JP2014236799A - 可逆熱変色性印刷物セット - Google Patents

可逆熱変色性印刷物セット Download PDF

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昌典 武田
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Abstract

【課題】 削りカスを生じることのもなく、上層の像を削ることにより下層の像を視認可能な印刷物と同様の遊戯が繰り返し可能な利便性に富む可逆熱変色性印刷物セットを提供する。
【解決手段】 支持体上に、有色(1)から色の異なる有色(2)に変色する色彩記憶性を有する可逆熱変色像と、前記可逆熱変色像の周囲に有色(1)と同一又は略同一の色を呈する非変色像を設けてなり、前記可逆熱変色像と非変色像の隣接箇所に有色(1)とは色の異なる輪郭像を設けた可逆熱変色性印刷物2と、摩擦体7とからなる可逆熱変色性印刷物セット1。
【選択図】 図2

Description

本発明は可逆熱変色性印刷物セットに関する。更に詳細には像の輪郭内を加熱することにより、着色像を形成可能な可逆熱変色性印刷物及びそれを用いた可逆熱変色性印刷物セットに関する。
従来、被印刷体上に印刷影像を形成し、その上にメジューム層、不透明な印刷影像を設けた印刷物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
前記印刷物は、摩擦、ひっかき等により上層の不透明な印刷影像を脱落させ、下層の印刷影像を現出させるものである。
前記印刷物は、使用者が上層の像を削ることにより下層の像を視認することができ、変化性に富む印刷物が得られるとしても、繰り返し使用することのできないものであった。
更に、使用者が下層の像を現出させるために上層のどの箇所を削るのかわかり難く、ランダムに削って見栄えを損ねたり、上層の大部分を削って多量の削りカスを生じ、不衛生になることがあった。
実公昭44−12094号公報
本発明は、この種の使用者が上層の像を削ることにより下層の像を視認可能な印刷物と同様の遊戯が可能な印刷物であって、使用者が下層の像を現出させるために上層のどの箇所を削るような操作をすべきか明瞭に判別可能であると共に、削りカスを生じることのもなく、繰り返し遊戯することが可能な可逆熱変色性印刷物セットを提供しようとするものである。
本発明は、支持体上に、有色(1)から色の異なる有色(2)に変色する色彩記憶性を有する可逆熱変色像と、前記可逆熱変色像の周囲に有色(1)と同一又は略同一の色を呈する非変色像を設けてなり、前記可逆熱変色像と非変色像の隣接箇所に有色(1)とは色の異なる輪郭像を設けた可逆熱変色性印刷物と、摩擦体とからなる可逆熱変色性印刷物セットを要件とする。
更には、前記可逆熱変色像は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応の生起温度を決める反応媒体とから少なくともなる感温変色性色彩記憶性組成物を含む有色から無色に変色する可逆熱変色像であり、可逆熱変色像の下層に有色(2)の非変色隠顕像を設けてなること、前記可逆熱変色像は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応の生起温度を決める反応媒体とから少なくともなる感温変色性色彩記憶性組成物と、非変色性有色着色剤を含む有色(1)から色の異なる有色(2)に変色する可逆熱変色像であること、前記感温変色性色彩記憶性組成物は、色濃度−温度曲線に関してヒステリシス特性を示して有色状態と無色状態の互変性を呈し、有色状態から温度が上昇する過程では、消色開始温度tに達すると消色し始め、温度tより高い完全消色温度t以上の温度域で完全に無色状態となり、無色状態から温度が下降する過程では、発色開始温度tに達すると着色し始め、温度tより低い完全発色温度t以下の温度域で完全に着色状態となるヒステリシス特性を示し、前記完全消色温度tが40℃以上であり、且つ、完全発色温度tが10℃以下であることを要件とする。
本発明は、削りカスを生じることのもなく、上層の像を削ることにより下層の像を視認可能な印刷物と同様の遊戯が繰り返し可能な利便性に富む可逆熱変色性印刷物セットを提供できる。
本発明に用いられる感温変色性色彩記憶性組成物の変色挙動を示す説明図である。 本発明の可逆熱変色性印刷物セットの一実施例の説明図である。 図2の可逆熱変色性印刷物の縦断面説明図である。 図2の可逆熱変色性印刷物に摩擦体を適用した状態を示す説明図である。 本発明の他の実施例の可逆熱変色性印刷物の縦断面説明図である。 本発明の他の実施例の可逆熱変色性印刷物の縦断面説明図である。 本発明の他の実施例の可逆熱変色性印刷物の縦断面説明図である。 本発明の他の実施例の可逆熱変色性印刷物の縦断面説明図である。 本発明の他の実施例の可逆熱変色性印刷物の縦断面説明図である。 本発明の他の実施例の可逆熱変色性印刷物の縦断面説明図である。
本発明は、上層の像を削ることにより下層の像を視認可能なスクラッチ機能を有する印刷物と同様の遊戯が可能な可逆熱変色性印刷物と、摩擦体とからなる可逆熱変色性印刷物セットである。
前記可逆熱変色性印刷物は、支持体上に、有色(1)から色の異なる有色(2)に変色する色彩記憶性を有する可逆熱変色像と、前記可逆熱変色像の周囲に有色(1)と同一又は略同一の色を呈する非変色像を設け、前記可逆熱変色像と非変色像の隣接箇所に有色(1)とは色の異なる輪郭像を設けてなる。
前記支持体としては、紙、合成紙、編布、織布、不織布等の布帛、合成皮革、レザー、プラスチック、ガラス、陶磁器、金属、木材、石材等が用いられる。又、形態としては平面状のものが好ましいが、凹凸状の形態であってもよい。
前記有色(1)から色の異なる有色(2)に変色する色彩記憶性を有する可逆熱変色像は、支持体上に、有色(2)の色の非変色性有色着色剤をバインダー樹脂、例えば、各種合成樹脂エマルジョン、水溶性乃至油性の合成樹脂、紫外線硬化型樹脂、その他糊剤等から選ばれる樹脂を含むビヒクルに分散させたインキや塗料を用いて、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、転写印刷等の印刷方法、スプレー塗装等の塗布方法により非変色隠顕像を設け、前記非変色隠顕像上に(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応の生起温度を決める反応媒体とから少なくともなる感温変色性色彩記憶性組成物を含む有色から無色に変色する可逆熱変色像を設けて形成したり、或いは、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応の生起温度を決める反応媒体とから少なくともなる感温変色性色彩記憶性組成物と、非変色性有色着色剤をバインダー樹脂、例えば、各種合成樹脂エマルジョン、水溶性乃至油性の合成樹脂、紫外線硬化型樹脂、その他糊剤等から選ばれる樹脂を含むビヒクルに分散させたインキや塗料を用いて、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、転写印刷等の印刷方法、スプレー塗装等の塗布方法により支持体上に形成する。
前記感温変色性色彩記憶性組成物は、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜50℃)を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度(t)以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度(t)以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔t〜tの間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で色彩記憶性を有する加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物である(図1参照)。
