JP2014234839A - 弾性収縮体 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐久性を確保しつつ推力を大きくできる弾性収縮体を提供すること。
【解決手段】管状体2の軸方向の1箇所以上において、円環状の規制部4が管状体2の周方向に亘って配設される。規制部4は、管状体2が径方向に膨張するのに伴って周方向に伸張されるので、管状体2の受圧面積を大きくでき、推力を大きくできる。また、規制部4は、周方向のばね定数が、管状体2の周方向のばね定数より大きく設定されるので、その相対差によって管状体2の径方向の膨張が制限される。その結果、管状体2の周方向の伸びが低減されるので、管状体2の耐疲労性(耐久性)を確保できる。
【選択図】図1
【解決手段】管状体2の軸方向の1箇所以上において、円環状の規制部4が管状体2の周方向に亘って配設される。規制部4は、管状体2が径方向に膨張するのに伴って周方向に伸張されるので、管状体2の受圧面積を大きくでき、推力を大きくできる。また、規制部4は、周方向のばね定数が、管状体2の周方向のばね定数より大きく設定されるので、その相対差によって管状体2の径方向の膨張が制限される。その結果、管状体2の周方向の伸びが低減されるので、管状体2の耐疲労性(耐久性)を確保できる。
【選択図】図1
Description
本発明は弾性収縮体に関し、特に耐久性を確保しつつ推力を大きくできる弾性収縮体に関するものである。
弾性体から構成される管状体の両端を閉鎖し、閉鎖された管状体内に流体を注入することで、管状体を径方向に膨張させて管状体の受圧面積(軸線と直交する面積)を拡大させ、軸方向の推力を得る流体注入式アクチュエータ(弾性収縮体)が知られている(特許文献1)。特許文献1に開示される技術では、管状体の外周部にリング状の膨張規制用部材が接着される。膨張規制用部材は管状体の径方向への膨張を制限するための部材であり、金属製や合成樹脂製とされる。膨張規制用部材によって管状体の径方向の膨張量が制限されるので、管状体の耐久性(耐疲労性)を向上させることができる。
しかしながら上述した従来の技術では、膨張規制用部材によって管状体の径方向の膨張量が制限されるので、管状体の受圧面積の拡大も制限される。そのため、軸方向の推力を大きくすることができないという問題がある。
本発明は上述した問題を解決するためになされたものであり、耐久性を確保しつつ推力を大きくできる弾性収縮体を提供することを目的としている。
請求項1記載の弾性収縮体によれば、弾性体により構成される管状体の両端が閉鎖部材によってそれぞれ閉鎖され、閉鎖部材および管状体により形成される空間に流体が供給される。その流体の圧力によって管状体が径方向に膨張されて軸方向に収縮され、軸方向の推力が得られる。
管状体の軸方向の1箇所以上において、円環状の規制部が、管状体の周方向に亘って配設される。規制部は弾性体から構成されるので、管状体が径方向に膨張するのに伴って周方向に伸張される。規制部が周方向に伸張することによって、規制部が周方向に伸張できない場合と比較して、管状体の受圧面積を大きくできる。よって、推力を大きくできる。
また、規制部は、周方向のばね定数が、管状体の周方向のばね定数より大きく設定されるので、ばね定数の相対差の分だけ、規制部によって管状体の径方向の膨張が制限される。その結果、管状体の周方向の伸びを低減できるので、管状体の耐疲労性(耐久性)を確保できる。従って、耐久性を確保しつつ推力を大きくできる効果がある。
請求項2記載の弾性収縮体によれば、複数の繊維により構成される補強材が管状体に埋設されているので、請求項1の効果に加え、耐荷重、耐衝撃性等を向上させることができる効果がある。さらに、補強材は管状体の軸線に沿って埋設されているので、補強材によって管状体の周方向の伸張が妨げられることを防止できる。これにより、補強材によって受圧面積の増大、即ち推力の増大を抑制され難くできる効果がある。
請求項3記載の弾性収縮体によれば、規制部は、管状体と一体にゴム状弾性体から構成される。規制部の径方向の厚さ及び管状体の径方向の厚さの合計は、管状体の径方向の厚さより大きく設定されている。規制部の位置でゴム状弾性体の厚さを大きくできるので、周方向のばね定数を大きくできる。よって、請求項1又は2の効果に加え、規制部の作成を容易化できる効果がある。
