表層付近のみに存在する構成とすることができる。この結果、LDS添加剤の含有量が少なくても、良好なメッキ層を形成できる。
以下、図を参照して、さらに詳細に説明する。
図1は、本発明における樹脂成形品のイメージ図の一例を示したものであって、11はLDS添加剤含有フィルムを、12は強化繊維を含む熱可塑性樹脂組成物から形成される成形品(熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品)を、それぞれ示している。13は、LDS添加剤含有フィルムと熱可塑性樹脂組成物から形成される成形品を熱成形した後の樹脂成形品である。ここで、図1では、樹脂成形品13において、LDS添加剤含有フィルム11と熱可塑性樹脂組成物から形成される成形品12の界面が明確になっているが、熱成形後は界面が明確でない場合もある。
得られた樹脂成形品13の、LDS添加剤含有フィルム11側は、LDS添加剤が多く含まれているため、表面に適切にメッキを形成できる。一方、得られた樹脂成形品13の、熱可塑性樹脂組成物から形成される成形品12側は、強化繊維を含むため、樹脂成形品の機械的強度を高く保つことに寄与する。なお、図2では、熱可塑性樹脂組成物が強化繊維を含んでいるが、強化繊維を含むことは、本発明の必須の要件ではない。例えば、熱可塑性樹脂組成物から形成される成形品12が難燃剤を含む場合、樹脂成形品13の難燃性を高く保つことに寄与する。
また、本発明では、樹脂成形品13のLDS添加剤含有フィルム11側にのみLDS添加剤が含まれるため、樹脂成形品13全体に対するLDS添加剤の含有量を少なくできる。特に、LDS添加剤は、メッキ層形成後は、樹脂成形品中で異物となり、機械的強度等を低下させる傾向にあるが、本発明では、LDS添加剤を樹脂成形品の表層だけに存在させることができるため、機械的強度等の低下を効果的に抑制できる。
また、本発明における樹脂成形品は、熱可塑性樹脂組成物から形成される成形品12を、2枚のLDS添加剤含有フィルム11で挟む構成であってもよい。
さらに、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、LDS添加剤含有フィルムに各種添加剤を配合して、さらなる機能を付与してもよい。特に、メッキ性を向上させるタルクなどの成分は好ましく配合される。
なお、本発明の製造方法は、上記図1に限るものではないことは言うまでもない。
<LDS添加剤含有フィルム>
本発明で用いるLDS添加剤含有フィルムは、熱可塑性樹脂とLDS添加剤を含む。このようなLDS添加剤含有フィルムを用いることにより、樹脂成形品にメッキ性を付与することができる。
<<熱可塑性樹脂>>
本発明で用いる熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂およびアクリル樹脂から選択されることが好ましい。これらの中でも、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂が好ましく、ポリアミド樹脂がより好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
ポリエステル樹脂としては、特開2010−174223号公報の段落番号0013〜0016の記載を参酌することができる。
ポリアミド樹脂としては、特開2011−132550号公報の段落番号0011〜0013の記載を参酌することができる。
本発明で用いるポリアミド樹脂は、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、ジアミン由来の構成単位の50モル%以上がキシリレンジアミンに由来するキシリレンジアミン系ポリアミド樹脂が好ましい。キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂のジアミン由来の構成単位は、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、一層好ましくは90モル%以上、より一層好ましくは95モル%以上がメタキシリレンジアミンおよびパラキシリレンジアミンの少なくとも1種類に由来する。キシリレンジアミン系ポリアミド樹脂のジカルボン酸由来の構成単位は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、一層好ましくは90モル%以上、より一層好ましくは95モル%以上が、炭素原子数が4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する。炭素原子数が4〜20のα、ω−直鎖脂肪族二塩基酸は、アジピン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカン二酸、エイコジオン酸などが好適に使用でき、アジピン酸およびセバシン酸がより好ましく、アジピン酸がさらに好ましい。
また、ポリアミド樹脂は、重量平均分子量が1,000以下の成分を0.5〜5質量%含有することが好ましい。重量平均分子量が1,000以下の成分を0.5質量%以上含有することにより、得られる樹脂成形品の強度をより高くし、そり性をより小さくすることができる。また、重量平均分子量が1,000以下の成分を5質量%以下とすることにより、低分子量成分がブリードしにくくなり、また、表面外観が向上する傾向にある。
重量平均分子量が1,000以下の成分の好ましい含有量は、0.6〜4.5質量%であり、より好ましくは0.7〜4.0質量%であり、さらに好ましくは0.8〜3.5質量%であり、一層好ましくは0.9〜3.0質量%であり、より一層好ましくは1.0〜2.5質量%である。
重量平均分子量が1,000以下の低分子量成分の含有量の調整は、ポリアミド樹脂重合時の温度や圧力、ジアミンの滴下速度などの溶融重合条件を調節して行うことができる。特に溶融重合後期に反応装置内を減圧して低分子量成分を除去し、任意の割合に調節することができる。また、溶融重合により製造されたポリアミド樹脂を熱水抽出して低分子量成分を除去してもよいし、溶融重合後さらに減圧下で固相重合して低分子量成分を除去してもよい。固相重合に際しては、温度や減圧度を調節して、低分子量成分を任意の含有量に制御することができる。また、分子量が1,000以下の低分子量成分を後からポリアミド樹脂に添加することでも調節可能である。