前記感温変色性色彩記憶性組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性について説明する。
図1において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度t(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度t(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度t(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度t(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度域は前記tとt間の温度域であり、着色状態と消色状態のいずれかの状態を呈することができ、色濃度の差の大きい領域であるtとtの間の温度域が実質変色温度域である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が小さいと変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。また、前記ΔH値が大きいと変色前後の各状態の保持が容易となる。
前記感温変色性色彩記憶性組成物は、色保持温度幅(t−t)の全域で発色状態と消色状態のいずれかの状態が択一的に保持することができる。
以下に可逆熱色性組成物の(イ)、(ロ)、(ハ)成分について化合物を例示する。
本発明の(イ)成分である電子供与性呈色性有機化合物としては、ジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等が挙げられる。
以下にこれらの化合物を例示する。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、
3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3,6−ジフェニルアミノフルオラン、
3,6−ジメトキシフルオラン、
3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、
2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−(2−クロロアミノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、
2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、
2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン、
2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジブチルアミノ)−8−(ジペンチルアミノ)−4−メチル−スピロ[5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)−イソベンゾフラン]−3−オン、
3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
4,5,6,7−テトラクロロ−3−[4−(ジメチルアミノ)−2−メチルフェニル]−3−(1−エチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−1(3H)−イソベンゾフラノン、
3′,6′−ビス〔フェニル(2−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
3′,6′−ビス〔フェニル(3−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
3′,6′−ビス〔フェニル(3−エチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
4−[2,6−ビス(2−エトキシフェニル)−4−ピリジニル]−N,N−ジメチルベンゼンアミン等を挙げることができる。
前記(ロ)成分の電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群(酸ではないが、組成物中で酸として作用して成分(イ)を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群等がある。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等を挙げることができる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
以下に具体例を挙げる。
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)2−エチルヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン等がある。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3−トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分について説明する。
前記(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類を挙げることができる。
前記(ハ)成分としては、色濃度−温度曲線に関し、大きなヒステリシス特性(温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線が、温度を低温側から高温側へ変化させる場合と、高温側から低温側へ変化させる場合で異なる)を示して変色する、色彩記憶性を示す可逆熱変色性組成物を形成できる5℃以上50℃未満のΔT値(融点−曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコール又はエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が用いられる。
また、炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n−ペンチルアルコール又はn−ヘプチルアルコールと炭素数10乃至16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17乃至23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