請求項4記載の弾性収縮体によれば、規制部は、管状体の軸方向の2箇所以上に設けられる。管状体の端部には閉鎖部材が位置するので、閉鎖部材によって管状体の端部側の径方向の膨張は規制される。一方、規制部間の管状体は、両端に位置する規制部の径方向の膨張に伴い、規制部より大きく径方向に膨張する。従って、仮に、管状体を等分する位置に規制部が配置された場合には、規制部間の管状体の膨張率が、管状体の端部(閉鎖部材)と規制部との間の管状体の膨張率より大きくなる。そのため、端部(閉鎖部材)と規制部との間の管状体が膨張することによって生じる推力は、規制部間の管状体が膨張することによって生じる推力より小さくなる。換言すれば、端部(閉鎖部材)と規制部との間の管状体の膨張は、推力にあまり寄与しない。
これに対し、無負荷のときの管状体の端部(閉鎖部材)とその端部に最も近接する規制部との軸方向の距離は、無負荷のときの規制部間の軸方向の距離より大きく設定される。これにより、管状体を等分する位置に規制部が配置された場合と比較して、端部(閉鎖部材)と規制部との間の管状体の膨張率を大きくできる。これにより、端部(閉鎖部材)と規制部との間の管状体が膨張することによって生じる推力を大きくできる。従って、請求項1から3の効果に加え、規制部間の管状体による推力と合わせて、弾性収縮体の推力を大きくできる効果がある。
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して第1実施の形態について説明する。図1は本発明の第1実施の形態における弾性収縮体1の部分断面図である。図1に示すように、弾性収縮体1は、ゴム状弾性体から管状に形成される管状体2と、管状体2の両端に固着される閉鎖部材5,12とを備えて構成される。管状体2は、シリコーンゴムやその他の合成ゴム、天然ラテックスゴム等のゴム状弾性体から管状に構成される部材であり、補強材3が管状体2の長手方向に沿って埋設され、規制部4が管状体2の軸方向中央部に配設されている。
図2を参照して管状体2について説明する。図2は管状体2の部分断面図である。補強材3は複数の繊維により構成されており、管状体2の長手方向(軸線O方向)に沿って管状体2の厚さ方向の略中央に埋設される。補強材3は、管状体2の周方向に略均等に配置され、全体として筒状の繊維群として管状体2に埋設される。
補強材3を構成する繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、ナイロン、ポリアミド系繊維やポリオレフィン系繊維、金属繊維等を適宜選択して用いることができる。また、繊維はフィラメント、ヤーン(スパン・ヤーン及びフィラメント・ヤーン)、ストランドのいずれも用いることができ、さらに、撚りをかけずに収束させた無撚繊維、これらの繊維を複数本撚って作成した繊維を用いることも可能である。繊維の種類にもよるが、二種類以上の種類の異なる繊維を組み合わせても良い。
規制部4は、ゴム状弾性体から円環状に形成される部位であり、本実施の形態では、管状体2を構成するゴム状弾性体と同一種類のゴム状弾性体によって管状体2と一体に形成されている。規制部4は、管状体2の外周部に形成されており、規制部4の径方向の厚さ及び管状体2の径方向の厚さの合計は、管状体2の径方向の厚さより大きく設定されている。この径方向の厚さの相違によって、規制部4(及び管状体2)の周方向のばね定数は、管状体2の周方向のばね定数より大きく設定されている。
ここで、管状体2の製造方法について説明する。管状体2の成形型(図示せず)内に、成形型の軸線に沿って軸線の周りに補強材3(金属繊維)を筒状に配置する。次に、ゴム状弾性材により管状体2及び規制部4を加硫成形すると同時に補強材3を加硫接着して、ゴム状弾性体に補強材3を埋設する。成形されたゴム状弾性体を成形型から取り出した後、所定の長さに切断する。これにより、補強材3が埋設されると共に規制部4が一体に形成された管状体2を得ることができる。
