JP2014236151A - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

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幹宏 山中
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眞 中村
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貴行 山内
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Abstract

【課題】 薄膜トランジスタを備えた装置の特性を安定化させる。
【解決手段】
半導体装置100は、基板301と、基板301に支持され、半導体層305を含む薄膜トランジスタ12と、基板301の法線方向から見たとき、半導体層305の少なくとも一部と重なるように配置された絶縁保護層30とを備え、絶縁保護層30は、ポリパラキシリレンを主成分とし、パラジウム、タンタルおよびバナジウムからなる群から選択された少なくとも1種の金属元素と、ガリウム、金、アルゴン、セシウム、ナトリウムおよびマグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、半導体装置およびその製造方法、ならびに半導体装置を用いたX線検出器に関する。
アクティブマトリクス基板は、画素毎に薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;以下、「TFT」)などのスイッチング素子を備えている。
スイッチング素子としては、従来から、アモルファスシリコン膜を活性層とするTFT(以下、「アモルファスシリコンTFT」)や多結晶シリコン膜を活性層とするTFT(以下、「多結晶シリコンTFT」)が広く用いられている。
近年、TFTの活性層の材料として、アモルファスシリコンや多結晶シリコンに代わって、酸化物半導体を用いることが提案されている。酸化物半導体として、インジウム、ガリウム、亜鉛および酸素を主成分とするIn−Ga−Zn−O系半導体を用いることも提案されている。このようなTFTを「酸化物半導体TFT」と称する。酸化物半導体は、アモルファスシリコンよりも高い移動度を有している。このため、酸化物半導体TFTは、アモルファスシリコンTFTよりも高速で動作することが可能である。また、酸化物半導体膜は、多結晶シリコン膜よりも簡便なプロセスで形成されるため、大面積が必要とされる装置にも適用できる。
このようなアクティブマトリクス基板は、液晶表示装置、EL表示装置などの表示装置やイメージセンサなどにも使用されている。例えば特許文献1には、酸化物半導体TFTを含むアクティブマトリクス基板を用いた表示装置が開示されている。
また、特許文献2には、酸化物半導体TFTを含むアクティブマトリクス基板を用いた放射線検出器が開示されている。特許文献2に開示された放射線検出器(フラットパネル型の放射線検出器)では、アクティブマトリクス基板上に放射線感応層が設けられており、放射線感応層に照射されたX線を検出する。
国際公開2011/027467号 特開2013−044725号公報
酸化物半導体TFTでは、閾値電圧(Vth)のシフト等の特性変動が生じやすいという問題がある。この要因の1つとして、酸化物半導体に酸素欠損によるキャリア電子が生じ、電気抵抗が低下することが挙げられる。これに対し、例えば特許文献1には、酸化物半導体層を形成した後にアニール処理を行うことにより、酸化物半導体TFTの特性変動を抑制する手段が提案されている。また、特許文献1には、半導体装置外部の水分等の影響によるTFT特性の低下を抑制するために、酸化物半導体TFTをパッシベーション膜(例えば窒化ケイ素膜)で覆うことも提案されている。
しかしながら、特性変動を完全に抑制することは困難である。さらに、本発明者が検討したところ、アニール処理等によってTFT特性を安定化させても、酸化物半導体TFTを備えた装置の用途によっては、装置の使用時に酸化物半導体TFTの特性変動が生じる可能性があることを見出した。詳細は後述する。
さらに、本発明者は、他の半導体を用いたTFT(例えばアモルファスシリコンTFT)を備えた装置でも、同様に、装置の使用時にTFT特性の変動が生じ得ることを見出した。
上記事情に鑑み、本発明の一実施形態は、TFTを備えた半導体装置の特性を安定化させることを目的とする。
本発明の一態様の半導体装置は、基板と、前記基板に支持され、半導体層を含む薄膜トランジスタと、前記基板の法線方向から見たとき、前記半導体層の少なくとも一部と重なるように配置された絶縁保護層とを備え、前記絶縁保護層は、ポリパラキシリレンを主成分とし、パラジウム、タンタルおよびバナジウムからなる群から選択された少なくとも1種の金属元素と、ガリウム、金、アルゴン、セシウム、ナトリウムおよびマグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含有する。
ある実施形態において、前記少なくとも1種の金属元素はパラジウムであり、前記少なくとも1種の元素はガリウムである。
ある実施形態において、前記少なくとも1種の金属元素の濃度および前記少なくとも1種の元素の濃度は、前記絶縁保護層の表面近傍で、前記絶縁保護層の他の部分よりも高い。
ある実施形態において、前記半導体層の、前記基板と反対側に配置された光電変換層をさらに備え、前記絶縁保護層は、前記基板の法線方向から見たとき前記光電変換層の少なくとも一部と重なるように配置されている。
ある実施形態において、前記絶縁保護層は、前記半導体層と前記光電変換層との間に配置されている。
ある実施形態において、前記絶縁保護層は、前記光電変換層の上方に配置されている。
ある実施形態において、前記光電変換層は、X線で照射されると電荷を発生する層である。
ある実施形態において、前記半導体層は酸化物半導体層である。
前記酸化物半導体層はIn−Ga−Zn−O系半導体を含んでもよい。
前記In−Ga−Zn−O系半導体は結晶質部分を含んでもよい。
本発明による半導体装置の製造方法の一態様は、基板上に、半導体層を含む薄膜トランジスタを形成する工程(A)と、前記半導体層の上方に、前記基板の法線方向から見たとき、前記半導体層の少なくとも一部と重なるように絶縁保護層を形成する工程(B)とを包含し、前記工程(B)は、前記半導体層の上方に、ポリパラキシリレン膜を形成する工程(b1)と、前記ポリパラキシリレン膜に、ガリウム、金、アルゴン、セシウム、ナトリウムおよびマグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種の元素を付与する工程(b2)と、前記ポリパラキシリレン膜に、パラジウム、タンタルおよびバナジウムからなる群から選択された少なくとも1種の金属元素を付与する工程(b3)と、を含む。
ある実施形態において、前記工程(b3)では、スパッタリング法または真空アーク法を用いて、前記少なくとも1種の金属元素を前記ポリパラキシリレン膜に付与する。
ある実施形態において、前記工程(b2)では、前記少なくとも1種の元素のイオンを前記ポリパラキシリレン膜に注入する。
ある実施形態において、前記工程(A)と前記工程(B)との間に、光電変換層を形成する工程をさらに含み、前記工程(b1)において前記ポリパラキシリレン膜は前記光電変換層の上方に形成される。
ある実施形態において、前記工程(B)の後に、前記絶縁保護層の上方に光電変換層を形成する工程をさらに含む。