具体的には、酢酸n−ペンタデシル、酪酸n−トリデシル、酪酸n−ペンタデシル、カプロン酸n−ウンデシル、カプロン酸n−トリデシル、カプロン酸n−ペンタデシル、カプリル酸n−ノニル、カプリル酸n−ウンデシル、カプリル酸n−トリデシル、カプリル酸n−ペンタデシル、カプリン酸n−ヘプチル、カプリン酸n−ノニル、カプリン酸n−ウンデシル、カプリン酸n−トリデシル、カプリン酸n−ペンタデシル、ラウリン酸n−ペンチル、ラウリン酸n−ヘプチル、ラウリン酸n−ノニル、ラウリン酸n−ウンデシル、ラウリン酸n−トリデシル、ラウリン酸n−ペンタデシル、ミリスチン酸n−ペンチル、ミリスチン酸n−ヘプチル、ミリスチン酸n−ノニル、ミリスチン酸n−ウンデシル、ミリスチン酸n−トリデシル、ミリスチン酸n−ペンタデシル、パルミチン酸n−ペンチル、パルミチン酸n−ヘプチル、パルミチン酸n−ノニル、パルミチン酸n−ウンデシル、パルミチン酸n−トリデシル、パルミチン酸n−ペンタデシル、ステアリン酸n−ノニル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸n−トリデシル、ステアリン酸n−ペンタデシル、エイコサン酸n−ノニル、エイコサン酸n−ウンデシル、エイコサン酸n−トリデシル、エイコサン酸n−ペンタデシル、ベヘニン酸n−ノニル、ベヘニン酸n−ウンデシル、ベヘニン酸n−トリデシル、ベヘニン酸n−ペンタデシル等を挙げることができる。
また、ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効であり、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、2−ウンデカノン、3−ウンデカノン、4−ウンデカノン、5−ウンデカノン、2−ドデカノン、3−ドデカノン、4−ドデカノン、5−ドデカノン、2−トリデカノン、3−トリデカノン、2−テトラデカノン、2−ペンタデカノン、8−ペンタデカノン、2−ヘキサデカノン、3−ヘキサデカノン、9−ヘプタデカノン、2−ペンタデカノン、2−オクタデカノン、2−ノナデカノン、10−ノナデカノン、2−エイコサノン、11−エイコサノン、2−ヘンエイコサノン、2−ドコサノン、ラウロン、ステアロン等を挙げることができる。
また、総炭素数が12乃至24のアリールアルキルケトン類、例えば、n−オクタデカノフェノン、n−ヘプタデカノフェノン、n−ヘキサデカノフェノン、n−ペンタデカノフェノン、n−テトラデカノフェノン、4−n−ドデカアセトフェノン、n−トリデカノフェノン、4−n−ウンデカノアセトフェノン、n−ラウロフェノン、4−n−デカノアセトフェノン、n−ウンデカノフェノン、4−n−ノニルアセトフェノン、n−デカノフェノン、4−n−オクチルアセトフェノン、n−ノナノフェノン、4−n−ヘプチルアセトフェノン、n−オクタノフェノン、4−n−ヘキシルアセトフェノン、4−n−シクロヘキシルアセトフェノン、4−tert−ブチルプロピオフェノン、n−ヘプタフェノン、4−n−ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル−n−ブチルケトン、4−n−ブチルアセトフェノン、n−ヘキサノフェノン、4−イソブチルアセトフェノン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等を挙げることができる。
また、エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効であり、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等を挙げることができる。
また、前記(ハ)成分として、下記一般式(1)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2014236799
〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、mは0〜2の整数を示し、X、Xのいずれか一方は−(CHOCOR又は−(CHCOOR、他方は水素原子を示し、nは0〜2の整数を示し、Rは炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、Y及びYは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、又は、ハロゲンを示し、r及びpは1〜3の整数を示す。〕
前記式(1)で示される化合物のうち、Rが水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好適であり、更にRが水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好適である。
なお、式(1)で示される化合物のうち、より好ましくは下記一般式(2)で示される化合物が用いられる。
Figure 2014236799
式中のRは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示すが、好ましくは炭素数10〜24のアルキル基、更に好ましくは炭素数12〜22のアルキル基である。
前記化合物として具体的には、オクタン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチルを例示できる。
更に、前記(ハ)成分として、下記一般式(3)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2014236799
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、m及びnはそれぞれ1〜3の整数を示し、X及びYはそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲンを示す。)
前記化合物として具体的には、オクタン酸1,1−ジフェニルメチル、ノナン酸1,1−ジフェニルメチル、デカン酸1,1−ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1−ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1−ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1−ジフェニルメチルを例示できる。
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(4)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2014236799
(式中、Xは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1乃至3の整数を示し、nは1乃至20の整数を示す。)
前記化合物としては、マロン酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2−〔4−(3−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(3−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10−デカンジカルボン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2−〔4−(2−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステルを例示できる。
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(5)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2014236799
(式中、Rは炭素数1乃至21のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは1乃至3の整数を示す。)