以上のように、規制部4は管状体2に一体に加硫形成されるので、管状体2に規制部4を設ける作業の作業性を向上できる。仮に、補強材3が埋設された管状体2を製造した後、その管状体2の外周部に規制部4を設ける場合には、管状体2の外周部に規制部4を固着するという作業が必要となる。本実施の形態によれば、その作業を省略できるので、弾性収縮体1の製造コストを削減できる。また、本実施の形態によれば、管状体2を加硫成形すると同時に補強材3(金属繊維)を加硫接着するので、加硫成形を要しないシリコーンゴム等のゴム状弾性体に補強材3を接着する場合と比較して、生産性を向上できる。
図1に戻って説明する。管状体2の両端に閉鎖部材5,12が固着される。閉鎖部材5,12は、管状体2の両端を閉鎖するための部材である。閉鎖部材5は、管状体2の端部に圧入されるパイプ状の嵌挿部6と、嵌挿部6の端部に形成され管状体2の端部に当接するフランジ7と、嵌挿部6及びフランジ7に貫通形成されると共に管状体2の内部と連通する孔部5aを閉鎖するための部材端部8とを備えている。かしめ部9は、嵌挿部6が嵌挿された管状体2の外周側に位置する。かしめ部9が縮径されることにより、かしめ部9及び嵌挿部6により管状体2が挟圧され、管状体2が封止される。
閉鎖部材5は、孔部5aと連通する流体圧供給管10が部材端部8に固着され、流体圧供給管10は、流体圧供給装置11に接続される。流体圧供給装置11は、電磁弁(図示せず)により流体圧供給管10に加圧流体(圧縮空気)を供給するか又は流体圧供給管10を大気開放するかを切り換え可能に構成されている。なお、閉鎖部材12は、流体圧供給管10が設けられていない以外は閉鎖部材5と同一に構成されており、管状体2の一端を閉鎖する。
次に図3を参照して、弾性収縮体1の動作について説明する。図3(a)は内圧が大気圧と同一のときの弾性収縮体1の側面図であり、図3(b)は内圧が上昇したときの弾性収縮体1の側面図である。
図3(a)に示すように、弾性収縮体1は、閉鎖部材5,12が固着された管状体2の端部と規制部4との間の軸方向長さ(自然長)がLoに設定され、内圧がかかっておらず軸方向の外力(引張力)も作用していないときの管状体2の内径がφoに設定される。弾性収縮体1は、流体圧供給装置11(図1参照)により管状体2の内部に加圧流体を供給することによって、図3(b)に示すように、管状体2を径方向に膨張させ、軸方向に収縮させることができる。管状体2を径方向に膨張させた状態から、流体圧供給装置11により管状体2の内部を大気開放することによって、図3(a)に示すように、管状体2は元の状態に復元される。
補強材3(図2参照)は管状体2の軸線Oに沿って埋設されているので、管状体2の内圧を上昇させると、補強材3間の距離が広がることによって管状体2が径方向に膨張される。補強材3は管状体2の軸方向に沿って埋設されており、繊維の配向に異方性を有している。そのため、管状体2に対する補強材3による周方向の拘束力は、軸方向の拘束力と比較して圧倒的に小さい。従って、管状体2を径方向に膨張させ易くできるので、軸方向の収縮率を確保できる。
弾性収縮体1に圧縮空気を注入して管状体2の内圧を大きくすると、径方向に管状体2が膨張することで、軸方向に収縮し推力が発生する。弾性収縮体1の推力は、受圧面積(軸線Oと直交する面積)の関係により管状体2が収縮すればするほど大きくなるが、推力が大きくなると、逆に管状体2が元に戻ろうとする復元力も大きくなる。その結果、推力と復元力とが釣り合う位置で管状体2の収縮が停止する。
ここで、規制部4は、円環状のゴム状弾性体から構成され、管状体2の周方向に亘って配設されているので、管状体2が径方向に膨張するのに伴って周方向に伸張される。これにより、弾性収縮体1が最大に収縮したときには、図3(b)に示すように、管状体2は、規制部4の位置で内径φoから内径φfに膨張し、規制部4と閉鎖部材5,12との間では内径φoから内径φmに膨張する。管状体2は、内径φf,φmに膨張したところで推力と復元力とが釣り合うものとする。このときの内径φf,φmを最大径という。
弾性収縮体1は規制部4が周方向に伸張するので、規制部4が周方向に伸張しない場合と比較して、管状体2の受圧面積を大きくできる。軸方向の推力は受圧面積の大きさに依存するので、本実施の形態によれば、規制部4が周方向に伸張できない場合と比較して、推力を大きくできる。
