JP2014237243A - 繊維強化プラスチック構造体の製造装置および製造方法 - Google Patents

繊維強化プラスチック構造体の製造装置および製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】板状の繊維強化プラスチック部材に対して、長尺状の繊維強化プラスチック部材を定められた位置に位置決めしながら、位置決め治具のコスト低減、および品質確保を可能とすること。
【解決手段】繊維強化プラスチック構造体の成形装置100は、繊維強化プラスチック部材であるスキン1に、縦方向Dの寸法が縦方向Dに直交する方向の寸法よりも長い繊維強化プラスチック部材であるストリンガ2が一体化された繊維強化プラスチック構造体200を製造する装置であって、スキン1には、スキン1に沿って配置されるとともに、ストリンガ2を成形するマンドレル20のエンド部21の底面201に係合する位置決め板3が設けられ、位置決め板3により、スキン1に対してストリンガ2が、少なくとも、縦方向Dに交差する方向において位置決めされる。
【選択図】図1

Description

本発明は、繊維強化プラスチック構造体の製造方法および製造装置に関する。
繊維強化プラスチック(FRP;Fiber Reinforced Plastics)は、軽量かつ、機械的強度に優れているため、航空機の構造部材などに使用される。
例えば、航空機のスキンや、スキンを補強する複数のストリンガも、FRPにより形成される。ストリンガは、スキンの裏面に間隔をおいて複数が設けられる。
ここで、非特許文献1に示すように、予め成形したスキンに、ストリンガのFRPの材料として繊維基材を配置し、繊維基材に含浸させた樹脂を加熱して硬化させるコボンド成形が行われている。樹脂が所定の硬さまで硬化を終えると、ストリンガが成形されると同時に、ストリンガが接着剤を介してスキンに一体に接合される。これにより、繊維強化プラスチック構造体が製造される。
スキンおよびストリンガのコボンド成形では、スキン上に配置したストリンガのFRP材料を、スキンを支持する金型に対して位置決めしたマンドレルで押さえる。そして、スキンおよびマンドレルをバッグフィルムと金型の間に封入して密閉空間を形成し、密閉空間を真空引きにより減圧しながら、ストリンガを成形する。
三菱重工技報 Vol.42 No.5(2005−12)「航空機複合材一次構造へのVaRTM適用化研究」
スキンの所定の位置にストリンガを位置決めするために、スキンに並んだマンドレルの各々の上部に位置決め治具を係合させている。その位置決め治具は、金属のブロックを5軸加工機で削り出すことにより、スキンの曲面上に配置される各マンドレルの上部にフィットした形状に手間を掛けて製作されるために非常に高価である。
一方、図10に示すように、金型5に幅方向に架け渡されて、各マンドレル7の上部に係合する位置決め治具8も使われている。この位置決め治具8は、両端が金型5に支持されるフレーム81と、マンドレル7の各々を挟むブロック82とを備えており、マンドレル7が並ぶ方向に各マンドレル7を位置決めする。
位置決め治具8は、図示しないバネによって各ブロック82の位置をマンドレル7の上部に合わせることができるので、削り出し加工が不要である。しかし、複数のブロック82や、各ブロック82に設けられるバネといった多数の部品を備えるために、やはり高価である。
しかも、位置決め治具8や、削り出しにより製作した位置決め治具により、マンドレルを位置決めしていても、FRP材料を硬化させるために加熱した際に位置決め治具が熱膨張し、ストリンガの位置精度が低下するおそれがある。ストリンガが定められた位置からずれると、ストリンガと相手部品との組み付けが難しくなる。
それを避けるためには、FRPと同様に熱膨張率が低いインバーから位置決め治具を形成すればよいが、位置決め治具8のフレーム81およびブロック82や、削り出しによる位置決め治具は塊状に形成されており、インバーの使用量が多いので、治具のコストが高騰してしまう。
また、位置決め治具をFRPから形成してもよいが、スキンの曲面にフィットするようにFRPを成形する繁雑な作業を必要とするので、5軸削り出しに劣らず、治具が高価となる。
さらに、従来の位置決め治具は、マンドレルをバッグフィルムの上から押さえるので、位置決め治具とマンドレルとの間で擦れるなどしてバッグフィルムが破損するおそれがある。バッグフィルムが破損すると、樹脂および繊維基材が十分に緻密化されないので、成形されたストリンガの品質に影響する。
そこで、本発明は、板状の繊維強化プラスチック部材に対して、長尺状の繊維強化プラスチック部材を定められた位置に位置決めしながら、位置決め治具のコスト低減、および品質確保を可能とする繊維強化プラスチック構造体の製造装置および製造方法を提供することを目的とする。
本発明の繊維強化プラスチック構造体の製造装置は、繊維強化プラスチック部材である板状部材に、縦方向の寸法が縦方向に交差する方向の寸法よりも長い繊維強化プラスチック部材である単数または複数の長尺部材が一体化された繊維強化プラスチック構造体を製造する装置であって、板状部材または板状部材を支持する金型である第1部材には、第1部材に沿って配置されるか前記板状部材に一体に設けられるとともに、長尺部材を成形する成形型または長尺部材である第2部材の端部に第1部材側から係合する位置決め部が設けられ、位置決め部により、板状部材に対して第2部材が、少なくとも、縦方向に交差する方向において位決めされることを特徴とする。
本発明では、第1部材に設けられる位置決め部が、第2部材の端部に第1部材側から係合することにより、板状部材に対して第2部材を位置決めする。
位置決め部は、金型または板状部材に沿って配置されるか板状部材に一体に設けられるので、板状部材が曲面状に形成されていても、板状部材の面に沿った状態で、板状部材の規定位置に長尺部材を確実に位置決めする。
ここで、位置決め部は、板状部材および金型とは別体に形成される場合、第1部材と第2部材との間に介在する板状の部材とすることができる。