前記化合物としては、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンと酪酸とのジエステル、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとプロピオン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステルを例示できる。
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(6)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 2014236799
(式中、Xは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数1乃至4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1乃至3の整数を示し、nは1乃至20の整数を示す。)
前記化合物としては、こはく酸と2−フェノキシエタノールとのジエステル、スベリン酸と2−フェノキシエタノールとのジエステル、セバシン酸と2−フェノキシエタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2−フェノキシエタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2−フェノキシエタノールとのジエステルを例示できる。
前記(イ)、(ロ)、(ハ)成分の配合割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の変色特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1〜50、好ましくは0.5〜20、(ハ)成分1〜800、好ましくは5〜200の範囲である(前記割合はいずれも質量部である)。
又、各成分は各々二種以上の混合であってもよい。
前記感温変色性色彩記憶性組成物は、そのままの適用でも有効であるが、マイクロカプセルに内包したマイクロカプセル顔料として使用することが好ましい。これは、種々の使用条件において感温変色性色彩記憶性組成物は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができるからである。
前記感温変色性色彩記憶性組成物をマイクロカプセル化する方法としては、界面重合法、界面重縮合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与したり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
前記マイクロカプセル顔料の形態は円形断面の形態の他、非円形断面の形態であってもよい。
ここで、感温変色性色彩記憶性組成物とマイクロカプセル壁膜の質量比は7:1〜1:1、好ましくは6:1〜1:1の範囲を満たす。
感温変色性色彩記憶性組成物の壁膜に対する比率が前記範囲より大になると、壁膜の厚みが肉薄となり過ぎ、圧力や熱に対する耐性の低下を生じ易く、壁膜の感温変色性色彩記憶性組成物に対する比率が前記範囲より大になると発色時の色濃度及び鮮明性の低下を生じ易くなる。
前記マイクロカプセル顔料は、平均粒子径が0.1〜30.0μm、好ましくは0.5〜20.0μm、より好ましくは1.0〜10.0μmの範囲のものが良好な色濃度、変色の鋭敏性、印刷適性に優れるため効果的である。
粒子径の測定はレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置〔(株)堀場製作所製;LA−300〕を用いて測定し、その数値を基に平均粒子径(メジアン径)を体積基準で算出する。
前記感温変色性色彩記憶性組成物又はそれを内包したマイクロカプセル顔料として、完全消色温度tが40℃以上であり、且つ、完全発色温度tが10℃以下のものを用いると、夏場のような気温の高い条件下や取り扱う際に体温で変色することなく、しかも、加熱手段として摩擦体の適用による摩擦熱で発熱して当該部分が変色した状態を室温下で記憶保持することができる。
更に、完全発色温度tを冷蔵室、冷凍室でしか得られない温度、即ち10℃以下、好ましくは5℃以下、より好ましくは0℃以下、且つ、完全消色温度tを摩擦体による摩擦熱から得られる温度、即ち40〜90℃、好ましくは45〜85℃、より好ましくは45〜80℃の範囲に特定し、ΔH値を30〜100℃に特定することにより、簡便に変色させることができると共に、常態(日常の生活温度域)で呈する色の保持に有効に機能させることができる。
前記完全消色温度tが90℃以下であれば、可逆熱変色像上を摩擦体による数回の擦過による摩擦熱で十分に変色或いは消色させることができる。
完全消色温度tが90℃を越える温度の場合、摩擦体による擦過で得られる摩擦熱が完全消色温度に達し難くなるため、容易に変色或いは消色し難くなり、擦過回数が増加したり、或いは、荷重をかけ過ぎて擦過する傾向にあるため、可逆熱変色像を傷めてしまう虞がある。
また、完全発色温度tの温度設定において、変色状態或いは消色状態が通常の使用状態において維持されるためにはより低い温度であることが好ましく、10℃以下が好適である。
更に、感温変色性色彩記憶性組成物は発色状態にする必要がある。冷却手段としては汎用の冷蔵庫や冷凍庫にて冷却することが好ましいが、冷凍庫の冷却能力を考慮すると、−50℃迄が限度である。
前記非変色性有色着色剤としては、一般有色染料或いは顔料が用いられる。
前記染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料が挙げられ、顔料としては、カーボンブラック、群青などの無機顔料、フタロシアニン系、アゾ系、アンスラキノン系、ジケトピロロピロール系、キナクリドン系、イソインドリノン系等の有機顔料が挙げられる。
蛍光顔料としては、各種蛍光染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が使用できる。
前記可逆熱変色像は、有色(1)から色の異なる有色(2)に変色する。
これを詳しく説明すると、有色(1)は、感温変色性色彩記憶性組成物が発色状態の色と下層の非変色隠顕像中に含まれる非変色性有色着色剤、或いは、可逆熱変色像中に含まれる非変色性有色着色剤の色が混色となった色であり、有色(2)は、感温変色性色彩記憶性組成物が消色状態の非変色性有色着色剤による色である。
前記バインダー樹脂は、水溶性或いは油溶性の樹脂のいずれであってもよく、目的に応じて適宜、選択して使用できる。
具体的に例示すると、汎用の樹脂、例えば、アイオノマー樹脂、イソブチレン−無水マレイン酸樹脂共重合樹脂、アクリロニトリル−アクリリックスチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル塩素化ポリエチレン−スチレン共重合樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニルグラフト共重合樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルスチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、フェノール樹脂変性アルキド樹脂、エポキシ樹脂変性アルキド樹脂、スチレン変性アルキド樹脂、アクリル変性アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキッド樹脂、天然ゴム、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ポリビニルアルキルエーテル、ロジン、ロジンエステル、ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、油溶性フェノール樹脂、石油系炭化水素樹脂、シェラック、環化ゴム、酢酸ビニル系エマルジョン樹脂、スチレン−ブタジエン系エマルジョン樹脂、アクリル酸エステル系エマルジョン樹脂、水性シリコンゴムエマルジョン樹脂、水溶性アルキド樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性尿素樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリブタジエン樹脂、酢酸セルローズ、硝酸セルローズ、エチルセルローズ等を挙げることができる。