ある実施形態において、前記半導体層は酸化物半導体層であり、前記工程(A)は、前記半導体層に対して、200℃以上500℃以下の温度でアニール処理を行う工程(a1)を含む。
前記酸化物半導体層はIn−Ga−Zn−O系半導体を含んでもよい。
前記In−Ga−Zn−O系半導体は結晶質部分を含んでもよい。
本発明の一実施形態によると、TFTを備えた半導体装置の特性を安定化できる。特に、半導体装置の使用時に生じるTFT特性の変動を抑制できる。
本発明による実施形態の放射線検出器を例示する模式的な断面図である。 (a)は、本発明による実施形態の放射線検出器100の模式的な断面図であり、(b)は、放射線検出器100におけるTFT基板10の平面図である。 本発明による実施形態の他の放射線検出器を例示する断面図である。 本発明による実施形態のさらに他の放射線検出器を例示する断面図である。 (a)は、アニール処理を行っていない酸化物半導体膜を用いたTFTのドレイン電流(Id)−ゲート電圧(Vg)特性を示す図であり、(b)は、アニール処理を行った酸化物半導体膜を用いたTFTのId−Vg特性を示す図である。
本発明者が酸化物半導体TFTの特性を調べたところ、以下のような知見を得た。
基板上に酸化物半導体膜を形成すると、形成直後の酸化物半導体膜は電子トラップ準位を多く含んでいる。このため、このような酸化物半導体膜を用いてTFTを作製すると、閾値電圧Vthのヒステリシスが大きくなる。具体的には、例えば、ゲート電圧が上昇するときと、下降するときとで、ドレイン電流が急激に変化する閾値電圧のずれが大きい。また、ソース−ドレイン間の電圧に応じても、閾値電圧が変化する。このため、例えば、フラットパネルディプレイ(FPD)の画素制御用スイッチング素子として酸化物半導体TFTを用いると、画素ごとに輝度がばらつき、表示むらの発生の要因となる。
これに対し、酸化物半導体膜を形成した後、例えば300℃の温度で1時間程度のアニール処理を行うことにより、バンドギャップ内の欠陥準位を低減することができる。このアニール処理では、まず、酸化物半導体膜に多量の酸素欠陥が形成される。その後の緩和時間において、外部雰囲気の酸素及び水酸基を取り込むことで、酸素欠陥が大幅に低減される。より詳細には、アニール処理により、酸化物半導体膜に対し、バンドギャップ内に欠陥準位を生じている酸素欠陥構造を増やすことのできる外部エネルギーを付与する。これにより、酸化物半導体膜を構成する各種材料原子間の再配列が可能となる。この結果、アニール処理を行っていない酸化物半導体膜と比較して、酸素欠陥をより低減することができる。
図5(a)は、アニール処理を行っていない酸化物半導体膜を用いたTFTのドレイン電流(Id)−ゲート電圧(Vg)特性を示す図であり、図5(b)は、アニール処理を行った酸化物半導体膜を用いたTFTのId−Vg特性を示す図である。図5(a)では、ゲート電圧Vgを印加する方向によって閾値電圧がシフトしており、ヒステリシスが大きいことが分かる。一方、図5(b)では、ヒステリシスが小さくなり、その結果、閾値電圧の変動が改善され、閾値電圧が0Vに近づくことが分かる。このように、酸化物半導体膜に対してアニール処理を行うことにより、酸化物半導体TFTの特性を改善できる。
しかしながら、酸化物半導体TFTを用いた半導体装置を製造した後、その用途によっては、半導体装置の使用時に特性変動が生じる可能性がある。例えば特許文献2に開示された放射線検出器では、酸化物半導体TFTを備えたアクティブマトリクス基板が用いられており、放射線検出器の動作時に、酸化物半導体TFTにX線が照射されると、酸化物半導体に過剰な酸素欠損が生じるおそれがある。
医療用のX線検出器を例に説明する。X線検出器には80〜130kV、5〜65mAs等の高エネルギーのX線が照射される。例えば、胸部/正面のX線撮影の際には130kV、5mAs、胸椎/正面のX線撮影には80kV、45mAsのエネルギーが照射される。すなわち、X線の照射では、アニール処理の104倍程度もの高いフォトンエネルギーが照射される。このため、アニール処理によってTFT特性が改善された酸化物半導体TFTをX線検出デバイスに適用したとしても、X線照射により、TFTの閾値電圧のヒステリシスが再度生じる場合がある。
上述のように、例えばアニール処理などによって、酸化物半導体TFTの特性を改善しても(図5(b)参照)、酸化物半導体TFTを備えた装置の使用時に特性が低下するという問題がある。このため、TFT特性の安定性を高める必要がある。
本発明者は、上記知見に基づいて、酸化物半導体TFTを備えた装置の構成について検討を重ねた。
酸化物半導体TFTを備えた装置の使用時に、例えば酸化物半導体層にX線が照射されると、酸化物半導体層と外部(例えば大気あるいは酸化物半導体層以外の層)との間で無秩序で酸素のやり取りが生じ、酸化物半導体層内の酸素欠陥が増減する可能性がある。酸化物半導体層では酸素欠陥がドナー準位を形成するため、上記のような酸素のやり取りの結果、TFT特性が変動するおそれがある。また、水素が酸化物半導体層に侵入して、酸化物半導体の電子状態を変化させることにより、TFT特性の変動が生じるおそれもある。そこで、本発明者は、装置の使用を妨げずに、酸素・水素を通さないバリア膜を開発し、このバリア膜によって酸化物半導体TFTを保護する構成について検討した。例えばX線検知検出装置では、X線を透過し、かつ、酸素や水素を透過させないバリア膜が求められる。このようなバリア膜により、X線検出機能を確保しつつ、酸化物半導体層とその外部(酸化物半導体層以外の層も含む)との間で酸素や水素が出入りすることに起因するTFT特性の不安定性を改善できると考えられる。従って、装置使用時のTFT特性の変動を抑制し、装置を製造したときのTFT特性(酸化物半導体の特性)を維持することができる。
本発明者は、検討を重ねた結果、ポリパラキシリレン(poly−para−xylylene)膜に、パラジウム(Pd)と、ガリウム(Ga)イオンとを付与することにより、X線に対して十分な透過率を有し、かつ、従来よりも効率的に酸素および水素の透過を抑制できる新規なバリア膜(以下、「絶縁保護層」と呼ぶ。)を見出し、本発明の一態様に想到した。
なお、TFT特性の変動の問題は、酸化物半導体TFTを備えた装置に特に顕著であるが、酸化物半導体以外の半導体(例えばアモルファスシリコン)を用いたTFTを備えた装置でも生じ得る。このような装置でも、同様に、上記バリア膜を設けて、半導体層と外部との間での不純物の拡散を抑制することにより、TFT特性をより安定化できる。
本発明による半導体装置の一態様の概略を説明する。なお、本明細書では、「半導体装置」は、TFTを備えていればよく、アクティブマトリクス基板、アクティブマトリクス基板を備えた各種表示装置、イメージセンサなどの放射線検出器や光検出器を広く含む。イメージセンサは、X線等の放射線、可視光、赤外光等の光を検出して画像を形成する装置である。以下、半導体装置の一態様を、酸化物半導体TFTを備えた半導体装置を例に説明するが、本実施形態のTFTは酸化物半導体TFTに限定されず、他の半導体(アモルファスシリコン、多結晶シリコンなど)を用いたTFTであってもよい。
本発明の一態様の半導体装置は、基板と、基板に支持された、酸化物半導体層を活性層とする薄膜トランジスタ(酸化物半導体TFT)と、酸化物半導体TFTを保護するための絶縁保護層(バリア膜)とを備えている。絶縁保護層は、基板の法線方向から見たとき、酸化物半導体層の少なくとも一部と重なるように配置されている。絶縁保護層は、ポリパラキシリレンを主成分とし、例えばパラジウム(Pd)およびガリウム(Ga)を含有する層である。