本発明によれば、第1部材に位置決め部が設けられるので、長尺部材または成形型に第1部材とは反対側から係合する位置決め治具を用いる必要がない。
そのような位置決め治具を用いる場合とは異なり、本発明によれば、減圧のために用いるバッグフィルムが擦れて破損するおそれがない。このため、FRP材料を十分に緻密化することができるので、成形された長尺部材の品質を確保できる。
さらに、位置決め部が、板状部材の面に沿った状態で、板状部材の規定位置に長尺部材を確実に位置決めするため、従来の位置決め治具を製作するために行っていた削り出しやFRP成形が不要になるとともに、バネ調整を廃して部品点数を少なくすることができる。したがって、位置決めに用いる部材の加工・成形コストおよび組立コストを抑えることができる。
本発明の製造装置では、位置決め部は、板状部材および長尺部材を形成する繊維強化プラスチックの線膨張係数に近似する線膨張係数の材料から形成された板材と、板材に設けられて第2部材の端部に係合する係合部材と、を備えることが好ましい。
そうすると、熱膨張による位置決め部の板材の伸びが板状部材の伸びと同等であるために、長尺部材を成形する際に加熱される間、板状部材、位置決め部が係合した第2部材、および位置決め部の相互の相対位置関係が変わらない。そのため、板材に設けられた係合部材により、FRP部材の成形が完了するまで位置決めした状態が保たれるので、板状部材の規定の位置に長尺部材を成形することができる。
また、この構成によると、係合部材の位置を規定する板材として板状のインバー材を用意すれば足り、塊状のインバー材を必要としない。これにより、インバーの使用量が少なくなるので、従量価額を抑えられる上、汎用のインバー板を用いることができるので入手性が良い。
本発明の製造装置では、位置決め部は、第1部材のうち板状部材に固定されることが好ましい。
そうすると、位置決め部が金型の熱膨張による影響を受けることなく、高い位置決め精度を実現できる。
本発明の製造装置では、位置決め部は、第1部材のうち金型に固定されることが好ましい。
そうすると、ピンを挿入するための穴が金型に形成されるので、長尺部材を成形する都度、板状部材を孔加工する必要がない。
本発明の製造装置では、位置決め部は、金型に複数のピンで固定され、ピンの少なくとも1つは、所定の基準位置に固定され、他のピンは、金型に縦方向に沿って形成された長穴に挿入されることが好ましい。
そうすると、金型が熱膨張したときに、金型の長穴とピンとの相対変位が許容されるので、金型および位置決め部の線膨張係数の違いに起因する位置決め部の変形を抑制できる。したがって、金型に支持された板状部材、第2部材、および位置決め部の相互の相対位置関係を維持し、板状部材の規定の位置に長尺部材を成形することができる。
本発明の製造装置では、位置決め部は、第2部材の端部の第1部材側の部分に、縦方向に離間した二箇所で係合することが好ましい。
位置決め部に第2部材が二箇所で拘束されると、位置決め部を介して、縦方向および縦方向に交差する方向のいずれにおいても、板状部材に対して長尺部材を位置決めすることができる。
本発明の製造装置では、位置決め部は、板材と、板材に設けられて第2部材の端部に係合する複数の係合部材と、を備え、複数の係合部材は、同一の板材において縦方向に離間した箇所の各々に設けられることが好ましい。
複数の係合部材が二以上の板材に分けて設けられると、複数の係合部材の相対位置に、各板材の第1部材に対する組付誤差が表れる。
そのため、複数の係合部材を同一の板材に設けることにより、組付誤差を含まずに、良好な位置決め精度を得ることができる。
本発明の製造装置では、成形型は、縦方向に沿って分割された第1ブロックおよび第2ブロックを備え、成形型の端部の第1部材側の部分には、第1ブロックと第2ブロックとの境界部に位置する凹部が形成され、位置決め部は、凹部に挿入されることで第2部材に係合する突起を備えることが好ましい。
この構成は、真空補助樹脂注入成形法(VaRTM;Vacuum assisted Resin Transfer Molding)に好適である。
長尺部材の成形型の内側のFRP材料は、真空引きによる減圧に伴って圧縮されることで体積が減少する。そのため、圧縮される前は嵩高なFRP材料を第1ブロックおよび第2ブロックの間に挟み込み、減圧空間と大気との差圧により押圧される第1ブロックおよび第2ブロックがFRP材料の体積減少に追従して閉じるようにしている。
そこで、位置決めのための係合部材によって、FRP材料の体積変化に両ブロックが追従するのが妨げられないように、両ブロックの境界部に凹部を形成する。
本発明の製造装置では、成形型は、第1ブロックおよび第2ブロックの各々に斜面を有する略三角形状の横断面に形成されており、第1ブロックおよび第2ブロックの斜面に配置されるアングル材を備えることが好ましい。
それにより、第1ブロックおよび第2ブロックを成形型の中心に向けて調心することができるので、長尺部材の形状精度向上に寄与できる。
本発明の製造装置では、突起は、半球または略半球状に形成され、凹部は、突起に倣う形状に形成されることが好ましい。
そうすると、第1ブロックおよび第2ブロックに形成された凹部の内壁が突起とこじることなく、FRP材料の体積減少に伴って、両ブロックを突起の中心に向けてガイドすることができる。
また、突起に付着した樹脂を容易に除去することができる。
本発明は、繊維強化プラスチック構造体の製造方法にも展開できる。
本発明の繊維強化プラスチック構造体の製造方法は、繊維強化プラスチック部材である板状部材に、縦方向の寸法が縦方向に交差する方向の寸法よりも長い繊維強化プラスチック部材である長尺部材が一体化された繊維強化プラスチック構造体を製造する方法であって、板状部材または板状部材を支持する金型である第1部材に、第1部材に沿って配置されるか板状部材に一体に設けられるとともに、長尺部材を成形する成形型または長尺部材である第2部材の端部に第1部材側から係合する位置決め部を設け、位置決め部により、板状部材に対して長尺部材を、少なくとも、縦方向に交差する方向において位置決めすることを特徴とする。