又、前記樹脂は、1種又は2種以上を併用することができる。
前記可逆熱変色像の周囲には、有色(1)と同一又は略同一の色を呈する非変色像を設けてなる。
前記非変色像は、非変色性有色着色剤をバインダー樹脂を含むビヒクルに分散させたインキや塗料を用いて、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、転写印刷等の印刷方法、スプレー塗装等の塗布方法により形成される。
前記非変色像に含まれる非変色性有色着色剤は、一般有色染料或いは顔料が用いられる。
前記バインダー樹脂は、可逆熱変色像と同様の樹脂が用いられる。
なお、前記可逆熱変色像と非変色像は、互いに隣接して形成したり、後述する輪郭像を間に設けるために隙間を残して形成したり、可逆熱変色像と非変色像を部分的に重ね合わせて形成することができる。
前記可逆熱変色像と非変色像の隣接箇所に有色(1)とは色の異なる輪郭像を設けてなる。
前記輪郭像は、可逆熱変色像と非変色像の隣接する箇所の可逆熱変色像上に設けたり、可逆熱変色像と非変色像の隣接する箇所の非変色像上に設けたり、可逆熱変色像と非変色像の隣接する箇所の間に設けることができる。
前記輪郭像は、非変色性有色着色剤をバインダー樹脂を含むビヒクルに分散させたインキや塗料を用いて、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、転写印刷等の印刷方法、スプレー塗装等の塗布方法により形成される。
前記輪郭像に含まれる非変色性有色着色剤は、一般有色染料或いは顔料が用いられる。
前記バインダー樹脂は、可逆熱変色像と同様の樹脂が用いられる。
前記可逆熱変色層上には、透明性保護層を設けて耐擦過性を付与したり、光安定剤層を設けることができる。
具体的には、前記光安定剤層は紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消色剤、可視光線吸収剤、赤外線吸収剤から選ばれる光安定剤を分散状態に固着した層である。
前記可逆熱変色性印刷物は、可逆熱変色像と非変色像による単一色の印刷物に輪郭像が形成された状態から、輪郭像内の可逆熱変色像を摩擦体による摩擦による摩擦熱で加熱することにより変色させて輪郭内の像を変色させ、使用者が上層の像を削ることにより下層の像を視認可能な印刷物と同様の遊戯が可能となる。
前記変色した可逆熱変色像は、完全発色温度t以下に冷却することにより再び元の状態に戻るため、摩擦体の適用により繰り返し使用することができる。
前記可逆熱変色像を加熱する手段として摩擦体を用いる。
前記摩擦体としては、弾性感に富み、擦過時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるゴム、エラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体が好適である。
前記摩擦体の材質としては、シリコーン樹脂やSEBS樹脂(スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体)、ポリエステル系樹脂等が用いられる。
前記摩擦体の形状は特に限定されるものではないが、球形の他、正方形、長方形、三角錘、四角錘、円錐、円柱等の多面体形状、人形、動物、植物、乗物、建造物、食品等の形態であってもよい。
また、前記摩擦体をプラスチック、ガラス、陶磁器、木材、石材、金属等の成形物に取り付けて用いることもできる。
前記可逆熱変色像を冷却する手段としては、ペルチエ素子を利用した冷熱変色具、冷水、氷片等の冷媒を充填した冷熱変色具、冷蔵庫や冷凍庫の適用が挙げられる。
前記可逆熱変色性印刷物と、摩擦体を組み合わせて可逆熱変色性印刷物セットが得られる。
以下に実施例を示すが、本発明は実施例に限定されない。なお、実施例中の部は質量部を示す。
実施例1(図2乃至4参照)
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
(イ)成分として2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン6.0部、(ハ)成分としてパルミチン酸p−メチルベンジル50.0部からなる感温変色性色彩記憶性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(t:3℃、t:10℃、t:38℃、t:45℃、ΔH:35℃、平均粒子径:6.0μm、黒色から無色に色変化する)を調製した。
可逆熱変色性印刷物の作製
支持体3として白色合成紙上に、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料30部、青色顔料5部、ウレタン系エマルジョン樹脂57部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる可逆熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いて水玉模様の印刷を行ない、乾燥硬化させて可逆熱変色像4を形成した。
次いで、前記可逆熱変色像の周囲に非変色性有色着色剤として黒色顔料を含む非変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いて印刷を行ない、乾燥硬化させて非変色像5を形成した。
更に、前記可逆熱変色像と非変色像の隣接する箇所の非変色像上に、白色顔料を含む非変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いて印刷を行ない、乾燥硬化させて水玉の輪郭像6を形成して可逆熱変色性印刷物2を得た。
前記可逆熱変色性印刷物は、3℃以下に冷却すると黒地に白色の水玉の輪郭像が視認され、その状態は室温(25℃)下で維持され、45℃以上に加温すると輪郭像内の可逆熱変色像が青色になり、その状態は室温下で維持される。3℃以下に冷却すると再び可逆熱変色像が黒色になるため黒地に白色の水玉の輪郭像が視認され、前記様相変化は温度変化により繰り返し行なうことができた。
可逆熱変色性印刷物セットの作製
前記可逆熱変色性印刷物2と、摩擦体7としてSEBS樹脂からなる円柱体(直径10mm×長さ150mm)を組み合わせて可逆熱変色性印刷物セット1を得た。
黒地に白色の水玉模様の輪郭像が形成された状態の可逆熱変色性印刷物に前記摩擦体を用いて輪郭像内を摩擦すると、摩擦熱により可逆熱変色像中の感温変色性色彩記憶性組成物が摩擦熱によって45℃を超えることにより消色し、青色の水玉模様を形成することができた。
前記青色の水玉模様が形成された状態は室温下で維持され、可逆熱変色性印刷物を冷蔵庫に入れて3℃以下に冷却すると再び輪郭像内は黒色になり、再度摩擦体を用いて青色の水玉模様を形成することができた。
実施例2(図5参照)
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