なお、重量平均分子量1,000以下の成分量の測定は、東ソー社(TOSOH CORPORATION)製「HLC−8320GPC」を用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定に従った標準ポリメチルメタクリレート(PMMA)換算値より求めることができる。なお、測定用カラムとしては「TSKgel SuperHM−H」を2本用い、溶媒にはトリフルオロ酢酸ナトリウム濃度10mmol/Lのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を用い、樹脂濃度0.02質量%、カラム温度は40℃、流速0.3mL/分、屈折率検出器(RI)にて測定することができる。また、検量線は6水準のPMMAをHFIPに溶解させて測定し作成する。
その他、熱可塑性樹脂の詳細は、特開2014−074162号公報の段落0011〜0028の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
LDS添加剤含有フィルムにおける熱可塑性樹脂の含有量としては、20〜98質量%が好ましく、25〜80質量%がより好ましく、30〜70質量%がさらに好ましい。熱可塑性樹脂は1種類のみを用いてもよく、2種類以上用いてもよい。2種類以上用いた場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。特に、LDS添加剤含有フィルムに含まれる全熱可塑性樹脂のうち、後述する熱可塑性樹脂組成物に含まれる樹脂と同系統の樹脂の割合が、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。このような範囲とすることにより、LDS添加剤含有フィルムと熱可塑性樹脂組成物から形成される成形品の密着性がより向上する傾向にある。また、上記範囲を外れた場合でも、モルフォロジーにおいてマトリックス(海島構造の海部分)が同系統であれば、その効果は十分に発揮される。
<<レーザーダイレクトストラクチャリング添加剤>>
LDS添加剤含有フィルムは、レーザーダイレクトストラクチャリング(LDS)添加剤を含む。本発明におけるLDS添加剤は、熱可塑性樹脂(例えば、後述する実施例で合成しているポリアミド樹脂)100質量部に対し、LDS添加剤と考えられる添加剤を10質量部添加し、波長1064nmのYAGレーザーを用い、出力13W、周波数20kHz、スキャン速度2m/sにて照射し、その後のメッキ工程は、無電解の銅メッキ槽にて60℃にて実施し、レーザー照射面にメッキを形成できる化合物をいう。本発明で用いるLDS添加剤は、合成品であってもよいし、市販品を用いてもよい。また、市販品は、LDS添加剤として市販されているものの他、本発明におけるLDS添加剤の要件を満たす限り、他の用途として販売されている物質であってもよい。LDS添加剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本発明で用いるLDS添加剤の第一の実施形態は、銅およびクロムを含む化合物である。第一の実施形態のLDS添加剤としては、銅を10〜30質量%含むことが好ましい。また、クロムを15〜50質量%含むことが好ましい。第一の実施形態におけるLDS添加剤は、銅およびクロムを含む酸化物であることが好ましい。
銅およびクロムの含有形態としては、スピネル構造が好ましい。スピネル構造とは、複酸化物でAB24型の化合物(AとBは金属元素)にみられる代表的結晶構造型の1つである。
第一の実施形態のLDS添加剤は、銅およびクロムの他に、他の金属を微量含んでいてもよい。他の金属としては、アンチモン、スズ、鉛、インジウム、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、カドミウム、銀、ビスマス、ヒ素、マンガン、マグネシウムおよびカルシウムなどが例示され、マンガンが好ましい。これら金属は酸化物として存在していてもよい。
第一の実施形態のLDS添加剤の好ましい一例は、銅クロム酸化物以外の金属酸化物の含有量が10質量%以下であるLDS添加剤である。
本発明で用いるLDS添加剤の第二の実施形態は、アンチモンおよびリンの少なくとも1種類と、錫とを含む酸化物、好ましくはアンチモンと錫とを含む酸化物である。
第二の実施形態のLDS添加剤は、錫の含有量がリンおよびアンチモンの含有量よりも多いものがより好ましく、錫とリンとアンチモンの合計量に対する錫の量が、80質量%以上であることがより好ましい。
特に、第二の実施形態のLDS添加剤としては、アンチモンと錫とを含む酸化物が好ましく、錫の含有量がアンチモンの含有量よりも多い酸化物がより好ましく、錫とアンチモンの合計量に対する錫の量が、80質量%以上である酸化物がより好ましい。
より具体的には、第二の実施形態のLDS添加剤としては、アンチモンがドープされた酸化錫、酸化アンチモンがドープされた酸化錫、リンがドープされた酸化錫、リン酸化物がドープされた酸化錫が挙げられ、アンチモンがドープされた酸化錫および酸化アンチモンがドープされた酸化錫が好ましく、酸化アンチモンがドープされた酸化錫がより好ましい。例えば、リンと酸化錫とを含むLDS添加剤において、リンの含有量は、1〜20質量%であることが好ましい。また、アンチモンと酸化錫とを含むLDS添加剤において、アンチモンの含有量は、1〜20質量%であることが好ましい。また、リンとアンチモンと酸化錫とを含むLDS添加剤において、リンの含有量は、0.5〜10質量%、アンチモンの含有量は、0.5〜10質量%であることが好ましい。
本発明で用いるLDS添加剤の第三の実施形態は、少なくとも2種類の金属を含み、かつ、抵抗率が5×103Ω・cm以下の導電性酸化物を含むことが好ましい。導電性酸化物の抵抗率は、8×102Ω・cm以下が好ましく、7×102Ω・cm以下がより好ましく、5×102Ω・cm以下がさらに好ましい。下限については特に制限はないが、例えば、1×101Ω・cm以上であってもよく、さらには、1×102Ω・cm以上であってもよい。
本発明における導電性酸化物の抵抗率は、通常、粉末抵抗率をいい、導電性酸化物の微粉末10gを、内面にテフロン(登録商標)加工を施した内径25mmの円筒内へ装入して100kgf/cm2に加圧し(充填率20%)、横河電機製の「3223型」テスターで測定することができる。
第三の実施形態で用いるLDS添加剤は、抵抗率が5×103Ω・cm以下の導電性酸化物を含んでいれば特に制限されないが、少なくとも2種類の金属を含むことが好ましく、具体的には、周期表のn族(nは3〜16の整数)の金属とn+1族の金属を含むことが好ましい。nは10〜13の整数が好ましく、12または13がさらに好ましい。