本発明は、航空機のスキンおよびストリンガを備える繊維強化プラスチック構造体の製造に好適である。
この場合、板状部材は、航空機のスキンであり、長尺部材は、航空機のストリンガである。
本発明によれば、板状の繊維強化プラスチック部材に対して、長尺状の繊維強化プラスチック部材を定められた位置に位置決めしながら、位置決め治具のコスト低減、および品質確保を実現することができる。
第1実施形態に係る成形装置を示す斜視図である。 ストリンガのマンドレル、および位置決め板を示す斜視図である。 マンドレルの穴に挿入される位置決め板の突起を示す図である。 繊維強化プラスチック構造体を製造する手順を示す図である。 スキンに対するストリンガの位置決めを説明するための平面模式図である。 第2実施形態に係る成形装置を示し、スキンに対するストリンガの位置決めを説明するための平面模式図である。 位置決め板を金型に固定するピンが挿入される金型の穴を示す図である。 本発明の変形例を示す図である。 本発明の他の変形例を示す図である。 従来の位置決め治具を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る実施形態を説明する。
〔第1実施形態〕
本実施形態では、スキン1に対してストリンガ2を位置決めする位置決め板3を備えた成形装置100を用いて、スキン1およびストリンガ2が一体化された繊維強化プラスチック構造体200を製造する。
まず、図1を参照し、繊維強化プラスチック構造体200の構成を説明する。
繊維強化プラスチック構造体200は、スキン1と、スキン1の裏面1Aに設けられるストリンガ2とを備えている。
スキン1は、航空機の翼の表皮を形成し、図示しないスパーと共にボックス状に組み立てられる。スキン1は、曲面状に形成されている。また、スキン1は、翼の根元側Srから先端側Stに向けて次第に幅が狭くなっている。
スキン1は、最終的には切除される余白部1Bを含めて成形される。
ストリンガ2は、縦方向Dに延出する長尺状の部材であり、縦方向Dの寸法が縦方向Dに直交する断面方向の寸法よりも長い。ストリンガ2の横断面はT字状であるが、他の形状であってもよい。
ストリンガ2は、スキン1に接着されるフランジ2Aと、フランジ2Aの幅方向中央から立ち上がるウェブ2Bとを備えている。
ストリンガ2は、スキン1の裏面1Aに複数本が設けられることで、スキン1を補強する。複数のストリンガ2は、縦方向Dに交差する方向に間隔をおいて配列される。
スキン1およびストリンガ2は、いずれも、繊維基材および樹脂によって構成される繊維強化プラスチック(FRP)から形成される。
繊維基材は、シート状に形成され、スキン1やストリンガ2の厚みに応じて必要な枚数だけ積層される。繊維基材には、炭素繊維、ガラス繊維等の任意の繊維を用いることができる。
繊維基材に含浸される樹脂は、例えば、エポキシ、ポリイミド、ポリウレタン、不飽和ポリエステル等、加熱されることで硬化される熱硬化性樹脂を用いることができる。その他、加熱されることを経て固化する、ナイロン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂を用いることもできる。
スキン1に用いるFRPと、ストリンガ2に用いるFRPは、繊維の種類、樹脂の種類、繊維基材の構成などが同じでも相違していてもよい。
本実施形態では、繊維強化プラスチックを成形するために、真空補助樹脂注入成形法(VaRTM)を実施する。すなわち、真空引きによって所定の真空度にまで減圧することで、樹脂の注入を補助するとともに、減圧空間の圧力と大気圧との差圧によって繊維基材および樹脂を圧縮する。
次に、繊維強化プラスチック構造体200を製造する製造装置を構成する成形装置100について説明する。
成形装置100は、図1に示すように、スキン1を成形する金型10と、ストリンガ2を成形する型であるマンドレル20とを備えている。本実施形態では、成形されたスキン1上に、ストリンガ2を成形すると同時に接着する、いわゆるコボンド成形を行う。
なお、図1は、ストリンガ2を成形した後に、マンドレル20を脱型した状態を示す。
金型10は、鋼材などの任意の金属材料から形成されている。金型10は、スキン1を成形する曲面状の成形部11と、成形部11の周りの部分である外周部12とを備えている。
マンドレル20は、ストリンガ2を成形するための繊維強化プラスチックの材料(素材)をスキン1の裏面1Aに押さえる。マンドレル20は、ストリンガ2の各々に対応する寸法および形状のものが用意される。
マンドレル20は、鉄およびニッケルの合金であるインバーから形成されることが好ましい。インバーは、スキン1およびストリンガ2を形成するFRPの線膨張係数と常温付近を含む広い温度域で線膨張係数が近似しており、樹脂を加熱するときの加熱温度は、インバーの線膨張係数が低い温度域にある。その他、FRPと線膨張係数が近似する材料からマンドレル20を形成することができる。
ここで、スキン1およびストリンガ2を形成するFRPの線膨張係数に対して、約±3×10−6の範囲までが近似するといえる。FRPの線膨張係数は、繊維の種類や積層構成に応じて、およそ−1×10−6から4.4×10−6程度までの範囲に亘り分布している。本実施形態のFRPの線膨張係数は、例えば、1.6×10−6である。
スキン1に用いるFRPと、ストリンガ2に用いるFRPの線膨張係数が異なっていても、両者の線膨張係数は、上記の近似範囲にあるものとする。
マンドレル20は、図2(b)に示すように、スキン1上に逆T字状に成形されるストリンガ2の形状に対応した略三角形状の横断面に形成されており、底面201と、2つの斜面202,203とを有している。
このマンドレル20は、ストリンガ2のウェブ2B(図1)の一方の側に位置するブロック20Aと、他方の側に位置するブロック20Bとに縦方向Dに沿って分割されており、これらブロック20A,20Bの間にFRPを成形するための成形空間Sが形成される。