(イ)成分として2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン6.0部、(ハ)成分としてパルミチン酸p−メチルベンジル50.0部からなる感温変色性色彩記憶性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(t:3℃、t:10℃、t:38℃、t:45℃、ΔH:35℃、平均粒子径:6.0μm、黒色から無色に色変化する)を調製した。
支持体3として白色合成紙上に、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料30部、赤色顔料5部、ウレタン系エマルジョン樹脂57部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる可逆熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いて炎の絵柄の印刷を行ない、乾燥硬化させて可逆熱変色像4を形成した。
次いで、前記可逆熱変色像の周囲に非変色性有色着色剤として黒色顔料を含む非変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いて印刷を行ない、乾燥硬化させて非変色像5を形成した。
更に、前記可逆熱変色像と非変色像の隣接する箇所の可逆熱変色像上に、黄色顔料を含む非変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いて印刷を行ない、乾燥硬化させて炎の輪郭像6を形成して可逆熱変色性印刷物2を得た。
前記可逆熱変色性印刷物は、3℃以下に冷却すると黒地に黄色の炎の輪郭像が視認され、その状態は室温(25℃)下で維持され、45℃以上に加温すると輪郭像内の可逆熱変色像が赤色になり、その状態は室温下で維持される。3℃以下に冷却すると再び可逆熱変色像が黒色になるため黒地に黄色の炎の輪郭像が視認され、前記様相変化は温度変化により繰り返し行なうことができた。
可逆熱変色性印刷物セットの作製
前記可逆熱変色性印刷物と、摩擦体としてSEBS樹脂からなる円柱体(直径10mm×長さ150mm)を組み合わせて可逆熱変色性印刷物セットを得た。
黒地に黄色の炎の輪郭像が形成された状態の可逆熱変色性印刷物に前記摩擦体を用いて輪郭像内を摩擦すると、摩擦熱により可逆熱変色像中の感温変色性色彩記憶性組成物が摩擦熱によって45℃を超えることにより消色し、赤色の炎の模様を形成することができた。
前記赤色の炎の模様が形成された状態は室温下で維持され、可逆熱変色性印刷物を冷蔵庫に入れて3℃以下に冷却すると再び輪郭像内は黒色になり、再度摩擦体を用いて赤色の炎の模様を形成することができた。
実施例3(図6参照)
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
(イ)成分として2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン6.0部、(ハ)成分としてパルミチン酸p−メチルベンジル50.0部からなる感温変色性色彩記憶性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(t:3℃、t:10℃、t:38℃、t:45℃、ΔH:35℃、平均粒子径:6.0μm、黒色から無色に色変化する)を調製した。
可逆熱変色性印刷物の作製
支持体3として白色合成紙上に、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料30部、黄色顔料5部、ウレタン系エマルジョン樹脂57部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる可逆熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてバナナの絵柄の印刷を行ない、乾燥硬化させて可逆熱変色像4を形成した。
次いで、前記可逆熱変色像の周囲に細幅の隙間を残して非変色性有色着色剤として黒色顔料を含む非変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いて印刷を行ない、乾燥硬化させて非変色像5を形成した。
更に、前記可逆熱変色像と非変色像の隙間に、白色顔料を含む非変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いて印刷を行ない、乾燥硬化させてバナナの輪郭像6を形成して可逆熱変色性印刷物2を得た。
前記可逆熱変色性印刷物は、3℃以下に冷却すると黒地に白色のバナナの輪郭像が視認され、その状態は室温(25℃)下で維持され、45℃以上に加温すると輪郭像内の可逆熱変色像が黄色になり、その状態は室温下で維持される。3℃以下に冷却すると再び可逆熱変色像が黒色になるため黒地に白色のバナナの輪郭像が視認され、前記様相変化は温度変化により繰り返し行なうことができた。
可逆熱変色性印刷物セットの作製
前記可逆熱変色性印刷物と、摩擦体としてSEBS樹脂からなる円柱体(直径10mm×長さ150mm)を組み合わせて可逆熱変色性印刷物セットを得た。
黒地に白色のバナナの輪郭像が形成された状態の可逆熱変色性印刷物に前記摩擦体を用いて輪郭像内を摩擦すると、摩擦熱により可逆熱変色像中の感温変色性色彩記憶性組成物が摩擦熱によって45℃を超えることにより消色し、黄色のバナナの像を形成することができた。
前記黄色のバナナの像が形成された状態は室温下で維持され、可逆熱変色性印刷物を冷蔵庫に入れて3℃以下に冷却すると再び輪郭像内は黒色になり、再度摩擦体を用いて黄色のバナナの像を形成することができた。
実施例4(図3参照)
可逆熱変色性印刷物の作製
支持体3として白色合成紙上に、実施例1乃至3で得た可逆熱変色性インキを用いて、120メッシュのスクリーン版を用いて鳥の絵柄の印刷を行ない、乾燥硬化させて可逆熱変色像4を形成した。
次いで、前記可逆熱変色像の周囲に非変色性有色着色剤として黒色顔料を含む非変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いて印刷を行ない、乾燥硬化させて非変色像5を形成した。
更に、前記可逆熱変色像と非変色像の隣接する箇所の非変色像上に、白色顔料を含む非変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いて印刷を行ない、乾燥硬化させて鳥の輪郭像6を形成して可逆熱変色性印刷物2を得た。
前記可逆熱変色性印刷物は、3℃以下に冷却すると黒地に白色の鳥の輪郭像が視認され、その状態は室温(25℃)下で維持され、45℃以上に加温すると輪郭像内の可逆熱変色像が青色、赤色、黄色になり、その状態は室温下で維持される。3℃以下に冷却すると再び可逆熱変色像が黒色になるため黒地に白色の鳥の輪郭像が視認され、前記様相変化は温度変化により繰り返し行なうことができた。
可逆熱変色性印刷物セットの作製
前記可逆熱変色性印刷物と、摩擦体としてSEBS樹脂からなる円柱体(直径10mm×長さ150mm)を組み合わせて可逆熱変色性印刷物セットを得た。
黒地に白色の鳥の輪郭像が形成された状態の可逆熱変色性印刷物に前記摩擦体を用いて輪郭像内を摩擦すると、摩擦熱により可逆熱変色像中の感温変色性色彩記憶性組成物が摩擦熱によって45℃を超えることにより消色し、三色の鳥の像を形成することができた。
前記三色の鳥の像が形成された状態は室温下で維持され、可逆熱変色性印刷物を冷蔵庫に入れて3℃以下に冷却すると再び輪郭像内は黒色になり、再度摩擦体を用いて三色の鳥の像を形成することができた。
実施例5(図7参照)