第三の実施形態で用いるLDS添加剤は、LDS添加剤中における、周期表のn族(nは3〜16の整数)の金属の含有量とn+1族の金属の含有量の合計を100モル%としたとき、一方の金属の含有量が15モル%以下であることが好ましく、12モル%以下であることがさらに好ましく、10モル%以下であることが特に好ましい。下限については特に制限はないが、0.0001モル%以上である。2種類以上の金属の含有量をこのような範囲とすることで、メッキ性を向上させることができる。本発明では特に、n+1族の金属がドープされたn族の金属酸化物が好ましい。
さらに、第三の実施形態で用いるLDS添加剤は、LDS添加剤中に含まれる金属成分の98質量%以上が、上記周期表のn族の金属の含有量とn+1族の金属で構成されることが好ましい。
周期表のn族の金属としては、例えば、3族(スカンジウム、イットリウム)、4族(チタン、ジルコニウムなど)、5族(バナジウム、ニオブなど)、6族(クロム、モリブテンなど)、7族(マンガンなど)、8族(鉄、ルテニウムなど)、9族(コバルト、ロジウム、イリジウムなど)、10族(ニッケル、パラジウム、白金)、11族(同、銀、金など)、12族(亜鉛、カドミウムなど)、13族(アルミニウム、ガリウム、インジウムなど)、14族(ゲルマニウム、スズなど)、15族(ヒ素、アンチモンなど)、16族(セレン、テルルなど)の金属酸化物などが挙げられる。中でも、12族(n=12)の金属または金属酸化物が好ましく、亜鉛がより好ましい。
周期表のn+1族の金属としては、例えば、4族(チタン、ジルコニウムなど)、5族(バナジウム、ニオブなど)、6族(クロム、モリブテンなど)、7族(マンガンなど)、8族(鉄、ルテニウムなど)、9族(コバルト、ロジウム、イリジウムなど)、10族(ニッケル、パラジウム、白金)、11族(同、銀、金など)、12族(亜鉛、カドミウムなど)、13族(アルミニウム、ガリウム、インジウムなど)、14族(ゲルマニウム、スズなど)、15族(ヒ素、アンチモンなど)、16族(セレン、テルルなど)、これらの金属酸化物などが挙げられる。中でも、13族(n+1=13)の金属または金属酸化物が好ましく、アルミニウムまたはガリウムがより好ましく、アルミニウムがさらに好ましい。
第三の実施形態で用いるLDS添加剤は、導電性金属酸化物以外の金属を含有していてもよい。導電性酸化物以外の金属としては、アンチモン、チタン、インジウム、鉄、コバルト、ニッケル、カドミウム、銀、ビスマス、ヒ素、マンガン、クロム、マグネシウム、カルシウムなどが例示される。これら金属は酸化物として存在していてもよい。これら金属の含有量は、LDS添加剤に対してそれぞれ0.01質量%以下が好ましい。
本発明で用いるLDS添加剤の平均粒子径は、0.01〜100μmであることが好ましく、0.05〜30μmであることがより好ましく、0.05〜15μmであることがさらに好ましい。このような平均粒子径とすることにより、メッキ層の表面をより均一にすることができる。
LDS添加剤の粒子径は、0.01〜100μmであることが好ましく、0.05〜10μmであることがより好ましい。このような構成とすることにより、メッキを適用した際のメッキ層の表面をより均一にすることができる。
LDS添加剤含有フィルムにおける、LDS添加剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、好ましくは1〜30質量部であり、より好ましくは2〜25質量部であり、さらに好ましくは5〜20質量部である。LDS添加剤の含有量をこのような範囲にすることによって、樹脂成形品のメッキ性をより良好にすることができる。また、後述するように、タルクと組み合わせることにより、少ない添加量でメッキ層を形成することが可能になる。2種類以上のLDS添加剤を含む場合には、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<タルク>>
LDS添加剤含有フィルムは、タルクをさらに含んでいてもよい。タルクを配合することによって寸法安定性、製品外観を良好にすることができ、また、LDS添加剤の添加量を減らしても、樹脂成形品のメッキ性を良好にすることができる。タルクは、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン類およびオルガノポリシロキサン類から選択される化合物の少なくとも1種で表面処理されたものを用いてもよい。この場合、タルクにおけるシロキサン化合物の付着量は、タルクの0.1〜5質量%であることが好ましい。
タルクの平均粒子径は1〜50μmであることが好ましく、2〜25μmであることがさらに好ましい。
LDS添加剤含有フィルムにおける、タルクの含有量は、配合する場合、LDS添加剤100質量部に対し、0.1〜200質量部であることが好ましく、1〜150質量部であることがより好ましく、20〜120質量部であることがさらに好ましい。また、タルクがシロキサン化合物で表面処理されている場合には、シロキサン化合物で表面処理されたタルクの含有量が、上記範囲内であることが好ましい。
<<離型剤>>
LDS添加剤含有フィルムは、離型剤をさらに含有していてもよい。離型剤は、主に、LDS添加剤含有フィルムの成形時の生産性を向上させるために使用されるものである。離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸アミド系、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。これらの離型剤の中では、特に、カルボン酸アミド系化合物が好ましい。
脂肪族カルボン酸アミド系としては、例えば、高級脂肪族モノカルボン酸および/または多塩基酸とジアミンとの脱水反応によって得られる化合物が挙げられる。
高級脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数16以上の飽和脂肪族モノカルボン酸およびヒドロキシカルボン酸が好ましく、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などが挙げられる。
多塩基酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ピメリン酸、アゼライン酸などの脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキシルコハク酸などの脂環族ジカルボン酸などが挙げられる。
ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、トリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、フェニレンジアミン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