ストリンガ2の成形時、繊維基材Fは、ブロック20Aおよび20Bの内側で、真空引きにより樹脂と共に圧縮される。圧縮により、繊維基材Fの体積は減少する。そのため、圧縮される前は嵩高な繊維基材Fをブロック20Aとブロック20Bとの間に挟み込み、真空引きを行うと、大気圧との差圧により押圧されるブロック20Aおよびブロック20Bが繊維基材の体積減少に追従して閉じ、成形空間Sを形成するようにしている。成形空間Sには、図示しない注入路を介して外部から液状の樹脂が注入される。
ここで、ブロック20A,20Bの斜面202,203に、図2(b)に二点鎖線で示すアングル材18を配置することにより、ブロック20A,20Bをマンドレル20の中心に向けて調心することが好ましい。その調心の動きを正しく規制するために、アングル材18とブロック20Aおよびブロック20Bとを長さ方向の両端で係合させることがより好ましい。ブロック20A,20Bを係合させるために、例えば、アングル材18の内側の面に突起を形成し、ブロック20Aおよびブロック20Bには、その突起を受け入れる凹部を形成することができる。
成形空間Sは、マンドレル20の縦方向Dの一端をなすエンド部21と、他端をなすエンド部23(図1)によって閉じられている。
翼の根元側Srに位置するエンド部21の底面201には、縦方向Dに離間する2つの凹部22,22が形成されている。これらの凹部22,22は、複数のマンドレル20の各々に形成されている。
マンドレル20の2つの凹部22はいずれも、ブロック20Aとブロック20Bの境界部に半球状に形成されている。凹部22の中心は、ブロック20Aとブロック20Bの境界部に位置する。凹部22は、ブロック20Aに形成される1/4球状の窪みと、ブロック20Bに形成される1/4球状の窪みと、開口周縁に形成されるストレート部22A(図3(a))とから形成されている。
次に、成形装置100が、スキン1の裏面1Aの定められた位置にストリンガ2を位置決めするために備える位置決め板3の構成について説明する。
位置決め板3は、図1に示すように、矩形状の板材31と、板材31に設けられる複数の突起32とを備えている。
板材31は、厚さが例えば1mm〜5mm程度の薄板である。板材31は、マンドレル20のエンド部21が配置される位置で、金型10の幅方向両側に架け渡されている。板材31は、幅方向の一端側、他端側の各々において、成形されたスキン1の余白部1Bにピン35で固定される。
板材31は、マンドレル20と同様に、インバーなどの線熱膨張係数がFRPと近似する材料から形成されることが好ましい。FRPからマンドレル20を形成することもできる。近似する範囲は上述した通りである。
翼の根元側Srは、ストリンガ2を相手部品(例えば、補助スパー)に組み付けるために、翼の先端側Stよりも高い位置精度が求められる。根元側Srで位置決め板3により位置決めすれば、スキン1の根元側Srに要求される位置精度を確保できるとともに、スキン1の先端側Stの位置誤差を許容範囲内に留めることができる。
そのため、本実施形態では、根元側Srで位置決めする例を示す。
位置決め板3の両端部の各々に設けられるピン35により、スキン1に対する位置決め板3の位置が決まり、固定される。ピン35は、位置決め板3の両端部など、離間する二箇所に設ける必要がある。例えば、位置決め板3の一端側に一つ、他端側に一つ、合計2つのピン35を設けることもできる。
なお、ピン35を用いる以外の方法で位置決め板3がスキン1に固定されていてもよい。ストリンガ2の成形後に、スキン1から位置決め板3を取り外すことができる限り、任意の方法で位置決め板3をスキン1に固定することができる。
板材31は、平面状に形成されているが、その薄さのために面外方向に変形させることのできる可撓性を有している。板材31をスキン1に配置すると、板材31はスキン1に沿って変形する。この位置決め板3の上に、マンドレル20のエンド部21が配置される。位置決め板3は、自重により、あるいは自重に加えてエンド部21により押されることで、スキン1に沿った形状を保つ。
エンド部21の底面201には、スキン1の裏面1Aに対して位置決め板3の厚み分退いた段差27(図2(a))が形成されている。
板材31には、スキン1に沿って配置されたときにマンドレル20の成形空間Sの延長上に位置する2つの突起32,32が溶接、圧接、接着、ボルトやピンによる結合、あるいは板材31と一体に削り出しするなどの方法で設けられている。
各突起32は、図3(a)に示すように、板材31に保持される保持部32Aと、保持部32Aの一端に設けられる半球状の突起本体32Bとを一体に有している。突起32として、頭部の先端が半球状に形成された球頭ピンを用いることもできる。
保持部32Aを、位置決め板3に厚み方向に貫通するように縦方向Dに離間して形成された貫通孔30に挿入すると、突起本体32Bが位置決め板3から突出する。
位置決め板3の突起32,32は、マンドレル20のエンド部21に形成された凹部22,22に対応しており、各突起32の突起本体32Bが凹部22に挿入される。凹部22は、ストレート部22Aを有するために、突起本体32Bの高さよりも深く形成されている。このため、突起本体32Bの先端が凹部22の底部に当たらない。
各突起32の突起本体32Bが凹部22に挿入されると、マンドレル20は、突起32,32が位置する二箇所で位置決め板3に拘束される。そうすると、位置決め板3がスキン1に固定されているので、スキン1に対して、縦方向Dおよび縦方向Dに直交する方向のいずれにおいてもマンドレル20の位置が定まる。
したがって、マンドレル20により成形されるストリンガ2も、縦方向Dおよび縦方向Dに直交する方向のいずれにおいても、スキン1に対して位置決めされることとなる。
突起32,32間の距離は、求める位置決め精度に応じて適宜設定する。
また、突起32の数は、2つには限定されず、3つ以上であってもよい。
位置決め板3に凹部22を形成し、マンドレル20に突起32を形成することもできるが、後述するようにブロック20A,20Bを突起32によりガイドして閉じるために、位置決め板3には突起32を形成し、マンドレル20には凹部22を形成する。
