JP2014237455A - 液体容器の製造方法 - Google Patents

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Kazuo Furuichi
一雄 古市
弘 古市
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弘 古市
威仁 村井
Takehito Murai
威仁 村井
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Abstract

【課題】十分な強度と安全性を備えながら、製造コストを大幅に低減することのできる液体容器の製造方法を提供する。
【解決手段】容器の上部を保護するための上プロテクター21、容器の下部を保護するための下プロテクター22および容器本体の側壁部を一体とした略円筒状の鋼板からなる本体部材2を作成する手順と、内容物である液体を出し入れするための口金31を備えた鋼板からなる上鏡3を作成する手順と、内容物である液体の液溜まり部41を設けた鋼板からなる下鏡4を作成する手順と、前記本体部材の内周側に前記上鏡を配置し接合部を全周溶接して固着する手順と、前記本体部材と前記上鏡の容器内面側に不活性被膜を形成する手順と、前記下鏡の容器内面側に不活性被膜を形成する手順と、前記本体部材の下端部に前記下鏡を配置し、前記本体部材と前記下鏡とを接合する手順とを有する。
【選択図】図1

Description

この発明は、ビール等の発泡性飲料などの液体搬送用に使用される液体容器の製造方法に関するものであり、詳しくは、一回のみ使用の容器を前提とし、十分な強度と安全性を備えながら製造コストを大幅に低減することができる液体容器の製造方法に関するものである。
ビール等の発泡性飲料などの液体搬送用に使用される液体用の容器としては、ステンレス鋼からなる容器が広く使用されている。このようなステンレス製容器は使用後回収して再利用することを前提としている。ステンレス製容器に関しては、下記の特許文献1に記載されたような容器が公知である。特許文献1には、ステンレス材で形成された上下の容器本体と上プロテクタと下プロテクタとを互いに接合して製造した飲料用容器が記載されている。
特開平10−250726号公報
特許文献1に記載されたような飲料用容器は、使用後回収して再利用(繰り返し使用)することを前提としているため、容器の単価は比較的高くなってしまう。一方、日本からビール等の発泡性飲料などを輸出するような場合、飲料を収容した容器を回収して再利用することは、搬送コストの点から困難である。したがって、発泡性飲料などを輸出する場合には、繰り返し使用の容器は利用できず、さらに低コストの一回使用の容器を利用することが望ましい。ただし、発泡性飲料などの液体搬送用に使用できるような、十分な強度と安全性を備えながら、製造コストを大幅に低減することができる容器はいまだ実現されていなかった。
そこで、本発明は、十分な強度と安全性を備えながら、製造コストを大幅に低減することのできる液体容器の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の液体容器の製造方法は、容器の上部を保護するための上プロテクター、容器の下部を保護するための下プロテクターおよび容器本体の側壁部を一体とした略円筒状の鋼板からなる本体部材を作成する手順と、内容物である液体を出し入れするための口金を備えた鋼板からなる上鏡を作成する手順と、内容物である液体の液溜まり部を設けた鋼板からなる下鏡を作成する手順と、前記本体部材の内周側に前記上鏡を配置し接合部を全周溶接して固着する手順と、前記本体部材と前記上鏡の容器内面側に不活性被膜を形成する手順と、前記下鏡の容器内面側に不活性被膜を形成する手順と、前記本体部材の下端部に前記下鏡を配置し、前記本体部材と前記下鏡とを接合する手順とを有するものである。
また、上記の液体容器の製造方法において、前記液体容器の内容物は発泡性の飲料とすることができる。
また、上記の液体容器の製造方法において、前記本体部材と前記上鏡との接合部を全周溶接して固着する手順は、シーム溶接によって接合部を全周溶接するものであることが好ましい。
また、上記の液体容器の製造方法において、前記本体部材と前記下鏡とを接合する手順は、前記本体部材の下端部と前記下鏡の外周縁部とを重ねて巻き曲げる巻き締め加工によって前記本体部材と前記下鏡とを接合するものであることが好ましい。
また、上記の液体容器の製造方法において、前記上鏡は、強度を向上させるための補強凹凸構造が形成されたものであることが好ましい。