なお、補強材3は管状体2に対する周方向の拘束力が小さいので、補強材3間の伸び量が大きくなるにつれ、弾性収縮体1の耐疲労性が低下してしまう。これを防止するため、規制部4は、周方向のばね定数が、管状体4の周方向のばね定数より大きく設定される。ばね定数の相対差があるので、規制部4によって管状体2の径方向の膨張が制限され、規制部4の位置の管状体2の内径φfを、規制部4と閉鎖部材5,12との間の管状体2の内径φmより小さくできる(φm>φf)。
これにより、管状体2の軸方向の1箇所以上(本実施の形態では管状体2の軸方向の中央部)に節となる部分が形成される(図3(b)参照)。節(規制部4)によって管状体2の軸方向の長さが二分されるので、節(規制部4)が設けられていないときに膨張する管状体e(図3(b)参照)と比較して、膨張する管状体2の最大径を小さくできる。そのため、補強材3間のゴム状弾性体の周方向の伸びの最大値を小さくすることができるので、弾性収縮体1の耐疲労性(耐久性)を確保できる。
また、補強材3(図2参照)は、円環状に形成される規制部4に対して管状体2の軸線O側に埋設されるので、補強材3が埋設された管状体2が径方向に膨張するときに、補強材3間のゴム状弾性体の周方向の伸びを規制部4に拘束させることができる。また、補強材3と規制部4との間に位置するゴム状弾性体に径方向の圧縮力を作用させることができるので、弾性収縮体1の耐疲労性(耐久性)を確保できる。
これに対し、規制部4が補強材3の内周側に配置される場合には、補強材3が埋設された管状体2が径方向に膨張するときに、補強材3と規制部4との間に位置するゴム状弾性体に径方向の引張力が作用する。そのため、補強材3と規制部4との距離が広がるようにゴム状弾性体が膨張する。その結果、補強材3間のゴム状弾性体の周方向の伸びが規制部4に拘束され難くなるので、弾性収縮体1の耐疲労性を確保できなくなる。本実施の形態によれば、この問題を上述したように解決できる。
次に図4を参照して、第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、管状体2の軸方向の中央部の1箇所に規制部4が配置される弾性収縮体1について説明した。これに対し第2実施の形態では、管状体22の軸方向の2箇所に規制部24が配置される弾性収縮体21について説明する。なお、第1実施の形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図4(a)は内圧が大気圧と同一のときの第2実施の形態における弾性収縮体21の側面図であり、図4(b)は内圧が上昇したときの弾性収縮体21の側面図である。
図4(a)に示すように弾性収縮体21は、管状体2の軸方向の2箇所に円環状の規制部24が配設される。なお、管状体22は、軸線に沿って補強材(図示せず)が埋設されている。弾性収縮体21は、内圧がかかっていないときの管状体21(自然長)において(図4(a)参照)、規制部24(図4(a)右側)と閉鎖部材5との距離、規制部24(図4(a)左側)と閉鎖部材12との距離がいずれもL1に設定され、規制部24間の距離がL2に設定される。距離L1は距離L2より大きい値に設定されている(L1>L2)。
管状体22の端部には閉鎖部材5,12が位置するので、弾性収縮体21の内圧を上昇させたときには、閉鎖部材5,12によって管状体22の端部側(距離L1の部分)の径方向の膨張は規制される。管状体22の端部側(距離L1の部分)の最大径を内径φrとする。一方、規制部24間の管状体22(距離L2の部分)は、両端に位置する規制部24の径方向の膨張に伴い、規制部24より大きく径方向に膨張する。規制部24の位置の管状体22の最大径を内径φfとし、規制部24間の管状体22の最大径を内径φnとすると、φn>φfとなる。
仮に、管状体22を等分する位置に規制部24が配置された場合には、規制部24間の管状体22の径方向の膨張率(φn/φo)が、端部(閉鎖部材5,12)と規制部24との間の管状体22の径方向の膨張率(φr/φo)より大きくなる。そのため、端部(閉鎖部材5,12)と規制部24との間の管状体22(内径φrの部分)によって生じる軸方向の推力は、規制部24間の管状体22(内径φnの部分)によって生じる推力より小さい。即ち、端部(閉鎖部材5,12)と規制部24との間の管状体22(内径φrの部分)の膨張は、弾性収縮体21の推力にあまり寄与しない。