カルボン酸アミド系化合物としては、ステアリン酸とセバシン酸とエチレンジアミンを重縮合してなる化合物が好ましく、ステアリン酸2モルとセバシン酸1モルとエチレンジアミン2モルを重縮合させた化合物がさらに好ましい。また、N,N'−メチレンビスステアリン酸アミドやN,N'−エチレンビスステアリン酸アミドのようなジアミンと脂肪族カルボン酸とを反応させて得られるビスアミド系化合物の他、N,N'−ジオクタデシルテレフタル酸アミド等のジカルボン酸アミド化合物も好適に使用し得る。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸をあげることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は炭素数6〜36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和一価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族または脂環式飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、脂肪族炭化水素の数平均分子量は好ましくは5000以下である。
離型剤の含有量は、配合する場合、LDS添加剤含有フィルムに対して、通常、0.001質量%以上であり、好ましくは0.01質量%以上であり、また、通常、2質量%以下、好ましくは1.5質量%以下である。このような範囲とすることによって、離型性を良好にすることができ、また、射出成形時の金型汚染を防止することができる。離型剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。2種類以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<その他の添加剤>>
上記の他、LDS添加剤含有フィルムが含んでいてもよい他の成分としては、エラストマー、酸化防止剤、熱安定剤、耐加水分解性改良剤、耐候安定剤、艶消剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、分散剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤、着色剤等が例示される。これらの詳細は、特許第4894982号公報の段落番号0130〜0155の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。これらの成分は、LDS添加剤含有フィルムの20質量%以下であることが好ましい。これらの成分は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
<<LDS添加剤含有フィルムの製造方法>>
LDS添加剤含有フィルムの製造方法は公知の方法を採用できる。好ましくは、LDS添加剤含有フィルムの各成分を溶融混練し、フィルム状に押出成形することができる。LDS添加剤含有フィルムの原料である、熱可塑性樹脂やLDS添加剤を溶融混練してペレット化した後、フィルム状に押出成形してもよい。
<<LDS添加剤含有フィルムの特性>>
LDS添加剤含有フィルムの厚みは、0.1〜100μmであることが好ましく、1〜80μmがより好ましく、10〜50μmがさらに好ましい。
LDS添加剤含有フィルムは、LDS添加剤が、フィルム中において分散していることが好ましい。LDS添加剤含有フィルム中において、LDS添加剤が分散していることにより、LDS添加剤の量が少なくても、より精度高くメッキ層を形成することができる。ここで、分散とは、LDS添加剤がLDS添加剤含有フィルムのフィルム面において、概ね、均等に全領域に渡って存在している状態をいう。例えば、公知の方法で溶融押し出ししたフィルムであれば、LDS添加剤が分散している状態にある。
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物は、LDS添加剤含有フィルムに含まれる熱可塑性樹脂と同系統の熱可塑性樹脂を含む。
また、本発明では、熱可塑性樹脂組成物が、LDS添加剤を実質的に含まない構成(例えば、LDS添加剤の含有量が熱可塑性樹脂組成物の0.1質量%以下)とすることができる点で優位である。すなわち、LDS添加剤は、メッキ層形成のためには有益であるが、LDS添加剤の量が多くなると、他の性能に悪影響を及ぼす場合がある。本発明では、熱可塑性樹脂組成物にLDS添加剤を含まない構成とできるので、メッキ性を維持しつつ、他の性能も良好に維持することができる。
<<熱可塑性樹脂>>
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物は、LDS添加剤含有フィルムに含まれる熱可塑性樹脂と同系統の熱可塑性樹脂を含む。同系統の熱可塑性樹脂とは、例えば、ポリアミド樹脂同士、ポリエステル樹脂同士、ポリオレフィン樹脂同士、ポリプロピレン樹脂同士、ポリエチレン樹脂同士、アクリル樹脂同士、スチレン樹脂同士、ポリアミド樹脂とポリウレタン樹脂の組み合わせ、などが例示される。
本発明では、同系統の樹脂として、熱可塑性樹脂組成物とLDS添加剤含有フィルムに、同一の樹脂を含んでいてもよいし、同系統であって異なる樹脂を含んでいてもよい。
本発明では、熱可塑性樹脂組成物に含まれる樹脂成分中、前記同系統の熱可塑性樹脂の割合が80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。また、熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を2種類以上含んでいてもよい。この場合、かかる2種類以上の樹脂がいずれも同系統の熱可塑性樹脂であることが好ましい。
熱可塑性樹脂組成物中における熱可塑性樹脂の含有量は、合計で30質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましく、35〜70質量%であることがさらに好ましい。
<<その他の成分>>