また、上記の液体容器の製造方法において、前記本体部材は、強度を向上させるための補強凹凸構造が形成されたものであることが好ましい。
また、上記の液体容器の製造方法において、前記本体部材は、上プロテクターの部分に取っ手となる開口部が形成されたものであることが好ましい。
また、上記の液体容器の製造方法において、前記本体部材には、前記上鏡の上面に滞留する水を排出するための水抜き孔が設けられたものであることが好ましい。
また、上記の液体容器の製造方法において、前記口金は、通気弁と通液弁とが別体となった構造の栓が取り付け可能なものとすることができる。
また、上記の液体容器の製造方法において、前記口金は、通気および通液の開閉を行う1つの開閉弁を備えた構造の栓が取り付け可能なものとすることができる。
本発明は、以上のように構成されているので、以下のような効果を奏する。
本発明の製造方法によって製造された液体容器は、各部が通常の鋼板によって作成されており、容器の部品点数も少なく製造方法が簡素であるため、製造コストを大幅に低減することができる。また、この液体容器は、容器としての強度と安全性も十分であり、容器重量も軽量である。この液体容器は、一回使用の容器としても十分利用可能な低コストで提供することができ、飲料の輸出等の用途にも適している。
また、本発明の製造方法によって製造された液体容器は従来から使用されているステンレス製のビール樽などとの互換性も十分であり、従来のビール樽に使用していたビール充填装置、ビール注出用器具(ディスペンスヘッド等)なども、本発明による液体容器にそのまま使用することができる。
図1は、液体容器1の全体形状を示す断面図である。 図2は、本発明の液体容器の製造方法の各手順を示す図である。 図3は、本発明の液体容器の製造方法の各手順を示す図である。 図4は、液体容器1の外観を示す正面図である。 図5は、上鏡3の補強凹凸構造を示す図である。 図6は、液体容器1に取り付ける容器栓の一例を示す図である。 図7は、液体容器1に取り付ける容器栓の他の例を示す図である。
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の製造方法によって製造された液体容器1の全体構成を示す断面図である。液体容器1は、ビール等の発泡性飲料などの液体搬送用として使用されるものであり容量は約20L程度である。液体容器1は、気密性の密封容器であり、発泡性飲料を収容した場合は内部が常時加圧状態となる。液体容器1には、このような加圧状態に耐えられる強度と安全性が必要である。
液体容器1は本体部材2に上鏡3と下鏡4とを接合して製造される。液体容器1の詳しい製造方法は後に説明する。液体容器1の天井部としての上鏡3の中央部には、内容物の液体を出し入れするための口金31が設けられている。上鏡3と口金31とは溶接等によって接合されている。本体部材2と上鏡3の接合部はシーム溶接によって全周溶接されている。また、液体容器1の底部としての下鏡4の中央部には下方に凹んだ液溜まり部41が形成されている。本体部材2と下鏡4とは巻き締め加工によって接合されている。
本体部材2の上端部は、内側に巻くように曲げられて断面形状が略円形状となるように形成されている。本体部材2の上端部は容器の上部を保護する上プロテクター21として構成されている。本体部材2の下端部は本体部材2と下鏡4との巻き締め接合部であるが、この部分は容器の下部を保護する下プロテクター22としても機能するように構成されている。
本体部材2、上鏡3および下鏡4はステンレス鋼ではなく通常の鋼板(厚さ0.4〜0.5mm程度の薄板)によって作成されている。このため、液体容器1はステンレス製容器に比べて大幅に製造コストを低減できる。なお、液体容器1の内面は全面にわたって不活性被膜が形成されており、内容物が鋼板と化学反応を生じるようなことはない。
図2は、本発明の液体容器の製造方法の各手順を示す図である。図2(a)は、上鏡3を作成する手順を示す。上鏡3は通常の鋼板(厚さ0.4〜0.5mm程度の薄板)を図示断面のように成形し、それに口金31を接合して作成される。なお、口金31も鋼材によって作成されている。
図2(b)は本体部材2を作成する手順を示す。本体部材2は通常の鋼板(厚さ0.4〜0.5mm程度の薄板)を円筒状に曲げて接合部をシーム溶接によって接合し、円筒形状としたものである。この本体部材2は上プロテクターと下プロテクターおよび容器本体の側壁部を一体とした略円筒状の構造体である。本体部材2の上端部は内側に巻くように曲げられて断面形状が略円形状となるように形成され上プロテクター21とされている。本体部材2の下端部は最終的に下プロテクター22となる。