ここで、突起32および凹部22を縦方向Dに離間する二箇所に形成する代わりに、図3(b)に示すように、縦方向Dに沿って細長く形成することもできる。突起32および凹部22の縦方向Dの寸法よりも、縦方向Dに直交する幅方向の寸法が小さいために、凹部22の内側での突起32の回転が規制される。このようにしても、マンドレル20を位置決め板3に拘束することができる。
位置決め板3の位置決め精度を確保する上で、突起32,32の位置を規定する貫通孔30,30の位置が重要であり、突起32,32の熱膨張は位置決め精度にさほど影響しない。そのため、突起32,32は、線膨張係数が小さい材料から形成する必要はなく、鋼材、アルミニウムなどの任意の金属材料から形成することができる。金属材料の他、FRP、樹脂、セラミックから形成することもできる。
ところで、マンドレル20の各々に対応する突起32を1つだけ有する位置決め板を2枚用意し、それらの位置決め板の各々をスキン1にピン35で固定することもできる。但し、一方の位置決め板の突起32と他方の位置決め板の突起32との相対位置に、スキン1に対する各位置決め板の位置誤差(組付誤差)が表れる。
したがって、位置決め精度の観点から、マンドレル20の各々に対応する突起32,32が同一の位置決め板3に設けられることが好ましい。
次に、図4および図5を参照し、繊維強化プラスチック構造体200の製造方法について説明する。
まず、スキン1を成形する(スキン成形ステップS1)。スキン1を成形する手法は任意であるが、ここでは、VaRTM法により成形する手法を簡単に説明する。
金型10に、スキン1のFRPの材料である繊維基材Fを配置し、図示しない板状の成形治具で押さえる。さらに、繊維基材Fおよび成形治具を図示しないバッグフィルムと金型10との間に封入して密閉空間を形成し、密閉空間を真空引きによって減圧する。これにより、樹脂の注入を補助するとともに、繊維基材Fおよび樹脂を圧縮する。
真空引きと並行して、任意の熱源を用いて樹脂を加熱する。熱源としては、オーブン、ヒーターマット、ヒートガンなどを用いることができる。
樹脂が所定の硬さまで硬化し、繊維基材Fおよび樹脂が一体化されると、スキン1が成形される。
成形されたスキン1は、例えば超音波による検査のために脱型される。
その後、スキン1を金型10に戻し、スキン1の裏面1Aにストリンガ2を成形する(コボンド成形ステップS2)。
コボンド成形ステップS2では、図5に示すように、位置決め板3を用いて、マンドレル20をスキン1に対して位置決めする(位置決めステップS21)。
位置決めステップS21では、金型10に支持されたスキン1に位置決め板3を配置し、位置決め板3の両端部をピン35で固定する。位置決め板3の板材31は、スキン1の曲面に沿って配置される。
そして、スキン1の裏面1Aに複数のマンドレル20を並べる。このとき、各マンドレル20のエンド部21の凹部22,22に位置決め板3の突起32,32を挿入する。ここで、突起32,32および凹部22,22のいずれも半球状または略半球状であるために、位置決め板3の突起32,32が凹部22,22にスムーズに挿入される。
こうして位置決め板3の突起32,32が各マンドレル20の凹部22,22に挿入されると、位置決め板3を介して、マンドレル20がスキン1に対して位置決めされる。
その後、スキン1の成形時と同様に、真空引きおよび加熱を行うことで、ストリンガ2を成形する(真空引き・加熱ステップS22)。
本ステップS22では、スキン1の裏面1Aの定められた位置に繊維基材Fを配置するとともに、繊維基材Fをマンドレル20のブロック20A,20Bの間に挟み込む。このとき、ブロック20A,20Bの間には隙間G(図2(b))があいている。繊維基材Fとスキン1との間には、フィルム状に形成した接着剤を介在させる。
次に、スキン1および複数のマンドレル20をバッグフィルム19(図2(b))で覆い、バッグフィルム19と金型10との間に形成された密閉区間を真空引きにより減圧させる。
そうすると、密閉空間と大気との差圧がブロック20A,20Bおよびその内側の繊維基材Fおよび樹脂に作用することで、繊維基材Fと繊維基材に含浸された樹脂が圧縮されるのに追従して、ブロック20A,20Bが閉じる。
そのとき、突起32が半球状であり、凹部22も突起32に倣う半球状であるために、ブロック20A,20Bが突起32,32にこじるのを避けられる。また、半球状の突起32の表面によって凹部22の内壁がガイドされる。ブロック20A,20Bが閉じると、凹部22の円形の開口内に突起32が位置する。このとき、当初の隙間Gはなくなる。
真空引き・加熱ステップS22では、繊維基材Fに含浸した樹脂を加熱する。樹脂を加熱する熱源から発せられた熱は、マンドレル20および位置決め板3にも伝達される。
ここで、マンドレル20および位置決め板3の板材31は上述の通り線膨張係数がFRPの線膨張係数に近似するインバーから形成されるために、スキン1と伸びが同等である。
そのため、加熱される間も、スキン1、マンドレル20,および位置決め板3の相互の相対位置関係は変わらないので、マンドレル20がスキン1に対して位置決めされた状態が維持される。
繊維基材Fに含浸した樹脂が加熱により所定の硬さまで硬化すると、ストリンガ2が成形されるとともに、スキン1に一体に接着される。
その後、必要に応じて、二次的な硬化処理、仕上げ処理を行うことにより、スキン1およびストリンガ2が一体化された繊維強化プラスチック構造体200が完成する。
以上で説明した本実施形態では、マンドレル20とスキン1との間に介在し、スキン1に固定される位置決め板3により、ストリンガ2を成形するマンドレル20を底面201側からスキン1に対して位置決めする。
この位置決め板3の板材31は、マンドレル20とスキン1との間に介在するために、薄い板状に形成されるので、スキン1に倣って変形し、自重によりあるいはエンド部21により押されることでスキン1の曲面にフィットした形状を保つ。位置決め板3は、スキン1の曲面に板材31がフィットした状態で突起32,32により位置決めを行うので、曲面状のスキン1に定められた位置にストリンガ2を位置決めすることができる。
