JP2016078318A - 樹脂成形品の製造方法、メッキ層付樹脂成形品の製造方法、メッキ層付樹脂成形品 - Google Patents

樹脂成形品の製造方法、メッキ層付樹脂成形品の製造方法、メッキ層付樹脂成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】樹脂組成物自体にLDS(レーザーダイレクトストラクチャリング)添加剤を配合しなくても、樹脂成形品の表面にメッキ層を形成可能な樹脂成形品の製造方法、メッキ層付樹脂成形品の製造方法およびメッキ層付樹脂成形品の提供。【解決手段】LDS含有熱可塑性樹脂製フィルムを金型にインサート後、前記熱可塑性樹脂と同系統の熱可塑性樹脂組成物を射出成形して樹脂成形品1を得、樹脂成形品1にレーザー2を照射し、その後メッキ処理を行うメッキ層5付樹脂成形品1の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂成形品の表面に直接にメッキを形成できる、レーザーダイレクトストラクチャリング(以下、「LDS」ということがある)技術を用いることが可能な樹脂成形品の製造方法に関する。また、前記樹脂成形品の製造方法を用いたメッキ層付樹脂成形品の製造方法およびメッキ層付樹脂成形品に関する。
近年、スマートフォンを含む携帯電話の開発に伴い、携帯電話の内部にアンテナを製造する方法が種々検討されている。特に、携帯電話に3次元設計ができるアンテナを製造する方法が求められている。このような3次元アンテナを形成する技術の1つとして、LDS技術が注目されている。LDS技術は、例えば、LDS添加剤を含む樹脂成形品の表面にレーザーを照射し、レーザーを照射した部分のみを活性化させ、前記活性化させた部分に金属を適用することによってメッキ層を形成する技術である。この技術の特徴は、接着剤などを使わずに、樹脂基材表面に直接にアンテナ等の金属構造体を製造できる点にある。かかるLDS技術は、例えば、特許文献1〜4に開示されている。
特表2000−503817号公報 特表2004−534408号公報 国際公開WO2009/141800号パンフレット 国際公開WO2012/128219号パンフレット
ここで、LDS技術を採用するにあたり、樹脂成形品を製造するための熱可塑性樹脂組成物にLDS添加剤を配合することが考えられる。しかしながら、熱可塑性樹脂組成物にLDS添加剤を配合するとなると、多量のLDS添加剤が必要となる。また、LDS添加剤は、メッキ層を形成するためには必要であるが、樹脂成形品自体の機能(例えば、機械的強度や難燃性)を維持するためには、必要ではない。むしろ、LDS添加剤によって、他の成分がダメージを受けたり、所望の特性が発揮されない場合も想定される。
本発明は、かかる課題を解決することを目的としたものであって、熱可塑性樹脂組成物を用いて樹脂成形品を製造する方法であって、熱可塑性樹脂組成物自体に、LDS添加剤を配合しなくても、樹脂成形品の表面にメッキ層を形成可能な樹脂成形品の製造方法に関する。さらに、メッキ層付樹脂成形品の製造方法およびメッキ層付樹脂成形品に関する。
上記課題のもと、本発明者が鋭意検討を行った結果、熱可塑性樹脂とLDS添加剤を含むフィルムと、前記熱可塑性樹脂と同系統の熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を熱成形することにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を解決するに至った。
具体的には、下記手段<1>により、好ましくは<2>〜<8>により、上記課題は解決された。
<1>熱可塑性樹脂とレーザーダイレクトストラクチャリング添加剤を含むフィルムと、前記熱可塑性樹脂と同系統の熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を熱成形することを含む、樹脂成形品の製造方法。
<2>前記フィルムを配した金型に、前記熱可塑性樹脂組成物を射出してインサート成形またはインモールド成形することを含む、<1>に記載の樹脂成形品の製造方法。
<3>前記熱可塑性樹脂組成物が無機繊維を含む、<1>または<2>に記載の樹脂成形品の製造方法。
<4>前記無機繊維がガラス繊維である、<3>に記載の樹脂成形品の製造方法。
<5>前記フィルムおよび前記熱可塑性樹脂組成物がそれぞれポリアミド樹脂を含む、<1>〜<4>のいずれかに記載の樹脂成形品の製造方法。
<6><1>〜<5>のいずれかに記載の樹脂成形品の製造方法によって製造した樹脂成形品の表面に、さらに、レーザーを照射後、金属を適用して、メッキ層を形成することを含む、メッキ層付樹脂成形品の製造方法。
<7>前記メッキ層が銅を含む、<6>に記載のメッキ層付樹脂成形品の製造方法。
<8><6>または<7>に記載のメッキ層付樹脂成形品の製造方法により得られたメッキ層付樹脂成形品。
本発明により、熱可塑性樹脂組成物を用いて樹脂成形品を製造する方法であって、熱可塑性樹脂組成物自体に、LDS添加剤を配合しなくても、樹脂成形品の表面にメッキ層を形成可能な樹脂成形品の製造方法を提供可能になった。さらに、メッキ層付樹脂成形品の製造方法およびメッキ層付樹脂成形品を提供可能になった。
樹脂成形品の表面にメッキを設ける工程を示す概略図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明の樹脂成形品の製造方法は、熱可塑性樹脂とレーザーダイレクトストラクチャリング添加剤を含むフィルム(以下、「LDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルム」ということがある)と、前記熱可塑性樹脂と同系統の熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を熱成形することを特徴とする。このような構成とすることにより、熱可塑性樹脂組成物自体に、LDS添加剤を配合しなくても、樹脂成形品の表面にメッキ層を形成可能な樹脂成形品を提供可能になる。
また、LDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルムと熱可塑性樹脂組成物に、同系統の樹脂を用いるため、LDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルムと熱可塑性樹脂組成物の密着性を高くすることができる。
加えて、本発明では、LDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルムと熱可塑性樹脂組成物を熱成形するため、LDS添加剤が、樹脂成形品の全体ではなく、樹脂成形品の表層付近にだけ、存在する構成とできる。この結果、樹脂成形品全体に対する、LDS添加剤の配合量が少なくても、良好なメッキ層を形成できる。LDS添加剤は、それ自体は、樹脂成形品中で異物として働き、機械的強度等を低下させるが、本発明では樹脂成形品に対するLDS添加剤の割合が相対的に少ないので、機械的強度等の低下をより効果的に抑制できる。
<LDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルム>
本発明で用いるLDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂と、LDS添加剤を含む。
<<熱可塑性樹脂>>