熱可塑性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分を含んでいてもよい。このような他の成分としては、強化繊維、タルク、離型剤、エラストマー、アルカリ、熱安定剤、難燃剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染顔料、蛍光増白剤、滴下防止剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤、離型剤、エラストマーなどが挙げられる。これらの成分は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
タルクおよび離型剤の好ましい範囲としては、上記LDS添加剤含有フィルムの所で述べたものと同様である。
本発明では特に、樹脂成形品の機械的強度向上の観点から、強化繊維を含むことが好ましく、ガラス繊維を含むことがより好ましい。本発明の熱可塑性樹脂組成物の好ましい一実施形態として、熱可塑性樹脂と強化繊維で、全成分の60質量%以上を占める熱可塑性樹脂組成物があげられる。
<<強化繊維>>
本発明に用いる強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、植物繊維(ケナフ(Kenaf)、竹繊維等を含む)、アルミナ繊維、ボロン繊維、セラミック繊維、金属繊維(スチール繊維等)、アラミド繊維、ポリオキシメチレン繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、超高分子量ポリエチレン繊維などが挙げられる。なかでも、炭素繊維およびガラス繊維が好ましく、ガラス繊維がより好ましい。
熱可塑性樹脂組成物における、強化繊維の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、好ましくは10〜150質量部であり、より好ましくは10〜130質量部であり、さらに好ましくは20〜100質量部である。強化繊維は1種類のみ用いてもよく、2種類以上用いてもよい。2種類以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<<ガラス繊維>>>
熱可塑性樹脂組成物は、ガラス繊維を含むことがさらに好ましい。ガラス繊維を配合することによって、樹脂成形品の機械的強度を向上させることができる。また、ガラス繊維を配合することによって、寸法精度もより向上させることができる。ガラス繊維は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本発明で好ましく使用されるガラス繊維は、数平均繊維径が20μm以下のものが好ましく、さらに1〜15μmのものが、物性バランス(強度、剛性、耐熱剛性、衝撃強度)をより一層高める点、ならびに、樹脂成形品の反りをより一層低減させる点で好ましい。また、通常、断面形状が円形のガラス繊維が一般的に用いられることが多いが、本発明では、特に限定はなく、例えば断面形状がまゆ形、楕円形、矩形の形状においても同様に使用できる。
ガラス繊維の長さは特定されるものでないが、チョップドストランドやミルドファイバーが好ましい。また、本発明における熱可塑性樹脂組成物を混練した後の組成物中のガラス繊維の長さが、重量平均繊維長0.1mm以上であることが好ましい。上記ガラス繊維の長さの上限は特に定めるものではないが、例えば、重量平均繊維長が2.0mm以下であってもよい。
原料ガラスの組成は、無アルカリのものも好ましく、例えば、Eガラス、Cガラス、Sガラス等が挙げられるが、本発明では、Eガラスが好ましく用いられる。
ガラス繊維は、例えば、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤等の表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤の量は、ガラス繊維の質量の0.01〜1質量%であることが好ましい。さらに必要に応じて、脂肪酸アミド化合物、シリコーンオイル等の潤滑剤、第4級アンモニウム塩等の帯電防止剤、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の被膜形成能を有する樹脂、被膜形成能を有する樹脂と熱安定剤、難燃剤等の混合物で表面処理されたものを用いることもできる。
<<エラストマー>>
熱可塑性樹脂組成物は、エラストマーをさらに含んでいてもよい。このように、エラストマーを含有することによって、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性を向上させることができる。
本発明に用いるエラストマーは、ゴム成分にこれと共重合可能な単量体成分とをグラフト共重合したグラフト共重合体が好ましい。グラフト共重合体の製造方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などのいずれの製造方法であってもよく、共重合の方式は一段グラフトでも多段グラフトであってもよい。
ゴム成分は、ガラス転移温度が通常0℃以下、中でも−20℃以下が好ましく、さらには−30℃以下が好ましい。ゴム成分の具体例としては、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブチルアクリレートやポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、ブチルアクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート共重合体などのポリアルキルアクリレートゴム、ポリオルガノシロキサンゴムなどのシリコーン系ゴム、ブタジエン−アクリル複合ゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなるIPN(Interpenetrating Polymer Network)型複合ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴムやエチレン−ブテンゴム、エチレン−オクテンゴムなどのエチレン−α−オレフィン系ゴム、エチレン−アクリルゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。これらは、単独でも2種類以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、機械的特性や表面外観の面から、ポリブタジエンゴム、ポリアルキルアクリレートゴム、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなるIPN型複合ゴム、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