絶縁保護層は、例えば、有機高分子膜であるポリパラキシリレン膜に、PdとGaとが付与された膜であってもよい。このような膜を用いると、ガスバリア性の高いポリパラキシリレン膜に、水素との親和性の高いPd、および、酸素と強い結合エネルギーをもつイオン種であるGaイオンが付与されているので、ポリパラキシリレン膜のガスバリア性が高められる。特にPdの付与により水素に対するパッシベーション特性、Gaの付与により酸素に対するパッシベーション特性をそれぞれ向上できる。従って、装置使用時の例えばX線照射によって酸素欠損が過剰に生成されたり、酸化物半導体層に水素が侵入することを抑制できる。
酸素に対するバリア性を高めるために付与する元素はGaに限定されない。そのような元素として、ガリウム、金、アルゴン、セシウム、ナトリウムおよびマグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種の元素を用いることができる。これらのうち2種類以上の金属元素をポリパラキシリレン膜に付与してもよい。上記元素は、例えば、イオン注入によりポリパラキシリレン膜に添加され得る。イオン注入によると、例えばスパッタリング法を用いる場合と比べて、ポリパラキシリレン膜のより深い位置(例えば膜表面から数10nmの深さ)までイオンを注入できるので有利である。なお、イオン注入に適さない元素については、スパッタなどの他の方法でポリパラキシリレン膜に添加してもよい。
水素に対するバリア性を高めるために付与する金属元素もPdに限定されない。そのような金属元素として、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)およびバナジウム(V)からなる群から選択された少なくとも1種の金属元素を用いることができる。これらのうち2種類以上の金属元素をポリパラキシリレン膜に付与してもよい。
Pdなどの金属元素は、例えば、スパッタリング法などの物理的な製膜手法によりポリパラキシリレン膜に混入されていてもよい。例えばスパッタリング法によりポリパラキシリレン膜に飛来したPd粒子は、ポリパラキシリレン膜の表面から侵入する。このため、ポリパラキシリレン膜の表面近傍に、水素に対するパッシベーション特性に優れた膜が得られる。後述するように、スパッタリング法の代わりに、アークプラズマ法を用いてもよい。
ポリパラキシリレン膜に、酸素に対するバリア性を高める元素、および、水素に対するバリア性を高める金属元素を添加する順序は特に限定されず、いずれの元素の添加工程を先に行ってもよい。本実施形態では、例えば、イオン注入により、酸素に対するバリア性を高める元素(Gaなど)を添加した後、アークプラズマ法により、水素に対するバリア性を高める金属元素(Pdなど)を添加してもよい。
水素に対するバリア性を高めるための金属元素の濃度と、酸素に対するバリア性を高めるための元素の濃度とは、絶縁保護層の表面近傍で他の部分よりも高くてもよい。例えば上述した方法(スパッタリング法、イオン注入法)を用いると、ポリパラキシリレン膜の表面近傍にこれらの元素を含有するブロック層が形成される。従って、絶縁保護層は、上記元素(例えばPdおよびGa)を高濃度で含むブロック層と、その下方に位置し、上記元素を低濃度で含む(またはほとんど含まない)層とを有していてもよい。また、ブロック層は、スパッタリング法やアークプラズマ法などによって添加された、水素に対するバリア性を高める金属元素(Pdなど)を主に含む上層(表面層)と、上層の下方に位置し、イオン注入などによって添加された、酸素に対するバリア性を高める元素(Gaなど)を主に含む下層とを有していてもよい。なお、絶縁保護層は、上述した元素以外の元素をさらに含んでいてもよい。
本実施形態を、X線イメージセンサなどの放射線検出器に適用する場合、絶縁保護層は、酸化物半導体層の放射線照射面側に配置される。例えば、酸化物半導体TFTの上方に(すなわち、酸化物半導体TFTにおける基板と反対側に)、X線を照射されると電荷を生じる光電変換層を設ける場合、絶縁保護層は、酸化物半導体層の上方に配置される。絶縁保護層は、基板の法線方向から見たとき光電変換層の少なくとも一部と重なるように配置されてもよい。
なお、酸化物半導体層は、装置の製造時に、アニール処理を施されていてもよい。アニール処理によって酸化物半導体層の半導体特性を改善できる。アニール処理では、例えば300℃までの昇温過程において多量の酸素欠陥が酸化物半導体層内に生成され、例えば300℃からの冷却過程において、外部雰囲気の酸素やOHによって、生成された酸素欠陥が大幅に低減する。大気中または酸素雰囲気でアニール処理を行うと、酸素欠陥をより効果的に低減できる。なお、例えば乾燥窒素雰囲気などでアニール処理を行い、酸素の取り込みを制限すると、酸化物半導体層内の電気伝導度はアニール処理の前後で一定となる。
また、アニール処理によって次のような効果も得られる。酸化物半導体の電子状態に影響を与える不純物として、酸素の他に水素がある。例えば、スパッタで製造されたIn−Ga−Zn−O膜には1019〜1020cm-3の水素が混入し得る。不純物水素はドナーのように振舞うため、半導体特性の変動の要因となる。このような酸化物半導体膜に上記アニール処理を行うと、酸化物半導体層内の不純物水素を低減することができ、半導体特性を安定化できる。
本実施形態において酸化物半導体層のアニール処理を行うと、特性の安定した酸化物半導体層を形成した後、絶縁保護層により、酸化物半導体層が外部の雰囲気に曝されることを抑制できる。このため、酸化物半導体層と外部との間で、無秩序の酸素のやり取りが生じたり、酸化物半導体層へ水素が再侵入することを抑制できる。このようにして、装置使用時においても、アニール処理によって改善された半導体特性を維持することが可能となるので、酸化物半導体TFTの信頼性をより効果的に高めることができる。
本実施形態の半導体装置は以下のようにして製造される。
まず、基板上に、酸化物半導体層を活性層とする酸化物半導体TFTを形成する。形成方法は、特に限定せず、公知の方法を用いることができる。TFTを形成する際に、酸化物半導体層に対してアニール処理を行ってもよい。アニール処理により、酸化物半導体層内部の酸素欠損を低減でき、酸化物半導体層の特性を安定化できる。アニール処理温度は特に限定しないが、例えば200℃以上500℃以下である。酸化物半導体層としてIn−Ga−Zn−O系半導体層を用いる場合、大気中で525℃を超える温度でアニール処理を行うと、アモルファスIn−Ga−Zn−Oの一部に微結晶が生じる場合がある。ここでは、大気中、450℃で2時間のアニール処理を行う。また、アニール処理を酸素雰囲気で行ってもよい。これにより、形成直後の酸化物半導体層に含まれる酸素欠陥をより効果的に低減できる。
酸化物半導体TFTを形成した後、その上方に、絶縁保護層を形成する。絶縁保護層は、例えば次のようにして形成できる。
まず、酸化物半導体TFTの上方にポリパラキシリレン膜を形成する。ポリパラキシリレン膜は、ガスバリア性に優れ、高いX線の透過能を有する有機高分子膜である。この後、ポリパラキシリレン膜にPdおよびGaを付与する。具体的には、まず、ポリパラキシリレン膜の表面近傍にGaイオンを注入する。続いて、例えばスパッタリング法でポリパラキシリレン膜の表面近傍にPdを混入させる。なお、PdをGaイオンよりも先にポリパラキシリレン膜に付与してもよい。このようにして、酸化物半導体TFTを保護する絶縁保護層を得る。絶縁保護層は、Pdにより水素のガス透過を抑制でき、かつ、Gaにより酸素のガス透過を抑制できるので、酸素および水素に対するパッシベーション膜として機能する。なお、上記では、ポリパラキシリレン膜の主として表面近傍にPdおよびGaを付与しているが、ポリパラキシリレン膜の厚さ方向に亘ってこれらの元素を付与しても構わない。