また、本体部材2の上下方向の中央部には、強度を向上させるための補強凹凸構造として、ここでは2本の横リブ23が形成されている。横リブ23は円周方向(横方向)に形成された外方に突出する凸部である。なお、補強凹凸構造は外方に突出するものでなく内方に突出するもの(凹部)でもよく、凹部と凸部を組み合わせてもよい。また、横方向だけでなく縦方向の凹凸構造を形成してもよい。また、容器本体の側壁部だけでなく、上プロテクター21の部分にも補強凹凸構造を形成してもよい。さらに、本体部材2の下端部は、下鏡4との巻き締めによる接合に備えて外方に曲げられている。
図2(c)は本体部材2に上鏡3を接合する手順を示す。まず、図2(c)に示すように、本体部材2を上下反転させ、その本体部材2の内周側に上鏡3を挿入して所定の位置に配置する。なお、上鏡3が所定位置で係止されるように、本体部材2の内周側に係止用の突出部を設けておくようにしてもよい。そして、本体部材2と上鏡3の接合部をシーム溶接によって溶接接合する。すなわち、接合部に溶接用ローラ電極を接触させて接合部の全周を溶接する。
その後、本体部材2と上鏡3の容器内面側に不活性被膜を形成する。不活性被膜としてはエポキシ樹脂やフェノール系樹脂の塗料を塗布して形成できる。その他の任意の不活性被膜を形成するようにしてもよい。
図3は、液体容器の製造方法のその他の各手順を示す図である。図3(a)は、下鏡4を作成する手順を示す。下鏡4は通常の鋼板(厚さ0.4〜0.5mm程度の薄板)を図示断面のように成形して作成される。下鏡4の中央部には下方に凹んだ液溜まり部41が形成されている。また、下鏡4の外周縁部42は、本体部材2との巻き締めによる接合に備えて図示のように曲げられている。さらに、下鏡4の容器内面側(図の上面側)には不活性被膜を形成する。
そして、図3(b)に示すように、上下反転させた下鏡4を本体部材2の下端部に配置する。下鏡4と本体部材2の巻き締め接触面には柔軟性の密封材料が塗布されている。その後、巻き締めロール等により本体部材2の下端部と下鏡4の外周縁部が重ねて巻き曲げられる。この巻き締め加工は2重巻締法などが使用できる。巻き締め加工が行われると液体容器1は図1に示す状態となる。
図4は液体容器1の外観を示す正面図である。本体部材2の上プロテクター21の部分には取っ手となる半月形の開口部24が形成されている。この開口部24が取っ手として使用される。作業者は開口部24に手を挿入し上プロテクター21を持つようにして液体容器1を持ち運ぶことができる。また、本体部材2には、上鏡3の上面に滞留する水を排出するための水抜き孔25が複数個設けられている。水抜き孔25の位置は上鏡3の上面に滞留する水が外部に流れ出る位置である。なお、開口部24は水抜き孔としての機能も有している。
図5は、上鏡3の補強凹凸構造を示す図である。図5は上鏡3を上方から見た平面図である。上鏡3の口金31の周囲には、半径方向の放射状リブ32が形成されている。放射状リブ32は上方に突出する凸部として形成されている。また、口金31と同心円状の段部も形成されている。このような補強凹凸構造により上鏡3の強度が向上する。なお、補強凹凸構造は上方に突出するものでなく下方に突出するもの(凹部)でもよく、凹部と凸部を組み合わせてもよい。
液体容器1に飲料等を充填する際には、充填装置の充填部材が口金31に取り付けられた容器栓に強く押し付けられる。このとき上鏡3にも充填装置による強い押圧力が作用するため、上鏡3にはこの押圧力によっても変形しない強度が必要である。
図6は、液体容器1の口金31に取り付ける容器栓の一例を示す図である。この容器栓は、一般にウェル型と呼ばれているものであり、加圧ガスを容器内に導入するための通気弁と内容物の液体を外部に注出するための通液弁とが別体となっている。通気弁と通液弁はそれぞれ別のコイルばねにより常時閉状態に付勢されている。
図6の容器栓はステンレス製のビール樽に使用されるものと同様の構造であるが、合成樹脂などから作成されている。このように、本発明の液体容器1に取り付ける容器栓は、合成樹脂などからなる安価な容器栓が望ましい。
図7は、液体容器1の口金31に取り付ける容器栓の他の例を示す図である。この容器栓は、一般にフラット型と呼ばれているものである。フラット型の容器栓は通気および通液の開閉を行う1つの開閉弁を備えた構造の栓である。開閉弁は1つのコイルばねにより常時閉状態に付勢されている。本発明の液体容器1は、このようなフラット型の容器栓を取り付けるようにすることもできる。