ゴム成分とグラフト共重合可能な単量体成分の具体例としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物、マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸化合物やそれらの無水物(例えば無水マレイン酸等)などが挙げられる。これらの単量体成分は1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、機械的特性や表面外観の観点から、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物が好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。(メタ)アクリル酸エステル化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等をあげることができる。
ゴム成分を共重合したグラフト共重合体は、耐衝撃性や表面外観の観点からコア/シェル型グラフト共重合体タイプのものが好ましい。なかでもポリブタジエン含有ゴム、ポリブチルアクリレート含有ゴム、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなるIPN型複合ゴムから選ばれる少なくとも1種のゴム成分をコア層とし、その周囲に(メタ)アクリル酸エステルを共重合して形成されたシェル層からなる、コア/シェル型グラフト共重合体が特に好ましい。コア/シェル型グラフト共重合体において、ゴム成分を40質量%以上含有するものが好ましく、60質量%以上含有するものがさらに好ましい。また、(メタ)アクリル酸は、10質量%以上含有するものが好ましい。なお、本発明におけるコア/シェル型とは必ずしもコア層とシェル層が明確に区別できるものでは無なくてもよく、コアとなる部分の周囲にゴム成分をグラフト重合して得られる化合物を広く含む趣旨である。
これらコア/シェル型グラフト共重合体の好ましい具体例としては、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(MABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体(MB)、メチルメタクリレート−アクリルゴム共重合体(MA)、メチルメタクリレート−アクリルゴム−スチレン共重合体(MAS)、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−(アクリル・シリコーンIPNゴム)共重合体、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体等が挙げられる。
熱可塑性樹脂組成物におけるエラストマーの含有量は、配合する場合、熱可塑性樹脂組成物全量の、好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは0.5〜25質量%、さらに好ましくは1〜10質量%である。エラストマーは、1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。2種類以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<熱可塑性樹脂組成物の製造方法>
熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては、任意の方法を採用することができる。例えば、熱可塑性樹脂と強化繊維とをV型ブレンダー等の混合手段を用いて混合し、一括ブレンド品を調整した後、ベント付き押出機で溶融混練してペレット化する方法が挙げられる。あるいは、二段階練込法として、予め、強化繊維以外の成分等を、十分混合後、ベント付き押出機で溶融混練りしてペレットを製造した後、そのペレットと強化繊維を混合後、ベント付き押出機で溶融混練りする方法が挙げられる。
さらに、強化繊維以外の成分等を、V型ブレンダー等で十分混合したものを予め調整しておき、この混合物をベント付き二軸押出機の第一シュートより供給し、強化繊維は押出機途中の第二シュートより供給して溶融混練、ペレット化する方法が挙げられる。
押出機の混練ゾーンのスクリュー構成は、混練を促進するエレメントを上流側に、昇圧能力のあるエレメントを下流側に配置されることが好ましい。
混練を促進するエレメントとしては、順送りニーディングディスクエレメント、直交ニーディングディスクエレメント、幅広ニーディングディスクエレメント、および順送りミキシングスクリューエレメント等が挙げられる。
溶融混練に際しての加熱温度は、熱可塑性樹脂の融点または軟化点を基準に適宜定めることができる。温度が高すぎると分解ガスが発生しやすく、不透明化の原因になる場合がある。そのため、剪断発熱等を考慮したスクリュー構成を選定することが望ましい。また、混練時や、後工程の成形時の分解を抑制する観点から、熱可塑性樹脂組成物には、酸化防止剤や熱安定剤を配合することが好ましい。
<熱成形>
本発明の熱成形の条件は、用いる樹脂の種類等によって適宜定められるが、熱成形温度は、熱変形温度に対し、−20℃〜+80℃の範囲であることが好ましく、0〜+50℃の範囲であることがより好ましい。熱変形温度は、結晶性樹脂の場合、例えば、融点であり、非晶性樹脂の場合、例えば、ガラス転移温度である。また、熱成形温度は、金型を用いて成形する場合、金型の温度とすることができる。
本発明の製造方法では、熱成形の際に圧力をかけることが好ましく、圧力としては、1〜500kgf/cm2が好ましく、3〜200kgf/cm2がより好ましい。
また、本発明の製造方法では、LDS添加剤含有フィルムと熱可塑性樹脂組成物を熱成形するが、熱成形する際の、両者の比率は、質量比で、0.1:99.9〜20:80が好ましく、0.5:99.5〜10:90がより好ましい。
以下に、本発明における熱成形の方法の具体例を述べるが、本発明は以下に限定されないことは言うまでもない。
本発明の熱成形の第一の実施形態は、LDS添加剤含有フィルムを配した金型に、熱可塑性樹脂組成物を射出してインサート成形する方法である。
インサート成形では、射出成形用の所望の形状を有する金型のキャビティ内に、LDS添加剤含有フィルムをあらかじめ配置し、その外側の空間に熱可塑性樹脂組成物を射出成形(射出充填)して、樹脂成形品とする方法である。本実施形態では、さらに、接着層等の他の層を配置してもよい。インサート成形を行うことにより、樹脂成形品の強度を向上させたり、細かな凹凸を形成可能となる。
本発明の第二の実施形態は、LDS添加剤含有フィルムと熱可塑性樹脂組成物から形成される成形品を熱によって溶着させる方法である。具体的には、熱プレス、レーザー溶着等が例示される。