これに対し本実施の形態では、内圧がかかっていないときの管状体21(自然長)において(図4(a)参照)、規制部24と閉鎖部材5,12との距離L1が、規制部24間の距離L2より大きい値に設定されているので、管状体22を等分する位置に規制部24が配置された場合と比較して、距離L1が大きい分だけ、端部(閉鎖部材5,12)と規制部24との間の管状体22の膨張率(φr/φo)を大きくできる。これにより、端部(閉鎖部材5,12)と規制部24との間の管状体22(距離L1の部分)が膨張することによって生じる推力を大きくできる。従って、耐疲労性を確保しつつ、規制部24間の管状体22(距離L2の部分)による推力と合わせて、弾性収縮体21の推力を大きくできる。
特に本実施の形態によれば、内径φrと内径φnとが等しくなるように、規制部24と閉鎖部材5,12との距離L1及び規制部24間の距離L2が調整されている。これにより、端部(閉鎖部材5,12)と規制部24との間の管状体22(距離L1の部分)の受圧面積と、規制部24間の管状体22(距離L2の部分)の受圧面積とを同一にできる。その結果、規制部24で3つの領域に区画された管状体22をバランス良く膨張収縮させることができ、弾性収縮体21の推力を最大にすることができる。
以下、実験例により本発明を具体的に説明する。本実施例では、まず、伸張不能に形成された規制部を備える弾性収縮体について実験し(実験例1〜5)、次いで、伸張可能に形成された規制部を備える弾性収縮体について実験した(実験例6,7)。なお、本発明はこれらの実験例に限定されるものではない。
(実験例1)
まず、ゴム状弾性材を加硫成形して、軸線Oに沿って補強材3が埋設された管状体2を得た。次いで、管状体2の軸方向の中央部の1箇所に節が形成されるように、円環状の規制部(リング部材)を管状体2の外周部に接着した。補強材3は金属繊維により構成し、管状体2の内径φoは20mmとした。また、規制部(リング部材)は金属製とし、伸張不能に構成されている。
まず、ゴム状弾性材を加硫成形して、軸線Oに沿って補強材3が埋設された管状体2を得た。次いで、管状体2の軸方向の中央部の1箇所に節が形成されるように、円環状の規制部(リング部材)を管状体2の外周部に接着した。補強材3は金属繊維により構成し、管状体2の内径φoは20mmとした。また、規制部(リング部材)は金属製とし、伸張不能に構成されている。
得られた管状体2の両端に閉鎖部材5,12を固着し、管状体2の両端を閉鎖して実験例1における弾性収縮体を得た。実験例1における弾性収縮体は、閉鎖部材5,12が固着された管状体2の端部と規制部との間の軸方向長さ(自然長)Loを内径φoで除した比率Lo/φoが1.00に設定されている。
(実験例2)
比率Lo/φoを1.25(内径φo=20mm)に設定した以外は実験例1と同様にして、実験例2における弾性収縮体を得た。
比率Lo/φoを1.25(内径φo=20mm)に設定した以外は実験例1と同様にして、実験例2における弾性収縮体を得た。
(実験例3)
比率Lo/φoを1.75(内径φo=20mm)に設定した以外は実験例1と同様にして、実験例3における弾性収縮体を得た。
比率Lo/φoを1.75(内径φo=20mm)に設定した以外は実験例1と同様にして、実験例3における弾性収縮体を得た。
(実験例4)
比率Lo/φoを2.00(内径φo=20mm)に設定した以外は実験例1と同様にして、実験例4における弾性収縮体を得た。
比率Lo/φoを2.00(内径φo=20mm)に設定した以外は実験例1と同様にして、実験例4における弾性収縮体を得た。
(実験例5)
比率Lo/φoを2.25(内径φo=20mm)に設定した以外は実験例1と同様にして、実験例5における弾性収縮体を得た。
比率Lo/φoを2.25(内径φo=20mm)に設定した以外は実験例1と同様にして、実験例5における弾性収縮体を得た。
(比較例)
管状体の外周部に規制部(リング部材)を接着することを省略して、管状体に節が形成されないようにした以外は実験例1と同様にして、比較例における弾性収縮体(内径φo=20mm)を得た。なお、管状体の軸方向長さLo(閉鎖部材5,12間の軸方向長さ(自然長))は60mmである。
管状体の外周部に規制部(リング部材)を接着することを省略して、管状体に節が形成されないようにした以外は実験例1と同様にして、比較例における弾性収縮体(内径φo=20mm)を得た。なお、管状体の軸方向長さLo(閉鎖部材5,12間の軸方向長さ(自然長))は60mmである。