本発明で用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン樹脂のアロイ、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリアミド樹脂のアロイ、熱可塑性ポリエステル樹脂、メチルメタクリレート/アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合樹脂、メチルメタアクリレート/スチレン共重合樹脂、メチルメタアクリレート樹脂、ゴム強化メチルメタアクリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等が挙げられる。本発明では、熱可塑性ポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂の少なくとも1種を含むことが好ましく、ポリアミド樹脂を含むことがさらに好ましい。
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物は、樹脂を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。
ポリアミド樹脂を主成分とする態様
本発明における熱可塑性樹脂組成物がポリアミド樹脂を含む場合、ポリアミド樹脂を樹脂成分の50重量%以上含むことがより好ましく、60重量%以上含むことがより好ましく、70重量%以上含むことがさらに好ましく、80重量%以上含むことが特に好ましい。熱可塑性樹脂がポリアミド樹脂を含む場合の上限は、100重量%以下である。
ポリアミド樹脂
ポリアミド樹脂としては、ラクタムの開環重合、アミノカルボン酸の重縮合、ジアミンと二塩基酸の重縮合により得られる酸アミドを繰り返し単位とする高分子であり、具体的には、ポリアミド6、11、12、46、66、610、612、6I、6/66、6T/6I、6/6T、66/6T、66/6T/6I、ポリアミドMX、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド等が挙げられる。なお、上記「I」はイソフタル酸成分、「T」はテレフタル酸成分を示す。
本発明に使用されるポリアミド樹脂としては、これらのポリアミド樹脂の有する種々の特性と目的とする成形品の用途等を勘案して適切なポリアミド樹脂を選択する。
上述のポリアミド樹脂の中、原料のジカルボン酸成分に芳香環を有する半芳香族ポリアミド樹脂、原料のジアミン成分に芳香環を有するポリアミドMX樹脂、または、これらを混合したポリアミド樹脂は、強度を高めるガラス繊維及びカーボン繊維等の充填材を比較的多く配合したコンパウンドを容易に得られるので好ましい。
半芳香族ポリアミドとしては具体的に、6I、6T/6I、6/6T、66/6T、66/6T/6I等が挙げられる。
また、ポリアミドMX樹脂は、キシリレンジアミンとα,ω−二塩基酸の重縮合で得られることが好ましく、パラキシリレンジアミンおよび/またはメタキシリレンジアミンと、炭素数6〜12のα,ω−直鎖脂肪族二塩基酸または芳香族二塩基酸の重縮合で得られるポリアミド樹脂であり、特に好ましくは、パラキシリレンジアミンおよび/またはメタキシリレンジアミンと、セバシン酸および/またはアジピン酸を使用したポリアミドMX樹脂である。また、共重合成分として、TやI、ビスアミノメチルシクロヘキサンなど、ポリアミド樹脂で一般的に使用されるジアミン、ジカルボン酸などは使用することができる。
これらの芳香環を有するポリアミド樹脂と脂肪族ポリアミド樹脂(例えば、ポリアミド6、ポリアミド66等)の混合物も好ましく使用される。脂肪族ポリアミド樹脂単独では充填材を多く配合すると外観や物性が充分でない場合にも、上述の芳香環を有するポリアミド樹脂と混合することで外観や物性か改良される。芳香環を有するポリアミド樹脂と脂肪族ポリアミド樹脂の混合物の場合、その重量比は、100:1〜100:40が好ましい。
熱可塑性ポリエステル樹脂を主成分とする態様
本発明における熱可塑性樹脂の実施形態として、熱可塑性樹脂が熱可塑性ポリエステル樹脂を主成分として含む場合が挙げられる。本実施形態では、全樹脂成分中、熱可塑性ポリエステル樹脂の割合が、51〜100重量%であることが好ましく、80〜100重量%であることがより好ましく、90〜100重量%がさらに好ましい。
熱可塑性ポリエステル樹脂
熱可塑性ポリエステル樹脂としては、特開2010−174223号公報の段落番号0013〜0016の記載を参酌することができる。
ポリエステル樹脂としては、通常はポリブチレンテレフタレート樹脂、又はポリブチレンテレフタレート樹脂が60重量%以上、好ましくは80重量%以上を占める混合物を用いる。例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂との混合物を用いる場合は、前者が60〜95重量%、更には70〜90重量%の割合のものが、本発明で用いるポリエステル樹脂として好ましいものの一つである。
ポリブチレンテレフタレート樹脂及びポリエチレンテレフタレート樹脂は、周知のように、テレフタル酸又はそのエステルと、1,4−ブタンジオール又はエチレングリコールとの反応により、大規模に製造され、市場に流通している。本発明では市場で入手し得るこれらの樹脂を用いることができる。市場で入手し得る樹脂には、テレフタル酸成分と1,4−ブタンジオール成分又はエチレングリコール成分以外の共重合成分を含有しているものもあるが、本発明では共重合成分を少量、通常は20重量%以下、好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下で含有するものも用いることができる。共重合成分を含有する場合、共重合成分としては、イソフタル酸、ポリテトラメチレングリコール、ダイマー酸が好ましく用いられる。
ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、通常、0.5〜1.5dl/gであり、特に0.6〜1.3dl/gであることが好ましい。0.5dl/gより小さいと機械的強度に優れた樹脂組成物を得るのが困難である。また1.5dl/gより大きいと樹脂組成物の流動性が低下し、成形性が低下する場合がある。また、末端カルボキシル基量は30meq/g以下であることが好ましい。さらに1,4−ブタンジオールに由来するテトラヒドロフランの含有量は300ppm以下であることが好ましい。
またポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、通常、0.4〜1.5dl/gであり、特に0.5〜1.3dl/gであることが好ましい。固有粘度が0.4dl/g未満であると樹脂組成物の機械的特性が低下し易く、1.5dl/gを超えると流動性が低下し易い。なお、いずれの固有粘度も、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)混合溶媒中、30℃での測定値である。
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性ポリエステル樹脂を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。
尚、本実施形態において、熱可塑性ポリエステル樹脂以外の他の樹脂成分を含んでいてもよい。しかしながら、他の樹脂は全樹脂成分の5重量%以下であることが好ましい。
その他、熱可塑性樹脂の詳細は、特開2014−074162号公報の段落0011〜0028の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
LDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルムにおける熱可塑性樹脂の含有量としては、20〜98重量%が好ましく、70〜95重量%がさらに好ましい。熱可塑性樹脂は1種類のみを用いても良く、2種類以上用いても良い。2種類以上用いた場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。特に、LDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルムに含まれる全熱可塑性樹脂のうち、後述する樹脂組成物に含まれる樹脂と同系統の樹脂の割合が、60重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましい。このような範囲とすることにより、本発明の効果がより効果的に発揮される。また、上記範囲を外れた場合でも、モルフォロジーにおいてマトリックス(海島構造の海部分)が同系統であれば、その効果は十分に発揮される。
<<レーザーダイレクトストラクチャリング添加剤>>
本発明におけるLDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルムは、LDS添加剤を含む。
本発明におけるLDS添加剤は、MP6(後述する実施例で合成しているMP6)100重量部に対し、LDS添加剤と考えられる添加剤を4重量部添加し、波長1064nmのYAGレーザーを用い、出力10W、周波数80kHz、速度3m/sにて照射し、その後のメッキ工程は無電解のMacDermid製M−Copper85のメッキ槽にて実施し、前記レーザー照射面に金属を適用したときに、メッキを形成できる化合物をいう。例えば、仮に上記樹脂に添加剤を添加した場合にYAGレーザーの吸収が悪く、樹脂の表面がきれいに焼けない場合、レーザーで表面を焼くために酸化チタンを10〜40重量部添加して評価しても良い。
本発明で用いるLDS添加剤は、合成品であってもよいし、市販品を用いてもよい。また、市販品はLDS添加剤として市販されているものの他、本発明におけるLDS添加剤の要件を満たす限り、他の用途として販売されている物質であってもよい。
LDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルムにおける、LDS添加剤の配合量は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、好ましくは3〜20重量部であり、より好ましくは5〜20重量部であり、さらに好ましくは8〜20重量部である。
LDS添加剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。2種類以上用いる場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
以下に、本発明で用いるLDS添加剤の好ましい実施形態を述べる。このような実施形態のLDS添加剤を用いることにより、本発明の効果がより効果的に発揮される傾向にある。しかしながら、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではないことは言うまでもない。
本発明で用いる第1の実施形態のLDS添加剤は、アンチモンおよび錫の少なくとも1種を含む形態である。第1の実施形態のLDS添加剤は、アンチモンと錫を含むことがより好ましく、アンチモンと錫を含み、アンチモンよりも錫の方が含有量が多いことがさらに好ましく、アンチモンと酸化錫を含み、アンチモンよりも錫の方が含有量が多いことが特に好ましい。また、酸化アンチモンと酸化錫を含み、アンチモンよりも錫の方が含有量が多い態様も好ましく例示される。本実施形態では、金属成分の80重量%以上が錫であることが好ましい。第1の実施形態のLDS添加剤では、波長450nmにおける反射率が50%以上のLDS添加剤とすることもできる。
本発明で用いる第2の実施形態のLDS添加剤は、銅を含むLDS添加剤である。第2の実施形態で用いるLDS添加剤は、銅を含む酸化物であることが好ましく、銅とクロムを含む酸化物(銅クロム酸化物)であることがより好ましい。このようなLDS添加剤としては、例えば、CuCr24やCu3(PO42Cu(OH)2が挙げられ、特にCuCr24が好ましい。このように、銅を含む酸化物をLDS添加剤として用いることにより、本発明の効果がより効果的に発揮される傾向にある。第2の実施形態のLDS添加剤は、スピネル型構造であることが好ましい。第2の実施形態で用いるLDS添加剤における銅の含有量は、20〜95重量%であることが好ましい。
また、上記第1の実施形態および第2の実施形態のLDS添加剤、ならびに、後述する第4の実施形態のLDS添加剤は、前記LDS添加剤を含む組成物を、何らかの基材表面の、一部または全部にコーティングして用いてもよい。このような構成とすることにより、LDS添加剤を含む組成物が表面に出る割合が多くなり、少量のLDS添加剤でも、高いLDS効果を発揮させることが可能になる。また、中心部を構成する組成物に反射率が50%以上の組成物を採用することにより、得られる熱可塑性樹脂成形品の反射率を高くすることも可能になる。
中心部を構成する組成物は、金属酸化物を含むことが好ましく、二酸化ケイ素、マイカおよび酸化チタン、酸化亜鉛の少なくとも1種を含むことがより好ましい。
本発明の第3の実施形態で用いるLDS添加剤は、波長450nmにおける反射率が50%以上のLDS添加剤である。このようなLDS添加剤を採用することにより、得られる熱可塑性樹脂成形品の反射率を高くすることが可能になる。
このようなLDS添加剤の具体例として、波長450nmにおける反射率が50%以上である組成物の表面に、銅を含む酸化物、ならびに、錫およびアンチモンを含む酸化物の少なくとも1種を含む組成物がコーティングされているものが例示される。より好ましくは、反射率が50%以上の組成物を中心部とし、中心部の表面積の60%以上の領域に、銅、錫およびアンチモンの少なくとも1種を含む組成物がコーティングされているものである。中心部を構成する組成物は、金属酸化物を含むことが好ましく、二酸化ケイ素、酸化チタン、及び酸化亜鉛の少なくとも1種を含むことがより好ましく、酸化チタン、及び酸化亜鉛を含むことがさらに好ましい。
また、波長450nmにおける反射率が50%以上のLDS添加剤の他の具体例として、波長450nmにおける反射率が50%未満である組成物の表面に、反射率の高いLDS添加剤(例えば、上述する第1の実施形態のLDS添加剤)を含む組成物がコーティングされているLDS添加剤であってもよい。波長450nmにおける反射率が50%未満である組成物としては、マイカ等が例示される。
本発明の第4の実施形態で用いるLDS添加剤は、少なくとも2種の金属を含み、かつ、抵抗率が5×103Ω・cm以下の導電性酸化物を含むことが好ましい。導電性酸化物の抵抗率は、8×102Ω・cm以下が好ましく、7×102Ω・cm以下がより好ましく、5×102Ω・cm以下がさらに好ましい。下限については特に制限はないが、例えば、1×101Ω・cm以上とすることができ、さらには、1×102Ω・cm以上とすることができる。
本発明における導電性酸化物の抵抗率は、通常、粉末抵抗率をいい、導電性酸化物の微粉末10gを、内面にテフロン加工(テフロン:登録商標)を施した内径25mmの円筒内へ装入して100kg/cm2に加圧し(充填率20%)、横川電気製作所製の「3223型」テスターで測定することができる。
第4の実施形態で用いるLDS添加剤は、抵抗率が5×103Ω・cm以下の導電性酸化物を含んでいれば特に制限されないが、少なくとも2種類の金属を含むことが好ましく、具体的には、周期表のn族(nは3〜16の整数)の金属とn+1族の金属を含むことが好ましい。nは10〜13の整数が好ましく、12または13がさらに好ましい。