本発明の製造方法により得られる樹脂成形品は、曲げ強度が250MPa以上とすることができる。本発明における曲げ強度は、実施例に記載の方法に従って測定された値とする。実施例で使用する機器等が廃版等の場合、他の同等の性能を有する機器等を使用することができる。
<メッキ層付樹脂成形品の製造方法>
次に、メッキ層付樹脂成形品の製造方法について、説明する。
本発明のメッキ層付樹脂成形品の製造方法は、本発明の樹脂成形品の製造方法によって製造した樹脂成形品の表面に、さらに、レーザーを照射後、金属を適用して、メッキ層を形成することを含む。
図2は、レーザーダイレクトストラクチャリング技術によって、樹脂成形品1の表面にメッキを形成する工程を示す概略図である。図2において、樹脂成形品1は、平坦な基板となっているが、必ずしも平坦な基板である必要はなく、一部または全部が曲面している樹脂成形品であってもよい。また、樹脂成形品1には、最終製品に限定されず、各種部品も含まれる。
次に、本発明のメッキ層付樹脂成形品の製造方法においては、樹脂成形品1にレーザー2を照射する。
レーザー2は、特に限定されるものではなく、YAGレーザー、エキシマレーザー、電磁線等の公知のレーザーから適宜選択することができ、特にYGAレーザーが好ましい。また、レーザー2の波長も特に限定されるものではない。好ましいレーザー2の波長範囲は、200nm〜1200nmであり、より好ましくは800〜1200nmである。
レーザー2が樹脂成形品1に照射されると、レーザー2が照射された部分3のみ、樹脂成形品1が活性化される。このように活性化された状態で、樹脂成形品1をメッキ液4に適用する。メッキ液4としては、特に定めるものではなく、公知のメッキ液を広く採用することができ、金属成分として銅、ニッケル、金、銀およびパラジウムの少なくとも1種を含むことが好ましく、銅を含むことがより好ましい。本発明では、メッキ層は銅メッキ層であることがさらに好ましい。
樹脂成形品1をメッキ液4に適用する方法についても、特に限定されないが、例えば、樹脂成形品1をメッキ液に投入する方法があげられる。メッキ液を適用後の樹脂成形品1は、レーザー2を照射した部分のみ、メッキ層5が形成される。
本発明のメッキ層付樹脂成形品の製造方法では、1mm以下、さらには、150μm以下の幅の回路間隔(下限値は特に定めるものではないが、例えば、30μm以上)を形成することができる。かかる回路は携帯電子機器部品のアンテナとして好ましく用いられる。すなわち、本発明の樹脂成形品1の好ましい実施形態の一例として、携帯電子機器部品の表面に設けられたメッキ層が、アンテナとしての性能を保有する樹脂成形品があげられる。
その他、本発明では、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、特開2011−219620号公報、特開2011−195820号公報、特開2011−178873号公報、特開2011−168705号公報、特開2011−148267号公報の記載を参酌することができる。
<メッキ層付樹脂成形品>
本発明のメッキ層付樹脂成形品の製造方法により、樹脂成形品の表面に直接にメッキ層を形成できる。このため、本発明のメッキ層付樹脂成形品の製造方法は、アンテナを有する携帯電子機器部品の製造に好ましく用いられる。携帯電子機器部品としては、電子手帳、携帯用コンピューター等のPDA、ポケットベル、携帯電話、PHS、スマートフォン、タブレットなどの内部構造物および筐体が例示される。特に、樹脂成形品がリブを除く平均肉厚が1.2mm以下(下限値は特に定めるものではないが、例えば、0.4mm以上)である平板形状の携帯電子機器部品に適しており、中でも筐体として特に適している。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
<ポリアミド樹脂>
(ポリアミド(MXD6)の合成)
特開2011−140620号公報の段落0038の記載に従って、ポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂を、「MXD6」という。
<LDS添加剤>
Black1G:銅クロム酸化物(CuCr24)(シェファードジャパン社製)
<強化繊維>
ECS03T−296GH:ガラス繊維、数平均繊維径10μm(日本電気硝子社製)
<タルク>
ミクロンホワイト5000S、平均粒子径5μm(林化成社製)
<離型剤>
CS8CP(日東化成工業社製)
実施例1
<LDS添加剤含有フィルムの作製>
下記表1に示す組成となるように、各成分をそれぞれ秤量し、各成分をタンブラーにてブレンドし、二軸押出機(東芝機械社製、TEM26SS)で溶融混練し、樹脂ペレット(1)を作製した。押出機の温度設定は280℃、回転数は350rpmにて実施した。
得られた樹脂ペレット(1)を用いて、150mm幅のTダイが付いた短軸押出機にてフィルムを作製した。フィルムの作製に際し、バレル温度およびダイス温度を280℃、ロール温度80℃とし、20μmの厚みのLDS添加剤含有フィルムを得た。
<熱可塑性樹脂組成物の調整>
下記表2に示す組成となるように、各成分をそれぞれ秤量し、ガラス繊維を除く成分をタンブラーにてブレンドし、二軸押出機(東芝機械社製、TEM26SS)の根元から投入し、溶融混練した後で、ガラス繊維をサイドフィードして樹脂ペレット(2)を作製した。押出機の温度設定は280℃、回転数は350rpmにて実施した。
<樹脂成形品の作製>
上記で得られたLDS添加剤含有フィルムを100mm×100mmにて切削した。切削したフィルムを100mm×100mm×2mm厚の金型(キャビティはサイドフィルムゲート)にインサートし、上記で得た樹脂ペレット(2)を120℃で4時間乾燥させた後、ファナック社製の射出成形機(100T)を用いて、シリンダー温度280℃、金型の表面温度130℃の条件で射出成形し、LDS添加剤含有フィルムが片側の外層に来るように2mm厚の樹脂成形品を作製した。成形条件は、約0.5秒でキャビティの約95%を充填し、保圧をVP切り替え圧の約80%で10秒に設定した。
実施例2
<熱可塑性樹脂組成物から形成される成形品の作製>
樹脂ペレット(2)を120℃で4時間乾燥させた後、ファナック社製射出成形機(100T)を用いて、シリンダー温度280℃、金型の表面温度130℃の条件で、100mm×100mm×2mm厚の樹脂成形品を成形した。成形条件は、約0.5秒でキャビティの約95%を充填し、保圧をVP切り替え圧の約80%で10秒設定した。