そして、線膨張係数がFRPに近似するインバーから板材31が形成されるため、板材31に設けられた突起32,32は、加熱を経てストリンガ2の成形が完了するまで、マンドレル20を位置決めした状態に保つ。したがって、スキン1の規定の位置にストリンガ2を成形することができる。
本実施形態では、位置決め板3がスキン1に固定されており、金型10には固定されていないので、金型10の熱膨張による影響を受けることなく、高い位置精度を実現できる。
しかも、金型10にスキン1を戻すときに、金型10の定められた位置からスキン1が若干ずれたとしても、スキン1におけるストリンガ2の位置精度に影響しない。
本実施形態では、上記のようにマンドレル20のエンド部21の底面201に係合する位置決め板3を用いるので、マンドレル20の上部に係合する位置決め治具を用いる必要がない。
それによって得られる効果について説明する。
第1に、本実施形態では、位置決め板3によりマンドレル20を底面201側から位置決めするために、バッグフィルム19が位置決め治具とマンドレル20との間で擦れて破損するおそれがない。このため、真空引きによる減圧を確実に行って、樹脂および繊維基材を十分に圧縮して緻密化できるので、成形されたストリンガ2の品質を確保できる。
第2に、位置決めに用いる部材の製作コストを抑えられる。以下、説明する。
マンドレル20の上部に係合する位置決め治具を用いる場合には、各マンドレル20の上部にフィットした形状に金属ブロックからの削り出しやFRP成形を行ったり、図10に示す位置決め治具8のように、各マンドレル20の上部を挟むブロック82の位置をバネで調整できるように多数の部品から治具を構成することが必要となる。
これに対して、本実施形態では、位置決め板3の板材31がスキン1にフィットするために、板材31に設けられる突起32がマンドレル20の凹部22に確実に挿入される。
そうすると、高価な加工である5軸削り出しや、FRP成形が不要となるとともに、バネ調整を廃して部品点数を少なくすることができる。したがって、位置決めに用いる部材の加工・成形コストおよび組立コストを抑えることができる。
また、位置決め治具の材料費の観点から、本実施形態では位置決め板3の板材31として平板状のインバー材を用意すれば足り、塊状のインバー材を必要としない。これにより、インバーの使用量が少なくなるので、従量価額を抑えられる上、汎用のインバー板を用いることができるので入手性が良い。
以上に加え、本実施形態によれば、位置決めのための突起32および凹部22が、繊維基材の体積変化にブロック20A,20Bが追従するのを妨げないように、マンドレル20の底面201におけるブロック20A,20Bの境界部に凹部22を形成している。ブロック20A,20Bは、同じ凹部22により位置決めされるので、ブロック20A,20Bの相互の位置がずれることもない。
その上、凹部22および突起32が半球状に形成されるので、凹部22の内壁が突起32,32とこじることなく、ブロック20A,20Bを突起32の中心に向けてガイドすることができる。また、突起32に付着した樹脂を容易に除去することができる。
突起32の突起本体32Bおよび凹部22は、半球状または略半球状には限定されない。例えば、位置決め板3の板材31から面外方向に突出する円柱状や角柱状に突起32を形成することもできるが、こじりを避け、付着した樹脂の除去を容易化するために、曲面状に面取りされた形状とすることが好ましい。
本実施形態で採用する半球状または略半球状は、中心に対して三次元的に対称であるためにこじりを極力避けられるとともに、突起の中心に向けてブロック20A,20Bをガイドできるため、突起本体32Bおよび凹部22の形状として最適である。
その他、突起本体32Bおよび凹部22は、楕円球が半分に分割されたときの一片の形状に形成することもできる。
また、突起本体32Bおよび凹部22は、円柱が縦方向に沿って二分割されたときの一片の形状(半円柱)であってもよい。この場合は、図3(b)に示すように、縦方向Dの両端を曲面状にラウンドさせることが好ましい。
〔第1実施形態の変形例〕
上記実施形態では、スキン1に位置決め板3が固定される。位置決め板3はFRPの線膨張係数に近似する線膨張係数の材料から形成されるので、この位置決め板3を介して、ストリンガ2がスキン1に対して位置決めされることは上述した通りである。
ここで、位置決め板3をスキン1に固定することに代えて、位置決め板3の働きをする部分をスキン1に一体に設けることもできる。つまり、マンドレル20のエンド部21の底面201に対向するスキン1の領域に、突起32,32を保持する孔を形成するとよい。この領域は余白部1Bであることが好ましい。
このように、スキン1が位置決め板3に相当する位置決め部を一体に備えていれば、スキン1に対してマンドレル20が直接位置決めされるので、スキン1に対する位置決め板3の位置誤差を含むことなく、スキン1に対してストリンガ2をより高精度に位置決めできる。
〔第2実施形態〕
次に、図6および図7を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。
以下、第1実施形態と相違する点を中心に説明する。第1実施形態と同様の構成には同じ符号を付している。
第2実施形態では、位置決め板3をスキン1に固定するのではなく、スキン1を所定位置に支持する金型10に位置決め板3を固定する点が第1実施形態と相違する。
図6に示すように、位置決め板3は金型10の外周部12にピン35で固定されている。位置決め板3は、金型10とマンドレル20のエンド部21との間に介在する。
繊維強化プラスチック構造体200を製造する際、位置決めステップS21では、金型10に位置決め板3を配置し、ピン35で固定する。
このとき、位置決め板3の板材31は、スキン1の曲面に対応する金型10の成形部11に倣って変形し、自重によりあるいはエンド部21により押されることでスキン1の曲面にフィットした形状を保つ。このため、この位置決め板3を介して、曲面状のスキン1に定められた位置にストリンガ2を位置決めすることができる。
ここで、ストリンガ2を成形するときの加熱により金型10が熱膨張する。