(弾性収縮体の動作試験)
弾性収縮体に圧縮空気を注入して軸方向の推力を発生させ、管状体が元に戻ろうとする復元力と推力とを釣り合わせて、復元力と推力とが釣り合う位置で管状体の収縮を停止させる。この操作を行うと管状体に径方向のクリープ変形が生じるので、この操作を3回繰返し、3回目の操作のときの弾性収縮体の収縮率を最大収縮率とした。収縮が停止したときの管状体の端部と節(規制材)との間の軸方向長さをLとすると、最大収縮率(%)は(Lo−L)/Lo×100で表すことができる。このようにして、実験例1〜5及び比較例の弾性収縮体の最大収縮率を測定した。
弾性収縮体に圧縮空気を注入して軸方向の推力を発生させ、管状体が元に戻ろうとする復元力と推力とを釣り合わせて、復元力と推力とが釣り合う位置で管状体の収縮を停止させる。この操作を行うと管状体に径方向のクリープ変形が生じるので、この操作を3回繰返し、3回目の操作のときの弾性収縮体の収縮率を最大収縮率とした。収縮が停止したときの管状体の端部と節(規制材)との間の軸方向長さをLとすると、最大収縮率(%)は(Lo−L)/Lo×100で表すことができる。このようにして、実験例1〜5及び比較例の弾性収縮体の最大収縮率を測定した。
最大収縮率が大きくなるにつれ、推力と復元力とが釣り合って収縮が停止したとき(収縮が最大となるとき)の管状体(ゴム状弾性体)の周方向の伸びは大きくなるので、耐疲労性は低下する。そこで、まず、弾性収縮体の収縮が最大となるときの実験例2における弾性収縮体の管状体の周方向の最大伸びと、実験例1,3〜5及び比較例における弾性収縮体の管状体の周方向の最大伸びとの比率を算出した。次に、その結果を基に、実験例2における弾性収縮体の耐疲労性を100としたときの実験例1,3〜5及び比較例における弾性収縮体の耐疲労性を算出した。
表1に、実験例1〜5及び比較例における弾性収縮体の比率Lo/φo、最大収縮率(%)及び耐疲労性、収縮性能および耐疲労性の評価、並びに総合評価を記載した。表1に記載した収縮性能の評価基準は、25%以上:○、20%以上25%未満:△、20%未満:×である。耐疲労性の評価基準は、50以上:○、20以上50未満:△、20未満:×である。総合評価の欄には、収縮性能および耐疲労性の評価のうち低い方の評価を記載した。
特に、比率Lo/φoを1.75〜2.00に設定することにより(実験例3及び4)、最大収縮率を25%以上にすることができるので、ストロークの大きな弾性収縮体が得られることが確認された。なお、この関係は、内径φoが20mm以外(例えば10mm及び40mm)の管状体を用いた弾性収縮体においても成立することが確認された。
(実験例6)
これまでの実験で、実験例2〜5における弾性収縮体は収縮性能と耐疲労性とを両立できることが確認された。そこで、これらの弾性収縮体について、伸縮可能に構成された規制部を採用した場合の推力を検討した。
これまでの実験で、実験例2〜5における弾性収縮体は収縮性能と耐疲労性とを両立できることが確認された。そこで、これらの弾性収縮体について、伸縮可能に構成された規制部を採用した場合の推力を検討した。
伸縮不能な金属製のリング部材で構成された規制部を、ゴム状弾性体から構成される規制部(伸縮可能なリング部材)に代えた以外は実験例2と同様にして、実験例6における弾性収縮体を得た。この規制部が採用された実験例6における弾性収縮体は、最大収縮時の管状体の内径φm(図3(b)参照)を、内圧がかかっていないときの初期の管状体の内径φoで除した比率φm/φoが、2.24に設定されている。
一方、実験例2における弾性収縮体は、初期に対する最大収縮時の比率φm/φoが1.71であることが測定された。また、最大収縮時の実験例2における弾性収縮体の推力を100とすれば、最大収縮時の実験例6における弾性収縮体の推力は111であることが確認された。
(実験例7)
伸縮不能な金属製のリング部材で構成された規制部を、ゴム状弾性体から構成される規制部(伸縮可能なリング部材)に代えた以外は実験例4と同様にして、実験例7における弾性収縮体を得た。実験例7における弾性収縮体は、最大収縮時の比率φm/φoが2.97に設定されている。