<樹脂成形品の作製>
上記で得た熱可塑性樹脂組成物から形成される成形品の表面を赤外線ヒーターで溶融し、実施例1と同様に行って得たLDS添加剤含有フィルムと熱融着した。具体的には、上記で得られた樹脂成形品を、常温の金型内に入れ、300℃に設定した赤外線ヒーターを成形品表面に接近させて、表面を溶融させたのち、実施例1と同様に行って得たLDS添加剤含有フィルムを重ねて100tのプレス機を用い、プレス成形を行った。プレス時の金型の温度は常温、圧力100kgf/cm2、プレス時間5分でプレスを行った後、金型を開き、樹脂成形品を取り出した。
比較例1
実施例1と同様に行って得たLDS添加剤含有フィルムと100mm×100mmで厚み2mmのマグネシウム合金板をプレス機にて、プレスして樹脂成形品を作製した。
具体的には、マグネシウム合金板を、設定温度に昇温させた金型内に入れ、100tのプレス機を用い、プレス成形を行った。プレス後、金型に水を流し、80度まで冷却した後、金型を開き、樹脂成形品を取り出した。プレス時の金型の温度は280℃、圧力100kgf/cm2、プレス時間5分、冷却時間20分とした。
比較例2
下記に示す表3に示す組成となるように、各成分をそれぞれ秤量し、ガラス繊維を除く成分をタンブラーにてブレンドし、二軸押出機(東芝機械社製、TEM26SS)の根元から投入し、溶融混練した後で、ガラス繊維をサイドフィードして樹脂ペレット(3)を作製した。押出機の温度設定は280℃、回転数は350rpmにて実施した。
樹脂ペレット(3)を120℃で4時間乾燥させた後、ファナック社製射出成形機(100T)を用いて、シリンダー温度280℃、金型の表面温度130℃の条件で、100mm×100mm×2mm厚の樹脂成形品を成形した。成形条件は、約0.5秒でキャビティの約95%を充填し、保圧をVP切り替え圧の約80%で10秒設定した。
比較例3
<比較用LDS添加剤含有フィルムの作製>
実施例1において、MXD6をポリプロピレン(日本ポリプロ製、ノバテックPP MA3)に代え、押出機の設定温度を200℃に変更する以外は実施例1と同様に行って、LDS添加剤含有フィルムを得た。
<樹脂成形品の作製>
上記で得たLDS添加剤含有フィルムを用い、樹脂成形品のプレス時の金型の温度を170℃にした他は、実施例1と同様に行って、樹脂成形品を得た。
評価
得られた実施例および比較例の樹脂成形品について、以下の評価を行った。
<密着性>
上記で得られた樹脂成形品のLDS添加剤含有フィルムと熱可塑性樹脂組成物から形成される成形品またはマグネシウム合金板の密着性について、以下の通り評価した。
A:フィルムが強固に密着しており、界面剥離前にフィルムが母材破壊した。
B:フィルムが界面で容易に剥離した。
<曲げ強度>
上記で得られた樹脂成形品の強度を以下の通り評価した。詳しくは、成形品を樹脂流動方向に幅4mmで切り出し、ISO178に準拠して曲げ試験を実施した。曲げ速度は2mm/分で実施し、フィルム面を曲げ試験機の中央圧子側とした。
<メッキ性(Plating外観)>
上記で得られた樹脂成形品について、LDS添加剤含有フィルム側の表面にメッキ層を形成して、メッキ性を評価した。具体的には、樹脂成形品の5×5mmの範囲に、SUNX(株)製、LP−Z SERIESのレーザー照射装置(波長1064nmのYAGレーザー最大出力13W)を用い、出力80%、パルス周期20μs(マイクロ秒)、スキャン速度4m/sにて照射した。その後のメッキ工程は無電解のMacDermid社製、MIDCopper100XB Strikeを用い、60℃の銅メッキ槽にて実施した。メッキ性能は30分間にメッキされた銅メッキ層の厚みを目視にて判断した。
以下の通り評価した。結果を下記表に示す。
A:良好な外観(銅の色も濃くメッキが厚く乗っている様子が確認された)
B:上記A以外
<シールド性>
上記で得られた樹脂成形品について、アジレント社製のネットワークアナライザ「N5230A」を用い、KEC法に準拠して100MHzの周波数における電磁波の反射性を測定し、電磁波シールド性を以下の通り評価した。
A:20dB未満
B:20dB以上
上記表4から明らかなとおり、LDS添加剤含有フィルムと熱可塑性樹脂組成物とを熱成形した場合(実施例1、2)、強度に優れ、メッキ性に優れ、かつ、シールド性に優れた樹脂成形品が得られた。これに対し、LDS添加剤含有フィルムに代えて、金属を用いた場合(比較例1)、密着性およびシールド性が劣っていた。また、熱可塑性樹脂組成物を用いず、LDS添加剤含有フィルムの単体の場合(比較例2)、樹脂成形品の強度が劣っていた。また、LDS添加剤含有フィルムと熱可塑性樹脂組成物とに使う樹脂を別系統の樹脂とした場合(比較例3)、LDS添加剤含有フィルムと熱可塑性樹脂組成物の密着性が悪かった。
1 樹脂成形品
2 レーザー
3 レーザーが照射された部分
4 メッキ液
5 メッキ層
11 LDS添加剤含有フィルム
12 熱可塑性樹脂組成物から形成される成形品
13 樹脂成形品

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂とレーザーダイレクトストラクチャリング添加剤を含むフィルムと、
    前記熱可塑性樹脂と同系統の熱可塑性樹脂を含む、熱可塑性樹脂組成物と、
    を熱成形することを含む、樹脂成形品の製造方法。
  2. 前記レーザーダイレクトストラクチャリング添加剤が、前記フィルム中において分散している、請求項1に記載の樹脂成形品の製造方法。
  3. 前記熱可塑性樹脂組成物が強化繊維を含む、請求項1または2に記載の樹脂成形品の製造方法。
  4. 前記フィルムを配した金型に、前記熱可塑性樹脂組成物を射出してインサート成形することを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂成形品の製造方法。
  5. 前記フィルムと、前記熱可塑性樹脂組成物から形成される成形品を、熱によって溶着させることを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂成形品の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂成形品の製造方法によって製造した樹脂成形品の表面に、さらに、レーザーを照射後、金属を適用して、メッキ層を形成することを含む、メッキ層付樹脂成形品の製造方法。
  7. 前記メッキ層が銅メッキ層である、請求項6に記載のメッキ層付樹脂成形品の製造方法。
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