第4の実施形態で用いるLDS添加剤は、LDS添加剤中における、周期表のn族(nは3〜16の整数)の金属の含有量とn+1族の金属の含有量の合計を100モル%としたとき、一方の金属の含有量が15モル%以下であることが好ましく、12モル%以下であることがさらに好ましく、10モル%以下であることが特に好ましい。下限については特に制限はないが、0.0001モル%以上である。2種類以上の金属の含有量をこのような範囲とすることで、メッキ性を向上させることができる。本発明では特に、n+1族の金属がドープされたn族の金属酸化物が好ましい。
さらに、第4の実施形態で用いるLDS添加剤は、LDS添加剤中に含まれる金属成分の98重量%以上が、上記周期表のn族の金属の含有量とn+1族の金属で構成されることが好ましい。
周期表のn族の金属としては、例えば、3族(スカンジウム、イットリウム)、4族(チタン、ジルコニウムなど)、5族(バナジウム、ニオブなど)、6族(クロム、モリブテンなど)、7族(マンガンなど)、8族(鉄、ルテニウムなど)、9族(コバルト、ロジウム、イリジウムなど)、10族(ニッケル、パラジウム、白金)、11族(同、銀、金など)、12族(亜鉛、カドミウムなど)、13族(アルミニウム、ガリウム、インジウムなど)、14族(ゲルマニウム、スズなど)、15族(ヒ素、アンチモンなど)、16族(セレン、テルルなど)、これらの金属酸化物などが挙げられる。中でも、12族(n=12)の金属または金属酸化物が好ましく、亜鉛がより好ましい。
周期表のn+1族の金属としては、例えば、4族(チタン、ジルコニウムなど)、5族(バナジウム、ニオブなど)、6族(クロム、モリブテンなど)、7族(マンガンなど)、8族(鉄、ルテニウムなど)、9族(コバルト、ロジウム、イリジウムなど)、10族(ニッケル、パラジウム、白金)、11族(同、銀、金など)、12族(亜鉛、カドミウムなど)、13族(アルミニウム、ガリウム、インジウムなど)、14族(ゲルマニウム、スズなど)、15族(ヒ素、アンチモンなど)、16族(セレン、テルルなど)、これらの金属酸化物などが挙げられる。中でも、13族(n+1=13)の金属または金属酸化物が好ましく、アルミニウムまたはガリウムがより好ましく、アルミニウムがさらに好ましい。
第4の実施形態で用いるLDS添加剤は、導電性金属酸化物以外の金属を含有していてもよい。導電性酸化物以外の金属としては、アンチモン、チタン、インジウム、鉄、コバルト、ニッケル、カドミウム、銀、ビスマス、ヒ素、マンガン、クロム、マグネシウム、カルシウムなどが例示される。これら金属は酸化物として存在していてもよい。これら金属の含有量は、LDS添加剤に対してそれぞれ0.01重量%以下が好ましい。
なお、第4の実施形態で用いるLDS添加剤は、L値を向上させる観点から、アンチモンの含有量は、LDS添加剤に対して3重量%以下であることが好ましく、1重量%以下であることがより好ましく、0.01重量%以下であることがさらに好ましく、実質的に含まないことが特に好ましい。実質的に含まないとは、本発明の効果に影響を与える範囲内で含まないことを意味する。
第4の実施形態で用いるLDS添加剤は、波長1064nmの光を吸収可能であることが好ましい。波長1064nmの光を吸収可能とすることで、樹脂成形品表面にメッキ層を形成しやすくなる。
第4の実施形態で用いるLDS添加剤の粒子径は、0.01〜50μmであることが好ましく、0.05〜30μmであることがより好ましい。このような構成とすることにより、メッキを適応した際のメッキ表面状態の均一性が良好になる傾向にある。
<<他の成分>>
本発明で用いるLDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルムは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、他の成分を含んでいても良い。他の成分としては、エラストマー、タルク、離型剤、酸化防止剤、熱安定剤等の安定剤、耐加水分解性改良剤、耐候安定剤、艶消剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、分散剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤、着色剤、離型剤等の添加剤等を加えることができる。これらの詳細は、特許第4894982号公報の段落番号0130〜0155の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、エラストマー、タルク、離型剤については、後述する熱可塑性樹脂組成物におけるこれらの記載を参酌でき、好ましい範囲も同義である。
これらの成分は、LDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルムの20重量%以下であることが好ましい。
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明における熱可塑性樹脂組成物は、LDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルムと同系統の熱可塑性樹脂を含む。同系統の熱可塑性樹脂とは、例えば、ポリアミド樹脂同士、ポリエステル樹脂同士、ポリオレフィン樹脂同士、ポリプロピレン樹脂同士、ポリエチレン樹脂同士、アクリル樹脂同士、ポリアセタール樹脂同士、ポリカーボネート樹脂同士、スチレン樹脂同士、ポリアミド樹脂とポリウレタン樹脂の組み合わせ、などが例示される。本発明では、LDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルムおよび熱可塑性樹脂組成物がそれぞれポリアミド樹脂を含むことが好ましい。
本発明では、同系統の樹脂として、熱可塑性樹脂組成物とLDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルムに、同一の樹脂を含んでいても良いし、同系統であって異なる樹脂を含んでいても良い。
本発明では、熱可塑性樹脂組成物に含まれる樹脂成分中、前記同系統の熱可塑性樹脂の割合が50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましい。また、熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を2種類以上含んでいても良い。この場合、かかる2種類以上の樹脂がいずれも同系統の熱可塑性樹脂であることが好ましい。
熱可塑性樹脂組成物中における熱可塑性樹脂の配合量は、100重量%であってもよいが、他の成分を含んでいても良い。他の成分を含む場合、熱可塑性樹脂組成物中における熱可塑性樹脂の配合量は、合計で30重量%以上であることが好ましく、35重量%以上であることがより好ましく、35〜70重量%であることがさらに好ましい。
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物は、LDS添加剤を含んでいても良いが、実質的に含まない構成とすることができる。実質的に含まないとは、例えば、熱可塑性樹脂組成物の全成分の1重量%以下であることをいう。
<<無機繊維>>
熱可塑性樹脂組成物は、無機繊維をさらに含むことが好ましい。無機繊維を配合することによって、樹脂成形品の機械的強度を向上させることができる。また、無機繊維を配合することによって、寸法精度もより向上させることができる。無機繊維は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
無機繊維の例としては、ガラス繊維、炭素繊維が例示され、ガラス繊維が好ましい。