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
(イ)成分として2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン6.0部、(ハ)成分としてパルミチン酸p−メチルベンジル50.0部からなる感温変色性色彩記憶性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(t:3℃、t:10℃、t:38℃、t:45℃、ΔH:35℃、平均粒子径:6.0μm、黒色から無色に色変化する)を調製した。
可逆熱変色性印刷物の作製
支持体3として白色合成紙上に、非変色性有色着色剤として青色顔料を含む非変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてハート模様の印刷を行ない、乾燥硬化させて非変色隠顕像41を形成した。
次いで、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料30部、ウレタン系エマルジョン樹脂62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる可逆熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いて前記非変色隠顕像上にハート模様の印刷を行ない、乾燥硬化させて可逆熱変色像4を形成した。
次いで、前記可逆熱変色像の周囲に非変色性有色着色剤として黒色顔料を含む非変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いて印刷を行ない、乾燥硬化させて非変色像5を形成した。
更に、前記可逆熱変色像と非変色像の隣接する箇所の非変色像上に、白色顔料を含む非変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いて印刷を行ない、乾燥硬化させてハート模様の輪郭像6を形成して可逆熱変色性印刷物2を得た。
前記可逆熱変色性印刷物は、3℃以下に冷却すると黒地に白色のハート模様の輪郭像が視認され、その状態は室温(25℃)下で維持され、45℃以上に加温すると輪郭像内の可逆熱変色像が消色して非変色性隠顕像による青色になり、その状態は室温下で維持される。3℃以下に冷却すると再び可逆熱変色像が黒色になるため黒地に白色のハート模様の輪郭像が視認され、前記様相変化は温度変化により繰り返し行なうことができた。
可逆熱変色性印刷物セットの作製
前記可逆熱変色性印刷物と、摩擦体としてSEBS樹脂からなる円柱体(直径10mm×長さ150mm)を組み合わせて可逆熱変色性印刷物セットを得た。
黒地に白色のハート模様の輪郭像が形成された状態の可逆熱変色性印刷物に前記摩擦体を用いて輪郭像内を摩擦すると、摩擦熱により可逆熱変色像中の感温変色性色彩記憶性組成物が摩擦熱によって45℃を超えることにより消色し、青色のハート模様を形成することができた。
前記青色のハート模様が形成された状態は室温下で維持され、可逆熱変色性印刷物を冷蔵庫に入れて3℃以下に冷却すると再び輪郭像内は黒色になり、再度摩擦体を用いて青色のハート模様を形成することができた。
実施例6(図8参照)
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
(イ)成分として2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン6.0部、(ハ)成分としてパルミチン酸p−メチルベンジル50.0部からなる感温変色性色彩記憶性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(t:3℃、t:10℃、t:38℃、t:45℃、ΔH:35℃、平均粒子径:6.0μm、黒色から無色に色変化する)を調製した。
可逆熱変色性印刷物の作製
支持体3として白色合成紙上に、非変色性有色着色剤として青色顔料を含む非変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いてベタ印刷を行ない、乾燥硬化させて非変色隠顕像41を形成した。
次いで、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料30部、ウレタン系エマルジョン樹脂62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる可逆熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いて前記非変色隠顕像上にハート模様の印刷を行ない、乾燥硬化させて可逆熱変色像4を形成した。
次いで、前記可逆熱変色像の周囲に非変色性有色着色剤として黒色顔料を含む非変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いて印刷を行ない、乾燥硬化させて非変色像5を形成した。
更に、前記可逆熱変色像と非変色像の隣接する箇所の非変色像上に、白色顔料を含む非変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いて印刷を行ない、乾燥硬化させてハート模様の輪郭像6を形成して可逆熱変色性印刷物2を得た。
前記可逆熱変色性印刷物は、3℃以下に冷却すると黒地に白色のハート模様の輪郭像が視認され、その状態は室温(25℃)下で維持され、45℃以上に加温すると輪郭像内の可逆熱変色像が消色して非変色性隠顕像による青色になり、その状態は室温下で維持される。3℃以下に冷却すると再び可逆熱変色像が黒色になるため黒地に白色のハート模様の輪郭像が視認され、前記様相変化は温度変化により繰り返し行なうことができた。
可逆熱変色性印刷物セットの作製
前記可逆熱変色性印刷物と、摩擦体としてSEBS樹脂からなる円柱体(直径10mm×長さ150mm)を組み合わせて可逆熱変色性印刷物セットを得た。
黒地に白色のハート模様の輪郭像が形成された状態の可逆熱変色性印刷物に前記摩擦体を用いて輪郭像内を摩擦すると、摩擦熱により可逆熱変色像中の感温変色性色彩記憶性組成物が摩擦熱によって45℃を超えることにより消色し、青色のハート模様を形成することができた。
前記青色のハート模様が形成された状態は室温下で維持され、可逆熱変色性印刷物を冷蔵庫に入れて3℃以下に冷却すると再び輪郭像内は黒色になり、再度摩擦体を用いて青色のハート模様を形成することができた。
実施例7(図9参照)
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
(イ)成分として2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン6.0部、(ハ)成分としてパルミチン酸p−メチルベンジル50.0部からなる感温変色性色彩記憶性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(t:3℃、t:10℃、t:38℃、t:45℃、ΔH:35℃、平均粒子径:6.0μm、黒色から無色に色変化する)を調製した。
可逆熱変色性印刷物の作製
支持体3として白色合成紙上に、非変色性有色着色剤としてピンク色顔料、赤色顔料、橙色顔料、黄色顔料、緑色顔料、青色顔料、紫色顔料をそれぞれ含む非変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いて印刷を行ない、乾燥硬化させて犬の絵柄の非変色隠顕像41を形成した。
次いで、非変色性有色着色剤として黒色顔料を含む非変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いて犬の絵柄の抜き印刷を行ない、乾燥硬化させて非変色像5を形成した。