そこで、位置決め板3を固定するピン35を金型10の長穴に挿入することで、ピン35と穴の相対位置に自由度を与えることが好ましい。
ピン35は、離間した二箇所に設けられていればよく、設ける位置および数は任意である。本実施形態の位置決め板3は、両端で二箇所ずつ、ピン35で金型10に拘束される。
位置決め板3の一端、他端の各々に設けられるピン35,35は、図7に示すように、縦方向Dに離間している。それらのピン35,35のうち、根元側Sr側に位置する一方のピン35は、基準位置に形成された開口断面が円形の穴15に挿入される。他方のピン35は、縦方向Dに沿って形成された長穴16に挿入される。長穴16は、縦方向Dの寸法がピン35の径よりも大きい。
このようにすると、金型10が熱膨張したときに、長穴16に沿ってピン35が相対変位するため、金型10および位置決め板3の線膨張係数の違いに起因する位置決め板3の変形を抑制できる。したがって、金型10に支持されたスキン1、マンドレル20、および位置決め板3の相互の相対位置関係を維持し、スキン1の規定の位置にストリンガ2を成形することができる。
本実施形態によれば、位置決め板3を金型10に固定するピン35を挿入するための穴を金型10に形成するので、ストリンガ2のコボンド成形の都度、スキン1を孔加工する必要がない。
〔本発明の変形例〕
図8(a)に示すように、翼の根元側Srおよび先端側Stの両方に、位置決め板3を配置することもできる。
すなわち、根元側Srに位置するマンドレル20のエンド部21に対応する位置に、位置決め板3を配置するとともに、先端側Stに位置するエンド部21に対応する位置にも、位置決め板3を配置する。
ここでは、第2実施形態と同様に、金型10に位置決め板3を固定する例を示すが、第1実施形態のように位置決め板3をスキン1に固定することもできる。
ストリンガ2の両端側に配置された位置決め板3,3により、ストリンガ2の根元側Srの一端部25(図1)も、先端側Stの他端部26(図1)も、スキン1に対する位置が定まる。根元側Srのみで位置決めされる場合は、根元側Srからストリンガ2が僅かに回転したときに、先端側Stに向けて位置誤差が累積するが、ストリンガ2を両端側でスキン1に対して位置決めすると、一端部25から他端部26までの距離が長くても、長さの全体に亘って良好な位置精度を実現できる。
ストリンガ2の両端側で位置決めする構成は、尾翼よりも長い主翼に用いられるスキン1およびストリンガ2に好適である。
勿論、翼に限らず、胴体に用いられるスキン1およびストリンガ2にも、位置決め板3を用いることができる。
ストリンガ2の一端側、他端側のいずれに位置決め板3を設けるかは、相手部品の存在、および一端側および他端側での位置精度が強度に与える影響度などに基づいて決められる。
また、本発明は、図8(b)に示すように、マンドレル20の各々に対応する突起32を1つだけ有する位置決め板3を根元側Srと先端側Stの両方に配置することも許容する。一方の位置決め板3の突起32と、この突起32から離間する他方の位置決め板3の突起32により、スキン1に対してマンドレル20が位置決めされる。
その他にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
本発明は、図9(a)に示す位置決め板4により、縦方向Dに交差する方向においてのみ、位置決めすることも許容する。
位置決め板4には、縦方向Dに沿って延びる複数の突条42が突設されている。複数の突条42は、縦方向Dに交差する方向に間隔をおいて並んでいる。各突条42は、板材31に溶接、圧接、接着、ボルトやピンによる結合、あるいは板材31と一体に削り出しするなどの方法で設けられている。突条42を板材31に設ける手法は任意であり、例えば、板材31に複数の球頭ピンを設け、それらの球頭ピンの頭部にブロックを被せることにより、突条42を設けることもできる。
一方、マンドレル20の底面201には、縦方向Dに沿って溝28が形成されている。溝28は、ブロック20A,20Bの境界部に位置する。
位置決め板4をスキン1または金型10に固定し、位置決め板4にマンドレル20を載せると、突条42が溝28に挿入される。これによってマンドレル20がスキン1に対して、ストリンガ2が並ぶ方向において位置決めされる。
上記の位置決め板4を用いることに加え、図9(b)に示すように、マンドレル20のエンド部21の縦方向Dの位置を決めるブロック43をスキン1または金型10に形成することもできる。ブロック43の形状は任意であり、エンド部21を受け入れる凹部をブロック43に形成することもできる。
エンド部21をブロック43に突き当てることによって、ブロック43が形成されたスキン1または金型10に対するマンドレル20の縦方向Dの位置が定まるので、マンドレル20をスキン1に対して縦方向Dに位置決めすることができる。
ブロック43は、位置決め板4と共に本発明の位置決め部を構成する。
上記実施形態では、ストリンガ2をスキン1に一体に成形するが、スキン1とは別に成形されたストリンガ2をスキン1に接着することもできる。その際のストリンガ2の位置決めにも、本発明を適用することができる。
その場合は、ストリンガ2の端部に、マンドレル20のエンド部21の底面201と同様の位置決め用の領域を設ければよい。その領域に、位置決め板3の突起32が挿入される凹部22を形成する。そして、当該位置決め用領域と、スキン1または金型10との間に、位置決め板3を介在させる。
また、スキン1やストリンガ2を成形するとき、真空引きは必ずしも必須ではない。例えば、マンドレル20に重しを載せ、真空引きを行うことなくストリンガ2を成形することも本発明は許容する。
さらに、本発明は、スキン1やストリンガ2のFRP材料として、プリプレグを用いることも許容する。
本発明は、航空機を構成するFRP構造体の製造の他、各種の装置・構造を構成するFRP構造体の製造に広く用いることができる。
1 スキン(板状部材、第1部材)
1A 裏面
1B 余白部
2 ストリンガ(長尺部材、第2部材)
2A フランジ
2B ウェブ
3,4 位置決め板(位置決め部)
10 金型(第1部材)