本発明で好ましく使用されるガラス繊維は、平均直径が20μm以下のものが好ましく、さらに3〜18μmのものが、物性バランス(強度、剛性、耐熱剛性、衝撃強度)をより一層高める点、並びに成形反りをより一層低減させる点で好ましい。また、通常断面形状が円形のガラス繊維が一般的に用いられることが多いが、本発明では、特に限定はなく、例えば断面形状がまゆ形、楕円形、矩形の形状においても同様に使用できる。
ガラス繊維の長さは特定されるものでなく、長繊維タイプ(ロービング)や短繊維タイプ(チョップドストランド)等から選択して用いることができる。この場合の集束本数は、100〜5000本程度であることが好ましい。また、本発明の組成物を混練した後の組成物中のガラス繊維の長さが所望の長さ以上(例えば、平均繊維長0.1mm以上)で得られるならば、いわゆるミルドファイバー、ガラスパウダーと称せられるストランドの粉砕品でもよく、また、連続単繊維系のスライバーのものでもよい。原料ガラスの組成は、無アルカリのものも好ましく、例えば、Eガラス、Cガラス、Sガラス等が挙げられるが、本発明では、Eガラスが好ましく用いられる。
ガラス繊維は、例えば、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤等で表面処理されていることが好ましく、その付着量は、通常、ガラス繊維重量の0.01〜1重量%である。さらに必要に応じて、脂肪酸アミド化合物、シリコーンオイル等の潤滑剤、第4級アンモニウンム塩等の帯電防止剤、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の被膜形成能を有する樹脂、被膜形成能を有する樹脂と熱安定剤、難燃剤等の混合物で表面処理されたものを用いることもできる。
熱可塑性樹脂組成物における、無機繊維の配合量は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、好ましくは10〜150重量部であり、より好ましくは10〜130重量部であり、さらに好ましくは20重量部以上100重量部未満である。
熱可塑性樹脂組成物の一実施形態として、熱可塑性樹脂と無機繊維で、全成分の60重量%以上を占める態様が挙げられる。
<<エラストマー>>
熱可塑性樹脂組成物は、エラストマーをさらに含んでいてもよい。このように、エラストマーを含有することによって、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性を向上させることができる。
本発明に用いるエラストマーは、ゴム成分にこれと共重合可能な単量体成分とをグラフト共重合したグラフト共重合体が好ましい。グラフト共重合体の製造方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などのいずれの製造方法であってもよく、共重合の方式は一段グラフトでも多段グラフトであってもよい。
ゴム成分は、ガラス転移温度が通常0℃以下、中でも−20℃以下が好ましく、更には−30℃以下が好ましい。ゴム成分の具体例としては、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブチルアクリレートやポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、ブチルアクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート共重合体などのポリアルキルアクリレートゴム、ポリオルガノシロキサンゴムなどのシリコーン系ゴム、ブタジエン−アクリル複合ゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなるIPN(Interpenetrating Polymer Network)型複合ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴムやエチレン−ブテンゴム、エチレン−オクテンゴムなどのエチレン−α−オレフィン系ゴム、エチレン−アクリルゴム、フッ素ゴムなど挙げることができる。これらは、単独でも2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、機械的特性や表面外観の面から、ポリブタジエンゴム、ポリアルキルアクリレートゴム、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなるIPN型複合ゴム、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
ゴム成分とグラフト共重合可能な単量体成分の具体例としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物;マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸化合物やそれらの無水物(例えば無水マレイン酸等)などが挙げられる。これらの単量体成分は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、機械的特性や表面外観の面から、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物が好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。(メタ)アクリル酸エステル化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等を挙げることができる。
ゴム成分を共重合したグラフト共重合体は、耐衝撃性や表面外観の点からコア/シェル型グラフト共重合体タイプのものが好ましい。なかでもポリブタジエン含有ゴム、ポリブチルアクリレート含有ゴム、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなるIPN型複合ゴムから選ばれる少なくとも1種のゴム成分をコア層とし、その周囲に(メタ)アクリル酸エステルを共重合して形成されたシェル層からなる、コア/シェル型グラフト共重合体が特に好ましい。コア/シェル型グラフト共重合体において、ゴム成分を40重量%以上含有するものが好ましく、60重量%以上含有するものがさらに好ましい。また、(メタ)アクリル酸は、10重量%以上含有するものが好ましい。なお、本発明におけるコア/シェル型とは必ずしもコア層とシェル層が明確に区別できるものでは無なくてもよく、コアとなる部分の周囲にゴム成分をグラフト重合して得られる化合物を広く含む趣旨である。
これらコア/シェル型グラフト共重合体の好ましい具体例としては、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(MABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体(MB)、メチルメタクリレート−アクリルゴム共重合体(MA)、メチルメタクリレート−アクリルゴム−スチレン共重合体(MAS)、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム共重合体、メチルメタクリレート−アクリル・ブタジエンゴム−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−(アクリル・シリコーンIPNゴム)共重合体、スチレン−エチレン−ブタジエン-スチレン共重合体等が挙げられる。このようなゴム質重合体は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂組成物におけるエラストマーの含有量は、配合する場合、熱可塑性樹脂組成物全量の、好ましくは0.1〜40重量%、より好ましくは0.5〜25重量%、さらに好ましくは1〜10重量%である。