なお、TFTの活性層として他の半導体層(例えばアモルファスシリコン層)を用いる場合、公知の方法でTFTを形成した後、TFTの上方に絶縁保護層を形成することにより半導体装置を製造できる。半導体層に対するアニール処理を行わなくてもよい。絶縁保護層の形成方法は、上記と同様の方法であってもよい。
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら、本発明による半導体装置の第1の実施形態を説明する。本実施形態の半導体装置は放射線検出器である。ここでは、フラットパネル型のX線イメージセンサを例に、本実施形態の放射線検出器の構成を説明する。
フラットパネル型のX線イメージセンサは、例えば、アクティブマトリクス基板の上方に、X線を直接電荷に変換する光電変換層(X線変換層)を備えている。光電変換層で発生した電荷を強電圧によって各画素の容量に蓄積させ、これを順次走査して読み出すことにより、画像データを形成する。X線の検出は、例えば、X線情報を光電変換層によって直接電気信号に変換する直接変換方式を用いて行う。なお、直接変換方式の代わりに、X線の検出を、X線情報を光に変換した後、フォトダイオードで光を電気信号に変換する間接変換方式を採用してもよい。この場合は、TFT基板に、画素ごとにフォトダイオードを設ける。
図1は、本実施形態の放射線検出器の構成を例示する模式的な断面図である。
本実施形態の放射線検出器は、複数の画素を有し、TFT基板10と、TFT基板10の上に設けられ、X線を電気信号に変換する光電変換層20と、バイアス電極22と、絶縁保護層30とを備えている。
TFT基板10は、画素ごとに、酸化物半導体TFT12、補助容量(蓄電容量)14および画素電極16を含んでいる。酸化物半導体TFT12の一方の電極(例えばドレイン電極)は、画素電極16、および、補助容量14を構成する一方の電極に電気的に接続されている。酸化物半導体TFT12の他方の電極(例えばソース電極)は、増幅回路およびA/Dコンバータに接続されてもよい。
TFT基板10は、例えば表示装置に使用されるアクティブマトリクス基板と同様の構成を有していてもよい。ただし、補助容量14の値を、放射線検出器用に制御する必要がある。
光電変換層20は、TFT基板10における画素電極16と、バイアス電極22との間に配置されている。光電変換層20の材料(X線変換材料)としては、例えば、アモルファス・セレン(a−Se)、あるいは多結晶のX線変換材料であるCdTe、CdZnTe、InP、PbI2、HgI2などを用いることができる。光電変換層20は、TFT基板10における、複数の画素が形成された領域のほぼ全体を覆うように形成されていてもよい。
バイアス電極22は、光電変換層20のX線照射側に配置されている。バイアス電極22として、例えばAu膜などの導電膜が用いられる。
絶縁保護層30は、上述したように、ポリパラキシリレン膜に、水素の透過を抑制し得る金属元素(例えばPd)と、酸素の透過を抑制し得る元素(例えばGa)とが付与された有機絶縁層である。絶縁保護層30は、酸化物半導体TFT12のX線照射側に設けられていればよい。この例では、絶縁保護層30はバイアス電極22のX線照射側に配置されている。また、この例では、絶縁保護層30は、光電変換層20の全体を覆うように形成されているが、光電変換層20の少なくとも一部を覆うように形成されていればよい。
続いて、本実施形態の放射線検出器(X線イメージセンサ)の原理を説明する。
本実施形態の放射線検出器では、光電変換層20にX線が照射されると、光電変換層20の内部に、入射したX線量に応じた電荷(正孔−電子対)が生じる。光電変換層20にはバイアスが印加されている。光電変換層20に生じた電荷のうち、印加したバイアスで引き上げた極性と逆極性の電荷が画素電極16側に移動する。この電荷は、TFT基板10の補助容量14に保持される。補助容量14で保持された電荷を、画素ごとに酸化物半導体TFT12で電流として読み取る。このようにして、光電変換層20を透過したX線の強弱を画素ごとに電流量に変換し、画像(X線画像)を出力する。
本実施形態によると、酸化物半導体TFT12のX線照射面側に、水素および酸素に対するガスバリア性に優れた絶縁保護層30が配置されているので、X線の照射による酸化物半導体TFT12の特性変動(例えば閾値電圧の変動)を抑制できる。この結果、画像品質および信頼性を高めることができる。従って、本実施形態の放射線検出器は、高い信頼性が要求される医療用X線装置、非破壊の工業的観察装置などに組み込まれて使用され得る。
次いで、本実施形態の放射線検出器のより具体的な構成の一例を説明する。
図2(a)は、本実施形態の放射線検出器100の模式的な断面図であり、図2(b)は、放射線検出器100におけるTFT基板10の平面図である。
放射線検出器100は、TFT基板10と、TFT基板10の上に設けられた光電変換層20と、光電変換層20の上面に配置されたバイアス電極22と、バイアス電極22よりもX線照射側に配置された絶縁保護層30とを備えている。
まず、図2(b)に示す平面図を参照して、TFT基板10の構成を説明する。TFT基板10は、補助容量電極303、ゲート配線(走査線)302w、ソース配線(信号線)306w、酸化物半導体TFT12および画素電極16を有している。
ゲート配線(走査線)302wおよびソース配線(信号線)306wは格子状に配置されており、これらの配線によって画素が規定されている。酸化物半導体TFT12は、各画素に設けられている。この例では、酸化物半導体TFT12のソース電極306は、ソース配線306wと一体的に形成され、ゲート電極302はゲート配線302wと一体的に形成されている。
補助容量電極303の少なくとも一部は、画素電極16と誘電体膜(ここではゲート絶縁層)を介して重なっており、これによって補助容量14を形成している。補助容量電極303は、光電変換層に照射されたX線によって生じた正孔と電子のうちの例えば正孔を一旦蓄積する。図示するように、補助容量電極303を、画素の略全面に形成することにより、ノイズ低減のために容量を大きく設定することが可能になる。例えば、補助容量電極303および画素電極16を、画素の略全面を覆うように形成してもよい。また、TFT基板10の法線方向から見たとき、補助容量電極303のゲート配線302wおよびソース配線306wに平行な幅は、画素電極16の幅よりも大きくてもよい。
次いで、TFT基板10の断面構造を説明する。図2(a)に示すように、TFT基板10は、絶縁性の表面を有する基板301、ゲート配線層、絶縁層304、酸化物半導体層305、ソース配線層、パッシベーション膜308、層間絶縁層309、上部画素電極310を有している。
ゲート配線層は、ゲート電極302、ゲート配線302wおよび補助容量電極303を含む。ここでは、ゲート配線302wのうち酸化物半導体層305と重なる部分がゲート電極302となる。
絶縁層304は、ゲート電極302および画素補助容量電極303を覆うように設けられている。絶縁層304のうちゲート電極302と酸化物半導体層305との間に位置する部分は、酸化物半導体TFT12におけるゲート絶縁層として機能する。また、絶縁層304のうち補助容量電極303と画素電極16との間に位置する部分は、補助容量14における誘電体層として機能する。
なお、ここでは、酸化物半導体TFT12は、基板301と酸化物半導体層305との間にゲート電極302が配置された構造(ボトムゲート構造)を有しているが、酸化物半導体層305上に絶縁層304およびゲート電極302がこの順で配置された構造(トップゲート構造)を有していてもよい。