11 成形部
12 外周部
15 穴
16 長穴
18 アングル材
19 バッグフィルム
20 マンドレル(成形型、第2部材)
20A,20B ブロック(第1ブロックおよび第2ブロック)
21,23 エンド部(端部)
22 凹部
22A ストレート部
25 一端部
26 他端部
27 段差
28 溝
30 貫通孔
31 板材
32 突起(係合部材)
32A 保持部
32B 突起本体
35 ピン
42 突条(係合部材)
43 ブロック(位置決め部、係合部材)
100 成形装置(製造装置)
200 繊維強化プラスチック構造体
201 底面
202,203 斜面
D 縦方向
F 繊維基材
G 隙間
S 成形空間
S1 スキン成形ステップ
S2 コボンド成形ステップ
S21 位置決めステップ
S22 真空引き・加熱ステップ
Sr 根元側
St 先端側

Claims (13)

  1. 繊維強化プラスチック部材である板状部材に、縦方向の寸法が前記縦方向に交差する方向の寸法よりも長い繊維強化プラスチック部材である長尺部材が一体化された繊維強化プラスチック構造体を製造する装置であって、
    前記板状部材または前記板状部材を支持する金型である第1部材には、前記第1部材に沿って配置されるか前記板状部材に一体に設けられるとともに、前記長尺部材を成形する成形型または前記長尺部材である第2部材の端部に前記第1部材側から係合する位置決め部が設けられ、
    前記位置決め部により、前記板状部材に対して前記長尺部材が、少なくとも、前記縦方向に交差する方向において位置決めされる、
    ことを特徴とする繊維強化プラスチック構造体の製造装置。
  2. 前記位置決め部は、
    前記第1部材と前記第2部材との間に介在する板状の部材である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の繊維強化プラスチック構造体の製造装置。
  3. 前記位置決め部は、
    前記板状部材および前記長尺部材を形成する繊維強化プラスチックの線膨張係数に近似する線膨張係数の材料から形成された板材と、
    前記板材に設けられて前記第2部材の端部に係合する係合部材と、を備える、
    ことを特徴とする請求項2に記載の繊維強化プラスチック構造体の製造装置。
  4. 前記位置決め部は、
    前記第1部材のうち前記板状部材に固定される、
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の繊維強化プラスチック構造体の製造装置。
  5. 前記位置決め部は、
    前記第1部材のうち前記金型に固定される、
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の繊維強化プラスチック構造体の製造装置。
  6. 前記位置決め部は、前記金型に複数のピンで固定され、
    前記ピンの少なくとも1つは、所定の基準位置に固定され、
    他の前記ピンは、前記金型に前記縦方向に沿って形成された長穴に挿入される、
    ことを特徴とする請求項5に記載の繊維強化プラスチック構造体の製造装置。
  7. 前記位置決め部は、
    前記第2部材の端部の前記第1部材側の部分に、前記縦方向に離間した二箇所で係合する、
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の繊維強化プラスチック構造体の製造装置。
  8. 前記位置決め部は、
    板材と、
    前記板材に設けられて前記第2部材の端部に係合する複数の係合部材と、を備え、
    複数の前記係合部材は、同一の前記板材において前記縦方向に離間した箇所の各々に設けられる、
    ことを特徴とする請求項7に記載の繊維強化プラスチック構造体の製造装置。
  9. 前記成形型は、前記縦方向に沿って分割された第1ブロックおよび第2ブロックを備え、
    前記成形型の端部の前記第1部材側の部分には、前記第1ブロックと前記第2ブロックとの境界部に位置する凹部が形成され、
    前記位置決め部は、前記凹部に挿入されることで前記第2部材に係合する突起を備える、
    ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の繊維強化プラスチック構造体の製造装置。
  10. 前記成形型は、前記第1ブロックおよび前記第2ブロックの各々に斜面を有する略三角形状の横断面に形成されており、
    前記第1ブロックおよび前記第2ブロックの前記斜面に配置されるアングル材を備える、
    ことを特徴とする請求項9に記載の繊維強化プラスチック構造体の製造装置。
  11. 前記突起は、半球または略半球状に形成され、
    前記凹部は、前記突起に倣う形状に形成される、
    ことを特徴とする請求項9または10に記載の繊維強化プラスチック構造体の製造装置。
  12. 前記板状部材は、航空機のスキンであり、
    前記長尺部材は、航空機のストリンガである、
    ことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の繊維強化プラスチック構造体の製造装置。
  13. 繊維強化プラスチック部材である板状部材に、縦方向の寸法が前記縦方向に交差する方向の寸法よりも長い繊維強化プラスチック部材である長尺部材が一体化された繊維強化プラスチック構造体を製造する方法であって、
    前記板状部材または前記板状部材を支持する金型である第1部材に、前記第1部材に沿って配置されるか前記板状部材に一体に設けられるとともに、前記長尺部材を成形する成形型または前記長尺部材である第2部材の端部に前記第1部材側から係合する位置決め部を設け、
    前記位置決め部により、前記板状部材に対して前記長尺部材を、少なくとも、前記縦方向に交差する方向において位置決めする、
    ことを特徴とする繊維強化プラスチック構造体の製造方法。
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