<<タルク>>
熱可塑性樹脂組成物は、タルクをさらに含んでいてもよい。タルクを配合することによって寸法安定性、製品外観を良好にすることができ、また、LDS添加剤の添加量を減らしても、樹脂成形品のメッキ性を良好にすることができ、樹脂成形品に適切なメッキを形成することができる。タルクは、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン類およびオルガノポリシロキサン類から選択される化合物の少なくとも1種で表面処理されたものを用いてもよい。この場合、タルクにおけるシロキサン化合物の付着量は、タルクの0.1〜5重量%であることが好ましい。
熱可塑性樹脂組成物における、タルクの配合量は、配合する場合、熱可塑性樹脂組成物100重量部に対し、0.01〜10重量部であることが好ましく、0.05〜8重量部であることがより好ましく、0.5〜5重量部であることがさらに好ましい。また、タルクがシロキサン化合物で表面処理されている場合には、シロキサン化合物で表面処理されたタルクの配合量が、上記範囲内であることが好ましい。
<<離型剤>>
熱可塑性樹脂組成物は、離型剤をさらに含有していてもよい。離型剤は、主に、熱可塑性樹脂組成物の成形時の生産性を向上させるために使用されるものである。離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸アミド系、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。これらの離型剤の中では、特に、カルボン酸アミド系化合物が好ましい。
脂肪族カルボン酸アミド系としては、例えば、高級脂肪族モノカルボン酸および/または多塩基酸とジアミンとの脱水反応によって得られる化合物が挙げられる。
高級脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数16以上の飽和脂肪族モノカルボン酸およびヒドロキシカルボン酸が好ましく、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などが挙げられる。
多塩基酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ピメリン酸、アゼライン酸などの脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキシルコハク酸などの脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。
ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、トリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、フェニレンジアミン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
カルボン酸アミド系化合物としては、ステアリン酸とセバシン酸とエチレンジアミンを重縮合してなる化合物が好ましく、ステアリン酸2モルとセバシン酸1モルとエチレンジアミン2モルを重縮合させた化合物がさらに好ましい。また、N,N'−メチレンビスステアリン酸アミドやN,N'−エチレンビスステアリン酸アミドのようなジアミンと脂肪族カルボン酸とを反応させて得られるビスアミド系化合物の他、N,N'−ジオクタデシルテレフタル酸アミド等のジカルボン酸アミド化合物も好適に使用し得る。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は炭素数6〜36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和一価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族又は脂環式飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、脂肪族炭化水素の数平均分子量は好ましくは5000以下である。
離型剤の含有量は、配合する場合、熱可塑性樹脂組成物中の熱可塑性樹脂とガラス繊維との合計100重量部に対して、通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上であり、また、通常2重量部以下、好ましくは1.5重量部以下である。離型剤の含有量を、熱可塑性樹脂とガラス繊維との合計100重量部に対して、0.001重量部以上とすることによって、離型性を良好にすることができる。また、離型剤の含有量を、熱可塑性樹脂とガラス繊維との合計100重量部に対して、2重量部以下とすることによって、耐加水分解性の低下を防止することができ、また、射出成形時の金型汚染を防止することができる。
<<その他の添加剤>>
熱可塑性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に種々の添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、顔料(酸化チタン等)、アルカリ、熱安定剤、難燃剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染顔料、蛍光増白剤、滴下防止剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤、などが挙げられる。これらの成分は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
<熱可塑性樹脂組成物の製造方法>
熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては、任意の方法を採用することができる。例えば、熱可塑性樹脂と、LDS添加剤と、ガラス繊維とをV型ブレンダー等の混合手段を用いて混合し、一括ブレンド品を調整した後、ベント付き押出機で溶融混練してペレット化する方法が挙げられる。あるいは、二段階練込法として、予め、ガラス繊維以外の成分等を、十分混合後、ベント付き押出機で溶融混練りしてペレットを製造した後、そのペレットとガラス繊維を混合後、ベント付き押出機で溶融混練りする方法が挙げられる。
さらに、ガラス繊維以外の成分等を、V型ブレンダー等で十分混合したものを予め調整しておき、この混合物をベント付き二軸押出機の第一シュートより供給し、ガラス繊維は押出機途中の第二シュートより供給して溶融混練、ペレット化する方法が挙げられる。
押出機の混練ゾーンのスクリュー構成は、混練を促進するエレメントを上流側に、昇圧能力のあるエレメントを下流側に配置されることが好ましい。
混練を促進するエレメントとしては、順送りニーディングディスクエレメント、直交ニーディングディスクエレメント、幅広ニーディングディスクエレメント、および順送りミキシングスクリューエレメント等が挙げられる。
溶融混練に際しての加熱温度は、通常180〜360℃の範囲から適宜選択することができる。温度が高すぎると分解ガスが発生しやすく、不透明化の原因になる場合がある。そのため、剪断発熱等を考慮したスクリュー構成を選定することが望ましい。また、混練り時や、後行程の成形時の分解を抑制する観点から、酸化防止剤や熱安定剤を使用することが望ましい。
<熱成形>
本発明の熱成形の条件は、用いる樹脂の種類や成形方法に応じて適宜定めることができる。熱成形としては、インサート成形、インモールド成形、熱プレス等が例示される。
以下に、本発明における熱成形の方法の具体例を述べるが、本発明は以下に限定されるものではないことは言うまでもない。