ソース配線層は、ソース電極306、ソース配線306w、ドレイン電極307、画素電極16を含む。この例では、ドレイン電極307と画素電極16とは一体的に形成されているが、ソース電極306と画素電極16とが一体的に形成されていてもよい。また、画素電極16は、ソースおよびドレイン電極306、307の一方と電気的に接続されていればよく、ソース配線層とは別層に形成されていてもよい。
パッシベーション膜308は、酸化物半導体TFT12および画素電極16を覆うように形成されている。パッシベーション膜308の上には、層間絶縁層309および上部画素電極310がこの順で形成されている。上部画素電極310は、層間絶縁層309およびパッシベーション膜308に形成された開口部内で画素電極16と接している。
光電変換層20は、TFT基板10の上に配置されている。この例では、上部画素電極310の上に導電性部材311を介して配置されている。また、光電変換層20とTFT基板10とのギャップを確保するためにスペーサ312が設けられていてもよい。
バイアス電極22は、光電変換層20の上面の略全体に形成されている。バイアス電極22の上(X線照射面側)には、絶縁保護層30が形成されている。絶縁保護層30の材料および構成は、前述したのでここでは省略する。絶縁保護層30は、酸化物半導体TFT12よりもX線照射側に配置されていればよく、バイアス電極22上に他の層を介して形成されていてもよい。あるいは、絶縁保護層30は、酸化物半導体TFT12と光電変換層20との間に配置されていてもよい。
本実施形態における酸化物半導体TFT12の活性層(酸化物半導体層)305は、例えばIn−Ga−Zn−O系の半導体(以下、「In−Ga−Zn−O系半導体」と略する。)を含む。ここで、In−Ga−Zn−O系半導体は、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)の三元系酸化物であって、In、GaおよびZnの割合(組成比)は特に限定されず、例えばIn:Ga:Zn=2:2:1、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=1:1:2等を含む。
In−Ga−Zn−O系半導体層を有するTFTは、高い移動度(a−SiTFTに比べ20倍超)および低いリーク電流(a−SiTFTに比べ100分の1未満)を有しているので、駆動TFTおよび画素TFTとして好適に用いられる。In−Ga−Zn−O系半導体層を有するTFTを用いれば、放射線検出器の消費電力を大幅に削減することが可能になる。
In−Ga−Zn−O系半導体は、アモルファスでもよいし、結晶質部分を含み、結晶性を有していてもよい。結晶質In−Ga−Zn−O系半導体としては、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質In−Ga−Zn−O系半導体が好ましい。このようなIn−Ga−Zn−O系半導体の結晶構造は、例えば、特開2012−134475号公報に開示されている。参考のために、特開2012−134475号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。In−Ga−Zn−O系半導体層を有するTFTは、高い移動度(a−SiTFTに比べ20倍超)および低いリーク電流(a−SiTFTに比べ100分の1未満)を有しているので、駆動TFTおよび画素TFTとして好適に用いられる。
酸化物半導体層305は、In−Ga−Zn−O系半導体の代わりに、他の酸化物半導体を含んでいてもよい。例えばZn−O系半導体(ZnO)、In−Zn−O系半導体(IZO(登録商標))、Zn−Ti−O系半導体(ZTO)、Cd−Ge−O系半導体、Cd−Pb−O系半導体、In―Sn―Zn―O系半導体(例えばIn23−SnO2−ZnO)、In−Ga−Sn−O系半導体などを含んでいてもよい。
次に、図2に示す放射線検出器100の製造方法の一例を説明する。
まず、基板301上に、ゲート用電極膜を形成した後、これをパターニングする。これにより、ゲート電極302、ゲート配線302w、補助容量電極303などを含むゲート配線層を形成する。
基板301は、絶縁性の表面を有していればよい。基板301として、ガラス基板、樹脂板または樹脂フィルムなどの種々の基板を用いることができる。
ゲート用電極膜の材料は、特に限定されず、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、銅(Cu)等の金属又はその合金を含む膜を適宜用いることができる。また、これら複数の膜を積層した積層膜を用いてもよい。ここでは、ゲート用電極膜として、例えばTi膜、Al膜およびTi膜をこの順で積層した積層膜(Ti/Al/Ti)を用いる。パターニング方法は特に限定されず、公知のフォトリソグラフィおよびドライエッチングを用いることができる。補助容量電極303は、例えば各画素領域(配線部分を除く)の略全体を覆うように形成される。
次いで、ゲート配線層を覆うように、絶縁層304を形成する。
絶縁層304は、例えば、窒化シリコン(SiNX)層を下層、酸化シリコン(SiO2)層を上層とする積層構造(SiN/SiO2)を有する。絶縁層304は、例えばCVD法により形成される。
この後、絶縁層304の上に、例えばスパッタリング法により酸化物半導体膜を形成する。ここでは、酸化物半導体膜として、例えばIn−Ga−Zn−O系半導体膜を用いる。酸化物半導体膜の厚さは例えば10nm以上100nm以下(例えば50nm)である。次いで、酸化物半導体膜に対してアニール処理を行い、特性を安定化させる。例えば200℃以上500℃以下の温度で、1時間以上3時間以下のアニール処理を行う。ここでは、大気中、例えば450℃で2時間のアニール処理を行う。酸素雰囲気、特に湿潤酸素雰囲気(例えば導入酸素分圧6Pa程度、水蒸気分圧18.0%)でアニール処理を行うと、酸化物半導体膜における酸素欠陥をより効果的に低減することができる。アニール処理条件は特に限定しない。この後、酸化物半導体膜をパターニングして、画素ごとに、TFTの活性層となる島状の酸化物半導体層305を形成する。酸化物半導体層305のうちチャネル領域となる部分は、絶縁層304を介してゲート電極302と重なるように配置される。この後、酸化物半導体層305のうちチャネル領域となる部分上にエッチストップ層を設けてもよい。
次に、例えばスパッタリング法によりソース用電極膜を形成し、パターニングを行う。これにより、ソース電極306、ソース配線306w、ドレイン電極307および画素電極16を形成する。ここでは、ソース電極306およびドレイン電極307は、酸化物半導体層305の上面に接するように設けられているが、酸化物半導体層305と電気的に接続されていればよい。このようにして、酸化物半導体TFT12を得る。
続いて、酸化物半導体TFT12および画素電極16を覆うように、パッシベーション膜308を形成するこの例では、酸化物半導体層305のうちチャネル領域となる部分の表面と接するようにパッシベーション膜308が形成されている。パッシベーション膜308の厚さは、例えば50nm以上500nm以下である。パッシベーション膜308の材料としては、例えばSiO2、SiN、SiONなどを用いることができる。ここでは、SiO2層を下層、SiN層を上層とする2層構造を有する、厚さが例えば350nm程度のパッシベーション膜を形成する。