伸縮不能な金属製のリング部材で構成された規制部を、ゴム状弾性体から構成される規制部(伸縮可能なリング部材)に代えた以外は実験例4と同様にして、実験例7における弾性収縮体を得た。実験例7における弾性収縮体は、最大収縮時の比率φm/φoが2.97に設定されている。
一方、実験例4における弾性収縮体は、初期に対する最大収縮時の比率φm/φoが2.27であることが測定された。また、最大収縮時の実験例2における弾性収縮体の推力を100とすれば、最大収縮時の実験例4における弾性収縮体の推力は164であり、最大収縮時の実験例7における弾性収縮体の推力は179であることが確認された。
(耐久性試験)
次に、実験例6及び7における弾性収縮体、並びに比較例における弾性収縮体について室温下で耐久性試験を実施した。耐久性試験は、各弾性収縮体の最大収縮率となるまで各弾性収縮体に圧縮空気を注入して加圧した後、加圧された各弾性収縮体内を大気開放し、その後、再び加圧することを繰り返す試験である。この耐久性試験において、比較例における弾性収縮体は、加圧−大気開放の繰り返し数が1万回で破壊された。
次に、実験例6及び7における弾性収縮体、並びに比較例における弾性収縮体について室温下で耐久性試験を実施した。耐久性試験は、各弾性収縮体の最大収縮率となるまで各弾性収縮体に圧縮空気を注入して加圧した後、加圧された各弾性収縮体内を大気開放し、その後、再び加圧することを繰り返す試験である。この耐久性試験において、比較例における弾性収縮体は、加圧−大気開放の繰り返し数が1万回で破壊された。
これに対し、実験例6及び7における弾性収縮体は、加圧−大気開放の繰り返し数が10万回を超えても破壊されなかった。この試験から、実験例6及び7における弾性収縮体によれば、管状体に伸縮可能な節(規制部)を設けることにより管状体を構成するゴム状弾性体の周方向の伸びを小さくできるので、弾性収縮体の耐疲労性を向上できることが明らかとなった。さらに、受圧面積を大きくできるので、推力を大きくできることが明らかとなった。即ち、耐疲労性(耐久性)を確保しつつ推力を大きくできることが明らかとなった。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記実施の形態で挙げた数値や形状(例えば各構成の数量や寸法、形状等)は一例であり、他の数値や形状を採用することは当然可能である。また、補強材3を構成する繊維の量を増減することは当然可能である。
上記各実施の形態では、管状体2,22が加硫成形され、金属繊維により構成される補強材3が管状体2,22に加硫接着される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。ナイロン等の他の繊維を用いて、管状体2,22に加硫接着することは当然可能であり、加硫成形を要しないシリコーンゴム等のゴム状弾性体から管状体2,22を構成することも当然可能である。また、補強材3,23及び規制部4,24は金属繊維に限られるものではなく、ガラス繊維や炭素繊維、合成樹脂製繊維等の各種繊維を採用することは当然可能である。
上記各実施の形態では、弾性収縮体1,12は流体圧供給装置11から圧縮空気が供給される場合について説明した。しかし、空気等の圧縮性流体が供給される弾性収縮体1,21に限定するものではなく、弾性収縮体1,21に水や油等の非圧縮性流体が供給されるようにすることは当然可能である。
上記第1実施の形態では管状体2に節が1箇所に形成され、上記第2実施の形態では管状体22に節が2箇所に形成される場合について説明した。しかし、節の数はこれらに限定されるものではなく、規制部4,24が配置される箇所を増やすことによって、管状体に3つ以上の節が形成されるようにすることは当然可能である。
なお、管状体に3つ以上の節が形成される場合には、初期状態(管状体に内圧がかかっていない状態)における節間の管状体の軸方向の距離(以下「節間距離」と称す)が同一となるように設定される。これにより、節間の管状体の最大径を同一にできるので、節間の管状体で得られる推力をバランス良くできる。