本発明の熱成形の第一の実施形態は、LDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルムを配した金型に、熱可塑性樹脂組成物を射出してインサート成形する方法である。
インサート成形では、射出成形用の所望の形状を有する金型のキャビティ内に、LDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルムをあらかじめ配置し、その外側の空間に熱可塑性樹脂組成物を射出成形(射出充填)して、樹脂成形品とする方法である。さらに、接着層等の他の層を含んでいてもよい。インサート成形を行うことにより、樹脂成形品の強度を向上させたり、意匠性を付与することが可能となる。本実施形態において、熱可塑性樹脂組成物に、無機繊維を配合することにより、得られる樹脂成形品の機械的強度をより向上させることができる。
本実施形態における射出成形温度(樹脂温度)は、熱可塑性樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂の種類に応じて定められる。例えば、熱可塑性樹脂が、非晶性樹脂の場合は(Tg)℃〜(Tg+150)℃、結晶性樹脂の場合は(樹脂融解点)℃〜(樹脂融解点+100)℃であることが好ましい。Tgは樹脂のガラス転移温度である。
本実施形態における金型温度は、LDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルムに含まれる熱可塑性樹脂の種類に応じて定められる。例えば、非晶性樹脂の場合は樹脂の(Tg−100)℃〜Tg℃、結晶性樹脂の場合は、(ISO75に従った0.45MPa負荷で測定した荷重撓み温度−200)℃〜(ISO75に従った0.45MPa負荷で測定した荷重撓み温度−50)℃が好ましい。
また、熱成形の際に圧力をかけることが好ましく、圧力としては、100〜1000kgf/cm2が好ましく、200〜800kgf/cm2がより好ましい。
本発明の第二の実施形態は、LDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルムを配した金型に、熱可塑性樹脂組成物を射出してインモールド成形する方法である。具体的には、支持体上に、所望の形状のLDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルムを有するシートを金型に配し、熱可塑性樹脂組成物を射出して、樹脂成形品の成形とメッキ層を形成する土台となる加工部を成形する方法である。この方法では、成形の際または成形後に、シートから、所望の形状のLDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルムを分離させ、LDS添加剤含有樹脂フィルムのみ、熱可塑性樹脂成形品の表面に転写させる。本実施形態の構成とすることにより、熱可塑性樹脂組成物由来の成形品の、メッキ層を形成する部分の上にのみ、LDS添加剤含有樹脂フィルムを設けることができる。
前記シートにおいて、LDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルムは、通常、支持体上に仮固定されているが、この仮固定の方法は、糊や熱による手段が例示される。また、前記シートにおいて、支持体とLDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルムの間に、離型層や保護層等が介在していてもよい。
成形の際または成形後に、シートから、所望の形状のLDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルムから分離させる手段としては、特に定めるものでは無いが、一例として、支持体を金型キャビティーサイズより大きくしておき、金型でシートを部分的に挟んで固定し、成形後にLDS添加剤含有樹脂フィルムを剥がす方法が挙げられる。
本実施形態において、熱可塑性樹脂組成物に、無機繊維を配合することにより、得られる樹脂成形品の機械的強度をより向上させることができる。
本実施形態における射出成形温度、金型温度、熱成形の際の圧力は第一の実施形態と同様であり、好ましい範囲も同様である。
本発明の第三の実施形態は、LDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルムと、LDS添加剤を実質的に含有しない熱可塑性樹脂フィルムを熱プレスする方法である。LDS添加剤を実質的に含有しない熱可塑性樹脂フィルムとは、例えば、LDS添加剤の含有量が、LDS添加剤を実質的に含有しない熱可塑性樹脂フィルムに含まれる樹脂成分の0.1重量%以下であることをいう。本願発明者らの検討により、難燃剤や染顔料を配合した樹脂組成物に、LDS添加剤を配合しても、上手くメッキ層が形成できない場合があることが分かっているが、本実施形態では、LDS添加剤を実質的に含有しない熱可塑性樹脂フィルムの方に、難燃剤や染顔料等を配合することができ、メッキ性に悪影響を与えずに、難燃剤や染顔料等を熱可塑性樹脂フィルムに配合することが可能になる。
本実施形態において、熱可塑性樹脂組成物に、無機繊維を配合することにより、得られる樹脂成形品(シート)の機械的強度をより向上させることができる。
この場合の熱プレス温度としては、非晶性樹脂の場合は樹脂のガラス転移点(Tg)−20℃〜Tg+150℃、結晶性樹脂の場合は樹脂融解点−20〜樹脂融解点+80℃の範囲であることが好ましい。
また、熱成形の際に圧力をかけることが好ましく、圧力としては、1〜500kgf/cm2が好ましく、3〜200kgf/cm2がより好ましい。
本発明の樹脂成形品は、本発明の樹脂成形品の製造方法によって得られる。
<メッキ層の形成>
本発明はさらに、メッキ層付樹脂成形品の製造方法についても開示する。本発明のメッキ層付樹脂成形品の製造方法は、本発明の樹脂成形品の製造方法によって製造した樹脂成形品の表面に、さらに、レーザーを照射後、金属を適用して、メッキ層を形成することを含む。
樹脂成形品の表面にメッキ層を設ける工程について、図1に従って説明する。
図1は、レーザーダイレクトストラクチャリング技術によって、樹脂成形品1の表面にメッキを形成する工程を示す概略図である。図1において、樹脂成形品1は、平坦な基板となっているが、必ずしも平坦な基板である必要はなく、一部または全部が曲面している樹脂成形品であってもよい。また、樹脂成形品1には、最終製品に限定されず、各種部品も含まれる。
次に、本発明のメッキ層付樹脂成形品の製造方法においては、樹脂成形品1にレーザー2を照射する。
レーザー2は、特に限定されるものではなく、YAGレーザー、エキシマレーザー、電磁線等の公知のレーザーから適宜選択することができ、特にYGAレーザーが好ましい。また、レーザー2の波長も特に限定されるものではない。好ましいレーザー2の波長範囲は、200nm〜1200nmであり、特に好ましくは800〜1200nmである。
レーザー2が樹脂成形品1に照射されると、レーザー2が照射された部分3のみ、樹脂成形品1が活性化される。このように活性化された状態で、樹脂成形品1をメッキ液4に適用する。メッキ液4としては、特に定めるものではなく、公知のメッキ液を広く採用することができ、金属成分として銅、ニッケル、金、銀、パラジウムが混合されているものが好ましく、銅がより好ましい。
樹脂成形品1をメッキ液4に適用する方法についても、特に限定されないが、例えば、メッキ液を配合した液中に投入する方法が挙げられる。メッキ液を適用後の樹脂成形品1は、レーザー2を照射した部分のみ、メッキ層5が形成され、メッキ層付樹脂成形品が得られる。