以上のようにして製造された液体容器1は、各部が通常の鋼板によって作成されており、容器の部品点数も少なく製造方法が簡素であるため、製造コストを大幅に低減することができる。また、容器としての強度と安全性も十分であり、容器重量も軽量である。この液体容器1は、一回使用の容器としても十分利用可能な低コストであり、飲料の輸出等の用途にも適している。
また、本発明の液体容器1は従来から使用されているステンレス製のビール樽との互換性も十分であり、従来のビール樽に使用していたビール充填装置、ビール注出用器具(ディスペンスヘッド等)なども、本発明の液体容器1にそのまま使用することができる。
本発明によれば、軽量ながら十分な強度と安全性を備えた液体容器を製造でき、さらに液体容器の製造コストを大幅に低減することができる。
1 液体容器
2 本体部材
3 上鏡
4 下鏡
21 上プロテクター
22 下プロテクター
23 横リブ
24 開口部
25 水抜き孔
31 口金
32 放射状リブ
41 液溜まり部
42 外周縁部

Claims (10)

  1. 容器の上部を保護するための上プロテクター(21)、容器の下部を保護するための下プロテクター(22)および容器本体の側壁部を一体とした略円筒状の鋼板からなる本体部材(2)を作成する手順と、
    内容物である液体を出し入れするための口金(31)を備えた鋼板からなる上鏡(3)を作成する手順と、
    内容物である液体の液溜まり部(41)を設けた鋼板からなる下鏡(4)を作成する手順と、
    前記本体部材(2)の内周側に前記上鏡(3)を配置し接合部を全周溶接して固着する手順と、
    前記本体部材(2)と前記上鏡(3)の容器内面側に不活性被膜を形成する手順と、
    前記下鏡(4)の容器内面側に不活性被膜を形成する手順と、
    前記本体部材(2)の下端部に前記下鏡(4)を配置し、前記本体部材(2)と前記下鏡(4)とを接合する手順とを有する液体容器の製造方法。
  2. 請求項1に記載した液体容器の製造方法であって、
    前記液体容器の内容物は発泡性の飲料である液体容器の製造方法。
  3. 請求項1,2のいずれか1項に記載した液体容器の製造方法であって、
    前記本体部材(2)と前記上鏡(3)との接合部を全周溶接して固着する手順は、シーム溶接によって接合部を全周溶接するものである液体容器の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載した液体容器の製造方法であって、
    前記本体部材(2)と前記下鏡(4)とを接合する手順は、前記本体部材(2)の下端部と前記下鏡(4)の外周縁部とを重ねて巻き曲げる巻き締め加工によって前記本体部材(2)と前記下鏡(4)とを接合するものである液体容器の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載した液体容器の製造方法であって、
    前記上鏡(3)は、強度を向上させるための補強凹凸構造(32)が形成されたものである液体容器の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載した液体容器の製造方法であって、
    前記本体部材(2)は、強度を向上させるための補強凹凸構造(23)が形成されたものである液体容器の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載した液体容器の製造方法であって、
    前記本体部材(2)は、上プロテクター(21)の部分に取っ手となる開口部(24)が形成されたものである液体容器の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載した液体容器の製造方法であって、
    前記本体部材(2)には、前記上鏡(3)の上面に滞留する水を排出するための水抜き孔(25)が設けられたものである液体容器の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載した液体容器の製造方法であって、
    前記口金(31)は、通気弁と通液弁とが別体となった構造の栓が取り付け可能なものである液体容器の製造方法。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載した液体容器の製造方法であって、
    前記口金(31)は、通気および通液の開閉を行う1つの開閉弁を備えた構造の栓が取り付け可能なものである液体容器の製造方法。
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