上記各実施の形態では、規制部4,24が管状体2,22と一体に形成されることで、規制部4,24が管状体2,22の外周部に配置される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、規制部4,24が管状体2,22の内周部に配置されるように、規制部4,24を管状体2,22と一体に形成することは当然可能である。規制部4,24が管状体2,22の内周部に配置されることで、管状体2,22の外周部を滑らかにすることができる。
また、上記各実施の形態では、規制部4,24が管状体2,22と一体に成形される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、管状体2,22と別部材の規制部4,24を用意し、管状体2,22を成形した後、管状体2,22の外周部に規制部4,24を接着等によって固着することは当然可能である。
上記実施の形態では説明を省略したが、複数の弾性収縮体1,21を用いて、弾性収縮体1,21の両端に設けられた閉鎖部材5,12同士を軸方向に連結することは当然可能である。閉鎖部材5,12同士を軸方向に連結する場合には、軸方向に貫通する貫通孔を閉鎖部材5,12に形成し、その貫通孔を介して、複数の弾性収縮体1,21を連通させるようにすることは当然可能である。
1,21 弾性収縮体
2,22 管状体
3 補強材
4,24 規制部
5,12 閉鎖部材
O 軸線
2,22 管状体
3 補強材
4,24 規制部
5,12 閉鎖部材
O 軸線
Claims (4)
- 弾性体から構成される管状体と、前記管状体の軸方向の1箇所以上において前記管状体の周方向に亘って配設される円環状の規制部と、前記管状体の両端をそれぞれ閉鎖する閉鎖部材とを備え、前記閉鎖部材および前記管状体により形成される空間に供給される流体の圧力によって前記管状体を径方向に膨張させて軸方向に収縮させる弾性収縮体において、
前記規制部は弾性体から構成されると共に、周方向のばね定数が、前記管状体の周方向のばね定数より大きく設定されていることを特徴とする弾性収縮体。 - 複数の繊維により構成されると共に前記管状体の軸線に沿って埋設される補強材を備えていることを特徴とする請求項1記載の弾性収縮体。
- 前記規制部は、前記管状体と一体にゴム状弾性体から構成され、前記規制部の径方向の厚さ及び前記管状体の径方向の厚さの合計は、前記管状体の径方向の厚さより大きく設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の弾性収縮体。
- 前記規制部は、前記管状体の軸方向の2箇所以上に設けられ、
無負荷のときの前記管状体の端部とその端部に最も近接する前記規制部との軸方向の距離は、無負荷のときの前記規制部間の軸方向の距離より大きく設定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の弾性収縮体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013114963A JP2014234839A (ja) | 2013-05-31 | 2013-05-31 | 弾性収縮体 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2013114963A JP2014234839A (ja) | 2013-05-31 | 2013-05-31 | 弾性収縮体 |
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Publication Number | Publication Date |
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ID=52137706
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Country | Link |
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JP (1) | JP2014234839A (ja) |
-
2013
- 2013-05-31 JP JP2013114963A patent/JP2014234839A/ja active Pending
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