本発明の方法では、1mm以下、さらには、150μm以下の幅の回路間隔(下限値は特に定めるものではないが、例えば、30μm以上)を形成することができる。かかる回路は携帯電子機器部品のアンテナとして好ましく用いられる。すなわち、本発明の樹脂成形品1の好ましい実施形態の一例として、携帯電子機器部品の表面に設けられたメッキ層が、アンテナとしての性能を保有する樹脂成形品が挙げられる。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、特開2011−219620号公報、特開2011−195820号公報、特開2011−178873号公報、特開2011−168705号公報、特開2011−148267号公報の記載を参酌することができる。
<メッキ層付樹脂成形品>
本発明のメッキ層付樹脂成形品は、本発明のメッキ層付樹脂成形品の製造方法により得られる。本発明のメッキ層付樹脂成形品は、アンテナを有する携帯電子機器部品に好ましく用いられる。携帯電子機器部品としては、電子手帳、携帯用コンピューター等のPDA、ポケットベル、携帯電話、PHSなどの内部構造物及び筐体が例示される。特に、樹脂成形品がリブを除く平均肉厚が1.2mm以下(下限値は特に定めるものではないが、例えば、0.4mm以上)である平板形状の携帯電子機器部品に適しており、中でも筐体として特に適している。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
<ポリアミド樹脂 MP6の合成>
撹拌装置、温度計、還流冷却器、原料滴下装置、加熱装置などを装備したフラスコに、アジピン酸730gを仕込み、窒素雰囲気下、フラスコ内温を160℃に昇温してアジピン酸を溶融させた。フラスコ内に、パラキシリレンジアミンを30モル%、メタキシリレンジアミンを70モル%含有する混合キシリレンジアミン680gを、約2.5時間かけて逐次滴下した。この間、撹拌下、内温を生成物の融点を常に上回る温度に維持して反応を継続し、反応の終期には270℃に昇温した。反応によって発生する水は、分縮器によって反応系外に排出させた。滴下終了後、275℃の温度で攪拌し反応を続け、1時間後反応を終了した。生成物をフラスコより取り出し、水冷しペレット化した。得られたポリアミド樹脂は、融点は258℃であった。また、相対粘度は2.1であった。
<LDS添加剤>
Black1G:銅クロム酸化物(CuCr24)(シェファードジャパン製)
<無機繊維>
03T−296GH:ガラス繊維(日本電気硝子製)
<タルク>
ミクロンホワイト5000S(林化成製)
<離型剤>
CS8CP(日東化成工業製)
<樹脂ペレットの作製>
後述する下記表に示す組成となるように、各成分をそれぞれ秤量し、ガラス繊維を除く成分をタンブラーにてブレンドし、二軸押出機(東芝機械製、TEM26SS)の根元から投入し、溶融した後で、ガラス繊維をサイドフィードして樹脂組成物ペレットを作製した。押出機の温度設定は、280℃とした。
上記表において、各成分は重量比を示している。
<LDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルムの作製>
後述する下記表に示す組成となるように、各成分をそれぞれ秤量し、150mm幅のTダイが付いた短軸押出機にてフィルムを作成した。フィルム作成条件として、バレル温度280℃、ダイス温度を280℃、ロール温度80℃とし、約100μmの厚みのフィルムを得た。
上記表において、各成分は重量比を示している。
<実施例1(インサート成形)>
上記で得られたLDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルムを100金型に配し、シリンダー温度300℃、金型温度130℃で、上記樹脂ペレットの溶融物を射出成形してインサート成形し、樹脂成形品を得た。得られた樹脂成形品は、LDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルム由来の部分と樹脂ペレット由来の部分が一体化しており、密着性に優れていることが分かった。また、機械的強度にも優れていた。
<実施例2(インモールド成形)>
上記で得られたLDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルムを10cm×10cmに切り、金型よりも大きい支持体(プラスチックフィルム)の表面に仮固定したシートを作製した。シートのLDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルムが所望の位置に配するように金型に配した。このとき、支持体の一部は金型からはみ出しており、金型によって、シートを固定した。シリンダー温度300℃、金型温度130℃で、上記樹脂ペレットの溶融物を射出して、インモールド転写して、樹脂成形品を得た。得られた樹脂成形品は、LDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルム由来の部分が、樹脂ペレット由来の成形品の所望の位置に、一体化するように融着しており、密着性に優れていることが分かった。また、機械的強度にも優れていた。
<Plating外観(メッキ性)>
得られた樹脂成形品のLDS添加剤含有熱可塑性樹脂フィルム由来の部分の表面の10×10mmの範囲に、Trumpf製、VMc1のレーザー照射装置(波長1064nmのYAGレーザー最大出力15W)を用い、出力60%、周波数100kHz、速度4m/sにて照射した。その後のメッキ工程は無電解のEnthone製、ENPLATE LDS CU 400 PCの48℃のメッキ槽にて実施した。メッキ性は20分間にメッキされた銅の厚みを目視にて判断した。
以下の通り評価した。結果を下記表3に示す。
A:良好な外観(銅の色も濃くメッキが厚く乗っている様子が確認された)
B:メッキは乗っているが若干薄い様子(実用レベルではない)
1 樹脂成形品、2 レーザー、3 レーザーが照射された部分、4 メッキ液、5 メッキ層

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂とレーザーダイレクトストラクチャリング添加剤を含むフィルムと、前記熱可塑性樹脂と同系統の熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を熱成形することを含む、樹脂成形品の製造方法。
  2. 前記フィルムを配した金型に、前記熱可塑性樹脂組成物を射出してインサート成形またはインモールド成形することを含む、請求項1に記載の樹脂成形品の製造方法。
  3. 前記熱可塑性樹脂組成物が無機繊維を含む、請求項1または2に記載の樹脂成形品の製造方法。
  4. 前記無機繊維がガラス繊維である、請求項3に記載の樹脂成形品の製造方法。
  5. 前記フィルムおよび前記熱可塑性樹脂組成物がそれぞれポリアミド樹脂を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂成形品の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂成形品の製造方法によって製造した樹脂成形品の表面に、さらに、レーザーを照射後、金属を適用して、メッキ層を形成することを含む、メッキ層付樹脂成形品の製造方法。
  7. 前記メッキ層が銅を含む、請求項6に記載のメッキ層付樹脂成形品の製造方法。
  8. 請求項6または7に記載のメッキ層付樹脂成形品の製造方法により得られたメッキ層付樹脂成形品。
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