更に、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料30部、ウレタン系エマルジョン樹脂62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる可逆熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いて前記非変色隠顕像上に犬の絵柄の印刷を行ない、乾燥硬化させて可逆熱変色像4を形成した。
なお、前記可逆熱変色像の周囲は非変色像と重ね刷りされてなる。
次いで、前記可逆熱変色像と非変色像の隣接する箇所の可逆熱変色像上に、白色顔料を含む非変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いて印刷を行ない、乾燥硬化させて犬の輪郭像6を形成して可逆熱変色性印刷物2を得た。
前記可逆熱変色性印刷物は、3℃以下に冷却すると黒地に白色の犬の輪郭像が視認され、その状態は室温(25℃)下で維持され、45℃以上に加温すると輪郭像内の可逆熱変色像がピンク色、赤色、橙色、黄色、緑色、青色、紫色になり、その状態は室温下で維持される。3℃以下に冷却すると再び可逆熱変色像が黒色になるため黒地に白色の犬の輪郭像が視認され、前記様相変化は温度変化により繰り返し行なうことができた。
可逆熱変色性印刷物セットの作製
前記可逆熱変色性印刷物と、摩擦体としてSEBS樹脂からなる円柱体(直径10mm×長さ150mm)を組み合わせて可逆熱変色性印刷物セットを得た。
黒地に白色の犬の輪郭像が形成された状態の可逆熱変色性印刷物に前記摩擦体を用いて輪郭像内を摩擦すると、摩擦熱により可逆熱変色像中の感温変色性色彩記憶性組成物が摩擦熱によって45℃を超えることにより消色し、七色の犬の像を形成することができた。
前記七色の犬の像が形成された状態は室温下で維持され、可逆熱変色性印刷物を冷蔵庫に入れて3℃以下に冷却すると再び輪郭像内は黒色になり、再度摩擦体を用いて七色の犬の像を形成することができた。
実施例8(図10参照)
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
(イ)成分として2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン6.0部、(ハ)成分としてパルミチン酸p−メチルベンジル50.0部からなる感温変色性色彩記憶性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(t:3℃、t:10℃、t:38℃、t:45℃、ΔH:35℃、平均粒子径:6.0μm、黒色から無色に色変化する)を調製した。
可逆熱変色性印刷物の作製
支持体3として白色合成紙上に、非変色性有色着色剤としてピンク色顔料、赤色顔料、橙色顔料、黄色顔料、緑色顔料、青色顔料、紫色顔料をそれぞれ含む非変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いて印刷を行ない、乾燥硬化させて車の絵柄の非変色隠顕像41を形成した。
次いで、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料30部、ウレタン系エマルジョン樹脂62部、増粘剤2部、レベリング剤0.5部、消泡剤0.5部、架橋剤5部を均一に分散してなる可逆熱変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いて前記非変色隠顕像上に車の絵柄の印刷を行ない、乾燥硬化させて可逆熱変色像4を形成した。
更に、非変色性有色着色剤として黒色顔料を含む非変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いて車の絵柄の抜き印刷を行ない、乾燥硬化させて非変色像5を形成した。
なお、前記非変色像の周囲は可逆熱変色像と重ね刷りされてなる。
次いで、前記非変色像と可逆熱変色像の隣接する箇所の非変色像上に、白色顔料を含む非変色性インキを120メッシュのスクリーン版を用いて印刷を行ない、乾燥硬化させて車の輪郭像6を形成して可逆熱変色性印刷物2を得た。
前記可逆熱変色性印刷物は、3℃以下に冷却すると黒地に白色の車の輪郭像が視認され、その状態は室温(25℃)下で維持され、45℃以上に加温すると輪郭像内の可逆熱変色像がピンク色、赤色、橙色、黄色、緑色、青色、紫色になり、その状態は室温下で維持される。3℃以下に冷却すると再び可逆熱変色像が黒色になるため黒地に白色の車の輪郭像が視認され、前記様相変化は温度変化により繰り返し行なうことができた。
可逆熱変色性印刷物セットの作製
前記可逆熱変色性印刷物と、摩擦体としてSEBS樹脂からなる円柱体(直径10mm×長さ150mm)を組み合わせて可逆熱変色性印刷物セットを得た。
黒地に白色の車の輪郭像が形成された状態の可逆熱変色性印刷物に前記摩擦体を用いて輪郭像内を摩擦すると、摩擦熱により可逆熱変色像中の感温変色性色彩記憶性組成物が摩擦熱によって45℃を超えることにより消色し、七色の車の像を形成することができた。
前記七色の車の像が形成された状態は室温下で維持され、可逆熱変色性印刷物を冷蔵庫に入れて3℃以下に冷却すると再び輪郭像内は黒色になり、再度摩擦体を用いて七色の車の像を形成することができた。
完全発色温度
発色開始温度
消色開始温度
完全消色温度
ΔH ヒステリシス幅
1 可逆熱変色性印刷物セット
2 可逆熱変色性印刷物
3 支持体
4 可逆熱変色像
41 非変色性隠顕像
5 非変色像
6 輪郭像
7 摩擦体

Claims (4)

  1. 支持体上に、有色(1)から色の異なる有色(2)に変色する色彩記憶性を有する可逆熱変色像と、前記可逆熱変色像の周囲に有色(1)と同一又は略同一の色を呈する非変色像を設けてなり、前記可逆熱変色像と非変色像の隣接箇所に有色(1)とは色の異なる輪郭像を設けた可逆熱変色性印刷物と、摩擦体とからなる可逆熱変色性印刷物セット。
  2. 前記可逆熱変色像は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応の生起温度を決める反応媒体とから少なくともなる感温変色性色彩記憶性組成物を含む有色から無色に変色する可逆熱変色像であり、可逆熱変色像の下層に有色(2)の非変色隠顕像を設けてなる請求項1記載の可逆熱変色性印刷物セット。
  3. 前記可逆熱変色像は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応の生起温度を決める反応媒体とから少なくともなる感温変色性色彩記憶性組成物と、非変色性有色着色剤を含む有色(1)から色の異なる有色(2)に変色する可逆熱変色像である請求項1記載の可逆熱変色性印刷物セット。
  4. 前記感温変色性色彩記憶性組成物は、色濃度−温度曲線に関してヒステリシス特性を示して有色状態と無色状態の互変性を呈し、有色状態から温度が上昇する過程では、消色開始温度tに達すると消色し始め、温度tより高い完全消色温度t以上の温度域で完全に無色状態となり、無色状態から温度が下降する過程では、発色開始温度tに達すると着色し始め、温度tより低い完全発色温度t以下の温度域で完全に着色状態となるヒステリシス特性を示し、前記完全消色温度tが40℃以上であり、且つ、完全発色温度tが10℃以下である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の可逆熱変色性印刷物。
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