次に、パッシベーション膜308上に層間絶縁層309を形成する。層間絶縁層309は有機絶縁層であってもよい。例えばポジ型の感光性を有するアクリル系透明樹脂からなる絶縁層であってもよい。層間絶縁層309は、平坦化膜としての機能も有していてもよい。層間絶縁層309は、例えば塗布により形成される。
この後、フォトリソグラフィによって、層間絶縁層309およびパッシベーション膜308のうち各画素電極16の上に位置する部分に、画素電極16を露出するコンタクトホールを形成する。
次いで、上記コンタクトホール内で画素電極16と接するように、上部画素電極310を形成する。ここでは、IZO膜を形成し、これをパターニングすることにより、上部画素電極310を得る。
続いて、上部画素電極310の一部上に柱状のスペーサ312を形成する。スペーサ312は、後の工程で形成する光電変換層20と、上部画素電極310とのギャップを均一に維持するために設けられる。
また、上部画素電極310の一部上に、上部画素電極310と光電変換層20とを電気的に接続するための導電性部材311を形成する。導電性部材311は、例えば導電性樹脂部材であってもよい。これにより、画素電極16は、上部画素電極310および導電性部材311を介して光電変換層20と電気的に接続される。このようにして、TFT基板10を得る。
上記方法で得られたTFT基板10の上に、光電変換層20を設ける。ここでは、TFT基板10の上に、光電変換層20として例えばCdTe結晶を配置し、圧力をかけながら両者を貼り合わせる。
次いで、光電変換層(CdTe結晶)20の上に、バイアス電極22として、例えばIZO電極を形成する。バイアス電極22の電極材料はIZOに限定されず、ITOなどの他の導電性材料やAu、Ni、In等の金属材料であってもよい。
この後、バイアス電極22の上に、絶縁保護層30を形成する。絶縁保護層30は、例えば以下のような方法で形成される。
まず、公知の手法により、ポリパラキシリレン膜をバイアス電極22の上に形成する。ポリパラキシリレン膜の厚さは、例えば1μm以上50μm以下である。
次いで、ポリパラキシリレン膜に、Gaイオンを添加する。Gaの添加量は例えば10μC/cm2以上500μC/cm2以下である。30kVの加速電圧で注入する場合、ドーズ量が500μC/cm2以上にならないように調整することが好ましい。ドーズ量が上記値を超えると、スパッタリングが生じるおそれがある。
イオンの注入方法は特に限定しないが、例えば集束イオンビーム(Focused Ion Beam(FIB))装置を用いて、Gaイオンビームをポリパラキシリレン膜に照射することにより、ポリパラキシリレン膜にGaイオンを注入することができる。以下、FIG装置を用いたイオン注入法について詳しく説明する。
一般にイオンと固体の衝突において、イオンのエネルギーが高い場合、イオンは周りの電子の存在が無視できるほど固体構成原子に近づくので、核が作るクーロンポテンシャルのみから影響を受けて散乱される(ラザフォード衝突)。イオンのエネルギーが低くなると、原子核周りの電子の存在が無視できなくなり、原子核の作るクーロン場はこの軌道電子により遮蔽されて、あたかも電子雲で囲まれた球が動いているように作用する(剛体球衝突)。この剛体球衝突とラザフォード衝突の境になるエネルギーは、入射イオンの質量が軽い程低く、またイオンビームが照射される基板(ここではポリパラキシリレン膜)を構成する原子の原子番号が小さい程低い。例えば、水素のような軽いイオンをシリコンに照射したときは約1keV、水銀のような重い原子をシリコンに照射したときは約1.2MeVが境のエネルギーとなる。イオンビームのエネルギーが低くなると、固体の損傷は低減される。固体表面の原子数を1015個/cm2として考えると、500eVのエネルギーでSi基板にArイオンビームを照射すると、Si基板における基板原子(Si原子)は表面から約20層乱されることになる。イオンビームのエネルギーを更に数10eVまで下げると、イオンビームの照射によっては基板原子を動かせなくなる。この閾値を基板原子の変位の閾エネルギーと言う。Si基板をArビームで照射した場合、この閾値は22eV程度であるが、GaまたはAsビームで照射した場合の閾値は7〜12eVとなる。このように、基板を構成する材料とイオンビームとの組み合わせで閾値が異なる。Si基板に例えばArビームを照射する場合、20keVのエネルギーで21.5nmの位置まで注入される(投影飛程)。エネルギーを60keV、100keVと高くすると、投影飛程は60.9nm、102nmと伸びる。このように、照射するイオン種とイオンビームが照射される基板との組み合わせに応じて、イオンビームの加速電圧を制御する必要がある。
本実施形態では、Gaイオンを30keVで加速して、ポリパラキシリレン膜(厚さ:例えば1μm)に注入する。これにより、厚さが例えば30nmのイオン注入層を得る。イオン注入層は、ポリパラキシリレン膜の構成材料中にGaイオンが含まれた層であり、各種不純物の拡散を妨げるブロック層として機能し得る。
照射するイオン種はGaイオンに限定されず、各種不純物(例えば酸素、水分)の拡散を妨げる効果を示すイオンであればよい。例えば、Auイオン、Arイオン、Csイオン、Naイオン、Mgイオン等の他のイオンを注入してもよい。
また、イオンビームの照射条件も上述した条件に限定されず、各種不純物の拡散を妨げるブロック層が得られるように設定され得る。以下、イオンビームの入射方向および加速エネルギーを例に説明する。
イオンビームの入射方向を、その素子の積層方向に対して±20°以内の範囲で制御することによって、ポリパラキシリレン膜の表面近傍に略均一な厚さでブロック層を形成してもよい。有限の大きさのビーム径に集束したイオンビームには、その径の中心と円周領域とで電流密度が異なるため、イオンビームを垂直に入射しただけでは、その素子の膜厚によってはブロック層ができない領域が存在する可能性がある。そのため、ポリパラキシリレン膜に対するイオンビームの入射方向を厳密に制御できる光学レンズシステム、もしくは機械的制御システムを備えてもよい。本実施形態のように、有機膜に対してイオン注入を行う場合、有機膜の合計厚さが3μm未満であれば、その素子の積層方向に対して±10°以内の範囲で入射方向を制御できればよい。これに対し、有機膜の厚さが3μm以上であれば、±20°以内の範囲で制御できれば、略均一なブロック層をより確実に形成できる。なお、イオンビームの入射方向は、例えば、モータギア等を用いて、ポリパラキシリレン膜を保持するステージの傾斜角度を変化させることによって制御し得る。
また、加速エネルギーを最適化することにより、基板表面に所望のイオン注入層を形成できる。例えばSi基板にPdイオンを照射する場合、加速エネルギーを約350eVに設定すると、スパッタ率は1となりPdイオンはSi基板上に堆積しなくなる。加速エネルギーをさらに高くすると、スパッタ現象が顕著となり、例えば約80keVでスパッタ率は最大となる。しかしながら、加速エネルギーをさらに高くしていくと、スパッタ率は次第に低下する。これはPdイオンが固体中(Si基板中)に深く進入し、Si基板表面の原子をはじき出すことができなくなるからである。本実施形態では、上述のように、ポリパラキシリレン膜に30keVに加速したGaイオンビームを照射する。これにより、Gaイオンがポリパラキシリレン膜表面の原子をはじき出してポリパラキシリレン膜表面近傍に注入される。この結果、例えば厚さ30nmのGa含有層が表面に形成される。
この後、例えばスパッタリング法により、ポリパラキシリレン膜の表面側にPdを添加する。Pdの添加量は、Pdの堆積膜の厚さが例えば1nm以上100nm以下となるように調整される。なお、Pdを添加する方法は、スパッタリング法に限定されない。例えば真空アーク法を用いてもよい。真空アーク法を用いる場合、例えばアークプラズマガン((株)アルバック製)を用いて、Pdをポリパラキシリレン膜上に蒸着することもできる。アークプラズマガンでは、アーク法線を利用して、ターゲット材料であるPdをプラズマにし、イオン化されたPdの蒸着粒子をポリパラキシリレン膜に付着させる。スパッタリング法で使用するようなキャリアガスが不要となるため、ポリパラキシリレン膜への不純物の混入を低減できる。これに加えて、真空アーク法には、蒸着粒子とポリパラキシリレン膜との密着性が高い、ナノサイズのPd粒子をポリパラキシリレン膜に略均一に分散させることが可能である、室温で蒸着できる等のメリットがある。これにより、ポリパラキシリレン膜の表面近傍に、Pd含有層が形成される。
このようにして、絶縁保護層30として、PdおよびGaを含有するポリパラキシリレン膜を得る。
上記方法で得られた絶縁保護層30は、表面近傍にPdおよびGaを含む。ここでは、
絶縁保護層30の表面にPd含有層を有し、Pd含有層よりも下方にGa含有層を有している。Ga含有層は、例えば、ポリパラキシリレン膜表面から約30nmの深さに形成される。なお、GaおよびPd含有層の位置(深さ)は、Pd、Gaの添加方法や条件によって適宜制御され得る。Pd含有層およびGa含有層は、重なりあっていてもよい。なお、本明細書では、Pd含有層およびGa含有層をあわせてブロック層と称する。
上記方法で形成された絶縁保護層30は、Pdにより水素、Gaにより酸素に対するガス透過を抑制することができ、高いパッシベーション特性を有する。
ポリパラキシリレン膜は室温で形成可能であり、高いガスバリア性を有する。また、高いX線の透過能を有するので、絶縁保護層30を形成しても、放射線検出器100によって形成されるイメージの劣化がほとんど生じない。従って、絶縁保護層30をX線イメージセンサなどの放射線検出器に適用すると、放射線の検出能力を確保しつつ、放射線検出器に形成された酸化物半導体TFTの特性変動を抑制でき、信頼性を高めることができる。
図2に示す放射線検出器100では、絶縁保護層30を光電変換層20の直上に配置しているが、絶縁保護層30の位置は図2に示す例に限定されない。絶縁保護層30は、X線照射に対して酸化物半導体TFT(特にチャネル領域)を保護し得る領域に配置されていればよく、光電変換層20とTFT基板10との間に配置されていてもよし、TFT基板10の内部に配置されていてもよい。
図3は、本実施形態の他の放射線検出器を例示する断面図である。
放射線検出器200では、絶縁保護層30は、光電変換層20のTFT基板10側の表面に配置されている。その他の構成は、図2を参照しながら前述した構成と同様であるので、説明を省略する。放射線検出器200でも、図2に示す放射線検出器100と同様に、絶縁保護層30によって酸化物半導体TFT12を保護することが可能である。
なお、絶縁保護層30は、層間絶縁層309の上面に設けられてもよい。あるいは、層間絶縁層309とパッシベーション膜308との間、あるいはソース電極306とパッシベーション膜308との間に配置されていてもよい。
また、図2および図3に示す放射線検出器100、200は、光電変換層20をTFT基板10上に配置した構造(フラットパネル構造)を有しているが、本実施形態の放射線検出器の構造はこの構造に限定されない。本実施形態の絶縁保護層30を、例えばセンサ基板とアレイ基板とを貼り合わせて接続した構造(いわゆるハイブリッド構造)の放射線検出器に適用することもできる。
図4は、本実施形態のさらに他の放射線検出器を例示する断面図であり、ハイブリッド構造を有する放射線検出器を示している。
放射線検出器300は、TFT基板10と、光電変換層20を有するセンサ基板50とを備えている。TFT基板10の構成は、図2を参照しながら前述した構成と同様であってもよい。センサ基板50は、基板401と、基板401上に形成されたバイアス電極402と、バイアス電極402上に設けられた光電変換層20と、光電変換層20におけるバイアス電極402と反対側に形成された電荷収集電極404とを有している。電荷収集電極404は、光電変換層20を介してバイアス電極402と重なるように配置されている。基板401のX線照射側、ここでは基板401における光電変換層20が形成されている面と反対側の面上に、絶縁保護層30が配置されている。センサ基板50の電荷収集電極404は、導電性部材(例えば導電性樹脂部材)406を介して、TFT基板10の画素電極16と電気的に接続されている。
放射線検出器300の動作は、図2を参照しながら前述した動作と同様である。また、放射線検出器300でも同様に、絶縁保護層30によって酸化物半導体TFT12を保護することが可能である。
なお、絶縁保護層30は、センサ基板50における基板401と光電変換層20との間や、センサ基板50とTFT基板10との間に配置されていてもよい。あるいは、TFT基板10における酸化物半導体TFT12よりもセンサ基板50側に絶縁保護層30が形成されていてもよい。
本発明の実施形態は、放射線検出器などの検出器だけでなくTFTを備えた装置や電子機器に広く適用可能である。特に、装置または電子機器の製造プロセス中あるいは完成後の使用時において、X線を照射される可能性のある装置または電子機器に適用すると、より顕著な効果が得られる。
本明細書は、以下の項目に記載の半導体装置および半導体装置の製造方法を開示している。
[項目1]
基板と、前記基板に支持され、半導体層を含む薄膜トランジスタと、前記基板の法線方向から見たとき、前記半導体層の少なくとも一部と重なるように配置された絶縁保護層とを備え、前記絶縁保護層は、ポリパラキシリレンを主成分とし、パラジウム、タンタルおよびバナジウムからなる群から選択された少なくとも1種の金属元素と、ガリウム、金、アルゴン、セシウム、ナトリウムおよびマグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含有する半導体装置。
項目1に記載の半導体装置は、水素および酸素に対するパッシベーション特性に優れた絶縁保護層を備えているので、酸素や水素に起因する半導体層の特性変動を抑制できる。従って、半導体装置の使用時に生じる薄膜トランジスタ特性の変動を抑制でき、薄膜トランジスタの特性を安定化できる。
[項目2]
前記少なくとも1種の金属元素はパラジウムであり、前記少なくとも1種の元素はガリウムである項目1に記載の半導体装置。
項目2に記載の半導体装置によれば、絶縁保護層によって、薄膜トランジスタの半導体層とその外部との間で酸素や水素などが拡散することをより効果的に抑制できるので、薄膜トランジスタの特性変動をより確実に低減できる。
[項目3]
前記少なくとも1種の金属元素の濃度および前記少なくとも1種の元素の濃度は、前記絶縁保護層の表面近傍で、前記絶縁保護層の他の部分よりも高い項目1または2に記載の半導体装置。
項目3に記載の半導体装置によれば、例えばポリパラキシリレン膜に上記金属元素や上記元素を添加することにより、より容易に、パッシベーション特性を高めることができる。
[項目4]
前記半導体層の、前記基板と反対側に配置された光電変換層をさらに備え、前記絶縁保護層は、前記基板の法線方向から見たとき前記光電変換層の少なくとも一部と重なるように配置されている項目1から3のいずれかに記載の半導体装置。
項目4に記載の半導体装置によれば、薄膜トランジスタの半導体層に例えば放射線や光が入射することによる半導体特性の変動をより確実に抑制できる。
[項目5]
前記絶縁保護層は、前記半導体層と前記光電変換層との間に配置されている項目4に記載の半導体装置。
項目5に記載の半導体装置によれば、薄膜トランジスタの半導体層に例えば放射線や光が入射することによる半導体特性の変動をより確実に抑制できる。
[項目6]
前記絶縁保護層は、前記光電変換層の上方に配置されている項目4に記載の半導体装置。
項目6に記載の半導体装置によれば、薄膜トランジスタの半導体層に例えば放射線や光が入射することによる半導体特性の変動を抑制でき、かつ、光電変換層も絶縁保護層により保護できる。
[項目7]
前記光電変換層は、X線で照射されると電荷を発生する層である項目4から6のいずれかに記載の半導体装置。
項目7に記載の半導体装置は、例えばX線検出器に適用され得る。
[項目8]
前記半導体層は酸化物半導体層である項目1から7のいずれかに記載の半導体装置。
項目8に記載の半導体装置によれば、酸化物半導体層とその外部との間で酸素や水素が出入りすることに起因する半導体特性の変動を抑制できるので、TFT特性を安定化できる。
[項目9]
前記酸化物半導体層はIn−Ga−Zn−O系半導体を含む項目8に記載の半導体装置。
[項目10]
前記In−Ga−Zn−O系半導体は結晶質部分を含む項目9に記載の半導体装置。
[項目11]
基板上に、半導体層を含む薄膜トランジスタを形成する工程(A)と、前記半導体層の上方に、前記基板の法線方向から見たとき、前記半導体層の少なくとも一部と重なるように絶縁保護層を形成する工程(B)とを包含し、前記工程(B)は、前記半導体層の上方に、ポリパラキシリレン膜を形成する工程(b1)と、前記ポリパラキシリレン膜に、ガリウム、金、アルゴン、セシウム、ナトリウムおよびマグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種の元素を付与する工程(b2)と、前記ポリパラキシリレン膜に、パラジウム、タンタルおよびバナジウムからなる群から選択された少なくとも1種の金属元素を付与する工程(b3)とを含む半導体装置の製造方法。
項目11に記載の方法によれば、薄膜トランジスタの特性変動を抑制し得る絶縁保護層を備えた半導体装置を製造できる。
[項目12]
前記工程(b3)では、スパッタリング法または真空アーク法を用いて、前記少なくとも1種の金属元素を前記ポリパラキシリレン膜に付与する項目11に記載の半導体装置の製造方法。
項目12に記載の方法によれば、水素に対するバリア性を高めるための金属元素をポリパラキシリレン膜に付与することができる。
[項目13]
前記工程(b2)では、前記少なくとも1種の元素のイオンを前記ポリパラキシリレン膜に注入する項目11または12に記載の半導体装置の製造方法。
項目13に記載の方法によれば、酸素に対するバリア性を高めるための元素をポリパラキシリレン膜に付与することができる。また、元素を付与する深さを容易に制御できる。
[項目14]
前記工程(A)と前記工程(B)との間に、光電変換層を形成する工程をさらに含み、前記工程(b1)において前記ポリパラキシリレン膜は前記光電変換層の上方に形成される項目11から13のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
項目14に記載の方法は、光検出器や放射線検出器などにも適用され得る。
[項目15]
前記工程(B)の後に、前記絶縁保護層の上方に光電変換層を形成する工程をさらに含む項目11から14のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
[項目16]
前記半導体層は酸化物半導体層であり、前記工程(A)は、前記半導体層に対して、200℃以上500℃以下の温度でアニール処理を行う工程(a1)を含む項目11から15のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
項目16に記載の方法によれば、アニール処理によって酸化物半導体層の特性を改善した後、絶縁保護層により、その特性を維持することが可能になるので、薄膜トランジスタの信頼性をさらに高めることができる。
[項目17]
前記酸化物半導体層はIn−Ga−Zn−O系半導体を含む項目16に記載の半導体装置の製造方法。
[項目18]
前記In−Ga−Zn−O系半導体は結晶質部分を含む項目17に記載の半導体装置の製造方法。
本発明の実施形態は、TFTを備えた装置や電子機器に広く適用可能である。例えば、アクティブマトリクス基板等の回路基板、放射線検出器、イメージセンサ等の撮像装置、画像入力装置や指紋読み取り装置等の電子装置、液晶表示装置、有機エレクトロルミネセンス(EL)表示装置および無機エレクトロルミネセンス表示装置等の表示装置に適用され得る。特に、医療や非破壊検査、食品、セキュリティの分野で使用されるX線イメージセンサなどの放射線検出器に適用すると、TFTに対する高エネルギーの放射線の照射によって引き起こされる特性の劣化を効果的に抑制できる。
10 TFT基板
12 酸化物半導体TFT
14 補助容量
16 画素電極
20 光電変換層
22 バイアス電極
30 絶縁保護層
100、200、300 放射線検出器
301 基板
302 ゲート電極
302w ゲート配線
303 補助容量電極
304 絶縁層
305 酸化物半導体層
306 ソース電極
306w ソース配線
307 ドレイン電極
308 パッシベーション膜
309 層間絶縁層
310 上部画素電極
311 導電性部材
312 スペーサ

Claims (5)

  1. 基板と、
    前記基板に支持され、半導体層を含む薄膜トランジスタと、
    前記基板の法線方向から見たとき、前記半導体層の少なくとも一部と重なるように配置された絶縁保護層と
    を備え、
    前記絶縁保護層は、ポリパラキシリレンを主成分とし、
    パラジウム、タンタルおよびバナジウムからなる群から選択された少なくとも1種の金属元素と、
    ガリウム、金、アルゴン、セシウム、ナトリウムおよびマグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種の元素とを含有する半導体装置。
  2. 前記少なくとも1種の金属元素はパラジウムであり、
    前記少なくとも1種の元素はガリウムである請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記少なくとも1種の金属元素の濃度および前記少なくとも1種の元素の濃度は、前記絶縁保護層の表面近傍で、前記絶縁保護層の他の部分よりも高い請求項1または2に記載の半導体装置。
  4. 前記半導体層は酸化物半導体層である請求項1から3のいずれかに記載の半導体装置。
  5. 基板上に、半導体層を含む薄膜トランジスタを形成する工程(A)と、
    前記半導体層の上方に、前記基板の法線方向から見たとき、前記半導体層の少なくとも一部と重なるように絶縁保護層を形成する工程(B)と
    を包含し、
    前記工程(B)は、
    前記半導体層の上方に、ポリパラキシリレン膜を形成する工程(b1)と、
    前記ポリパラキシリレン膜に、ガリウム、金、アルゴン、セシウム、ナトリウムおよびマグネシウムからなる群から選択された少なくとも1種の元素を付与する工程(b2)と、
    前記ポリパラキシリレン膜に、パラジウム、タンタルおよびバナジウムからなる群から選択された少なくとも1種の金属元素を付与する工程(b3)と
    を含む半導体装置の製造方法。
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